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特許7037744液体を吐出する装置及び液体を吐出する装置のメンテナンス方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-09
(45)【発行日】2022-03-17
(54)【発明の名称】液体を吐出する装置及び液体を吐出する装置のメンテナンス方法
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/175 20060101AFI20220310BHJP
   B41J 2/14 20060101ALI20220310BHJP
   B41J 2/18 20060101ALI20220310BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20220310BHJP
【FI】
B41J2/175 503
B41J2/14 603
B41J2/18
B41J2/01 401
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2017237234
(22)【出願日】2017-12-11
(65)【公開番号】P2019104151
(43)【公開日】2019-06-27
【審査請求日】2020-09-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100098626
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 壽
(72)【発明者】
【氏名】竹内 則康
【審査官】大浜 登世子
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-000910(JP,A)
【文献】特開2005-153523(JP,A)
【文献】特開2009-274261(JP,A)
【文献】特開平06-183029(JP,A)
【文献】特開2017-124612(JP,A)
【文献】特開2017-159561(JP,A)
【文献】特開平08-238772(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0197434(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0259580(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01 - 2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を吐出する複数のノズルと、
複数の前記ノズルにそれぞれ通じる複数の個別液室と、
複数の前記個別液室に通じ、前記個別液室に前記液体を供給する供給共通液室と、
を有する液体吐出ヘッドを複数備えた液体を吐出する装置において、
前記供給共通液室には、前記供給共通液室を外部と接続するための少なくとも2つ以上の接続部が設けられ、
第一の接続部は、前記液体を貯留するヘッドタンクと接続され、
第二の接続部は、他の前記液体吐出ヘッドに設けられた前記接続部と接続されており、
複数の前記個別液室から前記液体が流れ込む循環共通液室を有し、
前記循環共通液室には、前記循環共通液室を外部と接続するための少なくとも2つ以上の循環側接続部が設けられ、
第一の循環側接続部は、前記液体を貯留するヘッドタンクに接続され、
第二の循環側接続部は、他の前記液体吐出ヘッドに設けられた前記循環側接続部と接続されていることを特徴とする液体を吐出する装置。
【請求項2】
請求項1に記載の液体を吐出する装置において、
前記第一の接続部の近傍には、前記第一の接続部と前記ヘッドタンクとの間の接続が解除されたときに前記液体の漏れを防止する封止機構が設けられていることを特徴とする液体を吐出する装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の液体を吐出する装置において、
前記第一の接続部は、前記供給共通液室のノズル配列方向一端側に設けられ、
前記第二の接続部は、前記供給共通液室のノズル配列方向他端側に設けられていることを特徴とする液体を吐出する装置
【請求項4】
求項1乃至3いずれか一項に記載の液体を吐出する装置において、
前記第一の循環側接続部の近傍には、前記第一の循環側接続部と前記ヘッドタンクとの接続が解除されたときに前記液体の漏れを防止する封止機構が設けられていることを特徴とする液体を吐出する装置。
【請求項5】
請求項1乃至4いずれか一項に記載の液体を吐出する装置において、
前記第一の循環側接続部は、前記循環共通液室のノズル配列方向一端側に設けられ、
前記第二の循環側接続部は、前記循環共通液室のノズル配列方向他端側に設けられていることを特徴とする液体を吐出する装置。
【請求項6】
請求項1乃至5いずれか一項に記載の液体を吐出する装置において、
複数の前記液体吐出ヘッドを固定する固定部材を備えたことを特徴とする液体を吐出する装置。
【請求項7】
液体を吐出する複数のノズルと、複数の前記ノズルにそれぞれ通じる複数の個別液室と、複数の前記個別液室に通じ、前記個別液室に前記液体を供給する供給共通液室とを有する液体吐出ヘッドを複数備えた液体を吐出する装置のメンテナンス方法において、
前記供給共通液室には、前記供給共通液室を外部と接続するための少なくとも2つ以上の接続部が設けられ、
第一の接続部は、前記液体を貯留するヘッドタンクと接続され、
第二の接続部は、他の前記液体吐出ヘッドに設けられた前記接続部と接続されており、
液体を吐出するときは、各液体吐出ヘッドの第一の接続部をヘッドタンクの液体が供給される供給ポートとして使用し、メンテナンスのときは、前記他の液体吐出ヘッドの第一接続部を、前記供給ポートから前記供給共通液室内の液体を前記ヘッドタンクへ戻す排出ポートに切り替えることを特徴とする液体を吐出する装置のメンテナンス方法。
【請求項8】
液体を吐出する複数のノズルと、複数の前記ノズルにそれぞれ通じる複数の個別液室と、複数の前記個別液室に通じ、前記個別液室に前記液体を供給する供給共通液室と、複数の前記個別液室から前記液体が流れ込む循環共通液室とを有する液体吐出ヘッドを複数備えた液体を吐出する装置のメンテナンス方法において、
前記循環共通液室には、前記循環共通液室を外部と接続するための少なくとも2つ以上の循環側接続部が設けられ、
第一の循環側接続部は、前記液体を貯留するヘッドタンクに接続され、
第二の循環側接続部は、他の前記液体吐出ヘッドに設けられた前記循環側接続部と接続されており、
液体を吐出するときは、各液体吐出ヘッドの第一の循環側接続部を前記循環共通液室内の液体を前記ヘッドタンクへ戻す排出ポートとして使用し、メンテナンスのときは、前記他の液体吐出ヘッドの第一の循環側接続部を、前記排出ポートからヘッドタンクの液体が供給される供給ポートに切り替えることを特徴とする液体を吐出する装置のメンテナンス方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体を吐出する装置及び液体を吐出する装置のメンテナンス方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、液体を吐出する複数のノズルと、複数の前記ノズルにそれぞれ通じる複数の個別液室と、複数の前記個別液室に通じ、前記個別液室に前記液体を供給する供給共通液室と、を有する液体吐出ヘッドを複数備えた液体を吐出する装置が知られている。
【0003】
