(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-07
(45)【発行日】2022-03-15
(54)【発明の名称】ノズル板の製造方法、吐出ヘッドの製造方法、吐出ユニットの製造方法、吐出する装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
B41J 2/16 20060101AFI20220308BHJP
B41J 2/14 20060101ALI20220308BHJP
【FI】
B41J2/16 401
B41J2/14 501
B41J2/16 507
(21)【出願番号】P 2018007000
(22)【出願日】2018-01-19
【審査請求日】2020-09-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(72)【発明者】
【氏名】青山 伝
(72)【発明者】
【氏名】黒田 隆彦
【審査官】四垂 将志
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-231274(JP,A)
【文献】特開2009-119699(JP,A)
【文献】特開2007-253479(JP,A)
【文献】特開2005-178019(JP,A)
【文献】特開2017-052169(JP,A)
【文献】国際公開第2008/155986(WO,A1)
【文献】特開2015-100919(JP,A)
【文献】特開2018-001715(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0068724(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノズルを有するノズル板の製造方法であって、
ノズル基材の一面側
に環状の溝を形成する
溝形成工程と、
該溝形成工程後に、前記ノズル基材の一面側に前記環状の溝の内側と外側とを渡るように貼付部材を貼り付ける貼付工程と、
該貼付工程後に、前記ノズル基材の他面側
に前記環状の溝に到達する深さまで
、前記他面側から見て前記環状の溝が含まれるように凹部を形成する
凹部形成工程と、
該凹部形成工程後に、前記貼付部材を前記ノズル基材から取り除くことにより前記ノズルとなるノズル穴を形成する
ノズル穴形成工程と、
を有するノズル板の製造方法。
【請求項2】
前記環状の溝は円環状の溝である
ことを特徴とする請求項1に記載のノズル板の製造方法。
【請求項3】
前記環状の溝は、前記ノズル基材の一面からイオンアシストを用いたドライエッチング法により形成する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のノズル板の製造方法。
【請求項4】
前記凹部は、前記ノズル基材の他面からボッシュプロセスによるドライエッチング法により形成する
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のノズル板の製造方法。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載のノズル板を製造する工程と、
前記ノズル板と、前記ノズルが通じる流路を形成した流路部材と、前記ノズルから吐出物を吐出させる圧力を発生する圧力発生手段とを組み付ける工程と、を行う
ことを特徴とする吐出ヘッドの製造方法。
【請求項6】
請求項5に記載の吐出ヘッドを、前記吐出ヘッドに供給する吐出物を貯留するヘッドタンク、前記吐出ヘッドを搭載するキャリッジ、前記吐出ヘッドに吐出物を供給する供給機構、前記吐出ヘッドの維持回復を行う維持回復機構、前記吐出ヘッドを主走査方向に移動させる主走査移動機構、の少なくともいずれか一つと一体化する工程を行う
ことを特徴とする吐出ユニットの製造方法。
【請求項7】
前記請求項5に記載の吐出ヘッドの製造方法で吐出ヘッドを製造する工程、又は、
前記請求項6に記載の吐出ユニットの製造方法で前記吐出ユニットを製造する工程と、
前記吐出ヘッド又は前記吐出ユニットを装置本体に搭載する工程と、を行う
ことを特徴とする吐出する装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はノズル板の製造方法、吐出ヘッドの製造方法、吐出ユニットの製造方法、吐出する装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ノズル板を製造する方法としては、例えば、ノズル基材の一面にノズル穴(吐出孔)となる第1ノズルをボッシュプロセスによるエッチングで形成し、他面から第1ノズルに連通する第2ノズルを形成して、第1ノズルと第2ノズルからなる貫通穴を形成する方法が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示の方法にあっては、ノズル穴(第1ノズル)をボッシュプロセスで形成するためには、ノズル穴の内壁面の平滑性が損なわれ、吐出曲りなどが生じるという課題がある。
