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特許7038196処理装置、半導体装置の製造方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-09
(45)【発行日】2022-03-17
(54)【発明の名称】処理装置、半導体装置の製造方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/02 20060101AFI20220310BHJP
   H01L 21/31 20060101ALI20220310BHJP
   H01L 21/318 20060101ALI20220310BHJP
   C23C 16/52 20060101ALI20220310BHJP
   B01D 53/68 20060101ALI20220310BHJP
   B01D 53/58 20060101ALI20220310BHJP
   F23G 7/06 20060101ALI20220310BHJP
【FI】
H01L21/02 D ZAB
H01L21/31 B
H01L21/318 B
C23C16/52
B01D53/68 100
B01D53/58
F23G7/06 L
F23G7/06 D
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020510171
(86)(22)【出願日】2018-03-26
(86)【国際出願番号】 JP2018011995
(87)【国際公開番号】W WO2019186616
(87)【国際公開日】2019-10-03
【審査請求日】2020-09-08
(73)【特許権者】
【識別番号】318009126
【氏名又は名称】株式会社KOKUSAI ELECTRIC
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】特許業務法人太陽国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】110000039
【氏名又は名称】特許業務法人アイ・ピー・ウィン
(72)【発明者】
【氏名】奥野 正則
(72)【発明者】
【氏名】米島 利彦
【審査官】安田 雅彦
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-083772(JP,A)
【文献】特開平11-137951(JP,A)
【文献】特表2009-534574(JP,A)
【文献】特開2008-253879(JP,A)
【文献】特開2014-227968(JP,A)
【文献】特開2009-224588(JP,A)
【文献】特開2014-231822(JP,A)
【文献】特開平10-331624(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/02
H01L 21/205
H01L 21/306-308
H01L 21/31 -318
B01D 53/34 -96
C23C 16/44 -56
F23G 7/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理炉内に構成される処理室と、
複数の除害装置と接続され前記処理室内からガスを排気する排気系と、
前記処理室に搬入される基板に膜を形成するプロセスレシピを実行する制御部と、を少なくとも備え、
前記制御部は、前記プロセスレシピの開始または終了時に、稼働中の除害装置以外の他の除害装置の稼働状態を確認するように構成され、
前記他の除害装置の稼働状態が保守中または異常停止のいずれかでなければ、前記他の除害装置を稼働させると共に、前記稼働中の除害装置の稼働状態を保守中に切替え、
前記他の除害装置の稼働状態が保守中または異常停止であれば、前記稼働中の除害装置をそのまま継続して使用するように制御する処理装置。
【請求項2】
前記複数の除害装置の稼働状態をそれぞれ記憶する記憶部を有し、
前記稼働状態は、初期化済、稼働中、保守中、保守終了、待機中、異常停止のいずれかである請求項1記載の処理装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記プロセスレシピを連続して実行している間、前記複数の除害装置のそれぞれに対して稼働と保守を繰返すように制御する請求項1記載の処理装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記プロセスレシピの待機時間であっても、前記複数の除害装置のうちの少なくとも一つを稼働するように制御する請求項1記載の処理装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記プロセスレシピの実行中に保守中の除害装置の保守を終了した場合、保守を終了した前記除害装置の稼働状態を待機中に変更するように制御する請求項1記載の処理装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記プロセスレシピの待機時間が所定時間を超えた場合、前記稼働中の除害装置を停止するように制御する請求項1記載の処理装置。
【請求項7】
前記排気系は、前記処理室から排気されるガスの供給先を切り替えることが可能な切替部を有し、
前記制御部は、前記プロセスレシピの実行中に、プロセス処理開始またはプロセス処理終了を示す信号により、前記切替部を制御して前記複数の除害装置のうちいずれか一つに前記ガスが供給されるように制御する請求項1記載の処理装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記プロセスレシピの実行時間が前記保守に係る時間よりも長い場合、前記プロセスレシピ終了時に前記稼働中の除害装置と前記他の除害装置との切替が行われるよう制御する請求項1記載の処理装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記プロセスレシピの実行時間が前記保守に係る時間よりも短い場合、前記プロセスレシピ開始時に前記稼働中の除害装置と前記他の除害装置との切替が行われるよう制御する請求項1記載の処理装置。
【請求項10】
前記制御部は、前記処理室から排気されるガスを前記除害装置に設けられた燃焼部により燃焼させて無害化するよう制御すると共に、前記稼働中の除害装置が稼働中から保守中に切り換えられた場合に、前記保守中に切り換えられた除害装置の内壁に付着した付着物を除去するように制御する請求項1記載の処理装置。
【請求項11】
前記排気系は、排気管と、前記排気管に接続される排気装置と、を備え、前記処理炉と前記排気系の少なくとも一部が同じフロアに設置され、前記複数の除害装置は他のフロアに設置される請求項1記載の処理装置。
【請求項12】
プロセスレシピを実行して処理室にガスを供給して基板を処理する工程を少なくとも有する半導体装置の製造方法であって、
前記基板を処理する工程の開始または終了時に、稼働中の除害装置以外の他の除害装置の稼働状態を確認する工程と、
