(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-07
(45)【発行日】2022-03-15
(54)【発明の名称】プロセス制御パラメータを生成するために機械学習アプローチを使用する半導体製造
(51)【国際特許分類】
H01L 21/304 20060101AFI20220308BHJP
B24B 37/005 20120101ALI20220308BHJP
B24B 49/04 20060101ALI20220308BHJP
G05B 13/02 20060101ALI20220308BHJP
【FI】
H01L21/304 622R
H01L21/304 622K
B24B37/005 A
B24B49/04 Z
G05B13/02 L
(21)【出願番号】P 2020516913
(86)(22)【出願日】2018-09-20
(86)【国際出願番号】 US2018052001
(87)【国際公開番号】W WO2019060577
(87)【国際公開日】2019-03-28
【審査請求日】2020-05-15
(32)【優先日】2017-09-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ダンダパーニ, シヴァクマール
(72)【発明者】
【氏名】チエン, チュン
【審査官】内田 正和
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-520124(JP,A)
【文献】米国特許第07001243(US,B1)
【文献】米国特許第06594024(US,B1)
【文献】中国実用新案第202264145(CN,U)
【文献】特開2018-118372(JP,A)
【文献】特開平4-65632(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
B24B 37/005
B24B 37/013
B24B 37/30
B24B 49/04
B24B 49/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を処理する方法であって、
第1の複数の基板
のそれぞれの第1の基板に、前記それぞれの第1の基板の外側層の厚さを変更する
、研磨システムによる化学機械研磨を含むプロセスを行うこと、
それぞれの第1の基板について、
前記プロセスに使用される一群のプロセスパラメータ値を記録し、したがって、複数の群のプロセスパラメータ値を生成し、
ここで、プロセスパラメータは、研磨プロセス中に前記研磨システムによって制御可能なパラメータであり、且つ
前記プロセスに使用される少なくとも1つの状態パラメータ値を記録し、したがって、複数の状態パラメータ値を生成すること、
ここで、状態パラメータは、研磨装置又は研磨環境の状態を反映し、且つ制御パラメータではないパラメータであり、
それぞれの第1の基板について、モニタリングシステムを用いて前記プロセス中又は前記プロセス後に前記外側層の除去プロファイルを測定し、したがって、複数の除去プロファイルを生成すること、
前記複数の群のプロセスパラメータ値、前記複数の状態パラメータ値、及び前記複数の除去プロファイルを訓練データとして使用して、逆伝播によって人工ニューラルネットワークを訓練するこ
と、ここで、前記人工ニューラルネットワークが
、前記除去プロファイルからそれぞれの除去値を受け取るように構成され
た少なくとも幾つか
の入力ノードと状態パラメータ値を受け取るように構成され
た少なくとも幾つか
の入力ノードとを有する複数の入力ノード、制御パラメータ値を出力するための複数の出力ノード、及び前記入力ノードを前記出力ノードに接続する複数の隠れノードを有
し、
第2の複数の基板
のそれぞれの第2の基板向けに、目標除去プロファイル及び状態パラメータ値を特定すること、
それぞれの第2の基板について、前記人工ニューラルネットワークの前記入力ノードに、前記それぞれの
第2の基板向けの、前記目標除去プロファイル及び前記状態パラメータ値を適用することによって、前記人工ニューラルネットワークの前記出力ノードから前記それぞれの第2の基板に適用されるそれぞれの制御パラメータ値を特定すること、並びに
前記それぞれの制御パラメータ値を使用して
、それぞれの第2の基板に前記プロセスを行うことを含む、方法。
【請求項2】
前記制御パラメータ値が、研磨パッドに対して基板を保持するためのキャリアヘッド内のチャンバの圧力を含む、請求項
1に記載の方法。
【請求項3】
前記制御パラメータ値が、プラテン回転速度、キャリアヘッド回転速度、又は研磨時間のうちの1以上を含む、請求項
2に記載の方法。
【請求項4】
前記状態パラメータ値が、保持リングの寿命又は研磨パッドの寿命のうちの1以上を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記目標除去プロファイルを特定することが、所望の厚さプロファイルを記憶すること、前記それぞれの第2の基板の測定された厚さプロファイルを受け取ること、及び前記測定された厚さプロファイルと前記所望の厚さプロファイルの差異を特定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記測定された厚さプロファイルを受け取ることが、前記モニタリングシステムを用いて、前記それぞれの第2の基板の厚さプロファイルを測定することを含む、請求項
5に記載の方法。
【請求項7】
基板の処理を制御するためのコンピュータプログラム製品であって、前記コンピュータプログラム製品が、非一過性のコンピュータ可読媒体内に有形に具現化され、プロセッサに、
複数の群のプロセスパラメータ値、複数の状態パラメータ値、及び複数の除去プロファイルを訓練データとして使用して、逆伝播によって人工ニューラルネットワークを訓練するこ
