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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-07
(45)【発行日】2022-03-15
(54)【発明の名称】照明光学系ユニット
(51)【国際特許分類】
   G03B 21/14 20060101AFI20220308BHJP
   G03B 21/00 20060101ALI20220308BHJP
   H04N 5/74 20060101ALI20220308BHJP
   H04N 9/31 20060101ALI20220308BHJP
【FI】
G03B21/14 A
G03B21/00 D
H04N5/74 Z
H04N9/31 500
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2018050260
(22)【出願日】2018-03-16
(65)【公開番号】P2019159287
(43)【公開日】2019-09-19
【審査請求日】2021-02-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】中山 裕俊
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼野 洋平
(72)【発明者】
【氏名】中村 果澄
【審査官】川俣 郁子
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-098202(JP,A)
【文献】特開2017-195057(JP,A)
【文献】特開2017-142482(JP,A)
【文献】特開2012-133337(JP,A)
【文献】特開2018-025816(JP,A)
【文献】特開2008-083245(JP,A)
【文献】特開2006-171725(JP,A)
【文献】特開2000-206455(JP,A)
【文献】特開2018-031823(JP,A)
【文献】国際公開第2015/151180(WO,A1)
【文献】特開2015-045843(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0240676(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B21/00-21/10
21/12-21/13
21/134-21/30
33/00-33/16
H04N5/66-5/74
9/12-9/31
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像表示装置の画像表示素子を照明する照明光学系ユニットであって、
光源と、
前記光源からの光を、入射端面から入射した光の均一性を高めた光を出射端面から出射する光ミキシング素子へ導く光源光学系と、
前記光ミキシング素子の前記出射端面から出射した光を前記画像表示素子へ導く照明光学系と、を有し、
前記光源光学系は、
前記光源から出射された第1の波長を持つ第1の光束の少なくとも一部を、第2の波長を持つ第2の光束に変換する波長変換部材と、
前記第1の光束の光路と前記第2の光束の光路とを合成する光路合成手段と、
前記光路合成手段により合成された前記第1の光束および前記第2の光束を前記光ミキシング素子の前記入射端面に導く光学素子と、を有し、
前記光ミキシング素子は、互いに向かい合う反射面を有し、
前記向かい合う反射面は、前記光ミキシング素子の前記入射端面および前記出射端面と交わる平面を第1の平面としたとき、前記第1の平面と該向かい合う反射面とのそれぞれの交線同士の入射端面側の距離をA、出射端面側の距離をBと距離としたとき、A<Bを満足する反射面であり、
前記光ミキシング素子の、前記入射端面および前記出射端面と交わる第1の平面での断面において、前記第1の光束の光源像の大きさをL1、前記第2の光束の光源像の大きさをL2としたとき、以下の条件式を満足することを特徴とする照明光学系ユニット。
A>L1>L2
ただし、光源像の大きさL1およびL2は、前記第1の平面において光の強度分布を1で規格化したとき、規格化強度が1/2になる2点間を結んだ距離とする。
【請求項2】
請求項1に記載の照明光学系ユニットにおいて、
前記光ミキシング素子の入射端面の面積をSA、前記光ミキシング素子の出射端面の面積をSBとしたとき、以下の条件式を満足することを特徴とする照明光学系ユニット。
SA<SB
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の照明光学系ユニットにおいて、
前記光ミキシング素子の入射端面と出射端面とは、平面形状が等しいことを特徴とする照明光学系ユニット。
【請求項4】
請求項1から請求項3のうちいずれか一項に記載の照明光学系ユニットにおいて、
前記光ミキシング素子の入射端面のアスペクト比は、前記画像表示素子のアスペクト比よりも前記光源の発光領域のアスペクト比に近く、前記光ミキシング素子の出射端面のアスペクト比は、前記光源の発光領域のアスペクト比よりも前記画像表示素子のアスペクト比に近いことを特徴とする照明光学系ユニット。
【請求項5】
請求項1から請求項のうちいずれか一項に記載の照明光学系ユニットにおいて、
前記画像表示素子は、二次元的に配列した複数の微小ミラーを有し、前記微小ミラーが傾くことでON状態とOFF状態を作り出し、前記ON状態の光が投影面に導かれ、画像の表示を可能とし、前記ON状態の微小ミラーの傾斜角度をθとし、前記出射端面から出射される前記光の出射全角をθ2outとしたとき、以下の条件式を満足することを特徴とする照明光学系ユニット。
θ≧12度
θ2out/θ<5.5
ただし、傾斜角度θは、前記画像表示素子の鉛直方向の軸に対する各微小ミラーの鉛直方向の軸の角度とし、
出射全角θ2outは、前記出射端面から出射される前記光の角度強度分布を1で規格化したとき、規格化強度が1/eになるときの出射全角とする。
【請求項6】
請求項1から請求項のうちいずれか一項に記載の照明光学系ユニットにおいて、
前記光源から出射された第1の波長を持つ第1の光束は、偏光分離素子を透過または反射した後、波長変換部材に照射されて、第2の波長を持つ第2の光束を生成し、
前記第2の光束は、前記偏光分離素子を反射または透過した後、前記光源光学系を構成する光学素子により前記光ミキシング素子の前記入射端面に集光することを特徴とする照明光学系ユニット。
【請求項7】
請求項1から請求項のうちいずれか一項に記載の照明光学系ユニットにおいて、
前記光源から出射された第1の波長を持つ第1の光束は、波長分離素子を透過または反射した後、波長変換部材に照射されて、第2の波長を持つ第2の光束を生成し、
前記第2の光束は、前記波長分離素子を反射または透過した後、前記光源光学系を構成する光学素子により前記光ミキシング素子の入射端面に集光することを特徴とする照明光学系ユニット。
