(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-10
(45)【発行日】2022-03-18
(54)【発明の名称】基板処理装置、半導体装置の製造方法、プログラム
(51)【国際特許分類】
H01L 21/31 20060101AFI20220311BHJP
C23C 16/455 20060101ALI20220311BHJP
【FI】
H01L21/31 B
C23C16/455
(21)【出願番号】P 2020136092
(22)【出願日】2020-08-12
(62)【分割の表示】P 2018028026の分割
【原出願日】2018-02-20
【審査請求日】2021-02-17
(73)【特許権者】
【識別番号】318009126
【氏名又は名称】株式会社KOKUSAI ELECTRIC
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】大野 幹雄
(72)【発明者】
【氏名】村田 慧
【審査官】田中 崇大
(56)【参考文献】
【文献】韓国登録特許第10-0789251(KR,B1)
【文献】特開2018-022743(JP,A)
【文献】特開2010-045251(JP,A)
【文献】特開平07-142460(JP,A)
【文献】特開2002-206480(JP,A)
【文献】特表2002-521817(JP,A)
【文献】国際公開第2017/138183(WO,A1)
【文献】特開平01-241819(JP,A)
【文献】特開平07-153695(JP,A)
【文献】特開2006-261310(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/31
C23C 16/455
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を支持する基板支持部と、
前記基板が処理される第一空間を有する処理炉と、
前記第一空間の雰囲気を真空レベルまで排気する排気部と、
前記第一空間に第一ガスを供給する第一ガス導入管と、前記第一ガス導入管に連通される第一処理ガス搬送管と、前記第一空間の外側であって、大気圧レベルの第二空間において、前記第一ガス導入管と前記第一処理ガス搬送管とが隣接し空間を有する隣接部を覆うように構成すると共に、前記第一ガス導入管と前記第一処理ガス搬送管とを固定する継手部と、前記隣接部と前記第二空間との間に設けられた圧力調整部とを有する第一ガス供給系と、
前記第一空間に、前記第一ガスと異なる第二ガスを供給する第二ガス導入管と、前記第二ガス導入管に連通される第二処理ガス搬送管とを有する第二ガス供給系と、
を備え
、
前記継手部は前記第一空間の外側の前記第二空間において、前記隣接部を覆うように構成すると共に、前記第一ガス導入管と前記第一処理ガス搬送管とを上下から挟み込むように固定し、前記第一ガス導入管の先端が挿入される第一のフランジと本体部とを備え、
さらに、
前記処理炉を支持すると共に前記第一ガス導入管が貫通されるマニホールドの本体に設けられ、前記第一のフランジによって覆われ、前記第一ガス導入管が貫通される第二のフランジと、
前記隣接部と前記第二空間との間に設けられ、前記第一ガス導入管と前記第二のフランジとに接触するよう構成される第一のOリングと、
ガス流れ方向に対して前記第一のOリングと重ならない位置に配された第二のOリングであって、前記第一のフランジと前記第二のフランジとに接触するよう構成される第二のOリングと、
を有する基板処理装置。
【請求項2】
前記継手部が配される空間は前記第二空間であって、前記基板を処理する際の圧力は、前記第二空間と前記圧力調整部とは同圧となるよう構成される請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
基板を支持する基板支持部と、
前記基板が処理される第一空間を有する処理炉と、
前記第一空間の雰囲気を真空レベルまで排気する排気部と、
前記第一空間に第一ガスを供給する第一ガス導入管と、前記第一ガス導入管に連通される第一処理ガス搬送管と、前記第一空間の外側であって、大気圧レベルの第二空間において、前記第一ガス導入管と前記第一処理ガス搬送管とが隣接し空間を有する隣接部を覆うように構成すると共に、前記第一ガス導入管と前記第一処理ガス搬送管とを固定する継手部と、前記隣接部と前記第二空間との間に設けられた圧力調整部とを有する第一ガス供給系と、
前記第一空間に、前記第一ガスと異なる第二ガスを供給する第二ガス導入管と、前記第二ガス導入管に連通される第二処理ガス搬送管とを有する第二ガス供給系と、
を備え、
前記継手部は前記第一空間の外側の前記第二空間において、前記隣接部を覆うように構成すると共に、前記第一ガス導入管と前記第一処理ガス搬送管とを上下から挟み込むように固定し、前記第一ガス導入管の先端が挿入される第一のフランジと本体部とを備え、
さらに、
前記処理炉を支持すると共に前記第一ガス導入管が貫通されるマニホールド本体に設けられ、前記第一のフランジによって覆われ、前記第一ガス導入管が貫通される第二のフランジと、
前記隣接部と前記第二空間との間に設けられ、前記第一ガス導入管と前記第二のフランジとに接触するよう構成される第一のOリングと、
前記第一のOリングよりも大きい径で構成される第二のOリングであって、前記第一のフランジと前記第二のフランジとに接触するよう構成される第二のOリングと、
を有す
る基板処理装置。
【請求項4】
前記第一ガス導入管は石英で構成され、前記第一のOリングおよび前記第二のOリングは弾性体で構成され、前記第一ガス導入管は前記第一のOリングで支持されるよう構成される請求項
1または請求項
3に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記第一のOリングは、前記第一空間と前記圧力調整部との間に設けられるよう構成される請求項
1または請求項
3に記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記第二ガスは、大気成分と反応しないガスである請求項1から請求項
