(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-14
(45)【発行日】2022-03-23
(54)【発明の名称】通信経路制御装置、通信システム、通信経路制御方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
H04L 61/4511 20220101AFI20220315BHJP
H04L 12/46 20060101ALI20220315BHJP
【FI】
H04L61/4511
H04L12/46 100M
(21)【出願番号】P 2017029484
(22)【出願日】2017-02-20
【審査請求日】2019-11-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】加藤 寛史
【審査官】野元 久道
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-195957(JP,A)
【文献】特開2011-130387(JP,A)
【文献】特開2009-225271(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 61/00
H04L 12/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器に接続された通信経路制御装置であって、
複数のネットワークインタフェースと、
前記複数のネットワークインタフェースの各々について、通信接続に関する情報が設定されている設定記憶部と、
前記複数のネットワークインタフェースのいずれかが要求コマンドを受信すると、当該要求コマンドを受信したネットワークインタフェースと前記電子機器との間の接続方式に応じて、前記要求コマンドに対する代理応答が必要か否かを判別するネットワークインタフェース判別部と、
前記ネットワークインタフェース判別部によって前記代理応答が必要と判断された場合、前記電子機器の通信設定に関する機器情報を用いて、前記電子機器の代わりに前記要求コマンドに対する代理応答を行う代理応答部と
を備え
、
前記ネットワークインタフェース判別部は、前記代理応答部から前記要求コマンドに対する代理応答の応答パケットの送信依頼を受け取ると、前記設定記憶部を参照し、前記応答パケットを送信するネットワークインタフェースを特定することを特徴とする通信経路制御装置。
【請求項2】
前記通信接続に関する情報は、パケットの転送有無が設定されたのパケットの取扱を含み、
前記ネットワークインタフェース判別部は、
前記複数のネットワークインタフェースのいずれかが要求コマンドを受信すると、前記設定記憶部を参照し、前記接続方式に対応する前記パケットの取扱にパケットを転送しない設定がされていた場合、前記要求コマンドに対する代理応答が必要であると判別することを特徴とする請求項1に記載の通信経路制御装置。
【請求項3】
前記ネットワークインタフェース判別部によって前記代理応答が必要ないと判断された場合、前記要求コマンドを前記電子機器へ転送する転送部
をさらに備えることを特徴とする請求項1
または2に記載の通信経路制御装置。
【請求項4】
前記代理応答部は、一のネットワークに対して前記機器情報を用いて代理応答を行う際、前記機器情報に他のネットワークに依存する情報が含まれている場合、当該他のネットワークに依存する情報を、前記一のネットワークに依存する情報に変換する
ことを特徴とする請求項1
から3のいずれか一項に記載の通信経路制御装置。
【請求項5】
前記設定記憶部は、
前記複数のネットワークインタフェースの各々について、前記代理応答が必要か否かを判別可能な情報が設定されているネットワークインタフェース設定情報を記憶し
、
前記ネットワークインタフェース判別部は、
前記設定記憶部に記憶されている前記ネットワークインタフェース設定情報に基づいて、前記要求コマンドに対する代理応答が必要か否かを判別する
ことを特徴とする請求項1から
4のいずれか一項に記載の通信経路制御装置。
【請求項6】
前記電子機器から前記機器情報を取得する機器情報取得部と、
前記機器情報取得部によって取得された前記機器情報を保持する保持部と
をさらに備えることを特徴とする請求項1から
5のいずれか一項に記載の通信経路制御装置。
【請求項7】
前記電子機器において前記機器情報が変更された場合、
前記保持部は、前記電子機器から取得した変更後の前記機器情報により、当該保持部が保持する前記機器情報を更新し、
前記複数のネットワークインタフェースの各々から、更新後の前記機器情報をブロードキャスト又はマルチキャスト送信する
ことを特徴とする請求項
6に記載の通信経路制御装置。
【請求項8】
前記代理応答部は、前記保持部に保持されている前記機器情報が無効化されている場合、前記要求コマンドに対する代理応答を行わない
