(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-10
(45)【発行日】2022-03-18
(54)【発明の名称】スイッチング電源装置
(51)【国際特許分類】
H02M 3/28 20060101AFI20220311BHJP
【FI】
H02M3/28 H
(21)【出願番号】P 2021064408
(22)【出願日】2021-04-05
(62)【分割の表示】P 2017036576の分割
【原出願日】2017-02-28
【審査請求日】2021-04-06
(31)【優先権主張番号】P 2017000045
(32)【優先日】2017-01-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000191238
【氏名又は名称】日清紡マイクロデバイス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三添 公義
(72)【発明者】
【氏名】近野 暢
(72)【発明者】
【氏名】相川 晃伸
【審査官】東 昌秋
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-226807(JP,A)
【文献】特開2012-196109(JP,A)
【文献】特開2003-304689(JP,A)
【文献】特開2016-116285(JP,A)
【文献】特開2013-188081(JP,A)
【文献】特開2016-116320(JP,A)
【文献】特開2001-112249(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/00-3/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スイッチングトランジスタと、該スイッチングトランジスタに直列接続され前記スイッチングトランジスタがONしたときにセンス電圧を生成するセンス抵抗と、前記スイッチングトランジスタがONすることで入力電圧が印加する1次巻線及び負荷が接続される2次巻線を有するトランスと、前記2次巻線側の出力電圧に応じたホトカプラ電流を生成するホトカプラと、前記センス抵抗で前記センス電圧が発生している時間に基づいて前記スイッチングトランジスタのON期間が長いほど大きい負荷電力信号を生成する負荷電力検出回路とを備え、前記センス電圧と前記ホトカプラ電流と前記負荷電力信号とによって前記スイッチングトランジスタのON/OFFのタイミングが制御されるスイッチング電源装置であって、
前記スイッチングトランジスタがONしているときにONするスイッチと、
前記スイッチングトランジスタがONした後に前記スイッチングトランジスタをOFFさせるOFFタイミング信号を、前記ホトカプラ電流が大きいほど且つ前記センス電圧が大きいほど早いタイミングで生成するON期間制御回路と、
前記スイッチングトランジスタがOFFした後に前記スイッチングトランジスタをONさせるONタイミング信号を、前記ホトカプラ電流が小さいほど且つ前記負荷電力信号が大きいほど早いタイミングで生成するOFF期間制御回路と、
前記ON期間制御回路から出力する前記OFFタイミング信号によって前記スイッチングトランジスタをOFFさせ、前記OFF期間制御回路から出力する前記ONタイミング信号によって前記スイッチングトランジスタをONさせるSRFF回路と、
を有し、
前記ON期間制御回路は、前記スイッチングトランジスタがONしているときに前記スイッチを介して流れる前記ホトカプラ電流に応じた電圧を生成する第6抵抗と、該第6抵抗に生成する電圧が前記センス電圧を超えるとき前記OFFタイミング信号を生成する第1コンパレータとを備えることを特徴とするスイッチング電源装置。
【請求項2】
請求項1に記載のスイッチング電源装置において、
前記ON期間制御回路で前記OFFタイミング信号が生成されてから第1所定時間が経過した後に前記OFF期間制御回路で前記ONタイミング信号が生成されるときモード切替信号を生成するタイムアウト回路を備え、
前記ON期間制御回路は、前記タイムアウト回路で前記モード切替信号が生成されたとき、前記スイッチングトランジスタがONしてから、前記ホトカプラ電流及び前記センス電圧に無関係に、第2所定時間の経過後に前記OFFタイミング信号を生成することを特徴とするスイッチング電源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トランスとホトカプラを使用したDC/DCコンバータとしてのスイッチング電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図13にこの種の従来のスイッチング電源装置の回路を示す(例えば特許文献1)。50はトランスであり、1次巻線L11と第1補助巻線L12と2次巻線L13と第2補助巻線L14とを備える。MN2はNMOSのスイッチングトランジスタ、60はホトダイオードPD2とホトトランジスタPT2を備えるホトカプラである。R11~R19は抵抗、Rs2はスイッチングトランジスタMN2のドレイン電流を検出するセンス抵抗、C11~C14はキャパシタである。
【0003】
このスイッチング電源装置では、出力電圧Voutを抵抗R18,R19で分圧した電圧が電圧源VB11の基準電圧Vref11より高いときに、その差分電圧に応じてオペアンプOP11の出力電圧が低下する。そして、オペアンプOP11の出力電圧が所定値以下のとき、その出力電圧の値に応じてホトカプラ60のホトダイオードPD2に電流が流れ、そこで発光された発光量に応じてホトトランジスタPT2の内部抵抗が決まる。
