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特許7039284キサンチンオキシダーゼ活性阻害用組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-11
(45)【発行日】2022-03-22
(54)【発明の名称】キサンチンオキシダーゼ活性阻害用組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 36/22 20060101AFI20220314BHJP
   A61P 19/06 20060101ALI20220314BHJP
   A61P 13/12 20060101ALI20220314BHJP
   A61P 13/04 20060101ALI20220314BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20220314BHJP
   A23L 33/105 20160101ALI20220314BHJP
   C12N 9/99 20060101ALI20220314BHJP
   A23K 10/30 20160101ALI20220314BHJP
【FI】
A61K36/22
A61P19/06
A61P13/12
A61P13/04
A61P43/00 111
A23L33/105
C12N9/99
A23K10/30
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2017249569
(22)【出願日】2017-12-26
(65)【公開番号】P2019112382
(43)【公開日】2019-07-11
【審査請求日】2020-11-06
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000186588
【氏名又は名称】小林製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】立木 賢輔
(72)【発明者】
【氏名】赤木 淳二
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 慎哉
【審査官】藤井 美穂
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-252776(JP,A)
【文献】特開2010-037334(JP,A)
【文献】特開2002-121145(JP,A)
【文献】特開2010-037335(JP,A)
【文献】KOREAN J. FOOD SCI. TECHNOL., 2007, Vol.39, No.2, pp.200-208
【文献】Journal of Insect Science, 2012, Vol.12, Article 10
【文献】J. Pharm. Biomed. Sci., 2013, Vol.3, No.12, pp.1-6
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 36/00 - 36/9068
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヌルデの嚢状虫瘻の加工物を含有し、該加工物が該嚢状虫瘻の粉砕物、乾燥物及び抽出物からなる群より選択される少なくとも1種である、キサンチンオキシダーゼ活性阻害用組成物。
【請求項2】
尿酸生成抑制用である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
高尿酸血症、痛風、腎機能障害及び尿路結石からなる群より選択される少なくとも1種の予防または改善用である、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
食品組成物、医薬組成物または飼料組成物である、請求項1~3のいずれかに記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キサンチンオキシダーゼ活性阻害用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
高尿酸血症は血中の尿酸値が正常範囲よりも高い状態をいい、今日、我が国では、血清尿酸濃度が7mg/dLを超える場合を高尿酸血症と定義されている。また、高尿酸血症が原因となる代表的な疾患として痛風、更には腎機能障害や尿路結石等の疾患が知られている。
