(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-03
(45)【発行日】2022-03-11
(54)【発明の名称】吸収性物品
(51)【国際特許分類】
A61F 13/51 20060101AFI20220304BHJP
A61F 13/475 20060101ALI20220304BHJP
A61F 13/494 20060101ALI20220304BHJP
A61F 13/532 20060101ALI20220304BHJP
A61F 13/533 20060101ALI20220304BHJP
【FI】
A61F13/51 100
A61F13/475
A61F13/494 130
A61F13/532 200
A61F13/533 100
(21)【出願番号】P 2020115778
(22)【出願日】2020-07-03
【審査請求日】2022-01-06
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000115108
【氏名又は名称】ユニ・チャーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100139022
【氏名又は名称】小野田 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100192463
【氏名又は名称】奥野 剛規
(74)【代理人】
【識別番号】100169328
【氏名又は名称】藤本 健治
(72)【発明者】
【氏名】石川 青
(72)【発明者】
【氏名】黒田 賢一郎
【審査官】▲桑▼原 恭雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-198618(JP,A)
【文献】国際公開第2017/187778(WO,A1)
【文献】特開2017-217(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 13/51
A61F 13/475
A61F 13/494
A61F 13/532
A61F 13/533
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向、幅方向及び厚さ方向を有し、表面シートと、吸収体と、前記表面シートと前記吸収体との間に位置する補助シートと、を備える吸収性物品であって、
前記幅方向において、前記補助シートの長さは、前記表面シートの長さよりも大きく、前記補助シートの両端部の各々は、前記表面シートの両端縁の各々の外側に延出しており、
前記表面シートは、
前記幅方向の中央部に位置する中央領域と、
前記幅方向の両端部に位置し、前記中央領域の前記幅方向の両外側に隣接する一対の端部領域と、
を含み、
前記一対の端部領域の各々における前記厚さ方向の長さは、前記中央領域の前記厚さ方向の長さよりも大きい、
前記一対の端部領域の各々における繊維密度は前記中央領域における繊維密度よりも低い、
吸収性物品。
【請求項2】
長手方向、幅方向及び厚さ方向を有し、表面シートと、吸収体と、前記表面シートと前記吸収体との間に位置する補助シートと、を備える吸収性物品であって、
前記幅方向において、前記補助シートの長さは、前記表面シートの長さよりも大きく、前記補助シートの両端部の各々は、前記表面シートの両端縁の各々の外側に延出しており、
前記表面シートは、
前記幅方向の中央部に位置する中央領域と、
前記幅方向の両端部に位置し、前記中央領域の前記幅方向の両外側に隣接する一対の端部領域と、
を含み、
前記一対の端部領域の各々における前記厚さ方向の長さは、前記中央領域の前記厚さ方向の長さよりも大きく、
前記一対の端部領域の各々における肌側の繊維密度は、非肌側の繊維密度よりも高い
、
吸収性物品。
【請求項3】
長手方向、幅方向及び厚さ方向を有し、表面シートと、吸収体と、前記表面シートと前記吸収体との間に位置する補助シートと、を備える吸収性物品であって、
前記幅方向において、前記補助シートの長さは、前記表面シートの長さよりも大きく、前記補助シートの両端部の各々は、前記表面シートの両端縁の各々の外側に延出しており、
前記表面シートは、
前記幅方向の中央部に位置する中央領域と、
前記幅方向の両端部に位置し、前記中央領域の前記幅方向の両外側に隣接する一対の端部領域と、
を含み、
前記一対の端部領域の各々における前記厚さ方向の長さは、前記中央領域の前記厚さ方向の長さよりも大きく、
前記一対の端部領域の各々は前記補助シートに非接合であり、
前記表面シート、前記補助シート及び前記吸収体を圧搾して、前記一対の端部領域における前記幅方向の外側の端縁を跨ぐように形成された一対の端部圧搾部を更に備える
、
吸収性物品。
【請求項4】
前記吸収体の前記幅方向の長さは、前記表面シートの前記幅方向の長さよりも小さく、
平面視で、前記一対の端部領域の各々は、前記吸収体の前記幅方向の両外側に位置する、
請求項
3に記載の吸収性物品。
【請求項5】
長手方向、幅方向及び厚さ方向を有し、表面シートと、吸収体と、前記表面シートと前記吸収体との間に位置する補助シートと、を備える吸収性物品であって、
前記幅方向において、前記補助シートの長さは、前記表面シートの長さよりも大きく、前記補助シートの両端部の各々は、前記表面シートの両端縁の各々の外側に延出しており、
前記表面シートは、
前記幅方向の中央部に位置する中央領域と、
前記幅方向の両端部に位置し、前記中央領域の前記幅方向の両外側に隣接する一対の端部領域と、
を含み、
前記一対の端部領域の各々における前記厚さ方向の長さは、前記中央領域の前記厚さ方向の長さよりも大きく、
平面視で、前記幅方向における前記一対の端部領域の外側に、前記補助シートのみを圧搾して形成された一対の補助圧搾部を更に備える
、
吸収性物品。
【請求項6】
長手方向、幅方向及び厚さ方向を有し、表面シートと、吸収体と、前記表面シートと前記吸収体との間に位置する補助シートと、を備える吸収性物品であって、
前記幅方向において、前記補助シートの長さは、前記表面シートの長さよりも大きく、前記補助シートの両端部の各々は、前記表面シートの両端縁の各々の外側に延出しており、
前記表面シートは、
前記幅方向の中央部に位置する中央領域と、
前記幅方向の両端部に位置し、前記中央領域の前記幅方向の両外側に隣接する一対の端部領域と、
を含み、
前記一対の端部領域の各々における前記厚さ方向の長さは、前記中央領域の前記厚さ方向の長さよりも大きく、
前記表面シートの質量密度は、前記補助シートの質量密度よりも低い
、
吸収性物品。
【請求項7】
前記表面シート、前記補助シート及び前記吸収体を圧搾して形成され、前記長手方向に沿って延び、前記幅方向に間隔を空けて並んだ一対の圧搾部を更に備え、
前記一対の端部領域の各々における前記幅方向の外側の端縁は、前記一対の圧縮部の各々における前記幅方向の外側に位置する、
請求項1乃至
6のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項8】
前記一対の端部領域の各々は前記補助シートに非接合である、
請求項1乃至
7のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項9】
