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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-10
(45)【発行日】2022-03-18
(54)【発明の名称】開放・地絡検出回路
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/155 20060101AFI20220311BHJP
   H03K 17/00 20060101ALI20220311BHJP
【FI】
H02M3/155 C
H03K17/00 B
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2018074193
(22)【出願日】2018-04-06
(65)【公開番号】P2019187050
(43)【公開日】2019-10-24
【審査請求日】2021-03-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000191238
【氏名又は名称】日清紡マイクロデバイス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099818
【弁理士】
【氏名又は名称】安孫子 勉
(72)【発明者】
【氏名】川端 健太郎
【審査官】麻生 哲朗
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-143831(JP,A)
【文献】特開2013-158167(JP,A)
【文献】特開平11-089098(JP,A)
【文献】特開2017-163655(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/155
H03K 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
出力端子に得られた出力電圧をフィードバック端子を介してフィードバック制御に供して前記出力電圧の出力を制御可能に構成されてなる電源回路における前記出力端子と前記フィードバック端子間の開放と地絡を検出する開放・地絡検出回路であって、
前記フィードバック端子の電圧が正常か否かを監視し、監視結果に応じた監視信号を出力するフィードバック電圧監視回路と、
前記フィードバック電圧監視回路により前記フィードバック電圧が正常ではないとする所定の監視信号が出力された場合に、前記フィードバック電圧が、前記出力端子と前記フィードバック端子間の開放時に対応する電圧、又は、前記フィードバック電圧が前記出力端子と前記フィードバック端子間の地絡時に対応する電圧のいずれであるかを判定し、当該判定結果に応じた判定信号を出力する開放・地絡判定回路と、
前記開放・地絡判定回路の出力に対して遅延を施して出力する遅延処理回路と、を具備し
前記開放・地絡判定回路は、反転入力端子に基準電圧が設定されたコンパレータを有すると共に、前記出力端子と前記フィードバック端子間が開放状態となり、前記フィードバック電圧監視回路により前記フィードバック電圧が正常ではないとする所定の監視信号が出力された場合に、前記コンパレータの基準電圧を超える前記コンパレータの非反転入力端子へ対する印加電圧を生成する一方、前記出力端子と前記フィードバック端子間が短絡状態となり、前記フィードバック電圧監視回路により前記フィードバック電圧が正常ではないとする所定の監視信号が出力された場合に、前記コンパレータの基準電圧を下回る前記コンパレータの非反転入力端子へ対する印加電圧を生成し、前記出力端子と前記フィードバック端子間が開放状態の場合に前記コンパレータにより前記判定信号として論理値Highに対応する出力電圧が、前記出力端子と前記フィードバック端子間が短絡状態の場合に前記コンパレータにより前記判定信号として論理値Lowに対応する出力電圧が、それぞれ出力可能に構成されてなることを特徴とする開放・地絡検出回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源回路の出力端子における開放、地絡を検出する開放・地絡検出回路に係り、特に、比較的簡素な構成で開放・地絡の判別検出の実現を図ったものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スイッチング電源等の電源回路においては、出力電圧の異常時における電源回路と負荷の保護のために、様々な保護回路等を用いた回路保護が図られていることは良く知られている通りである(例えば、特許文献1等参照)。
【0003】
近年のスイッチング電源回路等においては、例えば、電流センス機能、パワーグッド機能、OVP(Over Voltage Protection)機能と称される回路保護のための様々な機能が電源回路の用途等に応じて適宜選択されて設けられることが多い。
【0004】
電流センス機能は、一般に、電源回路から負荷へ出力される電流の検出を行い、検出された電流値によって、出力段の異常の有無を判断可能とするものである。このような電流センス機能が設けられた電源回路においては、電流センス機能を、電源回路の出力端子と出力電圧制御のために設けられたフィードバック端子との間の電位差検出に移用することで、出力端子とフィードバック端子間の開放・地絡検出が可能である。
【0005】
また、出力電圧が所定の設定電圧に到達したことを検出可能としたパワーグッド機能が設けられた電源回路においては、出力電圧が設定電圧から外れたことを検出することができ、出力端子における異常発生の有無の判断が可能となる。
【0006】
