(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-07
(45)【発行日】2022-03-15
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/47 20060101AFI20220308BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20220308BHJP
G03G 15/04 20060101ALI20220308BHJP
【FI】
B41J2/47 101M
G03G21/00
G03G15/04
G03G21/00 510
(21)【出願番号】P 2017247604
(22)【出願日】2017-12-25
【審査請求日】2020-09-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100090527
【氏名又は名称】舘野 千惠子
(72)【発明者】
【氏名】大山 竜生
【審査官】牧島 元
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-037260(JP,A)
【文献】特開2002-365569(JP,A)
【文献】特開2006-224580(JP,A)
【文献】特開平08-097994(JP,A)
【文献】特開平05-037738(JP,A)
【文献】特開2010-069633(JP,A)
【文献】特開2003-326759(JP,A)
【文献】特開2002-182137(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/47
G03G 21/00
G03G 15/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
感光体表面を露光して静電潜像を形成させる光ビームを出射する光源素子と、
前記光源素子から射出された光ビームを受光し、受光を通知する光受信通知信号を出力する光電変換素子と、
所定の点灯開始タイミングで前記光源素子を点灯させ、前記光受信通知信号を検出すると前記光源素子を消灯させ、前記点灯開始タイミングから所定の時間が経過するまでを同期検知期間と定め、前記同期検知期間に前記光受信通知信号を検出しない場合には、同期検知エラーと判定し、
前記光受信通知信号のアサートとネゲートとに応じてカウントする同期アサートカウンタにより光受信期間計測値を計測し、予め設定された基準値と、前記光受信期間計測値とを比較して、前記光受信通知信号が外乱であるか否かを判定する書込み制御手段と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記書込み制御手段は、
前記同期検知期間と前記同期検知期間以外の期間それぞれで、前記光受信通知信号が外乱であると判定した外乱発生回数を計測する外乱発生回数計測手段と、
少なくとも前記同期検知期間について、前記光受信通知信号が外乱であると判定した際の前記光受信期間計測値の最小値および最大値を、外乱期間最小値および外乱期間最大値として保持する計測値保持手段と、をさらに備え、
前記計測値保持手段は、前記光受信通知信号が外乱であると判定される毎に、計測された前記光受信期間計測値と、前記外乱期間最小値および前記外乱期間最大値と比較し、前記光受信期間計測値が前記外乱期間最小値よりも小さい場合には外乱期間最小値を前記光受信期間計測値に更新し、前記光受信期間計測値が外乱期間最大値よりも大きい場合には前記外乱期間最大値を前記光受信期間計測値に更新する
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記書込み制御手段は、
任意の光受信通知信号の出力から、前記任意の光受信通知信号の次に出力される光受信通知信号までの間隔を光受信間隔計測値として計測する光受信間隔計測手段と、
前記光受信通知信号を連続して正常に検出した回数を計測する正常回数計測手段と、をさらに備え、
前記書込み制御手段は、
前記正常回数計測手段が計測した回数が、予め定めた一定値以上経過した後に、前記一定値以上の回数の期間中に計測した複数の前記光受信間隔計測値から最大値および最小値を求めて、光受信間隔最大値および光受信間隔最小値とし、
前記所定の点灯開始タイミングを、前記光受信間隔最小値から、別途定める点灯開始誤差値を減算した値を、ひとつ前の前記光受信通知信号から経過させたタイミングとし、
前記同期検知期間が終了するタイミングを、前記光受信間隔最大値から、別途定める点灯終了誤差値を加算した値を、ひとつ前の前記光受信通知信号をから経過させたタイミングとする
ことを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記書込み制御手段は、
前記同期
検知エラーと、外乱による前記光受信通知信号の出力との少なくとも一方と、処理の動作状態とを対応づけて保持し、前記同期
検知エラーと、外乱による前記光受信通知信号の出力との少なくとも一方が発生したときの動作状態を示すステータス通知手段をさらに備える
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記書込み制御手段は、
前記光源素子の点灯開始および点灯終了を制御する同期点灯制御カウンタをさらに備え、
前記点灯制御カウンタは、前記光受信通知信号を検出すると、前記同期点灯制御カウンタを初期値に戻し、以降カウントアップを行うように構成され、
前記書込み制御手段は、前記同期検知エラーと判定した場合には、前記同期点灯制御カウン
タを初期値に戻し、以降カウントアップさせるとともに、次の点灯開始タイミングを前記同期検知期間の時間分早くして、前記光受信通知信号を検出する再同期検知処理を行う