前記他の除害装置の稼働状態が保守中または異常停止のいずれかでなければ、前記他の除害装置を稼働させると共に、前記稼働中の除害装置の稼働状態を保守中に切替え、
前記他の除害装置の稼働状態が保守中または異常停止であれば、前記稼働中の除害装置をそのまま継続して使用する工程と、
を有する半導体装置の製造方法。
【請求項13】
処理炉と、
前記処理炉内の処理室からガスを排気する排気管と、複数の除害装置に接続され前記排気管に設けられる排気装置と、から構成される排気系と、
前記処理室に搬入される基板に膜を形成するプロセスレシピを実行する制御部と、
を少なくとも備えた基板処理装置で実行されるプログラムであって、
前記基板を処理する工程の開始または終了時に、稼働中の除害装置以外の他の除害装置の稼働状態を確認する手順と、
前記他の除害装置の稼働状態が保守中または異常停止のいずれかでなければ、前記他の除害装置を稼働させると共に、前記稼働中の除害装置の稼働状態を保守中に切替え、
前記他の除害装置の稼働状態が保守中または異常停止であれば、前記稼働中の除害装置をそのまま継続して使用する手順と、
を前記制御部に実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、処理装置、半導体装置の製造方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の処理工程において、排出されるガスには有害ガスが含まれていることがあるため、除害装置を用いることにより排気ガスに除害処理を行って無害化して大気中等に排出するようにしている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
しかしながら、除害装置内に副生成物が付着して堆積すると、生産途中であっても装置が停止してしまう場合がある。これにより、製品基板がロットアウトしてしまい、生産処理を中断して除害装置をメンテナンスしなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平11-197440号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、複数の除害装置を用いて、付着した副生成物を所定のタイミングで除去することにより、装置の稼働率を向上させることができる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、処理炉内に構成される処理室と、複数の除害装置と接続され該処理室内からガスを排気する排気系と、処理室に搬入される基板に膜を形成するプロセスレシピを実行する制御部と、を少なくとも備え、該制御部は、プロセスレシピの開始または終了時に、稼働中の除害装置以外の他の除害装置の稼働状態を確認するように構成され、他の除害装置の稼働状態が保守中または異常停止のいずれかでなければ、他の除害装置を稼働させると共に、稼働中の除害装置の稼働状態を保守中に切替え、他の除害装置の稼働状態が保守中または異常停止であれば、稼働中の除害装置をそのまま継続して使用するように制御する技術が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、複数の除害装置を用いて、付着した副生成物を所定のタイミングで除去することにより、装置の稼働率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態に係る基板処理装置の処理炉を示す縦断面図である。
図2】本発明の一実施形態に係る基板処理装置に用いられる除害装置を示す図である。
図3】本発明の一実施形態に係る基板処理装置に用いられる制御構成を示すブロック図である。
図4】本発明に一実施形態に係る基板処理装置に用いられる排気コントローラの制御フローを示す図である。
図5】本発明の一実施形態に係る基板処理装置の処理シーケンスを示す図である。
図6】本発明の一実施形態に係る基板処理装置の処理シーケンスの変形例を示す図である。
図7】本発明の一実施形態に係る基板処理装置の他の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<本発明の一実施形態>
以下に、本発明の一実施形態について説明する。
【0010】
(1)基板処理装置の構成
本発明の一実施形態に係る処理装置としての基板処理装置100の処理炉202の構成について、図1を参照しながら説明する。
【0011】
図1に示すように、処理炉202は、反応管としてのプロセスチューブ203を備えている。プロセスチューブ203は、内部反応管としてのインナーチューブ204と、その外側に設けられた外部反応管としてのアウターチューブ205と、を備えている。インナーチューブ204は、上端及び下端が開口した円筒形状に形成されている。インナーチューブ204内の筒中空部には、ウエハ200を処理する処理室201が形成されている。処理室201は、ボート217を収容可能なように構成されている。
【0012】
プロセスチューブ203の外側には、プロセスチューブ203の側壁面を囲うように、ヒータ206が設けられている。ヒータ206は円筒形状に構成されている。ヒータ206は、保持板としてのヒータベース251に支持されることにより垂直に据え付けられている。
【0013】
アウターチューブ205の下方には、アウターチューブ205と同心円状になるように、上端及び下端が開口した円筒形状に形成された炉口部としてのマニホールド209が配設されている。マニホールド209は、インナーチューブ204の下端部とアウターチューブ205の下端部とを支持するように設けられ、インナーチューブ204の下端部とアウターチューブ205の下端部とにそれぞれ係合している。なお、マニホールド209とアウターチューブ205との間には、シール部材としてのOリング220aが設けられている。
【0014】
マニホールド209の下方には、マニホールド209の下端開口を気密に閉塞可能なシールキャップ219が円盤状に設けられている。シールキャップ219の上面には、マニホールド209の下端と当接するシール部材としてのOリング220bが設けられている。
【0015】
シールキャップ219の中心部付近であって処理室201と反対側には、ボート217を回転させる回転機構254が設置されている。回転機構254の回転軸255は、シールキャップ219を貫通してボート217を下方から支持している。回転機構254は、ボート217を回転させることでウエハ200を回転させるように構成されている。
【0016】
シールキャップ219は、プロセスチューブ203の外部に設けられたボートエレベータ115によって、垂直方向に昇降されるように構成されている。
【0017】
ボートエレベータ115、ボート217及び回転機構254等により、本実施形態に係る搬送機構が構成される。これらボートエレベータ115及び回転機構254等は、それぞれ搬送コントローラ11に電気的に接続されている。
【0018】
ボート217は、複数枚のウエハ200を水平姿勢でかつ互いに中心を揃えた状態で整列させて多段に保持するように構成されている。ボート217の下部には、断熱部材としての断熱板216が水平姿勢で多段に複数枚配置されている。
