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特許7036240有機電界発光素子用液状組成物の製造方法
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  • 特許-有機電界発光素子用液状組成物の製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-07
(45)【発行日】2022-03-15
(54)【発明の名称】有機電界発光素子用液状組成物の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H05B 33/10 20060101AFI20220308BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20220308BHJP
   C09K 11/06 20060101ALI20220308BHJP
   C08L 65/00 20060101ALI20220308BHJP
   C08K 5/29 20060101ALI20220308BHJP
【FI】
H05B33/10
H05B33/14 B
C09K11/06 660
C08L65/00
C08K5/29
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021009383
(22)【出願日】2021-01-25
(62)【分割の表示】P 2017012842の分割
【原出願日】2017-01-27
(65)【公開番号】P2021073654
(43)【公開日】2021-05-13
【審査請求日】2021-01-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000002093
【氏名又は名称】住友化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100113000
【弁理士】
【氏名又は名称】中山 亨
(74)【代理人】
【識別番号】100151909
【弁理士】
【氏名又は名称】坂元 徹
(72)【発明者】
【氏名】前川 健典
(72)【発明者】
【氏名】柿本 秀信
(72)【発明者】
【氏名】上岡 隆宏
(72)【発明者】
【氏名】三浦 あゆ子
【審査官】岩井 好子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/021520(WO,A1)
【文献】特開2015-063662(JP,A)
【文献】特開平08-178848(JP,A)
【文献】国際公開第2015/037521(WO,A1)
【文献】国際公開第2012/073903(WO,A1)
【文献】特表2016-501430(JP,A)
【文献】特開2000-086621(JP,A)
【文献】特開昭63-233374(JP,A)
【文献】特開2001-041893(JP,A)
【文献】米国特許第06156577(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0138655(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 33/10
H01L 51/50
C09K 11/06
C08L 65/00
C08K 5/29
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機電界発光性化合物と、1気圧、25℃で液体である化合物とを含有する有機電界発光素子用液状組成物を調製する調製工程、並びに、
紫外可視光検出器を備えた液体クロマトグラフ装置を用いて測定した、前記調製工程で調製した有機電界発光素子用液状組成物の紫外可視光クロマトグラムにおける前記1気圧、25℃で液体である化合物に由来するピークの面積値Aに対する、化学発光検出器と紫外可視光検出器とを備えた液体クロマトグラフ装置、又は、化学発光検出器を備えた液体クロマトグラフ装置と紫外可視光検出器を備えた液体クロマトグラフ装置とを用いて測定した、前記調製工程で調した有機電界発光素子用液状組成物、化学発光試薬及び化学発光触媒を混合することにより調製した評価用液状組成物の化学発光クロマトグラムにおけるピークに対応する保持時間を有する前記評価用液状組成物の紫外可視光液体クロマトグラムにおけるピークの面積値Bの比(B/A)に100を乗じた値、0.008以下である、有機電界発光素子用液状組成物を選別する工程を含む、有機電界発光素子用液状組成物の製造方法であって、
前記1気圧、25℃で液体である化合物が、芳香族炭化水素化合物、芳香族エーテル化合物、フェノール化合物、芳香族ケトン化合物又は芳香族ニトリル化合物である、前記有機電界発光素子用液状組成物の製造方法。
【請求項2】
前記1気圧、25℃で液体である化合物が、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、クメン、プソイドクメン、メシチレン、ブチルベンゼン、テトラメチルベンゼン、tert-ブチルベンゼン、ヘキシルベンゼン、ヘプチルベンゼン、オクチルベンゼン、ノニルベンゼン、デシルベンゼン、テトラリン、シクロヘキシルベンゼン、メチルナフタレン、メチルアニソール、ジメチルアニソール、エチルアニソール、ジトリルエーテル、フェノキシトルエン又はフェノキシキシレンである、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記有機電界発光性化合物が、式(2)で表される構成単位と、式(X)で表される構成単位及び式(Y)で表される構成単位からなる群から選ばれる少なくとも1種の構成単位とを含む高分子化合物を含有する、請求項1又は2に記載の製造方法。
【化1】
[式中、Ar1は、アリーレン基を表し、この基は置換基を有していてもよい。]
【化2】
[式中、
X1及びaX2は、それぞれ独立に、0以上の整数を表す。
ArX1及びArX3は、それぞれ独立に、アリーレン基又は2価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。
ArX2及びArX4は、それぞれ独立に、アリーレン基、2価の複素環基、又は、1種のアリーレン基と2価の複素環基とが直接結合した2価の基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。ArX2及びArX4が複数存在する場合、それらはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
X1、RX2及びRX3は、それぞれ独立に、アルキル基、アリール基又は1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。RX2及びRX3が複数存在する場合、それらはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。]
【化3】
[式中、ArY1は、2価の複素環基、又は、アリーレン基と2価の複素環基とが直接結合した2価の基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。]
【請求項4】
前記有機電界発光性化合物が、式(Ir-1)、式(Ir-2)、式(Ir-3)、式(Ir-4)又は式(Ir-5)で表されるイリジウム錯体を含有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の製造方法。
【化4】
【化5】
【化6】
[式中、
D1は、1、2又は3を表す。nD2は、1又は2を表す。
D1、RD2、RD3、RD4、RD5、RD6、RD7、RD8、RD11、RD12、RD13、RD14、RD15、RD16、RD17、RD18、RD19、RD20、RD21、RD22、RD23、RD24、RD25、RD26、RD31、RD32、RD33、RD34、RD35、RD36及びRD37は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、1価の複素環基又はハロゲン原子を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。RD1、RD2、RD3、RD4、RD5、RD6、RD7、RD8、RD11、RD12、RD13、RD14、RD15、RD16、RD17、RD18、RD19、RD20、RD21、RD22、RD23、RD24、RD25、RD26、RD31、RD32、RD33、RD34、RD35、RD36及びRD37が複数存在する場合、それらはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
