(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-07
(45)【発行日】2022-03-15
(54)【発明の名称】光導波路素子
(51)【国際特許分類】
G02F 1/065 20060101AFI20220308BHJP
【FI】
G02F1/065
(21)【出願番号】P 2018068859
(22)【出願日】2018-03-30
【審査請求日】2020-08-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000183266
【氏名又は名称】住友大阪セメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116687
【氏名又は名称】田村 爾
(74)【代理人】
【識別番号】100098383
【氏名又は名称】杉村 純子
(74)【代理人】
【識別番号】100155860
【氏名又は名称】藤松 正雄
(72)【発明者】
【氏名】石川 佳澄
(72)【発明者】
【氏名】高野 真悟
【審査官】坂上 大貴
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2004/0223677(US,A1)
【文献】特開2004-198754(JP,A)
【文献】特開2003-228031(JP,A)
【文献】国際公開第2016/092810(WO,A1)
【文献】国際公開第2010/064417(WO,A1)
【文献】米国特許第06222965(US,B1)
【文献】米国特許第06408111(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/00-1/125
1/21-7/00
G02B 6/12-6/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気光学効果を有する基板と、該基板に形成された光導波路と、該光導波路を伝搬する光波を変調するための制御電極と、バイアス点を調整するためのヒータ電極とを有する光導波路素子において、
該制御電極は、該基板の一方の面に形成された信号電極と、該基板の前記一方の面とは反対側の面に形成された裏面接地電極とを備え、
該ヒータ電極は該基板の前記一方の面に形成され、
該基板の前記反対側の面における該ヒータ電極の下部に、該ヒータ電極により発生した熱を放熱するための放熱手段を有
し、
該ヒータ電極は、該基板の光波進行方向に沿った一方の側端に入力端部又は出力端部を有し、
該放熱手段は、金属であり、該基板の前記一方の側端に向かって熱の伝導量が増加するように、該基板の前記一方の側端に向かって光波進行方向の幅が徐々に広がる形状に形成されたことを特徴とする光導波路素子。
【請求項2】
請求項1に記載の光導波路素子において、
該放熱手段は、該基板の前記一方の側端における光波進行方向の幅が、該ヒータ電極の光波進行方向の長さよりも長いことを特徴とする光導波路素子。
【請求項3】
請求項
1又は請求項2に記載の光導波路素子において、
該放熱手段は、該ヒータ電極の直下を覆うように形成されたことを特徴とする光導波路素子。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の光導波路素子において、
該光導波路は、並行に延びる複数の並行導波路を含み、
該ヒータ電極は、前記複数の並行導波路のいずれかに対して設けられ、
該放熱手段は、該ヒータ電極が設けられた並行導波路の下部に形成される一方で、他の平行導波路の下部には形成されないことを特徴とする光導波路素子。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の光導波路素子において、
該光導波路は、有機高分子材料で形成されたことを特徴とする光導波路素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気光学効果を示す有機高分子を光導波路に用いる光導波路素子に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、光通信や光計測の分野においては、電気光学効果を示す材料を用いて光導波路を形成した光導波路素子が多く用いられている。光導波路素子は、一般的に、上記の光導波路と共に、該光導波路内を伝搬する光波を制御するための制御電極を備える。
【0003】
