IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エルジー・ケム・リミテッドの特許一覧

特許7036346高分子樹脂化合物およびこれを含むブラックバンク用感光性樹脂組成物
<>
  • 特許-高分子樹脂化合物およびこれを含むブラックバンク用感光性樹脂組成物 図1
  • 特許-高分子樹脂化合物およびこれを含むブラックバンク用感光性樹脂組成物 図2
  • 特許-高分子樹脂化合物およびこれを含むブラックバンク用感光性樹脂組成物 図3
  • 特許-高分子樹脂化合物およびこれを含むブラックバンク用感光性樹脂組成物 図4
  • 特許-高分子樹脂化合物およびこれを含むブラックバンク用感光性樹脂組成物 図5
  • 特許-高分子樹脂化合物およびこれを含むブラックバンク用感光性樹脂組成物 図6
  • 特許-高分子樹脂化合物およびこれを含むブラックバンク用感光性樹脂組成物 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-07
(45)【発行日】2022-03-15
(54)【発明の名称】高分子樹脂化合物およびこれを含むブラックバンク用感光性樹脂組成物
(51)【国際特許分類】
   C08G 59/14 20060101AFI20220308BHJP
   C08F 2/44 20060101ALI20220308BHJP
   C08F 290/14 20060101ALI20220308BHJP
   C08G 63/91 20060101ALI20220308BHJP
   G03F 7/004 20060101ALI20220308BHJP
   G03F 7/027 20060101ALI20220308BHJP
   G03F 7/029 20060101ALI20220308BHJP
   G03F 7/031 20060101ALI20220308BHJP
   G03F 7/20 20060101ALI20220308BHJP
【FI】
C08G59/14
C08F2/44 A
C08F290/14
C08G63/91
G03F7/004 501
G03F7/027 502
G03F7/027 511
G03F7/029
G03F7/031
G03F7/20 501
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2018567189
(86)(22)【出願日】2018-02-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-09-05
(86)【国際出願番号】 KR2018002372
(87)【国際公開番号】W WO2018159975
(87)【国際公開日】2018-09-07
【審査請求日】2019-01-15
(31)【優先権主張番号】10-2017-0027755
(32)【優先日】2017-03-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】キム、タエウー
(72)【発明者】
【氏名】リー、ウォン ジュン
(72)【発明者】
【氏名】パク、ヨンジュ
【審査官】前田 孝泰
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2008/069298(WO,A1)
【文献】特開2015-161869(JP,A)
【文献】特表2010-519592(JP,A)
【文献】特開平08-286371(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2015-0066884(KR,A)
【文献】特表2010-523756(JP,A)
【文献】特表2011-516625(JP,A)
【文献】国際公開第2007/123017(WO,A1)
【文献】特開2009-251536(JP,A)
【文献】特開2008-122546(JP,A)
【文献】特表2010-519378(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2009-0004054(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 2/00- 85/00
C08F 2/00-299/08
G03F 7/00- 7/42
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
重量平均分子量が2,840(g/mol)であって、下記化学式1の繰り返し単位を含む高分子樹脂化合物:
[化学式1]
【化1】
前記化学式1において、
A1およびA2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、置換もしくは非置換のカルバメート基;またはヒドロキシ基であり、
前記A1およびA2のいずれか1つ、または、前記A1およびA2の両方が、置換もしくは非置換のカルバメート基であり
Y1およびY2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、置換もしくは非置換の炭素数1~3のアルキレンであり、
Zは、置換もしくは非置換の2価のアルキレン基;置換もしくは非置換の2価のシクロヘキサン;置換もしくは非置換の2価のシクロヘキン;または置換もしくは非置換の2価のベンゼンであり、
R1~R8は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、水素;重水素;ハロゲン基;置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキル基;置換もしくは非置換の炭素数3~10のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のシリル基;置換もしくは非置換のホスフィンオキシド基;置換もしくは非置換のアリール基;または置換もしくは非置換のヘテロ環基であり、
r1~r4は、それぞれ独立に、1~4の整数であり、
r1~r4がそれぞれ2以上の場合、括弧内の構造は、それぞれ互いに同一または異なり、
nは、2以上であって、前記高分子樹脂化合物の重量平均分子量が2,840(g/mol)となる数であり
nが2以上の場合、括弧内の構造は、互いに同一または異なり、
前記カルバメート基は、下記化学式2で表されるものであり、
[化学式2]
【化2】
前記化学式2において、
Y3は、置換もしくは非置換の炭素数1~3のアルキレン基であり、
R11は、水素;重水素;または置換もしくは非置換の炭素数1~4のアルキル基であり、
R12は、CR102R103であり、
R13は、Oであり、
R14は、水素であり、
R102およびR103は、水素である。
【請求項2】
前記化学式1は、下記化学式3で表されるものである、請求項1に記載の高分子樹脂化合物:
[化学式3]
【化3】
前記化学式3において、
A1、A2、Y1、Y2、R1~R8、r1~r4およびnに関する定義は、前記化学式1で定義したものと同じである。
【請求項3】
前記化学式1は、下記化学式4~6のいずれか1つで表されるものである、請求項1に記載の高分子樹脂化合物:
[化学式4]
【化4】
[化学式5]
【化5】
[化学式6]
【化6】
前記化学式4~6において、
Y1、Y2、R1~R8、r1~r4およびnに関する定義は、前記化学式1で定義したものと同じであり、
Y3は、置換もしくは非置換の炭素数1~3のアルキレン基であり、
R11およびR21は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、水素;重水素;または置換もしくは非置換の炭素数1~4のアルキル基であり、
R12およびR22は、CR102R103であり、
R13およびR23は、Oであり、
R14およびR24は、水素であり、
前記R102およびR103は、水素である。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の高分子樹脂化合物、モノマー、光開始剤、着色剤、および溶媒を含むブラックバンク用感光性樹脂組成物。
【請求項5】
前記高分子樹脂化合物の含有量は、前記ブラックバンク用感光性樹脂組成物の総重量を基準として、1~20重量%である、請求項4に記載のブラックバンク用感光性樹脂組成物。
【請求項6】
前記モノマーは、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ネオペンチルグリコール(メタ)アクリレートジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)からなる群より選択される1種以上を含む、請求項4または5に記載のブラックバンク用感光性樹脂組成物。
【請求項7】
前記モノマーの含有量は、前記ブラックバンク用感光性樹脂組成物の総重量を基準として、1~10重量%である、請求項4~6のいずれか1項に記載のブラックバンク用感光性樹脂組成物。
【請求項8】
前記光開始剤は、アセトフェノン系化合物、ビイミダゾール系化合物、トリアジン系化合物、およびオキシム系化合物からなる群より選択される1種以上を含む、請求項4~7のいずれか1項に記載のブラックバンク用感光性樹脂組成物。
【請求項9】
前記光開始剤の含有量は、前記ブラックバンク用感光性樹脂組成物の総重量を基準として、0.1~5重量%である、請求項4~8のいずれか1項に記載のブラックバンク用感光性樹脂組成物。
【請求項10】
