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特許7034207エアロゲルシートの製造方法および製造機
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-03
(45)【発行日】2022-03-11
(54)【発明の名称】エアロゲルシートの製造方法および製造機
(51)【国際特許分類】
   C01B 33/155 20060101AFI20220304BHJP
   C01B 33/159 20060101ALI20220304BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20220304BHJP
   B32B 37/00 20060101ALI20220304BHJP
【FI】
C01B33/155
C01B33/159
B32B27/00 101
B32B37/00
【請求項の数】 12
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020081207
(22)【出願日】2020-05-01
(62)【分割の表示】P 2018520141の分割
【原出願日】2017-01-17
(65)【公開番号】P2020121924
(43)【公開日】2020-08-13
【審査請求日】2020-05-08
(31)【優先権主張番号】10-2016-0006341
(32)【優先日】2016-01-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】キム、イェ-ホン
(72)【発明者】
【氏名】イ、チェ-キュン
(72)【発明者】
【氏名】オ、キョン-シル
【審査官】廣野 知子
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-190551(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2015-0089319(KR,A)
【文献】特表2014-532031(JP,A)
【文献】特開2006-227596(JP,A)
【文献】特表2007-524528(JP,A)
【文献】特開2011-136859(JP,A)
【文献】特開2000-128372(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B 33/00-33/193
B32B 27/00、37/00
F16L 59/00-59/22
D06M 10/00-11/84、16/00
D06M 19/00-23/18 プラスチック等の注型成形、圧縮成形 樹脂加工
B29C 39/00-39/24
B29C 39/38-39/44
B65H 1/00-3/68
B65H 17/00-37/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)板状のブランケットを準備するステップと、
(b)シリカゾルとゲル化用触媒を混合してシリカゾル前駆体を製造するステップと、
(c)前記(a)ステップで準備したブランケットの表面に、前記(b)ステップで製造したシリカゾル前駆体を噴射装置を用いて噴射してゲル化させるステップと、を含み、
前記(c)ステップにおける噴射装置は、前記ブランケットの表面の一側から他側に移動しながらシリカゾル前駆体を噴射する、エアロゲルシートの製造方法であって、
前記(c)ステップにおける前記噴射装置は、ブランケットの表面を移動しながら、所定高さ以上のシリカゾル前駆体を掻き取って除去することにより、前記ブランケットの表面に噴射されたシリカゾル前駆体の厚さを均一に調節するスクレーパを含み、
前記(c)ステップの後に、(d)前記シリカゾル前駆体がゲル化したブランケットをエージングするステップと、
前記(d)ステップの後に、(e)エージングされた前記ブランケットにコーティング液を投入して表面を改質するステップと、
前記(e)ステップの後に、(f)表面が改質された前記ブランケットを乾燥するステップをさらに含み、
前記(f)ステップは、二酸化炭素の注入速度又は乾燥時間の変更で区分される一次乾燥ステップ、二次乾燥ステップ、三次乾燥ステップ、四次乾燥ステップに分かれて乾燥が行われ、
前記(f)ステップにおける三次乾燥は、二酸化炭素を注入する間、表面改質されたブランケットから発生したエタノールを回収し、四次乾燥の後に、二酸化炭素を2時間排出する、製造方法。
【請求項2】
前記(a)ステップは、
前記板状のブランケットを貯蔵容器に積載する積載ステップと、
前記貯蔵容器に積載された板状のブランケットを搬送部によって吸着して搬送する搬送ステップと、
前記搬送部により搬送されたブランケットを固定容器に挿入する準備ステップと、を含み、