このような光導波路素子として、電気光学効果を示す材料を用いた光導波路でマッハツェンダー干渉計を形成した、マッハツェンダー型光変調素子が広く用いられている。マッハツェンダー型光変調素子は、外部から光を導入するための入射導波路と、該入射導波路により導入された光を2つの経路に分けて伝搬させるための分岐部と、該分岐部の後段に分岐されたそれぞれの光を伝搬させる2つの並行導波路と、該2本の並行導波路を伝搬した光を合波して外部へ出力するための出射導波路とを用いて構成される。また、マッハツェンダー型光変調素子は、光波を制御するための制御電極として、並行導波路の片方または両方を伝搬する光波に高周波の変調信号を作用させるための高周波変調電極と、バイアス点を調整するためのバイアス点調整電極が備えられている。
【0004】
このような光変調素子の一種に、電気光学効果を示す材料として、有機の非線形光学化合物を高分子材料中に分散した有機電気光学高分子材料を用いた光変調素子が開発されている。この光変調素子の場合、高周波変調電極には、ニオブ酸リチウム(LN)材料などの電気光学基板を用いた光変調素子と同様に進行型の高周波電極が用いられる。一方、バイアス点調整電極には、DCドリフトの問題から、ヒータ電極を用いて熱光学効果によりバイアス点を調整する構成が用いられることが多い。
【0005】
ここで、高周波の変調信号を並行導波路の片方または両方を伝搬する光波に作用させる領域を高周波変調領域とし、ヒータからの熱を作用させてバイアス点を調整する領域をバイアス点調整領域とした場合、光変調素子を安定的に動作させるためには、バイアス点調整領域から高周波変調領域への熱クロストークを抑制することが必要となる。熱クロストークが発生すると、高周波による光変調が不安定になり、信号品質の劣化に繋がる。
【0006】
このような問題の発生を避けるために、特許文献1では、高周波変調領域とバイアス点調整領域を別々の材料の基板による素子を組み合わせて作製した、有機電気光学高分子材料による光変調器が提案されている。
また、光導波路とヒータ電極とを有する熱光学光導波路素子においても、熱クロストークを抑制するための技術が提案されている。例えば、特許文献2では、光導波路間に断熱溝を設けると共に、光導波路下部に放熱材を配置した素子について開示されている。
【0007】
しかしながら、特許文献1のように、それぞれの領域を別素子として作製するということは、製造工程の複雑化、コスト増加に繋がる。また、特許文献2のように、光導波路間に断熱溝を設ける構造だと、高分子材料で形成された光導波路の場合には、構造的な歪により光伝搬特性が劣化するおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特表2015-501945号公報
【文献】特開2007-78861号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明が解決しようとする課題は、上述したような問題を解決し、バイアス点調整領域から高周波変調領域への熱クロストークを効果的に抑制することが可能な光導波路素子を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明の光導波路素子は、以下の技術的特徴を有する。
(1) 電気光学効果を有する基板と、該基板に形成された光導波路と、該光導波路を伝搬する光波を変調するための制御電極と、バイアス点を調整するためのヒータ電極とを有する光導波路素子において、該制御電極は、該基板の一方の面に形成された信号電極と、該基板の前記一方の面とは反対側の面に形成された裏面接地電極とを備え、該ヒータ電極は該基板の前記一方の面に形成され、該基板の前記反対側の面における該ヒータ電極の下部に、該ヒータ電極により発生した熱を放熱するための放熱手段を有し、該ヒータ電極は、該基板の光波進行方向に沿った一方の側端に入力端部又は出力端部を有し、該放熱手段は、金属であり、該基板の前記一方の側端に向かって熱の伝導量が増加する形状に、該基板の前記一方の側端に向かって光波進行方向の幅が徐々に広がる形状に形成されたことを特徴とする。
【0011】
(2) 上記(1)に記載の光導波路素子において、該放熱手段は、該基板の前記一方の側端における光波進行方向の幅が、該ヒータ電極の光波進行方向の長さよりも長いことを特徴とする。
【0012】
(3) 上記(1)又は(2)に記載の光導波路素子において、該放熱手段は、該ヒータ電極の直下を覆うように形成されたことを特徴とする。