前記溶媒は、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルブチルエーテル、トリエチレングリコールメチルブチルエーテル、メチル3-メトキシプロピオネート、エチル3-エトキシプロピオネート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3-メトキシブチルアセテート、および2-プロパノールからなる群より選択される1種以上を含む、請求項4~9のいずれか1項に記載のブラックバンク用感光性樹脂組成物。
【請求項11】
前記溶媒の含有量は、前記ブラックバンク用感光性樹脂組成物の総重量を基準として、60~90重量%である、請求項4~10のいずれか1項に記載のブラックバンク用感光性樹脂組成物。
【請求項12】
前記ブラックバンク用感光性樹脂組成物は、光架橋増感剤、硬化促進剤、密着促進剤、接着力増強剤、界面活性剤、酸化防止剤、熱重合防止剤、紫外線吸収剤、分散剤、およびレベリング剤からなる群より選択された1種以上の添加剤を追加的に含む、請求項4~11のいずれか1項に記載のブラックバンク用感光性樹脂組成物。
【請求項13】
請求項4~12のいずれか1項に記載のブラックバンク用感光性樹脂組成物を含むブラックバンク。
【請求項14】
1)請求項4に記載のブラックバンク用感光性樹脂組成物を基板上に塗布するステップと、
2)前記塗布されたブラックバンク用感光性樹脂組成物を露光および現像してパターニングするステップと、
3)パターニングされたブラックバンク用感光性樹脂組成物を硬化させるステップとを含むブラックバンクの製造方法。
【請求項15】
前記2)の前記塗布されたブラックバンク用感光性樹脂組成物の現像時に使用する現像液は、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液である、請求項14に記載のブラックバンクの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、2017年3月3日付で韓国特許庁に出願された韓国特許出願第10-2017-0027755号の出願日の利益を主張し、その内容のすべては本明細書に組み込まれる。
【0002】
本明細書は、高分子樹脂化合物およびこれを含むブラックバンク用感光性樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
OLEDは自発光型表示装置であって、発光のためのバックライト(backlight)を必要とせず、視野角が広いだけでなく、応答速度が速いという利点があって次世代表示装置として注目されている。このようなOLED素子の発光体部分の構成は、一般的に、透明基板、透明電極層、有機発光層、金属電極層、および必要に応じて、電極上に絶縁膜と隔壁を含む。
【0004】
前記絶縁膜としては、従来酸化シリコンや窒化シリコンなどの無機材料やポリイミド(polyimide)などの有機材料が使用されてきており、通常の無機、有機材料を用いて前記絶縁膜を形成する場合、一般的に、基板にフォトレジスト(photoresist、以下、「PR」という)を塗布し、露光、PR現像、エッチング(etching)およびPR除去を実施する多段階の工程が必要で生産費用が増加する。このような問題を解決するために、感光性ポリイミドなどの感光性ポリマーなどが絶縁膜(透明バンク)として使用された。しかし、このような絶縁膜は、透明で遮光性を有しないことから、金属電極の外光反射による視認性が低下する問題点を抱えている。特に、太陽光に露出した屋外では、外光反射のために相対的な輝度とコントラスト比が急激に減少する。
【0005】
従来、OLEDのほとんどはこのコントラスト比の低下問題を解決するために、基板の表面に偏光板(polarizing film)を用いて外光反射によるコントラスト低下を低減している。しかし、偏光板を用いることは、有機発光層で発生する光の一部を遮断するので、輝度低下を防止することはできない。
【0006】
OLEDの絶縁膜にブラックバンクを適用すると、既存のポリイミド絶縁膜ではなかった遮光性を有することができて外光反射を低減可能であり、偏光板を用いなくても良いので、コスト節減はもちろん、輝度低下の恐れもない。
【0007】
特に、モバイル用ブラックバンクの開発において狭いスリットマスクを用いたホール(hole)パターンを実現する技術が重要であるが、ホールパターンは、OLED構造においてanodeでactive areaになる。このようなホールパターンに残渣があれば素子寿命が減少し、直進性が良くなければ視認性が悪くなる。従来のカルド系バインダーを用いると、直進性が低下し、ホールに残渣が発生する問題点がある。
【0008】
したがって、当技術分野では、ホール残渣および直進性が改善されたブラックバンク用感光性樹脂組成物に関する研究および開発が求められ続けている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】韓国特許出願公開第2009-0004054号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本明細書は、高分子樹脂化合物およびこれを含むブラックバンク用感光性樹脂組成物を提供しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本明細書は、下記化学式1の繰り返し単位を含む高分子樹脂化合物を提供する。
[化学式1]
【化1】
前記化学式1において、
A1およびA2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、置換もしくは非置換のカルバメート基;またはヒドロキシ基であり、
前記A1およびA2のいずれか1つがヒドロキシ基の場合、残りは、置換もしくは非置換のカルバメート基であり、
Y1およびY2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、置換もしくは非置換の炭素数1~3のアルキレン基;置換もしくは非置換のエチレンオキシド基;または置換もしくは非置換のプロピレンオキシド基であり、
Zは、置換もしくは非置換の2価のアルキル基;置換もしくは非置換の2価のシクロヘキサン;置換もしくは非置換の2価のシクロヘキシン;または置換もしくは非置換の2価のベンゼンであり、
R1~R8は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、水素;重水素;ハロゲン基;置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキル基;置換もしくは非置換の炭素数3~10のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のシリル基;置換もしくは非置換のホスフィンオキシド基;置換もしくは非置換のアリール基;または置換もしくは非置換のヘテロ環基であり、
r1~r4は、それぞれ独立に、1~4の整数であり、
r1~r4がそれぞれ2以上の場合、括弧内の構造は、それぞれ互いに同一または異なり、
nは、2~5,000であり、
nが2以上の場合、括弧内の構造は、互いに同一または異なる。
【0012】
また、本明細書は、前記高分子樹脂化合物、モノマー、光開始剤、着色剤、および溶媒を含むブラックバンク用感光性樹脂組成物を提供する。
【0013】
また、本明細書は、前記ブラックバンク用感光性樹脂組成物で製造されたブラックバンクを提供する。
【0014】
さらに、本明細書は、1)前記ブラックバンク用感光性樹脂組成物を基板上に塗布するステップと、2)前記塗布されたブラックバンク用感光性樹脂組成物を露光および現像してパターニングするステップと、3)パターニングされたブラックバンク用感光性樹脂組成物を硬化させるステップとを含むブラックバンクの製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0015】
本明細書の一実施態様に係るブラックバンク用感光性樹脂組成物は、化学式1で表される高分子樹脂化合物を含むことにより、前記ブラックバンク用感光性樹脂組成物を含むブラックバンクをOLEDの絶縁膜に適用する場合、遮光性を有することができて外光反射を低減可能であり、輝度低下を改善させる効果がある。
【0016】
また、前記感光性樹脂組成物は、化学式1で表される高分子樹脂化合物を含むことにより、モバイル用ブラックバンクの性能を向上させるための狭いスリットを用いたホール(hole)パターンの実現に際して、ホール残渣および直進性を改善させることはもちろん、モバイル用ブラックバンクの素子寿命および視認性も向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本明細書の実験例1の直進性および現像マージン特性を示すものである。
図2】本明細書の実験例2の直進性および現像マージン特性を示すものである。
図3】本明細書の実験例3の直進性および現像マージン特性を示すものである。
図4】本明細書の実験例4の直進性および現像マージン特性を示すものである。
図5】本明細書の実験例5の直進性および現像マージン特性を示すものである。
図6】本明細書の実験例1~5の残渣評価結果を示すものである。
図7】本明細書の実験例6のむしれ評価結果を示すものである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本明細書についてより詳細に説明する。
【0019】
本明細書は、前記化学式1で表される高分子樹脂化合物を提供する。
【0020】