前記固定容器に挿入されたブランケットの表面に、前記噴射装置によってシリカゾル前駆体を噴射する、請求項1に記載のエアロゲルシートの製造方法。
【請求項3】
前記(b)ステップにおいて、前記シリカゾルは、TEOS(tetraethly orthosilicate)とエタノールを混合して製造する、請求項1に記載のエアロゲルシートの製造方法。
【請求項4】
前記TEOS(tetraethly orthosilicate)は、加水分解されたTEOSを含む、請求項3に記載のエアロゲルシートの製造方法。
【請求項5】
前記(b)ステップにおいて、前記ゲル化用触媒は、エタノールとアンモニア水(NH4OH)を混合して製造する、請求項1に記載のエアロゲルシートの製造方法。
【請求項6】
前記(b)ステップにおいて、混合装置を用いて前記シリカゾルと前記ゲル化用触媒を混合し、
前記混合装置は、
前記シリカゾルが収容されるシリカゾル収容部と、
ゲル化用触媒が収容される触媒収容部と、
前記シリカゾル収容部のシリカゾルと前記触媒収容部のゲル化用触媒が流入され混合されて前記シリカゾル前駆体が製造される混合部と、を含み、
前記混合部に収容されたシリカゾル前駆体は、前記噴射装置に供給される、請求項1に記載のエアロゲルシートの製造方法。
【請求項7】
前記(c)ステップにおける前記噴射装置は、
前記ブランケットの表面に前記シリカゾル前駆体を噴射する噴射部と、
前記噴射部を前記ブランケットの表面の一側から他側まで移動させる移動部と、を含む、請求項1に記載のエアロゲルシートの製造方法。
【請求項8】
前記(d)ステップにおいて、前記シリカゾル前駆体がゲル化した前記ブランケットを70℃の高温で50分間エージングする、請求項1に記載のエアロゲルシートの製造方法。
【請求項9】
前記(d)ステップにおいて、前記シリカゾル前駆体がゲル化した前記ブランケットを常温で10分間放置してエージングを行う、請求項1に記載のエアロゲルシートの製造方法。
【請求項10】
前記(e)ステップにおいて、前記コーティング液は、エタノールとアンモニア水(NH4OH)を混合して製造する、請求項1に記載のエアロゲルシートの製造方法。
【請求項11】
前記(e)ステップにおいて、前記コーティング液を、前記ブランケット(blanket)の表面に含浸されたシリカゾルの1.6倍の量で投入し、70℃の高温で反応容器中で1時間エージングしてHMDS(Hexamethyldisilazane)を用いて前記ブランケットの表面を改質する、請求項1に記載のエアロゲルシートの製造方法。
【請求項12】
前記(d)、(e)、および(f)ステップは、ブランケットを収容する反応容器内で行う、請求項1に記載のエアロゲルシートの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2016年1月19日付けの韓国特許出願第10‐2016‐0006341号に基づく優先権の利益を主張し、該当韓国特許出願の文献に開示された全ての内容は、本明細書の一部として組み込まれる。
【0002】
本発明は、エアロゲルシートの製造方法および製造機に関し、特に、断熱性および耐久性に優れるとともに、均一な厚さを有するエアロゲルシートの製造方法および製造機に関する。
【背景技術】
【0003】
通常、エアロゲルは、現在まで知られた固体の中でも、90%以上、最大99%程度の高い気孔率を有する高多孔性物質であって、シリカ前駆体溶液をゾル-ゲル重合反応させてゲルを形成した後、超臨界条件若しくは常圧条件の下で乾燥することで得ることができる。すなわち、エアロゲルは、空気が満ちている気孔構造を有している。
【0004】
かかるエアロゲルは、内部空間の90~99%が空いている独特の気孔構造により、軽いながらも断熱性、吸音性などの物性を有し、中でも最も大きい利点は、従来のスタイロフォームなどの有機断熱材の熱伝導度である36mW/m.kよりも著しく低い30mW/m.k以下の熱伝導率を示す高断熱性を有するということである。
【0005】
しかし、従来技術によるエアロゲルは、シートの厚さが均一ではなく、断熱性および耐久性に劣るという問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記のような問題を解決するためになされたものであって、本発明の目的は、断熱性および耐久性に優れ、特に、均一な厚さを有するエアロゲルシートの製造方法および製造機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記のような目的を達成するための本発明によるエアロゲルシートの製造方法は、(a)板状のブランケットを準備するステップと、(b)シリカゾルとゲル化用触媒を混合してシリカゾル前駆体を製造するステップと、(c)前記(a)ステップで準備したブランケットの表面に、前記(b)ステップで製造したシリカゾル前駆体を噴射装置を用いて噴射してゲル化させるステップと、を含み、前記(c)ステップにおける噴射装置は、前記ブランケットの表面の一側から他側に移動しながらシリカゾル前駆体を噴射することができる。