【0013】
(4) 上記(1)乃至(3)のいずれかに記載の光導波路素子において、該光導波路は、並行に延びる複数の並行導波路を含み、該ヒータ電極は、前記複数の並行導波路のいずれかに対して設けられ、該放熱手段は、該ヒータ電極が設けられた並行導波路の下部に形成される一方で、他の平行導波路の下部には形成されないことを特徴とする。
【0014】
(5) 上記(1)乃至(4)のいずれかに記載の光導波路素子において、該光導波路は、有機高分子材料で形成されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、基板のヒータ電極とは反対側の面における該ヒータ電極の下部に、該ヒータ電極により発生した熱を放熱するための放熱手段を設けたので、バイアス点調整領域から高周波変調領域への熱クロストークを効果的に抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の一実施形態に係る光導波路素子の例を示す平面図である。
【
図2】
図1の光導波路素子の裏面接地電極及び放熱用金属膜を示す透視図である。
【
図4A】
図1の光導波路素子を筐体に収容した光変調器の例を示す平面図である。
【
図4B】
図4Aの光変調器におけるA-A’線の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明に係る光導波路素子について、好適例を用いて詳細に説明する。なお、以下で示す例によって本発明が限定されるものではない。
本発明の光導波路素子は、例えば
図1、
図2に示すように、電気光学効果を有する基板(11)と、該基板に形成された光導波路(12)と、該光導波路を伝搬する光波を変調するための制御電極と、バイアス点を調整するためのヒータ電極(41)とを有する光導波路素子(10)において、該制御電極は、該基板の一方の面に形成された信号電極(21)と、該基板の前記一方の面とは反対側の面に形成された裏面接地電極(31)とを備え、該ヒータ電極は該基板の前記一方の面に形成され、該基板の前記反対側の面における該ヒータ電極の下部に、該ヒータ電極により発生した熱を放熱するための放熱手段(51)を有することを特徴とする。なお、放熱手段は、基板の反対側の面に直接に接するように形成される構成に限られず、基板の反対側の面に放熱手段とは異なる他の層を介して形成される構成も含まれる。
【0018】
このような構成によれば、ヒータ電極から発生した熱がヒータ電極の下部に配置した放熱手段から放熱されるので、ヒータ電極から発生した熱が信号電極側に伝搬することを抑制することができる。しかも、光変調素子を作成する際に、特許文献1のような、信号電極を形成する部分と、ヒータ電極を形成する部分とを別々の基板で作製して接合するという、複雑かつ高コストの工程が不要となる。したがって、簡易な構造でありながら、熱クロストークを抑制することができ、低コストで高性能の光導波路素子を提供することが可能となる。
【0019】
以下、本発明に係る光導波路素子の具体的な構成について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る光導波路素子の例を示す平面図である。
図2は、
図1の光導波路素子の裏面接地電極及び放熱用金属膜を示す透視図である。
図3は、
図1の光導波路素子の側面図である。
【0020】
本例の光導波路素子10は、基材15と、電気光学効果を有する基板11と、該基板に形成された光導波路12と、該光導波路を伝搬する光波を変調するための制御電極と、バイアス点を調整するためのヒータ電極41とを有する。
【0021】
基材15は、光導波路12を形成するのに十分な平坦性を有しており、かつ機械的に十分な強度を有するものであれば、材質、形状とも特に限定されない。基材15としては、例えば、シリコン基板、石英基板、ガラス基板、セラミック基板等を用いることができる。
【0022】
基板11は、下部クラッド層、コア層、上部クラッド層などを積層して構成される。コア層は上下クラッド層よりも屈折率が高い材料が用いられ、その形状を制御することにより光導波路12が形成される。光導波路12の形状について特に制限はないが、例えば、コア層の一部を上側又は下側に突出させたリブ状の光導波路がある。
【0023】