前記化学式1の高分子樹脂化合物は、コア構造のフルオレン構造によって現像性、接着性および感光性樹脂組成物の安定性に優れた特性があり、A1およびA2の位置にカルバメート置換基を導入することにより、導入しない場合に比べて直進性に優れ、ホール残渣が改善される効果がある。
【0021】
本明細書において、置換基の例示は以下に説明するが、これに限定されるものではない。
【0022】
本明細書において、
【化2】
は、連結される部位を意味する。
【0023】
前記「置換」という用語は、化合物の炭素原子に結合した水素原子が他の置換基に変わることを意味し、置換される位置は、水素原子の置換される位置すなわち、置換基が置換可能な位置であれば限定せず、2以上置換される場合、2以上の置換基は、互いに同一または異なっていてもよい。
【0024】
本明細書において、「置換もしくは非置換の」という用語は、重水素;ハロゲン基;ニトリル基;ニトロ基;アルキル基;シクロアルキル基;アミン基;アリールアミン基;シリル基;ホスフィンオキシド基;アリール基;およびN、O、S、Se、およびSi原子のうち1個以上を含むヘテロアリール基からなる群より選択された1または2以上の置換基で置換されているか、前記例示された置換基のうち2以上の置換基が連結された置換基で置換されるか、もしくはいずれの置換基も有しないことを意味する。
【0025】
本明細書において、ハロゲン基の例としては、フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素がある。
【0026】
本明細書において、アルキル基は、直鎖もしくは分枝鎖であってもよく、炭素数は特に限定されないが、1~30のものが好ましい。具体例としては、メチル、エチル、プロピル、n-プロピル、イソプロピル、ブチル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、sec-ブチル、1-メチル-ブチル、1-エチル-ブチル、ペンチル、n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、tert-ペンチル、ヘキシル、n-ヘキシル、1-メチルペンチル、2-メチルペンチル、4-メチル-2-ペンチル、3,3-ジメチルブチル、2-エチルブチル、ヘプチル、n-ヘプチル、1-メチルヘキシル、シクロペンチルメチル、シクロヘキシルメチル、オクチル、n-オクチル、tert-オクチル、1-メチルヘプチル、2-エチルヘキシル、2-プロピルペンチル、n-ノニル、2,2-ジメチルヘプチル、1-エチル-プロピル、1,1-ジメチル-プロピル、イソヘキシル、4-メチルヘキシル、5-メチルヘキシルなどがあるが、これらに限定されない。
【0027】
本明細書において、シクロアルキル基は特に限定されないが、炭素数3~60のものが好ましく、具体的には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、3-メチルシクロペンチル、2,3-ジメチルシクロペンチル、シクロヘキシル、3-メチルシクロヘキシル、4-メチルシクロヘキシル、2,3-ジメチルシクロヘキシル、3,4,5-トリメチルシクロヘキシル、4-tert-ブチルシクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチルなどがあるが、これらに限定されない。
【0028】
本明細書において、シリル基は、Siを含み、前記Si原子がラジカルとして直接連結される置換基であり、-SiR201202203で表され、R201~R203は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、水素;重水素;ハロゲン基;アルキル基;アルケニル基;アルコキシ基;シクロアルキル基;アリール基;およびヘテロ環基のうちの少なくとも1つからなる置換基であってもよい。シリル基の具体例としては、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、t-ブチルジメチルシリル基、ビニルジメチルシリル基、プロピルジメチルシリル基、トリフェニルシリル基、ジフェニルシリル基、フェニルシリル基などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0029】
本明細書において、アリール基が単環式アリール基の場合、炭素数は特に限定されないが、炭素数6~30のものが好ましい。具体的には、単環式アリール基としては、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、クォーターフェニル基などになってもよいが、これらに限定されるものではない。
【0030】
前記アリール基が多環式アリール基の場合、炭素数は特に限定されないが、炭素数6~50のものが好ましい。具体的には、多環式アリール基としては、ナフチル基、アントラセニル基、フェナントリル基、ピレニル基、ペリレニル基、クリセニル基、フルオレニル基などになってもよいが、これらに限定されるものではない。
【0031】
本明細書において、前記フルオレニル基は置換されていてもよいし、隣接した置換基が互いに結合して環を形成してもよい。
【0032】
前記フルオレニル基が置換される場合、
【化3】
などになってもよいが、これらに限定されるものではない。
【0033】
本明細書において、ヘテロアリール基は、異種原子としてN、O、S、Si、およびSeのうち1個以上を含むヘテロ環基であって、炭素数は特に限定されないが、炭素数2~60のものが好ましい。ヘテロアリール基の例としては、チオフェン基、フラン基、ピロール基、イミダゾール基、チアゾール基、オキサゾール基、オキサジアゾール基、トリアゾール基、ピリジル基、ビピリジル基、ピリミジル基、トリアジン基、アクリジル基、ピリダジン基、ピラジニル基、キノリニル基、キナゾリン基、キノキサリニル基、フタラジニル基、ピリドピリミジニル基、ピリドピラジニル基、ピラジノピラジニル基、イソキノリン基、インドール基、カルバゾール基、ベンズオキサゾール基、ベンズイミダゾール基、ベンゾチアゾール基、ベンゾカルバゾール基、ベンゾチオフェン基、ジベンゾチオフェン基、ベンゾフラニル基、フェナントロリン基(phenanthroline)、チアゾリル基、イソオキサゾリル基、オキサジアゾリル基、チアジアゾリル基、およびジベンゾフラニル基などがあるが、これらにのみ限定されるものではない。
【0034】
本明細書において、ホスフィンオキシド基は、具体的には、ジフェニルホスフィンオキシド基、ジナフチルホスフィンオキシドなどがあるが、これらに限定されるものではない。
【0035】
本明細書において、アルキレン基は、アルキル基に結合位置が2つあるもの、すなわち2価の基を意味する。これらは、それぞれ2価の基であることを除けば、前述したアルキル基の説明が適用可能である。
【0036】
本明細書の一実施態様において、前記A1およびA2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、置換もしくは非置換のカルバメート基またはヒドロキシ基である。
【0037】
本明細書の一実施態様において、前記A1およびA2のいずれか1つがヒドロキシ基の場合、残りは、置換もしくは非置換のカルバメート基である。
【0038】
本明細書の一実施態様において、前記A1は、置換もしくは非置換のカルバメート基であり、A2は、ヒドロキシ基である。
【0039】
本明細書の一実施態様において、前記A1は、ヒドロキシ基であり、A2は、置換もしくは非置換のカルバメート基である。
【0040】
本明細書の一実施態様において、前記A1およびA2は、置換もしくは非置換のカルバメート基である。
【0041】
本明細書の一実施態様において、前記Y1およびY2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、置換もしくは非置換の炭素数1~3のアルキレン基;置換もしくは非置換のエチレンオキシド基;または置換もしくは非置換のプロピレンオキシド基である。
【0042】
本明細書の一実施態様において、前記Y1およびY2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、置換もしくは非置換のメチレン基、置換もしくは非置換のエチレン基、または置換もしくは非置換のプロピレン基である。
【0043】
本明細書の一実施態様において、前記Y1およびY2は、メチレン基である。
【0044】
本明細書の一実施態様において、前記Y1およびY2は、エチレン基である。
【0045】
本明細書の一実施態様において、前記Y1およびY2は、プロピレン基である。
【0046】
本明細書の一実施態様において、前記Zは、置換もしくは非置換の2価のアルキル基;置換もしくは非置換の2価のシクロヘキサン;置換もしくは非置換の2価のシクロヘキシン;または置換もしくは非置換の2価のベンゼンである。
【0047】
本明細書の一実施態様において、前記Zは、置換もしくは非置換のシクロヘキシンである。
【0048】
本明細書の一実施態様において、前記Zは、シクロヘキシンである。
【0049】
本明細書の一実施態様において、R1~R10は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、水素;重水素;ハロゲン基;置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキル基;置換もしくは非置換の炭素数3~10のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のシリル基;置換もしくは非置換のホスフィンオキシド基;置換もしくは非置換のアリール基;または置換もしくは非置換のヘテロ環基である。