【0003】
従来、日本では、高尿酸血症やこれに起因する痛風等の患者数はそれほど多くなかったが、近年の生活様式の変化、特に高カロリー、高タンパク、高脂質といった食生活の変化やストレスの増加等に伴い、高尿酸血症や痛風等の尿酸値の上昇が原因となる疾患の患者数は増加傾向にある。このことから、尿酸値の上昇が原因となる疾患を予防、改善することは非常に重要である。
【0004】
尿酸は、プリン体からヒポキサンチン、キサンチンを経由して生成され、ヒポキサンチンからキサンチンの生成、キサンチンから尿酸の生成にはいずれもキサンチンオキシダーゼが関与する。従って、キサンチンオキシダーゼの活性を阻害することにより、生体内での尿酸の生成を抑制することができる。キサンチンオキシダーゼの活性阻害を利用した高尿酸血症治療薬としてはアロプリノールが知られている(非特許文献1)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【文献】浦部晶夫ら編、今日の治療薬2014 解説と便覧、第36版第2版、380頁、南江堂、2014年3月20日発行
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、キサンチンオキシダーゼの活性を阻害できる新たな組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らが前記課題に鑑み鋭意研究を重ねたところ、次の植物、すなわちヌルデ、ボタン、アオバノキ、キンマを用いることによって、キサンチンオキシダーゼの活性を阻害できることを見いだした。本発明は該知見に基づき更に検討を重ねた結果完成されたものであり、次に掲げるものである。
項1.ヌルデ、ボタン、アオバノキ及びキンマからなる群より選択される少なくとも1種の植物の加工物を含有する、キサンチンオキシダーゼ活性阻害用組成物。
項2.尿酸生成抑制用である、項1に記載の組成物。
項3.高尿酸血症、痛風、腎機能障害及び尿路結石からなる群より選択される少なくとも1種の予防または改善用である、項1または2に記載の組成物。
項4.食品組成物、医薬組成物または飼料組成物である、項1~3のいずれかに記載の組成物。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、キサンチンオキシダーゼの活性を阻害できる。このため、本発明によれば、尿酸の生成を抑制することができる。このことから、本発明の組成物は、尿酸の生成に起因する疾患、特に尿酸値の上昇に基づく各種症状の予防または改善を目的として使用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、ヌルデ、ボタン、アオバノキ及びキンマからなる群より選択される少なくとも1種の植物の加工物を含有する、キサンチンオキシダーゼ活性阻害用組成物を提供する。
【0010】
本発明の組成物に有効成分として含まれる前記植物の加工物の原料として、ヌルデ、ボタン、アオバノキ、キンマが挙げられる。
【0011】
ヌルデ(Rhus javanica L.)は、ウルシ科のヌルデ属に属する植物である。ボタン(Paeonia suffruticosa Andrews)は、ボタン科のボタン属に属する植物である。アオバノキ(Symplocos cochinchinensis (Lour.) S.Moore)は、ハイノキ科のハイノキ属に属する植物である。キンマ(Piper betle L.)は、コショウ科のコショウ属に属する植物である。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0012】
該植物であれば使用部位は特に限定されないが、葉、茎、果実、嚢状虫瘻、花、芽、枝、樹皮、根茎、種子、種皮等が例示され、各植物に応じて適宜選択すればよい。より好ましくは葉、茎、果実、嚢状虫瘻等が例示され、更に好ましくはヌルデの嚢状虫瘻(五倍子ともよばれる)、ボタンの葉、アオバノキの葉、キンマの葉が例示される。使用部位として、1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0013】
本発明において植物の加工物とは、前記原料となる植物の粉砕物、乾燥物、抽出物等が挙げられる。
【0014】
粉砕物は、ジェットミル等の本分野で公知の粉砕器により前記植物を粉砕したものであれば特に限定されない。
【0015】