コア層および上下クラッド層の少なくとも一層は、有機非線形光学化合物を高分子材料中に分散した有機電気光学高分子材料により形成される。有機電気光学高分子材料に用いる高分子材料としては、例えば、ポリメチルメタクリレートなどのアクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリイミド系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、フェノール系樹脂、ポリキノリン系樹脂、ポリキノキサリン系樹脂、ポリベンゾオキサゾール系樹脂、ポリベンゾチアゾール系樹脂、ポリベンゾイミダゾール系樹脂などが挙げられる。
【0024】
非線形光学有機化合物は、公知のものであれば特に限定されないが、1分子中に、電子供与性を有する原子団(以下、「ドナー」と言う。)と、電子吸引性を有する原子団(以下、「アクセプター」と言う。)との両方を有しており、ドナーとアクセプターの間に、π電子共役系の原子団を配している構造を有した分子が望ましい。このような分子としては、具体的には、Disperse Red類、Disperse Orange類、スチルベン化合物などが挙げられる。非線形光学有機化合物は、前述の高分子材料への添加、または上述の高分子材料の側鎖または主鎖への化学結合により、高分子材料に導入することができる。
有機電気光学高分子材料中に分散された非線形光学有機化合物の双極子を配向させることにより、基板11に電気光学効果を持たせることができる。
【0025】
基板11には、光導波路12を伝搬する光波を変調するための制御電極と、バイアス点を調整するためのヒータ電極41が配置される。制御電極は、基板11の一方の面(表面)に形成された信号電極21と、その反対側の面(裏面)に形成された裏面接地電極31とを含む。裏面接地電極31は、基板11とその下側の基材15との間に形成されることになる。基板11を挟むように配置された信号電極21及び裏面接地電極31は、マイクロストリップライン構造の伝送線路を形成する。
【0026】
基板11の表面には更に、基板11を貫通するビア24で裏面接地電極31と電気的に接続された表面接地電極22(1)~(4)も形成される。表面接地電極22(1),(2)は、信号電極21の入力端部(入力用フィードスルー)を挟むように配置されており、表面接地電極22(3),(4)は、信号電極21の出力端部(出力用フィードスルー)を挟むように配置されている。
これらの電極は、例えば、基板表面に、Ti・Au等による下地電極パターンを形成し、金メッキ方法などにより形成することが可能である。表面接地電極は「上部接地電極」とも称され、裏面接地電極は「下部接地電極」とも称される。
【0027】
信号電極21は、光導波路12の上側を光導波路12の延伸方向と同じ方向に延びる作用区間と、信号電極21の入力端部から作用区間の始点部に向かって延びる区間と、作用区間の終点部から信号電極21の出力端部に向かって延びる区間とを有する。信号電極21には、外部のドライバ素子(不図示)から高周波の変調信号が入力される。作用区間は、高周波の変調信号によって発生する電界により、光導波路12を伝搬する光波に変調作用を及ぼす区間である。
【0028】
ヒータ電極41は、光導波路12の上側を光導波路12の延伸方向と同じ方向に延びるバイアス点調整区間と、ヒータ電極41の入力端部からバイアス点調整区間の始点部に向かって延びる区間と、バイアス点調整区間の終点部からヒータ電極41の出力端部に向かって延びる区間とを有する。ヒータ電極41には、外部のDC電圧制御部42からバイアス変調用のDC信号が入力される。バイアス点調整区間は、DC信号の印加による発熱により、光導波路12を伝搬する光波にバイアス点の調整作用を及ぼす区間である。
【0029】
ヒータ電極41は基板11の表面(信号電極21と同じ面)に形成されており、基板11の裏面には、ヒータ電極41の下方を覆うように、ヒータ電極41により発生した熱を放熱するための放熱手段52を設けてある。本例では、放熱手段52として、裏面接地電極31と同じ材料で形成された金属放熱膜を用いている。なお、裏面接地電極31と放熱手段52は異なる金属材料で形成してもよいが、同じ金属材料で形成した方がそれぞれを同一工程で作製することができるので、効率的である。
【0030】
放熱手段52は、光導波路素子10の光波進行方向に沿った一方の側端(信号電極やヒータ電極の入出力端部がある側端)に至る領域まで形成される。したがって、ヒータ電極41から発生した熱は、その下方にある放熱手段52を介して、光導波路素子10の側面から放熱されることになる。なお、放熱手段の放熱能力が十分にある場合には、放熱手段は、光導波路素子の光波進行方向に沿った一方の側端に至る領域まで形成されなくてもよい。