さらに、OVP機能を有する電源回路においては、フィードバック端子の電圧をエラーアンプにより比較することでフィードバック端子の開放を検出することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2017-79444号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、電流センス機能を利用した出力端子・フィードバック端子間の開放・地絡検出にあっては、出力端子とフィードバック端子の双方を監視する必要がある上に、開放と地絡を個別に判別することができないため、開放か地絡かを個別に判別したいという要請に応えることができないという問題がある。
【0009】
また、パワーグッド機能を利用した開放・地絡検出にあっては、エラーアンプの入力電圧を監視することで開放・地絡検出を行うことはできるが、電流センス機能を利用した場合と同様に開放と地絡を個別に判別することができないという問題がある。
【0010】
さらに、OVP機能を利用した開放・地絡検出にあっては、出力端子の電圧を直接監視する必要があることに加えて、開放と地絡を個別に判別することができないという問題がある。
【0011】
本発明は、上記実状に鑑みてなされたもので、極力簡素な構成で出力端子とフィードバック端子間の開放と地絡を区別して検出可能とする開放・地絡検出回路を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記本発明の目的を達成するため、本発明に係る開放・地絡検出回路は、
出力端子に得られた出力電圧をフィードバック端子を介してフィードバック制御に供して前記出力電圧の出力を制御可能に構成されてなる電源回路における前記出力端子と前記フィードバック端子間の開放と地絡を検出する開放・地絡検出回路であって、
前記フィードバック端子の電圧が正常か否かを監視し、監視結果に応じた監視信号を出力するフィードバック電圧監視回路と、
前記フィードバック電圧監視回路により前記フィードバック電圧が正常ではないとする所定の監視信号が出力された場合に、前記フィードバック電圧が、前記出力端子と前記フィードバック端子間の開放時に対応する電圧、又は、前記フィードバック電圧が前記出力端子と前記フィードバック端子間の地絡時に対応する電圧のいずれであるかを判定し、当該判定結果に応じた判定信号を出力する開放・地絡判定回路と、
前記開放・地絡判定回路の出力に対して遅延を施して出力する遅延処理回路と、を具備し
前記開放・地絡判定回路は、反転入力端子に基準電圧が設定されたコンパレータを有すると共に、前記出力端子と前記フィードバック端子間が開放状態となり、前記フィードバック電圧監視回路により前記フィードバック電圧が正常ではないとする所定の監視信号が出力された場合に、前記コンパレータの基準電圧を超える前記コンパレータの非反転入力端子へ対する印加電圧を生成する一方、前記出力端子と前記フィードバック端子間が短絡状態となり、前記フィードバック電圧監視回路により前記フィードバック電圧が正常ではないとする所定の監視信号が出力された場合に、前記コンパレータの基準電圧を下回る前記コンパレータの非反転入力端子へ対する印加電圧を生成し、前記出力端子と前記フィードバック端子間が開放状態の場合に前記コンパレータにより前記判定信号として論理値Highに対応する出力電圧が、前記出力端子と前記フィードバック端子間が短絡状態の場合に前記コンパレータにより前記判定信号として論理値Lowに対応する出力電圧が、それぞれ出力可能に構成されてなるものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、従来と異なり、比較的簡素な構成で、フィードバック端子の電圧だけを監視することで、出力端子とフィードバック端子間の開放か地絡かを区別して検出することができ、故障の状況を的確に把握することができるので、故障の状況に応じた適切な対応を図ることが可能となり、電源回路の信頼性、安全性の向上に寄与することができるという効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施の形態における開放・地絡検出回路の第1の回路構成例を示す回路図である。
図2】本発明の実施の形態における開放・地絡検出回路において、出力端子・フィードバック端子間が開放状態となった場合の開放・地絡判定回路の動作状態を説明する等価回路図である。
図3】本発明の実施の形態における開放・地絡検出回路において、出力端子・フィードバック端子間が地絡状態となった場合の開放・地絡判定回路の動作状態を説明する等価回路図である。
図4】本発明の実施の形態における開放・地絡検出回路の第2の回路構成例を示す回路図である。
図5】本発明の実施の形態における開放・地絡検出回路の第3の回路構成例を示す回路図である。
図6】本発明の実施の形態における開放・地絡検出回路によって出力端子・フィードバック端子間の開放が検出される場合の主要部の信号変化を示すタイミングチャートであって、図6(a)はスイッチング電源回路の出力電圧の変化を示すタイミングチャート、図6(b)はフィードバック端子の電圧変化を示すタイミングチャート、図6(c)はエラーアンプの反転入力端子の電圧変化を示すタイミングチャート、図6(d)は第1のコンパレータの出力変化を示すタイミングチャート、図6(e)は起動信号の変化を示すタイミングチャート、図6(f)はソフトスタート終了信号の変化を示すタイミングチャート、図6(g)は第1のNOR回路の出力変化を示すタイミングチャート、図6(h)は第2のコンパレータの非反転入力端子の電圧変化を示すタイミングチャート、図6(i)は第2のコンパレータの出力変化を示すタイミングチャート、図6(j)は第2のNOR回路の出力変化を示すタイミングチャート、図6(k)は第1の遅延回路の出力変化を示すタイミングチャート、図6(l)は第1のAND回路の出力変化を示すタイミングチャート、図6(m)は第3のNOR回路の出力変化を示すタイミングチャート、図6(n)は第2の遅延回路の出力変化を示すタイミングチャート、図6(o)は第2のAND回路の出力変化を示すタイミングチャートである。