【0005】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、吐出特性を向上することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため、本発明に係るノズル板の製造方法は、
ノズルを有するノズル板の製造方法であって、
ノズル基材の一面側に環状の溝を形成する溝形成工程と、
該溝形成工程後に、前記ノズル基材の一面側に前記環状の溝の内側と外側とを渡るように貼付部材を貼り付ける貼付工程と、
該貼付工程後に、前記ノズル基材の他面側に前記環状の溝に到達する深さまで、前記他面側から見て前記環状の溝が含まれるように凹部を形成する凹部形成工程と、
該凹部形成工程後に、前記貼付部材を前記ノズル基材から取り除くことにより前記ノズルとなるノズル穴を形成するノズル穴形成工程と、
を有する構成とした。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、吐出特性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の第1実施形態に係るノズル板の製造方法の説明に供する断面説明図である。
【
図3】ボッシュプロセスによるドライエッチング法による穴形状を説明する断面説明図である。
【
図4】イオンアシストによるドライエッチング法による穴形状を説明する断面説明図である。
【
図5】各ドライエッチング法を組み合わせた場合の穴形状を説明する断面説明図である。
【
図6】実施例及び比較例の評価、測定結果の説明に供する説明図である。
【
図7】本発明に係る吐出ヘッドの製造方法の一例で製造した吐出ヘッドのノズル配列方向と直交する方向の断面説明図である。
【
図8】同じく同ヘッドの
図7のX1-X1線におけるノズル配列方向と直交する方向の断面説明図である。
【
図9】本発明に係る吐出ヘッドの製造方法の他の例で製造した吐出ヘッドのノズル配列方向と直交する方向の断面説明図である。
【
図10】本発明に係る吐出する装置の製造方法の一例で製造した装置の要部平面説明図である。
【
図12】本発明に係る吐出ユニットの製造方法の他の例で製造した吐出ユニットの要部平面説明図である。
【
図13】本発明に係る吐出ユニットの製造方法の更に他の例で製造した吐出ユニットの正面説明図である。
【
図14】本発明に係る吐出する装置の製造方法の他の例によって製造した装置の概略説明図である。
【
図15】同装置のヘッドユニットの平面説明図である。
【
図16】同装置における液体循環システムの一例の説明に供するブロック説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。本発明の第1実施形態に係るノズル板の製造方法について
図1及び
図2を参照して説明する。
図1は同製造方法の説明に供する断面説明図、
図2は同じく平面説明図である。
【0010】
まず、本実施形態で製造するノズル板1について説明する。ノズル板1は、
図1(e)に示すように、ノズル基材201に、連続する出口穴4a及び入口穴4bで構成されるノズル4を有している。ノズル板1の厚さはt0とし、出口穴4aの深さはD0とする。
【0011】
このノズル板1を製造するには、
図1(a)及び
図2(a)に示すように、Si基板を用いたノズル基材201の一面側から、イオンアシストを用いたドライエッチング法で、環状の溝、ここでは、円環状の溝202を形成する。ここで、円環状の溝202の深さD1は、出口穴4aの深さD0よりも深くする(D1>D0)。
【0012】
次いで、
図1(b)及び
図2(b)に示すように、ノズル基材201の円環状の溝202を形成した面に粘着テープ203を貼り付けた後、ノズル基材201の他面側の研削を行い、所望のノズル板1の厚さt0まで加工する。
【0013】
次いで、
図1(c)及び
図2(c)に示すように、ノズル基材201の研削後の他面側から、ボッシュプロセスを用いたドライエッチング法により、円環状の溝202に対向する位置で、円環状の溝202に到達する深さまで入口穴4bとなる凹部204を形成する。凹部204の深さD2は、厚さt0のノズル基材201の残存部分の厚さが出口穴4aの深さD0になる深さとしている。
【0014】
これにより、円環状の溝202で囲まれた内側の部分は、ノズル基材201から独立した島状部分205となる。
【0015】
その後、
図1(d)及び
図2(d)に示すように、粘着テープ203をノズル基材201から剥離することで、島状部分205が取り除かれる。
【0016】
これにより、
図1(e)及び
図2(e)に示すように、ノズル基材201にノズル4となる出口穴4a及び入口穴4bが形成されたノズル板1を得ることができる。
【0017】
本実施形態に係る製造方法で製造したノズル板1のノズル穴(出口穴4a)の壁面は滑らかな壁面となり、吐出特性が向上する。
【0018】
つまり、液体をノズル面に対して垂直に吐出するためには、ノズル板に対してノズル穴が垂直に形成されていること、ノズル穴の穴径が真円であること、ノズル穴の壁面(内壁)が平滑であることが挙げられる。
【0019】
