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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-07
(45)【発行日】2022-03-15
(54)【発明の名称】表面保護物質を用いた薄膜形成方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/312 20060101AFI20220308BHJP
   H01L 21/316 20060101ALI20220308BHJP
【FI】
H01L21/312 A
H01L21/312 N
H01L21/316 X
H01L21/316 M
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020138578
(22)【出願日】2020-08-19
(65)【公開番号】P2021077860
(43)【公開日】2021-05-20
【審査請求日】2020-08-19
(31)【優先権主張番号】10-2019-0140104
(32)【優先日】2019-11-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】518176264
【氏名又は名称】イージーティーエム カンパニー リミテッド
(73)【特許権者】
【識別番号】310024033
【氏名又は名称】エスケーハイニックス株式会社
【氏名又は名称原語表記】SK hynix Inc.
【住所又は居所原語表記】2091, Gyeongchung-daero,Bubal-eub,Icheon-si,Gyeonggi-do,Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110002398
【氏名又は名称】特許業務法人小倉特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】イ,グン-ス
(72)【発明者】
【氏名】キム,ジェ ミン
(72)【発明者】
【氏名】キム,ハ ナ
(72)【発明者】
【氏名】チェ,ウン ジン
(72)【発明者】
【氏名】チョン,ウン エ
(72)【発明者】
【氏名】イ,ドン ヒョン
(72)【発明者】
【氏名】イ,ミュン ス
(72)【発明者】
【氏名】ムン,ジ ウォン
(72)【発明者】
【氏名】チャン,ドン ハク
(72)【発明者】
【氏名】ノ,ヒョン シク
【審査官】宇多川 勉
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-006753(JP,A)
【文献】特表2020-530661(JP,A)
【文献】特開2017-208534(JP,A)
【文献】特開2017-201653(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/312
H01L 21/316
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面保護物質を用いた薄膜形成方法において,
基板が載置されたチャンバの内部に,前記表面保護物質を供給して,前記表面保護物質を前記基板に吸着する,表面保護物質供給工程;
前記チャンバの内部を浄化することにより,前記チャンバの内部から未吸着の表面保護物質を除去する,未吸着表面保護物質除去工程;
前記チャンバの内部に金属前駆体を供給して前記金属前駆体を前記基板に吸着する金属前駆体供給工程;
前記チャンバの内部を浄化することにより,前記チャンバの内部から未吸着の金属前駆体を除去する,未吸着金属前駆体除去工程;及び
前記チャンバの内部に反応物質を供給して,該反応物質が吸着された前記金属前駆体と反応して薄膜を形成する薄膜形成工程とを含
前記表面保護物質は,下記<化学式1>として表される,表面保護物質を用いた薄膜形成方法。
前記<化学式1>において,nは1,2の中から選択されたいずれか一つであり,
XはCH ,O,S,NHの中から選択されたいずれか一つであり,
Rは炭素数1~5のアルキル基の中から選択される。
【請求項2】
表面保護物質を用いた薄膜形成方法において,
基板が載置されたチャンバの内部に,前記表面保護物質を供給して,前記表面保護物質を前記基板に吸着する,表面保護物質供給工程;
前記チャンバの内部を浄化することにより,前記チャンバの内部から未吸着の表面保護物質を除去する,未吸着表面保護物質除去工程;
前記チャンバの内部に金属前駆体を供給して前記金属前駆体を前記基板に吸着する金属前駆体供給工程;
前記チャンバの内部を浄化することにより,前記チャンバの内部から未吸着の金属前駆体を除去する,未吸着金属前駆体除去工程;及び
前記チャンバの内部に反応物質を供給して,該反応物質が吸着された前記金属前駆体と反応して薄膜を形成する薄膜形成工程とを含み,
前記表面保護物質は,下記<化学式2>として表される,表面保護物質を用いた薄膜形成方法。
前記<化学式2>において,nは1,2の中から選択されたいずれか一つであり,
XはCH ,O,S,NHの中から選択されたいずれか一つであり,
Rは炭素数1~5のアルキル基の中から選択される。