【0008】
前記(a)ステップは、板状のブランケットを貯蔵容器に積載する積載ステップと、前記貯蔵容器に積載された板状のブランケットを搬送部によって吸着して搬送する搬送ステップと、前記搬送部により搬送されたブランケットを固定容器に挿入する準備ステップと、を含み、前記固定容器に挿入されたブランケットの表面に、前記噴射装置によってシリカゾル前駆体を噴射することができる。
【0009】
前記(b)ステップにおいて、シリカゾルは、TEOS(tetraethly orthosilicate)とエタノールを混合して製造することができる。
【0010】
前記TEOS(tetraethly orthosilicate)は、加水分解されたTEOSを含むことができる。
【0011】
前記(b)ステップにおいて、ゲル化用触媒は、エタノールとアンモニア水(NH4OH)を混合して製造することができる。
【0012】
前記(b)ステップにおいて、混合装置を用いてシリカゾルとゲル化用触媒を混合し、前記混合装置は、シリカゾルが収容されるシリカゾル収容部と、ゲル化用触媒が収容される触媒収容部と、前記シリカゾル収容部のシリカゾルと前記触媒収容部のゲル化用触媒が流入され混合されてシリカゾル前駆体が製造される混合部と、を含み、前記混合部に収容されたシリカゾル前駆体は、前記噴射装置に供給されることができる。
【0013】
前記(c)ステップにおける噴射装置は、前記ブランケットの表面にシリカゾル前駆体を噴射する噴射部と、前記噴射部を前記ブランケットの表面の一側から他側まで移動させる移動部と、を含むことができる。
【0014】
前記(c)ステップにおける噴射装置は、前記ブランケットの表面に噴射されたシリカゾル前駆体の厚さを均一に調節するスクレーパを含むことができる。
【0015】
前記(c)ステップの後に、(d)シリカゾル前駆体がゲル化したブランケットをエージングするステップをさらに含むことができる。
【0016】
前記(d)ステップにおいて、シリカゾル前駆体がゲル化したブランケットを70℃の高温で50分間エージングすることができる。
【0017】
前記(d)ステップにおいて、シリカゾル前駆体がゲル化したブランケットを常温で10分間放置してエージングを行うことができる。
【0018】
前記(d)ステップの後に、(e)エージングされたブランケットにコーティング液を投入して表面を改質するステップをさらに含むことができる。
【0019】
前記(e)ステップにおいて、コーティング液は、エタノールとアンモニア水(NH4OH)を混合して製造することができる。
【0020】
前記(e)ステップにおいて、前記コーティング液を、前記ブランケット(blanket)の表面に含浸されたシリカゾルの1.6倍の量で投入し、70℃の高温で1時間エージングしてHMDS(Hexamethyldisilazane)を用いて表面を改質することができる。
【0021】
前記(e)ステップの後に、(f)表面が改質されたブランケットを乾燥するステップをさらに含むことができる。
【0022】
前記(f)ステップは、表面改質されたブランケットを、28℃および70barの環境で二酸化炭素を10分間70L/minの速度で注入して乾燥する一次乾燥ステップと、1時間20分間50℃に昇温させて乾燥する二次乾燥ステップと、さらに50℃および150barの環境で二酸化炭素を20分間0.7L/minの速度で注入して乾燥する三次乾燥ステップと、20分間休止した後、二酸化炭素を20分間0.7L/minの速度で注入して乾燥する四次乾燥ステップと、を含むことができる。
【0023】
前記(f)ステップにおける三次乾燥は、二酸化炭素を注入する間に、表面改質されたブランケットから発生したエタノールを回収することができる。
【0024】
前記(f)ステップは、四次乾燥の後に、二酸化炭素を2時間排出する排出ステップをさらに含むことができる。
【0025】
前記(d)、(e)、および(f)ステップは、ブランケットを収容する反応容器内で行うことができる。
【0026】
一方、上記のような方法を有するエアロゲルシートの製造方法を行うための製造機は、板状のブランケットが積載される貯蔵容器、前記貯蔵容器に積載されたブランケットを吸着して搬送する搬送部、および前記搬送部により搬送されたブランケットが挿入される固定容器を含む準備装置と、
シリカゾルが収容されるシリカゾル収容部、ゲル化用触媒が収容される触媒収容部、およびシリカゾル収容部のシリカゾルと触媒収容部のゲル化用触媒が流入され混合されながらシリカゾル前駆体が製造される混合部を含む混合装置と、
前記固定容器に挿入されたブランケットの表面に、前記混合部から供給されたシリカゾル前駆体を噴射する噴射部、および前記噴射部をブランケットの表面の一側から他側に移動させる移動部を含む噴射装置と、