Si基板をノズル基材としてエッチングでノズル穴を形成する方法としては、形状の制御性の高さからドライエッチング法工法が主に用いられ、ドライエッチング法としてはイオンアシストによる異方性エッチングとボッシュプロセスを用いた異方性エッチングがある。
【0020】
イオンアシストによる異方性エッチングは穴が深くなるほど径が細くなってしまう特徴がある。一方、ボッシュプロセスを用いた異方性エッチングは径の寸法を保ったまま垂直に穴を形成できる特徴がある。そこで、ボッシュプロセスを用いた異方性エッチングが主流となっている。
【0021】
ここで、ドライエッチング法による穴形状について
図3ないし
図5を参照して説明する。
図3はボッシュプロセスによるドライエッチング法による穴形状を説明する断面説明図、
図4はイオンアシストによるドライエッチング法による穴形状を説明する断面説明図である。
図5は各ドライエッチング法を組み合わせた場合の穴形状を説明する断面説明図である。
【0022】
図3に示すように、ボッシュプロセスによるドライエッチング法によってSi基板からなるノズル基材201に穴211をあけると、穴径の制御性や直進性が高い一方、ガスの切り替えのため壁面に周期的な段差のあるスキャロップ形状211aが発生し、穴の壁面の凹凸が大きくなるという特徴がある。
【0023】
一方、
図4に示すように、イオンアシストによるドライエッチング法によってSi基板からなるノズル基材201に穴212をあけると、ボッシュプロセスに比べて壁面の凹凸が低減できる一方、穴212の途中から底部に向かって径が細くなる先細り形状212aが生じるという特徴がある。この先細り形状212aの角度は穴の径に比例し、溝の幅が細いほど角度は小さくなる。そのため、ノズル4に必要な径の穴を円筒形状で開ける場合、必要以上の深さを掘る必要がある。
【0024】
ここで、出口穴4aが深い場合、入口穴4bをイオンアシスト法で形成した場合は、
図5(a)に示すように、出口穴4aと入口穴4bの界面4cが歪になる。また、入口穴4bをボッシュプロセスで形成する場合は、壁面(側壁)保護膜の作用により、
図5(b)に示すように、フェンス4dが形成される。一方、出口穴4aが浅い場合、
図5(c)に示すように、入口穴4b側に狭窄部が生じて吐出精度に影響する。
【0025】
これに対して、本実施形態のように、出口穴4aを形成するために開口幅の小さい円環上の溝202で刳り貫いて形成することにより、先細り角が低減できる。そのため、出口穴4aは比較的垂直な形状を保ちつつ、かつ、浅い溝での形成が可能となり、出口穴4aと入口穴4b付近の界面の形状が保たれることとなる。
【0026】
これにより、ノズル穴(出口穴4a)の壁面の凹凸を低減しつつ、垂直に連通したノズル4を得ることができる。
【0027】
次に、具体的な実施例及び比較例について説明する。
【0028】
<実施例1>
結晶面方位(100)のSi基板をノズル基材201として、外径30μm、内径24μm、高さ(深さD1)10μmの円環状の溝202をイオンアシスト法によるドライエッチング法により形成した。そして、Si基板を厚さt0=60μmまで研削した。次いで、円環状の溝202に対向する位置で、直径40μm、高さ(深さ)45μmの円筒穴である凹部204を、ボッシュプロセスを用いたドライエッチング法により形成した。その後、円環状の溝202の内側を除去して形成したノズル4を有するノズル板1を作製した。
【0029】
<比較例1>
結晶面方位(100)のSi基板をノズル基材201として、直径30μm、深さ10μmの円筒穴(出口穴4a)を、ボッシュプロセスを用いたドライエッチング法により形成した。そして、Si基板を厚さt0=60μmまで研削した。次いで、円筒穴(出口穴4a)に対向する位置で、直径60μm、高さ55μmの円筒穴(入口穴4b)を、ボッシュプロセスを用いたドライエッチング法により形成したノズル4を有するノズル板1を作製した。
【0030】
<比較例2>
結晶面方位(100)のSi基板をノズル基材201として、外径30μm、内径24μm、高さ(深さD1)10μmの円環状の溝202を、ボッシュプロセスを用いたドライエッチング法により形成した。そして、Si基板を厚さt0=60μmまで研削した。次いで、円環状の溝202に対向する位置で、直径60μm、高さ55μmの円筒穴(入口穴4b)を、ボッシュプロセスを用いたドライエッチング法により形成した。その後、円環状の溝202の内側を除去して形成したノズル4を有するノズル板1を作製した。
【0031】
<比較例3>
結晶面方位(100)のSi基板をノズル基材201として、直径30μm、深さ40μmの円筒穴(出口穴4a)を、イオンアシストを用いたドライエッチング法により形成した。そして、Si基板を厚さt0=60μmまで研削した。次いで、円筒穴(出口穴4a)に対向する位置で、直径60μm、高さ55μmの円筒穴(入口穴4b)を、イオンアシストを用いたドライエッチング法により形成したノズル4を有するノズル板1を作製した。
【0032】
<比較例4>