【0004】
電源電圧Vinが投入されると、抵抗R11,R13を介して第1補助巻線L12に流れる励磁電流によって、キャパシタC13が抵抗R13側が正極となるよう充電される。そして、そのキャパシタC13の抵抗R13側の電圧がスイッチングトランジスタMN2の閾値電圧に達すると、そのスイッチングトランジスタMN2がONする。
【0005】
これによって、スイッチングトランジスタMN2が接続された1次巻線L11に直流電圧Vinから電流が流れ始めると、トランス50の各巻線L12,L13,L14に誘導起電力が生じ、トランス50にエネルギーが蓄積される。第1補助巻線L12に発生する誘起電圧(●側が正極)は、キャパシタC13の電圧と重畳されるので、スイッチングトランジスタMN2はゲート電圧がその閾値電圧以上に維持されて、ON状態を継続する。
【0006】
このとき、スイッチングトランジスタMN2のドレイン電流がセンス抵抗Rs2に流れ、そこに発生するセンス電圧が抵抗R15を介してキャパシタC12を充電する。1次巻線L11に流れる励磁電流は、スイッチングトランジスタMN2がONしてから時間と共にほぼ直線的に増大し、キャパシタC12の電圧もそれに応じて上昇する。
【0007】
この後、キャパシタC12の電圧がトランジスタQ11の閾値電圧に達すると、そのトランジスタQ11がON状態となって、スイッチングトランジスタMN2はそのゲート電圧が閾値電圧以下に低下してOFFする。
【0008】
スイッチングトランジスタMN2がOFFすることで、1次巻線L11に流れる電流が遮断されると、各巻線L11~L14にフライバック電圧が生じる。このとき、2次巻線L13に発生するフライバック電圧は、ダイオードD11とキャパシタC14とにより整流平滑され、出力電圧Voutとして出力される。
【0009】
一方、第1補助巻線L12に発生するフライバック電圧は、2次巻線L13に発生するフライバック電圧と比例関係にあり、この第1補助巻線L12に発生するフライバック電圧(●側が負極)によってキャパシタC13が抵抗R13側が正極となるように抵抗R12,R13を経由して充電され、スイッチングトランジスタMN2をONにするための助走が進む。
【0010】
なお、スイッチングトランジスタMN2がOFFした後は、1次巻線L11の電流が遮断されるので、センス抵抗Rs2に発生する電圧は零であり、また、出力電圧Voutが低くホトトランジスタPT2が動作していないので、キャパシタC12の電圧は、抵抗R15,Rs2を介して放電され低下する。これによって、キャパシタC12の電圧がトランジスタQ11の閾値電圧以下となると、そのトランジスタQ11がOFFする。
【0011】
ところで、トランジスタQ11のベース・コレクタ間が等価ダイオードとして作用するので、キャパシタC13は、第1補助巻線L12の●側と反対側から、センス抵抗Rs2、抵抗R15、トランジスタQ11のベースからコレクタ、抵抗R13を経由して流れる電流によっても、抵抗R13側が正極となるように充電される。
【0012】
フライバックによって2次巻線L13に蓄積されていた電気的エネルギの放出が終わると、1次巻線L11の電圧は、スイッチングトランジスタMN2の寄生容量、1次巻線L11内の浮遊容量及び1次巻線L11のインダクタンスによって、入力電圧Vinを中心とした自由振動を開始し、電圧降下と共にその極性が反転する。
【0013】
1次巻線L11の電圧の自由振動に比例して振動する第1補助巻線L12のキャパシタC13側の電圧も同様に変化し、フライバック電圧が消滅した後に極性が復帰すると、その電圧はスイッチングトランジスタMN2のゲートに対して順方向の電圧として作用するようになる。また、この電圧に対してそれまでに充電されたキャパシタC13の電圧が加わるので、その合計電圧がスイッチングトランジスタMN2閾値電圧を越えると、そのスイッチングトランジスタMN2が再びONする。このようにして一連の自励発振動作が繰り返される。
【0014】
これまでは出力電圧Voutが低く、ホトカプラ60が動作していないので、ホトトランジスタPT2はスイッチングトランジスタMN2のベース電圧に影響を与えず、スイッチングトランジスタMN2はセンス抵抗Rs2の抵抗値により定まる最大ON期間で動作する。この後、出力電圧Voutは、発振を繰り返す毎に上昇し、電圧Vref11に対応する設定電圧を越えるとオペアンプOP11による比較動作が開始されて、ホトカプラ60が動作する通常動作に移行する。
【0015】
この通常動作では、出力電圧Voutが設定電圧より高いときは、キャパシタC12の電圧が、センス抵抗Rs2に発生した電圧による充電に加えて、ホトカプラ60のホトトランジスタPT2に流れる電流によっても充電される。このため、出力電圧Voutが高いほどトランジスタQ11のONタイミングが早まるので、スイッチングトランジスタMN2のOFFタイミングが早まる。つまり、スイッチングトランジスタMN2のON期間が短くなる。
【0016】
スイッチングトランジスタMN2がOFFすると、第1補助巻線L12のフライバック電圧によって充電されるキャパシタC13の抵抗R13側の電圧がスイッチングトランジスタMN2の閾値電圧に達するまで、そのスイッチングトランジスタMN2はOFFを継続する。
【0017】
なお、このスイッチング電源装置では、入力電圧Vinを抵抗R11,R12で分圧した電圧が所定値未満のときはスイッチングトランジスタMN2のバイアス電圧が低くなり、スイッチングトランジスタMN2はON/OFF動作しない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
ところが、