乾燥物は、前記植物を乾燥させたものであれば特に限定されず、天日乾燥、遠赤外線照射、乾燥機(熱風乾燥、冷風乾燥、真空凍結乾燥等)等の従来公知の乾燥方法に従って得ることができる。本発明において乾燥物の形態は問わず、植物体そのものの乾燥物、乾燥物の粉砕物等のいずれでもよい。乾燥粉砕物は、前記粉砕物と同様の方法に従って乾燥物を粉砕することにより得ることができる。また、本発明においては乾燥物として、原料となる植物を発酵処理や酵素処理した後乾燥して得られたものを使用することもできる。
【0016】
抽出物の製造方法(抽出方法)及び抽出条件等は特に限定されず、従来公知の方法に従えばよい。例えば、前記植物をそのまま、必要に応じて裁断、粉砕または乾燥等したのち、搾取または溶媒抽出によって抽出物を得ることができる。溶媒抽出の方法としては、本分野において公知の方法を採用すればよく、例えば水(温水、熱水を含む)抽出、アルコール抽出、超臨界抽出等の従来公知の抽出方法を利用することができる。
【0017】
溶媒抽出を行う場合、溶媒としては例えば水;メタノール、エタノール、イソプロパノール等の低級アルコールや、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール等の多価アルコール等のアルコール類(無水、含水の別を問わない);アセトン等のケトン類、ジエチルエーテル、ジオキサン、アセトニトリル、酢酸エチルエステル等のエステル類、キシレン、ベンゼン、クロロホルム等が挙げられる。溶媒として好ましくは水、低級アルコール、1,3-ブチレングリコール等であり、より好ましくは水、メタノール、エタノール、1,3-ブチレングリコールであり、更に好ましくはメタノール、含水エタノールである。これらの溶媒は1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0018】
本発明において、このように溶媒抽出を経て得た抽出物を特に溶媒抽出物と称することができる。更に、本発明を制限するものではないが、前述のように例えば溶媒として水を用いた場合は水抽出物、低級アルコール類を用いた場合は低級アルコール抽出物、エタノールを用いた場合はエタノール抽出物等と称することができる。
【0019】
得られた抽出物は、そのままの状態で使用してもよく、乾燥させて粉末状や顆粒状等の固形の状態で使用してもよい。また、必要に応じて、得られた抽出物に精製、濃縮処理、高活性画分の分離処理等を施してもよい。本発明を制限するものではないが、精製処理としては、濾過、イオン交換樹脂や活性炭カラム等を用いた吸着、脱色といった処理が挙げられる。また、濃縮処理としては、エバポレーター等の常法を利用できる。また、高活性画分の分離処理としては、ゲル濾過、吸着処理、シリカゲルカラムクロマトグラフィー、HPLC(High performance liquid chromatography)等の公知の分離処理を利用できる。
【0020】
また、例えば、前述のようにして得られた抽出物(更にはその乾燥物、精製処理物、濃縮処理物、高活性画分)を、凍結乾燥処理に供して粉末化する方法、必要に応じてデキストリン、コーンスターチ、アラビアゴム等の賦形剤を添加して、スプレードライ処理により粉末化する方法等の従来公知の方法に従って粉末化し、本発明で用いる抽出物としてもよい。また、該抽出物を、必要に応じて水、エタノール等に溶解して用いてもよい。
【0021】
前記植物の抽出物として好ましくは、原料となる植物(使用部位)を乾燥、破砕及び/または裁断し、好適な溶媒を使用して抽出、濾過して得られる抽出物、また、このようにして得られる抽出物を更に乾燥させることにより得られる抽出物が例示される。本発明を制限するものではなく、各植物または使用部位に応じて当業者が適宜抽出すればよいが、抽出物は、原料となる植物を100gあたり、より好ましくは該植物の乾燥物、破砕物及び/または裁断物を100gあたり、抽出溶媒1~50リットルに浸漬させて、任意の温度(例えば15~90℃)で、必要に応じて攪拌しながら、任意の時間(例えば10分~24時間)抽出を行い、次いで濾過することにより得ることができる。本発明において植物の加工物として好ましくは植物抽出物(その乾燥物等を含む)である。
【0022】
本発明において使用する植物の加工物は市販品でもよく、市販品に対して更に乾燥等の処理を適宜施したものでもよい。
【0023】
このようにして得た植物の加工物は、1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0024】