結晶面方位(100)のSi基板をノズル基材201として、直径30μm、深さ40μmの円筒穴(出口穴4a)を、イオンアシストを用いたドライエッチング法により形成した。そして、Si基板を厚さt0=60μmまで研削した。次いで、円筒穴(出口穴4a)に対向する位置で、直径60μm、高さ55μmの円筒穴(入口穴4b)を、ボッシュプロセスを用いたドライエッチング法により形成したノズル4を有するノズル板1を作製した。
【0033】
<比較例5>
結晶面方位(100)のSi基板をノズル基材201として、直径30μm、深さ10μmの円筒穴(出口穴4a)を、イオンアシストを用いたドライエッチング法により形成した。そして、Si基板を厚さt0=60μmまで研削した。次いで、円筒穴(出口穴4a)に対向する位置で、直径60μm、高さ55μmの円筒穴(入口穴4b)を、イオンアシストを用いたドライエッチング法により形成したノズル4を有するノズル板1を作製した。
【0034】
上記実施例1及び比較例1~5で作製したノズル板1の出口穴4aの壁面の粗さRaをAFM(原子間顕微鏡)によって計測した。
【0035】
また、実施例1及び比較例1~5で作製したノズル板1を使用した液体吐出ヘッドを作製し、吐出位置精度を確認した。吐出精度の判断基準は、目標位置に対し、±0.2μm以内の位置に着弾したときを合格とする。
【0036】
さらに、ノズル4の出口穴4aの径、及び出口穴4aと入口穴4bとの界面の径をそれぞれ測定し、フェンスの発生の有無を確認した。
【0037】
【0038】
この結果、出口穴4aをイオンアシスト法による円環状の溝202を用いて形成した実施例1は、出口穴4aの壁面の表面粗さRaが0.03μmと小さく、吐出位置精度も±0.18μmと基準内に入っている。
【0039】
これに対し、ボッシュプロセスを用いたドライエッチング法により出口穴4aを形成した比較例1、2は、出口穴4aの表面粗さRaが大きく、それに対応して吐出位置精度も悪化している。
【0040】
また、出口穴4aの加工はイオンアシストによるドライエッチング法であるが、円環状の溝ではなく、直接、円筒穴を形成した比較例3、4、5は、それぞれ、表面粗さRaは良好であるが、吐出位置精度が低下している。
【0041】
比較例3では出入口界面径の拡大が吐出精度を低下させている。また、比較例4では出入口界面端部にフェンスが発生し、これが吐出精度を低下させている。比較例5ではイオンアシストによるドライエッチング法の特徴である底部の先細りにより出入口界面の貫通部の径が狭窄しており、これが流体抵抗となって吐出位置精度を低下させている。
【0042】
このように、本実施形態に係るノズル板の製造方法によれば、ノズル穴の壁面の平滑性が向上し、特出特性が向上する。
【0043】
なお、ここでは、環状の溝が円環状の溝である例で説明しているが、吐出物によっては、ノズル形状が円形状でなくとも良い場合があるので、円環状の溝に限定されるものではない。要するに、環状の溝を形成して内側の島状部を刳り抜くことでノズル穴を形成すればよい。
【0044】
次に、本発明に係る吐出ヘッドの製造方法の一例について
図7及び
図8を参照して説明する。
図7は同製造方法で製造した吐出ヘッドのノズル配列方向と直交する方向の断面説明図、
図8は同じく同ヘッドの
図7のX1-X1線におけるノズル配列方向と直交する方向の断面説明図である。
【0045】
この吐出ヘッドは、本発明に係るノズル板の製造方法によって製造したノズル板1と、流路板2と、壁面部材としての振動板部材3とを積層接合している。そして、振動板部材3の振動領域(振動板)30を変位させる圧電アクチュエータ11と、ヘッドのフレーム部材を兼ねている共通液室部材20とを備えている。
【0046】
ノズル板1は、液体を吐出する複数のノズル4を有している。
【0047】
流路板2は、複数のノズル4にそれぞれ通じる複数の個別液室6、複数の個別液室6にそれぞれ通じる供給流路を構成する複数の流体抵抗部7、1又は複数の流体抵抗部7に通じる1又は複数の液導入部8を形成している。なお、流路板2は、3枚の板状部材2A~2Cを積層して構成している。
【0048】
振動板部材3は、流路板2の個別液室6の壁面を形成する変形可能な振動領域30を有する。ここでは、振動板部材3は2層構造(限定されない)とし、流路板2側から薄肉部を形成する第1層3Aと、厚肉部を形成する第2層3Bで形成され、第1層3Aで個別液室6に対応する部分に変形可能な振動領域30を形成している。
【0049】
そして、振動板部材3の個別液室6とは反対側に、振動板部材3の振動領域30を変形させる駆動手段(アクチュエータ手段、圧力発生手段)としての電気機械変換素子を含む圧電アクチュエータ11を配置している。
【0050】
この圧電アクチュエータ11は、ベース部材13上に接合した圧電部材にハーフカットダイシングによって溝加工をして、ノズル配列方向において、所要数の柱状の圧電素子12を所定の間隔で櫛歯状に形成している。
【0051】
そして、圧電素子12を振動板部材3の振動領域(振動板)30に形成した島状の厚肉部である凸部30aに接合している。
【0052】
この圧電素子12は、圧電層と内部電極とを交互に積層したものであり、内部電極がそれぞれ端面に引き出されて外部電極が設けられ、外部電極にフレキシブル配線部材15が接続されている。
