(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-14
(45)【発行日】2022-03-23
(54)【発明の名称】光学デバイスの製造方法
(51)【国際特許分類】
G02F 1/1333 20060101AFI20220315BHJP
G02F 1/13 20060101ALN20220315BHJP
【FI】
G02F1/1333
G02F1/13 101
(21)【出願番号】P 2020548714
(86)(22)【出願日】2019-05-16
(86)【国際出願番号】 KR2019005875
(87)【国際公開番号】W WO2019221529
(87)【国際公開日】2019-11-21
【審査請求日】2020-09-23
(31)【優先権主張番号】10-2018-0056286
(32)【優先日】2018-05-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ムン、イン ジュ
(72)【発明者】
【氏名】ソ、クム スク
(72)【発明者】
【氏名】リー、ボム ジン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン、ビョン クン
(72)【発明者】
【氏名】リー、セオン ミン
【審査官】井亀 諭
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-014901(JP,A)
【文献】特開2014-219508(JP,A)
【文献】特開2017-083595(JP,A)
【文献】特開平06-018856(JP,A)
【文献】特開昭59-105614(JP,A)
【文献】特開2010-135802(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/1333
G02F 1/13
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
曲面基板である第1外郭基板;
前記第1外郭基板と対向配置されている第2外郭基板;
前記第1外郭基板及び第2外郭基板の間でカプセル化剤によりカプセル化された能動液晶素子又は偏光子
を含む
光学デバイスの製造方法であって、
前記第1外郭基板を吸引(suction)又は加圧して平面状態で維持する第1ステップ;及び
前記平面状態で維持された第1外郭基板の一面に
前記カプセル化剤を
介して前記能動液晶素子又は偏光子を付着する第2ステップ
を含む、
光学デバイスの製造方法。
【請求項2】
能動液晶素子又は偏光子が付着された曲面基板の吸引又は加圧状態を解除して第1外郭基板を曲面状態に戻す第3ステップ;及び
前記第1外郭基板の一面に付着された能動液晶素子又は偏光子の上部にカプセル化剤を通じて第2外郭基板を付着する第4ステップ
を含む、
請求項1に記載の光学デバイスの製造方法。
【請求項3】
第4ステップは、第1外郭基板を曲率を有する曲面上に位置させた状態で行う、
請求項2に記載の光学デバイスの製造方法。
【請求項4】
第1外郭基板の曲率と曲面の曲率の差が10%以下である、
請求項3に記載の光学デバイスの製造方法。
【請求項5】
第1外郭基板及び第2外郭基板の曲率の差が10%以内である、
請求項1から4のいずれか1項に記載の光学デバイスの製造方法。
【請求項6】
第1外郭基板及び第2外郭基板は、ガラス基板である、
請求項1から5のいずれか1項に記載の光学デバイスの製造方法。
【請求項7】
第2外郭基板は、曲面基板である、
請求項1から6のいずれか1項に記載の光学デバイスの製造方法。
【請求項8】
第1外郭基板及び第2外郭基板の曲率は、互いに相異なっている、
請求項1から7のいずれか1項に記載の光学デバイスの製造方法。
【請求項9】
第1外郭基板及び第2外郭基板のうち曲率が大きい基板の曲率半径が100R~10,000Rの範囲内である、
請求項7または8に記載の光学デバイスの製造方法。
【請求項10】
光学デバイスで第1外郭基板及び第2外郭基板の曲率中心は、第1外郭基板及び第2外郭基板の上部又は下部中で同じ部分に存在する、
請求項7から9のいずれか1項に記載の光学デバイスの製造方法。
【請求項11】
能動液晶素子は、
液晶ホストと二色性染料ゲストを含み、
第1配向状態と第2配向状態の間をスイッチングすることができる能動液晶層を有する、
請求項1から10のいずれか1項に記載の光学デバイスの製造方法。
【請求項12】
光学デバイスで能動液晶素子及び偏光子が第1外郭基板及び第2外郭基板の間でカプセル化されている、
請求項1から11のいずれか1項に記載の光学デバイスの製造方法。
【請求項13】
光学デバイスで能動液晶素子及び偏光子は、外郭基板と能動液晶素子の間、能動液晶素子と偏光子の間、偏光子と外郭基板の間及び能動液晶素子と偏光子の側面に存在する接着フィルムでカプセル化されている、
請求項12に記載の光学デバイスの製造方法。
【請求項14】
接着フィルムは、熱可塑性ポリウレタン接着フィルム、ポリアミド接着フィルム、アクリル接着フィルム、ポリエステル接着フィルム、EVA(Ethylene Vinyl Acetate)接着フィルム、ポリオレフィン接着フィルム又は熱可塑性澱粉(TPS:Thermoplastic Starch)である、
請求項13に記載の光学デバイスの製造方法。
【請求項15】
第1ステップの吸引工程で、曲面基板の凸部が形成された面の反対側面が吸引される、
請求項1から
14のいずれか1項に記載の光学デバイスの製造方法。
【請求項16】
第1ステップの吸引は、-760mmHg以下の圧力で行う、
請求項1から15のいずれか1項に記載の光学デバイスの製造方法。
【請求項17】
第1ステップの加圧は、0.6Kg/cm
2~1.2Kg/cm
2の範囲内の圧力で行う、
請求項1から16のいずれか1項に記載の光学デバイスの製造方法。
【請求項18】
第1ステップの加圧は、
曲面基板の凸部が形成された面上にフレキシブルフィルムを配置し、
前記フレキシブルフィルムを加圧ロールで加圧して行う、
請求項1から17のいずれか1項に記載の光学デバイスの製造方法。
【請求項19】
第1ステップで加圧及び吸引を同時に行って曲面基板の平面状態を維持する、
請求項1から18のいずれか1項に記載の光学デバイスの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願との相互引用
本出願は、2018年05月17日に提出された大韓民国特許出願第10-2018-0056286号に基づく優先権の利益を主張し、該当韓国特許出願の文献に開示されたすべての内容は本明細書の一部として組み込まれる。
【0002】
技術分野
本出願は、光学デバイスの製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
液晶化合物を用いて透過率を可変することができるように設計された透過率可変装置は多様に知られている。例えば、ホスト物質(host material)と二色性染料ゲスト(dichroic dye guest)の混合物を適用した、いわゆるGHセル(Guest host cell)を用いた透過率可変装置が知られている。このような透過率可変装置は、サングラスやメガネなどのアイウェア(eyewear)、建物外壁又は車両のサンルーフなどを含んだ多様な用途に適用されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本出願は、光学デバイスの製造方法を提供する。サンルーフなどを含んだ特定用途への適用のために前記透過率可変装置を外郭基板の間でカプセル化することが考慮され得、このようなカプセル化は、通常、接着フィルムを用いたオートクレーブ工程により行われ得る。しかし、用途に応じて、前記外郭基板として曲面形状に形成された基板を用いる場合には、前記カプセル化工程が適切に行われないか、行われても効果的なカプセル化構造が達成されない。例えば、曲面形状の基板が適用された状態でオートクレーブ工程が進行される場合に、カプセル化される装置にウェープ(wave)やしわ(wrinkle)などの不良が発生し、このような不良はデバイスの外観品質を低下させる。したがって、本出願の一つの目的は、カプセル化基板、すなわち、外郭基板として曲面基板が適用される場合にも効率的で且つ安定的に光学デバイスを製造する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本出願で製造される光学デバイスは、透過率の調節が可能な光学デバイスであって、例えば、少なくとも透過モードと遮断モードの間をスイッチングすることができる光学デバイスである。
【0006】
以下、本出願の方法によって製造される光学デバイスに対してまず記述する。
【0007】
前記光学デバイスの透過モードは、光学デバイスが相対的に高い透過率を示す状態であり、遮断モードは、光学デバイスが相対的に低い透過率を示す状態である。
【0008】
一つの例示で、前記光学デバイスは、前記透過モードでの透過率が約30%以上、35%以上、40%以上、45%以上又は約50%以上であってもよい。また、前記光学デバイスは、前記遮断モードでの透過率が約20%以下、15%以下又は約10%以下であってもよい。
【0009】
透過モードでの透過率は数値が高いほど有利であり、遮断モードでの透過率は低いほど有利であるので、それぞれの上限と下限は特に制限されない。一つの例示で、前記透過モードでの透過率の上限は、約100%、95%、90%、85%、80%、75%、70%、65%又は約60%であってもよい。前記遮断モードでの透過率の下限は、約0%、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%又は約10%であってもよい。
