(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-03
(45)【発行日】2022-03-11
(54)【発明の名称】エチレン/アルファ-オレフィン共重合体を含む接着剤組成物
(51)【国際特許分類】
C09J 123/08 20060101AFI20220304BHJP
C08F 210/02 20060101ALI20220304BHJP
C09J 11/08 20060101ALI20220304BHJP
【FI】
C09J123/08
C08F210/02
C09J11/08
(21)【出願番号】P 2020530386
(86)(22)【出願日】2019-05-03
(86)【国際出願番号】 KR2019005371
(87)【国際公開番号】W WO2019212310
(87)【国際公開日】2019-11-07
【審査請求日】2020-06-02
(31)【優先権主張番号】10-2018-0052043
(32)【優先日】2018-05-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2018-0052046
(32)【優先日】2018-05-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】レ・クン・カク
(72)【発明者】
【氏名】ウン・ジュン・イ
(72)【発明者】
【氏名】ジン・サム・ゴン
(72)【発明者】
【氏名】ジュン・ホ・ジュン
(72)【発明者】
【氏名】テ・ス・キム
【審査官】澤村 茂実
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-533351(JP,A)
【文献】特開2000-226561(JP,A)
【文献】特開2015-120825(JP,A)
【文献】特開昭61-162539(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 1/00-201/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エチレン/アルファ-オレフィン共重合体;及び粘着性付与剤;を含み、
前記アルファ-オレフィンは、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-デセン、1-ウンデセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン及び1-エイコセンからなる群から選択される1種以上であって、エチレン/アルファ-オレフィン共重合体の総重量に対して0超過50モル%以下の含量で含まれ、
前記エチレン/アルファ-オレフィン共重合体は、下記i)からiv)
及びvi)からviii)の条件を満たす接着剤組成物:
i)密度:0.85から0.89g/cc、
ii)分子量分布(MWD):1.5から3.0、
iii)粘度:180℃の温度で測定時6,000cPから40,000cP、
iv)下記式1による結晶化指数(Crystalization Index、CI):15から25
【数1】
前記式1中、
Aは結晶化温度測定時に示されるピークの半値幅(Full Width at Half Maximum、FWHM)であり、
Bは溶融指数(Melt Index、MI)であって、ASTM D-1238(条件E、190℃、2.16Kg荷重)で測定した数値であり、単位「dg/min」である場合の数値であ
り、
vi)炭素原子1,000個当りの不飽和官能基の総数:0.8個以下、
vii)数平均分子量(Mn):9,000から25,000、
viii)ASTM D1238による190℃、2.16kg荷重での溶融指数(MI):200から1,300dg/min。
【請求項2】
前記エチレン/アルファ-オレフィン共重合体は、前記結晶化指数が16から23である、請求項1に記載の接着剤組成物。
【請求項3】
前記エチレン/アルファ-オレフィン共重合体は、v)の条件をさらに満たす、請求項1又は2に記載の接着剤組成物:
v)Re×Rc≦1.0
このとき、Re=kee/kecであり、Rc=kcc/kceであり、
keeは末端の活性点がエチレン単量体である成長鎖にエチレンが付加される際の成長反応速度定数を示し、kecは末端の活性点がエチレン単量体である成長鎖にアルファオレフィン共単量体が付加される際の成長反応速度を示し、kccは末端の活性点がアルファオレフィン共単量体である成長鎖にアルファオレフィン共単量体が付加される際の成長反応速度を示し、kceは末端の活性点がアルファオレフィン共単量体である成長鎖にエチレン単量体が付加される際の成長反応速度定数を示す。
【請求項4】
前記エチレン/アルファ-オレフィン共重合体は、Re×Rc値が0.95以下である、請求項1~3のいずれか一項に記載の接着剤組成物。
【請求項5】
前記エチレン/アルファ-オレフィン共重合体は、重量平均分子量が17,000から40,000g/molである、請求項1~4のいずれか一項に記載の接着剤組成物。
【請求項6】
前記エチレン/アルファ-オレフィン共重合体は、粘度が180℃の温度で測定時8,500から35,000cPである、請求項1~5のいずれか一項に記載の接着剤組成物。
【請求項7】
前記エチレン/アルファ-オレフィン共重合体は、密度が0.860から0.885g/ccである、請求項1~6のいずれか一項に記載の接着剤組成物。
【請求項8】
前記粘着性付与剤は、変性されたC5炭化水素樹脂、スチレン化されたポリテトラフルオロエチレン樹脂、完全または部分水素化されたC9炭化水素樹脂、水素化された脂環式炭化水素樹脂、水素化された芳香族変性脂環式炭化水素樹脂及びこれら混合物からなる群から選択される1種以上である、請求項1~
7のいずれか一項に記載の接着剤組成物。
【請求項9】
請求項1から
8のいずれか一項に記載の接着剤組成物でコーティングされた基板を含む物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2018年5月4日付韓国特許出願第2018-0052046号及び韓国特許出願第2018-0052043号に基づいた優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示された全ての内容は本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明は、エチレン/アルファ-オレフィン共重合体を含む接着剤組成物及びこれを含む物品に関する。
【背景技術】
【0003】
オレフィン重合触媒系は、チーグラー・ナッタ及びメタロセン触媒系に分類することができ、これら2種の高活性触媒系はそれぞれの特徴に合わせて発展してきた。チーグラー・ナッタ触媒は、1950年代に発明されて以来、既存の商業プロセスに幅広く適用されてきたが、活性点が複数個混在する多活性点触媒(multi-site catalyst)であるため、重合体の分子量分布が広いことが特徴であり、共単量体の組成分布が均一でないため、所望の物性の確保に限界があるという問題点がある。
【0004】
一方、メタロセン触媒は、遷移金属化合物が主成分の主触媒と、アルミニウムが主成分の有機金属化合物である助触媒との組み合わせからなり、このような触媒は均一系錯体触媒で単一活性点触媒(single site catalyst)であり、単一活性点の特性によって分子量分布が狭く、共単量体の組成分布が均一である高分子が得られ、触媒のリガンド構造の変形及び重合条件の変更によって高分子の立体規則度、共重合特性、分子量、結晶化度などを変化させることができる特性を有している。
【0005】
米国特許第5,914,289号には、それぞれの担体に担持されたメタロセン触媒を用いて高分子の分子量及び分子量分布を制御する方法が記載されているが、担持触媒の製造時に用いられた溶媒の量及び製造時間が多く必要となり、使用されるメタロセン触媒を担体にそれぞれ担持させなければならないという煩わしさがあった。
【0006】
韓国特許出願第10-2003-0012308号には、担体に二重核メタロセン触媒と単一核メタロセン触媒を活性化剤と共に担持し、反応器内の触媒の組み合わせを変化させて重合することにより分子量分布を制御する方案を開示している。しかし、このような方法は、それぞれの触媒の特性を同時に具現するのに限界があり、また、完成された触媒の担体成分からメタロセン触媒部分が遊離して、反応器にファウリング(fouling)を誘発するという短所がある。
【0007】
一方、線状低密度ポリエチレンは、重合触媒を用いて低圧でエチレンとアルファオレフィンを共重合して製造されて、分子量分布が狭く、一定の長さの短鎖分枝を有し、長鎖分枝がない樹脂である。線状低密度ポリエチレンフィルムは、一般のポリエチレンの特性に併せて、破断強度と伸び率が高く、引裂強度、落錘衝撃強度などに優れるため、既存の低密度ポリエチレンや高密度ポリエチレンの適用が難しいストレッチフィルム、オーバーラップフィルムなどへの使用が増加している。
【0008】
ところが、1-ブテンまたは1-ヘキセンを共単量体として用いる線状低密度ポリエチレンは、ほとんど単一気相反応器または単一ループスラリー反応器で製造され、1-オクテン共単量体を用いる工程に比べて生産性は高いが、このような製品もやはり使用触媒技術及び工程技術の限界により、物性が1-オクテン共単量体の使用時よりも大きく劣り、分子量分布が狭くて加工性が不良である問題がある。