【請求項8】
請求項1から請求項のうちいずれか一項に記載の照明光学系ユニットにおいて、
前記光源は、固体光源を備えることを特徴とする照明光学系ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明光学系ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像表示装置であるプロジェクタの光源として、超高圧水銀ランプなどの放電ランプが用いられてきた。しかし、放電ランプでは、寿命が短い、瞬時点灯が難しい、及び色再現範囲が狭い等の課題があった。そこで、放電ランプに代わる光源として、LD(Laser Diode)又はLED(Light Emitting Diode)などの固体光源を用いたプロジェクタが提案されてきている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
LDを光源として用いたプロジェクタは、青色の光を発するLDからなるLDアレイと蛍光ホイールとカラーホイールを用いてR(赤色)、G(緑色)及びB(青色)の3色の光を作り出す光学系を備えるのが一般的である。この一般的な光学系は、青色の光を発するLDからなるLDアレイから出射された青色の光を励起光とし、蛍光ホイール上に照射された青色の光を蛍光に変換する。光学系は、青色の光と蛍光それぞれがカラーホイールを透過し、時分割的にR(赤色)、G(緑色)及びB(青色)の3色の光を作り出す。光学系で生成された光は、光ミキシング素子の入射端面に入射し、光ミキシング素子の出射端面から出射する。光ミキシング素子の出射端面から出射した光は、照明光学系により画像形成素子に照明される。画像形成素子で変調された光は、投射光学系により投影面であるスクリーンに投影される。
【0004】
近年、LDを光源として用いたプロジェクタの高輝度化が求められており、光源から出射された光を、効率よくスクリーンに導く光学系が求められている。特許文献1の記載のプロジェクタの光学系は、光源から出射された光を光ミキシング素子に入射する光路において、効率を向上するための工夫がなされている。この特許文献1に記載の光学系は、光源から出射され、拡散部材で拡散された光を効率よく取り込むために、光ミキシング素子の入射端面を出射端面よりも大きくしている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら特許文献1に示された光学系は、光ミキシング素子の入射端面を出射端面よりも大きくすることで、光ミキシング素子に入射する光の取り込み効率を向上できるが、出射端面から出射される光の出射角が大きくなる。このために、特許文献1に示された光学系は、光ミキシング素子よりも後段の光路で光のケラレが発生し、光学系全体では効率が落ちてしまう可能性があった。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、ケラレの発生を抑制して、光学系全体の効率を向上することができる照明光学系ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、画像表示装置の画像表示素子を照明する照明光学系ユニットであって、光源と、前記光源からの光を、入射端面から入射した光の均一性を高めた光を出射端面から出射する光ミキシング素子へ導く光源光学系と、前記光ミキシング素子の前記出射端面から出射した光を前記画像表示素子へ導く照明光学系と、を有し、前記光源光学系は、前記光源から出射された第1の波長を持つ第1の光束の少なくとも一部を、第2の波長を持つ第2の光束に変換する波長変換部材と、前記第1の光束の光路と前記第2の光束の光路とを合成する光路合成手段と、前記光路合成手段により合成された前記第1の光束および前記第2の光束を前記光ミキシング素子の前記入射端面に導く光学素子と、を有し、前記光ミキシング素子は、互いに向かい合う反射面を有し、前記向かい合う反射面は、前記光ミキシング素子の前記入射端面および前記出射端面と交わる平面を第1の平面としたとき、前記第1の平面と該向かい合う反射面とのそれぞれの交線同士の入射端面側の距離をA、出射端面側の距離をBと距離としたとき、A<Bを満足する反射面であり、前記光ミキシング素子の、前記入射端面および前記出射端面と交わる第1の平面での断面において、前記第1の光束の光源像の大きさをL1、前記第2の光束の光源像の大きさをL2としたとき、以下の条件式を満足することを特徴とする。A>L1>L2、ただし、光源像の大きさL1およびL2は、第1の平面において光の強度分布を1で規格化したとき、規格化強度が1/2になる2点間を結んだ距離とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、ケラレの発生を抑制して、光学系全体で効率を向上することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施形態1に係る照明光学系ユニットを備える画像表示装置の構成例を示す図である。
図2図2は、実施形態1に係る照明光学系ユニットの構成例を示す図である。
図3図3は、図1中のIII部を拡大して示す画像表示装置の画像表示素子の要部を示す図である。
図4図4は、図2に示された照明光学系ユニットの蛍光ホイールの正面図である。
図5図5は、図2に示された照明光学系ユニットのカラーホイールの正面図である。
図6図6は、図2に示された照明光学系ユニットの光ミキシング素子を示す図である。
図7図7は、図6に示された光ミキシング素子の入射端面における第1の光束の光源像を示す平面図である。
図8図8は、図6に示された光ミキシング素子の入射端面における第2の光束の光源像を示す平面図である。
図9図9は、図7に示された光源像の光の強度分布を示す図である。
図10図10は、図7に示された光源像の光の強度分布を示す図である。
図11図11は、図6に示された光ミキシング素子の入射端面における第1の光束及び第2の光束の光源像を示す平面図である。
図12図12は、図1に示された画像表示装置の画像表示素子の画像形成領域を示す図である。
図13図13は、図2に示された照明光学系ユニットの光源の発光領域を示す図である。
図14図14は、図2に示された照明光学系ユニットの照明光学系の構成例を示す図である。
図15図15は、図2に示された照明光学系ユニットの光ミキシング素子の出射端面から出射される光の角度強度分布を示す図である。
図16図16は、実施形態1に係る照明光学系ユニットの要部の動作を示す図である。
図17図17は、実施形態2に係る照明光学系ユニットの構成例を示す図である。
図18図18は、実施形態3に係る照明光学系ユニットの構成例を示す図である。
図19図19は、実施形態4に係る照明光学系ユニットの構成例を示す図である。
図20図20は、実施形態5に係る画像表示装置の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に添付図面を参照して、照明光学系ユニットの実施形態を詳細に説明する。