【0010】
前記透過率は、直進光透過率であってもよい。用語「直進光透過率」は、所定方向に光学デバイスを入射した光に対して前記入射方向と同一な方向に前記光学デバイスを透過した光(直進光)の割合であってもよい。一つの例示で、前記透過率は、前記光学デバイスの表面法線と平行な方向に入射した光に対して測定した結果(法線光透過率)であってもよい。
【0011】
本出願の光学デバイスで透過率が調節される光は、UV-A領域の紫外線、可視光又は近赤外線であってもよい。一般的に用いられる定義によると、UV-A領域の紫外線は、320nm~380nmの範囲内の波長を有する放射線を意味し、可視光は、380nm~780nmの範囲内の波長を有する放射線を意味し、近赤外線は、780nm~2000nmの範囲内の波長を有する放射線を意味することで用いられる。
【0012】
本出願の方法によって製造される光学デバイスは、少なくとも前記透過モードと遮断モードの間をスイッチングすることができるように設計される。必要な場合に、光学デバイスは、前記透過モード及び遮断モード外に他のモードも具現できるように設計され得る。例えば、前記透過モード及び遮断モードの透過率の間で任意の透過率を示すことができる第3のモードも具現できるように設計され得る。
【0013】
このようなモード間のスイッチングは、光学デバイスが能動液晶素子を含むことで達成され得る。上記で「能動液晶素子」は、少なくとも2個以上の光軸の配向状態、例えば、第1及び第2配向状態の間をスイッチングすることができる液晶素子である。上記で「光軸」は、液晶素子に含まれている液晶化合物が棒(rod)状である場合にはその長軸方向を意味することができ、円盤(discotic)形態である場合には前記円盤平面の法線方向を意味することができる。例えば、液晶素子がいずれかの配向状態で互いに光軸の方向が異なる複数の液晶化合物を含む場合に、液晶素子の光軸は、平均光軸で定義され得、この場合、平均光軸は、前記液晶化合物の光軸のベクトル和を意味することができる。
【0014】
上記のような液晶素子で配向状態は、エネルギーの印加、例えば、電圧の印加により変更できる。例えば、前記液晶素子は、電圧の印加がない状態で前記第1及び第2配向状態のうちいずれか一つの配向状態を有している途中、電圧が印加されると、他の配向状態にスイッチングされ得る。
【0015】
前記第1及び第2配向状態のうちいずれか一つの配向状態で前記遮断モードが具現され、他の配向状態で前記透過モードが具現され得る。便宜上本明細書では、前記第1状態で遮断モードが具現されることで記述する。
【0016】
前記液晶素子は、少なくとも液晶化合物を含む液晶層を含むことができる。一つの例示で、前記液晶層は、いわゆるゲストホスト液晶層であって、液晶化合物と二色性染料ゲストを含む液晶層であってもよい。
【0017】
前記液晶層は、いわゆるゲストホスト効果を用いた液晶層であって、前記液晶化合物(以下、液晶ホストと称する)の配向方向によって前記二色性染料ゲストが整列される液晶層である。前記液晶ホストの配向方向は、上述した外部エネルギーの印加有無によって調節できる。
【0018】
液晶層に用いられる液晶ホストの種類は特に制限されず、ゲストホスト効果の具現のために適用される一般的な種類の液晶化合物が用いられ得る。
【0019】
例えば、前記液晶ホストとしては、スメクチック液晶化合物、ネマチック液晶化合物又はコレステリック液晶化合物が用いられ得る。一般的には、ネマチック液晶化合物が用いられ得る。用語「ネマチック液晶化合物」は、液晶分子の位置に対する規則性はないが、全て分子軸方向に秩序を有して配列できる液晶化合物を意味し、このような液晶化合物は、棒(rod)形態であるか円盤(discotic)形態であってもよい。
【0020】
このようなネマチック液晶化合物は、例えば、約40℃以上、50℃以上、60℃以上、70℃以上、80℃以上、90℃以上、100℃以上又は約110℃以上の透明点(clearing point)を有するか、前記範囲の相転移点、すなわち、ネマチック相から等方相への相転移点を有するものが選択され得る。一つの例示で、前記透明点又は相転移点は、約160℃以下、150℃以下又は約140℃以下であってもよい。
【0021】
前記液晶化合物は、誘電率異方性が負数又は陽数であってもよい。前記誘電率異方性の絶対値は、目的を考慮して適切に選択され得る。例えば、前記誘電率異方性は、約3超過又は約7超過であるか、約-2未満又は約-3未満であってもよい。
【0022】
また、液晶化合物は、約0.01以上又は約0.04以上の光学異方性(△n)を有することができる。液晶化合物の光学異方性は、他の例示で、約0.3以下又は約0.27以下であってもよい。
【0023】
ゲストホスト液晶層の液晶ホストで用いられる液晶化合物は、本技術分野の専門家に公知されており、それから自由に選択され得る。
【0024】
液晶層は、前記液晶ホストと共に二色性染料ゲストを含む。用語「染料」は、可視光領域、例えば、380nm~780nmの波長範囲内で少なくとも一部又は全体範囲内の光を集中的に吸収及び/又は変形させ得る物質を意味することができ、用語「二色性染料ゲスト」は、前記可視光領域の少なくとも一部又は全体範囲で光の吸収が可能な物質を意味することができる。
【0025】
二色性染料ゲストとしては、例えば、液晶ホストの整列状態によって整列され得る特性を有すると知られた公知の染料を選択して用いることができる。例えば、二色性染料ゲストとしては、アゾ染料又はアントラキノン染料などを用いることができ、広い波長範囲での光吸収を達成するために液晶層は1種又は2種以上の染料を含んでもよい。
【0026】
二色性染料ゲストの二色比(dichroic ratio)は、二色性染料ゲストの使用目的を考慮して適切に選択され得る。例えば、前記二色性染料ゲストは、二色比が約5以上~約20以下であってもよい。用語「二色比」は、例えば、p型染料である場合、染料の長軸方向に平行な偏光の吸収を前記長軸方向に垂直する方向に平行な偏光の吸収で分けた値を意味することができる。二色性染料は、可視光領域の波長範囲内、例えば、約380nm~約780nm又は約400nm~約700nmの波長範囲内で少なくともいずれか一つの波長、一部範囲の波長又は全範囲の波長で前記二色比を有することができる。
【0027】
液晶層内での二色性染料ゲストの含量は、二色性染料ゲストの使用目的を考慮して適切に選択され得る。例えば、液晶ホストと二色性染料ゲストの合計重量を基準で前記二色性染料の含量は、0.1~10重量%の範囲内で選択され得る。二色性染料の割合は、目的とする透過率と液晶ホストに対する二色性染料ゲストの溶解度などを考慮して変更することができる。
【0028】
液晶層は、前記液晶ホストと二色性染料ゲストを基本的に含み、必要な場合に、他の任意の添加剤を公知の形態によって追加で含むことができる。添加剤の例としては、キラルドーパント又は安定化剤などが例示できるが、これに制限されるものではない。
【0029】
前記液晶層は、約0.5以上の異方性度(R)を有することができる。前記異方性度(R)は、液晶ホストの配向方向(alignment direction)に平行に偏光された光線の吸光度(E(p))及び液晶ホストの配向方向に垂直に偏光された光線の吸光度(E(s))から下記数学式によって測定する。
【0030】
<異方性度の数式>
異方性度(R)=[E(p)-E(s)]/[E(p)+2*E(s)]
【0031】
上記で用いられる基準は、液晶層内に染料を含まない他の同一な装置である。
【0032】
具体的に、異方性度(R)は、染料分子が水平配向された液晶層の吸光度に対する値(E(p))及び染料分子が垂直配向された同一な液晶層の吸光度に対する値(E(s))から測定され得る。前記吸光度は、染料を全然含まないがその外には同一な構成を有する液晶層と比較して測定する。このような測定は、振動面が一つである場合には、配向方向と平行な方向に振動(E(p))し、後続測定では配向方向と垂直である方向に振動(E(s))する偏光された光線を用いて行われ得る。液晶層は、測定途中にスイッチングされるか回転されず、したがって、前記E(p)及びE(s)の測定は、偏光された入射光の振動面を回転させることで行われ得る。
【0033】
詳細な手続きの一つの例示は、下記に記述された通りである。E(p)及びE(s)の測定のためのスペクトラムは、パーキンエルマーラムダ1050UV分光計(Perkin Elmer Lambda 1050 UV spectrometer)などのような分光計を用いて記録できる。分光計には、測定用ビーム及び基準ビームの両方に250nm~2500nmの波長範囲用のグラントムソン偏光子(Glan-Thompson polariser)が装着されている。2個の偏光子はステッピングモーター(stepping motor)により制御され、同一な方向に配向される。偏光子の偏光子方向における変化、例えば、0度~90度の転換は、測定用ビーム及び基準ビームに対していつも同期的に及び同一な方向に行われる。個別偏光子の配向は、ヴュルツブルク大学(University of Wurzburg)のティー.カーステンス(T.Karstens)の1973年の学位論文に記述されている方法を用いて測定できる。
【0034】