ことを特徴とする請求項
6に記載の通信経路制御装置。
【請求項9】
複数のネットワークインタフェースを備えたコンピュータにより実行可能なプログラムと、
前記コンピュータに接続された電子機器と
を備えた通信システムであって、
前記プログラムは、前記コンピュータを、
前記複数のネットワークインタフェースの各々について、通信接続に関する情報が設定されている設定記憶部、
前記複数のネットワークインタフェースのいずれかが要求コマンドを受信すると、当該要求コマンドを受信したネットワークインタフェースと前記電子機器との間の接続方式に応じて、前記要求コマンドに対する代理応答が必要か否かを判別するネットワークインタフェース判別部、および、
前記ネットワークインタフェース判別部によって前記代理応答が必要と判断された場合、前記電子機器の通信設定に関する機器情報を用いて、前記電子機器の代わりに前記要求コマンドに対する代理応答を行う代理応答部として機能させ
、
前記ネットワークインタフェース判別部に、前記代理応答部から前記要求コマンドに対する代理応答の応答パケットの送信依頼を受け取ると、前記設定記憶部を参照し、前記応答パケットを送信するネットワークインタフェースを特定させる
ことを特徴とする通信システム。
【請求項10】
複数のネットワークインタフェースのいずれかが要求コマンドを受信すると、当該要求コマンドを受信したネットワークインタフェースと電子機器との間の接続方式に応じて、前記要求コマンドに対する代理応答が必要か否かを判別するネットワークインタフェース判別工程と、
前記ネットワークインタフェース判別工程にて前記代理応答が必要と判断された場合、前記電子機器の通信設定に関する機器情報を用いて、前記電子機器の代わりに前記要求コマンドに対する代理応答を行う代理応答工程と
を含
み、
前記ネットワークインタフェース判別工程は、前記代理応答工程から前記要求コマンドに対する代理応答の応答パケットの送信依頼を受け取ると、前記複数のネットワークインタフェースの各々について通信接続に関する情報が設定されている設定記憶部を参照し、前記応答パケットを送信するネットワークインタフェースを特定することを特徴とする通信経路制御方法。
【請求項11】
複数のネットワークインタフェースを備え、且つ電子機器と接続されたコンピュータ用のプログラムであって、
前記コンピュータを、
前記複数のネットワークインタフェースの各々について、通信接続に関する情報が設定されている設定記憶部、
前記複数のネットワークインタフェースのいずれかが要求コマンドを受信すると、当該要求コマンドを受信したネットワークインタフェースと前記電子機器との間の接続方式に応じて、前記要求コマンドに対する代理応答が必要か否かを判別するネットワークインタフェース判別部、および、
前記ネットワークインタフェース判別部によって前記代理応答が必要と判断された場合、前記電子機器の通信設定に関する機器情報を用いて、前記電子機器の代わりに前記要求コマンドに対する代理応答を行う代理応答部
として機能させ
、
前記ネットワークインタフェース判別部に、前記代理応答部から前記要求コマンドに対する代理応答の応答パケットの送信依頼を受け取ると、前記設定記憶部を参照し、前記応答パケットを送信するネットワークインタフェースを特定させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信経路制御装置、通信システム、通信経路制御方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、企業等に導入される大型の通信システムにおいては、セキュリティレベルや利用目的が互いに異なる、複数のネットワークを備えて構成される場合がある。また、このような通信システムにおいて、1台の画像形成装置を複数のネットワークで共用することで、画像形成装置にかかる管理コストを抑制したり、画像形成装置の設置スペースを縮小したりすることが可能となる。
【0003】
一般的に、このような通信システムにおいて、クライアント端末からホスト名を利用して他のネットワークの情報処理装置(例えば、ファイルサーバ等)にアクセスするためには、DNSサーバからホスト名に対応するIPアドレスを取得する必要がある。このため、クライアント端末には、DNSサーバのアドレスが設定されていなければならない。
【0004】
