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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-10
(45)【発行日】2022-03-18
(54)【発明の名称】荷電粒子検出のための方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   H01J 37/22 20060101AFI20220311BHJP
   H01J 37/244 20060101ALI20220311BHJP
   H01J 37/28 20060101ALI20220311BHJP
【FI】
H01J37/22 502H
H01J37/244
H01J37/22 502G
H01J37/28 B
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2019539748
(86)(22)【出願日】2018-02-01
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-02-27
(86)【国際出願番号】 EP2018052480
(87)【国際公開番号】W WO2018145983
(87)【国際公開日】2018-08-16
【審査請求日】2019-09-20
(31)【優先権主張番号】62/455,674
(32)【優先日】2017-02-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/577,129
(32)【優先日】2017-10-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】504151804
【氏名又は名称】エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ワン,ヨンジン
(72)【発明者】
【氏名】レン,ウェイミン
(72)【発明者】
【氏名】ドン,ゾンファ
(72)【発明者】
【氏名】チェン,ゾンウェイ
【審査官】山本 一
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-021346(JP,A)
【文献】特開2004-134387(JP,A)
【文献】特開2012-073953(JP,A)
【文献】特開平03-105575(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0178543(US,A1)
【文献】特表2017-515283(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01J 37/00-37/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出システムであって、
複数の電子感知素子から受け取った電子強度データに基づいて一組の強度勾配を生成する信号処理回路と、
ビームスポット処理モジュールであって、
前記一組の強度勾配に基づいて、ビームスポットの少なくとも1つの境界を決定し、
前記少なくとも1つの境界に基づいて、前記複数の電子感知素子のうちの第1の組の電子感知素子が、前記ビームスポットの内部にあると決定するビームスポット処理モジュールと、を含み、
前記ビームスポット処理モジュールは、前記ビームスポットの強度値を決定するビームスポット強度決定モジュールを更に含み、
前記ビームスポットの前記強度値の決定は、前記ビームスポット強度決定モジュールが、更に、
前記少なくとも1つの境界に基づいて、前記複数の電子感知素子のうちの第2の組の電子感知素子が、前記ビームスポットの外側にあると決定し、
前記第2の組の電子感知素子から受け取った電子強度データに基づいて、ノイズ成分を決定し、
前記第1の組の電子感知素子の前記電子強度データから決定された前記強度値と前記ノイズ成分との組み合わせに基づいて、補償された強度値を決定することを含む、
検出システム。
【請求項2】
検出システムであって、
ビームスポット処理モジュールであって、
複数の電子感知素子から一組の強度信号を取得し、
前記一組の強度信号に基づいて、ビームスポットの少なくとも1つの境界を決定し、
前記少なくとも1つの境界に基づいて、前記複数の電子感知素子のうちの第1の組の電子感知素子が、前記ビームスポットの内部にあると決定するビームスポット処理モジュール、を含み、
前記ビームスポット処理モジュールは、前記ビームスポットの強度値を決定するビームスポット強度決定モジュールを更に含み、
前記ビームスポットの前記強度値の決定は、前記ビームスポット強度決定モジュールが、更に、
前記少なくとも1つの境界に基づいて、前記複数の電子感知素子のうちの第2の組の電子感知素子が、前記ビームスポットの外側にあると決定し、
前記第2の組の電子感知素子から受け取った電子強度データに基づいて、ノイズ成分を決定し、
前記第1の組の電子感知素子の前記電子強度データから決定された前記強度値と前記ノイズ成分との組み合わせに基づいて、補償された強度値を決定することを含む、
検出システム。
【請求項3】
前記ビームスポット処理モジュールは更に、
前記第1の組の電子感知素子から受け取った電子強度データに基づいて、前記ビームスポットの強度値を決定する、請求項1に記載の検出システム。
【請求項4】
前記ビームスポット処理モジュールは、前記強度値に基づいてウェーハの画像を生成するように更に構成される、請求項3に記載の検出システム。
【請求項5】
前記信号処理回路は、前記一組の強度勾配を生成する強度勾配決定回路を含む、請求項1に記載の検出システム。
【請求項6】
前記強度勾配決定回路は、
前記複数の電子感知素子のうちの隣接する電子感知素子からの電子強度データの比較に基づいて、一組の比較決定結果を生成する一組の比較器を含み、前記一組の強度勾配は、前記生成された一組の比較決定結果に基づいて決定される、請求項5に記載の検出システム。
【請求項7】
前記ビームスポット処理モジュールは、ビームスポットの前記少なくとも1つの境界を決定するビームスポット境界決定モジュールを含む、請求項1に記載の検出システム。
【請求項8】
前記複数の電子感知素子はセンサ表面を形成し、ビームスポットの前記少なくとも1つの境界の前記決定は、前記ビームスポット境界決定モジュールが、更に、
前記一組の比較決定結果を、前記センサ表面上の一組の位置と関連付け、
前記一組の比較決定結果の所定のパターンに基づいて、前記一組の位置の中から第1の位置を決定し、
前記第1の位置は、前記少なくとも1つの境界の一部であると決定することを含む、請求項7に記載の検出システム。
【請求項9】
前記所定のパターンは、前記センサ表面上の第1の領域内部の第1の組の同一比較決定結果と、前記センサ表面上の第2の領域内部の第2の組の切り換わる比較決定結果とを含み、前記ビームスポット境界決定モジュールは、前記第1の位置を前記第1の領域と前記第2の領域との間の位置として決定する、請求項8に記載の検出システム。
【請求項10】
前記ビームスポット処理モジュールは、前記補償された強度値に基づいてウェーハの画像を生成する、請求項に記載の検出システム。
【請求項11】
前記ビームスポットの強度値の前記決定は、前記ビームスポット強度決定モジュールが、更に、
1つ又は複数の電子感知素子と前記少なくとも1つの境界との間の距離に基づいて、前記第2の組の電子感知素子から前記1つ又は複数の電子感知素子を選択し、
前記選択された1つ又は複数の電子感知素子から受け取った電子強度データに基づいて、ノイズ成分を決定することを含む、請求項10に記載の検出システム。
【請求項12】
前記ビームスポット処理モジュールは、強度値に基づいてウェーハの画像を生成する画像再構成モジュールを更に含む、請求項1に記載の検出システム。
【請求項13】
検出システムであって、
複数の電子感知素子から受け取った電子強度データに基づいて一組の強度勾配を生成する信号処理回路と、
ビームスポット処理モジュールであって、
前記一組の強度勾配に基づいて、第1のビームスポットの第1の境界及び第2のビームスポットの第2の境界を決定し、
前記第1の境界に基づいて、前記複数の電子感知素子のうちの第1の組の電子感知素子が、前記第1のビームスポットの内部にあると決定し、
前記第2の境界に基づいて、前記複数の電子感知素子のうちの第2の組の電子感知素子が、前記第2のビームスポットの内部にあると決定し、
前記第1及び第2の境界に基づいて、前記第1のビームスポットと前記第2のビームスポットとの間の重複領域を決定するビームスポット処理モジュールと、を含み
前記ビームスポット処理モジュールは、前記ビームスポットの強度値を決定するビームスポット強度決定モジュールを更に含み、
前記ビームスポットの前記強度値の決定は、前記ビームスポット強度決定モジュールが、更に、
前記少なくとも1つの境界に基づいて、前記複数の電子感知素子のうちの第2の組の電子感知素子が、前記ビームスポットの外側にあると決定し、
前記第2の組の電子感知素子から受け取った電子強度データに基づいて、ノイズ成分を決定し、
前記第1の組の電子感知素子の前記電子強度データから決定された前記強度値と前記ノイズ成分との組み合わせに基づいて、補償された強度値を決定することを含む、
検出システム。
【請求項14】
検出システムであって、
ビームスポット処理モジュールであって、
複数の電子感知素子から一組の強度信号を取得し、
前記一組の強度信号に基づいて、第1のビームスポットの第1の境界及び第2のビームスポットの第2の境界を決定し、
前記第1の境界に基づいて、前記複数の電子感知素子のうちの第1の組の電子感知素子が、前記第1のビームスポットの内部にあると決定し、
前記第2の境界に基づいて、前記複数の電子感知素子のうちの第2の組の電子感知素子が、前記第2のビームスポットの内部にあると決定し、
前記第1及び第2の境界に基づいて、前記第1のビームスポットと前記第2のビームスポットとの間の重複領域を決定するビームスポット処理モジュール、を含み、
前記ビームスポット処理モジュールは、前記ビームスポットの強度値を決定するビームスポット強度決定モジュールを更に含み、
前記ビームスポットの前記強度値の決定は、前記ビームスポット強度決定モジュールが、更に、
前記少なくとも1つの境界に基づいて、前記複数の電子感知素子のうちの第2の組の電子感知素子が、前記ビームスポットの外側にあると決定し、
前記第2の組の電子感知素子から受け取った電子強度データに基づいて、ノイズ成分を決定し、
前記第1の組の電子感知素子の前記電子強度データから決定された前記強度値と前記ノイズ成分との組み合わせに基づいて、補償された強度値を決定することを含む、
検出システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[001] 本出願は、「High Speed Electron Detection Method」と題された2017年2月7日に出願された米国仮特許出願第62/455,674号、及び「Method and Apparatus for Charged Particle Detection」と題された2017年10月25日に出願された米国仮特許出願第62/577,129号に基づいており、これらの出願の優先権を主張するものであり、これら両方の出願の開示内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
[002] 本開示は一般的に、荷電粒子ビームの分野に関し、より具体的には、荷電粒子検出のための方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0003】
[003] 集積回路(IC)の製造プロセスでは、未完成の又は完成した回路部品を検査して、それらが設計通りに製造され、欠陥がないことを保証する。光学顕微鏡を利用した検査システムは、通常、数百ナノメートルに至る分解能を有し、この分解能は、光の波長によって制限される。IC部品の物理的サイズが100ナノメートル未満、更には10ナノメートル未満に至るまで縮小し続けているので、光学顕微鏡を利用したものよりも高い分解能を実現する検査システムが必要である。
【0004】
[004] 走査電子顕微鏡(SEM)又は透過電子顕微鏡(TEM)などの、1ナノメートル未満に至る分解能を可能にする荷電粒子(例えば、電子)ビーム顕微鏡は、100ナノメートル未満のフィーチャサイズを有するIC部品を検査するための実用的なツールとして機能する。SEMを用いて、単一の一次電子ビームの電子、又は複数の一次電子ビームの電子を、検査中のウェーハの所定の走査位置に集束させることができる。一次電子はウェーハと相互作用し、後方散乱されるか、又はウェーハに二次電子を放出させることがある。後方散乱された電子及び二次電子を含む電子ビームの強度は、ウェーハの内部構造及び/又は外部構造の特性に基づいて、変化することがある。
【0005】
[005] 後方散乱された電子及び二次電子を含む電子ビームは、電子検出器の表面上の所定の位置に1つ又は複数のビームスポットを形成することができる。電子検出器は、検出された電子ビームの強度を表す電気信号(例えば、電流、電圧、等)を生成することができる。この電気信号を、測定回路(例えば、アナログ-デジタル変換器)を用いて測定して、検出された電子の分布を取得することができる。検出時間ウィンドウ中に収集された電子の分布データを、ウェーハ表面に入射する1つ又は複数の一次電子ビームの対応する走査パスデータと組み合わせて使用して、検査中のウェーハ構造の画像を再構成することができる。再構成された画像を使用して、ウェーハの内部構造及び/又は外部構造の様々な特徴を明らかにすることができ、また、ウェーハ内に存在する可能性がある欠陥を明らかにすることができる。
【0006】
[006] 画像再構成の忠実性は、画像がどの位厳密にウェーハ構造を表しているかを決定する。忠実性は、一次電子又はウェーハによって放出される二次電子とは関連しないノイズ信号によって、低下することがある。ノイズ信号には様々な潜在的な発生源がある。例えば、電子検出器は、電子を受け取っているいないに関わらず、暗電流を生成することがある。暗電流は、検出された電子に実際に見合った電流に追加され、それによって、画像再構成に誤差データを持ち込むことがある。更に、電子検出器は、動作不良のせいで、電流を全く生成しないか、又は受け取った電子の数を反映していない電流量を生成することがある。更に、複数の一次電子ビームがウェーハを走査し、複数の電子ビームが検査中のウェーハによって放出される場合には、電子光学サブシステム内の収差及び分散の影響に起因して、ウェーハから放出された隣接するビームからの電子が、電子検出器の表面の同じ場所に到達することがある。結果として、隣接する電子ビームによって形成されるビームスポット同士が部分的に重なり合い、クロストークがもたらされることがある。これらの全ては、ノイズ成分として電子検出器の出力信号に追加されることがある。結果として、電子検出器の出力信号は、検査中の特定のウェーハ構造とは相互関係のないノイズ成分を含むことがあり、その結果、これらの出力信号に基づく画像再構成の忠実性が低下することがある。
【発明の概要】
【0007】
[007] 本開示の実施形態は、荷電粒子検出のためのシステム及び方法を提供する。一実施形態では、検出システムが提供される。検出システムは、複数の電子感知素子から受け取った電子強度データに基づいて一組の強度勾配を生成するように構成された、信号処理回路を含む。検出システムは、一組の強度勾配に基づいて、ビームスポットの少なくとも1つの境界を決定し、この少なくとも1つの境界に基づいて、複数の電子感知素子のうちの第1の組の電子感知素子が、そのビームスポットの内部にあると決定するように構成された、ビームスポット処理モジュールを更に含む。
