(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-08
(45)【発行日】2022-03-16
(54)【発明の名称】基板処理装置、半導体装置の製造方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H01L 21/31 20060101AFI20220309BHJP
C23C 16/455 20060101ALI20220309BHJP
H01L 21/318 20060101ALN20220309BHJP
【FI】
H01L21/31 B
C23C16/455
H01L21/318 B
(21)【出願番号】P 2019164250
(22)【出願日】2019-09-10
【審査請求日】2020-09-11
(73)【特許権者】
【識別番号】318009126
【氏名又は名称】株式会社KOKUSAI ELECTRIC
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】特許業務法人太陽国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】110000039
【氏名又は名称】特許業務法人アイ・ピー・ウィン
(72)【発明者】
【氏名】野内 英博
(72)【発明者】
【氏名】高崎 唯史
【審査官】鈴木 聡一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-100396(JP,A)
【文献】特開2017-147262(JP,A)
【文献】特開2017-028256(JP,A)
【文献】特開2016-122778(JP,A)
【文献】特表2013-503498(JP,A)
【文献】特開2002-009065(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 16/00-16/56
H01L 21/205
H01L 21/31
H01L 21/312-21/32
H01L 21/365
H01L 21/469-21/475
H01L 21/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に対して処理ガスを供給して処理する基板処理装置であって、
前記基板を処理する処理領域が複数設けられた処理容器と、
前記処理容器内に設けられ、載置された基板を前記処理容器内において前記基板外のある点を中心として回転させることにより前記複数の処理領域を順次通過させる回転テーブルと、
前記複数の処理領域の内の少なくともいずれかに対して設けられ、前記処理容器の壁側から前記回転テーブルの中心側に向かって延在する往路部と、前記往路部と屈曲部を介して連通し
、前記往路部の、前記回転テーブルの反回転方向側に、前記回転テーブルの中心側から前記処理容器の壁側に向かって延在する復路部と、を有するガス供給ノズルと、
を有する基板処理装置。
【請求項2】
前記ガス供給ノズルは、前記往路部のガス流の下流側の先端が、前記基板の縁よりも外側まで延在するように構成された請求項1記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記ガス供給ノズルは、前記復路部のガス流の下流側の先端が、処理ガスを排気する排気溝の近傍まで延在するように構成された請求項1又は2記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記復路部は、前記往路部と平行に延在するように構成されている請求項1乃至3のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記復路部は、基板に対して径方向に延在するように構成されている請求項1乃至3のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項6】
基板に対して処理ガスを供給して処理する基板処理装置であって、
前記基板を処理する処理領域が複数設けられた処理容器と、
前記処理容器内に設けられ、載置された基板を前記処理容器内において前記基板外のある点を中心として回転させることにより前記複数の処理領域を順次通過させる回転テーブルと、
前記複数の処理領域の内の少なくともいずれかに対して設けられ、前記処理容器の壁側から前記回転テーブルの中心側に向かって延在する往路部と、前記往路部と屈曲部を介して連通し、前記往路部の、前記回転テーブルの回転方向側に
、前記回転テーブルの中心側から前記処理容器の壁側に向かって延在する
復路部と、を有するガス供給ノズルと、
を有する基板処理装置。
【請求項7】
前記屈曲部は、回転テーブル上に載置される基板の外側と対向する位置に設けられる請求項1乃至
6のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記屈曲部の内径は、前記往路部の内径と前記復路部の内径よりも大きくするよう構成されている請求項1乃至
7のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項9】
基板に対して処理ガスを供給して処理する基板処理装置であって、
前記基板を処理する処理領域が複数設けられた処理容器と、
前記処理容器内に設けられ、載置された基板を前記処理容器内において前記基板外のある点を中心として回転させることにより前記複数の処理領域を順次通過させる回転テーブルと、
前記複数の処理領域の内の少なくともいずれかに対して設けられ、前記処理容器の壁側から前記回転テーブルの中心側に向かって延在する往路部と、前記往路部と屈曲部を介して連通し前記回転テーブルの中心側から前記処理容器の壁側に向かって延在し、複数の孔が形成され、前記複数の孔は、前記回転テーブルの中心側よりも外周側に配置される孔の大きさを大きくするよう構成されている
復路部と、を有するガス供給ノズルと、
を有する基板処理装置。
【請求項10】
基板に対して処理ガスを供給して処理する基板処理装置であって、
前記基板を処理する処理領域が複数設けられた処理容器と、
前記処理容器内に設けられ、載置された基板を前記処理容器内において前記基板外のある点を中心として回転させることにより前記複数の処理領域を順次通過させる回転テーブルと、
前記複数の処理領域の内の少なくともいずれかに対して設けられ、前記処理容器の壁側から前記回転テーブルの中心側に向かって延在し、複数の孔が形成され、前記複数の孔は、前記回転テーブルの中心側よりも外周側に配置される孔の大きさを大きくするよう構成されている
往路部と、前記往路部と屈曲部を介して連通し前記回転テーブルの中心側から前記処理容器の壁側に向かって延在する復路部と、を有するガス供給ノズルと、
を有する基板処理装置。
【請求項11】
基板に対して処理ガスを供給して処理する基板処理装置であって、
前記基板を処理する処理領域が複数設けられた処理容器と、
前記処理容器内に設けられ、載置された基板を前記処理容器内において前記基板外のある点を中心として回転させることにより前記複数の処理領域を順次通過させる回転テーブルと、
前記複数の処理領域の内の少なくともいずれかに対して設けられ、前記処理容器の壁側から前記回転テーブルの中心側に向かって延在し、上流側から下流側に向けて大きくなるよう構成され
た複数の孔を有する往路部と、前記往路部と屈曲部を介して連通し前記回転テーブルの中心側から前記処理容器の壁側に向かって延在し、上流側から下流側に向けて小さくなるよう構成され
た複数の孔を有する復路部と、を有するガス供給ノズルと、
を有する基板処理装置。
【請求項12】
基板に対して処理ガスを供給して処理する基板処理装置であって、
前記基板を処理する処理領域が複数設けられた処理容器と、
前記処理容器内に設けられ、載置された基板を前記処理容器内において前記基板外のある点を中心として回転させることにより前記複数の処理領域を順次通過させる回転テーブルと、
前記複数の処理領域の内の少なくともいずれかに対して設けられ、前記処理容器の壁側から前記回転テーブルの中心側に向かって延在する往路部と、前記往路部と屈曲部を介して連通し前記回転テーブルの中心側から前記処理容器の壁側に向かって延在し、孔が形成されておらず
、先端に開口部が形成されている
復路部と、を有するガス供給ノズルと、
を有する基板処理装置。
【請求項13】
前記往路部には、孔が形成されておらず、前記復路部に複数の孔が形成されている請求項1乃至
8のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項14】
前記往路部又は前記復路部に形成される孔は、基板に対向する位置と、基板よりも外側に設けられる請求項1乃至
13のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項15】
基板に対して処理ガスを供給して処理する基板処理装置であって、
前記基板を処理する処理領域が複数設けられた処理容器と、
前記処理容器内に設けられ、載置された基板を前記処理容器内において前記基板外のある点を中心として回転させることにより前記複数の処理領域を順次通過させる回転テーブルと、
前記複数の処理領域の内の少なくともいずれかに対して設けられ、前記処理容器の壁側から前記回転テーブルの中心側に向かって延在し、孔が形成される往路部と、前記往路部と屈曲部を介して連通し前記回転テーブルの中心側から前記処理容器の壁側に向かって延在し、前記回転テーブルの半径方向の位置が
前記往路部に形成される孔と同じ位置に設けられる
孔を有する復路部と、を有するガス供給ノズルと、
を有する基板処理装置。
【請求項16】
前記往路部又は前記復路部に形成される孔は、スリット形状、長孔形状又は丸孔形状である請求項1乃至
15のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項17】
前記往路部に形成される孔の数と、前記復路部に形成される孔の数が異なるよう構成されている請求項1乃至
8のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項18】
基板に対して処理ガスを供給して処理する半導体装置の製造方法であって、
前記基板を処理する処理領域が複数設けられた処理容器内において、回転テーブルに載置された基板を前記基板外のある点を中心として回転させることにより前記複数の処理領域を順次通過させて、前記複数の処理領域の内の少なくともいずれかに対して設けられ、前記処理容器の壁側から前記回転テーブルの中心側に向かって延在する往路部と、前記往路部と屈曲部を介して連通し
、前記往路部の、前記回転テーブルの反回転方向側に、前記回転テーブルの中心側から前記処理容器の壁側に向かって延在する復路部と、を有するガス供給ノズルから処理ガスを供給する工程
を有する半導体装置の製造方法。
【請求項19】
基板に対して処理ガスを供給して処理する半導体装置の製造方法であって、
前記基板を処理する処理領域が複数設けられた処理容器内において、回転テーブルに載置された基板を前記基板外のある点を中心として回転させることにより前記複数の処理領域を順次通過させて、前記複数の処理領域の内の少なくともいずれかに対して設けられ、前記処理容器の壁側から前記回転テーブルの中心側に向かって延在する往路部と、前記往路部と屈曲部を介して連通し、前記往路部の、前記回転テーブルの回転方向側に、前記回転テーブルの中心側から前記処理容器の壁側に向かって延在する復路部と、を有するガス供給ノズルから処理ガスを供給する工程
を有する半導体装置の製造方法。
【請求項20】
基板に対して処理ガスを供給して処理する半導体装置の製造方法であって、
前記基板を処理する処理領域が複数設けられた処理容器内において、回転テーブルに載置された基板を前記基板外のある点を中心として回転させることにより前記複数の処理領域を順次通過させて、前記複数の処理領域の内の少なくともいずれかに対して設けられ、前記処理容器の壁側から前記回転テーブルの中心側に向かって延在する往路部と、前記往路部と屈曲部を介して連通し前記回転テーブルの中心側から前記処理容器の壁側に向かって延在し、複数の孔が形成され、前記複数の孔は、前記回転テーブルの中心側よりも外周側に配置される孔の大きさを大きくするよう構成されている復路部と、を有するガス供給ノズルから処理ガスを供給する工程
を有する半導体装置の製造方法。
【請求項21】
基板に対して処理ガスを供給して処理する半導体装置の製造方法であって、
前記基板を処理する処理領域が複数設けられた処理容器内において、回転テーブルに載置された基板を前記基板外のある点を中心として回転させることにより前記複数の処理領域を順次通過させて、前記複数の処理領域の内の少なくともいずれかに対して設けられ、前記処理容器の壁側から前記回転テーブルの中心側に向かって延在し、複数の孔が形成され、前記複数の孔は、前記回転テーブルの中心側よりも外周側に配置される孔の大きさを大きくするよう構成されている往路部と、前記往路部と屈曲部を介して連通し前記回転テーブルの中心側から前記処理容器の壁側に向かって延在する復路部と、を有するガス供給ノズルから処理ガスを供給する工程
を有する半導体装置の製造方法。
【請求項22】
基板に対して処理ガスを供給して処理する半導体装置の製造方法であって、
前記基板を処理する処理領域が複数設けられた処理容器内において、回転テーブルに載置された基板を前記基板外のある点を中心として回転させることにより前記複数の処理領域を順次通過させて、前記複数の処理領域の内の少なくともいずれかに対して設けられ、前記処理容器の壁側から前記回転テーブルの中心側に向かって延在し、上流側から下流側に向けて大きくなるよう構成された複数の孔を有する往路部と、前記往路部と屈曲部を介して連通し前記回転テーブルの中心側から前記処理容器の壁側に向かって延在し、上流側から下流側に向けて小さくなるよう構成された複数の孔を有する復路部と、を有するガス供給ノズルから処理ガスを供給する工程
を有する半導体装置の製造方法。
【請求項23】
基板に対して処理ガスを供給して処理する半導体装置の製造方法であって、
前記基板を処理する処理領域が複数設けられた処理容器内において、回転テーブルに載置された基板を前記基板外のある点を中心として回転させることにより前記複数の処理領域を順次通過させて、前記複数の処理領域の内の少なくともいずれかに対して設けられ、前記処理容器の壁側から前記回転テーブルの中心側に向かって延在する往路部と、前記往路部と屈曲部を介して連通し前記回転テーブルの中心側から前記処理容器の壁側に向かって延在し、孔が形成されておらず、先端に開口部が形成されている復路部と、を有するガス供給ノズルから処理ガスを供給する工程
を有する半導体装置の製造方法。
【請求項24】
基板に対して処理ガスを供給して処理する基板処理装置に実行させるプログラムあって、
前記基板を処理する処理領域が複数設けられた処理容器内において、回転テーブルに載置された基板を前記基板外のある点を中心として回転させることにより前記複数の処理領域を順次通過させて、前記複数の処理領域の内の少なくともいずれかに対して設けられ、前記処理容器の壁側から前記回転テーブルの中心側に向かって延在する往路部と、前記往路部と屈曲部を介して連通し
、前記往路部の、前記回転テーブルの反回転方向側に、前記回転テーブルの中心側から前記処理容器の壁側に向かって延在する復路部と、を有するガス供給ノズルから処理ガスを供給する手順
をコンピュータにより前記基板処理装置に実行させるプログラム。
【請求項25】
基板に対して処理ガスを供給して処理する基板処理装置に実行させるプログラムであって、
前記基板を処理する処理領域が複数設けられた処理容器内において、回転テーブルに載置された基板を前記基板外のある点を中心として回転させることにより前記複数の処理領域を順次通過させて、前記複数の処理領域の内の少なくともいずれかに対して設けられ、前記処理容器の壁側から前記回転テーブルの中心側に向かって延在する往路部と、前記往路部と屈曲部を介して連通し、前記往路部の、前記回転テーブルの回転方向側に、前記回転テーブルの中心側から前記処理容器の壁側に向かって延在する復路部と、を有するガス供給ノズルから処理ガスを供給する手順
をコンピュータにより前記基板処理装置に実行させるプログラム。
【請求項26】
基板に対して処理ガスを供給して処理する基板処理装置に実行させるプログラムであって、
前記基板を処理する処理領域が複数設けられた処理容器内において、回転テーブルに載置された基板を前記基板外のある点を中心として回転させることにより前記複数の処理領域を順次通過させて、前記複数の処理領域の内の少なくともいずれかに対して設けられ、前記処理容器の壁側から前記回転テーブルの中心側に向かって延在する往路部と、前記往路部と屈曲部を介して連通し前記回転テーブルの中心側から前記処理容器の壁側に向かって延在し、複数の孔が形成され、前記複数の孔は、前記回転テーブルの中心側よりも外周側に配置される孔の大きさを大きくするよう構成されている復路部と、を有するガス供給ノズルから処理ガスを供給する手順
をコンピュータにより前記基板処理装置に実行させるプログラム。
【請求項27】
基板に対して処理ガスを供給して処理する基板処理装置に実行させるプログラムであって、
前記基板を処理する処理領域が複数設けられた処理容器内において、回転テーブルに載置された基板を前記基板外のある点を中心として回転させることにより前記複数の処理領域を順次通過させて、前記複数の処理領域の内の少なくともいずれかに対して設けられ、前記処理容器の壁側から前記回転テーブルの中心側に向かって延在し、複数の孔が形成され、前記複数の孔は、前記回転テーブルの中心側よりも外周側に配置される孔の大きさを大きくするよう構成されている往路部と、前記往路部と屈曲部を介して連通し前記回転テーブルの中心側から前記処理容器の壁側に向かって延在する復路部と、を有するガス供給ノズルから処理ガスを供給する手順
をコンピュータにより前記基板処理装置に実行させるプログラム。
【請求項28】
基板に対して処理ガスを供給して処理する基板処理装置に実行させるプログラムであって、
前記基板を処理する処理領域が複数設けられた処理容器内において、回転テーブルに載置された基板を前記基板外のある点を中心として回転させることにより前記複数の処理領域を順次通過させて、前記複数の処理領域の内の少なくともいずれかに対して設けられ、前記処理容器の壁側から前記回転テーブルの中心側に向かって延在し、上流側から下流側に向けて大きくなるよう構成された複数の孔を有する往路部と、前記往路部と屈曲部を介して連通し前記回転テーブルの中心側から前記処理容器の壁側に向かって延在し、上流側から下流側に向けて小さくなるよう構成された複数の孔を有する復路部と、を有するガス供給ノズルから処理ガスを供給する手順
をコンピュータにより前記基板処理装置に実行させるプログラム。
【請求項29】
基板に対して処理ガスを供給して処理する基板処理装置に実行させるプログラムであって、
前記基板を処理する処理領域が複数設けられた処理容器内において、回転テーブルに載置された基板を前記基板外のある点を中心として回転させることにより前記複数の処理領域を順次通過させて、前記複数の処理領域の内の少なくともいずれかに対して設けられ、前記処理容器の壁側から前記回転テーブルの中心側に向かって延在する往路部と、前記往路部と屈曲部を介して連通し前記回転テーブルの中心側から前記処理容器の壁側に向かって延在し、孔が形成されておらず、先端に開口部が形成されている復路部と、を有するガス供給ノズルから処理ガスを供給する手順