特許文献1には、上記液体を吐出する装置として、ノズルに通ずる液室に液体を供給する供給共通液室のノズル配列方向一端と他端に液体を貯留するタンクに接続されたコネクタを備えた液体を吐出する装置が知られている。そして、液体吐出ヘッドの交換時や長期放置時等にタンクと供給液室とをつなぐパイプに気泡が混入した場合に、ノズル配列方向一端のコネクタから供給共通液室へタンクの液体を供給し、他端のコネクタから供給共通液室内の液体を排出してタンクに戻してインクを循環させることで、パイプ内の気泡をタンクへ排出するようにしている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載の液体を吐出する装置においては、組み付け工数が多く、組み付け作業が煩雑となるおそれがあった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決するために、本発明は、液体を吐出する複数のノズルと、前記複数のノズルにそれぞれ通じる複数の個別液室と、前記複数の個別液室に通じ、前記個別液室に前記液体を供給する供給共通液室とを有する液体吐出ヘッドを複数備えた液体を吐出する装置において、前記供給共通液室には、前記供給共通液室を外部と接続するための少なくとも2つ以上の接続部が設けられ、第一の接続部は、前記液体を貯留するヘッドタンクと接続され、第二の接続部は、他の前記液体吐出ヘッドに設けられた前記接続部と接続されており、複数の前記個別液室から前記液体が流れ込む循環共通液室を有し、前記循環共通液室には、前記循環共通液室を外部と接続するための少なくとも2つ以上の循環側接続部が設けられ、第一の循環側接続部は、前記液体を貯留するヘッドタンクに接続され、第二の循環側接続部は、他の前記液体吐出ヘッドに設けられた前記循環側接続部と接続されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、組み付け作業の簡素化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本実施形態に係る液体吐出ヘッドの液体流路の構成を示す模式図。
図2】封止機能付きカップリングの概略図。
図3】一つの個別液室をノズル配列方向と直交する方向に沿って切断した断面図。
図4】循環側連通管および供給側連通管により互いに連通された2つの液体吐出ヘッドの固定について説明する図。
図5】本実施形態に係るインク循環システムの一例を示すブロック図。
図6】メンテナンス時における液体吐出ヘッド内のインクの流れを示す図。
図7】切り替え弁によりインクの供給と排出とを切り替える一例を示す概略図。
図8】変形例の液体吐出ヘッドにおける液体流路の構成を示す模式図。
図9】従来の液体吐出ヘッドの構成の一例を示す図。
図10】液体循環システムの変形例を示すブロック図。
図11】本実施形態に係る液体を吐出する装置の要部平面説明図。
図12】本実施形態に係る液体を吐出する装置の要部側面説明図。
図13】同ユニットの要部平面説明図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1は、本実施液体に係る液体吐出ヘッドの液体流路の構成を示す模式図である。
本実施形態に係る液体吐出ヘッド434a,434b(以下、液体吐出ヘッドを特に区別しないときは、上記「a」、「b」の符号は省略する)には、液体たるインクを吐出する複数のノズル31と、これらノズル31に対応して複数の個別液室23とが設けられている。また、液体吐出ヘッド434は、各個別液室にインクを供給する供給共通液室12と、個別液室23からインクが流れ込む回収共通液室などの循環共通液室50とを有している。
【0009】
供給共通液室12のノズル配列方向(図中左右方向)の一端(図中右側)には、供給側接続管71、封止機能付きカップリング80、供給管73等を介してインクを一次貯留したヘッドタンク435(図5参照)に接続されている第一供給側接続部121aが設けられている。他端には、供給側連通管91を介して隣接する液体吐出ヘッドに接続されている第二供給側接続部121bが設けられている。
【0010】
また、循環共通液室50のノズル配列方向(図中左右方向)の他端(図中左側)には、循環側接続管72は、封止機能付きカップリング80、循環管74等を介してヘッドタンク435(図5参照)に接続されている第一循環側接続部151aが設けられている。また、一端(図中右側)には、循環側連通管92を介して隣接する液体吐出ヘッドに接続されている第二循環側接続部151bが設けられている。各液体吐出ヘッド434a,434bの第一供給側接続部の近傍に設けられた封止機能付きカップリング80、各液体吐出ヘッド434a,434bの第一循環側接続部151aの近傍に設けられた封止機能付きカップリング80は、同一構成となっている。
【0011】
図2は、封止機能付きカップリング80の概略図である。
封止機能付きカップリング80は、第一カップリング部材80aと、第二カップリング部材80bとを有している。各カップリング部材80a,80bには、それぞれバネ80a1,80b1で負性された弁80a2,80b2が備えられている。離間時(非連結時)は弁80a2,80b2が閉じた状態で封止され、連結時には互いに弁80a2,80b2を押し下げる構成となっていて、押し下げることで流路を連結するような構成になっている。このような封止機能付きカップリング80としては、CPC製のノンスピルカップリングなど、市販されているものを使用することができる。
【0012】
本実施形態では、図1に示すように、ヘッドタンクに接続される第一供給側接続部121aを、ノズル配列方向の一端側に設け、ヘッドタンクに接続される第一循環側接続部151aをノズル配列方向の他端側に設けているが、これに限られるものではなく、第一供給側接続部121aと第一循環側接続部151aとを、ノズル配列方向の一端側に設けてもよい。しかし、第一供給側接続部121aと第一循環側接続部151aとを互いに異なる端部側に設けることで、ノズル配列方向一端側と他端側とでそれぞれ封止機能付きカップリング80が、2つずつ配置されることになり、バランスのとれた配置にすることができ、好ましい。
【0013】
液体吐出ヘッド434a,434bは、同色のインクを吐出するものであり、第一液体吐出ヘッド434aは、第二液体吐出ヘッド434bに対して、ノズル配列方向にノズルピッチの半分の長さずらして配置されている。
【0014】
図3は、一つの個別液室23をノズル配列方向と直交する方向に沿って切断した断面図である。
図3に示すように、液体吐出ヘッド434a,434bは、供給共通液室12と循環共通液室50とが形成されたフレーム1と、複数の個別液室23等が形成された流路板2と、複数のノズル31が形成されたノズル板3と、振動板6とを備えている。さらに、複数の個別液室23に対応して設けられた複数の圧力発生素子である積層圧電素子5と、積層圧電素子5を固定しているベース4とを備えている。
【0015】
上記ノズル板3は金属材料、例えば電鋳工法によるNiメッキ膜等で形成したもので、インク滴を飛翔させるための微細な吐出口であるノズル31を多数形成している。このノズル31の内部形状(内側形状)は、ホーン形状(略円柱形状又は略円錘台形状でもよい。)に形成している。また、このノズル31の径はインク滴出口側の直径で約20[μm]~35[μm]である。また各列のノズルピッチは150[dpi]とした。
【0016】
このノズル板3のインク吐出面(ノズル表面側)は、撥水性の表面処理を施した撥水処理層を設けている。例えば、PTFE-Ni共析メッキやフッ素樹脂の電着塗装、蒸発性のあるフッ素樹脂(例えばフッ化ピッチなど)を蒸着コートしたもの、シリコン系樹脂・フッ素系樹脂の溶剤塗布後の焼き付け等、インク物性に応じて選定した撥水処理層を設けている。これにより、インクの滴形状、飛翔特性を安定化し、高品位の画像品質を得られるようにしている。
【0017】
上記流路板2は、ノズル板3に積層される形で設けられており、複数の個別液室23のほかに、供給共通液室12から個別液室23へインクを導入する複数の導入部20、個別液室23から循環共通液室50へインクを流す循環流路41を有している。また、流路板2は、個別液室23と導入部20との間に供給流体抵抗部21を有しており、個別液室23と循環流路41との間に、循環流体抵抗部42を有している。
【0018】
流路板2は、シリコン単結晶基板を用いて、個別液室23、導入部20および循環流路41をエッチング工法でパターニングして形成している。エッチングで残された部分が導入部20と循環流路41とを仕切る隔壁となる。また、この液体吐出ヘッド434ではエッチング幅を狭くする部分を設けて、これを供給流体抵抗部21、循環流体抵抗部42とした。
【0019】