【0008】
[008] 別の実施形態では、検出システムが提供される。検出システムは、ビームスポット処理モジュールを含む。ビームスポット処理モジュールは、複数の電子感知素子のうちの隣接する電子感知素子間の強度信号における勾配に基づいて生成される一組の強度勾配を取得するように構成される。ビームスポット処理モジュールは、一組の強度勾配に基づいて、ビームスポットの少なくとも1つの境界を決定するようにも構成される。ビームスポット処理モジュールは、この少なくとも1つの境界に基づいて、複数の電子感知素子のうちの第1の組の電子感知素子が、そのビームスポットの内部にあると決定するように更に構成される。
【0009】
[009] 別の実施形態では、検出システムが提供される。検出システムは、複数の電子感知素子から受け取った電子強度データに基づいて一組の強度勾配を生成するように構成された、信号処理回路を含む。検出システムは、一組の強度勾配に基づいて、第1のビームスポットの第1の境界及び第2のビームスポットの第2の境界を決定するように構成された、ビームスポット処理モジュールを更に含む。ビームスポット処理モジュールは、第1の境界に基づいて、複数の電子感知素子のうちの第1の組の電子感知素子が第1のビームスポット内部にあると決定し、第2の境界に基づいて、複数の電子感知素子のうちの第2の組の電子感知素子が第2のビームスポット内部にあると決定するようにも構成される。ビームスポット処理モジュールは、第1及び第2の境界に基づいて、第1のビームスポットと第2のビームスポットとの間の重複領域を決定するように、更に構成される。
【0010】
[010] 別の実施形態では、検出システムが提供される。検出システムは、ビームスポット処理モジュールを含み、このビームスポット処理モジュールは、複数の電子感知素子のうちの隣接する電子感知素子間の強度信号における勾配に基づいて生成される一組の強度勾配を取得するように構成される。ビームスポット処理モジュールは、一組の強度勾配に基づいて、第1のビームスポットの第1の境界及び第2のビームスポットの第2の境界を決定するようにも構成される。ビームスポット処理モジュールは、第1の境界に基づいて、複数の電子感知素子のうちの第1の組の電子感知素子が第1のビームスポット内部にあると決定し、第2の境界に基づいて、複数の電子感知素子のうちの第2の組の電子感知素子が第2のビームスポット内部にあると決定するように更に構成される。ビームスポット処理モジュールは、第1及び第2の境界に基づいて、第1のビームスポットと第2のビームスポットとの間の重複領域を決定するようにも構成される。
【0011】
[011] 別の実施形態では、電子検出システムが提供される。電子検出システムは、ウェーハから、二次電子又は後方散乱電子を含む少なくとも1つの電子ビームを受け取るように構成された、複数の電子感知素子を含む。電子検出システムは、処理システムも含む。処理システムは、複数の電子感知素子の各々から受け取った電子強度データに基づいて、一組の強度勾配を決定するように構成された、強度勾配決定回路を含む。処理システムは、一組の強度勾配に基づいて、少なくとも1つの受け取った電子ビームのうちの1つのビームスポットの少なくとも1つの境界を決定し、この少なくとも1つの境界に基づいて、複数の電子感知素子のうちの第1の組の電子感知素子が、そのビームスポットの内部にあると決定するように構成された、ビームスポット境界決定モジュールも含む。処理システムは、第1の組の電子感知素子から受け取った電子強度データに基づいて、ビームスポットの強度値を決定するように構成された、ビームスポット強度決定モジュールを更に含む。処理システムは、強度値に基づいてウェーハの画像を生成するように構成された画像再構成モジュールも含む。
【0012】
[012] 別の実施形態では、方法が提供される。この方法は、複数の電子感知素子の各々から受け取った電子強度データに基づいて、一組の強度勾配を決定することを含む。この方法は、一組の強度勾配に基づいて、ビームスポットの少なくとも1つの境界を決定することを更に含む。
【0013】
[013] 別の実施形態では、方法が提供される。この方法は、複数の電子感知素子の各々から受け取った電子強度データに基づいて、一組の強度勾配を決定することを含む。この方法は、一組の強度勾配に基づいて、第1のビームスポットの第1の境界及び第2のビームスポットの第2の境界を決定することを更に含む。この方法は、第1の境界に基づいて、複数の電子感知素子のうちの第1の組の電子感知素子が第1のビームスポット内部にあると決定すること、及び、第2の境界に基づいて、複数の電子感知素子のうちの第2の組の電子感知素子が第2のビームスポット内部にあると決定することも含む。この方法は、第1及び第2の境界に基づいて、第1のビームスポットと第2のビームスポットとの間の重複領域を決定することを更に含む。
【0014】
[014] 別の実施形態では、非一時的なコンピュータ可読記憶媒体が提供される。この記憶媒体は、コンピュータ装置に方法を実行させるために1つ又は複数のプロセッサを含むコンピュータ装置によって実行可能な命令を記憶する。この方法は、複数の電子感知素子の各々から受け取った電子強度データに基づいて、一組の強度勾配を決定すること、及びその一組の強度勾配に基づいて、ビームスポットの少なくとも1つの境界を決定することを含む。
【0015】
[015] 別の実施形態では、非一時的なコンピュータ可読記憶媒体が提供される。この記憶媒体は、コンピュータ装置に方法を実行させるために1つ又は複数のプロセッサを含むコンピュータ装置によって実行可能な命令を記憶する。この方法は、複数の電子感知素子の各々から受け取った電子強度データに基づいて、一組の強度勾配を決定することを含む。この方法は、一組の強度勾配に基づいて、第1のビームスポットの第1の境界及び第2のビームスポットの第2の境界を決定することを更に含む。この方法は、第1の境界に基づいて、複数の電子感知素子のうちの第1の組の電子感知素子が第1のビームスポット内部にあると決定すること、及び、第2の境界に基づいて、複数の電子感知素子のうちの第2の組の電子感知素子が第2のビームスポット内部にあると決定することも含む。この方法は、第1及び第2の境界に基づいて、第1のビームスポットと第2のビームスポットとの間の重複領域を決定することを更に含む。
【0016】
[016] 開示する実施形態の追加の目的及び利点が、以降の説明において部分的に記載され、その説明から部分的に明らかになるか、又は、実施形態を実施することによって学ばれることがある。開示する実施形態の目的及び利点は、特許請求の範囲に記載される要素及び組み合わせによって実現され、達成されることがある。
【0017】
[017] 前述の一般的な説明及び以降の詳細な説明の両方とも、例示的であり説明のためのみのものであり、特許請求されるような、開示する実施形態を限定するものではないことを、理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】[018]本開示の実施形態と一致した、例示的な電子ビーム検査(EBI)システムを示す概略図である。
図2】[019]本開示の実施形態と一致した、図1の例示的な電子ビーム検査システムの一部であり得る例示的な電子ビームツールを示す概略図である。
図3A】[020]本開示の実施形態と一致した、電子ビームスポットの強度を決定する例示的な方法を示す図である。
図3B】[020]本開示の実施形態と一致した、電子ビームスポットの強度を決定する例示的な方法を示す図である。
図3C】[020]本開示の実施形態と一致した、電子ビームスポットの強度を決定する例示的な方法を示す図である。
図3D】[020]本開示の実施形態と一致した、電子ビームスポットの強度を決定する例示的な方法を示す図である。
図4A】[021]本開示の実施形態と一致した、電子ビームスポットの決定された強度からノイズ成分を低減する例示的な方法を示す図である。
図4B】[021]本開示の実施形態と一致した、電子ビームスポットの決定された強度からノイズ成分を低減する例示的な方法を示す図である。
図4C】[021]本開示の実施形態と一致した、電子ビームスポットの決定された強度からノイズ成分を低減する例示的な方法を示す図である。
図5A】[022]本開示の実施形態と一致した、電子検出器出力を処理するための例示的なシステムを示す概略図である。
図5B】[022]本開示の実施形態と一致した、電子検出器出力を処理するための例示的なシステムを示す概略図である。
図5C】[022]本開示の実施形態と一致した、電子検出器出力を処理するための例示的なシステムを示す概略図である。
図6】[023]本開示の実施形態と一致した、ウェーハを検査するための例示的な方法を示す流れ図である。
図7】[024]本開示の実施形態と一致した、ウェーハを検査するための例示的な方法を示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
[025] ここで、例示的な実施形態を詳細に参照する。これらの実施形態の例が、添付の図面に示されている。以下の説明は添付の図面を参照し、異なる図面中の同じ番号は、特に断りの無い限り、同じ又は同様の要素を表す。例示的な実施形態の以下の説明文中に記載される実装は、本発明と一致する全ての実装を表すものではない。その代わり、それらは、添付の特許請求の範囲に列挙されるような本発明に関連する態様と一致する装置及び方法の単なる例にすぎない。
【0020】
[026] 本開示の実施形態は、電子検出器、並びに電子検出器に結合された前処理回路、信号処理回路、及び後処理回路を有する電子ビームツールを提供する。電子検出器は、後方散乱された一次電子及びウェーハから放出される二次電子を受け取るように構成することができる。受け取られた電子は、検出器の表面上に1つ又は複数のビームスポットを形成する。この表面は、電子を受け取るのに応答して電気信号を生成するように構成された、複数の電子感知素子を含むことができる。前処理回路及び信号処理回路は、生成された電気信号の大きさに関連した示度を生成するように構成することができる。後処理回路は、生成された示度に基づいて、どの電子感知素子がビームスポットの一次境界内部にあるのかを決定し、決定された一次境界に基づいて、ビームスポットの強度を表す値を生成するように構成することができる。そのような機構を用いて、開示する実施形態は、どの電子感知素子がビームスポットの一次境界の外側にあるのかを決定し、それらの感知素子の出力に基づいて、ノイズ信号を推定することができる。後処理回路は、ビームスポットの強度データを生成するときに、推定されたノイズ信号を補償することもできる。結果として、ウェーハ画像再構成の忠実性及びスピードの両方を改善することができる。
【0021】
[027] 後処理回路は、ビームスポットの二次境界を決定するように構成することもできる。入射電子ビーム中の電子は、異なる生成プロセスに起因して、異なる特性、例えば異なるエネルギーを有することがある。異なる特性を有する電子の分布又は密度は、電子ビーム内部の異なる場所において変化することがあり、これは、検出された電子ビームスポット内に対応する強度パターンを形成する。決定された一次及び二次境界を使用して、対応する電子感知素子の出力信号をグループ化することができる。グループは、その幾何学的配置が、対応する電子ビームスポットのパターンと一致するように、形成することができる。例として、二次ビーム境界内部の電子感知素子によって検出された電子ビームスポットの部分は、ほぼ完全に後方散乱された電子で構成されることがあり、一次ビーム境界と二次ビーム境界との間の電子感知素子によって検出された電子ビームスポットの部分は、ほぼ完全に二次電子で構成されることがある。従って、形成されたグループは、検出されたビーム全体の強度情報、並びに、電子ビームの後方散乱部分及び二次電子部分に対応する強度情報を生成することができる。従って、開示する実施形態は、検出された電子ビームスポット、及び、その結果として調査中の試料の追加の特性、についての追加情報を提供することができる。
【0022】
[028] 複数の検出された電子ビームを含むシステムの場合、隣接するビームからの信号のクロストークが、電子光学サブシステムにおける収差及び分散の影響によって、引き起こされる。各ビーム内の電子は、電子検出器の感知面へ進む途中で分散し、隣接する電子ビームスポット間で重複を引き起こすことがある。決定されたビーム境界に基づく電子感知素子からの出力信号のグループ化は、隣接する検出されたビーム間のクロストークを検出するために使用することができる。後処理回路は、複数のビームスポットの強度データを生成するときに、決定されたクロストーク信号を補償することもできる。結果として、ウェーハ画像再構成の忠実性及びスピードの両方を改善することができる。実施形態によっては、クロストークを低減するために使用される電子光学サブシステム内部の開口部が取り除かれることがある。これにより、電子ビームツールの設計、製造、及び維持保守を簡略化することができる。更に、電子光学サブシステム内部の開口部は、検出された電子ビームの著しい強度低下を引き起こし、信号対雑音比を低減することがある。開示する実施形態によってもたらされるクロストークの決定及び補償を使用して、信号対雑音比とクロストークとの間のバランスをリアルタイムで調節することができる。信号対雑音比とクロストークとの間のバランスをリアルタイムで調節する能力により、電子ビームツールの柔軟性及び性能を大幅に改善することができる。
【0023】
[029] 更に、開示する実施形態は、信号処理回路を含んで、ビーム境界の決定及びビーム強度の決定をリアルタイムで行うことができる。これは、ビーム境界決定機能及びビーム強度決定機能を実行するために後処理アルゴリズムを使用するシステムと比べて、より高速の動作を可能にすることができる。高速リアルタイム動作は、電子光学サブシステムがどのようにリアルタイムで動作しているかについての情報を提供することができ、何らかの動作の逸脱(例えば、各ビームの形状及び特定位置、電子ビームグリッドの幾何学的形成、部品の製造及び組立の不備に起因するビームの一部又は全部の予期せぬ動き、長期間動作中のドリフト)を検出し対処することができる。更に、従来のシステムでは偏向防止システムを使用して、二次電子ビームの動きを打ち消す。偏向防止システムを一次電子ビーム偏向器と同期させることは、技術的に難しい。開示する実施形態は、ビームスポットの動きをリアルタイムで追跡することができ、従って実施形態によっては、偏向防止システムは取り除かれることがある。
【0024】
[030] 更に、開示する実施形態におけるビーム強度の決定は、多数の電子感知素子に対応する信号をグループ化することによって、行うことができる。電子感知素子表面の汚染、又は予期しない出来事(例えば、電子光学サブシステムが収容されている真空チャンバ内の激しいアーク放電)によって引き起こされる電子感知素子の損傷、又は製造プロセス中に持ち込まれた欠陥から生じる電子感知素子の動作不良、に起因して、あるグループの電子感知素子のうちの1つ又は幾つかが適切に動作しない場合、このグループは、動作していない電子感知素子をグループから除外することにより、依然としてビーム強度決定機能を達成することができる。これにより、検出システムの信頼性及び故障耐性を改善することができる。
【0025】