〔実施形態1〕
図1は、実施形態1に係る照明光学系ユニットを備える画像表示装置の構成例を示す図である。図2は、実施形態1に係る照明光学系ユニットの構成例を示す図である。図3は、図1中のIII部を拡大して示す画像表示装置の画像表示素子の要部を示す図である。図4は、図2に示された照明光学系ユニットの蛍光ホイールの正面図である。図5は、図2に示された照明光学系ユニットのカラーホイールの正面図である。
【0011】
図1及び図2に示す実施形態1に係る照明光学系ユニット1は、画像表示素子201により生成された画像を拡大して、投影面300に投射する画像表示装置200を構成する。画像表示装置200は、図1に示すように、照明光学系ユニット1と、画像表示素子201と、投射光学系ユニット210とを備える。なお、投影面300は、白色のスクリーンの表面、白色の内壁面又は白色板の表面などである。
【0012】
実施形態1では、画像表示素子201は、直線であるX1方向に沿う長手方向と、X3方向に交差(実施形態1では、直交)するY1方向に沿う短手方向とを備えた矩形形状をしている。実施形態では、画像表示素子201は、図3に示す微小ミラー202をX1方向とY1方向とに沿って二次元的に配列した表示素子の一種であるDMD(Digital Mirror Device)を備える。画像表示素子201は、画像データに基づいてDMDの各微小ミラー202を時分割駆動することで照明光学系ユニット1からの各色の光100を画像データ通りの画像を形成するように反射させる。画像表示素子201は、照明光学系ユニット1からの光100を変調して、画像データに応じた画像を生成する。なお、実施形態1では、画像表示素子201は、DMDを備えるが、本発明では、DMDの代わりに、LCD(Liquid Crystal Display:透過型液晶)又はLCOS(Liquid Crystal On Silicon:反射型液晶)を備えても良い。
【0013】
投射光学系ユニット210は、照明光学系ユニット1の光ミキシング素子30の出射端面32から出射された光100が照射されること等で画像表示素子201により生成された画像を拡大して投影面300に投射するユニットである。投射光学系ユニット210は、複数のレンズ、絞りなどの光学素子231により構成されている。なお、実施形態1において、画像を形成するために用いられない光は、DMDの微小ミラー202の時分割駆動によりOFF光板に照射され、投影面300へは投射されない。また、本発明は、投射光学系ユニット210として、屈折光学系のみから構成される光学系、屈折光学系と反射光学系を組み合わせた光学系、反射光学系のみから構成される光学系などを用いることができる。
【0014】
また、実施形態1の画像表示装置200は、CPU(Central Processing Unit)やROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などを備えている。CPUは、ROM等に格納されたプログラムをRAMに展開して実行することにより、画像表示装置200及び照明光学系ユニット1の動作を制御する。
【0015】
図1及び図2に示す照明光学系ユニット1は、画像表示装置200に光100を照射して、画像表示装置200を照明するユニットである。照明光学系ユニット1は、光源10から出射された光100である第1の光束101を励起光とし、第1の光束101を蛍光ホイール22上に塗布された波長変換部材23に照射し、波長変換部材23から緑の波長を含む光100である第2の光束102を生成する。
【0016】
照明光学系ユニット1は、光源10と、第1の光束101と第2の光束102を光ミキシング素子30至近の光学素子21を用いて光ミキシング素子30の入射端面31に集光する光源光学系20とを備える光学系である。また、照明光学系ユニット1は、光ミキシング素子30と、光ミキシング素子30の出射端面32から出射された光100を画像表示素子201に照明する照明光学系40とを備える光学系でもある。
【0017】
励起光である第1の光束101は、455nm近辺の波長の光の強度が最も強い青色帯域の光である。即ち、第1の光束101は、第1の波長である455nm近辺の波長を持つ光である。波長変換部材23から出射される第2の光束102は、550nm近辺の波長の光の強度が最も強い緑の波長を含む光である。即ち、第2の光束102は、第2の波長である550nm近辺の波長を持つ光である。なお、本発明では、上記光束101,102の波長は、これらに限定されるものではなく、広く適用されるものである。すなわち、第1の光束101は、青色帯域の光に限定されるものではなく、紫外帯域の光であっても良い。また、波長変換部材23から出射される第2の光束102は、緑色帯域の光を含んでいればよく、黄色として出射される光であっても良い。また、第1の光束101は、例えば、P偏光をしている。
【0018】
(光源)
実施形態1では、光源10は、光100である第1の光束101を出射するLD(Laser Diode)又はLED(Light Emitting Diode)などの固体光源11を複数備える。実施形態1では、光源10は、X1方向に対応するX2方向と、X2方向に交差(実施形態1では、直交)しかつY1方向に対応するY2方向とに沿って、間隔をあけて複数の固体光源11を並べている。即ち、実施形態1では、光源10は、固体光源11を2次元アレイ状に配置している。なお、実施形態1では、光源10は、固体光源11を2次元アレイ状に配置しているが、本発明では、白色光を生成する高圧水銀ランプなどの種々の光源でも良い。
【0019】
(光源光学系)
光源光学系20は、光源10からの光100を光ミキシング素子30へ導くものである。光源光学系20は、複数の光学素子21と、蛍光ホイール22と、波長変換部材23とを備える。実施形態1では、光源光学系20は、光源10が出射した第1の光束101を光学素子21である両凸レンズ211と両凹レンズ212とに順に透過させて平行光に形成して、光学素子21である偏光分離素子(以下、偏光ビームスプリッタ(Polarizing Beam Splitter:PBS)と呼ぶ)213に照射する。
【0020】
実施形態1において、偏光ビームスプリッタ213の膜特性は、P偏光である第1の光束101を透過し、P偏光以外の偏光(S偏光及び非偏光)の光100を反射する特性を持つ。実施形態1では、第1の光束101は、P偏光をしているために、偏光ビームスプリッタ213を透過する。光源光学系20は、偏光ビームスプリッタ213を透過した第1の光束101を光学素子21である1/4波長板214に透過し、第1の光束101を1/4波長板214の透過後に円偏光に変換する。光源光学系20は、円偏光に変換された第1の光束101を光学素子21であるレンズ215に透過して蛍光ホイール22上に集光する。
【0021】