【0019】
プロセスチューブ203内には、温度検知器としての温度センサ263が設置されている。主に、ヒータ206及び温度センサ263により、本実施形態に係る加熱機構が構成されている。これらヒータ206と温度センサ263とには、温度コントローラ12が電気的に接続されている。
【0020】
マニホールド209には、ノズル230a及びノズル230bが処理室201内に連通するように接続されている。ノズル230a,230bには、ガス供給管232a,232bがそれぞれ接続されている。
【0021】
ガス供給管232a,232bには、ガス流の上流側から順に、図示しないガス供給源、バルブ245a,245b、MFC241a,241b、バルブ243a,243bがそれぞれ設けられている。ガス供給管232a,232bのバルブ243a,243bよりも下流側には、ガス供給管232c、232dがそれぞれ接続されている。ガス供給管232c,232dには、ガス流の上流側から順に、図示しないパージガス供給源、バルブ245c,245d、MFC241c,241d、バルブ243c,243dがそれぞれ設けられている。
【0022】
主に、ガス供給源(図示しない)、バルブ245a、MFC241a、バルブ243a、ガス供給管232a及びノズル230aにより、本実施形態に係る処理ガス供給系が構成されている。主に、ガス供給源(図示しない)、バルブ245b、MFC241b、バルブ243b、ガス供給管232b及びノズル230bにより、本実施形態に係る反応ガス供給系が構成されている。主に、パージガス供給源(図示しない)、バルブ245c,245d、MFC241c,241d、バルブ243c,243d、ガス供給管232c,232d及びノズル230a,230bにより、本実施形態に係るパージガス供給系が構成されている。MFC241a~241d、バルブ243a~243d及びバルブ245a~245dには、ガス供給コントローラ14が電気的に接続されている。
【0023】
また、処理ガス供給系、反応ガス供給系及びパージガス供給系により、ガス供給装置としてのガス供給ユニット300が構成される。
【0024】
マニホールド209には、処理室201の雰囲気を排気する排気管231が設けられている。排気管231は、インナーチューブ204とアウターチューブ205との隙間によって形成される筒状空間250の下端部に配置されている。排気管231は、筒状空間250に連通している。排気管231には、圧力検知部としての圧力センサ245、APCバルブ242、補助ポンプ244、排気装置としてのメインポンプ246、三方バルブ249a、第1除害装置としての除害装置248a、三方バルブ249b及び第2除害装置としての除害装置248bがガス流の上流側から順に設けられている。
【0025】
排気管231、圧力センサ245、APCバルブ242、補助ポンプ244、により排気ユニット310が構成され、更に、メインポンプ246、三方バルブ249a,249b及び除害装置248a,除害装置248bを含むことにより、排気系が構成される。
【0026】
また、APCバルブ242、圧力センサ245には、圧力コントローラ13が電気的に接続されている。また、補助ポンプ244、メインポンプ246、三方バルブ249a,249b及び除害装置248a,248bには、排気コントローラ15が電気的に接続されている。
【0027】
すなわち、基板処理装置100は、図1に示すように、処理炉202を含む筐体111と、ガス供給ユニット300と、排気ユニット310とを少なくとも含む構成である。
【0028】
また、制御部としてのコントローラ240は、搬送コントローラ11、温度コントローラ12、圧力コントローラ13、ガス供給コントローラ14、排気コントローラ15にそれぞれ接続されている。
【0029】
(2)除害装置248a,248bの構成
図2を参照して、除害装置248a,248bの構成について説明する。
【0030】
図2に示されているように、メインポンプ246の下流側には、三方バルブ249aを介して除害装置248aが接続され、三方バルブ249a,249bを介して除害装置248bが接続されている。図では除外されているが、これらも排気ユニット310に含むようにしてもよい。
【0031】
三方バルブ249aは、メインポンプ246から排気される排気ガスの供給先(送出先)を、除害装置248a又は除害装置248b側に切り替える切替部として機能する。また、三方バルブ249bは、三方バルブ249aを介して供給(送出)される排気ガスの供給先(送出先)を、除害装置248b又は除害装置を用いない例えば大気中に切り替える切替部として機能する。
【0032】
すなわち、処理室201から排気管231、APCバルブ242、補助ポンプ244、メインポンプ246、三方バルブ249aを経由して除害装置248a又は、三方バルブ249a及び三方バルブ249bを経由して除害装置248bに排気ガスが送出される。
【0033】
また、処理室201から排気管231、APCバルブ242、補助ポンプ244、メインポンプ246、三方バルブ249a及び三方バルブ249bを経由して、除害装置248a及び除害装置248bをバイパスして排気ガスが大気中に排気される。メインポンプ246から排気されるガスが無害ガスである場合には、三方バルブ249a及び三方バルブ249bを制御して、除害装置248a及び除害装置248bをバイパスして排気ガスが大気中に排気される。
【0034】
除害装置248a,248bには、それぞれメインポンプ246から排気された排気ガスを燃焼する燃焼部312a,312bが設けられている。この燃焼部312a,312bにより、除害装置248a,248bにそれぞれ送出された排気ガスが燃焼され、無害化される。
【0035】
また、除害装置248a,248bでは、燃焼後の副生成物である粉体に対して水を散布するか、スクレーパ等で削り落とすか、或いは水とスクレーパ等の双方を使用し除去される。すなわち、非稼働状態の除害装置248a又は除害装置248bにおいて、蓄積された粉体が削り落とされメンテナンス処理が実行される。
【0036】
(3)コントローラ240の構成
図3を参照して、コントローラ240の制御構成について説明する。
【0037】
コントローラ240は、主にCPU(Central Processing Unit)等の主制御部25と、メモリ(RAM)やハードディスク等の記憶部28と、マウスやキーボード等の入力部29と、モニタ等の表示部31と、から構成されている。尚、主制御部25と、記憶部28と、入力部29と、表示部31とで各データを設定可能な操作部が構成される。
【0038】
記憶部28には、装置データ等の各種データ等が記憶されるデータ記憶領域32と、各種プログラムが格納されるプログラム格納領域33が形成されている。
【0039】
データ記憶領域32には、プロセスレシピを実行中の各装置の制御情報がデータとして蓄積される。また、データ記憶領域32には、除害装置248aの稼働状態と、除害装置248bの稼働状態がそれぞれ記憶される。ここで、稼働状態として、初期化済、稼働中、メンテナンス中(保守中)、メンテナンス終了(保守終了)、待機中、異常停止等の情報が記憶される。