[031] 実施形態によっては、信号処理回路及び後処理回路は、電子感知素子に対応する電子信号を走査し、検出器表面上に形成された1つ又は複数の電子ビームスポットの画像を生成するように構成することもできる。走査速度は、ビーム強度を決定するのに使用されたグループの更新レートよりも低いフレームレートでこの画像を生成するように、設定することができる。しかしながら、この画像は、検出器表面上の電子ビームスポット強度分布についての詳細な情報を提供することができ、電子光学系システムの設計、最適化、及び性能評価の実施に役立つ。更に、生成された画像及び決定されたビーム境界を使用して、システムの長期間動作中のドリフトに起因して引き起こされる1つ又は複数の検出された電子ビームの形状又は特定位置の偏差を検出することができ、また、これらの影響を補償することができる。
【0026】
[032] ここで、例示的な実施形態を詳細に参照する。これらの実施形態は、添付の図面に示されている。以下の実施形態は、電子ビームを利用するという文脈で説明されているが、本開示はそのように限定はされない。他のタイプの荷電粒子ビームも、同様に適用することができる。
【0027】
[033] ここで図1を参照する。図1は、本開示の実施形態と一致した、例示的な電子ビーム検査(EBI)システム100を示す。図1に示すように、EBIシステム100は、メインチャンバ101、装填/ロックチャンバ102、電子ビームツール104、及び機器フロントエンドモジュール(EFEM)106を含む。電子ビームツール104は、メインチャンバ101内部に配置されている。EFEM106は、第1の装填ポート106a及び第2の装填ポート106bを含む。EFEM106は、追加の装填ポートを含むことがある。第1の装填ポート106a及び第2の装填ポート106bは、検査されるべきウェーハ(例えば、半導体ウェーハ、又は他の材料で作られたウェーハ)又は試料(ウェーハ及び試料は、以降ではまとめて「ウェーハ」と呼ばれる)を収容するウェーハFOUP(front opening unified pod)を受け取る。
【0028】
[034] EFEM106内の1つ又は複数のロボットアーム(図示せず)が、ウェーハを装填/ロックチャンバ102に運ぶ。装填/ロックチャンバ102は、装填/ロック真空ポンプシステム(図示せず)に接続され、このポンプシステムは、大気圧よりも低い第1の圧力に達するように、装填/ロックチャンバ102内のガス分子を除去する。第1の圧力に達した後、1つ又は複数のロボットアーム(図示せず)がウェーハを装填/ロックチャンバ102からメインチャンバ101に運ぶ。メインチャンバ101は、メインチャンバ真空ポンプシステム(図示せず)に接続され、このポンプシステムは、第1の圧力よりも低い第2の圧力に達するように、メインチャンバ101内のガス分子を除去する。第2の圧力に達した後、ウェーハは電子ビームツール104による検査にかけられる。
【0029】
[035] ここで図2を参照する。図2は、電子ビームツール104(本明細書では装置104とも呼ばれる)を示しており、このツール104は、電子源202、銃開口部204、集光レンズ206、電子源202から放出される一次電子ビーム210、放射源変換ユニット212、一次電子ビーム210の複数のビームレット214、216、及び218、一次投影光学系220、ウェーハステージ(図2には図示せず)、複数の二次電子ビーム236、238、及び240、二次光学系242、並びに電子検出デバイス244を含む。一次投影光学系220は、ビームセパレータ222、偏向走査ユニット226、及び対物レンズ228を含むことができる。電子検出デバイス244は、検出素子246、248、及び250を含むことができる。
【0030】
[036] 電子源202、銃開口部204、集光レンズ206、放射源変換ユニット212、ビームセパレータ222、偏向走査ユニット226、及び対物レンズ228は、装置104の一次光軸260と位置合わせすることができる。二次光学系242及び電子検出デバイス244は、装置104の二次光軸252と位置合わせすることができる。
【0031】
[037] 電子源202は、カソード、抽出器又はアノードを含むことができ、一次電子は、カソードから放出され、抽出され又は加速されて、(仮想の又は現実の)クロスオーバー208を伴う一次電子ビーム210を形成することができる。一次電子ビーム210は、クロスオーバー208から放出されるものとして視覚化することができる。銃開口部204は、一次電子ビーム210の周辺電子を遮断して、クーロン効果を低減することができる。クーロン効果は、プローブスポット270、272、及び274のサイズの増加を引き起こすことがある。
【0032】
[038] 放射源変換ユニット212は、画像形成素子のアレイ(図2には図示せず)及びビーム制限開口部のアレイ(図2には図示せず)を含むことができる。画像形成素子のアレイは、超小型偏向器及び超小型レンズのアレイを含むことができる。画像形成素子のアレイは、一次電子ビーム210の複数のビームレット214、216、及び218を伴う、クロスオーバー208の(仮想の又は現実の)複数の平行な像を形成することができる。ビーム制限開口部のアレイは、複数のビームレット214、216、及び218を制限することができる。
【0033】
[039] 集光レンズ206は、一次電子ビーム210を集束させることができる。放射源変換ユニット212の下流のビームレット214、216、及び218の電流は、集光レンズ206の集束力を調節することにより、又は、ビーム制限開口部のアレイ内部の対応するビーム制限開口部の半径サイズを変更することにより、変化させることができる。対物レンズ228は、検査用のウェーハ230上にビームレット214、216、及び218を集束させることができ、ウェーハ230の表面上に複数のプローブスポット270、272、及び274を形成することができる。
【0034】
[040] ビームセパレータ222は、静電双極子場及び磁気双極子場を生成する静電偏向器を含むウィーンフィルタ型のビームセパレータとすることができる。実施形態によっては、それらが適用される場合、ビームレット214、216、及び218の電子に静電双極子場によって作用する力は、磁気双極子場によって電子に作用する力と、大きさが等しく、方向が反対になることがある。従って、ビームレット214、216、及び218は、偏向角ゼロでビームセパレータ222をまっすぐに通過することができる。しかしながら、ビームセパレータ222によって生成されるビームレット214、216、及び218の全分散は、ゼロではないことがある。ビームセパレータ222の分散平面224について、図2は、公称エネルギーV及びエネルギーの広がりΔVを有するビームレット214の、エネルギーVに対応するビームレット部分262への分散を示し、ビームレット部分264はエネルギーV+ΔV/2に対応し、ビームレット部分266は、エネルギーV-ΔV/2に対応する。二次電子ビーム236、238、及び240の電子にビームセパレータ222によって作用する力の全体は、ゼロではないことがある。従って、ビームセパレータ222は、ビームレット214、216、及び218から二次電子ビーム236、238、及び240を分離し、二次電子ビーム236、238、及び240を二次光学系242に向けることができる。
【0035】
[041] 偏向走査ユニット226は、ビームレット214、216、及び218を偏向させて、ウェーハ230の表面領域に渡って、プローブスポット270、272、274を走査することができる。プローブスポット270、272、及び274におけるビームレット214、216、及び218の入射に応答して、二次電子ビーム236、238、及び240がウェーハ230から放出されることがある。二次電子ビーム236、238、及び240は、二次電子(エネルギー≦50eV)及び後方散乱電子(50eVとビームレット214、216、及び218のランディングエネルギーとの間のエネルギー)を含むエネルギーの分布を伴う電子を含むことがある。二次光学系242は、二次電子ビーム236、238、及び240を、電子検出デバイス244の検出素子246、248、及び250に集束させることができる。検出素子246、248、及び250は、対応する二次電子ビーム236、238、及び240を検出し、ウェーハ230の表面領域の画像を再構成するのに使用される対応する信号を生成することができる。
【0036】
[042] ここで図3Aを参照する。図3Aは、電子検出デバイス244のセンサ表面300の例示的な構造を示す。センサ表面300は、4つの領域302A~D(2×2の矩形グリッド)に分割することができ、各領域302は、ウェーハ上の特定の場所から放出される対応するビームスポット304を受け取ることができる。全てのビームスポット304A~Dは、理想的な円形の形状をしており、特定位置のオフセットはない。4つの領域が表示されているが、任意の複数の領域を使用することができることを理解されたい。
【0037】
[043] 各センサ領域は、電子感知素子306のアレイを含むことができる。電子感知素子は、例えば、PINダイオード、電子増倍管(EMT)等を含むことがある。更に、図3Aは、各領域302が、自前の感知素子306を有する所定の領域として互いから分離されていることを示しているが、これらの所定の領域は、例えば図4Aの表面センサ400のように、存在しないことがあることを理解されたい。例えば、各領域が81個の感知素子(9×9グリッドの感知素子)を有する4つの所定の領域を有する代わりに、センサ表面は、依然として4つのビームスポットを感知することができる、18×18グリッドの感知素子を1つ有することがある。
【0038】
[044] 電子感知素子306は、センサ領域内で受け取った電子に見合った電流信号を生成することができる。前処理回路は、生成された電流信号を電圧信号(受け取られた電子ビームスポットの強度を表す)に変換することができる。前処理回路は、例えば、高速トランスインピーダンス増幅器を含むことがある。処理システムは、例えば、センサ領域内部に配置された電子感知素子によって生成された電圧を合計することによって電子ビームスポットの強度信号を生成し、その強度信号をウェーハに入射する一次電子ビームの走査パスデータと相関づけ、その相関に基づいてウェーハの画像を構築することができる。
【0039】
[045] 実施形態によっては、処理システムは、電子感知素子306の幾つかによって生成された電圧を選択的に合計して、ビームスポットの強度値を生成することができる。この選択は、どの電子感知素子がビームスポット内部に配置されているかの判断に基づいていることがある。
【0040】
[046] 実施形態によっては、処理システムは、ビームスポットの境界を特定することにより、どの電子感知素子がビームスポットの外側に配置されており、どの電子感知素子がビームスポットの内部に配置されているのかを特定することができる。例えば、図3Bを参照すると、処理システムは、ビームスポット304A~Bに対して、一次境界312A~B及び二次境界314A~Bを特定することができる。一次境界312は、ビームスポットの強度を決定するために電圧出力を含めるべき電子感知素子306の組を囲むように構成することができる。従って、複数の電子感知素子のうちのある電子感知素子の組がビームスポットの内部にあると決定することができる。
【0041】
[047] 二次境界314は、ビームスポットの中心部分を囲むように構成することができ、ビームスポットの特定の幾何学情報を提供するために使用することができる。幾何学情報には、例えば、ビームスポットの形状、ビームスポットの1つ又は複数の特定位置等が含まれることがある。ここで、特定位置とは、中心などの、ビームスポット内部の所定の位置を指すことがある。以下でより詳細に考察するように、処理システムは、二次境界314に基づいて一次境界312を決定することもある。
【0042】
[048] 更に、特定位置の情報に基づいて、処理システムは、例えば、製造又は組立プロセス中に持ち込まれた電子光学コンポーネント若しくはシステム内部の不完全さに起因する、ビームスポット304の位置のドリフト、及び/又はシステムの長期間動作中のドリフトを追跡することもできる。処理システムは、境界の決定と、強度決定の際に含めるべき電子感知素子の組とを更新して、強度決定の精度へのドリフトの影響を緩和することができる。更に、処理システムは、電子ビームスポットのシフトを追跡できるので、電子ビームの偏向を追跡し補償するために使用される偏向防止部品を、二次光学系から削除することができる。これにより、電子ビームツール104の設計、製造、及び維持保守を簡略化することができる。
【0043】
[049] 一次又は二次境界312及び314によって囲まれる電子感知素子の各組を形成するために使用される電子感知素子306の選択は、全体的な画像信号強度及び信号対雑音比に関係する各ビームスポットの指定された電子収集率、隣接する電子ビームの信号クロストーク、並びに各電子ビームスポットの対応する形状及び特定位置、によって決定されることがある。各組の形成は、各対応するビームスポットの形状及び特定位置の変化をリアルタイムで追跡し補償する必要があるのかどうかに応じて、静的とすることも、又は動的に変化させることもできる。ビーム位置及び形状をリアルタイムで取得する能力を提供することにより、電子光学系(例えば、一次投影光学系220)の動作を継続的に監視することができる。更に、ビームの位置決め及び形状に関して収集された情報により、システムの組み立て及び維持保守のプロセス中の電子光学系の調節を容易にすることができ、それによって、電子光学系と電子検出デバイスとの間のリアルタイム自動整列が可能になる。従って、図3Bはビームスポット304Bが好ましい円形の形状から逸脱した形状を有することを示すが、電子光学系におけるドリフト又は電子光学系内の部品の不完全さに起因する、位置、形状、及びグリッド情報などのこれらのタイプの逸脱は、リアルタイムで補償することができる。
【0044】
[050] 実施形態によっては、一次及び二次境界の決定は、隣接する電子感知素子に渡る強度勾配の所定のパターンの検出に基づくことがある。ここで図3Cを参照する。図3Cは、一次境界312を決定するために使用される所定のパターンの例を示す。図3Cは、強度マップ330及び強度グラフ340を示す。強度マップ330は、ビームスポット(例えば、図3Aのビームスポット304)の強度分布を示しており、各正方形は1つの電子感知素子によって受け取られた電子の強度を表し、より濃い色は比較的に高い強度を表している。処理システムは、所定の閾値よりも明るい色、例えば白色によって表される電子感知素子は、ビームスポットの外側にあり、所定の閾値よりも濃い色、例えば灰色によって表される電子感知素子は、ビームスポットの内部にあることを、決定することができる。これらの決定に基づき、処理システムは、白色によって表される電子感知素子の出力を除外することができる。
【0045】
[051] 更に、強度グラフ340は、強度マップ330における軸345に沿った電子の強度の変化を示す。図3Cに示すように、強度グラフ340は、異なる位置において異なる強度を示す。例えば、ビームスポットの中心付近(350とラベル付けされる)では、ビームスポットの境界付近(355とラベル付けされる)よりも強度がより高い。強度の差は、電子源202の先端サイズ、電子光学系の収差、及び電子の分散を含む、様々な要因のせいであることがある。更に、実施形態によっては、強度は、散乱電子のサンプルトポグラフィ、後方散乱電子の材料、試料表面の帯電条件、ランディングエネルギー等によって決定されることがある。
【0046】
[052] 強度勾配は、隣接する電子感知素子間の電子強度出力の比較に基づいて、生成することができる。例えば、電子検出デバイス244のセンサ表面の対応する電子感知素子と結合された信号調節回路の出力は、隣接する電子感知素子間の出力電圧(これは受け取った電子の強度を表す)を比較するように構成された電圧比較器の組に接続されることがある。電圧比較器の組は、決定結果の組を生成することができる。処理システムは、決定結果に基づいて強度勾配を追跡し、一次境界312の一部として強度勾配が変化するセンサ表面上の位置を決定することができる。例えば、図3Cを戻って参照すると、電圧決定結果グラフ360は、強度グラフ340で示した強度変化に対応する電圧比較器決定結果の分布を示す。この決定結果は、隣接する電子感知素子間の出力電圧の比較結果を表すことができ、-1は左側の電子感知素子の出力電圧が右側の電子感知素子の出力電圧よりも高いことを表し、+1は反対を表す。