但し、クライアント端末にDNSサーバのアドレスが設定されていなくても、DNSサーバのアドレスを知っている他の装置が、DNSサーバから情報処理装置のIPアドレスを代理で取得して、取得したIPアドレスをクライアント端末に送信することで、クライアント端末がこのIPアドレスを用いて情報処理装置にアクセスすることが可能となる(例えば、下記特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来、ネットワークにおいてブロードキャスト又はマルチキャスト送信される機器検索コマンド(例えば、Bonjourプロトコル)は、一つのネットワークセグメント内でしか利用することができない。このため、従来、ネットワークからブロードキャスト又はマルチキャスト送信された機器検索コマンドが、複数のネットワークセグメントをまたぐ場合、この機器検索コマンドに正しく応答することができないという課題が生じていた。
【0006】
本発明は、上述した従来技術の課題を解決するため、ブロードキャスト又はマルチキャスト送信された要求コマンドに正しく応答することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するために、本発明の通信経路制御装置は、電子機器に接続された通信経路制御装置であって、複数のネットワークインタフェースと、前記複数のネットワークインタフェースのいずれかが要求コマンドを受信すると、当該要求コマンドを受信したネットワークインタフェースと前記電子機器との間の接続方式に応じて、前記要求コマンドに対する代理応答が必要か否かを判別するネットワークインタフェース判別部と、前記ネットワークインタフェース判別部によって前記代理応答が必要と判断された場合、前記電子機器の通信設定に関する機器情報を用いて、前記電子機器の代わりに前記要求コマンドに対する代理応答を行う代理応答部とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ブロードキャスト又はマルチキャスト送信された要求コマンドに正しく応答することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る通信システムの構成を示す図である。
【
図2】本発明の第1実施形態に係る通信経路制御装置のハードウェア構成を示す図である。
【
図3】本発明の第1実施形態に係る通信経路制御装置の機能構成を示す図である。
【
図4】本発明の第1実施形態に係る通信経路制御装置において設定記憶部に記憶されているネットワークインタフェース設定情報の一例を示す図である。
【
図5】本発明の第1実施形態に係る通信経路制御装置において保持部が保持する検索結果の一例を示す図である。
【
図6】本発明の第1実施形態に係る通信経路制御装置による電源起動時処理の手順を示すシーケンス図である。
【
図7】本発明の第1実施形態に係る通信経路制御装置による機器情報更新時処理の手順を示すシーケンス図である。
【
図8】本発明の第1実施形態に係る通信経路制御装置による機器検索応答処理の手順を示すシーケンス図である。
【
図9】本発明の第2実施形態に係る産業機械管理システムの全体構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
〔第1実施形態〕
以下、図面を参照して、本発明の第1実施形態について説明する。
【0011】
(通信システム10の構成)
図1は、本発明の第1実施形態に係る通信システム10の構成を示す図である。
図1に示す通信システム10は、複数のネットワーク10A,10B,10Cと、画像形成装置11と、クライアント端末12と、クライアント端末13と、通信経路制御装置100とを備えて構成されている。クライアント端末12は、ネットワーク10Aに接続されている。また、クライアント端末13は、ネットワーク10Bに接続されている。また、画像形成装置11は、ネットワーク10Cに接続されている。
【0012】
通信経路制御装置100は、ネットワーク10A,10B,10Cの各々に接続されている。これにより、通信経路制御装置100は、画像形成装置11、クライアント端末12、およびクライアント端末13の各々と通信可能となっている。特に、通信経路制御装置100は、クライアント端末12(ネットワーク10A)と画像形成装置11との間の通信経路、および、クライアント端末13(ネットワーク10B)と画像形成装置11との間の通信経路を制御することが可能である。
【0013】
なお、
図1の例において、ネットワーク10Aに対しては、IPアドレスの範囲(サブネット)として「165.96.10.0/24」が割り当てられている。このサブネットには、通信経路制御装置100のネットワークインタフェース(
図3のネットワークインタフェース100A)と、画像形成装置11とが属しており、それぞれ、IPアドレスとして「165.96.10.200」,「165.96.10.11」が割り当てられている。
【0014】
一方、ネットワーク10Bに対しては、IPアドレスの範囲として「192.168.5.0/24」が割り当てられている。このサブネットには、通信経路制御装置100のネットワークインタフェース(
