(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-09
(45)【発行日】2022-03-17
(54)【発明の名称】セグメント化された中空陰極を有する直線プラズマ源
(51)【国際特許分類】
H05H 1/24 20060101AFI20220310BHJP
H05H 1/46 20060101ALI20220310BHJP
C23C 16/509 20060101ALI20220310BHJP
【FI】
H05H1/24
H05H1/46 A
C23C16/509
(21)【出願番号】P 2019560310
(86)(22)【出願日】2018-04-27
(86)【国際出願番号】 EP2018060922
(87)【国際公開番号】W WO2018202584
(87)【国際公開日】2018-11-08
【審査請求日】2021-04-16
(32)【優先日】2017-05-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】510191919
【氏名又は名称】エージーシー グラス ユーロップ
【氏名又は名称原語表記】AGC GLASS EUROPE
【住所又は居所原語表記】Avenue Jean Monnet 4, 1348 Louvain-la-Neuve, Belgique
(73)【特許権者】
【識別番号】000000044
【氏名又は名称】AGC株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】515327188
【氏名又は名称】エージーシー グラス コムパニー ノース アメリカ
(73)【特許権者】
【識別番号】518428303
【氏名又は名称】エージーシー ビードロス ド ブラジル エルティーディーエー
(74)【代理人】
【識別番号】100103816
【氏名又は名称】風早 信昭
(74)【代理人】
【識別番号】100120927
【氏名又は名称】浅野 典子
(72)【発明者】
【氏名】ウィアム, ヒューグース
(72)【発明者】
【氏名】チェンバース,ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ダッツ,マルク
【審査官】右▲高▼ 孝幸
(56)【参考文献】
【文献】特表2011-530155(JP,A)
【文献】国際公開第2016/089427(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/089424(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/104076(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05H 1/24
H05H 1/46
C23C 16/509
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1及び第2の均等セグメント化電極(21、22)を含む電極対であって、第1及び第2の均等セグメント化電極(21、22)が、
(a) 電子放出並びにプラズマ発生及び安定性のための望ましいモルフォロジー及び構成を有し、
(i) 発生されるプラズマが中空陰極プラズマであり、
(b) 長さ方向に沿って細長く、
(c) 本質的に同一の細長い形状及びサイズのものであり、互いに隣接しており、それらの長さ方向が互いに平行であり、
(d) それらの長さと垂直に同数の少なくとも2つのセグメント(21A、21B、21C及び22A、22B、22C)に各々分割されており、
(i) 第1の電極の各セグメント(21A、21B、21C)が第2の電極の等しいサイズのセグメント(22A、22B、22C)に対面し、
(ii) 第1の電極の各セグメント、及びその対面する、第2の電極のセグメント(21A及び22A、21B及び22B、21C及び22C)が電極セグメントの対(A2、B2、C2)を形成する、電極対。
【請求項2】
電極セグメントの少なくとも1つの対(B3)のセグメントのサイズがセグメントの少なくとも1つの他の対(A3、C3)の電極セグメントのサイズとは異なる、請求項1に記載の電極対。
【請求項3】
全ての電極セグメント(A2、B2、C2)のサイズが同じである、請求項1に記載の電極対。
【請求項4】
電気絶縁材料又は暗部が隣接電極セグメントの少なくとも1つの対の隣接セグメントの間に与えられている、請求項1~3のいずれか一項に記載の電極対。
【請求項5】
第1及び第2の均等セグメント化電極の全てのセグメントが互いに直接電気接触していない、請求項1~4のいずれか一項に記載の電極対。
【請求項6】
第1及び第2の均等セグメント化電極が冷却手段を与えられている、請求項1~5のいずれか一項に記載の電極対。
【請求項7】
少なくとも1つの電極セグメントが、別の電極セグメントの少なくとも1つの他の冷却手段とは別個である冷却手段を与えられている、請求項1~6のいずれか一項に記載の電極対。
【請求項8】
第1及び第2のセグメント化電極がブランクの少なくとも1つの対を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の電極対。
【請求項9】
少なくとも1つの電極セグメントが専用の冷却手段を与えられている、請求項1~8のいずれか一項に記載の電極対。
【請求項10】
均等セグメント化電極の少なくとも1つの電極セグメントが2つの電極サブセグメントを含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の電極対。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載の少なくとも1つの電極対を含む直線プラズマ源。
【請求項12】
直線プラズマ源が直線中空陰極プラズマ源である、請求項11に記載の直線プラズマ源。
【請求項13】
電極セグメントの1つ以上の対に電力を供給する1つ以上の電力源を含む、請求項11又は12に記載の直線プラズマ源。
【請求項14】
電極セグメントの各対に電力を供給する1つの電力源を含む、請求項13に記載の直線プラズマ源。
【請求項15】
電極セグメントの対ごとに、各電極セグメントに個々の電力を供給する個々の電力源を含む、請求項13に記載の直線プラズマ源。
【請求項16】
少なくとも1つの電極セグメントが、1つの他の電極セグメントの少なくとも1つの他の冷却手段とは別個に制御される専用の冷却手段を与えられている、請求項11~15のいずれか一項に記載の直線プラズマ源。
【請求項17】
電極セグメントの少なくとも1つの対が1つの電力を供給され、電極セグメントの少なくとも1つの他の対が1つの他の電力を供給されている、請求項13~16のいずれか一項に記載の直線プラズマ源。
【請求項18】
電極セグメントの全ての対が同じ電力を供給されている、請求項13~16のいずれか一項に記載の直線プラズマ源。
【請求項19】
基板表面を処理又はコーティングする方法であって、
(a) 請求項11~18のいずれか一項に記載のプラズマ源を含む真空チャンバを与えることと、
(b) プラズマ源の均等セグメント化電極のプラズマ形成ガス入口を通してプラズマ形成ガスを注入することと、
(c) 電極セグメントの1つ以上の対に、それらのそれぞれの出口の間にプラズマカーテンを発生させるように、電力を供給することと、