をコンピュータにより前記基板処理装置に実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基板処理装置、半導体装置の製造方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体基板を処理する装置として、複数の基板を基板載置台上に周方向に配置し、その基板載置台を回転させて複数の基板に複数種類のガスを供給する回転型装置(特許文献1参照)が知られている。また、複数の基板が積載された状態で、基板の積載方向に延在する原料ガスノズルを用いて複数の基板に原料ガスを供給する縦型装置(特許文献2参照)が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-34013号公報
【文献】特開2017-147262号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
回転型装置では、例えば300mmの基板が周方向に配置され、加熱処理が為される。そのため、例えばI字形状のノズルを用いて原料ガスを供給した場合、装置の高温化に伴って、基板に供給される原料ガスがノズル内で熱分解してしまい、基板の径方向において形成される膜の特性が異なってしまう。
【0005】
本開示は、上記課題を解決するものであり、回転型装置において基板に形成される膜特性の均一性を向上させる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様によれば、
基板に対して処理ガスを供給して処理する基板処理装置であって、
前記基板を処理する処理領域が複数設けられた処理容器と、
前記処理容器内に設けられ、載置された基板を前記処理容器内において前記基板外のある点を中心として回転させることにより前記複数の処理領域を順次通過させる回転テーブルと、
前記複数の処理領域の内の少なくともいずれかに対して設けられ、前記処理容器の壁側から前記回転テーブルの中心側に向かって延在する往路部と、前記往路部と屈曲部を介して連通し前記回転テーブルの中心側から前記処理容器の壁側に向かって延在する復路部と、を有するガス供給ノズルと、
を有する技術を提供する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、回転型装置において基板に形成される膜特性の均一性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本開示の第1の実施形態に係る基板処理装置が備えるリアクタの横断面概略図である。
【
図2】本開示の第1の実施形態に係る基板処理装置が備えるリアクタの縦断面概略図であり、
図1に示すリアクタのA-A'線断面図である。
【
図3】本開示の第1の実施形態に係る基板支持機構を説明する説明図である。
【
図4】
図4(A)は、本開示の第1の実施形態に係る原料ガス供給部を説明する説明図である。
図4(B)は、本開示の第1の実施形態に係る反応ガス供給部を説明する説明図である。
図4(C)は、本開示の第1の実施形態に係る第1不活性ガス供給部を説明する説明図である。
図4(D)は、本開示の第1の実施形態に係る第2不活性ガス供給部を説明する説明図である。
【
図5】本開示の第1の実施形態に係るノズルを説明する説明図である。
【
図6】本開示の第1の実施形態に係るノズル内を流れる原料ガスの熱分解量を説明する説明図である。
【
図7】本開示の第1の実施形態に係るコントローラを説明する説明図である。
【
図8】本開示の第1の実施形態に係る基板処理工程を説明するフロー図である。
【
図9】本開示の第1の実施形態に係る基板処理工程を説明するフロー図である。
【
図10】本開示の第2の実施形態に係るノズルを説明する説明図である。
【
図11】本開示の第3の実施形態に係るノズルを説明する説明図である。
【
図12】本開示の第4の実施形態に係るノズルを説明する説明図である。
【
図13】
図13(A)~
図13(E)は、それぞれ本開示の第5~第9の実施形態に係るノズルを説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<第1の実施形態>
(1)基板処理装置の構成
図1および
図2に示されているように、リアクタ200は、円筒状の気密容器である処理容器203を備えている。処理容器203は、例えばステンレス(SUS)やアルミ合金等で構成されている。処理容器203内には、基板Sを処理する処理室201が構成されている。処理容器203にはゲートバルブ205が接続されており、ゲートバルブ205を介して基板Sが搬入出される。
【0010】
処理室201は、処理ガスを供給する処理領域206とパージガスを供給するパージ領域207を有する。ここでは処理領域206とパージ領域207は、円周状に交互に配される。例えば、第1処理領域206a、第1パージ領域207a、第2処理領域206bおよび第2パージ領域207bの順に配される。後述するように、第1処理領域206a内には原料ガスが供給され、第2処理領域206b内には反応ガスが供給され、また第1パージ領域207aおよび第2パージ領域207bには不活性ガスが供給される。これにより、それぞれの領域内に供給されるガスに応じて、基板Sに対して所定の処理が施される。
【0011】
パージ領域207は、第1処理領域206aと第2処理領域206bとを空間的に切り分ける領域である。パージ領域207の天井208は処理領域206の天井209よりも低くなるよう構成されている。第1パージ領域207aには天井208aが設けられ、第2パージ領域207bには天井208bが設けられる。各天井を低くすることで、パージ領域207の空間の圧力を高くする。この空間にパージガスを供給することで、隣り合う処理領域206を区画している。なお、パージガスは基板S上の余分なガスを除去する役割も有する。
【0012】
処理容器203の中央には、例えば処理容器203の中心に回転軸を有し、回転自在に構成される回転テーブル217が設けられている。回転テーブル217は、基板Sへの金属汚染の影響が無いように、例えば、石英、カーボンまたはSiC等の材料で形成されている。
【0013】
回転テーブル217は、処理容器203内に、複数枚(例えば5枚)の基板Sを同一面上に、且つ回転方向に沿って同一円周上に並べて支持するよう構成される。ここでいう「同一面」とは、完全な同一面に限られるものではなく、回転テーブル217を上面から見たときに、複数枚の基板Sが互いに重ならないように並べられていればよい。
【0014】
回転テーブル217表面における基板Sの支持位置には、凹部217bが設けられている。処理する基板Sの枚数と同数の凹部217bが回転テーブル217の中心から同心円上の位置に互いに等間隔(例えば72°の間隔)で配置されている。なお、
図1においては、説明の便宜上図示を省略している。
【0015】
それぞれの凹部217bは、例えば回転テーブル217の上面から見て円形状であり、側面から見て凹形状である。凹部217bの直径は基板Sの直径よりもわずかに大きくなるように構成することが好ましい。この凹部217bの底には基板載置面が設けられており、凹部内に基板Sを載置することにより、基板Sを基板載置面に載置できる。各凹部217bには、後述するピン219が貫通する貫通孔217aが複数設けられている。
【0016】
処理容器203のうち、回転テーブル217下方であってゲートバルブ205と向かい合う箇所には、
図3に記載の基板保持機構218が設けられている。基板保持機構218は、基板Sの搬入・搬出時に、基板Sを突き上げて、基板Sの裏面を支持するピン219を複数有する。ピン219は延伸可能な構成であって、例えば基板保持機構218本体に収納可能である。基板Sを移載する際には、ピン219が延伸され貫通孔217aを貫通すると共に、基板Sを保持する。その後、ピン219の先端が下方に移動することで、基板Sは凹部217bに載置される。基板保持機構218は、例えば処理容器203に固定する。基板保持機構218は、基板載置時にピン219を孔217aに挿入可能な構成であればよく、後述する内周凸部282や外周凸部283に固定してもよい。
【0017】
回転テーブル217はコア部221に固定される。コア部221は回転テーブル217の中心に設けられ、回転テーブル217を固定する役割を有する。回転テーブル217を支持する構造であることから、重量に耐えられるよう金属が用いられる。コア部221の下方にはシャフト222が配される。シャフト222はコア部221を支持する。
【0018】
シャフト222の下方は、処理容器203の底部に設けられた孔223を貫通し、処理容器203外で気密可能な容器204で覆われている。また、シャフト222の下端は回転部224に接続される。回転部224は回転軸やモータ等を搭載し、後述するコントローラ300の指示によって回転テーブル217を回転可能に構成される。すなわち、コントローラ300が、基板S外のある点であるコア部221を中心として、回転部224が回転テーブル217を回転させることにより第1処理領域206a、第1パージ領域207a、第2処理領域206bおよび第2パージ領域207bの順に基板Sを順次通過させる。
【0019】
コア部221を覆うように石英カバー225が設けられる。すなわち、石英カバー225はコア部221と処理室201との間に設けられている。石英カバー225は、空間を介してコア部221を覆うよう構成される。石英カバー225は基板Sへの金属汚染の影響が無いように、例えば、石英やSiC等の材料で形成されている。コア部221、シャフト222、回転部224、石英カバー225をまとめて支持部と呼ぶ。
【0020】
回転テーブル217の下方には、加熱部としてのヒータ280を内包するヒータユニット281が配される。ヒータ280は、回転テーブル217に載置した各基板Sを加熱する。ヒータ280は、処理容器203の形状に沿って円周状に構成される。