【請求項3】
前記表面保護物質は,下記<化学式3>として表される,請求項記載の表面保護物質を用いた薄膜形成方法。
【請求項4】
前記表面保護物質は,下記<化学式4>として表される,請求項記載の表面保護物質を用いた薄膜形成方法。
【請求項5】
前記反応物質は水蒸気(HO),酸素(O),及びオゾン(O)の中から選択される,請求項1又は2記載の表面保護物質を用いた薄膜形成方法。
【請求項6】
前記金属前駆体は,Alを含む3族金属,Zr及びHfを含む4族金属,Nb及びTaを含む5族金属の少なくとも1つを含む化合物である,請求項1又は2記載の表面保護物質を用いた薄膜形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,薄膜形成方法に関するもので,より詳細には,表面保護物質を用いた薄膜形成方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体加工の分野において,蒸着工程は,基板上に物質を蒸着させる重要な工程であり,電子機器の外形が縮小化し続けて機器の密集度が増加するにつれて外観の縦横比は,ますます増加する。したがって,ステップカバレッジ(step coverage)が良好な工程が注目されており,特に原子層堆積(ALD)がかなりの関心を集めている。
【0003】
原子層堆積(ALD)工程の間に反応ガスは,逐次的に,基板が載置された工程チャンバに供給される。最初の反応ガスは,工程チャンバに供給され,基板の表面に吸着される。第二の反応ガスは,工程チャンバに供給され,最初の反応ガスを介して吸着された物質と反応して蒸着物質を形成する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は,ステップカバレッジが良好な薄膜を形成することができる方法を提供することにある。
【0005】
本発明の他の目的は,ALD工程が可能な温度範囲を大幅に改善することができる薄膜形成方法を提供することにある。
【0006】
本発明の他の目的は,以下の詳細な説明からより明確になるだろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施例によれば,表面保護物質を用いた薄膜形成方法は,基板が載置されたチャンバの内部に,前記表面保護物質を供給して,前記表面保護物質を前記基板に吸着する,表面保護物質供給工程;前記チャンバの内部を浄化(purge)することにより,前記チャンバの内部から未吸着の表面保護物質を除去する,未吸着表面保護物質除去工程;前記チャンバの内部に金属前駆体を供給して前記金属前駆体を前記基板に吸着する金属前駆体供給工程;前記チャンバの内部を浄化することにより,前記チャンバの内部から未吸着の金属前駆体を除去する,未吸着金属前駆体除去工程;及び,前記チャンバの内部に反応物質を供給して,該反応物質が吸着された前記金属前駆体と反応して薄膜を形成する薄膜形成工程を含む。
【0008】
前記表面保護物質は,下記<化学式1>として表されることができる。
【化1】
【0009】
前記<化学式1>において,nは1,2の中から選択されたいずれか一つであり,
XはCH,O,S,NHの中から選択されたいずれか一つであり,
Rは炭素数1~5のアルキル基の中から選択される。
【0010】
前記表面保護物質は,下記<化学式2>として表されることができる。
【化2】
【0011】
前記<化学式2>において,nは1,2の中から選択されたいずれか一つであり,
XはCH,O,S,NHの中から選択されたいずれか一つであり,
Rは炭素数1~5のアルキル基の中から選択される。
【0012】
前記表面保護物質は,下記<化学式3>として表されることができる。
【化3】
【0013】
前記表面保護物質は,下記<化学式4>として表されることができる。
【化4】
【0014】
前記反応物質は水蒸気(HO),酸素(O),及びオゾン(O)の中から選択されることができる。
【0015】
前記金属前駆体は,Alを含む3族金属,Zr又はHfを含む4族金属,Nb又はTaを含む5族金属の少なくとも1つを含む化合物であることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の一実施例によれば,ステップカバレッジが良好な薄膜を形成することができる。表面保護物質は,蒸着工程進行中の金属前駆体と同様の挙動を有し,高縦横比(例えば,40:1以上)のトレンチ(trench)構造で,トレンチの上部(又は入口側)では高い密度で吸着され,トレンチの下部(又は底部側)では低密度で吸着され,その後の工程で,表面保護物質は金属前駆体が吸着されることを妨害する。したがって,金属前駆体は,トレンチ内に均一に吸着されることができる。
【0017】
また,表面保護物質は,温度上昇に伴うGPCの増加幅を緩和させ,これにより,ALD工程が可能な温度範囲(ALD Window)を増大させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施例による薄膜形成方法を概略的に示すフローチャートである。
図2】本発明の実施例に係る供給サイクルを概略的に示すグラフである。