【0047】
[053] 比較結果は、ビームスポットの境界及びビームスポットの内部における強度勾配の特徴的なパターンを反映することができる。例えば、図3Cに示すように、強度355に対応する電圧比較器決定結果364は、+1と-1との間でより多くの切り換わりを示すことがあり、これは、隣接する電子感知素子によって受け取られた電子の電流強度に対応する、処理システムからの電子強度出力の信号レベルの差が、ノイズレベルよりも低いことに起因していることがある。その結果として、比較器決定結果364(ビームスポットの境界に相当する)は、ランダムノイズの影響を受けやすくなることがあり、どちらにも切り換わることがある。他方、強度350に対応する比較器決定結果362は、電子強度出力の信号レベル差がノイズレベルよりも高いおかげで、隣接する電子感知素子の組に渡って、より安定していることがある。比較器出力の切り換わりのパターンに基づいて、処理システムは、電圧決定結果グラフ360中の比較器決定結果を、強度勾配362及び364に対応する2つの組にグループ化することができる。比較器決定結果のこの2つの組を生じさせる電子感知素子の位置に基づいて、処理システムは、強度勾配362と364との間の遷移が起こるセンサ表面の位置を特定することができ、これは、位置「A」と印された位置であり得る。次いで、処理システムは、特定された位置を一次境界312の一部として決定することができる。処理システムは、電子素子の各行及び各列について、電圧比較器決定結果に対して同様の処理を行って、一次境界312を構成するセンサ表面上の一組の位置を決定することができる。
【0048】
[054] 処理システムはまた、電圧比較器決定結果の他の所定のパターンを検出することにより、二次境界314を決定することもできる。ここで図3Dを参照する。図3Dは、二次境界314を決定するために使用される所定のパターンの例を示す。図3Dは、図3Cの強度マップ330、強度マップ330の軸365に沿った電子の強度の変化を示す強度グラフ380、及び強度マップ330の軸370に沿った電子の強度の変化を示す強度グラフ385、を示している。軸365及び370は、センサ表面上の電子感知素子の隣接する行に沿っていることがある。
【0049】
[055] 図3Dはまた、強度グラフ380に対応する電圧決定結果グラフ390と、強度グラフ385に対応する電圧決定結果グラフ395とを示す。電圧決定結果グラフ390及び395は両方とも、それぞれ軸365及び370に沿った隣接する電子感知素子間の出力電圧の比較結果を表す。各電圧決定結果グラフは、軸365及び370の各々に沿った特定の地点における比較器決定結果の切り換わりを示しており、これは、強度勾配の極性の変化を示していることがある。例えば、軸365に沿って、強度の増加があり、その後、位置Bにおけるビームスポットの中心の周りの平坦な強度領域に達し、その後、強度は減少する。これに応じて、強度グラフ380に沿って、軸365の強度の増加に関連した強度の増加381、軸365の位置Bにおける平坦な領域に関連した平坦な強度382、及び、軸365の強度の減少に関連した強度の減少383、がある。
【0050】
[056] 対応する電圧決定結果グラフ390を参照すると、比較器決定結果391に対応する出力電圧+1は、強度グラフ380からの強度の増加381を反映しており、比較器決定結果393に対応する出力電圧-1は、強度グラフ380からの強度の減少383を反映している。強度382に対応する電圧比較器決定結果392は、+1と-1との間でより多くの切り換わりを示すことがあり、これは、隣接する電子感知素子によって受け取られた電子の電流強度に対応する、処理システムからの電子強度出力の信号レベルの差が、ノイズレベルよりも低いことに起因していることがある。その結果として、比較器決定結果392は、ランダムノイズの影響を受けやすくなることがあり、どちらにも切り換わることがある。
【0051】
[057] 他方、軸370に沿って、強度勾配の比較的に鋭い遷移があり、軸370の中央における位置(「C」で印す)において、切り換わりが発生する。隣接する行(及び列)の間の切り換わり位置の差に基づいて、処理システムは、二次境界314を構成するセンサ表面上の一組の位置を決定することができる。例えば、処理システムは、位置B及びCが二次境界314の一部であると決定することができる。
【0052】
[058] 実施形態によっては、処理システムは、境界情報を使用してノイズ信号の影響を補償することにより、画像再構成の忠実性を改善することもある。上述のように、画像再構成の忠実性はノイズ信号によって劣化することがあり、ノイズ信号は、電子検出デバイス244によって生成され、且つ、散乱された一次電子又はウェーハによって放出された二次電子によっては引き起こされない。これらのノイズ信号は、例えば、電子を受け取ることなく生成されることがある暗電流を含むことがある。これらのノイズ信号は、ビームスポットの内部に位置する電子感知素子、並びにビームスポットの外側に位置する電子感知素子に現れることがある。ノイズ信号はランダムなノイズ信号であることがあり、これは、電子感知素子の各々において独立しており、又は、ノイズ信号は系統だったノイズ信号であることがあり、これは、検出器の特定の領域又は全体の各感知素子において同様のパターン及び同じか又は異なる振幅を有する。本開示の実施形態では、処理システムは、一次境界312の外側に位置すると決定された電子感知素子の出力から受け取った信号を除外することができる。これにより、一次境界312の外側の電子感知素子からのランダムなノイズ信号を除去することにより、画像再構成の忠実性を改善することができる。更に、実施形態によっては、処理システムは、一次境界312の外側にあると判断された電子感知素子の出力からノイズ信号を表す値を取得することができる。一次境界312内部に位置する電子感知素子の出力から強度値を生成した後で、処理システムは、その強度値から、ノイズ信号成分を表す値を引くことができる。強度値内に存在する系統だったノイズ信号成分を除去又は低減することにより、画像再構成の忠実性を改善することができる。
【0053】
[059] ここで、図4Aを参照する。図4Aは、センサ表面上に形成された4つのビームスポットに対応する強度マップの組400を示す。強度マップに関連する電圧比較器決定結果に基づいて、処理システムは各ビームスポットについて一次境界312a、312b、312c、及び312dを取得することができる。処理システムは、一次境界312a、312b、312c、及び312dの各々によって囲まれている電子感知素子の出力を合計して、各ビームスポットの強度値を取得することができる。更に、これらの一次境界に基づいて、処理システムは、これらの一次境界の外側にある、例えば402a、402b、402c、402d、及び402eを含む電子感知素子の組を特定することもできる。
【0054】
[060] 処理システムは、一次境界の外側の電子感知素子(又は、使用されていない電子感知素子)(例えば、電子感知素子402a)の出力を、検出器近傍の干渉源に起因するノイズ信号の代表として取得することができる。実施形態によっては、処理システムは、これらの出力を平均してノイズ信号を表す値を取得し、その値を各ビームスポットの強度から引くことができる。実施形態によっては、処理システムは、位置に基づいてビームスポットの一次境界の外側にある使用されていない電子感知素子を関連づけ、1つ又は複数の関連付けられた使用されていない電子感知素子からのノイズ信号に基づいて、ビームスポットに対して減算を行うことができる。例示的な例として、図4Aに示す例では、処理システムは一次境界312cによって囲まれたビームスポットから電子感知素子402b、402c、及び402e(電子感知素子402a及び402dは含まない)のノイズ信号を選択的に引いて、ノイズ成分を除去し、そのビームスポットの補償強度値を生成することができる。
【0055】
[061] 処理システムは、境界情報を使用して、クロストークによって引き起こされるノイズ信号を軽減又は除去することもできる。上述のように、クロストークは、収差及び分散に起因して、隣接する電子ビームによって形成されたビームスポットの部分的重複を伴って発生することがある。実施形態によっては、処理システムは、隣接するビームスポットの一次境界312(例えば、図4Bに示すような)に基づいて、部分的重複の発生を検出することができる。更に、実施形態によっては、処理システムは、部分的重複の発生を検出する際に、隣接するビームスポットの二次境界314を含むこともできる。検出に基づいて、処理システムは、電子感知素子のうちの幾つかが、ビームスポットが重複する領域に位置していると決定し、ビームスポットの強度値を決定するときに、それらの電子感知素子からの出力を除外することができる。従って、分散に起因する隣接するビームスポット間の重複を低減又は削除するための、電子光学サブシステム内の異常補正ハードウェアの必要性を緩和するか、更には取り除くことさえできる。結果として、電子ビームツール104の複雑さを低減することができ、これによりツールの性能及び信頼性を改善することができる。更に、電子光学サブシステム内の異常補正ハードウェアは、検出された電子ビームの著しい強度低下を引き起こし、信号対雑音比を低減することがある。処理システムによってもたらされるクロストークの決定及び軽減を使用して、信号対雑音比とクロストークとの間のバランスをリアルタイムで調節することができる。信号対雑音比とクロストークとの間のバランスをリアルタイムで調節する能力により、電子ビームツールの柔軟性及び性能を大幅に改善することができる。
【0056】
[062] ここで図4Bを参照する。図4Bは、2つの部分的に重複したビームスポットに対応する強度マップ410を示す。この例では、処理システムは、左側のビームスポットについては一次境界312e(実線で表される)を、右側のビームスポットについては一次境界312f(点線で表される)を決定する。処理システムはまた、左側のビームスポットについては二次境界314e(実線で表される)を、右側のビームスポットについては二次境界314f(点線で表される)を決定する。
【0057】
[063] 処理システムが2つのビームスポット間の部分的重複を検出するには、様々な方法がある。例えば、処理システムは、左側のビームスポットの一次境界312eと二次境界314eとの間の距離412、及び左側のビームスポットの二次境界314eと右側のビームスポットの一次境界314fとの間の距離414を決定することができる。距離414が距離412より短いという判断に基づいて、処理システムは右側のビームスポットの一次境界312fの一部が、左側のビームスポットの一次境界312eに侵入していると判断することができる。侵入の判断に基づいて、処理システムは、2つのビームスポットが部分的に重複していると決定することができる。
【0058】
[064] 別の例では、処理システムは、二次境界314e及び314fに基づいて、2つのビームスポットの中心間の距離416を決定することができる。距離416が所定の閾値未満に該当するという判断に基づいて、処理システムは、2つのビームスポットが部分的に重複すると決定することができる。この閾値は、例えば、一次境界312eと左側のビームスポットの中心との間の距離、一次境界312fと右側のビームスポットの中心との間の距離、両方の組み合わせ、等に基づいて、例えば、ビームスポットの推定半径に基づいて、決定されることがある。次いで、処理システムは、重複が発生する領域420を決定し、両方のビームスポットの強度値の決定から、領域420内部に位置する電子感知素子の出力を除外することができる。
【0059】
[065] 領域420内部に位置する電子感知素子の出力を除外することにより、クロストークに起因するノイズを低減することができる一方で、この除外は、ビームスポットについて生成される強度値も低減する。その結果、同一のウェーハ構造から放出されたビームスポットが、異なる強度値を有することがある。この差は、強度値を用いたウェーハ構造の表現に、歪みをもたらすことがある。実施形態によっては、歪みの影響を軽減するために、処理システムは、センサ表面上の全てのビームスポットの一次境界を縮小するための倍率を決定することができ、この倍率は、更新された一次境界312ee(一次境界312eから縮尺調整される)及び更新された一次境界312ff(一次境界312fから縮尺調整される)が、領域420においてもはや重複しないように、決定される。
【0060】
[066] 縮小率は、様々な考慮事項に基づいて決定されることがある。例えば、縮小率は、距離412と416との間の比率に基づくことがある。更に、上述のように、ビームスポットの強度値の生成からより多くの電子感知素子の出力を除外することにより、生成される強度値が減少することになる。この減少により、(例えば、暗電流、干渉源等からの)ノイズ成分に比べて強度値が低減され、信号対雑音比が低くなることがある。信号対雑音比が低下すると、ビームスポットから生成される強度分布が、ノイズ信号の影響をさらに受けやすくなることがあり、これにより、画像再構成の忠実性が低下することがある。従って、縮小率は、結果として得られる信号対雑音比が所定の閾値以上になるように、決定することができる。そのような構成を用いると、全てのビームスポットの強度値を、同じ倍率で縮尺調整して歪みを回避することができ、同時に、クロストークノイズ信号も除去又は低減することができる。更に、同じ電子検出デバイス244を、異なる数の検出ビームスポットを含む電子ビームツールで利用することができる。処理システムは、ビームスポットの境界を更新して、異なるビームスポットを検出することができる。
【0061】
[067] 実施形態によっては、処理システムは、境界情報を使用して、何らかの他のノイズ源の影響を軽減することもできる。例えば、図4Cに示すように、処理システムは、電子感知素子435によって出力された低強度に基づいて、電子感知素子435が動作不良をおこしており、この素子は一次境界312gの内部に位置することを決定することがある。この決定に基づいて、処理システムは、一次境界312gによって囲まれたビームスポットに対する強度値の生成から、電子感知素子435の出力を除外することができる。
【0062】
[068] ここで、図5Aを参照する。図5Aは、本開示の実施形態に従って、電子検出器出力を処理するための例示的な処理システム500を示す。処理システム500は、図2の電子ビームツール104の一部であるか、又は電子ビームツール104と結合されていることがある。処理システム500は、電子検出デバイス244の複数の電子感知素子から生成された電気信号を受け取り、1つ又は複数の検出された電子ビームスポットの各々に対して強度値を決定し、強度値に基づいてウェーハの画像を再構成することができる。図5Aに示すように、システム500は、(図2の)電子検出デバイス244、前処理回路501、信号処理回路502、電子強度決定回路503、ビームスポット画像化回路504、及びビームスポット処理モジュール506を含むことができる。ビームスポット処理モジュール506は更に、ビームスポット境界決定モジュール508、強度閾値モジュール509、ビームスポット強度決定モジュール510、画像再構成モジュール512、及びビームスポット画像化モジュール515を含むことができる。
【0063】