【0009】
米国特許第4,935,474号には、2種またはそれ以上のメタロセン化合物が用いられて広い分子量分布を有するポリエチレンの製法について報告されている。米国特許第6,828,394号には、共単量体の結合性が良いものとそうではないものを混合使用して、加工性に優れ、特にフィルム用に適したポリエチレンの製造方法について報告されている。また、米国特許第6,841,631号、米国特許第6,894,128号には、少なくとも2種のメタルコンパウンドが用いられたメタロセン系触媒で二峰または多峰分子量分布を有するポリエチレンを製造し、フィルム、ブローモールディング、パイプなどの用途への適用が可能であると報告されている。しかし、これらの製品は、加工性は改善されたものの、単位粒子内の分子量別の分散状態が均一でないため、比較的良好な押出条件においても押出外見が粗く物性が安定的でない問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】米国特許第5,914,289号
【文献】韓国特許出願第10-2003-0012308号
【文献】米国特許第4,935,474号
【文献】米国特許第6,828,394号
【文献】米国特許第6,841,631号
【文献】米国特許第6,894,128号
【0011】
このような背景から、物性と加工性との間のバランスの取れた、より優れた製品の製造が絶えず要求されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
よって、本発明は、前記従来の技術の問題点を解決するためのものであって、分子量分布が狭く、低密度及び超低分子量の特性を有しながらも、高結晶含量及び低結晶含量が少なく、結晶性分布が均一なエチレン/アルファ-オレフィン共重合体を含むことにより、優れた物性及び接着特性を示す接着剤組成物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記課題を解決するために、本発明の一具現例によれば、エチレン/アルファ-オレフィン共重合体;及び粘着性付与剤;を含み、前記エチレン/アルファ-オレフィン共重合体は、下記i)からiv)の条件を満たす接着剤組成物を提供する:
i)密度:0.85から0.89g/cc、
ii)分子量分布(MWD):1.5から3.0、
iii)粘度:180℃の温度で測定時6,000cPから40,000cP、
iv)下記式1による結晶化指数(Crystalization Index、CI):15から25
【数1】
【0014】
前記式1中、Aは結晶化温度の測定時に示されるピークの半値幅(Full Width at Half Maximum、FWHM)であり、Bは溶融指数(Melt Index、MI)であって、ASTM D-1238(条件E、190℃、2.16Kg荷重)で測定した数値であり、単位「dg/min」である場合の数値である。
【発明の効果】
【0015】
本発明による接着剤組成物は、低密度でありながらも超低分子量を有し、分子量分布が狭くて均一な結晶性を有するエチレン/アルファ-オレフィン共重合体を含むことにより、耐熱性に優れるだけでなく、低温接着性に優れる。したがって、本発明の接着剤組成物は優れた接着特性を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本明細書で用いられる用語は、単に例示的な実施例を説明するために用いられたものであって、本発明を限定しようとする意図のものではない。単数の表現は、文脈上明白に異なって意味しない限り、複数の表現を含む。本明細書において、「含む」、「備える」、または「有する」などの用語は、実施された特徴、ステップ、構成要素、またはこれらの組み合わせが存在することを指定しようとするものであって、1つまたはそれ以上の他の特徴やステップ、構成要素、またはこれらの組み合わせの存在または付加の可能性をあらかじめ排除するものではないと理解されるべきである。
【0017】
本発明は、多様な変更を加えることができ、幾つかの形態を有し得るところ、特定の実施例を例示して下記で詳細に説明する。しかし、これは、本発明を特定の開示形態に対して限定しようとするものではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれるあらゆる変更、均等物ないし代替物を含むものと理解されるべきである。
【0018】
1.接着剤組成物
本発明の一具現例は、エチレン/アルファ-オレフィン共重合体;及び粘着性付与剤;を含み、前記エチレン/アルファ-オレフィン共重合体は、下記i)からiv)の条件を満たす接着剤組成物を提供する:
i)密度:0.85から0.89g/cc、
ii)分子量分布(MWD):1.5から3.0、
iii)粘度:180℃の温度で測定時4,000cPから50,000cP、
iv)下記式1による結晶化指数(Crystalization Index、CI):15から25
【数2】
【0019】
前記式1中、
Aは結晶化温度の測定時に示されるピークの半値幅(Full Width at Half Maximum、FWHM)であり、
Bは溶融指数(Melt Index、MI)であって、ASTM D-1238(条件E、190℃、2.16Kg荷重)で測定した数値であり、単位「dg/min」である場合の数値である。
【0020】
本発明の接着剤組成物は、低密度でありながらも超低分子量を有し、分子量分布が狭くて均一な結晶性を有するエチレン/アルファ-オレフィン共重合体を含むことにより、優れた加工性及び接着特性を有することを特徴とする。
下記でエチレン/アルファ-オレフィン共重合体及びこの製造方法に対して先ず具体的に敍述する。
【0021】
(1)エチレン/アルファ-オレフィン共重合体
本発明のエチレン/アルファ-オレフィン共重合体は、下記i)からiv)の条件を満たす:
i)密度:0.85から0.89g/cc、
ii)分子量分布(MWD):1.5から3.0、
iii)粘度:180℃の温度で測定時4,000cPから50,000cP、
iv)下記式1による結晶化指数(Crystalization Index、CI):15から25
【数3】
【0022】
前記式1中、Aは結晶化温度の測定時に示されるピークの半値幅(Full Width at Half Maximum、FWHM)であり、Bは溶融指数(Melt Index、MI)であって、ASTM D-1238(条件E、190℃、2.16Kg荷重)で測定した数値であり、単位「dg/min」である場合の数値である。
【0023】
共重合体間の架橋結合は、二重結合を含むビニルとビニリデンによって起こるところ、前記エチレン/アルファ-オレフィン共重合体は、重合時に後述する触媒と共に最適化された含量の水素の投入で、アルファ-オレフィン共単量体の混入が均一となって結晶化指数が前記範囲を満たすようになり、これは、低結晶性及び高結晶性共重合体の含量が少なく、均一な結晶性を有するものであるといえる。一般に、周波数による複素粘度(complex viscosity)の測定を介してせん断流動化の特性を測定することができ、このような共重合体は、複素粘度が特定の温度及び角振動数(Angular Frequency)の範囲で低く維持されるため、加工性が非常に優れている。
【0024】
具体的に、本発明のエチレン/アルファ-オレフィン共重合体は、前記のような物性的要件を満たす条件下で、さらにはASTMD-792により測定した密度が0.85g/ccから0.89g/ccである。具体的には、前記密度は0.855g/cc以上、または0.86g/cc以上、または0.865g/cc以上であり、0.89g/cc以下、または0.885g/cc以下、または0.880g/cc以下であってもよい。
【0025】
通常、オレフィン系重合体の密度は、重合時に用いられる単量体の種類と含量、重合度等の影響を受け、共重合体の場合、共単量体の含量による影響が大きく、共単量体の含量が多いほど低密度のエチレン/アルファ-オレフィン共重合体が製造され、共単量体が共重合体内に導入され得る含量は、触媒の共重合性、すなわち触媒の特性に依存的であり得る。
【0026】
本発明では、特定の構造を有する遷移金属化合物を含む触媒組成物の使用で多量の共単量体の導入が可能である。その結果、本発明のエチレン/アルファ-オレフィン共重合体は前記のような低密度を有することができ、その結果、優れた加工性を示し得る。より具体的に、前記エチレン/アルファ-オレフィン共重合体は、好ましくは0.860g/ccから0.885g/cc、さらに好ましくは0.865g/ccから0.880g/ccの密度を有してよく、この場合、密度の制御による機械的物性の維持及び衝撃強度の改善の効果がより顕著である。
【0027】
本発明のエチレン/アルファ-オレフィン共重合体は、前記のように低密度特性を満たす条件下で、180℃で測定した粘度が50,000cP以下である。より具体的に、前記エチレン/アルファ-オレフィン共重合体の粘度は40,000cP以下、37,000cP以下、または35,000cP以下であってもよく、4,000cP以上、または6,000cP以上、または7,000cP以上、または8,500cP以上であってもよい。
【0028】
また、本発明のエチレン/アルファ-オレフィン共重合体は、分子量分布(MWD)が1.5から3.0である。具体的に、前記分子量分布は、2.5以下であってよく、より具体的に、1.7以上、または1.8以上、または1.9以上であり、2.3以下、または2.1以下、または2.0以下であってもよい。