(d) 任意選択的に、コーティング前駆体ガスを発生されたプラズマカーテン中に注入することと、
(e) 基板を発生されたプラズマカーテン中に導入することと、
を含む方法。
【請求項20】
直線プラズマ源の長さにわたるプラズマ密度分布を連続的に制御するための方法であって、
(a) 請求項11~17のいずれか一項に記載の直線プラズマ源を含む真空チャンバを与えることと、
(b) プラズマ源の均等セグメント化電極のプラズマ形成ガス入口を通してプラズマ形成ガスを注入することと、
(c) 電極セグメントの1つ及び少なくとも1つの他の対に、それらのそれぞれの出口の間にプラズマカーテンを発生させるように、電力を供給することと、
(d) 電極セグメントの1つの対に供給される電力のパラメータを、電極セグメントの少なくとも1つの他の対に供給される電力のパラメータから独立して設定することと、
を含む方法。
【請求項21】
表面処理の均一性を制御するための方法であって、
(a) 請求項11~17のいずれか一項に記載の直線プラズマ源を含む真空チャンバを与えることと、
(b) 均等セグメント化電極のプラズマ形成ガス入口を通してプラズマ形成ガスを注入することと、
(c) 電極セグメントの1つ及び少なくとも1つの他の対に、それらのそれぞれの出口の間にプラズマカーテンを発生させるように、電力を供給することと、
(d) 電極セグメントの1つの対に供給される電力のパラメータを、電極セグメントの少なくとも1つの他の対に供給される電力のパラメータから独立して設定することと、
(e) 基板を発生されたプラズマカーテン中に導入することと、
を含む方法。
【請求項22】
薄膜蒸着プロセスの均一性を連続的に制御するための方法であって、
(a) 請求項11~17のいずれか一項に記載の直線プラズマ源を含む真空チャンバを与えることと、
(b) 均等セグメント化電極のプラズマ形成ガス入口を通してプラズマ形成ガスを注入することと、
(c) 電極セグメントの1つ及び少なくとも1つの他の対に、それらのそれぞれの出口の間にプラズマカーテンを発生させるように、電力を供給することと、
(d) 電極セグメントの1つの対に供給される電力のパラメータを、電極セグメントの少なくとも1つの他の対に供給される電力のパラメータから独立して設定することと、
(e) 前駆体ガスを発生されたプラズマカーテンに向けることと、
(f) 基板を発生されたプラズマカーテン中に導入することと、
を含む方法。
【請求項23】
基板上に蒸着されたコーティングであって、コーティングが、請求項1~10のいずれか一項に記載の第1及び第2の均等セグメント化電極を含む電極対を用いて蒸着される、コーティング。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、電極がセグメント化された、直線プラズマを発生させるための電極対に関する。より詳細には、本発明は、電極がセグメント化された1つ以上のプラズマ発生電極対を含むプラズマ源、例えば、中空陰極プラズマ源に関する。本発明は、さらに、直線プラズマの均一性を制御するための方法、並びにまた、直線プラズマ源を用いて基板を均一な様態で表面処理又はコーティングするための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
表面の、薄膜蒸着、並びに化学的改質又は表面処理のための様々なプラズマ源が従来技術において開示されている。
【0003】
しかし、直線プラズマは、点プラズマ源よりも実用的な適用の可能性を有し得る。直線プラズマ源は、通例、処理対象の基板の移動方向と垂直に配置されるプラズマのカーテンを作り出す。直線プラズマは大きな基板表面積(すなわち、1m2超)にわたって動作させることができる。これは、大面積ガラスコーティング、ウェブコーティング、及びマルチパートバッチコーティング(multipart batch coating)のために有用である。ほとんどのプラズマ源は非常に短く、小面積をコーティングすることができるのみであるため、多くの既知のPECVD装置は小規模の蒸着(すなわち、1m2よりも小さい基板)用である。
【0004】
大きな基板が処理対象であるときには、より好適なプラズマ源は、典型的には、米国特許第7411352号明細書においてMadocksによって開示されているもののような直線イオン源である。このプラズマ源はマグネトロン放電に基づくものであり、基板表面の方へ向けられる、イオンのカーテン、又は、いくつかの発生源を組み合わせることによって、イオンの複数の平行なカーテンを生成する。Madocksは、コーティングの目的のために、コーティング前駆体をプラズマ源の外側に提供することができることを開示している。プラズマは、本質的に、1つの寸法、すなわち、プラズマ源の長さに沿ってのみ延びる。このプラズマ源は、均一なプラズマを作り出すために閉回路電子ドリフト(closed circuit electron drift)に頼り、したがって、構築が極めて複雑になる。さらに、このプラズマ源は、過熱から損傷を受ける磁石を必要とする。
【0005】
Jungは、欧州特許出願公開第0727508A1号明細書において、2つの平行電極に基づく中空陰極直線プラズマ源を開示している。プラズマは、本質的に、1つの寸法、すなわち、プラズマ源の長さに沿ってのみ延び、細いプラズマカーテンを形成する。
【0006】
改善されたプラズマ源が、Maschwitz、米国特許出願公開2010/0028238A1号明細書によって開示されている。それは、均一なプラズマを作り出すために閉回路電子ドリフトに頼らない中空陰極直線プラズマ源であり、したがって、構築がより単純である。Maschwitzのプラズマ源は、AC電力源を介して互いに接続された少なくとも2つの電子放出面、又は中空陰極を含み、AC電力源は変動又は交番バイポーラ電圧(bipolar voltage)を2つの電子放出面に供給する。より具体的には、少なくとも2つの電子放出面はAC電力源を介して互いに接続されており、これにより、AC電力源はバイポーラ電圧差を2つの電子放出面に印加する。バイポーラ電力供給は、最初に、第1の電子放出面を負電圧に駆動し、プラズマ形成を可能にし、その一方で、第2の電子放出面は、電圧印加回路のための陽極の役割を果たすために正電圧に駆動される。次に、交流電力は第1の電子放出面を正電圧に駆動し、陰極及び陽極の役割を逆にする。電子放出面のうちの一方が負に駆動されると、対応する空洞内で放電が生じる。このとき、他方の電極は陽極の役割を果たし、電子をプラズマから脱出させて陽極側へ移動させ、これにより、電気回路を完成する。これらの中空陰極ベースの直線プラズマ源は、長さが2、3、又はさらに4m超に及び得る長さにわたる均一なプラズマカーテンをもたらす。したがって、それらは、例えば、ガラスなどの大面積の基板を処理するために特によく適している。
【0007】
特に、長さが2、3、またはさらに4mに達する、以上に挙げたものなどの細長い直線プラズマ源における均一なプラズマカーテンのための条件は、均一に機械加工された電子放出面である。しかし、必要な構造を、長さが2、3、又はさらに4m超に達する単一の部品に均一に機械加工することは非常に困難であり、費用がかかる。
【0008】