図13のスイッチング電源装置は、スイッチングトランジスタMN2のONタイミングを生成するために第1補助巻線L12が特別に必要となっている。また、キャパシタC13の抵抗R13側の電圧がスイッチングトランジスタMN2のゲートを制御するので、スイッチングトランジスタMN2のONタイミングがそのスイッチングトランジスタMN2の閾値のバラツキの影響を受ける問題がある。また、スイッチングトランジスタMN2はキャパシタC12の充電電圧がトランジスタQ11の閾値に達したときにOFFするので、スイッチングトランジスタMN2のOFFタイミングがトランジスタQ11の閾値のバラツキの影響を受ける問題がある。また、ホトカプラ電流を得るために第2補助巻線L14が特別に必要となっている。
【0020】
本発明の目的は、スイッチングトランジスタのONタイミング生成用の第1補助巻線やホトカプラ電流を得るための第2補助巻線が必須ではなく、しかもスイッチングトランジスタのON/OFFにそのスイッチングトランジスタの閾値のバラツキの影響を受けないようにしたスイッチング電源装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上記目的を達成するために、請求項1にかかる発明は、スイッチングトランジスタと、該スイッチングトランジスタに直列接続され前記スイッチングトランジスタがONしたときにセンス電圧を生成するセンス抵抗と、前記スイッチングトランジスタがONすることで入力電圧が印加する1次巻線及び負荷が接続される2次巻線を有するトランスと、前記2次巻線側の出力電圧に応じたホトカプラ電流を生成するホトカプラと、前記センス抵抗で前記センス電圧が発生している時間に基づいて前記スイッチングトランジスタのON期間が長いほど大きい負荷電力信号を生成する負荷電力検出回路とを備え、前記センス電圧と前記ホトカプラ電流と前記負荷電力信号とによって前記スイッチングトランジスタのON/OFFのタイミングが制御されるスイッチング電源装置であって、前記スイッチングトランジスタがONしているときにONするスイッチと、前記スイッチングトランジスタがONした後に前記スイッチングトランジスタをOFFさせるOFFタイミング信号を、前記ホトカプラ電流が大きいほど且つ前記センス電圧が大きいほど早いタイミングで生成するON期間制御回路と、前記スイッチングトランジスタがOFFした後に前記スイッチングトランジスタをONさせるONタイミング信号を、前記ホトカプラ電流が小さいほど且つ前記負荷電力信号が大きいほど早いタイミングで生成するOFF期間制御回路と、前記ON期間制御回路から出力する前記OFFタイミング信号によって前記スイッチングトランジスタをOFFさせ、前記OFF期間制御回路から出力する前記ONタイミング信号によって前記スイッチングトランジスタをONさせるSRFF回路と、を有し、前記ON期間制御回路は、前記スイッチングトランジスタがONしているときに前記スイッチを介して流れる前記ホトカプラ電流に応じた電圧を生成する第6抵抗と、該第6抵抗に生成する電圧が前記センス電圧を超えるとき前記OFFタイミング信号を生成する第1コンパレータとを備えることを特徴とする。
【0022】
請求項2にかかる発明は、請求項1に記載のスイッチング電源装置において、前記ON期間制御回路で前記OFFタイミング信号が生成されてから第1所定時間が経過した後に前記OFF期間制御回路で前記ONタイミング信号が生成されるときモード切替信号を生成するタイムアウト回路を備え、前記ON期間制御回路は、前記タイムアウト回路で前記モード切替信号が生成されたとき、前記スイッチングトランジスタがONしてから、前記ホトカプラ電流及び前記センス電圧に無関係に、第2所定時間の経過後に前記OFFタイミング信号を生成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、ホトカプラ電流、スイッチングトランジスタのON期間に応じた負荷電力信号、センス電圧をそれぞれ取り込で処理し、スイッチングトランジスタのONタイミング信号やOFFタイミング信号を生成することができるので、第2の補助巻線は必須ではない。また、ONタイミング信号とOFFタイミング信号によってSRFF回路を駆動してスイッチングトランジスタのON/OFFを制御するので、スイッチングトランジスタON/OFFのタイミングがその閾値のバラツキの影響を受けることはない。
【0024】
また、補助巻線経路に反転検出回路を新たに設ければ、ONタイミング信号をその補助巻線の脈動電圧を波形整形したパルス信号でリタイミングすることができ、スイッチングトランジスタをドレイン電圧の自由振動の谷でONさせ疑似共振動作をさせることができるので、その疑似共振動作に際してのスイッチングトランジスタの閾値のバラツキの影響を排除できる。この点について、
図13のスイッチング電源装置では、スイッチングトランジスタのドレイン電圧の脈動の谷でONするようにしているが、どの谷でONするかはスイッチングトランジスタの閾値電圧に依存しているので、疑似共振動作がスイッチングトランジスタの閾値の影響を受ける。
【0025】
さらに、タイムアウト回路を新たに設ければ、ON/OFFの周期が所定値以上になる“軽負荷”では、ON時間一定でOFF時間可変の制御を行うことができるので、当該所定値になるON/OFF周期の周波数を可聴周波数以上になるように設定することにより、“通常負荷”では可聴周波数ノイズが発生することを防止することができる。
【0026】
さらに、
図13のスイッチング装置では、入力電圧が所定値に達しない場合はスイッチングトランジスタのスイッチング動作を停止させているが、本発明では入力電圧判定回路を新たに設けることにより、入力電圧に応じてON期間を制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明の第1実施例のスイッチング電源装置の構成ブロック図である。
