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特許7035674情報処理装置、プログラムおよび情報処理システム
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  • 特許-情報処理装置、プログラムおよび情報処理システム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-07
(45)【発行日】2022-03-15
(54)【発明の名称】情報処理装置、プログラムおよび情報処理システム
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/12 20060101AFI20220308BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20220308BHJP
【FI】
G06F3/12 337
B41J29/38 201
G06F3/12 311
G06F3/12 312
G06F3/12 341
G06F3/12 362
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018051779
(22)【出願日】2018-03-19
(65)【公開番号】P2019164561
(43)【公開日】2019-09-26
【審査請求日】2021-01-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】熊谷 章吾
【審査官】佐賀野 秀一
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第09304719(US,B1)
【文献】特開2006-268797(JP,A)
【文献】特開2004-310762(JP,A)
【文献】特開2017-220088(JP,A)
【文献】特開2004-348498(JP,A)
【文献】特開2016-095570(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/09- 3/12
B41J 29/00-29/70
H04N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のページを含む1の印刷対象を、1以上のページずつ複数回に分けて画像処理装置へ送信する情報処理装置であって、
前記画像処理装置の画像処理性能、前記画像処理装置に対する通信速度、及び1つ前に前記画像処理装置へ送信するページのデータのサイズに基づいて、前記画像処理装置に対して次に送信するデータのサイズを算出する送信サイズ算出手段と、
前記送信サイズ算出手段によって算出された前記データのサイズに基づいて、次に送信する前記印刷対象におけるページ数を判断するページ判断手段と、
前記ページ判断手段によって次に送信すると判断された前記印刷対象のページのうち複数のページで使用されるリソースを共通化したページ群のデータを生成する送信データ生成手段と、
前記送信データ生成手段によって生成された前記ページ群のデータを前記ページ群のデータを一括処理する区切りを入れて前記画像処理装置に送信するデータ送信手段と、
を備えたことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記印刷対象は、PDFデータであることを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記ページ群のデータは、前記ページ判断手段によって次に送信すると判断された前記印刷対象のページのうち複数のページにおいて共通のリソースがある場合、該リソースが1つのリソースで共有化されたデータであることを特徴とする請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
数のページを含む1の印刷対象を、1以上のページずつ複数回に分けて画像処理装置へ送信する情報処理装置
前記画像処理装置の画像処理性能、前記画像処理装置に対する通信速度、及び1つ前に前記画像処理装置へ送信するページのデータのサイズに基づいて、前記画像処理装置に対して次に送信するデータのサイズを算出する送信サイズ算出手段と、
前記送信サイズ算出手段によって算出された前記データのサイズに基づいて、次に送信する前記印刷対象におけるページ数を判断するページ判断手段と、
前記ページ判断手段によって次に送信すると判断された前記印刷対象のページのうち複数のページで使用されるリソースを共通化したページ群のデータを生成する送信データ生成手段と、
前記送信データ生成手段によって生成された前記ページ群のデータを前記ページ群のデータを一括処理する区切りを入れて前記画像処理装置に送信するデータ送信手段と、
して機能させるためのプログラム。
【請求項5】
画像処理装置と、複数のページを含む1の印刷対象を、1以上のページずつ複数回に分けて前記画像処理装置へ送信する情報処理装置と、を有する情報処理システムであって、
前記画像処理装置の画像処理性能、前記画像処理装置に対する通信速度、及び1つ前に前記画像処理装置へ送信するページのデータのサイズに基づいて、前記画像処理装置に対して次に送信するデータのサイズを算出する送信サイズ算出手段と、