[069] 一般的に、「モジュール」という語は、本明細書で使用する場合、他の部品(例えば、集積回路の一部)と共に使用するように設計されたパッケージ化された機能的なハードウェアユニット、及び/又は、関連する機能のうちの特定の機能を実行する(コンピュータ可読媒体に記憶された)プログラムの一部、であり得る。モジュールは、エントリポイント及び出口ポイントを有することがあり、例えば、Java、Lua、C又はC++などのプログラミング言語で記述されていることがある。ソフトウェアモジュールは、コンパイルして実行可能プログラムにリンクさせる、ダイナミックリンクライブラリにインストールする、又は例えばBASIC、Perl、若しくはPythonなどのインタプリタ型プログラミング言語で記述することができる。ソフトウェアモジュールは、他のモジュール又はそれら自体から呼び出し可能であり、及び/又は、イベントの検出若しくは割込みに応答して呼び出すことができることを、理解されたい。コンピュータ機器上で実行されるように構成されたソフトウェアモジュールは、コンピュータ可読媒体、例えばコンパクトディスク、デジタルビデオディスク、フラッシュドライブ、磁気ディスク、若しくは任意の他の非一時的媒体などで、又はデジタルダウンロードとして提供されることがある(且つ、実行の前にインストール、解凍、又は復号化を必要とする、圧縮形式又はインストール可能な形式で元々は記憶されることがある)。そのようなソフトウェアコードは、コンピュータ機器により実行するために、実行中のコンピュータ機器のメモリデバイス上に、部分的に又は完全に記憶されることがある。ソフトウェア命令は、ファームウェア、例えば消去可能プログラム可能読み取り専用メモリ(EPROM)などに組み込むことができる。ハードウェアモジュールは、ゲート及びフリップフロップなどの接続された論理ユニットから構成することができ、及び/又は、プログラマブル・ゲート・アレイ若しくはプロセッサなどのプログラム可能ユニットから構成することができることを、更に理解されたい。本明細書で説明するモジュール又はコンピュータ機器の機能は、ソフトウェアモジュールとして実装されることが好ましいが、ハードウェア又はファームウェアで表されることもある。一般的に、本明細書で説明するモジュールとは、物理的な構成若しくはストレージに関わらず、他のモジュールと組み合わせることができるか又はサブモジュールに分割することができる論理モジュールを指す。
【0064】
[070] 前処理回路501は、電子検出デバイス244の電子感知素子の出力を処理して、各電子感知素子によって受け取った電子の強度を表す強度信号を生成することができる。ここで図5Bを参照する。図5Bは、前処理回路501、信号処理回路502、電子強度決定回路503、及びビーム画像化回路504の例示的な構成要素を示す。図5Bに示すように、前処理回路501は、電子検出デバイス244の対応する電子感知素子520a、520b、…、520cと結合した、信号調節回路501a、501b、…、501cを含むことができる。信号調節回路501a、501b、…、501cの各々は、例えば、電子感知素子520a、520b、…、520cの各々による出力を増幅しフィルタリングするように構成された、増幅器、増幅器入力保護回路、等を含むことがある。次いで、前処理回路501は、増幅されフィルタリングされた電圧を強度信号として信号処理回路502に送信することができる。
【0065】
[071] ここで図5Cを参照する。図5Cは、信号処理回路502の例示的な構成要素を示す。図5Cに示すように、信号処理回路502は、信号閾値回路505、強度勾配決定回路507、基準電圧生成回路502g、信号スイッチマトリックス502h、ピーク検出回路(図5Cには図示せず)、及びアナログ-デジタル変換器(図5Cには図示せず)を含むことができる。
【0066】
[072] 実施形態によっては、信号閾値回路505は、電圧比較器502d、502e、及び502fを含むことがある。電圧比較器502d、502e、及び502fは、信号調節回路501a、501b、及び501cからの信号の瞬時信号電圧を基準電圧生成回路502gからの電圧と比較するように構成されることがある。電圧比較器502d、502e、及び502fの出力は、強度閾値モジュール509に転送されることがある。基準電圧生成回路502gによって生成される基準電圧は、所定の強度閾値であり得る。所定の強度閾値を下回る前処理された強度信号は、ビーム信号出力のない電子感知素子に起因していることがあり、ノイズ信号レベルを推定するために使用されることがある。
【0067】
[073] 他の実施形態では、電圧比較器を使用する代わりに、信号閾値回路505が1ビットよりも大きなビット分解能を有するアナログ-デジタル変換器を含むことがあり、それによって、信号レベルの振幅に関してより詳細な情報を提供することができるようになる。例えば、信号レベルが所定の強度閾値よりも高いか低いかを単に示す代わりに、信号閾値回路505の出力は、信号レベルが閾値よりも高く又は低くなっている量の範囲を示すことができる。
【0068】
[074] 実施形態によっては、強度勾配決定回路507は、電圧比較器502a、502b、及び502cを含むことがある。電圧比較器502a、502b、及び502cは、隣接する電子感知素子によって出力された強度信号を比較するように構成されることがある。比較器は、(例えば、電圧決定結果グラフ360、390、及び395で示したような)比較器決定結果の組を生成して、強度勾配の変化の示度を提供することができる。例えば、図5B及び図5Cを参照すると、比較器502aは、隣接する電子感知素子520a及び520bから生成された信号に対応する501a及び501bからの前処理された強度信号を比較するように構成される。比較器502bは、隣接する電子感知素子520b及び520cから生成された信号に対応する501b及び501cからの前処理された強度信号を比較するように構成される。更に、比較器502cは、隣接する電子感知素子520a及び520cから生成された信号に対応する501a及び501cからの前処理された強度信号を比較するように構成される。強度勾配決定回路507は、比較器決定結果、並びに比較器決定結果に対応する電子感知素子の位置(これは、2次元座標として表すことができる)を、ビームスポット処理モジュール506のビームスポット境界決定モジュール508に転送することができる。
【0069】
[075] 他の実施形態では、電圧比較器を使用する代わりに、強度勾配決定回路507は、1ビットよりも大きなビット分解能を有するアナログ-デジタル変換器を含むことがある。そのようなアナログ-デジタル変換器を使用することにより、強度勾配決定回路507は、より高い分解能で勾配を提供することができる。
【0070】
[076] ビームスポット境界決定モジュール508は、比較器決定結果及び比較器決定結果に関連した位置情報を処理し、ビームスポットの一次境界312及び二次境界314を決定することができる。境界の決定は、例えば、図3C及び図3Dに関して上述したように、比較器決定結果における所定のパターンを検出することに基づくことがある。ビームスポット境界決定モジュール508はまた、例えば、図4Bに関して上述したように、隣接するビームスポット間の部分的重複の検出に基づいて、決定された境界を更新することもある。
【0071】
[077] 実施形態によっては、信号処理回路502は、強度勾配決定回路507を含まないことがある。ビームスポット境界決定モジュール508は、ビームスポット画像化モジュール515からの入力に基づいて、一次及び二次ビーム境界(例えば、一次境界312及び二次境界314)を決定することができる。ビームスポット境界決定モジュール508は、画像処理アルゴリズムを含んで、ビームスポット画像化モジュール515によって提供されるビームスポット画像に基づいて、一次及び二次ビーム境界を決定することができる。更に、ビームスポット境界決定モジュール508は、画像処理アルゴリズムを含んで、ビームスポット画像化モジュール515によって提供されるビームスポット画像に基づいて、隣接するビームスポット間の部分重複(例えば、図4Bの領域420)を決定することができる。ビームスポット境界決定モジュール508は、一次境界312及び二次境界314を表す位置(2次元座標として表される)の組を、信号スイッチマトリックス502hに提供することができる。
【0072】
[078] 信号スイッチマトリックス502hは、信号調節回路501a、501b、及び501cから受け取った前処理された強度信号をグループ化することができる。このグループ化は、電子感知素子のグループに対応した電子信号のグループが形成されるように、ビームスポット境界決定モジュール508から送られたビームスポット境界情報に従って、行われることがある。信号スイッチマトリックス502hは、電子感知素子520a、520b、及び520cに対応した前処理された強度信号のいずれを電子強度決定回路503に転送するべきかを選択するように構成されたマルチプレクサの組を含むことができる。例えば、信号スイッチマトリックス502hは、電子感知素子が一次境界の外側に位置するという判断に基づいて、電子感知素子520a、520b、及び520cに対応する出力のうちの1つ又は複数を除外することができる。電子信号の各グループは、電子強度決定回路503に送信されることがある。電子強度決定回路503は、電子ビームの対応する部分の全体的な強度を表す電子信号を生成することができる。
【0073】
[079] 実施形態によっては、信号スイッチマトリックス502hはまた、信号調節回路501a~501cからの前処理された強度信号からの信号を走査し、走査した信号をビームスポット画像化回路504に転送するように構成されることがある。信号スイッチマトリックス502hは、受け取った入力のいずれをビームスポット画像化回路504に転送するかを選択することにより、走査プロセスを実施することができる。走査速度は、ビームスポット処理モジュール506によって制御することができる。例えば、電子感知素子に対応する前処理された信号を、順次走査する(一度に1つずつ)ことがあり、又は、複数の電子感知素子に対応する前処理された信号を同時に走査することがある(例えば、センサ表面300の各行の1つの電子感知素子に対応する信号を、同時に走査することがある)。更に、走査領域は、ビームスポット処理モジュール506によって制御することもできる。例えば、図3Aを参照すると、スイッチマトリックス502hは、センサ領域302Aの電子感知素子に対応する前処理された信号のみを走査し、センサ領域302Dの電子感知素子に対応する前処理された信号は走査しないように構成されることがある。
【0074】
[080] 実施形態によっては、信号処理回路502のピーク検出回路は、信号調節回路501a、501b、及び501cの各々からの信号の最小及び最大の電圧レベルを決定するように構成されることがある。更に、信号処理回路502のアナログ-デジタル変換器は、ピーク信号をデジタル化し、デジタル化した信号をビームスポット処理モジュール506に転送するように構成されることがあり、ビームスポット処理モジュール506は、バス(図示せず)を介して外部コンポーネント(例えば、コントローラ又はデータレポジトリ)と通信することができる。
【0075】
[081] 再び図5Bを参照すると、電子強度決定回路503は、加算増幅器521a、521b、…、521c、後信号調節回路522a、522b、…、522c、及びアナログ-デジタル変換器523a、523b、…、523cを含むことができる。加算増幅器521a、521b、…、521cは、信号スイッチマトリックス502hから送信されたグループ化された電子信号を受け取るように構成されることがある。加算増幅器521a、521b、…、521cは、信号調節回路501a、501b、…、501cの一部又は全部の出力を加算し、電子ビームの対応する部分の全体的強度を表す加算信号を提供するように構成されることがある。後信号調節回路522a、522b、…、522cは、可変利得増幅器(VGA)及びオフセット電圧生成回路を含むことがある。可変利得増幅器は、加算増幅器521a、521b、…、521cから出力された加算信号を増幅することができる。可変利得増幅器は、再構成されたウェーハ画像のコントラストを修正し、画像チャネルのダイナミックレンジを拡張することができる。オフセット電圧生成回路は、VGAからの増幅された信号にオフセット電圧を追加して、再構成されたウェーハ画像の輝度を調節するように構成されることがある。後信号調節回路522a、522b、…、522cの増幅器利得及びオフセット電圧は、ビームスポット処理モジュール506によって制御することができる。アナログ-デジタル変換器523a、523b、…、523cは、後信号調節回路522a、522b、…、522cによって提供されるアナログ信号を、デジタル信号の組に変換し、そのデジタル信号をビームスポット強度決定モジュール510に提供するように構成されることがある。デジタル信号は、ビームスポットの一部の強度の合計に相当することがある。実施形態によっては、電子強度決定回路503は、追加の加算増幅器、オフセット補正回路、可変利得増幅器、及びアナログ-デジタル変換回路を含んで、一次境界の外側にあると判断された電子感知素子からノイズ測定値を生成し、そのノイズ測定値をビームスポット強度決定モジュール510に提供することがある。
【0076】
[082] ビームスポット強度決定モジュール510は、電子強度決定回路503からデジタル値を受け取り、追加の後処理を行うことがある。この後処理は、例えば、デジタル値の更なる加算を含んで、ビームスポットの強度値を生成することがある。電子強度決定回路503はまた、ノイズの影響を軽減するための後処理を行う、例えば、動作不良をおこしている電子感知素子から出力された強度を検出し除外する、隣接するビームスポット間の重複領域に位置する電子感知素子から出力された強度を検出し除外する、等をすることがある。ビームスポット強度決定モジュール510はまた、ノイズの影響を軽減するための他の後処理、例えば、強度データからノイズ測定値を引くことなどを行うこともある。ビームスポット境界決定モジュール508は、(例えば、二次境界に基づいて)ビームスポットの特定位置を決定し、ビームスポットの特定位置の情報、並びにビームスポット強度決定モジュール510からの強度値を、画像再構成モジュール512に提供することがある。
【0077】
[083] 画像再構成モジュール512は、ある時間ウィンドウの間に収集された強度値を、その時間ウィンドウ中の1つ又は複数の一次電子ビームの走査パスデータと組み合わせることにより、ウェーハの画像を再構成することができる。これに応じて、調査中のウェーハの画像を取得することができる。
【0078】
[084] 図5Bに示すように、ビームスポット画像化回路504は、バッファ増幅器531a、…、531b、後信号調節回路532a、…、532b、及びアナログ-デジタル変換器533a、…、533bを含むことができる。バッファ増幅器531a、…、531bは、信号スイッチマトリックス502hから送信された走査電子信号を、後信号調節回路532a、…、532bに転送するように構成されることがある。後信号調節回路532a、…、532bは、可変利得増幅器(VGA)及びオフセット電圧生成回路を含むことがある。可変利得増幅器は、バッファ増幅器531a、…、531bからの出力信号を増幅することができる。可変利得増幅器は、再構成されたビームスポット画像のコントラストを修正することができる。オフセット電圧生成回路は、VGAからの増幅された信号にオフセット電圧を追加して、再構成されたビームスポット画像の輝度を調節するように構成されることがある。後信号調節回路532a、…、532bの増幅器利得及びオフセット設定は、ビームスポット処理モジュール506によって制御することができる。アナログ-デジタル変換器533a、…、533bは、後信号調節回路532a、…、532bによって提供されるアナログ信号を、デジタル信号の組に変換し、そのデジタル信号をビームスポット画像化モジュール515に提供するように構成されることがある。
