IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社リコーの特許一覧

<>
  • 特許-画像形成装置 図1
  • 特許-画像形成装置 図2
  • 特許-画像形成装置 図3
  • 特許-画像形成装置 図4
  • 特許-画像形成装置 図5
  • 特許-画像形成装置 図6
  • 特許-画像形成装置 図7
  • 特許-画像形成装置 図8
  • 特許-画像形成装置 図9
  • 特許-画像形成装置 図10
  • 特許-画像形成装置 図11
  • 特許-画像形成装置 図12
  • 特許-画像形成装置 図13
  • 特許-画像形成装置 図14
  • 特許-画像形成装置 図15
  • 特許-画像形成装置 図16
  • 特許-画像形成装置 図17
  • 特許-画像形成装置 図18
  • 特許-画像形成装置 図19
  • 特許-画像形成装置 図20
  • 特許-画像形成装置 図21
  • 特許-画像形成装置 図22
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-09
(45)【発行日】2022-03-17
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/447 20060101AFI20220310BHJP
   B41J 29/393 20060101ALI20220310BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20220310BHJP
   G03G 15/043 20060101ALI20220310BHJP
   B41J 2/45 20060101ALI20220310BHJP
【FI】
B41J2/447 101B
B41J29/393 107
G03G15/00 303
G03G15/043
B41J2/45
B41J2/447 101P
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2017116141
(22)【出願日】2017-06-13
(65)【公開番号】P2019001023
(43)【公開日】2019-01-10
【審査請求日】2020-02-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100098626
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 壽
(72)【発明者】
【氏名】成田 進
(72)【発明者】
【氏名】坂上 嘉信
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 令
(72)【発明者】
【氏名】室田 孝一
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 雅史
(72)【発明者】
【氏名】西尾 拓真
(72)【発明者】
【氏名】仁科 裕章
【審査官】大浜 登世子
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-174442(JP,A)
【文献】特開2013-044990(JP,A)
【文献】特開2013-121152(JP,A)
【文献】特開2013-242425(JP,A)
【文献】特開2015-169905(JP,A)
【文献】特開2015-001659(JP,A)
【文献】特開2016-090771(JP,A)
【文献】特開2015-051584(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0259510(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/447
B41J 29/393
G03G 15/00
G03G 15/043
B41J 2/45
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
潜像担持体の表面を露光して前記潜像担持体に潜像を形成する潜像形成手段と、
前記潜像を現像する現像手段と、
前記現像手段により現像された画像を、搬送手段により搬送されてきた記録媒体に転写する転写手段と、
前記記録媒体に形成したテストパターンの画像濃度情報を取得し、取得した画像濃度情報に基づいて、前記露光の光量を補正する露光補正値を算出する露光補正値算出手段とを備えた画像形成装置において、
装置本体にセットされた前記テストパターンが形成される前記記録媒体の記録媒体搬送方向の長さ情報を取得する長さ情報取得手段と、
前記長さ情報取得手段により取得した前記記録媒体の記録媒体搬送方向長さ情報に基づいて、前記記録媒体搬送方向における前記記録媒体への前記テストパターンの形成位置、および、前記テストパターンの前記記録媒体搬送方向の長さを設定するテストパターン設定手段を備え、
前記搬送手段は、前記記録媒体を給送する給送位置から前記転写手段の転写位置までの間に所定の間隔を空けて複数の搬送部材を備えており、
前記テストパターン設定手段は、前記記録媒体の前記記録媒体搬送方向の長さ情報と、前記搬送部材の間の記録媒体搬送距離とに基づいて、前記記録媒体の記録媒体搬送方向後端が搬送部材を抜けたときのショックジター発生位置を把握し、把握したショックジター発生位置で前記記録媒体を前記記録媒体搬送方向に複数の区画に区切り、前記テストパターンの形成位置を録媒体搬送方向長さが最も長い区画に設定するとともに、前記テストパターンの前記記録媒体搬送方向の長さを、前記記録媒体搬送方向の長さが最も長い区画の前記記録媒体搬送方向の長さ以下に設定し、
前記テストパターン設定手段により設定された前記テストパターンの形成位置、および、前記テストパターンの前記記録媒体搬送方向の長さに基づいて、前記テストパターンの形成を行うことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
潜像担持体の表面を露光して前記潜像担持体に潜像を形成する潜像形成手段と、
前記潜像を現像する現像手段と、
前記現像手段により現像された画像を、搬送手段により搬送されてきた記録媒体に転写する転写手段と、
前記記録媒体に形成したテストパターンの画像濃度情報を取得し、取得した画像濃度情報に基づいて、前記露光の光量を補正する露光補正値を算出する露光補正値算出手段とを備えた画像形成装置において、
装置本体にセットされた前記テストパターンが形成される前記記録媒体の記録媒体搬送方向の長さ情報を取得する長さ情報取得手段と、
前記長さ情報取得手段により取得した前記記録媒体の記録媒体搬送方向長さ情報に基づいて、前記記録媒体搬送方向における前記記録媒体への前記テストパターンの形成位置、および、前記テストパターンの前記記録媒体搬送方向の長さを設定するテストパターン設定手段を備え、
前記搬送手段は、前記転写手段の転写位置から、前記記録媒体を装置外へ排出する排出位置までの間に所定の間隔を空けて複数の搬送部材を備えており、
前記テストパターン設定手段は、前記記録媒体の前記記録媒体搬送方向の長さ情報と、前記搬送部材の間の記録媒体搬送距離とに基づいて、前記記録媒体の記録媒体搬送方向先端が搬送部材に突入したときのショックジター発生位置を把握し、把握したショックジター発生位置で前記記録媒体を前記記録媒体搬送方向に複数の区画に区切り、前記テストパターンの形成位置を前記記録媒体搬送方向の長さが最も長い区画に設定するとともに、前記テストパターンの前記記録媒体搬送方向の長さを、前記記録媒体搬送方向の長さが最も長い区画の前記記録媒体搬送方向の長さ以下に設定し、
前記テストパターン設定手段により設定された前記テストパターンの形成位置、および、前記テストパターンの前記記録媒体搬送方向の長さに基づいて、前記テストパターンの形成を行うことを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
潜像担持体の表面を露光して前記潜像担持体に潜像を形成する潜像形成手段と、
前記潜像を現像する現像手段と、
前記現像手段により現像された画像を、搬送手段により搬送されてきた記録媒体に転写する転写手段と、
前記記録媒体に形成したテストパターンの画像濃度情報を取得し、取得した画像濃度情報に基づいて、前記露光の光量を補正する露光補正値を算出する露光補正値算出手段とを備えた画像形成装置において、
装置本体にセットされた前記テストパターンが形成される前記記録媒体の記録媒体搬送方向の長さ情報を取得する長さ情報取得手段と、
前記長さ情報取得手段により取得した前記記録媒体の記録媒体搬送方向長さ情報に基づいて、前記記録媒体搬送方向における前記記録媒体への前記テストパターンの形成位置、および、前記テストパターンの前記記録媒体搬送方向の長さを設定するテストパターン設定手段を備え、
前記搬送手段は、前記記録媒体を給送する給送位置から前記記録媒体を装置外へ排出する排出位置までの間に所定の間隔を空けて複数の搬送部材を備えており、
前記テストパターン設定手段は、前記記録媒体の前記記録媒体搬送方向の長さ情報と、前記搬送部材の間の記録媒体搬送距離とに基づいて、記録媒体の搬送方向先端が搬送部材に突入したときのショックジター発生位置と、録媒体搬送方向後端が搬送部材から抜けたときのショックジター発生位置とを把握し、把握したショックジター発生位置で前記記録媒体を前記記録媒体搬送方向に複数の区画に区切り、前記テストパターンの形成位置を前記記録媒体搬送方向の長さが最も長い区画に設定するとともに、前記テストパターンの前記記録媒体搬送方向の長さを、前記記録媒体搬送方向の長さが最も長い区画の前記記録媒体搬送方向の長さ以下に設定し、
前記テストパターン設定手段により設定された前記テストパターンの形成位置、および、前記テストパターンの前記記録媒体搬送方向の長さに基づいて、前記テストパターンの形成を行うことを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1乃至3いずれか一項に記載の画像形成装置において、
前記潜像形成手段は、複数の発光素子が主走査方向に並んで前記潜像担持体の表面に対向配置されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項4に記載の画像形成装置において、
前記露光補正値算出手段は、
前記露光の前記光量を、前記潜像形成手段の特性に対応する第一露光補正値に基づいて補正して、前記テストパターンを形成し、
前記記録媒体に形成された前記テストパターンの前記画像濃度情報に基づいて第二露光補正値を求め、
前記第一露光補正値と前記第二露光補正値とに基づいて、前記露光補正値を算出することを特徴とする画像形成装置
【請求項6】
求項1乃至いずれか一項に記載の画像形成装置において、