-AD1---AD2-は、アニオン性の2座配位子を表す。AD1及びAD2は、それぞれ独立に、イリジウム原子と結合する炭素原子、酸素原子又は窒素原子を表し、これらの原子は環を構成する原子であってもよい。-AD1---AD2-が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。]
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載の製造方法により製造された有機電界発光素子用液状組成物を用いて層を形成する工程を含む、該層を含む発光素子の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機電界発光素子用液状組成物の製造方法等に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、有機エレクトロルミネッセンス素子等の有機電界発光素子を用いたディスプレイが注目されている。有機電界発光素子の製造には、例えば、発光材料と、低沸点芳香族化合物及び高沸点芳香族化合物の混合溶媒とを含む塗布液が用いられる(特許文献1)。なお、特許文献1において、調製後の塗布液はその良否を判定することなく使用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2004-119351号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、前記塗布液を用いて製造した有機電界発光素子は、良好な輝度寿命を安定的に発現できない。
そこで、本発明は、良好な輝度寿命を安定的に発現できる有機電界発光素子用液状組成物の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、以下の[1]~[9]を提供する。
[1]
有機電界発光性化合物と、1気圧、25℃で液体であり、式(1)で表される化合物とを含有する有機電界発光素子用液状組成物を調製する調製工程、
紫外可視光検出器を備えた液体クロマトグラフ装置を用いて、前記液状組成物の紫外可視光クロマトグラムを測定し、前記紫外可視光クロマトグラムにおける前記式(1)で表される化合物に由来するピークの面積値Aに対する、化学発光検出器と紫外可視光検出器とを備えた液体クロマトグラフ装置、又は、化学発光検出器を備えた液体クロマトグラフ装置と紫外可視光検出器を備えた液体クロマトグラフ装置とを用いて、前記液状組成物、化学発光試薬及び化学発光触媒を混合することにより調製した評価用液状組成物の化学発光クロマトグラム及び紫外可視光クロマトグラムを測定し、前記評価用液状組成物の化学発光クロマトグラムにおけるピークに対応する保持時間を有する前記評価用液状組成物の紫外可視光クロマトグラムにおけるピークの面積値Bの比(B/A)を相対量値として取得する相対量値取得工程、
前記相対量値取得工程で取得した前記相対量値を規格値と比較して前記液状組成物の良否を判定する判定工程、並びに、
前記調製工程で調製した前記液状組成物のうち、前記判定工程で良と判定されたものを選別する選別工程、を備え、
前記規格値が、前記紫外可視光検出器を備えた液体クロマトグラフ装置を用いて、前記液状組成物の紫外可視光クロマトグラムを測定し、前記紫外可視光クロマトグラムにおける前記式(1)で表される化合物に由来するピークの面積値A’に対する、前記化学発光検出器と紫外可視光検出器とを備えた液体クロマトグラフ装置、又は、前記化学発光検出器を備えた液体クロマトグラフ装置と前記紫外可視光検出器を備えた液体クロマトグラフ装置とを用いて、参照用液状組成物、前記化学発光試薬及び前記化学発光触媒を混合することにより調製した参照評価用液状組成物の化学発光クロマトグラム及び紫外可視光クロマトグラムを測定し、前記参照評価用液状組成物の化学発光クロマトグラムにおけるピークに対応する保持時間を有する前記参照評価用液状組成物の紫外可視光クロマトグラムにおけるピークの面積値B’の比(B’/A’)を相対量値として取得した値である、
前記有機電界発光素子用液状組成物の製造方法。
【0006】
【化1】
[式中、
1及びR2は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。
3、R4、R5、R6及びR7は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基又はアリール基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。
1、R2、R3及びR7は互いに連結して、それぞれが結合する炭素原子とともに環を形成していてもよい。
3、R4、R5、R6及びR7のうち隣接する基同士は互いに連結して、それぞれが結合する炭素原子とともに環を形成していてもよい。]
[2]
前記有機電界発光性化合物が、式(2)で表される構成単位と、式(X)で表される構成単位及び式(Y)で表される構成単位からなる群から選ばれる少なくとも1種の構成単位とを含む高分子化合物を含有する、[1]に記載の製造方法。
【0007】
【化2】
[式中、Ar1は、アリーレン基を表し、この基は置換基を有していてもよい。]
【0008】
【化3】
[式中、
X1及びaX2は、それぞれ独立に、0以上の整数を表す。
ArX1及びArX3は、それぞれ独立に、アリーレン基又は2価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。
ArX2及びArX4は、それぞれ独立に、アリーレン基、2価の複素環基、又は、1種のアリーレン基と2価の複素環基とが直接結合した2価の基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。ArX2及びArX4が複数存在する場合、それらはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
X1、RX2及びRX3は、それぞれ独立に、アルキル基、アリール基又は1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。RX2及びRX3が複数存在する場合、それらはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。]
【0009】
【化4】
[式中、ArY1は、2価の複素環基、又は、アリーレン基と2価の複素環基とが直接結合した2価の基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。]
[3]
前記式(2)で表される構成単位が、式(2-1)又は式(2-2)で表される構成単位である、[2]に記載の製造方法。
【0010】
【化5】
[式中、R1は、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基又は1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。複数存在するR1は、同一でも異なっていてもよく、隣接するR1同士は互いに結合して、それぞれが結合する炭素原子と共に環を形成していてもよい。]
【0011】
【化6】
[式中、
1は前記と同じ意味を表す。
1は、-C(R2)2-、-C(R2)=C(R2)-又は-C(R2)2-C(R2)2-で表される基を表す。R2は、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基又は1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。複数存在するR2は、同一でも異なっていてもよく、R2同士は互いに結合して、それぞれが結合する炭素原子と共に環を形成していてもよい。]
[4]
前記式(X)で表される構成単位が、式(X-1)、式(X-2)、式(X-3)、式(X-4)、式(X-5)、式(X-6)又は式(X-7)で表される構成単位である、[2]又は[3]に記載の製造方法。