【0021】
ヒータユニット281は、処理容器203の底部上であって、処理容器203の中心側に設けられた内周凸部282と、ヒータ280よりも外周側に配される外周凸部283と、ヒータ280とで主に構成される。内周凸部282、ヒータ280、外周凸部283は、同心円状に配される。内周凸部282と外周凸部283の間には空間284が形成される。ヒータ280は空間284に配される。内周凸部282、外周凸部283は処理容器203に固定されるものでもあるので、処理容器203の一部として考えてもよい。
【0022】
ここでは円周状のヒータ280と説明したが、基板Sを加熱できればそれに限るものではなく、複数分割した構造としてもよい。
【0023】
内周凸部282の上部であってヒータ280側にはフランジ282aが形成される。窓285はフランジ282aと外周凸部283の上面で支持される。窓285はヒータ280から発生する熱を透過する材質であり、例えば石英で構成される。窓285は後述する排気構造286の上部286aと内周凸部282によって挟まれることで固定される。
【0024】
ヒータ280には、ヒータ制御部287が接続される。ヒータ280は後述するコントローラ300に電気的に接続され、コントローラ300の指示によってヒータ280への電力供給を制御し、温度制御を行う。
【0025】
処理容器203の底部には、空間284と連通する不活性ガス供給管275が設けられる。不活性ガス供給管275は後述する第2不活性ガス供給部270に接続される。第2不活性ガス供給部270から供給された不活性ガスは、不活性ガス供給管275を介して空間284に供給される。空間284を不活性ガス雰囲気とすることで、処理ガスが窓285付近の隙間等から侵入することを防ぐ。
【0026】
外周凸部283の外周面と処理容器203の内周面との間には、金属製の排気構造286が配される。排気構造286は、排気溝288と排気バッファ空間289を有する。排気溝288、排気バッファ空間289は、処理容器203の形状に沿って円周状に構成される。
【0027】
排気構造286のうち外周凸部283と接触しない箇所を上部286aと呼ぶ。前述のように、上部286aは、内周凸部282と共に窓285を固定する。
【0028】
本実施形態のような回転型基板処理装置においては、基板Sの高さと排気口とを同じ高さにするか、あるいは高さを近づけることが望ましい。仮に排気口の高さが低い場合、回転テーブル217の端部でガスの乱流が発生する恐れがある。これに対して、同じ高さとするか、あるいは高さを近づけることで、排気口側の基板エッジにおいても乱流が発生しないようにする。
【0029】
本実施形態においては排気構造286の上端を回転テーブル217と同じ高さとしている。この場合、
図2のように上部286aが窓285からはみ出す部分が発生するため、パーティクル拡散防止の観点から、その部分には石英カバー290を設ける。仮に石英カバー290が無い場合、上部286aにガスが接触して上部286aが腐食し、処理室201内にパーティクルを発生させる恐れがある。石英カバー290と上部286aとの間には空間299を設ける。
【0030】
排気構造286の底には、排気口291、排気口292が設けられる。排気口291は第1処理領域206aに供給される原料ガスと、その上流から供給されるパージガスを主に排気する。排気口292は処理空間206bに供給される反応ガスと、その上流から供給されるパージガスを主に排気する。各ガスは排気溝288、排気バッファ空間289を介して排気口291、排気口292から排気される。
【0031】
続いて
図1及び
図4(A)を用いて原料ガス供給部240を説明する。
図1に記載のように、処理容器203の側方には処理容器203の中心方向に向かって延在するガス供給ノズルとしてのノズル245が挿入される。ノズル245は第1処理領域206aに配される。ノズル245には、ガス供給管241の下流端が接続されている。ノズル245について、詳細には後述する。
【0032】
ガス供給管241には、上流方向から順に、原料ガス供給源242、流量制御器(流量制御部)であるマスフローコントローラ(MFC)243、及び開閉弁であるバルブ244が設けられている。
【0033】
原料ガスは、MFC243、バルブ244、ガス供給管241を介して、ノズル245から第1処理領域206a内に供給される。
【0034】
ここでいう「原料ガス」とは、処理ガスの一つであり、薄膜形成の際の原料になるガスである。原料ガスは、薄膜を構成する元素として、例えばシリコン(Si)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、ハフニウム(Hf)、ジルコニウム(Zr)、ルテニウム(Ru)、ニッケル(Ni)、およびタングステン(W)、モリブデン(Mo)の少なくともいずれか一つを含む。
【0035】
具体的には、本実施形態では、原料ガスは、例えば、ジクロロシラン(Si2H2Cl2)ガスである。原料ガスの原料が常温で気体である場合、MFC243は気体用のマスフローコントローラである。
【0036】
主に、ガス供給管241、MFC243、バルブ244、ノズル245により、原料ガス供給部(第1ガス供給系、もしくは原料ガス供給部と呼んでもよい。)240が構成される。なお、原料ガス供給源242を原料ガス供給部240に含めて考えてもよい。
【0037】
続いて
図1及び
図4(B)を用いて反応ガス供給部250を説明する。
図1に記載のように、処理容器203の側方には処理容器203の中心方向に向かって延在するノズル255が挿入される。ノズル255は第2処理領域206bに配される。
【0038】
ノズル255には、ガス供給管251が接続されている。ガス供給管251には、上流方向から順に、反応ガス供給源252、MFC253、及びバルブ254が設けられている。
【0039】
反応ガスは、MFC253、バルブ254、ガス供給管251を介して、ノズル255から第2処理領域206b内に供給される。
【0040】
ここでいう「反応ガス」とは、処理ガスの一つであり、基板S上に原料ガスによって形成された第1層と反応するガスである。反応ガスは、例えばアンモニア(NH3)ガス、窒素(N2)ガス、水素(H2)ガス、および酸素(O2)ガスの少なくともいずれか一つである。ここでは、反応ガスは、例えばNH3ガスである。
【0041】
主に、ガス供給管251、MFC253、バルブ254、ノズル255により反応ガス供給部(第2ガス供給部)250が構成される。なお、反応ガス供給源252を反応ガス供給部250に含めて考えてもよい。
【0042】
続いて
図1及び
図4(C)を用いて第1不活性ガス供給部260を説明する。
図1に記載のように、処理容器203の側方には処理容器203の中心方向に向かって延在するノズル265、ノズル266が挿入される。ノズル265は、第1パージ領域207aに挿入されるノズルである。ノズル265は、例えば、第1パージ領域207aの天井208aに固定される。ノズル266は、第2パージ領域207bに挿入されるノズルである。ノズル266は、例えば、第2パージ領域207bの天井208bに固定される。
【0043】
ノズル265、ノズル266には、不活性ガス供給管261の下流端が接続されている。不活性ガス供給管261には、上流方向から順に、不活性ガス供給源262、MFC263、及びバルブ264が設けられている。不活性ガスは、MFC263、バルブ264、不活性ガス供給管261を介して、ノズル265及びノズル266から第1パージ領域207a内及び第2パージ領域207b内にそれぞれ供給される。第1パージ領域207a内及び第2パージ領域207b内に供給される不活性ガスは、パージガスとして作用する。
【0044】
主に、不活性ガス供給管261、MFC263、バルブ264、ノズル265、ノズル266により第1不活性ガス供給部が構成される。なお、不活性ガス供給源262を第1不活性ガス供給部に含めて考えてもよい。
【0045】
続いて
図2及び
図4(D)を用いて第2不活性ガス供給部270を説明する。不活性ガス供給管275には、不活性ガス供給管271の下流端が接続されている。不活性ガス供給管271には、上流方向から順に、不活性ガス供給源272、MFC273、及びバルブ274が設けられている。不活性ガスは、MFC273、バルブ274、不活性ガス供給管271を介して、不活性ガス供給管275から空間284、容器204に供給される。
【0046】
容器204に供給された不活性ガスは、回転テーブル217と窓285の間の空間を介して、排気溝288から排気される。このような構造とすることで、原料ガスや反応ガスが回転テーブル217と窓285の間の空間に回り込むことを防ぐ。
【0047】
主に、不活性ガス供給管271、MFC273、バルブ274、不活性ガス供給管271により第2不活性ガス供給部270が構成される。なお、不活性ガス供給源272を第2不活性ガス供給部270に含めて考えてもよい。
【0048】
ここで「不活性ガス」は、例えば、窒素(N2)ガス、ヘリウム(He)ガス、ネオン(Ne)ガス、アルゴン(Ar)ガス等の希ガスの少なくともいずれか一つである。ここでは、不活性ガスは、例えばN2ガスである。
【0049】
図1に示されているように、処理容器203には排気口291、排気口292が設けられる。排気口291は、第1処理領域206aの回転方向下流側に設けられる。主に原料ガスと不活性ガスを排気する。
【0050】
排気口291と連通するよう、排気部234の一部である排気管234aが設けられる。排気管234aには、開閉弁としてのバルブ234d、圧力調整器(圧力調整部)としてのAPC(Auto Pressure Controller)バルブ234cを介して、真空排気装置としての真空ポンプ234bが接続されており、処理室201内の圧力が所定の圧力(真空度)となるよう真空排気し得るように構成されている。