このような細長い直線プラズマ源における均一なプラズマカーテンのための別の条件は、プラズマ形成ガスの、及びまた、コーティングプロセスのためには、前駆体ガスの、均一な分布である。この均一なガス分布は、通例、直線プラズマ源の長さにわたるいくつかのガス入口、並びに多くの場合、スロット、若しくはノズルの列の形態の、プラズマチャンバのうまく設計されたガス出口を設けることによって得られる。ガス出口の流れ制限がプラズマ及びガスの均一な分布を助ける。しかし、ガス入口及び出口の位置及び寸法は固定されており、プラズマコーティング又は表面処理プロセスを停止させずに変更することができない。
【0009】
このような細長い直線プラズマ源における均一なプラズマカーテンのための別の条件は、プラズマ源の長さにわたる温度制御である。しかし、2、3、又はさらに4m超の長さに達する、このようなプラズマ源において発生される熱の量は、大きな温度差を伴わない冷却を困難にし、機器に負担をかけ、場合によっては、プラズマプロセスに影響を及ぼす。
【0010】
工業PECVDプロセスは、数十時間、又はさらに、数日にわたって連続的に操業する場合がある。このような生産操業の経過の中で、様々な理由でコーティングが不均一になり得る。プラズマ源の出口は、例えば、前駆体分子の分解によって詰まり得るか、又はそれらは、プラズマ種によるノズル材料への攻撃によって広がり得る。このような場合には、異なる入口点においてガス流量を制御することによって、ガス流のいくらかの調整が可能である。しかし、これらは限定的であり、不十分になり得る。
【0011】
それゆえ、当技術分野においては、以前に開発されたPECVD源の均一性の問題を回避する、長さが2、3、又はさらに4m超に達する改善された中空陰極直線PECVD源の必要性が残っている。具体的には、当技術分野においては、製造が容易であり、均一に冷却することができ、長期の生産操業にわたって、生産を停止させることなく、大きな基板、例えば、ガラスの幅にわたって、プラズマ密度、ひいてはコーティング、例えば、その厚さ若しくは組成の均一性、又は表面処理の均一性を動的に制御することができる、長さが2、3、又はさらに4m超に達する直線中空陰極プラズマ源が必要とされている。
【発明の概要】
【0012】
上述された直線プラズマ源、特に、中空陰極プラズマ源は、コーティング又は表面処理の均一性を制御するために、プラズマ源の長さにわたるガス流分布の制御を利用する。本発明は、プラズマ源の長さにわたるプラズマ密度分布及び温度の制御を提供することによって、以前の直線プラズマ源の設計、特に、中空陰極プラズマ源の設計を改善する。
【0013】
本発明では、プラズマが間に形成される第1及び第2の平行直線電極が電極セグメントの対に分割されており、プラズマ密度を電極セグメント対ごとに個々に制御することができ、各セグメントが個々に冷却され得る、直線中空陰極プラズマ源が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、セグメント化されていない電極の対を包含する、従来技術のプラズマ源を示す。
【
図2】
図2は均等セグメント化電極(equally segmented electrode)の対を示す。
【
図3】
図3は均等セグメント化電極の別の対を示す。
【
図4】
図4は均等セグメント化電極の別の対を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は多くの異なる形態で具体化され得るが、本開示は、発明の原理の例を提供するものと考えられるべきであり、このような例は、本発明を、本明細書において説明及び/又は例示される好ましい諸実施形態に限定することを意図されていないと理解した上で、多数の例示的な実施形態が本明細書において説明される。様々な実施形態は、当業者が本発明を実施することを可能にするために十分な細部をもって開示される。他の実施形態が利用されてもよく、本発明の趣旨又は範囲から逸脱することなく構造的変更又は論理的変更が行われてもよいことを理解されたい。
【0016】
本明細書において言及される時、「プラズマ」は、自由電子及び陽イオンの両方を含む導電性ガス媒体を意味すると解釈される。伝統的に、不活性ガス(例えば、アルゴン、ヘリウム、クリプトン、ネオン、キセノン)の高強度プラズマ(high intensity plasma)が薄膜コーティングプロセスの間に用いられている。しかし、薄膜コーティングの複雑性及び多様性の増大によって、酸素及び窒素などの1種以上の反応性プラズマ形成ガスを含む高強度プラズマの必要性が生まれた。プラズマは、代替的に、水素又はアンモニアガスを用いて形成されてもよい。
【0017】
「前駆体ガス」は、固体コーティングに凝縮されるべき化学元素又は元素群を含有する分子形態のガスを意味すると解釈される。前駆体ガスから凝縮されるべき元素は、金属、遷移金属、ホウ素、炭素、ケイ素、ゲルマニウム及び/又はセレンを含み得る。前駆体ガスの選定は、概して、室温における安定性、反応帯内できれいに反応する能力、及び前駆体ガスが、ライン内で凝縮することなく反応帯へ容易に輸送され得るほどの、低温における十分な揮発性を含む、いくつかの考慮事項によって左右される。前駆体分子はプロセス圧力及び温度においては凝縮しない。実際に、前駆体分子は、エネルギー源によってエネルギーを与えられるか、部分的に分解されるか、又は完全に分解され、そうして、コーティングのための所望の化学元素を含有する前駆体ガスの化学的フラグメント(chemical fragment)が固体の形態で表面に結合するか、又はその上で凝縮することが化学的に可能になるまでは、非反応性であるか、又は表面上に付着しにくい。前駆体化合物の凝縮部分は、主として、純元素、元素の混合物、前駆体化合物構成成分から誘導された化合物、又は化合物の混合物であり得る。また、2種以上の前駆体ガスの混合物を用いることも可能である。
【0018】
前駆体ガスのみから化学的に入手可能になり得ない化合物を表面上に蒸着させることがしばしば望まれる。したがって、酸素及び窒素などの「反応ガス」が、酸化物又は窒化物を形成するためにCVDプロセスに添加され得る。他の反応ガスとしては、フッ素、塩素、他のハロゲン、酸化窒素、アンモニア、及び水素が挙げられる。反応ガスは、たとえ、エネルギーを与えられるか、又は化学的に分解されても、凝縮性分子実体が形成されないという事実によって、前駆体ガスとは区別され得る。概して、反応ガス又は反応ガスフラグメントはそれら自体では固体蒸着物を成長させることができないが、それらは反応し、前駆体ガス又は他の固体蒸着物源から誘導された固体蒸着物中に化学的に組み込まれ得る。多くの場合、プラズマガスが反応ガスの役割を果たし、プラズマガス分子の化学的フラグメントが、蒸着された膜中に化学的に組み込まれる。他の場合には、反応ガスが、プラズマガスとは別個に、それに加えて提供されてもよい。
【0019】
「化学的気相成長(Chemical Vapor Deposition)」又は「CVD」は、蒸気相中における化学反応からの基板上における膜の蒸着を意味すると解釈される。プラズマ促進化学的気相成長(Plasma Enhanced Chemical Vapor Deposition)又はPECVDでは、概して、低減された圧力において、プラズマ形成ガスに電力を供給することによって、プラズマ形成ガスが化学的に活性化される。十分に高い電圧の印加はプラズマ形成ガスのブレークダウンを生じさせ、電子、イオン、及び電気的励起種からなるプラズマが出現する。プラズマ中のエネルギー電子はプラズマ形成ガスと反応し、表面処理を遂行するか、又はコーティングを形成することができるよう前駆体ガス分子を分解する機能を果たす反応種を形成する。
【0020】
