(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-07
(45)【発行日】2022-03-15
(54)【発明の名称】結像レンズ系および撮像装置
(51)【国際特許分類】
G02B 13/00 20060101AFI20220308BHJP
H04N 5/225 20060101ALI20220308BHJP
【FI】
G02B13/00
H04N5/225 400
(21)【出願番号】P 2018115980
(22)【出願日】2018-06-19
【審査請求日】2021-02-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100127111
【氏名又は名称】工藤 修一
(72)【発明者】
【氏名】長能 卓哉
【審査官】岡田 弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-139668(JP,A)
【文献】特開2012-220654(JP,A)
【文献】特開2012-226309(JP,A)
【文献】特開2014-157168(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 9/00-17/08
G02B 21/02-21/04
G02B 25/00-25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体側から像側へ向かって順に、正の屈折力を有する第1レンズ群、絞り、正の屈折力を有する第2レンズ群、正または負の屈折力を有する第3レンズ群、を配設してなり、無限遠から近距離へのフォーカシング時に、前記第1レンズ群と前記絞りと前記第2レンズ群とが一体として、前記第3レンズ群との間隔が増大するように物体側へ移動する結像レンズ系であって、
前記第1レンズ群は、物体側から像側へ向かって順に、正レンズL
11、負レンズL
12を配して構成され、
前記第3レンズ群は、物体側から像側へ向かって順に、負レンズL
31、正レンズL
32を配して構成され、
前記負レンズL
31と前記正レンズL
32の空気間隔:d
L31-L32、前記負レンズL
31の物体側レンズ面から前記正レンズL
32の像側レンズ面までの光軸上の距離:L
3gが、条件:
(1) 0.40 < d
L31-L32/L
3g < 0.75
を満足する結像レンズ系。
【請求項2】
請求項1記載の結像レンズ系であって、
前記第1レンズ群の前記正レンズL
11の材質の、d線に対する屈折率:ndおよびアッベ数:νd、部分分散比:θ
g,Fが、条件:
(2) 1.50 < nd < 1.63
(3) 62.0 < νd < 78.0
(4) 0.004 <θ
g,F-(-0.001742×νd+0.6490)
< 0.030
を満足する結像レンズ系。
【請求項3】
請求項1又は2記載の結像レンズ系であって、
前記第1レンズ群の前記正レンズL
11の材質のd線に対するアッベ数:νdp、前記第1レンズ群の前記負レンズL
12の材質のd線に対するアッベ数:νdnが、以下の条件:
(5) 55.0 <νdn< 95.0
(6) -5.0 <νdn-νdp< 15.0
を満足する結像レンズ系。
【請求項4】
請求項1ないし3の何れか1項に記載の結像レンズ系であって、
無限遠物体に合焦した状態における全系の焦点距離:f、前記第1レンズ群と前記第2レンズ群との合成焦点距離:f
1g2gが、条件:
(7) 0.70 <f
1g2g/f< 0.95
を満足する結像レンズ系。
【請求項5】
請求項1ないし4の何れか1項に記載の結像レンズ系であって、
前記第1レンズ群の前記正レンズL
11の物体側レンズ面の曲率半径:R
L11a、前記第1レンズ群の前記負レンズL
12の像側レンズ面の曲率半径:R
L12bが、条件:
(8) 0.35 <(R
L11a-R
L12b)/(R
L11a+R
L12b)< 0.55
を満足する結像レンズ系。
【請求項6】
請求項1ないし5の何れか1項に記載の結像レンズ系であって、
前記第1レンズ群の前記正レンズL
11の焦点距離:f
L11、前記第1レンズ群の前記負レンズL
12の焦点距離:f
L12が、条件:
(9) -0.80 <f
L11/f
L12< -0.60
を満足する結像レンズ系。
【請求項7】
請求項1ないし6の何れか1項に記載の結像レンズ系であって、
前記第1レンズ群の前記負レンズL
12の像側レンズ面の曲率半径:R
L12b、前記第2レンズ群の最も物体側のレンズL
21の物体側レンズ面の曲率半径:R
L21aが、条件:
(10) -0.10 <(R
L12b+R
L21a)/(R
L12b-R
L21a)< 0.10
を満足する結像レンズ系。
【請求項8】
請求項1ないし7の何れか1項に記載の結像レンズ系であって、
無限遠から近距離へのフォーカシング時に、前記第3レンズ群が像面に対して固定されている結像レンズ系。
【請求項9】
請求項1ないし8の何れか1項に記載の結像レンズ系であって、
前記第2レンズ群が、物体側から像側へ向かって順に、負レンズL
21、正レンズL
22、正レンズL
23を配した3枚のレンズで構成される結像レンズ系。
【請求項10】
請求項9記載の結像レンズ系であって、
前記第2レンズ群の前記正レンズL
22の像側レンズ面の曲率半径:R
L22b、前記第2レンズ群の前記負レンズL