前記テストパターンを形成する前記記録媒体の主走査方向の長さが、当該画像形成装置が画像形成可能な前記主走査方向の最大サイズ以上であることを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、潜像担持体の表面を露光して前記潜像担持体に潜像を形成する潜像形成手段と、潜像を現像する現像手段と、現像手段により現像された画像を、搬送手段により搬送されてきた記録媒体に転写する転写手段と、記録媒体に形成したテストパターンの画像濃度情報を取得し、取得した画像濃度情報に基づいて、露光の光量を補正する露光補正値を算出する露光補正値算出手段とを備えた画像形成装置が知られている。
【0003】
特許文献1には、上記画像形成装置として、シートに形成したテストパターンをスキャナで読み取り、スキャナで読み取ったテストパターンの画像濃度に基づいて、露光補正値を求め、求めた露光補正値に基づいて潜像形成手段としてのLEDアレイの各LED素子の駆動を制御して、LEDの並び方向である主走査方向の濃度ムラを抑制するものが記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載の画像形成装置においては、求めた露光補正値に基づいて潜像形成手段を制御しても、主走査方向の画像濃度ムラが改善されないおそれがあった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明は、潜像担持体の表面を露光して前記潜像担持体に潜像を形成する潜像形成手段と、前記潜像を現像する現像手段と、前記現像手段により現像された画像を、搬送手段により搬送されてきた記録媒体に転写する転写手段と、前記記録媒体に形成したテストパターンの画像濃度情報を取得し、取得した画像濃度情報に基づいて、前記露光の光量を補正する露光補正値を算出する露光補正値算出手段とを備えた画像形成装置において、装置本体にセットされた前記テストパターンが形成される前記記録媒体の記録媒体搬送方向長さ情報を取得する長さ情報取得手段と、前記長さ情報取得手段により取得した前記記録媒体の記録媒体搬送方向長さ情報に基づいて、前記記録媒体搬送方向における前記記録媒体への前記テストパターンの形成位置、および、前記テストパターンの前記記録媒体搬送方向の長さを設定するテストパターン設定手段を備え、前記搬送手段は、前記記録媒体を給送する給送位置から前記転写手段の転写位置までの間に所定の間隔を空けて複数の搬送部材を備えており、前記テストパターン設定手段は、前記記録媒体の前記記録媒体搬送方向の長さ情報と、前記搬送部材の間の記録媒体搬送距離とに基づいて、前記記録媒体の記録媒体搬送方向後端が搬送部材を抜けたときのショックジター発生位置を把握し、把握したショックジター発生位置で前記記録媒体を前記記録媒体搬送方向に複数の区画に区切り、前記テストパターンの形成位置を録媒体搬送方向長さが最も長い区画に設定するとともに、前記テストパターンの前記記録媒体搬送方向の長さを、前記記録媒体搬送方向の長さが最も長い区画の前記記録媒体搬送方向の長さ以下に設定し、前記テストパターン設定手段により設定された前記テストパターンの形成位置、および、前記テストパターンの前記記録媒体搬送方向の長さに基づいて、前記テストパターンの形成を行うことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、主走査方向の画像濃度ムラを良好に抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態に係る画像形成装置を示す概略構成図。
図2】本画像形成装置における感光体とその周囲の構成とを拡大して示す拡大構成図。
図3】潜像書込装置と感光体とを示す斜視図。
図4】退避機構の概略構成図。
図5】主走査方向の濃度ムラ補正制御の電気回路の一部を示すブロック図。
図6】主走査方向の濃度ムラ取得制御の制御フロー図。
図7】(a)第一光量補正値の一例を示すグラフであり、(b)は、第一光量補正値に基づいて、各LED素子を制御したときの主走査方向の光量分布を示すグラフ。
図8】記録シートに形成されるテストパターンの一例を示す図。
図9】本実施形態の画像形成処理の制御フロー図。
図10】(a)は、記憶部に記憶されている濃度データの一例を示したグラフであり、(b)は、濃度データ(実線)と濃度平均値(破線)と第二光量補正値(一点鎖線)とを示したグラフ。
図11】(a)第一光量補正値(破線)と第二光量補正値(一点鎖線)と第三光量補正値(実線)との関係を例示するグラフであり、(b)は、第三光量補正値に基づいてテストパターンの潜像を形成したときのテストパターンの濃度を示すグラフ。
図12】変形例の主走査方向濃度ムラ補正制御の制御フロー図。
図13】記録シート上の画像に現れたショックジターを示す図。
図14】記録シートの搬送方向後端が、レジストローラを抜けるときの様子を示す図。
図15】記録シートの搬送方向先端が定着ニップに突入するときの様子を示す図。
図16】本画像形成装置における記録シートを搬送する搬送部材間の搬送距離を示す図。
図17】、本実施形態におけるテストパターン形成位置について説明する図。
図18】記録シートの搬送方向先端が搬送部材に突入した時のショックジターを考慮して、テストパターンを形成する一例を示す図。
図19】記録シートの搬送方向後端が搬送ローラを抜けるときのショックジターと、記録シートの搬送方向先端が搬送ローラに突入するときのショックジターとを考慮して、テストパターンを形成する一例を示す図。
図20】タンデム型の中間転写方式のカラー画像形成装置の一例を示す図。
図21図20のカラー画像形成装置において、テストパターンの形成の一例を示す図。
図22】画像読取手段を、記録シートの搬送経路に配置した画像形成装置の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を適用した電子写真方式で画像を形成する電子写真方式の画像形成装置について説明する。
【0009】
まず、実施形態に係る画像形成装置の基本的な構成について説明する。図1は、実施形態に係る画像形成装置を示す概略構成図である。同図において、本画像形成装置は、潜像担持体としての感光体1や、本体筐体50に対して着脱可能に構成された給紙カセット100などを備えている。給紙カセット100の内部には、複数の記録媒体たる記録シートSをシート束の状態で収容している。
【0010】
給紙カセット100内の記録シートSは、後述する給送ローラ35の回転駆動によってカセット内から送り出されて、後述する分離ニップを経た後に給送路42内に至る。その後、一対の給送中継ローラ41の搬送ニップに挟み込まれて、給送路42内を搬送方向の上流側から下流側に向けて搬送される。給送路42の末端付近には、一対のレジストローラ49が配設されている。記録シートSは、このレジストローラ49のレジストニップに先端を突き当てた状態で搬送が一時中止される。その突き当ての際、記録シートSのスキューが補正される。
【0011】
レジストローラ49は、記録シートSを後述する転写ニップで感光体1の表面のトナー像に重ね合わせ得るタイミングで回転駆動を開始して、記録シートSを転写ニップに向けて送り出す。この際、給送中継ローラ41が同時に回転駆動を開始して、一時中止していた記録シートSの搬送を再開する。
【0012】
本体筐体50の上部には、画像読取部60が取り付けられている。また、画像読取部60には、自動原稿搬送装置61が取り付けられている。自動原稿搬送装置61は、原稿トレイ61aに載置された原稿束から原稿を1枚ずつ分離して画像読取部60上のコンタクトガラスに自動給紙するものである。画像読取部60は、自動原稿搬送装置61によってコンタクトガラス上に搬送された原稿を読み取る。
【0013】
図2は、本画像形成装置における感光体1とその周囲の構成とを拡大して示す拡大構成図である。図中反時計回り方向に回転駆動せしめられるドラム状の感光体1の周囲には、回収スクリュウ3、クリーニングブレード2、帯電ローラ4、潜像形成手段たる潜像書込装置7、現像手段たる現像装置8、転写手段たる転写ローラ10などが配設されている。導電性ゴムローラ部を具備する帯電ローラ4は、感光体1に接触しながら回転して帯電ニップを形成している。この帯電ローラ4には、電源から出力される帯電バイアスが印加されている。これにより、帯電ニップにおいて、感光体1の表面と帯電ローラ4の表面との間で放電が発生することで、感光体1の表面が一様に帯電せしめられる。
【0014】
潜像書込装置7は、LEDアレイを具備しており、感光体1の一様帯電した表面に対して、パーソナルコンピュータから入力される画像データや、画像読取部60によって読み取った原稿の画像データに基づくLED光による光照射を行う。感光体1の一様帯電した地肌部のうち、光照射された領域は、電位を減衰させる。これにより、感光体1の表面に静電潜像が形成される。
【0015】
静電潜像は、感光体1の回転駆動に伴って、現像装置8に対向する現像領域を通過する。現像装置8は、循環搬送部や現像部を有しており、循環搬送部には、トナーと磁性キャリアとを含有する現像剤を収容している。循環搬送部は、後述する現像ローラ8aに供給するための現像剤を搬送する第1スクリュウ8bや、第1スクリュウ8bの直下に位置する独立した空間で現像剤を搬送する第2スクリュウ8cを有している。更には、第2スクリュウ8cから第1スクリュウ8bへの現像剤の受け渡しを行うための傾斜スクリュウ8dも有している。現像ローラ8a、第1スクリュウ8b、及び第2スクリュウ8cは、互いに平行な姿勢で配設されている。これに対し、傾斜スクリュウ8dは、それらから傾いた姿勢で配設されている。
【0016】
第1スクリュウ8bは、自らの回転駆動に伴って現像剤を同図の紙面に直交する方向における奥側から手前側に向けて搬送する。この際、自らに対向配設された現像ローラ8aに一部の現像剤を供給する。第1スクリュウ8bによって同図の紙面に直交する方向における手前側の端部付近まで搬送された現像剤は、第2スクリュウ8cの上に落とし込まれる。
【0017】
第2スクリュウ8cは、現像ローラ8aから使用済みの現像剤を受け取りながら、受け取った現像剤を自らの回転駆動に伴って同図の紙面に直交する方向における奥側から手前側に向けて搬送する。第2スクリュウ8cによって同図の紙面に直交する方向における手前側の端部付近まで搬送された現像剤は、傾斜スクリュウ8dに受け渡される。そして、傾斜スクリュウ8dの回転駆動に伴って、同図の紙面に直交する方向における手前側から奥側に向けて搬送された後、同方向における奥側の端部付近で、第1スクリュウ8bに受け渡される。
【0018】
現像ローラ8aは、筒状の非磁性部材からなる回転可能な現像スリーブと、現像スリーブに連れ回らないようにスリーブ内に固定されたマグネットローラとを具備している。そして、第1スクリュウ8bによって搬送されている現像剤の一部をマグネットローラの発する磁力によって現像スリーブの表面で汲み上げる。現像スリーブの表面に担持された現像剤は、現像スリーブの表面に連れ周りながら、スリーブとドクターグレードとの対向位置を通過する際に、その層厚が規制される。その後、感光体1に対向する現像領域で、感光体1の表面に摺擦しながら移動する。
【0019】