平面視で、前記幅方向において、前記表面シートの端縁より外側の部分を介して見る方が、前記表面シートの中央部を介して見るよりも、前記吸収体の色を確認し易い、
請求項1乃至
8のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項10】
前記補助シートの前記幅方向の両端部に接合され、前記長手方向に沿って延びる一対のサイドシートを更に備え、
平面視で、前記幅方向の中央部と、前記幅方向の両端部との間に、剛性の低い一対の低剛性部を有する、
請求項1乃至
9のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
排泄される体液(例示:経血)を漏れ難くする吸収性物品が知られている。例えば、特許文献1には、体液の保持性を高めることが可能な吸収性物品が開示されている。この吸収性物品は、表面シートの肌当接面側に、液透過性の上層シートを備える。上層シートは、幅方向の中央部において、長手方向に沿って配置されており、排泄口当接領域を含む中央領域を有する。吸収性物品は、表面シート及び上層シートを厚み方向に圧縮した上層圧搾部と、表面シート及び吸収体を厚み方向に圧縮した吸収体圧搾部と、を有する。吸収体圧搾部は、上層シートよりも幅方向外側において、長手方向に沿って形成された長手方向圧搾部を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の吸収性物品では、上層シートの幅方向の両端部は表面シートと非接合であり、上層シートの幅方向の両端部の厚さはその中央部の厚さと同じか又はそれよりも薄い。それゆえ、上層シートの幅方向の両端部は、その中央部よりも、上層シートの構成繊維間の空隙で保持し得る体液の量が少ない。その結果、吸収性物品の使用時において、体液の量が多い場合には、幅方向において、上層シートの中央部から端部へ拡散した体液が、上層シートに溜まらずに、端部からオーバーフローするおそれがある。言い換えると、上層シートの幅方向の長さは長手方向の長さと比較して小さいため、体液の長手方向の両側への拡散が十分に進む前に、体液の幅方向の端部への拡散が進んでしまい、体液が幅方向の端部から外側に漏れるおそれがある。また、保水性の高い上層シートが表面シートよりも肌側に位置するため、体液を保持した上層シートが排泄口に当接すると、肌触りが良くなくなるおそれがある。
【0005】
本発明の目的は、体液の量が多い場合でも、体液の幅方向の端部からの漏れ、すなわち、横漏れを抑制しつつ、肌触りも改善し得る吸収性物品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の吸収性物品は次のとおりである。(1)長手方向、幅方向及び厚さ方向を有し、表面シートと、吸収体と、前記表面シートと前記吸収体との間に位置する補助シートと、を備える吸収性物品であって、前記幅方向において、前記補助シートの長さは、前記表面シートの長さよりも大きく、前記補助シートの両端部の各々は、前記表面シートの両端縁の各々の外側に延出しており、前記表面シートは、前記幅方向の中央部に位置する中央領域と、前記幅方向の両端部に位置し、前記中央領域の前記幅方向の両外側に隣接する一対の端部領域と、を含み、前記一対の端部領域の各々における前記厚さ方向の長さは、前記中央領域の前記厚さ方向の長さよりも大きい、吸収性物品。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、体液の量が多い場合でも、体液の幅方向の端部からの漏れ、すなわち、横漏れを抑制しつつ、肌触りも改善し得る吸収性物品を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態に係る吸収性物品の構成例を示す平面図である。
【
図3】実施形態に係る吸収性物品の他の構成例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本実施形態は、以下の態様に関する。
[態様1]
長手方向、幅方向及び厚さ方向を有し、表面シートと、吸収体と、前記表面シートと前記吸収体との間に位置する補助シートと、を備える吸収性物品であって、前記幅方向において、前記補助シートの長さは、前記表面シートの長さよりも大きく、前記補助シートの両端部の各々は、前記表面シートの両端縁の各々の外側に延出しており、前記表面シートは、前記幅方向の中央部に位置する中央領域と、前記幅方向の両端部に位置し、前記中央領域の前記幅方向の両外側に隣接する一対の端部領域と、を含み、前記一対の端部領域の各々における前記厚さ方向の長さは、前記中央領域の前記厚さ方向の長さよりも大きい、吸収性物品。
【0010】
本吸収性物品では、表面シートは、幅方向において、一対の端部領域の各々における厚さが中央領域における厚さよりも大きくなるように形成されている。すなわち、表面シートでは、幅方向における両端部の厚みは、中央部の厚みよりも大きい。それゆえ、表面シートの幅方向の両端部は、その中央部よりも、表面シートの構成繊維間の空隙で保持し得る体液の量が多くなると共に、肌側に向かって突出する堤のように機能できる。その結果、吸収性物品の使用時において、体液(例示:経血)の量が多い場合でも、表面シートの中央部から端部へ、表面シートの内部又は表面を通って拡散した体液を、表面シートの端部に溜まらせ易くすることができ、端部よりも外側に漏れ出すことを抑制できる。また、表面シートにおける幅方向の両端部が厚く、中央部が薄いいため、中央部の排泄口への当たりを弱くすることができ、肌触りを改善できる。このように、本吸収性物品では、体液の量が多い場合でも体液の横漏れを抑制できると共に、肌触りを改善できる。
【0011】
[態様2]
前記一対の端部領域の各々における繊維密度は前記中央領域における繊維密度よりも低い、態様1に記載の吸収性物品。
本吸収性物品では、表面シートは、一対の端部領域の各々における繊維密度が中央領域における繊維密度よりも低くなるように形成されている。すなわち、表面シートでは、幅方向における両端部の繊維密度は、中央部の繊維密度よりも低い。そのため、多量の体液が幅方向に表面シートの内部を毛細管現象で流れてきたとしても、端部の繊維密度が相対的に低いので、体液を端部に拡がり難くすることができる。また、表面シートの幅方向の両端部の繊維密度が相対的に低いため、柔らかな感触を付与できる。このように、本吸収性物品では、体液の量が多い場合でも体液の横漏れをより抑制できると共に、肌触りをより改善できる。
【0012】
[態様3]
前記一対の端部領域の各々における肌側の繊維密度は、非肌側の繊維密度よりも高い、態様1又は2に記載の吸収性物品。
本吸収性物品では、表面シートは、一対の端部領域の各々における肌側の繊維密度が非肌側の繊維密度よりも高くなるように形成されている。すなわち、表面シートでは、幅方向における両端部の肌側の繊維密度は、非肌側の繊維密度よりも高い。そのため、表面シートの中央部から端部へ拡散した体液を、その端部の非肌面側へ移行し難くすることができ、端部の厚さ方向の下側に位置する補助シートの表面へ移行し難くできる。それにより、端部へ到達した体液が端部に留まり、幅方向へ移行し難くでき、よって、他の体液が中央部から厚さ方向の下方へ、すなわち、吸収体へ移行し易くできる。このように、本吸収性物品では、体液の量が多い場合でも体液の幅方向への移動を制限でき、横漏れをより抑制できる。