蛍光ホイール22は、光100を反射するものであり、実施形態1では円板状に形成されて、軸心回りに回転される。蛍光ホイール22は、図4に示すように、波長変換部材23が塗布されて設けられた第1セグメント221と、波長変換部材23が塗布されていない第2セグメント222とを有する。蛍光ホイール22は、第1セグメント221と第2セグメント222とを周方向に配置している。波長変換部材23は、光源10から出射された第1の波長を持つ第1の光束101の少なくとも一部を第2の波長を持つ第2の光束102に変換するものである。なお、蛍光ホイール22は、第1、第2セグメント221,222に分けず、波長変換効率を例えば波長変換部材23の膜厚により調整した波長変換部材23を全周にわたって塗布し、第1の光束101の一部を第2の波長を持つ第2の光束102に変換し、一部を第1の波長のまま波長変換部材23の下に設けられた反射部材により反射するような構成としてもよい。
【0022】
光源光学系20は、円偏光に変換された第1の光束101を蛍光ホイール22の第1セグメント221と第2セグメント222とに照射する。第1セグメント221に照射された第1の光束101は、波長変換が行われて、第2の光束102に波長変換され、非偏光で反射される。第2セグメント222に照射された第1の光束101は、波長変換が行われることなく、反射され、逆まわりの円偏光となり、再度1/4波長板214を透過した後、S偏光に変換される。S偏光の第1の光束101と非偏光の第2の光束102は、偏光ビームスプリッタ213で反射され、光学素子21であるレンズ216により光ミキシング素子30の入射端面31に集光される。このように、光源光学系20は、緑の波長を含む第2の光束102の生成方法及び光路を規定することで、光利用効率を向上させることができる。なお、レンズ211,212,215,216、1/4波長板214及び偏光ビームスプリッタ213は、蛍光ホイール22により反射された第1の光束101の光路と第2の光束102の光路とを合成する光路合成手段24を構成している。
【0023】
また、実施形態1では、光源光学系20は、レンズ216と光ミキシング素子30との間に、第1の光束101と第2の光束102とを有する光100をR(赤色)、G(緑色)、Y(黄色)及びB(青色)の光100に時分割するカラーホイール25を備えている。カラーホイール25は、光100を透過するものである。カラーホイール25は、図5に示すように、透過する光100から赤色の光100を取り出す第1セグメント251と、緑色の光100を取り出す第2セグメント252と、黄色の光100を取り出す第3セグメント253と、青色の光100を取り出す第4セグメント254とを有する。カラーホイール25は、第1セグメント251と第2セグメント252と第3セグメント253と第4セグメント254とを周方向に配置している。
【0024】
カラーホイール25は、第1の光束101が透過する際、青色の光100を取り出し、緑の波長を含む第2の光束102が透過する際、緑色の光100、赤色の光100、及び黄色の光100を取り出すことが可能である。なお、実施形態1では、光源光学系20は、光100から青色の光100、緑色の光100、赤色の光100、及び黄色の光100の全てを取り出すためにカラーホイール25を備えるが、本発明は、光から青色の光100、緑色の光100、赤色の光100、及び黄色の光100の全てを取り出す必要がない場合には、カラーホイール25を設けなくても良い。
【0025】
光源光学系20から出射された第1の光束101と第2の光束102とを有する光100は、レンズ216により、光ミキシング素子30の入射端面31に集光される。このために、レンズ216は、光路合成手段24により合成された第1の光束101および第2の光束102を光ミキシング素子30の入射端面31に導くものである。前述した構成の光源光学系20では、光源10から出射された第1の波長を持つ第1の光束101は、偏光ビームスプリッタ213を透過した後、波長変換部材23に照射されて、第2の波長を持つ第2の光束102を生成する。生成された第2の光束102は、偏光ビームスプリッタ213を反射した後、レンズ216により光ミキシング素子30の入射端面31に集光する。
【0026】
(光ミキシング素子)
図6(a)は、図2に示された照明光学系ユニットの光ミキシング素子を示す斜視図である。図6(b)は、図6(a)中のVIb-VIb線に沿う断面図である。図7は、図6に示された光ミキシング素子の入射端面における第1の光束の光源像を示す平面図である。図8は、図6に示された光ミキシング素子の入射端面における第2の光束の光源像を示す平面図である。図9は、図7に示された光源像の光の強度分布を示す図である。図10は、図7に示された光源像の光の強度分布を示す図である。図11は、図6に示された光ミキシング素子の入射端面における第1の光束及び第2の光束の光源像を示す平面図である。
【0027】
光ミキシング素子30は、入射端面31から入射した光100の照度分布の均一性を入射前の照度分布の均一性よりも高めた光100を出射端面32から出射する光学素子である。実施形態1では、光ミキシング素子30として、公知のライトトンネルを用いているが、本発明は、光ミキシング素子30として、ライトトンネルに限定されるものではなく、ロッドインテグレータやライトパイプなどを用いてもよい。
【0028】
実施形態1では、光ミキシング素子30は、レンズ216と対向する入射端面31と、照明光学系40と対向する出射端面32それぞれの平面形状が、少なくとも4つの頂点を結ぶ線分で形成された矩形状である。入射端面31と出射端面32は、互いに平行に配置され、かつそれぞれ矩形状に形成されて、互いに平面形状が等しい。また、入射端面31と出射端面32の長手方向は、X1方向に対応するX3方向と平行であり、入射端面31と出射端面32の短手方向は、Y1方向に対応するY3方向と平行である。
【0029】
また、光ミキシング素子30は、入射端面31の面積をSAとし、出射端面32の面積をSBとしたとき、以下の条件式1を満足する。
SA<SB・・・式1
【0030】
光ミキシング素子30の入射端面31と出射端面32とに連なる外側面は、光ミキシング素子30内を透過する光100を反射する反射面33である。実施形態1では、光ミキシング素子30は、反射面33を四枚備えている。光ミキシング素子30は、入射端面31から出射端面32に向かうにしたがってX3方向及びY3方向の幅が断続的に増加する四角錐台状に形成されて、反射面33間の距離が入射端面31から出射端面32に向かうにしたがって徐々に広がっている。なお、実施形態1では、光ミキシング素子30は、四角錐台状に形成されているが、本発明では、少なくとも一部分に反射面33を有するのであれば、円錐台、四角形以外の多角形錐台状等の他の種々の形状に形成されても良い。
【0031】