この方法で、偏光子は、配向された二色性サンプルに対して5度ずつ段階的に回転され、吸光度は、例えば、最大吸収領域で固定された波長で記録される。それぞれの偏光子位置に対して新しい基準線零点(zero line)が実行される。2個の二色性スペクトラムE(p)及びE(s)の測定のために、JSR社のポリイミドAL-1054でコーティングされた逆平行-ラビングされたテストセルは、測定用ビーム及び基準ビームの両方内に位置される。2個のテストセルは、同一な層厚さで選択され得る。純粋なホスト(液晶化合物)を含むテストセルは、基準ビーム内に位置される。液晶中に染料の溶液を含有するテストセルは、測定用ビーム内に位置される。測定用ビーム及び基準ビームに対する2個のテストセルは、同一な配向方向で音波経路(ray path)内に設置される。分光計の最大に可能な精密度を保障するために、E(p)は必ずそれの最大吸収波長範囲、例えば、約0.5~約1.5の波長範囲内にあってもよい。これは、約30%~約5%の透過度に相応する。これは、層厚さ及び/又は染料濃度を相応に調整することで設定される。
【0035】
異方性度(R)は、文献[参照:「Polarized Light in Optics and Spectroscopy」、D.S.Kliger et al.、Academic Press、1990]に示したような前記数学式によってE(p)及びE(s)に対する測定値から計算され得る。
【0036】
前記異方性度(R)は、他の例示で、約0.55以上、0.6以上又は0.65以上であってもよい。前記異方性度(R)は、例えば、約0.9以下、0.85以下、0.8以下、0.75以下又は約0.7以下であってもよい。
【0037】
このような異方性度(R)は、液晶層の種類、例えば、液晶化合物(ホスト)の種類、二色性染料ゲストの種類及び割合、液晶層の厚さなどを制御して達成できる。
【0038】
前記範囲内の異方性度(R)を通じて、一層低エネルギーを用いると共に透過モードと遮断モードでの透過率の差が大きくなってコントラストの割合が高くなる光学デバイスの提供が可能である。
【0039】
前記液晶層の厚さは、目的、例えば、目的とする異方性度などを考慮して適切に選択され得る。一つの例示で、前記液晶層の厚さは、約0.01μm以上、0.05μm以上、0.1μm以上、0.5μm以上、1μm以上、1.5μm以上、2μm以上、2.5μm以上、3μm以上、3.5μm以上、4μm以上、4.5μm以上、5μm以上、5.5μm以上、6μm以上、6.5μm以上、7μm以上、7.5μm以上、8μm以上、8.5μm以上、9μm以上又は約9.5μm以上であってもよい。このように厚さを制御することで、透過モードでの透過率と遮断モードでの透過率の差が大きい光学デバイス、すなわち、コントラストの割合が大きいデバイスを具現することができる。前記厚さは、厚いほど高いコントラスト割合の具現が可能なので特に制限されるものではないが、一般的に、約30μm以下、25μm以下、20μm以下又は約15μm以下であってもよい。
【0040】
前記第1及び第2配向状態は、一つの例示で、それぞれ水平配向、垂直配向、ツイストネマチック配向又はコレステリック配向状態で選択され得る。例えば、遮断モードで液晶素子又は液晶層は、少なくとも水平配向、ツイストネマチック配向又はコレステリック配向であり、透過モードで液晶素子又は液晶層は、垂直配向又は前記遮断モードの水平配向とは異なる方向の光軸を有する水平配向状態であってもよい。液晶素子は、電圧無印加状態で前記遮断モードが具現される通常遮断モード(Normally Black Mode)の素子であるか、電圧無印加状態で前記透過モードが具現される通常透過モード(Normally Transparent Mode)を具現することができる。
【0041】
液晶層の配向状態で該当液晶層の光軸がどの方向に形成されているかを確認する方式は公知されている。例えば、液晶層の光軸の方向は、光軸方向を知っている他の偏光板を用いて測定することができ、これは公知の測定器機、例えば、Jasco社のP-2000などのpolarimeterを用いて測定することができる。
【0042】
液晶ホストの誘電率異方性又は液晶ホストを配向させる配向膜の配向方向などを調節して上記のような通常透過モード又は遮断モードの液晶素子を具現する方式は公知されている。
【0043】
前記液晶素子は、対向配置されている2枚の基材フィルムと前記2枚の基材フィルムの間に存在する前記能動液晶層を含むことができる。
【0044】
また、前記液晶素子は、前記2枚の基材フィルムの間で前記2枚の基材フィルムの間隔を維持するスペーサ及び/又は対向配置された2枚の基材フィルムの間隔が維持された状態で前記基材フィルムを付着しているシーラントを追加で含むことができる。前記スペーサ及び/又はシーラントとしては、特な制限なしに公知の素材が用いられ得る。
【0045】
基材フィルムとしては、例えば、ガラスなどからなる無機フィルム又はプラスチックフィルムが用いられ得る。
【0046】
プラスチックフィルムとしては、TAC(triacetyl cellulose)フィルム;ノルボルネン誘導体などのCOP(cyclo olefin copolymer)フィルム;PMMA(poly(methyl methacrylate)などのアクリルフィルム;PC(polycarbonate)フィルム;PE(polyethylene)フィルム;PP(polypropylene)フィルム;PVA(polyvinyl alcohol)フィルム;DAC(diacetyl cellulose)フィルム;Pac(Polyacrylate)フィルム;PES(poly ether sulfone)フィルム;PEEK(polyetheretherketon)フィルム;PPS(polyphenylsulfone)フィルム;PEI(polyetherimide)フィルム;PEN(polyethylenenaphthatlate)フィルム;PET(polyethyleneterephtalate)フィルム;PI(polyimide)フィルム;PSF(polysulfone)フィルム;PAR(polyarylate)フィルム;又はフッ素樹脂フィルムなどが用いられ得るが、これに制限されるものではない。基材フィルムには、必要に応じて、金;銀;又は二酸化ケイ素又は一酸化ケイ素などのケイ素化合物のコーティング層や、反射防止層などの機能層が存在してもよい。
【0047】
基材フィルムとしては、所定範囲の位相差を有するフィルムが用いられ得る。一つの例示で、前記基材フィルムは、正面位相差が約100nm以下であってもよい。前記正面位相差は、他の例示で、約95nm以下、90nm以下、85nm以下、80nm以下、75nm以下、70nm以下、65nm以下、60nm以下、55nm以下、50nm以下、45nm以下、40nm以下、35nm以下、30nm以下、25nm以下、20nm以下、15nm以下、10nm以下、5nm以下、4nm以下、3nm以下、2nm以下、1nm以下又は約0.5nm以下であってもよい。前記正面位相差は、他の例示で、約0nm以上、1nm以上、2nm以上、3nm以上、4nm以上、5nm以上、6nm以上、7nm以上、8nm以上、9nm以上又は約9.5nm以上であってもよい。
【0048】
基材フィルムの厚さ方向の位相差の絶対値は、例えば、約200nm以下であってもよい。前記厚さ方向の位相差の絶対値は、他の例示で、約190nm以下、180nm以下、170nm以下、160nm以下、150nm以下、140nm以下、130nm以下、120nm以下、110nm以下、100nm以下、90nm以下、85nm以下、80nm以下、70nm以下、60nm以下、50nm以下、40nm以下、30nm以下、20nm以下、10nm以下、5nm以下、4nm以下、3nm以下、2nm以下、1nm以下又は0.5nm以下であってもよく、0nm以上、10nm以上、20nm以上、30nm以上、40nm以上、50nm以上、60nm以上、70nm以上又は約75nm以上であってもよい。前記厚さ方向の位相差は、絶対値が前記範囲内であれば、負数であるか、陽数であってもよく、例えば、負数であってもよい。
【0049】
本明細書で正面位相差(Rin)は、下記数式1で計算される数値であり、厚さ方向の位相差(Rth)は、下記数式2で計算される数値であり、特に異に規定しない限り、前記正面及び厚さ方向の位相差の基準波長は、約550nmである。
【0050】
[数式1]
正面位相差(Rin) = d × (nx - ny)
【0051】
[数式2]
厚さ方向の位相差(Rth) = d × (nz- ny)
【0052】
数式1及び2で、dは、基材フィルムの厚さであり、nxは、基材フィルムの遅相軸方向の屈折率であり、nyは、基材フィルムの進相軸方向の屈折率であり、nzは、基材フィルムの厚さ方向の屈折率である。
【0053】
基材フィルムが光学異方性である場合に対向配置されている基材フィルムの遅相軸が成す角度は、例えば、約-10度~約10度の範囲内、約-7度~約7度の範囲内、約-5度~約5度の範囲内又は約-3度~約3度の範囲内であるか、大略平行であってもよい。
【0054】
また、前記基材フィルムの遅相軸と後述する偏光子の光吸収軸が成す角度は、例えば、約-10度~約10度の範囲内、約-7度~約7度の範囲内、約-5度~約5度の範囲内又は約-3度~約3度の範囲内であるか、大略平行であってもよく、あるいは約80度~約100度の範囲内、約83度~約97度の範囲内、約85度~約95度の範囲内又は約87度~約92度の範囲内であるか、大略垂直であってもよい。
【0055】
上記のような位相差の調節又は遅相軸の配置を通じて光学的に優れて均一な透過モード及び遮断モードの具現が可能である。
【0056】
