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特許7033622気化装置、基板処理装置、クリーニング方法および半導体装置の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-02
(45)【発行日】2022-03-10
(54)【発明の名称】気化装置、基板処理装置、クリーニング方法および半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/31 20060101AFI20220303BHJP
   H01L 21/316 20060101ALI20220303BHJP
【FI】
H01L21/31 B
H01L21/316 X
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2020048652
(22)【出願日】2020-03-19
(65)【公開番号】P2021150472
(43)【公開日】2021-09-27
【審査請求日】2021-03-16
(73)【特許権者】
【識別番号】318009126
【氏名又は名称】株式会社KOKUSAI ELECTRIC
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】李 根
(72)【発明者】
【氏名】山崎 裕久
(72)【発明者】
【氏名】寿崎 健一
【審査官】加藤 芳健
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-169432(JP,A)
【文献】実開平1-156741(JP,U)
【文献】特開2009-170800(JP,A)
【文献】特開2016-84507(JP,A)
【文献】特開2011-114002(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/31
H01L 21/316
C23C 16/448
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体原料を貯留する液体容器と、
前記液体容器に貯留された前記液体原料に浸漬され、前記液体原料を加熱する第1の加熱部と、
前記液体容器を加熱する第2の加熱部と、
前記液体容器に貯留された前記液体原料に浸漬され、前記液体原料の温度を測定する第1の温度センサと、
前記液体容器の温度を測定する第2の温度センサと、
前記第1の温度センサにより測定された温度に基づき前記第1の加熱部を制御すると共に、前記第2の温度センサにより測定された温度に基づき前記第2の加熱部を制御することが可能なように構成される制御部と、
を有する気化装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記第1の温度センサで測定された温度が所定の第1温度となるように前記第1の加熱部を制御すると共に、前記第2の温度センサで測定された温度が所定の第2温度となるように前記第2の加熱部を制御することが可能なよう構成される、請求項1に記載の気化装置。
【請求項3】
前記第2温度は、前記第1温度に対応する予め定められた値が設定される、請求項2に記載の気化装置。
【請求項4】
前記第2温度は前記第1温度よりも高い値が設定される、請求項2又は3に記載の気化装置。
【請求項5】
前記液体容器の断面積をAcm 、発生ガス流量をQslmとして、Q/A>2%となるように前記第1温度及び前記第2温度が設定される、請求項2に記載の気化装置。
【請求項6】
前記第1の加熱部は、少なくとも第1内部ヒータと第2内部ヒータにより構成され、前記第1の温度センサは、少なくとも第1内部センサと第2内部センサにより構成される、請求項1に記載の気化装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記第1内部センサで測定された温度に基づいて前記第1内部ヒータを制御すると共に、前記第2内部センサで測定された温度に基づいて前記第2内部ヒータを制御するように構成される、請求項6に記載の気化装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記第1内部センサ及び前記第2内部センサで測定された温度が、所定の第1温度となるように前記第1内部ヒータ及び前記第2内部ヒータを制御するように構成される、請求項6又は7に記載の気化装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記第1内部センサ及び前記第2内部センサの少なくとも一方で測定された温度が、所定の第3温度を超えた場合、前記第1内部ヒータ及び前記第2内部ヒータへの電力供給を停止するように構成される、請求項6又は7に記載の気化装置。
【請求項10】
前記液体容器に貯留される液体はクリーニングガスの液体原料である、請求項1~9のいずれか1項に記載の気化装置。
【請求項11】
基板を処理する処理室と、
液体原料を貯留する液体容器と、
前記液体容器に貯留された前記液体原料に浸漬され、前記液体原料を加熱する第1の加熱部と、
前記液体容器を加熱する第2の加熱部と、
前記液体容器に貯留された前記液体原料に浸漬され、前記液体原料の温度を測定する第1の温度センサと、
前記液体容器の温度を測定する第2の温度センサと、
備えた気化装置と、
前記気化装置で前記液体原料を気化することで得られたガスを前記処理室へ供給するガス供給系と、
前記第1の温度センサにより測定された温度に基づき前記第1の加熱部を制御すると共に、前記第2の温度センサにより測定された温度に基づき前記第2の加熱部を制御することが可能なように構成される制御部と、
を有する基板処理装置。
【請求項12】
前記制御部は、前記気化装置で前記液体原料を気化することで得られたガスの供給と停止のサイクルを複数回実行するように、前記ガス供給系を制御することが可能なように構成される、請求項11に記載の基板処理装置。
【請求項13】
液体原料を貯留する液体容器と、
前記液体容器に貯留された前記液体原料に浸漬され、前記液体原料を加熱する第1の加熱部と、
前記液体容器を加熱する第2の加熱部と、
前記液体容器に貯留された前記液体原料に浸漬され、前記液体原料の温度を測定する第1の温度センサと、
前記液体容器の温度を測定する第2の温度センサと、を備える気化装置を用いて、
前記第1の温度センサにより測定された温度に基づき前記第1の加熱部を制御すると共に、前記第2の温度センサにより測定された温度に基づき前記第2の加熱部を制御することにより前記液体原料を気化する工程と、
前記液体原料を気化することで得たガスを、基板に対する処理が行われる処理室内へ供給することで、前記処理室内をクリーニングする工程と、
を有するクリーニング方法。
【請求項14】
前記クリーニングする工程では、気化ガスの供給と停止のサイクルを複数回実行する、請求項13に記載のクリーニング方法。
【請求項15】
処理室内へ基板を搬入する工程と、
前記基板を前記処理室内で処理する工程と、
液体原料を貯留する液体容器と、前記液体容器に貯留された前記液体原料に浸漬され、前記液体原料を加熱する第1の加熱部と、前記液体容器を加熱する第2の加熱部と、前記液体容器に貯留された前記液体原料内に浸漬され、前記液体原料の温度を測定する第1の温度センサと、前記液体容器の温度を測定する第2の温度センサと、を備える気化装置を用いて、前記第1の温度センサにより測定された前記液体原料の温度に基づき前記第1の加熱部を制御すると共に、前記第2の温度センサにより測定された温度に基づき前記第2の加熱部を制御することにより前記液体原料を気化する工程と、
前記液体原料を気化することで得たガスを前記処理室内へ供給することで、前記処理室内をクリーニングする工程と、
を有する半導体装置の製造方法。