【0013】
[態様4]
前記表面シート、前記補助シート及び前記吸収体を圧搾して形成され、前記長手方向に沿って延び、前記幅方向に間隔を空けて並んだ一対の圧搾部を更に備え、前記一対の端部領域の各々における前記幅方向の外側の端縁は、前記一対の圧縮部の各々における前記幅方向の外側に位置する、態様1乃至3のいずれか一項に記載の吸収性物品。
本吸収性物品では、一対の端部領域の各々における幅方向の外側の端縁は、一対の圧縮部の各々における幅方向の外側に位置している。それにより、吸収性物品の使用時に、吸収性物品における一対の圧縮部よりも外側の部分が、一対の圧縮部を起点として肌側に変形し、それに伴い表面シートにおける一対の圧縮部よりも外側の一対の端部領域の部分も同様に肌側に変形する。すなわち、表面シートにおける幅方向の両端部が肌側に変形する。そのため、表面シートにおける幅方向の両端部を肌側に向かって突出する堤のように機能させることができ、それにより、表面シートの中央部から端部へ拡散した体液を、表面シートの端部に溜まらせ易くでき、端部よりも外側に漏れ出すことを抑制できる。
【0014】
[態様5]
前記一対の端部領域の各々は前記補助シートに非接合である、態様1乃至4のいずれか一項に記載の吸収性物品。
本吸収性物品では、表面シートは、一対の端部領域の各々が補助シートに非接合であるように形成されている。すなわち、表面シートでは、幅方向における両端部は補助シートに接合されていない。そのため、表面シートの中央部から端部へ拡散した体液を、その端部よりも幅方向の外側に位置する補助シートへ移行し難くすることができる。また、表面シートの幅方向の両端部が他の資材に接合されず自由度が高いため、両端部での肌面に対する追従性を高めることができる。このように、本吸収性物品では、体液の量が多い場合でも体液の横漏れをより抑制できると共に、肌触りをより改善できる。
【0015】
[態様6]
前記吸収体の前記幅方向の長さは、前記表面シートの前記幅方向の長さよりも小さく、平面視で、前記一対の端部領域の各々は、前記吸収体の前記幅方向の両外側に位置する、態様5に記載の吸収性物品。
本吸収性物品は、幅方向において、吸収体の長さは表面シートの長さよりも小さく、平面視で、一対の端部領域は、吸収体の両外側に位置している。そのため、吸収性物品の使用時に、吸収性物品が両大腿に挟まれて、幅方向の内側に向かう力が吸収体に加わったとき、吸収体の外側の部分に位置する非接合の一対の端部領域は肌側に向かって立ち上がり易くなる。すなわち、表面シートにおける幅方向の両端部を相対的に肌側に起立させることができる。それにより、表面シートの幅方向の端部へ向かう体液の量を削減できる。よって、本吸収性物品では、体液の量が多い場合でも体液の横漏れをより抑制できる。
【0016】
[態様7]
前記表面シート、前記補助シート及び前記吸収体を圧搾して、前記一対の端部領域における前記幅方向の外側の端縁を跨ぐように形成された一対の端部圧搾部を更に備える、態様5又は6に記載の吸収性物品。
本吸収性物品は、一対の端部領域の各々における幅方向の外側の端縁を跨ぐように形成された一対の端部圧搾部を備えている。すなわち、表面シートにおける幅方向の外側の端縁を跨ぐように端部圧搾部が形成されている。そのため、吸収性物品の使用時に、表面シートの中央部から拡散した体液が端部に到達したとき、その体液の一部を、端部圧搾部を介して、表面シート及び補助シートの下方の吸収体に引き込むことができる。それにより、表面シートにおける幅方向の端部の体液や端部から外側に移行しつつある体液がより外側に移行することを抑制できる。よって、本吸収性物品では、体液の量が多い場合でも体液の横漏れをより抑制できる。
【0017】
[態様8]
平面視で、前記幅方向における前記一対の端部領域の外側に、前記補助シートのみを圧搾して形成された一対の補助圧搾部を更に備える、態様1乃至7のいずれか一項に記載の吸収性物品。
本吸収性物品は、幅方向において、一対の端部領域の外側に補助シートのみを圧搾する一対の補助圧搾部を更に備えている。すなわち、幅方向において、表面シートの外側の端縁よりも外側の補助シートに、補助圧搾部が形成されている。そのため、吸収性物品の使用時に、表面シートの中央部から拡散した体液が端部から外側に漏れ出したとしても、その体液を、補助圧搾部を介して、補助シートの下方の吸収体に引き込むことができる。よって、本吸収性物品では、体液の量が多い場合でも体液の横漏れをより抑制できる。
【0018】
[態様9]
前記表面シートの質量密度は、前記補助シートの質量密度よりも低い、態様1乃至8のいずれか一項に記載の吸収性物品。
本吸収性物品では、表面シートの質量密度が補助シートの質量密度よりも低くなっている。そのため、吸収性物品の使用時に、体液の量が多い場合でも、質量密度の低い表面シートから質量密度の高い補助シートへ向かって厚さ方向に体液を容易に移行できる。それにより、表面シートにおける幅方向の端部へ向かって移行する体液の量を削減できる。よって、本吸収性物品では、体液の量が多い場合でも体液の横漏れをより抑制できる。
【0019】
[態様10]
平面視で、前記幅方向において、前記表面シートの端縁より外側の部分を介して見る方が、前記表面シートの中央部を介して見るよりも、前記吸収体の色を確認し易い、態様1乃至9のいずれか一項に記載の吸収性物品。
本吸収性物品では、平面視で、表面シートの端縁より外側の部分を介して見る方が、表面シートの中央部を介して見るよりも吸収体の色(体液を吸収したときの吸収体の色を含む)を確認し易くなっている。すなわち、表面シートより外側の部分(補助シート)を介して見る吸収体の色は、表面シートの中央部(表面シートと補助シート)を介して見る吸収体の色よりも、実際の吸収体の色に近い。ここで、平面視で、吸収体の幅方向の端部の位置は、表面シートより外側の部分の位置と概ね同じである。したがって、表面シートより外側の部分で視認される吸収体の色を確認することで、吸収体の幅方向の端部まで体液を吸収したか否かを確認できる。それにより、吸収体の幅方向の端部まで体液を吸収して、吸収性物品の交換のタイミングが来たにもかかわらず、それに気づかなかったために、体液が吸収体に吸収しきらずに横漏れしてしまった、という事態を回避できる。
【0020】
[態様11]
前記補助シートの前記幅方向の両端部に接合され、前記長手方向に沿って延びる一対のサイドシートを更に備え、平面視で、前記幅方向の中央部と、前記幅方向の両端部との間に、剛性の低い一対の低剛性部を有する、態様1乃至10のいずれか一項に記載の吸収性物品。
本吸収性物品は、平面視で、幅方向の中央部(表面シート、補助シート及び吸収体)と、幅方向の両端部(サイドシート、補助シート及び吸収体)との間に、剛性の低い一対の低剛性部(補助シート及び吸収体)を有している。そのため、吸収性物品の使用時に、一対の低剛性部を起点として、吸収性物品を長手方向から見て略W字型に変形させ易くできる。すなわち、吸収性物品における幅方向の両端部を相対的に肌側に起立させることができる。それにより、表面シートの幅方向の端部へ向かう体液の量を削減できる。よって、本吸収性物品では、体液の量が多い場合でも体液の横漏れをより抑制できる。
【0021】
以下、本発明の吸収性物品の実施形態について説明する。