基材フィルムは、熱膨脹係数が100ppm/K以下であってもよい。前記熱膨脹係数は、他の例示で、約95ppm/K以下、90ppm/K以下、85ppm/K以下、80ppm/K以下、75ppm/K以下、70ppm/K以下又は約65ppm/K以下であるか、10ppm/K以上、20ppm/K以上、30ppm/K以上、40ppm/K以上、50ppm/K以上又は約55ppm/K以上であってもよい。基材フィルムの熱膨脹係数は、例えば、ASTM D696の規定によって測定でき、該当規格で提供する形態でフィルムを裁断し、単位温度当たり長さの変化を測定して熱膨脹係数を計算することができ、TMA(ThermoMechanic Analysis)などの公知の方式で測定できる。
【0057】
基材フィルムとしては、破断伸率が約90%以上である基材フィルムを用いることができる。前記破断伸率は、約95%以上、100%以上、105%以上、110%以上、115%以上、120%以上、125%以上、130%以上、135%以上、140%以上、145%以上、150%以上、155%以上、160%以上、165%以上、170%以上又は約175%以上であってもよく、約1,000%以下、900%以下、800%以下、700%以下、600%以下、500%以下、400%以下、300%以下又は約200%以下であってもよい。基材フィルムの破断伸率は、ASTM D882規格によって測定でき、該当規格で提供する形態でフィルムを裁断し、Stress-Strain curveを測定することができる装備(力と長さを同時に測定できる)を用いて測定することができる。
【0058】
基材フィルムが上記のような熱膨脹係数及び/又は破断伸率を有するように選択されることで、一層優れた耐久性の光学デバイスが提供され得る。
【0059】
上記のような基材フィルムの厚さは特に制限されず、例えば、約50μm~約200μm程度の範囲内であってもよい。
【0060】
液晶素子で前記基材フィルムの一面、例えば、前記能動液晶層に向ける面上には導電層及び/又は配向膜が存在してもよい。
【0061】
基材フィルムの面上に存在する導電層は、能動液晶層に電圧を印加するための構成であって、特な制限なしに公知の導電層が適用され得る。導電層としては、例えば、伝導性高分子、伝導性金属、伝導性ナノワイヤ又はITO(Indium Tin Oxide)などの金属酸化物などが適用され得る。本出願で適用できる導電層の例は、上記に制限されず、この分野で液晶素子に適用できるものと知られた全ての種類の導電層が用いられ得る。
【0062】
一つの例示で、前記基材フィルムの面上には、配向膜が存在する。例えば、基材フィルムの一面にまず導電層が形成され、その上部に配向膜が形成され得る。
【0063】
配向膜は、能動液晶層に含まれる液晶ホストの配向を制御するための構成であり、特な制限なしに公知の配向膜を適用することができる。業界で公知された配向膜としては、ラビング配向膜や光配向膜などがあり、本出願で用いられる配向膜は、前記公知の配向膜であり、これは特に制限されない。
【0064】
上述した光軸の配向を達成するために前記配向膜の配向方向が制御され得る。例えば、対向配置されている2枚の基材フィルムの各面に形成された2個の配向膜の配向方向は、互いに約-10度~約10度の範囲内の角度、約-7度~約7度の範囲内の角度、約-5度~約5度の範囲内の角度又は約-3度~約3度の範囲内の角度を成すか、互いに大略平行であってもよい。他の例示で、前記2個配向膜の配向方向は、約80度~約100度の範囲内の角度、約83度~約97度の範囲内の角度、約85度~約95度の範囲の角度内又は約87度~約92度の範囲内の角度を成すか、互いに大略垂直であってもよい。
【0065】
このような配向方向によって能動液晶層の光軸の方向が決定されるので、前記配向方向は能動液晶層の光軸の方向を確認して確認できる。
【0066】
上記のような構成を有する液晶素子の形態は特に制限されず、光学デバイスの適用用途によって決まることができ、一般的にはフィルム又はシート形態である。
【0067】
一つの例示で、前記液晶素子は、折れた形態を有することができる。例えば、断面の観察時に前記能動液晶素子は、曲率(=1/曲率半径)が0~0.01の範囲内である第1ライン;前記第1ラインの末端の折り曲げ領域及び前記折り曲げ領域に連結されている第2ラインを含む断面を有することができる。すなわち、前記能動液晶素子は、前記折り曲げ領域で折り曲げられた形態で光学デバイスに含まれていてもよい。前記曲率は、他の例示で、約0.009以下、0.008以下、0.007以下、0.006以下、0.005以下、0.004以下、0.003以下、0.002以下、0.001以下、0.0009以下、0.0008以下、0.0007以下、0.0006以下、0.0005以下、0.0004以下、0.0003以下、0.0002以下、0.0001以下、0.00009以下、0.00008以下、0.00007以下、0.00006以下又は約0.00005以下であってもよい。
【0068】
後述するように本出願の光学デバイスは、2枚の外郭基板の内部に前記能動液晶素子及び/又は後述する偏光子を位置させ、それぞれの界面に接着フィルムを位置させた状態で真空圧着して製造された構造を有することができる。
【0069】
このような光学デバイスが高温、高湿条件などに露出される場合、あるいは前記工程過程で液晶素子の基材フィルムとそれに圧着される接着フィルムの熱膨脹係数の差などにより液晶素子にしわなどの欠点(defect)が形成され、このような欠点が光学デバイスの性能に悪い影響を与えることができる。
【0070】
さて、本出願では、前記折り曲げられた構造で能動液晶素子を具現する場合に前記問題点の解決が可能であることを確認した。
【0071】
図1は、前記折り曲げられた構造の能動液晶素子10の断面を模式的に示した図である。
【0072】
図1のように、前記能動液晶素子10の断面は、第1ライン101、折り曲げ領域A及び第2ライン102が連結された形態の断面を有することができる。
【0073】
上記で第1ライン101は、活性領域(active area)、すなわち、実質的に光の透過状態を調節するために光を変調する役目をする領域であってもよい。このような第1ライン101は、平面形成として曲率が0である形態であるか、あるいは凸形態又は凹形態に湾曲された形態であってもよい。
【0074】
図1のように、折り曲げ領域Aを基準で能動液晶素子10は折り曲げられた構造を有し、これによって、第2ライン102が形成される。このとき、第2ライン102が折り曲げられる程度は光学デバイスで能動液晶素子10のしわなどの欠点が発生しない程度に制御されると、特に制限されない。一つの例示で、前記折り曲げられる程度は、前記第1ライン101又は前記第1ライン101の接線Tと前記第2ライン102が成す角度が時計方向又は反時計方向に約0度超過、5度以上、10度以上、15度以上、20度以上、25度以上、30度以上、35度以上、40度以上、45度以上、50度以上、55度以上又は約60度以上程度になるように設定され得る。前記角度は、他の例示で、約180度以下、170度以下、160度以下、150度以下、140度以下、130度以下又は約120度以下程度であってもよい。上記で第2ライン102との角度が測定される接線は、前記第1ライン101を約2等分する地点Dでの接線である。また、前記接線Tに対する角度を測定する第2ラインは、
図1のように、折り曲げ領域Aと第2ライン102が終了される地点を連結するライン1022であってもよい。
【0075】
上記のような形態で、第1ライン101の長さ(L1)と第2ライン102の長さ(L2)の割合(L1/L2)は、約500~約4,000の範囲内であってもよい。上記割合(L1/L2)は、他の例示で、約550以上、600以上、650以上、700以上、800以上、900以上、1000以上、1100以上、1200以上、1500以上、2000以上、2500以上、3000以上又は3500以上であってもよく、3500以下、3000以下、2900以下、2800以下、2700以下、2600以下、2500以下、2400以下、2300以下、2200以下、2100以下、2000以下、1,900以下、1,800以下、1,700以下、1,600以下、1,500以下、1,400以下、1,300以下、1,200以下、1,100以下、1,000以下、900以下又は約800以下であってもよい。
【0076】
上記のような関係で第1ライン101と第2ライン102の絶対的な長さは特に制限されず、目的とする光学デバイスの用途などによって決定され得る。例えば、前記第1ライン101の長さが約100~約1,000mm程度になるように調節され得る。前記第1ライン101の長さは、他の例示で、約150mm以上、200mm以上又は約250mm以上であってもよい。前記第1ライン101の長さは、他の例示で、約900mm以下、800mm以下、700mm以下、600mm以下又は約500mm以下であってもよい。
【0077】
上記のような折り曲げられた構造は、液晶素子の断面で両末端に全て形成されていてもよい。したがって、
図1のように、能動液晶素子の断面で前記第1ライン101の両末端に前記折り曲げ領域Aと第2ライン102が形成されていてもよい。
【0078】
上記のような構造で第2ラインが追加で折り曲げられていることがあり、例えば、
図2のように、第2ライン102上には第2折り曲げ領域AAが存在し、前記折り曲げ領域AAで前記第2ライン102が追加的に折り曲げられた形態の断面が具現され得る。
【0079】
この場合、追加的に形成される第2折り曲げ領域AAの形成位置などは特に制限されず、例えば、前記第1ライン101と第2ライン102の連結部に形成される折り曲げ領域Aから前記第2ライン102上に形成される第2折り曲げ領域AAまでの距離が上述した割合(L1/L2)を満足するL2になるように前記位置が調節され得る。
【0080】