前記混合物がゲル化したブランケットを収容し、収容したブランケットをエージングするか、コーティング液を投入して表面改質するか、高温で乾燥する反応容器と、を含むことができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明は、下記のような効果を奏する。
【0028】
第一に、本発明は、エアロゲルシートの製造方法を用いることで、断熱性および耐久性に優れたエアロゲルシートを製造することができる。
【0029】
第二に、本発明によるエアロゲルシートの製造方法では、TEOS(tetraethyl orthosilicate)とエタノールを混合することで、高品質のシリカゾルを製造することができる。
【0030】
第三に、本発明によるエアロゲルシートの製造方法では、加水分解されたTEOSを用いることで、高品質のシリカゾルを得ることができる。
【0031】
第四に、本発明によるエアロゲルシートの製造方法では、エタノールとアンモニア水(NH4OH)を混合することで、高品質のゲル化用触媒を製造することができる。
【0032】
第五に、本発明によるエアロゲルシートの製造方法では、噴射装置がブランケットの表面の一側から他側まで移動しながらエアロゲル前駆体を噴射することで、安定した含浸力とゲル化を誘導することができる。
【0033】
第六に、本発明によるエアロゲルシートの製造方法では、噴射装置がスクレーパを含むことで、シリカゾル前駆体の厚さを均一に調節することができる。
【0034】
第七に、本発明によるエアロゲルシートの製造方法では、シリカゾルがゲル化したブランケットをエージングし、表面改質してから乾燥することで、高品質のエアロゲルシートを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】本発明によるエアロゲルシートの製造方法を示したフローチャートである。
図2】本発明によるエアロゲルシートの製造機を示した図である。
図3】本発明によるエアロゲルシートの製造機に含まれた反応容器を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者が容易に実施できるように、添付図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。しかし、本発明は様々な他の形態に実現可能であり、ここで説明する実施形態に限定されない。そして、図面において、本発明を明確に説明するために、説明と関係のない部分は省略しており、明細書全体にわたって類似の部分には類似の図面符号を付す。
【0037】
本発明によるエアロゲルシートの製造機100は、図2に示されているように、ブランケット10を準備する準備装置110と、シリカゾル20とゲル化用触媒30を混合してシリカゾル前駆体を製造する混合装置120と、混合装置120によって混合されたシリカゾル前駆体を、準備装置110に準備されたブランケット10の表面に噴射してゲル化させる噴射装置130と、シリカゾル前駆体がゲル化したブランケット10をエージングするか、コーティング液を投入して表面改質するか、高温で乾燥する反応容器140と、を含む。
【0038】
準備装置110は、板状のブランケット10を準備するためのものであって、所定のサイズに切断された板状のブランケット10が上下方向に積載される貯蔵容器111と、貯蔵容器111に積載されたブランケット10のうち最上端に積載されたブランケット10を吸着して外部に搬送する搬送部112と、搬送部112によって搬送されたブランケット10が挿入されるように、上部に開放された挿入溝が形成されている固定容器113と、を含む。
【0039】
貯蔵容器111は上部に開放されており、ブランケット10が上下方向に積載される積載空間を有する。ここで、貯蔵容器111は、積載空間に積載されたブランケット10のうち最上端に積載されたブランケット10の高さを一定に維持させるための昇降部材を含んでもよい。
【0040】
搬送部112は、貯蔵容器111に積載されたブランケット10のうち最上端のブランケット10を吸着して貯蔵容器111の外に持ち上げる吸着片と、吸着片を固定容器113まで移動させる移動レールと、を含み、前記吸着片は、固定容器113の上面に位置されると、吸着したブランケット10を落下させて固定容器113の上面に載置させる。
【0041】
ここで、搬送部112は、ブランケット10の表面に噴射されたシリカゾル前駆体のゲル化が完了されると、前記ゲル化が完了されたブランケット10を吸着して反応容器140まで搬送することができる。これにより、作業の連続性を得ることができる。ゲル化が完了されたブランケット10を別の搬送部を用いて吸着して反応容器140まで搬送してもよいことはいうまでもない。
【0042】