【0022】
実施形態に係る吸収性物品について生理用ナプキンを例に説明する。ただし本発明の吸収性物品の種類及び用途はその例に限定されるものではなく、本発明の主題の範囲を逸脱しない限り、他の吸収性物品に対しても適用可能である。他の吸収性物品としては、例えばパンティライナー、軽失禁パッド、使い捨ておむつが挙げられる。
【0023】
図1~
図2は実施形態に係る吸収性物品1の構成例を示す図である。
図1は吸収性物品1を展開した状態を示す平面図であり、
図2は
図1のII-II線に沿った断面図である。吸収性物品1は、互いに直交する長手方向L、幅方向W及び厚さ方向Tを有する。
図1に描かれた吸収性物品1では、図の上側及び下側をそれぞれ長手方向Lの前側及び後側とし、左側及び右側をそれぞれ幅方向Wの左側及び右側とし、紙面に対して手前側及び奥側をそれぞれ厚さ方向Tの上側及び下側とする。吸収性物品1は、幅方向Wの中心を通り長手方向Lに延びる長手方向中心線C
L(仮想線)と、長手方向Lの中心を通り幅方向Wに延びる幅方向中心線C
W(仮想線)とを有する。長手方向中心線C
Lに向かう向き及び側をそれぞれ幅方向Wの内向き及び内側とし、遠ざかる向き及び側をそれぞれ幅方向Wの外向き及び外側とする。一方、幅方向中心線C
Wに向かう向き及び側をそれぞれ長手方向Lの内向き及び内側とし、遠ざかる向き及び側をそれぞれ長手方向Lの外向き及び外側とする。長手方向L及び幅方向Wを含む平面上に置いた吸収性物品1を厚さ方向Tの上側から見ることを平面視といい、平面視で把握される形状を平面形状という。長手方向L及び幅方向Wを含む平面内の任意の方向を平面方向という。装着者が吸収性物品1を装着したとき、厚さ方向Tにて相対的に装着者の肌面に近い側及び遠い側となる側をそれぞれ肌側及び非肌側という。これら定義は、吸収性物品1の各資材にも共通に用いられる。
【0024】
本実施形態では、吸収性物品1(ウイング部を除く)は、平面視にて、長手方向Lに長く幅方向Wに短い略矩形の形状で、長手方向Lの両端辺は略半円形の形状を有する。なお、吸収性物品1の形状は、長手方向Lに長く幅方向Wに短ければ特に制限されず、例えば、角丸長方形、楕円形、瓢箪型、及び砂時計型が挙げられる。吸収性物品1は、略矩形の形状の部分から幅方向Wの両外側に延出する一対のウイング部9を備える。ウイング部9は略台形の形状を有する。ただし、その形状は例えば半円形や半楕円形でもよい。
【0025】
吸収性物品1は、表面シート2と、補助シート5と、吸収体4と、を備え、本実施形態では、裏面シート3と、着衣固定部7とを更に備える。表面シート2は、液透過性のシートであり、本実施形態では吸収性物品1の肌側の表面を構成する。補助シート5は、液透過性のシートであり、本実施形態では表面シート2の非肌側に積層される。吸収体4は、液吸収性及び液保持性の材料であり、表面シート2(及び補助シート5)と裏面シート3との間に位置する。裏面シート3は、液不透過性のシートであり、本実施形態では吸収性物品1の非肌側の表面を構成する。着衣固定部7は、吸収性物品1を下着の肌側面に接着する粘着剤であり、本実施形態では裏面シート3の非肌側の表面に位置する。したがって、吸収性物品1では、表面シート2と補助シート5と吸収体4と裏面シート3と着衣固定部7とが厚さ方向Tにこの順に積層される。なお、吸収性物品1は、裏面シート3の非肌側に外装シートを更に備えてもよい。
【0026】
本実施形態では、吸収性物品1は、一対のサイドシート6と、一対の着衣固定部8と、を更に備える。一対のサイドシート6は、親水性又は撥水性のシートであり、本実施形態では補助シート5における幅方向Wの両側に位置する。一対のサイドシート6は、幅方向Wの内側に、長手方向Lに沿って延びる一対の防漏壁16を含んでいる。一対の防漏壁16(FA)の各々は、幅方向Wの外側の端部を固定端16E1とされ、補助シート5と接合し、内側の端部を自由端16E2とされ、部材と非接合しない。防漏壁16は、自由端16E2に、長手方向Lに沿って延びる弾性部材を有してもよい。幅方向Wにおいて、表面シート2の幅方向Wの端縁2Eは、幅方向Wに対向する防漏壁16の固定端16E1及び自由端16E2から離間しており、したがって、平面視で、表面シート2と一対の防漏壁16との間に補助シート5が露出している。一対の着衣固定部8は、一対のウイング部9を下着の非肌側面に接着する粘着剤であり、本実施形態では一対のウイング部9における裏面シート3の非肌側の表面に位置する。
【0027】
本実施形態では、表面シート2は、長手方向Lに長く幅方向Wに短い略矩形の形状で、長手方向Lの両端辺が略半円形の形状を有する。表面シート2は、保水性繊維を含む第1繊維層2aと、保水性繊維及び疎水性繊維を含む第2繊維層2bと、を備える。第1繊維層2aの肌側の表面は、表面シート2の肌側の表面を構成し、非肌側の表面は、第2繊維層2bの肌側の表面に接する。第2繊維層2bの非肌側の表面は、表面シート2の非肌側の表面を構成する。なお、表面シート2は、第1繊維層2a及び第2繊維層2bのいずれか一層でもよく、他の繊維層を更に備える三層でもよい。また、第1繊維層2a及び第2繊維層2bの各々の構成繊維の種類は、表面シート2が液透過性シートになれば、上記の例に限定されない。
【0028】
補助シート5は、長手方向Lに長く幅方向Wに短い略矩形の形状で、長手方向Lの両端辺が略半円形の形状を有する。補助シート5は、表面シート2と比較して幅方向Wにやや大きい形状を有する。したがって、補助シート5の幅方向Wの長さ(幅)は、表面シート2の幅方向Wの長さ(幅)よりも大きい。そして、平面視で、補助シート5の幅方向Wの両端部の各々は、表面シート2の幅方向Wの両端縁2Eの各々の外側に延出している。したがって、補助シート5の幅方向Wの両端縁5Eの各々は、表面シート2の幅方向Wの両端縁2Eの外側に位置する。本実施形態では、補助シート5の幅方向Wの長さ(幅)は吸収体4の幅方向Wの長さ(幅)と概ね同じである。
【0029】
本実施形態では、表面シート2と補助シート5とは互いに接着剤(図示されず、例示:ホットメルト接着剤)で接合される。その接着剤は、長手方向Lに沿って延在し、幅方向Wに並んだ、複数の所定のパターンで表面シート2又は補助シート5に塗布される(図示されず)。所定のパターンとしては、例えばストライプ形状、オメガの繰り返し形状、波の繰り返し形状などが挙げられる。接着剤は、長手方向中心線CLに対して略線対称な領域に塗布される。
【0030】
表面シート2は、幅方向Wの中央部に位置する中央領域CAと、幅方向Wの両端部に位置し、中央領域CAの幅方向Wの両外側に隣接する一対の端部領域EAと、を含んでいる(区画される)。表面シート2における一対の端部領域EAの幅方向Wの範囲は、中央領域CAを除く残部である。本実施形態では、中央領域CAと一対の端部領域EAの各々とは、長手方向Lに沿って延びる仮想的な一対の境界線17の各々で区切られる。
【0031】