図7】本発明の実施の形態における開放・地絡検出回路によって出力端子・フィードバック端子間の地絡が検出される場合の主要部の信号変化を示すタイミングチャートであって、図7(a)はスイッチング電源回路の出力電圧の変化を示すタイミングチャート、図7(b)はフィードバック端子の電圧変化を示すタイミングチャート、図7(c)はエラーアンプの反転入力端子の電圧変化を示すタイミングチャート、図7(d)は第1のコンパレータの出力変化を示すタイミングチャート、図7(e)は起動信号の変化を示すタイミングチャート、図7(f)はソフトスタート終了信号の変化を示すタイミングチャート、図7(g)は第1のNOR回路の出力変化を示すタイミングチャート、図7(h)は第2のコンパレータの非反転入力端子の電圧変化を示すタイミングチャート、図7(i)は第2のコンパレータの出力変化を示すタイミングチャート、図7(j)は第2のNOR回路の出力変化を示すタイミングチャート、図7(k)は第1の遅延回路の出力変化を示すタイミングチャート、図7(l)は第1のAND回路の出力変化を示すタイミングチャート、図7(m)は第3のNOR回路の出力変化を示すタイミングチャート、図7(n)は第2の遅延回路の出力変化を示すタイミングチャート、図7(o)は第2のAND回路の出力変化を示すタイミングチャートである。
図8】本発明の実施の形態における開放・地絡検出回路の主要部の真理値を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について、図1乃至図8を参照しつつ説明する。
なお、以下に説明する部材、配置等は本発明を限定するものではなく、本発明の趣旨の範囲内で種々改変することができるものである。
最初に、本発明の実施の形態における開放・地絡検出回路の第1の回路構成例について、図1を参照しつつ説明する。
図1に示された構成例は、本発明の実施の形態における開放・地絡検出回路201をスイッチング電源回路301に内蔵した場合の構成例である。
【0016】
最初に、スイッチング電源回路301について説明する。
このスイッチング電源回路301は、スイッチング制御回路(図1においては「CONTROL」と表記)302と、ドライバ回路303と、フィードバック回路304とに大別されて構成されたものとなっている。かかるスイッチング電源回路301の構成は、本発明特有のものではなく、基本的に従来回路と同様のものである。
【0017】
スイッチング制御回路302は、スイッチング電源回路に必要とされるスイッチング回路等の主要な回路が集積回路化されたものである。
このスイッチング制御回路302の出力段はドライバ回路303に接続されており、ドライバ回路303を介して所望の電圧が出力可能となっている。
【0018】
ドライバ回路303は、スイッチング制御回路302により生成された電圧をバッファ増幅して出力するものである。
このドライバ回路303の出力段は、出力端子31に接続されている。
出力端子31には、平滑用コイル313を介して負荷315が接続されると共に、平滑用コイル313と負荷315との接続点とグランドとの間には、平滑用コンデンサ314が接続されている。
【0019】
また、フィードバック端子32とグランドとの間には、第1及び第2の抵抗器316,317が、グランド側から第1の抵抗器(図1においては「R1」と表記)316、第2の抵抗器(図1においては「R2」と表記)317の順で直列接続されて設けられている。
この第1及び第2の抵抗器316,317によりフィードバック端子32の電圧が分圧されて、第1及び第2の抵抗器316,317の相互の接続点の電圧がフィードバック電圧として次述するエラーアンプ318に入力されるようになっている。
【0020】
第1及び第2の抵抗器316,317の相互の接続点は、演算増幅器を用いたエラーアンプ(図1においては「ERRAMP」と表記)318の反転入力端子に接続されている。
エラーアンプ318の非反転入力端子には、第1の基準電圧Vref1が印加されている。このエラーアンプ318からは、反転入力端子の入力電圧と第1の基準電圧Vref1との差分が増幅出力されて、フィードバック信号としてスイッチング制御回路302に入力され、出力電圧のフィードバック制御に供されるものとなっている。
【0021】
かかる構成のスイッチング電源回路301には、フィードバック端子電圧監視回路201と、開放・地絡判定回路202と、遅延処理回路203とを有して構成されてなる開放・地絡検出回路200が内蔵されている。
以下、開放・地絡検出回路200について説明する。
【0022】
最初に、各回路の具体的構成について説明する。
まず、フィードバック端子電圧監視回路201は、先のエラーアンプ318の反転入力端子におけるフィードバック電圧を監視して出力端子31における電圧が設定値に対して正常か否かを判定し、その判定結果を後段の開放・地絡判定回路202へ出力するものである。
【0023】
本発明の実施の形態におけるフィードバック端子電圧監視回路201は、第1のコンパレータ1と、3入力端子を有する第1のNOR回路(図1においては「NOR1」と表記)3とを主たる構成要素として構成されてなるものである。
第1のコンパレータ1の非反転入力端子には、先の第1及び第2の抵抗器316,317の相互の接続点が接続されて、エラーアンプ318の反転入力端子の電圧が印加されるものとなっている。
【0024】
また、第1のコンパレータ1の反転入力端子には、第2の基準電圧Vref2が印加されている。