【0040】
プログラム格納領域33には、ユーザが設定したプロセス手順に従って装置を制御するプロセスレシピを含む装置を制御するのに必要な各種プログラムが格納されている。ここで、プロセスレシピとは、複数のプロセス処理を含み、ウエハ200に膜を形成する処理条件や処理手順等が定義されたレシピである。
【0041】
また、プログラム格納領域33には、後述する除害装置を運用するプログラムが格納されており、このプログラムはプロセスレシピと連動して除害装置の運用を制御するように構成されている。
【0042】
また、レシピファイルには、搬送コントローラ11、温度コントローラ12、圧力コントローラ13、ガス供給コントローラ14及び排気コントローラ15等に送信する設定値(制御値)や送信タイミング等が、ステップ毎に設定されている。
【0043】
表示部31には、タッチパネルが設けられている。タッチパネルは、上述の基板搬送系、基板処理系等への操作コマンドの入力を受け付ける操作画面を表示するように構成されている。なお、操作部は、パソコンやモバイル等の操作端末(端末装置)のように、少なくとも表示部31と入力部29を含む構成であればよい。
【0044】
主制御部25は、処理室201内にローディングされたウエハ200に対し、所定の処理を施すよう、処理室201内の温度や圧力、該処理室201内に導入される処理ガスの流量等を制御する機能を有している。
【0045】
つまり、主制御部25は、記憶部28に記憶された制御プログラムを実行し、入力部29からの入力或いは外部にあるホストコンピュータ等の上位コントローラからの指示に従って、レシピ(例えば、基板処理レシピとしてのプロセスレシピ等)を実行する。
【0046】
搬送コントローラ11は、基板を搬送する搬送機構を構成するボートエレベータ115、不図示のウエハ移載機構、ボート217及び回転機構254の搬送動作をそれぞれ制御するように構成されている。また、ボートエレベータ115、不図示のウエハ移載機構、ボート217及び回転機構254には、それぞれセンサが内蔵されている。搬送コントローラ11は、これらのセンサがそれぞれ所定の値や異常な値等を示した際に、コントローラ240にその旨の通知を行うように構成されている。
【0047】
温度コントローラ12は、処理炉202のヒータ206の温度を制御することで処理炉202内の温度を調節すると共に、温度センサ263が所定の値や異常な値等を示した際、コントローラ240にその旨の通知を行うように構成されている。
【0048】
圧力コントローラ13は、圧力センサ245により検知された圧力値に基づいて、処理室201内の圧力が所望のタイミングにて所望の圧力となるように、APCバルブ242を制御すると共に、圧力センサ245が所定の値や異常な値等を示した際、コントローラ240にその旨の通知を行うように構成されている。
【0049】
ガス供給コントローラ14は、処理室201内に供給するガスの流量が所望のタイミングにて所望の流量となるように、MFC241a~241dを制御するように構成されている。ガス供給コントローラ14は、MFC241a~241d等の備えるセンサ(図示せず)が所定の値や異常な値等を示した際、コントローラ240にその旨の通知を行うように構成されている。また、ガス供給コントローラ14は、バルブ243a~243d、バルブ245a~245dの開閉を制御するように構成されている。
【0050】
排気コントローラ15は、補助ポンプ244、メインポンプ246、三方バルブ249a,249b及び除害装置248a,248bを制御して、処理室201内の雰囲気を処理室201外に排出するように制御するように構成されている。
【0051】
主制御部25は、上述のプロセスレシピと連動して除害装置を運用するプログラムを実行するように構成されている。
【0052】
主制御部25は、プロセスレシピ毎に、プロセスレシピ(若しくは成膜ステップであるプロセス処理)の実行開始時の実行開始信号と、プロセスレシピ(プロセス処理)の実行終了時の実行終了信号を排気コントローラ15に送信する。排気コントローラ15は、プロセスレシピ(プロセス処理)の実行開始信号又は実行終了信号を取得すると、三方バルブ249a又は/及び三方バルブ249bを制御して除害装置248a又は除害装置248bで燃焼処理を実行するよう制御するように構成されている。
【0053】
また、主制御部25は、プロセスレシピ(プロセス処理)の開始時または終了時に、稼働中の除害装置の他方の除害装置の稼働状態を確認するよう制御する。例えば、除害装置248aを用いてプロセスレシピを実行していた場合には、次のプロセスレシピの開始または終了時に、除害装置248bの稼働状態を確認するよう制御するように構成されている。
【0054】
そして、主制御部25は、除害装置248bの稼働状態がメンテナンス中(保守中)または異常停止のいずれかでなければ、除害装置248bを稼働させると共に、除害装置248aの稼働状態を停止し、除害装置248aの稼働状態をメンテナンス中に切り替えてメンテナンス処理を実行するよう制御する。具体的には、除害装置248bの稼働状態が、初期化済、メンテナンス終了(保守終了)、待機中である場合に、除害装置248bを稼働させると共に、除害装置248aの稼働状態をメンテナンス中に切り替えてメンテナンス処理を実行するように構成されている。
【0055】
また、主制御部25は、除害装置248bの稼働状態がメンテナンス中(保守中)又は異常停止である場合には、除害装置248aをそのまま継続して使用するよう制御するように構成されている。
【0056】
つまり、主制御部25は、プロセスレシピ(プロセス処理)を連続して実行している間、除害装置248aと除害装置248bのそれぞれに対して稼働(燃焼処理)とメンテナンス(メンテナンス処理)を繰り返すように制御するように構成されている。
【0057】
また、主制御部25は、除害装置248aと除害装置248bのうち少なくともいずれか一つを稼働するように制御する。また、主制御部25は、プロセスレシピの待機時間であっても、除害装置248aと除害装置248bのうち少なくともいずれか一つを稼働するように制御するように構成されている。
【0058】
また、主制御部25は、プロセスレシピの実行中にメンテナンス中の除害装置のメンテナンスを終了した場合、メンテナンスを終了した除害装置の稼働状態を待機中にするよう制御するように構成されている。
【0059】
また、主制御部25は、プロセスレシピの待機時間が所定時間を超えた場合、稼働中の除害装置を停止するように制御するように構成されている。
【0060】
また、主制御部25は、プロセスレシピの実行中に、プロセス処理開始またはプロセス処理終了を示す信号により、三方バルブ249a又は/及び三方バルブ249bをそれぞれ制御して除害装置248a、除害装置248b又は大気中のうちいずれか一つに排気ガスを排気させるように制御するように構成されている。
【0061】