【請求項16】
前記クリーニングする工程では、気化ガスの供給と停止のサイクルを複数回実行する、請求項15に記載の半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、気化装置、基板処理装置、クリーニング方法および半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体デバイスの微細化、高密度化に伴い、ゲート絶縁膜として高誘電率(High-k)酸化膜が用いられるようになってきている。又、DRAMキャパシタの容量を増大させるために、キャパシタ絶縁膜への高誘電率酸化膜の適用も進んできている。これら高誘電率酸化膜には低温での成膜が要求され、更に表面の平坦性、凹部埋めこみ性、ステップカバレッジ性に優れ、かつ異物の少ない成膜方法が求められている。異物の制御に関しては、最近では反応管を取り外すことなく、ガスクリーニングにより反応管内壁(処理室内)に堆積した膜を除去する方法が一般的に行われるようになっている。(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2009/037991号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
液体原料を貯蔵している容器を加熱して液体原料を気化させて得たガスを用いることがあり、この場合、反応管内への供給バルブを開放してガス供給を開始すると、気化量が増大し、液体原料から気化熱が奪われて液温が低下し、その結果、気化量が低下する。すなわち、ガス供給を開始すると、気化熱で液体原料の温度が下がり、気化量が変動し、反応管内に安定供給できないことがある。
【0005】
本開示の目的は、気化ガスの供給流量を安定化させることが可能な技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様によれば、
液体原料を貯留する液体容器と、
前記液体容器に貯留された前記液体原料に浸漬され、前記液体原料を加熱する第1の加熱部と、
前記液体容器を加熱する第2の加熱部と、
前記液体容器に貯留された前記液体原料内に浸漬され、前記液体原料の温度を測定する第1の温度センサと、
前記液体容器の温度を測定する第2の温度センサと、
前記第1の温度センサにより測定された前記液体原料の温度に基づき前記第1の加熱部を制御すると共に、前記第2の温度センサにより測定された温度に基づき前記第2の加熱部を制御するように構成される制御部と、
を有する技術が提供される。
【発明の効果】
【0007】
気化ガスの供給流量を安定化させることが可能な技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示の一実施形態で好適に用いられる基板処理装置の縦型処理炉の概略構成図であり、処理炉部分を縦断面図で示す図である。
図2】本開示の一実施形態で好適に用いられる基板処理装置の縦型処理炉の概略構成図であり、処理炉部分を図1のA-A線断面図で示す図である。
図3】本開示の一実施形態で好適に用いられる基板処理装置のコントローラの概略構成図であり、コントローラの制御系をブロック図で示す図である。
図4】本開示の一実施形態で好適に用いられる基板処理装置に備えられた気化装置の概略構成図である。
図5】本開示の一実施形態における気化装置のヒータの設定温度例を示す図である。
図6】本開示の一実施形態における液体容器の液体温度の安定性を示す図である。
図7】本開示の一実施形態におけるウエハに成膜を行う場合の成膜シーケンス図である。
図8】変形例における気化装置の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<本開示の一実施形態>
以下、本開示の一実施形態における基板処理装置について、図1図6を参照しながら説明する。
【0010】
(1)処理炉の構成
基板処理装置10に含まれる処理炉202は、加熱手段(加熱機構、加熱系)としてのヒータ207が有する。ヒータ207は円筒形状であり、ヒータベースに支持されることにより垂直に据え付けられている。
【0011】
ヒータ207の内側には、ヒータ207と同心円状に反応容器(処理容器)を構成する反応管203が配設されている。反応管203は、耐熱性材料(例えば石英(SiO)、炭化シリコン(SiC)等)により構成され、上端が閉塞し下端が開口した円筒形状に形成されている。反応管203の下方には、反応管203と同心円状に、マニホールド(インレットフランジ)209が配設されている。マニホールド209は、例えばステンレス(SUS)等の金属により構成され、上端および下端が開口した円筒形状に形成されている。マニホールド209の上端部と、反応管203との間には、シール部材としてのOリング220aが設けられている。マニホールド209がヒータベースに支持されることにより、反応管203は垂直に据え付けられた状態となる。処理容器の筒中空部には基板を処理する処理室201が形成されている。
【0012】
処理室201は、基板としてのウエハ200を後述するボート217によって水平姿勢で鉛直方向に多段に配列した状態で収容可能に構成されている。
【0013】
処理室201内には、ノズル410,420,430がマニホールド209の側壁を貫通するように設けられている。ノズル410,420,430には、ガス供給管310,320,330が、それぞれ接続されている。
【0014】
ガス供給管310,320,330には上流側から順に流量制御器(流量制御部)であるマスフローコントローラ(MFC)512,522、523および開閉弁であるバルブ314,324,334が設けられている。ガス供給管310,320,330のバルブ314,324,334の下流側には、不活性ガスを供給するガス供給管510,520,530がそれぞれ接続されている。ガス供給管510,520,530には、上流側から順に、流量制御器(流量制御部)であるMFC512,522,523および開閉弁であるバルブ514,524,534がそれぞれ設けられている。
【0015】
ノズル410,420,430は、L字型のノズルとして構成されており、その水平部はマニホールド209の側壁を貫通するように設けられている。ノズル410,420,430の垂直部は、反応管203の内壁とウエハ200との間に形成される円環状の空間に、反応管203の内壁に沿って上方(ウエハ200の配列方向上方)に向かって立ち上がるように(つまりウエハ配列領域の一端側から他端側に向かって立ち上がるように)設けられている。すなわち、ノズル410,420,430は、ウエハ200が配列されるウエハ配列領域の側方の、ウエハ配列領域の水平に取り囲む領域に、ウエハ配列領域に沿うように設けられている。
【0016】
ノズル410,420,430の側面には、ガスを供給するガス供給口410a,420a,430aがウエハ200の配列方向に沿って、ウエハ200が配列された基板配列領域に対応するように設けられている。ガス供給口410a,420a,430aは反応管203の中心向くように開口している。このガス供給口410a,420a,430aは、反応管203の下部から上部にわたって複数設けられ、それぞれ同一の開口面積を有し、さらに同じ開口ピッチで設けられている。ただし、ガス供給口410a,420a,430aは上述の形態に限定されない。例えば、反応管203の下部から上部に向かって開口面積を徐々に大きくしてもよい。これにより、ガス供給口410a,420a,430aから供給されるガスの流量を均一化することが可能となる。
【0017】
ガス供給管310からは、処理ガスとして原料ガスが、MFC312、バルブ314、ノズル410を介して処理室201に供給される。原料ガスとしては、例えば、金属元素であるアルミニウム(Al)を含む金属含有ガスであるアルミニウム含有原料(Al含有原料ガス、Al含有ガス)としてのトリメチルアルミニウム(Al(CH、略称:TMA)が用いられる。TMAは有機系原料であり、Alにリガンドとしてアルキル基が結合したアルキルアルミニウムである。