本実施形態では、中央領域CAは、上記の所定パターンで接着剤が塗布された領域であり、一対の端部領域EAは、中央領域CAの幅方向Wの両外側に隣接する接着剤を塗布されていない領域である。すなわち、中央領域CAは、補助シート5に接合された領域であり、一対の端部領域EAは、補助シート5に非接合な領域である。したがって、一対の境界線17の各々は、幅方向Wに接着剤が存在する領域の外縁を示している。このとき、一対の端部領域EAの各々は、幅方向Wの内側の端縁を中央領域CAの端縁に連結されて固定端とされ、幅方向Wの外側の端縁(長手方向Lの両端部を除く)をどの部材にも接合されていない自由端とされる。すなわち、一対の端部領域EAの各々は、自由端が厚さ方向Tに補助シート5に対して動き易くなるので、補助シート5との間に隙間Vを生じ得る構成であり、また、補助シート5から起立し得る構成である。なお、端部領域EAは、部分的に補助シート5やサイドシート6に接合されてもよい。
【0032】
更に、中央領域CAが第1繊維層2aと第2繊維層2bとが互いに接合された領域であり、一対の端部領域EAが第1繊維層2aと第2繊維層2bとが互いに非接合な領域であってもよい。その場合、一対の端部領域EAの各々は、第1繊維層2aと第2繊維層2bとが互いに相対的に動き易くなり、補助シート5からより起立し得る構成である。なお、一対の端部領域EAの各々は、第1繊維層2aと第2繊維層2bとが互いに接合されてもよい。
【0033】
本実施形態では、中央領域CA及び一対の端部領域EAはいずれも長手方向中心線CLに対して線対称である。幅方向Wにおいて、表面シート2における中央領域CAの範囲は、例えば、表面シート2の長さの80~96%の範囲が挙げられる。80%未満になると端部領域EAの幅方向Wの長さが長くなり、捲れ上がってしまうおそれがある。そうなると、その捲れ上がった部分に着用者が違和感を覚え易くなる。更に、その捲れ上がった部分の近傍の表面シート2と着用者の肌面との間に隙間が生じ、体液が着用者の肌面を伝って漏れ易くなる。96%を超えると、中央領域CAと補助シート5との接合で端部領域EAが補助シート5に対して密着され易くなり、動き難くなり、補助シート5から起立し難くなる。
【0034】
一対の端部領域EAの各々における厚さ方向Tの長さ(厚さ)d2は、中央領域CAの厚さ方向Tの長さ(厚さ)d1よりも大きい。それゆえ、一対の端部領域EAの各々は、中央領域CAよりも、表面シート2の構成繊維間の空隙で保持し得る体液の量が多くなると共に、肌側に向かって厚さ方向Tに突出する堤のように機能できる。
【0035】
本実施形態では、中央領域CAは、接着剤が塗布され、厚さ方向Tに拡散された状態で、補助シート5に押し付けられ、接合されている。そのため、中央領域CAの厚さは、接合前と比較して相対的に薄くなっている。一方、一対の端部領域EAの各々は、接着剤を塗布されない状態で、補助シート5上に配置されている。そのため、端部領域EAの厚さは、接合前とほとんど変わらない。それにより、端部領域EAの厚さ方向Tの長さ(厚さ)d2を、中央領域CAの厚さ方向Tの長さ(厚さ)d1よりも大きくできる。別の実施形態では、中央領域CAは、表面シート2のシート部材一層分で形成され、一対の端部領域EAの各々は、面シート2のシート部材が幅方向Wの内側に向かって厚さ方向Tの肌側又は非肌側に折り返されて形成されている。それにより、中央領域CAの厚さ方向Tの長さ(厚さ)d1は表面シート2のシート部材一層分の厚さとなり、一対の端部領域EAの各々の厚さ方向Tの長さ(厚さ)d2は表面シート2のシート部材二層分の厚さとなり、d1<d2となる。
【0036】
同様に、中央領域CAにおいて、第1繊維層2aと第2繊維層2bとの間に接着剤が塗布され、互いに接合されている場合には、中央領域CAの厚さは、接合前と比較して相対的に薄くなっている。一方、一対の端部領域EAの各々において、第1繊維層2aと第2繊維層2bとの間に接着剤が塗布されず、積層されている場合には、端部領域EAの厚さは、接合前とほとんど変わらない。したがって、これらの場合には、端部領域EAの厚さ方向Tの長さ(厚さ)d2を、中央領域CAの厚さ方向Tの長さ(厚さ)d1よりも、より大きくできる。
【0037】
なお、端部領域EAの厚さ方向Tの長さd2を、中央領域CAの厚さ方向Tの長さd1よりも大きくする方法は、上記の例に限定されない。その方法としては、例えば、一対の端部領域EAの各々と補助シート5との間に別の不織布シートを配置する方法や、一対の端部領域EAにおける第1繊維層2aと第2繊維層2bとの間に別の不織布シートを配置する方法などが挙げられる。
【0038】
本吸収性物品1では、表面シート2は、幅方向Wにおいて、一対の端部領域EAの各々における厚さが中央領域CAにおける厚さよりも大きくなるように形成されている。すなわち、表面シート2では、幅方向Wにおける両端部(端部領域EA)の厚みは、中央部(中央領域CA)の厚みよりも大きい。それゆえ、表面シート2の幅方向Wの両端部は、その中央部よりも、表面シート2の構成繊維間の空隙で保持し得る体液の量が多くなると共に、肌側に向かって突出する堤のように機能できる。その結果、吸収性物品1の使用時において、体液(例示:経血)の量が多い場合でも、表面シート2の中央部から端部へ、表面シート2の内部又は表面を通って拡散した体液を、表面シート2の端部に溜まらせ易くすることができ、端部よりも外側に漏れ出すことを抑制できる。また、表面シート2における幅方向Wの両端部が厚く、中央部が薄いいため、中央部の排泄口への当たりを弱くすることができ、肌触りを改善できる。このように、本吸収性物品1では、体液の量が多い場合でも体液の横漏れを抑制できると共に、肌触りを改善できる。
【0039】
本吸収性物品1では、表面シート2は、一対の端部領域EAの各々が補助シート5に非接合であるように形成されている。すなわち、表面シート2では、幅方向Wにおける両端部(端部領域EA)は補助シート5に接合されていない。そのため、表面シート2の中央部(中央領域CA)から端部へ拡散した体液を、その端部よりも幅方向Wの外側に位置する補助シート5へ移行し難くすることができる。更に、表面シート2の幅方向Wの両端部において、相対的に構成繊維間の空隙で保持し得る体液の量を多くできる。また、表面シート2の幅方向Wの両端部が他の資材に接合されず自由度が高いため、両端部での肌面に対する追従性を高めることができる。このように、本吸収性物品1では、体液の量が多い場合でも体液の横漏れをより抑制できると共に、肌触りをより改善できる。
【0040】
本実施形態では、一対の端部領域EAの各々における繊維密度は中央領域CAにおける繊維密度よりも低くなっている。そのため、中央領域CAから端部領域EAへ幅方向Wに拡散した体液を、端部領域EAより先に拡散し難くできる。本実施形態では、端部領域EAと中央領域CAとは同一の表面シート2の端部と中央部とであり、端部領域EAの長さ(厚さ)d2を中央領域CAの長さ(厚さ)d1よりも大きい。したがって、端部領域EAの繊維密度を中央領域CAの繊維密度よりも低くできる。
【0041】
このように、吸収性物品1において、表面シート2では、幅方向Wにおける両端部(端部領域EA)の繊維密度は、中央部(中央領域CA)の繊維密度よりも低い。そのため、多量の体液が幅方向Wに表面シート2の内部を毛細管現象で流れてきたとしても、端部の繊維密度が相対的に低いので、体液を端部に拡がり難くすることができる。また、表面シート2の幅方向Wの両端部の繊維密度が相対的に低いため、両端部に弾力を持たせることができ、よって、柔らかな感触を付与できる。このように、本吸収性物品1では、体液の量が多い場合でも体液の横漏れをより抑制できると共に、肌触りをより改善できる。