また、主制御部25は、プロセスレシピの実行時間がメンテナンスに係る時間よりも長い場合、プロセスレシピ終了時に稼働中の除害装置と他の除害装置との切替が行われるよう制御するように構成されている。例えば、プロセスレシピ終了時に除害装置248aに供給されていた排気ガスが、除害装置248bに切り替えて供給されるように三方バルブ249a,249bをそれぞれ制御する。
【0062】
また、主制御部25は、プロセスレシピの実行時間がメンテナンスに係る時間よりも短い場合、次のプロセスレシピ開始時に稼働中の除害装置と他の除害装置との切替が行われるよう制御するように構成されている。例えば次のプロセスレシピ開始時に除害装置248aに供給されていた排気ガスが、除害装置248bに切り替えて供給されるように三方バルブ249a,249bをそれぞれ制御する。
【0063】
また、排気コントローラ15は、処理室201から排気されるガスを燃焼部312a,312bにより燃焼させて無害化するよう除害装置248a,248bをそれぞれ制御するように構成されている。
【0064】
排気コントローラ15は、稼働中の除害装置が稼働中から保守中(メンテナンス中)に切り換えられた場合に、メンテナンス中に切り換えられた除害装置248a又は除害装置248bの内壁に付着した付着物を除去するように制御するように構成されている。例えば、除害装置248a又は除害装置248b内に水を散布するか、スクレーパ等で削り落とすか、或いは水とスクレーパ等の双方を使用し副生成物を除去するように制御する。
【0065】
なお、主制御部25は、除害装置248a又は除害装置248bが故障、異常により停止したことを検出した場合には、故障、異常により停止した除害装置248a又は除害装置248bには、排気ガスの送出を切り替えないように三方バルブ249a,249bをそれぞれ制御する。
【0066】
そして、主制御部25は、搬送コントローラ11、温度コントローラ12、圧力コントローラ13、ガス供給コントローラ14及び排気コントローラ15による基板処理装置100の成膜動作をプロセスレシピの実行により制御すると共に、排気コントローラ15と連動して排気コントローラ15による三方バルブ249a,249b、除害装置248a及び除害装置248bの動作をプロセスレシピのイベント毎に監視して、記憶部28にその変動を送信するように構成されている。
【0067】
(4)基板処理工程
次に、基板処理装置100の基板処理工程について詳述する。基板処理工程の実施をする場合には、主制御部25は、記憶部28のプログラム格納領域33に格納されているプロセスレシピを実行する。
【0068】
ここでは、ウエハ200に対して、第1の処理ガス(原料ガス)と第2の処理ガス(反応ガス)とを交互に供給することで、ウエハ200上に膜を形成する例について説明する。
【0069】
以下、原料ガスとしてヘキサクロロジシラン(Si2Cl6、略称:HCDS)ガスを用い、反応ガスとしてアンモニア(NH3)ガスを用い、ウエハ200上にシリコン窒化膜(Si34膜、以下、SiN膜ともいう)を形成する例について説明する。なお、以下の説明において、基板処理装置100を構成する各部の動作はコントローラ240により制御される。
【0070】
本実施形態における基板処理工程では、処理室201内のウエハ200に対してHCDSガスを供給する工程と、処理室201内からHCDSガス(残留ガス)を除去する工程と、処理室201内のウエハ200に対してNH3ガスを供給する工程と、処理室201内からNH3ガス(残留ガス)を除去する工程と、を非同時に行うサイクルを所定回数(1回以上)行うことで、ウエハ200上にSiN膜を形成する。
【0071】
また、本明細書において「基板」という言葉を用いた場合も、「ウエハ」という言葉を用いた場合と同義である。
【0072】
(ボートロード工程)
複数枚のウエハ200がボート217に装填(ウエハチャージ)されると、ボート217は、ボートエレベータ115によって処理室201内に搬入(ボートロード)される。このとき、シールキャップ219は、Oリング220bを介してマニホールド209の下端を気密に閉塞(シール)した状態となる。
【0073】
(準備工程)
処理室201内、すなわち、ウエハ200が存在する空間が大気圧から所定の圧力(真空度)となるように、補助ポンプ244及びメインポンプ246によって真空排気(減圧排気)されて除害装置248a又は除害装置248bに排気される。この際、処理室201内の圧力は、圧力センサ245で測定され、この測定された圧力情報に基づきAPCバルブ242が、フィードバック制御される。補助ポンプ244、メインポンプ246及び除害装置248a又は除害装置248bは、少なくともウエハ200に対する処理が終了するまでの間は常時作動させた状態を維持する。
【0074】
また、処理室201内のウエハ200が所定の温度となるように、ヒータ206によって加熱される。この際、処理室201が所定の温度分布となるように、温度センサ263が検出した温度情報に基づきヒータ206への通電具合がフィードバック制御される。ヒータ206による処理室201内の加熱は、少なくともウエハ200に対する処理が終了するまでの間は継続して行われる。
【0075】
また、回転機構254によるボート217およびウエハ200の回転を開始する。回転機構254により、ボート217が回転されることで、ウエハ200が回転される。回転機構254によるボート217およびウエハ200の回転は、少なくとも、ウエハ200に対する処理が終了するまでの間は継続して行われる。
【0076】
(パージ工程)
そして、バルブ245c,243c,245d,243dを開き、ガス供給管230a,230bからN2ガスを処理室201内へ供給し、排気ユニット310から排気する。N2ガスはパージガスとして作用する。これにより、処理室201内がパージされる。
【0077】
(成膜工程)
処理室201内の温度が予め設定された処理温度に安定すると、次の2つのステップ、すなわち、ステップ1~2を順次実行する。
【0078】
[ステップ1]
このステップでは、処理室201内のウエハ200に対し、HCDSガスを供給する。
【0079】
バルブ245a,243aを開き、ガス供給管232a内へHCDSガスを流す。HCDSガスは、MFC241aにより流量調整され、ノズル230aを介して処理室201内へ供給され、排気ユニット310に排気される。このとき、ウエハ200に対してHCDSガスが供給されることとなる。このとき、同時にバルブ245c,243cを開き、ガス供給管232c内へN2ガスを流す。N2ガスは、MFC241cにより流量調整され、HCDSガスと一緒に処理室201内へ供給され、排気管231から排気される。ウエハ200に対してHCDSガスを供給することにより、ウエハ200の最表面上に、第1の層として、例えば数原子層の厚さのシリコン(Si)含有層が形成される。
【0080】
第1の層が形成された後、バルブ245a,243aを閉じ、HCDSガスの供給を停止する。このとき、APCバルブ242は開いたままとして、補助ポンプ244、メインポンプ246により処理室201内を真空排気し、処理室201内に残留する未反応もしくは第1の層の形成に寄与した後のHCDSガスを処理室201内から排出する。
【0081】
[ステップ2]