また、光ミキシング素子30は、光ミキシング素子30の入射端面31および出射端面32と交わる図6(a)中に二点鎖線で示す平面34での断面において、互いに向かい合う2つの反射面33を有する。平面34を第1の平面34としたとき、第1の平面34と向かい合う反射面33それぞれとの交線(以下、符号33-1及び33-2と記す)同士の、入射端面31側の距離をAとし、第1の平面34と反射面33のそれぞれとの交線33-1,33-2同士の、出射端面32における距離をBとする(図6(b)に示す)。また、入射端面31における光源10からの光100の光源像100A(図7図8に示す)の大きさをL0とすると、光ミキシング素子30は、以下の条件式2、3を満足する。
A<B・・・式2 およびL0<A・・・式3
【0032】
ただし、光源像100Aの大きさL0は、第1の平面34と交わる断面において、光100の強度分布を1で規格したとき、規格化後の強度が1/2になる2点YA1,YA2間を結んだ距離である。図9及び図10に示す規格化後の光源像100Aの強度分布は、光100の最大強度を1と示し、最大強度となる位置以外の光100の強度を1よりも小さい値で示している。また、図9及び図10に示す光源像100Aの強度分布は、最大強度となる位置から離れるのにしたがって光100の強度が徐々に低下している。光源像100Aの大きさL0は、図9及び図10に示す光源像100Aの強度分布において、1/2になる2点YA1,YA2間の距離である。
【0033】
なお、図6は、入射端面31の平面視においてY3方向と平行な第1の平面34を示している。このために、距離Aは、光ミキシング素子30の入射端面31における反射面33間の最短距離であり、距離Bは、光ミキシング素子30の入射端面31における反射面33間の最短距離である。図6は、入射端面31の平面視においてY3方向と平行な平面34を示しているが、本発明は、第1の平面34は、Y3方向と平行なものに限定されない。
【0034】
また、光ミキシング素子30の入射端面31および出射端面32と交わる第1の平面34と交わる断面において、第1の光束101の光源像101Aの大きさをL1(図9に示す)とし、第2の光束102の光源像102Aの大きさをL2(図10に示す)とする。照明光学系ユニット1は、図11に示すように、以下の条件式4を満足するように、光路合成手段24の各光学素子21が設計されている。
L1>L2・・・式4
【0035】
このように、照明光学系ユニット1は、光ミキシング素子30の入射端面31に形成される第2の光束102の光源像102Aの大きさL2は、光ミキシング素子30の入射端面31に形成される第1の光束101の光源像101Aの大きさL1よりも小さい。なお、実施形態1では、照明光学系ユニット1は、条件式4を満足するように、光路合成手段24の各光学素子21が設計されているが、本発明は、カラーホイール25の第4セグメント254に拡散板が設置されて、条件式4を満足しても良い。ただし、光源像101A,102Aの大きさL1,L2は、光源像100Aの大きさL0と同様に、第1の平面34と交わる断面において、第1の光束101及び第2の光束102の強度分布を1で規格したとき、規格化後の強度が1/2になる2点YA1,YA2間を結んだ距離である。なお、図9及び図10の横軸は、入射端面31上のY3方向の位置を示している。
【0036】
図12は、図1に示された画像表示装置の画像表示素子の画像形成領域を示す図である。図13は、図2に示された照明光学系ユニットの光源の発光領域を示す図である。
【0037】
また、光ミキシング素子30の入射端面31のアスペクト比は、画像表示素子201の図12に示す画像形成領域203のアスペクト比よりも光源10の図13に示す発光領域12のアスペクト比に近い。光ミキシング素子30の出射端面32のアスペクト比は、光源10の発光領域12のアスペクト比よりも画像表示素子201の画像形成領域203のアスペクト比に近い。なお、光ミキシング素子30の入射端面31及び出射端面32のアスペクト比は、入射端面31及び出射端面32それぞれのX3方向の寸法とY3方向の寸法との比である。光源10の発光領域12のアスペクト比は、光源10の発光領域12のX2方向の寸法とY2方向の寸法との比である。画像表示素子201の画像形成領域203のアスペクト比は、画像形成領域203のX1方向の寸法とY1方向の寸法との比である。
【0038】
ここで、光源10の発光領域12の定義を述べる。実施形態1において、光源10は、第1の波長を持つ第1の光束101を発する固体光源11が2次元アレイ状に配置されている。光源10の発光領域12は、光源10から出射される光100を集光するために必要な最多数の光学素子21で共有される軸を光軸とし、光軸から最も離れた固体光源11の発光点を4隅とするように囲まれた領域である。実施形態1では、光源10の発光領域12のアスペクト比が4:3であり、画像表示素子201の画像形成領域203のアスペクト比が16:9である。実施形態1では、光ミキシング素子30の入射端面31のアスペクト比は、16:9よりも4:3に近く、光ミキシング素子30の出射端面32のアスペクト比は、4:3よりも16:9に近い。
【0039】
なお、実施形態1では、光源10の発光領域12のアスペクト比が4:3であり、画像表示素子201の画像形成領域203のアスペクト比が16:9であるが、アスペクト比は、これらに限定されずに、本発明は、様々なアスペクト比に適用される。
【0040】
(照明光学系)
図14は、図2に示された照明光学系ユニットの照明光学系の構成例を示す図である。図15は、図2に示された照明光学系ユニットの光ミキシング素子の出射端面から出射される光の角度強度分布を示す図である。照明光学系40は、光ミキシング素子30の出射端面32から出射した光100を画像表示素子201に導くものである。照明光学系40は、光ミキシング素子30の出射端面32から出射された光100を画像表示素子201に照明するものでもある。
【0041】
照明光学系40は、図14に示すように、光ミキシング素子30の出射端面32から出射された光100を透過する照明用レンズ41と、照明用レンズ41を透過した光100を反射する平面ミラー42と、平面ミラー42が反射した光100を画像表示素子201に集光する曲面ミラー43を備えている。実施形態1において、照明光学系40は、図1に示す光学素子を用いているが、本発明は、照明に必要な構成であれば、照明光学系40は、図14に示す構成に限定されるものではない。
【0042】
また、図1に示された画像表示装置200の画像表示素子201は、図3に示す二次元的に配列した複数の微小ミラー202を有し、微小ミラー202が傾くことでON状態とOFF状態とを作り出す。画像表示素子201は、ON状態の光100を投射光学系ユニット210に向けて反射し、ON状態の光100を投影面300に導いて、画像の表示を可能とする。
【0043】
ここで、ON状態の微小ミラー202の傾斜角度をθ(図3に示す)とし、光ミキシング素子30の出射端面32から出射される光100である第2の光束102の出射全角をθ2outとしたとき、以下の条件式5及び6を満足する。