と、ここで、プロセスパラメータは、研磨プロセス中に研磨システムによって制御可能なパラメータであり、状態パラメータは、研磨装置又は研磨環境の状態を反映し、且つ制御パラメータではないパラメータであり、前記人工ニューラルネットワークが、除去プロファイルからそれぞれの除去値を受け取るように構成された少なくとも幾つかの入力ノードと状態パラメータ値を受け取るように構成された少なくとも幾つかの入力ノードとを有する複数の入力ノード、制御パラメータ値を出力するための複数の出力ノード、及び前記入力ノードを前記出力ノードに接続する複数の隠れノードを有
し、
複数の基板
のそれぞれの基板向けの目標除去プロファイル及び状態パラメータ値を取得すること、
それぞれの基板について、前記人工ニューラルネットワークの前記入力ノードに、前記それぞれの基板向けの、前記目標除去プロファイル及び前記状態パラメータ値を適用することによって、前記人工ニューラルネットワークの前記出力ノードから前記それぞれの基板に適用されるそれぞれの制御パラメータ値を特定すること、並びに
前記それぞれの制御パラメータ値を使用して、半導体処理システムに
、それぞれの基板にプロセスを行うことを実行させること、を実行させるための指示命令を含む、コンピュータプログラム製品。
【請求項8】
前記状態パラメータ値が、保持リングの寿命又は研磨パッドの寿命のうちの1以上を表す、請求項
7に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項9】
前記制御パラメータ値が、研磨パッドに対して基板を保持するためのキャリアヘッド内のチャンバの圧力を表す、請求項
7に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項10】
研磨パッドを保持するための支持体、
前記研磨パッドに接触するように基板を保持するためのキャリアヘッドであって、複数のチャンバを有するキャリアヘッド、
前記支持体と前記キャリアヘッドの間で相対運動を生み出すためのモータ、並びに
複数の群のプロセスパラメータ値、複数の状態パラメータ値、及び複数の除去プロファイルを訓練データとして使用して、逆伝播によって人工ニューラルネットワークを訓練するこ
と、ここで、プロセスパラメータは、研磨プロセス中に研磨システムによって制御可能なパラメータであり、状態パラメータは、研磨装置又は研磨環境の状態を反映し、且つ制御パラメータではないパラメータであり、前記人工ニューラルネットワークが、除去プロファイルからそれぞれの除去値を受け取るように構成された少なくとも幾つかの入力ノードと状態パラメータ値を受け取るように構成された少なくとも幾つかの入力ノードとを有する複数の入力ノード、制御パラメータ値を出力するための複数の出力ノード、及び前記入力ノードを前記出力ノードに接続する複数の隠れノードを有し、前記制御パラメータ値が、前記キャリアヘッド内の前記チャンバ向けの圧力を含
み、
複数の基板
のそれぞれの基板向けの目標除去プロファイル及び状態パラメータ値を取得すること、
それぞれの基板について、前記人工ニューラルネットワークの前記入力ノードに、前記それぞれの基板向けの、前記目標除去プロファイル及び前記状態パラメータ値を適用することによって、前記人工ニューラルネットワークの前記出力ノードから前記それぞれの基板に適用されるそれぞれの制御パラメータ値を特定するこ
と、ここで前記それぞれの制御パラメータ値が、前記キャリアヘッド内の前記チャンバ向けのそれぞれの圧力を含
み、及び
研磨中に
、それぞれの基板について、前記キャリアヘッドに、前記キャリアヘッド内の前記チャンバに前記それぞれの圧力を印加することを実行させること、を実行するように構成されたコントローラを備える、研磨システム。
【請求項11】
前記状態パラメータ値が、保持リングの寿命又は研磨パッドの寿命のうちの1以上を表す、請求項
10に記載の研磨システム。
【請求項12】
前記制御パラメータ値が、前記キャリアヘッド内の前記複数のチャンバの圧力を表す、請求項
10に記載の研磨システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、集積回路製造プロセス、例えば化学機械研磨プロセスを、制御することに関する。
【背景技術】
【0002】
集積回路は、通常、シリコンウエハ上に導電層、半導電層、又は絶縁層を連続的に堆積させることによって基板上に形成される。1つの製造ステップは、非平坦面上に充填層を堆積させること、及び充填層を平坦化することを含む。特定の用途に対して、充填層は、パターニング済み層の上面が露出するまで平坦化される。例えば、パターニング済みの絶縁層上に導電性充填層が堆積されて、絶縁層内のトレンチ又は孔を充填することができる。平坦化後、絶縁層の高くなったパターンの間に残っている導電層の部分が、基板上の薄膜回路間に導電経路を提供するビア、プラグ、及びラインを形成する。他の用途では、下位層上に所定の厚さが残されるまで、充填層が平坦化される。例えば、堆積した誘電体層が、フォトリソグラフィ向けに平坦化されてよい。
【0003】
化学機械研磨(CMP)は、認められた平坦化方法の1つである。この平坦化方法では、通常、基板がキャリアヘッドに装着されることを必要とする。基板の露出した表面は、通常、耐久性のある粗面を有する回転研磨パッドと接触するようにして置かれる。キャリアヘッドが、基板に制御可能な荷重をかけ、基板を研磨パッドに押し付ける。通常、研磨粒子を伴うスラリなどの研磨液が、研磨パッドの表面に供給される。処理されたウエハは、研磨プロセス後の研磨層の厚さの変化の二次元マップである材料除去プロファイルを示す。
【発明の概要】
【0004】