【0050】
本明細書の一実施態様において、R1~R10は、水素である。
【0051】
本明細書の一実施態様において、前記カルバメート基は、下記化学式2で表されてもよい。
【0052】
[化学式2]
【化4】
前記化学式2において、
Y3は、置換もしくは非置換の炭素数1~3のアルキレン基;置換もしくは非置換のエチレンオキシド基;または置換もしくは非置換のプロピレンオキシド基であり、
R11およびR14は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、水素;重水素;ハロゲン基;置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のシリル基;置換もしくは非置換のホスフィンオキシド基;置換もしくは非置換のアリール基;または置換もしくは非置換のヘテロ環基であり、
R12およびR13は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、O;S;NR101;またはCR102R103であり、
前記R101~R103は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、水素;重水素;置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のアリール基;または置換もしくは非置換のヘテロ環基である。
【0053】
本明細書の一実施態様において、前記化学式1は、下記化学式3で表されてもよい。
[化学式3]
【化5】
前記化学式3において、
A1、A2、Y1、Y2、R1~R8、r1~r4およびnに関する定義は、前記化
学式1で定義したものと同じである。
【0054】
本明細書の一実施態様において、前記化学式1は、下記化学式4~6のいずれか1つで表されてもよい。
[化学式4]
【化6】
[化学式5]
【化7】
[化学式6]
【化8】
前記化学式4~6において、
Y1、Y2、R1~R8およびr1~r4およびnに関する定義は、前記化学式1で定義したものと同じであり、
Y3は、置換もしくは非置換の炭素数1~3のアルキレン基;置換もしくは非置換のエチレンオキシド基;または置換もしくは非置換のプロピレンオキシド基であり、
R11、R14、R21およびR24は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、水素;重水素;ハロゲン基;置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のシリル基;置換もしくは非置換のホスフィンオキシド基;置換もしくは非置換のアリール基;または置換もしくは非置換のヘテロ環基であり、
R12、R13、R22およびR23は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、O;S;NR101;またはCR102R103であり、
前記R101~R103は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、水素;重水素;置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のアリール基;または置換もしくは非置換のヘテロ環基である。
【0055】
本明細書の一実施態様において、前記Y3は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、置換もしくは非置換のメチレン基、置換もしくは非置換のエチレン基、または置換もしくは非置換のプロピレン基である。
【0056】
本明細書の一実施態様において、前記Y3は、メチレン基である。
【0057】
本明細書の一実施態様において、前記Y3は、エチレン基である。
【0058】
本明細書の一実施態様において、前記Y3は、プロピレン基である。
【0059】
本明細書の一実施態様において、前記R11またはR14は、水素である。
【0060】
本明細書の一実施態様において、前記R12またはR13は、Oである。
【0061】
本明細書の一実施態様において、前記R12またはR13は、Sである。
【0062】
本明細書の一実施態様において、前記R12またはR13は、NR101である。
【0063】
本明細書の一実施態様において、前記R12またはR13は、CR102R103である。
【0064】
本明細書の一実施態様において、前記R101~R103は、水素である。
【0065】
本明細書の一実施態様において、前記化学式1は、下記構造の中から選択されるいずれか1つである。
【化9】
【化10】
【化11】
【0066】
本明細書の一実施態様において、前記高分子樹脂化合物の重量平均分子量は、1,000~50,000である。好ましくは1,000~10,000であり、さらに好ましくは1,000~5,000である。
【0067】
高分子樹脂化合物の平均分子量によって、感光性樹脂組成物の現像速度が異なるが、前記分子量が1,000未満の場合には、現像速度が速くなって安定したパターンを得ることができず、耐熱性が悪化し、前記分子量が50,000を超える場合には、現像速度が遅く、溶液の粘度が過度に増加して均一な塗布が難しいという欠点がある。
【0068】
本明細書は、前記高分子樹脂化合物、モノマー、光開始剤、着色剤、および溶媒を含むブラックバンク用感光性樹脂組成物を提供する。
【0069】
本明細書の一実施態様において、前記高分子樹脂化合物の含有量は、前記ブラックバンク用感光性樹脂組成物の総重量を基準として、1~20重量%である。
【0070】
本明細書の一実施態様において、前記モノマーは、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレートなどの単官能性モノマー、およびポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ネオペンチルグリコール(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)などの多官能性モノマーからなる群より選択される1種以上を含むが、これに限定されるものではない。
【0071】
多官能性モノマーは、単官能性モノマーに比べて露光時の架橋密度が増加してパターンの実現により容易であるという利点がある。本明細書のブラックバンクの場合、遮光特性によって減少する硬化性を向上させるために、単官能性モノマーに比べて多官能性モノマーがさらに適合するが、これに限定されるものではない。
【0072】
本明細書の一実施態様において、前記多官能性モノマーは、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)、または前記ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)とジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)-4OHである。
【0073】
本明細書の一実施態様において、前記モノマーの含有量は、前記ブラックバンク用感光性樹脂組成物の総重量を基準として、1~10重量%である。前記モノマーの含有量範囲を外れる場合、現像性が悪化してパターンの実現が難しくなる。
【0074】
本明細書の一実施態様において、前記光開始剤は、アセトフェノン系化合物、ビイミダゾール系化合物、トリアジン系化合物、およびオキシム系化合物からなる群より選択される1種以上を含むが、これに限定されるものではない。
【0075】
本明細書の一実施態様において、前記光開始剤の含有量は、前記ブラックバンク用感光性樹脂組成物の総重量を基準として、0.1~5重量%である。前記含有量範囲の時、パターンの実現時、現像マージンに優れてホールサイズ(CD)の変化幅が大きくない。
【0076】
本明細書の一実施態様において、前記着色剤は、ラクタム系ブラック、アニリンブラック、アントラキノン系黒色顔料、ペリレン系黒色顔料、アゾメチン系黒色顔料などの各種無機顔料または有機顔料が挙げられるが、これに限定されるものではなく、赤色顔料、青色顔料および緑色顔料などの有機顔料、および/または無機顔料の混合物を使用してもよい。
【0077】
好ましい有機顔料の具体例としては、2-ヒドロキシ-4-n-オクトキシベンゾフェノン、メチル-2-シアノアクリレート、2,4-ビス[2-ヒドロキシ-4-ブトキシフェニル]-6-(2,4-ジブトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、C.I.ピグメントブラック1、6、7、12、20、31、C.I.ピグメントブルー15:6、ピグメントレッド254、ピグメントグリーン36、ピグメントイエロー150などが挙げられ、1種を単独で使用するか2種以上を併用してもよい。
【0078】
本明細書の一実施態様において、前記着色剤の含有量は、前記ブラックバンク用感光性樹脂組成物の総重量を基準として、5~15重量%である。前記着色剤の含有量が5重量%未満の場合、十分な光学密度が確保されず、15重量%を超える場合、光学密度は容易に確保されてもパターン工程性が低くなる。
【0079】