【
図2】
図1のスイッチング電源装置のON期間制御回路の回路図である。
【
図3】
図1のスイッチング電源装置のOFF期間制御回路の回路図である。
【
図4】(a)、(b)は
図1のスイッチング電源装置の反転検出回路の回路図である。
【
図5】
図1のスイッチング電源装置のタイムアウト回路の回路図である。
【
図6】
図1のスイッチング電源装置のタイムアウト回路の動作波形図である。
【
図7】
図1のスイッチング電源装置の“通常負荷”での動作波形図である。
【
図8】
図1のスイッチング電源装置の“軽負荷”での動作波形図である。
【
図9】本発明の第2実施例のスイッチング電源装置の構成ブロック図である。
【
図10】
図9のスイッチング電源装置のON期間制御回路の回路図である。
【
図11】
図9のスイッチング電源装置の“通常負荷”での動作波形図である。
【
図12】
図9のスイッチング電源装置の“軽負荷”での動作波形図である。
【
図13】従来のスイッチング電源装置の構成ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
<第1実施例>
図1に本発明の第1実施例のスイッチング電源装置の構成を示す。10は1次巻線L1、2次巻線L2、補助巻線L3を有するトランスである。1次巻線L1には、入力直流電圧VinがキャパシタC1で安定化されて入力し、NMOSのスイッチングトランジスタMN1のON/OFF動作により生じる電磁エネルギーを、巻線L2,L3に伝える。2次巻線L2には、ダイオードD1とキャパシタC2により整流平滑回路が構成され、その整流平滑回路から出力直流電圧Voutが取り出されるようになっている。補助巻線L3には、ダイオードD2とキャパシタC3により整流平滑回路が構成され、その整流平滑回路から電圧VDDが生成されている。
【0029】
20はスイッチングトランジスタMN1のON/OFFを制御する制御回路である。制御回路20において、21はスイッチングトランジスタMN1がONを継続している時間を制御してOFFタイミング電圧Voffを出力するON期間制御回路、22はスイッチングトランジスタMN1がOFFを継続している時間を制御してONタイミング電圧Vonを出力するOFF期間制御回路である。ON期間制御回路21は外付けのキャパシタC4を備え、OFF期間制御回路22は外付けのキャパシタC5を備える。
【0030】
23はSRFF回路であり、ON期間制御回路21から出力するOFFタイミング電圧Voffが“H”になることによりリセットされて、Q端子から出力する駆動電圧Vdrvを“L”にする。また、OFF期間制御回路22から出力するONタイミング電圧Vonが“H”になることによりセットされて、Q端子から出力する駆動電圧Vdrvを“H”にする。
【0031】
24はSRFF回路23のQ端子から出力する駆動電圧Vdrvを入力してスイッチングトランジスタMN1をON/OFFするゲート電圧Vgを生成する駆動回路であり、駆動電圧Vdrvが“H”のときゲート電圧Vgを“H”にして、スイッチングトランジスタMN1をONにさせ、駆動電圧Vdrvが“L”のときゲート電圧Vgを“L”にして、スイッチングトランジスタMN1をOFFにする。
【0032】
25はタイムアウト回路であり、SRFF回路23から出力する駆動電圧VdrvとON期間制御回路21から出力するOFFタイミング電圧Voffを取り込んで、電圧Voffが発生してから駆動電圧Vdrvが“H”になるまでの時間(スイッチングトランジスタMN1のOFF期間)が所定時間T1を超えているとき、モード切替電圧Vmodeを“軽負荷”を示す“H”に設定し、所定時間T1を超えていないときは、モード切替電圧Vmodeを“通常負荷”を示す“L”に設定して、ON期間制御回路21とOFF期間制御回路22に出力する。
【0033】
26は負荷電力検出回路であり、スイッチングトランジスタMN1に流れるドレイン電流Idを検出するセンス抵抗Rs1に発生するセンス電圧Vs1を入力して、その電圧Vs1が発生している時間、つまりドレイン電流Idの流れている時間に基づいて、トランス10の1次巻線L1の励磁エネルギーを示す負荷電力信号(電流)Ioを生成し、OFF期間制御回路22に出力する。
【0034】
27は反転検出回路であり、補助巻線L3に発生する脈流電圧Vriseを抵抗R3を介して取り込んで、波形整形したパルス電圧Vpを生成し、OFF期間制御回路22に出力する。
【0035】
28は入力電圧判定回路であり、電圧VDDを抵抗R1,R2で分圧した電圧Vaを取り込んで入力電圧Vinを判定し、その判定電圧VbをON期間制御回路21に出力する。この判定電圧Vbは、入力電圧Vinが高いほど低い電圧となる。
【0036】
30は出力電圧Voutを検出する出力電圧検出回路であり、ここで検出された電圧に対応する電流がホトカプラ40のホトダイオードPD1に供給される。ホトカプラ40のホトトランジスタPT1は、ホトダイオードPD1の発光量、つまり出力電圧Voutに比例したホトカプラ電流Ipcを生成して、制御回路20のON期間制御回路21とOFF期間制御回路22に出力する。
【0037】
図2にON期間制御回路21の詳細図を示す。ON期間制御回路21は、OFFタイミング電圧Voff1を出力するON期間第1制御回路211と、OFFタイミング電圧Voff2を出力するON期間第2制御回路212と、モード切替電圧VmodeによりON期間第1制御回路211の出力電圧Voff1とON期間第2制御回路212の出力電圧Voff2の一方を選択する選択回路213とを備える。