前記送信サイズ算出手段によって算出された前記データのサイズに基づいて、次に送信する前記印刷対象におけるページ数を判断するページ判断手段と、
前記ページ判断手段によって次に送信すると判断された前記印刷対象のページのうち複数のページで使用されるリソースを共通化したページ群のデータを生成する送信データ生成手段と、
前記送信データ生成手段によって生成された前記ページ群のデータを前記ページ群のデータを一括処理する区切りを入れて前記画像処理装置に送信するデータ送信手段と、
前記区切りを検出し、前記ページ群のデータを一括で処理する印刷データ処理手段と、
を備えたことを特徴とする情報処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、プログラムおよび情報処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ドキュメント中のページのオブジェクトがページの順番に並んでおり、データを一括で読まなくても線形に処理が可能なPDF(以降シリアライズされたPDFという)の技術がある。なお、「シリアル」は、ドキュメント中のページのオブジェクトがページの順番に並んでおり、データを一括で読まなくても線形に処理が可能な状態 という意味で用い、「シリアライズ」はシリアルにするという意味で用いる。
【0003】
なお、従来のPDFファイルは、ファイルの末尾に各リソースの位置を記載する相互参照テーブルが配置され、その情報をもとに解析を行うため、全データを受信しなければ印刷を開始できなかった。このため、PDFファイルは、シリアライズされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、PDFファイルをシリアライズする際、ページ間で共有されているリソースを各ページに埋め込むと、印刷時に何度も同じリソースを解析することになるため、PDFの総印刷時間が増加してしまうという問題があった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、ファイルを構成するページに埋め込まれるリソースが存在する場合であっても、ファイルに対する画像処理の総時間を短縮することができる情報処理装置、プログラムおよび情報処理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、複数のページを含む1の印刷対象を、1以上のページずつ複数回に分けて画像処理装置へ送信する情報処理装置であって、前記画像処理装置の画像処理性能、前記画像処理装置に対する通信速度、及び1つ前に前記画像処理装置へ送信するページのデータのサイズに基づいて、前記画像処理装置に対して次に送信するデータのサイズを算出する送信サイズ算出手段と、前記送信サイズ算出手段によって算出された前記データのサイズに基づいて、次に送信する前記印刷対象におけるページ数を判断するページ判断手段と、前記ページ判断手段によって次に送信すると判断された前記印刷対象のページのうち複数のページで使用されるリソースを共通化したページ群のデータを生成する送信データ生成手段と、前記送信データ生成手段によって生成された前記ページ群のデータを前記ページ群のデータを一括処理する区切りを入れて前記画像処理装置に送信するデータ送信手段と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ファイルを構成するページに埋め込まれるリソースが存在する場合であっても、ファイルに対する画像処理の総時間を短縮することができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施の形態にかかる情報処理システムの装置構成の例を示す図である。
図2図2は、情報処理装置のハードウェア構成を示す図である。
図3図3は、画像処理装置のハードウェア構成を示す図である。
図4図4は、情報処理装置の機能構成を示す図である。
図5図5は、画像処理装置の機能構成を示す図である。
図6図6は、情報処理装置による印刷データ変換処理手順を示すフローチャートである。
図7図7は、情報処理装置10による印刷データ変換処理の具体例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に添付図面を参照して、情報処理装置、プログラムおよび情報処理システムの実施の形態を詳細に説明する。
【0010】
<情報処理システムの装置構成>
はじめに、本実施の形態の情報処理システムの装置構成の例について説明する。
【0011】
図1は、実施の形態にかかる情報処理システムの装置構成の例を示す図である。図1に示すように、情報処理システムは、情報処理装置10及び画像処理装置20が通信媒体Nを介して接続されている。情報処理装置10は、例えばPC(パーソナルコンピュータ)やスマートデバイスなどである。画像処理装置20は、例えば複合機(MFP:Multifunction Peripheral)である。なお、情報処理装置10は、複数台存在していてもよい。情報処理装置10は、画像処理装置20と通信して、画像処理装置20の画像処理速度と通信速度とを取得し、これらをもとにPDFを変換して画像処理装置20に送信する。なお、情報処理装置10は、PDFデータを処理して画像処理装置20に送信できる仕組みがあれば良いため、そのような機能を搭載可能なオンプレミスのサーバやクラウドなどでも構わない。