本明細書の一実施態様において、前記溶媒は、アルキレングリコールアルキルエーテル類、アルキレングリコールアルキルエーテルアセテート類、アルコール類、ソルベントナフサ類などが挙げられる。なかでも、アルキレングリコールアルキルエーテル類、アルキレングリコールアルキルエーテルアセテート類、およびアルコール類からなる群より選択される1種以上の溶媒が好ましく、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルブチルエーテル、トリエチレングリコールメチルブチルエーテル、メチル3-メトキシプロピオネート、エチル3-エトキシプロピオネート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3-メトキシブチルアセテート、および2-プロパノールからなる群より選択される少なくとも1種の溶媒がさらに好ましい。
【0080】
具体的には、メチル-3-メトキシプロピオネート(144℃)、エチレングリコールメチルエーテル(125℃)、エチレングリコールエチルエーテル(135℃)、エチレングリコールジエチルエーテル(121℃)、ジブチルエーテル(140℃)、エチルピルベート(144℃)、プロピレングリコールメチルエーテル(121℃)、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(146℃)、n-ブチルアセテート(125℃)、イソブチルアセテート(116℃)、アミルアセテート(149℃)、イソアミルアセテート(143℃)、ブチルプロピオネート(146℃)、イソアミルプロピオネート(156℃)、エチルブチレート(120℃)、プロピルブチレート(143℃)、メチル-3-メトキシイソブチレート(148℃)、メチルグリコレート(150℃)、メチルラクテート(145℃)、エチルラクテート(154℃)、メチル-2-ヒドロキシイソブチレート(137℃)、エチルエトキシアセテート(156℃)、2-メトキシエチルアセテート(145℃)、エチレングリコールメチルエーテルアセテート(145℃)、2-エトキシエチルアセテート(156℃)、ジブチルエーテル(140℃)、シクロペンタノン(131℃)、シクロヘキサノン(155℃)、2-ヘキサノン(127℃)、3-ヘキサノン(123℃)、5-メチル-2-ヘキサノン(145℃)、2-ヘプタノン(150℃)、3-ヘプタノン(148℃)、4-ヘプタノン(145℃)、2-メチル-3-ヘプタノン(159℃)、1-メトキシ-2-プロパノール(118℃)、エチル-2-ヒドロキシ-プロピオネート(154℃)、エチル-3-メトキシプロピオネート(158℃)、2-メトキシエチルエーテル(162℃)、3-メトキシブチルアセテート(170℃)、2-エトキシエチルエーテル(185℃)、2-ブトキシエタノール(171℃)、3-エトキシ-プロパノール(161℃)、ジエチレングリコールドデシルエーテル(169℃)、ジプロピレングリコールメチルエーテル(188℃)、2,6-ジメチル-4-ヘプタノン(169℃)、2-オクタノン(173℃)、3-オクタノン(168℃)、3-ノナノン(188℃)、5-ノナノン(187℃)、4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノン(166℃)、2-メチルシクロヘキサノン(163℃)、3-メチルシクロヘキサノン(170℃)、4-メチルシクロヘキサノン(170℃)、2,6-ジメチルシクロヘキサノン(175℃)、2,2,6-トリメチルシクロヘキサノン(179℃)、シクロヘプタノン(179℃)、ヘキシルアセテート(169℃)、アミルブチレート(185℃)、イソプロピルラクテート(167℃)、ブチルラクテート(186℃)、エチル-3-ヒドロキシブチレート(170℃)、エチル-3-エトキシプロピオネート(170℃)、エチル-3-ヒドロキシブチレート(180℃)、プロピル-2-ヒドロキシ-プロピオネート(169℃)、プロピレングリコールジアセテート(186℃)、プロピレングリコールブチルエーテル(170℃)、プロピレングリコールメチルエーテルプロピオネート(160℃)、ジエチレングリコールジメチルエーテル(162℃)、ジエチレングリコールジメチルエーテルアセテート(165℃)、ジプロピレングリコールメチルエーテル(188℃)、ジプロピレングリコールジメチルエーテル(171℃)、エチレングリコールブチルエーテル(171℃)、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル(176℃)、ジエチレングリコールメチルイソプロピルエーテル(179℃)、エチレングリコールジエチルエーテル(189℃)、ブチルブチレート(165℃)、エチル-3-エトキシプロピオネート(170℃)、ジエチレングリコールモノメチルエーテル(194℃)、4-エチルシクロヘキサノン(193℃)、2-ブトキシエチルアセテート(192℃)、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(202℃)、ブチロールラクトン(204℃)、ヘキシルブチレート(205℃)、ジエチレングリコールメチルエーテルアセテート(209℃)、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル(212℃)、トリプロピルグリコールジメチルエーテル(215℃)、トリエチレングリコールジメチルエーテル(216℃)、エチレングリコールエチルエーテルアセテート(217℃)、ジエチレングリコールブチルエーテルアセテート(245℃)、3-エポキシ-1,2-プロパンジオール(222℃)、エチル-4-アセチルブチレート(222℃)、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(231℃)、トリプロピルグリコールメチルエーテル(242℃)、ジエチレングリコール(245℃)、2-(2-ブトキシエトキシ)エチルアセテート(245℃)、カテコール(245℃)、トリエチレングリコールメチルエーテル(249℃)、ジエチレングリコールジブチルエーテル(256℃)、トリエチレングリコールエチルエーテル(256℃)、ジエチレングリコールモノヘキチルエーテル(260℃)、トリエチレングリコールブチルメチルエーテル(261℃)、トリエチレングリコールブチルエーテル(271℃)、トリプロピルグリコール(273℃)、およびテトラエチレングリコールジメチルエーテル(276℃)からなる群より選択される1種以上の溶媒が好ましいが、これに限定されるものではない。
【0081】
本明細書の一実施態様において、前記溶媒の含有量は、前記ブラックバンク用感光性樹脂組成物の総重量を基準として、60~90重量%である。
【0082】
本明細書の一実施態様において、前記ブラックバンク用感光性樹脂組成物は、光架橋増感剤、硬化促進剤、密着促進剤、接着力増強剤、界面活性剤、酸化防止剤、熱重合防止剤、紫外線吸収剤、分散剤、およびレベリング剤からなる群より選択された1種以上の添加剤を追加的に含んでもよい。
【0083】
前記光架橋増感剤は、ベンゾフェノン、4,4-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2,4,6-トリメチルアミノベンゾフェノン、メチル-o-ベンゾイルベンゾエート、3,3-ジメチル-4-メトキシベンゾフェノン、3,3,4,4-テトラ(t-ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノンなどのベンゾフェノン系化合物;9-フルオレノン、2-クロロ-9-フルオレノン、2-メチル-9-フルオレノンなどのフルオレノン系化合物;チオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2-クロロチオキサントン、1-クロロ-4-プロピルオキシチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、ジイソプロピルチオキサントンなどのチオキサントン系化合物;キサントン、2-メチルキサントンなどのキサントン系化合物;アントラキノン、2-メチルアントラキノン、2-エチルアントラキノン、t-ブチルアントラキノン、2,6-ジクロロ-9,10-アントラキノンなどのアントラキノン系化合物;9-フェニルアクリジン、1,7-ビス(9-アクリジニル)ヘプタン、1,5-ビス(9-アクリジニルペンタン)、1,3-ビス(9-アクリジニル)プロパンなどのアクリジン系化合物;ベンジル、1,7,7-トリメチル-ビシクロ[2,2,1]ヘプタン-2,3-ジオン、9,10-フェナントレンキノンなどのジカルボニル化合物;2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチルペンチルホスフィンオキシドなどのホスフィンオキシド系化合物;メチル-4-(ジメチルアミノ)ベンゾエート、エチル-4-(ジメチルアミノ)ベンゾエート、2-n-ブトキシエチル-4-(ジメチルアミノ)ベンゾエートなどのベンゾエート系化合物;2,5-ビス(4-ジエチルアミノベンザル)シクロペンタノン、2,6-ビス(4-ジエチルアミノベンザル)シクロヘキサノン、2,6-ビス(4-ジエチルアミノベンザル)-4-メチル-シクロペンタノンなどのアミノシナジスト;3,3-カルボニルビニル-7-(ジエチルアミノ)クマリン、3-(2-ベンゾチアゾリル)-7-(ジエチルアミノ)クマリン、3-ベンゾイル-7-(ジエチルアミノ)クマリン、3-ベンゾイル-7-メトキシ-クマリン、10,10-カルボニルビス[1,1,7,7-テトラメチル-2,3,6,7-テトラヒドロ-1H,5H,11H-C1]-ベンゾピラノ[6,7,8-ij]-キノリジン-11-オンなどのクマリン系化合物;4-ジエチルアミノカルコン、4-アジドベンザルアセトフェノンなどのカルコン化合物;および2-ベンゾイルメチレン、3-メチル-b-ナフトチアゾリンからなる群より選択される1種以上を使用することができる。