【0038】
ON期間第1制御回路211は、駆動電圧Vdrvが“H”のときOFFするスイッチSW1と、駆動電圧Vdrvが“H”のときONするスイッチSW2と、前記した外付けのキャパシタC4と、センス電圧Vs1を増幅するバッファBF1と、コンパレータCP1とを備える。
【0039】
そして、キャパシタC4の電圧Vc4は、スイッチングトランジスタMN1がOFFしているときにONするスイッチSW1を介して、入力電圧判定回路28の出力電圧Vbに充電されている。スイッチングトランジスタMN1がONすると、スイッチSW1がOFFし、スイッチSW2がONすることによって、キャパシタC4の電圧Vc4がホトカプラ電流Ipcによって放電を開始する。一方、バッファBF1にはセンス電圧Vs1が入力しており、このセンス電圧Vs1とキャパシタC4の充電電圧Vc4がコンパレータCP1で比較される。コンパレータCP1は、電圧Vc4がセンス電圧Vs1よりも低下したとき、OFFタイミング電圧Voff1を“H”にする。
【0040】
このようにして、ON期間第1制御回路211は、入力電圧判定回路28の出力電圧Vbが低いほど、ホトカプラ電流Ipcが大きいほど、かつセンス電圧Vs1が高いほど、OFFタイミング電圧Voff1を“H”にするタイミングを早くして、スイッチングトランジスタMN1をそのONしている時間が短くなるように制御する。つまり、スイッチングトランジスタMN1のON期間は、入力電圧Vinが高いほど、出力電圧Voutが高いほど、センス電圧Vs1が高いほど、短くなる。
【0041】
ON期間第2制御回路212は、駆動電圧Vdrvが“H”のときOFFするスイッチSW3と、電流Iref1を供給する電流源IB1と、キャパシタC6と、電圧源VB1により電圧Vref1が基準値として設定されたコンパレータCP2とを備える。
【0042】
そして、キャパシタC6の電圧Vc6は、スイッチングトランジスタMN1がOFFしているときはスイッチSW3がONしているので0Vとなっているが、スイッチングトランジスタMN1がONするとスイッチSW3がOFFするので、電流源IB1の電流Iref1により定電流で充電されて時間に比例して高くなり、所定時間が経過して電圧Vref1よりも高くなると、コンパレータCP2から出力するOFFタイミング電圧Voff2が“H”になる。つまり、ON期間第2制御回路212は、スイッチングトランジスタMN1がONしてから一定時間が経過するとOFFタイミング電圧Voff2を“H”にする。この一定時間は、ON期間第1制御回路211から出力するOFFタイミング電圧Voff1の最も早いタイミングより、さらに早いタイミングとなる時間である。つまり、ON期間が最低値に固定される。
【0043】
選択回路213は、アンド回路AND1,AND2と、オア回路OR1と、インバータINV1とで構成されている。そして、モード切替電圧Vmodeが“L”(通常負荷)のときは、アンド回路AND1がゲートを開いてON期間第1制御回路211の“H”のOFFタイミング電圧Voff1が選択されて、OFFタイミング電圧Voffとして出力する。また、モード切替電圧Vmodeが“H”(軽負荷)のときは、アンド回路AND2がゲートを開いてON期間第2制御回路の“H”のOFFタイミング電圧Voff2が選択されて、OFFタイミング電圧Voffとして出力する。
【0044】
つまり、ON期間制御回路21はスイッチングトランジスタMN1を、負荷状態が“通常負荷”のときは、負荷状態に応じて動的に設定されるOFFタイミング電圧Voff1によって、ONからOFFに切り替えるが、負荷状態が“軽負荷”のときは、ONタイミングから固定的に設定される一定時間が経過したときに、OFFタイミング電圧Voff1によって、ONからOFFに切り替える。このようにして、スイッチングトランジスタMN1のONタイミングからOFFタイミングに至るON期間は、“通常負荷”のときは負荷状態に応じて伸縮制御されるが、“軽負荷”のときは一定の最短時間となる。
【0045】
図3にOFF期間制御回路22の詳細図を示す。OFF期間制御回路22は、OFF期間設定回路221と、選択回路222とを備える。
【0046】
OFF期間設定回路221は、駆動電圧Vdrvが“H”のときONするスイッチSW4と、前記した外付けのキャパシタC5と、モード切替電圧Vmodeが“H”(軽負荷)のときOFFするスイッチSW5と、モード切替電圧Vmodeが“H”(軽負荷)のときONするスイッチSW6と、電圧がVref2の電圧源VB2と、バッファBF2と、抵抗R4と、コンパレータCP3と、第1DFF回路2211と、電圧がVref3の電圧源VB3を備える。また、第1DFF回路2211は、反転検出回路27の出力パルスVpの立上りに同期してコンパレータCP3の出力電圧Von2をラッチし、ONタイミング電圧Von1として出力する。
【0047】
このOFF期間制御回路22では、駆動電圧Vdrvが“L”になってスイッチングトランジスタMN1がOFFになると、スイッチSW4がOFFになってキャパシタC5が負荷電力検出回路26の出力電流Ioによって充電され、キャパシタC5の電圧がVc5となる。この電圧Vc5は徐々に高くなり、負荷状態が“通常負荷”でモード切替電圧Vmodeが“L”であれば、スイッチSW5がON、スイッチSW6がOFFしているので、バッファBF2と抵抗R4を経由してコンパレータCP3の非反転入力端子に電圧Vpcとして入力する。このとき流れるホトカプラ電流Ipcは、スイッチングトランジスタMN1のOFF時点からダイオードD1導通後に時間経過とともに小さくなるので、抵抗R4に発生する電圧降下が順次小さくなり、電圧Vpcが順次上昇する。