【0012】
【化7】
【0013】
【化8】
【0014】
【化9】
【0015】
【化10】
[式中、RX4及びRX5は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、フッ素原子、1価の複素環基又はシアノ基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。複数存在するRX4は、同一でも異なっていてもよい。複数存在するRX5は、同一でも異なっていてもよく、隣接するRX5同士は互いに結合して、それぞれが結合する炭素原子と共に環を形成していてもよい。]
[5]
前記式(Y)で表される構成単位が、式(Y-1)又は式(Y-2)で表される構成単位である、[2]~[4]のいずれかに記載の製造方法。
【0016】
【化11】
[式中、
Y1は、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基又は1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。複数存在するRY1は、同一でも異なっていてもよく、隣接するRY1同士は互いに結合して、それぞれが結合する炭素原子と共に環を形成していてもよい。
Y3は、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基又は1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。]
[6]
前記有機電界発光性化合物が、式(Ir-1)、式(Ir-2)、式(Ir-3)、式(Ir-4)又は式(Ir-5)で表されるイリジウム錯体を含有する、[1]~[5]のいずれかに記載の製造方法。
【0017】
【化12】
【0018】
【化13】
【0019】
【化14】
[式中、
D1は、1、2又は3を表す。nD2は、1又は2を表す。
D1、RD2、RD3、RD4、RD5、RD6、RD7、RD8、RD11、RD12、RD13、RD14、RD15、RD16、RD17、RD18、RD19、RD20、RD21、RD22、RD23、RD24、RD25、RD26、RD31、RD32、RD33、RD34、RD35、RD36及びRD37は、それぞれ独立に、水素原子
、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、1価の複素環基又はハロゲン原子を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。RD1、RD2、RD3、RD4、RD5、RD6、RD7、RD8、RD11、RD12、RD13、RD14、RD15、RD16、RD17、RD18、RD19、RD20、RD21、RD22、RD23、RD24
D25、RD26、RD31、RD32、RD33、RD34、RD35、RD36及びRD37が複数存在する場合、それらはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
-AD1---AD2-は、アニオン性の2座配位子を表す。AD1及びAD2は、それぞれ独立に、イリジウム原子と結合する炭素原子、酸素原子又は窒素原子を表し、これらの原子は環を構成する原子であってもよい。-AD1---AD2-が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。]
[7]
前記化学発光試薬が、ルミノール及びその誘導体、ルシゲニン及びその誘導体、並びに、シュウ酸ジフェニル及びその誘導体からなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物である、[1]~[6]のいずれかに記載の製造方法。
[8]
前記化学発光触媒が、Co(II)イオンを含む塩、Fe(II)イオンを含む塩、Fe(III)イオンを含む塩、Cu(II)イオンを含む塩、及び、Mn(II)イオンを含む金属塩、並びにこれらの塩を含む複合タンパク質からなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物である、[1]~[7]のいずれかに記載の製造方法。
[9]
有機電界発光性化合物と、1気圧、25℃で液体であり、前記式(1)で表される化合物とを含有する有機電界発光素子用液状組成物であって、
紫外可視光検出器を備えた液体クロマトグラフ装置を用いて測定した、前記液状組成物の紫外可視光クロマトグラムにおける前記式(1)で表される化合物に由来するピークの面積値Aに対する、化学発光検出器と紫外可視光検出器とを備えた液体クロマトグラフ装置、又は、化学発光検出器を備えた液体クロマトグラフ装置と紫外可視光検出器を備えた液体クロマトグラフ装置とを用いて測定した、前記液状組成物、化学発光試薬及び化学発光触媒を混合することにより調製した評価用液状組成物の化学発光クロマトグラムにおけるピークに対応する保持時間を有する前記評価用液状組成物の紫外可視光液体クロマトグラムにおけるピークの面積値Bの比(B/A)に100を乗じた値が、0.008以下である、有機電界発光素子用液状組成物。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、良好な輝度寿命を安定的に発現できる有機電界発光素子用液状組成物の製造方法が提供できる。また、本発明の別の実施形態では、良好な輝度寿命を発現できる有機電界発光素子用液状組成物が提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、実施例及び比較例で調製した有機電界発光素子用液状組成物から求めた相対量値と、輝度が初期輝度の95%となるまでの時間(T95)の関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
【0023】
<共通する用語の説明>
本明細書で共通して用いられる用語は、特記しない限り、以下の意味である。
【0024】
Meはメチル基、Etはエチル基、Buはブチル基、i-Prはイソプロピル基、t-Buはtert-ブチル基を表す。
【0025】
水素原子は、重水素原子であっても、軽水素原子であってもよい。
【0026】
金属錯体を表す式中、中心金属との結合を表す実線は、共有結合又は配位結合を意味する。
【0027】
「高分子化合物」とは、分子量分布を有し、ポリスチレン換算の数平均分子量が1×103~1×108である重合体を意味する。
【0028】
「低分子化合物」とは、分子量分布を有さず、分子量が1×104以下の化合物を意味する。
【0029】
「構成単位」とは、高分子化合物中に1個以上存在する単位を意味する。
【0030】
「アルキル基」は、直鎖及び分岐のいずれでもよい。直鎖のアルキル基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常1~50であり、好ましくは3~30であり、より好ましくは4~20である。分岐のアルキル基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常3~50であり、好ましくは3~30であり、より好ましくは4~20である。
アルキル基は、置換基を有していてもよく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、2-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、イソアミル基、2-エチルブチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2-エチルヘキシル基、3-プロピルヘプチル基、デシル基、3,7-ジメチルオクチル基、2-エチルオクチル基、2-ヘキシルデシル基、ドデシル基、及び、これらの基における水素原子が、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、フッ素原子等で置換された基(例えば、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロオクチル基、3-フェニルプロピル基、3-(4-メチルフェニル)プロピル基、3-(3,5-ジ-ヘキシルフェニル)プロピル基、6-エチルオキシヘキシル基)が挙げられる。