本発明の組成物中の前記植物の加工物の含有量は、本発明の効果が得られる限り制限されない。組成物中、前記植物の加工物が、乾燥物換算で、0質量%より多く含まれていることが例示され、好ましくは前記植物の加工物が、乾燥物換算で、5~99.9質量%が例示され、より好ましくは10~75質量%、更に好ましくは25~50質量%が例示される。2種以上の加工物を用いる場合、その総量が該値を充足する。加工物の乾燥物は、加工物を凍結乾燥処理することにより得られる。凍結乾燥処理は、一般的なエバポレーターを用いた減圧濃縮及び真空状態での凍結乾燥により行う。より詳細な処理手順は後述する実施例に従う。
【0025】
また、本発明の組成物において、前記植物の加工物の投与(摂取)量は、本発明の効果が奏される限り特に限定されず、対象者(対象動物)の体格、年齢、症状、適用形態、使用目的、尿酸値の程度、期待される効果の程度等に応じて適宜設定すればよい。本発明を制限するものではないが、1日投与(摂取)量として、体重60kgの成人を基準として、前記植物の加工物は総量で(乾燥質量換算として)、好ましくは10~2000mg、より好ましくは100~1000mg、更に好ましくは400~600mgが例示される。本発明の組成物は、1日あたり単回投与(摂取)であってもよく複数回投与(摂取)であってもよい。
【0026】
本発明の組成物は、経口、非経口の別を問わない。本発明の組成物の形態も制限されず、目的に応じて適宜設定すればよい。本発明の組成物の形態として、液剤、乳剤、懸濁剤、シロップ剤、エキス剤、酒精剤、エリキシル剤等の液状形態、散剤、顆粒剤、細粒剤、錠剤、丸剤、カプセル剤(ハードカプセル、ソフトカプセルを含む)、トローチ、チュアブル、ゲル状、クリーム状、ペースト状、ムース状、シート状、液状形態の凍結乾燥物等の半固形または固形形態、この他、エアゾール剤、貼付剤、ハップ剤、経皮吸収型製剤等の各種形態が例示される。
【0027】
また、例えば本発明の組成物が固形形態である場合、これは水等と混合して使用してもよく、また、本発明の組成物は徐放性の剤形であってもよい。また、例えば錠剤は、必要に応じて、従来公知の剤皮を施した錠剤、例えば糖衣錠、ゼラチン被包錠、腸溶被錠、フィルムコーティング錠、あるいは二重錠、多層錠とすることができる。
【0028】
また、本発明の組成物の使用態様も制限されず、目的に応じて適宜設定すればよい。本発明の組成物の使用態様として、食品組成物(飲料を含む、保健機能食品(特定保健用食品、栄養機能食品、機能性表示食品、サプリメント等を含む)、病者用食品を含む)、医薬組成物、飼料組成物、また、食品組成物、医薬組成物、飼料等への添加剤等として使用することができる。
【0029】
本発明の組成物は、前述の各種形態、使用態様等における従来公知の通常の手順に従い製造すればよく、必要に応じて、薬学的に許容される成分、香粧品科学的に許容される成分、可食性の成分といった任意の成分と混合等して製造すればよい。該任意の成分として、溶剤(水、メタノール、エタノール、イソプロパノール等の低級アルコール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール等の多価アルコール等のアルコール類(無水、含水の別を問わない)等)、賦形剤、崩壊剤、希釈剤、滑沢剤、香料、着色料、甘味料、矯味剤、懸濁剤、湿潤剤、乳化剤、可溶化剤、分散剤、緩衝剤、結合剤、浸透促進剤、安定剤、増量剤、防腐剤、増粘剤、pH調整剤、界面活性剤、コーティング剤、吸収促進剤、吸着剤、充填剤、酸化防止剤、抗炎症剤、清涼剤、皮膜形成剤、ゲル化剤、アミノ酸、ビタミン、酵素、各種栄養成分等が例示される。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよく、その含有量も適宜決定すればよい。
【0030】
本発明において、組成物の対象者(対象動物)も制限されないが、ヒト、ヒト以外の哺乳動物、鳥類、爬虫類等が例示される。ヒト以外の哺乳動物としては、キサンチンオキシダーゼが尿酸の生成促進を図っている動物が挙げられ、マウス、ラット、モルモット、ウサギ、イヌ、ネコ、サル、ブタ、牛、馬等の動物、好ましくはマウス、ラット、モルモット、ウサギ、イヌ、サル等の動物が例示される。
【0031】
本発明の組成物によれば、前記植物の加工物を有効成分としてキサンチンオキシダーゼの活性を阻害することができる。このことから、本発明は、前記植物の加工物を用いることを特徴とするキサンチンオキシダーゼ活性阻害用組成物の製造方法を提供するといえる。また、本発明は、前記植物の加工物を調製する工程を含有する、キサンチンオキシダーゼ活性阻害用組成物の製造方法を提供するといえる。また、本発明は、前記植物の加工物を用いることを特徴とする、キサンチンオキシダーゼ活性阻害方法を提供するといえる。