21の物体側レンズ面の曲率半径:R
L21aが、条件:
(11) 0.05 <(R
L22b-R
L21a)/(R
L22b+R
L21a)< 0.22
を満足する結像レンズ系。
【請求項11】
請求項9又は10記載の結像レンズ系であって、
前記第2レンズ群の前記正レンズL
23の像側レンズ面の曲率半径:R
L23b、前記第2レンズ群の前記負レンズL
21の物体側レンズ面の曲率半径:R
L21aが、条件:
(12) 0.35 <(R
L23b-R
L21a)/(R
L23b+R
L21a)< 0.70
を満足する結像レンズ系。
【請求項12】
請求項1ないし11の何れか1項に記載の結像レンズ系であって、
前記第1群レンズ群、前記第2レンズ群および前記第3レンズ群を構成する全てのレンズが球面レンズである結像レンズ系。
【請求項13】
請求項1ないし12の何れか1項に記載の結像レンズ系であって、
前記第1レンズ群、前記第2レンズ群および前記第3レンズ群を構成する全てのレンズ材質が、無機固体材料である結像レンズ系。
【請求項14】
請求項1ないし13の何れか1項に記載の結像レンズ系を有する撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、結像レンズ系および撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
エリアセンサを用いた撮像装置は、コンパクトカメラや一眼レフカメラ、ミラーレスカメラ等の「被写体を撮影する撮影カメラ」が従来から広く知られているが、近来、産業用カメラや車載カメラ、監視用カメラ等へ「活用の幅」が広がっている。
撮像装置に用いられる結像レンズ系では、フォーカシング(合焦動作)に伴う性能の劣化が少なく、安定していることが重要であり、フォーカシングに伴う性能変動を抑制するものとして、特許文献1、2に記載されたものが知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この発明は、フォーカシングに伴うレンズ性能の変動を有効に抑制可能で新規な結像レンズ系の実現を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この発明の結像レンズ系は、物体側から像側へ向かって順に、正の屈折力を有する第1レンズ群、絞り、正の屈折力を有する第2レンズ群、正または負の屈折力を有する第3レンズ群、を配設してなり、無限遠から近距離へのフォーカシング時に、前記第1レンズ群と前記絞りと前記第2レンズ群とが一体として、前記第3レンズ群との間隔が増大するように物体側へ移動する結像レンズ系であって、前記第1レンズ群は、物体側から像側へ向かって順に、正レンズL11、負レンズL12を配して構成され、前記第3レンズ群は、物体側から像側へ向かって順に、負レンズL31、正レンズL32を配して構成され、前記負レンズL31と前記正レンズL32の空気間隔:dL31-L32、前記負レンズL31の物体側レンズ面から前記正レンズL32の像側レンズ面までの光軸上の距離:L3gが、条件:
(1) 0.40 < dL31-L32/L3g < 0.75
を満足する。
【発明の効果】
【0005】
この発明によれば、フォーカシングに伴うレンズ性能の変動を有効に抑制可能で新規な結像レンズ系を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】実施例1の結像レンズ系の構成を示す断面図である。
【
図2】実施例2の結像レンズ系の構成を示す断面図である。
【
図3】実施例3の結像レンズ系の構成を示す断面図である。
【
図4】実施例4の結像レンズ系の構成を示す断面図である。
【
図5】実施例5の結像レンズ系の構成を示す断面図である。
【
図6】実施例6の結像レンズ系の構成を示す断面図である。
【
図7】実施例7の結像レンズ系の構成を示す断面図である。
【
図8】実施例1の結像レンズ系を無限遠に合焦した状態での収差図である。
【
図9】実施例1の結像レンズ系をワーキングディスタンス:0.25mに合焦した状態での収差図である。
【
図10】実施例1の結像レンズ系をワーキングディスタンス:0.10mに合焦した状態での収差図である。
【
図11】実施例2の結像レンズ系を無限遠に合焦した状態での収差図である。
【
図12】実施例2の結像レンズ系をワーキングディスタンス:0.25mに合焦した状態での収差図である。
【
図13】実施例2の結像レンズ系をワーキングディスタンス:0.10mに合焦した状態での収差図である。
【
図14】実施例3の結像レンズ系を無限遠に合焦した状態での収差図である。
【
図15】実施例3の結像レンズ系をワーキングディスタンス:0.25mに合焦した状態での収差図である。
【
図16】実施例3の結像レンズ系をワーキングディスタンス:0.10mに合焦した状態での収差図である。
【
図17】実施例4の結像レンズ系を無限遠に合焦した状態での収差図である。
【
図18】実施例4の結像レンズ系をワーキングディスタンス:0.25mに合焦した状態での収差図である。
【
図19】実施例4の結像レンズ系をワーキングディスタンス:0.10mに合焦した状態での収差図である。
【
図20】実施例5の結像レンズ系を無限遠に合焦した状態での収差図である。
【
図21】実施例5の結像レンズ系をワーキングディスタンス:0.25mに合焦した状態での収差図である。