固定容器113には、ブランケット10が挿入されるように上面に挿入溝が形成されており、挿入溝は、ブランケット10に噴射される混合物が漏れないように密閉された構造を有する。
【0043】
混合装置120は、シリカゾル20が収容されるシリカゾル収容部121と、ゲル化用触媒が収容される触媒収容部122と、シリカゾル収容部121のシリカゾル20と触媒収容部122のゲル化用触媒30が流入され混合されながらシリカゾル前駆体が製造される混合部123と、からなる。
【0044】
ここで、混合部123とシリカゾル収容部121を連結する連結ライン、または混合部123と触媒収容部122を連結する連結ラインには、調節弁124がそれぞれ備えられており、調節弁124は、混合部123に流入されるシリカゾル20またはゲル化用触媒30の流入量を調節することができる。
【0045】
そして、混合部123の内部には、シリカゾル20とゲル化用触媒30の混合力を高めるために撹拌翼が含まれることができる。
【0046】
噴射装置130は、混合部123から供給されたシリカゾル前駆体をブランケット10の表面に噴射する噴射部131と、噴射部131をブランケット10の上面の一側から他側に移動可能であるようにブランケット10の上部に固定する移動部132と、からなる。
【0047】
すなわち、噴射装置130は、移動部132によって噴射部131がブランケット10の表面の一側から他側に移動しながらシリカゾル前駆体を噴射する。これにより、ブランケット10の表面にシリカゾル前駆体を均一に噴射することができる。
【0048】
この際、噴射装置130は、ブランケット10の表面に噴射されたシリカゾル前駆体の厚さをより高精度に調節するスクレーパ133をさらに含む。すなわち、スクレーパ133は、固定容器113の上面に一側から他側に移動可能に設けられる。すなわち、スクレーパ133は、固定容器113の一側から他側に移動しながら、固定容器113に挿入されたブランケット10の表面の混合物において所定高さ以上のシリカゾル前駆体を掻き取って除去する。これにより、シリカゾル前駆体の高さをさらに高精度且つ均一に調節することができる。
【0049】
反応容器140は、図3に示されているように、シリカゾル前駆体がゲル化したブランケット10を密閉されるように収容する収容空間141を有し、一端に収容空間141に物体を注入する注入口142が形成され、他端に収容空間141の物体を排出する排出口143が形成される。
【0050】
すなわち、反応容器140は、注入口142を介して収容空間141にコーティング液を注入するか、二酸化炭素を注入し、排出口143を介して収容空間141に残っている二酸化炭素を排出する。
【0051】
このような構成を有する本発明によるエアロゲルシートの製造機を用いることで、断熱性および耐久性に優れたエアロゲルシートを得ることができる。
【0052】
以下、本発明によるエアロゲルシートの製造機を用いた製造方法を説明する。
【0053】
本発明によるエアロゲルシートの製造方法は、図1に示されているように、(a)板状のブランケットを準備するステップと、(b)シリカゾルとゲル化用触媒を混合してシリカゾル前駆体を製造するステップと、(c)前記ブランケットの表面に、前記(b)ステップで製造したシリカゾル前駆体を噴射装置を用いて噴射してゲル化させるステップと、(d)シリカゾル前駆体がゲル化したブランケットをエージングするステップと、(e)エージングされたブランケットにコーティング液を投入して表面を改質するステップと、(f)表面が改質されたブランケットを乾燥するステップと、を含む。
【0054】
(a)ブランケット準備ステップ
(a)ブランケット準備ステップでは、所定のサイズに切断された板状のブランケットを、準備装置110を用いてシリカゾル前駆体を噴射することができるように準備する。すなわち、(a)ブランケット準備ステップは、所定のサイズに切断された板状のブランケット10を貯蔵容器111に積載する積載ステップと、貯蔵容器111に積載された板状のブランケット10のうち最上端に配置されたブランケット10を搬送部112によって吸着し、固定容器113まで搬送する搬送ステップと、搬送部112によって搬送されたブランケット10を落下させて固定容器113の挿入溝に挿入する準備ステップと、を含む。
【0055】
(b)シリカゾル前駆体製造ステップ
(b)シリカゾル前駆体製造ステップでは、混合装置120を用いてシリカゾル20とゲル化用触媒30を混合することで、シリカゾル前駆体を製造する。
【0056】
ここで、シリカゾル20は、TEOS(tetraethly orthosilicate)とエタノールを混合して製造する。例えば、反応槽(不図示)にTEOS1.2kgとエタノール2.7kgを含ませてシリカゾルを製造する。一方、TEOSは水との反応性に優れた溶媒であって、加水分解されたものを用いる。これにより、反応性をさらに高めることができる。すなわち、加水分解されたTEOSとエタノールを混合することで、反応性に優れたシリカゾルを得ることができる。