上記振動板6は、流路板2に積層される形で設けられており、薄膜のダイヤフラム部62と、これの中央部に形成した積層圧電素子5と接合する島状凸部61と、供給共通液室12と導入部20とを連通するインク流入口63と、循環流路41と循環共通液室50とを連通するインク排出口64とを有している。薄膜のダイヤフラム部62、島状凸部61と、インク流入口63と、インク排出口64は、個別液室23に対応させて複数有している。
【0020】
積層圧電素子5は、島状凸部61に接着層7を介して接合されている。積層圧電素子5は、厚さ10[μm]~50[μm]/1層のチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)の圧電層と、厚さ数[μm/1層]の銀・パラジューム(AgPd)からなる内部電極層とを交互に積層している。内部電極層は両端で外部電極に接続する。積層圧電素子5はハーフカットのダイシング加工により櫛歯状に分割され、1つ毎に駆動部と支持部(非駆動部)として使用する。外部電極の外側はハーフカットのダイシング加工で分割されるように、切り欠き等の加工により長さを制限しており、これらは複数の個別電極となる。他方はダイシング加工では分割されずに導通しており共通電極となる。
【0021】
積層圧電素子5の個別電極にはFPC(フレキシブルプリント回路)が半田接合されている。また、共通電極は積層圧電素子5の端部に電極層を設けて回し込んでFPCのGnd電極に接合している。FPCにはヘッド制御部であるヘッドドライバが実装されており、これにより駆動部への駆動電圧印加を制御している。
【0022】
積層圧電素子5を固定しているベース4は、チタン酸バリウム系セラミックからなり、積層圧電素子5を2列配置して接合している。また、供給共通液室12と循環共通液室50とが形成されたフレーム1は樹脂成形で作製している。
【0023】
このように構成した液体吐出ヘッド434a,434bにおいては、記録信号に応じて積層圧電素子5に駆動パルスで構成される駆動波形(10[V]~50[V]のパルス電圧)を印加する。これによって、積層圧電素子5に積層方向の変位が生起し、振動板6を介して個別液室23が加圧されて圧力が上昇し、ノズル31からインク滴が吐出される。その後、インク滴吐出の終了に伴い、個別液室23内のインク圧力が低減し、インクの流れの慣性と駆動電圧(駆動パルス)の放電過程によって個別液室23内に負圧が発生してインク充填工程へ移行する。具体的には、供給共通液室12のインクが、供給共通液室12からインク流入口63を経て供給流体抵抗部21を通り、個別液室23内に充填される。
【0024】
供給流体抵抗部21は、吐出後の残留圧力振動の減衰に効果がある反面、表面張力による最充填(リフィル)に対して抵抗になる。供給流体抵抗部21を適宜に選択することで、残留圧力の減衰とリフィル時間のバランスが取れ、次のインク滴吐出動作に移行するまでの時間(駆動周期)を短くできる。
【0025】
図4は、循環側連通管92および供給側連通管91により互いに連通された2つの液体吐出ヘッド434a,434bの固定について説明する図である。
2つの液体吐出ヘッド434a,434bは、同一色のインクを吐出するものであり、同一のヘッド固定部材130に位置決め固定されている。ヘッド固定部材130には、2つの液体吐出ヘッド434a,434bのノズル板3が露出する貫通孔131aを有している。第二液体吐出ヘッド434bは、第一液体吐出ヘッド434aに対してノズル配列方向にノズル最小ピッチΔpの半分(Δp/2)の長さずれた位置でヘッド固定部材130に位置決め固定されている。このように、各液体吐出ヘッド434a,434bをヘッド固定部材に位置決め固定することで、ひとつの液体吐出ヘッドで画像を形成する場合に比べて、2倍の解像度で画像を形成することができる。
【0026】
吐出動作により、ノズル31から気泡を巻き込んだり、十分に脱気されていなかったインクが使用されたりすることによって、液体吐出ヘッド内の液体流路(供給共通液室12、複数の個別液室23、循環共通液室50など)内に気泡が混入することがある。このように液体吐出ヘッドの液体流路に気泡が滞留すると、インク吐出時の圧力変化が緩和されてしまい、十分な速度が得られないなど吐出特性に影響を及ぼす。また、液体吐出ヘッドでは、インクが長い時間、吐出されずに滞留していると、ノズル31から揮発成分が揮発して粘度が上昇し、吐出特性が変化したり、ノズルの周りに固着したりして、吐出曲がりなどの要因となる。
【0027】
そのため、本実施形態では、液体吐出ヘッド内のインクを循環させて、液体吐出ヘッド内の気泡や粘度が上昇したインクを液体吐出ヘッドから除去するようにしている。
【0028】
図5は、本実施形態に係るインク循環システムの一例を示すブロック図である。図5に示すように、インク循環システムは、メインタンク410、液体吐出ヘッド434、ヘッドタンク435、供給側ポンプ438a、循環側ポンプ438b、送液ポンプ438c、供給側圧力センサ439a及び循環側圧力センサ439bなどで構成されている。供給側圧力センサ439aは、供給側ポンプ438aと液体吐出ヘッド434との間に設けられている。また、循環側圧力センサ439bは、液体吐出ヘッド434と循環側ポンプ438bとの間に設けられている。そして、供給側圧力センサ439aで正圧、循環側圧力センサ439bで負圧が検知されるように、供給側ポンプ438a及び循環側ポンプ438bでインクを流す。これにより、ヘッドタンク435から第一供給側接続部121aを通って供給共通液室12に流入する。供給共通液室12に流入したインクは、個別液室23を通って、循環共通液室50へ流れ、第二循環側接続部151bから排出されてヘッドタンク435に戻るように、インクが循環する。本実施形態では、ポンプによりインクを循環させているが、例えば、ヘッドタンク435内に加圧空気を送り込んでインクを加圧することでインクを循環させてもよい。
【0029】
また、供給側圧力センサ439aが一定正圧、循環側圧力センサ439bが一定負圧となるように、供給側ポンプ438a及び循環側ポンプ438bを常に制御し続ける。これにより、液体吐出ヘッド434内を通ってインクを循環させつつ、メニスカスの負圧を一定に保つことができる。
【0030】
このように、インクを循環させることで、液体吐出ヘッド434内の気泡が、インクとともに液体吐出ヘッドから排出され、液体吐出ヘッド434内の気泡を取り除くことができる。また、ノズルから揮発成分が揮発して粘度上昇したインクを、液体吐出ヘッドから排出することができる。これにより、良好な吐出特性を維持することができる。また、定期的に液滴を吐出させることで常にノズル31近傍の液滴の状態を吐出に適した状態に維持するものに比べて、インクを無駄に消費するがなくなり、ランニングコストの上昇を抑えることができる。
【0031】
また、液体吐出ヘッド434のノズル31から液滴を吐出すると、ヘッドタンク435内のインク量が減少していくため、適宜メインタンク410から送液ポンプ438cを用いて、ヘッドタンク435にインクを補充することが望ましい。メインタンク410からヘッドタンク435へのインク補充のタイミングは、ヘッドタンク435内のインクの液面高さが所定高さよりも下がったらインク補充を行うなど、ヘッドタンク435内に設けた液面センサなどの検知結果によって制御することができる。
【0032】
しかしながら、上述のインク循環システムでは、効率よく液体吐出ヘッド内の気泡を除去することができず、液体吐出ヘッド内に気泡が残る場合があった。これは、供給共通液室内の気泡は、個別液室23と導入部20との間の供給流体抵抗部21や、個別液室23と循環流路41との間の循環流体抵抗部42を通過する必要がある。そのため、気泡が個別液室へ流れにくく、供給共通液室に留まるのである。また、インクは、供給流体抵抗部21や、循環流体抵抗部42を経て循環共通液室50へ流れるため、循環共通液室50へ流れ込むインクが少なく、循環共通液室50に滞留している気泡を、良好に第二循環側接続部151bまで流すことができないのである。
【0033】