【
図22】実施例5の結像レンズ系をワーキングディスタンス:0.10mに合焦した状態での収差図である。
【
図23】実施例6の結像レンズ系を無限遠に合焦した状態での収差図である。
【
図24】実施例6の結像レンズ系をワーキングディスタンス:0.25mに合焦した状態での収差図である。
【
図25】実施例6の結像レンズ系をワーキングディスタンス:0.10mに合焦した状態での収差図である。
【
図26】実施例7の結像レンズ系を無限遠に合焦した状態での収差図である。
【
図27】実施例7の結像レンズ系をワーキングディスタンス:0.25mに合焦した状態での収差図である。
【
図28】実施例7の結像レンズ系をワーキングディスタンス:0.10mに合焦した状態での収差図である。
【
図29】撮像装置の実施の1例を説明図的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、発明の実施形態を説明する。
図1および
図7に、結像レンズ系の実施形態を7例示す。これらは、図示の順序で後述する実施例1ないし7に対応する。
これらの図に実施形態を示す結像レンズ系は産業用カメラの1例である「製品検査装置等のマシンビジョン」に用いられる結像レンズ系を想定している。
図1ないし
図7において図の左側が物体側であり、右側が像側である。
上段の図は、結像レンズ系を「無限遠に合焦」させたときのレンズ配置、中段の図は、「遠距離に合焦」させたときのレンズ配置、下段の図は「近距離に合焦」させたときのレンズ配置を示している。
繁雑を避けるため、
図1ないし
図7において符号を共通化する。
即ち、これらの図において、符号G1は「第1レンズ群」、符号G2は「第2レンズ群」、符号G3は「第3レンズ群」をそれぞれ示す。また、符号Sは「絞り」を示す。
第3レンズ群G3の像側における符号Imは「像面」を示す。以下に説明する結像レンズ系を用いる撮像装置では、結像レンズ系により結像される物体像をCCDエリアセンサやMOSセンサ、CMOSセンサ等の「エリアセンサ」の使用が想定され、物体像は像面Imに合致させたセンサ受光面に結像させられる。像面Imの物体側に符号Fで示すのはエリアセンサのカバーガラスや各種のフィルタを「これらに等価な1枚の透明板」として図示したものである。
【0008】
第1レンズ群G1および第3レンズ群G3は何れも「2枚のレンズ」で構成されており、第2レンズ群G2は「3枚(
図1~5)もしくは4枚(
図6、
図7)のレンズ」で構成されている。
第1レンズ群G1を構成する2枚のレンズを物体側から順に、正レンズL
11、負レンズL
12と呼び、図中に符号L
11、L
12で示す。第3レンズ群G3を構成する2枚のレンズを物体側から順に負レンズL
31、正レンズL
32と呼び、図中に符号L
31、L
32で示す。
同様に、第2レンズ群G2を構成する3ないし4枚のレンズを物体側から順に、レンズL
21、レンズL
22、レンズL
23、レンズL
24と呼び、それぞれ図中に符号L
21、L
22、L
23、L
24で示す。
第1レンズ群G1および第2レンズ群G2は共に「正の屈折力」を有し、第3レンズ群G3は「正または負の屈折力」を有する。即ち、
図1ないし5に示す例では、第2レンズ群G2は負レンズ1枚(レンズL
21)と正レンズ2枚(レンズL
22、レンズL
23)とを有する。
第2レンズ群G2は、
図6に示す例では、負レンズ1枚(レンズL
21)と正レンズ3枚(レンズL
22、レンズL
23、レンズL
24)を有し、
図7に示す例では、負レンズ2枚(レンズL
21、レンズL
24)と正レンズ2枚(レンズL
22、レンズL
23)を有する。
即ち、
図1ないし
図7に実施の形態を示す結像レンズ系は、物体側から像側へ向かって順に、正の屈折力を有する第1レンズ群G1、絞りS、正の屈折力を有する第2レンズ群G2、正または負の屈折力を有する第3レンズ群G3、を配設してなる。
【0009】
無限遠から近距離へのフォーカシング時には、第1レンズ群G1と絞りSと第2レンズ群G2とが一体として、第3レンズ群G3との間隔が増大するように物体側へ移動する。
【0010】
第1レンズ群G1は、物体側から像側へ向かって順に、正レンズL11、負レンズL12を配して構成され、第3レンズ群G3は、物体側から像側へ向かって順に、負レンズL31、正レンズL32を配して構成される。
【0011】
第3レンズ群G3における負レンズL31と正レンズL32の空気間隔:dL31-L32、負レンズL31の物体側レンズ面から正レンズL32の像側レンズ面までの光軸上の距離:L3gは、条件:
(1) 0.40 < dL31-L32/L3g < 0.75
を満足する。
【0012】
この発明の結像レンズ系は、上記の如く、第1レンズ群G1が正・負レンズによる2枚構成であり、第1レンズ群G1を構成するレンズの大径化を抑制でき、コストの低減化も可能である。
また、正レンズL11の物体側レンズ面と負レンズL12の像側レンズ面で「球面収差のやり取り」を行って良好な収差補正を実現できる。
同様に、第3レンズ群G3も、負レンズL31と正レンズL32の2枚構成とすることで、第3レンズ群G3を構成するレンズの大径化を抑制でき、コストの低減化も可能である。えることが可能となる。特に、負レンズL31の像側レンズ面と正レンズL32の物体側レンズ面で「像面湾曲のやり取り」を行い、良好な収差補正を実現できる。