この第1のコンパレータ1の出力端子は、第1のNOR回路3の一つの入力端子に接続されている。
【0025】
第1のNOR回路3の残余の2つの入力端子の一つには、ソフトスタート終了信号が、他の一つには、起動信号が、それぞれ入力されるようになっている。
そして、第1のNOR回路3の出力端子は、後段の開放・地絡判定回路202に次述するように接続されている。
【0026】
開放・地絡判定回路202は、第1乃至第4のMOSトランジスタ(図1においては、それぞれ「M1」、「M2」、「M3」、「M4」と表記)6~9と、第2のコンパレータ2と、第3及び第4の抵抗器(図1においては、それぞれ「R3」、「R4」と表記)11,12とを主たる構成要素として構成されてなるものである。
【0027】
この第1の構成例において、第1乃至第3のMOSトランジスタ6~8には、pチャンネルMOSFETが、第4のMOSトランジスタ9には、nチャンネルMOSFETが、それぞれ用いられている。
第1乃至第3のMOSトランジスタ6~8のソースは、相互に接続されて所要の内部電源電圧が印加されるようになっている。
第1のMOSトランジスタ6のゲートには、先の第1のNOR回路3の出力端子が接続されており、ドレインは第2のMOSトランジスタ7のドレインと相互に接続されている。そして、第1及び第2のMOSトランジスタ6,7のドレイン同士の接続点とグランドとの間には、定電流源13が設けられている。
【0028】
第2及び第3のMOSトランジスタ7,8は、次述するように接続されてカレントミラー回路を構成している。
すなわち、第2及び第3のMOSトランジスタ7,8は、ゲートが相互に接続されると共に、第2のMOSトランジスタ7のドレインに接続されて、第2のMOSトランジスタ7は、ダイオード接続状態とされている。
第3のMOSトランジスタ8のドレインは、次述する第3及び第4の抵抗器11,12の相互の接続点に接続されている。
【0029】
第4のMOSトランジスタ9のゲートには、先の第1のNOR回路3の出力端子が接続されている。
第4のMOSトランジスタ9のソースはグランドに接続される一方、ドレインには、第3の抵抗器11の一端が接続されている。
【0030】
第3及び第4の抵抗器11,12は直列接続されて、第4の抵抗器12の他端はフィードバック端子32に接続されている。
また、第3及び第4の抵抗器11,12の相互の接続点は、第2のコンパレータ2の非反転入力端子に接続されている。
【0031】
第2のコンパレータ2の反転入力端子には、第3の基準電圧Vref3が印加されている。
そして、第2のコンパレータ2の出力端子は、次述するように遅延処理回路203の入力段に接続されている。
【0032】
遅延処理回路203は、第2及び第3のNOR回路(図1においては、それぞれ「NOR2」、「NOR3」と表記)4,5と、第1及び第2の遅延回路(図1においては、それぞれ「DELAY1」、「DELAY2」と表記)14,15と、第1及び第2のAND回路(図1においては、それぞれ「AND1」、「AND2」と表記)16,17と、第1及び第2の出力制御回路(図1においては、それぞれ「CONT1」、「CONT2」と表記)18,19とを有して構成されたものとなっている。
【0033】
第2及び第3のNOR回路4,5は、いずれも2入力端子を有しているが、第2のNOR回路4は、その一つの入力端子が負論理入力となっている。
第2のNOR回路4の負論理入力の入力端子と第3のNOR回路5の一つの入力端子には、共に先の開放・地絡判定回路202の第2のコンパレータ2の出力端子が接続されている。
また、第2のNOR回路4の他方の入力端子と第3のNOR回路5の他方の入力端子は、共に先のフィードバック端子電圧監視回路201の第1のコンパレータ1の出力端子が接続されている。
【0034】
第2のNOR回路4の出力端子は、第1の遅延回路14の入力端子ENに、第3のNOR回路5の出力端子は、第2の遅延回路15の入力端子ENに、それぞれ接続されている。
第1及び第2のAND回路16,17は、いずれも2入力端子を有するもので、第1のAND回路16の一方の入力端子には、第1の遅延回路14の出力端子が、第2のAND回路17の一方の入力端子には、第2の遅延回路15の出力端子が、それぞれ接続されている。
【0035】
そして、第1及び第2のAND回路16,17のそれぞれの他方の入力端子は相互に接続されると共に、先の開放・地絡判定回路202の第2のコンパレータ2の出力端子が接続されている。
さらに、第1のAND回路16の出力端子は、第1の出力制御回路18の入力端子に、第2のAND回路17の出力端子は、第2の出力制御回路19の入力端子に、それぞれ接続されている。
【0036】
第1の出力制御回路18からは、出力端子31とフィードバック端子32との間が開放状態であることが検出されたことに対応する開放検出信号が、第2の出力制御回路19からは、出力端子31とフィードバック端子32との間が地絡状態であることが検出されたことに対応する地絡検出信号が、それぞれ出力されるものとなっている(詳細は後述)。
【0037】
次に、上記構成における動作について、図6及び図7を参照しつつ説明する。
最初に、出力端子31から所要の電圧が正常に出力されている通常時の動作について説明する。
スイッチング電源回路301が図示されない電源スイッチ等の投入により起動されると、スイッチング制御回路302内で生成された起動信号がフィードバック端子電圧監視回路201の第1のNOR回路3に入力されることとなる(図6(e)参照)。なお、本発明の実施の形態においては、起動信号は、回路動作開始時に論理値Lowに対応する電圧レベルとされるものとなっている。
【0038】