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記書込み制御手段は、前記再同期検知処理を、連続して繰り返す回数を制限するリトライ制限値を予め設定することを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記書込み制御手段は、
前記再同期検知処理を実施した回数を保持するリトライ回数保持手段を、さらに備える
ことを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記書込み制御手段は、前記リトライ制限値の回数になるまで前記再同期検知処理を連続して実行するリトライ連続処理について、前記リトライ連続処理を繰り返す回数を制限するリトライ連続処理制限値を予め設定することを特徴とする請求項6または7に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
所謂電子写真方式の画像形成装置では、半導体レーザ(LD:Laser Diode)から出射される光ビームを、偏光器を用いて偏光させ、感光体を露光して潜像を形成するLDラスタ方式が多数採用されている。
LDラスタ方式の画像形成方法では、偏光されたビームを光検出器(PD:Photo Diode)で検出し、同期検知信号をタイミング信号として画像形成制御などを行っている。また、同期検知が正常に行われない場合が生じるため、同期検知が正常に行われているかどうか同期検知エラーを検出する手段を備えている。
【0003】
例えば、特許文献1には、画像形成装置における同期信号異常を素早く検知できるようにすることを目的として、同期検知を得るために行う強制点灯から、同期信号が得られるまでの時間をカウントすることにより同期検知エラーを判定する画像形成装置が記載されている。
また、特許文献2には、発光光源の同期タイミングを感光体の劣化を抑制しつつ適切に行うことを目的として、同期検知信号に基づいて同期異常を検知すると、光源手段を強制駆動させ、同期検知信号を出力する出力タイミングに基づいて同期タイミングを修正する画像形成装置が記載されている。
【0004】
同期検知エラーの要因には、ノイズなどによる誤検知が含まれる。しかしながら、従来技術では、ノイズが同期検知エラーに影響しているかどうかを判定することができなかった。
また、画像形成装置が同期検知開始(立上げ)や印刷中など、どのような状態の時に同期検知エラーが発生したのか不明であった。例えば、線速510ミリメートル/秒(mm/s)の機種で50ミリ秒(ms)ポーリング処理を行っていると、エラー発生から検出まで最悪で25.5ミリメートル(mm)となる。そのため、紙印刷の副走査終端近傍でエラーが発生した場合、紙間パターンや除電パターンなどを形成していると、どの状態でエラー発生したのか判定できなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、以上の従来技術における問題に鑑みてなされたものであり、同期検知エラー発生要因の解析性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本発明の画像形成装置は、感光体表面を露光して静電潜像を形成させる光ビームを出射する光源素子と、前記光源素子から射出された光ビームを受光し、受光を通知する光受信通知信号を出力する光電変換素子と、所定の点灯開始タイミングで前記光源素子を点灯させ、前記光受信通知信号を検出すると前記光源素子を消灯させ、前記点灯開始タイミングから所定の時間が経過するまでを同期検知期間と定め、前記同期検知期間に前記光受信通知信号を検出しない場合には、同期検知エラーと判定し、前記光受信通知信号のアサートとネゲートとに応じてカウントする同期アサートカウンタにより光受信期間計測値を計測し、予め設定された基準値と、前記光受信期間計測値とを比較して、前記光受信通知信号が外乱であるか否かを判定する書込み制御手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、同期検知エラー発生要因の解析性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施形態にかかる画像形成装置の概略構成を説明する図である。
【
図2】一実施形態の書込み制御部によるLD点灯と同期検知とを説明する概略構成図である。
【
図3】正常な同期検知を説明するタイムチャートである。
【
図4】正常な同期検知とノイズによる同期の誤検知とを説明するタイムチャートである。
【
図5】ノイズにより出力された同期信号を検出するノイズ検出を説明するタイムチャートである。
【
図6】誤差を含んだ内部同期信号のアサート期間を説明する図である。
【
図7】同期検知期間内外のノイズ発生回数とノイズ期間の最大/最小値保持する構成例を説明する図である。
【
図8】同期アサートカウンタの動作例を説明するタイムチャートである。
【
図9】同期検知期間を自動的に短縮する動作例を説明するタイムチャートである。
【
図10】同期検知期間を短縮する前と短縮した後との同期検知例を説明するタイムチャートである。
【
図11】書込み制御部の動作状態(ステート)遷移例を説明する図である。
【
図12】同期検知エラーが発生したときに、再度同期検知を試みる動作例を説明するタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施形態について、図面を参照しながら説明する。説明の明確化のため、以下の記載および図面は、適宜、省略または簡略化がなされている。各図面において同一の構成または機能を有する構成要素および相当部分には、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0010】
<画像形成装置の概略構成>
図1は、本発明による画像形成装置の一実施形態を示す概略構成を説明する図である。