【0013】
条件(1)は、第3レンズ群G3の「負レンズL31の物体側レンズ面から正レンズL32の像側レンズ面」までの光軸上の距離(dL31-L32)に対する第3レンズ群G3の正レンズL32と負レンズL31の間の距離(L3g)の比を規定する。
第3レンズ群G3は2枚のレンズで構成されており、これら2枚のレンズで「第1レンズ群G1と第2レンズ群G2で発生する残存収差」を、撮影距離全域で良好に補正する機能を有する。
条件(1)は各収差を良好に抑制できる条件で、特に像面湾曲の抑制に有効である。
条件(1)の上限を超えると第3レンズ群G3の負レンズL31と正レンズL32の空気間隔が第3レンズ群G3の全長に対して占める割合が過大になり、像面湾曲の良好な補正と結像レンズ系の小型化の両立が困難となる。
条件(1)の下限を超えると、負レンズL31と正レンズL32の空気間隔が第3レンズ群G3の全長に対して占める割合が過小となって残存収差の補正が不十分となり、フォーカシングに伴う収差変動の抑制が困難となる。
また、像面湾曲がオーバー側に倒れ易くなる。
【0014】
上記の如く特定されるこの発明の結像レンズ系の上記構成を便宜上「構成1」と呼ぶ。 構成1の結像レンズ系は、以下の条件(2)ないし(4)を満足することが好ましい。 (2) 1.50 < nd < 1.63
(3) 62.0 < νd < 78.0
(4) 0.004 <θg,F-(-0.001742×νd+0.6490)
< 0.030
条件(2)ないし(4)は、第1レンズ群G1における正レンズL11の材質に関する条件であって、「nd」、「νd」、「θg、F」は、それぞれ、正レンズL11の材質の、d線に対する「屈折率」、「アッベ数」、「部分分散比」である。
【0015】
部分分散比はレンズ材質のg線、F線、C線に対する屈折率:ng,nF,nCにより、
θg,F=(ng-nF)/(nF-nC)
で定義される。
【0016】
条件(2)ないし(4)を満足する構成を「構成2」と呼ぶ。
構成1または構成2の結像レンズ系は、以下の条件(5)、(6)を満足することが好ましい。
(5) 55.0 <νdn< 95.0
(6) -5.0 <νdn-νdp< 15.0
条件(5)、(6)は、第1レンズ群G1を構成する正レンズL11、負レンズL12の材質のアッベ数に関する条件であり、「νdp」は、正レンズL11の材質のd線に対するアッベ数、「νdn」は、負レンズL12の材質のd線に対するアッベ数である。
条件(5)、(6)を満足する構成を「構成3」と呼ぶ。
【0017】
構成1ないし構成3の何れか1の構成を有する結像レンズ系は、以下の条件(7)の条件を満足することが好ましい。
(7) 0.70 <f1g2g/f< 0.95
この条件(7)において、「f」は、結像レンズ系が無限遠物体に合焦した状態における全系の焦点距離であり、「f1g2g」は、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との「合成焦点距離」である。
条件(7)を満足する構成を「構成4」と呼ぶ。
構成1ないし構成4の何れか1の構成の構成を有する結像レンズ系は、以下の条件(8)の条件を満足することが好ましい。
(8) 0.35 <(RL11a-RL12b)/(RL11a+RL12b)< 0.55
条件(8)は、第1レンズ群G1を構成する2枚のレンズの形状に関する条件であって
「RL11a」は、正レンズL11の物体側レンズ面の曲率半径であり、「RL12b」は、負レンズL12の像側レンズ面の曲率半径である。
【0018】
条件(8)を満足する構成を「構成5」と呼ぶ。
構成1ないし構成5の何れか1の構成を有する結像レンズ系は、以下の条件(9)を満足することが好ましい。
(9) -0.80 <fL11/fL12< -0.60
条件(9)は、第1レンズ群G1を構成する2枚のレンズ、即ち正レンズL11、負レンズL12の屈折力の関係に関する条件であり、「fL11」は正レンズL11の焦点距離であり、「fL12」は負レンズL12の焦点距離である。
【0019】
条件(9)を満足する構成を「構成6」と呼ぶ。
構成1ないし構成6の何れか1の構成を有する結像レンズ系は、以下の条件(10)を満足することが好ましい。
(10) -0.10 <(RL12b+RL21a)/(RL12b-RL21a)< 0.10
条件(10)は、第1レンズ群G1の像側のレンズである負レンズL12と、第2レンズ群G2の最も物体側のレンズであるレンズL21の関係に関する条件であり、「RL12b」は負レンズL12の像側レンズ面の曲率半径、「RL21a」はレンズL21の「物体側レンズ面の曲率半径」である。
条件(10)を満足する構成を「構成7」と呼ぶ。
【0020】
ここで、構成2における条件(2)ないし(4)をまとめて「条件群A」、構成3における条件(5)と(6)をまとめて「条件群B」と呼ぶことにする。
そうすると、この発明の結像レンズ系は、条件(1)とともに条件群Aを満足するようにでき、また、条件(1)とともに条件群Bを満足するようにできる。勿論、条件(1)及び条件群Aと条件群Bを満足するようにできる。
また、条件(1)とともに条件(7)ないし(10)のうちの任意の1以上を満足するようにでき、さらに、条件(1)および条件群A、条件(1)および条件群B、もしくは条件(1)および条件群A及び条件群Bの何れか1の組み合わせと共に、条件(7)ないし(10)のうちの任意の1以上を満足するようにできる。