図3のネットワークインタフェース100B)が属しており、IPアドレス「192.168.5.100」が割り当てられている。
【0015】
(通信経路制御装置100のハードウェア構成)
図2は、本発明の第1実施形態に係る通信経路制御装置100のハードウェア構成を示す図である。
図2に示すように、通信経路制御装置100は、CPU(Central Processing Unit)201、ROM(Read Only Memory)202、RAM(Random Access Memory)203、記憶部204、入力部205、表示部206、および通信部207を備える。各ハードウェアは、バスを介して相互に接続されている。
【0016】
CPU201は、ROM202または記憶部204に記憶されている各種プログラムを実行する。ROM202は、不揮発性メモリである。例えば、ROM202は、CPU201により実行される各種プログラム、CPU201が各種プログラムを実行するために必要なデータ等を記憶する。RAM203は、DRAM203(Dynamic Random Access Memory)やSRAM203(Static Random Access Memory)等の主記憶装置である。例えば、RAM203は、CPU201が各種プログラムを実行する際に利用する作業領域として機能する。
【0017】
記憶部204は、不揮発性の記憶装置である。例えば、記憶部204は、CPU201により実行される各種プログラム、CPU201が各種プログラムを実行するために必要なデータ等を記憶する。入力部205は、操作者(例えば、ネットワーク管理者等)が通信経路制御装置100に対する各種設定を行うためのインタフェースである。表示部206は、通信経路制御装置100になされている各種設定を表示するための表示装置である。通信部207は、ネットワーク(例えば、ネットワーク10A,10B,10C)を介して、他の装置(例えば、クライアント端末12,13、画像形成装置11)との通信を行うインタフェースである。
【0018】
なお、通信経路制御装置100に対する各種設定は、通信経路制御装置100自身から行われるようにしてもよく、通信経路制御装置100に接続された外部の装置から行われるようにしてもよい。後者の場合、通信経路制御装置100は、入力部205および表示部206を備えない構成としてもよい。
【0019】
(通信経路制御装置100の機能構成)
図3は、本発明の第1実施形態に係る通信経路制御装置100の機能構成を示す図である。
【0020】
図3に示すように、通信経路制御装置100は、ネットワークインタフェース100A、ネットワークインタフェース100B、およびネットワークインタフェース100Cを備えている。また、通信経路制御装置100は、設定記憶部300、保持部301、IF判別部302、ブリッジ接続部303、および代理応答部304を備えている。
【0021】
ネットワークインタフェース100Aは、通信経路制御装置100をネットワーク10Aに接続し、通信経路制御装置100とクライアント端末12との間の通信を可能とするためのインタフェースである。
【0022】
ネットワークインタフェース100Bは、通信経路制御装置100をネットワーク10Bに接続し、通信経路制御装置100とクライアント端末13との間の通信を可能とするためのインタフェースである。
【0023】
ネットワークインタフェース100Cは、通信経路制御装置100をネットワーク10Cに接続し、通信経路制御装置100と画像形成装置11との間の通信を可能とするためのインタフェースである。なお、通信経路制御装置100と画像形成装置11との間の通信接続方式は、有線接続(例えば、Ethernet(登録商標)接続)であってもよく、無線接続(例えば、Wi-Fi(登録商標)接続)であってもよい。
【0024】
設定記憶部300は、ネットワークインタフェース設定情報(以下、「IF設定情報」と示す)を記憶する。IF設定情報は、ネットワークインタフェース100A~100Cの各々に関する、各種設定情報(例えば、IPアドレス、接続対象、転送方式等)を含んでいる。なお、IF設定情報の具体例については、
図4を用いて後述する。
【0025】
IF判別部302は、ネットワークインタフェース100A,100Bのいずれかが機器検索コマンド(特許請求の範囲に記載の「要求コマンド」の一例)を受信すると、設定記憶部300に記憶されているIF設定情報に基づいて、当該機器検索コマンドを受信したネットワークインタフェースと画像形成装置11との間の接続方式を特定する。そして、特定された接続方式に応じて、機器検索コマンドに対する代理応答が必要か否かを判別する。
【0026】
IF判別部302は、機器情報取得部302aを有する。機器情報取得部302aは、通信経路制御装置100の電源起動時に、画像形成装置11から画像形成装置11の通信設定に関する機器情報を取得し、当該機器情報を保持部301に保持させる。なお、機器情報の具体例については、