画像形成装置100は、タンデム方式のカラー画像形成装置であり、半導体レーザやポリゴンミラーなどの光学要素を含む光書込装置である光学装置102と、マゼンタ(M)、シアン(C)、イエロー(Y)、ブラック(K)の各色用の作像プロセス部104,106,108,110を備えた像形成部112と、中間転写ベルト114などを含む転写部122を含んで構成される。
【0011】
像形成部112の各作像プロセス部104,106,108,110は、それぞれ104,106,108,110に識別子aを付けて示す感光体である感光体ドラムと、その回りに配置された識別子bを付けて示す帯電手段である帯電器、識別子cを付けて示す現像手段である現像器、及び識別子dを付けて示す1次転写ローラ等を備えている。
【0012】
光学装置102はマルチビーム走査装置であり、半導体レーザ(図示せず)などの光源素子から放出されたレーザビームを、偏向素子であるポリゴンミラー102cにより偏向させ、fθレンズ102bに入射させている。レーザビームは、この実施形態ではM,C,Y,Kの各色に対応した数だけ発生され、それぞれfθレンズ102bを通過した後、反射ミラー102aで反射される。
【0013】
そして、その各レーザビームはWTLレンズ102dを通して整形された後、複数の反射ミラー102eによって再度偏向され、露光のために使用されるレーザビームLとして各作像プロセス部104,106,108,110の感光体ドラム104a,106a,108a,110aの表面を照射する。
【0014】
感光体ドラム104a,106a,108a,110aへのレーザビームLの照射は、上述したように複数の光学要素を使用して行われるため、主走査方向および副走査方向に関してタイミング同期が行われる。
【0015】
なお、「主走査方向」をレーザビームの走査方向として定義し、「副走査方向」を主走査方向に対して直交する方向、この画像形成装置100では感光体ドラム104a,106a,108a,110aが回転(
図1で左回転)する方向、すなわち感光体の表面の移動方向として定義する。
【0016】
各感光体ドラム104a,106a,108a,110aは、アルミニウムなどの導電性ドラム上に、少なくとも電荷発生層と電荷輸送層とを含む光導電層を備えた。その各光導電層は、コロトロン、スコロトロン、または帯電ローラなどによって構成される帯電器104b,106b,108b,110bにより、それぞれ表面電荷が付与さて帯電される。
【0017】
各感光体ドラム104a,106a,108a,110aの帯電された光導電層が、光学装置102からのレーザビームLによって像状露光され、2次元の静電潜像が形成される。
その感光体ドラム104a,106a,108a,110a上に形成された静電潜像は、現像スリーブ、現像剤供給ローラ、規制ブレードなどを含む各現像器104c,106c,108c,110cにより、それぞれM,C,Y,Kの各色の現像剤であるトナーによって現像され、各色のトナー像が形成される。
【0018】
その各色のトナー像は、感光体ドラム104a,106a,108a,110aが中間転写ベルト114を挟んでそれぞれ転写バイアス電圧が印加された転写手段である1次転写ローラ104d,106d,108d,110dと対向する一次転写部で、矢示B方向に移動する転写媒体である中間転写ベルト114上にK,Y,C,Mの順に順次重ねて転写される。
【0019】
中間転写ベルト114は、搬送ローラ114a,114b,114cに張架され、一方が駆動ローラである搬送ローラ114a又は114cによって矢示B方向に回動され、K,Y,C,Mのトナー像が重畳転写されたフルカラーのトナー像を担持した状態で、2次転写部へ搬送される。
【0020】
2次転写部は、搬送ローラ118a,118bにより矢示C方向に搬送される2次転写ベルト118を含んで構成される。
中間転写ベルト114の搬送ローラ114bは2次転写対向ローラの機能も果す。
この2次転写部には、給紙カセットなどの記録媒体収容部128から上質紙、プラスチックシートなどのシート状の記録媒体124が搬送ローラ126によって供給される。
【0021】
そして、2次転写対向ローラの役目も持つ搬送ローラ114bに2次転写バイアスを印加して、中間転写ベルト114上に担持されたフルカラーのトナー像を、2次転写ベルト118上に吸着保持された記録媒体124に転写する。
そのフルカラーのトナー像が転写された記録媒体124は、2次転写ベルト118の矢示C方向への回動によって定着装置120へ搬送される。
【0022】
定着装置120は、シリコーンゴムやフッ素ゴムなどを含む定着ローラなどの定着部材130を含んで構成されていて、記録媒体124とトナー像と共に加圧加熱して、そのトナー像を記録媒体124に定着した後、印刷物132として画像形成装置100の外部へ排出する。
トナー像を転写した後の中間転写ベルト114は、クリーニングブレードを含むクリーニング部116により転写残留トナーが除去されて、次の像形成プロセスに備える。
<書込み制御手段の構成例>
【0023】
次に、光源素子としての半導体レーザ(以降「LD」と記載する)の点灯制御および同期検知を行う書込み制御手段について説明する。
図2は、一実施形態の書込み制御部によるLD点灯と同期検知とを説明する概略構成図である。
図2に示すように、書込み制御手段としての書込み制御部200はLDドライバ301に指示して、LDの点灯制御を行う。LDドライバ301により駆動制御されたLD出射光(「光ビーム」、「レーザビーム」とも称する)は、ポリゴンミラー303で偏向され、光受光素子としての同期検知板304のPDに入射され、光受信を通知する光受信通知信号を出力する。書込み制御部200は、同期検知板304のPDが出力する光受信通知信号を同期信号として入力する。なお、レーザビームは、光学装置102において、ポリゴンミラー303で偏向され、像形成部112の感光体を露光して潜像形成を行う。
【0024】