現像スリーブには、トナーや感光体1の地肌部電位と同極性の現像バイアスが印加されている。この現像バイアスの絶対値は、潜像電位の絶対値よりも大きく、且つ、地肌部電位の絶対値よりも小さくなっている。このため、現像領域においては、感光体1の静電潜像と現像スリーブとの間にトナーをスリーブ側から潜像側に静電移動させる現像ポテンシャルが作用する。この一方で、感光体1の地肌部と現像スリーブとの間には、トナーを地肌部側からスリーブ側に静電移動させる地肌ポテンシャルが作用する。これにより、現像領域では、感光体1の静電潜像にトナーが選択的に付着して静電潜像が現像される。
【0020】
現像領域を通過した現像剤は、現像スリーブの回転に伴って、スリーブと第2スクリュウ8cとの対向領域に進入する。この対向領域では、マグネットローラに具備される複数の磁極のうち、互いに極性の異なる2つの磁極によって反発磁界が形成されている。対向領域に進入した現像剤は、反発磁界の作用によって現像スリーブ表面から離脱して、第2スクリュウ8c上に回収される。
【0021】
傾斜スクリュウ8dによって搬送される現像剤は、現像ローラ8aから回収された現像剤を含有しており、その現像剤は現像領域で現像に寄与していることからトナー濃度を低下させている。現像装置8は、傾斜スクリュウ8dによって搬送される現像剤のトナー濃度を検知するトナー濃度センサーを具備している。トナー濃度センサーによる検知結果に基づいて、必要に応じて、傾斜スクリュウ8dによって搬送される現像剤にトナーを補給するための補給動作を実行する。
【0022】
現像装置8の上方には、トナーカートリッジ9が配設されている。このトナーカートリッジ9は、内部に収容しているトナーを、回転軸部材9aに固定されたアジテータ9bによって撹拌している。そして、トナー補給部材9cが本体制御部52(図5参照)から出力される補給動作信号に応じて回転駆動されることで、回転駆動量に応じた量のトナーを現像装置8の第1スクリュウ8bに補給する。
【0023】
現像によって感光体1上に形成されたトナー像は、感光体1の回転に伴って、感光体1と、転写手段たる転写ローラ10とが当接する転写ニップに進入する。転写ローラ10には、感光体1の潜像電位とは逆極性の帯電バイアスが印加されており、これにより、転写ニップ内には転写電界が形成されている。
【0024】
上述したように、レジストローラ49は、記録シートSを転写ニップ内で感光体1上のトナー像に重ね合わせうるタイミングで転写ニップに向けて送り出す。転写ニップでトナー像に密着せしめられた記録シートSには、転写電界やニップ圧の作用により、感光体1上のトナー像が転写される。
【0025】
転写ニップを通過した後の感光体1の表面には、記録シートSに転写されなかった転写残トナーが付着している。この転写残トナーは感光体1に当接しているクリーニングブレード2によって感光体1の表面から掻き落とされた後、回収スクリュウ3により、ユニットケーシングの外に向けて送られる。ユニットケーシングから排出された転写残トナーは、廃トナー搬送装置によって廃トナーボトルに送られる。
【0026】
クリーニングブレード2によってクリーニングされた感光体1の表面は、除電手段によって除電された後、帯電ローラ4によって再び一様に帯電せしめられる。感光体1の表面に当接している帯電ローラ4には、トナー添加剤や、クリーニングブレード2で除去し切れなかったトナーなどの異物が付着する。この異物は、帯電ローラ4に当接しているクリーニングローラ5に転移した後、クリーニングローラ5に当接しているスクレーパー6によってクリーニングローラ5の表面から掻き落とされる。掻き落とされた異物は、上述した回収スクリュウ3の上に落下する。
【0027】
図1において、感光体1と転写ローラ10とが当接する転写ニップを通過した記録シートSは、定着装置44に送られる。定着装置44は、ハロゲンランプ等の発熱源を内包する定着ローラ44aと、これに向けて押圧される加圧ローラ44bとの当接によって定着ニップを形成している。定着ニップに挟み込まれた記録シートSの表面には、加熱や加圧の作用によってトナー像が定着せしめられる。その後、定着装置44を通過した記録シートSは、排紙路45を経た後、排紙ローラ46の排紙ニップに挟み込まれ、排紙ローラ46により機外へ排出される。排出された記録シートSは、本体筐体50の上面に設けられたスタック部51にスタックされる。
【0028】
図3は、潜像書込装置7と感光体1とを示す斜視図である。
潜像書込装置7が備えるLEDアレイは、焦点距離が短いため、図3に示すように、潜像書込装置7を感光体1に近接配置する必要がある。本実施形態においては、感光体1、帯電ローラ4、現像装置8、クリーニングブレード2などを一体的に構成したプロセスカートリッジとして、本体筐体50から着脱可能に構成している。図3に示すように、潜像書込装置7を感光体1に近接配置するため、プロセスカートリッジを装置本体に対して着脱するとき邪魔となる。そのため、本実施形態においては、感光体1に近接した潜像形成位置と、感光体1から離間した退避位置との間を、潜像書込装置7を移動させる退避機構を備えている。
【0029】
図4は、退避機構200の概略構成図である。図4は、潜像書込装置7が感光体1に潜像を形成する潜像形成位置に位置しているときを示している。
図4に示すように、退避機構200は、装置本体に回動自在に支持された第一リンク部材201と、潜像書込装置7を保持し、装置本体に回動自在に支持された第二リンク部材202とを備えている。また、第一リンク部材201と第二リンク部材202とを連結する連結手段としての連結機構203を備えている。
【0030】
連結機構203は、第一連結部材203aと、第二連結部材203bとを有している。第一連結部材203aは、一端が第一リンク部材201に回動自在に支持され、他端が、連結軸203cに回動自在に支持されている。また、第二連結部材203bは、一端が連結軸203cに回動自在に支持され、他端が第二リンク部材202に回動自在に支持されている。連結軸203cは、カバー部材205に設けられた図中左右に延びる連結案内孔205aを貫通している。
【0031】
第二リンク部材202は、潜像書込装置7のLEDアレイ74を保持するホルダ75の長手方向両端部に設けられた支持突起72が貫通し、第二リンク部材202の回動の支点A1に向かって延びる長孔状の支持孔202aが設けられている。潜像書込装置7の支持突起72がこの支持孔202aを貫通することにより、潜像書込装置7が退避機構200に支持される。また、支持突起72は、カバー部材205に設けられたガイド部たる露光案内孔205bを貫通している。また、潜像書込装置7のホルダ75には、案内突起73が設けられており、この案内突起73も、露光案内孔205bを貫通している。
【0032】
第一リンク部材201は、中心角が略90°の扇形状をしており、第一リンク部材201の円周方向一端に第一連結部材203aが回動自在に支持されている。第一リンク部材201の円周方向他端には、ボス部201aが設けられている。
【0033】
第二リンク部材202には、付勢手段としてトーションスプリング204の一端を引っ掛けるための引っ掛け部202bが設けられている。トーションスプリング204は、一端がこの引っ掛け部202bに引っ掛けられて、他端をカバー部材205に引っ掛けられることで、第二リンク部材202を図中矢印S方向に付勢している。
【0034】
このトーションスプリング204の付勢力により、第二リンク部材202及び連結軸203c(第一、二連結部材a,b)は、第一リンク部材201側へ移動するような力を受ける。このとき、第一リンク部材201の回動の支点A2と連結軸203cとを結んだ線分Aよりも第一連結部材203aの第一リンク部材支持位置A3が図中下側にある。その結果、連結軸203cの第一リンク部材201側へ移動するような力によって、支持位置A3に矢印T1方向に移動させようとする力が生じ、第一リンク部材201が、図中反時計回りに回動させようとする力が生じる。これにより潜像書込装置7を感光体1側へ付勢させ、潜像形成位置に位置させている。
【0035】
プロセスカートリッジを着脱するための本体筐体50の開閉カバーを開いていくと、開閉カバーに設けられた引っ掛けレバーが、第一リンク部材201のボス部201aに当接し、第一リンク部材101がトーションスプリング204の付勢力に抗して図中時計回りに回動する。トーションスプリング204の付勢力に抗して第一リンク部材201を回動させていき、第一リンク部材201の回転の支点A2と、連結軸203cとを結ぶ線分A上に第一リンク部材101の第一連結部材支持位置A3よりも上方に移動すると、トーションスプリング204の付勢力による第一リンク部材101を回転させようとする方向が、図中反時計回りから、図中時計回りに切り替わる。その結果、第一リンク部材201が、トーションスプリング204の付勢力により潜像書込装置7を退避位置へ移動させる回動方向(図中反時計回り)に自動的に回転し、潜像書込装置7を退避位置へ移動させる。
【0036】
LEDアレイ74においては、各LED素子74bの形状、特性等にばらつきがあったり、LEDチップの配列に微小なズレがあったり、レンズアレイの光学特性に周期的又は非周期的な変化があったりすることにより、各LED素子74bに同一の駆動電力を印加しても発光光量が同一とならない。その結果、記録シートSに形成された画像に、記録シートSの幅方向(以下、主走査方向という)に濃度ムラが生じる。このように、主走査方向に濃度ムラがあると、記録シートSの搬送方向(以下、副走査方向という)に延びる縦スジ、縦帯等が発生し、画像品質が低下しまう。
【0037】
そこで、予め所定の装置を用いて、各LED素子74bの光量を測定し、各LED素子74bが同じ発光光量となるように、各LED素子74bに印加する駆動電力を補正する第一の光量補正値を求め記憶しておく。そして、かかる第一の光量補正値に基づいて、LEDアレイ74を制御することで、LEDアレイ74に起因する主走査方向の濃度ムラを抑えることができる。
【0038】
しかし、主走査方向の濃度ムラは、LEDアレイ74に起因するだけではなく、感光体1、帯電ローラ4、現像装置8、転写ローラ10、定着装置44などの作像エンジンを起因にして発生する場合がある。そこで、本実施形態においては、作像エンジンを起因にして発生する主走査方向の濃度ムラを解消するために、第一の光量補正値に基づいてLEDアレイ74を制御してテストパターンを記録シートSに形成し、記録シートSに形成したテストパターンを画像読取部60で読み取る。次に、画像読取部60で読み取った読み取りデータに基づいて、作像エンジンを起因にして発生する主走査方向の濃度ムラを求める。次に、求めた主走査方向の濃度ムラに基づいて、各LED素子の発光光量(印加電力)を補正する第二の光量補正値を算出する。そして、LEDアレイ74に起因する主走査方向の濃度ムラを抑える第一の光量補正値と、作像エンジンを起因にして発生する主走査方向の濃度ムラを抑える第二の光量補正値とに基づいて、第三の光量補正値を算出する。画像形成時は、この第三の光量補正値に基づいて、LEDアレイ74を制御して感光体1に潜像を書き込むことにより、LEDアレイ74に起因する主走査方向の濃度ムラ、作像エンジンを起因に起因する主走査方向の濃度ムラの両方が抑えられた、良好な画像を形成できるようにしている。