「シクロアルキル基」の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常3~50であり、好ましくは3~30であり、より好ましくは4~20である。
シクロアルキル基は、置換基を有していてもよく、例えば、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、シクロヘキシルエチル基が挙げられる。
【0031】
「アリール基」は、芳香族炭化水素から環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子1個を除いた残りの原子団を意味する。アリール基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常6~60であり、好ましくは6~20であり、より好ましくは6~10である。
アリール基は、置換基を有していてもよく、例えば、フェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、1-アントラセニル基、2-アントラセニル基、9-アントラセニル基、1-ピレニル基、2-ピレニル基、4-ピレニル基、2-フルオレニル基、3-フルオレニル基、4-フルオレニル基、2-フェニルフェニル基、3-フェニルフェニル基、4-フェニルフェニル基、及び、これらの基における水素原子が、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、フッ素原子等で置換された基が挙げられる。
【0032】
「アルコキシ基」は、直鎖及び分岐のいずれでもよい。直鎖のアルコキシ基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常1~40であり、好ましくは4~10である。
分岐のアルコキシ基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常3~40であり、好ましくは4~10である。
アルコキシ基は、置換基を有していてもよく、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、tert-ブチルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、2-エチルヘキシルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基、3,7-ジメチルオクチルオキシ基、ラウリルオキシ基、及び、これらの基における水素原子が、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、フッ素原子等で置換された基が挙げられる。
「シクロアルコキシ基」の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常3~40であり、好ましくは4~10である。
シクロアルコキシ基は、置換基を有していてもよく、例えば、シクロヘキシルオキシ基が挙げられる。
【0033】
「アリールオキシ基」の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常6~60であり、好ましくは6~48である。
アリールオキシ基は、置換基を有していてもよく、例えば、フェノキシ基、1-ナフチルオキシ基、2-ナフチルオキシ基、1-アントラセニルオキシ基、9-アントラセニルオキシ基、1-ピレニルオキシ基、及び、これらの基における水素原子が、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、フッ素原子等で置換された基が挙げられる。
【0034】
「ハロゲン原子」とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子を示す。
【0035】
「アリーレン基」は、芳香族炭化水素から環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子2個を除いた残りの原子団を意味する。アリーレン基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常、6~60であり、好ましくは6~30であり、より好ましくは6~18である。
アリーレン基は、置換基を有していてもよく、例えば、フェニレン基、ナフタレンジイル基、アントラセンジイル基、フェナントレンジイル基、ジヒドロフェナントレンジイル基、ナフタセンジイル基、フルオレンジイル基、ピレンジイル基、ペリレンジイル基、クリセンジイル基、及び、これらの基が置換基を有する基が挙げられる。アリーレン基は、これらの基が複数結合した基を含む。
【0036】
「架橋基」とは、加熱、紫外線照射、近紫外線照射、可視光照射、赤外線照射、ラジカル反応等に供することにより、新たな結合を生成することが可能な基である。
【0037】
「置換基」とは、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基、置換アミノ基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基又はシクロアルキニル基を表す。置換基は架橋基であってもよい。
【0038】
<有機電界発光素子用液状組成物の製造方法>
[調製工程]
本発明の製造方法における調製工程は、式(1)で表される化合物と、有機化合物とを含有する有機電界発光素子用液状組成物を調製する工程である。
【0039】
・式(1)で表される化合物
式(1)で表される化合物は、1気圧、25℃において液体である。このような化合物としては、例えば、芳香族炭化水素化合物、芳香族エーテル化合物、フェノール化合物、芳香族ケトン化合物、芳香族ニトリル化合物、及びそれらの組み合わせが挙げられる。
【0040】
芳香族炭化水素化合物としては、例えば、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、クメン、プソイドクメン、メシチレン、ブチルベンゼン、テトラメチルベンゼン、tert-ブチルベンゼン、ヘキシルベンゼン、ヘプチルベンゼン、オクチルベンゼン、ノニルベンゼン、デシルベンゼン、テトラリン、シクロヘキシルベンゼン、メチルナフタレンが挙げられる。
【0041】
芳香族エーテル化合物としては、例えば、メチルアニソール、ジメチルアニソール、エチルアニソール、ジトリルエーテルが挙げられる。
【0042】
フェノール化合物としては、例えば、フェノキシトルエン、フェノキシキシレンが挙げられる。
【0043】
芳香族ケトン化合物としては、例えば、ベンジルアセトンが挙げられる。
【0044】
芳香族ニトリル化合物としては、例えば、メチルベンゾニトリル、エチルベンゾニトリルが挙げられる。
【0045】
炭化水素溶媒としては、例えば、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカヒドロナフタレン、ベンゼンが挙げられる。
【0046】
エーテル溶媒としては、例えば、ジエチルエーテル、アニソール、ジフェニルエーテル、テトラヒドロフラン、ジヒドロフランが挙げられる。
【0047】
アルコール溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、1-プロパノール、1-ブタノール、2-メチル-1-プロパノール、シクロペンタノール、3-メチル-1-ブタノール、2-メチルシクロヘキサノールが挙げられる。
【0048】
ケトン溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ジイソプロピルケトン、シクロペンタノン、4-ヘプタノン、イソアミルメチルケトン、3-ヘプタノン、4-メトキシ-4-メチル-2-ペンタノン、2-メチルシクロヘキサノンが挙げられる。
【0049】
ニトリル溶媒としては、例えば、アクリロニトリル、ピバロニトリル、イソブチロニトリル、n-ブチロニトリル、メトキシアセトニトリル、イソバレロニトリル、n-カプロニトリル、ベンゾニトリル、エチレンシアノヒドリン、スクシノニトリルが挙げられる。
【0050】
スルホキシド溶媒としては、例えば、ジメチルスルホキシド、メチルフェニルスルホキシドが挙げられる。
【0051】
