(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-04
(45)【発行日】2022-03-14
(54)【発明の名称】洗浄装置、これを備えためっき装置、及び洗浄方法
(51)【国際特許分類】
C25D 17/00 20060101AFI20220307BHJP
C25D 21/08 20060101ALI20220307BHJP
C25D 17/06 20060101ALI20220307BHJP
C23G 3/00 20060101ALI20220307BHJP
【FI】
C25D17/00 K
C25D21/08
C25D17/06 J
C25D17/06 B
C23G3/00 A
(21)【出願番号】P 2018190133
(22)【出願日】2018-10-05
【審査請求日】2021-04-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100146710
【氏名又は名称】鐘ヶ江 幸男
(74)【代理人】
【識別番号】100186613
【氏名又は名称】渡邊 誠
(72)【発明者】
【氏名】富田 正輝
(72)【発明者】
【氏名】張 紹華
【審査官】▲辻▼ 弘輔
(56)【参考文献】
【文献】特開2014ー214332(JP,A)
【文献】特開2008-045179(JP,A)
【文献】特開2018ー003102(JP,A)
【文献】特表2006ー519932(JP,A)
【文献】特開2004-353048(JP,A)
【文献】特開2001-234399(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2016ー0131232(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0292254(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C25D 17/00-21/22
C23G 1/00-5/06
B08B 3/00-3/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1保持部材と基板を露出させる開口を備えた第2保持部材とを有する基板ホルダを洗浄する洗浄装置であって、
前記基板ホルダを収容するように構成される洗浄槽と、
前記第2保持部材を前記第1保持部材から離間させるように構成されるアクチュエータと、
前記洗浄槽に収容された前記基板ホルダに対して洗浄液を吐出するように構成される洗浄ノズルと、を有し、
前記洗浄ノズルは、前記第2保持部材の前記開口を通過するように構成される、洗浄装置。
【請求項2】
請求項1に記載された洗浄装置において、
前記洗浄ノズルは、前記アクチュエータが前記第2保持部材を前記第1保持部材から離間させたとき、前記第2保持部材の前記開口を通過して、前記第1保持部材と前記第2保持部材の間に配置されるように構成される、洗浄装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載された洗浄装置において、
前記第2保持部材を保持するように構成される保持機構を有し、
前記アクチュエータは、前記第2保持部材を保持した前記保持機構を前記第1保持部材に対して近接及び離間させるように構成される、洗浄装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載された洗浄装置において、
前記洗浄ノズルは、前記第1保持部材に洗浄液を吐出する第1洗浄ノズルと、前記第2保持部材に洗浄液を吐出する第2洗浄ノズルと、を含む、洗浄装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載された洗浄装置において、
前記洗浄槽に収容された前記基板ホルダに対して気体を吹き付けるように構成される乾燥ノズルを有する、洗浄装置。
【請求項6】
請求項5に記載された洗浄装置において、
前記乾燥ノズルは、前記第1保持部材に気体を吹き付ける第1乾燥ノズルと、前記第2保持部材に気体を吹き付ける第2乾燥ノズルと、を含む、洗浄装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載された洗浄装置において、
前記洗浄ノズルが固定されたノズルプレートと、
前記ノズルプレートを回転させるように構成されるモータと、を有する、洗浄装置。
【請求項8】
請求項5又は6に従属する請求項7に記載された洗浄装置において、
前記乾燥ノズルは、前記ノズルプレートに固定される、洗浄装置。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載された洗浄装置と、
めっき液を収容するように構成されるめっき槽と、を有する、めっき装置。
【請求項10】
請求項9に記載されためっき装置において、
前記基板ホルダを搬送するように構成される搬送装置と、
前記基板ホルダを保管するように構成されるストッカと、
前記搬送装置を制御する制御装置と、を有し、
前記制御装置は、前記洗浄装置で洗浄された基板ホルダを前記ストッカに搬送するように前記搬送装置を制御する、めっき装置。
【請求項11】
第1保持部材と基板を露出させる開口を備えた第2保持部材とを有する基板ホルダを洗浄する洗浄方法であって、
前記基板ホルダを洗浄槽に収容する工程と、
前記第2保持部材を前記第1保持部材から離間させる工程と、
洗浄ノズルが前記開口を通過する工程と、
前記第1保持部材と前記第2保持部材との間に前記洗浄ノズルが配置された状態で、前記洗浄ノズルから前記基板ホルダに対して洗浄液を吐出する工程とを有する、洗浄方法。
【請求項12】
請求項11に記載された洗浄方法において、
前記洗浄ノズルが前記開口を通過する工程は、前記第2保持部材が前記第1保持部材から離間したときに、前記洗浄ノズルが前記開口を通過して、前記第1保持部材と前記第2保持部材との間に配置する工程を含む、洗浄方法。
【請求項13】
請求項11又は12に記載された洗浄方法において、
前記洗浄液を吐出する工程は、前記基板ホルダの接点及びシール部材に洗浄液を吐出することを含む、洗浄方法。
【請求項14】
請求項11から13のいずれか一項に記載された洗浄方法において、
前記基板ホルダに対して気体を吹き付けて乾燥させる工程を有する、洗浄方法。
【請求項15】
請求項11から14のいずれか一項に記載された洗浄方法において、
前記洗浄液を吐出する工程は、前記洗浄ノズルが固定されたノズルプレートを回転させることを含む、洗浄方法。
【請求項16】
第1保持部材と基板を露出させる開口を備えた第2保持部材とを有する基板ホルダを洗浄する洗浄装置であって、
前記基板ホルダを収容するように構成される洗浄槽と、
前記第2保持部材を前記第1保持部材から離間させるように構成されるアクチュエータと、
前記洗浄槽に収容された前記基板ホルダに対して洗浄液を吐出するように構成される洗浄ノズルと、を有し、
前記アクチュエータによる第2保持部材を前記第1保持部材から離間させる運動は、前記洗浄ノズルに前記第2保持部材の開口を通過させる、洗浄装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄装置、これを備えためっき装置、及び洗浄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、めっき液を収納しためっき槽に、基板ホルダに保持された基板を鉛直方向に差し込んで電解めっきを行う装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。また、基板ホルダに保持された基板を水平方向にして電解めっきを行う装置も知られている(例えば、特許文献2参照)。このようなめっき装置で使用される基板ホルダは、基板の表面をシールするシールを備えたシールリングホルダと、ベースプレートと、を有する。基板ホルダは、基板の表面をシールして、めっき液が入り込まない空間を形成する。基板ホルダは、この空間内において、基板の表面と接触して基板に電流を流すための電気接点を有する。
【0003】
このような基板ホルダでは、基板の表面を適切にシールすることにより、上記空間にめっき液が入り込むことを防止している。しかしながら、シールの異常等によりめっき液が上記空間に入り込むことがまれに発生する。めっき液が上記空間に入り込むと、めっき液が電気接点と接触して、電気接点が腐食する虞がある。このため、基板ホルダにいわゆるリークが生じてめっき液が電気接点と接触した場合、電気接点を洗浄する必要がある。また、基板ホルダを繰り返し使用すると、シール又は電気接点に異物が付着することがある。このため、基板ホルダのシール及び電気接点を定期的に洗浄することが好ましい。これに関連して、基板ホルダのシール部材等を洗浄する洗浄装置が知られている(特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2013-83242号公報