【0021】
上に説明した構成1ないし構成7の結像レンズ系は、無限遠から近距離へのフォーカシング時に、第3レンズ群G3が像面Imに対して固定されていることができる。この構成を「構成8」と呼ぶ。
構成1ないし構成8の何れか1の構成を有する結像レンズ系における第2レンズ群G2は、物体側から像側へ向かって順に、負レンズL21、正レンズL22、正レンズL23を配した3枚のレンズで構成することができる。この構成を「構成9」と呼ぶ。
構成9を有する結像レンズ系は、以下の条件(11)を満足することが好ましい。
(11) 0.05 <(RL22b-RL21a)/(RL22b+RL21a)< 0.22
条件(11)は、第2レンズ群G2を構成する3枚のレンズである負レンズL21、正レンズL22、正レンズL23のうち、物体側の2枚である負レンズL21と正レンズL22の組み合わせに関する条件であって、「RL22b」は、正レンズL22の像側レンズ面の曲率半径であり、「RL21a」は、負レンズL21の物体側レンズ面の曲率半径である。
【0022】
条件(11)を満足する構成を「構成10」と呼ぶ。
構成9または構成10の結像レンズ系は、以下の条件(12)を満足することが好ましい。
(12) 0.35 <(RL23b-RL21a)/(RL23b+RL21a)< 0.70
条件(12)は、第2レンズ群G2を構成する3枚のレンズである負レンズL21、正レンズL22、正レンズL23のうち、物体側の負レンズL21と像側の正レンズL23の組み合わせに関する条件であり、「RL23b」は、正レンズL23の像側レンズ面の曲率半径であり、
「RL21a」は、負レンズL21の物体側レンズ面の曲率半径である。
条件(12)を満足する構成を「構成11」と呼ぶ。
構成9の結像レンズ系においては、条件(11)および条件(12)は、これらの一方のみが満足されてもよいし、双方が満足されてもよい。
【0023】
構成1ないし構成11の何れか1の結像レンズ系は、第1群レンズ群G1、第2レンズ群G2および第3レンズ群G3を構成する全てのレンズを「球面レンズ」とすることができる。この構成を「構成12」と呼ぶ。構成12の結像レンズは「球面レンズのみ」で構成することができる。
構成1ないし構成12の何れか1の結像レンズ系は、第1群レンズ群G1、第2レンズ群G2および第3レンズ群G3を構成する全てのレンズを「無機固体材料」により構成することができる。この構成を「構成13」と呼ぶ。
【0024】
勿論、この発明の結像レンズ系を構成するレンズのうちの1以上に「非球面」や「回折面」を採用することができるが、構成12のように、全てのレンズを球面レンズとするとレンズ製作が容易になり、構成13のように「無機固体材料」を用いることが容易になる。
【0025】
また、本発明の結像レンズ系を構成するレンズ中には、有機材料や有機無機ハイブリッド材料等によるレンズを含むことができるが、構成13の「無機固体材料で形成されたレンズ」は温度・湿度等の変化の影響を受けにくく、環境変化に対する耐性が高い。
【0026】
以下、上に述べた条件(2)ないし(12)の意義を説明する。
構成2における条件群A、即ち、条件(2)ないし(4)は、色収差をより良好に補正できる条件である。
結像レンズ系の軸上色収差は、結像レンズ系の焦点距離が長くなるほど発生し易くなるが、条件(2)ないし(4)を満足するレンズ材質は「異常分散性が高く、低分散」であり、このような材質で、第1レンズ群G1の正レンズL11を形成すると、全系の焦点距離を長くしても、色収差の発生を有効に抑制できる。
特に軸上マージナル光線が高い位置を通る正レンズL11に「異常分散性を持つ硝種」を用いることで、絞りSより物体側のレンズ枚数が2枚と少ないながらも、色収差の2次スペクトルを有効に補正でき、軸上色収差の発生の抑制を十分にすることができる。
条件(2)が下限値を超えると、単色収差の補正が不十分となり易く、条件(3)が下限値を超えると、色収差の補正が不十分となり易い。条件(4)が下限値を超えると、色収差の2次スペクトルの補正が不十分となり易い。
条件(2)、(3)、(4)の全てについて上限以上となるような光学材料は存在しないか、存在したとしても非常に特殊かつ高価であり、現実的でない。
【0027】
条件(5)、(6)は「負レンズL12のアッベ数」と、負レンズL12と正レンズL11のアッベ数の差を規定するものである。
第1レンズ群G1の負レンズL12を、条件(5)を満足するようなアッベ数が大きい低分散な硝種で構成し、かつ条件(6)を満足することで、色収差自体の発生を抑えつつ、第1レンズ群G1内の正レンズL11と負レンズL12で色収差補正を良好に補正することが可能となり、光学系全体としても色収差の十分な補正が可能となる。
【0028】
条件(7)は「全系の焦点距離:fに対する第1レンズ群G1と第2レンズ群G2の合成焦点距離:f1g2gの比を規定するものである。
条件(7)の上限を超えると、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2の合成パワーが、全系のパワーに対して過小となって「フォーカス群としての機能」が弱くなり、フォーカス群の移動量が増加し易くなる。