ステップ1が終了した後、処理室201内のウエハ200、すなわち、ウエハ200上に形成された第1の層に対してNH3ガスを供給する。NH3ガスは熱で活性化されてウエハ200に対して供給されることとなる。
【0082】
このステップでは、バルブ245b,243b,245d,243dの開閉制御を、ステップ1におけるバルブ245a,243a,245c,243cの開閉制御と同様の手順で行う。NH3ガスは、MFC241bにより流量調整され、ノズル230bを介して処理室201内へ供給され、排気管231から排気される。このとき、ウエハ200に対してNH3ガスが供給されることとなる。ウエハ200に対して供給されたNH3ガスは、ステップ1でウエハ200上に形成された第1の層、すなわちSi含有層の少なくとも一部と反応する。これにより第1の層は、ノンプラズマで熱的に窒化され、第2の層、すなわち、シリコン窒化層(SiN層)へと変化させられる(改質される)。
【0083】
第2の層が形成された後、バルブ245b,243bを閉じ、NH3ガスの供給を停止する。そして、ステップ1と同様の処理手順により、処理室201内に残留する未反応もしくは第2の層の形成に寄与した後のNH3ガスや反応副生成物を処理室201内から排出する。このとき、ステップ1と同様に処理室201内に残留するガス等を完全に排出しなくてもよい。
【0084】
(所定回数実施)
上述した2つのステップを非同時に、すなわち、同期させることなく行うサイクルを所定回数行うことにより、ウエハ200上に、所定膜厚のSiN膜を形成することができる。なお、上述のサイクルを1回行う際に形成される第2の層(SiN層)の厚さを所定の膜厚よりも小さくし、第2の層を積層することで形成されるSiN膜の膜厚が所定の膜厚になるまで、上述のサイクルを複数回繰り返すのが好ましい。
【0085】
(パージ工程)
成膜処理が完了した後、バルブ245c,243c,245d,243dを開き、ノズル230a,230bからN2ガスを処理室201内へ供給し、排気管231から排気する。N2ガスはパージガスとして作用する。これにより、処理室201内がパージされ、処理室201内に残留するガスや反応副生成物が処理室201内から除去される(パージ)。その後、処理室201内の雰囲気が不活性ガスに置換され(不活性ガス置換)、処理室201内の圧力が常圧に復帰される(大気圧復帰)。
【0086】
(ボートアンロードおよびウエハディスチャージ)
ボートエレベータ115によりシールキャップ219が下降され、プロセスチューブ203の下端が開口される。そして、処理済のウエハ200が、ボート217に支持された状態で、プロセスチューブ203の下端からプロセスチューブ203の外部に搬出される(ボートアンロード)。処理済のウエハ200は、ボート217より取出される(ウエハディスチャージ)。
【0087】
ここで、上述した基板処理工程において、除害装置248a、248bのうちどちらか一つの除害装置248では、燃焼処理により除害装置248内に燃焼後の副生成物である燃焼灰が堆積される。燃焼灰は、粉末状であり、除害装置248の下部の壁面に付着して堆積し、やがて詰まるため、除去する必要がある。また、この壁面に付着した副生成物を除去するためにスクレーパ、又は水、又は双方同時に使用するが、時間の経過によって、副生成物の固化が進行し、スクレーパや水で削り取ることが困難となり、やがて副生成物により閉塞してしまうという問題があった。
【0088】
本実施形態では、メインポンプ246の下流側に複数の除害装置に、少なくとも2つの除害装置248a,248bを設け、プロセスレシピの一例である上述した基板処理工程と連動させて、主制御部25及び排気コントローラ15により、除害装置248a,248bに付着した副生成物を除去させることにより、除害装置の閉塞による装置停止を避けることができる。
【0089】
(5)排気コントローラ15の動作
排気コントローラ15の動作について図4に基づいて説明する。
【0090】
排気コントローラ15は、例えば上述した基板処理工程におけるプロセスレシピ実行中の装置信号を取得する(ステップS10)。
【0091】
そして、取得した信号が、基板処理工程における成膜工程のプロセス処理開始(若しくは、プロセスレシピ実行開始)時を示す信号である場合には(ステップS11においてYes)、非稼働中の除害装置248の稼働状態を確認する。具体的には、例えば非稼働中の除害装置248のメンテナンスが終了しているか否かまたは異常停止であるかが判定される(ステップS13)。
【0092】
このとき、排気コントローラ15は、非稼働中の除害装置248の状態を記憶部28に記憶された情報に基づいて判定する。
【0093】
そして、例えば非稼働中の除害装置248bのメンテナンスが終了していると判定された場合には(ステップS13においてYes)、三方バルブ249a,249bを切り替えて除害装置248bを稼働し、これと同時に稼働中の除害装置248aを非稼働に切り替えて(ステップS14)、除害装置248aに対してメンテナンス処理を実行する(ステップS15)。なお、非稼働中の除害装置248bのメンテナンスが終了していないまたは異常停止と判定された場合には(ステップS13においてNo)、除害装置248の切り替えを行わない。
【0094】
また、取得した信号が、基板処理工程における成膜工程のプロセス処理終了(またはプロセスレシピ実行終了)時を示す信号である場合には(ステップS11においてNo、ステップS12においてYes)、非稼働中の除害装置の稼働状態を確認する。具体的には、例えば非稼働中の除害装置248のメンテナンスが終了しているか否かが判定される(ステップS13)。
【0095】
このとき、排気コントローラ15は、非稼働中の除害装置248の状態を記憶部28に記憶された情報に基づいて判定する。
【0096】
例えば非稼働中の除害装置248bのメンテナンスが終了していると判定された場合には(ステップS13においてYes)、三方バルブ249a,249bを切り替えて除害装置248bを稼働し、これと同時に稼働中の除害装置248aを非稼働に切り替えて(ステップS14)、除害装置248aに対してメンテナンス処理を実行する(ステップS15)。なお、非稼働中の除害装置248bのメンテナンスが終了していないまたは異常停止と判定された場合には(ステップS13においてNo)、除害装置248の切り替えを行わない。
【0097】
つまり、プロセス処理開始時に、稼働状態であった除害装置の他の非稼働状態の除害装置がメンテナンス中または異常停止であった場合には、稼働状態であった除害装置をそのまま稼働し、プロセス処理終了時に、そのメンテナンス中であった除害装置のメンテナンスが終了していた場合には、稼働する除害装置の切り替えを実行する。
【0098】
また、プロセス処理開始時に、稼働状態であった除害装置の他の非稼働状態の除害装置のメンテナンスが終了していた場合には、そのメンテナンスが終了した除害装置を稼働し、これと同時に稼働状態であった除害装置を非稼働に切り替えてメンテナンス処理を実行する。また、プロセス処理終了時に、稼働状態であった除害装置の他の非稼働状態の除害装置がメンテナンス中または異常停止であった場合には、稼働状態であった除害装置をそのまま稼働する。