【文献】米国特許公開第2014/0318977号公報
【文献】特開2008-45179号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以上のような洗浄装置では、基板ホルダのシール及び電気接点に洗浄液を吹き付けて効果的に洗浄するためには、ノズルをシールリングホルダとベースプレートとの間に配置させることが好ましい。しかしながら、ノズルをシールリングホルダとベースプレートとの間に移動させる機構を採用すると、洗浄装置のサイズが大きくなるという問題がある。
【0006】
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、その目的の一つは、基板ホルダのシールリングホルダとベースプレートとの間にノズルを配置させることができ、且つ装置サイズの増大を抑制することができる洗浄装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一形態によれば、第1保持部材と基板を露出させる開口を備えた第2保持部材とを有する基板ホルダを洗浄する洗浄装置が提供される。この洗浄装置は、前記基板ホルダを収容するように構成される洗浄槽と、前記第2保持部材を前記第1保持部材から離間させるように構成されるアクチュエータと、前記洗浄槽に収容された前記基板ホルダに対して洗浄液を吐出するように構成される洗浄ノズルと、を有し、前記洗浄ノズルは、前記第2保持部材の前記開口を通過するように構成される。
【0008】
本発明の他の一形態によれば、めっき装置が提供される。このめっき装置は、上記洗浄装置と、めっき液を収容するように構成されるめっき槽と、を有する。
【0009】
本発明の他の一形態によれば、第1保持部材と基板を露出させる開口を備えた第2保持部材とを有する基板ホルダを洗浄する洗浄方法が提供される。この洗浄方法は、前記基板ホルダを洗浄槽に収容する工程と、前記第2保持部材を前記第1保持部材から離間させる工程と、洗浄ノズルが前記開口を通過する工程と、前記第1保持部材と前記第2保持部材との間に前記洗浄ノズルが配置された状態で、前記洗浄ノズルから前記基板ホルダに対して洗浄液を吐出する工程とを有する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本実施形態に係るめっき装置の全体配置図である。
【
図5A】第1保持部材と第2保持部材が互いに固定されていない状態を示す図である。
【
図5B】第1保持部材と第2保持部材とが互いに固定され、基板側シール部材及びホルダ側シール部材がそれぞれ基板及びボディに接触したロック状態を示す図である。
【
図5C】第1保持部材と第2保持部材とが互いに固定され、基板側シール部材及びホルダ側シール部材が第1保持部材から離間したセミロック状態を示す図である。
【
図6A】引っ掛けリングが引っ掛けピンに係合していない状態の引っ掛けリングの位置を示す平面図である。
【
図6B】引っ掛けリングが引っ掛けピンに係合した状態の引っ掛けリングの位置を示す平面図である。
【
図7】基板ホルダのハンドの一つの拡大斜視図である。
【
図11】本実施形態に係るめっき装置におけるめっき処理を示すフロー図である。
【
図13】ステップS1200の洗浄処理の具体的なフロー図である。
【
図14】他の実施形態に係る基板ホルダを示す概略側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。以下で説明する図面において、同一の又は相当する構成要素には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。
図1は、本実施形態に係るめっき装置の全体配置図である。
図1に示すように、このめっき装置は、2台のカセットテーブル102と、基板のオリフラ(オリエンテーションフラット)やノッチなどの位置を所定の方向に合わせるアライナ104と、めっき処理後の基板を高速回転させて乾燥させるスピンリンスドライヤ106とを有する。カセットテーブル102は、半導体ウェハ等の基板を収納したカセット100を搭載する。スピンリンスドライヤ106の近くには、基板ホルダ10を載置して基板の着脱を行う基板着脱部120が設けられている。これらのユニット100,104,106,120の中央には、これらのユニット間で基板を搬送する搬送用ロボットからなる基板搬送装置122が配置されている。
【0012】
基板着脱部120は、レール150に沿って横方向にスライド自在な平板状の載置プレート152を備えている。2個の基板ホルダ10は、この載置プレート152に水平状態で並列に載置され、一方の基板ホルダ10と基板搬送装置122との間で基板の受渡しが行われる。その後、載置プレート152が横方向にスライドされ、他方の基板ホルダ10と基板搬送装置122との間で基板の受渡しが行われる。
【0013】
めっき装置は、さらに、洗浄装置70と、ストッカ124と、前処理槽126と、プリソーク槽128と、第1洗浄槽130aと、ブロー槽132と、第2洗浄槽130bと、めっき槽110と、を有する。洗浄装置70は、後述するように、基板ホルダ10を定期的に洗浄したり、リークが生じた基板ホルダ10を優先的に洗浄したりする。ストッカ124では、基板ホルダ10の保管及び一時的な仮置きが行われる。前処理槽126では、基板に親水処理が行われる。プリソーク槽128では、基板の表面に形成したシード層等の導電層の表面の酸化膜がエッチング除去される。第1洗浄槽130aでは、プリソーク後の基板が基板ホルダ10と共に洗浄液(純水等)で洗浄される。ブロー槽132では、洗浄後の基板の液切りが行われる。第2洗浄槽130bでは、めっき後の基板が基板ホルダ10と共に洗浄液で洗浄される。
【0014】
めっき槽110は、例えば、オーバーフロー槽136の内部に複数のめっきセル114を収納して構成されている。各めっきセル114は、内部に1つの基板を収納し、内部に保持しためっき液中に基板を浸漬させて基板表面に銅めっき等のめっきを施すように構成される。
【0015】
めっき装置は、これらの各機器の側方に位置して、これらの各機器の間で基板ホルダ10を基板とともに搬送する、例えばリニアモータ方式を採用した基板ホルダ搬送装置140を有する。この基板ホルダ搬送装置140は、第1トランスポータ142と、第2トランスポータ144を有している。第1トランスポータ142は、基板着脱部120、洗浄装置70、ストッカ124、前処理槽126、プリソーク槽128、第1洗浄槽130a、及びブロー槽132との間で基板を搬送するように構成される。第2トランスポータ144は、第1洗浄槽130a、第2洗浄槽130b、ブロー槽132、及びめっき槽110との間で基板を搬送するように構成される。めっき装置は、第2トランスポータ144を備えることなく、第1トランスポータ142のみを備えるようにしてもよい。
【0016】
オーバーフロー槽136の両側には、各めっきセル114の内部に位置してめっきセル114内のめっき液を撹拌する掻き混ぜ棒としてのパドルを駆動する、パドル駆動部160及びパドル従動部162が配置されている。
【0017】
めっき装置は、上述しためっき装置の各部の動作を制御するように構成された制御部145を有する。制御部145は、例えば、めっきプロセスをめっき装置に実行させる所定のプログラムを格納したコンピュータ読み取り可能な記録媒体と、記録媒体のプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)等を有する。制御部145は、例えば、洗浄装置70の動作制御、基板着脱部120の着脱動作制御、基板搬送装置122の搬送制御、基板ホルダ搬送装置140の搬送制御、並びにめっき槽110におけるめっき電流及びめっき時間の制御等を行うことができる。なお、制御部145が有する記録媒体としては、フレキシブルディスク、ハードディスク、メモリストレージ等の磁気的媒体、CD、DVD等の光学的媒体、MO、MD等の磁気光学的媒体等、任意の記録手段を採用することができる。
【0018】
このめっき装置による一連のめっき処理の一例を説明する。まず、カセットテーブル102に搭載したカセット100から、基板搬送装置122で基板を1つ取出し、アライナ104に基板を搬送する。アライナ104は、オリフラやノッチなどの位置を所定の方向
に合わせる。このアライナ104で方向を合わせた基板を基板搬送装置122で基板着脱部120まで搬送する。
【0019】