条件(7)の下限を超えると、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2の合成パワーが、全系のパワーに対して過大となり、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2で収差が発生し易くなる。
条件(7)を満足することで、良好な収差補正を行いつつ、少ない移動量でフォーカシングすることが容易になり、レンズ自体の大型化やフォーカス群を移動させる機構を含めた結像レンズ系全体の大型化を有効に抑制できる。
【0029】
条件(8)は「第1レンズ群G1の正レンズL11の物体側レンズ面と負レンズL12の像側レンズ面で作られる形状」を規定するものである。
前述の如く「正レンズL11の物体側レンズ面と負レンズL12の像側レンズ面」は、球面収差のやり取りをしている。
条件(8)の上限を超えると、正レンズL11の物体側レンズ面と負レンズL12の像側レンズ面の間の「曲率半径の差」が過大となり、球面収差がオーバーに発生し易くなる。
条件(8)の下限を超えると、正レンズL11の物体側レンズ面と負レンズL12の像側レンズ面の間の「曲率半径の差」が過小となって球面収差がアンダーに発生し易くなる。
条件(8)が満足されることにより、撮影距離全域に渡って球面収差の良好な抑制が容易になる。
【0030】
条件(9)は、第1レンズ群G1における「負レンズL12の焦点距離に対する正レンズL11の焦点距離の比」を規定するものである。
条件(9)の上限を超えると第1レンズ群の正のパワーの差が過大となり、下限を超えると第1レンズ群の正のパワーが過小となり、何れの場合もフォーカシングに伴う収差変動の抑制が困難となり易い。
【0031】
条件(9)を満足することで、絞りSより物体側に配される第1レンズ群G1の「正レンズL11と負レンズL12のパワーバランス」が良好に保たれ、第1レンズ群G1で発生する各収差を撮影距離全域で良好に抑制することが容易になる。
【0032】
条件(10)は、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2の「絞りSを挟んで隣接」するレンズ面で形成される「負の空気レンズ」の形状を規制するものである。
条件(10)の上限を超えると、第1レンズ群の最も像側に構成される負レンズL12の像側レンズ面の曲率半径が過大となり、下限を超えると、第2レンズ群の負レンズL21の物体側レンズ面の曲率半径が過大となる。
条件(10)の範囲内では、上記「負の空気レンズ」の絞りSを挟んだ物体側の凹面と像側の凹面のパワー配分が適切であり、特にコマ収差の良好な補正が容易となる。
【0033】
構成8の結像レンズ系では「フォーカシング時に第3レンズ群G3が像面Imに対して固定され」ており、上記構成にすることで、フォーカシング用の移動機構の簡素化、メカを含めたレンズ全体の小型化が容易となる。
構成9の結像レンズ系では、第2レンズ群G2が、物体側から像側へ向かって順に、負レンズL21、正レンズL22、正レンズL23を配した3枚のレンズで構成される。このような第2レンズ群G2のレンズ構成により、絞りSに対して対称型の「ガウスタイプに近い配置」を実現し易く、フォーカス群で発生する各種収差を「少ないレンズ枚数で十分に小さく抑制する」ことが容易に可能となる。
【0034】
構成10の結像レンズ系が満足する条件(11)は、第2レンズ群G2において「負レンズL21の物体側レンズ面と正レンズL22の像側レンズ面とが形成する形状」を規定するものである。
これらのレンズ面は「特に球面収差とコマ収差のやり取り」をしており、条件(11)の上限を超えると「負レンズL21の物体側レンズ面と正レンズL22の像側レンズ面の曲率半径の差」が過大となり、球面収差とコマ収差が発生し易くなり、下限を超えると「負レンズL21の物体側レンズ面と正レンズL22の像側レンズ面の曲率半径の差」が過小となって収差補正が不足し易くなる。
【0035】
条件(11)を満足することにより、撮影距離全域に渡って球面収差およびコマ収差の抑制を良好に実現することが容易となる。
【0036】
結像レンズ系の具体的な実施例を挙げる前に、
図29を参照して、この発明の結像レンズ系を用いる撮像装置を使用した製品検査装置の実施の1形態を説明する。
以下に説明する製品検査装置は「製品検査」を行うための装置である。
製品検査には種々の検査や検査項目があり得るが、簡単のために多数個が製造される製品の「傷の有無」を検査する場合を例にとって説明する。
図29(a)において、符号20は「撮像装置」、符号23は「検査プロセス実行部」を示し、符号24は「表示部」を示す。また、符号Wは「製品」、符号26は「製品搬送ベルト(以下においては単に「搬送ベルト26」と言う。)」を示している。
撮像装置20は、製品検査装置におけるカメラ機能部であり、撮影用光学系21と画像処理部22とを有する。
検査対象としての製品Wは、搬送ベルト26上に等間隔に置かれ、搬送ベルト26により矢印方向(図の右方)へ等速的に搬送される。
撮影用光学系21は、検査対象である製品Wの像を結像するものであり、請求項1ないし13の何れか1項に記載の結像レンズ系、具体的には後述の実施例1ないし7の何れかの結像レンズ系を用いることができる。従って、以下において撮影用光学系21を結像レンズ系21と呼ぶ。
【0037】
製品検査は、
図29(b)に示す「準備工程」、「検査工程」、「結果表示工程」の各工程に從って行われる。これらの工程のうち、「検査工程と結果表示工程」が「検査プロセス」である。