【0057】
また、ゲル化用触媒30は、エタノールとアンモニア水(NH4OH)を混合して製造する。例えば、反応槽(不図示)でエタノール0.5kgとアンモニア水(NH4OH)30mlを混合してゲル化用触媒を製造する。
【0058】
このように製造されたシリカゾル20とゲル化用触媒30は、混合装置120のシリカゾル収容部121と触媒収容部122にそれぞれ注入して貯蔵する。シリカゾル収容部121と触媒収容部122にそれぞれ収容されたシリカゾル20とゲル化用触媒30が混合部123に流入され混合されながらシリカゾル前駆体が製造される。すなわち、混合部123にはシリカゾル前駆体が収容され、噴射装置130にシリカゾル前駆体が供給されながら、(c)シリカゾル前駆体ゲル化ステップが行われる。
【0059】
(c)シリカゾル前駆体ゲル化ステップ
(c)シリカゾル前駆体ゲル化ステップでは、噴射装置130を用いて、固定容器113に挿入されたブランケット10の表面にシリカゾル前駆体を噴射してゲル化させる。すなわち、(c)シリカゾル前駆体ゲル化ステップでは、ブランケット10の表面に噴射部131を用いてシリカゾル前駆体を噴射する。この際、噴射部131は、移動部132によってブランケット10の表面の一側から他側まで移動しながらシリカゾル前駆体を噴射してゲル化させる。
【0060】
一方、ブランケット10のゲル化が完了されると、(d)エージングステップ、(e)表面改質ステップ、および(f)乾燥ステップを経ることで、エアロゲルシートが完成される。この際、反応容器140を用いる。
【0061】
(d)ブランケットエージングステップ
(d)ブランケットエージングステップでは、混合物がゲル化したブランケット10をエージングする。すなわち、反応容器140の収容空間141にシリカゾル前駆体がゲル化したブランケット10を収容した後、反応容器140を70℃に加熱した状態で50分間エージングすることで、ブランケット10の組織を均一化させる。
【0062】
ここで、(d)ブランケットエージングステップでは、反応容器140でエージングする前に、常温(または25℃)で10分間放置することができる。これにより、シリカゾル前駆体の安定したゲル化を誘導してからエージングを行うことで、ブランケット10の組織をさらに均一化することができる。
【0063】
(e)ブランケット表面改質ステップ
(e)ブランケット表面改質ステップでは、エージングされたブランケット10にコーティング液を噴射して表面を改質する。すなわち、(e)ブランケット改質ステップでは、エタノールとアンモニア水(NH4OH)を混合してコーティング液を製造する。次に、ブランケット10が挿入されている反応容器140の注入口142を介してコーティング液を注入する。この際、コーティング液は、ブランケット(blanket)の表面に噴射されるシリカゾルの1.6倍の量で噴射し、反応容器140は70℃の高温で1時間エージングしてHMDS(Hexamethyldisilazane)を用いてブランケット10の表面を改質する。
【0064】
(f)ブランケット乾燥ステップ
(f)ブランケット乾燥ステップでは、表面が改質されたブランケットを乾燥してシリカゲルシートを完成する。この際、(f)ブランケット乾燥ステップでは、反応容器140にブランケットが収容された状態で、超臨界乾燥を行う。例えば、(f)ブランケット乾燥ステップは、表面改質されたブランケットを、28℃および70barの環境で二酸化炭素を10分間70L/minの速度で注入して乾燥する一次乾燥ステップと、1時間20分間50℃に昇温させて乾燥する二次乾燥ステップと、さらに50℃および150barの環境で二酸化炭素を20分間0.7L/minの速度で注入して乾燥する三次乾燥ステップと、20分間休止した後、二酸化炭素を20分間0.7L/minの速度で注入して乾燥する四次乾燥ステップと、を含む。これにより、ブランケット10の乾燥率を高めることができる。
【0065】
一方、(f)ブランケット乾燥ステップの三次乾燥では、二酸化炭素とブランケット10の化学反応によって反応容器140内にエタノールが発生し得る。この反応容器140に発生したエタノールは、排出口143を介して排出させて回収する。
【0066】
そして、(f)ブランケット乾燥ステップは、四次乾燥の後、二酸化炭素を2時間排出する排出ステップを含み、これにより、ブランケット10に緩やかな環境変化を誘導してブランケット10の組織を均一化する。(f)ステップが完了されると、断熱性および耐久性に優れたエアロゲルシートを得ることができる。
【0067】
本発明の範囲は、上記の詳細な説明よりは、後述の特許請求の範囲により明らかになり、特許請求の範囲の意味および範囲、そしてその均等概念から導出される様々な実施形態が可能である。
図1
図2
図3