スイッチング制御回路302においては、起動信号の発生と共にソフトスタートが開始され、出力端子31における出力電圧VOUTは設定値に向かって上昇してゆく(図6(a)、図6(e)、及び、図6(f)参照)。なお、本発明の実施の形態においては、回路始動時におけるいわゆるソフトスタートのためのソフトスタート終了信号がスイッチング制御回路302内において生成され、第1のNOR回路3に入力されて、第1のNOR回路3からは後述する信号が出力されるものとなっている。
【0039】
このソフトスタート終了信号は、本発明の実施の形態においては、回路始動時事からソフトスタート期間が終了する時点まで論理値Highに対応する電圧レベルとされ、ソフトスタート終了時に論理値Lowに対応する電圧レベルとされるものとなっている(図6(f)参照)。
【0040】
出力電圧VOUT上昇中において、フィードバック端子電圧監視回路201の第1のコンパレータ1の非反転入力端子に印加されるERRAMP反転入力と第2の基準電圧Vref2との大小関係は、ERRAMP反転入力<第2の基準電圧Vref2となる(図6(c)の時刻t1~t2間参照)。
【0041】
ERRAMP反転入力<第2の基準電圧Vref2により、第1のコンパレータ1は論理値Lowに対応する電圧出力となる。
一方、ソフトスタート終了信号は、ソフトスタート終了時まで論理値Highに相当する電圧レベルであるため、時刻t1~t2における第1のNOR回路3の出力VO_ERRは、論理値Lowに相当する電圧レベルとなる(図6(g)参照)。
【0042】
第1のNOR回路3の出力VO_ERRが論理値Lowに相当する電圧レベルとなることで、開放・地絡判定回路202においては、第4のMOSトランジスタ9はOFF状態となる。そのため、第2のコンパレータ2の非反転入力端子におけるフィードバックモニタ電圧FB_MONITORは、第3の基準電圧Vref3より大となる(図6(h)参照)。その結果、第2のコンパレータ2の出力は、論理値Highに相当する電圧レベルとなる(図6(i)参照)。
【0043】
ERRAMP反転入力が第2の基準電圧Vref2を超える時刻t2までの間、遅延処理回路203の第2のNOR回路4の負論理入力の入力端子には、上述の第2のコンパレータ2からの論理値Highに相当する電圧レベルの信号が印加される。
【0044】
一方、第2のNOR回路4の他方の入力端子(正論理入力端子)には、第1のコンパレータ1からの論理値Lowに相当する電圧レベルの信号が印加される。
その結果、第2のNOR回路4の出力は、論理値Lowに相当する電圧レベルとなる(図6(j)参照)。
【0045】
また、第3のNOR回路5においては、第2のコンパレータ2からの論理値Highに対応する電圧レベルの信号と、第1のコンパレータ1からの論理値Lowに相当する電圧レベルの信号が印加される結果、出力信号は、第2のNOR回路4同様、論理値Lowに相当する電圧レベルとなる(図6(m)参照)。
【0046】
第1及び第2の遅延回路14,15は、いずれも入力端子ENに論理値Highに相当する電圧レベルの信号が入力された際に、所定の遅延時間の後に論理値Highに相当する電圧レベルの信号を出力するよう構成されてなるものである。
したがって、上述のように第2及び第3のNOR回路4,5がいずれも論理値Lowに相当する電圧レベルの出力状態である場合には、第1及び第2の遅延回路14,15のいずれも、その出力は論理値Lowに相当する状態となる(図6(k)及び図6(n)参照)。
【0047】
第1及び第2の遅延回路14,15の出力が論理値Lowに相当する状態であるため、この第1及び第2の遅延回路14,15の出力信号が入力される第1及び第2のAND回路16,17においては、他の入力信号が如何なる状態かに拘わらず、AND条件は成立せず、いずれの出力も論理値Lowに相当する状態となる(図6(l)及び図6(o)参照)。
【0048】
その結果、時刻t2までの間において、第1の出力制御回路18からは開放検出信号が出力されることはなく、また、第2の出力制御回路19からは地絡検出信号が出力されることはない。
【0049】
次に、ERRAMP反転入力が出力電圧VOUTの上昇に伴い第2の基準電圧Vref2を超え、その後、電圧VOUTが所要の電圧に到達したのに対応してERRAMP反転入力も相応の電圧レベルに達した状態となり、ソフトスタート期間が終了するまでの期間、すなわち、図6の時刻t2から時刻t3の期間における回路動作について説明する。
【0050】
ERRAMP反転入力が第2の基準電圧Vref2を超えることで、第1のコンパレータ1の出力は、論理値Lowから論理値Highに対応する電圧レベルに変化する(図6(d)の時刻t2の時点参照)。
第1のコンパレータ1の出力が論理値Highに相当する電圧レベルとなっても、ソフトスタート終了信号が論理値Highに相当する電圧レベルであるため、第1のNOR回路3の出力状態は変化することなく論理値Lowに相当する電圧レベルのままである(図6(g)の時刻t2の時点参照)。
【0051】
このため、第1のNOR回路3の出力信号が入力される開放・地絡判定回路202における動作にも変化は無く、その第2のコンパレータ2の出力は論理値Highに相当する電圧レベルのままである(図6(i)参照)。
したがって、遅延処理回路203においても回路動作に変化は無く、第1の出力制御回路18、第2の出力制御回路19からの検出信号の出力は無い状態が維持されることとなる。
【0052】
次に、ソフトスタート時間が終了し、出力端子31とフィードバック端子32との間が開放状態となるまでの間、すなわち、図6の時刻t3からt4の期間における回路動作について説明する。
まず、ソフトスタート期間は、ソフトスタート終了信号が論理値Highから論理値Lowに相当する電圧レベルとなることで終了するものとなってる(図6(f)の時刻t3の時点参照)。