【0038】
「準備工程」では、検査条件を設定する。
即ち、搬送ベルト26により搬送される製品Wの大きさや形状、傷の有無を検査する部位等に応じて、結像レンズ系21の撮影位置、撮影態位(結像レンズの向きや撮影対象との距離、即ち、物体距離)を定める。「物体距離」は、後述する実施例に言う「ワーキングディスタンス」である。
そして、有無を検出すべき「傷」の位置や大きさに応じて、結像レンズ系21をフォーカシングする。実施例1ないし7の結像レンズは「フォーカシング機能」を持つので、検査項目(説明中の例では傷の有無)に応じて、適切に設定された物体距離に合わせてフォーカシングを行うことができる。
【0039】
一方において「傷のないことが確認されているモデル製品」を搬送ベルト26上の検査位置に置いて、これを結像レンズ系21により撮影する。
撮影は、画像処理部22に配置された「エリアセンサ(固体撮像素子)」による撮像で行われ、エリアセンサにより撮像された画像は「画像情報」とされデジタルデータ化する画像処理が行われる。
【0040】
画像処理されたデジタルデータは、検査プロセス実行部23に送られ、検査プロセス実行部23は、前記デジタルデータを「モデルデータ」として記憶する。
「検査工程」では、製品Wが搬送ベルト26上に「モデル製品と同一態位」に置かれ、搬送ベルト26により順次搬送される。搬送される個々の製品Wが「検査位置」を通過する際に結像レンズ系21による撮影が行われ、画像処理部22でデジタルデータ化されて、検査プロセス実行部23に送られる。
検査プロセス実行部23は「コンピュータやCPU」として構成され、画像処理部22を制御し、また、画像処理部22を介して結像レンズ系21の「撮影やフォーカシング」を制御する。
【0041】
検査プロセス実行部23は、画像処理部22でデジタルデータ化された「製品Wの画像データ」を受けると、この画像データと前記記憶したモデルデータのマッチングを行う。
【0042】
撮影された製品Wに「傷」がある場合は、画像データとモデルデータとが合致しないので、この場合には、当該製品は「不良品」と判定する。
また、製品Wに傷が無い場合は、該製品の画像データとモデルデータが合致するので、この場合は、当該製品が「良品」であると判定する。
「結果表示工程」は、検査プロセス実行部23による個々の製品の「良品、不良品」の判定結果を、表示部24に表示する工程である。
なお、装置の構成上は、検査プロセス実行部23と表示部24とが「検査プロセス実行手段」を構成する。
【0043】
「結像レンズ系の数値実施例」
以下に本発明の結像レンズ系の具体的な実施例を7例示す。
各実施例における記号の意味は以下の通りである。
【0044】
F:Fナンバ
Y’:像高
R:曲率半径
D:面間隔
Nd:d線に対する屈折率
νd:d線に対するアッベ数
BF:バックフォーカス
θg,F:部分分散比
WD:ワーキングディスタンス(物体から最も物体側に位置するレンズの物体側レンズ面の頂点までの距離)
特に断らない限り、長さの次元を持つ量の単位は「mm」である。
【0045】
「実施例1」
実施例1は、
図1に即してレンズ構成を説明した結像レンズ系に対応する。
焦点距離f:34.99 Fナンバ:2.46 半画角ω:8.9°
実施例1の結像レンズ系のデータを表1に示す。
【0046】
【0047】
面間隔:Dの欄における「A」は、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3との間の群間隔であり、フォーカシングに際して変化する「可変間隔」である。後述の実施例2以下においても同様である。
【0048】
「可変間隔」
可変間隔を表2に挙げる。
【0049】
【0050】
「条件式におけるパラメータの値」
各条件のパラメータの値を表3に挙げる。
【0051】
【0052】
「実施例2」
実施例2は、
図2に即してレンズ構成を説明した結像レンズ系に対応する。
焦点距離f:34.98 Fナンバ:2.46 半画角ω:8.9°
実施例2のデータを表4に挙げる。
【0053】
【0054】
「可変間隔」
可変間隔を表5に挙げる。
【0055】
【0056】
「条件式におけるパラメータの値」
各条件のパラメータの値を表6に挙げる。
【0057】
【0058】
「実施例3」
実施例3は、
図3に即してレンズ構成を説明した結像レンズ系に対応する。
焦点距離f:35.00 Fナンバ:2.46 半画角ω:8.9°
実施例3のデータを表7に挙げる。
【0059】
【0060】
「可変間隔」
可変間隔を表8に挙げる。
【0061】
【0062】
「条件式におけるパラメータの値」
各条件のパラメータの値を表9に挙げる。
【0063】
【0064】
「実施例4」
実施例4は、
図4に即してレンズ構成を説明した結像レンズ系に対応する。
焦点距離f:34.99 Fナンバ:2.46 半画角ω:8.9°
実施例4のデータを表10に挙げる。
【0065】
【0066】
「可変間隔」
可変間隔を表11に挙げる。
【0067】
【0068】
「条件式におけるパラメータの値」
各条件のパラメータの値を表12に挙げる。
【0069】
【0070】
「実施例5」
実施例5は、
図5に即してレンズ構成を説明した結像レンズ系に対応する。
焦点距離f:35.00 Fナンバ:2.46 半画角ω:8.9°
実施例5のデータを表13に挙げる。
【0071】
【0072】
「可変間隔」