【0039】
図5は、主走査方向の濃度ムラ補正制御の電気回路の一部を示すブロック図である。
図5に示すように、潜像書込装置7が備えるLEDアレイ74には、主走査方向に並べて配置された複数のLED素子74b、各LED素子を駆動するためのIC(Integrated Circuit)ドライバ74a、LEDアレイ74の発光光量のバラツキを補正するための第一光量補正値を記憶するROM(Read Only Memory)74cを有している。
【0040】
画像形成装置の全体の制御を司る本体制御部52には、画像読取部60で読み取った記録シートSに形成したテストパターンの読み取りデータに基づいて、主走査方向の画像濃度情報を取得する画像濃度取得部86、画像濃度取得部86により取得された画像濃度情報を示す濃度データを記憶する記憶部87、記憶部87に記憶された画像濃度情報に基づいて、各LED素子の発光光量を補正する第二光量補正値を算出する光量補正値算出部88を有している。
【0041】
また、本体制御部52には、LEDアレイ74から、第一光量補正値を取得する第一光量補正値取得部85、第一光量補正値取得部85で取得した第一光量補正値と、光量補正値算出部88で算出した第二光量補正値とに基づいて、画像形成時に用いる第三光量補正値を演算する演算部82も備えている。また、本体制御部52は、画像形成時に、演算部82で演算した第三光量補正値をLEDアレイ74へ転送する補正値転送部83を有している。また、本体制御部52は、感光体1、帯電ローラ4、現像装置8、転写ローラ10、定着装置44などの作像エンジンを制御して、記録シートSに画像を形成する画像形成処理部84を備えている。この画像形成処理部84は、記録シートSにテストパターンを形成する制御も行うものであり、後述するように、長さ情報取得手段たる操作表示部89が取得した記録シートの副走査方向長さ情報と、記録シートを搬送する搬送部材間の記録シート搬送距離とに基づいて、テストパターンを形成する位置や、テストパターンの副走査方向長さを設定するものである。
【0042】
図6は、主走査方向の濃度ムラ取得制御の制御フロー図である。
まず、本体制御部52の第一光量補正値取得部85が、LEDアレイ74のROM74cに記憶されている第一光量補正値を取得する(S1)。かかる第一光量補正値は、上述したように、予め所定の装置を用いて、LEDアレイ74の各LED素子の光量を測定し、各LED素子が同じ発光光量となるように、各LED素子74bに印加する駆動電力を補正するデータである。
【0043】
次に、本体制御部52は、取得した第一光量補正値を、補正値転送部83によりLEDアレイ74のICドライバ74aへ転送する(S2)。また、画像形成処理部84は、作像エンジンを構成する各装置に制御信号を送信して、テストパターンの形成する画像形成処理を実行する(S3)。LEDアレイ74のICドライバ74aは、画像形成処理部84から制御信号と、テストパターンデータとを受信したら、補正値転送部83から受信した第一光量補正値に基づいて各LED素子74bを制御し、感光体1の表面にテストパターンの潜像を形成する。また、後述するように、設定したテストパターンの形成位置や副走査方向長さに基づいて、LEDアレイ74の照射タイミングや、照射終了タイミングを制御する。
【0044】
図7(a)は、第一光量補正値の一例を示すグラフであり、図7(b)は、第一光量補正値に基づいて、各LED素子74bを制御したときの主走査方向の光量分布を示すグラフである。
図7(a)に示すように、主走査方向において、光量補正値が大きい箇所は、発光光量が少ない箇所である。よって、かかる箇所では光量補正値(駆動電力)を大きくし、光量を基準の光量にする。一方、光量補正値(補正駆動電力)が小さい箇所は、発光光量が多い箇所である。よって、かかる箇所では光量補正値(補正駆動電力)を小さくして、光量を基準の光量にする。これにより、図7(b)に示すように、発光光量が、主走査方向でほぼ均一にすることができる。
【0045】
その後、そのテストパターンの潜像が現像装置8により現像され、転写ローラ10により記録シートSの所定の位置に転写され、定着装置44により記録シートSに定着される。そして、このテストパターンが形成された記録シートSが排出されて印刷が終了したら(S4のYes)、テストパターンの濃度データの取得処理に移行する(S5)。
【0046】
図8は、記録シートSに形成されるテストパターン171の一例を示す図である。
図8に示すように、テストパターン171は記録シートSの副走査方向(搬送方向)及び主走査方向(幅方向)の全てに均一なハーフトーンの画像である。テストパターンをハーフトーン画像とすることで、規定の明るさより明るく(画像濃度が薄く)なる箇所、規定の明るさより暗く(画像濃度が濃く)なる箇所の両方を、良好に検知することができ好ましい。また、テストパターンを形成する記録シートの主走査方向長さは、本画像形成装置が形成可能な主走査方向の最大サイズ以上にし、テストパターン171を主走査方向に一杯に形成するのが好ましい。これにより、主走査方向端のほうに対しても補正がかかるようにすることができる。
【0047】
このようなテストパターン171に主走査方向の濃度ムラがあると、副走査方向に延びる縦スジ、縦帯等が発生する。上記テストパターン171は、先の図7(a)に示した、第一光量補正値に基づいて、各LED素子74bを制御して潜像を形成したものであり、図7(b)に示したように、各LED素子74bから感光体表面に照射される光量は、主走査方向でほぼ均一となっている。従って、主走査方向において、感光体表面は、ある電位にほぼ均一に減衰されるため、テストパターンの主走査方向の濃度ムラは、LEDアレイ74とは別の要因で生じたものである。
【0048】
記録シートSにテストパターン171を印刷したら、本体制御部52は、画像形成装置の操作表示部89などに、テストパターン171が形成された記録シートSを画像読取部60にセットして、テストパターン171の読み込みを指示する。作業者が、操作表示部の指示に基づいて、テストパターン171が形成された記録シートSを画像読取部60にセットして画像の読み込みを開始すると、本体制御部52の画像濃度取得部86において、画像濃度情報たる主走査方向の画像濃度データが取得される(S5)。そして、取得した画像濃度データは、記憶部87に記憶される(S6)。
【0049】
画像濃度取得部86における画像濃度データの取得方法の一例としては、図8に示すように、テストパターン171を所定の面積(Xdot×Ydot)を有する複数のエリア1~nに分割し、エリア1~n毎に平均濃度を取得する方法が挙げられる。
【0050】
例えば、Xdot=1dotとし、A4サイズの記録シートSの主走査方向(幅方向)の濃度データを600dpiの解像度で取得する場合、210mm×(600dpi/25.4mm)≒4960個分のエリアの画像濃度データが得られる。画像濃度データが8bit(0-255)で表現される場合、4960×8bit=4.96kByteの記憶容量が必要となる。Xdot=2dot又は4dotとすれば、必要な記憶容量は1/2又は1/4となり、記憶部87(図5参照)を安価に構成することができる。しかし、Xdotを大きくし過ぎると、広い面積の濃度が平均化されるため、濃度情報の精度が低下する。Xdotの値や、画像濃度データの解像度は、画像形成装置に応じて適宜決めればよい。例えば、Xdotの値は、主走査方向の濃度ムラが高周期の濃度ムラが支配的なのか、低周期の濃度ムラが支配的なのか把握した上で決めればよい。
【0051】
一方、各エリア1~nのYdotの値は記憶容量に影響しないため、Ydotの値は対象となる画像形成装置において副走査方向(搬送方向)の濃度ムラ(感光体1の一回転周期、転写ローラ10の一回転周期、現像ローラ8aの一回転周期等に起因する周期的な濃度ムラ、又は非周期の濃度ムラ)を加味し、濃度の検出結果に大きな差が生じないように設定すればよい。しかしながら、Ydotの値が大き過ぎると濃度データの取得に時間がかかるため、Ydotの値は要求される精度とデータの取得時間(処理能力)とのバランスを考慮して決定するのが好ましい。
【0052】
図6に示す主走査方向の濃度ムラ取得制御は、ユーザーやサービスマンにより任意のタイミング、感光体1や潜像書込装置7などの作像エンジンを構成する部材が交換されたタイミング、画像形成装置に電源投入されたタイミングなどで行う。電源投入の都度、実施することにより、常に主走査方向に濃度ムラのない画像を出力することができるという利点がある。一方で、本実施形態の濃度ムラ取得制御は、ユーザーが、テストパターン171が形成された記録シートSを画像読取部60にセットして、テストパターン171を読みこませるという作業が生じる。そのため、電源投入の都度、実施するのを、煩わしく感じるユーザーもいる。よって、電源投入時の濃度ムラ取得制御を実施しないようにユーザーが設定できるようにするのが好ましい。
【0053】
図9は、本実施形態の画像形成処理の制御フロー図である。
図9に示すように、画像形成開始信号を、本体制御部52が受信したら、まず、記憶部87に記憶されている濃度データを読み出し、光量補正値算出部88で読み出した濃度データに基づいて、第二光量補正値を算出する(S11)。
【0054】
図10(a)は、記憶部87に記憶されている濃度データの一例を示したグラフであり、図10(b)は、濃度データ(実線)と濃度平均値(破線)と第二光量補正値(一点鎖線)とを示したグラフである。図10(b)に示す、濃度平均値は画像濃度データが示す画像濃度の平均値を示している。
LEDアレイ以外の要因によって、図10(a)に示すように主走査方向に濃度ムラが生じる。かかる主走査方向の濃度ムラは、作像エンジン(感光体1、帯電ローラ4、現像装置8、転写ローラ10および定着装置44)に起因する主走査方向の濃度ムラである。
【0055】
図10(b)に示すように、第二光量補正値は画像濃度平均値(テストパターンの画像濃度の平均値)と画像濃度データが示す主走査方向各位置の画像濃度とに基づいて算出される。図10(b)に示すように、図中破線で示す画像濃度が薄い(明るい)位置については、その位置に対応するLED素子74bの発光光量が多くなるように補正し、平均濃度よりも濃い(暗い)位置については、その位置に対応するLED素子の発光光量が少なくなるように補正する。具体的には、平均濃度よりも濃度が薄い(明るい)位置については、その位置に対応するLED素子74bに印加する駆動電力を増加させる補正値を求め、平均濃度よりも濃度が濃い(暗い)位置については、その位置に対応するLED素子74bに印加する駆動電力を減少させる補正値を求める。
【0056】