【0029】
通常、2種以上の単量体が重合される場合、分子量分布(MWD;Molecular Weight Distribution)が増加し、その結果、衝撃強度と機械的物性等が減少することとなり、ブロッキング現象などが起こるようになる。これに対し、本発明では、重合反応時に最適含量の水素が投入されることで、製造されるエチレン/アルファ-オレフィン共重合体の分子量及び分子量分布が減少し、その結果、衝撃強度と機械的物性が改善された。
【0030】
一方、本発明において、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)はゲル透過クロマトグラフィー(GPC:gel permeation chromatography)で分析されるポリスチレン換算分子量であり、前記分子量分布は、Mw/Mnの比から計算されてもよい。
【0031】
本発明のエチレン/アルファ-オレフィン共重合体は、重量平均分子量(Mw)が15,000から45,000g/molである超低分子量の重合体であってもよい。より具体的に、前記重量平均分子量は、17,000g/mol以上、または19,000g/mol以上であり、40,000g/mol以下、または37,000g/mol以下、または35,000g/mol以下であってもよい。
【0032】
また、本発明のエチレン/アルファ-オレフィン共重合体は、数平均分子量(Mn)が5,000から35,000であってもよい。より具体的に、前記数平均分子量は7,000以上、または8,000以上、または9,000以上であってもよく、30,000以下、または25,000以下であってもよい。
【0033】
前記重量平均分子量が前記範囲を満たす場合、これを含む接着剤組成物の粘度と共に連関して加工性の顕著な改善を期待することができる。すなわち、エチレン/アルファ-オレフィン共重合体の機械的物性及び衝撃強度、そして粘度は、その重合過程で用いられる触媒の種類と共に触媒の使用量を調節することで制御でき、前記条件と併せて、優れた機械的特性を維持しながらも改善した加工性を示すことができる。
【0034】
また、本発明のエチレン/アルファ-オレフィン共重合体は、前記のような物性的要件を満たす条件下で、下記式1による結晶化指数が15から25であり、具体的に、16以上、または17.5以上、または18.5以上であってもよく、24以下、または23以下、または22以下、または21以下であってもよい。
【0035】
前記式1中、Aは結晶化温度の測定時に示されるピークの半値幅(Full Width at Half Maximum、FWHM)であり、Bは溶融指数(Melt Index、MI)であって、ASTM D-1238(条件E、190℃、2.16Kg荷重)で測定した数値であり、単位「dg/10min」の場合の数値である。
【0036】
前記ピーク半値幅(FWHM)は、クロス分別クロマトグラフィー(Cross-Fractionation Chromatography、CFC)による二変量分布(bivariate distribution)で測定された温度によるdW/dT値で描かれた結晶性分布グラフから導出される値であって、前記エチレン/アルファ-オレフィン共重合体は、重量平均分子量あるいは溶融指数に従って30以下または23以下の値を有してもよく、このピーク半値幅(FWHM)が、前記溶融指数と前記式1により導出される結晶化指数の範囲を満たすことができるように関係を有する場合には、エチレン/アルファ-オレフィン共重合体内の結晶性分布が非常に均一であるという証拠になることができ、これを介し、物性及び加工性、特に加工性に優れると評価することができる。
【0037】
具体的に、本発明のエチレン/アルファ-オレフィン共重合体のように、前記条件を満たす場合には、加工時に特定範囲の温度及びせん断率内で複素粘度(complex viscosity)の変化がほとんどないため、かなり優れた加工性を示し得る。したがって、前記エチレン-アルファオレフィン共重合体を含む本発明の接着剤組成物も優れた接着性及び加工性を有することができる。
【0038】
また、前記エチレン/アルファ-オレフィン共重合体は、Re×Rc値が1以下であってもよい。このとき、Re=kee/kecであり、Rc=kcc/kceであり、keeは末端の活性点がエチレン単量体である成長鎖にエチレンが付加される際の成長反応速度定数を示し、kecは末端の活性点がエチレン単量体である成長鎖にアルファオレフィン共単量体が付加される際の成長反応速度を示し、kccは末端の活性点がアルファオレフィン共単量体である成長鎖にアルファオレフィン共単量体が付加される際の成長反応速度を示し、kceは末端の活性点がアルファオレフィン共単量体である成長鎖にエチレン単量体が付加される際の成長反応速度定数を示す。
【0039】
前記kee、kec、kcc及びkceのような成長反応速度定数は、C13 NMRを用いて単量体の配列を測定して得ることができ、これを介して、Re及びRcを計算することができる。計算されたRe及びRcの積の値(Re×Rc)が1.0以下、より具体的に0.95以下である場合、エチレン/アルファ-オレフィン共重合体が交互共重合体(alternating copolymer)に形成される可能性が大きく、Re及びRcの積の値(Re×Rc)が1.0を超過する場合には、エチレン-アルファオレフィン共重合体がブロック共重合体(block copolymer)に形成される可能性が大きい。前記用語「交互共重合体」は、共重合体を構成する2つの単量体成分(例:A、B)が交互に重合されている形態(例:-A-B-A-B-A-B-A-B-)を意味し、前記用語「ブロック共重合体」は、共重合体内に一つの単量体成分(A)が連続して重合されてブロックを形成し、次いで、他の単量体成分(B)が引き続き重合されてブロックを形成する形態(例:-A-A-A-A-B-B-B-B-)を意味する。
【0040】
したがって、本発明のエチレン-アルファオレフィン共重合体は、Re及びRcの積の値(Re×Rc)が1.0以下、より具体的には0.95以下を有することで、アルファ-オレフィン共単量体が連続して重合され、高分子主鎖に均一に分布されている交互共重合体であってもよい。このように、アルファ-オレフィン共単量体が高分子主鎖に均一に分布されているため、優れた構造安定性を示し、これにより加工時に特定範囲の温度及びせん断率内で複素粘度(complex viscosity)の変化がほとんどないので、かなり優れた加工性を示し得る。したがって、前記エチレン-アルファオレフィン共重合体を含む本発明の接着剤組成物もまた優れた接着性及び加工性を有し得る。
【0041】
また、前記溶融指数(MI)は、200dg/minから1,300dg/minであってもよく、具体的に、前記溶融指数は400dg/min以上、500dg/min以上であってもよく、1,200dg/min以下、1,000dg/min以下であってもよい。
【0042】
従来、エチレン/アルファ-オレフィン共重合体をホットメルト接着剤組成物に適用するため、超低分子量を具現しようとする試みがされてきたが、このため共重合体の溶融指数を大きく制御する場合には、結晶性分布が広くなり、加工性が劣悪で物性的特性が低下する問題があった。
【0043】
しかし、本発明のエチレン/アルファ-オレフィン共重合体は、後述の製造方法により、特定構造の遷移金属化合物を触媒組成物として使用し、重合中に水素を投入する方法を適用することで、高結晶性及び低結晶性共重合体の含量が少なくて同一温度における複素粘度が低く、溶融指数を高く制御しても結晶性が均一であり、これにより物性的特性と加工性、特に複素粘度の減少による加工性が従来に比べて遥かに改善したものであり得る。
【0044】
また、本発明のエチレン/アルファ-オレフィン共重合体は、共重合体内の炭素原子1000個当りの不飽和官能基の総数が0.8個以下であってもよい。より具体的に、前記不飽和官能基の数は、共重合体を構成する炭素原子1000個当り0.6個以下、または0.5個以下、または0.45個以下、または0.42個以下であり、または0.41個以下であり、0.1個以上、または0.20個以上または0.3個以上であってもよい。共重合体内の不飽和官能基の総数は、製造時の重合温度及び水素投入量の制御を介して制御可能であるが、本発明によるエチレン/アルファ-オレフィン共重合体は、前記のように少ない不飽和官能基の数を有することにより、高温で長時間保管(heat aging)するとき、変色、分子量及び粘度変化率が小さい、優れた長期物性を示し得る。
【0045】
本発明において、共重合体内の不飽和官能基の数は、NMR分析の結果から計算されてもよい。具体的には、共重合体をクロロホルム-d(w/TMS)溶液に溶解させた後、Agilent 500MHz NMR装備を用いて常温で2秒の緩和時間、45゜のパルス角度で16回測定し、1H NMRでTMSピークを0ppmに補正し、0.88ppmで1-オクテンのCH3関連ピーク(triplet)を、そして1.26ppmでエチレンのCH3関連ピーク(broad singlet)をそれぞれ確認し、CH3ピークの積分値を3に補正して含量を計算し、また、4.5~6.0ppm領域の二重結合の積分値を基準として、二重結合の個数を計算することができる。
【0046】