図2に示す構成例では、書込み制御部200は、入力画像制御部201、画像処理部202、パターン制御部203、LDドライバ制御部204、同期検知制御部205、およびRAM(Random Access Memory)206を備える。
入力画像制御部201は、スキャナで読取った画像データ、ネットワーク経由でパソコンなどから送信された各種印刷データ、または、FAX受信データなどが各種処理を経由して入力される。RAM206は、画像データなどを一時保存するメモリとして用いられる。
画像処理部202は、入力画像制御部201から出力された画像データに対して解像度変換やスムージングなどの処理を行い、パターン制御部203で生成された各種パターンデータとの重畳処理なども行う。
【0025】
LDドライバ制御部204はLDドライバ301に対するコマンド発行や点灯データ転送を行う。
同期検知制御部205は、同期検知板304から出力される同期信号を処理し、同期検知エラー判定などを行う。
なお
図2に示した書込み制御部200の構成は一例であり、他の構成によって実現してもよい。
【0026】
<同期検知およびノイズによる同期検知エラー>
図3は正常な同期検知を説明するタイムチャートである。
図3は同期検知を開始して、連続して正常に同期検知ができている場合の例である。
同期信号は、同期検知板304から出力される光受信通知信号であり、同期検知制御部205によって検出される。
内部同期信号は、書込み制御部200内で制御に用いる信号であり、同期信号のアサートとネゲートとに応じて変化する。
同期点灯信号は、LDドライバ制御部204がLD制御部201へ、LDの点灯開始・終了を指示する信号である。
【0027】
最初の同期を確保する際に、LDドライバ制御部204は、強制的に同期点灯信号をアサート状態に維持することでLD点灯を連続オンにする。同期検知制御部205によって、同期信号がアサートされたことが検出されると、LDドライバ制御部204は、同期点灯信号をネゲートすることでLD点灯をオフにする。以降、LDドライバ制御部204は、同期検知板304のPD手前からLD点灯をオンにして、同期信号がアサートしたらLD点灯をオフにすることを繰り返す。
書込み制御部200(例えば、LD制御部204)は、LD点灯をオンにする点灯開始タイミング(「点灯開始位置」とも称する)を、予め設定する。
【0028】
一般に、LD駆動は、書込み制御手段内蔵のドライバ若しくは、書込み制御手段が別途LDドライバを制御する構成が採用されているが、LDの点灯開始タイミング(同期検知点灯タイミング)がずれてしまったり、LDが劣化して光量が不足したりすると、同期検知が正常に行われない。そのため、従来からLDラスタ方式の書込みでは同期検知信号を基準にしたタイミング制御を行っており、書込み制御手段には同期検知が正常に行われているかどうかエラー検出を行い、同期検知できない異常状態である同期検知エラーを検出する同期検知エラー検出手段を備えている。
【0029】
同期検知エラーの要因には、LDの劣化や故障/汚れ、PDの故障や汚れ、LDドライバ故障、同期点灯光量不足、ポリゴン回転速度変動やミラー面汚れ、書込み制御部の点灯制御クロック変調などによる点灯開始位置のずれ、フレア光やノイズによる誤検知などである。
上述した同期検知エラーの要因の中には、実際に同期検知エラーが発生した印刷機で同期検知エラーが再現しない或いは再発頻度が低い、部品の劣化や故障はなかったといった事象があることが判明している。
【0030】
書込み制御手段が同期検知エラーを検出すると、内部エラーステータス(同期検知エラーステータス)や割込み出力がアサートする。CPU(Central Processing Unit)が割込みを検出すると、書込み制御手段のどのエラーステータスがアサートしているのか確認を行い、再度書込み制御手段に同期検知を行わせたり、エラー処理を行ったりする。また、割込み出力を用いず、CPUがポーリングで書込み制御手段のエラーステータスを確認してエラー処理している場合もある。
また、割込み出力を用いずCPUによるポーリング処理で同期検知エラーを検出している場合には、印刷機構には、書込み制御手段がどのような状態(同期検知開始/印刷/定常状態など)でエラーが発生したのか詳細なタイミングが分からず、また、前述したような部品の故障などでは無いことから、ノイズによる誤検知の可能性が考えられるが検出する手段がないため解析ができないケースもある。
【0031】
ここで、ノイズによる同期信号の誤検知の動作例を説明する。
図4は正常な同期検知とノイズによる同期の誤検知とを説明するタイムチャートである。
同期検知期間は、点灯開始タイミングから、予め設定した時間が経過するまでの期間である。以降、同期検知期間の開始時を点灯開始タイミング、終了時を点灯終了タイミングとして説明する。書込み制御部200は、点灯開始タイミングと、同期検知期間の長さ(または点灯終了タイミング)とを設定し、保持するように構成される。
書込み制御部200は、主走査カウンタなどの所定のカウンタを用いて、点灯開始タイミングを制御する。
詳細には、書込み制御部200(例えば、LD制御部204)は、予め設定する所定の点灯開始タイミングでLDを点灯させ、光電変換素子から出力された光受信通知信号を同期信号として検出すると、LDを消灯させる。また、書込み制御部200(例えば、同期検知部205)は、同期検知期間に同期信号を検出しない場合には、同期検知エラーと判定する。
【0032】
図4左側のように、書込み制御部200は、同期信号がアサートされると、アサートエッジでラインクリア信号を生成する。ラインクリア信号は、主走査カウンタをクリアする基準信号であり、主走査カウンタは主走査画像形成位置に用いられる。また最初の同期検知以降の同期点灯制御(同期点灯信号の制御)などに用いられる場合もある。
図4右側のように、例えば同期点灯開始前後期間の同期信号にノイズが入ると、書込み制御部200は、ノイズを同期信号として処理してしまい、ラインクリア信号が正常なタイミングで生成されなくなってしまう。