5のうち、いず
れか一項に記載の基板処理装置。
【請求項7】
基板を支持する基板支持部を、第一空間を有する処理炉に搬入する工程と、
前記第一空間の雰囲気を真空レベルまで排気する工程と、
前記第一空間に第一ガスを供給する第一ガス導入管と、前記第一ガス導入管に連通される第一処理ガス搬送管と、前記第一空間の外側であって、大気圧レベルの第二空間において、前記第一ガス導入管と前記第一処理ガス搬送管とが隣接し空間を有する隣接部を覆うように構成すると共に、前記第一ガス導入管と前記第一処理ガス搬送管とを固定する継手部と、前記隣接部と前記第二空間との間に設けられた圧力調整部とを有する第一ガス供給系から大気成分と反応して反応物を生成する前記第一ガスを供給する工程と、
前記第一空間に、前記第一ガスと異なる第二ガスを供給する第二ガス導入管と、前記第二ガス導入管に連通される第二処理ガス搬送管とを有する第二ガス供給系から、前記第二ガスを供給する工程と、
を有
し、
前記継手部は前記第一空間の外側の前記第二空間において、前記隣接部を覆うように構成すると共に、前記第一ガス導入管と前記第一処理ガス搬送管とを上下から挟み込むように固定し、前記第一ガス導入管の先端が挿入される第一のフランジと本体部とを備え、
さらに、
前記処理炉を支持すると共に前記第一ガス導入管が貫通されるマニホールドの本体に設けられ、前記第一のフランジによって覆われ、前記第一ガス導入管が貫通される第二のフランジと、
前記隣接部と前記第二空間との間に設けられ、前記第一ガス導入管と前記第二のフランジとに接触するよう構成される第一のOリングと、
ガス流れ方向に対して前記第一のOリングと重ならない位置に配された第二のOリングであって、前記第一のフランジと前記第二のフランジとに接触するよう構成される第二のOリングとを備える、
半導体装置の製造方法。
【請求項8】
基板を支持する基板支持部を、第一空間を有する処理炉に搬入する工程と、
前記第一空間の雰囲気を真空レベルまで排気する工程と、
前記第一空間に第一ガスを供給する第一ガス導入管と、前記第一ガス導入管に連通される第一処理ガス搬送管と、前記第一空間の外側であって、大気圧レベルの第二空間において、前記第一ガス導入管と前記第一処理ガス搬送管とが隣接し空間を有する隣接部を覆うように構成すると共に、前記第一ガス導入管と前記第一処理ガス搬送管とを固定する継手部と、前記隣接部と前記第二空間との間に設けられた圧力調整部とを有する第一ガス供給系から大気成分と反応して反応物を生成する前記第一ガスを供給する工程と、
前記第一空間に、前記第一ガスと異なる第二ガスを供給する第二ガス導入管と、前記第二ガス導入管に連通される第二処理ガス搬送管とを有する第二ガス供給系から、前記第二ガスを供給する工程と、
を有し、
前記継手部は前記第一空間の外側の前記第二空間において、前記隣接部を覆うように構成すると共に、前記第一ガス導入管と前記第一処理ガス搬送管とを上下から挟み込むように固定し、前記第一ガス導入管の先端が挿入される第一のフランジと本体部とを備え、
さらに、
前記処理炉を支持すると共に前記第一ガス導入管が貫通されるマニホールド本体に設けられ、前記第一のフランジによって覆われ、前記第一ガス導入管が貫通される第二のフランジと、
前記隣接部と前記第二空間との間に設けられ、前記第一ガス導入管と前記第二のフランジとに接触するよう構成される第一のOリングと、
前記第一のOリングよりも大きい径で構成される第二のOリングであって、前記第一のフランジと前記第二のフランジとに接触するよう構成される第二のOリングとを備える、
半導体装置の製造方法。
【請求項9】
基板を支持する基板支持部を、第一空間を有する処理炉に搬入する手順と、
前記第一空間の雰囲気を真空レベルまで排気する手順と、
前記第一空間に第一ガスを供給する第一ガス導入管と、前記第一ガス導入管に連通される第一処理ガス搬送管と、前記第一空間の外側であって、大気圧レベルの第二空間において、前記第一ガス導入管と前記第一処理ガス搬送管とが隣接し空間を有する隣接部を覆うように構成すると共に、前記第一ガス導入管と前記第一処理ガス搬送管とを固定する継手部と、前記隣接部と前記第二空間との間に設けられた圧力調整部とを有する第一ガス供給系から大気成分と反応して反応物を生成する前記第一ガスを供給する手順と、
前記第一空間に、前記第一ガスと異なる第二ガスを供給する第二ガス導入管と、前記第二ガス導入管に連通される第二処理ガス搬送管とを有する第二ガス供給系から、前記第二ガスを供給する手順と、
を有
し、
前記継手部は前記第一空間の外側の前記第二空間において、前記隣接部を覆うように構成すると共に、前記第一ガス導入管と前記第一処理ガス搬送管とを上下から挟み込むように固定し、前記第一ガス導入管の先端が挿入される第一のフランジと本体部とを備え、
さらに、
前記処理炉を支持すると共に前記第一ガス導入管が貫通されるマニホールドの本体に設けられ、前記第一のフランジによって覆われ、前記第一ガス導入管が貫通される第二のフランジと、
前記隣接部と前記第二空間との間に設けられ、前記第一ガス導入管と前記第二のフランジとに接触するよう構成される第一のOリングと、
ガス流れ方向に対して前記第一のOリングと重ならない位置に配された第二のOリングであって、前記第一のフランジと前記第二のフランジとに接触するよう構成される第二のOリングとを備える、
コンピュータによって基板処理装置に実行させるプログラム。
【請求項10】
基板を支持する基板支持部を、第一空間を有する処理炉に搬入する手順と、
前記第一空間の雰囲気を真空レベルまで排気する手順と、
前記第一空間に第一ガスを供給する第一ガス導入管と、前記第一ガス導入管に連通される第一処理ガス搬送管と、前記第一空間の外側であって、大気圧レベルの第二空間において、前記第一ガス導入管と前記第一処理ガス搬送管とが隣接し空間を有する隣接部を覆うように構成すると共に、前記第一ガス導入管と前記第一処理ガス搬送管とを固定する継手部と、前記隣接部と前記第二空間との間に設けられた圧力調整部とを有する第一ガス供給系から大気成分と反応して反応物を生成する前記第一ガスを供給する手順と、