また、本発明のエチレン/アルファ-オレフィン共重合体は、結晶化温度(Tc)が45℃以上であってもよい。より具体的に、前記結晶化温度が50℃以上、または51℃以上であり、60℃以下、または58℃以下、または56℃以下であってもよい。このように高い結晶化温度は、エチレン/アルファ-オレフィン共重合体内の共単量体の均一分布によるものであって、前記温度範囲を有することで優れた構造安定性を示し得る。
【0047】
また、本発明のエチレン/アルファ-オレフィン共重合体は、溶融温度(Tm)が60から80℃であってもよい。より具体的に、前記溶融温度が65℃以上、または69℃以上、または70℃以上であり、75℃以下、または74.5℃以下、または74℃以下であってもよい。このような温度範囲の溶融温度を有することで優れた熱安定性を示し得る。
【0048】
本発明において、エチレン/アルファ-オレフィン共重合体の結晶化温度及び溶融温度は、示差走査熱量計(Differential Scanning Calorimeter、DSC)を用いて測定してもよい。具体的には、共重合体を150℃まで加熱した後、5分間維持し、再び20℃まで下げた後、再び温度を増加させる。このとき、温度の上昇速度と下降速度はそれぞれ10℃/minに調節し、二番目の温度が上昇する区間で測定した結果を溶融温度とし、温度を減少させながら示される区間で測定した結果を結晶化温度とする。
【0049】
また、本発明のエチレン/アルファ-オレフィン共重合体において、共単量体である前記アルファ-オレフィン系単量体は、炭素数4から20のオレフィン系単量体であってもよい。具体的な例としては、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-デセン、1-ウンデセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、または1-エイコセンなどを挙げることができ、これらのうち1種単独または2種以上の混合物が用いられてもよい。
【0050】
この中でも、接着剤組成物に適用時にその改善効果が顕著である点を考慮するとき、前記アルファ-オレフィン単量体は、1-ブテン、1-ヘキセンまたは1-オクテンであってよく、最も好ましくは1-オクテンであってもよい。
【0051】
また、前記エチレン/アルファ-オレフィン共重合体において、前記共単量体であるアルファ-オレフィンの含量は、前記物性的要件を満たす範囲内で適宜選択されてよく、具体的には0超過99モル%以下、または10から50モル%であってもよい。
【0052】
本発明のエチレン/アルファ-オレフィン共重合体は、下記i)からviii)の条件を満たすことができる。
i)密度:0.85から0.89g/cc、
ii)分子量分布(MWD):1.5から3.0、
iii)粘度:180℃の温度で測定時4,000cPから50,000cP、
iv)炭素原子1,000個当りの不飽和官能基の総数:0.8個以下、
v)数平均分子量(Mn):9,000から25,000、
vi)ASTM D1238による190℃、2.16kg荷重での溶融指数(MI):200から1,300dg/min、
vii)下記式1による結晶化指数(Crystalization Index、CI):15から25、
【数4】
【0053】
前記式1中、Aは結晶化温度の測定時に示されるピークの半値幅(Full Width at Half Maximum、FWHM)であり、Bは溶融指数(Melt Index、MI)であって、ASTM D-1238(条件E、190℃、2.16Kg荷重)で測定した数値であり、単位「dg/min」である場合の数値であり、
viii)Re×Rc≦1.0
このとき、Re=kee/kecであり、Rc=kcc/kceであり、
keeは末端の活性点がエチレン単量体である成長鎖にエチレンが付加される際の成長反応速度定数を示し、kecは末端の活性点がエチレン単量体である成長鎖にアルファオレフィン共単量体が付加される際の成長反応速度を示し、kccは末端の活性点がアルファオレフィン共単量体である成長鎖にアルファオレフィン共単量体が付加される際の成長反応速度を示し、kceは末端の活性点がアルファオレフィン共単量体である成長鎖にエチレン単量体が付加される際の成長反応速度定数を示す。
【0054】
前記のような共重合体は、前述したところのような効果の具現が可能であり、不飽和官能基の総数が少ないので、長期安定性などの効果の改善を期待することができる。
【0055】
(2)エチレン/アルファ-オレフィン共重合体の製造方法
前記のような物性的特徴を有するエチレン/アルファ-オレフィン共重合体は、下記化学式1の遷移金属化合物を含む触媒組成物の存在下に、水素を45から100cc/minで投入し、エチレン及びアルファ-オレフィン系単量体を重合する段階を含む製造方法により製造されてもよい:
【化1】
【0056】
前記化学式1中、
R1は水素;炭素数1から20のアルキル;炭素数3から20のシクロアルキル;炭素数2から20のアルケニル;炭素数1から20のアルコキシ;炭素数6から20のアリール;炭素数7から20のアリールアルコキシ;炭素数7から20のアルキルアリール;または炭素数7から20のアリールアルキルであり、
R2aからR2eは、それぞれ独立して、水素;ハロゲン;炭素数1から20のアルキル;炭素数3から20のシクロアルキル;炭素数2から20のアルケニル;炭素数1から20のアルコキシ;または炭素数6から20のアリールであり、
R3は、水素;ハロゲン;炭素数1から20のアルキル;炭素数3から20のシクロアルキル;炭素数2から20のアルケニル;炭素数6から20のアリール;炭素数7から20のアルキルアリール;炭素数7から20のアリールアルキル;炭素数1から20のアルキルアミド;または炭素数6から20のアリールアミド;ハロゲン、炭素数1から20のアルキル、炭素数3から20のシクロアルキル、炭素数2から20のアルケニル、炭素数1から20のアルコキシ及び炭素数6から20のアリールからなる群から選択される1種以上で置換されたフェニルであり、
R4からR9は、それぞれ独立して、水素;シリル;炭素数1から20のアルキル;炭素数3から20のシクロアルキル;炭素数2から20のアルケニル;炭素数6から20のアリール;炭素数7から20のアルキルアリール;炭素数7から20のアリールアルキル;または炭素数1から20のヒドロカルビルで置換された14族金属のメタロイドラジカルであり;前記R6からR9のうち互いに隣接する2つ以上は互いに連結されて環を形成してよく、
Qは、SiまたはCであり、
Mは、4族遷移金属であり、
X1及びX2は、それぞれ独立して、水素;ハロゲン;炭素数1から20のアルキル;炭素数3から20のシクロアルキル;炭素数2から20のアルケニル;炭素数6から20のアリール;炭素数7から20のアルキルアリール;炭素数7から20のアリールアルキル;炭素数1から20のアルキルアミノ;または炭素数6から20のアリールアミノである。
【0057】
前記のように、化学式1の構造を有する遷移金属化合物を触媒組成物に含み、水素と共にエチレン及びアルファ-オレフィン系共単量体を重合させる場合、前述のとおり、低密度でありながら超低分子量のエチレン/アルファ-オレフィン共重合体を製造することができ、このエチレン/アルファ-オレフィン共重合体は、前述のとおり、結晶化指数が15を超過して25より小さいことから、高結晶及び低結晶の共重合体の含量が大きく減少されたものであってよく、これにより、複素粘度の低減で加工性が大きく改善可能であり、従来に比べ物性も同等以上の水準を維持することができる。よって、これを含む接着剤組成物の場合、耐熱性及び低温接着性がいずれも優れ得る。
【0058】
前記化学式1における置換基をより具体的に説明する。
前記R1は、水素;炭素数1から20のアルキル;炭素数3から20のシクロアルキル;炭素数1から20のアルコキシ;炭素数6から20のアリール;炭素数7から20のアリールアルコキシ;炭素数7から20のアルキルアリール;または炭素数7から20のアリールアルキルであってもよい。
【0059】
具体的に、前記R1は、水素;炭素数1から12のアルキル;炭素数3から12のシクロアルキル;炭素数1から12のアルコキシ;炭素数6から12のアリール;炭素数7から13のアリールアルコキシ;炭素数7から13のアルキルアリール;または炭素数7から13のアリールアルキルであってもよい。
【0060】
より具体的に、前記R1は、水素または炭素数1から12のアルキルであってもよい。
【0061】
前記R2aからR2eは、それぞれ独立して、水素;ハロゲン;炭素数1から12のアルキル;炭素数3から12のシクロアルキル;炭素数2から12のアルケニル;炭素数1から12のアルコキシ;またはフェニルであってもよい。
【0062】
具体的に、前記R2aからR2eは、それぞれ独立して、水素;ハロゲン;炭素数1から12のアルキル;炭素数3から12のシクロアルキル;炭素数2から12のアルケニル;炭素数1から12のアルコキシ;またはフェニルであってもよい。
【0063】
より具体的に、前記R2aからR2eは、それぞれ独立して、水素;炭素数1から12のアルキル;または炭素数1から12のアルコキシであってもよい。
【0064】
前記R3は、水素;ハロゲン;炭素数1から12のアルキル;炭素数3から12のシクロアルキル;炭素数2から12のアルケニル;炭素数6から20のアリール;炭素数7から13のアルキルアリール;炭素数7から13のアリールアルキル;またはハロゲン、炭素数1から12のアルキル、炭素数3から12のシクロアルキル、炭素数2から12のアルケニル、炭素数1から12のアルコキシ及びフェニルからなる群から選択される1種以上で置換されたフェニルであってもよい。