【0051】
排気管234a、バルブ234d、APCバルブ234cをまとめて排気部234と呼ぶ。なお、真空ポンプ234bを排気部234に含めてもよい。
【0052】
また、
図1、
図2に示されているように、排気口292と連通するよう、排気部235が設けられる。排気口292は、処理領域206bの回転方向下流側に設けられる。主に反応ガスと不活性ガスを排気する。
【0053】
排気口292と連通するよう、排気部235の一部である排気管235aが設けられる。排気管235aには、バルブ235d、APCバルブ235cを介して、真空ポンプ235bが接続されており、処理室201内の圧力が所定の圧力(真空度)となるよう真空排気し得るように構成されている。
【0054】
排気管235a、バルブ235d、APCバルブ235cをまとめて排気部235と呼ぶ。なお、真空ポンプ235bを排気部235に含めてもよい。
【0055】
次に、ノズル245の詳細について
図5を用いて説明する。ノズル245は、原料ガスの一例であるシリコン(Si)系のSi
2H
2Cl
2ガスを第1処理領域206aに供給する原料ガス供給部の一部として用いられる。
【0056】
ノズル245は、U字形状であって、第1処理領域206aに設けられる。ノズル245は、例えば石英やセラミックス等のクリーニング耐性のある材質で構成されている。ノズル245は、ガス供給管241に連通して接続される往路部245aと、往路部245aから屈曲して連通する屈曲部245bと、屈曲部245bに連通する復路部245cと、を有する。すなわち、屈曲部245bは、往路部245aと復路部245cとをU型状に接続する。また、往路部245aと復路部245cとは、平行に延在するよう構成されている。
【0057】
往路部245aには、回転テーブル217上の基板Sと対向する側に、丸孔形状の複数の孔255aが形成されている。孔255aの孔径は、ガス流の上流側から下流側に向かって、徐々に大きくなるよう構成されている。すなわち、屈曲部245bに近づくにつれて、孔255aの孔径が徐々に大きくなるよう構成されている。このように構成することにより、回転テーブル217の中心側に供給される分解したガスの供給量を増大させることが可能となる。これにより、回転テーブル217の中心側から外側に向かって分解したガスの流れが形成される。
【0058】
復路部245cには、回転テーブル217上の基板Sと対向する側に、丸孔形状の複数の孔255cが形成されている。孔255cの孔径は、ガス流の上流側から下流側に向かって、徐々に小さくなるよう構成されている。すなわち、屈曲部245bから離れるにつれて、孔255cの孔径が徐々に小さくなるよう構成されている。このように構成することにより、回転テーブル217の外側に供給される分解したガスの供給量を低減させることが可能となる。
【0059】
図1に示すように、往路部245aは、処理容器203の壁203a側から回転テーブル217の中心側に向かって径方向に延在する。復路部245cは、回転テーブル217の中心側から処理容器203の壁203a側に向かって径方向に延在する。言い換えれば、ノズル245の往路部245aと復路部245cは、回転テーブル217上の基板Sに対して、それぞれ一端側から他端側、他端側から一端側に径方向に延在するように構成されている。これにより、膜分布を調整しやすくすることができる。
【0060】
また、復路部245cは、往路部245aから屈曲部245bを介して回転テーブル217の回転方向Rの反対方向側に折れ曲がって(Uターンして)、往路部245aの回転テーブル217の反回転方向側に延在するように構成されている。これにより、第1処理領域206aにおける原料ガスの滞在時間を長くすることができる。屈曲部245bは、回転テーブル217上に載置される基板Sの外側と対向する位置に配置されるように構成されている。すなわち、屈曲部245bは、回転テーブル217上に載置される基板Sと対向しない位置に配置されるように構成されている。屈曲部245bは、原料ガスの噴射が壁面に強く当たる箇所のため、その他の部位に比べてガス起因による副生成物の付着が多くなる。屈曲部245bを基板Sに対向する位置に配置すると、その開口部から副生成物の落下による基板Sへの異物付着の懸念がある。そのため、屈曲部245bは基板Sに対向する位置に配置しないことが望ましい。
【0061】
つまり、回転テーブル217の中心側に配置される孔255aの孔径が、回転テーブル217の外周側に配置される孔255aの孔径よりも大きくなるよう構成されている。また、回転テーブル217の中心側に配置される孔255cの孔径が、回転テーブル217の外周側に配置される孔255cの孔径よりも大きくなるよう構成されている。
【0062】
また、往路部245aのガス流の下流側の先端が、回転テーブル217上の基板Sの縁よりも外側まで延在するように構成されている。また、孔255aが、基板Sの縁の外側から基板Sの反対側の縁の外側まで径方向に配置されるよう構成されている。つまり、孔255aは、往路部245aの、回転テーブル217上の基板Sに対向する位置と、基板Sよりも外側に配置されるよう構成されている。これにより、基板Sの端部まで均一に膜を形成することができる。
【0063】
また、復路部245cのガス流の下流側の先端が、回転テーブル217上の基板Sの縁よりも外側の排気溝288まで延在するように構成されている。また、孔255cが、基板Sの縁の外側から基板Sの反対側の縁の外側まで径方向に配置されるよう構成されている。つまり、孔255cは、復路部245cの、回転テーブル217上の基板Sに対向する位置と、基板Sよりも外側に配置されるよう構成されている。これにより、基板Sの端部まで均一に膜を形成することができる。また、復路部245cは、往路部245aに対して、平行に設けられ、復路部245cのガス流の下流側の先端が、原料ガスを排気する排気口291に接続される排気溝288の近傍まで延在するように構成されている。これにより、熱分解された原料ガスの基板S上での滞在時間を短くし、膜厚への影響を低減できる。すなわち、基板Sに形成される膜の均一性を向上させることができる。なお、復路部245cのガス流の下流側の先端に開口を設けてもよい。これにより、ノズル245に供給された原料ガスがふん詰まりにならずに排出される。ここで、膜の均一性とは、基板S面内での膜特性の均一性である。膜特性としては、例えば、膜厚、誘電率、絶縁特性、エッチング耐性、電流リーク特性等がある。本開示では、主として、膜厚の均一性について記しているが、他の特性の均一性も改善させることが可能となる。
【0064】
また、往路部245aに形成される孔255aの位置と、復路部245cに形成される孔255cの位置は、回転テーブル217の半径方向の位置が同じ位置に設けられる。これにより、回転テーブル217の径方向でのガス供給量の調整が容易となる。
【0065】
また、屈曲部245bの内径t2は、往路部245aや復路部245cの内径t1よりも大きく構成されている。これにより、屈曲部245bにおける原料ガスの圧力損失を小さくすることができる。
【0066】
ノズル245内では、装置の高温化に伴って基板Sの半径方向において原料ガスの熱分解が加速し、ノズル245のガス流の上流側から下流側に向けて原料ガスの熱分解が進む。つまり、
図6に示すように、ノズル245を流れる原料ガスの熱分解量は、上流側から下流側に進むにつれて徐々に多くなる。例えば、ノズル245の最上流側に形成された孔(往路部245aの最上流側の孔)255aから供給される原料ガスの熱分解量を0とし、ノズル245の最下流側に形成された孔(復路部245cの最下流側の孔)255cから供給される原料ガスの熱分解量を10とすると、基板Sに供給される原料ガスの熱分解量が径方向において5となり、同等となる。すなわち、同等に熱分解された原料ガスが基板Sに供給されて、基板Sの半径方向において形成される膜の面内膜厚均一性を向上させることができる。
【0067】
リアクタ200は、各部の動作を制御するコントローラ300を有している。コントローラ300は、
図7に記載のように、演算部(CPU)301、一時記憶部としてのRAM302、記憶部303、送受信部304を少なくとも有する。コントローラ300は、送受信部304を介して基板処理装置10の各構成に接続され、上位コントローラや使用者の指示に応じて記憶部303からプログラムやレシピを呼び出し、その内容に応じて各構成の動作を制御する。なお、コントローラ300は、専用のコンピュータとして構成してもよいし、汎用のコンピュータとして構成してもよい。例えば、上述のプログラムを格納した外部記憶装置(例えば、磁気テープ、フレキシブルディスクやハードディスク等の磁気ディスク、CDやDVD等の光ディスク、MO等の光磁気ディスク、USBメモリ(USB Flash Drive)やメモリカード等の半導体メモリ)312を用意し、外部記憶装置312を用いて汎用のコンピュータにプログラムをインストールすることにより、本実施形態に係るコントローラ300を構成できる。また、コンピュータにプログラムを供給するための手段は、外部記憶装置312を介して供給する場合に限らない。例えば、インターネットや専用回線等の通信手段を用いても良いし、上位装置320から送受信部311を介して情報を受信し、外部記憶装置312を介さずにプログラムを供給するようにしてもよい。また、キーボードやタッチパネル等の入出力装置313を用いて、コントローラ300に指示をしても良い。
【0068】
なお、記憶部303や外部記憶装置312は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体として構成される。以下、これらを総称して、単に記録媒体ともいう。なお、本明細書において記録媒体という言葉を用いた場合は、記憶部303単体のみを含む場合、外部記憶装置312単体のみを含む場合、または、その両方を含む場合がある。