可変間隔を表14に挙げる。
【0073】
【0074】
「条件式におけるパラメータの値」
各条件のパラメータの値を表15に挙げる。
【0075】
【0076】
「実施例6」
実施例6は、
図6に即してレンズ構成を説明した結像レンズ系に対応する。
焦点距離f:34.99 Fナンバ:2.45 半画角ω:8.9°
実施例6のデータを表16に挙げる。
【0077】
【0078】
「可変間隔」
可変間隔を表17に挙げる。
【0079】
【0080】
「条件式におけるパラメータの値」
各条件のパラメータの値を表18に挙げる。
【0081】
【0082】
「実施例7」
実施例7は、
図7に即してレンズ構成を説明した結像レンズ系に対応する。
焦点距離f:34.99 Fナンバ:2.45 半画角ω:8.9°
実施例7のデータを表19に挙げる。
【0083】
【0084】
「可変間隔」
可変間隔を表20に挙げる。
【0085】
【0086】
「条件式におけるパラメータの値」
各条件のパラメータの値を表21に挙げる。
【0087】
【0088】
「各実施例の収差図」
実施例1に関する収差図を
図8ないし
図10に示す。
図8は「無限遠に合焦した状態」での収差図、
図9は「ワーキングディスタンス:0.25m(遠距離)に合焦した状態」での収差図、
図10は「ワーキングディスタンス:0.10m(近距離)に合焦した状態」での収差図である。
「球面収差」の図における破線は「正弦条件」を表し、「非点収差」の図における実線はサジタル、破線はメリディオナルを表す。他の実施例の収差図においても同様である。
【0089】
実施例2に関する収差図を
図11ないし
図13に示す。
図11は「無限遠に合焦した状態」での収差図、
図12は「ワーキングディスタンス:0.25m(遠距離)に合焦した状態」での収差図、
図13は「ワーキングディスタンス:0.10m(近距離)に合焦した状態」での収差図である。
実施例3に関する収差図を
図14ないし
図16に示す。
図14は「無限遠に合焦した状態」での収差図、
図15は「ワーキングディスタンス:0.25m(遠距離)に合焦した状態」での収差図、
図16は「ワーキングディスタンス:0.10m(近距離)に合焦した状態」での収差図である。
【0090】
実施例4に関する収差図を
図17ないし
図19に示す。
図17は「無限遠に合焦した状態」での収差図、
図18は「ワーキングディスタンス:0.25m(遠距離)に合焦した状態」での収差図、
図19は「ワーキングディスタンス:0.10m(近距離)に合焦した状態」での収差図である。
実施例5に関する収差図を
図20ないし
図22に示す。
図20は「無限遠に合焦した状態」での収差図、
図21は「ワーキングディスタンス:0.25m(遠距離)に合焦した状態」での収差図、
図22は「ワーキングディスタンス:0.10m(近距離)に合焦した状態」での収差図である。
【0091】
実施例6に関する収差図を
図23ないし
図25に示す。
図23は「無限遠に合焦した状態」での収差図、
図24は「ワーキングディスタンス:0.25m(遠距離)に合焦した状態」での収差図、
図25は「ワーキングディスタンス:0.10m(近距離)に合焦した状態」での収差図である。
実施例7に関する収差図を
図26ないし
図28に示す。
図26は「無限遠に合焦した状態」での収差図、
図27は「ワーキングディスタンス:0.25m(遠距離)に合焦した状態」での収差図、
図28は「ワーキングディスタンス:0.10m(近距離)に合焦した状態」での収差図である。
これらの収差図から明らかなように、各実施例とも諸収差は高いレベルで補正され、フォーカシングによる球面収差が十分に抑制され、コマ収差、像面湾曲の変化も最周辺部まで良好に抑制されている。軸上色収差、倍率色収差も小さく良好に抑制され、歪曲収差も絶対値で至近から無限まで0.6%以下となっている。
【0092】
即ち、実施例1~7は何れも「各種の収差が十分に低減された結像レンズ系」を実現している。これらの結像レンズ系は、画角:9°程度、Fナンバ:2.4程度で500万ないし800万画素程度のエリアセンサにまで対応した解像力を有し、無限遠物体からワーキングディスタンス:0.1mの至近距離を「直線を直線として表示可能」で、フォーカシングに伴う性能の変化が少ない高性能な結像レンズ系となっている。
【0093】
以上、発明の好ましい実施の形態について説明したが、この発明は上述した特定の実施形態に限定されるものではなく、上述の説明で特に限定していない限り、特許請求の範囲に記載された発明の趣旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
この発明の実施の形態に記載された効果は、発明から生じる好適な効果を列挙したに過ぎず、発明による効果は「実施の形態に記載されたもの」に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0094】
G1 第1レンズ群
G2 第2レンズ群
G3 第3レンズ群
S 絞り
Im 像面(エリアセンサのセンサ受光面に合致する。)
F エリアセンサのカバーガラスや各種のフィルタ(これらに等価な1枚の透明板)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0095】
【文献】特開2016-61919号公報
【文献】特許第2706789号公報