図3】本発明の比較例に係るハフニウム酸化膜のGPCを工程温度に応じて示したグラフである。
図4】本発明の実施例1による表面保護物質のDSCを示すグラフである。
図5】本発明の比較例及び実施例1によるハフニウム酸化膜のGPCを工程温度に応じて示したグラフである。
図6】本発明の実施例2による表面保護物質のDSCを示すグラフである。
図7】本発明の比較例及び実施例1,2によるハフニウム酸化膜のGPCを工程温度に応じて示したグラフである。
図8】本発明の比較例及び実施例1,2の温度の増加に伴うGPC増加率を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明は表面保護物質を用いた薄膜形成方法に関し,以下に添付した化学式を利用して本発明の実施例を説明する。本発明の実施例は様々な形態に変更されてもよく,本発明の範囲が以下で説明する実施例に限定すると解釈されてはならない。
【0020】
従来の単独の前駆体を使用した蒸着工程は,高縦横比(例えば,40:1以上)のトレンチ構造で,上部(又は入口側)は薄膜が厚くなって,下部(又は底部側)は薄膜が薄くなるなど,薄膜が不均一で,ステップカバレッジが不良となる問題がある。
【0021】
しかし,以下で説明する表面保護物質は,金属前駆体と同様に挙動し,トレンチの下部より上部に高い密度で吸着された状態で,後続の工程で金属前駆体が吸着されることを妨げることにより,金属前駆体が反応物質と反応して,トレンチ内に均一な厚さの薄膜を形成できるようにする。
【0022】
図1は,本発明の実施例による薄膜形成方法を概略的に示すフローチャートであり,図2は,本発明の実施例に係る供給サイクルを概略的に示すグラフである。基板は,工程チャンバの内部に載置され,以下のALD工程条件は調整される。ALD工程条件は,基板又は工程チャンバの温度,チャンバ圧力,ガス流量を含むことができ,温度は200~600℃である。
【0023】
基板は,チャンバの内部に供給された表面保護物質にさらされており,表面保護物質は,基板の表面に吸着される。表面保護物質は,蒸着工程が進行中の金属前駆体と同様の挙動を有し,高縦横比(例えば,40:1以上)のトレンチ構造で,上部(又は入口側)では高い密度で吸着され,下部(又は底部側)では低密度で吸着され,その後の工程で金属前駆体が吸着されていることを妨害する。
【0024】
表面保護物質は,下記<化学式1>として表されることができる。
【化5】
【0025】
前記<化学式1>において,nは1,2の中から選択されたいずれか一つであり,
XはCH,O,S,NHの中から選択されたいずれか一つであり,
Rは炭素数1~5のアルキル基の中から選択される。
【0026】
また,前記表面保護物質は,下記<化学式2>として表されることができる。
【化6】
【0027】
前記<化学式2>において,nは1,2の中から選択されたいずれか一つであり,
XはCH,O,S,NHの中から選択されたいずれか一つであり,
Rは炭素数1~5のアルキル基の中から選択される。
【0028】
また,より具体的には,前記<化学式1>は,下記<化学式3>として表されることができる。
【化7】
【0029】
また,より具体的には,前記<化学式2>は,下記<化学式4>として表されることができる。
【化8】
【0030】
以後,チャンバの内部に浄化(purge)ガス(例えば,Arのような不活性ガス)を供給して,未吸着表面保護物質又は副産物を除去したり,清潔にする。
【0031】
以後,基板は,チャンバの内部に供給された金属前駆体にさらされており,基板の表面に金属前駆体が吸着される。金属前駆体は,Alのような3族を含むかZr,Hfなどの4族を含むか,Nb又はTaなどの5族を含むことができる。
【0032】
例えば,説明すると,前述した表面保護物質は,トレンチの上部では下部より密に吸着され,金属前駆体は表面保護物質が吸着された位置に吸着することができない。すなわち,従来の金属前駆体は,トレンチの上部では下部より密に吸着されて,高い密度を示したが,本実施例のように,表面保護物質がトレンチの上部に密に吸着されて,トレンチの上部における金属前駆体の吸着を妨害するので,金属前駆体はトレンチの上部に過吸着されず,トレンチの上部/下部に均一に吸着することができ,後述する薄膜のステップカバレッジを向上させることができる。
【0033】
以後,チャンバの内部に浄化ガス(例えば,Arのような不活性ガス)を供給して,未吸着の金属前駆体又は副産物を除去したり,清潔にする。
【0034】
以後,基板は,チャンバの内部に供給された反応物質にさらされており,基板の表面に薄膜が形成される。反応物質は,金属前駆体層と反応して薄膜を形成し,反応物質はO,O,HOガスであることができ,反応物質を使用して,金属酸化膜が形成されることができる。この際,反応物質は,吸着された表面保護物質を酸化させ,基板の表面から分離して除去する。
【0035】
以後,チャンバの内部に浄化ガス(例えば,Arのような不活性ガス)を供給して,未吸着表面保護物質/未反応物質又は副産物を除去したり,清潔にする。
【0036】
一方,表面保護物質が金属前駆体よりも先に供給されるものとして前述したが,これとは異なり,表面保護材料は,金属前駆体の後に供給されたり,金属前駆体は,以前と以後の両方に供給することができる。