このように、光量補正値算出部88で第二光量補正値を算出したら、演算部82で、画像形成に用いる第三光量補正値を演算する(図9のS12)。具体的には、光量補正値算出部88で算出した第二光量補正値と、第一光量補正値取得部85で、LEDアレイ74から取得した第一光量補正値とに基づいて、第三光量補正値を演算する。そして、演算した第三光量補正値を、補正値転送部83によりLEDアレイ74のICドライバ74aへ転送(S13)する。補正値転送部83によりLEDアレイ74のICドライバ74aへ転送したら、画像データに基づいて、画像形成処理を行う(S14)。この画像形成処理において、ICドライバ74aは、補正値転送部83から転送された第三光量補正値と、画像データとに基づいて、感光体表面に潜像を形成する。
【0057】
図11(a)は、第一光量補正値(破線)と第二光量補正値(一点鎖線)と第三光量補正値(実線)との関係を例示するグラフであり、図11(b)は、第三光量補正値に基づいてテストパターンの潜像を形成したときのテストパターンの濃度を示すグラフである。
図11(a)に示すように、第三光量補正値は、第一光量補正値と第二光量補正値とを加算することにより演算される。なお、第三光量補正値の演算方法は、これに限られるものではなく、第一光量補正値及び第二光量補正値の演算方法により適宜決めればよい。
【0058】
第三光量補正値は、LEDアレイ74に起因する主走査方向の濃度ムラが補正される第一光量補正値と、作像エンジンに起因する主走査方向の濃度ムラが補正される第二光量補正値に基づいて演算されるものである。従って、かかる第三光量補正値に基づいて、画像形成された画像は、LEDアレイ74および作像エンジンに起因する主走査方向の濃度ムラが抑制された画像となる。よって、第三光量補正値に基づいて、補正された光量で、潜像が形成された画像は、図11(b)に示すように主走査方向の濃度分布が均一な画像となり、縦スジや縦帯のない高品位な画像を得ることができる。
【0059】
本実施形態においては、先の図6に示した主走査方向の濃度ムラ取得制御においては、テストパターン171の主走査方向の濃度ムラを取得して終了しているが、第二光量補正値の算出まで行ってもよい。第二光量補正値の算出まで行う場合、記憶部87には、第二光量補正値が記憶される。また、主走査方向の濃度ムラ取得制御において、第三光量補正値まで演算してもよい。この第三光量補正値の演算まで行う場合は、記憶部87に第三光量補正値が記憶される。また、この場合、画像形成時においては、LEDアレイから第一光量補正値を取得する必要がなく、記憶部87に記憶された第三光量補正値を、LEDアレイ74のICドライバ74aに送信する。
【0060】
また、テストパターン171の検知結果に基づいて、主走査方向の濃度ムラの補正が必要であるか否かを判断し、主走査方向の濃度ムラの補正が必要でないと判断した場合は、画像形成時において、第三光量補正値を算出せず、第一光量補正値に基づいて、LEDアレイ74を制御してもよい。
【0061】
また、ユーザーやサービスマンが、主走査方向の濃度ムラ補正後に出力された画像を見て、主走査方向の濃度ムラが改善されないと判断した場合や悪化していると判断した場合は、第三光量補正値を演算しないようにユーザーやサービスマンが設定できるようにしてもよい。第三光量補正値を演算しないようにユーザーやサービスマンが設定した場合は、例えば、記憶部87に記憶されている濃度データを削除し、第一光量補正値に基づいて、LEDアレイ74を制御するようにする。
【0062】
また、第一光量補正値を用いずに、テストパターン171を形成し、LEDアレイ74を起因とする主走査方向濃度ムラと、LEDアレイ以外を起因とする主走査方向濃度ムラとが重畳された主走査方向濃度ムラを読み取りデータから取得する。そして、LEDアレイ74を起因とする主走査方向濃度ムラと、LEDアレイ以外を起因とする主走査方向濃度ムラとが重畳された主走査方向濃度ムラに基づいて第三光量補正値を算出してもよい。
【0063】
しかし、第一光量補正値でLEDアレイ74に起因する主走査方向の濃度ムラを抑制したうえで、テストパターン171を形成し、テストパターン171からLEDアレイ以外の要因による主走査方向の濃度ムラを取得するのが好ましい。これは、第一光量補正値を用いずに、テストパターン171を形成した場合、テストパターン171の主走査方向の濃度ムラは、LEDアレイ74を起因とする主走査方向濃度ムラと、LEDアレイ以外を起因とする主走査方向濃度ムラとが重畳されたものになる。その結果、例えば、LEDアレイ74に起因して濃度が濃くなる箇所と、LEDアレイ以外の要因で濃度が濃くなる箇所とが重なった場合、濃度の上限値に達してしまうおそれがある。具体的に説明すると、例えば、テストパターンを255階調の中間調(127階調)となる画像濃度で形成し、LEDアレイ74に起因して70階調分暗く(濃度が濃く)なる箇所と、LEDアレイ74以外の要因で70階調分暗く(濃度が濃く)なる箇所とが重なった場合、本来、140階調分暗く(濃度が濃く)なる箇所が、上限値(階調値0)に達してしまい、127階調分しか検知できないのである。よって、テストパターンの画像濃度データに基づいて算出した補正データで各LED素子の光量を補正しても、濃度ムラが残ってしまう。
【0064】
一方で、本実施形態のように、第一光量補正値でLEDアレイ74に起因する主走査方向の濃度ムラを抑制したうえで、テストパターン171を形成することで、テストパターン171には、LEDアレイ以外を起因とする主走査方向濃度ムラのみとなり、濃度が上限値に達するなどの不具合が生じるのを抑制することができる。これにより、良好に主走査方向の濃度ムラを抑制することができるという利点がある。
【0065】
図12は、変形例の主走査方向濃度ムラ補正制御の制御フロー図であり、図12(a)は、主走査方向濃度ムラ取得制御のフロー図であり、図12(b)は画像形成時の制御フロー図である。
この変形例は、まず、図12(a)に示すように、実施形態と同様にして、第一光量補正値に基づいて形成されたテストパターン171の濃度データ(第一の濃度データ)を記憶部87に記憶する(S21~S25)。次に、実施形態と同様に、第一の濃度データに基づいて算出した第二光量補正値と、第一光量補正値とに基づいて第三光量補正値を演算する(S26~S27)。次に、この演算された第三光量補正値に基づいて、再度、記録シートにテストパターン171を形成し、この記録シートSに形成されたテストパターン171を画像読取部60で読み取って、第二の濃度データを、記憶部87に記憶する(S28~S31)。
【0066】
画像形成時においては、まず、記憶部87に記憶されている第一の濃度データに基づいて、第二光量補正値を算出する(S41)。次に、記憶部87に記憶されている第二の濃度データに基づいて、第四光量補正値を算出する(S42)。次に、演算部82で、第一光量補正値と、第二光量補正値と、第四光量補正値とを加算して第五光量補正値を算出する(S43)。そして、この第五光量補正値に基づいて、画像を形成する(S44~S45)。
【0067】
この変形例では、第三光量補正値では、除去しきれなかった主走査方向の濃度ムラも抑制することができ、更なる主走査方向の濃度ムラの改善を図ることができる。
【0068】
次に、本実施形態の特徴点について説明する。
先の図8に示した記録シートSに形成されたテストパターン171にショックジターが生じることがある。
図13は、記録シートS上の画像に現れたショックジターを示す図である。
図13に示すように、ショックジターは、副走査方向に延びる横筋状の濃度ムラであり、かかるショックシターは、例えば、作像プロセス中に衝撃が発生して装置などが振動することにより生じる。かかる振動により、例えば、感光体1等が回転方向に振動して突発的な速度変動が発生する。感光体1から記録シートSへの画像転写時に上記振動が発生すると、転写が乱れてしまいこれが副走査方向の濃度ムラとなって現れる。また、かかる振動により感光体1などが軸方向(主走査方向)にも振動し、主走査方向にも画像のぶれや濃度ムラを引き起こし、テストパターン171に上記ショックジターが生じていると、正確な主走査方向の濃度ムラを取得することができない。その結果、精度の高い光量補正を行えず、光量補正後も主走査方向の濃度ムラが残ってしまうおそれがある。
【0069】
特に、ショックジターは、記録シートSが記録シートを搬送する搬送部材から抜けたり、搬送部材へ突入したりするタイミングにより発生する振動で起こることが多くある。この紙の抜け・突入時ショックジターは、記録シートSの厚さが厚いほど衝撃が大きいが、近年の紙種対応増加傾向や、本体軽量化に伴う全体剛性の低下により、記録シートSの抜け・突入時のショックジターは大きな設計問題となっている。衝撃に対する補強を行なっても完全な対策にならなかったり、コストがかかったりする懸念もある。
【0070】
図14は、記録シートSの搬送方向後端が、レジストローラ49を抜けるときの様子を示す図である。
記録シートSの搬送方向後端がレジストローラ49のニップを抜けるときに衝撃が起きる。その衝撃が感光体1のある作像エンジンに伝わり、感光体1が振動し、記録シートSへの転写に影響を与え、記録シート上の画像をぶれさせ、ショックジターが発生する。レジストローラ49のニップから転写ローラ10が感光体1に接触した転写位置たる転写ニップまでの記録シートSの搬送距離をLaとすると、記録シートSの後端からLaの距離の位置に転写時のショックジターが発生することとなる。
【0071】
この記録シート抜け時のショックジターの場合、記録シートの搬送方向後端から、記録シートの後端が抜けた搬送部材から転写位置までの搬送距離先端側へ進んだ位置に発生する。ただし記録シートの撓みが設定上ある場合はその分プラスすることとなる。なお、ここでいう搬送部材とは、記録シートSに搬送力を付与する部材であり、給送ローラ35、給送中継ローラ41、レジストローラ49、転写ローラ10、定着ローラ44a、排紙中継ローラ43および排紙ローラ46を含むものである。
【0072】
また、記録シート搬送方向後端が、レジストローラを抜けたときに感光体1や現像ローラ8aが振動することで生じた現像時のショックジターは、記録紙の後端からLa-α(α:現像位置から転写位置までの感光体1の表面移動距離)進んだの位置に発生することになる。また、記録シート搬送方向後端が、レジストローラを抜けたときに感光体1や潜像書込装置7が振動することで生じた潜像形成時のショックジターは、記録シートの後端からLa-α-β(β:潜像形成位置から現像位置までの感光体1の表面移動距離)の位置に発生することになる。記録シートSの撓みが設定上ある場合はその分プラスする。
【0073】
図15は、記録シートSの搬送方向先端が定着ニップに突入するときの様子を示す図である。
記録シートSの搬送方向先端が定着ニップに突入するときに衝撃がおき、記録シートSへ転写中の画像をぶれさせ、ショックジターが発生する。転写ニップから定着ニップまでの記録シートSの搬送距離をLbとすると、記録シートSの搬送方向先端からLbの距離の位置に転写時のショックジターが発生することとなる。このように記録シートSの搬送方向先端突入時のショックジターは、記録シートの搬送方向先端から、転写ニップから記録シートの搬送方向先端が突入する搬送部材のニップまでの搬送距離進んだ位置に発生する。ただし紙の撓みが設定上ある場合はその分プラスすることとなる。
【0074】