一態様では、基板を処理する方法が、第1の複数の基板の各それぞれの第1の基板に、それぞれの第1の基板の外側層の厚さを変更するプロセスを行うこと、各それぞれの第1の基板について、プロセスに使用される一群のプロセスパラメータ値を記録し、したがって、複数の群のプロセスパラメータ値を生成すること、各それぞれの第1の基板について、モニタリングシステムを用いてプロセス中又はプロセス後に外側層の除去プロファイルを測定し、したがって、複数の除去プロファイルを生成すること、複数の群のプロセスパラメータと複数の除去プロファイルを訓練データとして使用して、逆伝播(backpropagation)によって人工ニューラルネットワークを訓練することであって、人工ニューラルネットワークが、除去プロファイルからそれぞれの除去値を受け取るための複数の入力ノード、制御パラメータ値を出力するための複数の出力ノード、及び入力ノードを出力ノードに接続する複数の隠れノード(hidden node)を有する、人工ニューラルネットワークを訓練すること、第2の複数の基板の各それぞれの第2の基板向けに、目標除去プロファイルを特定すること、各それぞれの第2の基板について、人工ニューラルネットワークの入力ノードに目標除去プロファイルを適用することによって、人工ニューラルネットワークの出力ノードからそれぞれの第2の基板に適用されるそれぞれの制御パラメータ値を特定すること、並びに、それぞれの制御パラメータ値を使用して、各それぞれの第2の基板にプロセスを行うことを含む。
【0005】
別の一態様では、基板の処理を制御するためのコンピュータプログラム製品が、非一過性のコンピュータ可読媒体内に有形に具現化されたコンピュータプログラム製品であり、プロセッサに、複数の群のプロセスパラメータと複数の除去プロファイルを訓練データとして使用して、逆伝播によって人工ニューラルネットワークを訓練することであって、人工ニューラルネットワークが、除去プロファイルからそれぞれの除去値を受け取るための複数の入力ノード、制御パラメータ値を出力するための複数の出力ノード、及び入力ノードを出力ノードに接続する複数の隠れノードを有する、人工ニューラルネットワークを訓練すること、複数の基板の各それぞれの基板向けの目標除去プロファイルを取得すること、各それぞれの基板について、人工ニューラルネットワークの入力ノードに目標除去プロファイルを適用することによって、人工ニューラルネットワークの出力ノードからそれぞれの基板に適用されるそれぞれの制御パラメータ値を特定すること、並びに、それぞれの制御パラメータ値を使用して、半導体処理システムに、各それぞれの基板にプロセスを行うことを実行させること、を実行させるための指示命令を含む。
【0006】
更に別の一態様では、研磨システムが、研磨パッドを保持するための支持体、研磨パッドに接触するように基板を保持するためのキャリアヘッドであって、複数のチャンバを有するキャリアヘッド、支持体とキャリアヘッドの間で相対運動を生み出すためのモータ、並びに、複数の群のプロセスパラメータと複数の除去プロファイルを訓練データとして使用して、逆伝播によって人工ニューラルネットワークを訓練することであって、人工ニューラルネットワークが、除去プロファイルからそれぞれの除去値を受け取るための複数の入力ノード、制御パラメータ値を出力するための複数の出力ノード、及び入力ノードを出力ノードに接続する複数の隠れノードを有し、前記制御パラメータ値が、キャリアヘッド内のチャンバ向けの圧力を含む、人工ニューラルネットワークを訓練すること、複数の基板の各それぞれの基板向けの目標除去プロファイルを取得すること、各それぞれの基板について、人工ニューラルネットワークの入力ノードに目標除去プロファイルを適用することによって、人工ニューラルネットワークの出力ノードからそれぞれの基板に適用されるそれぞれの制御パラメータ値を特定することであって、それぞれの制御パラメータ値が、キャリアヘッド内のチャンバ向けのそれぞれの圧力を含む、制御パラメータ値を特定すること、及び、研磨中に、各それぞれの基板について、キャリアヘッドに、キャリアヘッド内のチャンバにそれぞれの圧力を印加することを実行させること、を実行するように構成されたコントローラを含む。
【0007】
実施態様は、以下の特徴のうちの1以上を含み得る。
【0008】
該プロセスは、化学機械研磨を含んでよい。制御パラメータ値は、研磨パッドに対して基板を保持するためのキャリアヘッド内のチャンバの圧力を含んでよい。
【0009】
人工ニューラルネットワークの入力ノードの少なくとも一部が、状態パラメータ値を受け取るように構成されてよい。状態パラメータ値は、保持リングの寿命又は研磨パッドの寿命のうちの1以上を含んでよい。制御パラメータ値は、プラテン回転速度、キャリアヘッド回転速度、又は研磨時間のうちの1以上を含んでよい。
【0010】
モニタリングシステムは、インライン計測学システム(in-line metrology system)を含んでよい。インライン計測学システムは、光学モニタリングシステムを含んでよい。
【0011】
目標除去プロファイルの特定は、所望の厚さプロファイルを記憶すること、それぞれの第2の基板の測定された厚さプロファイルを受け取ること、及び測定された厚さプロファイルと所望の厚さプロファイルの差異を特定することを含んでよい。測定された厚さプロファイルの受け取りは、モニタリングシステムを用いて、それぞれの第2の基板の厚さプロファイルを測定することを含んでよい。
【0012】
特定の実施態様は、以下の利点のうちの1以上を有し得る。制御パラメータの収束は、より速く実現されてよい。ウエハ内の厚さの不均一性及びウエハ間の厚さの不均一性(WIWNU及びWTWNU)は、低減されてよい。製品ウエハを、モデル精緻化に使用して、処理された基板の実際のプロファイルを所望のプロファイルに近づけることができる。研磨パラメータに応じた研磨プロセスの複雑な挙動は、機能関係の明確な知識がなくても考慮され得る。