【0033】
詳細には、ラインクリア生成条件に同期点灯信号アサートを含めていなければ、ラインクリア信号がポイントQやRでも生成されてしまう。また、ラインクリア生成条件に同期点灯信号アサートを含めていても、ラインクリア信号がポイントRで生成され、正常に同期検知が行われた場合のポイントSからずれてしまう。その結果、主走査カウンタのカウント開始もずれてしまう。
【0034】
前述したように、書込み制御部200(例えば、画像処理部202)は、主走査カウンタを主走査画像形成位置制御に使用している。このため、主走査カウンタのカウント開始がずれると、主走査画像形成位置がずれてしまい、画像品質に影響を与えてしまう。主走査画像形成位置のずれは、カラーの画像形成装置であれば作像して重ねた色版がずれてしまい、画像品質に影響を与えてしまう。
加えて、書込み制御部200では、主走査カウンタ、或いは、ラインクリア信号を用いたカウンタを同期点灯制御に用いているため、次の同期点灯開始位置がずれてしまう。これにより、同期検知板304のPD手前でLD点灯が終了してエラー判定になる場合も生じる。
【0035】
そこで、本発明の一実施形態の画像形成装置は、同期信号のアサートがノイズ(外乱)であるかどうか判定する手段を提供する。同期信号がノイズによる誤検知である場合を検出可能にするため、書込み制御部200は、同期信号のアサートとネゲートとに応じてカウントする同期アサートカウンタにより光受信期間計測値を計測し、予め設定された基準値と、光受信期間計測値とを比較して、検出した同期信号がノイズであるか否かを判定する(ノイズ検出)。
【0036】
以下、
図5、6を参照して、ノイズ検出(ノイズ判定)を具体的に説明する。
図5はノイズにより出力された同期信号を検出するノイズ検出を説明するタイムチャートである。
図6は誤差を含んだ内部同期信号のアサート期間を説明する図である。
図5では、書込み制御部200は、内部同期信号のアサートとネゲートとに応じてカウントする同期アサートカウンタを備え、光受信期間計測値としての同期アサートカウンタ値を計測する。同期アサートカウンタは、書込み制御部200が参照可能な領域に設けられていればよい。
【0037】
図5に示すように、同期アサートカウンタは、同期検知板304から入力される同期信号を取り込んだ後の、内部同期信号のアサート期間をカウントする。書込み制御部200は、同期アサートカウンタ値が正常な同期入力と同程度であるか比較してノイズかどうか判定する。しかし、
図6に示すように、同期点灯制御しているクロックジッタやポリゴンミラー回転むら、温度変動によるLD出射光量変化など、様々な要因で正常な同期信号のアサート期間は変動する。
図6では、同期信号のアサート期間の最小と最大との差分を右上がり斜線で示している。
【0038】
従って、書込み制御部200は、同期アサートカウンタ値がノイズかどうか判定する時は、式(1)のように誤差分を補正できるように調整する。
α<(同期アサートカウンタ値-判定基準値)<β(α,β:誤差分)・・・式(1)
式(1)が成立しない時はノイズと判定する。
【0039】
詳細には、書込み制御部200は、基準値として、判定基準値と誤差分α、βとを、予め設定して保持し、同期アサートカウンタ値から判定基準値を差し引いた値と、誤差分α、βとを比較して、ノイズによる誤検知を検出する。また、例えば誤差分α,βを複数準備し経時変動に対応してα,βを切替えることによって、より高精度にノイズ判定ができる。
言い換えると、書込み制御部200は、同期アサートカウンタ値が、判定基準値から誤差値αを引いた第一基準値(判定基準値-α)以下、または、判定基準値に誤差値βを加えた第二基準値(判定基準値+β)以上である場合(第一基準値≧同期アサートカウンタ値、または、同期アサートカウンタ値≧第二基準値)には、ノイズによる誤検知であると判定する。
【0040】
例えば、誤差分を含んだ内部同期信号の同期アサートカウンタ値が最小値90、最大値110であり、判定基準値を100、αを-11、βを11とした時、カウントAが98、カウントBが88、カウントCが120であれば次のような判定となる。
【0041】
カウントAの式1は“-11<(98-100)<11”となり式1を満たすのでノイズではない。
カウントBの式1は“-11>(88-100)<11”となり式1を満たさないのでノイズと判定する。
カウントCの式1は“-11<(120-100)>11”となり式1を満たさないのでノイズと判定する。
【0042】
上述したノイズ検知と判定とによって、同期信号がノイズによる誤検知であることを検出することができる。
【0043】
ここで、書込み制御部200は、ノイズ検出(ノイズ判定)を常時行い、同期検知期間内外どちらの期間でノイズが発生したのかが分かるように構成することができる。例えば、同期検知期間内と同期検知期間外で個別にノイズ発生回数を累積するカウンタを準備し、かつ、ノイズと判定した際の同期アサートカウンタ値の最大値と最小値を更新して保持するレジスタを準備する。
【0044】
図7は同期検知期間内外のノイズ発生回数とノイズ期間の最大/最小値保持する構成例を説明する図である。
図7は、上述したノイズ発生回数の累積と、同期アサートカウンタ値の最大値および最小値の保持とを実現するため、書込み制御部200が、同期アサートカウンタ401、ノイズ判定402、ノイズ発生回数カウント403、およびノイズ期間最大/最小値保持404を備える構成例を示す。
【0045】
同期アサートカウンタ401は、同期アサートカウンタ値(光受信期間計測値)を、内部同期信号を用いて計測する計測手段(光受信期間計測手段)である。
ノイズ判定402は、基準値を用いて、検出した同期信号がノイズ(外乱)であるか否かを判定するノイズ判定手段である。
光受信期間計測手段とノイズ判定手段とにより、ノイズの検出および判定を行う。
【0046】