アミド溶媒としては、例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、アシルアミド、ピバルアミド、N-ホルミルエチルアミン、1-ホルミルピペリジン、N-メチルホルムアニリドが挙げられる。
【0052】
前記液状組成物において、前記式(1)で表される化合物の配合量は、液状組成物100質量部に対して、通常、80~99.9質量部であり、好ましくは90~99.8質量部であり、より好ましくは95~99.7質量部である。
前記式(1)で表される化合物は、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
【0053】
・有機電界発光性化合物
有機電界発光性化合物は、通常、25℃において固体である有機化合物であり、発光材料である。
【0054】
有機電界発光性化合物は、低分子化合物と高分子化合物とに分類される。有機電界発光性化合物は、架橋基を有していてもよい。
【0055】
低分子化合物としては、例えば、ナフタレン及びその誘導体、アントラセン及びその誘導体、ペリレン及びその誘導体、並びに、イリジウム、白金又はユーロピウムを中心金属とする三重項発光錯体が挙げられる。
【0056】
高分子化合物としては、例えば、前記式(2)で表される構成単位と、前記式(X)で表される構成単位及び前記式(Y)で表される構成単位からなる群から選ばれる少なくとも1種の構成単位とを含む高分子化合物が挙げられ、前記式(2)で表される構成単位と、前記式(Y)で表される構成単位とを含む高分子化合物が好ましい。
【0057】
前記式(2)で表される構成単位としては、前記式(2-1)又は前記式(2-2)で表される構成単位が挙げられる。
前記式(2-1)及び前記式(2-2)中、R1は、好ましくは水素原子又は置換基を有していてもよいアルキル基であり、より好ましくは水素原子又は置換基を有していてもよい炭素原子数1~10のアルキル基であり、更に好ましくは水素原子又は置換基を有していてもよい炭素原子数4~8のアルキル基である。
前記式(2-2)中、X1は、好ましくは-C(R2)-で表される基であり、より好ましくは-C(R2)-で表される基において、R2がアルキル基を置換基として有するアリール基であるものであり、更に好ましくは-C(R2)-で表される基において、R2が炭素原子数4~8のアルキル基を置換基として有するフェニル基であるものである。
【0058】
前記式(X)で表される構成単位としては、例えば、前記式(X-1)~前記式(X-7)で表される構成単位が挙げられる。
【0059】
前記式(Y)で表される構成単位としては、例えば、前記式(Y-1)又は前記式(Y-2)で表される構成単位が挙げられ、前記式(Y-1)で表される構成単位が好ましい。
前記式(Y-1)及び前記式(Y-2)中、RY1は、好ましくは水素原子である。
前記式(Y-1)及び前記式(Y-2)中、RY3は、好ましくはアルキル基を置換基として有するアリール基であり、より好ましくは炭素原子数10~14のアルキル基を置換基として有するフェニル基である。
【0060】
前記式(2)で表される構成単位を100モル%とした場合、前記高分子化合物において、前記式(X)で表される構成単位は、通常、0~100モル%であり、前記式(Y)で表される構成単位は、通常、5~50モル%である。
【0061】
有機電界発光性化合物は、低分子化合物及び高分子化合物の両方を含んでいてもよく、好ましくは、三重項発光錯体及び高分子化合物を含む。
【0062】
三重項発光錯体としては、前記式(Ir-1)~前記式(Ir-5)で表されるイリジウム錯体が好ましく、前記式(Ir-1)で表されるイリジウム錯体がより好ましい。
【0063】
式(Ir-1)中のRD1~RD8の少なくとも1つ、式(Ir-2)中のRD11~RD20の少なくとも1つ、式(Ir-3)中のRD1~RD8及びRD11~RD20の少なくとも1つ、式(Ir-4)中のR21~RD26の少なくとも1つ、又は、式(Ir-5)中のRD31~RD37の少なくとも1つは、デンドロン(1世代又は2世代以上の分岐構造を有する基)であることが好ましく、式(Ir-1)中のRD6がデンドロン(例えば、アルキル基を有していてもよいアリール基を置換基として有するアリール基であり、好ましくは、アルキル基を有していてもよいフェニル基を置換基として有するフェニル基)であることがより好ましい。ここで、RD1~RD5及びRD7~RD8は、水素原子であることが好ましい。
【0064】
-AD1---AD2-で表されるアニオン性の2座配位子としては、例えば、下記式で表される配位子が挙げられる。
【0065】
【化15】
[式中、*は、Irと結合する部位を表す。]
【0066】
三重項発光錯体としては、例えば、以下に示す金属錯体が挙げられる。
【0067】
【化16】
【0068】
【化17】
【0069】
【化18】
【0070】
【化19】
【0071】
【化20】
【0072】
【化21】
【0073】
正孔輸送材料は、低分子化合物と高分子化合物とに分類され、高分子化合物が好ましく、架橋基を有する高分子化合物がより好ましい。
【0074】
高分子化合物としては、例えば、ポリビニルカルバゾール及びその誘導体;側鎖又は主鎖に芳香族アミン構造を有するポリアリーレン及びその誘導体が挙げられる。高分子化合物は、電子受容性部位が結合された化合物でもよい。電子受容性部位としては、例えば、フラーレン、テトラフルオロテトラシアノキノジメタン、テトラシアノエチレン、トリニトロフルオレノン等が挙げられ、好ましくはフラーレンである。
【0075】
電子輸送材料は、低分子化合物と高分子化合物とに分類される。電子輸送材料は、架橋基を有していてもよい。
【0076】
低分子化合物としては、例えば、8-ヒドロキシキノリンを配位子とする金属錯体、オキサジアゾール、アントラキノジメタン、ベンゾキノン、ナフトキノン、アントラキノン、テトラシアノアントラキノジメタン、フルオレノン、ジフェニルジシアノエチレン、及び、ジフェノキノン、並びに、これらの誘導体が挙げられる。
【0077】
高分子化合物としては、例えば、ポリフェニレン、ポリフルオレン、及び、これらの誘導体が挙げられる。高分子化合物は、金属でドープされていてもよい。
【0078】
正孔注入材料及び電子注入材料は、各々、低分子化合物と高分子化合物とに分類される。正孔注入材料及び電子注入材料は、架橋基を有していてもよい。
【0079】
低分子化合物としては、例えば、銅フタロシアニン等の金属フタロシアニン;カーボン;モリブデン、タングステン等の金属酸化物;フッ化リチウム、フッ化ナトリウム、フッ化セシウム、フッ化カリウム等の金属フッ化物が挙げられる。
【0080】
高分子化合物としては、例えば、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリフェニレンビニレン、ポリチエニレンビニレン、ポリキノリン、及び、ポリキノキサリン、並びに、これらの誘導体;芳香族アミン構造を主鎖又は側鎖に含む重合体等の導電性高分子が挙げられる。
【0081】
正孔注入材料又は電子注入材料が導電性高分子を含む場合、導電性高分子の電気伝導度は、好ましくは、1×10-5S/cm~1×103S/cmである。導電性高分子の電気伝導度をかかる範囲とするために、導電性高分子に適量のイオンをドープすることができる。
【0082】
ドープするイオンの種類は、正孔注入材料であればアニオン、電子注入材料であればカチオンである。アニオンとしては、例えば、ポリスチレンスルホン酸イオン、アルキルベンゼンスルホン酸イオン、樟脳スルホン酸イオンが挙げられる。カチオンとしては、例えば、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、テトラブチルアンモニウムイオンが挙げられる。
【0083】
ドープするイオンは、一種のみでも二種以上でもよい。
【0084】
酸化防止剤は、前記式(1)で表される化合物に可溶であり、発光及び電荷輸送を阻害しない化合物であればよく、例えば、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤が挙げられる。
【0085】
本発明の液状組成物において、酸化防止剤の配合量は、液状組成物100質量部に対して、通常、10-6~101質量部である。
酸化防止剤は、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
【0086】