基板着脱部120においては、ストッカ124内に収容されていた基板ホルダ10を基板ホルダ搬送装置140の第1トランスポータ142で2基同時に把持して、基板着脱部120まで搬送する。そして、2基の基板ホルダ10を基板着脱部120の載置プレート152の上に同時に水平に載置する。この状態で、それぞれの基板ホルダ10に基板搬送装置122が基板を搬送し、搬送した基板を基板ホルダ10で保持する。
【0020】
基板が基板ホルダ10に装着されると、基板着脱部120に設けられたリーク検査装置で基板ホルダ10のリークの有無を検査する。基板ホルダ10にリークが無ければ、基板を保持した基板ホルダ10を基板ホルダ搬送装置140の第1トランスポータ142で2基同時に把持し、前処理槽126に搬送する。次に、前処理槽126で処理された基板を保持した基板ホルダ10を、第1トランスポータ142でプリソーク槽128に搬送し、プリソーク槽128で基板上の酸化膜をエッチングする。続いて、この基板を保持した基板ホルダ10を、第1洗浄槽130aに搬送し、この第1洗浄槽130aに収納された純水で基板の表面を水洗する。
【0021】
水洗が終了した基板を保持した基板ホルダ10は、第2トランスポータ144により、第1洗浄槽130aからめっき槽110に搬送され、めっき液を満たしためっきセル114に収納される。第2トランスポータ144は、上記の手順を順次繰り返し行って、基板を保持した基板ホルダ10を順次めっき槽110の各々のめっきセル114に収納する。
【0022】
各々のめっきセル114では、めっきセル114内のアノード(図示せず)と基板との間にめっき電圧を印加し、同時にパドル駆動部160及びパドル従動部162によりパドルを基板の表面と平行に往復移動させることで、基板の表面にめっきを行う。
【0023】
めっきが終了した後、めっき後の基板を保持した基板ホルダ10を第2トランスポータ144で2基同時に把持し、第2洗浄槽130bまで搬送し、第2洗浄槽130bに収容された純水に浸漬させて基板の表面を純水洗浄する。次に、基板ホルダ10を、第2トランスポータ144によってブロー槽132に搬送し、エアーの吹き付け等によって基板ホルダ10に付着した水滴を除去する。その後、基板ホルダ10を、第1トランスポータ142によって基板着脱部120に搬送する。
【0024】
基板着脱部120では、基板搬送装置122によって基板ホルダ10から処理後の基板が取り出され、スピンリンスドライヤ106に搬送される。スピンリンスドライヤ106は、高速回転によってめっき処理後の基板を高速回転させて乾燥させる。乾燥した基板は、基板搬送装置122によりカセット100に戻される。また、基板を基板ホルダ10から取り外したとき、基板ホルダ10の内部にリークが生じていないか否かを、基板着脱部120に設けられたリーク検査装置により検査する。
【0025】
次に、本実施形態に係るめっき装置に使用される基板ホルダ10について説明する。
図2は、基板ホルダ10の斜視図である。
図2に示すように、基板ホルダ10は、矩形平板状の第1保持部材11と、この第1保持部材11と共に基板を挟み込むように構成される第2保持部材12とを有している。第1保持部材11は、例えばPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)から成るボディ40を有する。ボディ40は、第1保持部材11の外面を構成する筐体の役割を果たす。基板ホルダ10の第1保持部材11の略中央部には、基板Wfが載置される。第2保持部材12は、基板Wfを露出する開口12aを有し、全体的に略環状に形成される。
【0026】
基板ホルダ10の第1保持部材11の端部には、基板ホルダ10をめっき槽110等に吊下げる際の支持部となる一対のハンド15が連結されている。
図1に示したストッカ124等の槽内において、槽の周壁上面にハンド15を引っ掛けることで、基板ホルダ10が垂直に吊下げ支持される。また、第1保持部材11は、基板ホルダ搬送装置140が基板ホルダ10を搬送するときに把持するための一対の開口16を有する。
【0027】
また、ハンド15の一つには、図示しない外部電源と電気的に接続される外部接点部18が設けられている。この外部接点部18は、後述するベースプレート42及び引っ掛けリング45(
図3参照)と電気的に接続されている。外部接点部18は、基板ホルダ10がめっき槽110に吊り下げ支持された際に、めっき槽110側に設けられた給電端子と接触する。なお、
図2には、後述するロッド部材60の一部が示されている。
【0028】
図3は、基板ホルダ10の裏面側斜視図である。
図3において、第1保持部材11のボディ40が透過して示されている。
図3に示すように、第1保持部材11は、バスバー41と、ベースプレート42と、基板載置台43と、吸着パッド44と、引っ掛けリング45と、を有する。
【0029】
バスバー41は、外部接点部18とベースプレート42とを電気的に接続するように構成される。バスバー41は、第1保持部材11に形成されたバスバー用内部通路46に配置される。バスバー41とバスバー用内部通路46を画定する壁面との間は、図示しないシールによって封止される。これにより、バスバー用内部通路46を密閉し、基板ホルダ10の内部空間への液体侵入を防止するとともに、基板ホルダ10の内部空間の気密性を確保することができる。
【0030】
ベースプレート42は、例えばSUS等の導電体から構成される円板である。ベースプレート42は、複数の略扇形の開口を周方向に沿って有し、その中央部においてバスバー41と電気的に接続される。ベースプレート42は、バスバー41から供給された電流を放射状にベースプレート42の外周に向かって流し、引っ掛けリング45に供給するように構成される。基板載置台43は、ボディ40及びベースプレート42に対して移動可能に構成され、後述するように、バネ56により、ベースプレート42から第2保持部材12に向かって付勢される。
【0031】
吸着パッド44は、基板載置台43の表面に設けられ、基板載置台43に配置された基板Wfの裏面を吸着するように構成される。引っ掛けリング45は、ボディ40とベースプレート42との間に設けられ、後述するように、引っ掛けピン26(
図5A-
図5C等参照)が係合することにより、第2保持部材12を第1保持部材11に固定するように構成される。また、引っ掛けリング45は、例えばSUS等の導電体から形成され、ベースプレート42から供給される電流を引っ掛けピン26に流すように構成される。なお、図示の吸着パッドは、略円形の吸盤形状をしているが、これに限らず、周方向に延びる略円環状をなしていてもよい。
【0032】
第1保持部材11は、さらに、ロッド用内部通路49と、リークチェック用ライン50と、基板吸着用真空ライン51と、をその内部に有する。リークチェック用ライン50は、後述するリークチェック穴67(
図7参照)を介して、基板ホルダ10の内部空間と基板ホルダ10の外部とを連通する通路である。基板吸着用真空ライン51は、吸着パッド44と外部とを連通する通路である。なお、本明細書において、基板ホルダ10の内部空間とは、第2保持部材12の後述する基板側シール部材21及びホルダ側シール部材22(
図4参照)によって形成された、基板ホルダ10の内部の密閉された空間をいう。
【0033】
図4は、基板ホルダ10の部分断面斜視図である。図示の例では、基板Wfは省略され
ている。
図4に示すように、第2保持部材12は、シールリングホルダ20と、基板側シール部材21と、ホルダ側シール部材22と、インナーリング23と、コンタクト24と、を有する。シールリングホルダ20は、略板状のリングである。シールリングホルダ20は、第2保持部材12を第1保持部材11に取り付けたときに露出される部材であり、耐めっき液の観点から、例えばPEEK(ポリエーテルエーテルケトン)により形成される。
【0034】
インナーリング23は、第2保持部材12のシールリングホルダ20に図示しない固定部材により取り付けられるリング状の部材である。インナーリング23の径方向内側面には、複数のコンタクト24がビス25により固定される。インナーリング23は、コンタクト24と通電するために、例えばSUS等の導電体により形成される。複数のコンタクト24は、第2保持部材12を第1保持部材11に取り付けたときに、基板Wfの周縁部に沿って、基板Wfと接触するように構成される。
【0035】
基板側シール部材21は、第2保持部材12を第1保持部材11に取り付けたときに、基板Wfの周縁部に沿って、基板Wfと接触するように構成される。ホルダ側シール部材22は、第2保持部材12を第1保持部材11に取り付けたときに、第1保持部材11のボディ40と接触するように構成される。基板側シール部材21及びホルダ側シール部材22は共に略リング状に形成され、シールリングホルダ20とインナーリング23で挟み込むことにより、それぞれ、シールリングホルダ20の内周側及び外周側に密に固定される。基板側シール部材21及びホルダ側シール部材22が基板Wf及びボディ40にそれぞれ接触することで、基板ホルダ10の内部の密閉された空間(内部空間)が形成される。