θ≧12度・・・式5
θ2out/θ<5.5・・・式6
【0044】
ここで、ON状態の微小ミラー202の傾斜角度θの定義を述べる。傾斜角度θは、図3に示すように、画像表示素子201において、画像表示素子201の鉛直方向の軸である光軸201Aに対する各微小ミラー202の鉛直方向の軸である光軸202Aの角度で定義される。
【0045】
次に、光ミキシング素子30の出射端面32から出射される第2の光束102の出射全角θ2outの定義を述べる。出射全角θ2outは、図15に示すように、光ミキシング素子30の出射端面32から出射される第2の光束102の角度強度分布を1で規格化したとき、規格化強度が1/eになるときの出射全角で定義される。図15に示す規格化後の出射端面32から出射される第2の光束102の角度強度分布は、第2の光束102の最大強度を1と示し、第2の光束の最大強度となる角度以外の強度を1よりも小さく示している。また、図15に示す第2の光束102の強度分布は、最大強度となる角度よりも大きく又は小さくなるのにしたがって強度が徐々に低下している。出射全角θ2outは、図15に示す第2の光束102の強度分布において、1/eになる2つの向きθ1,θ2間の角度である。なお、図15の横軸の角度は、出射端面32に対する角度を示している。
【0046】
実施形態1では、照明光学系ユニット1は、例えば、ON状態の微小ミラー202の傾斜角度θが12度以上である場合、光ミキシング素子30の出射端面32から出射される第2の光束102の出射全角θ2outが66度以下でなければならない。照明光学系ユニット1は、出射全角θ2outが66度より大きいと、光ミキシング素子30よりも後段の光路である、照明光学系40や投射光学系ユニット210での光100のケラレを抑制することはできない。
【0047】
前述した構成の照明光学系ユニット1は、前述した構成の光ミキシング素子30を備えているので、光ミキシング素子30の出射端面32から出射される光100である第2の光束102の出射全角θ2outは、図16に示すように、光ミキシング素子30の入射端面31に入射する第2の光束102の入射角θ2inよりも小さくなる。なお、図16は、実施形態1に係る照明光学系ユニットの要部の動作を示す図である。図16は、光ミキシング素子30の代わりに従来の光ミキシング素子を備える場合の第2の光束102の光路を点線で示し、実施形態1に係る構成の光ミキシング素子30を備える場合の第2の光束102の光路を実線で示し、第1の光束101を省略している。実施形態1に係る照明光学系ユニット1は、光ミキシング素子30の出射端面32から出射される第1の光束101の出射全角は、光ミキシング素子30の入射端面31に入射する第1の光束101の入射角よりも小さくなる。
【0048】
実施形態1に係る照明光学系ユニット1は、前述した構成の光ミキシング素子30を備えることで、図16中に点線で示す場合よりも、光ミキシング素子30の出射端面32から出射される光束101,102の幅を狭くできる。このため、実施形態1に係る照明光学系ユニット1は、照明光学系40や投射光学系ユニット210、及び投射光学系ユニット210内の光学素子231の一つである絞りでの光100のケラレを抑制できる。従って、実施形態1に係る照明光学系ユニット1は、緑の波長を含む光100、及び緑の波長と異なるスペクトルを示す光100について、光ミキシング素子30の出射端面32から出射される光100の出射角を小さくすることができることで、照明光学系40や投射光学系ユニット210での光100のケラレを抑制し、光利用効率を向上させることができる。
【0049】
実施形態1に係る照明光学系ユニット1は、前述した条件式2及び3を満足するので、光源像100Aの大きさL0を距離Aと距離Bとの双方よりも小さくすることにより、光ミキシング素子30の入射端面31での緑の波長を含む光100のケラレを抑制することができる。また、照明光学系ユニット1は、前述した条件式2を満たすので、光ミキシング素子30を出射端面32に向かうにしたがって徐々に大きくなるテーパー形状にすることにより、光ミキシング素子30の出射端面32から射出される光100である第2の光束102の出射全角θ2outを小さくすることができる。その結果、照明光学系ユニット1は、照明光学系40及び投射光学系ユニット210での光100のケラレの発生を抑制し、光学系全体の光利用効率を向上させることができる。
【0050】
また、実施形態1に係る照明光学系ユニット1は、入射端面31での緑の波長を含む光100のケラレを抑制することができるので、後段の光学系の設計の自由度をあげることができる。
【0051】
また、実施形態1に係る照明光学系ユニット1は、緑の波長を含む第2の光束102の光源像102Aの大きさL2を、光ミキシング素子30の入射端面31における反射面33間の最短距離である距離Aよりも小さくしている。照明光学系ユニット1は、光ミキシング素子30の入射端面31での光100のケラレを抑制し、かつ光ミキシング素子30を上記のようなテーパー形状にすることにより、光ミキシング素子30の出射端面32から出射される光100の角度を小さくできるため、照明光学系40や投射光学系ユニット210での光100のケラレを抑制し、光利用効率を向上させることができる。
【0052】
また、実施形態1に係る照明光学系ユニット1は、前述した条件式1を満足するので、光ミキシング素子30を出射端面32に向かうにしたがって徐々に大きくすることができる。このために、実施形態1に係る照明光学系ユニット1は、出射全角θ2outを小さくすることができる。その結果、実施形態1に係る照明光学系ユニット1は、照明光学系40及び投射光学系ユニット210での光100のケラレの発生を抑制し、光学系全体の光利用効率を向上させることができる。
【0053】
また、実施形態1に係る照明光学系ユニット1は、入射端面31と出射端面32とは平面形状が等しいので、光ミキシング素子30内での損失を抑制することができる。
【0054】
また、実施形態1に係る照明光学系ユニット1は、入射端面31のアスペクト比が光源10の発光領域12のアスペクト比に近く、出射端面のアスペクト比が画像表示素子201のアスペクト比に近いので、光学系全体での光100のケラレを抑制し、光利用効率を向上できる。
【0055】
また、実施形態1に係る照明光学系ユニット1は、光源光学系20が波長変換部材23と光路合成手段24とレンズ216とを備えているので、第1の光束101と第2の光束102とを合成して、光ミキシング素子30の入射端面31に入射することができる。
【0056】
また、実施形態1に係る照明光学系ユニット1は、前述した条件式4を満足するので、緑の波長を含む第2の光束102の光源像102Aの大きさL2を、光ミキシング素子30の入射端面31の距離Aよりも極めて小さくすることができる。その結果、照明光学系ユニット1は、光ミキシング素子30の入射端面31での光100のケラレを抑制し、光利用効率を向上させることができる。