【0053】
共通液室部材20は、共通液室10を形成し、共通液室10には外部から液体を供給する供給口21が通じている。
【0054】
共通液室10は、振動板部材3に設けた流路である開口9を介して液導入部8に通じており、液導入部8を介して複数の個別液室6に通じている。
【0055】
このように構成した吐出ヘッドにおいては、例えば圧電素子12に与える電圧を基準電位(中間電位)から下げることによって圧電素子12が収縮し、振動板部材3の振動領域30が引かれて個別液室6の容積が膨張することで、個別液室6内に液体が流入する。
【0056】
その後、圧電素子12に印加する電圧を上げて圧電素子12を積層方向に伸長させ、振動板部材3の振動領域30をノズル4に向かう方向に変形させて個別液室6の容積を収縮させることにより、個別液室6内の液体が加圧され、ノズル4から液体が吐出される。
【0057】
なお、ヘッドの駆動方法については上記の例(引き-押し打ち)に限るものではなく、駆動波形の与えた方によって引き打ちや押し打ちなどを行なうこともできる。
【0058】
本実施形態の液体吐出ヘッドを製造するときには、本発明に係るノズル板の製造方法でノズル板1を製造する工程と、製造したノズル板1と、ノズル4が通じる流路である個別液室などを形成する流路板2及び振動板部材3で構成される流路部材40と、ノズル4から液体を吐出させる圧力を発生する圧力発生手段としての圧電アクチュエータ11とを組み付ける工程を行う。さらに、本実施形態では、流路部材40に共通液室部材20を組み付ける工程も行っている。
【0059】
次に、本発明に係る吐出ヘッドの製造方法に他の例について
図9を参照して説明する。
図9は同製造方法で製造した吐出ヘッドのノズル配列方向と直交する方向の断面説明図である。
【0060】
この液体吐出ヘッドは、循環型ヘッドであり、本発明に係るノズル板の製造方法で製造したノズル板1と、流路板2と、壁面部材としての振動板部材3と、圧電アクチュエータ11と、共通液室部材20とを備えている。
【0061】
流路板2は、複数のノズル4にそれぞれノズル連通路5を介して通じる複数の個別液室6と、複数の供給側の流体抵抗部7と、1又は複数の液導入部8とを形成している。また、流路板2は、複数の個別液室6にそれぞれノズル連通路5を介して通じる排出側個別流路56と、排出側個別流路56に通じる1又は複数の液導出部58を形成している。
【0062】
共通液室部材20は、供給側の共通液室10と、排出側の共通液室50を形成している。供給側の共通液室10は、振動板部材3に設けた供給側の開口9を通じて液導入部8に通じている。排出側の共通液室50は、振動板部材3に設けた排出側の開口59を通じて液導出部58に通じている。
【0063】
また、供給側の共通液室10は供給口21を介して外部の循環経路に接続され、排出側の共通液室50は排出口22を介して外部の循環経路に接続されている。
【0064】
この循環型液体吐出ヘッドにおいては、圧電素子12を駆動することによって個別液室6内の液体が加圧されて、ノズル4から液体が吐出される。
【0065】
このとき、ノズル4から吐出されない液体は、排出側個別流路56、液導出部58、排出側の開口59から排出側の共通液室50に排出され、排出側の共通液室50から外部の循環経路を通じて供給側の共通液室10に再度供給される。
【0066】
また、ノズル4から液体を吐出する液体吐出動作を行っていないときにも、供給側の共通液室10から供給側の開口9、液導入部8、流体抵抗部7、個別液室6、ノズル連通路5、排出側個別流路56、液導出部58、排出側の開口59を経て排出側の共通液室50に排出され、排出側の共通液室50から外部の循環経路を通じて供給側の共通液室10に再度供給される。
【0067】
次に、本発明に係る吐出する装置の製造方法の一例について
図10及び
図11を参照して説明する。
図10は同製造方法で製造した装置の要部平面説明図、
図11は同装置の要部側面説明図である。
【0068】
この装置は、シリアル型装置であり、主走査移動機構493によって、キャリッジ403は主走査方向に往復移動する。主走査移動機構493は、ガイド部材401、主走査モータ405、タイミングベルト408等を含む。ガイド部材401は、左右の側板491A、491Bに架け渡されてキャリッジ403を移動可能に保持している。そして、主走査モータ405によって、駆動プーリ406と従動プーリ407間に架け渡したタイミングベルト408を介して、キャリッジ403は主走査方向に往復移動される。
【0069】
このキャリッジ403には、本発明に係る吐出ヘッドの製造方法で製造した液体吐出ヘッド404及びヘッドタンク441を一体にした本発明に係る吐出ユニットの製造方法で製造した液体吐出ユニット440を搭載している。
【0070】
液体吐出ユニット440の液体吐出ヘッド404は、例えば、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の各色の液体を吐出する。また、液体吐出ヘッド404は、複数のノズルからなるノズル列を主走査方向と直交する副走査方向に配置し、吐出方向を下方に向けて装着している。