前記第一空間に、前記第一ガスと異なる第二ガスを供給する第二ガス導入管と、前記第二ガス導入管に連通される第二処理ガス搬送管とを有する第二ガス供給系から、前記第二ガスを供給する手順と、
を有し、
前記継手部は前記第一空間の外側の前記第二空間において、前記隣接部を覆うように構成すると共に、前記第一ガス導入管と前記第一処理ガス搬送管とを上下から挟み込むように固定し、前記第一ガス導入管の先端が挿入される第一のフランジと本体部とを備え、
さらに、
前記処理炉を支持すると共に前記第一ガス導入管が貫通されるマニホールド本体に設けられ、前記第一のフランジによって覆われ、前記第一ガス導入管が貫通される第二のフランジと、
前記隣接部と前記第二空間との間に設けられ、前記第一ガス導入管と前記第二のフランジとに接触するよう構成される第一のOリングと、
前記第一のOリングよりも大きい径で構成される第二のOリングであって、前記第一のフランジと前記第二のフランジとに接触するよう構成される第二のOリングとを備える、
コンピュータによって基板処理装置に実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板を処理する基板処理装置、半導体装置の製造方法、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
基板を処理する基板処理装置は、処理室にて基板上に様々な膜を形成することが可能である。一部の膜は、酸素等の大気成分の影響を少なくする必要がある。そのため、基板処理装置では大気成分の影響を低減するよう努める必要がある。基板を処理する装置としては、例えば特許文献1に開示の装置が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
処理室において、大気雰囲気の侵入を抑制可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
基板を支持する基板支持部と、前記基板が処理される第一空間を有する処理室と、前記第一空間の雰囲気を排気する排気部と、前記第一空間にガスを供給するガス導入管と、前記ガス導入管に連通される処理ガス搬送管と、前記第一空間の外側で、前記ガス導入管と前記処理ガス搬送管とが隣接する隣接部を覆うように構成すると共に、前記ガス導入管と前記処理ガス搬送管とを固定する継手部と、前記隣接部と前記第二空間との間に設けられた圧力調整部とを有する技術。
【発明の効果】
【0006】
本技術によれば、処理室において、大気雰囲気の侵入を抑制可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】第一の実施形態に係る基板処理装置を説明する説明図である。
【
図2】第一の実施形態に係る基板処理装置が備える処理炉の説明図である。
【
図3】第一の実施形態に係る継手部とその周辺を説明する説明図である。
【
図4】比較例に係る基板処理装置を説明する説明図である。
【
図5】第一の実施形態に係る基板処理装置のコントローラを説明する説明図である。
【
図6】第二の実施形態にかかる継手部とその周辺を説明する説明図である。
【
図7】第三の実施形態にかかる基板処理装置を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(第一の実施形態)
(基板処理装置の構成)
(装置全体)
図1は、本発明の一実施形態にかかる基板処理装置の構成例を示す斜透視図である。
基板処理装置10は、内部に処理炉400等の主要部が配置される筐体12を備えている。筐体12の正面側には、OHT(Overhead Hoist Transport)ステージと呼ばれるポッドステージ18が配置されている。ポッドステージ18上には、ウエハ14を収納する搬送容器としてのポッド16が搬送されて載置される。ポッド16は、その内部に例えば25枚のウエハ14が収納され、図示しない蓋が閉じられた状態でポッドステージ18上に載置されるように構成されている。つまり、基板処理装置10では、ポッド16がウエハキャリアとして使用され、そのポッド16が載置されるステージ部としてのポッドステージ18を利用しつつ外部装置(例えばポッド搬送システム)とポッド16の授受を行うようになっている。
【0009】
筐体12内の正面側であって、ポッドステージ18に対向する位置には、ポッド16を搬送する搬送容器移載ロボットとしてのポッド搬送装置20が配置されている。ポッド搬送装置20の近傍には、ポッド16を格納可能な第一棚としての回転ポッド棚22a、ポッド16を格納可能な第二棚としての積層ポッド棚22bおよびポッドオープナ24がそれぞれ配置されている。
【0010】
ポッド搬送装置20は、ポッドステージ18と回転ポッド棚22aと積層ポッド棚22bとポッドオープナ24との間でポッド16を搬送するように構成されている。
【0011】
回転ポッド棚22aは、ポッドオープナ24の上方の領域である第一の棚領域に配置され、ポッド16を複数個載置した状態で保持するように構成されている。回転ポッド棚22aは、複数段(例えば五段)の棚板を有して、モータ等の図示せぬ間欠回転駆動装置によって一方向にピッチ送り回転される、いわゆる回転棚によって構成することが考えられる。ただし、回転機能は必須ではない。
【0012】
積層ポッド棚22bは、ポッドステージ18の下方の領域である第二の棚領域に配置され、ポッド16を複数個載置した状態で保持するように構成されている。積層ポッド棚22bは、複数段(例えば三段)の棚板を有して、それぞれの棚板上にポッド16が載置される、いわゆる積層棚によって構成することが考えられる。なお、積層ポッド棚22bにおける複数段の棚板のうち、少なくとも一つ(例えば、最下段)の棚板は、筐体12の正面側から手作業にてポッド16を載置し得るように構成されていてもよい。
【0013】
ポッドオープナ24は、ポッド16の蓋を開けるように構成されている。なお、ポッドオープナ24に対しては、蓋を開けられたポッド16内のウエハ14の枚数を検知する基板枚数検知器が隣接配置されていてもよい。