前記液状組成物において、有機電界発光性化合物の配合量は、液状組成物100質量部に対して、通常、0.1~20質量部であり、好ましくは0.2~10質量部であり、より好ましくは0.3~5質量部である。
前記液状組成物において、有機電界発光性化合物は、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
【0087】
本発明の有機電界発光素子用液状組成物は、有機電界発光性化合物、及び、1気圧、25℃で液体であり、前記式(1)で表される化合物のほかに、前記酸化防止剤、前記式(1)に該当しない1気圧、25℃において液体である有機溶媒(例えば、炭化水素溶媒、エーテル溶媒、アルコール溶媒、ケトン溶媒、ニトリル溶媒、スルホキシド溶媒、アミド溶媒、及びそれらの組み合わせが挙げられ、炭化水素溶媒、エーテル溶媒が好ましい。)等を含有していてもよい。
【0088】
前記液状組成物は、インクジェットプリント法、ノズルプリント法等の印刷法を用いた発光素子の作製に好適である。インクの粘度は、印刷法の種類によって調整すればよいが、インクジェットプリント法等の溶液が吐出装置を経由する印刷法に適用する場合には、吐出時の目づまりと飛行曲がりを防止するために、好ましくは25℃において1~20mPa・sである。
【0089】
前記液状組成物は、例えば、有機電界発光性化合物を式(1)で表される化合物に溶解させることにより調製することができる。有機電界発光性化合物を式(1)で表される化合物に溶解させる方法としては、例えば、式(1)で表される化合物中に有機電界発光性化合物を浸漬し、攪拌、振とう、超音波等の外的因子を加えることによって、溶解する方法が挙げられる。
【0090】
この際、溶解に必要な時間を短縮するために、25℃から、式(1)で表される化合物の沸点以下の範囲の温度で、加熱しながら有機電界発光性化合物を溶解させてもよい。
【0091】
液状組成物が2種以上の式(1)で表される化合物を含む場合、式(1)で表される化合物を2種以上混合して混合溶媒を調製し、有機電界発光性化合物をこの混合溶媒に溶解させてもよいし、あるいは、1種の式(1)で表される化合物に有機電界発光性化合物を溶解させた後、その他の式(1)で表される化合物を加えてもよい。
【0092】
[相対量値取得工程]
本発明の製造方法における相対量値取得工程は、紫外可視光検出器を備えた液体クロマトグラフ装置を用いて、前記液状組成物の紫外可視光クロマトグラムを測定し、前記紫外可視光クロマトグラムにおける前記式(1)で表される化合物に由来するピークの面積値Aに対する、化学発光検出器と紫外可視光検出器とを備えた液体クロマトグラフ装置、又は、化学発光検出器を備えた液体クロマトグラフ装置と紫外可視光検出器を備えた液体クロマトグラフ装置とを用いて、前記液状組成物、化学発光試薬及び化学発光触媒を混合することにより調製した評価用液状組成物の化学発光クロマトグラム及び紫外可視光クロマトグラムを測定し、前記評価用液状組成物の化学発光クロマトグラムにおけるピークに対応する保持時間を有する前記評価用液状組成物の紫外可視光クロマトグラムにおけるピークの面積値Bの比(B/A)を相対量値として取得する工程である。この相対量値(R)は、便宜上B/Aに100を乗じた式(F1)から算出され、単位は%である。
【0093】
【数1】
[式中、
ACLUVは、化学発光検出器と紫外可視光検出器とを備えた液体クロマトグラフ装置、又は、化学発光検出器を備えた液体クロマトグラフ装置と紫外可視光検出器を備えた液体クロマトグラフ装置とを用いて、前記液状組成物、化学発光試薬及び化学発光触媒を混合することにより調製した評価用液状組成物の化学発光クロマトグラムにおけるピークに対応する保持時間を有する前記評価用液状組成物の紫外可視光クロマトグラムにおけるピークの面積値を表す。
AARMは、紫外可視光検出器を備えた液体クロマトグラフ装置を用いて、前記液状組成物の紫外可視光クロマトグラムを測定し、前記紫外可視光クロマトグラムにおける式(1)で表される化合物に由来するピークの面積値を表す。]
【0094】
具体的には、化学発光検出器で検出した液体クロマトグラム上のピークの保持時間をt1とし、化学発光検出器と紫外可視光検出器との間を移動相液が移動するために要する時間をΔtとすると、化学発光検出器で検出したピークに対応する紫外可視光検出器で検出する液体クロマトグラム上のピークの保持時間はt1+Δtとして検出される。また、式(1)で表される化合物のピークは紫外可視光検出器で検出する液体クロマトグラム上で保持時間t2として検出される。
【0095】
これらのピークに基づいて、式(F1)から相対量値(%)を算出する。具体的には、前記保持時間がt1+Δtである紫外可視光検出器で検出する液体クロマトグラム上のピークの面積値をACLUVとし、前記保持時間がt2である紫外可視光検出器で検出する液体クロマトグラム上のピークの面積値をAARMとすると、ACLUVをAARMで除した後、100を乗ずることで算出する。
【0096】
相対量値取得工程において、紫外可視光検出器を備えた液体クロマトグラフ装置を用いて測定される紫外可視光クロマトグラムに、前記式(1)で表される化合物に由来するピークが複数存在する場合、ピークの面積値は、これら複数のピークの和である。
【0097】
相対量値取得工程において、化学発光検出器と紫外可視光検出器とを備えた液体クロマトグラフ装置、又は、化学発光検出器を備えた液体クロマトグラフ装置と紫外可視光検出器を備えた液体クロマトグラフ装置とを用いて測定される、前記液状組成物、化学発光試薬及び化学発光触媒を混合することにより調製した評価用液状組成物の化学発光クロマトグラムに、ピークが複数存在する場合、紫外可視光検出器を備えた液体クロマトグラフ装置を用いて測定される紫外可視光クロマトグラムにおける前記式(1)で表される化合物に由来するピークの面積値に対する、化学発光検出器と紫外可視光検出器とを備えた液体クロマトグラフ装置、又は、化学発光検出器を備えた液体クロマトグラフ装置と紫外可視光検出器を備えた液体クロマトグラフ装置とを用いて測定される、前記液状組成物、化学発光試薬及び化学発光触媒を混合することにより調製した評価用液状組成物の化学発光クロマトグラムにおける複数のピークに対応する保持時間を有する前記評価用液状組成物の紫外可視光クロマトグラムにおける複数のピークの面積値の比の和を相対量値として取得する。
【0098】
化学発光検出器としては、例えば、化学発光検出器(日本分光製 CL-2027型、相馬光学製 S-3400型)が挙げられる。
【0099】
紫外可視光検出器としては、例えば、フォトダイオードアレイ検出器(島津製作所製、SPD-M20A型)、UV-VIS検出器(島津製作所製、SPD-20A)、インテリジェント紫外可視検出器(日本分光製、UV-2070型)が挙げられる。
【0100】
化学発光検出器及び紫外可視光検出器は、別個の液体クロマトグラフ装置に備えられていても、同一の液体クロマトグラフ装置に備えられていてもよいが、時間短縮の観点から、同一の液体クロマトグラフ装置に備えられていることが好ましい。
【0101】
相対量値取得工程では、前記液状組成物、化学発光試薬、及び化学発光触媒を混合することにより調製した評価用液状組成物を用いて、前記化学発光検出器で化学発光クロマトグラムを測定し、そこからピークを検出する。具体的には、分離カラムを通過した前記液状組成物を含む溶液に対し、化学発光試薬及び化学発光触媒を、一緒又は別個に混合することにより調製した評価用液状組成物を用いて、前記化学発光検出器で化学発光クロマトグラムを測定し、そこからピークを検出する。
【0102】
化学発光試薬としては、例えば、ルミノール及びその誘導体、ルシゲニン及びその誘導体、ロフィン及びその誘導体、シュウ酸ジフェニル及びその誘導体が挙げられ、好ましくはルミノール及びその誘導体であり、より好ましくはルミノールである。
【0103】
ルミノール誘導体としては、例えば、イソルミノール、N-(4-アミノブチル)-N-エチルイソルミノールが挙げられる。
【0104】
ルシゲニン誘導体としては、例えば、10,10'-ジメチル-9,9'-ビアクリジニウムビス(モノメチルテレフタラート)が挙げられる。
【0105】