ノイズ発生回数カウント403は、同期検知期間と同期検知期間以外の期間それぞれで、同期信号がノイズであると判定したノイズ発生回数(外乱発生回数)を計測する外乱発生回数計測手段である。
ノイズ期間最大/最小値保持404は、同期検知期間と同期検知期間以外の期間それぞれで、同期信号がノイズであると判定した際の同期アサートカウンタ値(光受信期間計測値)の最小値および最大値を、ノイズ期間最小値(外乱期間最小値)およびノイズ期間最大値(外乱期間最大値)として保持する計測値保持手段である。
【0047】
また、ノイズ期間最大/最小値保持404は、同期信号がノイズであると判定される毎に、計測された同期アサートカウンタ値と、ノイズ期間最大/最小値保持404が保持するノイズ期間最小値およびノイズ期間最大値と比較し、同期アサートカウンタ値がノイズ期間最小値よりも小さい場合にはノイズ期間最小値を同期アサートカウンタ値に更新し、同期アサートカウンタ値がノイズ期間最大値よりも大きい場合にはノイズ期間最大値を同期アサートカウンタ値に更新する。
【0048】
ノイズ発生回数カウント403およびノイズ期間最大/最小値保持404は、同期検知期間と同期検知期間以外の期間とのいずれであるかを示す同期検知期間信号を受け、同期検知期間信号を用いて同期検知期間の内外を区分し、同期検知期間の内外に分けて計測値(ノイズ発生回数またはノイズ期間最大値/最小値)を保持するように構成される。
保持する計測値を参照することにより、ノイズによる誤検知の発生状況を把握することが可能になり、同期検知エラー発生の解析に役立てることができる。
【0049】
なお、ノイズ発生回数カウント403またはノイズ期間最大/最小値保持404は、同期検知期間内のみ、ノイズ発生回数またはノイズ期間最大値/最小値を保持するように構成してもよい。ノイズによる誤検知の検出および保持を同期検知期間内に限定することにより、処理負荷を削減し、計測値を保持する記録領域を縮小できるとともに、同期検知期間のノイズによる誤検知の発生状況を把握することを可能とする。
【0050】
図7に示す構成例は、例えば、
図2の書込み制御部200の同期検知制御部205によって実現してもよいし、書込み制御部200内に、ノイズ判定部(ノイズ判定手段)として設けてもよい。
図7に示す構成例は、同期信号と同期検知期間信号とを受ける(もしくは、信号の状態が参照できる)構成であれば、具体的にどのように設けるかは問わない。
【0051】
同期検知には、これまでの説明したLD出射光による感光体走査露光前に検知する先端同期検知以外に、感光体走査露光後に検知する後端同期検知があるが、本発明の一実施形態は後端同期検知にも適用可能である。また、複数色版で個別に各同期検知があれば各色で準備すればよい。
【0052】
図8は同期アサートカウンタの動作例を説明するタイムチャートである。
同期アサートカウンタ401は、
図8に示したように、リセット解除後の初期値が‘0’(零)のアップカウンタであり、内部同期信号のアサートエッジをクロックで検出して‘1’からカウントアップを開始し、内部同期信号がアサート中はクロック数をカウントする。内部同期信号がネゲートしたらカウントを止め、最終カウント値を保持している。次に内部同期信号がアサートしたら‘1’からカウントアップを開始する。
【0053】
<同期検知期間の短縮>
次に同期検知期間について検討する。
従来の同期検知期間は同期検知板304のPD手前からPDを過ぎた期間にしているため、同期検知期間が冗長になっている。同期検知期間外の同期信号アサートがノイズであることは明白であり、同期検知期間をより最適な期間にすることが好ましい。これにより、必要な期間に絞ってノイズ検出(ノイズ判定)を行うようにすることができる。
図9は同期検知期間を自動的に短縮する動作例を説明するタイムチャートである。
図9は正常に同期検知ができている期間を利用して自動で同期検知期間を短縮した場合の同期検知例であり、左端の同期点灯信号および内部同期信号に対して、真ん中と右側の同期点灯信号および内部同期信号のアサート期間が短くなっている。
【0054】
図10は同期検知期間を短縮する前と短縮した後との同期検知例を説明するタイムチャートである。
正常に同期検知を行っている期間の同期検知間隔をクロックでカウントすることで、実際の処理に必要なタイミングで同期点灯させることができる。ただし、前述したように同期検知間隔には様々な要因で誤差が生じるため、カウント値をそのまま適用すると、同期検知位置(同期検知タイミング)がずれるなどの問題が生じる。従って、少なくともポリゴン面数以上でカウント値を取得し、各カウント結果の最小値から更に誤差分を減算した値を同期点灯開始位置にすればよい。同様に、同期検知期間の終了位置は、各カウント値の最大値から更に誤差分を加算した値にすればよい。
【0055】
上述した同期検知期間の短縮を実現するため、例えば、書込み制御部200は、任意の同期信号(光受信通知信号)の出力から、任意の同期信号の次に出力される同期信号までの間隔を光受信間隔計測値として計測する光受信間隔計測手段をさらに備える。
光受信間隔計測手段は、例えば、内部同期信号を用いて光受信間隔計測値を計測するカウンタを備え、内部同期信号がアサートすると、初期値‘0’(零)にクリアして、値‘1’からカウントアップし、次に内部同期信号がアサートするまでカウントアップすることを繰り返すように構成される。
また、書込み制御部200は、同期信号を連続して正常に検出した回数を計測する正常回数計測手段を備える。正常回数計測手段は、例えば、同期検知部制御部405が同期検知処理を正常終了したときにカウントアップするカウンタ(正常回数カウンタ)を備え、同期検知エラーが検出されたときに、カウンタ値を‘0’(零)にリセットするように構成される。
【0056】