「暗部(dark space)」は、プラズマ電流が非常に低い、電極の周りの狭い地帯又は区域を意味すると解釈される。概して、暗部の距離だけ離間した、2つの逆に帯電したプラズマ電極、或いはプラズマ電極及び接地電位導体は、それらの間に電流の流れを実質的に全く呈しないことになる。
【0021】
「中空陰極」は、典型的には、空洞を画定する電子放出面で構成された電極を意味すると解釈される。中空陰極空洞は多くの形状で形成され得る。本発明では、それらは、好ましくは、長方形、丸みのある長方形(すなわち、丸みのある角部若しくは縁部を有する長方形)、円形、長円形、楕円形、又は卵形であり得る一定の断面を有する、細長い形状のものである。中空陰極は、典型的には、プラズマ及び/又は反応ガスのための1つ以上の入口、並びに1つ以上のプラズマ出口を含む。プラズマ出口は、例えば、処理対象の基板に本質的に対面する中空陰極の長さに沿った、スリット、又は孔のアレイとして形成され得る。プラズマ及び/又は反応ガスのための入口は、好ましくは、本質的に、プラズマ出口の反対側に中空陰極の長さに沿って位置する。中空陰極は交番電流源に接続させることができ、これにより、電極の極性は正(陽極)と負(陰極)との間で交番する。中空陰極の電子放出面が負電位を有する時に、電子は空洞内で振動し、これにより、空洞内に閉じ込められる。
【0022】
「中空陰極プラズマ源」は、中空陰極放電を生成するように構成された1つ以上の電極を含むプラズマ又はイオン源を意味すると解釈される。中空陰極プラズマ源の一例が、全体が本明細書において参照により組み込まれる、Maschwitzへの同一所有者の米国特許第8,652,586号明細書(「Maschwitz‘586号明細書」)に記載されている。
図1は、Maschwitz‘586号明細書において開示されたものと同様の従来技術の中空陰極プラズマ源を示す。プラズマ源は、平行に配置され、AC電力源(図示せず)を介して接続された、少なくとも2つの中空陰極電極1a及び1bを含む。電気絶縁材料9が中空陰極電極の周りに配置されている。プラズマ形成ガスは入口5a及び5bを介して供給される。使用時、前駆体ガスは前駆体ガス入口6を介して供給され、マニホールド7、及び電極の間の暗部内の前駆体注入スロット8を通してプラズマカーテン3内へ導かれる。AC電力源は変動又は交番バイポーラ電圧を2つの電極に供給する。AC電力供給は、最初に、第1の電極を負電圧に駆動し、プラズマ形成を可能にし、その一方で、第2の電極は、電圧印加回路のための陽極の役割を果たすために正電圧に駆動される。次に、これは第1の電極を正電圧に駆動し、陰極及び陽極の役割を逆にする。電極のうちの一方が負1aに駆動されると、対応する空洞内で放電2aが生じる。このとき、他方の電極は陽極を形成し、電子を出口10を通してプラズマから脱出させて陽極側へ移動させ、これにより、電気回路を完成する。それゆえ、プラズマカーテン3が基板4の上方の第1及び第2の電極の間の領域内に形成される。AC電力を用いて中空陰極を駆動するこの方法は均一な直線プラズマの形成に貢献する。本発明の目的のために、電子放出面はプラズマ発生面とも呼ばれ得る。
【0023】
「基板」は、本発明によって、コーティングされるか、或いは表面が物理的及び/又は化学的に改質されるべき、小面積若しくは大面積の要素を意味すると解釈される。基板は、本明細書において言及される時、ガラス、プラスチック、金属、無機材料、有機材料、又は任意のコーティング又は改質されるべき表面を有する他の材料で構成され得る。
【0024】
「閉回路電子ドリフト」は、交差電界及び磁界によって生じる電子電流を意味すると解釈される。多くの従来のプラズマ形成デバイスでは、閉回路電子ドリフトは、電子流の閉じた循環経路又は「レーストラック」を形成する。
【0025】
「AC電力」は、電圧が、正弦、方形波、パルス状、又は何らかの他の波形である様態で何らかの周波数で変化している交流電源からの電力を意味すると解釈される。電圧変化は、多くの場合、負から正、すなわち、大地に対して負から正へのものである。バイポーラ形のものである場合、2つのリードによって送電される電力出力は、概して、約180°位相がずれている。
【0026】
「電極」は、プラズマの発生中に、例えば、それが、電圧を提供する電源に接続されている間に、自由電子を提供する。中空陰極の電子放出面は、組み合わせて、1つの電極であると考えられる。電極は、鋼、ステンレス鋼、銅、又はアルミニウムなどの、当業者によく知られた材料から作製することができる。しかし、異なるガスは、動作中にプラズマを点火して維持するために異なる電極材料を必要とし得るため、これらの材料は注意深く選択されなければならない。また、電極にコーティングを提供することによって、電極の性能及び/又は耐久性を改善することも可能である。
【0027】
「薄膜」又は「薄膜コーティング」又は「薄膜スタック」は、基板上に蒸着された1つ以上の微視的に薄い層を指す。薄膜コーティングは、低放射率(「low E」)窓、半導体チップ、光起電デバイス、工作機械、及び自動車部品などの多くの最新のデバイスに、それらの性能及び有効寿命を最大化するために組み込まれる。
【0028】
「表面改質」又は「表面処理」は、熱処理、コーティングされた層の熱アニール、表面洗浄、表面の化学的機能化、コーティングされた層の結晶構造改質、イオン衝撃、及びイオン打ち込みを含む、基板に対して遂行される1つ以上のプロセスを意味すると解釈される。
【0029】
本開示の諸実施形態は、特に、大きなガラス基板をコーティングするための細長い中空陰極を包含するシステムにおける、蒸着されたコーティングの厚さの効果的な制御の必要性に対処する。
【0030】
本発明の1つ以上の態様では、第1及び第2の均等セグメント化電極を含む電極対であって、第1及び第2の均等セグメント化電極が、
(a) 電子放出並びにプラズマ発生及び安定性のための望ましいモルフォロジー及び構成を有し、
(b) 長さ方向に沿って細長く、
(c) 本質的に同一の細長い形状及びサイズのものであり、互いに隣接しており、それらの長さ方向が互いに平行であり、
(d) それらの長さと垂直に同数の少なくとも2つのセグメントに各々分割されており、
(i) 第1の電極の各セグメントが第2の電極の等しいサイズのセグメントに対面し、
(ii) 第1の電極の各セグメント、及びその対面する、第2の電極のセグメントが電極セグメントの対を形成する、電極対が提供される。
【0031】
図2は、第1の電極(21)及び第2の電極(22)を有する、本発明に係る電極対を示す。第1及び第2の電極はセグメント(21A、21B、21C及び22A、22B、22C)に均等に分割されている。それぞれ対面するセグメント(21A及び22A、21B及び22B、21C及び22C)は等しいサイズに作られている。すなわち、それらは断面及び長さに関して同じサイズを有する。これらのそれぞれ対面するセグメントは電極セグメントの対(A2、B2、C2)を各々形成する。第1及び第2の均等セグメント化電極のモルフォロジーは、それらが別個の第1及び第2の空洞をそれぞれ囲むようなものになっている。各空洞は3つの側面においてそれぞれの電極によって囲まれている。プラズマが各空洞内で発生され得る。第1及び第2の均等セグメント化電極は、隣接して、並んで平坦基板にまたがるように構成されており、各セグメント化電極は平坦基板から同じ距離を保つ。このようにセグメント化された第1及び第2の電極は、本開示の目的のために、第1及び第2の均等セグメント化電極と呼ばれる。第1及び第2の均等セグメント化電極はまた、プラズマ形成ガスのため、及び任意選択的に、反応ガスのための別個の第1及び第2の入口を設けられている。これらの入口は本図に示されていない。第1及び第2の電極は電子放出材料で構成されている。電気絶縁材料が第1及び第2の電極の周りに配置されており、プラズマが電極外に出て環境(図示せず)へ移動するのを制限する。