【0018】
原料ガスとは、気体状態の原料、例えば、常温常圧下で気体状態である気体原料や、常温常圧下で液体状態である液体原料を気化することで得られるガス等のことである。
【0019】
ガス供給管310から所定温度で自己分解する原料ガスを供給する場合、主に、ガス供給管310、MFC312、及びバルブ314により、原料ガス供給系が構成される。ノズル410を原料ガス供給系に含めて考えてもよい。原料ガス供給系を原料供給系と称することもできる。ガス供給管310から金属含有ガスを供給する場合、原料ガス供給系を金属含有ガス供給系と称することもできる。
【0020】
金属含有ガスとしてAl含有原料(Al含有原料ガス、Al含有ガス)を用いる場合、金属含有ガス供給系をAl含有原料(Al含有原料ガス、Al含有ガス)供給系と称することもできる。Al含有原料としてTMAを用いる場合、Al含有原料供給系をTMA供給系と称することもできる。
【0021】
ガス供給管320から反応ガス(リアクタント)を供給する場合、主に、ガス供給管320、MFC322、バルブ324により、反応ガス供給系(リアクタント供給系)が構成される。ノズル420を反応ガス供給系に含めて考えてもよい。反応ガスとして酸素含有ガス(酸化ガス、酸化剤)を供給する場合、反応ガス供給系を、酸素含有ガス(酸化ガス、酸化剤)供給系と称することもできる。酸素含有ガスとしてOを用いる場合、酸素含有ガス供給系をO供給系と称することもできる。ノズル420から反応ガスを流す場合、ノズル420を反応ガスノズルと称してもよい。
【0022】
ガス供給管330からは、処理ガスとして、クリーニングガス(エッチングガス)が、MFC332、バルブ334、ノズル430を介して処理室201内に供給される。クリーニングガスとしては、例えば、塩化水素(HCl)、四塩化ケイ素(SiCl)、塩化チオニル(SOCl)、三臭化ホウ素(BBr)、四臭化ケイ素(SiBr)および臭素(Br)の群から選択される一種以上のガスが用いられる。
【0023】
さらに、ガス供給管510,520,530からは、不活性ガスが、MFC512,522,532、バルブ514,524,534、及びノズル410,420,430を介して処理室201へ供給されようになっている不活性ガスとして、例えば、Nガスが用いられる。
【0024】
主に、ガス供給管510,520,530、MFC512,522,532、及びバルブ514,524,534により、不活性ガス供給系が構成される。
【0025】
一方、マニホールド209の壁面には、処理室201の雰囲気を排気する排気流路としての排気管231の一端が接続されている。排気管231には、処理室201の圧力を検出する圧力検出器(圧力検出部)としての圧力センサ245および排気バルブ(圧力調整部)としてのAPC(Auto Pressure Controller)バルブ243が取り付けられ、排気管231の端部には、真空排気装置としての真空ポンプ246が取り付けられている。
【0026】
APCバルブ243は、真空ポンプ246を作動させた状態で弁を開閉することで、処理室201の真空排気および真空排気停止を行うことができ、さらに、真空ポンプ246を作動させた状態で、圧力センサ245により検出された圧力情報に基づいて弁開度を調節することで、処理室201の圧力を調整することができるように構成されているバルブである。主に、排気管231、APCバルブ243、及び圧力センサ245により、排気系が構成される。真空ポンプ246を排気系に含めて考えてもよい。排気管231は、反応管203に設ける場合に限らず、ノズル410,420,430と同様にマニホールド209に設けてもよい。
【0027】
マニホールド209の下方には、マニホールド209の下端開口を気密に閉塞可能な炉口蓋体としてのシールキャップ219が設けられている。シールキャップ219は、例えばSUS等の金属から形成され、円盤状とされている。シールキャップ219の上面には、マニホールド209の下端と当接するシール部材としてのOリング220が設けられている。シールキャップ219に対して処理室201の反対側には、後述するボート217を回転させる回転機構267が設置されている。回転機構267の回転軸255は、シールキャップ219を貫通してボート217に接続されている。
【0028】
シールキャップ219は、反応管203の外部に鉛直に設置された昇降機構としてのボートエレベータ115によって鉛直方向に昇降されるように構成されている。ボートエレベータ115は、シールキャップ219を昇降させることで、ボート217を処理室201内外に搬入および搬出することが可能なように構成されている。ボートエレベータ115は、ボート217すなわちウエハ200を、処理室201内外に搬送する搬送装置(搬送機構)として構成されている。
【0029】
基板支持具としてのボート217は、複数枚、例えば25~200枚のウエハ200を、水平姿勢で、かつ、互いに中心を揃えた状態で垂直方向に整列させて多段に支持するように、すなわち、間隔を空けて配列させるように構成されている。ボート217の天頂部には、天板215が設けられている。ボート217および天板215は、例えば石英やSiC等の耐熱性材料により構成される。ボート217の下部である断熱領域には、例えば石英やSiC等の耐熱性材料により構成される断熱板218が水平姿勢で多段に支持されている。
【0030】
また、処理室201には、図2に示されるように、温度検出器としての温度センサ263が配設されている。温度センサ263により検出された温度情報に基づきヒータ207への通電具合を調整することで、処理室201の温度が所望の温度分布となるようになっている。温度センサ263は、ノズル410,420と同様に反応管203の内壁に沿って設けられている。
【0031】
図3に示すように、制御部(制御手段)であるコントローラ121は、CPU(Central Processing Unit)121a,RAM(Random Access Memory)121b,記憶装置121c,I/Oポート121dを備えたコンピュータとして構成されている。RAM121b,記憶装置121c,I/Oポート121dは、内部バスを介して、CPU121aとデータ交換可能なように構成されている。コントローラ121には、例えばタッチパネル等として構成された入出力装置122が接続されている。
【0032】
記憶装置121cは、例えばフラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)等で構成されている。記憶装置121c内には、液体原料の温度を制御する制御プログラム、基板処理装置の動作を制御する制御プログラム、後述する半導体装置の製造方法の手順や条件などが記載されたプロセスレシピ、などの少なくともいずれかが、読み出し可能に格納されている。プロセスレシピは、後述する半導体装置の製造方法における各工程(各ステップ)をコントローラ121に実行させ、所定の結果を得ることができるように組み合わされたものであり、プログラムとして機能する。以下、このプロセスレシピ、制御プログラム等を総称して、単に、プログラムともいう。本明細書においてプログラムという言葉を用いた場合は、プロセスレシピ単体のみを含む場合、制御プログラム単体のみを含む場合、または、プロセスレシピおよび制御プログラムの組み合わせを含む場合がある。RAM121bは、CPU121aによって読み出されたプログラムやデータ等が一時的に保持されるメモリ領域(ワークエリア)として構成されている。
【0033】