【0099】
つまり、プロセス処理の開始時と終了時において、複数の除害装置の稼働状態を確認し、非稼働状態の除害装置が初期化済、メンテナンス終了又は待機中である場合には、非稼働状態の除害装置を稼働し、これと同時に稼働状態の除害装置を非稼働に切り替えてメンテナンス処理を実行する。また、プロセス処理の開始時と終了時において、非稼働状態の除害装置が、メンテナンス中又は異常停止である場合には、稼働中の除害装置の切り替えは行わない。
【0100】
(6)処理シーケンス
次に、除害装置248a,248bのメンテナンス時間が基板処理装置100のプロセス処理時間よりも短い場合の主制御部25の処理シーケンスについて、図5を参照して説明する。
【0101】
プロセスレシピが開始されると、基板処理装置100のプロセス処理(1回目)と同時に、例えば除害装置248aが稼働され、処理室201から排気された排気ガスは、メインポンプ246、三方バルブ249aを介して除害装置248aに供給される。除害装置248aでは、燃焼部312aにより燃焼処理が実行される。
【0102】
そして、基板処理装置100のプロセス処理(1回目)の終了時に、プロセス処理終了信号が主制御部25を介して排気コントローラ15に送信され、プロセス処理終了信号を取得した排気コントローラ15は、除害装置248bがメンテナンス中または異常停止のいずれかか否かを判定する。
【0103】
除害装置248bがメンテナンス中または異常停止のいずれかでないと判定されると、除害装置248bが稼働され、処理室201から排気された排気ガスは、メインポンプ246、三方バルブ249a、三方バルブ249bを介して除害装置248bに供給される。除害装置248bでは、燃焼部312bにより燃焼処理が実行される。これと同時に、除害装置248aが停止されて、稼働状態がメンテナンス中に切り替えられて、メンテナンス処理が実行される。
【0104】
そして、基板処理装置100のプロセス処理(2回目)の開始時に、プロセス処理開始信号が主制御部25を介して排気コントローラ15に送信され、プロセス処理開始信号を取得した排気コントローラ15は、除害装置248aがメンテナンス中または異常停止のいずれかか否かを判定する。
【0105】
除害装置248aがメンテナンス中または異常停止であると判定されると、除害装置248bがそのまま稼働され、処理室201から排気された排気ガスは、メインポンプ246、三方バルブ249a、三方バルブ249bを介して除害装置248bに供給されて、燃焼部312bにより燃焼処理が実行される。
【0106】
そして、基板処理装置100のプロセス処理(2回目)の終了時に、プロセス処理終了信号が主制御部25を介して排気コントローラ15に送信され、プロセス処理終了信号を取得した排気コントローラ15は、除害装置248aがメンテナンス中または異常停止のいずれかか否かを判定する。
【0107】
ここで、除害装置248aの稼働状態が、図5に示されているように、メンテナンス処理が終了し待機中である場合(除害装置のメンテナンスに係る時間がプロセス処理の実行時間よりも短い場合)には、除害装置の稼働状態は待機中に変更されている。そして、プロセス処理(2回目)の終了時に、稼働中の除害装置248bと待機中の除害装置248aとの切替が行われるよう制御する。具体的には、稼働中の除害装置248bが停止されてメンテナンス中に切り替えて、メンテナンス処理を実行する。これと同時に、待機中となっていた除害装置248aが稼働され、処理室201から排気された排気ガスは、メインポンプ246、三方バルブ249aを介して除害装置248aに供給されて、燃焼部312aにより燃焼処理が実行される。
【0108】
そして、基板処理装置100のプロセス処理(3回目)の開始時に、プロセス処理開始信号が主制御部25を介して排気コントローラ15に送信され、プロセス処理開始信号を取得した排気コントローラ15は、除害装置248bがメンテナンス中または異常停止のいずれかか否かを判定する。
【0109】
除害装置248bがメンテナンス中または異常停止であると判定されると、除害装置248aがそのまま稼働され、処理室201から排気された排気ガスは、メインポンプ246、三方バルブ249aを介して除害装置248aに供給されて、燃焼部312aにより燃焼処理が実行される。
【0110】
そして、基板処理装置100のプロセス処理(3回目)の終了時に、プロセス処理終了信号が主制御部25を介して排気コントローラ15に送信され、プロセス処理終了信号を取得した排気コントローラ15は、除害装置248bがメンテナンス中または異常停止のいずれかか否かを判定する。
【0111】
そして、除害装置248bが、メンテナンス処理が終了し待機中である場合には、稼働中の除害装置248aと待機中の除害装置248bとの切替が行われるよう制御する。具体的には、稼働中の除害装置248aが停止されてメンテナンス中に切り替えて、メンテナンス処理を実行する。これと同時に、待機中となっていた除害装置248bが稼働され、処理室201から排気された排気ガスは、メインポンプ246、三方バルブ249a、三方バルブ249bを介して除害装置248bに供給されて、燃焼部312bにより燃焼処理が実行される。
【0112】
次に、除害装置248a,248bのメンテナンス時間が基板処理装置100のプロセス処理時間よりも長い場合の主制御部25の処理シーケンスについて、図6を参照して説明する。
【0113】
プロセスレシピが開始されると、基板処理装置100のプロセス処理(1回目)と同時に、例えば除害装置248aが稼働され、処理室201から排気された排気ガスは、メインポンプ246、三方バルブ249aを介して除害装置248aに供給される。除害装置248aでは、燃焼部312aにより燃焼処理が実行される。
【0114】
そして、基板処理装置100のプロセス処理(1回目)の終了時に、プロセス処理終了信号が主制御部25を介して排気コントローラ15に送信され、プロセス処理終了信号を取得した排気コントローラ15は、除害装置248bがメンテナンス中または異常停止のいずれかか否かを判定する。
【0115】
除害装置248bがメンテナンス中または異常停止のいずれかでないと判定されると、除害装置248bが稼働され、処理室201から排気された排気ガスは、メインポンプ246、三方バルブ249a、三方バルブ249bを介して除害装置248bに供給される。除害装置248bでは、燃焼部312bにより燃焼処理が実行される。これと同時に、除害装置248aが停止されて、稼働状態をメンテナンス中に切り替えて、メンテナンス処理を実行する。
【0116】
そして、基板処理装置100のプロセス処理(2回目)の開始時に、プロセス処理開始信号が主制御部25を介して排気コントローラ15に送信され、プロセス処理開始信号を取得した排気コントローラ15は、除害装置248aがメンテナンス中または異常停止のいずれかか否かを判定する。
【0117】
除害装置248aがメンテナンス中または異常停止であると判定されると、除害装置248bがそのまま稼働され、処理室201から排気された排気ガスは、メインポンプ246、三方バルブ249a、三方バルブ249bを介して除害装置248bに供給されて、燃焼部312bにより燃焼処理が実行される。