【0032】
このように本発明の組成物によれば、キサンチンオキシダーゼの活性を阻害できる。このことから、本発明によれば生体内での尿酸の生成を抑制することができ、キサンチンオキシダーゼの活性や尿酸生成に起因する疾患、特に尿酸値の上昇に基づく各種症状の予防または改善を目的として本発明の組成物を使用することができる。
【0033】
このため、本発明の組成物は、本発明を制限するものではないが、高尿酸血症、痛風、腎機能障害、尿路結石等の予防または改善に有用である。また、本発明の組成物は、生体内での尿酸の上昇が気になる対象者、尿酸値が気になる対象者、尿酸値の上昇を穏やかにしたい対象者、プリン体が気になる対象者、尿酸値が高めの対象者、高尿酸血症、痛風、腎機能障害、尿路結石等の尿酸値の上昇に起因する疾患が気になる対象者等に好ましく適用することができる。
【0034】
また、本発明の組成物は、尿酸生成抑制薬、高尿酸血症治療薬、痛風治療薬、腎機能障害治療薬、尿路結石治療薬等としても使用できる
【実施例
【0035】
以下、実施例を示して本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
【0036】
1.植物の加工物の調製
植物の加工物の原料として、ヌルデ(Rhus javanica L.)、ボタン(Paeonia suffruticosa Andrews)、アオバノキ(Symplocos cochinchinensis (Lour.) S.Moore)、キンマ(Piper betle L.)を使用し、次の抽出物を準備した。
【0037】
ヌルデ
ヌルデの嚢状虫瘻の抽出物(日本新薬社製特注ヌルデエキス末、粉末乾燥物)を用いた。本抽出物は、ヌルデの嚢状虫瘻の乾燥物を破砕し、メタノールを添加して抽出し、得られた抽出物を濾過し、不溶性成分を除去した濾液を凍結乾燥することにより得たものである。
【0038】
ボタン
ボタンの葉の抽出物(日本新薬社製特注ボタンエキス末、粉末乾燥物)を用いた。本抽出物は、ボタンの葉の乾燥物を破砕し、メタノールを添加して抽出し、得られた抽出物を濾過し、不溶性成分を除去した濾液を凍結乾燥することにより得たものである。
【0039】
アオバノキ
アオバノキの葉の抽出物(日本新薬社製特注アオバノキエキス末、粉末乾燥物)を用いた。本抽出物は、アオバノキの葉の乾燥物を破砕し、メタノールを添加して抽出し、得られた抽出物を濾過し、不溶性成分を除去した濾液を凍結乾燥することにより得たものである。
【0040】
キンマ
キンマの葉の抽出物(日本新薬社製特注キンマエキス末、粉末乾燥物)を用いた。本抽出物は、キンマの葉の乾燥物を破砕し、メタノールを添加して抽出し、得られた抽出物を濾過し、不溶性成分を除去した濾液を凍結乾燥することにより得たものである。
【0041】
2.キサンチンオキシダーゼ阻害活性の測定
前記1.の各抽出物を水と混合し、得られた混合液(抽出物40μg/mL)とキサンチンオキシダーゼ(0.04U/mL)(商品名キサンチンオキシダーゼ、オリエンタル酵母社製)とを50μLずつ混合し、25℃で15分間インキュベートした。その後、キサンチン(0.4mM)(商品名キサンチン、和光純薬工業社製)を100μL添加し、25℃で15分間インキュベートし、マイクロプレートリーダー(Infinite M200 Pro、テカン社製)を用いて紫外吸収測定(295nm)を行った。なお、前記抽出物に代えて同量の水を用いた以外は同様にしてインキュベートしたものを対照とした。(n=3)
【0042】
キサンチンオキシダーゼ阻害率は次のようにして算出した。
キサンチンオキシダーゼ阻害率(%)=(1-A/B)×100
A=抽出物の添加試験区の吸光度
B=水(対照、抽出物の非添加)の添加試験区の吸光度
【0043】
3.結果
結果を表1に示す。
【0044】
【表1】
【0045】
表1から明らかなように、いずれの植物の抽出物においてもキサンチンオキシダーゼ活性を阻害できた。
【0046】
これにより、ヌルデ、ボタン、アオバノキ、キンマの各加工物によれば、キサンチンオキシダーゼの活性を阻害できることが分かった。このことから、該加工物は、キサンチンオキシダーゼ活性により促進される尿酸生成の抑制、キサンチンオキシダーゼの活性や尿酸生成に起因する疾患の予防または改善に利用できることが確認された。