【0042】
本実施形態では、一対の端部領域EAの各々における肌側の繊維密度は、非肌側の繊維密度よりも高くなっている。そのため、中央領域CAから端部領域EAへ拡散した体液を、その端部領域EAの非肌面側へ移行し難くすることができる。本実施形態では、表面シート2を構成する第1繊維層2a及び第2繊維層2bのうちの肌側の第1繊維層2aの繊維密度を、非肌側の第2繊維層2bの繊維密度よりも高くしている。したがって、端部領域EAの肌側の繊維密度を、非肌側の繊維密度よりも高くできる。なお、表面シート2が一層の場合には、帯状のネットに繊維を堆積させて表面シート2を製造するとき、ネットに接する側の繊維密度が、ネットに接しない側の繊維密度よりも高くなることを利用し、表面シート2の肌側の面をネットに接した面とすることができる。
【0043】
このように、吸収性物品1では、表面シート2では、幅方向Wにおける両端部(端部領域EA)の肌側の繊維密度は、非肌側の繊維密度よりも高い。そのため、幅方向Wにおいて、表面シート2の中央部(中央領域CA)から端部へ拡散した体液を、その端部の非肌面側へ移行し難くすることができ、端部の厚さ方向Tの下側に位置する補助シート5の表面へ移行し難くすることができる。それにより、端部へ到達した体液が端部に留まり、幅方向Wへ移行し難くでき、よって、他の体液が中央部から厚さ方向Tの下方へ、すなわち、吸収体4へ移行し易くできる。このように、本吸収性物品1では、体液の量が多い場合でも体液の幅方向Wへの移行を制限でき、横漏れをより抑制できる。
【0044】
本実施形態では、表面シート2の質量密度を、補助シート5の質量密度よりも低くしている。それゆえ、吸収性物品の使用時に、中央領域CAに排泄された体液の多くを、幅方向Wに端部領域EAに移行する前に、質量密度の低い表面シート2から質量密度の高い補助シート5へ向かって厚さ方向Tに容易に移行できる。それにより、表面シート2における幅方向Wの端部(端部領域EA)へ向かって移行する体液の量を削減できる。よって、本吸収性物品1では、体液の量が多い場合でも体液の横漏れをより抑制できる。
【0045】
本実施形態では、吸収体4は、平面視で長手方向Lに長い略矩形の形状で、長手方向Lの両端辺が略半円形の形状を有する。吸収体4は、吸収性コア4aとそれを被覆するコアラップ4bとを含んでいる。吸収体4の幅方向Wの長さ(幅)は、表面シート2の幅方向Wの長さ(幅)よりも大きい。したがって、平面視で、一対の端部領域EAの各々は、吸収体4の幅方向Wの両端縁よりも内側に位置する。それにより、体液が一対の端部領域EAの各々から幅方向Wに横漏れしたとしても、吸収体4で吸収し得るので、最終的な横漏れを抑制できる。
【0046】
本実施形態では、補助シート5及び一対のサイドシート6における非肌側の吸収体4に対向する部分と吸収体4の肌側の表面とは互いに所定パターンの接着剤(例示:ホットメルト接着剤)で接合される。補助シート5、一対のサイドシート6及び吸収体4における非肌側の裏面シート3に対向する部分は裏面シート3に所定のパターンの接着剤(例示:ホットメルト接着剤)や熱シールなどで接合される。
【0047】
吸収性物品1では、平面視で、長手方向Lの中央やや前方寄りで幅方向Wの中央に排泄口当接域XAが設定される。排泄口当接域XAは、吸収性物品1の使用時に、使用者の排泄口に対向又は当接する領域である。排泄口当接域XAは、吸収性物品の種類や用途に応じて適宜設定される。排泄口当接域XAは、例えば、長手方向Lには吸収体4の中央やや前方寄りに、吸収体4の全長の約1/10~1/2の長さで、幅方向Wには吸収体4の略中央に、吸収体4の全幅の約1/3~1/2の幅で設定される。
【0048】
本実施形態では、吸収性物品1は、長手方向Lに、長手方向前方領域AFと長手方向中央領域ACと長手方向後方領域AB、を有する。長手方向中央領域ACは、排泄口当接域XAを含む。長手方向前方領域AFは、長手方向中央領域ACの長手方向Lの前方に隣接し、排泄口当接域XAの長手方向Lの前方の端部を含む。長手方向後方領域ABは、長手方向中央領域ACの長手方向Lの後方に隣接し、排泄口当接域XAの長手方向Lの後方の端部を含む。
【0049】
本実施形態では、吸収性物品1は、中央領域CAの少なくとも排泄口当接域XA内に複数の孔部を有している。複数の孔部としては、例えば、表面シート2と補助シート5と吸収体4とが厚さ方向Tに圧搾されて形成された複数の点状(円状)の圧搾部15が挙げられる。ただし、孔部は、この例に限定されず、他の構成、例えば表面シート2から吸収体4までを貫通する孔(貫通孔)や、表面シート2を繊維の交絡で形成するときに意図的に生成した繊維ムラによる孔(空隙孔)が挙げられる。なお、本実施形態では、圧搾部15の平面視の形状は円であるが、他の形状、例えば、多角形、楕円、星形、線などでもよい。
【0050】
本実施形態では、吸収性物品1は、一対の圧搾部(圧搾溝)12、一対の圧搾部(圧搾溝)13、及び、圧搾部(圧搾溝)11、14を更に備える。一対の圧搾部12は、平面視で、排泄口当接域XAの幅方向Wの両外側の部分に間隔を空けて並び、長手方向Lに沿って連続的又は間欠的に延びている。一対の圧搾部13は、平面視で、一対の圧搾部12の長手方向Lの後方の部分に、幅方向Wに間隔を空けて並び、長手方向Lに沿って連続的又は間欠的に延びている。圧搾部11、14は、平面視で、排泄口当接域XAの長手方向Lの前方及び後方にそれぞれ位置する。圧搾部11~14は、表面シート2、補助シート5及び吸収体4(肌側のコアラップ4b及び吸収性コア4a)が厚さ方向Tに圧縮されて形成される。圧搾部11~14の厚さ方向Tの底部は、吸収性コア4a内に位置するが、非肌側のコアラップ4bに達してもよい。本実施形態では、圧搾部11~14の平面視の形状は線状だが、他の形状、例えば、多角形や円や楕円や星形や文字又は文字列 それらの集合でもよい。また、圧搾部11~14の少なくとも一つが無くてもよい。
【0051】
本実施形態では、一対の端部領域EAの各々における幅方向Wの外側の端縁(すなわち、表面シート2の両外側の端縁2E)は、一対の圧搾部12の各々や、一対の圧搾部13の各々における幅方向Wの外側に位置している。ただし、圧搾部12のうちの長手方向Lの端部に位置する圧縮部分12aや、圧搾部13のうちの長手方向Lの端部に位置する圧縮部分13aを除く。それにより、吸収性物品1の使用時に、吸収性物品1における一対の圧搾部12(圧縮部分12aを除く)よりも幅方向Wの外側の部分が、一対の圧搾部12を起点として肌側に変形し、それに伴い表面シート2における一対の圧搾部12よりも幅方向Wの外側の一対の端部領域EAの部分も同様に肌側に変形できる。吸収性物品1における一対の圧搾部13(圧縮部分13aを除く)よりも幅方向Wの外側の部分についても同様である。
【0052】
このように、吸収性物品1では、表面シート2における一対の圧搾部12(、13)よりも幅方向Wの外側の一対の端部領域EAの部分を肌側に向かって立ち上がるように変形できる。そのため、表面シート2における幅方向Wの両端部を肌側に向かって突出する堤のように機能させることができる。それにより、幅方向Wにおいて、表面シート2の中央部(中央領域CA)から端部へ拡散した体液を、表面シート2の端部に溜まらせ易くすることができ、端部よりも外側に漏れ出すことを抑制できる。
【0053】