【0013】
1以上の実施形態の詳細を、以下の添付の図面及び記述で説明する。その他の特徴、目的、及び利点は、これらの説明及び図面から並びに特許請求の範囲から明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図2】複数の区域を有する基板の概略上面図を示す。
【
図3】研磨装置の統合された高度なプロセス制御モジュールの部分として使用される、ニューラルネットワークを示す。
【
図4】CMPプロセス内でニューラルネットワークモデルを使用するための例示的なプロセスを示す。
【
図5】複数のニューラルネットワークを含む、統合された高度なプロセス制御モジュールを示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
様々な図面における類似の参照符号は、類似した要素を指し示している。
【0016】
CMPにおける1つの難題は、複数の入力パラメータの関数として材料除去プロファイルを予測することができるプロセスモデルを開発することである。入力パラメータは、基板層の初期厚さ、目標材料除去プロファイル、研磨パッドの状態、保持リングの状態、研磨パッドと基板の間の相対速度、及び基板上に印加される圧力における、変動を含む場合がある。更に、CMPプロセスは、プロセス中に時間の関数として表面形態が絶えず変化する動的なシステムである。そして、その表面形態がプロセスの挙動に影響を与える。入力パラメータの材料除去プロファイルとの複雑な関係及びCMPプロセスの動的な性質は、研磨プロセスのプロセスモデルを開発することを難しくしている。
【0017】
図1は、研磨装置20の一実施例を示している。研磨装置20は、上に研磨パッド30が載置されている、回転可能な円盤形状のプラテン22を含んでよい。プラテンは、軸23の周りで回転するように操作可能である。例えば、モータ24が、駆動シャフト26を回して、プラテン22を回転させることができる。研磨パッド30は、例えば接着層によって、プラテン22に着脱可能に固定されてよい。研磨パッド30は、外側研磨層32とより軟性のバッキング層34とを有する、二層研磨パッドであってよい。
【0018】
研磨装置20は、研磨スラリなどの研磨液体42を研磨パッド30上に分注するための研磨液体供給ポート40を含んでよい。研磨装置20は、研磨パッド30を一定の研磨状態に維持するため、研磨パッド30を磨く研磨パッド調整ディスクも含んでよい。
【0019】
キャリアヘッド50が、研磨パッド30に対して基板10を保持するように操作可能である。各キャリアヘッド50は、複数の独立して制御可能な加圧可能チャンバ、例えば3つのチャンバ52a‐52cも含む。それらのチャンバは、基板10上の関連付けられた区域12a‐12cに、独立して制御可能な圧力を加えることができる(
図2参照)。
図2を参照すると、中央区域12aは、実質的に円形であり、残りの区域12b‐12cは、中央区域12aの周りの同心環状区域であり得る。
【0020】
図1に戻って参照すると、チャンバ52a‐52cは、基板10が取り付けられている底面を有する可撓性膜54によって画定され得る。キャリアヘッド50は、可撓性膜54の下に基板10を保持するための保持リング56も含むことができる。説明を簡略化するために、
図1及び
図2には3つのチャンバのみを図示したが、2つのチャンバ、又は4つ以上のチャンバ、例えば5つのチャンバがあってよい。更に、基板に印加される圧力を調整するための他の機構、例えば圧電アクチュエータが、キャリアヘッド50内で使用されてよい。
【0021】
各キャリアヘッド50は、支持構造60、例えばカルーセル又はトラックから吊るされ、そして、ドライブシャフト62によってキャリアヘッドの回転モータ64に接続されており、これにより、キャリアヘッドが、軸51の周りを回転することができる。任意選択的に、各キャリアヘッド50は、軌道に沿った運動によって(例えば、カルーセル上のスライダ上で)又はカルーセル自体の回転振動によって、側方に振動してよい。動作中、プラテン22は、その中心軸23の周りで回転し、キャリアヘッド50は、その中心軸51の周りで回転し、且つ研磨パッド30の上面にわたり側方に並進移動する。
【0022】
研磨装置20は、研磨プロセスが完了する際に、研磨された層の厚さを測定するためのインラインモニタリングシステムを含んでよい。例えば、インラインモニタリングシステムは、区域12a‐12c上の層の厚さのマップを生成してよい。インラインモニタリングシステムからの測定値は、コントローラ90に伝えられてよい。インラインモニタリングシステムの実施例は、光学モニタリングシステム、例えば分光モニタリングシステムを含む。分光モニタリングシステムは、層の厚さの値、及び層の厚さのマップの各ポイントについての関連付けられた適合度(GOF)の値を測定してよい。例えば、広帯域光源を使用して層上の場所を照らすことができ、層、基板、及びそれらの2つの間にある他の層によって生成された、光学干渉スペクトルを含む反射を測定することができる。測定された光学干渉スペクトルは、例えば、予期される膜の積み重ねによって生成される光学干渉スペクトルを記述する方程式に適合させることによって、解析することができる。その適合は、層の厚さを特定し、測定されたスペクトルが予期された膜の積み重ねとどれだけ密接に一致するかを示すGOF値を生成する。したがって、GOF値は、特定された厚さの値の信頼性のインジケータとして使用することができる。
【0023】