【0057】
また、実施形態1に係る照明光学系ユニット1は、前述した条件式5及び5を満足するので、照明光学系40や投射光学系ユニット210での光100のケラレを抑制し、光利用効率を向上させることができる。
【0058】
また、実施形態1に係る照明光学系ユニット1は、光源10から出射された第1の波長を持つ第1の光束101から第2の波長を持つ第2の光束102を生成し、生成された第2の光束102を光ミキシング素子30の入射端面31に集光するので、光利用効率を向上させることができる。
【0059】
また、実施形態1に係る照明光学系ユニット1は、光源10が固体光源11を備えるので、光源10が、エタンデュ(Etendue)の小さい固体光源11を用いることとなり、光100のケラレを抑制し、光利用効率を向上させることができる。
【0060】
〔実施形態2〕
図17は、実施形態2に係る照明光学系ユニットの構成例を示す図である。本明細書は、実施形態2において、図17の実施形態1と同一部分に同一符号を付して説明を省略する。
【0061】
実施形態2に係る照明光学系ユニット1-2は、偏光ビームスプリッタ213-2の膜特性と光源光学系20-2の各構成要素の配置が異なること以外、実施形態1に係る照明光学系ユニット1と構成が等しい。
【0062】
実施形態2において、偏光ビームスプリッタ213-2の膜特性は、P偏光である第1の光束101を反射し、P偏光以外の偏光(S偏光及び非偏光)の光100を透過する特性を持つ。実施形態2では、第1の光束101は、P偏光をしているために、偏光ビームスプリッタ213-2により反射される。光源光学系20-2は、偏光ビームスプリッタ213-2を反射した第1の光束101を光学素子である1/4波長板214に透過し、第1の光束101を1/4波長板214の透過後に円偏光に変換する。光源光学系20は、円偏光に変換された第1の光束101を蛍光ホイール22に照射するとともに、光学素子であるレンズ215に透過して蛍光ホイール22上に集光する。
【0063】
光源光学系20-2は、円偏光に変換された第1の光束101を蛍光ホイール22の第1セグメント221と第2セグメント222とに照射する。第1セグメント221に照射された第1の光束101は、波長変換が行われて、第2の光束102に波長変換され、非偏光で反射される。第2セグメント222に照射された第1の光束101は、波長変換が行われることなく、反射され、逆まわりの円偏光となり、再度1/4波長板214を透過した後、S偏光に変換される。S偏光の第1の光束101と非偏光の第2の光束102は、偏光ビームスプリッタ213-2を透過し、レンズ216により光ミキシング素子30の入射端面31に集光される。
【0064】
前述した構成の照明光学系ユニット1-2の光源光学系20-2では、光源10から出射された第1の波長を持つ第1の光束101は、偏光ビームスプリッタ213-2を反射した後、波長変換部材23に照射されて、第2の波長を持つ第2の光束102を生成する。生成された第2の光束102は、偏光ビームスプリッタ213-2を透過した後、レンズ216により光ミキシング素子30の入射端面31に集光する。
【0065】
実施形態2に係る照明光学系ユニット1-2は、前述した光ミキシング素子30を備えるので、光ミキシング素子30の入射端面31での緑の波長を含む光100のケラレを抑制することができる。また、照明光学系ユニット1-2は、前述した光ミキシング素子30を備えるので、光ミキシング素子30を出射端面32に向かうにしたがって徐々に大きくなるテーパー形状にすることにより、光ミキシング素子30の出射端面32から射出される光100である第2の光束102の出射全角θ2outを小さくすることができる。その結果、照明光学系ユニット1-2は、実施形態1と同様に、照明光学系40及び投射光学系ユニット210での光100のケラレの発生を抑制し、光学系全体の光利用効率を向上させることができる。
【0066】
〔実施形態3〕
図18は、実施形態3に係る照明光学系ユニットの構成例を示す図である。本明細書は、実施形態3において、図18の実施形態1と同一部分に同一符号を付して説明を省略する。
【0067】
実施形態3に係る照明光学系ユニット1-3は、光源光学系20-3の構成が異なること以外、実施形態1に係る照明光学系ユニット1と構成が等しい。
【0068】
実施形態3に係る照明光学系ユニット1-3の光源光学系20-3は、光源10が出射した第1の光束101を光学素子21である両凸レンズ211と両凹レンズ212とに順に透過させて平行光に形成して、光学素子21である波長分離素子(以下、ダイクロイックミラー(Dichroic mirror)と呼ぶ)217に照射する。
【0069】
実施形態3において、ダイクロイックミラー217の膜特性は、第1の波長を持つ第1の光束101を透過し、第1の波長以外の波長の光100を反射する特性を持つ。実施形態3では、第1の光束101は、第1の波長を持つために、ダイクロイックミラー217を透過する。光源光学系20-3は、ダイクロイックミラー217を透過した第1の光束101を光学素子21であるレンズ215に透過して蛍光ホイール22上に集光し、蛍光ホイール22の第1セグメント221及び第2セグメント222に照射する。
【0070】
実施形態3において、光源光学系20-3は、蛍光ホイール22の第1セグメント221に照射した第1の光束101を第2の光束102に波長変換して、反射し、第2セグメント222に照射した第1の光束101を蛍光ホイール22に透過する。光源光学系20-3は、蛍光ホイール22を透過した第1の光束101を、光学素子21であるレンズ218及び平面ミラー219により再度ダイクロイックミラー217まで導く。
【0071】
光源光学系20-3は、第1セグメント221で反射した第2の光束102をダイクロイックミラー217で反射し、ダイクロイックミラー217まで導いた第1の光束101をダイクロイックミラー217に透過して、光束101,102の光路をダイクロイックミラー217で合成する。光源光学系20-3は、ダイクロイックミラー217で光路を合成した光束101,102を、レンズ216により光ミキシング素子30の入射端面31に集光する。なお、レンズ211,212,215,218、平面ミラー219及びダイクロイックミラー217は、蛍光ホイール22を透過した第1の光束101の光路と第2の光束102の光路とを合成する光路合成手段24を構成している。
【0072】
前述した構成の照明光学系ユニット1-3の光源光学系20-3では、光源10から出射された第1の波長を持つ第1の光束101は、ダイクロイックミラー217を透過した後、波長変換部材23に照射されて、第2の波長を持つ第2の光束102を生成する。生成された第2の光束102は、ダイクロイックミラー217を反射した後、レンズ216により光ミキシング素子30の入射端面31に集光する。
【0073】