供給共通液室12のノズル配列方向一端からヘッドタンク内インクを供給し、供給共通液室12のノズル配列方向他端から供給液室内のインクを排出してインクをヘッドタンクへ戻すことで、供給共通液室12に滞留する気泡を良好に除去することができる。しかしながら、かかる構成とすると、供給共通液室12のインクが、個別液室へうまく流れなくなる。これは、個別液室23と供給共通液室12との間に流路抵抗部があるため、供給共通液室12の多くのインクは、個別液室23へ流れるよりもノズル配列方向他端からヘッドタンクへ流れてしまうためである。供給共通液室12のインクが、個別液室23へうまく流れなくなる結果、個別液室経由のインクの循環量が減少し、個別液室内の気泡や個別液室内の粘度上昇したインクを良好に除去できなくなるという課題がある。
【0034】
そこで、供給共通液室12のノズル配列方向他端とヘッドタンクとの間のインク排出流路に切り替え弁を設けることが考えられる。通常のインク吐出動作時には、切り替え弁でヘッドタンクとの連通を閉じることで、個別液室経由のインクの循環量の低下を防止することができ、個別液室内の気泡や個別液室内の粘度上昇したインクを良好に除去できる。また、所定のタイミングで、切り替え弁により、ヘッドタンクと供給共通液室12とを連通することで、供給共通液室12に滞留する気泡を良好に除去できる。しかしながら、この構成では、切り替え弁を設ける必要があり、装置のコストアップに繋がるという課題が生じる。
【0035】
また、同様に、循環共通液室のノズル配列方向一端からヘッドタンク内インクを供給し、循環共通液室のノズル配列方向他端から循環液室内のインク液を排出してインクをヘッドタンクへ戻すことで、循環共通液室50に滞留する気泡を良好に除去することができる。しかし、かかる構成とすると、個別液室23のインクが、循環共通液室へ流れ込む量が減り、個別液室経由のインクの循環量が減少し、個別液室内の気泡や個別液室内の粘度上昇したインクを良好に除去できなくなる。
【0036】
よって、循環共通液室50のノズル配列方向一端とヘッドタンクとの間のインク供給流路に、切り替え弁を設けて、上述同様、通常の液体吐出動作時には、ヘッドタンクとの連通を閉じ、循環共通液室に滞留する気泡を除去する際に、ヘッドタンクと循環共通液室とを連通することが考えられるが、装置のコストアップに繋がるという課題が生じる。
【0037】
また、ヘッドタンクから供給共通液室へインクを供給する供給管と、供給共通液室のインクをヘッドタンクへ戻すための循環管と、ヘッドタンクから循環共通液室へインクを供給する供給管と、循環共通液室のインクをヘッドタンクへ戻すための循環管との合計4本の管を、液体吐出ヘッド毎に設ける必要があり、装置の大型化、装置のコストアップに繋がる。特に、液体吐出ヘッドの単位で交換可能に構成した場合は、ひとつの液体ヘッドに対して、合計4本の封止機能付きカップリング80が必要となり、装置の大型化、装置のコストアップに繋がるという課題がある。また、組み付け工数の増加、配管レイアウトの複雑化に伴い装置の大型化に繋がる。
【0038】
そこで、本実施形態では、先の図1に示すよう構成して、装置のコストアップを抑えて、上述のインク循環システムでは除去しきれなかった循環共通液室50と、供給共通液室12の気泡を良好に除去できるようにした。
【0039】
本実施形態では、所定のタイミングで、以下のようなメンテナンスを行い、上述のインク循環システムでは除去しきれなかった気泡を除去できるようにしている。
【0040】
図6は、メンテナンス時における液体吐出ヘッド内のインクの流れを示す図である。
メンテナンスを行なう場合、第一液体吐出ヘッド434aの供給側接続管71の一端が接続されている第二カップリング部材80bから、供給管73が接続されている第一カップリング部材80aを取り外す。また、液体吐出ヘッド434aの循環側接続管72の一端が接続されている第二カップリング部材80bから、循環管74が接続されている第一カップリング部材80aを取り外す。そして、外した供給管73が接続されている第一カップリング部材80aを、循環側接続管72が接続されている第二カップリング部材80bに取り付け、外した循環管74が接続されている第一カップリング部材80aを、供給側接続管71が接続されている第二カップリング部材80bに取り付けて、付け替える。これにより、第一液体吐出ヘッド434aの第一供給側接続部121aが、ヘッドタンクのインクを供給する供給ポートから供給共通液室12内のインクをヘッドタンク435へ排出する排出ポートに切り替わり、第二液体吐出ヘッド434aの第一循環側接続部151aが、排出ポートから供給ポートに切り替わる。
【0041】
そして、供給側圧力センサ439aで正圧、循環側圧力センサ439bで負圧が検知されるように、供給側ポンプ438a及び循環側ポンプ438bでインクを流す。すると、第二液体吐出ヘッド434bの第一供給側接続部121aからインクが供給共通液室12へ供給される。第二液体吐出ヘッド434bの供給共通液室内のインクは、供給側連通管91を介して、第一液体吐出ヘッド434aの供給共通液室へ流れ、第一液体吐出ヘッド434aの第一供給側接続部121aから排出される。そして、ヘッドタンク435へ戻り、2つの液体吐出ヘッド434a,434bの供給共通液室内のインクが循環する。このときの循環経路(第二液体吐出ヘッドの供給共通液室→供給側連通管91→第一液体吐出ヘッドの供給共通液室)には、大きな抵抗がないため、各液体吐出ヘッド434a,434bの供給共通液室12に滞留している気泡がスムーズに流れ、良好に各液体吐出ヘッド434a,434bの供給共通液室12から気泡を除去することができる。
【0042】
また、第一液体吐出ヘッド434aの第一循環側接続部151aから第一液体吐出ヘッド434aの循環共通液室50へインクが供給され、循環側連通管92を介して第二液体吐出ヘッド434bの循環共通液室50へ流れ、第二液体吐出ヘッド434bの第一循環側接続部151aから排出される。そして、ヘッドタンク435へ戻り、2つの液体吐出ヘッドの循環共通液室内のインクが循環する。このときの循環経路(第一液体吐出ヘッドの循環共通液室→循環側連通管→第二液体吐出ヘッドの循環共通液室)には、大きな抵抗がないため、各液体吐出ヘッドの循環共通液室に滞留している気泡がスムーズに流れ、良好に各液体吐出ヘッドの循環共通液室から気泡を除去することができる。
【0043】
このように、本実施形態では、供給共通液室12および循環共通液室50の気泡を良好に除去することができ、液体吐出ヘッド内に滞留する気泡による吐出不良を良好に除去することができる。
【0044】
メンテナンスが終了したら、供給管73が接続されている第一カップリング部材80aを、第一液体吐出ヘッド434aの供給側接続管71の一端が接続されている第二カップリング部材80bへ取り付け、循環管74が接続されている第一カップリング部材80aを、第一液体吐出ヘッド434aの循環側接続管72の一端が接続されている第二カップリング部材80bへ取り付けて、先の図1に示す状態に戻す。
【0045】
通常の吐出動作時においては、図1に示す状態で行なわれる。このとき、各液体吐出ヘッドの第一供給側接続部121aは、供給ポートであり、ヘッドタンクのインクが供給され、各液体吐出ヘッドの供給共通液室12は、各個別液室23よりも高い圧力に保たれる。これにより、供給共通液室12から良好に個別液室23へインクを供給することができる。また、各液体吐出ヘッドの第一循環側接続部151aは、排出ポートであり、インクが排出され、各液体吐出ヘッドの循環共通液室50は、各個別液室23よりも低い圧力に保たれる。これにより、個別液室から良好に循環共通液室へインクを流し込むことができ、個別液室内の気泡や、粘度が上昇したインクを除去することができる。よって、良好にインクを吐出することができる。このように、本実施形態では、切り替え弁などを設けることなく、供給共通液室と循環共通液室との気泡を除去でき、かつ、吐出動作時においては、個別液室内のインクを良好に循環させることができる。
【0046】
また、本実施形態においては、メンテナンス時において、ヘッドタンクに対して2つの液体吐出ヘッドを直列で接続して、2つの液体吐出ヘッドで共通の循環経路を形成することで、ヘッドタンクから液体吐出ヘッドへ供給する供給流路と、液体吐出ヘッドから液体吐出ヘッドへ戻す循環流路を2つの液体吐出ヘッド間で共用できる。これにより、ヘッドタンクに対して2つの液体吐出ヘッドを並列で接続して、液体吐出ヘッド毎に循環経路を形成する従来構成に比べて、配管数を削減できる。
【0047】