【0065】
具体的に、前記R3は、水素;ハロゲン;炭素数1から12のアルキル;炭素数3から12のシクロアルキル;炭素数2から12のアルケニル;炭素数7から13のアルキルアリール;炭素数7から13のアリールアルキル;フェニル;またはハロゲン、炭素数1から12のアルキル、炭素数3から12のシクロアルキル、炭素数2から12のアルケニル、炭素数1から12のアルコキシ及びフェニルからなる群から選択される1種以上で置換されたフェニルであってよく、
より具体的に、前記R3は、水素;炭素数1から12のアルキル;またはフェニルであってもよい。
【0066】
前記R4からR9は、それぞれ独立して、水素;炭素数1から20のアルキル;炭素数3から20のシクロアルキル;炭素数6から20のアリール;炭素数7から20のアルキルアリール;または炭素数7から20のアリールアルキルであってもよい。
【0067】
具体的に、前記R4からR9は、それぞれ独立して、水素;炭素数1から12のアルキル;炭素数3から12のシクロアルキル;炭素数6から12のアリール;炭素数7から13のアルキルアリール;または炭素数7から13のアリールアルキルであってもよい。
【0068】
具体的に、前記R4及びR5は、それぞれ独立して、水素;または炭素数1から12のアルキルであってもよい。
【0069】
前記R6からR9のうち互いに隣接する2つ以上は互いに連結され、炭素数5から20の脂肪族環または炭素数6から20の芳香族環を形成してよく;前記脂肪族環または芳香族環は、ハロゲン、炭素数1から20のアルキル、炭素数2から12のアルケニル、または炭素数6から12のアリールで置換されてもよい。
【0070】
また、前記R6からR9のうち互いに隣接する2つ以上は互いに連結され、炭素数5から12の脂肪族環または炭素数6から12の芳香族環を形成してよく;前記脂肪族環または芳香族環は、ハロゲン、炭素数1から12のアルキル、炭素数2から12のアルケニル、または炭素数6から12のアリールで置換されてもよい。
【0071】
より具体的に、前記R6からR9は、それぞれ独立して、水素またはメチルであってもよい。
【0072】
また、前記QはSiであってよく、前記MはTiであってもよい。
【0073】
前記X1及びX2は、それぞれ独立して、水素;ハロゲン;炭素数1から12のアルキル;炭素数3から12のシクロアルキル;炭素数2から12のアルケニル;炭素数6から12のアリール;炭素数7から13のアルキルアリール;炭素数7から13のアリールアルキル;炭素数1から13のアルキルアミノ;または炭素数6から12のアリールアミノであってもよい。
【0074】
具体的に前記X1及びX2は、それぞれ独立して、水素;ハロゲン;炭素数1から12のアルキル基;または炭素数2から12のアルケニルであってもよい。
【0075】
より具体的に、前記X1及びX2は、それぞれ独立して、水素または炭素数1から12のアルキルであってもよい。
【0076】
前記化学式1の遷移金属化合物は、環形態の結合によってベンゾチオフェンが融合されたシクロペンタジエン、及びアミドグループ(N-R1)がQ(SiまたはC)によって安定的に架橋され、4族遷移金属が配位結合された構造を形成する。前記触媒組成物を用いてオレフィン重合への適用時、高い重合温度でも高活性、高分子量及び高い共重合性などの特徴を有するポリオレフィンを生成することが可能である。
【0077】
さらには、前記化学式1の遷移金属化合物は、アミド基(N-R1)がQ(Si、C)により架橋されるのにおいて、Qに置換または非置換されたフェニル基が結合されている構造を有することでより安定的に架橋されてよく、遷移金属との配位時に電子的に優れた安定性を有し得る。
【0078】
このような構造を有する遷移金属化合物の場合、前記フェニル基によって共重合性に優れるので、前記化学式1の遷移金属化合物のようなコア構造を有することができない触媒に比べて少ない量の共単量体でも低密度の共重合体を製造することができ、これと同時に分子量の水準に優れるため高温重合が可能な上、水素を安定的に投入することができるという長所を記載することができる。
【0079】
すなわち、本発明では、前記遷移金属化合物を利用し、この際、重合反応時に最適化された含量で水素を投入することにより、超低分子量と共に狭い分子量分布及び均一な共単量体分布を有するエチレン/アルファ-オレフィン共重合体を提供することができ、前記遷移金属化合物が有する電子的/構造的安定性により水素の混入が有利であり、重合反応において水素による均一な終結反応が起こるので、狭い分子量分布を有する超低分子量共重合体を製造することができる効果を期待することができる。
【0080】
さらに具体的に、前記化学式1の化合物の具体的な例としては、下記構造式中の一つで表される化合物を挙げることができるが、本発明がこれらだけに限定されるのではない。
【化2】
【化3】
【化4】
【化5】
【化6】
【化7】
【化8】
【化9】
【化10】
【化11】
【0081】
一方、本発明のエチレン/アルファ-オレフィン共重合体の製造において、触媒組成物は、前記化学式1の遷移金属化合物を活性化するために助触媒をさらに含んでもよい。
【0082】
前記助触媒は、13族金属を含む有機金属化合物であって、具体的には、下記化学式2の化合物、下記化学式3の化合物、及び下記化学式4の化合物のうち一つ以上を含んでもよい。
[化学式2]
R41-[Al(R42)-O]n-R43
【0083】
前記化学式2中、
R41、R42及びR43は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、炭素数1から20のヒドロカルビル基及びハロゲンで置換された炭素数1から20のヒドロカルビル基中のいずれか一つであり、
nは、2以上の整数であり、
[化学式3]
D(R44)3
前記化学式3中、Dはアルミニウムまたはホウ素であり、
R44は、それぞれ独立して、ハロゲン、炭素数1から20のヒドロカルビル基、及びハロゲンで置換された炭素数1から20のヒドロカルビル基中のいずれか一つであり、
[化学式4]
[L-H]+[Z(A)4]-または[L]+[Z(A)4]-
前記化学式4中、
Lは、中性または陽イオン性ルイス塩基であり、Hは、水素原子であり、
Zは、13族元素であり、Aは、それぞれ独立して、炭素数1から20のヒドロカルビル基;炭素数1から20のヒドロカルビルオキシ基;及びこれら置換基の1以上の水素原子がハロゲン、炭素数1から20のヒドロカルビルオキシ基及び炭素数1から20のヒドロカルビルシリル基のうち1以上の置換基で置換された置換基中のいずれか一つである。
【0084】
より具体的に、前記化学式2の化合物は、線状、環状または網状で繰り返し単位が結合されたアルキルアルミノキサン系化合物であってよく、具体的な例としては、メチルアルミノキサン(MAO)、エチルアルミノキサン、イソブチルアルミノキサンまたはtert-ブチルアルミノキサンなどを挙げることができる。
【0085】
また、前記化学式3の化合物の具体的な例としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリブチルアルミニウム、ジメチルクロロアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリ-s-ブチルアルミニウム、トリシクロペンチルアルミニウム、トリペンチルアルミニウム、トリイソペンチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、エチルジメチルアルミニウム、メチルジエチルアルミニウム、トリフェニルアルミニウム、トリ-p-トリルアルミニウム、ジメチルアルミニウムメトキシド、ジメチルアルミニウムエトキシド、トリメチルボロン、トリエチルボロン、トリイソブチルボロン、トリプロピルボロンまたはトリブチルボロンなどを挙げることができ、特にトリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウムまたはトリイソブチルアルミニウムの中から選択されてもよい。
【0086】