【0084】
前記硬化促進剤としては、2-メルカプトベンゾイミダゾール、2-メルカプトベンゾチアゾール、2-メルカプトベンゾオキサゾール、2,5-ジメルカプト-1,3,4-チアジアゾール、2-メルカプト-4,6-ジメチルアミノピリジン、ペンタエリスリトール-テトラキス(3-メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトール-トリス(3-メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトール-テトラキス(2-メルカプトアセテート)、ペンタエリスリトール-トリス(2-メルカプトアセテート)、トリメチロールプロパン-トリス(2-メルカプトアセテート)、およびトリメチロールプロパン-トリス(3-メルカプトプロピオネート)からなる群より選択される1種以上を使用することができる。
【0085】
前記密着促進剤は、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2-メトキシエトキシ)-シラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2-(3,4-エトキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3-クロロプロピルトリメトキシシラン、3-メタアクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、および3-メルカプトプロピルトリメトキシシランからなるグループより選択された1種以上のものを使用することができる。
【0086】
前記接着力増強剤は、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2-メトキシエトキシ)-シラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2-(3,4-エトキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3-クロロプロピルトリメトキシシラン、3-メタアクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、および3-メルカプトプロピルトリメトキシシランからなる群より選択される1種以上を使用することができる。また、これらにのみ限定されず、当技術分野で知られている接着力増強剤を使用してもよい。
【0087】
前記酸化防止剤は、2,2-チオビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)、または2,6-g,t-ブチルフェノールなどを使用することができ、前記紫外線吸収剤は、2-(3-t-ブチル-5-メチル-2-ヒドロキシフェニル)-5-クロロ-ベンゾトリアゾール、またはアルコキシベンゾフェノンなどを使用することができる。
【0088】
前記熱重合防止剤としては、例えば、p-アニソール、ヒドロキノン、ピロカテコール(pyrocatechol)、t-ブチルカテコール(t-butyl catechol)、N-ニトロソフェニルヒドロキシアミンアンモニウム塩、N-ニトロソフェニルヒドロキシアミンアルミニウム塩、およびフェノチアジン(phenothiazine)からなる群より選択された1種以上を含むことができるが、これらにのみ限定されるものではなく、当技術分野で一般的に知られているものを含むことができる。
【0089】
前記紫外線吸収剤、分散剤、およびレベリング剤としては、当業界で一般的に用いられるものがすべて使用可能である。
【0090】
その他、前記感光性樹脂組成物は、カーボンブラック分散物、機能性を有する樹脂バインダー、多官能性モノマー、感放射線性化合物、およびその他の添加剤からなる群より1種以上選択される二次添加剤を追加的に含んでもよい。
【0091】
本明細書は、前記ブラックバンク用感光性樹脂組成物で製造されたブラックバンクを提供する。
【0092】
本明細書は、1)前記ブラックバンク用感光性樹脂組成物を基板上に塗布するステップと、2)前記塗布されたブラックバンク用感光性樹脂組成物を露光および現像してパターニングするステップと、3)パターニングされたブラックバンク用感光性樹脂組成物を硬化させるステップとを含むブラックバンクの製造方法を提供する。
【0093】
本明細書の一実施態様において、前記塗布されたブラックバンク用感光性樹脂組成物の現像時に使用する現像液は、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液である。
【0094】
本明細書の一実施態様に係るブラックバンク用感光性樹脂組成物は、従来のブラックバンクの開発は、KOH現像液に現像可能な感光性樹脂組成物とは異なり、TFTラインで使用するテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)現像液でパターンを実現するもので、実際のディスプレイパネルを作製するラインで既存の現像方式をそのまま使用できるため、KOH現像ラインを追加しなければならない費用負担が減少できる。
【0095】
本明細書に係るブラックバンクの製造方法において、前記1)ステップは、ブラックバンク用感光性樹脂組成物を塗布するステップであって、例えば、基板上に当技術分野で知られた方法を利用して塗布することができる。より具体的には、前記感光性樹脂組成物を塗布する方法は、スプレー(spray)法、ロール(roll)コーティング法、回転(spin)コーティング法、バー(bar)コーティング法、スリット(slit)コーティング法などを利用することができるが、これらにのみ限定されるものではない。
【0096】
この時、前記基板は、金属、紙、ガラス、プラスチック、シリコン、ポリカーボネート、ポリエステル、芳香族ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミドなどを使用することができ、これらの基板は、目的に応じてシランカップリング剤による薬品処理、プラズマ処理、イオンプレーティング、スパッタリング、気相反応法、真空蒸着などの適切な前処理を実施することができる。
【0097】
また、前記基板は、選択的に駆動用薄膜トランジスタが載せられていてもよいし、インジウムと酸化スズとの混合物(ITO)がスパッタリングされていてもよい。
【0098】
本明細書に係るブラックバンクの製造方法において、前記2)ステップは、塗布されたブラックバンク用感光性樹脂組成物を露光および現像するステップである。
【0099】
より具体的に説明すれば、プリベークされた塗布膜を所定のパターンマスクを介して紫外線を照射し、アルカリ水溶液によって現像して不必要な部分を除去してパターンを形成することができる。この時、現像方法としては、ディッピング(dipping)法、シャワー(shower)法、およびパドル(puddle)法などを制限なく適用可能である。現像時間は30~180秒である。前記現像液には、アルカリ水溶液として、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニアなどの無機アルカリ類;エチルアミン、N-プロピルアミンなどの1級アミン類;ジエチルアミン、ジ-n-プロピルアミンなどの2級アミン類;トリメチルアミン、メチルジエチルアミン、ジメチルエチルアミンなどの3級アミン類;ジメチルエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどの3級アルコールアミン類;ピロール、ピペリジン、n-メチルピペリジン、n-メチルピロリジン、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセン、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]-5-ノネンなどの環状3級アミン類;ピリジン、コリジン、ルチジン、キノリンなどの芳香族3級アミン類;テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシドなどの4級アンモニウム塩の水溶液などを使用することができる。
【0100】
現像後、流水洗浄を約10~50秒間行い、空気または窒素で乾燥させることによりパターンを形成することができる。このパターンをホットプレート(hot plate)、オーブン(oven)などの加熱装置を用いてポストベーク(post-bake)により完成した感光材パターンを得ることができる。この時、ポストベークの条件は、150~230℃で10~90分程度加熱することが好ましい。
【0101】
本明細書の感光性樹脂組成物を硬化させるための光源には、例えば、波長が250~450nmの光を発散する水銀蒸気アーク(arc)、炭素アーク、Xeアークなどがあるが、必ずしもこれらに限らない。
【0102】
本明細書に係るブラックバンクは、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)現像液に対する適切な現像性、遮光性およびホールの形成が容易であるという利点がある。
【0103】
以下、実施例を通じて本発明をより詳細に説明するが、下記の実施例は本明細書を例示するためのものに過ぎず、これらに本明細書の範囲を限定するものではない。なお、以下に示す実験例のうち、実験例1および2は、本願の実施例に該当する。