本実施形態では、ヘッドタンクに対して2つの液体吐出ヘッドを直列で接続することで、第一液体吐出ヘッド434aへヘッドタンクのインクを供給する供給管と、第二液体吐出ヘッド434bへヘッドタンクのインクを供給管と、第一液体吐出ヘッド434aのインクをヘッドタンクへ戻す循環管と、第二液体吐出ヘッド434bのインクをヘッドタンクへ戻す循環管と、第一液体吐出ヘッドの供給共通液室と第二液体吐出ヘッドの供給共通液室とを連通する連通管と、第一液体吐出ヘッドの循環共通液室と第二液体吐出ヘッドの循環共通液室とを連通する連通管の合計6本の管により2つの液体吐出ヘッドのインクを循環させることができる。これにより、1つの液体吐出ヘッドに対して4本の管、2つの液体吐出ヘッドについて合計8本の管が必要なヘッドタンクに対して2つの液体吐出ヘッドを並列で接続して、液体吐出ヘッド毎に循環経路を形成した従来の構成に比べて、管の本数を削減することができる。これにより、管の組み付け工数を削減することができ、組み付け作業を簡素化することができる。また、管の本数を削減することができ、装置のコストダウンや装置の大型化を抑制できる。また、配管のレイアウトを簡素化でき、装置の小型化を図ることができる。
【0048】
また、従来においては、第一液体吐出ヘッド434aと第二液体吐出ヘッド434bとを一体で交換する場合、ヘッドタンクに接続された8本の管それぞれに封止機能付きカップリング80が必要となり、合計8個の封止機能付きカップリング80が必要である。一方、本実施形態では、ヘッドタンクに接続された4本の管それぞれに封止機能付きカップリング80を設けることで、第一液体吐出ヘッド434aと第二液体吐出ヘッド434bとを一体で交換することができ、封止機能付きカップリング80の個数を4個削減でき、装置のコストダウン、装置の大型化を避けることができる。
【0049】
なお、供給側連通管91と、循環側連通管92とにそれぞれ封止機能付きカップリング80を設けて、第一液体吐出ヘッド434a、第二液体吐出ヘッド434bを個別で交換可能な構成としてもよい。このように、個別で液体吐出ヘッドを交換可能な構成とした場合でも、封止機能付きカップリング80の個数が6個で済み、従来構成よりも装置のコストダウン、装置の大型化を抑制することができる。
【0050】
また、上記例では、メンテナンス時に配管を付け替えることにより、2つの液体吐出ヘッドの第一供給側接続部121aのいずれか一方を供給ポートから排出ポートに切り替え、2つの液体吐出ヘッドの第一循環側接続部151aのいずれか一方を供給ポートから排出ポートに切り替えているが、切り替え弁により、ポートの切り替えを行なってもよい。
【0051】
図7は、切り替え弁によりインクの供給と排出とを切り替える一例を示す概略図である。
図7に示すように、第二液体吐出ヘッド434bの第一供給側接続部121aと供給配管173との間には切り替え弁としての供給側三方弁77が設けられている。この供給側三方弁77には、供給配管173と、供給管73と、一端が循環配管174に接続された循環バイパス管74aとが接続されている。また、第一液体吐出ヘッド434aの第二循環側接続部151bと循環配管174との間には切り替え弁としての循環側三方弁76が設けられている。この循環側三方弁76には、循環配管174と、循環管74と、一端が供給配管173に接続された供給バイパス管73aとが接続されている。
【0052】
通常時は、供給側三方弁77は、供給配管173と供給管73との接続を開いて、循環バイパス管74aと供給管73との接続は閉じている。これにより、第二液体吐出ヘッド434bの第一供給側接続部121aから供給共通液室12へインクが供給される。また、循環側三方弁76は、循環配管174と循環管74との接続を開いて、供給バイパス管73aと循環管74との接続を閉じている。これにより、第一液体吐出ヘッド434aの第一循環側接続部151aから循環共通液室50のインクが排出される。
【0053】
メンテナンス時においては、供給配管173と供給管73との接続を閉じて、循環バイパス管74aと供給管73との接続を開く。これにより、第一供給側接続部が供給ポートから排出ポートに切り替わり、第二液体吐出ヘッド434bの第一供給側接続部121aから供給共通液室12のインクが排出される。また、循環側三方弁76は、循環配管174と循環管74との接続を閉じて、供給バイパス管73aと循環管74との接続を開く。これにより、第一循環側接続部が、排出ポートから供給ポートに切り替わり、第一液体吐出ヘッド434aの第一循環側接続部151aから循環共通液室50へインクが供給される。これにより、管の付け替えを行なうことなく、供給・排出の切り替えを行なうことができる。
【0054】
図7に示す構成では、2つ切り替え弁が必要となるが、各液体吐出ヘッド434a,434bの第二供給側接続部121bに循環管74を接続して排出ポートとし、各液体吐出ヘッド434a,434bの第二循環側接続部151bに供給管73を接続して供給ポートとした場合は、各液体吐出ヘッドに2つずつ、計4個の切り替え弁が必要となる。よって、図7に示す構成の方が、装置のコストダウンを図ることができる。
【0055】
また、本実施形態では、図1に示すように、吐出動作時においては、第一液体吐出ヘッド434aおよび第二液体吐出ヘッド434bの第一供給側接続部121aから供給共通液室へインクが供給されるように構成されている。吐出動作時に、第一液体吐出ヘッド434aおよび第二液体吐出ヘッド434bのいずれか一方の液体吐出ヘッドの第一供給側接続部121aから供給共通液室へインクを供給するように構成した場合、最大吐出時に、インク供給量が不足するおそれがある。このようなインク供給量の不足を抑制するには、供給管73や供給側連通管などを太くして流路抵抗を減らす必要が生じ、装置が大型化してしまう。よって、本実施形態のように、吐出動作時においては、第一液体吐出ヘッド434aおよび第二液体吐出ヘッド434bの第一供給側接続部121aから供給共通液室へインクが供給されるよう構成することにより、インク供給不足を抑制でき、安定的な吐出が可能となる。また、供給管73や供給側連通管などの大径化を抑制でき、装置の大型化を抑制することができる。
【0056】
次に、本実施形態の変形例について、説明する。
図8は、変形例の液体吐出ヘッドにおける液体流路の構成を示す模式図である。
図8に示すように、変形例の各液体吐出ヘッド434a,434bは、供給共通液室12と、個別液室23とを有しており、循環共通液室を有していないものである。この変形例においても、ヘッドタンクに対して2つの液体吐出ヘッドを直列で接続している。具体的には、供給共通液室12のノズル配列方向両端に接続部221a,221bを有しており、一端側の第二接続部221bには、第一液体吐出ヘッド434aと第二液体吐出ヘッド434bとを連通する連通管191が接続されている。また、各液体吐出ヘッドの第一接続部221aには、封止機能付きカップリング80を介してヘッドタンクのインクを供給する供給管が接続されている。
【0057】
第一液体吐出ヘッド434aの第一接続部221aとヘッドタンクとの間には、先の図7に示した切り替え弁たる三方弁を有しており、第一接続部221aを、ヘッドタンクのインクを第一液体吐出ヘッド434aへ供給する供給ポートと、第一液体吐出ヘッドのインクを、ヘッドタンクへ排出する排出ポートとに切り替え可能としている。
【0058】
通常の吐出動作のときは、第一接続部221aを、供給ポートとし、各液体吐出ヘッド434a,434bに滞留する気泡の除去を行なうメンテナンスのときは、排出ポートに切り替える。このように、メンテナンス時において、排出ポートに切り替えることにより、第二液体吐出ヘッド434bの第一接続部221aから供給されたヘッドタンクのインクは、第二液体吐出ヘッド内を流れた後、連通管191を介して第一液体吐出ヘッドへと流れる。そして、連通管191を介して流れてきたインクは、第一液体吐出ヘッド内を流れ、第一液体吐出ヘッドの第一接続部221aから排出され、ヘッドタンクへ戻される。これにより、第一、第二液体吐出ヘッド内のインクが循環し、第一、第二液体吐出ヘッド内の気泡が、インクととともにヘッドタンクへ排出され、第一、第二液体吐出ヘッド内の気泡が除去される。
【0059】