I/Oポート121dは、上述のMFC312,322,332,512,522,532、バルブ314,324,334,344,514,524,534、圧力センサ245、APCバルブ243、真空ポンプ246、ヒータ207、温度センサ263、回転機構267、ボートエレベータ115、等の少なくともいずれかに接続されている。
【0034】
なお、後述する気化装置60の液体容器600に設けられた内部ヒータ610と外部ヒータ620とを制御する制御部(不図示)と、基板処理装置10を制御するコントローラ121は、別々に構成しても良い。別々に構成する場合は、内部ヒータ610と外部ヒータ620とを制御する制御部(不図示)が、基板処理装置10を制御するコントローラ121に接続される様に構成しても良い。
【0035】
内部ヒータ610と外部ヒータ620とを制御する制御部(不図示)については、少なくとも、第1の温度センサ630、第2の温度センサ640、内部ヒータ610、外部ヒータ620の少なくともいずれかが接続されていれば良い。
【0036】
CPU121aは、記憶装置121cから制御プログラムを読み出して実行すると共に、入出力装置122からの操作コマンドの入力等に応じて記憶装置121cからレシピ等を読み出すように構成されている。CPU121aは、読み出したレシピの内容に沿うように、MFC312,322,332,512,522,532による各種ガスの流量調整動作、バルブ314,324,334,514,524,534の開閉動作、APCバルブ243の開閉動作およびAPCバルブ243による圧力センサ245に基づく圧力調整動作、温度センサ263に基づくヒータ207の温度調整動作、真空ポンプ246の起動および停止、回転機構267によるボート217の回転および回転速度調節動作、ボートエレベータ115によるボート217の昇降動作、ボート217へのウエハ200の収容動作、第1の温度センサ630に基づく内部ヒータ610および第2の温度センサ640に基づく外部ヒータ620の液体原料の温度調整動作等を制御するように構成されている。
【0037】
コントローラ121は、外部記憶装置(例えば、磁気テープ、フレキシブルディスクやハードディスク等の磁気ディスク、CDやDVD等の光ディスク、MO等の光磁気ディスク、USBメモリやメモリカード等の半導体メモリ)123に格納された上述のプログラムを、コンピュータにインストールすることにより構成することができる。記憶装置121cや外部記憶装置123は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体として構成されている。以下、これらを総称して、単に、記録媒体ともいう。本明細書において記録媒体は、記憶装置121c単体のみを含む場合、外部記憶装置123単体のみを含む場合、または、それら両方を含む場合がある。なお、コンピュータへのプログラムの提供は、外部記憶装置123を用いず、インターネットや専用回線等の通信手段を用いて行ってもよい。
【0038】
(2)気化装置の構成
次に、液体原料を貯留し、気化することで処理ガスを生成する気化装置について図4を用いて説明する。
【0039】
図4に示すように、液体容器600には処理室201内に処理ガスとして、例えばクリーニングガスを供給するガス供給管330と、液体容器600内にクリーニングガスの液体原料を供給するガス供給管650とが設けられている。液体容器600には、クリーニングガスの液体原料として、例えば、SiCl液が貯留され、ベーパドロー(Vapor Draw)式により気化したクリーニングガスは、ガス供給管330に入り、このガス供給管330、MFC332、バルブ334を介して、処理室201へと供給される。これにより、処理室201内等に付着した膜をエッチングして処理室201内がクリーニングされる。液体容器600は円筒状で容器内の断面積が一様であり、その材質はSUS等の金属材料である。
【0040】
また、液体容器600内には、液体原料に浸漬して液体原料を加熱する第1の加熱装置(第1の加熱部)としての内部ヒータ610と、この内部ヒータ610を制御するために液体原料に浸漬して液体原料の温度を測定する第1の温度センサ630(例えば、熱電対(Thermocouple))と、後述する外部ヒータ620を制御するために液体容器600の外壁の温度を測定する第2の温度センサ640(例えば、熱電対)が設けられている。内部ヒータ610には、電源等(図示せず)が接続されており、第1の温度センサ630による測定温度に基づいて、PID等のフィードバック制御により、第1の温度センサ630による測定温度(すなわち、測定された液体原料の温度)が所定の温度となるように内部ヒータ610の温度が調整される。なお、第2の温度センサ640は外部ヒータ620の断熱クロス内に設けられてもよいし、液体容器600の外壁に直接接触するように設けられてもよい。
【0041】
液体容器600は、液体容器600及びその内部の液体原料を加熱する第2の加熱装置(第2の加熱部)としての外部ヒータ(例えば、ジャケットヒータ)620で覆われている。外部ヒータ620には、電源等(図示せず)が接続されており、第2の温度センサ640による測定温度に基づいて、第2の温度センサ640による測定温度(すなわち、測定された液体容器600の外壁の温度)が所定の温度となるように外部ヒータ620の温度が調整される。外部ヒータ620は外部ヒータ620の断熱クロス(不図示)等および液体容器600を介して液体加熱するため、図5に示すように内部ヒータ610の温度(第1温度)に比べて高めの温度(第2温度)になるように温度制御することで、安定的な液温制御ができる。ここで、図5において、「R.T.」とは室温である。例えば、第1の温度センサ630の測定温度(TCin)が100℃になるように内部ヒータ610への電力量の制御を行う場合、第2の温度センサ640の測定温度(J/H TC)は102℃程度になるように外部ヒータ620への電力量の制御を行うとよい。
【0042】
気化装置60の動作の一例を説明する。液体容器600からクリーニングガスが供給管330、MFC332、バルブ334、ノズル430を介して処理室201へ供給されると、液体容器600内の液体原料の温度を第1の温度センサ630で測定すると共に、外部ヒータ620によって加熱される液体容器600の外壁の温度を第2の温度センサ640で測定する。なお、この時の液体原料は、気化熱によって急激に温度が下がる状態となっている。第1の温度センサ630によって測定された液体原料の温度に基づいて液体原料の温度が所定の温度となるように内部ヒータ610の温度(供給電力)が調整され、また、第2の温度センサ640によって測定された液体容器600の外壁の温度に基づいて液体容器600の外壁の温度が所定の温度となるように外部ヒータ620の温度(供給電力)が調整される。したがって、クリーニングガス供給開始後に急激に下がる液体原料の温度を、内部ヒータ610と外部ヒータ620により加熱することで、液体原料の温度の降下量を抑えることができ、短時間に所定の温度まで上げることが可能となる。また、液体原料の温度の降下量を抑えることにより、加熱による液体原料の温度のオーバシュート量を抑えることが可能となる。例えば、図6に示すような液体気化提供開始(A)から液温安定回復(設定温度±1%)まで(B)の時間(t)を従来の60分から5分以内に短縮することが可能である。
【0043】
このような構成とすることにより、内部ヒータ610と外部ヒータ620とを個別に制御することで、液体原料の液温の応答性と安定性が良くなり、短時間で液体原料を所定の温度の範囲内に回復させることが可能となる。また、短時間で液体原料を所定の温度まで上げることが可能となるため、クリーニングガスの供給時に気化熱による液体原料の温度低下による飽和蒸気圧の低下を防止することができ、液体原料に必要な蒸気圧を確保することができるため、クリーニングガスの流量低下を防止することができる。
【0044】