【0012】
<情報処理装置のハードウェア構成>
図2は、情報処理装置10のハードウェア構成を示す図である。図2に示すように、情報処理装置10は、CPU101、RAM102、ROM103、HDD104及びI/F(インタフェース)105を有する。I/F105には、LCD106及び操作部107が接続されている。
【0013】
CPU101は演算手段であり、情報処理装置10全体の動作を制御する。RAM102は、情報の高速な読み書きが可能な揮発性の記憶媒体であり、CPU101が情報を処理する際の作業領域として用いられる。ROM103は、読み出し専用の不揮発性記憶媒体であり、ファームウェア等のプログラムが格納されている。 HDD104は、情報の読み書きが可能な不揮発性の記憶媒体であり、OS(Operating System)や各種の制御プログラム、アプリケーションプログラム等が格納されている。I/F105は、バスと各種のハードウェアやネットワーク等を接続し制御する。LCD106は、ユーザが情報処理装置10の状態を確認するための視覚的ユーザインタフェースである。操作部107は、キーボードやマウス等、ユーザが情報処理装置10に情報を入力するためのユーザインタフェースである。
【0014】
<画像処理装置のハードウェア構成>
図3は、画像処理装置20のハードウェア構成を示す図である。図3に示すように、画像処理装置20は、コントローラ201と、原稿の画像を出力するプロッタエンジン202と、ユーザによる入力操作を受け付ける操作パネル203と、複写の際に原稿を読み取るスキャナ204とを有する。
【0015】
コントローラ201は、CPU211、システムメモリ212、システムの各種設定を格納するNV-RAM213、プロッタエンジン202との間のインタフェースであるエンジンI/F214、スキャナ204との間のインタフェースであるスキャナI/F215、情報処理装置10をシリアル、パラレル又はネットワーク接続させるためのホストI/F216、制御プログラムを格納するプログラムROM217、印字のためのフォントを格納するフォントROM218、操作パネル203との間のインタフェースであるパネルI/F219、及び描画メモリ220を有する。なお、コントローラ201に含まれる上記各部は、内部バスを介して接続されている。
【0016】
コントローラ201は、描画制御データを構成する情報処理装置10から受信したPDL(Page Description Language)等の印刷制御データに従って、描画データにラスタライズし、プロッタエンジン202に対して画像出力させる。描画メモリ220は、情報処理装置10からの印刷制御データ、該印刷制御データから生成された中間データ、ラスタ形式の描画データ、スキャナ204で読み取られたデータ等を記憶する。HDD221は画像データの蓄積、文書データの蓄積等を行うストレージである。
【0017】
<情報処理装置の機能構成>
図4は、情報処理装置10の機能構成を示す図である。図4に示すように、情報処理装置10は、送信可能サイズ計算部11、印刷データ変換部12、及び印刷データ送信部13を有する。
【0018】
送信可能サイズ計算部11は、画像処理装置20と通信し、画像処理装置20の印刷性能P1(例えば1秒間に印刷処理可能なデータ量など)、画像処理装置20との間の通信速度P2(1秒間に送信可能なデータ量) を取得し、送信可能なデータ量を計算する。例えば、前のページ群のデータサイズをXn-1とすると、現在送信可能なデータサイズXは、X=Xn-1/P1・P2 となる。送信可能サイズ計算部11は、送信サイズ算出手段として機能する。
【0019】
印刷データ変換部12は、前のページ群のデータサイズをもとに現在送信可能なデータサイズを送信可能サイズ計算部11から取得し、そのサイズ内に収まる範囲で複数のページでリソースを共通化してひとまとまりとし、そのひとまとまりを一括処理できるようにするための識別情報(区切り)を入れる。これを印刷データ送信部13に渡す。印刷データ変換部12は、ページ判断手段及び送信データ生成手段として機能する。すなわち、ページ判断手段は、送信可能サイズ算出部11によって算出されたデータのサイズに基づいて、次に送信する印刷対象におけるページ数を判断する。また、送信データ生成手段は、ページ判断手段によって次に送信すると判断された印刷対象のページのうち複数のページで使用されるリソースを共通化したデータ生成する。
【0020】
印刷データ送信部13は、印刷データ変換部12から受け取ったデータを画像処理装置20に送信する。印刷データ送信部13は、データ送信手段として機能する。
【0021】
<画像処理装置の機能構成>
図5は、画像処理装置20の機能構成を示す図である。図5に示すように、画像処理装置20は、送信部21、印刷データ処理部22、及び印刷部23を有する。
【0022】
送信部21は、情報処理装置10の送信可能サイズ計算部11の要求を受け、画像処理装置20の印刷性能を返す。
【0023】
印刷データ処理部22は、印刷データ送信部13からの印刷データを受け取り、受け取った印刷データを処理し、印刷画像を作成する。このとき、印刷データ処理部22は、ひとまとまりを一括処理するための「区切り」を検出し、そこまでのデータを一括で処理する。
【0024】
印刷部23は、印刷データ処理部22で作成した印刷画像を紙に転写する。