【0036】
第1保持部材11は、図示のように、ガイドシャフト52と、ストッパ53と、を有する。また、基板載置台43は、ガイドシャフト52が通過する貫通孔54と、ストッパ53が通過する貫通孔55とを有する。ガイドシャフト52及びストッパ53は、それぞれ、一端がベースプレート42に固定され、基板Wfの法線方向と略平行に貫通孔54及び貫通孔55内を延びる。また、ストッパ53は、ベースプレート42に固定された端部とは反対側の端部にフランジ部53aを有する。基板載置台43は、後述するバネ56により、ボディ40及びベースプレート42から第2保持部材12に向かって付勢される。基板載置台43は、ガイドシャフト52により、基板Wfの法線方向と略平行にガイドされる。また、基板載置台43は、後述するバネ56により付勢されたときにストッパ53のフランジ部53aと接触して、移動が制限される。
【0037】
第1保持部材11のボディ40は、引っ掛けリング45を収納するための環状の溝57を有する。引っ掛けリング45は、溝57に沿って引っ掛けリング45の周方向に移動可能に構成される。
【0038】
次に、第2保持部材12を第1保持部材11に固定するプロセスについて説明する。
図5Aから
図5Cは、基板ホルダ10の拡大部分側断面図である。具体的には、
図5Aは、第1保持部材11と第2保持部材12が互いに固定されていない状態を示す図である。
図5Bは、第1保持部材11と第2保持部材12とが互いに固定され、基板側シール部材21及びホルダ側シール部材22がそれぞれ基板Wf及びボディ40に接触したロック状態を示す図である。
図5Cは、第1保持部材11と第2保持部材12とが互いに固定され、基板側シール部材21及びホルダ側シール部材22が第1保持部材11から離間したセミロック状態を示す図である。
【0039】
図5Aに示すように、基板載置台43とベースプレート42との間には、基板載置台43を第2保持部材12に向けて付勢するように構成されたバネ56が設けられる。バネ5
6の一端はベースプレート42に形成された凹部42aに収納され、バネ56の他端は基板載置台43に形成された凹部43aに収納される。
図5Aに示すように第2保持部材12が第1保持部材11から離間しているときは、バネ56により、基板載置台43はベースプレート42から最も離間した位置に付勢される。
【0040】
第2保持部材12は、引っ掛けリング45と係合可能に構成される引っ掛けピン26を有する。引っ掛けピン26は、引っ掛けリング45から供給される電流をインナーリング23に流すために、例えばSUS等の導電体で形成される。引っ掛けピン26の一端は、インナーリング23に固定される。また、引っ掛けピン26の他端には、ロック用大径部26aと、小径部26bと、セミロック用大径部26cとが形成される。小径部26bは、ロック用大径部26aよりも小さな径を有する。セミロック用大径部26cは、小径部26bよりも大きな径を有する。本実施形態においては、ロック用大径部26aとセミロック用大径部26cは、ほぼ同一の径を有する。図示のように、小径部26bは、ロック用大径部26aとセミロック用大径部26cとの間に位置する。また、ロック用大径部26aは、セミロック用大径部26cよりもインナーリング23側に位置する。
【0041】
第1保持部材11のベースプレート42は、ピン26が通過可能な開口部42bを有する。また、ボディ40は、ピン26のロック用大径部26a、小径部26b、及びセミロック用大径部26cが通過可能な凹部40aを有する。
図5Aに示すように、引っ掛けリング45は、引っ掛けピン26のロック用大径部26a、小径部26b、セミロック用大径部26cが通過可能な貫通孔45aを有する。
【0042】
基板ホルダ10で基板Wfを保持するときは、
図1に示した基板着脱部120は、第2保持部材12を第1保持部材11に押し付ける。このとき、引っ掛けピン26のロック用大径部26a、小径部26b、セミロック用大径部26cは、開口部42b及び引っ掛けリング45の貫通孔45aを通過し、ボディ40の凹部40a内に位置する。また、
図5Bに示すように、基板側シール部材21は基板Wfの表面に圧接され、ホルダ側シール部材22はボディ40に圧接される。基板側シール部材21が基板Wfの表面に押し付けられることにより、
図5Bに示すように基板載置台43のバネ56が収縮する。これにより、基板Wfの厚さが様々であっても、基板側シール部材21が適切に基板Wf表面をシールすることができる。
【0043】
図5Bに示すように、引っ掛けリング45は、引っ掛けピン26のロック用大径部26aが通過不可能な貫通孔45bを有する。貫通孔45aと貫通孔45bは、後述する
図6A及び
図6Bに示すように、互いに連通し、連続して形成される。
図1に示した基板着脱部120は、ロック用大径部26aが引っ掛けリング45の貫通孔45aを通過した状態、即ち基板側シール部材21及びホルダ側シール部材22を第1保持部材11に圧接した状態で、引っ掛けリング45を周方向に移動させる。
【0044】
これにより、
図5Bに示すように、引っ掛けピン26のロック用大径部26aが、引っ掛けリング45の貫通孔45bに係合し、ロック用大径部26aが引っ掛けリング45の貫通孔45bから抜けなくなる。このように、基板ホルダ10は、基板側シール部材21及びホルダ側シール部材22を基板Wf及びボディ40にそれぞれ圧接して、基板Wfを保持することができる。本実施形態において、
図5Bに示すように、基板側シール部材21が基板Wfに接触し、ホルダ側シール部材22が第1保持部材11に接触して、第1保持部材11と第2保持部材12とが互いに固定された状態をロック状態という。
【0045】
図5Bに示すロック状態における電流の経路について説明する。図示しない電力源から、外部接点部18に接続されたバスバー41(
図3参照)を介して、ベースプレート42に電流が流れる。
図5Bに示すロック状態では、引っ掛けリング45と引っ掛けピン26
とが互いに接触しているので、ベースプレート42、引っ掛けリング45、引っ掛けピン26、インナーリング23を通じて、基板Wfと接触しているコンタクト24に電流が流れる。
【0046】
図5Bに示すように、引っ掛けピン26及び引っ掛けリング45は、基板ホルダ10の内部空間に位置する。これにより、引っ掛けピン26及び引っ掛けリング45は、基板ホルダ10がめっき液に浸漬されたときでもめっき液と接触しない。したがって、第1保持部材11と第2保持部材12とを互いに固定するための機構により、めっき液がめっき槽から持ち出されることがなく、基板ホルダ10に付着するめっき液の量を減少させることができる。
【0047】
ところで、基板ホルダ10は、めっき処理が終了した後、基板着脱部120において基板Wfが取り除かれ、ストッカ124に一時的に仮置きされる。このとき、ホルダ側シール部材22が第1保持部材11のボディ40に接触したままであると、ホルダ側シール部材22の変形または劣化の原因になり得る。基板側シール部材21が基板載置台43に接触したままストッカ124に仮置きされた場合も同様に基板側シール部材21が変形または劣化し得る。そこで、本実施形態の基板ホルダ10は、基板側シール部材21及びホルダ側シール部材22が第1保持部材11に接触しない状態で、第2保持部材12を第1保持部材11に取り付けることができる。本実施形態において、
図5Cに示すように、基板側シール部材21及びホルダ側シール部材22が第1保持部材11に接触せずに、第1保持部材11と第2保持部材12とが互いに固定された状態をセミロック状態という。
【0048】
基板ホルダ10をセミロック状態にするときは、
図1に示した基板着脱部120は、引っ掛けピン26のセミロック用大径部26cのみを、引っ掛けリング45の貫通孔45aを通過させ、ボディ40の凹部40a内に位置させる。このときに基板側シール部材21及びホルダ側シール部材22が第1保持部材11と接触しないように、引っ掛けピン26の長さが設計される。続いて、
図1に示した基板着脱部120は、セミロック用大径部26cだけが引っ掛けリング45の貫通孔45aを通過した状態で、引っ掛けリング45を周方向に移動させる。これにより、