【0079】
[085] 図6は、ウェーハを検査するための例示的な方法600を表す流れ図である。例示した手順は、ステップを削除するか、又は追加のステップを更に含むように変更できることが、容易に理解されるであろう。方法600は、例えば、図5Aのシステム500と共に図1の電子ビームツール104によって、実行することができる。
【0080】
[086] 開始後、ステップ602で、一次電子ビーム(例えば、ビームレット214、216、又は218)がウェーハ(例えば、ウェーハ230)上に投射される。一次電子ビームは、電子源202によって放出されることがある。次いで、一次電子ビームは、銃開口部204、集光レンズ206、及び放射源変換ユニット212によって導かれて、一次電子ビームの複数のビームレットを形成する。一次電子ビームの1つ又は複数のビームレットは、一次投影光学系220に提供され、一次投影光学系220は、1つ又は複数のビームレットをウェーハ230に集束させることができ、且つ、二次電子又は後方散乱電子を電子検出器に向けることができる。
【0081】
[087] ステップ604では、電子検出器(例えば、電子検出デバイス244)は、ウェーハによって放出又は散乱された二次電子又は後方散乱電子を含む1つ又は複数の電子ビーム(例えば、電子ビーム236、238、及び240)を検出することができる。検出器は、所定の期間内に電子感知素子が受け取った電子の数に基づいて信号を生成するように構成された、複数の電子感知素子を含むことがある。
【0082】
[088] ステップ606では、ビームスポット境界決定モジュール508は、ステップ604で検出された電子ビームによって形成されたビームスポットの境界を決定することができる。境界の決定は、信号処理回路502によって提供されるビームスポットの強度勾配情報に基づくことがある。
【0083】
[089] ステップ608では、ビームスポット境界決定モジュール508は、決定された境界に基づいて、その境界の内部に位置する第1の組の電子感知素子、及びその境界の外側に位置する第2の組の電子感知素子を決定することができる。この決定は、電子検出デバイス244のセンサ表面上の電子感知素子の組の位置、及び境界の位置情報に基づくことがある。
【0084】
[090] ステップ610では、電子強度決定回路503は、第1の組の電子感知素子からの出力に基づいてビームスポットの強度値を決定することができる。例えば、システムは、第1の組の電子感知素子からの出力を加算し、輝度補正を行い、コントラスト調節を行い、結果として得られるアナログの加算信号をデジタル信号に変換することがある。
【0085】
[091] ステップ612では、電子強度決定回路503は、第2の組の電子感知素子からの出力に基づいてノイズ成分を決定することもできる。例えば、システムは、検出器の付近に位置する干渉源によって引き起こされるノイズ信号の測定値として、ビームスポットの境界の外側にあるが境界から所定の距離以内にある電子感知素子の出力を取得することがある。
【0086】
[092] ステップ614では、ビームスポット強度決定モジュール510は、ノイズ補償を行うために、強度値からノイズ成分を引くことがあり、それらは両方とも、電子強度決定回路503によって提供されることがある。実施形態によっては、電子強度決定回路503は、図4Bを参照して上述したように、ステップ606で決定したビームスポット境界を使用して、隣接するビームスポット間のクロストークを除去することがある。ビームスポット強度決定モジュール510は、ステップ614でノイズ補償を行うために、強度値からクロストーク成分を引くことがあり、それらは両方とも、電子強度決定回路503によって提供されることがある。
【0087】
[093] 補償された電子強度情報に基づいて、画像再構成モジュール512は、ステップ616で、ウェーハの画像を再構成することができる。画像再構成モジュール512は、ある時間ウィンドウの間にビームスポット強度決定モジュール510によって提供された強度値を、その時間ウィンドウ中の1つ又は複数の一次電子ビームの走査パスデータと共に組み合わせることにより、ウェーハの画像を再構成することができる。
【0088】
[094] 図7は、複数のビームを用いてウェーハを検査するための例示的な方法700を表す流れ図である。例示した手順は、ステップを削除するか、又は追加のステップを更に含むように変更できることが、容易に理解されるであろう。方法700は、例えば、図5Aのシステム500と共に図1の電子ビームツール104によって、実行することができる。
【0089】
[095] 開始後、ステップ702で、一次電子ビームの2つ以上のビームレット(例えば、ビームレット214、216、及び/又は218)がウェーハ(例えば、ウェーハ230)上に投射される。一次電子ビームは、電子源202によって放出されることがある。次いで、一次電子ビームは、銃開口部204、集光レンズ206、及び放射源変換ユニット212によって導かれて、一次電子ビームの複数のビームレットを形成する。一次電子ビームの2つ以上のビームレットは、一次投影光学系220に提供され、一次投影光学系220は、その2つ以上のビームレットをウェーハ230に集束させることができ、且つ、二次電子又は後方散乱電子を電子検出器に向けることができる。
【0090】
[096] ステップ704では、電子検出器(例えば、電子検出デバイス244)は、ウェーハによって放出又は散乱された二次電子又は後方散乱電子を含む複数の電子ビーム(例えば、二次電子ビーム236、238、及び240)を検出することができる。検出器は、所定の期間内に電子感知素子が受け取った電子の数に基づいて信号を生成するように構成された、複数の電子感知素子を含むことがある。
【0091】
[097] ステップ706では、ビームスポット境界決定モジュール508は、ステップ704で検出された電子ビームによって形成された、第1のビームスポットの第1の境界及び第2のビームスポットの第2の境界を決定することができる。境界の決定は、信号処理回路502によって提供されるビームスポットの強度勾配情報に基づくことがある。
【0092】
[098] ステップ708では、ビームスポット境界決定モジュール508は、決定された境界に基づいて、第1の境界の内部に位置する第1の組の電子感知素子、及び第2の境界の内部に位置する第2の組の電子感知素子を決定することができる。この決定は、電子検出デバイス244のセンサ表面上の電子感知素子の組の位置、及び境界の位置情報に基づくことがある。
【0093】
[099] ステップ710では、ビームスポット処理モジュール506はまた、第1及び第2のビームスポットに共通の電子感知素子に基づいて、第1のビームスポットと第2のビームスポットとの間の重複領域を決定することができる。ビームスポット処理モジュール506は、図4Bを参照して上述したように、例えば、重複領域420を検出することができる。実施形態によっては、ビームスポット処理モジュール506は、第1のビームスポットの中心を囲む第3の境界、第3の境界と第1の境界との間の第1の距離、及び第3の境界と第2の境界との間の第2の距離、を決定することがある。ビームスポット処理モジュール506は、例えば、図4Bを参照して第1の距離412及び第2の距離414を決定することができる。実施形態によっては、ビームスポット処理モジュール506は、第3及び第4の境界に基づいて、2つのビームスポットの中心間の距離を決定することがある。例えば、ビームスポット処理モジュールは、図4Bを参照して上述したように、2つのビームスポットの中心間の距離416を決定することがある。ビームスポット処理モジュール506は更に、決定された中心間の距離が所定の閾値を下回る場合には、重複領域を決定することがある。例えば、図4Bを参照すると、ビームスポット処理モジュール506は、距離416が所定の閾値を下回ることに基づいて、重複領域420を決定することがある。
【0094】
[0100] ビームスポット処理モジュール506は、ビームスポットの境界を縮小することにより、重複領域の影響を軽減することができる。ビームスポット処理モジュール506は、決定された重複領域に基づいて、ステップ712で、更新された第1の境界及び更新された第2の境界を決定することができる。ビームスポット処理モジュール506は、例えば、図4Bを参照して、更新された第1の境界312ee及び更新された第2の境界312ffを決定することができる。縮小率は、様々な考慮事項に基づいて決定されることがある。実施形態によっては、縮小率は、ステップ710で決定された、第1の距離と中心間の第2の距離との比率に基づくことがある。更に、決定された重複領域内の電子感知素子からの出力を除外することにより、ビームスポットの決定された強度値が減少することがある。この減少により、(例えば、暗電流、干渉源等からの)ノイズ成分に比べて強度値が低減され、信号対雑音比が低くなることがある。信号対雑音比が低下すると、ビームスポットから生成される強度分布が、ノイズ信号の影響をさらに受けやすくなることがあり、これにより、画像再構成の忠実性が低下することがある。従って、実施形態によっては、縮小率は、結果として得られる信号対雑音比が所定の閾値以上になるように、決定されることもある。
【0095】
[0101] ステップ714では、ビームスポット処理モジュール506は、更新された境界に基づいて、ビームスポットの強度値を決定することができる。これにより、図4Bを参照して上述したように、隣接するビームスポット間のクロストークを低減又は除去することができる。
【0096】
[0102] ステップ716では、ビームスポット処理モジュール506は、決定されたビームスポットの強度値に基づいて、ウェーハの画像を再構成することができる。ビームスポット処理モジュール506は、更新された第1及び第2の境界内部の電子感知素子によって提供された強度値を組み合わせることにより、ウェーハの画像を再構成することができる。
【0097】
[0103] 実施形態については、以下の条項を使用して更に説明することができる。
条項1.
検出システムであって、
複数の電子感知素子から受け取った電子強度データに基づいて一組の強度勾配を生成するように構成された信号処理回路と、
ビームスポット処理モジュールであって、
一組の強度勾配に基づいて、ビームスポットの少なくとも1つの境界を決定し、
少なくとも1つの境界に基づいて、複数の電子感知素子のうちの第1の組の電子感知素子が、ビームスポットの内部にあると決定する、ように構成される、ビームスポット処理モジュールと、を含む、検出システム。
【0098】
条項2.
検出システムであって、
ビームスポット処理モジュールであって、
複数の電子感知素子から一組の強度信号を取得し、
一組の強度信号に基づいて、ビームスポットの少なくとも1つの境界を決定し、
少なくとも1つの境界に基づいて、複数の電子感知素子のうちの第1の組の電子感知素子が、ビームスポットの内部にあると決定する、ように構成される、ビームスポット処理モジュールと、を含む、検出システム。
【0099】
条項3.
ビームスポット処理モジュールは更に、
第1の組の電子感知素子から受け取った電子強度データに基づいて、ビームスポットの強度値を決定するように構成される、条項1又は2に記載の検出システム。
【0100】
条項4.
ビームスポット処理モジュールは、強度値に基づいてウェーハの画像を生成するように更に構成される、条項3に記載の検出システム。
【0101】
条項5.
信号処理回路は、一組の強度勾配を生成するように構成された強度勾配決定回路を含む、条項1、3、及び4の何れか一項に記載の検出システム。
【0102】
条項6.
強度勾配決定回路は、
複数の電子感知素子のうちの隣接する電子感知素子からの電子強度データの比較に基づいて、一組の比較決定結果を生成するように構成された一組の比較器を含み、一組の強度勾配は、生成された一組の比較決定結果に基づいて決定される、条項5に記載の検出システム。
【0103】
条項7.
ビームスポット処理モジュールは、ビームスポットの少なくとも1つの境界を決定するように構成されたビームスポット境界決定モジュールを含む、条項1~6の何れか一項に記載の検出システム。
【0104】
条項8.
複数の電子感知素子はセンサ表面を形成し、ビームスポットの少なくとも1つの境界の決定は、ビームスポット境界決定モジュールが、
一組の比較決定結果を、センサ表面上の一組の位置と関連付け、
一組の比較決定結果の所定のパターンに基づいて、一組の位置の中から第1の位置を決定し、
第1の位置は、少なくとも1つの境界の一部であると決定する、ように更に構成されることを含む、条項7に記載の検出システム。
【0105】
条項9.
所定のパターンは、センサ表面上の第1の領域内部の第1の組の同一比較決定結果と、センサ表面上の第2の領域内部の第2の組の切り換わる比較決定結果とを含み、ビームスポット境界決定モジュールは、第1の位置を第1の領域と第2の領域との間の位置として決定するように構成される、条項8に記載の検出システム。
【0106】
条項10.
ビームスポット処理モジュールは、ビームスポットの強度値を決定するように構成されたビームスポット強度決定モジュールを更に含む、条項1~9の何れか一項に記載の検出システム。
【0107】
条項11.
ビームスポットの強度値の決定は、ビームスポット強度決定モジュールが、
少なくとも1つの境界に基づいて、複数の電子感知素子のうちの第2の組の電子感知素子が、ビームスポットの外側にあると決定し、
第2の組の電子感知素子から受け取った電子強度データに基づいて、ノイズ成分を決定し、
第1の組の電子感知素子の電子強度データから決定された強度値とノイズ成分との組み合わせに基づいて、補償された強度値を決定する、ように更に構成されることを含み、
ビームスポット処理モジュールは、補償された強度値に基づいてウェーハの画像を生成するように構成される、条項10に記載の検出システム。
【0108】
条項12.
ビームスポットの強度値の決定は、ビームスポット強度決定モジュールが、
1つ又は複数の電子感知素子と少なくとも1つの境界との間の距離に基づいて、第2の組の電子感知素子から1つ又は複数の電子感知素子を選択し、
選択された1つ又は複数の電子感知素子から受け取った電子強度データに基づいて、ノイズ成分を決定する、ように更に構成されることを含む、条項11に記載の検出システム。
【0109】
条項13.
ビームスポット処理モジュールは、強度値に基づいてウェーハの画像を生成するように構成された画像再構成モジュールを更に含む、条項1~12の何れか一項に記載の検出システム。
【0110】
条項14.
検出システムであって、
複数の電子感知素子から受け取られる電子強度データに基づいて一組の強度勾配を生成するように構成された信号処理回路と、
ビームスポット処理モジュールであって、
一組の強度勾配に基づいて、第1のビームスポットの第1の境界及び第2のビームスポットの第2の境界を決定し、
第1の境界に基づいて、複数の電子感知素子のうちの第1の組の電子感知素子が、第1のビームスポットの内部にあると決定し、
第2の境界に基づいて、複数の電子感知素子のうちの第2の組の電子感知素子が、第2のビームスポットの内部にあると決定し、
第1及び第2の境界に基づいて、第1のビームスポットと第2のビームスポットとの間の重複領域を決定する、ように構成されたビームスポット処理モジュールと、を含む検出システム。
【0111】
条項15.