【0014】
ポッドオープナ24よりも筐体12内の背面側には、当該筐体12内において一つの部屋として区画される、搬送領域としての移載室50が形成されている。
【0015】
移載室50内には、基板移載機28と、基板支持体としての基板支持部30と、が配置されている。基板支持部30はボートとも呼ぶ。基板移載機28は、例えば5枚のウエハ14を取り出すことができるアーム(ツィーザ)32を有している。図示しない駆動手段によりアーム32を上下回転動作させることにより、ポッドオープナ24の位置に置かれたポッド16と基板支持部30との間にて、ウエハ14を搬送させることが可能なように構成されている。
【0016】
基板支持部30は、複数枚(例えば、50枚~175枚程度)のウエハ14を、水平姿勢で、かつ、その中心を揃えた状態で、鉛直方向に所定間隔を空けて整列積層させて、縦方向に多段支持するように構成されている。ウエハ14を支持した基板支持部30は、図示せぬ昇降機構としてのボートエレベータによって、昇降させることが可能なように構成されている。
【0017】
筐体12内の背面側上部、すなわち移載室50の上方側には、処理炉400が配置されている。処理炉400内には、複数枚のウエハ14を装填した上述の基板支持部30が、下方から搬入されるように構成されている。
【0018】
(処理炉)
続いて、上述した処理炉400について、
図2、
図3を用いて説明する。
図2は、本発明の一実施形態にかかる基板処理装置に用いられる処理炉の構成例を示す縦断面図である。
図3は本発明の一実施形態にかかるガス導入管、処理ガス搬送管、それらの周辺の部分拡大図である。
【0019】
処理炉400は、反応管で構成される反応管401を備えている。反応管401は、例えば石英(SiO
2)や炭化珪素(SiC)等の耐熱性を有する非金属材料から構成され、上端部が閉塞され、下端部が開放された円筒形状となっている。
図3に記載のように、下端部は後述するOリング414を介して、マニホールド405によって支持される。反応管401とマニホールド405の内側に構成される空間を処理空間402と呼ぶ。また、反応管401とマニホールド405とをまとめて処理室と呼ぶ。処理空間402は第一空間とも呼ぶ。
【0020】
マニホールド405には炉口が形成される。炉口は、基板支持部30が処理空間402に挿入される際に通過する入出口である。マニホールド、炉口等をまとめて炉口部とも呼ぶ。
【0021】
処理空間402には、基板支持部30によって水平姿勢に支持されたウエハ14が鉛直方向に多段に整列した状態で収容されるように構成されている。処理空間402に収容される基板支持部30は、回転機構403によって回転軸404を回転させることで、処理空間402内の気密を保持したまま、複数のウエハ14を搭載した状態で回転可能に構成されている。
【0022】
反応管401の下方には、この反応管401と同心円状にマニホールド405が配設される。マニホールド405は、例えばステンレス鋼等の金属材料から構成され、上端部および下端部が開放された円筒形状となっている。このマニホールド405により、反応管401は、下端部側から縦向きに支持される。つまり、処理空間402を形成する反応管401がマニホールド405を介して鉛直方向に立脚されて、処理炉400が構成されることになる。
【0023】
炉口は、図示せぬボートエレベータが上昇した際に、シールキャップ406により気密に封止されるように構成されている。マニホールド405の下端部とシールキャップ406との間には、処理空間402内を気密に封止するOリング等の封止部材407が設けられている。
【0024】
また、マニホールド405には、処理空間402内に処理ガスやパージガス等を導入するためのガス導入管408と、処理空間402内のガスを排気するための排気部410とが、それぞれ接続されている。排気部410は排気管410aとAPC(Auto Pressure Controller)410bを有する。
【0025】
ガス導入管408はノズルである。ガス導入管408の下流側には複数のガス供給孔が設けられ、ガス導入管408の管内は反応管401に連通するよう構成される。処理ガス等は、ガス供給孔から処理空間402に供給される。
【0026】
ガス導入管408はたとえば二本設けられる。この場合、一本は原料ガスを供給する第一ガス導入管408aであり、他方の管は原料ガスと反応する反応ガスを供給する第二供給管408bである。なお、ここでは二本の供給管について説明したが、それに限るものではなく、プロセスの種類によっては3本以上であってもよい。
【0027】
ガス導入管408は上流側で処理ガス搬送管409に接続される。処理ガス搬送管409はガス源等からガス導入管408までガスを搬送するものである。第一ガス導入管408aには第一処理ガス搬送管409aが接続され、第二ガス導入管408bには第二処理ガス搬送管409bが接続される。ガス導入管408と処理ガス搬送管409の接続については後述する。
【0028】
処理ガス搬送管409には不活性ガス搬送管413が接続される。不活性ガス搬送管413は、処理ガス搬送管409に不活性ガスを供給する。不活性ガスは、例えば窒素(N2)ガスであり処理ガスのキャリアガスとして、もしくは反応管401、ガス導入管408、処理ガス搬送管409のパージガスとして作用する。
【0029】
第一処理ガス搬送管409aには第一不活性ガス搬送管413aが接続され、第二処理ガス搬送管409bには第二不活性ガス搬送管413bが接続される。
【0030】
処理ガス搬送管409には、処理ガスの供給量を制御するマスフローコントローラ431、バルブ432が設けられる。第一処理ガス搬送管409aにはマスフローコントローラ431a、バルブ432aが設けられる。第二処理ガス搬送管409bにはマスフローコントローラ431b、バルブ432bが設けられる。マスフローコントローラ431、バルブ432をまとめて処理ガス供給制御部と呼ぶ。
【0031】