【0053】
ソフトスタート期間終了により回動作路は、通常の動作状態となる。
ソフトスタート期間が終了し、通常動作状態に移った時点において、上述した主要部の信号の内、ソフトスタート終了信号だけが上述したように論理値Highから論理値Lowに相当する電圧レベルに変化するが(図6(f)の時刻t3の時点参照)、他の信号は、出力端子31とフィードバック端子32との間の接続が正常であれば、それ以前と同様の状態である(図6の時刻t3~t4の期間参照)。
したがって、遅延処理回路203における回路動作に変化は無く、第1の出力制御回路18、第2の出力制御回路19からの検出信号の出力は無い状態が維持されることとなる。
【0054】
次に、図6の時刻t4において、出力端子31とフィードバック端子間が開放状態となったと仮定する。
ERRAMP反転入力は、第1の抵抗器316により、グランド電位まで低下する(図6(c)の時刻t4の時点参照)。
これによって、ERRAMP反転入力<第2の基準電圧Vref2となるため、第1のコンパレータ1の出力は、論理値Highから論理値Lowに対応する電圧レベルとなる(図6(d)における時刻t4の時点参照)。
【0055】
第1のコンパレータ1の出力が論理値Lowに相当する電圧レベルとなることで、第1のNOR回路3の3入力全てが論理値Lowに相当する電圧レベルとなるため、第1のNOR回路3の出力VO_ERR(監視信号)は、論理値Highに相当する電圧レベルとなる(図6(g)における時刻t4の時点参照)。
【0056】
第1のNOR回路3の出力VO_ERRが論理値Highに相当する電圧レベルとなると、第1のMOSトランジスタ6はOFF状態となる一方、第4のMOSトランジスタ9はON状態となる。
図2には、この場合の第1のMOSトランジスタ6を開成状態のスイッチ、第4のMOSトランジスタ9を閉成状態のスイッチに、それぞれ等価であるとした場合の、開放・地絡判定回路202の等価回路図が示されており、以下、同図を参照しつつ主要部の信号の変化について説明する。
【0057】
まず、第1のMOSトランジスタ6がOFF状態となることで、第2及び第3のMOSトランジスタ7,8が動作状態となる。
また、第4のMOSトランジスタ9がON状態となることで、第4のMOSトランジスタ9のドレインと接続された第3の抵抗器11の一方の端部はグランドに接続されることとなる。
【0058】
結局、第3抵抗器11は、第3のMOSトランジスタ8のドレインと第2のコンパレータ2の非反転入力端子との接続点とグランドとの間に、直列接続された状態とされることとなる(図2参照)。
また、第3のMOSトランジスタ8のドレインと第2のコンパレータ2の非反転入力端子との接続点とグランドとの間には、第2のコンパレータ2の非反転入力端子側から順に、第4の抵抗器12、第2の抵抗器317、及び、第1の抵抗器316が直列接続された状態となる(図2参照)。
【0059】
したがって、第3のMOSトランジスタ8のドレインと第2のコンパレータ2の非反転入力端子との接続点とグランドとの間には、第3の抵抗器11と、直列接続状態の第4の抵抗器12、第2の抵抗器317、及び、第1の抵抗器316とが並列接続された状態となる。
なお、図2において、第2の抵抗器317と第4の抵抗器12の相互の接続点における”FB=HIZ”の表記は、この接続点は、開放状態のフィードバック端子32との接続点であるために高インピーダンス状態にあることを意味する。
【0060】
かかる接続状態において、第2及び第3のMOSトランジスタ7,8によるカレントミラー回路の動作によって、第3のMOSトランジスタ8から電流IMONITORが、第3の抵抗器11と、直列接続状態の第4の抵抗器12、第2の抵抗器317、及び、第1の抵抗器316に流れ込み、第2のコンパレータ2の非反転入力端子の電圧は、下記する式1で表される電圧レベルとなる。
【0061】
VFBMONITOR(OPEN)=IMONITOR×{R3//(R4+R2+R1)}・・・式1
【0062】
なお、R1は第1の抵抗器316の抵抗値、R2は第2の抵抗器317の抵抗値、R3は第3の抵抗器11の抵抗値、R4は第4の抵抗器12の抵抗値であるとする。
また、{R3//(R4+R2+R1)}は、第3の抵抗器11と、第1及び第2の抵抗器316,317並びに第4の抵抗器12の直列抵抗器との並列接続抵抗値を意味する。
【0063】
各素子の定数設定に際しては、VFBMONITOR(OPEN)>Vref3が成立するように、電流IMONITORの電流値、R1~R4の各抵抗値を、適宜に設定することで、第2のコンパレータ2の出力(判定信号)は、論理値Highに相当する電圧となる(図6(h)及び図6(i)の時刻t4の時点参照)。
【0064】
そして、時刻t4の時点において、遅延処理回路203にあっては、第2のNOR回路4の負論理入力端子には、上述の第2のコンパレータ2の論理値Highに相当する電圧レベルの信号が入力される一方、第2のNOR回路4の他方の入力端には、第1のコンパレータ1からの論理値Lowに相当する電圧レベルの信号が入力される。その結果、第2のNOR回路4は、論理値Highに相当する電圧レベルの信号を出力することとなり(図6(j)の時刻t4の時点参照)、第1の遅延回路14にトリガー信号として入力されることとなる。
【0065】
その結果、第1の遅延回路14は、第2のNOR回路4からの論理値Highに相当する電圧レベルの信号が入力された時点から所定の遅延時間経過後に論理値Highに相当する電圧レベルの信号を出力することとなる(図6(k)の時刻t5の時点参照。
【0066】