コントローラ90は、ツール制御モジュール92、及び統合された高度なプロセス制御モジュール(i-APC)94を含む。組み合わされたツール制御モジュール92とi-APCモジュール94は、ウエハ間の均一性制御などの高度なプロセス制御機能性を提供することができる。コントローラ90は、マイクロプロセッサ、メモリ、及び入力/出力回路を含む計算デバイス、例えば、プログラム可能コンピュータであってよい。単一のブロックで示されているが、コントローラ90は、複数のコンピュータに分散された機能を有するネットワーク化されたシステムであってよく、モジュール92及び94は、同じコンピュータ又は異なるコンピュータ内に位置付けられてよい。
【0024】
説明された研磨装置は、研磨装置の動作を制御し又は装置若しくは研磨環境の状態を表す、多くの関連付けられたプロセスパラメータを有する。研磨装置の動作を制御するプロセスパラメータ(及び、少なくとも最初に、ツール制御モジュール92によって設定され得るもの)(「制御パラメータ」)は、以下のものを含む。すなわち、プラテン22の回転速度、キャリアヘッド50の回転速度、チャンバ52a‐52cの圧力、及び研磨時間である。
【0025】
装置又は研磨環境の状態を反映するプロセスパラメータ(「状態パラメータ」)は、以下のものを含む。すなわち、研磨保持リングの寿命、研磨パッドの寿命、研磨パッド調整ディスクの寿命、研磨パッドの種類、及び研磨液体(「スラリ」)の種類である。保持リング、パッド、及び調整ディスクは、研磨装置内の消耗する構成要素(「消耗品」)の例である。これらの消耗品の状態又は「寿命」は、例えば、処理されるウエハの数、実際のウエハの研磨時間、又は設置からの総経過時間として説明されてよい。
【0026】
CMPによって研磨される典型的なウエハは、平坦化される表面形態を有する材料の層を有する。CMPプロセスの目標は、研磨プロセス後の研磨層の厚さの変化の一次元又は二次元マップである、所望の材料除去プロファイルを実現することである。表面形態は、異なる下層のトランジスタ及び相互接続パターンを有する異なるダイ設計により、例えば異なるパターン密度により、ウエハ間でばらつきがある。これらの要因は、複雑なやり方でCMPプロセスと相互作用し、異なるダイ設計を有するウエハ間で異なる研磨挙動をもたらす。更に、同じダイ設計を有するウエハでさえも、堆積やエッチングにおける上流プロセスのばらつきによって、異なる研磨挙動を有する場合がある。したがって、異なるCMP制御パラメータは、概して、所望の材料除去プロファイルを実現するために、少なくとも異なるダイ設計を有するウエハにとって、可能性としては同じダイ設計を有する個々のウエハにとって必要である。材料除去プロファイルは、しばしば、研磨パッドの軸対称性及び回転に部分的に依拠して、径方向依存性を有する。したがって、所望の径方向プロファイルを実現するためにしばしば調整される1つの制御パラメータは、径方向チャンバ52a‐52cの圧力である。
【0027】
研磨装置20は、ウエハ間の制御を実施することができる。ウエハ間の制御によって、広い範囲の設計とウエハの不均一性にわたる、目標材料除去プロファイルを実現する可能性を高めることができる。ウエハ間のフィードバック制御方法は、以前に処理された基板についての情報を使用して、次の基板の処理を改善する。ウエハ間のフィードバック制御方法は、i-APCモジュール94によって実装されてよい。
【0028】
コントローラ90の例示的な一実施態様では、i-APCモジュール94が、最初のプロセスモデルに基づいて制御パラメータ値の最初の組を生成し、制御パラメータ値の最初の組をツール制御モジュール92に提供する。次いで、ツール制御モジュール92は、受け取った制御パラメータ値を使用して、研磨システムを制御することができる。
【0029】
ユーザが規定した時間にわたり1以上の基板を処理した後で、基板についてのデータが、i-APCモジュール94によって使用されて、新しいプロセスモデルを生成するか又は最初のプロセスモデルを更新することによって、最初のプロセスモデルを改善することができる。例えば、新しいプロセスモデルの生成又は最初のプロセスモデルの更新向けのユーザが規定した時間は、5、10、25、又は100のウエハなどの研磨される基板の数、若しくはウエハのロットで測定されてよい(ウエハは、通常「ロット」で搬送され処理され、通常のロットのサイズは25ウエハである)。別の一実施例として、ユーザが規定した時間は、研磨パッドの寿命などの消耗品の寿命の一部分として定義されてよい。モデルのそのような生成又は更新は、オフラインで又は研磨装置の動作から独立して実行されてよい。
【0030】
次いで、改善されたプロセスモデルが使用されて、次の基板向けの制御パラメータの改善された組が生成されてよい。i-APCモジュール94によるプロセスモデルの改善は、基板上の目標材料除去プロファイルと実現された実際のプロファイルの間の誤差を最小化することによって、研磨均一性制御を改善することができる。
【0031】
i-APCモジュール94は、将来のウエハの処理を改善するために、処理されたウエハからのデータの収集及び処理を含む作業を実行する。収集されたデータは、様々なウエハ計測学ツール(「モニタリングシステム」)からの製品ウエハの上流及び下流の計測学データを含んでよい。上流の計測学データは、堆積した層の厚さマップ及び関連付けられたGOF値を含んでよい。下流の計測学データは、研磨された層の厚さマップ及び関連付けられたGOF値、又は表面粗さ値を含んでよい。GOF値が、i-APCモジュール94によって使用されて、厚さの値が、プロセスモデル開発で使用されるのに十分な信頼性を有するかどうかを判定することができる。i-APCモジュール94は、これらの値を、特定のウエハの処理中に使用される制御及び状態パラメータと対にして、それをデータログ内に記憶する。データログは、ウエハID、設計ID、ロットID、ツールIDなどによってグループ化することを含む、様々なやり方で組織化されてよい。このデータログは、通常、CMPプロセスの挙動内の傾向及びドリフトをモニタし、修正動作をとるために使用される。これらのサイズによって、データログは、コントローラ90の一部分である1以上のサーバ内に記憶されてよい。