【0031】
ここで、光導波路素子10の側面から効率的に放熱を行うには、基板11の前記側端に向かって熱の伝導量が増加するように放熱手段52を形成することが好ましい。本例では、放熱手段52の光波進行方向の幅について、バイアス点調整区間がある側の端部の幅をW1、ヒータ電極の入出力端部がある側の端部の幅をW2とした場合に、W2>W1となるように形成してある。また、W1からW2にかけて連続的に幅が拡大するように形成してある。このような構造により、ヒータ電極41から発生した熱を光導波路素子10の側面に向けて効率よく放熱することができる。なお、
図2では、放熱手段の幅が直線的に拡大する例を示しているが、曲線を描くように幅が拡大する形状でもよいし、段階的に幅が拡大する形状でもよい。
【0032】
また、本例の光導波路素子10では、並行に延びる2本の並行導波路の一方に対してヒータ電極41が設けられており、放熱手段51は、ヒータ電極41が設けられた並行導波路の下部に形成される一方で、他の並行導波路の下部には形成されていない。したがって、ヒータ電極41により発生する熱が他の並行導波路への影響を抑えることができる。なお、2本の並行導波路のそれぞれに対して個別にヒータ電極を設ける構成であってもよく、この場合には、放熱手段も個別に設ければよい。この場合、一方の放熱手段の熱の伝導方向は他方の放熱手段の熱の伝導方向とは逆向き、もしくは異なる方向となるように放熱手段を構成してもよい。また、放熱手段の放熱能力が十分に高い場合には、放熱手段を個別に設けずに一体化して構成してもよい。
【0033】
図4Aは、
図1の光導波路素子を筐体に収容した光変調器の例を示す平面図である。
図4Bは、
図4Aの光変調器におけるA-A’線の断面図である。
同図の光導波路素子10は、光変調器の筐体80に収容されている。筐体80には更に、光導波路素子10の制御電極と外部のドライバ素子とを電気的に接続するための中継信号線路が形成された中継基板81,82も収容されている。中継基板81の中継伝送線路は、ワイヤボンディング等により制御電極の入力端子と電気的に接続され、中継基板82の中継伝送線路は、ワイヤボンディング等により制御電極の出力端子と電気的に接続される。
【0034】
筐体80の側壁には、光導波路素子10のヒータ電極を外部のDC電圧制御部と電気的に接続するためのリードピン83,84が配設されている。リードピン83は、ワイヤボンディング等によりヒータ電極の入力端子と電気的に接続され、リードピン88は、ワイヤボンディング等によりヒータ電極の出力端子と電気的に接続される。
【0035】
放熱手段51は、光導波路素子10の側面に現れる部分において、放熱手段51からの熱を筐体80に伝導させる熱伝導手段91と接続される。熱伝導手段91は、放熱手段51と接続されるだけでなく、筐体80の内面(底面や側面)にも接続される。このような構成により、より効率的な放熱が可能となる。熱伝導手段91としては、例えば、セラミックスやグラファイトなどの放熱性フィラーを含有するシート、または塗料などを用いることができる。なお、このような塗料を用いる場合には、熱硬化型または紫外線硬化型の塗料を用いることが望ましい。
【0036】
熱伝導手段91は、導電性を有する接着剤を用いて、筐体80および放熱手段51に固定される。この場合、放熱手段51が接地されることになるが、特に問題はない。逆に、放熱手段51が接地されずに完全に浮遊電極になると、マイナスの影響も懸念されるので、より好ましい態様であると言える。
【0037】
以上、実施例に基づいて本発明を説明したが、本発明は上述した内容に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜設計変更することが可能である。また、各実施例を適宜組み合わせ得ることは言うまでもない
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明によれば、バイアス点調整領域から高周波変調領域への熱クロストークを効果的に抑制することが可能な光導波路素子を提供することができる。
【符号の説明】
【0039】
10 光導波路素子
11 基板
12 光導波路
21 信号電極
22 表面接地電極
24 ビア
31 裏面接地電極
41 ヒータ電極
42 DC電圧制御部
51 熱伝導抑制手段
80 筐体
81,82 中継基板
83,84 リードピン
91 熱伝導手段