本実施形態では、圧搾部12のうちの端部に位置する圧縮部分12aや、圧搾部13のうちの端部に位置する圧縮部分13aは、端部領域EAにおける幅方向Wの外側の端縁(すなわち、表面シート2の外側の端縁2E)を跨ぐように形成されている。したがって、一対の圧搾部12のうちの一対の圧縮部分12aや、一対の圧搾部13のうちの一対の圧縮部分13aは、一対の端部圧搾部といえる。圧縮部分12aや圧縮部分13aは、吸収性物品1の使用時、中央領域CAから拡散した体液が端部領域EAに到達したとき、その体液の一部を、下方の吸収体4に素早く引き込むことができる。ただし、圧縮部分12aや圧縮部分13aは、圧搾部12や圧搾部13の端部に限定されず、圧搾部12や圧搾部13の途中に位置してもよく、圧搾部12や圧搾部13から分離していてもよい。また、圧縮部分12aや圧縮部分13aの延在する方向の長さは、圧搾部12や圧搾部13の延在する方向の長さの1~20%が挙げられ、2~10%が好ましい。圧縮部分12aや圧縮部分13aの長さが短いと、下記の効果を生じ難く、長いと端部領域EAの本来の効果を生じ難くする。
【0054】
このように、吸収性物品1は、吸収性物品1の使用時に、表面シート2の幅方向Wの端部(端部領域EA)に到達した体液の一部を、圧縮部分12aや圧縮部分13aを介して下方の吸収体4に引き込むことができる。それにより、幅方向Wにおいて、表面シート2における端部の体液や、その端部から外側に移行しつつある体液が、その端部よりも外側に移行することを抑制できる。よって、本吸収性物品1では、体液の量が多い場合でも体液の横漏れをより抑制できる。
【0055】
本実施形態では、平面視で、幅方向Wにおいて、表面シート2の端縁2Eより外側の部分を介して見る方が、表面シート2の中央部を介して見るよりも、吸収体4の色(体液を吸収したときの吸収体の色を含む)を確認し易くなっている。それにより、表面シート2より外側の部分で視認される吸収体4の色を確認することで、吸収体4の幅方向Wの端部まで体液を吸収したか否かを確認できる。本実施形態では、表面シート2より外側の部分は、厚さ方向Tには補助シート5しか存在しない。一方、表面シート2の中央部(中央領域CA)は、厚さ方向Tには表面シート2と補助シート5が存在する。したがって、表面シート2の端縁2Eより外側の部分の厚さを相対的に薄くできるので、表面シート2の端縁2Eより外側の部分を介して吸収体4の色を確認し易くできる。
【0056】
このように、吸収性物品1では、平面視で、表面シート2より外側の部分(補助シート5)を介して見る吸収体4の色は、表面シート2の中央部(表面シート2と補助シート5)を介して見る吸収体の色よりも、実際の吸収体4の色に近い。したがって、表面シート2より外側の部分で視認される吸収体4の色を確認することで、吸収体4の幅方向Wの端部まで体液を吸収したか否かを確認できる。それにより、吸収体4の幅方向Wの端部まで体液を吸収して、吸収性物品1の交換のタイミングが来たにもかかわらず、それに気づかなかったために、体液が吸収体4に吸収しきらずに横漏れしてしまった、という事態を回避できる。
【0057】
特にコアラップ4bは着色していてもよい。それにより、吸収体4の端縁の位置をより明確にすることができるため、吸収性物品1の交換のタイミングが来たにもかかわらず、それに気づかなかったために、体液が吸収体4に吸収しきらずに横漏れしてしまった、という事態をより回避できる。加えて着色してあれば、表面シート2とコアラップ4bとの色の差がより見え易くなるため、装着時の幅方向W、長手方向Lの位置合わせの目安としても活用することができる。具体的には表面シート2とコアラップ4b(補助シート5を介して見る)との色差の差がΔEで3以上あればよい。
【0058】
ただし、上記の色差は、以下のとおり測定される。
(1)X-Rite社製 X-Rite eXact Standerd(測定径:1.5mm)を準備する。
(2)試料の測定すべき部分のCIE L*a*b*座標を、位置を変えて10点以上測定し、それらの平均値([L1*,a1*,b1*])を算出する。
(3)サンプルの対比すべき部分のL*a*b*座標を、位置を変えて10点以上測定し、それらの平均値([L2*,a2*,b2*])を算出する。
(4)色差ΔEを、次の式:
ΔE={(L1*-L2*)2+(a1*-a2*)2+(b1*-b2*)2}0.5
により算出する。
【0059】
本実施形態では、吸収性物品1は、平面視で、幅方向Wの中央部と、幅方向Wの両端部との間に、剛性の低い一対の低剛性部を有している。ここで、幅方向Wの中央部は、厚さ方向Tに積層された表面シート2、補助シート5及び吸収体4を含んでいる。一方、幅方向の両端部は、厚さ方向Tに積層されたサイドシート6、補助シート5及び吸収体4を含んでいる。幅方向Wの中央部と両端部との間の部分は、厚さ方向Tに積層された補助シート5及び吸収体4を含んでいる。したがって、幅方向Wの中央部と両端部との間の部分は、厚さ方向Tに積層された層が少なく、剛性の低い部分、すなわち一対の低剛性部といえる。そのため、吸収性物品の使用時に、一対の低剛性部を起点として、吸収性物品を長手方向から見て略W字型に変形させ易くできる。
【0060】
このように、吸収性物品1では、一対の低剛性部を起点として、長手方向から見て略W字型に変形させ易くなっている。すなわち、吸収性物品1における幅方向Wの両端部(端部領域EA)を相対的に肌側に起立させることができる。それにより、表面シート2の幅方向Wの端部へ向かう体液の量を削減できる。よって、本吸収性物品1では、体液の量が多い場合でも体液の横漏れをより抑制できる。
【0061】
なお、吸収性物品1の構成は、上記の例に限定されるものではない。
図3は、実施形態に係る吸収性物品1の他の構成例を示す断面図である。この図は、
図1におけるII-II線に沿った断面図である。この構成例では、一対のサイドシート6を用いず、その一対のサイドシート6に代替して、補助シート5を幅方向Wの両外側に更に延出させた構成を有している。この場合にも、上述された作用効果を奏することができる。
【0062】
ただし、吸収体4は上記の例に限定されるものではない。例えば、別の実施形態として、吸収性物品1は、他の吸収体として、吸収体の幅方向Wの長さ(幅)が、表面シート2の幅方向Wの長さ(幅)よりも小さくてもよい。この場合、平面視で、一対の端部領域EAの各々は、吸収体の幅方向Wの両外側に位置することになる。それにより、吸収性物品1の使用時、吸収性物品1が両大腿に挟まれて、幅方向Wの内側に向かう力が吸収体に加わったとき、吸収体の外側の部分に位置する非接合の一対の端部領域EAは肌側に向かって立ち上がり易くなる。すなわち、このような吸収体を備える吸収性物品1は、表面シート2における幅方向Wの両端部(端部領域EA)を相対的に肌側に起立させ易くすることができる。それにより、表面シート2の幅方向Wの端部へ向かう体液の量を削減できる。よって、このような場合でも、体液の量が多い場合でも体液の横漏れをより抑制できる。
【0063】