【0025】
<情報処理装置の印刷データ変換処理>
図6は、情報処理装置10による印刷データ変換処理手順を示すフローチャートである。図6に示すように、まず、印刷データ変換部12は、1ページ目の情報を読み込んで出力バッファに入れる(ステップS101)。すなわち、1ページ目で使用しているリソースを抽出し、リソースを含めて1ページ目単独で成立するデータ(シリアライズ印刷可能な1ページ分の印刷データ)を作成する。なお、このときのデータのサイズは保持しておく。そして、作成した印刷データは印刷データ送信部13から画像処理装置20に送信される。なお、出力バッファに入れることは、画像処理装置20に送信することと等価である。このようにして、1ページ目は高速に処理されることになる。
【0026】
その後、印刷データ変換部12は、区切りを出力バッファに入れる(ステップS102)。すなわち、シリアライズ印刷するという区切りを送信する。
【0027】
その後、2ページ目以降の印刷データ変換処理を行う。まず、印刷データ変換部12は、通信速度、印刷性能から送信可能サイズを設定する(ステップS103)。印刷データ変換部12は、ステップS101で作成したデータのサイズをもとに、送信可能サイズ計算部11に、次に送信可能なデータサイズを計算させる。送信可能サイズ計算部11は、通信速度と印刷性能とを取得し、それらと印刷データ変換部12から受け取った前回送信したデータサイズをもとに、次に送信可能なデータサイズを計算し、印刷データ変換部12に渡す。通信速度は、1ページ目のデータを送信したときの結果から計算できる。
【0028】
その後、印刷データ変換部12は、一時的なページ群(ページ群D1)を用意する(ステップS104)。すなわち、リソースを共通化してシリアライズ印刷可能な形にされたデータが一時的に格納される場所を用意する。
【0029】
印刷データ変換部12は、1ページ分のページ情報(ページ情報DD)を読み込む(ステップS105)。印刷データ変換部12は、処理対象のページについて、リソースの抽出を行い、シリアライズ印刷可能な1ページ分の印刷データ(ページ情報)を作成する。
【0030】
その後、印刷データ変換部12は、ページ群D1とページ情報DDのリソースを共通化してまとめたページ群D2を生成する(ステップS106)。ページ群D1にはリソースを共有化してシリアライズ印刷可能な形にされた複数ページ分のデータが格納されているため、ページ情報DDと共通のリソースがあれば共通化し、新たにページ情報DDを含んだページ群D2を生成する。
【0031】
その後、印刷データ変換部12は、ページ群D2のサイズが送信可能サイズよりも小さいか、または、ページ群D1が空か、を判定する(ステップS107)。ページ群D2のサイズが送信可能なデータサイズよりも小さい場合は、次のページの処理もまとめられる可能性があることを意味している。一方、ページ群D2のサイズが送信可能なデータサイズ以上の場合は、新たに作成したページ群D2ではデータサイズが大きすぎるため、1つ前のページまででデータを送信すべきであることを意味している。また、ページ群D1が空の場合は、次に送るデータがまだないことを意味しているため、サイズに関わらず送信候補とすることを意味している。
【0032】
印刷データ変換部12は、ページ群D2のサイズが送信可能サイズよりも小さいか、または、ページ群D1が空の場合(ステップS107,Yes)には、ページ群D2をページ群D1とする(ステップS108)。この処理は、ステップS107の判定で、ページ群D2のデータを次に送信できることがわかったため、ページ群D2をページ群D1として扱う。
【0033】
印刷データ変換部12は、ページ群D2のサイズが送信可能サイズ以上で、かつ、ページ群D1が空でない場合(ステップS107,No)には、ページ群D2を送信することはできないとわかったため、ページ群D2にページ群D1を追加する前のデータ、すなわちページ群D1を出力バッファに入れ、印刷データ送信部13を経由して、作成した印刷データを画像処理装置20に送信する(ステップS110)。なお、このときのデータのサイズは保持される。
【0034】
その後、印刷データ変換部12は、ページ群の区切りを出力バッファに入れ(ステップS111)、ここまでシリアライズ印刷することを示す区切りを送信する。
【0035】
その後、印刷データ変換部12は、通信速度、印刷性能、ページ群D1のページ数から送信可能サイズを更新する(ステップS112)。
【0036】
すなわち、印刷データ変換部12は、送信したページ群D1のデータのサイズをもとに、送信可能サイズ計算部11に、次に送信可能なデータサイズを計算させる。送信可能サイズ計算部11は、通信速度と印刷性能と印刷データ変換部12受け取ったページ群D1のデータサイズをもとに、次に送信可能なデータサイズを計算し、印刷データ変換部12に渡す。
【0037】
その後、印刷データ変換部12は、ページ群D1を空にした後ページ情報DDを入れる(ステップS113)。すなわち、送信したページ群D1をリセットし、ステップS105で生成したページ情報をページ群D1にセットする。
【0038】