図5Cに示すように、セミロック用大径部26cとロック用大径部26aの間に引っ掛けリング45が入り込む、その結果、セミロック用大径部26cがリング45の貫通孔45bに係合して、セミロック用大径部26cがリング45の貫通孔45bから抜けなくなる。このように、基板ホルダ10は、基板側シール部材21及びホルダ側シール部材22が第1保持部材11に接触しない状態で、第1保持部材11と第2保持部材とを互いに固定することができる。
【0049】
次に、引っ掛けリング45の移動機構について説明する。
図6Aは、引っ掛けリング45が引っ掛けピン26に係合していない状態の引っ掛けリング45の位置を示す平面図である。
図6Bは、引っ掛けリング45が引っ掛けピン26に係合した状態の引っ掛けリング45の位置を示す平面図である。図示のように、引っ掛けリング45の貫通孔45aは略円形であり、貫通孔45bは細長いスリット状であり、貫通孔45aと貫通孔45bが互いに連通して一つの貫通孔を形成している。なお、貫通孔45a及び貫通孔45bの形状は任意である。また、本実施形態では、引っ掛けリング45は貫通孔45a及び貫通孔45bを有するが、これらに代えて、同様の機能を発揮する切欠きを有していてもよい。
【0050】
また、基板ホルダ10は、
図3に示したロッド用内部通路49内に延びるロッド部材60と、引っ掛けリング45と連結した中間部材61と、を有する。ロッド部材60は、
図2及び
図3に示したように一端が基板ホルダ10の外部に位置し、
図6A及び
図6Bに示すように他端が中間部材61の一端にピボット結合される。ロッド部材60は、軸方向に移動可能に構成される。具体的には、
図1に示した基板着脱部120は、基板ホルダ10の外部に位置するロッド部材60を操作して、ロッド部材60を軸方向に移動させること
ができる。
【0051】
ロッド部材60は、基板ホルダ10の外部から、基板ホルダ10の内部空間まで延在する。したがって、
図3に示したロッド用内部通路49は、基板ホルダ10の外部と内部空間とを連通している。このため、ロッド用内部通路49を通じて基板ホルダ10の内部空間に液体が浸入することを防止し、さらに後述するように基板ホルダ10の内部空間のリークの有無を確認できるように、基板ホルダ10は、ロッド用内部通路49を画定する壁面とロッド部材60の外周面との間を封止するパッキンを有することが好ましい。
【0052】
中間部材61は、例えば細長い板状の部材であり、一端がロッド部材60とピボット結合され、他端が引っ掛けリング45にピボット結合される。なお、本実施形態においては、ロッド部材60と中間部材61とが直接的に連結されているが、これに限らずロッド部材60と中間部材61との間に他の部材を介在させて、ロッド部材60と中間部材61とが間接的に連結されていてもよい。ロッド部材60と中間部材61は、共に引っ掛けリング45を周方向に移動させるためのリンク機構を構成する。
【0053】
また、基板ホルダ10は、ボディ40に固定されたストッパピン62を有する。引っ掛けリング45には、スリット63が周方向に沿って設けられる。図示のように、スリット63には、ストッパピン62が挿入される。
【0054】
引っ掛けピン26を引っ掛けリング45に係合させるときは、まず、
図6Aに示すように引っ掛けピン26を引っ掛けリング45の貫通孔45aに挿入する。具体的には、基板ホルダ10を、
図5Bに示したロック状態にする場合は、引っ掛けピン26のロック用大径部26aを貫通孔45aに通過させる。また、基板ホルダ10を、
図5Cに示したセミロック状態にする場合は、引っ掛けピン26のセミロック用大径部26cのみを貫通孔45aに通過させる。
【0055】
続いて、基板着脱部120により、ロッド部材60を
図6Aに示す状態から、下方に移動させる。これにより、ロッド部材60の軸方向の移動が、中間部材61を介して、引っ掛けリング45の周方向の移動に変換される。具体的には、引っ掛けリング45は、ボディ40に形成された溝57にガイドされて周方向に移動する。これにより、
図6Bに示されるように、貫通孔45aに挿入されていた引っ掛けピン26は、貫通孔45b内に位置する。具体的には、ロック用大径部26a又はセミロック用大径部26cがリング45の貫通孔45bから抜けなくなる。また、
図6Bに示すように、ストッパピン62は、スリット63の端部に接触し、引っ掛けリング45のさらなる周方向の移動を制限することができる。
【0056】
図7は、基板ホルダ10のハンド15の一つの拡大斜視図である。図示のように、ハンド15の側方には、
図3に示した吸着パッド44と、基板吸着用真空ライン51を介して流体連通するバキューム穴66と、基板ホルダ10の内部空間と、
図3に示したリークチェック用ライン50を介して流体連通するリークチェック穴67とが形成される。
【0057】
リークチェック穴67の使用方法について説明する。基板Wfにめっきをするとき、まず、
図1に示した基板着脱部120が基板Wfを基板ホルダ10に保持させる。基板着脱部120が第2保持部材12を第1保持部材11に取り付けて、
図5Bに示したロック状態にしたとき、基板側シール部材21とホルダ側シール部材22とにより、基板ホルダ10の内部に密閉された空間(内部空間)が形成される。このとき、真空源又は加圧源に接続された図示しないノズルがリークチェック穴67に挿入される。続いて、リークチェック穴67を介して基板ホルダ10の内部空間が真空に引かれるか、又は加圧される。
【0058】
基板側シール部材21及びホルダ側シール部材22が適切に第1保持部材11と第2保持部材12の間を封止していれば、基板ホルダ10の内部空間の圧力は低下又は上昇する。一方で、基板側シール部材21及びホルダ側シール部材22の破損等により、第1保持部材11と第2保持部材12の間が適切に封止されていない場合、空気が内部空間に流入するか、空気が内部空間から外に流出する。即ち、基板ホルダ10の内部空間にいわゆるリークが生じている場合、基板ホルダ10の内部空間の圧力が適切に低下又は上昇しない。このため、本実施形態では、基板ホルダ10の内部空間が真空に引かれるか又は加圧されたときに、基板着脱部120に設けられ、リークチェック穴67に挿入されるノズルよりも真空源又は加圧源に近い側に設けられる図示しない圧力計により内部空間内の圧力を測定することができる。圧力計に代えて、流量計により微小流量を測定してもよい。これにより、基板Wfにめっきをする前に、基板ホルダ10の内部空間にリークがあるか否かをチェックすることができる。
【0059】
次に、以上で説明した基板ホルダ10を洗浄する洗浄装置70の構成について詳細に説明する。
図8は、洗浄装置70の一部を示す斜視図である。
図9は、洗浄装置70の一部を示す縦断面図である。
図10は、洗浄装置70の一部を示す横断面図である。なお、洗浄装置70は、基板ホルダ10を収容するように構成される洗浄槽72(
図12A-
図12D参照)を有するが、
図8から
図10においては洗浄槽72が省略されている。また、
図8から
図10においては、説明の便宜上、洗浄槽72に収容された状態の基板ホルダ10が図示されている。
【0060】
図8から
図10に示すように、洗浄装置70は、クランプ74(保持機構の一例に相当する)と、スライドアクチュエータ76と、洗浄ノズル78と、乾燥ノズル80と、を有する。クランプ74は、基板ホルダ10の第2保持部材12を保持するように構成される。クランプ74は、一対のクランプシリンダ74aによって駆動され、第2保持部材12のシールリングホルダ20の側面を挟み込んで第2保持部材12を保持する。一対のクランプシリンダ74aは、接続部材75によって互いに接続される。スライドアクチュエータ76は、接続部材75を介して、一対のクランプシリンダ74a及び一対のクランプ74を、基板ホルダ10の第1保持部材11に対して近接及び離間させるように構成される。具体的には、本実施形態では、クランプシリンダ74aはスライドホイール74bを有し、スライドアクチュエータ76は、基板ホルダ10の厚さ方向に延びるスライドレール77に沿ってクランプ74を水平方向に移動させる。したがって、スライドアクチュエータ76は、第2保持部材12を保持した状態のクランプ74を移動させることで、第2保持部材12を第1保持部材11に対して近接及び離間させることができる。クランプシリンダ74aとしては、例えば、油圧式、水圧式、空気圧式、又は電気式のシリンダを採用することができる。
【0061】
洗浄装置70は、さらに、洗浄ノズル78及び乾燥ノズル80が固定されるノズルプレート82を有する。ノズルプレート82は、略円盤状を形成し、その外径は第2保持部材12の内径、即ち開口12a(