ただし、圧搾部(圧搾溝)は上記の例に限定されるものではない。例えば、別の実施形態として、吸収性物品1は、他の圧搾部(圧搾溝)として、平面視で、幅方向Wにおける一対の端部領域EAの外側に、補助シート5のみを圧搾して形成された一対の補助圧搾部(図示されず)を更に備えてもよい。すなわち、平面視で、幅方向Wにおいて、表面シート2の外側の端縁2Eよりも外側の補助シート5に、補助圧搾部が形成されてもよい。その場合、一対の補助圧搾部の各々は、吸収性物品1の使用時、中央領域CAから拡散した体液が端部領域EAから外側に漏れ出したとしても、その体液を、下方の吸収体4に素早く引き込むことができる。よって、本吸収性物品1では、体液の量が多い場合でも体液の横漏れをより抑制できる。
【0064】
本実施形態では、第1繊維層2aは保水性繊維を含んでおり、それにより表面シート2の肌触りを良好にできる。保水性繊維は、水分を吸収し、保持する性質(保水性)を有する繊維であれば、特に制限されない。保水性繊維としては、例えば、セルロース系繊維が挙げられる。本実施形態では、保水性繊維としてはコットンである。第2繊維層2bは、疎水性繊維と保水性繊維とを含んでいる。疎水性繊維は、疎水性を有する繊維であれば、特に制限されない。疎水性繊維としては、例えば、熱可塑性樹脂繊維が挙げられる。本実施形態では、疎水性繊維としては、PET/PE芯鞘型複合繊維である。保水性繊維については第1繊維層2aの保水性繊維と同様である。
【0065】
本実施形態では、補助シート5としては、液透過性であれば特に制限はないが、例えば、液透過性の不織布、例えば疎水性繊維の不織布が挙げられ、中でも熱可塑性樹脂繊維の不織布が好適に用いられる。また、表面シート2が保水性繊維、例えばコットンを含む場合には、補助シート5は、それ対応して、保水性繊維、例えばコットンを含んでもよい。そのような構成の吸収性物品1では、液拡散性の高い保水性繊維等が表面シート2の第1繊維層2aから第2繊維層2bを介して補助シート5まで連通している。そのため、それら繊維による体液の液拡散を利用することで、表面シート2から補助シート5を介して吸収体4へ体液をより安定的に移行させることができ、表面シート2の肌触りを良好にしつつ、吸収性能を向上させることができる。
【0066】
本実施形態では、吸収体4の吸収性コア4aとしては、液吸収性・液保持性を有すれば特に制限はないが、例えば、パルプ繊維のような吸水性繊維を含む液保持性物質、高吸収性ポリマー(SAP)のような吸水材が挙げられる。コアラップ4bとしては、吸収性コア4aの形態を保持できれば特に制限はないが、例えば、ティッシュのような親水性不織布を含む液透過性のシートが挙げられる。
【0067】
サイドシート6としては、特に制限はないが、例えば、撥水処理を施した不織布や通気性を有する合成樹脂フィルムが挙げられる。また、裏面シート3としては、特に制限はないが、例えば、液不透過性の不織布や合成樹脂フィルム、これらの複合シートが挙げられる。本実施形態ではウイング部9はサイドシート6及び裏面シート3で形成されている。
【0068】
シート部材の厚さの測定は以下の方法で測定する。シート部材を10mm×10mmの大きさに切り出して試料とする。次に、試料の厚さ方向Tに平行な切断面を、デジタルマイクロスコープ(株式会社キーエンス製:VHX-100)を用いて、シート部材の切断面に対して垂直の方向からの拡大画像を撮影する。拡大画像は、シート部材の厚さ方向Tの全体が撮影可能となるような倍率に拡大された画像であり、倍率は、例えば20~50倍である。得られた3D画像から変換された2D画像において、シート部材の厚さを測定する。一枚のシート部材について、別々の3か所の切断面で厚さを測定し、合計10枚のシート部材から測定された厚さの平均値をシート部材の厚さとする。
【0069】
特に、シート部材が長手方向Lに連続する資材である場合(例示:表面シート2)においては、画像を撮影する切断面の位置を以下のとおりにする。
(1)幅方向W
・端部領域(例示:端部領域EA)の非接合部(例示:接着剤を塗布されずに補助シート5上に載置された部分)については、非接合部を幅方向Wに3等分して3区分としたとき、幅方向Wの外側から数えて1区分目と2区分目の境界の位置にする。
・中央領域(例示:中央領域CA)については、幅方向Wの中央部の位置にする。
(2)長手方向L
・着衣固定部7の長手方向Lの前端、中心及び後端の3か所の位置にする。
なお、着衣固定部7がない製品においては、ウイング部9の根元(長手方向Lの両端の2か所)及びウイング部9の長手方向Lの中心の3か所の位置にする。着衣固定部7もウイング部9もない製品においては製品を長手方向Lに3分割した第1領域、第2領域及び第3領域の各々における長手方向Lの中心の位置にする。
シート部材が長手方向Lに間欠的に配置されるものについては、各シート部材を、長手方向Lに3分割し、それぞれの長手方向Lの中心の位置とする(各シート部材では3か所)。
ただし、上記の各位置において、エンボスやヒンジや圧搾部のように資材が圧縮されている箇所には、エンボス等とエンボス等との間の中間の位置、すなわち、資材が圧縮されていない箇所の中間の位置にする。なお上記切断面の位置は下記繊維密度の測定に適用できる。
【0070】
また、シート部材の繊維密度は以下のように測定する。シート部材を10mm×10mmの大きさに切り出して試料とする。次に、試料の厚さ方向Tに平行な切断面を、走査電子顕微鏡(日本電子株式会社製:JCM-5100)を用いて、拡大観察する。拡大画像は、30~60本の繊維の断面が撮影可能となるような倍率に拡大された画像であり、倍率は、例えば、150~500倍である。得られた3D画像から変換された2D画像において、繊維の断面の数を測定する。すなわち、所定面積の切断面において、切断されている繊維の断面の数を数える。得られた繊維の断面の数を1mm2当たりの繊維の断面の数に換算し、これを繊維密度(本/mm2)とする。測定は3ヶ所行い、測定値の平均値をその試料の繊維密度とする。すなわち、繊維密度として、繊維本数の密度を用いている。言い換えると、繊維密度として、厚さ方向Tに平行な断面における単位面積当たりの繊維の本数を用いている。なお、繊維密度として、単位体積当たりの繊維の本数を用いてもよい。単位体積当たりの繊維の本数は、例えばX線CTによる解析で求めることができる。単位面積当たりの繊維密度と、単位体積当たりの繊維密度とでは、数値は異なるが、繊維層間での繊維密度の相対的な比較(例示:大小の比較)では同じになる。
【0071】
また、シート部材の質量密度は以下のように測定する。まず、シートの坪量については、シートを5cm×5cmの大きさに切り出して試料とし、100℃以上の雰囲気での乾燥処理後に質量を測定する。測定した質量を試料の面積で割り算して試料の坪量を算出する。10個の試料の坪量を平均した値をシートの坪量とする。次に、シートの厚さについては、15cm2の測定子を備えた厚さ計((株)大栄化学精器製作所製 型式FS-60DS)を用い、3g/cm2の測定荷重の条件で、各試料の厚さを測定する。1つの試料で3か所の厚さを測定し、3か所の厚さの平均値を各試料の厚さとする。そして、シートの質量密度については、上記方法で求めたシートの各試料の秤量を、上記方法で求めたシートの各試料の厚みで割り算して算出する。
【0072】
本発明の吸収性物品は、上述した各実施形態に制限されることなく、本発明の目的、趣旨を逸脱しない範囲内において、適宜組合せや変更等が可能である。
【符号の説明】
【0073】
1 吸収性物品
2 表面シート
4 吸収体
5 補助シート
CA 中央領域
EA 端部領域