【0069】
CPU301は、記憶部303から制御プログラムを読み出して実行すると共に、入出力装置313からの操作コマンドの入力等に応じて記憶部303からプロセスレシピを読み出すように構成されている。そして、CPU301は、読み出したプロセスレシピの内容に沿うように、各部品を制御するように構成されている。
【0070】
(2)基板処理工程
次に、
図8および
図9を用い、第1の実施形態に係る基板処理工程について説明する。
図8は、本実施形態に係る基板処理工程を示すフロー図である。
図9は、本実施形態に係る成膜工程を示すフロー図である。以下の説明において、基板処理装置10のリアクタ200の構成各部の動作は、コントローラ300により制御される。
【0071】
ここでは、原料ガスとしてSi2H2Cl2ガスを用い、反応ガスとしてNH3ガスを用い、基板S上に薄膜としてシリコン窒化(SiN)膜を形成する例について説明する。
【0072】
基板搬入・載置工程S110を説明する。リアクタ200では、ピン219を上昇させて、回転テーブル217の貫通孔217aにピン219を貫通させる。その結果、ピン219が、回転テーブル217表面よりも所定の高さ分だけ突出した状態となる。続いて、ゲートバルブ205を開き、図示しない基板移載機を用いて、
図3のようにピン219上に基板Sを載置する。載置後、ピン219を下降させ、凹部217b上に基板Sを載置する。
【0073】
そして、基板Sが載置されていない凹部217bがゲートバルブ205と向かい合うよう、回転テーブル217を回転させる。その後、同様に凹部217bに基板Sを載置する。すべての凹部217bに基板Sが載置されるまで繰り返す。
【0074】
凹部217bに基板Sを搬入したら、基板移載機をリアクタ200の外へ退避させ、ゲートバルブ205を閉じて処理容器203内を密閉する。
【0075】
なお、基板Sを処理室201内に搬入する際には、排気部234、235により処理室201内を排気しつつ、第1不活性ガス供給部260から処理室201内に不活性ガスとしてのN2ガスを供給することが好ましい。これにより、処理室201内へのパーティクルの侵入や、基板S上へのパーティクルの付着を抑制することが可能となる。真空ポンプ234b、235bは、少なくとも基板搬入・載置工程(S110)から後述する基板搬出工程(S170)が終了するまでの間は、常に作動させた状態とする。
【0076】
基板Sを回転テーブル217に載置する際は、予めヒータ280に電力を供給し、基板Sの表面が所定の温度となるよう制御される。基板Sの温度は、例えば室温以上650℃以下であり、好ましくは、室温以上であって400℃以下である。ヒータ280は、少なくとも基板搬入・載置工程(S110)から後述する基板搬出工程(S170)が終了するまでの間は、常に通電させた状態とする。
【0077】
それと並行して、第2不活性ガス供給部270から処理容器203、ヒータユニット281に不活性ガスが供給される。不活性ガスは、少なくとも基板搬入・載置工程(S110)から後述する基板搬出工程(S170)が終了するまでの間供給する。
【0078】
回転テーブル回転開始工程S120を説明する。基板Sが各凹部217bに載置されたら、回転部224は回転テーブル217をR方向に回転するよう制御される。回転テーブル217を回転させることにより、基板Sは、第1処理領域206a、第1パージ領域207a、第2処理領域206b、第2パージ領域207bの順に移動する。
【0079】
ガス供給開始工程S130を説明する。基板Sを加熱して所望とする温度に達し、回転テーブル217が所望とする回転速度に到達したら、バルブ244を開けて第1処理領域206a内にSi2H2Cl2ガスの供給を開始する。それと併行して、バルブ254を開けて第2処理領域206b内にNH3ガスを供給する。
【0080】
このとき、Si2H2Cl2ガスの流量が所定の流量となるように、MFC243を調整する。なお、Si2H2Cl2ガスの供給流量は、例えば50sccm以上500sccm以下である。
【0081】
また、NH3ガスの流量が所定の流量となるように、MFC253を調整する。なお、NH3ガスの供給流量は、例えば100sccm以上5000sccm以下である。
【0082】
なお、基板搬入・載置工程S110後、継続して、排気部234、235により処理室201内が排気されるとともに、第1不活性ガス供給部260から第1パージ領域207a内および第2パージ領域207b内にパージガスとしてのN2ガスが供給されている。また、APCバルブ234c、APCバルブ235cの弁開度を適正に調整することにより、処理室201内の圧力を所定の圧力とする。
【0083】
成膜工程S140を説明する。ここでは成膜工程S140の基本的な流れについて説明し、詳細は後述する。成膜工程S140では、各基板Sは、第1処理領域206aにてシリコン含有層が形成され、更に回転後の第2処理領域206bにて、シリコン含有層とNH3ガスとが反応し、基板S上にSiN膜を形成する。所望の膜厚となるよう、回転テーブル217を所定回数回転させる。
【0084】
ガス供給停止工程S150を説明する。所定回数回転させた後、バルブ244,254を閉じ、第1処理領域206aへのSi2H2Cl2ガスの供給、第2処理領域206bへのNH3ガスの供給を停止する。
【0085】
回転テーブル回転停止工程S160を説明する。ガス供給停止工程S150の後、回転テーブル217の回転を停止する。
【0086】
基板搬出工程S170を説明する。ゲートバルブ205と対向する位置に基板Sを移動するよう回転テーブル217を回転させる。その後、基板搬入時と同様にピン219上に基板Sを支持させる。支持後ゲートバルブ205を開き、図示しない基板移載機を用いて基板Sを処理容器203の外へ搬出する。これを処理した基板Sの枚数分繰り返し、すべての基板Sを搬出する。搬出後、第1不活性ガス供給部260、第2不活性ガス供給部270による不活性ガスの供給を停止する。
【0087】
続いて、
図9を用いて成膜工程S140の詳細を説明する。尚、第1処理領域通過工程S210から第2パージ領域通過工程S240までは、回転テーブル217上に載置された複数の基板Sの内、一枚の基板Sを主として説明する。
【0088】
図9に示されているように、成膜工程S140では、回転テーブル217の回転によって、複数の基板Sを、第1処理領域206a、第1パージ領域207a、第2処理領域206b、および第2パージ領域207bを順次通過させる。
【0089】
第1処理領域通過工程S210を説明する。基板Sが第1処理領域206aを通過する際に、Si2H2Cl2ガスが基板Sに供給される。このとき、第1処理領域206a内には反応ガスが無いため、Si2H2Cl2ガスは反応ガスと反応することなく、直接基板Sの表面に接触(付着)する。これにより、基板Sの表面には、第1層が形成される。
【0090】
第1パージ領域通過工程S220を説明する。基板Sは、第1処理領域206aを通過した後に、第1パージ領域207aに移動する。基板Sが第1パージ領域207aを通過するときに、第1処理領域206aにおいて基板S上で強固な結合を形成できなかったSi2H2Cl2の成分が、不活性ガスによって基板S上から除去される。
【0091】
第2処理領域通過工程S230を説明する。基板Sは、第1パージ領域207aを通過した後に第2処理領域206bに移動する。基板Sが第2処理領域206bを通過するときに、第2処理領域206bでは、第1層が反応ガスとしてのNH3ガスと反応する。これにより、基板Sの上には、少なくともSiおよびNを含む第2層が形成される。
【0092】
第2パージ領域通過工程S240を説明する。基板Sは、第2処理領域206bを通過した後に、第2パージ領域207bに移動する。基板Sが第2パージ領域207bを通過するときに、第2処理領域206bにおいて基板S上の第2層から脱離したHClや、余剰となったH2ガス等が、不活性ガスによって基板S上から除去される。
【0093】
このようにして、基板Sに対して、互いに反応する少なくとも2つのガスを順番に供給する。以上の第1処理領域通過工程S210、第1パージ領域通過工程S220、第2処理領域通過工程S230、および第2パージ領域通過工程S240を1サイクルとする。
【0094】
判定S250を説明する。コントローラ300は、上記1サイクルを所定回数実施したか否かを判定する。具体的には、コントローラ300は、回転テーブル217の回転数をカウントする。
【0095】
上記1サイクルを所定回数実施していないとき(S250でNoの場合)、さらに回転テーブル217の回転を継続させて、第1処理領域通過工程S210、第1パージ領域通過工程S220、第2処理領域通過工程S230、第2パージ領域通過工程S240を有するサイクルを繰り返す。このように積層することにより薄膜を形成する。
【0096】
上記1サイクルを所定回数実施したとき(S250でYesの場合)、成膜工程S140を終了する。このように、上記1サイクルを所定回数回実施することにより、積層した所定膜厚の薄膜が形成される。
【0097】
(3)本実施形態による効果
上述の実施形態によれば、以下に示す1つまたは複数の効果が得られる。
【0098】
(a)ノズル内における原料ガスの熱分解による基板に形成される膜の不均一を抑制することが可能となる。すなわち、基板に形成される膜の面内膜厚均一性を向上させることが可能となる。
(b)復路部245cを、往路部245aの回転テーブル217の反回転方向側に延在するように構成することにより、第1処理領域206aにおける原料ガスの滞在時間を長くすることができる。