本実施形態に係る気化装置によれば、液体容器600の断面積をA(cm)、発生ガス流量(供給ガス流量)をQ(slm)として、例えば、A=250(cm)において、液体原料の温度を100℃に加熱した場合、6(slm)以上のガス流量を安定的に供給することができる。すなわち、Q/A≧2.4(%)となり、Q/A>2(%)の領域のように、気化開始時における液体原料の温度降下量が大きい条件下においても、気化ガスの安定供給が可能である。Q/A≦2(%)の領域においても本実施形態に係る気化装置は適用可能であるが、気化開始時における液体原料の温度降下量が小さいため、本実施形態に係る気化装置はQ/A>2(%)の領域における適用が好適である。
【0045】
気化温度は所望の気化量に応じて決定される。気化温度が高いほど気化量が大きい。但し、気化温度が高過ぎると原料の熱分解が発生するため、気化温度は原料の熱分解が発生する温度未満が望ましい。成膜原料ガスの場合は通常、これほどの流量(5slm以上)は必要とされないが、クリーニング原料ガスの場合、炉内圧力上昇速度を上げるため、すなわち、クリーニング原料ガスの濃度を上げてサイクル当たりエッチング量を上げるために大流量で供給することが要求される。そのため、5slm以上の大流量の気化ガスを供給可能な本開示の気化装置は、クリーニング原料ガス供給に対してより好適に適用できる。
【0046】
なお、気化装置をクリーニングガスの気化装置として説明したが、クリーニングガス以外の処理ガスとしての原料ガスや反応ガスの気化装置として適用することもできる。
【0047】
(3)基板処理工程
次に、本実施形態に係る半導体装置(デバイス)の製造工程の一工程として、上述の基板処理装置10を用い、基板上に膜を形成して半導体装置(デバイス)を製造する方法の一例について説明する。以下の説明において、基板処理装置10を構成する各部の動作はコントローラ121により制御される。
【0048】
なお、本明細書において「ウエハ」という言葉を用いた場合は、「ウエハそのもの」を意味する場合や、「ウエハとその表面に形成された所定の層や膜等との積層体(集合体)」を意味する場合(すなわち、表面に形成された所定の層や膜等を含めてウエハと称する場合)がある。また、本明細書において「ウエハの表面」という言葉を用いた場合は、「ウエハそのものの表面(露出面)」を意味する場合や、「ウエハ上に形成された所定の層や膜等の表面、すなわち、積層体としてのウエハの最表面」を意味する場合がある。なお、本明細書において「基板」という言葉を用いた場合も、「ウエハ」という言葉を用いた場合と同義である。
【0049】
基板処理装置10を用いて、ウエハ200に膜を形成するシーケンス図7を用いて説明する。本実施形態では、複数のウエハ200が積載された状態で収容された処理室201を所定温度で加熱する。そして、処理室201に、ノズル410のガス供給口410aから原料ガスとしてTMAガスを供給する原料ガス供給工程と、ノズル420のガス供給口420aから反応ガスを供給する反応ガス供給工程と、を所定回数(n回)行う。これにより、ウエハ200上に、AlおよびOを含む膜としてアルミニウム酸化膜(AlO膜)を形成する。
【0050】
(ウエハ搬入)
複数枚のウエハ200を処理室201内に搬入(ボートロード)する。具体的には、複数枚のウエハ200がボート217に装填(ウエハチャージ)されると、図1に示されているように、複数枚のウエハ200を支持したボート217は、ボートエレベータ115によって持ち上げられて処理室201内に搬入される。この状態で、シールキャップ219はOリング220を介してマニホールド209の下端開口を閉塞した状態となる。
【0051】
(圧力調整および温度調整)
処理室201内が所望の圧力(真空度)となるように真空ポンプ246によって真空排気される。この際、処理室201内の圧力は、圧力センサ245で測定され、この測定された圧力情報に基づき、APCバルブ243がフィードバック制御される(圧力調整)。真空ポンプ246は、少なくともウエハ200に対する処理が完了するまでの間は常時作動させた状態を維持する。また、処理室201内が所望の温度となるようにヒータ207によって加熱される。この際、処理室201内が所望の温度分布となるように、温度センサ263が検出した温度情報に基づきヒータ207への通電量がフィードバック制御される(温度調整)。ヒータ207による処理室201内の加熱は、少なくともウエハ200に対する処理が完了するまでの間は継続して行われる。
【0052】
さらに、ボート217およびウエハ200が、回転機構267により回転する。回転機構267によるボート217およびウエハ200の回転は少なくとも、ウエハ200に対する処理が完了するまでの間は継続して行われる。
【0053】
(成膜工程)
その後、原料ガス供給ステップ(第1ガス供給ステップ)、残留ガス除去ステップ、反応ガス供給ステップ(第2ガス供給ステップ)、残留ガス除去ステップをこの順で所定回数行う。
【0054】
(原料ガス供給ステップ)
バルブ314を開き、ガス供給管310へ原料ガス(TMAガス)を流す。TMAガスは、MFC312により流量調整され、ノズル410のガス供給口410aから処理室201内へ供給される。このとき同時に、バルブ514を開き、ガス供給管510内に不活性ガスであるキャリアガス(Nガス)を流す。キャリアガスは、MFC512により流量調整され、原料ガスと一緒にノズル410の供給口410aから処理室201内に供給され、排気管231から排気される。さらに、ノズル420への原料ガスの侵入を防止(逆流を防止)するため、バルブ524を開き、ガス供給管520内へキャリアガスを流す。キャリアガスは、ガス供給管520、ノズル420を介して処理室201へ供給され、排気管231から排気される。
【0055】
このとき、APCバルブ243を適正に調整して、処理室201の圧力を、例えば1~1000Pa、好ましくは1~100Pa、より好みしくは10~50Paの範囲内の圧力とする。
【0056】
MFC312で制御するTMAガスの供給流量は、例えば、10~2000sccm、好ましくは50~1000sccm、より好ましくは100~500sccmの範囲内の流量とする。なお、本明細書では、数値の範囲として、例えば10~2000sccmと記載した場合は、10sccm以上2000sccm以下を意味する。すなわち、数値の範囲内には10sccmおよび2000sccmが含まれる。流量のみならず、圧力、時間、温度等、本明細書に記載される全ての数値について同様である。
【0057】
MFC512で制御するキャリアガスの供給流量は、例えば、1~30slmの範囲内の流量とする。原料ガスをウエハ200に対して供給する時間は、例えば、1~60秒、好ましくは1~20秒、より好ましくは2~15秒の範囲内とする。
【0058】
ヒータ207は、ウエハ200の温度が、例えば、200~600℃、好ましくは350℃~550℃、より好ましくは400~550℃の範囲内となるように加熱する。
【0059】
前述の条件下で処理室201へTMAガスを供給することにより、ウエハ200の最表面上に、Al含有層が形成される。Al含有層はAlの他、CおよびHを含み得る。Al含有層は、ウエハ200の最表面に、TMAが物理吸着したり、TMAの一部が分解した物質が化学吸着したり、TMAが熱分解することでAlが堆積したりすること等により形成される。すなわち、Al含有層は、TMAやTMAの一部が分解した吸着層(物理吸着層や化学吸着層)であってもよく、Al堆積層(Al層)であってもよい。
【0060】
(残留ガス除去ステップ)
Al含有層が形成された後、バルブ314を閉じ、TMAガスの供給を停止する。このとき、APCバルブ243は開いたままとして、真空ポンプ246により処理室201を真空排気し、処理室201に残留する未反応又はAl含有層形成に寄与した後の原料ガスを処理室201から排除する。バルブ514,524は開いた状態でキャリアガスの処理室201への供給を維持する。