図2参照)の径よりも小さい。複数の洗浄ノズル78及び乾燥ノズル80のそれぞれが、ノズルプレート82の両面に配置される。ノズルプレート82の第1保持部材11側に設けられる洗浄ノズル78(第1洗浄ノズルの一例に相当する)及び乾燥ノズル80(第1乾燥ノズルの一例に相当する)は、少なくとも、第1保持部材11の第2保持部材12が取り付けられる部分を洗浄及び乾燥するように構成される。ノズルプレート82の第1保持部材11とは反対側に設けられる洗浄ノズル78(第2洗浄ノズルの一例に相当する)及び乾燥ノズル80(第2乾燥ノズルの一例に相当する)は、少なくとも、第2保持部材12の基板側シール部材21、ホルダ側シール部材22、及びコンタクト24を洗浄及び乾燥するように構成される。
【0062】
ノズルプレート82には、DIW(DeIonized-Water)等の洗浄液を洗
浄ノズル78に供給する洗浄液入口部84、及び窒素又は空気等の気体を乾燥ノズル80に供給する気体入口部85が接続される。これにより、洗浄ノズル78は、基板ホルダ10に対して洗浄液を吐出することができる。また、乾燥ノズル80は、基板ホルダ10に対して気体を吹き付けることができる。なお、洗浄液及び乾燥用の気体の少なくとも一つは、常温(室温)よりも高い温度で基板ホルダ10に吐出又は吹付けするようにしてもよい。それにより、基板ホルダ10の洗浄能力又は乾燥能力を高めることができる。
【0063】
ノズルプレート82は、基板ホルダ10の厚さ方向に延びる回転軸83を略中央部に有する。本実施形態では、洗浄液入口部84及び気体入口部85は、回転軸83に設けられる。すなわち、基板ホルダ10に噴射する洗浄液及び気体は、回転軸83及びノズルプレート82内の供給経路を通って洗浄ノズル78及び乾燥ノズル80から供給される。回転軸83はその端部にプーリ部83aを有する。洗浄装置70は、さらに、モータ86とベルト87とを有する。モータ86と回転軸83のプーリ部83aとがベルト87により連結され、モータ86の回転がプーリ部83aに伝達されるように構成される。これにより、モータ86が駆動することにより、ノズルプレート82が周方向に回転するように構成される。一方で、ノズルプレート82は、基板ホルダ10の厚さ方向(
図9、
図10における左右方向)には移動しないように構成される。ただし、機構上又は洗浄装置70の大きさの制約において許容される場合には、ノズルプレート82は、基板ホルダ10の厚さ方向に移動するようにしてもよい。
【0064】
基板ホルダ10は、洗浄装置70の図示しない洗浄槽72に収容されるとき、ハンド15が洗浄槽72の縁に載置される。洗浄装置70は、洗浄槽72に収容された基板ホルダのハンド15を洗浄槽72に固定するためのホルダ固定クランプ90を有する。ホルダ固定クランプ90は水平方向に延びる略棒状の部材であり、クランプ回転シリンダ90aにより鉛直軸回りに回転しながら上昇および下降するように構成される。基板ホルダ10のハンド15が洗浄槽72の縁に載置された状態で、クランプ回転シリンダ90aによりホルダ固定クランプ90をハンド15の上方に位置させ、基板ホルダ10を下向きに押し付ける。これにより、基板ホルダ10の洗浄時に基板ホルダ10が移動することが抑制される。クランプ回転シリンダ90aとしては、例えば、油圧式、水圧式、空気圧式、又は電気式のシリンダを採用することができる。
【0065】
洗浄装置70は、基板ホルダ10のロック状態を調節するためのセミロック/アンロック機構88を有する。セミロック/アンロック機構88は、セミロック/アンロックシリンダ88aと、セミロック/アンロック回転シリンダ88bと、係合フック88cとを有する。係合フック88cは、例えば略板状の部材であり、基板ホルダ10のロッド部材60と係合可能に構成される。セミロック/アンロックシリンダ88aは、係合フック88cを鉛直方向に駆動させるように構成される。セミロック/アンロック回転シリンダ88bは、係合フック88cを鉛直軸回りに回転させるように構成される。セミロック/アンロックシリンダ88a及びセミロック/アンロック回転シリンダ88bとしては、例えば、油圧式、水圧式、空気圧式、又は電気式のシリンダを採用することができる。
【0066】
次に、以上で説明した洗浄装置を有するめっき装置におけるめっき処理について説明する。
図11は、本実施形態に係るめっき装置におけるめっき処理を示すフロー図である。以下で説明するめっき処理は、制御部145がめっき装置各部を制御することにより実行される。めっき処理を開始するために、まず、基板搬送装置122により、カセット100から基板Wfが取り出されて、基板着脱部120に搬送される。基板着脱部120が基板Wfを基板ホルダ10に取り付ける(ステップS1101)。
【0067】
基板着脱部120は、続いて、
図7に示したリークチェック穴67に真空源又は加圧源に接続された図示しないノズルを挿入し、基板ホルダ10の内部空間を真空引きするか、
又は加圧する。図示しない圧力計により、内部空間内の圧力が測定される。即ち、基板着脱部120において、基板ホルダ10のリーク検知処理が行われる(ステップS1102)。制御部145は、この圧力計の測定値を受信して、内部空間にリークがあるか否かを判定する(ステップS1103)。
【0068】
制御部145が、内部空間にリークが無いと判定した場合(ステップS1103,No)、基板ホルダ10に保持された基板Wfは、
図1に示した後続する各処理槽で、めっき処理等が行われる(ステップS1104)。ブロー槽132において、水滴が除去された基板ホルダ10は、再び基板着脱部120に搬送される。基板着脱部120は、第2保持部材12を第1保持部材11から取り外し、基板Wfを基板ホルダ10から取り外す(ステップS1105)。
【0069】
基板着脱部120は、続いて、基板ホルダ10のリーク検知処理を行う(ステップS1106)。具体的には例えば以下のようにリーク検知処理が行われる。即ち、基板着脱部120は、第1保持部材11から第2保持部材12を取り外した状態で、図示しないカメラ等の画像センサにより、基板ホルダ10の内部空間を形成する第1保持部材11及び第2保持部材12の表面領域の少なくとも一部の画像を取得する。取得された画像は、制御部145に送信される。制御部145は、液体が付着していないときの上記表面領域の画像データを予め記録媒体に記録している。制御部145は、液体が付着していないときの上記表面領域と、画像センサが取得した上記表面領域の画像データを比較して、液体が付着しているか否か、即ち内部空間にリークがあるか否かを判定する(ステップS1107)。
【0070】
基板ホルダ10がリークしていないと制御部145が判定したとき(ステップS1107,No)、制御部145は、基板ホルダ10をストッカ124に戻すように基板ホルダ搬送装置140を制御する。
【0071】
ステップS1103又はステップS1107において、制御部145が、基板ホルダ10の内部空間にリークがあったと判定したとき(ステップS1103,Yes又はステップS1107,Yes)、基板ホルダ10が洗浄される(ステップS1200)。具体的には、制御部145は、基板ホルダ10を洗浄装置70に搬送するように基板ホルダ搬送装置140を制御する。制御部145は、リークがあったと判定したとき、基板ホルダ10を一時的にストッカ124に搬送してもよい。この場合、制御部145は、洗浄装置70が空いているか否かを確認し、洗浄装置70が空いている場合に、基板ホルダ10を洗浄装置70に搬送するように基板ホルダ搬送装置140を制御することができる。
【0072】
基板ホルダ10が洗浄されると、基板ホルダ10はストッカ124に戻される。その後、制御部145は、例えば、基板ホルダ10の内部空間にリークがあった旨を管理者に通知してもよい(ステップS1109)。具体的には、制御部145は、図示しない発音装置、振動装置、又は発光装置等の報知装置を制御して、管理者に通知することができる。これにより、管理者は基板ホルダ10にリークがあったことが判り、例えば基板ホルダ10を交換及びメンテナンスすることができる。また、洗浄した基板ホルダ10を再び使用してもよい。即ち、洗浄した基板ホルダ10に基板Wfを取り付けて、基板Wfのめっき処理を行ってもよい。若しくは、制御部145は、洗浄した基板ホルダ10を使用しないようにすることもできる。具体的には例えば、制御部145は、基板ホルダ10毎にリークがあったと判定された回数をカウントしておく。当該回数が例えば2回に達したときに、その基板ホルダ10を使用しないようにストッカ124に保管することができる。
【0073】
図11で説明したフローにおいて、ステップS1200の基板ホルダ10の洗浄処理は、リークが検知された場合に行われているが、これに限られない。例えば、リークの有無
に関わらず、基板ホルダ10を洗浄装置で定期的に(例えば1日1回)洗浄するようにしてもよい。
【0074】
次に、
図11に示したステップS1200の洗浄処理について具体的に説明する。
図12Aから
図12Dは、洗浄装置70の概略側断面図である。
図12Aから