検出システムであって、
ビームスポット処理モジュールであって、
複数の電子感知素子から一組の強度信号を取得し、
一組の強度信号に基づいて、第1のビームスポットの第1の境界及び第2のビームスポットの第2の境界を決定し、
第1の境界に基づいて、複数の電子感知素子のうちの第1の組の電子感知素子が、第1のビームスポットの内部にあると決定し、
第2の境界に基づいて、複数の電子感知素子のうちの第2の組の電子感知素子が、第2のビームスポットの内部にあると決定し、
第1及び第2の境界に基づいて、第1のビームスポットと第2のビームスポットとの間の重複領域を決定する、ように構成されたビームスポット処理モジュールと、を含む検出システム。
【0112】
条項16.
ビームスポット処理モジュールは、第1及び第2の境界を決定するように構成されたビームスポット境界決定モジュールを含む、条項14又は15に記載の検出システム。
【0113】
条項17.
第1のビームスポット及び第2のビームスポットのうちの少なくとも1つの強度値の決定は、ビームスポット処理モジュールが、
複数の電子感知素子のうちの第3の組の電子感知素子が、重複領域の内部にあると決定し、
第3の組の電子感知素子から受け取った電子強度データを除外して、第1のビームスポットの第1の強度値及び第2のビームスポットの第2の強度値を決定する、ように更に構成されることを含む、条項14~16の何れか一項に記載の検出システム。
【0114】
条項18.
ビームスポット処理モジュールは、第1の強度値及び第2の強度値を決定するように構成されたビームスポット強度決定モジュールを更に含む、条項17に記載の検出システム。
【0115】
条項19.
ビームスポット処理モジュールは、重複領域に基づいて、更新された第1の境界及び更新された第2の境界のうちの少なくとも1つを決定するように更に構成され、
ビームスポット処理モジュールは、更新された第1の境界及び更新された第2の境界のうちの少なくとも1つに基づいて、第1のビームスポットの第1の強度値又は第2のビームスポットの第2の強度値を決定するように構成される、条項14~18の何れか一項に記載の検出システム。
【0116】
条項20.
重複領域に基づく更新された第1の境界及び更新された第2の境界のうちの少なくとも1つの決定は、ビームスポット処理モジュールが、
第1のビームスポットの中心を囲む第3の境界を決定し、
第3の境界と第1の境界との間の第1の距離を決定し、
第3の境界と第2の境界との間の第2の距離を決定し、
第1の距離及び第2の距離に基づいて、倍率を決定し、
倍率に基づいて、更新された第1の境界及び更新された第2の境界のうちの少なくとも1つを決定する、ように更に構成されることを含む、条項19に記載の検出システム。
【0117】
条項21.
倍率は、所定の信号対雑音比閾値に基づいて決定される、条項20に記載の検出システム。
【0118】
条項22.
ビームスポットの強度値の決定は、ビームスポット強度決定モジュールが、
第1の組の電子感知素子のうちの1つ又は複数の電子感知素子から受け取った電子強度データに基づいて、1つ又は複数の電子感知素子が動作不良をおこしていると決定し、
1つ又は複数の電子感知素子から受け取った電子強度データを除外して、ビームスポットの強度値を決定する、ように更に構成されることを含む、条項17~21の何れか一項に記載の検出システム。
【0119】
条項23.
第1の組の電子感知素子から受け取った電子強度データの合計を生成し、
合計を表すデジタル信号を生成する、ように構成された電子強度決定回路を更に含み、
ビームスポット強度決定モジュールは、デジタル信号に基づいて、ビームスポットの強度値を決定するように構成される、条項14~22の何れか一項に記載の検出システム。
【0120】
条項24.
電子強度決定回路は、
信号スイッチマトリックスによって選択された電子強度データに基づいて、合計を表す加算信号を出力するように構成された加算増幅器であって、信号スイッチマトリックスは、少なくとも1つの境界に基づいて第1の組の電子感知素子の電子強度データを選択するように構成される、加算増幅器と、
後信号調節回路であって、
加算増幅器からの加算信号を増幅するように構成された可変利得増幅器、及び
可変利得増幅器からの増幅信号にオフセット電圧を追加するように構成されたオフセット電圧生成回路、を含む後信号調節回路と、
後信号調節回路からの信号に基づいてデジタル信号を生成するように構成されたアナログ-デジタル変換器と、を更に含む、条項23に記載の検出システム。
【0121】
条項25.
強度値に基づくウェーハの画像の生成は、画像再構成モジュールが、
ビームスポット強度決定モジュールから、複数のビームスポットの強度値を取得し、
ビームスポット境界決定モジュールから、複数のビームスポットの特定位置を取得し、
特定位置を、ウェーハ上又は内部の複数の走査位置にマッピングし、
強度値及び走査位置に基づいて、ウェーハの画像を構成する、ように更に構成されることを含む、条項1~24の何れか一項に記載の検出システム。
【0122】
条項26.
信号スイッチマトリックスによって走査された1つ又は複数の電子感知素子から電子強度データを表す信号を受け取り、
信号の振幅を表すデジタル信号を生成し、
デジタル信号をビームスポット画像化モジュールに提供する、ように構成されたビームスポット画像化回路を更に含み、ビームスポット画像化モジュールはビームスポットの画像を生成するように構成される、条項1~25の何れか一項に記載の検出システム。
【0123】
条項27.
複数の電子感知素子の各々から受け取った電子強度データを前処理するように構成された信号調節回路の組を更に含み、
強度勾配決定回路は、前処理された電子強度データに基づいて、一組の強度勾配を決定するように構成され、
ビームスポット強度決定モジュールは、前処理された電子強度データに基づいて、ビームスポットの強度値を決定するように構成される、条項1~26の何れか一項に記載の検出システム。
【0124】
条項28.
電子検出システムであって、
ウェーハからの後方散乱電子又は二次電子を含む少なくとも1つの電子ビームを受け取るように構成された、複数の電子感知素子、及び
処理システムであって、
複数の電子感知素子の各々から受け取った電子強度データに基づいて、一組の強度勾配を決定するように構成された、強度勾配決定回路と、
ビームスポット境界決定モジュールであって、
一組の強度勾配に基づいて、少なくとも1つの二次電子ビームのうちの1つのビームスポットの少なくとも1つの境界を決定し、
少なくとも1つの境界に基づいて、複数の電子感知素子のうちの第1の組の電子感知素子が、ビームスポットの内部にあると決定する、ように構成されたビームスポット境界決定モジュールと、
第1の組の電子感知素子から受け取った電子強度データに基づいて、ビームスポットの強度値を決定するように構成された、ビームスポット強度決定モジュールと、
強度値に基づいてウェーハの画像を生成するように構成された画像再構成モジュールと、を含む、処理システムを含む電子検出システム。
【0125】
条項29.
強度勾配決定回路は、複数の電子感知素子の隣接する一対の電子感知素子から受け取った電子強度データを比較するように構成された一組の比較器を含み、
一組の強度勾配は、一組の比較器による一組の比較決定結果に基づいて決定される、条項28に記載の電子検出システム。
【0126】
条項30.
複数の電子感知素子はセンサ表面を形成し、ビームスポットの少なくとも1つの境界の決定は、ビームスポット境界決定モジュールが、
一組の比較決定結果を、センサ表面上の一組の位置と関連付け、
一組の比較決定結果の所定のパターンに基づいて、一組の位置の中から第1の位置を決定し、
第1の位置は、少なくとも1つの境界の一部であると決定する、ように構成されることを含む、条項29に記載の電子検出システム。
【0127】
条項31.
所定のパターンは、センサ表面上の第1の領域内部の第1の組の同一比較決定結果と、センサ表面上の第2の領域内部の第2の組の切り換わる比較決定結果とを含み、ビームスポット境界決定モジュールは、第1の位置を第1の領域と第2の領域との間の位置として決定するように構成される、条項30に記載の電子検出システム。
【0128】
条項32.
ビームスポットの強度値の決定は、ビームスポット強度決定モジュールが、
少なくとも1つの境界に基づいて、複数の電子感知素子のうちの第2の組の電子感知素子が、ビームスポットの外側にあると決定し、
第2の組の電子感知素子から受け取った電子強度データに基づいて、ノイズ成分を決定し、
第1の組の電子感知素子の電子強度データから決定された強度値とノイズ成分との組み合わせに基づいて、補償された強度値を決定する、ように更に構成されることを含み、
画像再構成モジュールは、補償された強度値に基づいてウェーハの画像を生成するように構成される、条項28~31の何れか一項に記載の電子検出システム。
【0129】
条項33.
ビームスポットの強度値の決定は、ビームスポット強度決定モジュールが、
1つ又は複数の電子感知素子と少なくとも1つの境界との間の距離に基づいて、第2の組の電子感知素子から1つ又は複数の電子感知素子を選択し、
選択された1つ又は複数の電子感知素子から受け取った電子強度データに基づいて、ノイズ成分を決定する、ように更に構成されることを含む、条項32に記載の電子検出システム。
【0130】
条項34.
ビームスポットの少なくとも1つの境界の決定は、ビームスポット境界決定モジュールが、
一組の強度勾配に基づいて、第1のビームスポットの第1の境界及び第2のビームスポットの第2の境界を決定し、
第1及び第2の境界に基づいて、第1のビームスポットと第2のビームスポットとの間の重複領域を決定する、ように構成されることを含む、条項28~33の何れか一項に記載の電子検出システム。
【0131】
条項35.
ビームスポットの強度値の決定は、ビームスポット強度決定モジュールが、
複数の電子感知素子のうちの第3の組の電子感知素子が、重複領域の内部にあると決定し、
第3の組の電子感知素子から受け取った電子強度データを除外して、第1のビームスポットの第1の強度値及び第2のビームスポットの第2の強度値を決定する、ように更に構成されることを含む、条項34に記載の電子検出システム。
【0132】
条項36.
ビームスポット境界決定モジュールは、重複領域に基づいて、更新された第1の境界及び更新された第2の境界を決定するように更に構成され、
ビームスポット強度決定モジュールは、更新された第1の境界及び更新された第2の境界にそれぞれ基づいて、第1のビームスポットの第1の強度値及び第2のビームスポットの第2の強度値を決定するように構成される、条項34又は35に記載の電子検出システム。
【0133】
条項37.
重複領域に基づく更新された第1の境界及び更新された第2の境界の決定は、ビームスポット境界決定モジュールが、
第1のビームスポットの中心を囲む第3の境界を決定し、
第3の境界と第1の境界との間の第1の距離を決定し、
第3の境界と第2の境界との間の第2の距離を決定し、
第1の距離及び第2の距離に基づいて、倍率を決定し、
倍率に基づいて、更新された第1の境界及び更新された第2の境界を決定する、ように更に構成されることを含む、条項36に記載の電子検出システム。
【0134】
条項38.
倍率は、所定の信号対雑音比閾値に基づいても決定される、条項37に記載の電子検出システム。
【0135】
条項39.
ビームスポットの強度値の決定は、ビームスポット強度決定モジュールが、
第1の組の電子感知素子のうちの1つ又は複数の電子感知素子から受け取った電子強度データに基づいて、1つ又は複数の電子感知素子が動作不良をおこしていると決定し、
1つ又は複数の電子感知素子から受け取った電子強度データを除外して、ビームスポットの強度値を決定する、ように更に構成されることを含む、条項28~38の何れか一項に記載の電子検出システム。
【0136】
条項40.
第1の組の電子感知素子から受け取った電子強度データの合計を生成し、
合計を表すデジタル信号を生成する、ように構成された電子強度決定回路を更に含み、
ビームスポット強度決定モジュールは、デジタル信号に基づいて、ビームスポットの強度値を決定するように構成される、条項28~39の何れか一項に記載の電子検出システム。
【0137】
条項41.
電子強度決定回路は、
信号スイッチマトリックスによって選択された電子強度データに基づいて、合計を表す加算信号を出力するように構成された加算増幅器であって、信号スイッチマトリックスは、少なくとも1つの境界に基づいて第1の組の電子感知素子の電子強度データを選択するように構成される、加算増幅器と、
後信号調節回路であって、
加算増幅器からの加算信号を増幅するように構成された可変利得増幅器、及び
可変利得増幅器からの増幅信号にオフセット電圧を追加するように構成されたオフセット電圧生成回路、を含む後信号調節回路と、
後信号調節回路からの信号に基づいてデジタル信号を生成するように構成されたアナログ-デジタル変換器と、を含む、条項40に記載の電子検出システム。
【0138】
条項42.
強度値に基づくウェーハの画像の生成は、画像再構成モジュールが、
ビームスポット強度決定モジュールから、複数のビームスポットの強度値を取得し、
ビームスポット境界決定モジュールから、複数のビームスポットの特定位置を取得し、
特定位置を、ウェーハ上又は内部の複数の走査位置にマッピングし、
強度値及び走査位置に基づいて、ウェーハの画像を構成する、ように構成されることを含む、条項28~41の何れか一項に記載の電子検出システム。
【0139】
条項43.
処理システムは、
信号スイッチマトリックスによって走査された1つ又は複数の電子感知素子から電子強度データを表す信号を受け取り、
信号の増幅を表すデジタル信号を生成し、
デジタル信号をビームスポット画像化モジュールに提供する、ように構成されたビームスポット画像化回路を更に含み、ビームスポット画像化モジュールはビームスポットの画像を生成するように構成される、条項28~42の何れか一項に記載の電子検出システム。
【0140】
条項44.
複数の電子感知素子の各々から受け取った電子強度データを前処理するように構成された信号調節回路の組を更に含み、
強度勾配決定回路は、前処理された電子強度データに基づいて、一組の強度勾配を決定するように構成され、
ビームスポット強度決定モジュールは、前処理された電子強度データに基づいて、ビームスポットの強度値を決定するように構成される、条項28~43の何れか一項に記載の電子検出システム。
【0141】
条項45.
複数の電子感知素子の各々から受け取った電子強度データに基づいて、一組の強度勾配を決定することと、
一組の強度勾配に基づいて、ビームスポットの少なくとも1つの境界を決定することと、を含む、方法。
【0142】
条項46.
少なくとも1つの境界に基づいて、複数の電子感知素子のうちの第1の組の電子感知素子が、ビームスポットの内部にあると決定すること、を更に含む、条項45に記載の方法。
【0143】
条項47.