【0032】
ある実施態様では、i-APCモジュール94が、処理される各ウエハ向けに所望の厚さプロファイルを記憶する。所望の厚さプロファイルを使用して、i-APCモジュール94は、堆積した層の厚さマップから所望の厚さプロファイルを減じることによって、目標材料除去プロファイルを生成することができる。
【0033】
プロセスモデルは、様々なやり方で生成されてよい。例えば、チャンバ圧力の効果を表すプロセスモデルは、複数のブランケットウエハを処理することによって生成されてよい。ブランケットウエハは、パターンを有する製品ウエハの代理として、研磨される膜の均一な層を有するパターニングされていないウエハである。一定の時間量だけブランケットウエハを研磨し、結果として生じた材料除去プロファイルを測定することによって、チャンバ圧力の組と材料除去速度との関係が、プレストン式(Prestion equation)を使用して特定され得る。
【0034】
プレストン式は、以下の通りである。すなわち、
材料除去速度(MRR)=KP*V*P 数式1
ここで、Vは、研磨されている基板表面に対する研磨パッド表面の速度であり、Pは、研磨パッドに対して研磨されるウエハの径方向区域に印加される圧力であり、Kpは、プレストン係数として知られている比例定数である。速度、圧力、研磨時間が、知られており、制御される変数であり、したがって、各区域のKpが、代数操作によって特定され得る。ブランケットウエハの研磨からのプレストン係数を含むプレストン式の結果として生じる組は、ベースラインプロセスモデルの一例である。次いで、i-APCモジュール94は、このベースラインモデルを使用して、次の製品ウエハの研磨向けの最初の制御パラメータの組を生成することができる。チャンバ圧力の効果をモデル化するためのプロセスモデルが説明されたが、他の制御パラメータ向けのプロセスモデルが、このやり方で生成されてよい。
【0035】
しかし、ブランケットウエハと製品ウエハの間の表面形態の差異のために、ベースラインプロセスモデルは、研磨される製品ウエハについて目標材料除去プロファイルを実現できないかもしれない。そのような場合に、i-APC94は、複数の製品ウエハの研磨にわたる複数の繰り返しを介して、製品ウエハに対して実現される材料除去プロファイルを改善するために、補正因子(「オフセット」)の組を見つけることを試みる。i-APCモジュール94は、最後には、製品ウエハを研磨するためのベースラインプロセスモデルを用いて使用され得る、オフセットを特定し又はそのオフセットに収束する。しかし、オフセットのそのような特定は、複数の製品ウエハの研磨を行う場合があり、その間に、研磨されるウエハが目標除去プロファイルを満たす可能性は低く、したがって、拒絶される可能性が高く、研磨プロセスの歩留まりに悪影響を及ぼす。
【0036】
オフセットの収束向けの製品ウエハの消費は、最小化されるべきである。というのも、それらは、貴重であり、高価であり、且つ量が限られているからである。オフセットの収束に達するまで、拒絶される製品ウエハの数を減らす1つのやり方は、様々なプロセスパラメータの効果をより完全に且つ正確にキャプチャする、改善されたプロセスモデルを提供することである。ある実施態様では、i-APCモジュール94が、改善されたプロセスモデルを提供するように構成されている。プロセスモデルの質を高める1つのやり方は、(1)目標材料除去プロファイル、及び(2)研磨装置の状態を反映する状態パラメータを入力とし、目標材料除去プロファイルを実現し得る予測された制御パラメータ(例えば、チャンバ圧力)の組を出力とする、プロセスモデルを実施することがである。
【0037】
材料除去速度は、それらの摩耗に起因する様々な消耗品の寿命や年数などの研磨装置の状態パラメータ114によって影響を受ける。例えば、研磨パッドは、老化のために弾性が減少し又は表面粗さが減少するだろう。保持リングは、CMPプロセス中に削り取られ、より薄くなるだろう。研磨パッド調整ディスクは、鈍くなり、パッド調整向けの性能が低減されるだろう。消耗品の特性に対するこれらの変化は、研磨挙動に影響を与え得る。したがって、同一の設計を有するウエハは、目標材料除去プロファイルを実現するために、異なる状態パラメータ向けに異なる制御パラメータの組を必要とし得る。したがって、状態パラメータをプロセスモデルに組み込むことは、より優れた制御パラメータ推定をもたらし得る。
【0038】
プロセスパラメータに応じて、半導体処理システム(例えば、CMPシステム)の挙動(例えば、除去プロファイル)をモデル化するために、ニューラルネットワークが使用されてよい。ニューラルネットワークは、単純なニューラルユニット(人工神経)の大きな集合に基づく。各個別のニューラルユニットは、要約関数を使用して、それぞれの出力又は活性化(activation)を計算する。各接続に対して及びユニット自体に対して、閾値関数又は制限関数が存在し得る。したがって、信号は、他の神経(neuron)に伝播する前に制限を超えなければならない。そのような閾値関数は、双曲線又はシグモイド関数を含んでよい。
【0039】
ニューラルネットワークは、明示的にプログラムされるよりもむしろ訓練される。言い換えると、ニューラルネットワークは、モデル化されているプロセスの機能依存性に関する先験的な知識を必要としない。その代わりに、訓練データの十分に大きい代表的な組を提供することによって、ニューラルネットワークを訓練することができる。この技法は、教師あり機械学習と呼ばれる。ニューラルネットワークは、機能的な関係において表現することが難しい入力と出力の間の複雑な関係のモデル化に秀でているので、CMPシステムなどの半導体処理システムの制御に大きな利点を提供することができる。