【0061】
(反応ガス供給ステップ)
処理室201の残留ガスを除去した後、バルブ324を開き、ガス供給管320内に反応ガス(Oガス)を流す。反応ガスは、MFC322により流量調整され、ノズル420の供給孔420aから処理室201内のウエハ200に対して供給され、排気管231から排気される。すなわちウエハ200は反応ガスに暴露される。
【0062】
このとき、バルブ524を開き、ガス供給管520内にキャリアガスを流す。キャリアガスは、MFC522により流量調整され、反応ガスと共に処理室201内に供給されて、排気管231から排気される。このとき、ノズル410内への反応ガスの侵入を防止(逆流を防止)するために、バルブ514を開き、ガス供給管510内へキャリアガスを流す。キャリアガスは、ガス供給管510、ノズル410を介して処理室201内に供給され、排気管231から排気される。
【0063】
このとき、APCバルブ243を適正に調整して、処理室201の圧力を、例えば1~1000Paの範囲内の圧力とする。MFC322で制御する反応ガスの供給流量は、例えば、5~40slm、好ましくは5~30slm、より好ましくは10~20slmの範囲内の流量とする。反応ガスをウエハ200に対して供給する時間は、例えば、1~60秒の範囲内とする。その他の処理条件は、前述の原料ガス供給ステップと同様の処理条件とする。
【0064】
このとき処理室201に流しているガスは、反応ガスと不活性ガス(Nガス)のみである。反応ガスは、原料ガス供給工程でウエハ200上に形成されたAl含有層の少なくとも一部と反応する。Al含有層は酸化され、金属酸化層としてAlとOとを含むアルミニウム酸化層(AlO層)が形成される。すなわちAl含有層はAlO層へと改質される。
【0065】
(残留ガス除去ステップ)
AlO層が形成された後、バルブ324を閉じて、反応ガスの供給を停止する。そして、原料ガス供給ステップ後の残留ガス除去ステップと同様の処理手順により、処理室201内に残留する未反応もしくはAlO層の形成に寄与した後の反応ガスや反応副生成物を処理室201内から排除する。
【0066】
以上説明した原料ガス供給ステップ、残留ガス除去ステップ、反応ガス供給ステップ、残留ガス除去ステップを順に行うサイクルを予め決められた回数(1回以上)行う。このように、バッチ処理され(複数の工程が複数回行われ)ることで、ウエハ200上にAlO膜が形成される。
【0067】
なお、バッチ処理とは、原料ガス供給ステップ、残留ガス除去ステップ、反応ガス供給ステップ、残留ガス除ステップを順に行うサイクルを予め決められた回数行い、ウエハ200上にAlO膜を形成させる処理である。そして、1バッチで、ウエハ200上にAlO膜が形成させる。
【0068】
(アフターパージおよび大気圧復帰)
ガス供給管510,520,530のそれぞれからNガス等の不活性ガスを処理室201内へ供給し、排気管231から排気する。Nガスはパージガスとして作用し、これにより処理室201内が不活性ガスでパージされ、処理室201内に残留するガスや副生成物が処理室201内から除去される(アフターパージ)。その後、処理室201内の雰囲気が不活性ガスに置換され(不活性ガス置換)、処理室201内の圧力が常圧に復帰される(大気圧復帰)。
【0069】
(ウエハ搬出)
その後、ボートエレベータ115によりシールキャップ219が下降されて、マニホールド209の下端が開口される。そして、処理済ウエハ200がボート217に支持された状態で反応管203の下端から反応管203の外部に搬出(ボートアンロード)される。その後、処理済のウエハ200は、ボート217より取り出される(ウエハディスチャージ)。
【0070】
次に、処理室201内等に付着した膜をエッチングする工程(クリーニング工程)について説明する。
【0071】
(ボート搬入)
ウエハ200を装填しない状態で、ボート217を処理室201内に搬入(ボートロード)する。ボート217は、ボートエレベータ115によって持ち上げられて処理室201内に搬入される。この状態で、シールキャップ219はOリング220を介してマニホールド209の下端開口を閉塞した状態となる。
【0072】
(圧力調整および温度調整)
処理室201内が所望の圧力(真空度)となるように真空ポンプ246によって真空排気される。この際、処理室201内の圧力は、圧力センサ245で測定され、この測定された圧力情報に基づき、APCバルブ243がフィードバック制御される(圧力調整)。真空ポンプ246は、少なくともウエハ200に対する処理が完了するまでの間は常時作動させた状態を維持する。また、処理室201内が所望の温度となるようにヒータ207によって加熱される。この際、処理室201内が所望の温度分布となるように、温度センサ263が検出した温度情報に基づきヒータ207への通電量がフィードバック制御される(温度調整)。ヒータ207による処理室201内の加熱は、少なくともエッチング処理が完了するまでの間は継続して行われる。
【0073】
(エッチング(クリーニング)工程)
処理室201内等に付着した膜をエッチングして処理室201内をクリーニングするステップを実行する。
【0074】
(エッチングステップ)
例えば、容積が4L(断面積250cm)の液体容器600において、液体原料のSiClを100℃に加熱することによりSiClの気化ガスを得る。バルブ334を開き、液体容器600からガス供給管330内に気化することで得られたクリーニングガス(エッチングガス)としてSiClガスを流す。SiClガスは、MFC332により流量調整され、ノズル430のガス供給口430aから処理室201内に供給され、排気管231から排気される。このとき同時にバルブ534を開き、ガス供給管530内にNガス等の不活性ガスを流す。ガス供給管530内を流れたNガスは、MFC532により流量調整され、SiClガスと一緒に処理室201内に供給され、排気管231から排気される。なお、このとき、ノズル410,420内へのSiClガスの侵入を防止するために、バルブ514,524を開き、ガス供給管510,520内にNガスを流す。Nガスは、ガス供給管310,320、ノズル410,420を介して処理室201内に供給され、排気管231から排気される。
【0075】
SiClガスの供給により、処理室201内に付着したAlO膜の少なくとも一部とSiClガスとが反応して、処理室201から除去される。
【0076】
このとき、コントローラ121によりヒータ207を制御して、処理室201内を例えば、200~800℃であって、好ましくは400~650℃の範囲内の所定温度に加熱して、SiClガスを活性化させる。このとき、APCバルブ243を閉じるか、処理に影響を及ぼさない程度に実質的に閉じ、SiClガスを処理室201内に封じ込める。SiClガスを封じ込めることにより、上述の反応遅延によるエッチングへの影響を少なくすることができる。そして、処理室201内の圧力を第1の圧力であって、例えば、1~40000Paであって、好ましくは10000~30000Pa、より好ましくは20000~30000Paの範囲内の所定圧力に維持する。MFC332で制御するSiClガスの供給流量は、例えば1~10slmであって、好ましくは3~8slmの範囲内の流量とする。SiClガスを処理室201に供給する時間(SiClガス供給時間)は、例えば60~600秒間の範囲内の時間とする。
【0077】
(残留ガス除去ステップ)
所定時間、SiClガスを処理室201に供給した後、バルブ334を閉じて、SiClガスの供給を停止する。APCバルブ243を閉じるか、処理に影響を及ぼさない程度に実質的に閉じていた場合は、APCバルブ243を開ける。そして、TMAガス供給ステップの残留ガス除去ステップと同様の処理手順により、処理室201内に残留する未反応もしくはAlO層の除去に寄与した後のSiClガスを処理室201内から排除する。