上記のような断面が観察される液晶素子の断面は、前記液晶素子を任意の側面から観察したときに観察される断面である。すなわち、液晶素子の側面のうちいずれか一つの側面でも前記断面が観察されるとよい。
【0081】
一つの例示で、前記折り曲げられた構造が観察される断面は、液晶素子の長軸又は短軸を含んで形成される法平面上の断面であってもよい。上記で長軸は、例えば、能動液晶素子10を上部から観察する場合に、
図3のように、直四角形の形態である場合には、横及び縦のうち長い側LAであり、短軸は、短い側SAであってもよい。
【0082】
例えば、
図3のような構造の能動液晶素子10で点線で表示された部分を折り曲げて前記断面構造を具現することができる。
【0083】
前記液晶素子が正四角形の形態である場合には、横軸及び縦軸のうち任意にいずれか一つが長軸と見なされ、他の一つは短軸と見なされ得る。
【0084】
また、四角形態ではない他の形態の場合には、例えば、楕円形、円形又は無定形などの場合に、前記液晶素子を上部から観察する場合に折り曲げられた部分により形成されるライン(例えば、
図3で点線ライン)に垂直したラインが短軸または長軸のうちいずれか一つになり、そのラインにまた垂直するラインが短軸及び長軸のうち他の一つになることができる。
【0085】
一つの例示で、
図3に示したように、液晶素子の4面を全て折り曲げて前記断面を形成することができ、このような場合に前記断面は、液晶素子の長軸を含む法平面と短軸を含む法平面の両方から観察され得る。
【0086】
上記のように折り曲げられた構造の液晶素子で、上述したシーラントの位置は特に制限されないが、一般的には、前記折り曲げ領域(
図1及び
図2のA)又は前記折り曲げ領域(
図1及び
図2のA)で第1ライン101に向ける領域で前記2枚の基材フィルムを付着しているシーラントが存在できる。
【0087】
光学デバイスは、前記能動液晶素子とともに偏光子を追加で含む。前記偏光子としては、例えば、吸収型線形偏光子、すなわち、一方向に形成された光吸収軸とそれと大略垂直に形成された光透過軸を有する偏光子を用いることができる。
【0088】
前記偏光子は、前記能動液晶層の第1配向状態で前記遮断状態が具現されると仮定する場合に、前記第1配向状態の平均光軸(光軸のベクトル和)と前記偏光子の光吸収軸が成す角度が約80度~約100度又は約85度~約95度を成すか、大略垂直になるように光学デバイスに配置されているか、あるいは約35度~約55度又は約40度~約50度になるか、大略約45度になるように光学デバイスに配置されていてもよい。
【0089】
配向膜の配向方向を基準とするときに、上述したように対向配置された液晶素子の2枚の基材フィルムの各面上に形成された配向膜の配向方向が互いに約-10度~約10度の範囲内の角度、約-7度~約7度の範囲内の角度、約-5度~約5度の範囲内の角度又は約-3度~約3度の範囲内の角度を成すか、互いに大略平行な場合に、前記2個の配向膜のうちいずれか一つの配向膜の配向方向と前記偏光子の光吸収軸が成す角度が約80度~約100度又は約85度~約95度を成すか、大略垂直になってもよい。
【0090】
他の例示で、前記2個の配向膜の配向方向が約80度~約100度の範囲内の角度、約83度~約97度の範囲内の角度、約85度~約95度の範囲の角度内又は約87度~約92度の範囲内の角度を成すか、互いに大略垂直である場合には、2枚の配向膜のうち前記偏光子により近く配置された配向膜の配向方向と前記偏光子の光吸収軸が成す角度が約80度~約100度又は約85度~約95度を成すか、大略垂直になってもよい。
【0091】
例えば、
図4に示したように、前記能動液晶素子10と前記偏光子20は、互いに積層された状態で前記能動液晶素子10の第1配向方向の光軸(平均光軸)と前記偏光子20の光吸収軸が前記関係になるように配置され得る。
【0092】
一つの例示で、前記偏光子20が後述する偏光コーティング層である場合には、前記偏光コーティング層が前記液晶素子の内部に存在する構造が具現され得る。例えば、
図5に示したように、前記液晶素子の基材フィルム110のうちいずれか一つの基材フィルム110と能動液晶層120の間に前記偏光コーティング層201が存在する構造が具現され得る。例えば、基材フィルム110上に上述した導電層、前記偏光コーティング層201及び前記配向膜が順次形成されていてもよい。
【0093】
本出願の光学デバイスで適用できる前記偏光子の種類は特に制限されない。例えば、偏光子としては、既存のLCDなどで用いられる通常の素材、例えば、PVA(poly(vinyl alcohol))偏光子などや、リオトロピック液晶(LLC:Lyotropic Liquid Cystal)や、反応性液晶(RM:Reactive Mesogen)と二色性染料(dichroic dye)を含む偏光コーティング層のようにコーティング方式で具現した偏光子を用いることができる。本明細書で上記のようにコーティング方式で具現された偏光子は、偏光コーティング層と呼称され得る。前記リオトロピック液晶としては、特な制限なしに公知の液晶を用いることができ、例えば、二色性比(dichroic ratio)が約30~約40程度であるリオトロピック液晶層を形成することができるリオトロピック液晶を用いることができる。一方、偏光コーティング層が反応性液晶(RM:Reactive Mesogen)と二色性染料(dichroic dye)を含む場合に、前記二色性染料としては、線形の染料を用いるか、あるいはディスコチック染料(discotic dye)が用いられ得る。
【0094】
本出願の光学デバイスは、上記のような能動液晶素子と偏光子をそれぞれ一つずつのみ含むことができる。したがって、前記光学デバイスは、一つの前記能動液晶素子のみを含み、一つの偏光子のみを含むことができる。
【0095】
光学デバイスは、対向配置されている2枚の外郭基板を追加で含むことができる。本明細書では、便宜上前記2枚の外郭基板のうちいずれか一つを第1外郭基板と称し、他の一つを第2外郭基板と称することができるが、前記第1及び第2の表現が外郭基板の先後または上下関係を規定することではない。一つの例示で、前記能動液晶素子とともに含まれる偏光子は、前記2枚の外郭基板の間でカプセル化されていてもよい。このようなカプセル化は、接着フィルムを用いて行われ得る。例えば、
図6に示したように、前記対向配置された2枚の外郭基板30の間に前記能動液晶素子10と偏光子20が存在できる。
【0096】
前記外郭基板としては、例えば、ガラスなどからなる無機基板又はプラスチック基板が用いられ得る。プラスチック基板としては、TAC(triacetyl cellulose)フィルム;ノルボルネン誘導体などのCOP(cyclo olefin copolymer)フィルム;PMMA(poly(methyl methacrylate)などのアクリルフィルム;PC(polycarbonate)フィルム;PE(polyethylene)フィルム;PP(polypropylene)フィルム;PVA(polyvinyl alcohol)フィルム;DAC(diacetyl cellulose)フィルム;Pac(Polyacrylate)フィルム;PES(poly ether sulfone)フィルム;PEEK(polyetheretherketon)フィルム;PPS(polyphenylsulfone)フィルム;PEI(polyetherimide)フィルム;PEN(polyethylenenaphthatlate)フィルム;PET(polyethyleneterephtalate)フィルム;PI(polyimide)フィルム;PSF(polysulfone)フィルム;PAR(polyarylate)フィルム;又はフッ素樹脂フィルムなどが用いられ得るが、これに制限されるものではない。外郭基板には、必要に応じて、金;銀;又は二酸化ケイ素又は一酸化ケイ素などのケイ素化合物のコーティング層や、反射防止層などの機能層が存在してもよい。
【0097】
外郭基板としては、所定範囲の位相差を有する基板が用いられ得る。一つの例示で、前記外郭基板は、正面位相差が約100nm以下であってもよい。前記正面位相差は、他の例示で、約95nm以下、90nm以下、85nm以下、80nm以下、75nm以下、70nm以下、65nm以下、60nm以下、55nm以下、50nm以下、45nm以下、40nm以下、35nm以下、30nm以下、25nm以下、20nm以下、15nm以下、10nm以下、9nm以下、8nm以下、7nm以下、6nm以下、5nm以下、4nm以下、3nm以下、2nm以下又は約1nm以下であってもよい。前記正面位相差は、他の例示で、約0nm以上、1nm以上、2nm以上、3nm以上、4nm以上、5nm以上、6nm以上、7nm以上、8nm以上、9nm以上又は約9.5nm以上であってもよい。
【0098】
外郭基板の厚さ方向の位相差の絶対値は、例えば、約200nm以下であってもよい。前記厚さ方向の位相差の絶対値は、他の例示で、約190nm以下、180nm以下、170nm以下、160nm以下、150nm以下、140nm以下、130nm以下、120nm以下、110nm以下、100nm以下、90nm以下、85nm以下、80nm以下、70nm以下、60nm以下、50nm以下、40nm以下、30nm以下、20nm以下、15nm以下、10nm以下、9nm以下、8nm以下、7nm以下、6nm以下、5nm以下、4nm以下、3nm以下、2nm以下又は約1nm以下であってもよく、約0nm以上、5nm以上、10nm以上、20nm以上、30nm以上、40nm以上、50nm以上、60nm以上、70nm以上又は約75nm以上であってもよい。前記厚さ方向の位相差は、絶対値が前記範囲内であれば、負数であるか、陽数であってもよく、例えば、負数であってもよい。