そして、書込み制御部200は、同期信号を連続して正常に検出した回数(正常回数計測手段が保持する値)が、予め定めた一定値以上経過した後に、一定値以上の回数の期間中に計測した複数の光受信間隔計測値から最大値および最小値を求めて、光受信間隔最大値および光受信間隔最小値とし、点灯開始タイミングを、光受信間隔最小値から、別途定める点灯開始誤差値を減算した値を、同期信号がひとつ前にアサートしたタイミングから経過させたタイミングとする。また、同期検知期間が終了するタイミングを、光受信間隔最大値から、別途定める点灯終了誤差値を加算した値を、内部同期信号がひとつ前にアサートしたタイミングから経過させたタイミングとする。
なお、光受信間隔計測手段は、一定値以上の回数の期間中に計測した複数の光受信間隔計測値を、書込み制御部200が参照可能な領域に保持するように構成される。
これにより、同期検知期間をより最適な期間に変更することができる。
【0057】
なお、光受信間隔計測手段は、光受信間隔計測値のカウントを開始するタイミングは上述したものに限られるわけではなく、光受信間隔計測値のカウントを開始するタイミングと、光受信間隔最小値または光受信間隔最大値を経過させる起点となるタイミングとについて、内部同期信号を検出する位置(タイミング)を一致させていればよい。例えば、内部同期信号がネゲートしたタイミングでカウントアップする場合であってもよい。
【0058】
<動作状態の通知>
前述のように、書込み制御部200はLD点灯が立上げ時の同期検知処理であるのか、或いは、印刷処理であるのか、パターン形成処理であるのかといった処理動作の状態遷移の判別ができる。
図11は書込み制御部の動作状態(ステート)遷移例を説明する図である。
書込み制御部200は、動作状態の遷移において、
図11に示すように印刷処理を示す印刷書込み副走査ゲートや、パターン形成処理を示すパターン書込み副走査ゲートといった、処理状態を示す信号を準備している。勿論ゲート信号ではなく、ステートマシンなどで状態遷移を示す構成にして値に置き換えることも可能である。
【0059】
従って、これまでに述べた同期検知エラー発生タイミングやエラー発生回数を各動作状態別に保持することで、同期検知エラー発生時の画像形成装置の動作状態をより詳細に知ることができる。同様に、同期信号のノイズ検出回数やノイズ期間の最大/最小値についても発生時の状態をより詳細に知ることができる。
例えば、書込み制御手段200は、同期検知エラーが発生したときに、動作状態別に発生回数を計測することができる。また、書込み制御手段200は、同期信号のノイズを検出したときに、動作状態別にノイズ検出回数を計測することができる。
【0060】
そこで、書込み制御部200は、同期検出エラーと、ノイズによる同期信号の出力(ノイズによる誤検知)との一方または両方と、処理の動作状態とを対応づけて保持する手段をさらに備えることが好ましい。加えて、書込み制御部200は、同期検出エラーと、ノイズによる同期信号の出力との少なくとも一方が発生したときの動作状態を示すステータス通知手段をさらに備えることが好ましい。ステータス通知手段は、例えば、操作パネルへの表示、アラーム音などにより外部へ通知する処理を行う。
【0061】
一例として、同期検知エラーは発生していないが、ノイズ検出回数が別途設定する上限値を超えた場合に、ステータス通知手段は、外部へ通知することができる。これにより、画像形成装置の管理者(利用者)は、修理・交換などを行うなど、問題が生じる前に対策を取ることも可能になり、不要なダウンタイムを低減することができる。また、管理者は、同期検知エラーが発生しても、エラー発生タイミングが印刷処理以外であれば転写後の印刷物や定着前の印刷物はそのまま処理すればよいという判定ができるので無駄になることもなく、不要なジャムが生じることを防止できる。
【0062】
<書込み制御手段による再同期検知処理>
現在の画像形成装置では、同期検知エラーが発生すると、エラー発生を認識したCPUが再度同期検知を試みるための同期検知制御を書込み制御部に実行させている。その結果、例えば従来のCPUのポーリングによる同期検知エラー判定と再度同期検知を試みる同期検知制御とでは復帰処理に時間が掛かってしまい、CPU負荷増大に繋がっている。
【0063】
そこで、一実施形態では、同期検知エラーが発生すると、CPUを介さず、書込み制御部200が自動で再度同期検知を試みる同期検知制御を行う。
図12は、同期検知エラーが発生したときに、再度同期検知を試みる動作例を説明するタイムチャートである。
例えば、書込み制御部200は次のように構成される。
書込み制御部200は、LD(光源素子)の点灯開始および点灯終了を制御する同期点灯制御カウンタをさらに備え、同期信号を検出すると、同期点灯制御カウンタを初期値‘0’(零)に戻し、以降カウントアップを行う。詳細には、
図12に示したように、同期点灯制御カウンタは、同期検知毎に(内部同期信号がアサートする毎に)‘0’にクリアされてカウントアップ動作を行う。また、書込み制御部200は、同期検知期間終了時点で内部同期信号がアサートしないと同期検知エラーと判定し、同期点灯制御カウンタを‘0’にクリアしてカウントアップ動作を継続させる。
【0064】
同期検知エラーを検出すると、書込み制御部200は、再度同期検知を試みる。しかし、同期検知エラーとなった同期検知期間(
図12の期間Tで示す時間)もカウントアップしているため、再同期検知処理の同期点灯開始位置を変更せずにLDを点灯(同期点灯)すると、同期検知タイミング(同期検知位置)がずれる可能性や、同期検知ができない可能性がある。従って、書込み制御部200は、再度、同期検知を行う際の点灯開始タイミングを同期検知期間分早くし、正常に同期検知が行われた場合は点灯開始タイミングを元に戻す。
【0065】
すなわち、同期検知エラーが発生し、再度同期検知を試みるときに、書込み制御部200は、同期検知エラーと判定したタイミングで同期点灯制御カウンタ値を初期値に戻し、以降カウントアップさせるとともに、次の点灯開始タイミングを、同期検知期間の時間分(期間T)早くして、同期信号を検出する再同期検知処理(リトライ同期検知処理)を行う。