【0048】
そして、その電圧Vpcが基準電圧Vref3より高くなれば、コンパレータCP3から出力するONタイミング電圧Von2が“H”になる、このONタイミング電圧Von2は反転検出回路27から出力するパルスVpの立上りで第1DFF回路2211においてラッチされ、ONタイミング電圧Von1として出力する。このときのONタイミング電圧Vo1の発生タイミングは、負荷電力信号Ioが大きいほど、ホトカプラ電流Ipcが小さいほど、早くなり、OFF期間が短くなる。
【0049】
パルス電圧Vpの立上りのタイミングは、後記するように巻線L3で発生する脈動電圧Vriseが基準電圧Vref4より高くなるとき“H”になるので、スイッチングトランジスタMN1のドレイン電圧の自由振動の谷(脈動電圧Vriseの頂上)に該当するタイミングとなる。
【0050】
一方、負荷状態が“軽負荷”でモード切替電圧Vmodeが“H”のときは、スイッチSW5がOFFし、スイッチSW6がONして、バッファBF2の入力側に電圧源VB2の電圧Vref2が入力し、抵抗R4を経由して電圧Vpcとなる。この電圧Vpcはホトカプラ電流Ipcが時間経過とともに小さくなることで順次上昇し、基準電圧Vref2より高くなるとコンパレータCP3の出力が“H”になる。このときのONタイミング電圧Vo2の発生タイミングは、ホトカプラ電流Ipcが大きいほど、遅くなり、OFF期間が長くなる。
【0051】
選択回路222は、アンド回路AND3,AND4と、オア回路OR2と、インバータINV4とで構成されている。そして、Vmode=L”(通常負荷)のときは、アンド回路AND3がゲートを開いて第1DFF回路2211の出力電圧Von1を選択して、ONタイミング電圧Vonとして出力する。このときは電圧Vo2がパルス電圧Vpによりリタイミングされて電圧Vo1となっているので、スイッチングトランジスタMN1のONタイミングがそのドレイン電圧Vdの自由振動の谷に該当するタイミングとなり、疑似共振動作が可能となる。このため、スイッチングトランジスタMN1のONタイミングはその閾値のバラツキの影響は受けない。
【0052】
一方、Vmode=“H”(軽負荷)のときは、アンド回路AND4がゲートを開いてコンパレータCP3の出力電圧Von2を選択して、ONタイミング電圧Vonとして出力する。このときは、パルス電圧Vpによるリタイミング制御は受けない。
【0053】
図4に反転検出回路27の詳細図を示す。反転検出回路27は、
図4の(a)に示すように、電圧Vref4の電圧源VB4と、NPNトランジスタQ1と、NPNトランジスタQ2と、電圧Vref5の電圧源VB5と、コンパレータCP4とを備える。トランジスタQ1は最低電圧規制回路を構成し、補助巻線L3にその●側が負極となる脈動電圧Vriseが発生したときコンパレータCP4の非反転入力端子の電圧を「Vref4-Vbe(Q1)」に制限する。Vbe(Q1)はトランジスタQ1のベース・エミッタ間電圧である。トランジスタQ2は最高電圧規制回路を構成し、補助巻線L3にその●側が正極となる脈動電圧Vriseが発生したときコンパレータCP4の非反転入力端子の電圧をVbe(Q2)に制限する。Vbe(Q2)はトランジスタQ2のベース・エミッタ間電圧である。そして、電圧Vref5を基準として、脈動電圧Vriseを波形整形する。
【0054】
なお、反転検出回路27は、
図4の(b)に示すように、トランジスタQ2を抵抗R5に置き換えてもよい。このときは、●側が正極となる脈動電圧Vriseが抵抗R3、R4で分圧されることで最高電圧が規制される。
【0055】
図5にタイムアウト回路25の詳細図を示す。タイムアウト回路25は、タイマ回路251と第2DFF回路252により構成されている。タイマ回路251は、OFFタイミング電圧Voffが“H”になるとタイムカウントを開始するとともに出力電圧Vtを“L”にし、所定時間T1だけカウントすると出力電圧Vtを“H”にする。第2DFF回路252は、SRFF回路23のQ出力電圧Vdrvが“H”の立上りタイミングで、タイマ回路251の出力電圧Vtが“H”であればQ端子の電圧Vmodeを“H”にし、“L”であれば“L”にする。
【0056】
したがって、タイマ回路251の出力電圧Vtが“H”のときに電圧Vdrvが“H”になると電圧Vmodeが“H”になるが、この後、OFFタイミング電圧Voffが“H”になると、タイマ回路251の出力電圧が“H”から“L”に変化する。そして、タイマ時間T1が経過する前に電圧Vdrvが“H”にならず、経過後に“H”になったときは、タイマ回路271の出力電圧Vtが“H”となっているので、第2DFF回路252のQ端子の電圧Vmodeが“H”から変化しない。再度OFFタイミング電圧Voffが“H”になることでタイマ回路251の出力電圧Vtが“L”になり、その後タイマ時間T1が経過するまえに電圧Vdrvが“H”になれば、モード切替電圧Vmodeは“L”になる。
【0057】
このようにして、電圧Vdrvが“H”になる間隔、つまりスイッチングトランジスタMN1のONタイミングの周期がタイマ時間T1を超えるときは、モード切替電圧Vmodeが“H”になり、これはスイッチングトランジスタMN1の駆動周期が長い、つまり現在の運転状態が“軽負荷”であることを示す。一方、電圧Vdrvが“H”になる間隔がタイマ時間T1以内のときは、モード切替電圧Vmodeが“L”になり、これはスイッチングトランジスタMN1の駆動周期が短い、つまり現在の運転状態が“通常負荷”であることを示す。
図6にタイムアウト回路25の動作波形図を示した。
【0058】