【0032】
上述されたとおりの第1及び第2の均等セグメント化電極を含むこのような電極対は、発明者らによって、機械加工及び組み立てがはるかにより容易であることが見出され、セグメント化及びその結果得られた非連続的な電子放出面は、驚くべきことに、長さが2、3、又はさらに4m超に達する直線プラズマの場合にさえ、これらのセグメント化電極を含む中空陰極プラズマ源のプラズマ形成に目立つほどの影響を全く及ぼさなかった。
【0033】
第1及び第2の均等セグメント化電極は互いに隣接しており、それらの長さ方向は互いに平行である。第1及び第2の均等セグメント化電極の位置は、表面処理又はコーティングされるべき平坦基板から等距離に配置されるように構成されている。それらが発生させたプラズマは、前記平坦基板表面を表面処理又はコーティングするために用いられる。換言すれば、本発明の電極対は、前記平坦基板から等距離に位置付けられるように構成された第1及び第2の均等セグメント化電極を含む、平坦基板を表面処理又はコーティングするための電極対である。第1及び第2のセグメント化電極は等距離の様態で平坦基板にまたがっている。すなわち、平坦基板と第1のセグメント化電極との間の距離は基板と第2のセグメント化電極との間の距離と同じである。
【0034】
具体的には、第1及び第2の均等セグメント化電極のモルフォロジーは、それらが別個の第1及び第2の空洞をそれぞれ囲むようなものになっている。さらに、それらは、プラズマ形成ガスのための別個の第1及び第2のガス入口をそれぞれ設けられていてもよく、例えば、基板の方に向けられ得る第1及び第2の出口ノズルにそれぞれ通じ得る別個の第1及び第2のガス出口をそれぞれ設けられている。第1及び第2の空洞の断面は、長方形、丸みのある長方形、若しくは円形形状のもの、又はこれらの形状の中間の形状のものであり得、第1及び第2の空洞の断面積は500mm2~4000mm2であることができ、第1及び第2のガス出口或いは第1及び第2の出口ノズルの間の最短距離である、空洞距離は85mm~160mmであることができる。第1及び第2の出口ノズルの幅は1mm~25mmであることができる。
【0035】
別の実施形態では、均等セグメント化電極の1つ以上の電極セグメントは2つの電極サブセグメントを含み、これにより、それらは長さ方向に半分に分割され得る。発明者らによって、これは、長さが2、3、又はさらに4m超に達する直線プラズマの形成を依然として可能にしつつ、製造及び保守をさらに簡単にすることが見出された。
【0036】
均等セグメント化電極は任意の種類のプラズマ源に利益をもたらし得る。最も好ましくは、第1及び第2の均等セグメント化電極は、各電極セグメントによって囲まれた空間内に中空陰極プラズマを発生させるための望ましいモルフォロジー及び構成を有する。プラズマは、各電極セグメントによって囲まれた空間内で生じる電子振動によって発生され、その一方で、電極セグメントの各対の出口を隔てるガス空間全体にわたって、二次電子電流がプラズマガス出口を通って流れる。それゆえ、プラズマカーテンが第1及び第2のセグメント化電極の間に延びる。
【0037】
電極セグメントのサイズの主要パラメータは、その横断面、具体的には、その断面の形状及び寸法、並びにその長さ、具体的には、それが囲む体積の長さである。等しいサイズのセグメントは本質的に同じ断面及び同じ長さを有する。セグメントの数及びそれらの長さは、第1及び第2の電極の全長によって、並びにコーティングの蒸着の均一性要求によって、表面処理の均一性要求によって、及び/又は冷却の均一性要求によって決定される。長さが2、3、又はさらに4m超に達する均一な直線プラズマのために、各電極は、少なくとも2つ、好ましくは、少なくとも3つ、より好ましくは、少なくとも4つ、最も好ましくは、少なくとも5つのセグメントに分割される。
【0038】
本発明の一実施形態によれば、電極セグメントの横断面積は、100mm2~10000mm2、好ましくは、500mm2~4000mm2である。
【0039】
本発明の一実施形態によれば、電極セグメントの横断面は、長方形、丸みのある長方形、又は円形形状のもの、或いはこれらの形状の中間の形状のものである。
【0040】
特定のプロセスごとに、関連区域におけるプラズマ均一性の制御を得るために、異なるセグメント化及び電気接続を組み合わせることができる。
【0041】
本発明によれば、第1及び第2の電極はそれらの長さと垂直に同数のセグメントに各々分割されてもよく、第1の電極の各セグメントは第2の電極の等しいサイズのセグメントに対面し、電極セグメントの対を形成し、電極セグメントの全ての対のサイズは同じである。これは電極製造プロセスをさらに簡単にする。
【0042】
本発明によれば、第1及び第2の電極はそれらの長さと垂直に同数のセグメントに各々分割されてもよく、第1の電極の各セグメントは第2の電極の等しいサイズのセグメントに対面し、電極セグメントの対を形成し、電極セグメントの少なくとも1つの対のサイズは電極セグメントの少なくとも1つの他の対のサイズとは異なる。好ましくは、異なるサイズを有する電極セグメントの2つの対は、本質的に同じ断面を有しつつ、長さのみが本質的に異なる。このように、セグメントのサイズを、独立したプラズマ制御が必要である区域に適合させることができる。
【0043】
本発明の一実施形態によれば、電気絶縁材料が電極セグメントの少なくとも2つの対の隣接セグメントの間に設けられており、これにより、電極セグメントの少なくとも1つの対の電極セグメントは電極セグメントの隣接対の電極セグメントと直接電気接触していない。本発明のより好ましい実施形態によれば、電気絶縁材料が第1及び第2の均等セグメント化電極の全ての電極セグメントの間に設けられており、これにより、隣接電極セグメントは互いに直接電気接触していない。電気絶縁材料は、電流が隣接セグメントの間で電気絶縁材料を通って流れるのを防止し、好ましくは、プラズマ及び/又はガス流を乱すのを防止するために、各電極によって囲まれた空間内へ延びないように構成されている。
【0044】
本発明の別の実施形態では、暗部が電極セグメントの少なくとも2つの対の隣接セグメントの間に設けられており、これにより、電極セグメントの少なくとも1つの対の電極セグメントは電極セグメントの隣接対の電極セグメントと直接電気接触していない。本発明のより好ましい実施形態によれば、暗部が第1及び第2の均等セグメント化電極の全ての電極セグメントの間に設けられており、これにより、隣接電極セグメントは互いに直接電気接触していない。暗部は、電流が隣接セグメントの間で暗部を通って流れるのを防止する。暗部が隣接セグメントの間にまたがる最小距離である、暗部の厚さは、中空陰極空洞内の圧力に依存して設定される。それは、好ましくは、0.1~1mm、より好ましくは、0.2~0.5mmである。
【0045】