図5を用いて後述する。
【0027】
ブリッジ接続部303は、特許請求の範囲に記載の「転送部」の一例である。ブリッジ接続部303は、IF判別部302によって代理応答が必要ないと判断された場合、画像形成装置11とのブリッジ接続により、機器検索コマンドを画像形成装置11へ転送する。
【0028】
代理応答部304は、IF判別部302によって代理応答が必要と判断された場合、保持部301に保持されている機器情報(画像形成装置11の通信設定に関する機器情報)を用いて、画像形成装置11の代わりに機器検索コマンドに対する代理応答を行う。
【0029】
例えば、本実施形態では、ネットワークインタフェース100Aは、画像形成装置11とブリッジ接続されている(
図4のIF設定情報参照)。すなわち、ネットワーク10Aは、ネットワーク10Cとセグメントが分かれていない。このため、ネットワーク10Aからブロードキャスト又はマルチキャスト送信された機器検索コマンドは、画像形成装置11に到達できる。したがって、この場合、IF判別部302は、「機器検索コマンドに対する代理応答が必要ない」と判断する。この判断に応じて、ブリッジ接続部303は、画像形成装置11とのブリッジ接続により、機器検索コマンドを画像形成装置11へ転送する。これにより、画像形成装置11の機器情報が、画像形成装置11からネットワーク10Aへ送出されるため、機器検索コマンドの送信元のクライアント端末は、画像形成装置11の機器情報を取得することができる。
【0030】
一方、ネットワークインタフェース100Bは、画像形成装置11とNAPT接続されている(
図4のIF設定情報参照)。すなわち、ネットワーク10Bは、ネットワーク10Cとセグメントが分かれている。このため、ネットワーク10Bからブロードキャスト又はマルチキャスト送信された機器検索コマンドは、画像形成装置11に到達できない。したがって、この場合、IF判別部302は、「機器検索コマンドに対する代理応答が必要である」と判断する。この判断に応じて、代理応答部304は、保持部301に保持されている機器情報を用いて、画像形成装置11の代わりに機器検索コマンドに対する代理応答を行う。これにより、画像形成装置11の機器情報が、ネットワーク10Bへ送出されるため、機器検索コマンドの送信元のクライアント端末は、画像形成装置11の機器情報を取得することができる。
【0031】
なお、上記した通信経路制御装置100の各機能は、通信経路制御装置100が備える各種ハードウェア(
図2参照)によって実現される。例えば、ネットワークインタフェース100A,100B,100Cは、通信部207によって実現される。また、設定記憶部300および保持部301は、ROM202、RAM203、または記憶部204によって実現される。また、IF判別部302、ブリッジ接続部303、および代理応答部304は、ROM202または記憶部204に記憶されたプログラムを、CPU201が実行することにより実現される。
【0032】
このプログラム(特許請求の範囲に記載の「コンピュータ用のプログラム」)は、予め通信経路制御装置100に導入された状態で提供されてもよく、外部から提供されて通信経路制御装置100に導入されるようにしてもよい。後者の場合、このプログラムは、外部記憶媒体(例えば、USBメモリ、メモリカード、CD-ROM等)によって提供されてもよく、ネットワーク(例えば、インターネット等)上のサーバからダウンロードすることによって提供されるようにしてもよい。
【0033】
(IF設定情報の一例)
図4は、本発明の第1実施形態に係る通信経路制御装置100において設定記憶部300に記憶されているIF設定情報の一例を示す図である。
図4に示すように、IF設定情報においては、ネットワークインタフェース100A~100Cの各々について、通信接続に関する情報が設定されている。
図4に示す例では、IF設定情報は、そのデータ項目として、「ネットワークインタフェース名」、「IPアドレス」、「接続対象」、「転送方式」、および「ブロードキャスト/マルチキャストの取扱」を含んで構成されている。
【0034】
「ネットワークインタフェース名」には、ネットワークインタフェースを判別するためのネットワークインタフェース名が設定される。「IPアドレス」には、ネットワークインタフェースに割り振られたIPアドレスが設定される。「接続対象」には、ネットワークインタフェースに接続されるネットワークまたは装置の名称が設定される。「転送方式」には、ネットワークインタフェースがネットワークパケットを受信した際に実施する転送方式が設定される。「ブロードキャスト/マルチキャストの取扱」には、ブロードキャスト又はマルチキャストパケットをどのように取り扱うかが設定されている。