不活性ガス搬送管413には、不活性ガスの供給量を制御するマスフローコントローラ433、バルブ434が設けられる。第一不活性ガス導入管413aには、マスフローコントローラ433a、バルブ434aが設けられる。第二不活性ガス導入管413bには、マスフローコントローラ433b、バルブ434bが設けられる。マスフローコントローラ433、バルブ434をまとめて不活性ガス供給制御部と呼ぶ。
【0032】
処理ガス供給制御部と不活性ガス供給部とをまとめてガス供給制御部と呼ぶ。
【0033】
反応管401の外周には、反応管401と同心円状に加熱手段(加熱機構)としてのヒータ411が配されている。ヒータ411は、処理空間402内が全体にわたって均一または所定の温度分布となるように、処理空間402内の雰囲気を加熱するように構成されている。
【0034】
マニホールド405の外周には、炉口ボックス412が設けられる。
【0035】
続いて、
図3を用いて、炉口ボックス412、ガス導入管408、処理ガス搬送管409との関係性について説明する。
図3は本発明の一実施形態にかかるガス導入管408、処理ガス搬送管409、それら周辺の部分拡大図である。
【0036】
ガス導入管408は、マニホールド405の側壁を水平姿勢で貫通しガス導入管の水平部を構成している。ガス導入管408とマニホールド405側壁との間にはOリング416が設けられており、処理空間402内の気密が確保されるように構成されている。ここでは、マニホールド405のフランジ405aとガス導入管408の間にOリング416が設けられる。
【0037】
ガス導入管408の上流側はマニホールド405の側壁外側に突出しており、処理ガス搬送管409の下流端に設けられた継手部415と気密に勘合している。ガス導入管408の下流端は、反応管401内にて垂直上方に向けて屈曲している。
【0038】
反応管401、ガス導入管408の外周にはヒータ411が設けられている。ヒータ411はヒータベース413によって支持されている。ガス導入管408はヒータ411によって加熱されるので、例えば石英(SiO2)や炭化珪素(SiC)等の耐熱性を有する非金属材料で構成される。
【0039】
また、ガス導入管408の屈曲部の下方には、マニホールド405内壁に設けられた台座421と、台座421に設けられたネジ孔を鉛直方向に貫通する傾き調整ネジ422と、を備えたノズル傾き調整機構が設けられている。傾き調整ネジ422の高さを調整してその上端をガス導入管408の屈曲部に下方から当接させることで、ガス導入管408の傾き(ガス導入管408のガス供給孔とウエハ14との距離)を調整可能なように構成されている。
【0040】
マニホールド405側壁の外周であって、ヒータ411の下方には、炉口ボックス412が設けられる。炉口ボックス412は、主にヒータベース413、マニホールド405を囲む壁である炉口ボックス壁423、マニホールド405とで構成される。炉口ボックス412には排気口424が設けられる。炉口ボックス412内に構成される空間412aは第二空間とも呼ぶ。
【0041】
炉口ボックス412は、炉口部で発生するガス漏れを局所的に捕獲して排気口424を介して装置外に排出するものである。なお、炉口ボックス412は雰囲気を排気できればよく、反応管401のように真空レベルにしたり、雰囲気をパージしたりすることもない。したがって、炉口ボックスは大気雰囲気である。
【0042】
炉口ボックス412内には継手部415が内包されている。継手部415は図示のように、ガス導入管408の上流端と処理ガス搬送管409の下流端とを覆うように設けられている。継手部415は金属で構成され、各管が連通するように固定する。継手部415は主に上方部と下方部の二つの部品で構成される。固定する際は上方部と下方部で各管を挟み込むと共に、ねじ等を用いて上方部と下方部とを固定する。
【0043】
尚、
図3においては、説明の便宜上、一組のガス導入管408と処理ガス搬送管409を記載しているが、ガス導入管408aと処理ガス搬送管409a、ガス導入管408bと処理ガス搬送管409bの組み合わせそれぞれで図示の構成とする。それに限るものではなく、いずれか一方の組み合わせのみ図示のような構成としてもよい。
【0044】
続いて継手部415とその周辺の構造について説明する。
ガス導入管408はマニホールド405のOリング416を介してフランジ405aに固定される。ガス導入管408の上流端には処理ガス搬送管409の下流端が隣接される。処理ガス搬送管409は、搬送するガスに対する耐腐食性等を考慮して材質が選択される。例えば金属等で構成される。
【0045】
ガス導入管408と処理ガス搬送管409は隙間を介して隣接される。ここではその隙間を有する空間を隣接部419と呼ぶ。ガス導入管408は前述のように石英や炭化ケイ素等で構成されるが、高温に晒されるため部材が膨張してしまう。そこで遊び部分となる隣接部419を設けて、熱による膨張を吸収するよう構成している。なお、隣接部419は、第一の処理ガス搬送管409aと第一のガス導入管408aとの間では隣接部419aと呼び、第二の処理ガス搬送管409bと第二のガス導入管408bとの間では隣接部419bと呼ぶ。
【0046】
処理ガス搬送管409は金属で構成されるため、同じく金属製の継手部415を接触させた状態で固定可能である。一方、ガス導入管408は石英等の非金属部材であるため、継手部415はOリング417を介して固定する。Oリング417は、非金属部材であるガス導入管408を傷つけにくく更には固定が容易なゴム等の弾性体で構成される。
【0047】
継手部415はフランジ415aを有する。フランジ415a内にガス導入管408を挿入することで、ガス導入管408、処理ガス搬送管409の中心軸がずれないよう、位置合わせをしている。
【0048】
ここで、
図4を用いて比較例について説明する。
図4の構成は、後述する
図3に記載のOリング418、圧力調整空間420が存在しない。
【0049】