タイムアウト回路25のタイマ時間T1を適宜設定することで、モード切替電圧Vmodeが“H”になるスイッチングトランジスタMN1のスイッチング周波数を調整することができるので、この周波数が可聴周波数上限値(20kHz)以上になるようにすれば、“通常負荷”で可聴周波数ノイズが発生することを防止できる。
【0059】
図7に運転状態が“通常負荷”の場合の動作波形図を示す。この場合は、モード切替電圧Vmodeが“L”となるので、ON期間制御回路21ではOFFタイミング電圧Voff1が選択されて電圧Voffとして出力する。この電圧Voffが発生して電圧VdrvによりスイッチングトランジスタMN1がOFFすると、センス電圧Vs1が消滅するので電圧Voffも消滅して電圧Voffはパルス波形となる。
【0060】
また、OFF期間制御回路22ではONタイミング電圧Von1が選択されて電圧Vonとして出力する。この電圧Vonが発生して電圧VdrvによりスイッチングトランジスタMN1がONすると、スイッチSW4がONされて電圧Vc5が消滅するので電圧Vonも消滅して電圧Vonもパルス波形となる。
【0061】
上記の“通常負荷”において、2次巻線L2の側に接続される負荷が軽い場合は、出力電圧Voutが目標電圧よりも高くなるので、ホトカプラ電流Ipcが多くなる。このため、スイッチングトランジスタMN1のON期間では、ON期間制御回路21のキャパシタC4の電荷がそのホトカプラ電流Ipcによってより多く放電され、キャパシタC4の電圧Vc4の電圧低下が大きくなる。このとき、スイッチングトランジスタMN1のドレイン電流Idの時間当たりの増加率は入力電圧Vinと1次側の巻線L1のインダクタンスによって決まり、負荷状態に関係なく一定である。このため、キャパシタC4の電圧低下が大きいと、コンパレータCP1の出力電圧Voff1が“H”になるまでの時間が短くなる。つまり、スイッチングトランジスタMN1のON期間が短くなる。
【0062】
一方、スイッチングトランジスタMN1のOFF期間では、ホトカプラ電流Ipcが多いと、OFF期間制御回路22の抵抗R4による電圧降下が大きくなり、コンパレータCP3の出力電圧Von1が“H”になるまでの時間が長くなる。なお、負荷電力検出回路26の出力電流Ioは、スイッチングトランジスタMN1のON期間が短いと少なくなるので、キャパシタC5の電圧Vc5の電圧上昇率は小さくなる。したがって、負荷が軽い場合は、スイッチングトランジスタMN1のOFF期間は長くなる。
【0063】
以上のように、“通常負荷”において負荷が軽い場合は、スイッチングトランジスタMN1のON期間が短くなり、OFF期間が長くなるので、デューティ比が小さくなるとともにスイッチング周期が長くなる。
【0064】
一方、2次巻線L2に流れる負荷電流が多い場合、つまり負荷が重い場合は、出力電圧Voutが低下するので、ホトカプラ電流Ipcが少なくなる。このため、スイッチングトランジスタMN1のON期間とOFF期間は、負荷が軽い場合と逆になる。つまり、ON期間が長くOFF期間が短くなって、デューティ比は大きくなりスイッチング周期は短くなる。
【0065】
図8に負荷状態が“軽負荷”の場合の動作波形図を示す。この場合は、モード切替電圧Vmodeが“H”となるので、ON期間制御回路21ではOFFタイミング電圧Voff2が選択されて電圧Voffとして出力し、OFF期間制御回路22ではONタイミング電圧Von2が選択されて電圧Vonとして出力する。
【0066】
このとき、ON期間制御回路21では、スイッチングトランジスタMN1がONしたときスイッチSW3がOFFして、キャパシタC6に電流Iref1による定電流で充電が行われるので、そのキャパシタC6の電圧Vc6が電圧Vref1を超えたとき、OFFタイミング電圧Voff2が“H”になって、スイッチングトランジスタMN1がOFFする。このときのスイッチングトランジスタMN1のON期間は、出力電圧Voutに無関係に、電流Iref1とキャパシタC6で決まる一定時間となる。
【0067】
OFF期間制御回路22では、スイッチSW5がOFFしスイッチSW6がONするので、抵抗R4に電圧Vref2が印加する。そして、ホトカプラ電流Ipcが小さいほど電圧Vpcが高くなり、その電圧Vpcが電圧Vref3を超えると、コンパレータCP3の出力電圧Von2が“H”になり、それがONタイミング電圧Vonとして出力する。電流Icpは出力電圧Voutが高いほど多くなるが、出力電圧Voutの低下に比例して小さくなる。よって、スイッチングトランジスタMN1がOFFした時点の出力電圧Voutが高いほど、電圧Vpcが電圧Vref3を超える程度にホトカプラ電流Ipcが小さくなるまでの時間が長くなる。つまり、ONタイミング信号Vonが“H”になるタイミングは、スイッチングトランジスタMN1の出力電圧Voutが高いほど遅くなり、OFF期間が長くなる。
【0068】
このように、負荷状態が軽負荷の場合のスイッチングトランジスタMN1は、ON期間が一定で、かつOFF期間がスイッチングトランジスタMN1のOFFタイミング時の出力電圧Voutが高いほど長くなるように制御される。
【0069】
<第2実施例>
図9に本発明の第2実施例のスイッチング電源装置の構成を示す。第2実施例のスイッチング電源装置は第1実施例のスイッチング電源装置とは、制御回路20Aの構成、特にON期間制御回路21Aと入力電圧判定回路28Aの構成が異なっている。本実施例では通常負荷動作時には外付けのキャパシタC4を使用することなくフォトカプラ電流IpcによってON期間を決める。また、軽負荷時には入力電圧Vinの値を加味した最短のON期間を決める。第1実施例におけるものと同じものには同じ符号をつけた。
【0070】