【0071】
液体吐出ヘッド404の外部に貯留されている液体を液体吐出ヘッド404に供給するための供給機構494により、ヘッドタンク441には、液体カートリッジ450に貯留されている液体が供給される。
【0072】
供給機構494は、液体カートリッジ450を装着する充填部であるカートリッジホルダ451、チューブ456、送液ポンプを含む送液ユニット452等で構成される。液体カートリッジ450はカートリッジホルダ451に着脱可能に装着される。ヘッドタンク441には、チューブ456を介して送液ユニット452によって、液体カートリッジ450から液体が送液される。
【0073】
この装置は、用紙410を搬送するための搬送機構495を備えている。搬送機構495は、搬送手段である搬送ベルト412、搬送ベルト412を駆動するための副走査モータ416を含む。
【0074】
搬送ベルト412は用紙410を吸着して液体吐出ヘッド404に対向する位置で搬送する。この搬送ベルト412は、無端状ベルトであり、搬送ローラ413と、テンションローラ414との間に掛け渡されている。吸着は静電吸着、あるいは、エアー吸引などで行うことができる。
【0075】
そして、搬送ベルト412は、副走査モータ416によってタイミングベルト417及びタイミングプーリ418を介して搬送ローラ413が回転駆動されることによって、副走査方向に周回移動する。
【0076】
さらに、キャリッジ403の主走査方向の一方側には搬送ベルト412の側方に液体吐出ヘッド404の維持回復を行う維持回復機構420が配置されている。
【0077】
維持回復機構420は、例えば液体吐出ヘッド404のノズル面(ノズルが形成された面)をキャッピングするキャップ部材421、ノズル面を払拭するワイパ部材422などで構成されている。
【0078】
主走査移動機構493、供給機構494、維持回復機構420、搬送機構495は、側板491A,491B、背板491Cを含む筐体に取り付けられている。
【0079】
このように構成したこの装置においては、用紙410が搬送ベルト412上に給紙されて吸着され、搬送ベルト412の周回移動によって用紙410が副走査方向に搬送される。
【0080】
そこで、キャリッジ403を主走査方向に移動させながら画像信号に応じて液体吐出ヘッド404を駆動することにより、停止している用紙410に液体を吐出して画像を形成
する。
【0081】
このように、この装置では、本発明に係る製造方法で製造したノズル板を含む吐出ヘッドを備えているので、高画質画像を安定して形成することができる。
【0082】
この吐出する装置を製造するには、本発明に係る吐出ヘッドの製造方法で吐出ヘッド404を製造する工程、又は、本発明に係る吐出ユニットの製造方法で吐出ヘッド4とヘッドタンク441を一体化する工程を行って吐出ユニット440を製造する工程と、吐出ヘッド404又は吐出ユニット440を装置本体400のキャリッジ403に搭載する工程とを行う。
【0083】
次に、本発明に係る吐出ユニットの製造方法の他の例について
図12を参照して説明する。
図12は同製造方法で製造した吐出ユニットの要部平面説明図である。
【0084】
この吐出ユニットは、前記吐出する装置を構成している部材のうち、側板491A、491B及び背板491Cで構成される筐体部分と、主走査移動機構493と、キャリッジ403と、液体吐出ヘッド404で構成されている。
【0085】
なお、この吐出ユニットの例えば側板491Bに、前述した維持回復機構420、及び供給機構494の少なくともいずれかを更に取り付けた吐出ユニットを構成することもできる。
【0086】
次に、本発明に係る吐出ユニットの製造方法の更に他の例について
図13を参照して説明する。
図13は同製造方法で製造した吐出ユニットの正面説明図である。
【0087】
この吐出ユニットは、流路部品444が取付けられた液体吐出ヘッド404と、流路部品444に接続されたチューブ456で構成されている。
【0088】
なお、流路部品444はカバー442の内部に配置されている。流路部品444に代えてヘッドタンク441を含むこともできる。また、流路部品444の上部には液体吐出ヘッド404と電気的接続を行うコネクタ443が設けられている。
【0089】
このように、本発明に係る吐出ユニットの製造方法においては、吐出ヘッド404に供給する吐出物を貯留するヘッドタンク441、吐出ヘッド404を搭載するキャリッジ403、吐出ヘッド404に吐出物を供給する供給機構494、吐出ヘッド404の維持回復を行う維持回復機構420、吐出ヘッド404を主走査方向に移動させる主走査移動機構493の少なくともいずれか一つと一体化する工程を行う。
【0090】
次に、本発明に係る吐出する装置の製造方法の他の例について
図14及び
図15を参照して説明する。
図14は同製造方法によって製造した装置の概略説明図、
図15は同装置のヘッドユニットの平面説明図である。
【0091】