最も驚くべきことに、第1及び第2の均等セグメント化電極を含み、第1及び第2の電極のセグメントがそれぞれ互いに直接接触していない、このような電極対は、発明者らによって、長さが2、3、又はさらに4m超に達する直線プラズマに対してさえ、目立った外乱を全く伴うことなく、連続したプラズマを形成することができることが見出された。さらに、供給される電力を制御することによって、電極セグメントの各対の対面するセグメントの間のプラズマ密度を個々に制御することができることが見出された。
【0046】
本発明によれば、隣接電極セグメントは、0.1~10mmだけ、好ましくは、0.1~5mmだけ、より好ましくは、0.5~3mmだけ離間していてもよい。
【0047】
本発明の1つ以上の他の態様では、均等セグメント化電極の対は、直線プラズマ源、好ましくは、中空陰極直線プラズマ源内に位置付けられている。
【0048】
本発明の1つ以上の他の態様では、直線プラズマ源であって、直線プラズマ源が本発明に係る少なくとも1つの電極対を含む、直線プラズマ源が提供される。好ましくは、直線プラズマ源は中空陰極直線プラズマ源であり、少なくとも1つの電極対の第1及び第2の均等セグメント化電極は、好ましくは、各電極によって囲まれた空間内に中空陰極プラズマを発生させるための望ましいモルフォロジー及び構成を有する。本発明の直線中空陰極プラズマ源は、均一なプラズマを作り出すために閉回路電子ドリフトに依存しない。
【0049】
本発明の一実施形態によれば、直線プラズマ源はまた、プラズマ、好ましくは、中空陰極プラズマを発生させるべく電極対のための電力を供給する能力を有する電力源を含む。
【0050】
本発明の一実施形態によれば、電極セグメントの1つ以上の対は、電極セグメントの給電される対のプラズマ発生面の近位でプラズマを発生させるよう正と負との間で交番する電圧を提供する、1つ以上の電力源、典型的には、変動又は交番バイポーラ電圧を供給するAC電力源から電力を供給され得る。
【0051】
本発明の一実施形態によれば、電極セグメントの全ての対は1つ以上の電力源から、同じ電力、すなわち、電極セグメントの全ての対のために、電極セグメントの給電される対のプラズマ発生面の近位で、プラズマ、好ましくは、中空陰極プラズマを発生させるよう正と負との間で同じ様態で交番する電圧を有する電力を供給される。
【0052】
本発明の別の実施形態によれば、電極セグメントの各対は個々の電力源から電力を供給されてもよく、それゆえ、各電極セグメントはその個々の電力を供給される。また、電極セグメントの2つ以上の対が同じ電力源を共有することも可能である。
【0053】
本発明の別の実施形態では、電力は単一の電力源から電極セグメントの全ての対に供給される。
【0054】
本発明によれば、電極セグメントの少なくとも1つの対は1つの電力を供給されてもよく、電極セグメントの少なくとも1つの他の対は1つの他の電力を供給されてもよく、1つ及び1つの他の電力は、電極セグメントの給電される対のプラズマ発生面の近位でプラズマを発生させるよう正と負との間で交番する電圧を有する。1つ及び1つの他の電力は、少なくとも、それらの電力、電圧、電流、位相、及び/又は周波数に関して異なり得る。好ましくは、1つの電力及び1つの他の電力は個々に独立して制御することができる。供給電力を独立して制御することは、少なくとも、電力、電圧、電流、位相、及び/又は周波数を含む、その異なるパラメータを1つの他の電力とは独立して設定することができることを意味する。好ましい一実施形態では、電極セグメントの全ての対は電力を個々に供給され、電力の個々の供給は電極セグメントの対ごとに独立して制御することができる。
【0055】
電極セグメントの対に所望の電力を供給するための多くの方法が存在する。例えば、電極セグメントの各対が、所望の電力を提供するための必要な手段、例えば、電気回路を有する個々の電力源に電気接続されていてもよい。また、電極セグメントの各対にその個々の所望の電力を提供するための必要な電気回路を有する単一の電力源から、電極セグメントの1つを超える対、さらには、電極セグメントの全ての対に供給することも可能である。
【0056】
驚くべきことに、それゆえ、1つの電力を供給される電極セグメントの少なくとも1つの対、及び1つの他の電力を供給される電極セグメントの少なくとも1つの他の対を有する、電極の均等にセグメント化された対は、電極セグメントの少なくとも1つの対の間のプラズマ密度が電極セグメントの少なくとも1つの他の対の間のプラズマ密度とは異なる直線プラズマを形成することができることが見出された。代替的に、例えば、プラズマ密度の差又は不均一性を誘起する他のパラメータを補償するよう異なる電力が供給されると、電極セグメントの少なくとも1つの対及び電極セグメントの少なくとも1つの他の対の間のプラズマ密度を同じにすることができる。さらに、電極セグメントの各対に供給される電力は、プラズマコーティング又は表面処理プロセスを停止させることなく生産操業の連続期間にわたって各電極セグメント対のプラズマ密度を制御するために、連続的に変更可能であり得る。1つ以上の電極セグメント対のプラズマ密度をこのように制御することによって、特に、長さが2、3、又はさらに4m超に達する直線プラズマのために、コーティング蒸着の均一性又は表面処理の均一性が生産操業の連続期間にわたって連続的に制御され得る。特定の実施形態では、1つ以上の電極セグメント対のプラズマ密度をこのように制御することによって、基板の幅にわたるコーティング蒸着又は表面処理の不均一性又は勾配が意図的に生成され得る。
【0057】
本発明の別の実施形態によれば、電極セグメントの1つ以上の対は1つの電力源から電力を供給され、その一方で、電極セグメントの1つ以上の他の対は別の電力源から電力を供給される。
【0058】
本発明の別の実施形態によれば、電極セグメントの全ての対は、個々の電力源である電力源、電極セグメントのいずれの他の対の電力源とも異なる電力源から電力を供給される。
【0059】
本発明の別の実施形態によれば、電極セグメントの全ての対は、電極セグメントの各対に、その個々の電力、すなわち、電極セグメントのいずれの他の対の電力とも別個に制御される電力を提供するための必要な回路機構を有する1つ以上の電力源から電力を供給される。
【0060】
図3は、均等セグメント化電極、第1の電極(31)及び第2の電極(32)の別の対を示す。第1及び第2の電極はセグメント(31A、31B、31C及び32A、32B、32C)に均等に分割されている。それぞれ対面するセグメント(31A及び32A、31B及び32B、31C及び32C)は同じサイズを有し、電極セグメントの対(A3、B3、C3)を形成する。第1及び第2の均等セグメント化電極のモルフォロジーは、それらが別個の第1及び第2の空洞をそれぞれ囲むようなものになっている。各空洞は、表面処理又はコーティングされるべき基板の方へ向けられることになる1つの側面における開口部又は出口を残して、4つの側面においてそれぞれの電極によって囲まれている。電極セグメントの対B3のサイズは、この場合には、電極セグメントの対A3及びC3のサイズとは異なる。対面するセグメント(31A及び32A、31B及び32B、31C及び32C)を接続する個々の電力源は示されていない。プラズマ形成ガス及び任意選択的な前駆体ガスのための入口は示されていない。
【0061】
図4は、表面処理若しくはコーティングされるべき平坦基板(46)によって部分的に隠された、第1の電極(41)、及び第2の電極(42)を有する、