図10にON期間制御回路21Aの詳細図を示す。ON期間制御回路21Aは、OFFタイミング電圧Voff1を出力するON期間第1制御回路211Aと、OFFタイミング電圧Voff2を出力するON期間第2制御回路212Aと、モード切替電圧VmodeによりON期間第1制御回路211Aの出力電圧Voff1とON期間第2制御回路212Aの出力電圧Voff2の一方を選択する選択回路213とを備える。
【0071】
ON期間第1制御回路211Aは、基準電圧Vref6の電圧源VB6と、バッファBF6と、抵抗R6と、駆動電圧Vdrvが“H”のときONするスイッチSW2と、センス電圧Vs1を増幅するバッファBF1と、コンパレータCP1とを備える。
【0072】
そして、抵抗6の電圧Vr6は、スイッチングトランジスタMN1がOFFしているときには、スイッチSW2がOFFしていることにより、基準電圧Vref6となるが、スイッチングトランジスタMN1がONすると、スイッチSW2がONすることによって、ホトカプラ電流Ipcが抵抗R6に流れ、抵抗R6には「R6×Ipc」の電圧降下が起きて、電圧Vr6は以下のようになる。
Vr6=Vref6-R6×Ipc ・・・(1)
【0073】
一方、バッファBF1にはセンス電圧Vs1が入力しており、このセンス電圧Vs1と電圧Vr6がコンパレータCP1で比較される。コンパレータCP1は、センス電圧Vs1が電圧Vr6より大きくなったとき、OFFタイミング電圧Voff1を“H”にする。
【0074】
スイッチングトランジスタMN1がONしてからのセンス電圧Vs1の変化は以下のようになる。
Vs1=Rs1×Vin/L1×ton ・・・(2)
ホトカプラ電流Ipcが増えると、電圧Vr6が下がるので、スイッチングトランジスタMN1がONしてからセンス電圧Vs1が電圧Vr6より大きくなりコンパレータCP1から出力するOFFタイミング電圧Voff1を“H”にするまでの時間、つまりスイッチングトランジスタMN1がOFFするまでの時間(ON期間)は短くなる。
【0075】
また、式(2)により、センス電圧Vs1の時間に対する変化は、入力電圧Vinの大きさに比例する。ホトカプラ電流Ipcが一定の状態で入力電圧Vinが高くなると、スイッチングトランジスタMN1がONしてからセンス電圧Vs1が電圧Vr6より大きくなるまでの時間が短くなる。
【0076】
このようにして、ON期間第1制御回路211Aは、ホトカプラ電流Ipcが大きいほど、かつセンス電圧Vs1が高いほど、OFFタイミング電圧Voff1を“H”にするタイミングを早くして、スイッチングトランジスタMN1をそのONしている時間が短くなるように制御する。つまり、スイッチングトランジスタMN1のON期間は、出力電圧Voutが高いほど、入力電圧Vinが高いほど、センス電圧Vs1が高いほど、短くなる。
【0077】
ON期間第2制御回路212Aは、駆動電圧Vdrvが“H”のときOFFするスイッチSW3と、電流Iref2を供給する電流源IB2と、キャパシタC6と、電圧源VB1により電圧Vref1が基準値として設定されたコンパレータCP2とを備える。電流源IB2の電流Iref2は、入力電圧判定回路28Aの出力電圧Vb2の出力により、入力電圧Vinが大きいほど、その電流値を大きくする。
【0078】
そして、キャパシタC6の電圧Vc6は、スイッチングトランジスタMN1がOFFしているときはスイッチSW3がONしているので0Vとなっているが、スイッチングトランジスタMN1がONするとスイッチSW3がOFFするので、電流源IB2の電流Iref2により充電されて時間に比例して高くなり、所定時間が経過して電圧Vref2よりも高くなると、コンパレータCP2から出力するOFFタイミング電圧Voff2が“H”になる。
【0079】
つまり、ON期間第2制御回路212Aは、スイッチングトランジスタMN1がONしてから入力電圧Vinの値で決まる所定時間が経過するとOFFタイミング電圧Voff2を“H”にする。この所定時間は、ON期間第1制御回路211Aから出力するOFFタイミング電圧Voff1の最も早いタイミングより、さらに早いタイミングとなる時間であり、入力電圧Vinが大きいほど短くなる。なお、キャパシタC6を外付けとして、時間設定に自由度を持たせてもよい。
【0080】
このようにして、第2実施例のON期間制御回路21AはスイッチングトランジスタMN1を、負荷状態が“通常負荷”のときは、負荷状態(フォトカプラ電流Ipc)に応じて動的に設定されるOFFタイミング電圧Voff1によって、ONからOFFに切り替えるが、負荷状態が“軽負荷”のときは、ONタイミングから入力電圧Vinによって設定される所定時間が経過したときに、OFFタイミング電圧Voff1によって、ONからOFFに切り替える。このようにして、スイッチングトランジスタMN1のONタイミングからOFFタイミングに至るON期間は、“通常負荷”のときは負荷状態に応じて伸縮制御され、“軽負荷”のときは入力電圧Vinに応じて伸縮制御される。
【0081】
図11に第2実施例のスイッチング電源装置の“通常負荷”での動作波形図を示し、
図12に“軽負荷”での動作波形図を示した。
【符号の説明】
【0082】
10:トランス、L1:1次巻線、L2:2次巻線、L3:補助巻線
20,20A:制御回路、21,21A:ON期間制御回路、211,211A:ON期間第1制御回路、212,212A:ON期間第2制御回路、213:選択回路、22:OFF期間制御回路、221:OFF期間設定回路、222:選択回路、23:SRFF回路、24:駆動回路、25:タイムアウト回路、26:負荷電力検出回路、27:反転検出回路、28,28A:入力電圧判定回路
30:出力電圧検出回路
40:ホトカプラ