また、記録シートの搬送方向先端の定着ローラ44aへの突入で感光体1や現像ローラ8aが振動することで生じた現像時のショックジターは、記録紙の先端からLa+αの位置に発生することになる。また、記録シートの搬送方向先端の定着ローラ44aへの突入で感光体1や潜像書込装置7が振動することで生じた潜像形成時のショックジターは、記録シートSの先端からLa+α+βの位置に発生することになる。記録シートSの撓みが設定上ある場合はその分プラスする。
【0075】
図14図15に示すように、記録シートSの搬送部材への突入のタイミングや、搬送部材から抜けるタイミングは搬送経路から予め決まる。よって、搬送する記録シートSの副走査方向の長さにより、紙の抜け・突入時ショックジターが、記録シートSのどの位置で発生するかが分かる。そこで、本実施形態においては、テストパターン171を形成する記録シートSの副走査方向(搬送方向)長さに応じて、テストパターン171の副走査方向における形成位置を変更し、テストパターン171にショックジターが生じないようにした。
【0076】
また、装置の構成によって、現像時や潜像時においては、振動の影響をほとんど受けず、ショックジターがほとんどない場合もある。従って、転写時のショックジター、現像時のショックジター、潜像時のショックジターのどれを考慮してテストパターンの形成位置を設定するかは、装置の構成によって適宜決めればよい。
【0077】
図16は、本画像形成装置における記録シートSを搬送する搬送部材間の搬送距離を示す図である。図17は、本実施形態におけるテストパターン形成位置について説明する図である。なお、図17は、記録シートの搬送方向後端抜け時における転写時のショックジターを考慮してテストパターン171の形成位置を設定したものである。
図16に示すような間隔で、搬送部材(給送ローラ35、給送中継ローラ41、レジストローラ49、転写ローラ10、定着ローラ44a、排紙中継ローラ43および排紙ローラ46)が配置されている場合、レジストローラ49を記録シートSの搬送方向後端が抜けるときのショックジターは、図17に示すように、記録シートSの搬送方向後端を基準にして、記録シートSのレジストローラから転写ローラまでの搬送距離L4の進んだ位置で発生する。また、記録シートSの搬送方向後端が給送中継ローラ41を抜けるときのショックジターは、記録シートSの搬送方向後端を基準にして、記録シートSの給送中継ローラ41から転写ローラまでの搬送距離L4+L5進んだ位置で発生する。また、給送ローラ35を記録シートSの搬送方向後端が抜けるときのショックジターは、記録シートSの搬送方向後端を基準にして、記録シートSの給送ローラ35から転写ローラ10までの搬送距離L4+L5+L6進んだ位置で発生する。
【0078】
また、記録シートSの搬送方向先端から給送ローラ35を記録シートSの後端が抜けたときのショックジターの位置までの長さは記録シートSの副走査長さをL’とすると、L’-(L4+L5+L6)となる。
【0079】
本実施形態のテストパターン設定手段たる画像形成処理部84は、記録シートSを、記録シートSの搬送方向先端から給送ローラ抜け時のショックジターの位置までの区間A(間隔L’-(L4+L5+L6))、給送ローラ抜け時のショックジター位置から、給送中継ローラ抜け時のショックジター位置までの区間B(間隔L6)、給送中継ローラ抜け時のショックジター位置からレジストローラ抜け時のショックジター位置までの区間C(間隔L5)、レジストローラ抜け時のショックジター位置から記録シート後端までの区間D(間隔L4)の4つに区分けする。そして、これら4つの区間A~Dのうち、最も広い間隔の区間にテストパターン171が形成されるように、テストパターン形成位置を設定する。
【0080】
このように、記録シートのショックジターが生じる位置で、記録シートを区分けし、区分けした区間A~Dのいずれかに、テストパターン形成位置を設定することで、記録シートに形成したテストパターン171に、記録シートの搬送方向後端が、搬送部材(給送ローラ35、給送中継ローラ41およびレジストローラ49)を抜けたときのショックジターが現れることがない。また、区分けした区間A~Dのうち、副走査方向に最も広い間隔の区間にテストパターン形成位置を設定することで、テストパターン171を副走査方向になるべく長くすることができる。テストパターン171を副走査方向に長くすることで、副走査方向に濃度変動があった場合でも平均化したときの、副走査方向濃度変動の影響を低減することができる。図17では、給送中継ローラ抜け時のショックジター位置からレジストローラ抜け時のショックジター位置までの区間Cが、最も広いため、その区間Cにテストパターンを形成する。
【0081】
また、画像形成処理部84は、テストパターンを形成する位置(区間)を設定したら、図17に示すように、テストパターンが、その区間内に収まるようにテストパターンの副走査方向の長さを設定する。具体的には、テストパターンの副走査方向の長さを、その区間の副走査方向長さ以下に設定する。これにより、テストパターンが、ショックジターが生じる位置を跨がないようにでき、テストパターンにショックジターが現れないようにすることができる。
【0082】
各ローラの配置は機械により決まってくるため、区間B~Dの副走査方向の長さは、固定値となる。しかし、テストパターンを形成する記録シートSの副走査方向長さL’は変わることがあり、区間Aの副走査方向長さ(L’-(L4+L5+L6))は、記録シートSの副走査方向長さにより変わる。従って、実際には、画像形成処理部84は、区間B~Dのうち、最も副走査方向に長い区間(図17の例では区間C)の長さ(L5)と、区間Aの副走査方向長さ(L’-(L4+L5+L6))とを比較すればよい。そして、L5>L’-(L4+L5+L6)であれば、テストパターン形成位置を、区間Cに設定し、L5<L’-(L4+L5+L6)であれば、テストパターン形成位置を、区間Aに設定する。
【0083】
なお、記録シートSの副走査方向長さL’は、例えば、給紙カセット100に記録シートSをセットするときに、ユーザーに給紙カセット100にセットされた記録シートSのサイズ情報を操作表示部89(図5参照)を用いて入力させ、その入力情報を、記憶部87に記憶しておくことで、取得することができる。すなわち、本実施形態では、操作表示部89(図5参照)などが、長さ情報取得手段として機能する。
【0084】
また、記憶部87に記憶された記録シートSのサイズ情報から、記録シートの主走査方向長さを特定し、記録シートSの主走査方向長さが、本画像形成装置が画像形成可能な主走査方向の最大サイズ未満の場合は、本画像形成装置が画像形成可能な主走査方向の最大サイズ以上の主走査方向長さを有する記録シートを、給紙カセット100にセットするように指示する旨を、画像形成装置の操作表示部89に表示する。そして、給紙カセット100に本画像形成装置が画像形成可能な主走査方向の最大サイズ以上の主走査方向長さを有する記録シートがセットされたら、テストパターンの形成を開始するようにしてもよい。これにより、テストパターン171を主走査方向に一杯に形成することができ、主走査方向端のほうに対しても補正がかかるようにすることができる。
【0085】
また、テストパターンを形成する記録シートSの副走査方向の長さL’が、(L4+L5+L6)よりも短い場合がある。この場合は、記録シートSの搬送方向後端が給送ローラを抜けたとき、記録シートの搬送方向先端は、転写位置に到達していないため、転写時において、給送ローラ抜け時のショックジターは生じない。従って、このときは、記録シートに形成された画像には、給送中継ローラ抜け時のショックジターと、レジストローラ抜け時のショックジターとなる。よって、このときは、図17に示すように、記録シートの搬送方向後端から先端側へL4進んだ位置と、(L4+L5)進んだ位置にショックジターが現れる。よって、テストパターンを形成する記録シートSの副走査方向の長さL’が、(L4+L5+L6)よりも短い場合は、記録シートの搬送方向先端側から、副走査方向長さが、L’-(L4+L5)の区間Aと、副走査方向長さがL5の区間Bと、副走査方向長さがL4の区間Cの3つの区間に区分けされる。そして、区間A~Cのうち、最も副走査方向に長い区間に、テストパターンが形成されるように、テストパターン形成位置を設定する。
【0086】
さらに、記録シートSの副走査方向長さL’が、L4+L5未満のときは、記録シートの画像には、記録シートの搬送方向後端からL4進んだ位置にのみ主走査方向の濃度ムラを乱すショックジターが生じる。よって、記録シートの搬送方向先端側から、副走査方向長さが、L’-L4の区間Aと、副走査方向長さがL4の区間Bの2つの区間に記録シートが区分けされる。そして、区間Aと区間Bのうち、副走査方向の長さが長い区間にテストパターンが形成されるように、テストパターン形成位置を設定する。
【0087】
このように、記録シートの副走査方向の長さL’によって、テストパターンの形成位置を変更することで、テストパターンにショックジターが生じることなく、テストパターンをなるべく副走査方向に長くすることができる。これにより、精度の高い主走査方向の濃度ムラを取得することができる。
【0088】
図18は、記録シートSの搬送方向先端が搬送部材に突入した時のショックジターを考慮して、テストパターンを形成する一例を示す図である。
この図18においても、転写時のショックジターを考慮してテストパターンの形成位置を設定したものである。
記録シートSの副走査方向の長さL’が、転写ローラ10から排紙ローラまでの搬送距離(図16に示すL1+L2+L3)以上のときは、図18に示すように、記録シートSの搬送方向先端が、定着ローラ44aに突入するときと、排紙中継ローラ43に突入するときと、排紙ローラ46に突入するときのショックジターが、記録シート上の画像に現れる。
【0089】
記録シートSの搬送方向先端が、定着ローラ44aに突入するときのショックジターは、記録シートSの搬送方向先端を基準にして、後端側へ転写ローラ10から定着ローラ44aまでの搬送距離L3進んだ位置で発生する。また、記録シートSの搬送方向先端が排紙中継ローラ43に突入するときのショックジターは、記録シートSの搬送方向先端を基準にして、後端側へ、転写ローラ10から排紙中継ローラ43までの搬送距離(L3+L2)進んだ位置で発生する。また、記録シートSの搬送方向先端が排紙ローラ46に突入するときのショックジターは、記録シートSの搬送方向先端を基準にして、後端側へ転写ローラ10から排紙ローラ46までの搬送距離(L3+L2+L1)進んだ位置で発生する。
【0090】