【0037】
-比較例
前述した表面保護物質を使用せずに,シリコン基板上にハフニウム酸化膜を形成した。ALD工程を使用してハフニウム酸化膜を形成し,ALD工程温度は300~360℃,反応物質は,Oガスを使用した。
【0038】
ALD工程を通じたハフニウム酸化膜の形成過程は,以下の通りで,下の過程を1サイクルとして行った。
1)Arをキャリア(carrier)ガスとして,常温でハフニウム(Hf)前駆体を反応チャンバに供給して,基板にハフニウム前駆体を吸着
2)反応チャンバ内にArガスを供給して未吸着ハフニウム前駆体又は副産物を除去
3)Oガスを反応室に供給してモノレイヤー(monolayer)を形成
4)反応チャンバ内にArガスを供給して未反応物質又は副産物を除去
【0039】
図3は,本発明の比較例に係るハフニウム酸化膜のGPC(サイクル当たりの成長率,Growth Per Cycle)を工程温度に応じて示したグラフである。図3に示すように,基板の温度320℃までALD挙動を示すか,320~340℃の区間でGPCが2.6%増加し,320℃以上で,基板の温度が上昇するにつれてGPCが増加する挙動を示す。
【0040】
-実施例1
表面保護物質でMTHF(2-メチルテトラヒドロフラン:2-Methyl tetrahydrofuran)を使用して,シリコン基板上にハフニウム酸化膜を形成した。ALD工程を使用してハフニウム酸化膜を形成し,ALD工程温度は300~360℃,反応物質は,Oガスを使用した。
【0041】
ALD工程を通じたハフニウム酸化膜の形成過程は,以下の通りで,下の過程を1サイクルとして行った(図1及び図2参照)。
1)反応チャンバ内に表面保護物質(MTHF)を供給して基板に吸着
2)反応チャンバ内にArガスを供給して,未吸着表面保護物質又は副産物を除去
3)Arをキャリアガスとして,常温でハフニウム(Hf)前駆体を反応チャンバに供給して,基板にハフニウム前駆体を吸着
4)反応チャンバ内にArガスを供給して,未吸着ハフニウム前駆体又は副産物を除去
5)Oガスを反応室に供給してモノレイヤー(monolayer)を形成
6)反応チャンバ内にArガスを供給して未反応物質又は副産物を除去
【0042】
図4は,本発明の実施例1による表面保護物質のDSC(示差走査熱量分析)を示すグラフである。400℃までの表面保護物質の分解ピーク(上方向)が検出されないため,高温で使用しても分解されず,表面保護効果を有することがわかる。
【0043】
図5は,本発明の比較例及び実施例1によるハフニウム酸化膜のGPCを工程温度に応じて示したグラフである。320℃~340℃の区間を見ると,比較例の場合GPCが2.6%増加する一方で,MTHFを表面保護物質として使用した実施例1の場合GPCは1.2%に増加してGPC増加幅が減少し,340℃までALD Windowが広がる効果を示した。
【0044】
-実施例2
表面保護物質をCPME(シクロペンチルメチルエーテル:Cyclopentyl methyl ether)に変更することを除いて,実施例1と同様の方法でハフニウム酸化膜を形成した。
【0045】
図6は,本発明の実施例2による表面保護物質のDSC(示差走査熱量分析)を示すグラフである。400℃までの表面保護物質の分解ピーク(上方向)が検出されないため,高温で使用しても分解されず,表面保護効果を有することがわかる。
【0046】
図7は,本発明の比較例及び実施例1,2によるハフニウム酸化膜のGPCを工程温度に応じて示したグラフであり,図8は,本発明の比較例及び実施例1,2の温度の増加に伴うGPC増加率を示す表である。320℃~340℃の区間を見ると,比較例の場合,GPCが2.6%増加する一方で,MTHFを表面保護物質として使用した実施例1の場合GPCは1.2%に増加してGPC増加幅が減少し,340℃までALD Windowが広がる効果を見せ,CPMEを表面保護物質として使用した実施例2の場合,GPCは0.48%に増加してGPC増加幅が減少し,340℃までALD Windowが広がる効果を示した。
【0047】
結論としては,表面保護物質は,温度上昇に伴うGPCの増加幅を緩和させ,これにより,ALDプロセスが可能な温度範囲を増大させることができる。また,表面保護物質は,蒸着工程が進行中の金属前駆体と同様の挙動を有し,高アスペクト比(例えば,40:1以上)のトレンチ構造で,上部(又は入口側)では高い密度で吸着され,下部(又は内部側)では低密度で吸着され,その後の工程で金属前駆体が吸着されていることを妨害する。したがって,金属前駆体は,トレンチ内に均一に吸着されることができる。
【0048】
具体的には,本発明の比較例及び実施例1,2によるハフニウム酸化膜のステップカバレッジを比較すると以下の通りで,実施例1,2の場合,比較例に比べてステップカバレッジが大幅に改善されたことを確認することができる。
【0049】
【表1】
【0050】
これまで本発明を実施例を介して詳細に説明したが,これとは異なる形態の実施例も可能である。よって,以下に記載する請求項の技術的思想と範囲は実施例に限らない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8