【0104】
<実施例>
下記の実験例1~8に使用されるバインダーの構造および合成法は、下記のとおりである。
【表1】
【0105】
<重合体A>
9,9-ビスフェノールフルオレンジグリシジルエーテル112gと4-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸63gを、325gのプロピレングリコールメチルエーテルアセテートと共に撹拌した。反応器の内部に窒素を流し、反応器を120℃に加熱した。24時間後に反応を終了し、重合体Aを得た。(Mw=2,710g/mol、86KOHmg/g)
【0106】
<重合体B1>
前記重合体A 150gに、2-アクリロイルオキシエチルイソシアネート4gとプロピレングリコールメチルエーテルアセテート9gを入れて、80℃に加熱した。19時間後に反応を終了し、二重結合のある重合体B1を得た。(B1:Mw=2,840g/mol、81KOHmg/g)
【0107】
<重合体B2>
前記重合体A 150gに、2-アクリロイルオキシエチルイソシアネート8gとプロピレングリコールメチルエーテルアセテート9gを入れて、80℃に加熱した。19時間後に反応を終了し、二重結合のある重合体B2を得た。(B2:Mw=3,100、75KOHmg/g)
【0108】
<重合体C>
前記重合体A 150gに、4-メタクリロキシエチルトリメリティックアンハイドライド(4-META)9gとプロピレングリコールメチルエーテルアセテート17gを入れて、80℃に加熱した。19時間後に反応を終了し、二重結合のある重合体Cを得た。(Mw=3,150g/mol、93KOHmg/g)
【0109】
<重合体D1>
前記重合体A 150gに、塩化メタクリロイル8gとプロピレングリコールメチルエーテルアセテート17gを入れて、80℃に加熱した。19時間後に反応を終了し、二重結合のある重合体D1を得た。(D1:Mw=2,760g/mol)
【0110】
<重合体D2>
前記重合体A 150gに、塩化メタクリロイル16gとプロピレングリコールメチルエーテルアセテート17gを入れて、80℃に加熱した。19時間後に反応を終了し、二重結合のある重合体D2を得た。(D2:Mw=2,840g/mol、67KOHmg/g)
【0111】
<重合体D3>
前記重合体A 150gに、塩化メタクリロイル40gとプロピレングリコールメチルエーテルアセテート17gを入れて、80℃に加熱した。19時間後に反応を終了し、二重結合のある重合体D3を得た。(D3:Mw=2,890g/mol、44KOHmg/g)
【0112】
<重合体E>
(9H-フルオレン-9,9-ジイル)ビス(4,1-フェニレンビス(オキシ)ビス(2-ヒドロキシプロパン-3,1-diyl))ジアクリレート202g、イソホロンジイソシアネート3-イソシアナトメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(エボニック社)19gをPGMEA180gに入れて80℃で12時間撹拌後、テトラヒドロフタリック無水酸22.5gを入れて追加的に12時間撹拌して、重合体Eを合成した(Mw=3,500g/mol、30KOHmg/g)
【0113】
<重合体F>
(9H-フルオレン-9,9-ジイル)ビス(4,1-フェニレンビス(オキシ)ビス(2-ヒドロキシプロパン-3,1-diyl))ジアクリレート200gと3,3,4,4-ビフェニルテトラカルボキシル無水酸16gをPGMA180gに入れて80℃で15時間撹拌後、テトラヒドロフタリック無水酸30gを追加的に12時間撹拌して、重合体Fを合成した。(Mw=3,700g/mol、100KOHmg/g>
【0114】
<重合体G>
アルドリッチ社(Cat No.474576、モノマー比率(mol%)4-ビニルフェノール:メチルメタクリレート=75:25)ポリ(4-ビニルフェノール-co-メチルメタクリレート)100gをPGMEA900gに溶かして、固形分10%の重合体Gを合成した。(Mw=11,000g/mol)
【0115】
<重合体H>
2,2'-ビス-3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル-ヘキサフルオロプロパン(320g)と3,3',4,4'-オキシジフタル無水酸(212g)をPGMEA(1180g)に入れて80℃で撹拌した後、ガンマ-バレロラクタム(16g)、トリメリック無水酸(74g)、トリエチルアミン(58g)を入れて175℃で12時間撹拌させた。この前駆体に2-アクリロイルオキシエチルイソシアネート(19g)を入れて80℃で19時間撹拌させて、重合体Hを得た。(Mw=5,200g/mol、イミド化度=92%)
【0116】
<実験例1>
ラクタムブラック(BK-5108、Tokushiki社、含有量16%)400g、アルカリ可溶性アクリルバインダーとして、重合体G(アルドリッチ)120g、重合体E 60g、重合体F 10g、重合体B1 80g、多官能性モノマーとしてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート36g、光重合開始剤としてOXE-02(バスフ社)4g、密着促進剤として3-メタアクリルオキシプロピルトリメトキシシラン5g、レベリング剤としてBYK-307(アルタナ社)2g、溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート43g、および3-メトキシブチルアセテート240gを混合した。
【0117】
その後、前記混合物を5時間撹拌して、感光性樹脂組成物を製造した。
【0118】
<実験例2>
ラクタムブラック(BK-5108、Tokushiki社、含有量16%)400g、アルカリ可溶性アクリルバインダーとして、重合体G(アルドリッチ)120g、重合体B1 60g、重合体H 88g、多官能性モノマーとしてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート38g、光重合開始剤としてOXE-02(バスフ社)4g、密着促進剤として3-メタアクリルオキシプロピルトリメトキシシラン5g、レベリング剤としてBYK-307(アルタナ社)2g、溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート43g、および3-メトキシブチルアセテート240gを混合した。
【0119】
その後、前記混合物を5時間撹拌して、感光性樹脂組成物を製造した。
【0120】
<実験例3>
ラクタムブラック(BK-5108、Tokushiki社、含有量16%)400g、アルカリ可溶性アクリルバインダーとして、重合体G(アルドリッチ)120g、重合体E 60g、重合体F 10g、重合体A 80g、多官能性モノマーとしてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート36g、光重合開始剤としてOXE-02(バスフ社)4g、密着促進剤として3-メタアクリルオキシプロピルトリメトキシシラン5g、レベリング剤としてBYK-307(アルタナ社)2g、溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート43g、および3-メトキシブチルアセテート240gを混合した。
【0121】
その後、前記混合物を5時間撹拌して、感光性樹脂組成物を製造した。
【0122】
<実験例4>
ラクタムブラック(BK-5108、Tokushiki社、含有量16%)400g、アルカリ可溶性アクリルバインダーとして、重合体G(アルドリッチ)120g、重合体E 60g、重合体F 10g、重合体B2 80g、多官能性モノマーとしてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート36g、光重合開始剤としてOXE-02(バスフ社)4g、密着促進剤として3-メタアクリルオキシプロピルトリメトキシシラン5g、レベリング剤としてBYK-307(アルタナ社)2g、溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート43g、および3-メトキシブチルアセテート240gを混合した。
【0123】
その後、前記混合物を5時間撹拌して、感光性樹脂組成物を製造した。
【0124】
<実験例5>
ラクタムブラック(BK-5108、Tokushiki社、含有量16%)400g、アルカリ可溶性アクリルバインダーとして、重合体G(アルドリッチ)120g、重合体E 60g、重合体F 10g、重合体C 80g、多官能性モノマーとしてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート36g、光重合開始剤としてOXE-02(バスフ社)4g、密着促進剤として3-メタアクリルオキシプロピルトリメトキシシラン5g、レベリング剤としてBYK-307(アルタナ社)2g、溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート43g、および3-メトキシブチルアセテート240gを混合した。
【0125】
その後、前記混合物を5時間撹拌して、感光性樹脂組成物を製造した。
【0126】
<実験例6>