一方、時刻t4の時点において、第3のNOR回路5においては、第2のコンパレータ2の論理値Highに相当する電圧レベルの信号が入力されるため、第3のNOR回路5の出力は、論理値Lowに相当する状態となる(図6(m)参照)。したがって、第2の遅延回路15は、第1の遅延回路14と異なり、その出力は論理値Lowに相当する電圧レベルのままである(図6(n)参照)。
【0067】
第1の遅延回路14からの論理値Highに相当する電圧レベルの信号は、第1のAND回路16の一方の入力端子に入力される一方、この時、他方の入力端子には、先の第2のコンパレータ2の論理値Highに相当する電圧レベルの信号が入力される。その結果、第1のAND回路16からは、フィードバック端子32の開放が検出されたことに対応する論理値Highに相当する電圧レベルの開放検出信号OPENが出力されることとなる(図6(l)の時刻t5の時点参照)。
第1の出力制御回路18からは、第1のAND回路16からの開放検出信号に応じて、所要の電圧レベルの信号が出力される。
【0068】
一方、この場合、先に述べたように第2の遅延回路15の出力は、論理値Lowに対応する状態であるため、第2のAND回路17の出力も同様に論理値Lowに対応する状態である。したがって、第2の出力御回路19からは何ら信号は出力されない状態である。
【0069】
次に、出力端子31とフィードバック端子32間が地絡した場合の回路動作について、図7を参照しつつ説明する。
最初に、図示されない電源スイッチ等の投入によりスイッチング電源回路301が起動されて正常に動作を開始して、出力端子31とフィードバック端子32間が地絡状態となるまでの回路動作については、図6を参照しつつ説明した、出力端子31とフィードバック端子32間が開放状態となるまでの回路動作と基本的に同様であるので、ここでの再度の詳細な説明は省略することとする。
【0070】
次に、図7の時刻t4の時点において、出力端子31とフィードバック端子32間が地絡状態となったと仮定する。
出力端子31とフィードバック端子32間が地絡状態となることにより、第2の抵抗器317と第4の抵抗器12の接続点がグランドに接続された状態となる。
したがって、第1のコンパレータ1の非反転入力端子はグランド電位となり、第1のコンパレータ1の出力は、論理値Lowに対応する状態となる(図7(d)の時刻t4の時点参照)。
【0071】
これによって、第1のNOR回路3の3つの入力は全て論理値Lowに対応する状態となるため、第1のNOR回路3の出力VO_ERRは、論理値Highに相当する電圧レベルとなる(図7(g)の時刻t4の時点参照)。
第1のNOR回路3の出力VO_ERR(監視信号)が論理値Highに相当する電圧レベルとなると、第1のMOSトランジスタ6は、OFF状態となる一方、第4のMOSトランジスタ9はON状態となる。
【0072】
図3には、この場合の第1のMOSトランジスタ6を開成状態のスイッチ、第4のMOSトランジスタ9を閉成状態のスイッチに、それぞれ等価であるとした場合の、開放・地絡判定回路202の等価回路図が示されており、以下、同図を参照しつつ主要部の信号の変化について説明する。
まず、第1のMOSトランジスタ6がOFF状態となることで、第2及び第3のMOSトランジスタ7,8が動作状態となる。
【0073】
第4のMOSトランジスタ9がON状態となることで、第4のMOSトランジスタ9のドレインと接続された第3の抵抗器11の一方の端部はグランドに接続されることとなる。
その結果、第2のコンパレータ2の非反転入力端子とグランドとの間に、第3の抵抗器11と第4の抵抗器12が並列接続された状態となる(図3参照)。
【0074】
かかる接続状態において、第3のMOSトランジスタ8から電流IMONITORが、第3の抵抗器11と第4の抵抗器12の並列接続部分に流れ込み、第2のコンパレータ2の非反転入力端子の電圧は、下記する式2で表される電圧レベルとなる。
【0075】
VFBMONITOR(SHORT)=IMONITOR×(R3//R4)・・・式2
【0076】
ここで、(R3//R4)は、第3の抵抗器11と第4の抵抗器12の並列接続抵抗値を意味する。
式2で表される電圧は、式1で表される電圧と比較すると、式1と異なり(R2+R3)が無い分低くなる。
したがって、各素子の定数設定に際しては、VFBMONITOR(SHORT)<Vref3が成立するように、電流IMONITORの電流値、R3、R4の各抵抗値を、適宜に設定することで、第2のコンパレータ2の出力(判定信号)は、論理値Lowに相当する電圧となる(図7(h)及び図7(i)の時刻t4の時点参照)。
【0077】
第2のコンパレータ2の出力が論理値Lowの状態となることで、第2のNOR回路4の出力は、論理値Lowに相当する状態となる(図7(j)の時刻t4の時点参照)一方、第3のNOR回路5の出力は、論理値Highに相当する状態となる(図7(m)の時刻t4の時点参照)。
【0078】
第3のNOR回路5の論理値Highに相当する電圧レベルの信号は、第2の遅延回路15にトリガー信号として入力されることとなる。
その結果、第2の遅延回路15は、第3のNOR回路5からの論理値Highに相当する電圧レベルの信号が入力された時点から所定の遅延時間経過後に論理値Highに相当する電圧レベルの信号を出力することとなる(図7(n)の時刻t5の時点参照)。
【0079】
一方、第2のNOR回路4の出力は、論理値Lowに状態にあるため(図7(j)の時刻t4の時点参照)、第1の遅延回路14へのトリガー信号の入力は無く、第1の遅延回路14から信号の出力は行われない。
したがって、第1のAND回路16の入力信号のANDは不成立であるため、第1のAND回路16からの信号の出力は無く、第1の出力制御回路18からの信号の出力も無い。
【0080】