(c)復路部245cのガス流の下流側の先端が、原料ガスを排気する排気口291に接続される排気溝288の近傍まで延在するように構成することにより、熱分解された原料ガスの基板S上での滞在時間を短くし、膜厚への影響を低減できる。すなわち、基板Sに形成される膜の均一性を向上させることができる。
(d)孔255a,255cを、それぞれ往路部245a、復路部245cの、回転テーブル217上の基板Sに対向する位置と、基板Sよりも外側に配置されるよう構成することにより、基板Sの端部まで均一に膜を形成することができる。
(e)ノズルの屈曲部245bの内径t2を、往路部245aや復路部245cの内径t1よりも大きくすることにより、屈曲部245bにおける原料ガスの圧力損失を小さくすることができる。
【0099】
(4)その他の実施形態
ノズル245の形状、孔の形状、孔の大きさ等は、上述した第1の実施形態に示す態様に限定されない。例えば、以下に示す実施形態のように変更することも可能である。以下では、主に、第1の実施形態と異なる箇所について記載する。以下の実施形態によっても、上述の第1の実施形態に示す態様と同様の効果が得られる。
【0100】
(第2の実施形態)
第2の実施形態では、
図10に示すように、上述したノズル245の代わりに、ノズル245と形状の異なるノズル345を用いる。
【0101】
ノズル345は、V字形状であって、ガス供給管241に連通して接続される往路部345aと、往路部345aから屈曲して連通する屈曲部345bと、屈曲部345bに連通する復路部345cと、を有する。すなわち、屈曲部345bは、往路部345aと復路部345cとを接続する。往路部345aの延長線上に回転テーブル217の中心が配置されるよう構成されている。また、往路部345aと復路部345cとはV字状に設けられている。
【0102】
往路部345aは、処理容器203の壁203a側から回転テーブル217の中心側に向かって径方向に延在し、往路部345aのガス流の下流側の先端が、回転テーブル217上の基板Sの縁よりも外側まで延在するよう構成されている。
【0103】
屈曲部345bは、回転テーブル217上の基板Sの外側と対向する位置に配置されるように構成されている。すなわち、屈曲部345bは、回転テーブル217上に載置される基板Sと対向しない位置に配置されるように構成されている。
【0104】
復路部345cは、回転テーブル217の中心側から処理容器203の壁203a側に向かって基板Sに対して径方向に延在し、復路部345cのガス流の下流側の先端が、回転テーブル217上の基板Sの縁よりも外側であって、排気溝288まで延在するよう構成されている。復路部345cは、往路部345aの回転テーブル217の反回転方向側に延在するように構成されている。
【0105】
上述したように、往路部345aと復路部345cを基板の径方向に配置するように構成することにより、膜厚分布を調整しやすくすることができる。なお、往路部345aと復路部345cには、それぞれ上述した往路部245aと復路部245cと同様、回転テーブル217上の基板Sと対向する側に、複数の孔255a,255cが形成されている。
【0106】
(第3の実施形態)
第3の実施形態では、
図11に示すように、上述したノズル245の代わりに、ノズル245と形状の異なるノズル445を用いる。
【0107】
ノズル445は、ガス供給管241に連通して接続される往路部445aと、往路部445aから屈曲して連通する屈曲部445bと、屈曲部445bに連通する復路部445cと、を有する。すなわち、屈曲部445bは、往路部445aと復路部445cとを接続する。往路部445aの延長線上と復路部445cの延長線上に、回転テーブル217の中心が配置されるよう構成されている。また、往路部445aと復路部445cとは屈曲部445bで折れ曲がってV字状に設けられている。
【0108】
往路部445aは、処理容器203の壁203a側から回転テーブル217の中心側に向かって回転テーブルの径方向に延在し、往路部445aのガス流の下流側の先端が、回転テーブル217上の基板Sの縁よりも外側まで延在するよう構成されている。
【0109】
屈曲部445bは、直線状で回転テーブル217上の基板Sの外側と対向する位置に配置されるように構成されている。すなわち、屈曲部445bは、回転テーブル217上に載置される基板Sと対向しない位置に配置されるように構成されている。
【0110】
復路部445cは、回転テーブル217の中心側から処理容器203の壁203a側に向かって基板に対して径方向に延在し、復路部445cのガス流の下流側の先端が、回転テーブル217上の基板Sの縁よりも外側であって、排気溝288まで延在するよう構成されている。復路部445cは、往路部345aに対して回転テーブル217の反回転方向側に延在するように構成されている。
【0111】
往路部445aと復路部445cには、それぞれ上述した往路部245aと復路部245cと同様、回転テーブル217上の基板Sと対向する側に、複数の孔255a,255cが形成されている。
【0112】
(第4の実施形態)
第4の実施形態では、
図12に示すように、上述したノズル245の代わりに、ノズル245と向きの異なるノズル545を用いる。
【0113】
ノズル545は、U字形状であって、ガス供給管241に連通して接続される往路部545aと、往路部545aから屈曲して連通する屈曲部545bと、屈曲部545bに連通する復路部545cと、を有する。屈曲部545bは、往路部545aと復路部545cとを接続する。また、往路部545aと復路部545cとは平行に設けられている。なお、往路部545aと復路部545cには、それぞれ上述した往路部245aと復路部245cと同様、回転テーブル217上の基板Sと対向する側に、複数の孔255a,255cが形成されている。
【0114】
ノズル545は、復路部545cが、往路部545aの回転テーブル217の回転方向R側に延在するよう構成されている。また、復路部545cのガス流の下流側の先端が、排気口291の近傍に配置されるよう構成されている。
【0115】
復路部545cには、熱分解された原料ガスが流れるため、膜厚が厚くなる傾向がある。復路部545cのガス流の下流側の先端を、排気口291の近傍に配置することで、熱分解された原料ガスの基板S上での滞在時間を短くし、熱分解された原料ガスによる膜厚への影響を低減できる。
【0116】
(第5の実施形態)
第5の実施形態では、
図13(A)に示すように、上述したノズル245と孔の形状の異なるノズル645を用いる。
【0117】
ノズル645は、ガス供給管241に連通して接続される往路部645aと、往路部645aから屈曲して連通する屈曲部645bと、屈曲部645bに連通する復路部645cと、を有する。屈曲部645bは、往路部645aと復路部645cとをU字状に接続する。また、往路部645aと復路部645cとは平行に設けられている。
【0118】
往路部645aには、回転テーブル217上の基板Sと対向する側に、孔が形成されていない。
【0119】
復路部645cには、回転テーブル217上の基板Sと対向する側に、複数の孔655cが形成されている。孔655cの孔径は、ガス流の上流側から下流側に向かって、徐々に大きくなるよう構成されている。すなわち、屈曲部645bから離れるにつれて、孔655cの孔径が徐々に大きくなるよう構成されている。
【0120】
つまり、回転テーブル217の外周側に配置される孔655cの孔径が、回転テーブル217の中心側に配置される孔655cの孔径よりも大きくなるよう構成されている。これにより、熱分解された原料ガスの曝露量を多くすることができる。
【0121】
(第6の実施形態)
第6の実施形態では、
図13(B)に示すように、上述したノズル245と孔の形状の異なるノズル745を用いる。
【0122】
ノズル745は、ガス供給管241に連通して接続される往路部745aと、往路部745aから屈曲して連通する屈曲部745bと、屈曲部745bに連通する復路部745cと、を有する。
【0123】
往路部745aには、回転テーブル217上の基板Sと対向する側に、複数の孔755aが形成されている。孔755aの孔径は、ガス流の上流側から下流側に向かって、徐々に小さくなるよう構成されている。すなわち、屈曲部745bに近づくにつれて、孔755aの孔径が徐々に小さくなるよう構成されている。つまり、回転テーブル217の外周側に配置される孔755aの孔径が、回転テーブル217の中心側に配置される孔755aの孔径よりも大きくなるよう構成されている。これにより、熱分解されていない原料ガスの曝露量を多くすることができる。
【0124】
また、復路部745cには、ガス流の下流側の先端に開口部755cが形成されている。すなわち、復路部745cには、回転テーブル217上の基板Sと対向する側に孔が形成されておらず、復路部745cの先端に開口部755cが形成されている。つまり、ノズル745の先端が開放されている。これにより、熱分解された原料ガスを排気することができる。すなわち、熱分解されていない原料ガスを基板S上に供給し、熱分解された原料ガスを排気することができる。
【0125】
(第7の実施形態)
第7の実施形態では、
図13(C)に示すように、上述したノズル245と孔の形状の異なるノズル845を用いる。
【0126】
ノズル845は、ガス供給管241に連通して接続される往路部845aと、往路部845aから屈曲して連通する屈曲部845bと、屈曲部845bに連通する復路部845cと、を有する。
【0127】
往路部845aには、回転テーブル217上の基板Sと対向する側に、複数の同じ孔径の孔855aが形成されている。
【0128】
復路部845cには、回転テーブル217上の基板Sと対向する側に、複数の孔855cが形成されている。孔855cの孔径は、ガス流の上流側から下流側に向かって、徐々に小さくなるよう構成されている。これにより、熱分解されているガスを基板S上に供給しないようにすることができる。