【0040】
図3は、i-APCモジュール94によって実施される機能ブロックを示している。i-APCモジュール94は、ニューラルネットワーク入力変数の組110を含む。それは、目標除去プロファイル112及び状態パラメータ114、ニューラルネットワーク120、並びにプロセス初期化モジュール130を含む。プロセス初期化モジュール130は、ニューラルネットワークの出力を用いて、半導体処理システム(例えば、CMPツール)のツール制御モジュール92を初期化する。これらの機能ブロックは、複数のコンピュータに分散されてよい。
【0041】
ニューラルネットワーク120は、ニューラルネットワーク入力変数の組110からの各入力変数向けの複数の入力ノード122、複数の隠れノード124(以下で「中間ノード」とも称される)、及び初期化向けに使用されるプロセスパラメータを生成することになる複数の出力ノード126を含む。隠れノードの単一の層を有するニューラルネットワークでは、各隠れノード124が、各入力ノード122に接続されてよく、各出力ノード126が、各隠れノード124に接続されてよい。
【0042】
一般的に、隠れノード124は、隠れノードが接続される入力ノード122からの値の加重和の非線形な関数である値を出力する。
【0043】
例えば、ノードkと指定された、隠れノード124の出力は、以下のように表される。すなわち、
tanh(0.5*ak1(I1)+ak2(I2)+…+akM(IM)+bk) 数式2
ここで、tanhは、双曲線であり、akxは、k番目の中間ノードと(Mの入力ノードからの)x番目の入力ノードの間の接続向けの重みであり、IMは、M番目の入力ノードにおける値である。しかし、整流リニアユニット(ReLU)関数及びその変形、又はシグノイド関数などの、他の非線形関数が、tanhの代わりに使用されてよい。
【0044】
図4は、CMPプロセス内でニューラルネットワークモデルを訓練し使用するための例示的なプロセス400を示す。ニューラルネットワーク120は、ベースライン制御パラメータを生成するために使用される前に、構成される必要がある。ニューラルネットワーク120は、教師あり学習の様々な方法を使用することによる訓練を介して構成されてよい。教師あり学習方法の一例は、逆伝播、「前方」神経ユニットに対する重みをリセットするための、又は入力ノード122に対する前方刺激の使用である。
【0045】
ニューラルネットワークが訓練され得る前に、i-APC制御モジュール94は、訓練データの十分な量を収集する(410)。訓練データは、測定されしたがって正しいことが分かっている、入力と出力の対の組を含む。例えば、i-APC制御モジュール94によって維持されるデータログを使用して、各基板に対して、プロセス中の状態パラメータ114、目標除去プロファイル112、プロセス中に使用される制御パラメータ、及び測定された除去プロファイルを、読み出すことができる。次いで、読み出された情報は、訓練例としてのその適格性を判断するために解析される。現在の実施例では、測定された除去プロファイルが、目標プロファイルと比較される。それらの2つの差異が、プロセスの仕様の範囲内に入るのに十分小さい場合、データは、適格性を有する訓練例であると判断される。しかし、CMP研磨挙動は、異なる設計を有する基板の間でばらつきがあり得ることに、留意されたい。したがって、設計に特有のニューラルネットワークを生成するために使用される、訓練データを、異なるダイ設計に更に分類することが有用であるだろう。一旦、そのような訓練例の十分な量が収集されてしまうと、訓練が開始する。
【0046】
i-APC制御モジュール94は、例えば逆伝播によって、ニューラルネットワーク120を訓練する(420)。逆伝播は、伝播と重み更新の2つのフェーズサイクルである。伝播サイクル中に、ネットワークに提示される入力ベクトル(例えば、訓練例からの目標除去プロファイル及び状態パラメータ)は、出力層に到達するまで、層毎にネットワークを通って前方に伝播する。次いで、ネットワークの出力が、費用関数を使用して記録された出力(例えば、訓練例からの制御パラメータ)と比較され、出力層内の神経のそれぞれに対して、エラー値が計算される。費用関数又は損失関数は、1以上の変数の値を、イベントに関連付けられた何らかの「費用」を直感的に表す実数にマッピングする関数である。次いで、エラー値は、出力から開始して、各神経が元々の出力に対するその貢献を大まかに表す関連付けられたエラー値を有するまで後方に伝播する。逆伝播は、これらのエラー値を使用して、ネットワーク内の重みに対する損失関数の勾配を計算する。次いで、重み更新フェーズでは、逆伝播方法が、これらのエラー値を使用して、損失関数を最小化する試みにおいて重みを更新する。
【0047】
i-APC制御モジュール94は、訓練されたニューラルネットワークが正確であるかどうかを判定する(430)。訓練フェーズ420が完了した後で、ニューラルネットワークの精度が検証されるべきである。例えば、精度の検証は、ニューラルネットワークをその推論モードで動作させること、ニューラルネットワークに以前に使用された訓練入力を供給すること、及び、出力が一致しているかどうか、又は訓練データ内の正しい出力に十分に近いかどうかを判断することを含んでよい。ニューラルネットワークの出力が、十分に正確でない場合、プロセスは、更なる訓練データを収集するためにステップ410に戻る。出力が正確である場合、ニューラルネットワークは使用される準備ができている。
【0048】