第1の組の電子感知素子から受け取った電子強度データに基づいて、ビームスポットの強度値を決定すること、を更に含む、条項46に記載の方法。
【0144】
条項48.
強度値に基づいてウェーハの画像を生成すること、を更に含む、条項47に記載の方法。
【0145】
条項49.
信号レベル差決定デバイスの組によって、複数の電子感知素子のうちの隣接する電子感知素子からの電子強度データの比較に基づいて、一組の比較決定結果を生成することを更に含み、一組の強度勾配は、生成された一組の比較決定結果に基づいて決定される、条項45~48の何れか一項に記載の方法。
【0146】
条項50.
信号レベル差決定デバイスは電圧比較器を含む、条項49に記載の方法。
【0147】
条項51.
複数の電子感知素子はセンサ表面を形成し、ビームスポットの少なくとも1つの境界を決定することは、
一組の比較決定結果を、センサ表面上の一組の位置と関連付けることと、
一組の比較決定結果の所定のパターンに基づいて、一組の位置の中から第1の位置を決定することと、
第1の位置は、少なくとも1つの境界の一部であると決定することと、を含む、条項49又は50に記載の方法。
【0148】
条項52.
所定のパターンは、センサ表面上の第1の領域内部の第1の組の同一比較決定結果と、センサ表面上の第2の領域内部の第2の組の切り換わる比較決定結果とを含み、第1の位置は、第1の領域と第2の領域との間の位置として決定される、条項51に記載の方法。
【0149】
条項53.
ビームスポットの強度値を決定することは、
少なくとも1つの境界に基づいて、複数の電子感知素子のうちの第2の組の電子感知素子が、ビームスポットの外側にあると決定することと、
第2の組の電子感知素子から受け取った電子強度データに基づいて、ノイズ成分を決定することと、
第1の組の電子感知素子の電子強度データから決定された強度値とノイズ成分との組み合わせに基づいて、補償された強度値を決定することと、を更に含み、
ウェーハの画像は、補償された強度値に基づいて生成される、条項47~52の何れか一項に記載の方法。
【0150】
条項54.
ビームスポットの強度値を決定することは、
1つ又は複数の電子感知素子と少なくとも1つの境界との間の距離に基づいて、第2の組の電子感知素子から1つ又は複数の電子感知素子を選択することと、
選択された1つ又は複数の電子感知素子から受け取った電子強度データに基づいて、ノイズ成分を決定することと、を含む、条項53に記載の方法。
【0151】
条項55.
複数の電子感知素子の各々から受け取った電子強度データに基づいて、一組の強度勾配を決定することと、
一組の強度勾配に基づいて、第1のビームスポットの第1の境界及び第2のビームスポットの第2の境界を決定することと、
第1の境界に基づいて、複数の電子感知素子のうちの第1の組の電子感知素子が、第1のビームスポットの内部にあると決定することと、
第2の境界に基づいて、複数の電子感知素子のうちの第2の組の電子感知素子が、第2のビームスポットの内部にあると決定することと、
第1及び第2の境界に基づいて、第1のビームスポットと第2のビームスポットとの間の重複領域を決定することと、を含む、方法。
【0152】
条項56.
第1のビームスポット及び第2のビームスポットのうちの少なくとも1つの強度値を決定することを更に含み、強度値の決定は、
複数の電子感知素子のうちの第3の組の電子感知素子が、重複領域の内部にあると決定することと、
第3の組の電子感知素子から受け取った電子強度データを除外して、第1のビームスポットの第1の強度値及び第2のビームスポットの第2の強度値を決定することと、を更に含む、条項55に記載の方法。
【0153】
条項57.
重複領域に基づいて、更新された第1の境界及び更新された第2の境界を決定することと、
更新された第1の境界及び更新された第2の境界にそれぞれ基づいて、第1のビームスポットの第1の強度値及び第2のビームスポットの第2の強度値を決定することと、を更に含む、条項55又は56に記載の方法。
【0154】
条項58.
重複領域に基づいて、更新された第1の境界及び更新された第2の境界を決定することは、
第1のビームスポットの中心を囲む第3の境界を決定することと、
第3の境界と第1の境界との間の第1の距離を決定することと、
第3の境界と第2の境界との間の第2の距離を決定することと、
第1の距離及び第2の距離に基づいて、倍率を決定することと、
倍率に基づいて、更新された第1の境界及び更新された第2の境界を決定することと、を含む、条項57に記載の方法。
【0155】
条項59.
倍率は、所定の信号対雑音比閾値に基づいても決定される、条項58に記載の方法。
【0156】
条項60.
ビームスポットの強度値を決定することは、
第1の組の電子感知素子のうちの1つ又は複数の電子感知素子から受け取った電子強度データに基づいて、1つ又は複数の電子感知素子が動作不良をおこしていると決定することと、
1つ又は複数の電子感知素子から受け取った電子強度データを除外して、ビームスポットの強度値を決定することと、を含む、条項47~59の何れか一項に記載の方法。
【0157】
条項61.
第1の組の電子感知素子から受け取った電子強度データの合計を生成することと、
合計を表すデジタル信号を生成することと、を更に含み、
ビームスポットの強度値は、デジタル信号に基づいて決定される、条項47~60の何れか一項に記載の方法。
【0158】
条項62.
強度値に基づいてウェーハの画像を生成することは、
複数のビームスポットの強度値を取得することと、
複数のビームスポットの特定位置を取得することと、
特定位置を、ウェーハ上又は内部の複数の走査位置にマッピングすることと、
強度値及び走査位置に基づいて、ウェーハの画像を構成することと、を含む、条項48~61の何れか一項に記載の方法。
【0159】
条項63.
方法は、
1つ又は複数の電子感知素子から走査された電子強度データを表す信号を受け取ることと、
受け取った信号を増幅することと、
増幅信号を表すデジタル信号を生成することと、
デジタル信号に基づいて、ビームスポットの画像を生成することと、を更に含む、条項62に記載の方法。
【0160】
条項64.
信号調節回路の組を用いて、複数の電子感知素子の各々から受け取った電子強度データを前処理することを更に含み、
一組の強度勾配は、前処理された電子強度データに基づいて決定され、
ビームスポットの強度値は、前処理された電子強度データに基づいて決定される、条項45~63の何れか一項に記載の方法。
【0161】
条項65.
コンピュータ装置に方法を実行させるための1つ又は複数のプロセッサを含むコンピュータ装置によって実行可能な命令を記憶する非一時的なコンピュータ可読記憶媒体であって、方法は、
複数の電子感知素子から一組の強度信号を決定することと、
一組の強度信号に基づいて、ビームスポットの少なくとも1つの境界を決定することと、を含む、非一時的なコンピュータ可読記憶媒体。
【0162】
条項66.
方法は、
少なくとも1つの境界に基づいて、複数の電子感知素子のうちの第1の組の電子感知素子が、ビームスポットの内部にあると決定すること、を更に含む、条項65に記載の媒体。
【0163】
条項67.
方法は、
第1の組の電子感知素子から受け取った電子強度データに基づいて、ビームスポットの強度値を決定すること、を更に含む、条項66に記載の媒体。
【0164】
条項68.
方法は、
強度値に基づいてウェーハの画像を生成すること、を更に含む、条項67に記載の媒体。
【0165】
条項69.
方法は、
信号レベル差決定デバイスの組によって、複数の電子感知素子のうちの一対の隣接する電子感知素子からの電子強度データの比較に基づいて、一組の比較決定結果を生成することを更に含み、一組の強度勾配は、生成された一組の比較決定結果に基づいて決定される、条項65~68の何れか一項に記載の媒体。
【0166】
条項70.
信号レベル差決定デバイスは電圧比較器を含む、条項69に記載の媒体。
【0167】
条項71.
複数の電子感知素子はセンサ表面を形成し、ビームスポットの少なくとも1つの境界を決定することは、
一組の比較決定結果を、センサ表面上の一組の位置と関連付けることと、
一組の比較決定結果の所定のパターンに基づいて、一組の位置の中から第1の位置を決定することと、
第1の位置は、少なくとも1つの境界の一部であると決定することと、を含む、条項69又は70に記載の媒体。
【0168】
条項72.
所定のパターンは、センサ表面上の第1の領域内部の第1の組の同一比較決定結果と、センサ表面上の第2の領域内部の第2の組の切り換わる比較決定結果とを含み、ビームスポット処理モジュールは、第1の位置を第1の領域と第2の領域との間の位置として決定するように構成される、条項71に記載の媒体。
【0169】
条項73.
ビームスポットの強度値を決定することは、
少なくとも1つの境界に基づいて、複数の電子感知素子のうちの第2の組の電子感知素子が、ビームスポットの外側にあると決定することと、
第2の組の電子感知素子から受け取った電子強度データに基づいて、ノイズ成分を決定することと、
第1の組の電子感知素子の電子強度データから決定された強度値とノイズ成分との組み合わせに基づいて、補償された強度値を決定することと、を含み、
ウェーハの画像は、補償された強度値に基づいて生成される、条項67~72の何れか一項に記載の媒体。
【0170】
条項74.
ビームスポットの強度値を決定することは、
1つ又は複数の電子感知素子と少なくとも1つの境界との間の距離に基づいて、第2の組の電子感知素子から1つ又は複数の電子感知素子を選択することと、
選択された1つ又は複数の電子感知素子から受け取った電子強度データに基づいて、ノイズ成分を決定することと、を含む、条項73に記載の媒体。
【0171】
条項75.
コンピュータ装置に方法を実行させるための1つ又は複数のプロセッサを含むコンピュータ装置によって実行可能な命令を記憶する非一時的なコンピュータ可読記憶媒体であって、方法は、
複数の電子感知素子の各々から受け取った電子強度データに基づいて、一組の強度勾配を決定することと、
一組の強度勾配に基づいて、第1のビームスポットの第1の境界及び第2のビームスポットの第2の境界を決定することと、
第1の境界に基づいて、複数の電子感知素子のうちの第1の組の電子感知素子が、第1のビームスポットの内部にあると決定することと、
第2の境界に基づいて、複数の電子感知素子のうちの第2の組の電子感知素子が、第2のビームスポットの内部にあると決定することと、
第1及び第2の境界に基づいて、第1のビームスポットと第2のビームスポットとの間の重複領域を決定することと、を含む、非一時的なコンピュータ可読記憶媒体。
【0172】
条項76.
第1のビームスポット及び第2のビームスポットの片方又は両方の強度値の決定は、
複数の電子感知素子のうちの第3の組の電子感知素子が、重複領域の内部にあると決定することと、
第3の組の電子感知素子から受け取った電子強度データを除外して、第1のビームスポットの第1の強度値及び第2のビームスポットの第2の強度値を決定することと、を含む、条項75に記載の媒体。
【0173】
条項77.
方法は、
重複領域に基づいて、更新された第1の境界及び更新された第2の境界を決定することと、
更新された第1の境界及び更新された第2の境界にそれぞれ基づいて、第1のビームスポットの第1の強度値及び第2のビームスポットの第2の強度値を決定することと、を更に含む、条項75又は76に記載の媒体。
【0174】
条項78.
重複領域に基づいて、更新された第1の境界及び更新された第2の境界を決定することは、
第1のビームスポットの中心を囲む第3の境界を決定することと、
第3の境界と第1の境界との間の第1の距離を決定することと、
第3の境界と第2の境界との間の第2の距離を決定することと、
第1の距離及び第2の距離に基づいて、倍率を決定することと、
倍率に基づいて、更新された第1の境界及び更新された第2の境界を決定することと、を含む、条項77に記載の媒体。
【0175】
条項79.
倍率は、所定の信号対雑音比閾値に基づいても決定される、条項78に記載の媒体。
【0176】
条項80.
ビームスポットの強度値を決定することは、
第1の組の電子感知素子のうちの1つ又は複数の電子感知素子から受け取った電子強度データに基づいて、1つ又は複数の電子感知素子が動作不良をおこしていると決定することと、
1つ又は複数の電子感知素子から受け取った電子強度データを除外して、ビームスポットの強度値を決定することと、を含む、条項67~79の何れか一項に記載の媒体。
【0177】
条項81.
方法は、
第1の組の電子感知素子から受け取った電子強度データの合計を生成することと、
合計を表すデジタル信号を生成することと、を更に含み、
ビームスポットの強度値は、デジタル信号に基づいて決定される、条項67~80の何れか一項に記載の媒体。
【0178】
条項82.
強度値に基づいてウェーハの画像を生成することは、
複数のビームスポットの強度値を取得することと、
複数のビームスポットの特定位置を取得することと、
特定位置を、ウェーハ上又は内部の複数の走査位置にマッピングすることと、
強度値及び走査位置に基づいて、ウェーハの画像を構成することと、を含む、条項68~81の何れか一項に記載の媒体。
【0179】
条項83.
方法は、
1つ又は複数の電子感知素子から走査された電子強度データを表す信号を受け取ることと、
受け取った信号を増幅することと、
増幅信号を表すデジタル信号を生成することと、
デジタル信号に基づいて、ビームスポットの画像を生成することと、を更に含む、条項82に記載の媒体。
【0180】
条項84.
方法は、信号調節回路の組を用いて、複数の電子感知素子の各々から受け取った電子強度データを前処理することを更に含み、
一組の強度勾配は、前処理された電子強度データに基づいて決定され、
ビームスポットの強度値は、前処理された電子強度データに基づいて決定される、条項65~83の何れか一項に記載の媒体。
【0181】
条項85.
複数の荷電粒子ビームを受け取るための検出器であって、
複数の荷電粒子ビームの感知に基づいて一組の強度信号を生成するように構成された複数の感知素子を有する受光面と、
一組の強度信号に基づいて、ビームスポットの少なくとも1つの境界を決定し、且つ、複数の感知素子のうちの第1の組の感知素子がビームスポットの内部にあると決定するように構成された処理システムと、を含む検出器。
【0182】
[0104] 本発明は、で説明し、添付の図面に図示した通りの正確な構成に限定されるものではなく、また、本発明の範囲から逸脱することなく様々な修正及び変更を加えることができることを、理解されたい。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるべきであることが意図されている。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図5C
図6
図7