また、前記化学式4の化合物としては、三置換されたアンモニウム塩、またはジアルキルアンモニウム塩、三置換されたホスホニウム塩形態のボレート系化合物を挙げることができる。より具体的な例としては、トリメチルアンモニウムテトラフェニルボレート、メチルジオクタデシルアンモニウムテトラフェニルボレート、トリエチルアンモニウムテトラフェニルボレート、トリプロピルアンモニウムテトラフェニルボレート、トリ(n-ブチル)アンモニウムテトラフェニルボレート、メチルテトラデシルオクタデシルアンモニウムテトラフェニルボレート、N,N-ジメチルアニリニウムテトラフェニルボレート、N,N-ジエチルアニリニウムテトラフェニルボレート、N,N-ジメチル(2,4,6-トリメチルアニリニウム)テトラフェニルボレート、トリメチルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、メチルジテトラデシルアンモニウムテトラキス(ペンタフェニル)ボレート、メチルジオクタデシルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリエチルアンモニウム、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリプロピルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリ(n-ブチル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリ(2級-ブチル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N-ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N-ジエチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N-ジメチル(2,4,6-トリメチルアニリニウム)テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリメチルアンモニウムテトラキス(2,3,4,6-テトラフルオロフェニル)ボレート、トリエチルアンモニウムテトラキス(2,3,4,6-テトラフルオロフェニル)ボレート、トリプロピルアンモニウムテトラキス(2,3,4,6-テトラフルオロフェニル)ボレート、トリ(n-ブチル)アンモニウムテトラキス(2,3,4,6-テトラフルオロフェニル)ボレート、ジメチル(t-ブチル)アンモニウムテトラキス(2,3,4,6-テトラフルオロフェニル)ボレート、N,N-ジメチルアニリニウムテトラキス(2,3,4,6-テトラフルオロフェニル)ボレート、N,N-ジエチルアニリニウムテトラキス(2,3,4,6-テトラフルオロフェニル)ボレート、またはN,N-ジメチル-(2,4,6-トリメチルアニリニウム)テトラキス-(2,3,4,6-テトラフルオロフェニル)ボレートなどの三置換されたアンモニウム塩形態のボレート系化合物;ジオクタデシルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジテトラデシルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、またはジシクロヘキシルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートなどのジアルキルアンモニウム塩形態のボレート系化合物;またはトリフェニルホスホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、メチルジオクタデシルホスホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、またはトリ(2,6-ジメチルフェニル)ホスホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートなどの三置換されたホスホニウム塩形態のボレート系化合物などを挙げることができる。
【0087】
このような助触媒の使用により、最終製造されたエチレン/アルファ-オレフィン共重合体の分子量分布がより均一になるに伴い、重合活性が向上され得る。
【0088】
前記助触媒は、前記化学式1の遷移金属化合物の活性化が十分進められ得るよう、適した含量で用いられてもよい。
【0089】
また、前記触媒組成物は、前記化学式1の遷移金属化合物を担体に担持された形態で含むことができる。
【0090】
前記化学式1の遷移金属化合物が担体に担持される場合、遷移金属化合物に対する担体の重量比は1:10から1:1,000、より具体的には1:10から1:500であってもよい。前記範囲の重量比で担体及び遷移金属化合物を含むとき、最適の形状を示し得る。また、前記助触媒が共に担体に担持される場合、助触媒に対する担体の重量比は1:1から1:100、より具体的には1:1から1:50であってもよい。前記重量比で助触媒及び担体を含むとき、触媒活性を向上させ、また、製造される重合体の微細構造を最適化し得る。
【0091】
一方、前記担体としては、シリカ、アルミナ、マグネシアまたはこれらの混合物などが用いられてよく、またはこれらの物質を高温で乾燥して表面の水分を除去することにより、表面に反応性が大きいヒドロキシ基またはシロキサン基を含む状態で用いられてもよい。また、前記高温乾燥した担体は、Na2O、K2CO3、BaSO4及びMg(NO3)2などの酸化物、炭酸塩、硫酸塩、または硝酸塩の成分をさらに含んでもよい。
【0092】
前記担体の乾燥温度は200から800℃が好ましく、300から600℃がさらに好ましく、300から400℃が最も好ましい。前記担体の乾燥温度が200℃未満である場合、水分が多すぎるので表面の水分と助触媒が反応するようになり、800℃を超過する場合は、担体表面の気孔が合わさるにつれて表面積が減少し、また表面にヒドロキシ基が多く無くなってシロキサン基だけ残るようになり、助触媒との反応サイトが減少するため好ましくない。
【0093】
また、前記担体表面のヒドロキシ基の量は、0.1から10mmol/gが好ましく、0.5から5mmol/gである時にさらに好ましい。前記担体表面にあるヒドロキシ基の量は、担体の製造方法及び条件または乾燥条件、例えば、温度、時間、真空またはスプレー乾燥などによって調節することができる。
【0094】
一方、前記エチレン/アルファ-オレフィン共重合体の重合反応は、前記の触媒組成物の存在下に水素を連続的に投入し、エチレン及びアルファ-オレフィン系単量体を連続重合させることで行われてもよい。
【0095】
このとき、前記水素ガスは、重合初期の遷移金属化合物の急激な反応を抑制し、重合反応を終結する役割を担う。これにより、このような水素ガスの使用及び使用量の調節によって、超低分子量の狭い分子量分布を有するエチレン/アルファ-オレフィン共重合体が効果的に製造され得る。
【0096】
前記水素気体は、45から100cc/min、より具体的には50から95cc/minで投入されてもよい。前記条件で投入されるとき、製造されるエチレン/アルファ-オレフィン重合体が本発明における物性的特徴を具現し得る。もし、水素ガスの含量が45cc/min未満で投入されれば、重合反応の終結が均一に起こらないため、所望の物性を有するエチレン/アルファ-オレフィン共重合体の製造が難しくなることがあり、また、100cc/minを超過する場合、終結反応が過度に早く起こるため、分子量が低過ぎるエチレン/アルファ-オレフィン共重合体が製造される虞がある。
【0097】
また、前記重合反応は、80から200℃で行われてもよいが、前記水素の投入量と共に重合温度を制御することで、エチレン/アルファ-オレフィン共重合体内の不飽和官能基の数をさらに容易に調節することができる。これに伴い、具体的に、前記重合反応は100から150℃、より具体的には100から140℃であってもよい。
【0098】
また、前記重合反応時には、反応器内の水分を除去するための有機アルミニウム化合物がさらに投入され、その存在下で重合反応が進行されてもよい。このような有機アルミニウム化合物の具体的な例としては、トリアルキルアルミニウム、ジアルキルアルミニウムハライド、アルキルアルミニウムジハライド、アルミニウムジアルキルハイドライドまたはアルキルアルミニウムセスキハライドなどを挙げることができ、このより具体的な例としては、Al(C2H5)3、Al(C2H5)2H、Al(C3H7)3、Al(C3H7)2H、Al(i-C4H9)2H、Al(C8H17)3、Al(C12H25)3、Al(C2H5)(C12H25)2、Al(i-C4H9)(C12H25)2、Al(i-C4H9)2H、Al(i-C4H9)3、(C2H5)2AlCl、(i-C3H9)2AlClまたは(C2H5)3Al2Cl3などを挙げることができる。このような有機アルミニウム化合物は、反応器に連続的に投入されてよく、適切な水分除去のため、反応器に投入される反応媒質の1kg当り約0.1から10モルの比率で投入されてもよい。
【0099】
また、重合圧力は約1から約100Kgf/cm2、好ましくは約1から約50Kgf/cm2、より好ましくは約5から約30Kgf/cm2であってもよい。
【0100】
また、担体に担持された形態で遷移金属化合物が用いられる場合、前記遷移金属化合物は、炭素数5から12の脂肪族炭化水素溶媒、例えばペンタン、ヘキサン、ヘプタン、ノナン、デカン、及びこれらの異性体と、トルエン、ベンゼンのような芳香族炭化水素溶媒、ジクロロメタン、クロロベンゼンのような塩素原子で置換された炭化水素溶媒などに溶解するか希釈した後に投入されてもよい。これに用いられる溶媒は、少量のアルキルアルミニウムを処理することにより、触媒毒として作用する少量の水または空気などを除去して用いることが好ましく、助触媒をさらに用いて実施することも可能である。
【0101】
前記のような製造方法により製造されたエチレン/アルファ-オレフィン共重合体は、超低分子量と共に狭い分子量分布を有し、同時に結晶化指数が15超過及び25未満を満たして、結晶性に優れる条件を満たす。これにより、高温においても低い粘度を維持することができるようになり、よって、これを含む接着剤組成物は、優れた加工性及び接着特性を具現することができる。
【0102】
(3)接着剤組成物の追加成分
本発明の接着剤組成物は、前記エチレン/アルファ-オレフィン共重合体の他に粘着性付与剤をさらに含むことができる。
【0103】