前述のように、継手部415は大気雰囲気の炉口ボックス412中の空間412aに存在するため、大気成分に晒される。例えば酸素成分に晒される。一方、処理空間402は後述する基板処理工程で真空レベルまで減圧される。すなわち、空間412aと処理空間402の圧力差が大きくなる。このような状況の中、本発明者は、基板を処理する際に、大気成分がOリングを透過し、隣接部419に侵入してしまうことを発見した。
【0050】
鋭意研究の結果、発明者は大気成分の透過性は圧力差と比例することを見出した。ここでは、基板処理中は処理空間の圧力を真空レベルまで低下させる必要があり、そうすると処理空間402と連通する隣接部419も自ずと圧力が低下される。そのため、空間412aと隣接部419との間の圧力差が大きくなり、空間412aの大気成分がOリング417を透過して処理空間402に侵入する。具体的には、大気成分中の酸素成分がOリング471を透過して隣接部419に侵入する。侵入した大気成分は処理ガスに混入される恐れがある。
【0051】
処理ガスに酸素成分が混入すると、継手部415の周辺やガス導入管409の内部でガスが反応してしまうという問題がある。例えば、ガス導入管409や隣接部419に酸素成分と反応する処理ガスが存在する場合、それらが反応して反応物が生成されてしまう。また、継手部415においては、生成された反応物が隣接部419等において拡散し、パーティクルの原因となる。また、ガス導入管409や隣接部419で反応物が生成され堆積されるため、高頻度にクリーニングする必要がある。
【0052】
また、第二の比較例として、Oリング417を大気成分が透過しにくい材質、たとえば金属にすることが考えられる。金属製の場合、石英等の非金属性材質であるガス導入管408を支持しにくかったり、あるいはガス導入管408が膨張した場合に、その膨張を吸収できなかったりする。更には、金属製Oリングを設ける場合、特別な工具を使用する必要があり、それは作業スペースを確保する必要がある。このような据え付けの観点から考えも、金属製Oリングの使用は望ましくない。
【0053】
そこで、これら問題の少なくとも一つ、あるいはそれらの組み合わせに対応すべく、
図3のようにOリング418、圧力調整空間420を設けている。以下、Oリング418、圧力調整空間420の詳細について説明する。
【0054】
Oリング418は、Oリング417を介して、空間412aと隣接部419の間に設けられる。本実施形態においては、Oリング418はフランジ415aとガス導入管408との間に設けられる。このような位置に配することで、圧力調整空間420を構成すると共に、圧力調整空間420と空間412aとを隔離する。
【0055】
圧力調整空間420は、主にガス導入管408の外壁、フランジ415a、Oリング417、Oリング418で囲まれる空間である。
【0056】
ここでは圧力調整空間420、第一のシール部材であるOリング417、第二のシール部材であるOリング418をまとめて圧力調整部と呼ぶ。
【0057】
圧力調整空間420は隣接部419や処理空間402と隔離されるため、後述する基板処理工程における処理空間402における圧力調整の影響が少ない。したがって、圧力調整空間420は炉口ボックス412の空間412aと同程度の圧力を維持できる。
【0058】
圧力調整空間420と空間412aとが同程度の圧力なので、空間412aから圧力調整空間420に向かう大気成分の流れが抑制される。圧力調整空間420の空間に酸素成分が流れないので、隣接部419への大気成分の侵入が抑制される。
【0059】
なお、処理ガス搬送管409、ガス導入管408、継手部415、圧力調整部をまとめてガス供給系と呼ぶ。処理ガス搬送管409a、ガス導入管408a、継手部415a、それに関連する圧力調整部を有するガス供給系を第一ガス供給系と呼ぶ。処理ガス搬送管409b、ガス導入管408b、継手部415b、それに関連する圧力調整部を有するガス供給系を第二ガス供給系と呼ぶ。
【0060】
また、圧力調整部は、少なくとも大気成分と反応するガスが搬送されるガス供給系に設けられればよい。例えば、第一ガス供給系で大気成分と反応するガスが搬送され、第二ガス供給系で大気成分と反応しないガスが搬送される場合、少なくとも第一ガス供給系に圧力調整部を設ける。
【0061】
(コントローラ)
次に、上述した各部の動作を制御するコントローラ260について、
図5を用いて説明する。コントローラ260は、基板処理装置10の全体の動作を制御するためのものである。例えばガス供給制御部や排気部がコントローラ260によって制御される。
【0062】
図5は、本発明の一実施形態に係る基板処理装置が有するコントローラの構成例を模式的に示すブロック図である。
コントローラ260は、CPU(Central Processing Unit)260a、RAM(Random Access Memory)260b、記憶装置260c、I/Oポート260dを備えたコンピュータとして構成されている。RAM260b、記憶装置260c、I/Oポート260dは、内部バス260eを介して、CPU260aとデータ交換可能なように構成されている。コントローラ260には、例えばタッチパネル等として構成された入出力装置261や、外部記憶装置262が接続可能に構成されている。入出力装置261からは、コントローラ260に対して情報入力を行い得る。また、入出力装置261は、コントローラ260の制御に従って情報の表示出力を行うようになっている。さらに、コントローラ260には、受信部285を通じてネットワーク263が接続可能に構成されている。このことは、コントローラ260がネットワーク263上に存在するホストコンピュータ等の上位装置290とも接続可能であることを意味する。
【0063】