この吐出する装置は、連続媒体510を搬入する搬入手段501と、搬入手段501から搬入された連続媒体510を印刷手段505に案内搬送する案内搬送手段503と、連続媒体510に対して液体を吐出して画像を形成する印刷を行う印刷手段505と、連続媒体510を乾燥する乾燥手段507と、連続媒体510を排出する排出手段509などを備えている。
【0092】
連続媒体510は搬入手段501の元巻きローラ511から送り出され、搬入手段501、案内搬送手段503、乾燥手段507、排出手段509の各ローラによって案内、搬送されて、排出手段509の巻取りローラ591にて巻き取られる。
【0093】
この連続媒体510は、印刷手段505において、搬送ガイド部材559上をヘッドユニット550及びヘッドユニット555に対向して搬送され、ヘッドユニット550から吐出される液体によって画像が形成され、ヘッドユニット55から吐出される処理液で後処理が行われる。
【0094】
ここで、ヘッドユニット550には、例えば、媒体搬送方向上流側から、4色分のフルライン型ヘッドアレイ551K、551C、551M、551Y(以下、色の区別しないときは「ヘッドアレイ551」という。)が配置されている。
【0095】
各ヘッドアレイ551は、液体吐出手段であり、それぞれ、搬送される連続媒体510に対してブラックK,シアンC、マゼンタM、イエローYの液体を吐出する。なお、色の種類及び数はこれに限るものではない。
【0096】
ヘッドアレイ551は、例えば、本発明に係る吐出ヘッドの製造方法で製造した複数の吐出ヘッド1000をベース部材552上に千鳥状に並べて配置したものであるが、これに限らない。
【0097】
この吐出する装置を製造するには、本発明に係る吐出ヘッドの製造方法で吐出ヘッド404を製造する工程、又は、本発明に係る吐出ユニットの製造方法で吐出ヘッドとヘッドタンク等を一体化する工程を行って吐出ユニットを製造する工程と、吐出ヘッド404又は吐出ユニットを装置本体に搭載する工程とを行う。
【0098】
次に、この装置における液体循環システムの一例について
図16を参照して説明する。
図16は同システムの説明に供するブロック説明図である。
【0099】
液体循環システム630は、メインタンク602、ヘッド1000、供給タンク631、循環タンク632、コンプレッサ633、真空ポンプ634、第1送液ポンプ635、第2送液ポンプ636、供給側圧力センサ637、循環側圧力センサ638、レギュレータ(R)639a,639bなどで構成されている。
【0100】
供給側圧力センサ637は、供給タンク631とヘッド1000との間であって、ヘッド1000の供給ポートに繋がった供給側流路に接続されている。循環側圧力センサ638は、ヘッド1000と循環タンク632との間であって、ヘッド1000の排出ポートに繋がった排出側流路に接続されている。
【0101】
循環タンク632の一方は、第1送液ポンプ635を介して供給タンク631と接続されており、循環タンク632の他方は第2送液ポンプ636を介してメインタンク602と接続されている。
【0102】
これにより、供給タンク631から供給ポート71を通ってヘッド1000内に液体が流入し、排出ポート72から排出されて循環タンク632へ排出される。そして、さらに第1送液ポンプ635によって循環タンク632から供給タンク631へ液体が送られることによって液体が循環する。
【0103】
また、供給タンク631にはコンプレッサ633がつなげられており、供給側圧力センサ637で所定の正圧が検知されるように制御される。一方、循環タンク632には真空ポンプ634がつなげられており、循環側圧力センサ638で所定の負圧が検知されるよう制御される。
【0104】
これにより、ヘッド1000内を通って液体を循環させつつ、メニスカスの負圧を一定に保つことができる。
【0105】
また、ヘッド1000のノズル4から液体を吐出すると、供給タンク631及び循環タンク632内の液体量が減少していく。そのため、適宜、第2送液ポンプ636を用いて、メインタンク602から循環タンク632に液体を補充する。メインタンク602から循環タンク632への液体補充のタイミングは、循環タンク632内の液体の液面高さが所定高さよりも下がったときに液体補充を行うなど、循環タンク632内に設けた液面センサなどの検知結果によって制御することができる。
【0106】
本願において、吐出物は、吐出ヘッドから吐出可能な粘度や表面張力を有するものであればよく、特に限定されないが、常温、常圧下において、または加熱、冷却により粘度が30mPa・s以下となるものであることが好ましい。より具体的には、水や有機溶媒等の溶媒、染料や顔料等の着色剤、重合性化合物、樹脂、界面活性剤等の機能性付与材料、DNA、アミノ酸やたんぱく質、カルシウム等の生体適合材料、天然色素等の可食材料、などを含む溶液、懸濁液、エマルジョンなどであり、これらは例えば、インクジェット用インク、表面処理液、電子素子や発光素子の構成要素や電子回路レジストパターンの形成用液などの液体、光硬化性樹脂等の3次元造形用材料等の用途で用いることができる。
【0107】