従って、画像形成処理部84は、操作表示部89で取得した記録シートSの副走査方向長さL’情報と、搬送部材間の搬送距離とに基づいて、記録シートSを、記録シートSの先端から定着ローラ44aに突入するときのショックジターの位置までの区間A1(間隔:L3)、定着ローラ44aに突入するときのショックジターの位置から排紙中継ローラ43に突入するときのショックジターの位置までの区間B1(間隔:L2)、排紙中継ローラ43に突入するときのショックジターの位置から排紙ローラ46に突入するときのショックジターの位置までの区間C1(間隔:L1)、排紙ローラ46に突入するときのショックジターの位置から記録シートの搬送方向後端までの区間D1(間隔:L’-(L1+L2+L3))の4つの区間に区分けする。そして、これら4つの区間A1~D1のうち、最も広い間隔の区間にテストパターンが形成されるように、テストパターン形成位置を設定する(図18では、区間D1にテストパターンを形成する)。また、画像形成処理部84は、テストパターンの副走査方向長さを、テストパターン形成区間の副走査方向長さ以下に設定する。
【0091】
これにより、記録シートSの先端が搬送ローラに突入するときのショックジターがテストパターンに生じることなく、テストパターンを副走査方向になるべく長くすることができる。
【0092】
各ローラの配置は機械により決まっておりL1、L2、L3は固定値となるため、区間A1~C1の副走査方向長さは決まっている。一方、区間D1の副走査方向長さはL’-(L1+L2+L3)であり、記録シートの副走査方向長さL’により変化する。従って、実際は、区間A1~C1の最も広い区間(図18では区間B1)と、記録シートSの搬送方向長さに応じて副走査方向の長さが変化する区間D1とを比較して、テストパターンの形成位置を決定する。
【0093】
また、記録シートSの副走査方向長さL’が、(L1+L2+L3)未満、(L2+L3)以上のときは、排紙ローラ46に突入するときのショックジターは生じないので、副走査方向長さがL3の区間と、副走査方向長さがL2の区間と、副走査方向長さL’-(L3+L2)の区間の3つの区間に記録シートが区分けされる。そして、3つに区分けされた区間のうち、最も副走査方向に長い区間に、テストパターンが形成されるように、テストパターン形成位置を設定する。
【0094】
また、記録シートSの副走査方向長さL’が、(L2+L3)未満のときは、定着ローラ突入時のショックジターのみ生じるので、副走査方向長さL3の区間と、副走査方向長さがL’-L3の区間の2つの区間に記録シートを区分けし、区分けした2つの区間のうち、副走査方向長さが長い区間にテストパターンが形成されるように、テストパターン形成位置を設定する。
【0095】
図19は、記録シートの搬送方向後端が搬送部材を抜けるときのショックジターと、記録シートSの搬送方向先端が搬送部材に突入するときのショックジターとを考慮して、テストパターンを形成する一例を示す図である。
図19は、記録シートSの副走査方向の長さL'が、画像形成装置の記録シートの搬送距離よりも長い(L’>L1+L2+L3+L4+L5+L6)場合で、転写時のショックジターを考慮した場合である。
図19に示す例においても、各ローラ間の搬送距離L1、L2、L3、L4、L5、L6および記録シートの副走査方向の長さL'から、記録シートの副走査方向のどの位置にショックジターが生じるかがわかる。そして、各ローラの間の搬送距離L1、L2、L3、L4、L5、L6および記録シートの副走査方向の長さL'に基づいて、図19に示すように、記録シートを、区間A2~G2の7つの区間に区分けし、これら、7つの区間のうち、最も副走査方向に長い区間にテストパターンが形成されるように、テストパターンの形成位置を設定するとともに、この区間内にテストパターンが収まるように、テストパターンの副走査方向長さを設定する。
【0096】
なお、記録シートの副走査方向長さL’が短くなると、例えば、給送ローラ抜け時のショックジターが、定着ローラ突入時のショックジターの位置と、排紙中継ローラ43突入時のショックジターとの間に位置し、ショックジターの発生位置に基づいて、記録シートを区切ったときの間隔が狭くなる。従って、テストパターン171を形成するシートとしては、なるべく副走査方向に長い記録シートを用いるのが好ましい。
【0097】
また、転写時以外にも、現像時における記録シート突入時や抜け時のショックジター、潜像形成時における記録シート突入時や抜け時のショックジターも発生するおそれがあり、それら全てを考慮してテストパターンの形成位置を設定してもよい。しかし、全てを考慮すると、ショックジターの発生位置に基づいて、記録シートSを区切ったときの間隔が短くなり、テストパターンの副走査長さが短くなりすぎるおそれがある。また、装置の剛性などにより、全てにおいて、ショックジターが発生するわけではない。従って、画像を見てショックジターが発生する位置を予め実験などで把握して、把握したショックジターの位置に基づいて、テストパターンの形成するのが好ましい。
【0098】
次に、タンデム型の中間転写方式のカラー画像形成装置における、テストパターンの形成の一例について、説明する。
【0099】
図20は、タンデム型の中間転写方式のカラー画像形成装置の一例を示す図であり、図21は、図20のカラー画像形成装置において、テストパターンの形成の一例を示す図である。
図20図21に示す例では、記録シートSの搬送方向後端が給送ローラ35を抜けるときに、各色の一次転写において発生するショックジターを考慮して、テストパターン171を形成した例である。
図20に示すように、タンデム型の中間転写方式のカラー画像形成装置は、Y、M、C、Kの感光体1Y、1M、1C、1K、帯電ローラ4Y、4M、4C、4Y、潜像書込装置7Y、7M、7C、7K、現像装置8Y、8M、8C、8Kをそれぞれ備えている、そして、各感光体1Y、1M、1C、1Kに形成した各色の画像を中間転写ベルト11上に重なり合うようにして一次転写し、中間転写ベルト11上にカラー画像を形成する。そして、この中間転写ベルト11上のカラー画像を、二次転写ローラ12が対向する二次転写位置へ搬送し、二次転写ローラ12へ搬送されてきた記録シートSに中間転写ベルト11上のカラー画像を二次転写して、記録シートSにカラー画像を形成する。
【0100】
給送ローラ35を記録シートSの後端が抜けたときの、K色感光体から中間転写ベルト11へK色の画像を一次転写位置でのショックジターは、記録シートSの搬送方向後端から、給送ローラ35から二次転写ローラ12までの記録シート搬送距離(L1+L2+L3)からK色の一次転写位置から二次転写位置までの中間転写ベルトの表面移動距離S1を減算した距離先端側に離れた位置に発生する((L4+L5+L6)-S1)。C色の一次転写位置でのショックジターは、記録シートの搬送方向後端から、給送ローラ35から二次転写ローラ12までの記録シート搬送距離(L1+L2+L3)にC色の一次転写位置から二次転写位置までの中間転写ベルトの表面移動距離S1+S2を減算した距離先端側に離れた位置に発生する(図21)。上記S2は、図20に示すように、K色の一次転写位置からC色の一次転写位置までの中間転写ベルト11の移動距離である。
【0101】
同様のM色の一次転写位置でのショックジターは、記録紙の後端から、給送ローラ35から二次転写ローラ12までの記録シート搬送距離:(L1+L2+L3)-M色の一次転写位置から二次転写位置までの中間転写ベルトの表面移動距離(S1+S2+S3)先端側に離れたの位置となる。S3は、M色の一次転写位置からC色の一次転写位置までの中間転写ベルト11の表面移動距離である。また、Y色の一次転写位置でのショックジターは、記録紙の後端から、給送ローラ35から二次転写ローラ12までの記録シート搬送距離:(L1+L2+L3)-Y色の一次転写位置から二次転写位置までの中間転写ベルトの表面移動距離:(S1+S2+S3+S4)、先端側に離れた位置となる。上記S4は、Y色の一次転写位置からM色の一次転写位置までの中間転写ベルト11の表面移動距離である。
【0102】
そして、図21に示すように、記録シートの搬送方向先端からK色の一次転写位置でのショックジターの発生位置までの区間A3(間隔:L’-{(L4+L5+L6)-S1})、K色の一次転写位置でのショックジターの発生位置からC色の一次転写位置でのショックジターの発生位置までの区間B3(間隔:S2)、C色の一次転写位置でのショックジターの発生位置からM色の一次転写位置でのショックジターの発生位置までの区間C3(間隔:S3)、M色の一次転写位置でのショックジターの発生位置からY色の一次転写位置でのショックジターの発生位置までの区間D3(間隔:S4)、Y色の一次転写位置でのショックジターの発生位置から、記録シートの搬送方向後端までの区間E3(間隔:{(L4+L5+L6)-(S1+S2+S3+S4)})のうち、副走査方向に最も長い区間(図21では、区間A3)にテストパターンが形成されるように、テストパターン形成位置を設定し、かつ、テストパターンが、この区間A3内に収まるように、テストパターンの副走査方向長さを設定する。
【0103】
これにより、カラー画像形成装置においても、テストパターンにショックジターが生じることなくテストパターンの副走査方向長さをなるべく長くすることができる。
【0104】
なお、上述では、記録シートSが給送ローラ35を抜けたときの各色の一次転写時でのショックジターを避けて、テストパターン171を形成する例について説明したが、記録シートSが給送ローラ35を抜けたときの各色の現像時でのショックジターを避けて、テストパターンを形成する場合は、次のようになる。すなわち、K色の現像時でのショックジターの発生位置は、記録シートの後端から、先の(L4+L5+L6)-S1に、現像位置から一次転写位置までのK色の感光体移動距離T1を減算した値、離れた位置となる。C色の現像時でのショックジターの発生位置は、記録シートの後端から、(L4+L5+L6)-(S1+S2)-T2離れた位置となり、M色の現像時でのショックジターの発生位置は、記録シートの後端から、(L4+L5+L6)-(S1+S2+S3)-T3離れた位置となり、Y色の現像時でのショックジターの発生位置は、記録シートの後端から、(L4+L5+L6)-(S1+S2+S3+S4)-T4離れた位置となる。そして、各色の現像時でのショックジター発生位置で、記録シートを区切り、最も副走査方向の長い区間にテストパターンが形成されるように、テストパターン形成位置を設定し、かつ、テストパターンが、この区間A3内に収まるように、テストパターンの副走査方向長さを設定する。
【0105】
図20に示すように、カラー画像形成装置においては、色が増えた分だけ、発生するおそれのあるショックジターが増える。よって、画像を見てショックジターが発生する位置を予め実験などで把握して、把握したショックジターの位置に基づいて、テストパターンの形成するのが好ましい。
【0106】
また、潜像書込装置7としては、LEDなどの光源の光を、ポリゴンミラーなどの回転偏向器により感光体1上に光走査して潜像を書き込むものでもよい。
【0107】
また、例えば、図22に示すように、画像形成装置の記録シート搬送経路に、記録シートSに形成されたテストパターンを読み取るイメージセンサなどの画像読取手段160を配置してもよい。具体的には、定着装置44から排紙ローラまでの排紙搬送路に画像読取手段160を配置する。これにより、ユーザーが、テストパターンが形成された記録シートを画像読取部へセットする手間を無くすことができるというメリットがある。