図12Dにおいては、洗浄装置70は簡略化して示されており、一部の構成要素が省略されている。例えば、
図12Aから
図12Dにおいては、ノズルプレート82の回転軸83は省略されている。
図13は、ステップS1200の洗浄処理の具体的なフロー図である。以下、
図12Aから
図12D及び
図13を参照して洗浄処理について説明する。
【0075】
図12Aに示すように、まず、基板ホルダ搬送装置140が基板ホルダ10を洗浄装置70の洗浄槽72に収納する(ステップS1301)。このとき、基板ホルダ10は、基板Wfを保持していないので、セミロック状態で洗浄槽72に収納される。続いて、制御部145は、
図8に示したクランプ回転シリンダ90aを制御して、ホルダ固定クランプ90で基板ホルダ10を洗浄槽72に固定する(ステップS1302)。
【0076】
制御部145は、クランプシリンダ74aを制御して、クランプ74でシールリングホルダ20を保持する(ステップS1303)。シールリングホルダ20、即ち第2保持部材12がクランプ74により保持された状態で、制御部145は、セミロック/アンロック機構88を制御して、ロッド部材60を操作する。具体的には、制御部145は、セミロック/アンロック回転シリンダ88bを制御して、係合フック88cをロッド部材60に係合させる。続いて、制御部145は、セミロック/アンロックシリンダ88aを制御して係合フック88cを鉛直方向に駆動させ、ロッド部材60を鉛直方向に移動させる。これにより、
図6A及び
図6B等に示した引っ掛けリング45を溝57に沿って周方向に移動させて、引っ掛けピン26と引っ掛けリング45との係合を解除する。これにより、基板ホルダ10がアンロックされる(ステップS1304)。
【0077】
続いて、制御部145は、スライドアクチュエータ76を制御して、シールリングホルダ20を保持したクランプ74を第1保持部材11から離間させる。このとき、ノズルプレート82は、第2保持部材12の開口12aの内側を通過する。言い換えれば、ノズルプレート82に固定された洗浄ノズル78及び乾燥ノズル80は、第2保持部材12を第1保持部材11から離間させたとき、第2保持部材12の開口12aを通過するように配置される。これにより、ノズルプレート82は、第1保持部材11と第2保持部材12との間に位置される。
【0078】
なお、ノズルプレート82が、図示しないアクチュエータ等により基板ホルダ10の厚さ方向に移動することができる場合には、スライドアクチュエータ76の駆動と、ノズルプレート82との駆動をそれぞれ行ってもよい。即ち、例えば、スライドアクチュエータ76がシールリングホルダ20を保持したクランプ74を第1保持部材11から離間させた後、又はこれと同時に、ノズルプレート82を基板ホルダ10の厚さ方向に移動させて、ノズルプレート82を第2保持部材12の開口12aの内側を通過させることができる。これにより、ノズルプレート82は、第1保持部材11と第2保持部材12との間に配置される。
【0079】
続いて、制御部145は第1保持部材11及び第2保持部材12の洗浄及び乾燥を行う(ステップS1306)。具体的には、
図12Bに示すように、洗浄ノズル78及び乾燥ノズル80が第1保持部材11と第2保持部材12の間に配置された状態で、ノズルプレート82を周方向に回転させながら、洗浄ノズル78から洗浄液を吐出させる。これにより、第2保持部材12の基板側シール部材21、ホルダ側シール部材22、及びコンタクト24の全周、並びに第1保持部材11に洗浄液を吐出することができる。
【0080】
また、洗浄ノズル78による洗浄が終わった後、
図12Cに示すように、同一の洗浄槽72において、ノズルプレート82を周方向に回転させながら、乾燥ノズル80から気体を噴出させる。これにより、第2保持部材12の基板側シール部材21、ホルダ側シール部材22、及びコンタクト24の全周、並びに第1保持部材11に気体を吹き付けて、乾燥させることができる。
【0081】
乾燥ノズル80による乾燥が終わった後、制御部145は、スライドアクチュエータ76を制御して、第2保持部材12を保持したクランプ74を第1保持部材11に近接させる(ステップS1307)。このとき、ノズルプレート82は、第2保持部材12の開口12aの内側を通過する。また、第2保持部材12に設けられた引っ掛けピン26のセミロック用大径部26cのみが、第1保持部材11に設けられた引っ掛けリング45の貫通孔45aに挿入される(
図6A等参照)。制御部145は、セミロック/アンロックシリンダ88aを制御して係合フック88cを鉛直方向に駆動させ、ロッド部材60を鉛直方向に移動させる。これにより、
図6A及び
図6B等に示した引っ掛けリング45を溝57に沿って周方向に移動させて、引っ掛けピン26と引っ掛けリング45とを係合させる。これにより、
図12Dに示すように、基板ホルダ10がセミロックされる(ステップS1308)。
【0082】
なお、ノズルプレート82が、図示しないアクチュエータ等により基板ホルダ10の厚さ方向に移動することができる場合には、スライドアクチュエータ76の駆動と、ノズルプレート82との駆動をそれぞれ行ってもよい。即ち、例えば、スライドアクチュエータ76がシールリングホルダ20を保持したクランプ74を第1保持部材11に近接させた後、又はこれと同時に、ノズルプレート82を基板ホルダ10の厚さ方向に移動させて、ノズルプレート82を第2保持部材12の開口12aの内側を通過させることができる。これにより、ノズルプレート82は、
図12Dに示す位置に配置される。
【0083】
続いて、制御部145は、クランプシリンダ74aを制御して、第2保持部材12を解放する(ステップS1309)。このとき、基板ホルダ10がセミロックされているので、第2保持部材12を解放しても第2保持部材12が落下することはない。最後に、制御部145は、
図8に示したクランプ回転シリンダ90aを制御して基板ホルダ10の洗浄槽72への固定を解除する(ステップS1310)。
【0084】
第2保持部材12の基板側シール部材21及びホルダ側シール部材22、並びにコンタクト24等を洗浄し、且つ第1保持部材11を洗浄するためには、洗浄ノズル78及び乾燥ノズル80を、第1保持部材11と第2保持部材との間に配置することが好ましい。そこで、洗浄ノズル78及び乾燥ノズル80を、基板ホルダ10の側方又は上下方向から第1保持部材11と第2保持部材との間に出し入れするような構成を採用することも考えられる。しかしながらこの場合、洗浄ノズル78及び乾燥ノズル80を移動させる構成、並びに洗浄ノズル78及び乾燥ノズル80の移動のための大きなスペースが必要になり、洗浄装置70のコスト及びサイズが増大する。
【0085】
そこで、本実施形態によれば、洗浄ノズル78及び乾燥ノズル80に第2保持部材12の開口12aを通過させる。これにより、洗浄ノズル78及び乾燥ノズル80を基板ホルダ10の側方又は上下方向から第1保持部材11と第2保持部材との間に出し入れするような構成に比べて、洗浄装置70のサイズの増大を抑制することができる。また、本実施形態では、洗浄ノズル78及び乾燥ノズル80を移動させずに第2保持部材12を第1保持部材11から取り外すことで、洗浄ノズル78及び乾燥ノズル80を第1保持部材11及び第2保持部材12の間に配置させることができる。このため、洗浄ノズル78及び乾燥ノズル80を移動させる機構が不要とすることができ、当該機構による洗浄装置70の
サイズ及びコストの増大も抑制することができる。
【0086】
また、本実施形態によれば、ノズルプレート82は、第1保持部材11に洗浄液を吐出する洗浄ノズル78と、第2保持部材12に洗浄液を吐出する洗浄ノズル78を有する。その結果、第1保持部材11と第2保持部材12とを同時に洗浄することができ、洗浄効率が良好である。
【0087】
また、本実施形態によれば、洗浄装置70は、洗浄槽72に収容された基板ホルダ10に気体を吹き付けるための乾燥ノズル80を有するので、同一の洗浄槽72で基板ホルダ10の洗浄と乾燥を行うことができる。したがって、洗浄のみを行う槽と、乾燥のみを行う槽とを設ける場合に比べて、装置のフットプリントを縮小することができる。また、洗浄槽と乾燥槽とを設けた場合、基板ホルダ10を洗浄槽から乾燥槽に移動させる時間が必要になるので、効率がよくない。これに対して、本実施形態では、同一の洗浄槽72で基板ホルダ10の洗浄と乾燥を行うことができるので、基板ホルダ10を移動させる必要がない。
【0088】
また、本実施形態によれば、ノズルプレート82には、第1保持部材11に気体を吹き付ける乾燥ノズル80と、第2保持部材12に気体を吹き付ける乾燥ノズル80を有する。その結果、第1保持部材11と第2保持部材12とを同時に乾燥することができ、乾燥効率が良好である。