前記粘着性付与剤は、脂肪族炭化水素樹脂であってよく、例えば、変形されたC5炭化水素樹脂(C5/C9樹脂)、スチレン化されたポリテトラフルオロエチレン樹脂、完全または部分水素化されたC9炭化水素樹脂、水素化された脂環式炭化水素樹脂、水素化された芳香族変性脂環式炭化水素樹脂及びこれらの混合物の中から選択されたものであってもよい。
【0104】
前記粘着性付与剤は、特に制限されるものではないが、前記接着剤組成物100重量部に対して5重量部から70重量部で含まれてよく、具体的には20重量部から70重量部で含まれてもよい。もし、粘着性付与剤が5重量部未満で含まれる場合、接着剤組成物の粘度が高くなるので加工性が低下し、70重量部を超過して含まれる場合には耐熱性が低下し得る。
【0105】
前記エチレン/アルファ-オレフィン共重合体の場合、前記接着剤組成物100重量部に対して10重量部から50重量部で含まれてよく、具体的には15重量部から30重量部で含まれてもよい。前記数値範囲を満たす場合、優れた接着特性を維持することができる。
【0106】
また、前記接着剤組成物は、可塑剤をさらに含むことができる。前記可塑剤は特に制限されるものではないが、例えばパラフィン性またはナフテン性の可塑化オイルであってもよい。具体的には、オレフィンオリゴマー、液体ポリブテン、ポリイソプレン共重合体、液体スチレン-イソプレン共重合体または液体水素化されたスチレン-共役ジエン共重合体のような低分子量重合体、植物性オイル及びその誘導体または微細結晶性ワックスなどであってもよい。
【0107】
前記可塑剤は特に制限されるものではないが、前記接着剤組成物100重量部に対して10重量部から50重量部、具体的には20重量部から40重量部で含まれてもよい。もし、前記可塑剤が10重量部未満で含まれる場合、接着剤組成物の接度が高くなるので加工性が低下し、50重量部を超過して含まれる場合には接着特性が低下し得る。
【0108】
また、前記接着剤組成物は、耐熱性の向上及び色相の改善などのために酸化防止剤をさらに含むことができる。
【0109】
このとき、前記酸化防止剤は特に制限されず、当業界に通常公知のものが用いられてよく、前記接着剤組成物100重量部に対して0.01重量部から5重量部、または0.01重量部から1重量部、または0.05重量部から0.75重量部で含まれてもよい。
【0110】
また、接着剤組成物は、UV安定化剤、着色剤または顔料、充填剤、流動補助剤、カップリング剤、架橋剤、界面活性剤、溶媒、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される1種以上の添加剤をさらに含むことができる。
【0111】
前記充填剤は、砂、タルク、ドロマイト、炭酸カルシウム、粘土、シリカ、雲母、珪灰石、長石、珪酸アルミニウム、アルミナ、水和アルミナ、ガラスビーズ、ガラス微小球、セラミック微小球、熱可塑性微小球、重晶石、木粉、またはこれらの組み合わせから選択されてもよく、充填剤は、総組成物の80重量%以下の量で存在してもよい。
【0112】
本発明の一具現例は、前記接着剤組成物でコーティングされた基板を含む物品を提供する。前記物品はテープ、ラベル、転写紙、箱、ボード、トレー、医療装置、包帯及び衛生用品から選択されてもよいが、これらに制限されない。
【0113】
以下、本発明の理解を助けるために好ましい実施例を提示する。しかし、下記実施例は、本発明をより容易に理解するために提供されるものに過ぎず、これにより本発明の内容が限定されるものではない。
【実施例】
【0114】
[合成例:遷移金属化合物の製造]
段階1:リガンド化合物(1a-1)の製造
250mLのシュレンクフラスコに、1,2-ジメチル-3H-ベンゾ[b]シクロペンタ[d]チオフェン10g(1.0eq、49.925mmol)とTHF100mLを入れ、n-BuLi 22mL(1.1eq、54.918mmol、2.5M in ヘキサン)を-30℃で滴下した後、常温で3時間撹拌した。撹拌したLi-錯体 THF溶液をジクロロ(メチル)(フェニル)シラン8.1mL(1.0eq、49.925mmol)とTHF 70mLが入ったシュレンクフラスコに-78℃でカニュレートした後、常温で一晩中撹拌した。撹拌後に真空乾燥した後、ヘキサン100mLで抽出した。
【0115】
抽出したクロロ-1-(1,2-ジメチル-3H-ベンゾ[b]シクロペンタ[d]チオフェン-3-イル)-1,1-(メチル)(フェニル)シランヘキサン溶液100mLに、t-BuNH
2 42mL(8eq、399.4mmol)を常温で投入した後、常温で一晩中撹拌した。撹拌後に真空乾燥した後、ヘキサン150mLで抽出した。溶媒乾燥後、黄色の固体13.36g(68%、dr=1:1)を得た。
【化12】
1H NMR(CDCl
3, 500 MHz): δ 7.93(t, 2H), 7.79(d,1H), 7.71(d,1H), 7.60(d, 2H), 7.48(d, 2H), 7.40~7.10(m, 10H, aromatic), 3.62(s, 1H), 3.60(s, 1H), 2.28(s, 6H), 2.09(s, 3H), 1.76(s, 3H), 1.12(s, 18H), 0.23(s, 3H), 0.13(s, 3H)
【0116】
段階2:遷移金属化合物(1a)の製造
100mLのシュレンクフラスコに、前記化学式1a-1のリガンド化合物4.93g(12.575mmol、1.0eq)とトルエン50mL(0.2M)を入れ、n-BuLi 10.3mL(25.779mmol、2.05eq、2.5M in ヘキサン)を-30℃で滴下した後、常温で一晩中撹拌した。撹拌後に、MeMgBr 12.6mL(37.725mmol、3.0eq、3.0M in ジエチルエーテル)を滴下した後、TiCl4 13.2mL(13.204mmol、1.05eq、1.0M in トルエン)を順に入れ、常温で一晩中撹拌した。撹拌後に真空乾燥した後、ヘキサン150mLで抽出し、50mLまで溶媒を除去した後、DME 4mL(37.725mmol、3.0eq)を滴下した後、常温で一晩中撹拌した。再び真空乾燥した後、ヘキサン150mLで抽出した。溶媒乾燥後、茶色の固体2.23g(38%、dr=1:0.5)を得た。
【0117】
【化13】
1H NMR(CDCl
3, 500 MHz): δ 7.98(d, 1H), 7.94(d, 1H), 7.71(t, 6H), 7.50~7.30(10H), 2.66(s, 3H), 2.61(s, 3H), 2.15(s, 3H), 1.62(s, 9H), 1.56(s, 9H), 1.53(s, 3H), 0.93(s, 3H), 0.31(s, 3H), 0.58(s, 3H), 0.51(s, 3H), -0.26(s, 3H), -0.39(s, 3H)
【0118】
[エチレン/アルファ-オレフィン共重合体の製造]
製造例1
1.5Lのオートクレーブ連続工程反応器に、ヘキサン溶媒(5.0kg/h)と1-オクテン(1.20kg/h)を満たした後、反応器上端の温度を150℃に予熱した。トリイソブチルアルミニウム化合物(0.5mmol/min)、触媒として前記合成例で製造した遷移金属化合物(1a)(0.40μmol/min)、ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート助触媒(2.40μmol/min)を同時に反応器へ投入した。次いで、前記オートクレーブ反応器の中にエチレン(0.87kg/h)及び水素ガス(85cc/min)を投入し、89barの圧力及び重合温度123.9℃で60分以上維持し、共重合反応を連続進行して共重合体を製造した。
【0119】
次に、残ったエチレンガスを抜き取って、結果として収得された共重合体含有溶液を真空オーブンで12時間以上乾燥した後、収得した共重合体に対して物性を測定した。
【0120】
製造例2から11、及び比較製造例1、5から12
下記表1に記載された含量で反応物質を投入することを除いては、前記製造例1と同一の方法で行って重合体を製造した。
【0121】
比較製造例2
エチレン/アルファ-オレフィン共重合体として、製品名GA1950(2017, The Dow Chemical Company)を適用した。
【0122】
比較製造例3
エチレン/アルファ-オレフィン共重合体として、製品名GA1950(2016, The Dow Chemical Company)を適用した。
【0123】
比較製造例4
エチレン/アルファ-オレフィン共重合体として、製品名GA1900(The Dow Chemical Company)を適用した。
【0124】
【0125】
前記製造例及び比較製造例のエチレン/アルファ-オレフィン共重合体に対し、下記方法で物性を測定して表2、表3に示した。
【0126】
1)密度(Density、g/cm3):ASTMD-792により測定した。
【0127】
2)粘度(Viscosity、cP):Brookfield RVDV3T粘度計を用いて、下記方法により測定した。詳細には、試料を13mlの試料チャンバに入れ、Brookfield Thermoselを用いて180℃に加熱した後、試料が完全に溶ければ粘度計装置を下げてスピンドルを試料チャンバに固定させ、スピンドル(SC-29高温-溶融スピンドル)の回転速度を20rpmに固定した後、20分以上または値が安定化されるまで判読して最終値を記録した。
【0128】