【0078】
(表面酸化ステップ)
バルブ324を開き、ガス供給管320内にOガスを流す。Oガスは、MFC322により流量調整され、ノズル420のガス供給口420aから処理室201内に供給され、排気管231から排気される。このとき同時にバルブ524を開き、ガス供給管520内にNガス等の不活性ガスを流す。ガス供給管520内を流れたNガスは、MFC522により流量調整され、Oガスと一緒に処理室201内に供給され、排気管231から排気される。なお、このとき、ノズル410,430内へのOガスの侵入を防止するために、バルブ514,534を開き、ガス供給管510,530内にNガスを流す。Nガスは、ガス供給管310,330、ノズル410,430を介して処理室201内に供給され、排気管231から排気される。
【0079】
ガスを流すときは、APCバルブ243を適正に調整して処理室201内の圧力を、例えば50~1330Paの範囲内の圧力とする。MFC235b,235cで制御するOガスの供給流量は、例えば5~40slmの範囲内の流量とする。Oガスの供給時間(照射時間)は、例えば10~600秒間の範囲内の時間とする。このときのヒータ207の温度は、ステップS101と同様の温度とする。
【0080】
ガスの供給により、処理室201内壁やボート217等の表面を酸化する(トリートメントする)。また、エッチングステップで生成された副生成物が再酸化される。例えば、AlClxのAl-Cl結合が切断され、Clとして除去されるとともに、AlOに再酸化される。さらに、AlO膜中に残留する有機物がOガスと反応して、処理室201から除去される。例えば、AlO膜中に残留する炭素(C)がOガスと反応して、COxとなり、処理室201から除去される。このとき、膜の最表面は、COxが脱離した後の炭素欠陥が存在するとともに、Al-OおよびAl-Alの弱い結合平衡状態が存在する。この状態は、エッチングに適した表面平衡状態であると考えられる。
【0081】
(残留ガス除去ステップ)
所定時間、Oガスを供給した後、バルブ324を閉じ、Oガスの供給を停止する。そして、TMAガス供給ステップの残留ガス除去ステップと同様の処理手順により、処理室201内に残留する未反応もしくはAlO膜と反応した後のOガスを処理室201内から排除する。
【0082】
(所定回数実施)
上記したステップを順に行うサイクルを1回以上(所定回数(m回)行うことにより、処理室201内に付着したAlO膜を除去する。上述のサイクルは、複数回繰り返すのが好ましい。
【0083】
上述したようにエッチング(クリーニング)工程は、クリーニングガスによるエッチングステップとOガスによる表面酸化ステップとを含むステップのサイクルを複数回繰り返す。サイクルごとに気化開始/停止を繰り返すので、液体原料の液温変動が頻繁に起こりやすいため、温度回復速度が高い本開示の温度制御はより好適である。
【0084】
本実施形態によれば、以下の一つまたは複数の効果を有する。
【0085】
(1)液体原料の温度(液温)に基づいて制御される内部ヒータと、液体容器の温度に基づいて制御される外部ヒータの2つを備えることで、気化発生に伴う液温変動が発生した際、液温が所定の温度又は所定の温度範囲内に安定するまでの回復時間を短縮することができる。
【0086】
(2)内部ヒータは第1の温度センサで測定された温度が所定の第1温度となるように制御され、外部ヒータは第2の温度センサで測定された温度が所定の第2温度となるように制御される。第2温度は、第1温度に対応して予め定められた値が設定される。これにより、第1温度と第2温度を同一値とするよりも、さらに安定的に液温制御することができる。
【0087】
[変形例]
変形例の気化装置について図8を用いて説明する。
【0088】
変形例における液体容器600内には、液体原料に浸漬して液体原料を加熱する第1の加熱装置(第1の加熱部)としての内部ヒータ610と、この内部ヒータ610を制御するために液体原料に浸漬して液体原料の温度を測定する第1の温度センサ630と、外部ヒータ620を制御するために液体容器600の外壁の温度を測定する第2の温度センサ640が設けられている。内部ヒータ610は、第1内部ヒータ610aと第2内部ヒータ610bにより構成される。第1の温度センサ630は、第1内部センサ630aと第2内部センサ630bにより構成される。内部ヒータ610および第1の温度センサ630はそれぞれの数が二つに限定されるものではなく、それぞれ三つ以上あってもよい。第1内部ヒータ610aは、第1内部センサ630aで測定された温度に基づいて、第1内部センサ630aで測定された温度が所定の第1温度となるように、第2内部ヒータ610bとは独立して制御される。また、第2内部ヒータ610bは第2内部センサ630bで測定された温度に基づいて、第2内部センサ630bで測定された温度が所定の第1温度となるように、第1内部ヒータ610aとは独立して制御される。
【0089】
第1内部センサ630a及び第2内部センサ630bの少なくとも一方で測定された温度が、所定の第3温度(上限温度)を超えた場合、コントローラ121は第1内部ヒータ610a及び第2内部ヒータ610bへの電力供給を停止させる。これにより、上限値を超えるような異常値が測定された場合、加熱を停止することで異常加熱を防止することができる。センサ異常又はヒータ異常発生時にも、温度安定性や安全性を確保することができる。
【0090】
上述の実施形態では、エッチングしようとする高誘電率酸化膜としてAlO膜を例示しているが、これに限らず、例えば、高誘電率酸化物としてZrOy、HfOy、HfSixOy、HfAlxOy、ZrSiOy、ZrAlOy、TixOy、TaxOy(x及びyは0より大きい整数又は小数である。)が用いられた場合にも同様に適用可能である。すなわち、ジルコニウム酸化膜、ハフニウム酸化膜、チタン酸化膜、タンタル酸化膜およびそれらの複合膜にも適用可能である。
【0091】
また、上述の実施形態では、有機系原料としてTMAを例示しているが、これに限らず、有機化合物であれば、その他の原料も適用可能である。例えば、テトラキスエチルメチルアミノハフニウム(Hf[N(CH)CHCH、TEMAH)等の有機系Hf原料等の有機系Al原料、トリスジメチルアミノシラン(SiH(N(CH、TDMAS)等の有機系Si原料、テトラキスジメチルアミノチタン(Ti[N(CH、TDMAT)等の有機系Ti原料、ペンタキスジメチルアミノタンタル(Ta(N(CH、PDMAT)等の有機系Ta原料等も適用可能である。
【0092】
また、上述の実施形態では、成膜工程で、Oガスを使用する例を示しているが、これに限らず、酸素含有ガスであれば、その他の原料も適用可能である。例えば、O、Oプラズマ、HO、H、NO等も適用可能である。
【0093】
また、上述の実施形態では、液体容器600には、クリーニングガスの液体原料が貯留され、キャリアガスを使用しないベーパドロー(Vapor Draw)式により気化する例を示しているが、キャリアガスを使用するバブリング式にも適用可能である。
【0094】
また、上述の実施形態では、表面酸化ステップで使用する酸化ガスとしてOを例示しているが、これに限らず、酸素含有ガスであって、かつエッチングガスに含まれるハロゲン元素と反応する元素を含むガスであれば、その他のガスも適用可能である。例えば、HO、H等も適用可能である。
【0095】