記憶装置260cは、例えばフラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)等で構成されている。記憶装置260c内には、基板処理装置10の動作を制御する制御プログラムや、基板処理の手順や条件等が記載されたプロセスレシピ、ウエハ14への処理に用いるプロセスレシピを設定するまでの過程で生じる演算データや処理データ等が、読み出し可能に格納されている。なお、プロセスレシピは、基板処理工程における各手順をコントローラ260に実行させ、所定の結果を得ることができるように組み合わされたものであり、プログラムとして機能する。以下、このプロセスレシピや制御プログラム等を総称して、単にプログラムともいう。なお、本明細書においてプログラムという言葉を用いた場合は、プロセスレシピ単体のみを含む場合、制御プログラム単体のみを含む場合、または、その両方を含む場合がある。また、RAM260bは、CPU260aによって読み出されたプログラム、演算データ、処理データ等が一時的に保持されるメモリ領域(ワークエリア)として構成されている。
【0064】
演算部としてのCPU260aは、記憶装置260cからの制御プログラムを読み出して実行するとともに、入出力装置261からの操作コマンドの入力等に応じて記憶装置260cからプロセスレシピを読み出すように構成されている。また、受信部285から入力された設定値と、記憶装置260cに記憶されたプロセスレシピや制御データとを比較・演算して、演算データを算出可能に構成されている。また、演算データから対応する処理データ(プロセスレシピ)の決定処理等を実行可能に構成されている。そして、CPU260aは、読み出されたプロセスレシピの内容に沿うように、基板処理装置10における各部に対する動作制御を行うように構成されている。
【0065】
なお、コントローラ260は、専用のコンピュータとして構成されている場合に限らず、汎用のコンピュータとして構成されていてもよい。例えば、上述のプログラムを格納した外部記憶装置(例えば、磁気テープ、フレキシブルディスクやハードディスク等の磁気ディスク、CDやDVD等の光ディスク、MO等の光磁気ディスク、USBメモリやメモリカード等の半導体メモリ)262を用意し、かかる外部記憶装置262を用いて汎用のコンピュータにプログラムをインストールすること等により、本実施形態に係るコントローラ260を構成することができる。ただし、コンピュータにプログラムを供給するための手段は、外部記憶装置262を介して供給する場合に限らない。例えば、ネットワーク263(インターネットや専用回線)等の通信手段を用い、外部記憶装置262を介さずにプログラムを供給するようにしてもよい。なお、記憶装置260cや外部記憶装置262は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体として構成される。以下、これらを総称して、単に記録媒体ともいう。なお、本明細書において、記録媒体という言葉を用いた場合は、記憶装置260c単体のみを含む場合、外部記憶装置262単体のみを含む場合、または、それらの両方を含む場合がある。
【0066】
(基板処理工程)
続いて、本発明の一実施形態に係る基板処理工程について説明する。なお、本実施形態に係る基板処理工程は、例えばCVD(Chemical Vapor Deposition)法を用いてウエハ14の表面に膜を形成する方法であり、半導体装置の製造工程の一工程として実施される。なお、以下の説明において、基板処理装置を構成する各部の動作はコントローラ260により制御される。
【0067】
(基板搬入工程S10)
基板搬入工程S10を説明する。まず、複数枚のウエハ14を基板支持部30に装填(ウエハチャージ)する。そして、複数枚のウエハ14を支持した基板支持部30を、図示せぬボートエレベータによって持ち上げて処理空間402内に搬入(ボートローディング)する。この状態で、シールキャップ406はOリング407を介してマニホールド405の下端をシールした状態となる。
【0068】
(減圧及び昇温工程S20)
続いて、減圧及び昇圧工程S20を説明する。処理空間402内が所望の圧力(真空度)となるように、処理空間402内の雰囲気を排気部410から排気する。この際、処理空間402内の圧力を測定して、この測定された圧力に基づき、排気部410に設けられたAPCバルブ410bの開度をフィードバック制御する。また、処理空間402内が所望の温度となるように、ヒータ411によって加熱する。この際、処理空間402内が所望の温度分布となるように、温度センサが検出した温度情報に基づきヒータ411への通電具合をフィードバック制御する。そして、回転機構403により基板支持部30を回転させ、ウエハ14を回転させる。
【0069】
(成膜工程S30)
続いて、成膜工程S30を説明する。成膜工程では、ウエハ14上にガスを供給して、所望の膜を形成する。
【0070】
本実施形態においては、第一ガス導入管408aから供給される第一の処理ガスとしてヘキサクロロジシラン(Si2Cl6。HCDSとも呼ぶ。)を用い、第二ガス導入管408bから供給される第二の処理ガスとしてアンモニア(NH3)ガスを用いた例を説明する。
【0071】
第一処理ガス搬送管409a、隣接部419a、第一ガス導入管408aを介して、処理空間402にHCDSガスを供給する。更には、第二処理ガス搬送管409b、隣接部419b、第二ガス導入管408bを介して、処理空間402にNH3ガスを供給する。
【0072】
処理空間402に供給されたHCDSガスとNH3ガスは互いに反応し、ウエハ14上にシリコン窒化膜を形成する。
【0073】
第一の処理ガスとして酸素と反応するガスを用いたとしても、酸素成分が空間412aから隣接部419aに侵入しないので、第一処理ガス搬送管409a、隣接部419a、第一ガス導入管408aにてシリコン酸化膜が生成されることがない。
【0074】
更には、酸素成分が隣接部419bに侵入しないので、第二ガス導入管408bから処理空間402に酸素成分が侵入することがない。
【0075】
(昇圧工程S40)
続いて、昇圧工程S40を説明する。成膜工程S30が終了したら、APCバルブ410bの開度を小さくし、処理空間402内の圧力が大気圧になるまで処理空間402内にパージガスを供給する。パージガスは、例えばN2ガスであり、不活性ガス搬送管413a、413を介して処理空間に供給される。
【0076】
(基板搬出工程S50)
続いて基板搬出工程S50を説明する。ここでは、基板搬入工程S10と逆の手順により、成膜済のウエハ14を処理空間402内から搬出する。
【0077】