【0099】
前記外郭基板の正面位相差(Rin)及び厚さ方向の位相差(Rth)は、それぞれ前記数式1及び2で基材フィルムの厚さ(d)、遅相軸方向の屈折率(nx)、進相軸方向の屈折率(ny)及び厚さ方向の屈折率(nz)を、外郭基板の厚さ(d)、遅相軸方向の屈折率(nx)、進相軸方向の屈折率(ny)及び厚さ方向の屈折率(nz)に代替して計算すること以外は、同一に計算できる。
【0100】
外郭基板が光学異方性である場合に、対向配置されている外郭基板の遅相軸が成す角度は、例えば、約-10度~約10度の範囲内、約-7度~約7度の範囲内、約-5度~約5度の範囲内又は約-3度~約3度の範囲内であるか、大略平行であってもよい。
【0101】
また、前記外郭基板の遅相軸と上述した基材フィルムが光学異方性である場合に、その基材フィルムの遅相軸が成す角度は、例えば、約-10度~約10度の範囲内、約-7度~約7度の範囲内、約-5度~約5度の範囲内又は約-3度~約3度の範囲内であるか、大略平行であってもよく、あるいは約80度~約100度の範囲内、約83度~約97度の範囲内、約85度~約95度の範囲内又は約87度~約92度の範囲内であるか、大略垂直であってもよい。
【0102】
上記のような位相差の調節又は遅相軸の配置を通じて光学的に優れて均一な透過及び遮断モードの具現が可能である。
【0103】
外郭基板としては、熱膨脹係数が約100ppm/K以下であるものを用いることができる。前記熱膨脹係数は、他の例示で、約95ppm/K以下、90ppm/K以下、85ppm/K以下、80ppm/K以下、75ppm/K以下、70ppm/K以下、65ppm/K以下、60ppm/K以下、50ppm/K以下、40ppm/K以下、30ppm/K以下、20ppm/K以下又は約15ppm/K以下であるか、約1ppm/K以上、2ppm/K以上、3ppm/K以上、4ppm/K以上、5ppm/K以上、6ppm/K以上、7ppm/K以上、8ppm/K以上、9ppm/K以上又は約10ppm/K以上であってもよい。
【0104】
前記外郭基板の熱膨脹係数及び破断伸率の測定方式は、それぞれ上述した基材フィルムの熱膨脹係数及び破断伸率の測定方式と同一である。
【0105】
外郭基板が上記のような熱膨脹係数及び/又は破断伸率を有するように選択されることで、一層優れた耐久性の光学デバイスが提供され得る。
【0106】
上記のような外郭基板の厚さは特に制限されず、例えば、約0.3mm以上であってもよい。前記厚さは、他の例示で、約0.5mm以上、1mm以上、1.5mm以上又は約2mm以上程度であってもよく、約10mm以下、9mm以下、8mm以下、7mm以下、6mm以下、5mm以下、4mm以下又は約3mm以下程度であってもよい。
【0107】
他の例示で、前記外郭基板が後述する曲面基板であり、後述する吸引又は加圧工程に適用されるものであれば、その厚さは、約1mm以下でありつつ、約0.3mm以上、0.5mm以上又は約0.7mm以上であってもよい。
【0108】
前記外郭基板は、フラット(flat)基板であるか、あるいは曲面形状を有する基板であってもよい。例えば、前記2枚の外郭基板は、同時にフラットな基板であるか、同時に曲面形状を有するか、あるいはいずれか一つはフラットな基板であり、他の一つは曲面形状の基板であってもよい。
【0109】
また、上記で同時に曲面形状を有する場合には、それぞれの曲率又は曲率半径は、同一であるか相異なっていてもよい。
【0110】
本明細書で曲率又は曲率半径は、業界で公知にされた方式で測定でき、例えば、2DProfile Laser Sensor(レーザーセンサー)、Chromatic confocal line sensor(共焦点センサー)又は3D Measuring Conforcal Microscopyなどの非接触式装備を用いて測定することができる。このような装備を用いて曲率又は曲率半径を測定する方式は公知にされている。
【0111】
また、前記基板と関連して、例えば、表面と裏面での曲率又は曲率半径が異なる場合には、それぞれ対向する面の曲率又は曲率半径、すなわち、第1外郭基板の場合、第2外郭基板と対向する面の曲率又は曲率半径と、第2外郭基板の場合、第1外郭基板と対向する面の曲率又は曲率半径が基準になる。また、該当面での曲率又は曲率半径が一定ではなく、相異なっている部分が存在する場合には、最大の曲率又は曲率半径又は最小の曲率又は曲率半径又は平均曲率又は平均曲率半径が基準になる。
【0112】
前記基板は、両方が曲率又は曲率半径の差が約10%以内、9%以内、8%以内、7%以内、6%以内、5%以内、4%以内、3%以内、2%以内又は約1%以内であってもよい。前記曲率又は曲率半径の差は、大きい曲率又は曲率半径をCLとし、小さい曲率又は曲率半径をCSとするときに、100×(CL-CS)/CSで計算される数値である。また、前記曲率又は曲率半径の差の下限は特に制限されない。2枚の外郭基板の曲率又は曲率半径の差は同一であるため、前記曲率又は曲率半径の差は、約0%以上であるか、約0%超過であってもよい。
【0113】
上記のような曲率又は曲率半径の制御は、本出願の光学デバイスのように能動液晶素子及び/又は偏光子が接着フィルムにカプセル化された構造において有用である。
【0114】
第1及び第2外郭基板が全て曲面である場合に、両方の曲率は同一符号であってもよい。言い換えれば、前記2個の外郭基板は、全て同一な方向に屈曲されていてもよい。すなわち、前記場合は、第1外郭基板の曲率中心と第2外郭基板の曲率中心が全て第1及び第2外郭基板の上部及び下部のうち同じ部分に存在する場合である。
【0115】
図7は、第1及び第2外郭基板30の間に能動液晶素子などを含むカプセル化部位400が存在する側面例示であり、この場合は、第1及び第2外郭基板30の曲率中心はいずれも図面で下部に存在する場合である。
【0116】
第1及び第2外郭基板のそれぞれの曲率又は曲率半径の具体的な範囲は特に制限されない。一つの例示で、前記それぞれの基板の曲率半径は、約100R以上、200R以上、300R以上、400R以上、500R以上、600R以上、700R以上、800R以上又は約900R以上であるか、約10,000R以下、9,000R以下、8,000R以下、7,000R以下、6,000R以下、5,000R以下、4,000R以下、3,000R以下、2,000R以下、1,900R以下、1,800R以下、1,700R以下、1,600R以下、1,500R以下、1,400R以下、1,300R以下、1,200R以下、1,100R以下又は約1,050R以下であってもよい。上記でRは、半径が1mmである円の曲がれた程度を意味する。したがって、上記で、例えば、100Rは、半径が100mmである円の曲がれた程度又はそのような円に対する曲率半径である。もちろん基板がフラットな場合に曲率は0であり、曲率半径は無限大である。
【0117】
第1及び第2外郭基板は、前記範囲で同一であるか相異なっている曲率半径を有することができる。一つの例示で、第1及び第2外郭基板の曲率が互いに異なる場合に、そのうち曲率が大きい基板の曲率半径が前記範囲内であってもよい。
【0118】
一つの例示で、第1及び第2外郭基板の曲率が互いに異なる場合には、そのうち曲率が大きい基板が光学デバイスの使用時により重力方向に配置される基板であってもよい。
【0119】
すなわち、前記カプセル化のためには、後述するように接着フィルムを用いたオートクレーブ(Autoclave)工程が行われ得、この過程では、通常高温及び高圧が適用される。しかし、このようなオートクレーブ工程後にカプセル化に適用された接着フィルムが高温で長期間保管されるなどの一部場合には、一部の再融解などが起きて外郭基板の割れ問題が発生できる。このような現象が起きるようになれば、カプセル化された能動液晶素子及び/又は偏光子に力が作用して内部に気泡が形成され得る。
【0120】
しかし、基板間の曲率又は曲率半径を上のように制御すると、接着フィルムによる合着力が劣るようになっても復元力と重力の合力であるネット力が作用して割れを阻むことができ、オートクレーブのような工程圧力にもよく耐えられる。
【0121】
光学デバイスは、前記能動液晶素子及び/又は偏光子を前記外郭基板内でカプセル化している接着フィルムを追加で含むことができる。このような接着フィルム40は、例えば、
図8に示したように、外郭基板30と能動液晶素子10の間、能動液晶素子10と偏光子20の間及び/又は偏光子20と外郭基板30の間に存在することができ、前記能動液晶素子10と偏光子20の側面、適切には、全ての側面に存在することができる。
【0122】
接着フィルムは、前記外郭基板30と能動液晶素子10、能動液晶素子10と偏光子20及び偏光子20と外郭基板30を互いに接着させると共に、前記能動液晶素子10と偏光子20をカプセル化していてもよい。
【0123】
例えば、目的とする構造によって外郭基板、能動液晶素子、偏光子及び接着フィルムを積層した後に真空状態で圧着する方式で前記構造を具現することができる。
【0124】
前記接着フィルムとしては、特な制限なしに公知の素材が用いられ得、例えば、公知された熱可塑性ポリウレタン接着フィルム(TPU:Thermoplastic Polyurethane)、TPS(Thermoplastic Starch)、ポリアミド接着フィルム、アクリル系接着フィルム、ポリエステル接着フィルム、EVA(Ethylene Vinyl Acetate)接着フィルム、ポリエチレン又はポリプロピレンなどのポリオレフィン接着フィルム又はポリオレフィンエラストマーフィルム(POEフィルム)などのうち後述する物性を満足するものが選択され得る。
【0125】