【0089】
また、本実施形態によれば、洗浄ノズル78及び乾燥ノズル80が固定されたノズルプレート82と、ノズルプレート82を回転させるモータ86を有する。これにより、洗浄ノズル78及び乾燥ノズル80を回転させて、基板ホルダ10を広範囲に洗浄及び乾燥することができる。
【0090】
なお、以上で説明した実施形態では、第1保持部材11と第2保持部材12とが分離するように構成されるが、基板ホルダ10の構造はこれに限られない。例えば、第2保持部材12がヒンジを介して第1保持部材11に連結されていてもよい。
【0091】
図14は、他の実施形態に係る基板ホルダ10を示す概略側断面図である。図示のように、基板ホルダ10は、第1保持部材11と、第2保持部材12と、ヒンジ部17と、を有する。ヒンジ部17は、第2保持部材12を第1保持部材11に連結するように構成される。基板ホルダ10の第1保持部材11には、第2保持部材12を第1保持部材11から離間させる押出し棒19を通過させる貫通孔11aを有する。
【0092】
図示のように、第2保持部材12を第1保持部材11から離間させるときは、第1保持部材11の裏面側から押出し棒19を貫通孔11aに挿入する。これにより、押出し棒19は、ヒンジ部17と接触して、第2保持部材12を押し上げるように移動させる。このとき、ノズルプレート82は、第2保持部材12の開口12aの内側を通過し、ノズルプレート82に固定された図示しない洗浄ノズル78及び乾燥ノズル80が第1保持部材11及び第2保持部材12の間に配置される。
【0093】
なお、本実施形態においては、洗浄ノズル78と乾燥ノズル80を別個に設けているが、共通のノズルから洗浄液及び乾燥用の気体を供給するようにしてもよい。例えば、洗浄液入口部84からノズルに連通する経路と気体入口部85からノズルに連通する経路を途中で合流させるようにすることができる。洗浄用のノズルと乾燥用のノズルを共用とすることで、洗浄用のノズルと乾燥用のノズルを別々に設ける場合に比べてノズルを多く配置できるため、基板の洗浄および乾燥をより効果的に行うことができる。
【0094】
また、本実施形態では、基板側シール部材21、ホルダ側シール部材22、及びコンタクト24を洗浄可能な洗浄装置70を説明したが、基板ホルダ10の被洗浄部位については、特に限定されない。例えば、本実施形態の洗浄装置70は、コンタクト24を必要としない無電解めっきの基板ホルダのシールの洗浄にも適用可能である。同様に、本実施形態の洗浄装置70は、基板のエッチングあるいは洗浄等のために基板を保持する基板ホルダの洗浄にも適用可能である。
【0095】
本実施形態の洗浄装置70は、基板の表裏両面を露出させるための2つの開口を有する基板ホルダの洗浄にも、適用できる。また、本実施形態の洗浄装置70を適用できる基板の形状は、円形に限られない。例えば矩形の基板に対して、対向する2辺のみにコンタクトを接触させる基板ホルダが知られているが、その場合には基板の2辺のみを保持するための基板ホルダの部位の間の空間が、本発明における開口となりうる。
【0096】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上述した発明の実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれることはもちろんである。また、上述した課題の少なくとも一部を解決できる範囲、または、効果の少なくとも一部を奏する範囲において、特許請求の範囲及び明細書に記載された各構成要素の任意の組み合わせ、又は省略が可能である。
【0097】
以下に本明細書が開示する形態のいくつかを記載しておく。
第1形態によれば、第1保持部材と基板を露出させる開口を備えた第2保持部材とを有する基板ホルダを洗浄する洗浄装置が提供される。この洗浄装置は、前記基板ホルダを収容するように構成される洗浄槽と、前記第2保持部材を前記第1保持部材から離間させるように構成されるアクチュエータと、前記洗浄槽に収容された前記基板ホルダに対して洗浄液を吐出するように構成される洗浄ノズルと、を有し、前記洗浄ノズルは、前記第2保持部材の前記開口を通過するように構成される。
【0098】
第2形態によれば、第1形態の洗浄装置において、前記洗浄ノズルは、前記アクチュエータが前記第2保持部材を前記第1保持部材から離間させたとき、前記第2保持部材の前記開口を通過して、前記第1保持部材と前記第2保持部材の間に配置されるように構成される。
【0099】
第3形態によれば、第1形態又は第2形態の洗浄装置において、前記第2保持部材を保持するように構成される保持機構を有し、前記アクチュエータは、前記第2保持部材を保持した前記保持機構を前記第1保持部材に対して近接及び離間させるように構成される。
【0100】
第4形態によれば、第1形態から第3形態のいずれかの洗浄装置において、前記洗浄ノズルは、前記第1保持部材に洗浄液を吐出する第1洗浄ノズルと、前記第2保持部材に洗浄液を吐出する第2洗浄ノズルと、を含む。
【0101】
第5形態によれば、第1形態から第4形態のいずれかの洗浄装置において、前記洗浄槽に収容された前記基板ホルダに対して気体を吹き付けるように構成される乾燥ノズルを有する。
【0102】
第6形態によれば、第5形態の洗浄装置において、前記乾燥ノズルは、前記第1保持部材に気体を吹き付ける第1乾燥ノズルと、前記第2保持部材に気体を吹き付ける第2乾燥ノズルと、を含む。
【0103】
第7形態によれば、第1形態から第6形態のいずれかの洗浄装置において、前記洗浄ノ
ズルが固定されたノズルプレートと、前記ノズルプレートを回転させるように構成されるモータと、を有する。
【0104】
第8形態によれば、第5形態又は第6形態に従属する第7形態の洗浄装置において、前記乾燥ノズルは、前記ノズルプレートに固定される。
【0105】
第9形態によれば、めっき装置が提供される。このめっき装置は、第1形態から第8形態のいずれかの洗浄装置と、めっき液を収容するように構成されるめっき槽と、を有する。
【0106】
第10形態によれば、第9形態のめっき装置において、前記基板ホルダを搬送するように構成される搬送装置と、前記基板ホルダを保管するように構成されるストッカと、前記搬送装置を制御する制御装置と、を有し、前記制御装置は、前記洗浄装置で洗浄された基板ホルダを前記ストッカに搬送するように前記搬送装置を制御する。
【0107】
第11形態によれば、第1保持部材と基板を露出させる開口を備えた第2保持部材とを有する基板ホルダを洗浄する洗浄方法が提供される。この洗浄方法は、前記基板ホルダを洗浄槽に収容する工程と、前記第2保持部材を前記第1保持部材から離間させる工程と、洗浄ノズルが前記開口を通過する工程と、前記第1保持部材と前記第2保持部材との間に前記洗浄ノズルが配置された状態で、前記洗浄ノズルから前記基板ホルダに対して洗浄液を吐出する工程とを有する。
【0108】
第12形態によれば、第11形態の洗浄方法において、前記洗浄ノズルが前記開口を通過する工程は、前記第2保持部材が前記第1保持部材から離間したときに、前記洗浄ノズルが前記開口を通過して、前記第1保持部材と前記第2保持部材との間に配置する工程を含む。
【0109】
第13形態によれば、第11形態又は第12形態の洗浄方法において、前記洗浄液を吐出する工程は、前記基板ホルダの接点及びシール部材に洗浄液を吐出することを含む。
【0110】
第14形態によれば、第11形態から第13形態のいずれかの洗浄方法において、前記基板ホルダに対して気体を吹き付けて乾燥させる工程を有する。
【0111】
第15形態によれば、第11形態から第14形態のいずれかの洗浄方法において、前記洗浄液を吐出する工程は、前記洗浄ノズルが固定されたノズルプレートを回転させることを含む。
【0112】
第16形態によれば、第1保持部材と基板を露出させる開口を備えた第2保持部材とを有する基板ホルダを洗浄する洗浄装置が提供される。この洗浄装置は、前記基板ホルダを収容するように構成される洗浄槽と、前記第2保持部材を前記第1保持部材から離間させるように構成されるアクチュエータと、前記洗浄槽に収容された前記基板ホルダに対して洗浄液を吐出するように構成される洗浄ノズルと、を有し、前記アクチュエータによる第2保持部材を前記第1保持部材から離間させる運動は、前記洗浄ノズルに前記第2保持部材の開口を通過させる。
【符号の説明】
【0113】
10…基板ホルダ
11…第1保持部材
12…第2保持部材
12a…開口
21…基板側シール部材
22…ホルダ側シール部材
24…コンタクト
70…洗浄装置
72…洗浄槽
74…クランプ
76…スライドアクチュエータ
78…洗浄ノズル
80…乾燥ノズル
82…ノズルプレート
86…モータ
124…ストッカ
145…制御部