i-APC制御モジュール94は、プロセスパラメータを生成するために、訓練されたニューラルネットワークを使用する(440)。推論モードでは、ニューラルネットワークが、目標材料除去プロファイル112及び状態パラメータ114に応じて、初期化向けに使用されるプロセスパラメータを出力する。
【0049】
ある実施態様では、各ウエハ設計に対して、個別のニューラルネットワークが生成され、訓練される。そのような実施態様では、i-APC制御モジュール94が、ニューラルネットワークのライブラリを維持し、コントローラが、プロセスを初期化するために、現在のウエハ設計向けに訓練されたニューラルネットワークを選択する。
【0050】
ニューラルネットワーク120のアーキテクチャは、深さ及び幅で変動し得る。例えば、中間ノード124の単一のコラムを有するニューラルネットワーク120が示されたが、それは、複数のコラムを含んでよい。中間ノード124の数は、入力ノード122の数以上であってよい。
【0051】
図5を参照すると、ある実施態様では、i-APC制御モジュール94が、複数のニューラルネットワーク120を有するように構成されてよい。ニューラルネットワーク120は、同時に、各区域向けのチャンバ圧力の値を生成するように動作してよい。ニューラルネットワークの数は、区域の数と一致してよい。例えば、第1の区域12a向けの第1のニューラルネットワーク120a、第2の区域12b向けの第2のニューラルネットワーク120b、及び第3の区域12c向けの第3のニューラルネットワーク120cが存在してよい。各ニューラルネットワーク120の出力は、プロセス初期化モジュール130に供給されてよい。
【0052】
ニューラルネットワークの訓練は、計算集中型(computationally intensive)であってよい。したがって、ある実施態様では、ニューラルネットワークの訓練が、オフラインで、例えばCMPツールが保守を受けている間に行われてよい。他の実施態様では、訓練が、コントローラ90の部分である別個のサーバ上で行われてよい。幾つかの他の実施態様では、訓練が、コントローラ90の部分ではないサーバ内で行われてよい。そのサーバは、コントローラに予め訓練されたニューラルネットワークを提供する。
【0053】
CMPプロセスの挙動は、ニューラルネットワークの入力変数によって考慮されない理由(例えば、消耗品と見なされない部品の摩耗)で、経時的にゆっくりと変化する場合がある。したがって、ある実施態様では、そのような変化を克服するために、ニューラルネットワークの周期的な再訓練が実行されてよい。
【0054】
本明細書に記載の機能的動作の全ては、デジタル電子回路として、或いは、本明細書に開示された構造的手段及びその構造的等価物を含むコンピュータソフトウェア、ファームウェア、若しくはハードウェアとして、又はこれらの組合せとして実装することができる。実施形態は、1以上のコンピュータプログラム製品、すなわち、データ処理装置、例えばプログラマブルプロセッサ、コンピュータ、又は複数のプロセッサ若しくはコンピュータによって実装され、或いはこれらの作業を制御するための非一過性の機械可読記憶媒体内で有形に具現化された1以上のコンピュータプログラムとして実装可能である。コンピュータプログラム(プログラム、ソフトウェア、ソフトウェアアプリケーション、又はコードとしても知られている)は、コンパイルまたは翻訳された言語を含む、任意の形のプログラミング言語で書くことができ、また独立型プログラムとして、又はモジュール、構成要素、サブルーチン、若しくは計算環境で使用するのに適している他のユニットとして配置することを含め、任意の形で配置することができる。1つのコンピュータプログラムは、必ずしも1つのファイルに対応しない。プログラムは、他のプログラム若しくはデータを保持するファイルの一部分、問題になっているプログラム専用の単一のファイル、又は複数の協調的なファイル(例えば、1以上のモジュール、サブプログラム、又はコードの一部分を収納するファイル)に収納することができる。コンピュータプログラムは、一ケ所の1台のコンピュータに実装すること、或いは複数ケ所に分散され通信ネットワークによって相互接続された複数のコンピュータに実装することが可能である。
【0055】
この明細書で説明しているプロセス及び論理フローは、1以上のプログラマブルプロセッサによって実施されてよく、このプログラマブルプロセッサは、入力データに対して動作すること、及び出力を生成することによって機能を実施するために、1以上のコンピュータプログラムを実行する。プロセス及び論理フローは、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)又はASIC(application specific integrated circuit:特定用途向け集積回路)といった特殊用途の論理回路によって実施されてもよく、且つ、装置が、かかる特殊用途の論理回路として実装されることも可能である。
【0056】
上述の研磨装置および方法は、種々の研磨システムに適用することができる。研磨パッド若しくはキャリアヘッドの何れか、又はこれらの両方が移動して、研磨面と基板との間の相対運動を起こすことができる。例えば、プラテンは、回転ではなく周回することができる。研磨パッドは、プラテンに固定された円形(又は何か他の形状の)パッドであってよい。研磨システムは、例えば研磨パッドが直線的に移動する連続ベルト又はオープンリールべルトであるような、直線的研磨システムであってよい。研磨層は、標準の(例えば、充填材を伴うもしくは伴わないポリウレタン)研磨材料、軟性材料、又は固定砥粒材料であってよい。相対的な配置に関する用語が、構成要素の相対的な配向又は配置に使用されているが、研磨面及び基板は、重力に対して垂直な配向又はその他の配向に保持できることを理解されたい。
【0057】
特定の実施形態が説明された。他の実施形態が、下記の特許請求の範囲内にある。