図3におけるものと同様の、均等セグメント化電極の別の対を示す。第1及び第2の電極はセグメント(41A、41B、41C及び42A、42B、42C)に均等に分割されている。セグメント41A及び41Bは、平坦基板(46)によって視界から隠されているため、示されていない。それぞれ対面するセグメント(31A及び32A、31B及び32B、31C及び32C)は同じサイズを有し、電極セグメントの対(A3、B3、C3)を形成する。第1及び第2の均等セグメント化電極のモルフォロジーは、それらが別個の第1及び第2の空洞をそれぞれ囲むようなものになっている。各空洞は、表面処理又はコーティングされるべき基板の方へ向けられることになる1つの側面における開口部、又は出口を残して、4つの側面においてそれぞれの電極によって囲まれている。第1(43)及び第2(44)のプラズマが第1及び第2の電極のそれぞれの空洞内で発生され、電極の出口の間に延びる(45)。第1のセグメント化電極(41)と平坦基板(46)との間の距離(47)は、第2のセグメント化電極(42)と平坦基板(46)との間の距離(48)と同じである。電極セグメントの対B3のサイズは、この場合には、電極セグメントの対A3及びC3のサイズとは異なる。対面するセグメント(31A及び32A、31B及び32B、31C及び32C)を接続する個々の電力源は示されていない。プラズマ形成ガス及び任意選択的な前駆体ガスのための入口は示されていない。
【0062】
プラズマ蒸着又は表面処理プロセスの要求に依存して、電極セグメントの対に供給される電力を変更することによって、長さが2、3、又はさらに4m超に達する直線プラズマのための均一性を制御することができることが見出された。各電極セグメント対に供給される電力は、(電流x電圧の積である)電力、電流、電圧、周波数、及び/又は位相に関して変更することができるであろう。
【0063】
特に、中空陰極プラズマのための、電極セグメントの対に供給される電力は、典型的には、1メートルのプラズマ長当たり1~100kW、好ましくは、1メートルのプラズマ長当たり5~60kW、より好ましくは、1メートルのプラズマ長当たり10~40kWで変更することができる。電極セグメントの対のプラズマ長は、電極セグメントのこの対によって発生される直線プラズマの端部の間の距離として定義される。本発明の目的のために、プラズマの電力密度は、電極セグメントの対に供給される総電力をプラズマの全長で除算したものとして定義される。
【0064】
特に、中空陰極プラズマ源のための、電極セグメントの対に供給される電流の周波数は、典型的には、5~150kHz、好ましくは、5~100kHzである。
【0065】
本発明の1つ以上の他の態様では、直線プラズマ源の長さにわたるプラズマ密度分布を連続的に制御するための方法が提供される。
【0066】
直線プラズマ源の長さにわたるプラズマ密度分布を制御するための方法は、
(a) 本発明に係る均等セグメント化電極の少なくとも1つの対を含むプラズマ源、好ましくは、中空陰極プラズマ源を与えることと、
(b) 均等セグメント化電極のプラズマ形成ガス入口を通してプラズマ形成ガスを注入することと、
(c) 電極セグメントの1つ及び少なくとも1つの他の対に、それらのそれぞれの出口の間にプラズマカーテンを発生させるように、電力を供給することと、
(d) 電極セグメントの1つの対に供給される電力のパラメータを、電極セグメントの少なくとも1つの他の対に供給される電力のパラメータから独立して設定することと、
を含む。
【0067】
プラズマ密度分布は、連続的に、又は定期的に測定されてもよく、供給される電力のパラメータは、不均一性を補正するように適合されてもよい。
【0068】
本発明の一実施形態によれば、セグメント化電極の対はブランク(blank)の少なくとも1つの対をさらに含む。ブランクの対は、第2のセグメント化電極の等しいサイズの第2のブランクに対面する第1のセグメント化電極の第1のブランクを含む。ブランクの1つ以上の対をプラズマ源の一方又は両方の端部に配置することによって、かくして、プラズマ源の全長を、処理されるべき基板の幅又は処理されるべき基板の選択区域に適合させることができることが見出された。さらに、ブランクの1つ以上の対をプラズマ源の端部以外の位置に配置することによって、直線プラズマ源を選択区域内で分断することができることが見出された。本発明によれば、ブランクは、好ましくは、電極セグメントと同じ材料のものであり、中空陰極空洞のくり抜きを有せず、電力源に接続されていない。ブランクは、好ましくは、また、冷却手段を設けられている。シールド及び絶縁が、電極の不使用区分の周りを単に絶縁するように調整される。ガス入口及びガス出口は、好ましくは、ブランクの配置に適合される。
【0069】
本発明によれば、各電極セグメントは、例えば、水などの冷媒による、冷却手段を設けられていてもよい。本発明の好ましい一実施形態では、少なくとも1つの電極セグメントは、1つの他の電極セグメントの少なくとも1つの他の冷却手段とは別個に制御される専用の冷却手段を設けられている。冷却手段は、例えば、電極セグメントに取り付けられるか、又は電極セグメントの本体内に統合された冷媒回路、例えば、水回路を含み得る。例えば水による、専用の冷却手段は、マスター冷却回路への専用接続部から供給されてもよい。本発明のより好ましい実施形態では、各電極セグメントが水又は他の冷却方法による専用冷却手段を設けられていてもよい。
【0070】
発明者らは、電極セグメントの温度が、とりわけ、動作中の電極の摩耗に影響を及ぼすことを見出した。電極の偏摩耗は、基板の表面処理及び/又は表面コーティングにおける不均一性、並びにさらに、プラズマ及び電極材料自体の反応による屑片の形成までもたらすことが見出された。驚くべきことに、本発明の均等セグメント化電極の電極セグメントは、明白に、それらの位置に依存して、異なる熱負荷にさらされること、並びに異なるセグメントのために冷却を別個に制御することによって、局所的な過熱を回避し、それゆえ、表面処理及び/又は表面コーティングにおける不均一性、並びに屑片の形成を最小限に抑えることができることが見出された。
【0071】
好ましくは、プラズマ源は前駆体ガスのための1つ以上の入口を含む。これらの前駆体ガス入口は、好ましくは、前駆体ガスを、電極セグメントの対の出口の間に形成されたプラズマに向けて誘導し、均一に分布させる。このような構成の場合に最高コーティング蒸着速度が見出された。使用時、前駆体ガスは、好ましくは、前駆体ガス入口を介して供給され、プラズマ形成電極の間の前駆体注入スロットを通して導かれる。
【0072】
本発明の1つ以上の他の態様では、本発明の均等セグメント化電極の1つ以上の対を組み込んだプラズマ源、好ましくは、中空陰極プラズマ源を用いて基板の表面処理を遂行するための方法が提供される。
【0073】
基板表面を処理する方法は、
(a) 本発明に係る均等セグメント化電極の少なくとも1つの対を含むプラズマ源、好ましくは、中空陰極プラズマ源を含む真空チャンバを与えることと、
(b) 均等セグメント化電極のプラズマ形成ガス入口を通してプラズマ形成ガスを注入することと、
(c) 電極セグメントの1つ以上の対に、それらのそれぞれの出口の間にプラズマカーテンを発生させるように、電力を供給することと、
(d) 基板を発生されたプラズマカーテン中に導入することと、
を含む。
【0074】
真空チャンバ内の圧力は、典型的には、0.5~0.001Torr、好ましくは、1~30mTorr、より好ましくは、3~20mTorrである。
【0075】