ロフィン誘導体としては、例えば、2-(4-ヒドロキシフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール、2-(4-ヒドロキシフェニル)-4,5-di(2-ピリジル)イミダゾール、4-(4,5-ジフェニル-1H-イミダゾール-2-イル)フェニルボロン酸、4-[4,5-ジ(2-ピリジル)-1H-イミダゾール-2-イル]フェニルボロン酸が挙げられる。
【0106】
シュウ酸ジフェニル誘導体としては、例えば、シュウ酸ビス(2,4-ジニトロフェニル)、シュウ酸ビス(ペンタフルオロフェニル)、シュウ酸ビス[3,4,6-トリクロロ-2-(ペンチルオキシカルボニル)フェニル]、シュウ酸ビス(2,4,6-トリクロロフェニル)が挙げられる。
【0107】
化学発光触媒としては、例えば、Co(II)イオンを含む塩、Fe(II)イオンを含む塩、Fe(III)イオンを含む塩、Cu(II)イオンを含む塩、Ni(II)イオンを含む塩、Cr(II)イオンを含む塩、及び、Mn(II)イオンを含む塩、並びにこれらの塩を含む複合タンパク質が挙げられ、好ましくは複合タンパク質である。
【0108】
金属塩としては、例えば、K3[Fe(CN)6]、K4[Fe(CN)6]、K2Cr2O7、KMnO4、CuSO4、CoCl2、NiSO4、ヘミンが挙げられる。
【0109】
複合タンパク質としては、例えば、ヘモグロビン、チトクロムCが挙げられ、好ましくはチトクロムCである。
【0110】
前記相対量値は、発光素子の輝度寿命が優れるので、好ましくは0.008%以下である。なお、下限は通常0%である。
【0111】
[判定工程]
本発明の製造方法における判定工程は、前記相対量値取得工程で取得した前記相対量値を規格値と比較して、前記液状組成物の良否を判定する工程である。
【0112】
ここで、規格値は、相対値取得工程と同様にして、前記いずれかの液体クロマトグラフ装置を用いて、参照用液状組成物、前記化学発光試薬、及び前記化学発光触媒を混合することにより調製した参照評価用液状組成物の化学発光クロマトグラム及び紫外発光クロマトグラムを測定し、前記参照評価用液状組成物の化学発光クロマトグラムにおけるピークに対応する保持時間を有する前記参照評価用液状組成物の紫外発光クロマトグラムにおけるピークに基づいて、式(F1)で算出される相対量値(R’;単位%)として取得することができる。
【0113】
具体的には、前記保持時間がt1+Δtである紫外可視光検出器で検出する液体クロマトグラム上のピークの面積値をACLUVとし、前記保持時間がt2である紫外可視光検出器で検出する液体クロマトグラム上のピークの面積値をAARMとすると、ACLUVをAARMで除した後、100を乗ずることで取得する。
【0114】
相対量値が規格値以下である場合、液状組成物は「良」と判定でき、相対量値が規格値を超える場合、液状組成物は「不良」と判定できる。
【0115】
[選別工程]
本発明の製造方法における選別工程は、前記調製工程で調製した前記液状組成物のうち、前記判定工程で良と判定されたものを選別する工程である。
【実施例
【0116】
以下、実施例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0117】
<規格値及び相対量値の算出>
実施例において、規格値及び相対量値は、紫外可視光検出器と化学発光検出器を備えた高速液体クロマトグラフ装置を用いて、式(F1)から算出される値である。高速液体クロマトグラフィの分析条件は、次の通りである。
【0118】
測定装置:LC-20A(島津製作所製)
紫外可視光検出器:島津製作所製 フォトダイオードアレイ検出器(SPD-M20A型)
化学発光検出器:日本分光製 CL-2027型
移動相A:超純水
移動相B:アセトニトリル(HPLCグレード)
移動相C:テトラヒドロフラン(HPLCグレード)
流速:1.0mL/分
反応液:ルミノール(2mg/L)、チトクロムC(10mg/L)、水酸化ナトリウム(1g/L)、ホウ酸(3.08g/L)
反応液流量:0.1mL/min
UV検出波長:254nm
カラム温度:40℃
グラジエント条件:
【0119】
【表1】
【0120】
<合成例1>燐光発光性化合物E1の合成
燐光発光性化合物E1は、国際公開第2009/131255号に記載の方法に従って合成した。
【0121】
【化22】
【0122】
<合成例2>高分子化合物P1の合成
【0123】
【化23】
【0124】
化合物CM1及びCM3は、特開2010-189630号公報に記載の方法に従って合成した。
化合物CM2は、国際公開第2012/86671号に記載の方法に従って合成した。
【0125】
高分子化合物P1は、化合物CM1、化合物CM2及び化合物CM3を用いて、特開2012-36388号公報に記載の方法に従って合成した。高分子化合物1のポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)は9.1×104であり、ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は2.3×105であった。
【0126】
高分子化合物P1は、仕込み原料の量から求めた理論値では、化合物CM1から誘導される構成単位と、化合物CM2から誘導される構成単位と、化合物CM3から誘導される構成単位とが、50:40:10のモル比で構成されてなる共重合体である。
【0127】
<合成例3>高分子化合物P2の合成
【0128】
【化24】
【0129】
【化25】
【0130】
化合物CM4は、国際公開第2011/013723号に記載の方法に従って合成した。
化合物CM5は、国際公開第2002/045184号に記載の方法に従って合成した。
化合物CM6は、特開2008-106241号公報に記載の方法に従って合成した。
化合物CM7は、特開2003-226744号公報に記載の方法に従って合成した。
【0131】
反応容器内を不活性ガス雰囲気とした後、化合物CM4(185g)、化合物CM5(35.9g)、化合物CM6(20.1g)、化合物CM7(104g)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(177mg)及びトルエン(4.3kg)を加え、100℃に加熱した。反応液に、20質量%水酸化テトラエチルアンモニウム水溶液(873g)を滴下し、100℃で5時間攪拌した。反応液に、フェニルボロン酸(3.08g)及びトルエン(120g)を加え、100℃で14時間攪拌した。反応液から水層を除いた後、そこへ、ジエチルジチアカルバミン酸ナトリウム水溶液及びトルエンを加え、40℃で3時間撹拌した。その後、反応液を室温まで冷却し、水層を除去することにより有機層を得た。この有機層を、10質量%塩酸で2回、3質量%アンモニア水溶液で2回、水で2回洗浄した。洗浄した有機層を、アルミナカラム及びシリカゲルカラムに順番に通すことにより精製した。得られた精製液をメタノールに滴下し、撹拌したところ、沈殿物が生じた。この沈殿物をろ取し、乾燥させることにより、高分子化合物P2を204g得た。高分子化合物P2のMnは6.7×104であり、Mwは2.3×105であった。
【0132】
高分子化合物P2は、仕込み原料の量から求めた理論値では、化合物CM4から誘導される構成単位と、化合物CM5から誘導される構成単位と、化合物CM6から誘導される構成単位と、化合物CM7から誘導される構成単位とが、50:12.5:7.5:30のモル比で構成されてなる共重合体である。
【0133】
<実施例1>
(参照用液状組成物の調製)
燐光発光性化合物E1を0.945質量部、高分子化合物P1を1.155質量部、キシレン(関東化学社製;以下、「キシレンB」と言う)を78.32質量部、キシレン(和光純薬工業社製;以下、「キシレンA」と言う)を19.58質量部として混合し、参照用液状組成物RL1を調製した。
【0134】
(発光素子の作製・評価)
ガラス基板にスパッタ法により45nmの厚みでITO膜を付けることにより陽極を形成した。陽極上に、正孔注入材料(商品名:ND-3202、日産化学工業製)をスピンコート法により60nmの厚さで成膜した。大気雰囲気下において、ホットプレート上で50℃、3分間加熱し、更に230℃、15分間加熱することにより正孔注入層を形成した。
【0135】
キシレンBに、高分子化合物P1を0.7質量%の濃度で溶解させた。得られたキシレン溶液を用いて、正孔注入層の上に、スピンコート法により20nmの厚さで成膜し、窒素ガス雰囲気下において、ホットプレート上で190℃、60分間加熱することにより正孔輸送層を形成した。