これにより、同期検知エラー発生時の復帰処理をより早く行うことが可能になり、CPU負荷の軽減もできる。
【0066】
なお、再同期検知処理の実行には、予め連続で何回実行できるのかリトライ回数(リトライ制限値)を設定しておくことが好ましい。
例えば、書込み制御部200は、同期検知エラーと判定した場合には、再同期検知処理を、連続して繰り返す回数をカウントするリトライカウンタをさらに備え、リトライカウンタが、予め設定したリトライ制限値となるまで、再同期検知処理を繰り返す構成とする。これにより、再同期検知処理を繰り返し実行する回数を制限し、画像形成装置に過度の負荷が生じることを回避できる。
また、何回目の再同期検知処理で再同期検知が成功したのかを示すリトライカウンタの値を保持することが好ましい。例えば、書込み制御部200は、リトライカウンタの値を保持するリトライ回数保持手段を備える構成とすることができる。
【0067】
さらに、再同期検知処理が何度発生したのかを更新して保持することが好ましい。例えば、書込み保持手段200は、再同期検知処理を実施した回数を保持するリトライ実施情報保持手段を備える構成とすることができる
さらに加えて、再同期検知処理をリトライ制限値の回数になるまで連続して実行するリトライ連続処理について、繰り返すことを許容する回数を制限するリトライ連続処理制限値を予め設定すること、並びに、リトライ連続処理を繰り返した回数を保持することが好ましい。
【0068】
リトライカウンタの値、リトライ連続処理を繰り返した回数など、再同期検知処理の実行に関する情報を用いて、問題が生じる前に対策を取ることも可能になる。例えば、リトライ繰り返し回数保持手段が保持する再同期検知処理の発生回数が3回以上発生したら修理・交換などを行うこと、或いは、リトライカウンタ値がリトライ制限値より一つ少なく(リトライ制限値-1)で、且つ、リトライ連続処理が既に2回発生したら修理・交換などを行うことなどである。これにより、不要なダウンタイムを低減することができる。
【0069】
上述したように、書込み制御部200の構成が、同期検知信号がノイズによるものであるか否かを判定し、同期検知エラー発生時のエラー要因がノイズであることを検出すること、画像形成装置の動作状態(立上げ/印刷など)毎に同期検知エラー発生回数をカウントすること、同期検知エラー発生時の画像形成装置の動作状態を把握すること、再同期検知処理に関する情報を把握すること、のうちのいずれか一つまたはこれらの組み合わせによって、同期検知エラー発生要因の解析性を向上させることが可能になる。
【0070】
また、画像形成装置に上述した各種の同期検知エラーに関する情報を保持することが好ましく、特に、画像形成装置のシステム全体を制御するシステム制御部が参照可能であることが好ましい。システム制御部は、例えば、CPU、ROM(Read Only Memory)、RAM等を備え、CPUがROMに格納されているプログラムに基づいてRAMをワークメモリとして利用しつつ画像形成装置の各部を制御して画像形成装置としての基本処理を実行するように構成される。例えば、システム制御部は、同期検知エラーに関する情報を参照して、事前に修理・交換に管理者に通知する手段を実行させてもよい。
【0071】
また、上述した説明において、書込み制御部200が参照する各基準値、誤差値または閾値など(例えば、ノイズの判定に用いる基準値、点灯開始誤差値、点灯終了誤差値、リトライ制限値、リトライ連続処理制限値)は、予め設定され、書込み制御部200が参照可能な記録領域に保持されている。
【0072】
上述した一実施形態の書込み制御手段は、例えば、以下の手段を備える画像形成装置に適用することができる。画像形成装置は、感光体、該感光体の表面を帯電させる帯電手段、1以上の発光部を有する光源素子と偏向素子とを備え、発光部が発光する光による光ビームを偏向素子によって偏向して、感光体の帯電された表面を主走査して露光する光ビーム走査装置、光ビーム走査装置により走査された光ビームを受光する光電変換素子、該光ビーム走査装置による主走査と、該主走査の方向である主走査方向に直交する副走査方向への感光体の表面の移動とによる走査によって該表面に形成される2次元の静電潜像を、現像剤によって現像する現像手段、および、該現像手段によって現像された前記感光体の表面の画像を転写媒体に転写する転写手段、を備える。
【0073】
また、上述した機能を追加する書込み制御手段は、次の機能を実行することが好ましい。書込み制御手段は、光源素子の点灯制御を行い、光電変換素子の光受信出力信号が入力され、光ビーム走査装置により走査される光ビームが該光電変換素子を走査する直前に光源素子を点灯させ且つ、該光受信出力信号を検出すると光源素子を消灯させる。また、書込み制御手段は、光ビーム走査装置により走査される光ビームが該光電変換素子を走査する直前に光源素子を点灯させ、該点灯開始タイミングを点灯開始設定として設定が可能で且つ、該光受信出力信号を検出すると光源素子を消灯させ、該消灯タイミングを点灯終了設定として設定が可能である。さらに、書込み制御手段は、該点灯開始設定から点灯終了設定期間に該光受信出力信号の検出がなかった場合にエラーとしてエラー判定を行うことができる。
【0074】
なお、本発明は上記に示す実施形態に限定されるものではない。本発明の範囲において、上記実施形態の各要素を、当業者であれば容易に考えうる内容に変更、追加、変換することが可能である。
【符号の説明】
【0075】
200 書込み制御部
201 入力画像制御部
202 画像処理部
203 パターン制御部
204 LDドライバ制御部
205 同期検知制御部
206 RAM
301 LDドライバ
302 半導体レーザ(LD)
303 ポリゴンミラー
304 同期検知板
【先行技術文献】
【特許文献】
【0076】
【文献】特開2010‐069633号公報
【文献】特開2003‐326759号公報