【0108】
以上に説明したものは一例であり、以下の態様毎に特有の効果を奏する。
(態様1)
感光体1などの潜像担持体の表面を露光して潜像担持体に潜像を形成する潜像書込装置7などの潜像形成手段と、潜像を現像する現像装置8などの現像手段と、現像手段により現像された画像を、搬送手段により搬送されてきた記録シートSなどの記録媒体に転写する転写ローラ10などの転写手段と、記録媒体に形成したテストパターンの濃度データなどの画像濃度情報を取得し、取得した画像濃度情報に基づいて、露光の光量を補正する露光補正値を算出する露光補正値算出手段(本実施形態では、画像読取部60、画像濃度取得部86、光量補正値算出部88および演算部82などで構成)とを備えた画像形成装置において、装置本体にセットされたテストパターンが形成される記録媒体の副走査方向などの記録媒体搬送方向の長さ情報を取得する長さ情報取得手段(本実施形態では、操作表示部89)と、長さ情報取得手段により取得した記録媒体の記録媒体搬送方向長さ情報に基づいて、記録媒体搬送方向における記録媒体へのテストパターンの形成位置、および、テストパターンの記録媒体搬送方向の長さを設定する画像形成処理部84などのテストパターン設定手段を備え、前記テストパターン設定手段により設定された前記テストパターンの形成位置、および、前記テストパターンの前記記録媒体搬送方向の長さに基づいて、前記テストパターンの形成を行う。
本出願人は、記録媒体に形成されたテストパターンの画像濃度情報から算出した露光補正値に基づいて、潜像形成手段を制御しても主走査方向の画像濃度ムラが改善されない要因について鋭意研究した結果、次のことがわかった。すなわち、記録媒体に形成したテストパターンにショックジターが生じており、そのショックジターが生じたテストパターンの画像濃度情報に基づいて、露光補正量を算出していたことが要因であるとわかったのである。
かかるショックジターは、記録媒体の記録媒体搬送方向後端が搬送部材を抜けるときなどに発生する衝撃により潜像担持体などが振動して生じる。記録媒体が、上記搬送部材を抜けるタイミングは、記録媒体の記録媒体搬送方向長さによって異なる。そのため、記録媒体上の画像にショックジターの影響が出る記録媒体搬送方向の位置が記録媒体の記録媒体搬送方向長さにより異なる。
そこで、態様1では、装置本体にセットされたテストパターンが形成される記録媒体の記録媒体搬送方向長さ情報を取得し、取得した記録媒体の記録媒体搬送方向長さに基づいて、記録媒体搬送方向における記録媒体へのテストパターンの形成位置、および、テストパターンの記録媒体搬送方向長さを設定する。これにより、記録媒体上の画像にショックジターの影響が出る記録媒体搬送方向の位置を避けて、テストパターンを記録媒体に形成することが可能となり、テストパターンにショックジターが生じるのを防止することが可能となる。これにより、テストパターンの画像濃度情報に基づいて、精度の高い露光量補正値を算出することができ、主走査方向の画像濃度ムラを良好に抑えることができる。
【0109】
(態様2)
態様1において、潜像書込装置7などの潜像形成手段は、複数のLEDなどの発光素子が主走査方向に並んで感光体1などの潜像担持体の表面に対向配置されている。
これによれば、潜像形成手段として、ポリゴンミラーなどの回転偏向器により感光体1上に光走査して潜像を書き込むものに比べて、主走査方向の濃度ムラを良好に補正することができる。
【0110】
(態様3)
態様1または2において、本体制御部52などの露光補正値算出手段は、テストパターン171を、潜像書込装置7などの潜像形成手段の特性に対応する第一露光補正値に基づいて補正された光量で露光して形成し、記録シートSなどの記録媒体上のテストパターンの画像濃度情報に基づいて第二露光補正値を求め、第一露光補正値と第二露光補正値とに基づいて、第三露光補正値などの露光補正値を算出する。
これによれば、実施形態で説明したように、潜像書込装置7などの潜像形成手段の特性に対応する第一露光補正値に基づいて補正された光量で露光して、テストパターン171を形成することで、テストパターン171には、潜像形成手段の特性以外を起因とする主走査方向の濃度ムラのみとなる。これにより、第一の露光補正値で補正されていない光量で露光して形成されたテストパターンに比べて、濃度変動を小さくでき、濃度が上限値を超えたりするのを抑制することができる。これにより、テストパターンの画像濃度情報に基づいて精度よく主走査方向の濃度ムラを取得することができ、精度よく第二露光補正値を求めることができる。これにより、第一露光補正値と、第二露光補正値とに基づいて算出された第三露光補正値などの露光補正値に基づいて補正された光量で露光して画像を形成することで、主走査方向の濃度ムラが抑制された良好な画像を得ることができる。
【0111】
(態様4)
態様1乃至3いずれかにおいて、前記搬送手段は、記録シートSなどの記録媒体を給送する給送位置から転写手段の転写位置までの間に所定の間隔を空けて複数の搬送部材(本実施形態では、給送ローラ35、給送中継ローラ41、レジストローラ49および転写ローラ10)を備えており、画像形成処理部84などのテストパターン設定手段は、記録媒体の前記記録媒体搬送方向の長さL’と、搬送部材の間の記録媒体搬送距離(本実施形態では、給送ローラ35から給送中継ローラ41までの搬送距離L6、給送中継ローラ41からレジストローラ49までの搬送距離L5、および、レジストローラ49から転写ローラまでの搬送距離L4)に基づいて、記記録媒体を前記記録媒体搬送方向に複数の区画に区切り、前記テストパターンの形成位置を録媒体搬送方向長さが最も長い区画に設定する。
これによれば、図17を用いて説明したように、記録シートSなどの記録媒体の副走査方向などの記録媒体搬送方向後端が、搬送部材(本実施形態では、給送ローラ35、給送中継ローラ41およびレジストローラ49)を抜けたときのショックジターが生じる位置を避けて、テストパターンを形成することができ、かつ、テストパターンの記録媒体搬送方向長さをできるだけ長くすることができる。
【0112】
(態様5)
態様1乃至3いずれかにおいて、前記搬送手段は、前記転写手段の転写位置から、前記記録媒体を装置外へ排出する排出位置までの間に所定の間隔を空けて複数の搬送部材(本実施形態では、転写ローラ10、定着ローラ44a、排紙中継ローラ43および排紙ローラ46)を備えており、画像形成処理部84などのテストパターン設定手段は、記録媒体の前記記録媒体搬送方向の長さL’と、前記搬送部材の間の記録媒体搬送距離(本実施形態では、転写ローラ10から定着ローラまでの搬送距離L3、定着ローラ44aから排紙中継ローラ43までの搬送距離L2および排紙中継ローラ43から排紙ローラ46までの搬送距離L1)とに基づいて、前記記録媒体を前記記録媒体搬送方向に複数の区画に区切り、前記テストパターンの形成位置を録媒体搬送方向長さが最も長い区画に設定する。
これによれば、図18を用いて説明したように、記録シートSなどの記録媒体の副走査方向などの記録媒体搬送方向の先端が、搬送部材(本実施形態では、定着ローラ44a、排紙中継ローラ43および排紙ローラ46)に突入したときのショックジターが生じる位置を避けて、テストパターンを形成することができ、かつ、テストパターンの記録媒体搬送方向長さをできるだけ長くすることができる。
【0113】
(態様6)
態様1乃至3いずれかにおいて、前記搬送手段は、前記記録媒体を給送する給送位置から前記記録媒体を装置外へ排出する排出位置までの間に所定の間隔を空けて複数の搬送部材(本実施形態では、給送ローラ35、給送中継ローラ41、レジストローラ49、転写ローラ10、定着ローラ44a、排紙中継ローラ43および排紙ローラ46)を備えており、画像形成処理部84などのテストパターン設定手段は、記録媒体の記録媒体搬送方向の長さL’と、前記搬送部材の間の記録媒体搬送距離(本実施形態では、給送ローラ35から給送中継ローラ41までの搬送距離L6、給送中継ローラ41からレジストローラ49までの搬送距離L5、レジストローラ49から転写ローラまでの搬送距離L4、転写ローラ10から定着ローラまでの搬送距離L3、定着ローラ44aから排紙中継ローラ43までの搬送距離L2および排紙中継ローラ43から排紙ローラ46までの搬送距離L1)とに基づいて、前記記録媒体を前記記録媒体搬送方向に複数の区画に区切り、前記テストパターンの形成位置を録媒体搬送方向長さが最も長い区画に設定する。
これによれば、図19を用いて説明したように、記録シートSなどの記録媒体の副走査方向などの記録媒体搬送方向先端が、搬送部材(本実施形態では、定着ローラ44a、排紙中継ローラ43および排紙ローラ46)に突入したときのショックジター、および、記録媒体の記録媒体搬送方向後端が搬送部材(本実施形態では、給送ローラ35、給送中継ローラ41およびレジストローラ49)を抜けたときのショックジターが生じる位置を避けて、テストパターンを形成することができ、かつ、テストパターンの記録媒体搬送方向長さをできるだけ長くすることができる。
【0114】
(態様7)
態様4乃至6いずれかにおいて、画像形成処理部84などのテストパターン設定手段は、テストパターン171の前記記録媒体搬送方向長さを、前記録媒体搬送方向長さが最も長い区画の前記記録媒体搬送方向長さ以下に設定する。
これによれば、実施形態で説明したように、テストパターンが、ショックジターが生じる位置を跨いで形成されるのを防止することができ、テストパターンにショックジターが現れるのを防止することができる。
【0115】
(態様8)
請求項1乃至7いずれかにおいて、前記テストパターンを形成する記録媒体の前記主走査方向長さが、当該画像形成装置が画像形成可能な主走査方向の最大サイズ以上である。
これによれば、実施形態で説明したように、テストパターン171を主走査方向に一杯に形成することができ、主走査方向端のほうに対しても補正がかかるようにすることができる。
【符号の説明】
【0116】
1 :感光体
2 :クリーニングブレード
3 :回収スクリュウ
4 :帯電ローラ
7 :潜像書込装置
8 :現像装置
8a :現像ローラ
10 :転写ローラ
11 :中間転写ベルト
12 :二次転写ローラ
35 :給送ローラ
41 :給送中継ローラ
42 :給送路
43 :排紙中継ローラ
44 :定着装置
44a :定着ローラ
44b :加圧ローラ
45 :排紙路
46 :排紙ローラ
49 :レジストローラ
50 :本体筐体
51 :スタック部
52 :本体制御部
60 :画像読取部
61 :自動原稿搬送装置
74 :LEDアレイ
74a :ICドライバ
74b :LED素子
74c :ROM
82 :演算部
83 :補正値転送部
84 :画像形成処理部
85 :第一光量補正値取得部
86 :画像濃度取得部
87 :記憶部
88 :光量補正値算出部
100 :給紙カセット
160 :画像読取手段
171 :テストパターン
200 :退避機構
【先行技術文献】
【特許文献】
【0117】
【文献】特開2015-85525号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22