ラクタムブラック(BK-5108、Tokushiki社、含有量16%)400g、アルカリ可溶性アクリルバインダーとして、重合体G(アルドリッチ)120g、重合体D1 78g、重合体H 80g、多官能性モノマーとしてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート38g、光重合開始剤としてOXE-02(バスフ社)4g、密着促進剤として3-メタアクリルオキシプロピルトリメトキシシラン5g、レベリング剤としてBYK-307(アルタナ社)2g、溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート33g、および3-メトキシブチルアセテート240gを混合した。
【0127】
その後、前記混合物を5時間撹拌して、感光性樹脂組成物を製造した。
【0128】
<実験例7>
ラクタムブラック(BK-5108、Tokushiki社、含有量16%)400g、アルカリ可溶性アクリルバインダーとして、重合体G(アルドリッチ)120g、重合体D2 78g、重合体H 80g、多官能性モノマーとしてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート38g、光重合開始剤としてOXE-02(バスフ社)4g、密着促進剤として3-メタアクリルオキシプロピルトリメトキシシラン5g、レベリング剤としてBYK-307(アルタナ社)2g、溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート33g、および3-メトキシブチルアセテート240gを混合した。
【0129】
その後、前記混合物を5時間撹拌して、感光性樹脂組成物を製造した。
【0130】
<実験例8>
ラクタムブラック(BK-5108、Tokushiki社、含有量16%)400g、アルカリ可溶性アクリルバインダーとして、重合体G(アルドリッチ)120g、重合体D3 78g、重合体H 80g、多官能性モノマーとしてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート38g、光重合開始剤としてOXE-02(バスフ社)4g、密着促進剤として3-メタアクリルオキシプロピルトリメトキシシラン5g、レベリング剤としてBYK-307(アルタナ社)2g、溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート33g、および3-メトキシブチルアセテート240gを混合した。
【0131】
その後、前記混合物を5時間撹拌して、感光性樹脂組成物を製造した。
【0132】
前記実験例1~8で製造した感光性樹脂組成物溶液をITO薄膜が蒸着されたガラス基板にスピンコーティングし、40Paまで減圧乾燥(VCD)を進行させて溶媒を除去した後、約100℃に2分間前熱処理して塗膜を形成した。現像密着性を見るために、フォトマスクを用いて、高圧水銀ランプ下、80mJ/cmのエネルギーで露光させた。前記露光した基板を22℃の温度で2.38%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液でパドル方式で現像した後、純水で20秒間スピン&スプレー方式で洗浄し、乾燥させて、230℃のコンベクションオーブンで30分間ポストベーク(post-bake)して、厚さ2.5μmおよび光学密度3.75の基板を作製して、下記の評価例1~4を進行させた。
【0133】
-現像時間:2.38%TMAH水溶液でpuddle現像する時間
-Hole:非露光部位で現像液によって洗い流された部分陽極(anode)
-直進性:ホールが生成された両側面部の真っ直ぐな程度
-Taper:hole形成後にコーティングされた面とホールをなす断面の角度
-10μm:10μmサイズのmask非露光部で現像後に得られるホールパターンの大きさ
-15μm:15μmサイズのmask非露光部で現像後に得られるホールパターンの大きさ
【0134】
<評価例1:直進性評価>
ポストベーク後に得たフィルムは、膜厚さが約2.5μmで非露光部位に活性領域(active area=anode)のホールパターンが形成されている。ホールパターンの形成においてホール末端がマスク状に形成されたか、ホールをなしている断面の直進性を走査電子顕微鏡(SEM)により評価した。
【0135】
<評価例2:現像マージン評価>
現像を10秒間隔にしてホールパターンのCD変化率を評価した。
【0136】
図1図5は、実験例1~5の直進性および現像マージンの評価結果を示すものである。
【0137】
図1は、実験例1で現像後の評価結果であって、50゜以内のtaper角度でホールが形成されたことが分かる。また、10μmのホールで現像時間が10秒ずつ増加するにつれ、ホールサイズの変化が約0.16μm程度と優れた現像マージンを有することが分かる。
【0138】
図2は、実験例2で現像後の評価結果であって、50゜以内のtaper角度でホールが形成されたことが分かる。また、ホールの絶対的な大きさが実験例1よりは大きいものの、感度調節で解決することができ、10μmのホールで現像時間が10秒ずつ増加するにつれ、ホールサイズの変化が約0.16μm程度に形成されたことが分かる。
【0139】
図3は、実験例3で現像後の評価結果であって、現像110sでの直進性が実験例1に比べて良くないことが分かる。また、10μmのホールパターンにおいて現像時間が10秒ずつ増加するにつれ、ホールパターンの大きさの変化が約0.40μmと実験例1および2に比べて大きい。
【0140】
図4は、実験例4で現像後の評価結果であって、ホールパターンおよび直進性が良くないことが分かる。また、10μmのホールで現像時間が10秒ずつ増加するにつれ、ホールサイズの変化が約0.26μmと実験例1および2に比べて大きい。
【0141】
図5は、実験例5で現像後の評価結果であって、実験例1は、本明細書の化学式1のA2がカルバメート基のB1が含まれるのに対し、実験例5の重合体Cは、エステルグループで置換基が連結されている。この場合、直進性は良いものの、10μmのホールで現像時間が10秒ずつ増加するにつれ、ホールサイズの変化が約1.99μm程度と実験例1に比べて大きいので、現像マージンが不十分であることが分かる。
【0142】
<評価例3:残渣評価>
ポストベーク後に得たフィルムは、膜厚さが約2.5μmと非露光部位にアクティブエリアのホールパターンが形成されている。前記ホールパターンに感光性樹脂組成物が残っているか否かを光学顕微鏡により評価した。
【0143】
図6は、実験例1~5の残渣評価を示すものである。
【0144】
図6で、実験例1および2は、ホール内部に残渣がなく、肉眼で直進性が良いことが確認されるのに対し、実験例3および5は、直進性はあるものの、残渣が観察され、実験例4は、残渣はないものの、直進性が良くないことを確認することができる。
【0145】
<評価例4:むしれ評価>
現像直後に肉眼で全体ガラスのむしれの有無を確認した。
【0146】
図7は、実験例6のむしれ評価結果を示すものである。実験例6~8は、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)現像液に対して相溶性が低下してむしれる形態で、直進性および残渣確認の工程性評価ができないことが分かる。
【0147】
前記評価例1~4の評価結果を下記表2に示した。
【表2】
〇:良い、△:普通、×:悪い
【0148】
前記表2に示されるように、本明細書の化学式1の繰り返し単位を有する高分子樹脂化合物を含むブラックバンク用感光性樹脂組成物である実験例1および2は、従来の実験例3および4に比べて直進性に優れていることが分かる。
【0149】
また、ポストベーク後に得たフィルムの非露光部位に形成されるアクティブエリアのホールパターンは、ITO薄膜があって陽極(anode)として用いられるが、ホールパターンに感光性樹脂が残渣として残っていれば、不良画素、輝度低下および素子寿命低下の原因になる。前記実験例1および2は、従来の実験例3に比べて残渣が残っておらず、不良画素、輝度低下および素子寿命低下を防止するのに優れた効果があることが分かる。
【0150】
さらに、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液を用いてパドル(puddle)方式で現像をする場合、ガラス基板に塗布された感光性樹脂組成物が現像液と接触するのに時間差が発生するので、安定した現像マージンが必要である。前記実験例1および2は、10秒あたりCD変化率が0.16μmに過ぎず、実験例3~5に比べて現像マージンが安定的であるので、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)耐現像性に優れた効果があることが分かる。
【0151】
また、感光性樹脂組成物は、組成物の現像能力によって現像時にむしれる形態の剥離が現れることがあり、この場合、正しいパターンを実現しにくい。したがって、ITO薄膜が蒸着された基板に対する付着力が良くなければならず、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)現像液に対する耐現像性がなければならない。前記実験例1および2は、実験例6~8に比べてむしれる現象なしにパターンの実現が良くなることを確認することができる。
【0152】
以上、本明細書の好ましい実施例について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、特許請求の範囲と発明の詳細な説明の範囲内で多様に変形して実施することが可能であり、これも発明の範疇に属する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7