図9は、ヘッドタンクに対して2つの液体吐出ヘッドを並列で接続する従来の液体吐出ヘッドの構成の一例を示す図である。
図9に示す構成においては、各液体吐出ヘッド434a,434bの第一接続部221aに封止機能付きカップリング80を介してヘッドタンクのインクを供給する供給管が接続されており、第一接続部221aに封止機能付きカップリング80を介して液体吐出ヘッドのインクをヘッドタンクに戻す循環管が接続されている。
【0060】
この図9に示すように、ヘッドタンクに対して2つの液体吐出ヘッドを並列で接続する構成では、2個の液体吐出ヘッドに対して、合計4本の管が接続される。これに対し、図8に示すヘッドタンクに対して2つの液体吐出ヘッドを直列で接続した構成では、2個の液体吐出ヘッドに対して、合計3本の管にでき、管の数を削減することができる。また、図8に示す構成では、2個の封止機能付きカップリング80を設ければ、2個の液体吐出ヘッドを交換することができるが、図9に示す従来構成では、4個の封止機能付きカップリング80が必要となる。また、図8に示す構成において、連通管91に封止機能付きカップリング80を追加すれば各液体吐出ヘッドを個別に交換でき、封止機能付きカップリング80を3個設ければ、各液体吐出ヘッドを個別に交換することができ、図9に示す構成に比べて、封止機能付きカップリング80を削減することができる。
【0061】
なお、上述では、切り替え弁を用いて、第一液体吐出ヘッド434aの第一接続部221aを、供給ポートと排出ポートとに切り替えているが、循環管と供給管とをそれぞれ備え、メンテナンス時に、第一接続部221aから供給管を取り外して、循環管を取り付けることで、ポートを切り替えてもよい。この場合は、2つの液体吐出ヘッドに対して接続する管を4本(連通管191、循環管、および2本の供給管)用いることになるが、封止機能付きカップリング80の個数は、図9に示す構成に比べて削減することができ、装置のコストダウン・装置の小型化を図ることができる。
【0062】
図10は、液体循環システムの変形例を示すブロック図である。
図10に示すように、変形例の液体循環システム530は、メインタンク502、液体吐出ヘッド434、供給タンク531、循環タンク532、コンプレッサ533、真空ポンプ534、第一送液ポンプ535、第二送液ポンプ536、供給側圧力センサ537、循環側圧力センサ538、レギュレータ(R)539a,539bなどで構成されている。供給側圧力センサ537は、供給タンク531と液体吐出ヘッド434との間に配置されている。循環側圧力センサ538は、液体吐出ヘッド434と循環タンク532との間に接続されている。
【0063】
循環タンク532の一方は、第一送液ポンプ535を介して供給タンク531と接続されており、循環タンク532の他方は第二送液ポンプ536を介してメインタンク502と接続されている。これにより、供給タンク531から液体吐出ヘッド434内にインクが流入し、液体吐出ヘッドから循環タンク532へインクが排出される。そして、さらに第一送液ポンプ535によって循環タンク532から供給タンク531へ液体が送られることによって液体が循環する。また、供給タンク531にはコンプレッサ533がつなげられており、供給側圧力センサ537で所定の正圧が検知されるように制御される。一方、循環タンク532には真空ポンプ534がつなげられており、循環側圧力センサ538で所定の負圧が検知されるよう制御される。これにより、液体吐出ヘッド434内を通って液体を循環させつつ、メニスカスの負圧を一定に保つことができる。
【0064】
また、液体吐出ヘッド434のノズル31から液体を吐出すると、供給タンク531及び循環タンク532内の液体量が減少していく。そのため、適宜メインタンク502から第二送液ポンプ536を用いて、メインタンク502から循環タンク532に液体を補充することが望ましい。メインタンク502から循環タンク532への液体補充のタイミングは、循環タンク532内のインクの液面高さが所定高さよりも下がったら液体補充を行うなど、循環タンク532内に設けた液面センサなどの検知結果によって制御することができる。
【0065】
次に、各実施形態に係る液体吐出ヘッド434を適用可能な液体を吐出する装置の一例を、図11及び図12を参照して説明する。図11は本実施形態に係る液体を吐出する装置の要部平面説明図であり、図12は本実施形態に係る液体を吐出する装置の要部側面説明図である。この液体を吐出する装置は、シリアル型装置であり、主走査移動機構593によって、キャリッジ503は主走査方向に往復移動する。主走査移動機構593は、ガイド部材501、主走査モータ505、及び、タイミングベルト508等で構成されている。ガイド部材501は、装置長手方向両側に設けられた側板591A,591Bに架け渡されており、キャリッジ503を移動可能に保持している。キャリッジ503は、主走査モータ505によって、駆動プーリ506と従動プーリ507との間に架け渡したタイミングベルト508を介して装置長手方向である主走査方向に往復移動される。
【0066】
このキャリッジ503には、複数の液体吐出ヘッド434を搭載した液体吐出ユニット540が設けられている。液体吐出ユニット540は、液体吐出ヘッド434は、例えば、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の各色の液体を吐出する。また、液体吐出ヘッド434は、複数のノズルからなるノズル列を主走査方向と直交する副走査方向に配置し、吐出方向を下方に向けて装着している。液体吐出ヘッド434の外部に貯留されている液体を液体吐出ヘッド434に供給するための供給循環機構594により、液体が液体吐出ヘッド434内に供給及び循環される。
【0067】
本実施形態では、イエロー(Y)の液体を吐出する液体吐出ヘッド、シアン(C)の液体を吐出する液体吐出ヘッド、マゼンタ(M)の液体を吐出する液体吐出ヘッド、ブラック(K)の液体を吐出する液体吐出ヘッドをそれぞれ複数備えている。そして、先の図1図8に示したように、同一色の液体を吐出する複数の液体吐出ヘッドで、液体が供給循環機構594により供給及び循環される。
【0068】
液体を吐出する装置は、用紙510を搬送するための搬送機構595を備えている。搬送機構595は、搬送手段である搬送ベルト512、搬送ベルト512を駆動するための副走査モータ516などで構成されている。搬送ベルト512は、用紙510を吸着して液体吐出ヘッド434に対向する位置で搬送する。この搬送ベルト512は、無端状ベルトであり、搬送ローラ513とテンションローラ514との間に掛け渡されている。搬送ベルト512への用紙510の吸着は、静電吸着あるいはエアー吸引などで行うことができる。搬送ベルト512は、副走査モータ516によってタイミングベルト517及びタイミングプーリ518を介して搬送ローラ513が回転駆動されることによって、副走査方向に周回移動する。
【0069】
キャリッジ503の主走査方向の一方側には、搬送ベルト512の側方に液体吐出ヘッド434の維持回復を行う維持回復機構520が配置されている。維持回復機構520は、例えば液体吐出ヘッド434のノズル面(ノズルが形成された面)をキャッピングするキャップ部材521や、ノズル面を払拭するワイパ部材522などで構成されている。
【0070】
主走査移動機構593、供給循環機構594、維持回復機構520、及び、搬送機構595は、側板591A,591B及び背板591Cなどで構成される筐体に取り付けられている。このように構成した、液体を吐出する装置においては、用紙510が搬送ベルト512上に給紙されて吸着され、搬送ベルト512の周回移動によって用紙510が副走査方向に搬送される。そして、キャリッジ503を主走査方向に移動させながら画像信号に応じて液体吐出ヘッド434を駆動することにより、停止している用紙510に液体を吐出して画像を形成する。このように、液体を吐出する装置では、液体吐出ヘッド434を備えているので、高画質画像を安定して形成することができる
【0071】