3)溶融指数(MI、dg/min):高分子の溶融指数(Melt Index、MI)は、ASTM D-1238(条件E、190℃、2.16Kg荷重)で測定した。
【0129】
4)重量平均分子量(g/mol)及び分子量分布(MWD):ゲル透過クロマトグラフィー(GPC:gel permeation chromatography、PL GPC220)で、下記条件で数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)をそれぞれ測定し、また、重量平均分子量を数平均分子量で分けて分子量分布を計算した。
-カラム:PL Olexis
-溶媒:TCB(トリクロロベンゼン、Trichlorobenzene)
-流速:1.0ml/min
-試料濃度:1.0mg/ml
-注入量:200μl
-カラム温度:160℃
-検出器(Detector):Agilent High Temperature RI detector
-標準(Standard):ポリスチレン(Polystyrene)(3次関数で補正)
【0130】
5)結晶化ピークの半値幅(Full Width at Half Maximum、FWHM):測定装備は、PolymerChar社のCFCを用いた。先ず、o-ジクロロベンゼンを溶媒とし、共重合体の溶液をCFC分析器内のオーブンで130℃で60分間完全に溶解した後、135℃に調整されたTREFカラムに注入して95℃に冷却し、ここで45分間安定化させた。次いで、TREFカラムの温度を0.5℃/分の速度で-20℃まで低下させた後、-20℃で10分間維持させた。その後、溶離量(質量%)を、赤外線分光光度計を用いて測定した。次いで、事前に設定された温度までTREFカラムの温度を20℃/minの速度で上昇させ、事前に設定された時間(すなわち、約27分)の間に到達した温度で前記温度を維持させる作業を、TREFの温度が130℃に至るまで繰り返し、それぞれの温度範囲の間に溶離された分画の量(質量%)を測定した。また、各温度で溶離された分画をGPCカラムに送り、o-ジクロロベンゼンを溶媒として用いた点を除いては、GPC測定の原理と同様に分子量(Mw)を測定した。FWHM値は、CFCを介して得た温度による溶出量グラフ(dW/dT vs T)をプログラム(Origin)上でガウス曲線(Gaussian curve)の形態にフィット(fitting)した後に計算した。
【0131】
6)結晶化指数(Crystalization Index、CI):測定された溶融指数及びFWHMを用いて下記式1を介して計算した。
【数5】
【0132】
前記式1中、Aは、結晶化温度の測定時に示されるピークの半値幅(Full Width at Half Maximum、FWHM)であり、Bは、溶融指数(Melt Index、MI)であって、ASTM D-1238(条件E、190℃、2.16Kg荷重)で測定した数値であり、単位「dg/min」である場合の数値である。
【0133】
7)溶融温度(Tm、℃):示差走査熱量計(Differential Scanning Calorimeter、DSC、装置名:DSC 2920、製造社:TA instrument)を用いて、重合体の溶融温度を測定した。具体的には、重合体を150℃まで加熱した後、5分間維持し、-100℃まで温度を下げた後、再び温度を増加させた。このとき、温度の上昇速度と下降速度は、それぞれ10℃/minに調節した。溶融温度は、二番目の温度が上昇する区間で測定した吸熱ピークの最大地点とした。
【0134】
8)結晶化温度(Tc、℃):DSCを用いて、溶融温度の測定時と同一の方法で行って、温度を減少させながら示される曲線から発熱ピークの最大地点を結晶化温度とした。
【0135】
9)単量体反応性の比(Re、Rc)の測定:前記製造例4、6-11及び比較製造例6、12で製造したエチレン-アルファオレフィン共重合体を溶媒(1,1,2,2-テトラクロロエタン-d2(TCE-d2))に溶解させた後、直径5mm及び長さ18cmであるチューブに0.4ml程度入れた。その後、前記チューブを13C NMR分光器に配置させ、分光器内の周波数150MHz、温度100℃、d1(relaxation delay time)3s、及びScans 4kの条件でkee、kec、kcc及びkce値を測定し、これを下記式2及び3に代入して単量体反応性の比を計算し、表3に示した。
[式2]
Re(エチレン単量体の反応性の比 )=kee/kec
[式3]
Rc(アルファオレフィン共単量体の反応性の比 )=kcc/kce
(前記式2及び3で、keeは末端の活性点がエチレン単量体である成長鎖にエチレンが付加される際の成長反応速度定数を示し、kecは末端の活性点がエチレン単量体である成長鎖にアルファオレフィン共単量体が付加される際の成長反応速度を示し、kccは末端の活性点がアルファオレフィン共単量体である成長鎖にアルファオレフィン共単量体が付加される際の成長反応速度を示し、kceは末端の活性点がアルファオレフィン共単量体である成長鎖にエチレン単量体が付加される際の成長反応速度定数を示す。)
【0136】
【0137】
【0138】
[接着剤組成物の製造]
実施例1
エチレン/アルファ-オレフィン共重合体として製造例5の共重合体39.5重量%、粘着性付与剤としてSUKOREZ(登録商標) SU-110S(Kolon Industries, Inc.)40重量%、可塑剤としてSASOLWAX H1(SASOL)20重量%、及び酸化防止剤としてIrganox1010(BASF)0.5重量%を含む接着剤組成物を製造した。
【0139】
実施例2から8及び比較例1から8
エチレン/アルファ-オレフィン共重合体、粘着性付与剤、可塑剤及び酸化防止剤の種類及び含量を、それぞれ下記表4に記載されたように異にしたことを除いては、前記実施例1と同一の方式で接着剤組成物を製造した。
【0140】
【0141】
実験例
前記実施例及び比較例の接着剤組成物に対し、下記方法で物性を測定して表5に示した。
【0142】
1)耐熱性(℃):耐熱性評価のため、下記方式でPAFT(Peel Adhesion Failure Temperature)試片を準備した。
HMAコーターに製造された接着剤組成物を溶かした後、シリコン離型処理されたPETフィルムの上に75μmでコーティングし、厚さ75μm、幅25mm、長さ250mmに裁断した。クラフト紙を坪量160g/m2、幅125mm × 長さ210mmに2枚裁断した。クラフト紙の間に、フィルム形態であるHMAを横におき、幅方向に2.5mm間隔でサンプルが8個となるように裁断した。ホットプレートの上板の温度を180℃にセッティングして試片を載せた後、試片の真ん中に1kgの錘で5秒間圧着した。製作された試片は、最小6~24時間以上常温放置し、HMAが完全にセッティングされるようにした。
【0143】
前記PAFT試片に対し、100gの錘を吊るして5℃/10min速度で昇温し、落下時の温度を測定した。
【0144】
2)低温接着性(%):PETフィルム上に100umの厚さでコーティングしたことを除いて、前記PAFT試片の製作と同一の方式で低温接着性の評価のための試片を準備した。
【0145】
温度当り7個以上の試片を準備し、-40℃、-30℃で6から24時間放置した後、低温チャンバ中で方眼目盛りを基準にHMAの繊維引裂け性(fiber tear)の程度を目視で確認し、クラフト紙の残存率を百分率で記録した。
【0146】
3)耐熱変色(YI):JEIO TECH社製の強制循環乾燥オーブン(OF-22)を用いて、下記方法により測定した。詳細には、2.5mm × 2.5mm以内に裁断した後、製造された接着剤組成物100gを坪量する。坪量された試験片を250mlの耐熱ビーカーに入れ、真空オーブン140℃で3、4回にわたって10から20分間加熱して残存する気泡を除去する。ビーカーの入口をアルミニウムホイルで密封した後、熱風オーブンの温度を180℃にセッティングしてから72時間連続加熱する。その後、2mm厚さに試験片を製造してYI値を測定した。YIは、試験片の互いに異なる3部分以上を測定して平均を出した値を用いた。
【0147】
【0148】
前記表5を参照すれば、本発明による接着剤組成物の場合、耐熱性及び低温接着性にいずれも優れることを確認することができる。前記耐熱性の実験は、特定の条件で接着力が維持される限界温度を測定したものであって、これは、間接的な接着力の指標であり、この値が高い場合、高温でも接着力を維持することができるので、高温環境でも使用可能である。また、前記低温接着性の実験は、低温での接着耐久性を測定したものであって、飲料や食品の包装材として用いられるポリオレフィン系ホットメルト接着剤組成物の特性上、重要な接着力の指標である。
【0149】
具体的に、本発明の接着剤組成物は、同一の粘着性付与剤を用いた比較例と比べた場合、より高い温度で剥離現象が起こるため、耐熱性がより優れることが分かる。
また、-40℃及び-30℃の低温でそれぞれ行われた繊維引裂け性(fiber tear)の実験で、クラフト紙の残存率(%)が比較例に比べて遥かに優れた水準に維持されることから、本発明の接着剤組成物の場合、超低温でも優れた接着性を維持することを確認することができる。
【0150】
このように、本発明の接着剤組成物は、結晶化指数が15から25で、結晶性が大きく改善されたエチレン/アルファ-オレフィン共重合体を含むことにより、耐熱性に優れるだけでなく、低温接着性に優れることを確認することができる。