【0118】
そして、基板処理装置100のプロセス処理(2回目)の終了時に、プロセス処理終了信号が主制御部25を介して排気コントローラ15に送信され、プロセス処理終了信号を取得した排気コントローラ15は、除害装置248aがメンテナンス中または異常停止のいずれかか否かを判定する。
【0119】
ここで、除害装置248aが、図6に示されているように、メンテナンス中である場合(除害装置248aのメンテナンスに係る時間がプロセス処理の実行時間よりも長い場合)には、次のプロセス処理は待機され、除害装置248aのメンテナンス処理が終了し、次のプロセス処理(3回目)が開始される。尚、次のプロセス処理が開始しなくても待機時間が所定時間を超えた場合、稼働中の除害装置を停止するようにしてもよい。また、除害装置248aが異常停止の場合は除害装置248bの燃焼処理を継続する。
【0120】
そして、基板処理装置100のプロセス処理(3回目)の開始時に、プロセス処理開始信号が主制御部25を介して排気コントローラ15に送信され、装置プロセス処理開始信号を取得した排気コントローラ15は、除害装置248aがメンテナンス終了したか否かを判定する。
【0121】
除害装置248aがメンテナンス終了して待機中であると判定されると、除害装置248aが稼働され、処理室201から排気された排気ガスは、メインポンプ246、三方バルブ249aを介して除害装置248aに供給されて、燃焼部312aにより燃焼処理が実行される。これと同時に、除害装置248bが停止されて、稼働状態をメンテナンス中に切り替えて、メンテナンス処理を実行する。
【0122】
そして、基板処理装置100のプロセス処理(3回目)の終了時に、プロセス処理終了信号が主制御部25を介して排気コントローラ15に送信され、プロセス処理終了信号を取得した排気コントローラ15は、非稼働状態の除害装置248bがメンテナンス中または異常停止のいずれかか否かを判定する。
【0123】
そして、除害装置248bが、メンテナンス中である場合には、メンテナンス処理が終了するまでメンテナンス処理を実行し、除害装置248aは、燃焼処理が終了するまで燃焼処理を実行する。また、除害装置248bが、異常停止の場合には、除害装置248aは、燃焼処理が終了するまで燃焼処理を実行する。
【0124】
(7)本実施形態による効果
本実施形態によれば、以下に示す1つ又は複数の効果が得られる。
【0125】
(a)主制御部25と排気コントローラ15を連動させて、除害装置に付着した副生成物を除去させるので、除害装置の閉塞による装置停止を避けることができ、装置の稼働率を向上させることができる。
【0126】
(b)主制御部25により、搬送コントローラ11、温度コントローラ12、圧力コントローラ13、ガス供給コントローラ14及び排気コントローラ15を一括管理することにより、装置の情報、メインポンプ246、除害装置248等の情報を取得して、より精度の高い管理や各装置と連動した制御が可能となる。
【0127】
(c)複数の除害装置をプロセスレシピ実行毎に、交互に使用することで、燃焼処理により発生した副生成物の固化が進行する前に、副生成物を除去することが可能である。
【0128】
(d)主制御部25と排気コントローラ15を連動させて、主制御部25が除害装置248の切替タイミングを決定するようにしているので、除害装置248のメンテナンスの閾値に到達する前にメンテナンス処理が行われるようにしている。これにより、除害装置のメンテナンス周期が延伸でき、装置稼働率が向上されると共にメンテナンス費用が削減される。
【0129】
(e)主制御部25が除害装置248の切替信号をプロセスレシピの開始時(または終了時)に排気コントローラ15に出力するようにしているので、プロセスレシピの成膜工程実行中に除害装置248のメンテナンスの閾値に到達し、エラーが発生してもプロセスレシピが継続して実行され、プロセスレシピ実行後にメンテナンス処理が行われるようにしている。これにより、装置稼働率が向上される。
【0130】
(8)他の構成例
図7は、他の構成例を示す図である。本構成例では、排気管231、補助ポンプ244、メインポンプ246及び除害装置248により、排気ユニット310が構成される。除害装置248は、上述した三方バルブ249a,249b、除害装置248a,248bにより構成されている。
【0131】
基板処理装置100aは、筐体111が3階に設置され、1階に補助ポンプ244とメインポンプ246と除害装置248がガス流の上流側から順に設置されて、3階の筐体111と1階の補助ポンプ244とが排気管231で接続されている。
【0132】
基板処理装置100bは、筐体111と補助ポンプ244とメインポンプ246がガス流の上流側から順に3階に設置され、1階に除害装置248が設置されて、3階のメインポンプ246と1階の除害装置248とが排気管231で接続されている。
【0133】
つまり、基板処理装置100と排気ユニット310が同じフロアに設置される場合の他、基板処理装置100a、100bのように、基板処理装置100と排気ユニット310の少なくとも一部が異なるフロアに設置されるような構成であっても、本発明を好適に適用でき、除害装置248a,248bに付着した副生成物を交互に除去して、装置の稼働率を向上させることができる。
【0134】
以上、本発明の実施形態を具体的に説明したが、本発明は上述の実施形態及び実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0135】
また、上述の実施形態では、補助ポンプ244、メインポンプ246、三方バルブ249a,249b及び除害装置248a,248bを制御する排気コントローラ15が主制御部25に接続される構成について説明した。しかしながら、本発明は、このような態様に限定されない。例えば、補助ポンプ244及びメインポンプ246を制御するポンプ制御部と、三方バルブ249a,249b及び除害装置248a,248bを制御する除害制御部とが、それぞれ個別に主制御部25に接続される場合にも、好適に適用可能である。
【0136】
また、上述の実施の形態では、一度に複数枚の基板を処理するバッチ式の縦型装置である処理装置を用いて成膜する例について説明したが、本発明はこれに限定されない。また、上述の実施形態では、ホットウォール型の処理炉を有する基板処理装置を用いて薄膜を成膜する例について説明したが、本発明はこれに限定されず、コールドウォール型の処理炉を有する基板処理装置を用いて薄膜を成膜する場合にも、好適に適用できる。
【0137】
また、本実施例に係る基板処理装置のような半導体ウエハを処理する半導体製造装置などに限らず、ガラス基板を処理するLCD(Liquid Crystal Display)製造装置にも適用することができる。
【符号の説明】
【0138】
100…基板処理装置
200…ウエハ(基板)
248a,248b…除害装置
249a,249b…三方バルブ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7