次に、液体吐出ユニット540の他例について図13を参照して説明する。図13は同ユニットの要部平面説明図である。この液体吐出ユニット540は、前記液体を吐出する装置を構成している部材のうち、側板591A,591B及び背板591Cで構成される筐体部分と、主走査移動機構593と、キャリッジ503と、液体吐出ヘッド434とで構成されている。なお、この液体吐出ユニット540の例えば側板591Bに、前述した維持回復機構520及び供給循環機構594の少なくともいずれかを更に取り付けた液体吐出ユニット540を構成することもできる。
【0072】
本実施形態において、「液体吐出ヘッド」とは、ノズルから液体を吐出・噴射する機能部品である。吐出される液体は、ヘッドから吐出可能な粘度や表面張力を有するものであればよく、特に限定されないが、常温、常圧下において、または加熱、冷却により粘度が30[mPa・s]以下となるものであることが好ましい。より具体的には、水や有機溶媒等の溶媒、染料や顔料等の着色剤、重合性化合物、樹脂、界面活性剤等の機能性付与材料、DNA、アミノ酸やたんぱく質、カルシウム等の生体適合材料、天然色素等の可食材料、などを含む溶液、懸濁液、エマルジョンなどである。これらは例えば、インクジェット用インク、表面処理液、電子素子や発光素子の構成要素や電子回路レジストパターンの形成用液、3次元造形用材料液等の用途で用いることができる。液体を吐出するエネルギー発生源として、圧電アクチュエータ(積層型圧電素子及び薄膜型圧電素子)、発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いるサーマルアクチュエータ、振動板と対向電極からなる静電アクチュエータなどを使用するものが含まれる。
【0073】
「液体吐出ユニット」とは、液体吐出ヘッドに機能部品、機構が一体化したものであり、液体の吐出に関連する部品の集合体である。例えば、「液体吐出ユニット」は、供給循環機構、キャリッジ、維持回復機構、主走査移動機構の構成の少なくとも一つを液体吐出ヘッドと組み合わせたものなどが含まれる。ここで、一体化とは、例えば、液体吐出ヘッドと機能部品、機構が、締結、接着、係合などで互いに固定されているもの、一方が他方に対して移動可能に保持されているものを含む。また、液体吐出ヘッドと、機能部品、機構が互いに着脱可能に構成されていても良い。
【0074】
例えば、液体吐出ユニットとして、液体吐出ヘッドと供給循環機構が一体化されているものがある。また、チューブなどで互いに接続されて、液体吐出ヘッドと供給循環機構が一体化されているものがある。ここで、これらの液体吐出ユニットの供給循環機構と液体吐出ヘッドとの間にフィルタを含むユニットを追加することもできる。また、液体吐出ユニットとして、液体吐出ヘッドとキャリッジが一体化されているものがある。また、液体吐出ユニットとして、液体吐出ヘッドを走査移動機構の一部を構成するガイド部材に移動可能に保持させて、液体吐出ヘッドと走査移動機構が一体化されているものがある。また、液体吐出ユニットとして、液体吐出ヘッドが取り付けられたキャリッジに、維持回復機構の一部であるキャップ部材を固定させて、液体吐出ヘッドとキャリッジと維持回復機構が一体化されているものがある。また、液体吐出ユニットとして、供給循環機構若しくは流路部品が取付けられた液体吐出ヘッドにチューブが接続されて、液体吐出ヘッドと供給機構が一体化されているものがある。このチューブを介して、液体貯留源の液体が液体吐出ヘッドに供給される。主走査移動機構は、ガイド部材単体も含むものとする。また、供給機構は、チューブ単体、装填部単体も含むものとする。
【0075】
「液体を吐出する装置」は、液体吐出ヘッドまたは液体吐出ユニットを備え、液体吐出ヘッドを駆動させて、液体を吐出させる装置である。液体を吐出する装置には、液体が付着可能なものに対して液体を吐出することが可能な装置だけでなく、液体を気中や液中に向けて吐出する装置も含まれる。この「液体を吐出する装置」は、液体が付着可能なものの給送、搬送、排紙に係わる手段、その他、前処理装置、後処理装置なども含むことができる。
【0076】
例えば、「液体を吐出する装置」として、インクを吐出させて用紙に画像を形成する装置である画像形成装置、立体造形物(三次元造形物)を造形するために、粉体を層状に形成した粉体層に造形液を吐出させる立体造形装置(三次元造形装置)がある。また、「液体を吐出する装置」は、吐出された液体によって文字、図形等の有意な画像が可視化されるものに限定されるものではない。例えば、それ自体意味を持たないパターン等を形成するもの、三次元像を造形するものも含まれる。
【0077】
上記「液体が付着可能なもの」とは、液体が少なくとも一時的に付着可能なものであって、付着して固着するもの、付着して浸透するものなどを意味する。具体例としては、用紙、記録紙、記録用紙、フィルム、布などの被記録媒体、電子基板、圧電素子などの電子部品、粉体層(粉末層)、臓器モデル、検査用セルなどの媒体であり、特に限定しない限り、液体が付着するすべてのものが含まれる。上記「液体が付着可能なもの」の材質は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックスなど液体が一時的でも付着可能であればよい。
【0078】
また、「液体」は、ヘッドから吐出可能な粘度や表面張力を有するものであればよく、特に限定されないが、常温、常圧下において、または加熱、冷却により粘度が30[mPa・s]以下となるものであることが好ましい。より具体的には、水や有機溶媒等の溶媒、染料や顔料等の着色剤、重合性化合物、樹脂、界面活性剤等の機能性付与材料、DNA、アミノ酸やたんぱく質、カルシウム等の生体適合材料、天然色素等の可食材料、などを含む溶液、懸濁液、エマルジョンなどである。これらは例えば、インクジェット用インク、表面処理液、電子素子や発光素子の構成要素や電子回路レジストパターンの形成用液、3次元造形用材料液等の用途で用いることができる。
【0079】
また、「液体を吐出する装置」は、液体吐出ヘッドと液体が付着可能なものとが相対的に移動する装置があるが、これに限定するものではない。具体例としては、液体吐出ヘッドを移動させるシリアル型装置、液体吐出ヘッドを移動させないライン型装置などが含まれる。また、「液体を吐出する装置」としては他にも、用紙の表面を改質するなどの目的で、用紙の表面に処理液を塗布するために処理液を用紙に吐出する処理液塗布装置がある。また、原材料を溶液中に分散した組成液をノズルを介して噴射させて、原材料の微粒子を造粒する噴射造粒装置などがある。また、本願の用語における、画像形成、記録、印字、印写、印刷、造形等はいずれも同義語とする。
【0080】
以上に説明したものは一例であり、以下の態様毎に特有の効果を奏する。
(態様1)
インクなどの液体を吐出する複数のノズル31と、複数のノズル31にそれぞれ通じる複数の個別液室23と、複数の個別液室23に通じ、個別液室23に液体を供給する供給共通液室12とを有する液体吐出ヘッド434を複数備えた液体を吐出する装置において、供給共通液室12には、供給共通液室を外部と接続するための少なくとも2つ以上の接続部が設けられ、第一供給側接続部121aなどの第一の接続部は、液体を貯留するヘッドタンク435と接続され、第二供給側接続部121bなどの第二の接続部は、他の前記液体吐出ヘッドに設けられた前記接続部と接続されている。
これにより、供給共通液室とヘッドタンクとの間で液体を循環させて、供給共通液室の気泡を除去するメンテナンス動作時の循環経路が次のようになる。すなわち、ヘッドタンクに接続された2つの液体吐出ヘッドのうち、一方の液体吐出ヘッドの供給共通液室へヘッドタンクのインクを供給し、他方の液体吐出ヘッドの供給共通液室からヘッドタンクへインクを戻すような循環経路である。これによれば、複数の液体吐出ヘッドの供給共通液室のインクを循環させることができ、供給共通液室の気泡を良好に除去することができる。
また、態様1では、1つの循環経路で、複数の液体吐出ヘッドの供給共通液室とヘッドタンクとの間で液体を循環させることができる。これにより、液体吐出ヘッドの供給共通液室からヘッドタンクへ戻すための管を複数の液体吐出ヘッドで共用することができる。よって、液体吐出ヘッド毎にヘッドタンクとの間で循環経路を形成するものに比べて、管を削減することが可能となり、管の組み付け工数を削減することができ、組み付け作業の簡素化を図ることができる。
【0081】
(態様2)