接着フィルムとしては、所定範囲の位相差を有するフィルムが用いられ得る。一つの例示で、前記接着フィルムは、正面位相差が約100nm以下であってもよい。前記正面位相差は、他の例示で、約95nm以下、90nm以下、85nm以下、80nm以下、75nm以下、70nm以下、65nm以下、60nm以下、55nm以下、50nm以下、45nm以下、40nm以下、35nm以下、30nm以下、25nm以下、20nm以下、15nm以下、10nm以下、9nm以下、8nm以下、7nm以下、6nm以下、5nm以下、4nm以下、3nm以下、2nm以下又は約1nm以下であってもよい。前記正面位相差は、他の例示で、約0nm以上、1nm以上、2nm以上、3nm以上、4nm以上、5nm以上、6nm以上、7nm以上、8nm以上、9nm以上又は約9.5nm以上であってもよい。
【0126】
接着フィルムの厚さ方向の位相差の絶対値は、例えば、約200nm以下であってもよい。前記絶対値は、他の例示で、約190nm以下、180nm以下、170nm以下、160nm以下、150nm以下、140nm以下、130nm以下、120nm以下又は約115nm以下であってもよく、約0nm以上、10nm以上、20nm以上、30nm以上、40nm以上、50nm以上、60nm以上、70nm以上、80nm以上又は約90nm以上であってもよい。前記厚さ方向の位相差は、絶対値が前記範囲内であれば、負数であるか、陽数であってもよく、例えば、負数であってもよい。
【0127】
前記接着フィルムの正面位相差(Rin)及び厚さ方向の位相差(Rth)は、それぞれ前記数式1及び2で基材フィルムの厚さ(d)、遅相軸方向の屈折率(nx)、進相軸方向の屈折率(ny)及び厚さ方向の屈折率(nz)を、接着フィルムの厚さ(d)、遅相軸方向の屈折率(nx)、進相軸方向の屈折率(ny)及び厚さ方向の屈折率(nz)に代替して計算すること以外は、同一に計算できる。
【0128】
接着フィルムとしては、ヤング率(Young's modulus)が0.1~100MPaの範囲内にあるものを用いることができる。前記ヤング率は、例えば、ASTM D882に規定された方式で測定することができ、該当規格で提供する形態でフィルムを裁断し、Stress-Strain curveを測定することができる装備(力と長さを同時に測定できる)を用いて測定することができる。
【0129】
接着フィルムが上記のようなヤング率を有するように選択されることで、一層優れた耐久性の光学デバイスが提供され得る。
【0130】
上記のような接着フィルムの厚さは特に制限されず、例えば、約200μm~600μm程度の範囲内であってもよい。他の例で、上記で接着フィルムの厚さは、前記外郭基板30と能動液晶素子10の間の接着フィルムの厚さ、例えば、前記両者の間の間隔、能動液晶素子10と偏光子20の間の接着フィルムの厚さ、例えば、前記両者の間の間隔及び偏光子20と外郭基板30の間の接着フィルムの厚さ、例えば、前記両者の間の間隔であってもよい。
【0131】
また、光学デバイスは、バッファー層を追加で含むことができる。このようなバッファー層は、前記液晶素子の一面又は両面に存在できる。
図9は、能動液晶素子10の両側にバッファー層50が存在する構造を示すが、前記バッファー層50は、能動液晶素子10の一側にのみ存在してもよい。
【0132】
上記のようなバッファー層は、能動液晶素子が接着フィルムによりカプセル化されている構造で層間熱膨脹係数の差などにより発生する陰圧を緩和し、より耐久性のあるデバイスが具現されるようにすることができる。
【0133】
一つの例示で、前記バッファー層としては、ヤング率(Young's modulus)が1MPa以下である層を用いることができる。前記バッファー層のヤング率は、他の例示で、約0.9MPa以下、0.8MPa以下、0.7MPa以下、0.6MPa以下、0.6MPa以下、0.1MPa以下、0.09MPa以下、0.08MPa以下、0.07MPa以下又は約0.06MPa以下であってもよい。前記ヤング率は、他の例示で、約0.001MPa以上、0.002MPa以上、0.003MPa以上、0.004MPa以上、0.005MPa以上、0.006MPa以上、0.007MPa以上、0.008MPa以上、0.009MPa以上、0.01MPa以上、0.02MPa以上、0.03MPa以上、0.04MPa以上又は約0.045MPa以上であってもよい。上記でヤング率の測定方式は、上述した接着フィルムの測定方式と同一である。
【0134】
バッファー層の具体的な種類としては、特な制限なしに上述したヤング率を示す透明素材が用いられるが、例えば、アクリレート系、ウレタン系、ラバー系又はケイ素系のオリゴマー又は高分子材料などを用いることができる。
【0135】
バッファー層の厚さは特に制限されず、前記範囲のヤング率を示してデバイスの内部から発生する陰圧などを効果的に緩和することができる範囲で選択され得る。
【0136】
光学デバイスは、前記構成外にも必要な任意構成を追加で含むことができ、例えば、位相差層、光学補償層、反射防止層、ハードコーティング層などの公知の構成を適切な位置に含むことができる。
【0137】
本出願は、上記のような光学デバイスの製造方法に関する。したがって、以下の技術において光学デバイスの構造や設計、その部品などに対する具体的な事項は上述した内容に従う。
【0138】
本出願の製造方法は、特に前記光学デバイスの構造で第1及び/又は第2外郭基板が曲面基板である場合に効果的に適用される。
【0139】
すなわち、本出願の製造方法は、上述した光学デバイスの構造で少なくとも一つの外郭基板が曲面基板である光学デバイスの製造方法に関する。
【0140】
例えば、本出願の製造方法は、曲面基板である第1外郭基板;前記第1外郭基板と対向配置されている第2外郭基板;前記第1及び第2外郭基板の間でカプセル化剤(前記接着フィルム)によりカプセル化された前記能動液晶素子又は前記偏光子を含む光学デバイスの製造方法である。
【0141】
本出願の製造方法は、前記曲面基板である第1外郭基板を吸引(suction)又は加圧して平面状態で維持する第1ステップを含むことができる。上記で平面状態は、第1外郭基板の曲率が最初状態に比べて小さくなるように維持された状態であり、したがって、理想的な平面状態は、もちろん曲率が平面状態に近接するように減った状態も平面状態に含まれる。
【0142】
上記で第1外郭基板を吸引又は加圧して平面状態を維持する方式は特に制限されない。例えば、前記吸引(suction)は、
図10に示したように、曲面基板301を吸引装置(例えば、Suction stage)302上に配置し、吸引して行うことができる。
【0143】
図示したように、前記吸引工程では、前記曲面基板の凸部が形成された面の反対側面を吸引することができる。
【0144】
吸引時の圧力は、目的とする平面状態、曲面基板の曲率、厚さ及び面積などを考慮して適正に設定することができ、その具体的な範囲は特に制限されない。例えば、前記吸引は、通常、約-760mmHg以下又はその以上であるか、前記圧力レベルの圧力で行うことができ、他の例示では、約-700mmHg~約-760mmHgの範囲内の圧力で行うことができるが、これに制限されるものではない。
【0145】
前記第1ステップで加圧工程を行う方法も特別に制限されない。例えば、前記加圧は、通常の加圧ロールで前記曲面基板を加圧して行うことができる。前記加圧は、曲面基板の凸面に対して行うことができる。加圧時の圧力も目的とする平面状態、曲面基板の曲率、厚さ及び面積などを考慮して適正に設定することができ、その具体的な範囲は特に制限されない。例えば、前記加圧は、約0.6Kg/cm2~約1.2Kg/cm2の範囲内の圧力で行うことができる。
【0146】
一つの例示で、
図11に示したように、前記加圧は、曲面基板301の凸部が形成された面上にフレキシブルフィルム200を配置し、前記フレキシブルフィルムを加圧ロールで加圧して行うことができる。このような工程を通じてより効果的な加圧を行うことができる。加圧と同時にフレキシブルフィルムに適切な引張力を付与することで平面状態を維持することができる。上記で加圧を行う方法は特に制限されず、例えば、
図11に示したように、ラミロールなどの加圧手段2001などを用いて行うとよい。
【0147】
上記過程で適用されるフレキシブルフィルムの種類は、フレキシブルな特性を有するものであれば、特に制限されず、例えば、シリコンフィルム、TPU(thermoplastic polyurethane)フィルム、TAC(triacetyl cellulose)フィルム;ノルボルネン誘導体などのCOP(cyclo olefin copolymer)フィルム;PMMA(poly(methyl methacrylate)などのアクリルフィルム;PC(polycarbonate)フィルム;PE(polyethylene)フィルム;PP(polypropylene)フィルム;PVA(polyvinyl alcohol)フィルム;DAC(diacetyl cellulose)フィルム;Pac(Polyacrylate)フィルム;PES(poly ether sulfone)フィルム;PEEK(polyetheretherketon)フィルム;PPS(polyphenylsulfone)フィルム、PEI(polyetherimide)フィルム;PEN(polyethylenenaphthatlate)フィルム;PET(polyethyleneterephtalate)フィルム;PI(polyimide)フィルム;PSF(polysulfone)フィルム;PAR(polyarylate)フィルム又はフッ素樹脂フィルムなどが用いられ得るが、これに制限されるものではない。
【0148】