【0136】
液状組成物RL1を用いて、正孔輸送層の上に、スピンコート法により80nmの厚さで成膜し、窒素ガス雰囲気下において、ホットプレート上で150℃、10分加熱することにより発光層を形成した。
【0137】
発光層を形成した基板を蒸着機内において、1.0×10-4Pa以下にまで減圧した後、陰極として、発光層の上にフッ化ナトリウムを約3nm、次いで、フッ化ナトリウム層の上にアルミニウムを約80nm蒸着した。蒸着後、ガラス基板を用いて封止することにより、発光素子RD1を作製した。
【0138】
発光素子RD1に電圧を印加することにより、519nmに発光スペクトルの最大ピーク波長を有するEL発光が観測された。初期輝度が3000cd/m2となるように電流値を設定後、定電流で駆動させ、輝度の時間変化を測定した。発光素子RD1の輝度が初期輝度の95%となるまでの時間(以下、「T95」と言う。)は、44.0時間であった。
【0139】
(規格値の取得)
参照用液状組成物RL1の規格値R’を算出すると、R’=(ACLUV/AARM)×100=(29157/381374850)×100=0.008%であった。
【0140】
(液状組成物の調製)
燐光発光性化合物E1を0.945質量部、高分子化合物P1を1.155質量部、キシレンBを97.9質量部として混合し液状組成物L1を調製した。
【0141】
(発光素子の作製・評価)
上記(発光素子RD1)と同様にして、陽極及び正孔注入層を形成した。
【0142】
キシレンBに、高分子化合物P2を0.6質量%の濃度で溶解させた。得られたキシレン溶液を用いて、正孔注入層の上に、スピンコート法により20nmの厚さで成膜し、窒素ガス雰囲気下において、ホットプレート上で190℃、60分間加熱することにより正孔輸送層を形成した。
【0143】
液状組成物L1を用いて、正孔輸送層の上に、スピンコート法により80nmの厚さで成膜し、窒素ガス雰囲気下において、ホットプレート上で150℃、10分加熱することにより発光層を形成した。
【0144】
発光層を形成した基板を蒸着機内において、1.0×10-4Pa以下にまで減圧した後、陰極として、発光層の上にフッ化ナトリウムを約3nm、次いで、フッ化ナトリウム層の上にアルミニウムを約80nm蒸着した。蒸着後、ガラス基板を用いて封止することにより、発光素子D1を作製した。
【0145】
発光素子D1に電圧を印加することにより、519nmに発光スペクトルの最大ピーク波長を有するEL発光が観測された。初期輝度が3000cd/m2となるように電流値を設定後、定電流で駆動させ、輝度の時間変化を測定した。発光素子D1のT95は、44.5時間であった。
【0146】
(相対量値の取得)
液状組成物L1の相対量値Rを算出すると、R=(ACLUV/AARM)×100=(1514/379271900)×100=0.0004%であった。この値は、規格値R’以下の値であるので、「良」と判定した。
【0147】
<実施例2>
(液状組成物の調製)
燐光発光性化合物E1を0.945質量部、高分子化合物P1を1.155質量部、キシレンBを88.11質量部、キシレンAを9.79質量部として混合し液状組成物L2を調製した。
【0148】
(発光素子の作製・評価)
実施例1と同様にして、陽極及び正孔注入層を形成した。
【0149】
キシレンBに、高分子化合物P2を0.6質量%の濃度で溶解させた。得られたキシレン溶液を用いて、正孔注入層の上に、スピンコート法により20nmの厚さで成膜し、窒素ガス雰囲気下において、ホットプレート上で190℃、60分間加熱することにより正孔輸送層を形成した。
【0150】
液状組成物L2を用いて、正孔輸送層の上に、スピンコート法により80nmの厚さで成膜し、窒素ガス雰囲気下において、ホットプレート上で150℃、10分加熱することにより発光層を形成した。
【0151】
発光層を形成した基板を蒸着機内において、1.0×10-4Pa以下にまで減圧した後、陰極として、発光層の上にフッ化ナトリウムを約3nm、次いで、フッ化ナトリウム層の上にアルミニウムを約80nm蒸着した。蒸着後、ガラス基板を用いて封止することにより、発光素子D2を作製した。
【0152】
発光素子D2に電圧を印加することにより、519nmに発光スペクトルの最大ピーク波長を有するEL発光が観測された。初期輝度が3000cd/m2となるように電流値を設定後、定電流で駆動させ、輝度の時間変化を測定した。発光素子D2のT95は、44.5時間であった。
【0153】
(相対量値の取得)
液状組成物L2の相対量値Rを算出すると、R=(ACLUV/AARM)×100=(14137/383612450)×100=0.004%であった。この値は、規格値R’以下の値であるので、「良」と判定した。
【0154】
<比較例1>
(液状組成物の調製)
燐光発光性化合物E1を0.945質量部、高分子化合物P1を1.155質量部、キシレンBを48.95質量部、キシレンAを48.95質量部として混合し液状組成物CL1を調製した。
【0155】
(発光素子の作製・評価)
実施例1と同様にして、陽極及び正孔注入層を形成した。
【0156】
キシレンBに、高分子化合物P2を0.6質量%の濃度で溶解させた。得られたキシレン溶液を用いて、正孔注入層の上に、スピンコート法により20nmの厚さで成膜し、窒素ガス雰囲気下において、ホットプレート上で190℃、60分間加熱することにより正孔輸送層を形成した。
【0157】
液状組成物CL1を用いて、正孔輸送層の上に、スピンコート法により80nmの厚さで成膜し、窒素ガス雰囲気下において、ホットプレート上で150℃、10分加熱することにより発光層を形成した。
【0158】
発光層を形成した基板を蒸着機内において、1.0×10-4Pa以下にまで減圧した後、陰極として、発光層の上にフッ化ナトリウムを約3nm、次いで、フッ化ナトリウム層の上にアルミニウムを約80nm蒸着した。蒸着後、ガラス基板を用いて封止することにより、発光素子CD1を作製した。
【0159】
発光素子CD1に電圧を印加することにより、519nmに発光スペクトルの最大ピーク波長を有するEL発光が観測された。初期輝度が3000cd/m2となるように電流値を設定後、定電流で駆動させ、輝度の時間変化を測定した。発光素子CD1のT95は、41.0時間であった。
【0160】
(相対量値の取得)
液状組成物CL1の相対量値Rを算出すると、R=(ACLUV/AARM)×100=(68750/382498650)×100=0.02%であった。この値は、規格値R’を超える値であるので、「不良」と判定した。
【0161】
<比較例2>
(液状組成物の調製)
燐光発光性化合物E1を0.945質量部、高分子化合物P1を1.155質量部、キシレンAを97.9質量部として混合し液状組成物CL2を調製した。
【0162】
(発光素子の作製・評価)
実施例1と同様にして、陽極及び正孔注入層を形成した。
【0163】
キシレンBに、高分子化合物P2を0.6質量%の濃度で溶解させた。得られたキシレン溶液を用いて、正孔注入層の上に、スピンコート法により20nmの厚さで成膜し、窒素ガス雰囲気下において、ホットプレート上で190℃、60分間加熱することにより正孔輸送層を形成した。
【0164】
液状組成物CL2を用いて、正孔輸送層の上に、スピンコート法により80nmの厚さで成膜し、窒素ガス雰囲気下において、ホットプレート上で150℃、10分加熱することにより発光層を形成した。
【0165】
発光層を形成した基板を蒸着機内において、1.0×10-4Pa以下にまで減圧した後、陰極として、発光層の上にフッ化ナトリウムを約3nm、次いで、フッ化ナトリウム層の上にアルミニウムを約80nm蒸着した。蒸着後、ガラス基板を用いて封止することにより、発光素子CD2を作製した。
【0166】
発光素子CD2に電圧を印加することにより、519nmに発光スペクトルの最大ピーク波長を有するEL発光が観測された。初期輝度が3000cd/m2となるように電流値を設定後、定電流で駆動させ、輝度の時間変化を測定した。発光素子CD2のT95は、35.5時間であった。
【0167】
(相対量値の取得)
液状組成物CL2の相対量値Rを算出すると、R=(ACLUV/AARM)×100=(135608/376918200)×100=0.04%であった。この値は、規格値R’を超える値であるので、「不良」と判定した。
図1