一方、第2のAND回路17において入力信号のAND条件が成立するため、第2のAND回路17からは、出力端子31とフィードバック端子32間における地絡が検出されたことに対応する論理値Highに相当する電圧レベルの地絡検出信号SHORTが出力されることとなる(図7(o)の時刻t5の時点参照)。
第2の出力制御回路19からは、第2のAND回路17からの地絡検出信号に応じて、所要の電圧レベルの信号が出力される。
【0081】
ここで、第1及び第2の抵抗器316,317と、第3及び第4の抵抗器11,12と、IMONITORの具体的な回路定数の設定例を説明する。
例えば、IMONITOR=30μAとし、R1=30kΩ、R2=120kΩ、R3=360kΩ、R4=40kΩと設定し、さらに、第3の基準電圧Vref3=2Vと設定したとする。また、第4のMOSトランジスタ9のON抵抗は、R3、R4と比較して十分小さく設定すると好適である。
かかる条件の下、第2のコンパレータ2の非反転入力端子の電圧VFBMONITOR(OPEN)、VFBMONITOR(SHORT)は、それぞれ以下のようになる。
【0082】
まず、VFBMONITOR(OPEN)は、VFBMONITOR(OPEN)=30μA×{360kΩ//(40kΩ+120kΩ+30kΩ)}=30μA×124.36kΩ=3.73Vとなり、VFBMONITOR(OPEN)>Vref3が成立する。
【0083】
一方、VFBMONITOR(SHORT)は、VFBMONITOR(SHORT)=30μA×(360kΩ//40kΩ)=30μA×36kΩ=1.08Vとなり、VFBMONITOR(SHORT)<Vref3が成立する。
【0084】
このように、本発明の実施の形態における開放・地絡検出回路の開放・地絡判定回路202においては、出力端子31とフィードバック端子32間における開放、地絡に応じて、第2のコンパレータ2の非反転入力端子において、それぞれ異なる電圧が生成され、開放、地絡に応じた検出信号を出力できるものとなっている。
【0085】
基本的には、この開放・地絡判定回路202の出力信号を、開放、地絡の検出結果とすることができるが、実際には、負荷過渡応答特性などによって負荷315の急激な変動が生じた場合に誤検出となる虞がある。そのため、本発明の実施の形態においては、遅延処理回路203を設けて開放・地絡判定回路202の判定結果に対して遅延時間を設けて誤検出防止を図っている。
【0086】
図8には、上述した開放・地絡検出における主要部の信号の状態を一覧にした真理値表が示されており、以下、同図について説明する。
同図においては、4つの回路動作状態、すなわち、”スイッチング電源回路301の起動からソフトスタート終了まで”、”通常動作”、”出力端子31とフィードバック端子32間開放”、”出力端子31とフィードバック端子32間地絡”の各々における、フィードバック端子電圧監視回路201の第1のNOR回路3の出力、開放・地絡判定回路202の第2のコンパレータ2の出力、遅延処理回路203の第1及び第2のAND回路16,17の出力の各々の真理値が示されている。
なお、図8において、開放・地絡判定回路202の第2のコンパレータ2の出力として、”HiZ”の表記は、高インピーダンス状態であることを意味する。
【0087】
この図8に示された真理値は、先に図6及び図7を参照しつつ説明した回路動作における対応する出力信号の状態を纏めたものであるので、個々の真理値については、ここでの再度の詳細な説明は省略することとする。
【0088】
次に、第2の構成例について、図4を参照しつつ説明する。
なお、図1に示された構成要素と同一の構成要素については、同一の符号を付して、その詳細な説明を省略し、以下、異なる点を中心に説明することとする。
この第2の構成例は、開放検出のみを行う構成としたものである。
【0089】
すなわち、この第2の構成例における遅延処理回路203Aは、第2のNOR回路4と、第1の遅延回路14と、第1のAND回路16と、第1の出力制御回路18とを有して構成されている。
かかる遅延処理回路203Aは、図1における遅延処理回路203と異なり、地絡検出信号を生成するために必要な第3のNOR回路5、第2の遅延回路15、第2のAND回路17、及び、第2の出力制御回路19が省かれた構成となっている。
なお、開放検出における回路動作は、図1に示された第1の構成例と同一であるので、ここでの再度の詳細な説明は省略する。
【0090】
次に、第3の構成例について、図5を参照しつつ説明する。
なお、図1に示された構成要素と同一の構成要素については、同一の符号を付して、その詳細な説明を省略し、以下、異なる点を中心に説明することとする。
この第3の構成例は、地絡検出のみを行う構成としたものである。
【0091】
すなわち、この第3の構成例における遅延処理回路203Bは、第3のNOR回路5と、第2の遅延回路15と、第2のAND回路17と、第2の出力制御回路19とを有して構成されている。
かかる遅延処理回路203Bは、図1における遅延処理回路203と異なり、開放検出信号を生成するために必要な第2のNOR回路4、第1の遅延回路14、第1のAND回路16、及び、第1の出力制御回路18が省かれた構成となっている。
なお、地絡検出における回路動作は、図1に示された第1の構成例と同一であるので、ここでの再度の詳細な説明は省略する。
【産業上の利用可能性】
【0092】
極力簡素な構成で出力端子とフィードバック端子間の開放と地絡を区別した検出が所望される電源回路に適用できる。
【符号の説明】
【0093】
201…フィードバック端子電圧監視回路
202…開放・地絡判定回路
203,203A,203B…遅延処理回路
301…スイッチング電源回路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8