液体を吐出するエネルギー発生源として、圧電アクチュエータ(積層型圧電素子及び薄膜型圧電素子)、発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いるサーマルアクチュエータ、振動板と対向電極からなる静電アクチュエータなどを使用するものが含まれる。
【0108】
「吐出ユニット」は、吐出ヘッドに機能部品、機構が一体化したものであり、液体の吐出に関連する部品の集合体が含まれる。例えば、「吐出ユニット」は、ヘッドタンク、キャリッジ、供給機構、維持回復機構、主走査移動機構の構成の少なくとも一つを液体吐出ヘッドと組み合わせたものなどが含まれる。
【0109】
ここで、一体化とは、例えば、吐出ヘッドと機能部品、機構が、締結、接着、係合などで互いに固定されているもの、一方が他方に対して移動可能に保持されているものを含む。また、液体吐出ヘッドと、機能部品、機構が互いに着脱可能に構成されていても良い。
【0110】
例えば、液体吐出ユニットとして、吐出ヘッドとヘッドタンクが一体化されているものがある。また、チューブなどで互いに接続されて、吐出ヘッドとヘッドタンクが一体化されているものがある。ここで、これらの吐出ユニットのヘッドタンクと吐出ヘッドとの間にフィルタを含むユニットを追加することもできる。
【0111】
また、吐出ユニットとして、吐出ヘッドとキャリッジが一体化されているものがある。
【0112】
また、吐出ユニットとして、吐出ヘッドを走査移動機構の一部を構成するガイド部材に移動可能に保持させて、吐出ヘッドと走査移動機構が一体化されているものがある。また、液体吐出ヘッドとキャリッジと主走査移動機構が一体化されているものがある。
【0113】
また、吐出ユニットとして、吐出ヘッドが取り付けられたキャリッジに、維持回復機構の一部であるキャップ部材を固定させて、吐出ヘッドとキャリッジと維持回復機構が一体化されているものがある。
【0114】
また、吐出ユニットとして、ヘッドタンク若しくは流路部品が取付けられた吐出ヘッドにチューブが接続されて、吐出ヘッドと供給機構が一体化されているものがある。このチューブを介して、液体貯留源の液体が吐出ヘッドに供給される。
【0115】
主走査移動機構は、ガイド部材単体も含むものとする。また、供給機構は、チューブ単体、装填部単体も含むものする。
【0116】
「吐出する装置」には、吐出ヘッド又は吐出ユニットを備え、吐出ヘッドを駆動させて吐出させる装置が含まれる。吐出する装置には、液体が付着可能なものに対して吐出することが可能な装置だけでなく、液体などの吐出物を気中や液中に向けて吐出する装置も含まれる。
【0117】
この「吐出する装置」は、吐出物が付着可能なものの給送、搬送、排紙に係わる手段、その他、前処理装置、後処理装置なども含むことができる。
【0118】
例えば、「吐出する装置」として、インクを吐出させて用紙に画像を形成する装置である画像形成装置、立体造形物(三次元造形物)を造形するために、粉体を層状に形成した粉体層に造形液を吐出させる立体造形装置(三次元造形装置)がある。
【0119】
また、「吐出する装置」は、吐出された液体によって文字、図形等の有意な画像が可視化されるものに限定されるものではない。例えば、それ自体意味を持たないパターン等を形成するもの、三次元像を造形するものも含まれる。
【0120】
上記「吐出物が付着可能なもの」とは、吐出物が少なくとも一時的に付着可能なものであって、付着して固着するもの、付着して浸透するものなどを意味する。具体例としては、用紙、記録紙、記録用紙、フィルム、布などの被記録媒体、電子基板、圧電素子などの電子部品、粉体層(粉末層)、臓器モデル、検査用セルなどの媒体であり、特に限定しない限り、吐出物が付着するすべてのものが含まれる。
【0121】
上記「吐出物が付着可能なもの」の材質は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックスなど吐出物が一時的でも付着可能であればよい。
【0122】
また、「吐出する装置」は、吐出ヘッドと吐出物が付着可能なものとが相対的に移動する装置があるが、これに限定するものではない。具体例としては、吐出ヘッドを移動させるシリアル型装置、吐出ヘッドを移動させないライン型装置などが含まれる。
【0123】
また、「吐出する装置」としては、他にも、用紙の表面を改質するなどの目的で用紙の表面に処理液を塗布するために処理液を用紙に吐出する処理液塗布装置、原材料を溶液中に分散した組成液を、ノズルを介して噴射させて原材料の微粒子を造粒する噴射造粒装置などがある。
【0124】
なお、本願の用語における、画像形成、記録、印字、印写、印刷、造形等はいずれも同義語とする。
【符号の説明】
【0125】
1 ノズル板
2 流路板
3 振動板部材
4 ノズル
4a 出口穴
4b 入口穴
5 ノズル連通路
6 個別液室
7 流体抵抗部
8 液導入部
9 開口(供給側の開口)
10 共通液室(供給側の共通液室)
11 圧電アクチュエータ
20 共通液室部材
50 排出側の共通液室
400 装置本体
403 キャリッジ
404 吐出ヘッド
440 吐出ユニット
630 液体循環システム
1000 吐出ヘッド