これらの各種薄膜の形成に用いられるプロセスレシピ(処理手順や処理条件等が記載されたプログラム)は、基板処理、クリーニング処理等の内容(形成する薄膜の膜種、組成比、膜質、膜厚、処理手順、処理条件等)に応じて、それぞれ個別に用意する(複数用意する)ことが好ましい。そして、基板処理、クリーニング処理等を開始する際、基板処理、クリーニング処理等の内容に応じて、複数のプロセスレシピ、クリーニングレシピ等の中から、適正なプロセスレシピ、クリーニングレシピ等を適宜選択することが好ましい。具体的には、基板処理、クリーニング処理等の内容に応じて個別に用意された複数のプロセスレシピ、クリーニングレシピ等を、電気通信回線や当該プロセスレシピ、クリーニングレシピ等を記録した記録媒体(外部記憶装置123)を介して、基板処理装置が備える記憶装置121c内に予め格納(インストール)しておくことが好ましい。そして、基板処理を開始する際、基板処理装置が備えるCPU121aが、記憶装置121c内に格納された複数のプロセスレシピ、クリーニングレシピ等の中から、基板処理の内容に応じて、適正なプロセスレシピ、クリーニングレシピ等を適宜選択することが好ましい。このように構成することで、1台の基板処理装置で様々な膜種、組成比、膜質、膜厚の薄膜を汎用的に、かつ、再現性よく形成できるようになる。また、オペレータの操作負担(処理手順や処理条件等の入力負担等)を低減でき、操作ミスを回避しつつ、基板処理を迅速に開始できるようになる。
【0096】
また、本開示は、例えば、既存の基板処理装置のプロセスレシピ、クリーニングレシピ等を変更することでも実現できる。プロセスレシピ、クリーニングレシピ等を変更する場合は、本開示に係るプロセスレシピ、クリーニングレシピ等を電気通信回線や当該プロセスレシピ、クリーニングレシピ等を記録した記録媒体を介して既存の基板処理装置にインストールしたり、また、既存の基板処理装置の入出力装置を操作し、そのプロセスレシピ、クリーニングレシピ等自体を本開示に係るプロセスレシピ、クリーニングレシピ等に変更したりすることも可能である。
【0097】
本開示は、少なくとも以下の実施形態を含む。
【0098】
(付記1)
液体原料を貯留する液体容器と、
前記液体容器に貯留された前記液体原料に浸漬され、前記液体原料を加熱する第1の加熱部と、
前記液体容器を加熱する第2の加熱部と、
前記液体容器に貯留された前記液体原料に浸漬され、前記液体原料の温度を測定する第1の温度センサと、
前記液体容器(外壁面)の温度を測定する第2の温度センサと、
前記第1の温度センサにより測定された温度に基づき前記第1の加熱部(へ供給する電力量)を制御すると共に、前記第2の温度センサにより測定された温度に基づき前記第2の加熱部(へ供給する電力量)を制御するように構成される制御部と、
を有する気化装置が提供される。
【0099】
(付記2)
付記1の気化装置において、好ましくは、
前記制御部は、
前記第1の温度センサで測定された温度が所定の第1温度となるように前記第1の加熱部を制御すると共に、前記第2の温度センサで測定された温度が所定の第2温度となるように前記第2の加熱部を制御するよう構成される。
【0100】
(付記3)
付記2の気化装置において、好ましくは、
前記第2温度は、前記第1温度に対応する予め定められた値が設定される。
【0101】
(付記4)
付記2の気化装置において、好ましくは、
前記第2温度は前記第1温度よりも高い値が設定される。
【0102】
(付記5)
付記1の気化装置において、好ましくは、
前記第1の加熱部(内部ヒータ)は、少なくとも第1内部ヒータと第2内部ヒータにより構成され、前記第1の温度センサは、少なくとも第1内部センサと第2内部センサにより構成される。
【0103】
(付記6)
付記5の気化装置において、好ましくは、
前記制御部は、前記第1内部センサで測定された温度に基づいて前記第1内部ヒータを制御すると共に、前記第2内部センサで測定された温度に基づいて前記第2内部ヒータを制御するように構成される。
【0104】
(付記7)
付記5又は6の気化装置において、好ましくは、
前記制御部は、前記第1内部センサ及び前記第2内部センサで測定された温度が、所定の第1温度となるように前記第1内部ヒータ及び前記第2内部ヒータを制御するように構成される。
【0105】
(付記8)
付記5又は6の気化装置において、好ましくは、
前記制御部は、前記第1内部センサ及び前記第2内部センサの少なくとも一方で測定された温度が、所定の第3温度(上限温度)を超えた場合、前記第1内部ヒータ及び前記第2内部ヒータ(への電力供給)を停止させるように構成される。
【0106】
(付記9)
付記1の気化装置において、好ましくは、
前記液体容器に貯留される液体はクリーニングガスの液体原料である。
【0107】
(付記10)
基板を処理する処理室と、
液体原料を貯留する液体容器と、
前記液体容器に貯留された前記液体原料に浸漬され、前記液体原料を加熱する第1の加熱部と、
前記液体容器を加熱する第2の加熱部と、
前記液体容器に貯留された前記液体原料に浸漬され、前記液体原料の温度を測定する第1の温度センサと、
前記液体容器(外壁面)の温度を測定する第2の温度センサと、
前記第1の温度センサにより測定された温度に基づき前記第1の加熱部(へ供給する電力量)を制御すると共に、前記第2の温度センサにより測定された温度に基づき前記第2の加熱部(へ供給する電力量)を制御するように構成される制御部と、
を備えた気化装置と、
前記気化装置で前記液体原料を気化することで得られたガスを前記処理室へ供給するガス供給系と、
を有する基板処理装置が提供される。
【0108】
(付記11)
液体原料を貯留する液体容器と、
前記液体容器に貯留された前記液体原料に浸漬され、前記液体原料を加熱する第1の加熱部と、
前記液体容器を加熱する第2の加熱部と、
前記液体容器に貯留された前記液体原料に浸漬され、前記液体原料の温度を測定する第1の温度センサと、
前記液体容器(外壁面)の温度を測定する第2の温度センサと、を備える気化装置を用いて、
前記第1の温度センサにより測定された温度に基づき前記第1の加熱部(へ供給する電力量)を制御すると共に、前記第2の温度センサにより測定された温度に基づき前記第2の加熱部(へ供給する電力量)を制御することで前記液体原料を気化する工程と、
前記液体原料を気化することで得たガスを、基板に対する処理が行われる処理室内へ供給することで、前記処理室内をクリーニングする工程と、
を有するクリーニング方法が提供される。
【0109】
(付記12)
処理室内へ基板を搬入する工程と、
前記基板を前記処理室内で処理する工程と、
液体原料を貯留する液体容器と、
前記液体容器に貯留された前記液体原料に浸漬され、前記液体原料を加熱する第1の加熱部と、
前記液体容器を加熱する第2の加熱部と、
前記液体容器に貯留された前記液体原料内に浸漬され、前記液体原料の温度を測定する第1の温度センサと、
前記液体容器(外壁面)の温度を測定する第2の温度センサと、を備える気化装置を用いて、
前記第1の温度センサにより測定された前記液体原料の温度に基づき前記第1の加熱部(へ供給する電力量)を制御すると共に、前記第2の温度センサにより測定された温度に基づき前記第2の加熱部(へ供給する電力量)を制御することにより前記液体原料を気化する工程と、
前記液体原料を気化することで得たガスを前記処理室内へ供給することで、前記処理室内をクリーニングする工程と、
を有する半導体装置の製造方法が提供される。
【0110】
(付記13)
付記11のクリーニング方法または12の半導体装置の製造方法において、好ましくは、
前記クリーニングする工程では、気化ガスの供給と停止のサイクルを複数回実行する。
【符号の説明】
【0111】
10…基板処理装置
60…気化装置
121…コントローラ(制御部)
200…ウエハ(基板)
201…処理室
600…液体容器
610…内部ヒータ(第1の加熱部)
620…外部ヒータ(第2の加熱部)
630…第1の温度センサ
640…第2の温度センサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8