本発明の1つ以上の他の態様では、均等セグメント化電極の1つ以上の対を組み込んだ中空陰極プラズマ源を用いて基板上に薄膜コーティングを蒸着させるための方法が提供される。
【0076】
基板上に薄膜コーティングを蒸着させるための方法は、
(a) 本発明に係る均等セグメント化電極の少なくとも1つの対を含むプラズマ源、好ましくは、中空陰極プラズマ源を含む真空チャンバを与えることと、
(b) 均等セグメント化電極のプラズマ形成ガス入口を通してプラズマ形成ガスを注入することと、
(c) 電極セグメントの1つ以上の対に、それらのそれぞれの出口の間にプラズマカーテンを発生させるように、電力を供給することと、
(d) コーティング前駆体ガスを発生されたプラズマカーテン中に注入することと、
(e) 基板を発生されたプラズマカーテン中に導入することと、
(f) 発生されたプラズマカーテンによって活性化された前駆体ガスからコーティングを蒸着させることと、
を含む。
【0077】
本発明の均等セグメント化電極の1つ以上の対を用いて表面処理を遂行するための方法、及び薄膜を蒸着させるための方法は、特に、中空陰極プラズマを発生させるための望ましいモルフォロジー及び構成を有する電極を対象にしているが、それらはまた、中空陰極プラズマでないプラズマを発生させる均等セグメント化電極を用いて遂行されてもよい。
【0078】
本発明の1つ以上の他の態様では、プロセス操業の長さにわたって薄膜蒸着プロセス又は表面処理の均一性を制御するための方法が提供される。
【0079】
表面処理を制御するための方法は、
(a) 本発明に係る均等セグメント化電極の少なくとも1つの対を含むプラズマ源、好ましくは、中空陰極プラズマ源を与えることと、
(b) 均等セグメント化電極のプラズマ形成ガス入口を通してプラズマ形成ガスを注入することと、
(c) 電極セグメントの1つ及び少なくとも1つの他の対に、それらのそれぞれの出口の間にプラズマカーテンを発生させるように、電力を供給することと、
(d) 電極セグメントの1つの対に供給される電力のパラメータを、電極セグメントの少なくとも1つの他の対に供給される電力のパラメータから独立して設定することと、
(e) 基板を電極セグメントの1つ以上の対の出口の間にかくして発生されたプラズマ中に導入することと、
を含む。
【0080】
コーティング蒸着を制御するための方法は、
(a) 均等セグメント化電極のプラズマ形成ガス入口を通してプラズマ形成ガスを注入することと、
(b) 電極セグメントの1つ及び少なくとも1つの他の対に、それらのそれぞれの出口の間にプラズマカーテンを発生させるように、電力を供給することと、
(c) 電極セグメントの1つの対に供給される電力のパラメータを、電極セグメントの少なくとも1つの他の対に供給される電力のパラメータから独立して設定することと、
(d) 前駆体ガスを発生されたプラズマカーテンに向けることと、
(e) 基板を発生されたプラズマカーテン中に導入することと、
を含む。
【0081】
表面処理又はコーティング蒸着の均一性を制御するための方法は、好ましくは、表面処理又はコーティング蒸着の均一性を(連続的又は定期的に)測定することと、測定された均一性と所望の均一性との差を決定することと、供給される電力のパラメータを、所望の均一性と測定された均一性との差を補償するよう適合させることと、をさらに含む。
【0082】
表面処理又はコーティングの均一性は、以下に例示されるとおりの、当業者に知られた任意の適当な測定方法によって測定され得る。コーティング蒸着、熱処理、コーティングされた層の熱アニール、表面洗浄、表面の化学的機能化、コーティングされた層の結晶構造改質、イオン衝撃、及びイオン打ち込みは、しばしば、処理された基板の光学特性を変更する。例えば、透過率、反射率、及び/又は吸収率の測定が、表面処理又はコーティングの均一性を決定するために用いられ得る。表面処理又はコーティングが表面の濡れ性を変更するときには、例えば、水接触角測定が用いられ得る。結晶化度の変更は、X線回折又はX線反射光測定を用いて決定され得る。導電率測定が、4点プローブ測定デバイスを用いて行われるか、又は非接触式の渦電流ベースの試験デバイスを用いることによって間接的に行われ得る。
【0083】
本発明の1つ以上の他の態様では、基板上に蒸着されたコーティングであって、コーティングが、均等セグメント化電極の対を用いて蒸着される、コーティングが提供される。
【0084】
これら及び他の態様は、本発明の諸実施形態によれば、プラズマ源デバイス内に位置付けられた均等セグメント化電極の対を提供することであって、電極対が、第1及び第2のプラズマ発生面をそれぞれ含む、第1及び第2の電極を有する、提供することによって達成される。各電極は、その長さと垂直に、同数の電気絶縁されたセグメントに分割されており、第1の電極の各セグメントは第2の電極の等しいサイズのセグメントに対面し、電極セグメントの対を形成する。電極セグメントの各対のセグメントは専用の電力源に接続されている。
【0085】
本発明のこれら及び他の目的及び特徴は、本明細書において提示される書面による記載及び図面から明らかになる。
【0086】
本発明の一実施形態では、プラズマ源が提供される。プラズマ源は、均等セグメント化電極の対を含み、電極対は、ガス包含空間によって隔てられた第1の電極及び第2の電極を有する。電極セグメントの各対は、第1の電極のセグメントに供給される電圧を、第2の電極のセグメントに供給される電圧と位相をずらせ、これらの電極セグメントの間に流れる電流を作り出すよう正と負との間で交番する電圧を供給するように構成された、電力源に電気接続されている。電流は、閉回路電子ドリフトが実質的に存在しない状況でセグメント対の長さにわたって実質的に均一であるプラズマをこれらの電極セグメントの間に作り出す。この発生源では、電極セグメントの各対は別個の専用の電力源に接続されている。それゆえ、電極セグメントの各対に供給される電圧、電流、電力、周波数、又は位相を個々において制御することができる。それゆえ、電極セグメントの各対によって作り出されるプラズマも個々に制御することができ、特に、プラズマ密度を制御することができる。
【0087】
プラズマ源は、本発明の実施形態によっては、プラズマ促進化学的気相成長(PECVD)を用いてコーティングを蒸着させるように構成され得る。PECVDのために構成されているときには、前駆体ガスを供給するように構成されたガス入口、及び反応ガスを供給するように構成されたガス入口が含まれる。前駆体ガスはプラズマによって活性化される。基板が発生源に隣接するよう搬送され、活性化されたガスから薄膜が基板上に蒸着される。
【0088】
プラズマ源は、本発明の実施形態によっては、基板の表面をプラズマ処理するように構成され得る。表面処理のために構成されているときには、基板が発生源に隣接するように搬送され、基板と接触したプラズマによって表面処理が遂行される。
【0089】
それゆえ、得られる表面処理又はコーティング蒸着も、中空陰極プラズマ源のプラズマ密度分布を制御することによって制御することができる。
【0090】
本明細書において説明される主題の発明者らは、プラズマ源に組み込まれたときに、均等セグメント化電極の対は、それらが発生させるプラズマの長さにわたる均一性を改善する役割を果たすことを見出した。これは、より均一なコーティング蒸着又は表面処理をもたらす。さらなる恩恵は、電極が個々のセグメントから組み立てられるときには、1m超の全長にわたって伸びる電極の製造及び組み立てがはるかにより容易になることである。