【0129】
(第8の実施形態)
第8の実施形態では、
図13(D)に示すように、上述したノズル245と孔の形状の異なるノズル945を用いる。
【0130】
ノズル945は、ガス供給管241に連通して接続される往路部945aと、往路部945aから屈曲して連通する屈曲部945bと、屈曲部945bに連通する復路部945cと、を有する。
【0131】
往路部945aと復路部945cには、それぞれ回転テーブル217上の基板Sと対向する側に、複数の同じ孔径の孔955が形成されている。
【0132】
(第9の実施形態)
第9の実施形態では、
図13(E)に示すように、上述したノズル245と孔の形状の異なるノズル1045を用いる。
【0133】
ノズル1045は、ガス供給管241に連通して接続される往路部1045aと、往路部1045aから屈曲して連通する屈曲部1045bと、屈曲部1045bに連通する復路部1045cと、を有する。
【0134】
往路部1045aと復路部1045cには、それぞれ回転テーブル217上の基板Sと対向する側に、複数のスリット形状の孔1055が形成されている。往路部1045aに形成される孔1055の位置と、復路部1045cに形成される孔1055の位置は、回転テーブル217の半径方向の位置が同じ位置に設けられる。なお、復路部1045cのガス流の下流側の先端部に開口を設けてもよい。
【0135】
以上、本開示の実施形態を具体的に説明したが、本開示は上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0136】
例えば、上述の実施形態では、原料ガスを供給するノズルに形成される孔の形状として、丸孔形状や、スリット形状を形成する場合について説明したが、これに限らず、長孔形状等であってもよい。
【0137】
また、上述の実施形態では、往路部245aに形成される孔255aの位置と、復路部245cに形成される孔255cの位置が、回転テーブル217の半径方向の位置が同じ位置に設けられる場合について説明したが、往路部245aに形成される孔255aの数と、復路部245cに形成される孔255cの数が異なるよう構成してもよい。また、六塩化二ケイ素(Si2Cl6)等の熱分解しやすい原料ガスを用いる場合には、往路部245aに形成される孔255aの孔径を、ガス流の上流側から下流側に向かって、徐々に大きくなるよう形成し、復路部245cに形成される孔255cの孔径を、ガス流の上流側から下流側に向かって、徐々に小さくなるように形成するようにしてもよい。また、熱分解しにくい原料ガスを用いる場合には、往路部245aに形成される孔255aの孔径を大きくし、復路部245cに形成される孔255cの孔径を、ガス流の上流側から下流側に向かって、徐々に小さくなるように形成してもよい。熱分解しにくい原料ガスとしては、例えば、テトラクロロチタン(TiCl4)ガスがある。
【0138】
また、上述の実施形態では、原料ガスを供給するガス供給ノズルとして、U字形状又はV字形状のノズルを1つ設ける場合について説明したが、これに限らず、U字形状又はV字形状のノズルを複数設けてもよく、U字形状又はV字形状のノズルとI字形状のノズルを組み合わせてもよい。
【0139】
また、上述の実施形態では、原料ガスとしてSi2H2Cl2ガスを用い、反応ガスとしてNH3ガスを用い、基板S上に窒化膜としてSiN膜を形成する場合について説明したが、原料ガスとして、SiH4,Si2H6、Si3H8、アミノシラン、TSAガスを用いてもよい。反応ガスとしてO2ガスを用い、酸化膜を形成してもよい。TaN、TiNなどのその他の窒化膜、HfO、ZrO、SiOなどの酸化膜、Ru、Ni、Wなどのメタル膜を基板S上に形成してもよい。なお、TiN膜またはTiO膜を形成する場合、原料ガスとしては、例えばテトラクロロチタン(TiCl4)等を用いることができる。
【0140】
(本開示の好ましい態様)
以下に、本開示の好ましい態様について付記する。
(付記1)
基板に対して処理ガスを供給して処理する基板処理装置であって、
前記基板を処理する処理領域が複数設けられた処理容器と、
前記処理容器内に設けられ、載置された基板を前記処理容器内において前記基板外のある点を中心として回転させることにより前記複数の処理領域を順次通過させる回転テーブルと、
前記複数の処理領域の内の少なくともいずれかに対して設けられ、前記処理容器の壁側から前記回転テーブルの中心側に向かって延在する往路部と、前記往路部と屈曲部を介して連通し前記回転テーブルの中心側から前記処理容器の壁側に向かって延在する復路部と、を有するガス供給ノズルと、
を有する基板処理装置。
(付記2)
付記1に記載の基板処理装置であって、
前記ガス供給ノズルは、前記往路部のガス流の下流側の先端が、前記基板の縁よりも外側まで延在するように構成されている。
(付記3)
付記1又は付記2に記載の基板処理装置であって、
前記ガス供給ノズルは、前記復路部のガス流の下流側の先端が、処理ガスを排気する排気溝の近傍まで延在するように構成されている。
(付記4)
付記1~付記3のいずれかに記載の基板処理装置であって、
前記復路部は、前記往路部と平行に延在するように構成されている。
(付記5)
付記1~付記3のいずれかに記載の基板処理装置であって、
前記復路部は、基板に対して径方向に延在するように構成されている。
(付記6)
付記1~付記5のいずれかに記載の基板処理装置であって、
前記復路部は、前記往路部の、前記回転テーブルの反回転方向側に延在するように構成されている。
(付記7)
付記1~付記5のいずれかに記載の基板処理装置であって、
前記復路部は、前記往路部の、前記回転テーブルの回転方向側に延在するように構成されている。
(付記8)
付記1~付記7のいずれかに記載の基板処理装置であって、
前記屈曲部は、回転テーブル上に載置される基板の外側と対向する位置に設けられる。
(付記9)
付記1~付記8のいずれかに記載の基板処理装置であって、
前記屈曲部の内径は、前記往路部の内径と前記復路部の内径よりも大きくするよう構成されている。
(付記10)
付記1~付記9のいずれかに記載の基板処理装置であって、
前記復路部には、複数の孔が形成され、前記複数の孔は、前記回転テーブルの中心側よりも外周側に配置される孔の大きさを大きくするよう構成されている。
(付記11)
付記1~付記9のいずれかに記載の基板処理装置であって、
前記往路部には、複数の孔が形成され、前記複数の孔は、前記回転テーブルの中心側よりも外周側に配置される孔の大きさを大きくするよう構成されている。
(付記12)
付記1~付記9のいずれかに記載の基板処理装置であって、
前記往路部と前記復路部には、それぞれ複数の孔が形成され、前記往路部に形成される孔の大きさは、上流側から下流側に向けて大きくなるよう構成され、前記復路部に形成される孔の大きさは、上流側から下流側に向けて小さくなるよう構成されている。
(付記13)
付記1~付記9のいずれかに記載の基板処理装置であって、
前記復路部には、孔が形成されておらず、前記復路部の先端に開口部が形成されている。
(付記14)
付記1~付記9のいずれかに記載の基板処理装置であって、
前記往路部には、孔が形成されておらず、前記復路部に複数の孔が形成されている。
(付記15)
付記1~付記14のいずれかに記載の基板処理装置であって、
前記往路部又は前記復路部に形成される孔は、基板に対向する位置と、基板よりも外側に設けられる。
(付記16)
付記1~付記9のいずれかに記載の基板処理装置であって、
前記往路部に形成される孔の位置と、前記復路部に形成される孔の位置は、前記回転テーブルの半径方向の位置が同じ位置に設けられる。
(付記17)
付記1~付記16のいずれかに記載の基板処理装置であって、
前記往路部又は前記復路部に形成される孔は、スリット形状、長孔形状又は丸孔形状である。
(付記18)
付記1~付記9のいずれかに記載の基板処理装置であって、
前記往路部に形成される孔の数と、前記復路部に形成される孔の数が異なるよう構成されている。
(付記19)
基板に対して処理ガスを供給して処理する半導体装置の製造方法であって、
前記基板を処理する処理領域が複数設けられた処理容器内において、回転テーブルに載置された基板を前記基板外のある点を中心として回転させることにより前記複数の処理領域を順次通過させて、前記複数の処理領域の内の少なくともいずれかに対して設けられ、前記処理容器の壁側から前記回転テーブルの中心側に向かって延在する往路部と、前記往路部と屈曲部を介して連通し前記回転テーブルの中心側から前記処理容器の壁側に向かって延在する復路部と、を有するガス供給ノズルから処理ガスを供給する工程
を有する半導体装置の製造方法。
(付記20)
基板に対して処理ガスを供給して処理する基板処理装置に実行させるプログラムあって、
前記基板を処理する処理領域が複数設けられた処理容器内において、回転テーブルに載置された基板を前記基板外のある点を中心として回転させることにより前記複数の処理領域を順次通過させて、前記複数の処理領域の内の少なくともいずれかに対して設けられ、前記処理容器の壁側から前記回転テーブルの中心側に向かって延在する往路部と、前記往路部と屈曲部を介して連通し前記回転テーブルの中心側から前記処理容器の壁側に向かって延在する復路部と、を有するガス供給ノズルから処理ガスを供給する手順
をコンピュータにより前記基板処理装置に実行させるプログラム。
【符号の説明】
【0141】
S 基板
200 リアクタ
203 処理容器
206a 第1処理領域、
206b 第2処理領域、
207a 第1パージ領域
207b 第2パージ領域
217 回転テーブル
245、255、265、266 ノズル
288 排気溝
300 コントローラ(制御部)