(第二の実施形態)
続いて第二の実施形態を、
図6を用いて説明する。第二の実施形態は、第一の実施形態と比べてOリングの配置場所、圧力調整空間を構成する周辺構造が異なる。他の構成は同様であるため説明を省略する。
【0078】
ここでは、
図3のフランジ415aに相当する構造がフランジ415bである。ガス導入管408はOリング425で支持される。Oリング425は、フランジ405a、継手部415の本体部分である本体部415cとの間で挟まれ固定される。更には、Oリング425の一部がガス導入管408の外壁と接触するよう構成される。Oリング425とガス導入管408が接触されることで、ガス導入管408が固定される。
【0079】
フランジ415bはフランジ405aを覆うように配される。フランジ415bとフランジ405aとの間には、圧力調整空間426を構成するOリング427が設けられる。
【0080】
圧力調整空間426は、主に継手部415、フランジ405a、Oリング425、Oリング427によって構成される。圧力調整空間426の圧力は、第一の実施形態と同様に、炉口ボックス412の空間412aと同程度となる。したがって、空間412a中に存在する大気成分が隣接部419に侵入することなく、更にはOリング425経由で反応空間402に侵入することもない。このようにして、隣接部419に加え、より確実に反応室402に酸素の侵入を防ぐことができる。
【0081】
なお、本実施形態においては、圧力調整空間426、第一のシール部材であるOリング425、第二のシール部材であるOリング427をまとめて圧力調整部と呼ぶ。
【0082】
(第三の実施形態)
続いて、
図7を用いて第三の実施形態を説明する。
図7は一枚ずつウエハを処理する枚葉装置型の基板処理装置500である。
図7において、第一の実施形態と同番号は同様の構成であるため説明を省略する。
図7(a)は枚葉装置500の説明図であり、
図7(b)は
図7(a)の点線部分を拡大した説明図である。なお、本装置においてもコントローラを有するが、第一の実施形態のコントローラ260と同様の構成であるため、説明を省略する。
【0083】
基板処理装置500は、ウエハ14を処理する処理室501を有する。ウエハ14は処理室501内に構成される処理空間502で処理される。処理室501内には、ウエハ14を支持する基板支持部503が配される。基板支持部503はヒータ504を有し、ウエハ14はヒータ504によって加熱される。ここでは、処理空間502を第一空間と呼ぶ。
【0084】
処理室501の下方には、排気部410が接続される。排気部410は、処理空間502を所定の圧力に維持するためのAPC410bを有する。APC410bは、基板処理工程において真空レベルまで減圧する。
【0085】
処理室501の側面には、基板搬入出口505が設けられる。基板搬入出口505はゲートバルブ506と隣接する。基板搬入工程、基板搬出工程においてゲートバルブ506が解放され、ウエハ14は基板搬入出口505を介して搬入/搬出される。
【0086】
処理室501の天井である天井507にはガス導入管408が接続される。
図7(b)に記載のように、天井507には貫通孔507aが設けられ、その周囲にはフランジ507bが設けられる。ガス導入管408は貫通孔507aに挿入される。ガス導入管408はOリング416を介してフランジ507bで支持され、処理室501が気密になるよう構成される。
【0087】
ガス導入管408は、隣接部419を介して処理ガス搬送管409に隣接する。処理ガス搬送管409は、第一の実施例と同様、不活性ガス導入管413、マスフローコントローラ431、バルブ432等、プロセスの種類に応じて様々な構成が接続される。
【0088】
隣接部419、処理ガス搬送管409、ガス導入管408を覆うように継手部415が設けられる。ガス導入管408はOリング417、Oリング418を介して継手部415に支持される。また、圧力調整空間420は、主にガス導入管408の外壁、フランジ415a、Oリング417、Oリング418で構成される。
【0089】
継手部415はガス供給系ボックス508内に配される。ガス供給系ボックス508は処理室501の上方に設けられる。ガス供給系ボックス508は、ガスを供給する供給系の構成をまとめて収納するものであり、ガス供給系ボックス508の空間508aは大気雰囲気と連通している。ガス供給系ボックス508はガス供給系の各構成を収納できればよく、処理室501のように真空レベルにしたり、雰囲気をパージしたりすることもない。したがって、空間508aは大気雰囲気である。なお、空間508aは、本実施形態における第二空間である。
【0090】
ここでは圧力調整空間420、第一のシール部材であるOリング417、第二のシール部材であるOリング418をまとめて圧力調整部と呼ぶ。
【0091】
圧力調整空間420と空間508aとを同程度の圧力とすることで、ガス供給系ボックス508の雰囲気が圧力調整空間420に侵入することを抑制する。圧力調整空間420の空間に酸素成分等の大気雰囲気が侵入しないので、大気成分が隣接部419に侵入を抑制する。
【0092】
なお、以上の説明においては、第二空間(例えば炉口ボックス412の空間412aやガス供給系ボックス508の空間508a)と圧力調整空間420(もしくは圧力調整空間426)とを同圧にすると説明したが、第二空間の雰囲気が圧力調整空間に移動しない程度の圧力であればよく、必ずしも同圧である必要はない。
【0093】
なお、以上の説明においては、第二空間を例えば炉口ボックス412やス供給系ボックス508で構成する例を示したが、継手部が格納された大気雰囲気を構成する容器であればよく、例えば筐体12の空間であってもよい。圧力調整空間420を設けることで、圧力調整空間420の外部の第二空間から、隣接部419内へのガスの侵入を抑制できる。
【符号の説明】
【0094】
14 ウエハ
401 処理室
408 ガス導入管
409 処理ガス搬送管
412 炉口ボックス
415 継手部
417 Oリング
418 Oリング
419 隣接部
420 圧力調整空間