実施形態3に係る照明光学系ユニット1-3は、前述した光ミキシング素子30を備えるので、光ミキシング素子30の入射端面31での緑の波長を含む光100のケラレを抑制することができる。また、照明光学系ユニット1-3は、前述した光ミキシング素子30を備えるので、光ミキシング素子30を出射端面32に向かうにしたがって徐々に大きくなるテーパー形状にすることにより、光ミキシング素子30の出射端面32から射出される光100である第2の光束102の出射全角θ2outを小さくすることができる。その結果、照明光学系ユニット1-3は、実施形態1と同様に、照明光学系40及び投射光学系ユニット210での光100のケラレの発生を抑制し、光学系全体の光利用効率を向上させることができる。
【0074】
〔実施形態4〕
図19は、実施形態4に係る照明光学系ユニットの構成例を示す図である。本明細書は、実施形態4において、図19の実施形態3と同一部分に同一符号を付して説明を省略する。
【0075】
実施形態4に係る照明光学系ユニット1-4は、ダイクロイックミラー217-4の膜特性と光源光学系20-4の各構成要素の配置が異なること以外、実施形態3に係る照明光学系ユニット1-3と構成が等しい。
【0076】
実施形態4に係る照明光学系ユニット1-4の光源光学系20-4のダイクロイックミラー217-4の膜特性は、第1の波長を持つ第1の光束101を反射し、第1の波長以外の波長の光100を透過する特性を持つ。実施形態4では、第1の光束101は、第1の波長を持つために、ダイクロイックミラー217-4を反射し、ダイクロイックミラー217-4を反射した第1の光束101をレンズ215に透過して蛍光ホイール22上に集光し、蛍光ホイール22の第1セグメント221及び第2セグメント222に照射する。
【0077】
実施形態4において、光源光学系20-4は、蛍光ホイール22の第1セグメント221に照射した第1の光束101を第2の光束102に波長変換して、反射し、第2セグメント222に照射した第1の光束101を蛍光ホイール22が透過し、レンズ218及び平面ミラー219により再度ダイクロイックミラー217-4まで導く。
【0078】
光源光学系20は、第1セグメント221で反射した第2の光束102をダイクロイックミラー217-4に透過し、ダイクロイックミラー217-4まで導いた第1の光束101をダイクロイックミラー217-4で反射して、光束101,102の光路をダイクロイックミラー217-4で合成する。光源光学系20は、ダイクロイックミラー217-4で光路を合成した光束101,102を、レンズ216により光ミキシング素子30の入射端面31に集光する。
【0079】
前述した構成の照明光学系ユニット1の光源光学系20では、光源10から出射された第1の波長を持つ第1の光束101は、ダイクロイックミラー217-4を反射した後、波長変換部材23に照射されて、第2の波長を持つ第2の光束102を生成する。生成された第2の光束102は、ダイクロイックミラー217-4を透過した後、レンズ216により光ミキシング素子30の入射端面31に集光する。
【0080】
実施形態4に係る照明光学系ユニット1-4は、前述した光ミキシング素子30を備えるので、光ミキシング素子30の入射端面31での緑の波長を含む光100のケラレを抑制することができる。また、照明光学系ユニット1-4は、前述した光ミキシング素子30を備えるので、光ミキシング素子30を出射端面32に向かうにしたがって徐々に大きくなるテーパー形状にすることにより、光ミキシング素子30の出射端面32から射出される光100である第2の光束102の出射全角θ2outを小さくすることができる。その結果、照明光学系ユニット1-4は、実施形態1と同様に、照明光学系40及び投射光学系ユニット210での光100のケラレの発生を抑制し、光学系全体の光利用効率を向上させることができる。
【0081】
〔実施形態5〕
図20は、実施形態5に係る画像表示装置の構成例を示す図である。本明細書は、実施形態5において、実施形態1から実施形態4と同一部分に同一符号を付して説明を省略する。
【0082】
実施形態5に係る画像表示装置200は、図20に示すように、照明光学系ユニット1と、画像表示素子201と、投射光学系ユニット210と、電源220とを装置本体223の内部に備える。なお、図20は、実施形態1に係る照明光学系ユニット1を備えているが、本発明では、画像表示装置200は、実施形態2から実施形態4に係る照明光学系ユニット1-2,1-3,1-4のいずれかを備えても良い。
【0083】
実施形態5に係る画像表示装置200は、照明光学系ユニット1を備えることで、緑の波長を含む光100について、光源像100Aの大きさL0を、光ミキシング素子30の入射端面31の距離Aよりも小さくすることにより、光ミキシング素子30の入射端面31の光100のケラレを抑制できる。画像表示装置200は、光ミキシング素子30をテーパー形状にすることにより、光ミキシング素子30の出射端面32から出射される光100の出射全角を小さくできるため、照明光学系40や投射光学系ユニット210での光100のケラレを抑制し、光利用効率を向上させた画像表示装置200を提供することができる。
【符号の説明】
【0084】
1,1-2,1-3,1-4 照明光学系ユニット
10 光源
11 固体光源
12 発光領域
20,20-2,20-3,20-4 光源光学系
23 波長変換部材
24 光路合成手段
30 光ミキシング素子
31 入射端面
32 出射端面
33 反射面
33-1,33-2 交線
34 平面(第1の平面)
100 光
100A 光源像
101 第1の光束
101A 光源像
102 第2の光束
102A 光源像
200 画像表示装置
201 画像表示素子
201A 光軸(軸)
202 微小ミラー
202A 光軸(軸)
213 偏光ビームスプリッタ(偏光分離素子)
213-2 偏光ビームスプリッタ(偏光分離素子)
216 レンズ(光学素子)
217 ダイクロイックミラー(波長分離素子)
217-4 ダイクロイックミラー(波長分離素子)
300 投影面
A 距離
B 距離
L0 大きさ
L1 大きさ
L2 大きさ
SA 面積
SB 面積
YA1 点
YA2 点
θ 傾斜角度
θ2out 出射全角
【先行技術文献】
【特許文献】
【0085】
【文献】特開2017-015966号公報
図1
図2
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図5
図6
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図8
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図10
図11
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図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20