曲面基板の平面状態への維持は、前記吸引及び加圧のうち少なくとも一つの工程を通じて行うことができ、平面状態の維持のために少なくとも吸引工程を含む工程で行うことができ、一つの例示で、前記吸引と加圧を全て行って進行してもよい。
【0149】
前記製造方法では、前記第1ステップに引き続き、前記平面状態に維持された第1外郭基板の一面にカプセル化剤を媒介で前記能動液晶素子又は偏光子を付着する第2ステップを追加で行うことができる。
【0150】
上記でカプセル化剤としては、上述した接着フィルムが用いられ得る。また、付着される能動液晶素子及び/又は偏光子の構造は特に制限されず、目的とする光学デバイスの構造によって決定される。
【0151】
例えば、
図8に示したような構造の光学デバイスが目的であれば、接着フィルム/能動液晶素子10/接着フィルム/偏光子20の積層構造が付着され得る。
【0152】
前記第2ステップを行う方法は、特に制限されず、例えば、公知のラミネーション技法を適用して行うことができる。
【0153】
前記第2ステップを行った後に付着された能動液晶素子又は偏光子の上にやっぱりカプセル化剤を媒介で第2外郭基板を付着して光学デバイスを製造することができる。このとき、前記第2外郭基板が平面基板である場合には、第1外郭基板の平面状態を維持した状態で付着し、曲面基板である場合には、
図12に示したように、前記外郭基板の平面状態を解除した後に付着することができる。すなわち、
図12は、平面状態が維持された第1外郭基板1201上に接着フィルム1202を媒介で能動液晶素子及び/又は偏光子などの素子1203を付着した状態で平面状態を解除し、その表面に接着フィルム1202を媒介で第2外郭基板1204を付着する場合を模式的に示す。第2外郭基板の付着は、前記カプセル化剤、すなわち、接着フィルムで行うことができ、このとき、接着フィルムを第2外郭基板に先に付着した後に能動液晶素子などの上部に付着するか、あるいは能動液晶素子などの素子1203の上部に接着フィルムを形成した後に第2外郭基板を付着することができる。
【0154】
前記第2外郭基板の付着も公知のラミネーション技法を適用して行うことができる。
【0155】
したがって、前記光学デバイスの製造方法は、前記能動液晶素子又は偏光子が付着された曲面基板の吸引又は加圧状態を解除して第1外郭基板を曲面状態に戻す第3ステップ;及び前記第1外郭基板の一面に付着された能動液晶素子又は偏光子の上部にカプセル化剤を通じて第2外郭基板を付着する第4ステップを含むことができる。
【0156】
一つの例示で、前記第4ステップの付着は、前記曲面状態が解除された第1外郭基板を曲率を有する曲面上に位置させた状態で行うことができる。
図13は、第1外郭基板1201を前記曲面1301上に位置させた状態で付着する場合を模式的に示す。
【0157】
上記で第1外郭基板が位置される曲面の曲率は、なるべく前記第1外郭基板の曲率と類似なことが適切であり、例えば、前記第1外郭基板と前記曲面の曲率又は曲率半径の差は、約10%以内、9%以内、8%以内、7%以内、6%以内、5%以内、4%以内、3%以内、2%以内又は約1%以内であってもよい。前記曲率又は曲率半径の差は、大きい曲率又は曲率半径をCLとし、小さい曲率又は曲率半径をCSとするときに、100×(CL-CS)/CSで計算される数値である。また、前記曲率又は曲率半径の差の下限は特に制限されない。第1外郭基板と曲面の曲率又は曲率半径は、同一なので、前記曲率又は曲率半径の差は、約0%以上であるか、約0%超過であってもよい。
【0158】
上記のようなステップに引き続き、適切な合着工程、例えば、オートクレーブ工程を通じて前記カプセル化を完了することができる。
【0159】
前記オートクレーブ工程の条件は、特な制限がなく、例えば、適用された接着フィルムの種類によって適切な温度及び圧力下で行うことができる。通常のオートクレーブ工程の温度は、約80℃以上、90℃以上又は約100℃以上であり、圧力は、2気圧以上であるが、これに制限されるものではない。前記工程温度の上限は、約200℃以下、190℃以下、180℃以下又は約170℃以下程度であってもよく、工程圧力の上限は、約10気圧以下、9気圧以下、8気圧以下、7気圧以下又は約6気圧以下程度であってもよい。
【0160】
上記のような光学デバイスは、多様な用途で用いられ得、例えば、サングラスやAR(Argumented Reality)又はVR(Virtual Reality)用アイウェア(eyewear)などのアイウェア類、建物の外壁や車両用サンルーフなどに用いられ得る。
【0161】
一つの例示で、前記光学デバイスは、その自体で車両用サンルーフであってもよい。
【0162】
例えば、少なくとも一つ以上の開口部が形成されている車体を含む自動車において、前記開口部に装着された前記光学デバイス又は車両用サンルーフを装着して用いられ得る。
【0163】
このとき、外郭基板の曲率又は曲率半径が互いに相異なっている場合には、そのうち曲率半径がより小さい基板、すなわち、曲率がより大きい基板がより重力方向に配置され得る。
【発明の効果】
【0164】
本出願は、透過率の可変が可能な光学デバイスを提供し、このような光学デバイスは、サングラスやAR(Argumented Reality)又はVR(Virtual Reality)用アイウェア(eyewear)などのアイウェア類、建物の外壁や車両用サンルーフなどの多様な用途に用いられ得る。
【図面の簡単な説明】
【0165】
【
図1】本出願の液晶素子の折り曲げられた構造を説明するための図である。
【
図2】本出願の液晶素子の折り曲げられた構造を説明するための図である。
【
図3】本出願の液晶素子の折り曲げられた構造を説明するための図である。
【
図4】本出願の光学デバイスを説明するための例示的な図である。
【
図5】本出願の光学デバイスを説明するための例示的な図である。
【
図6】本出願の光学デバイスを説明するための例示的な図である。
【
図7】本出願の光学デバイスを説明するための例示的な図である。
【
図8】本出願の光学デバイスを説明するための例示的な図である。
【
図9】本出願の光学デバイスを説明するための例示的な図である。
【
図10】本出願の製造方法を例示的に示す図である。
【
図11】本出願の製造方法を例示的に示す図である。
【
図12】本出願の製造方法を例示的に示す図である。
【
図13】本出願の製造方法を例示的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0166】
以下、実施例及び比較例を通じて本出願を具体的に説明するが、本出願の範囲が下記実施例によって限定されるものではない。
【0167】
<実施例1>
能動液晶素子としてゲスト-ホスト液晶素子(セルギャップ:約12μm、基材フィルム種類:PET(poly(ethylene terephthalate)フィルム)、液晶/染料混合物の種類:Merck社のMAT-16-969液晶と二色性染料(BASF社、X12)の混合物)とPVA(polyvinylalcohol)系偏光子を2枚の外郭基板の間で熱可塑性ポリウレタン接着フィルム(厚さ:約0.38mm、製造社:Argotec社、製品名:ArgoFlex)でカプセル化して光学デバイスを製造した。
【0168】
上記で外郭基板としては、厚さが約3mm程度であるガラス基板を用い、曲率半径が約1030Rである基板(第1外郭基板)と曲率半径が1000Rである基板(第2外郭基板)を用いた。
【0169】
まず、
図10に示したように、吸引装置(suction stage)302上に第1外郭基板を凸部が形成された面を上部に向いて位置させた後に、
図11に示したように、その上部にシリコンフィルムを配置し、
図10に示した吸引と
図11に示した加圧を同時に行って第1外郭基板を平面化した。前記過程で吸引時の圧力は、約-0.09MPa~-0.1MPaの範囲内程度にし、加圧圧力は、約0.8Kg/cm
2レベル程度に維持した。
【0170】
その後、前記平面化された第1外郭基板上に前記接着フィルム、前記能動液晶素子、前記接着フィルム及び前記偏光子が順次積層された積層体を能動液晶素子が偏光子に比べて第1外郭基板に近く位置するようにラミネーションした。引き続き、吸引圧力を解除し、
図12に示したように、平面状態を解除した。その後、第2外郭基板の凸面とは反対側面に前記接着フィルムを事前に付着させた積層体を前記接着フィルムを媒介で前記偏光子上に付着した。
【0171】
その後、約100℃の温度及び2気圧程度の圧力でオートクレーブ工程を行って光学デバイスを製造した。
【0172】
その後、製造された光学デバイスに対して、Dark Spot、しわ(Wrinkle)、ディンプル(dimple)及びうねり(waviness)の発生有無を評価した。その結果、Dark Spot、しわ(Wrinkle)、ディンプル(dimple)及びうねり(waviness)が観察されず、安定的な品質の光学デバイスが製造されたことを確認することができる。
【0173】
<実施例2>
第2外郭基板を付着するとき、
図13に示したように、第1外郭基板1201をそれと同一な曲率を有する曲面1301上に位置させた状態で実行し、オートクレーブを進行したこと以外は、実施例1と同一に光学デバイスを製造した。
【0174】
その後、製造された光学デバイスに対して、Dark Spot、しわ(Wrinkle)、ディンプル(dimple)及びうねり(waviness)の発生有無を評価した。その結果、Dark Spot、しわ(Wrinkle)、ディンプル(dimple)及びうねり(waviness)が観察されず、安定的な品質の光学デバイスが製造されたことを確認することができる。