ステップS108またはステップS113の処理後、印刷データ変換部12は、次のページが存在するか否かを判定する(ステップS109)。次のページが存在する場合(ステップS109、Yes)には、ステップS105に戻って処理を継続する。一方、次のページが存在しない場合(ステップS109、No)には、現在ページ群D1にあるデータを送信するため、ページ群D1を出力バッファに入れる(ステップS114)。そして、ページ群D1を、印刷データ送信部13を経由して作成した印刷データを画像処理装置に送信する(ステップS114)。その後、ページ群の区切りを出力バッファに入れ(ステップS115)、ここまでシリアライズ印刷するという区切りを送信し、本処理を終了する。
【0039】
<印刷データ変換処理の具体例>
次に、具体的な印刷データ変換処理について説明する。まず、以下の印刷性能、通信速度、データサイズを考える。
印刷性能(1秒間に印刷処理可能なデータ量):100
通信速度(1秒間に送信可能なデータ量) :300
データサイズ(図7上段の入力データを参照):
1ページ目 :合計200
2ページ目 :合計300
リソースA:200
その他 :100
3ページ目 :合計450
リソースA:200
その他 :250
4ページ目 :合計200
【0040】
この場合、次のような処理フローになる。まず、ステップS101,S102において、1ページ目を単独でシリアライズして送信する。
【0041】
その後、ステップS103において、次に送信可能なデータサイズが
200/100*300=600
となる。その後、ステップS105,S106で、2ページ目を読み込んで、ページ群D2(サイズ:300)を生成する。この場合、ステップS107ではページ群D1が空なので(ステップS107、Yes)、2ページ目だけのデータをページ群D1(サイズ:300)とし、ステップS105に戻る。
【0042】
その後、ステップS105、S106で、3ページ目を読み込んでページ群D2を生成する。この場合、リソースAが共通化されるため、ページ群D2のサイズは、
300+450-200=550
となる。
【0043】
その後、ステップS107で、
ページ群D2のサイズ(550)< 送信可能サイズ(600)
なので(ステップS107,Yes)、ページ群D2をページ群D1(サイズ:550)とし、ステップS105に戻る。
【0044】
その後、ステップS105、S106で、4ページ目を読み込んでページ群D2を生成する。このページ群D2のサイズは、
ページ群D1(550)+4ページ目(200)=750
となる。
【0045】
その後、ステップS107で、
ページ群D2のサイズ(750)< 送信可能サイズ(600)
なので(ステップS107,No)、ページ群D1(2,3ページ目をまとめたもの)を送信し(ステップS110,S112)、ステップS112で、次に送信可能なデータサイズを
550/100*300=1650
に更新する。そして、ステップS113で、ページ群D1に4ページ目の情報をセット(サイズ:200)し、次のページがないので(ステップS119,No)、ステップS114,S115においえ、ページ群D1(4ページ目)を送信し、一連の処理を終了する。この結果、図7下段のような区切りをもった、ひとまとまりのページ群D1が順次送信される。
【0046】
このような実施の形態によれば、送信先である画像処理装置20の画像処理性能、画像処理装置20に対する通信速度、及び送信済みデータのサイズをもとに次の送信可能なデータのサイズを算出し、次に送信可能なデータのサイズに収まる最大ページ数分のデータをひとまとまりのデータとして生成するともに送信区切りデータを生成して、画像処理装置に対して効率的な画像処理を柔軟に行わせているので、シリアライズPDFの画像処理の総時間を短縮することができる。また、ひとまとまりのデータ内で、ページに埋め込まれるリソースが存在する場合には共有化するようにしているので、さらに画像処理の総時間を短縮することができる。
【0047】
以上、本発明に係る実施の形態について説明したが、本発明は、上述の実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上述の実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。
【0048】
また、上述した実施の形態の情報処理装置10で実行されるソフトウェア(プログラム)は、インストール可能な形式または実行可能な形式のファイルでCD-ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD-R、DVD(Digital Versatile Disk)、USB(Universal Serial Bus)などのコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよいし、インターネットなどのネットワーク経由で提供または配布するように構成してもよい。また、各種プログラムを、ROMなどに予め組み込んで提供するように構成してもよい。
【符号の説明】
【0049】
10 情報処理装置
11 送信可能サイズ計算部
12 印刷データ変換部
13 印刷データ送信部
20 画像処理装置
21 送信部
22 印刷データ処理部
23 印刷部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0050】
【文献】特開2015-026134号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7