態様1において、第一供給側接続部121aなどの第一の接続部近傍には、前記第一の接続部と前記ヘッドタンクとの間の接続が解除されたときに前記液体の漏れを防止する封止機構が設けられている。
これによれば、液体吐出ヘッドを取り替える際に、ヘッドタンク435と供給共通液室12との接続を外しても、液が漏れ出すのを防止することができる。
なお、「供給共通液室12とヘッドタンク435との間の接続」は、ヘッドタンク435が直接供給共通液室12につながっている状態のみを指し示すのではなく、供給共通液室12よりも上流側の経路中のどこかにヘッドタンク435が存在する状態のことも含む。従って、供給共通液室12とヘッドタンク435の間に接続管や圧力センサが配置されていても良い。
【0082】
(態様3)
態様1または2において、第一供給側接続部121aなどの第一の接続部は、前記供給共通液室12のノズル配列方向一端側に設けられ、第二供給側接続部121bなどの第二の接続部は、前記供給共通液室12のノズル配列方向他端側に設けられている。
これによれば、供給共通液室12の一端側からインクなどの液体を供給し、他端側から液体を排出することができ、供給共通液室12に滞留する気泡を良好に除去することができる。
【0083】
(態様4)
態様1乃至3いずれかにおいて、複数の前記個別液室23から前記液体が流れ込む循環共通液室50を有し、前記循環共通液室50には、前記循環共通液室50を外部と接続するための少なくとも2つ以上の循環側接続部が設けられ、第一循環側接続部151aなどの第一の循環側接続部は、前記液体を貯留するヘッドタンク435に接続され、第二循環側接続部151bなどの第一の循環側接続部は、他の前記液体吐出ヘッドに設けられた前記循環側接続部と接続されている。
これによれば、実施形態で説明したように、循環共通液室50の気泡を除去するメンテナンス動作時の循環経路が次のようになる。ヘッドタンクに接続された2つの液体吐出ヘッドのうち、一方の液体吐出ヘッド循環収共通液室へヘッドタンクのインクを供給し、他方の液体吐出ヘッドの循環共通液室からヘッドタンクへインクを戻すことで、インクを循環させることができ、循環共通液室の気泡を良好に除去することができる。
また、1つの循環経路で、複数の液体吐出ヘッドの循環共通液室とヘッドタンクとの間で液体を循環させることができる。これにより、ヘッドタンクから液体吐出ヘッドの循環共通液室へインクを供給するための管と液体吐出ヘッドの循環共通液室からヘッドタンクへ戻すための管を複数の液体吐出ヘッドで共用することができる。よって、従来装置よりも管を削減することが可能となり、管の組み付け工数を削減することができ、組み付け作業の簡素化を図ることができる。
【0084】
(態様5)
態様4において、前記第一の循環側接続部の近傍には、前記第一の循環側接続部と前記ヘッドタンクとの接続が解除されたときに前記液体の漏れを防止する封止機構が設けられている。
これによれば、液体吐出ヘッドを取り替える際に、ヘッドタンクと循環共通液室50との接続を外しても、液が漏れ出すのを防止することができる。
なお、「循環共通液室とヘッドタンク435との間の接続」は、ヘッドタンク435が直接循環共通液室につながっている状態のみを指し示すのではなく、循環共通液室よりも上流側の経路中のどこかにヘッドタンク435が存在する状態のことも含む。従って、循環共通液室とヘッドタンク435の間に接続管や圧力センサが配置されていても良い。
【0085】
(態様6)
態様4または5において、第一循環側接続部151aなどの第一の循環側接続部は、前記循環共通液室50のノズル配列方向一端側に設けられ、第二循環側接続部151bなどの前記第二の循環側接続部は、前記循環共通液室50のノズル配列方向他端側に設けられている
これによれば、循環共通液室50の一端側からインクなどの液体を供給し、他端側から液体を排出することができ、循環共通液室に滞留する気泡を良好に除去することができる。
【0086】
(態様7)
態様1乃至6いずれかにおいて、複数の前記液体吐出ヘッドを固定する固定部材を備えた。
これによれば、複数の液体吐出ヘッドとの位置関係を決めて、固定することができる。
【0087】
(態様8)
液体を吐出する複数のノズルと、前記複数のノズルにそれぞれ通じる複数の個別液室と、前記複数の個別液室に通じ、前記個別液室に前記液体を供給する供給共通液室とを有する複数の液体吐出ヘッドを備えた液体を吐出する装置のメンテナンス方法において、供給共通液室12には、供給共通液室を外部と接続するための少なくとも2つ以上の接続部が設けられ、第一供給側接続部121aなどの第一の接続部は、液体を貯留するヘッドタンク435と接続され、第二供給側接続部121bなどの第二の接続部は、他の前記液体吐出ヘッドに設けられた前記接続部と接続されており、液体を吐出するときは、各液体吐出ヘッドの第一の接続部をヘッドタンクの液体が供給される供給ポートとして使用し、メンテナンスのときは、前記他の液体吐出ヘッドの第一接続部を、前記供給ポートから前記供給共通液室内の液体を前記ヘッドタンクへ戻す排出ポートに切り替える。
これによれば、実施形態で説明したように、液体吐出ヘッド毎に供給共通液室のインクなどの液体を循環させる場合に比べて、配管数を減らすことが可能となり、組み付け工数の削減を図ることができる。
【0088】
(態様9)
液体を吐出する複数のノズルと、前記複数のノズルにそれぞれ通じる複数の個別液室と、複数の前記個別液室に通じ、前記個別液室に前記液体を供給する供給共通液室と、複数の前記個別液室から前記液体が流れ込む循環共通液室50とを有する複数の液体吐出ヘッドを備えた液体を吐出する装置のメンテナンス方法において、第一循環側接続部151aなどの第一の循環側接続部は、前記液体を貯留するヘッドタンク435に接続され、第二循環側接続部151bなどの第一の循環側接続部は、他の前記液体吐出ヘッドに設けられた前記循環側接続部と接続されており、液体を吐出するときは、各液体吐出ヘッドの第一の循環側接続部を前記循環共通液室内の液体を前記ヘッドタンクへ戻す排出ポートとして使用し、メンテナンスのときは、前記他の液体吐出ヘッドの第一の循環側接続部を、前記排出ポートからヘッドタンクの液体が供給される供給ポートに切り替える。
実施形態で説明したように、液体吐出ヘッド毎に循環共通液室50のインクなどの液体を循環させる場合に比べて、配管数を減らすことが可能となり、組み付け工数の削減を図ることができる。
【符号の説明】
【0089】
1 :フレーム
2 :流路板
3 :ノズル板
4 :ベース
5 :積層圧電素子
6 :振動板
7 :接着層
12 :供給共通液室
20 :導入部
21 :供給流体抵抗部
23 :個別液室
31 :ノズル
41 :循環流路
42 :循環流体抵抗部
50 :循環共通液室
61 :島状凸部
62 :ダイヤフラム部
63 :インク流入口
64 :インク排出口
71 :供給側接続管
72 :循環側接続管
73 :供給管
73a :供給バイパス管
74 :循環管
74a :循環バイパス管
76 :循環側三方弁
77 :供給側三方弁
80 :封止機能付きカップリング
80a :第一カップリング部材
80b :第二カップリング部材
91 :供給側連通管
92 :循環側連通管
121a :第一供給側接続部
121b :第二供給側接続部
130 :ヘッド固定部材
151a :第一循環側接続部
151b :第二循環側接続部
173 :供給配管
174 :循環配管
410 :メインタンク
434 :液体吐出ヘッド
435 :ヘッドタンク
438a :供給側ポンプ
438b :循環側ポンプ
438c :送液ポンプ
439a :供給側圧力センサ
439b :循環側圧力センサ
501 :ガイド部材
502 :メインタンク
503 :キャリッジ
510 :用紙
520 :維持回復機構
530 :液体循環システム
531 :供給タンク
532 :循環タンク
533 :コンプレッサ
534 :真空ポンプ
535 :第一送液ポンプ
536 :第二送液ポンプ
537 :供給側圧力センサ
538 :循環側圧力センサ
540 :液体吐出ユニット
594 :供給循環機構
【先行技術文献】
【特許文献】
【0090】
【文献】特開平8-238772号公報
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