【0035】
例えば、
図4の例では、「ネットワークインタフェース100A」に対して、IPアドレス「165.96.10.200」が割り当てられ、ネットワーク10Aに接続し、ネットワーク10Cに接続された画像形成装置11に対してブリッジ接続によりネットワークパケットを転送し、ブロードキャスト又はマルチキャストパケットをネットワーク10Cへフラッディングする設定がなされている。
【0036】
また、「ネットワークインタフェース100B」に対して、IPアドレス「192.168.5.100」が割り当てられ、ネットワーク10Bに接続し、ネットワーク10Cに接続された画像形成装置11に対してNAPT接続によりネットワークパケットを転送し、ブロードキャスト又はマルチキャストパケットをネットワーク10Cへ転送しない設定がなされている。
【0037】
また、「ネットワークインタフェース100C」に対して、IPアドレスが割り当てられてなく、画像形成装置11および通信経路制御装置100に接続し、ネットワーク10Aとはブリッジ接続し、ネットワーク10BとはNAPT(Network Address Port Translation)接続し、ネットワーク10Aに対しては、ブロードキャスト又はマルチキャストパケットをフラッディングし、ネットワーク10Bに対しては、ブロードキャスト又はマルチキャストパケットを転送しない設定がなされている。
【0038】
なお、
図1に示したように、画像形成装置11には、IPアドレス「165.96.10.11」が割り当てられている。すなわち、画像形成装置11のIPアドレスは、ネットワークインタフェース100AのIPアドレス「165.96.10.200」と同じサブネット「165.96.10.0/24」に所属している。
【0039】
(保持部301が保持する機器情報の一例)
図5は、本発明の第1実施形態に係る通信経路制御装置100において保持部301が保持する機器情報の一例を示す図である。
図5に示す機器情報は、通信経路制御装置100の電源起動時に、機器情報取得部302aによって画像形成装置11から取得された、画像形成装置11の機器情報である。
図5に示す例では、機器情報は、Aレコード、PTRレコード、SRVレコード、およびTXTレコードを含んでいる。
【0040】
Aレコードは、画像形成装置11に割り当てられているIPアドレスである。PTRレコードは、画像形成装置11のIPアドレスに対するホスト名である。SRVレコードは、画像形成装置11のサービス情報である。TXTレコードは、画像形成装置11の付加情報である。なお、
図5の例において、機器情報には、AレコードおよびPTRレコードの各々に、ネットワーク10Aに依存する情報として「165.96.10.11」が含まれていることが示されている。
【0041】
(通信経路制御装置100による電源起動時処理の手順)
図6は、本発明の第1実施形態に係る通信経路制御装置100による電源起動時処理の手順を示すシーケンス図である。ここでは、通信経路制御装置100の電源起動時に、機器情報取得部302aによって画像形成装置11から機器情報を取得し、取得した機器情報を保持部301に保持させる例を説明する。
【0042】
まず、保持部301が、画像形成装置11宛の機器検索パケットを、IF判別部302へ送信する(ステップS601)。この機器検索パケットは、Aレコード、PTRレコード、SRVレコード、TXTレコードの問い合わせを含んでいる。
【0043】
IF判別部302は、機器検索パケットを受信すると、設定記憶部300に記憶されているIF設定情報を参照する(ステップS602)。これにより、IF判別部302は、画像形成装置11が接続されているネットワークインタフェースが、「ネットワークインタフェース100C」であることを特定する(ステップS603)。
【0044】
そして、IF判別部302が、ステップS603で特定されたネットワークインタフェース100Cに対し、機器検索パケットを転送する(ステップS604)。これに応じて、ネットワークインタフェース100Cは、ネットワーク10Cを介して、画像形成装置11へ機器検索パケットを送信する(ステップS605)。
【0045】
画像形成装置11は、機器検索パケットを受信すると、当該機器検索パケットに対する応答パケットを、通信経路制御装置100へ送信する(ステップS606)。この応答パケットは、機器情報として、Aレコード、PTRレコード、SRVレコード、TXTレコードを含んでいる。
【0046】
ネットワークインタフェース100Cは、画像形成装置11から送信された応答パケットを受信すると、当該応答パケットを受信したことを、IF判別部302へ通知する(ステップS607)。これに応じて、IF判別部302は、設定記憶部300に記憶されているIF設定情報を参照する(ステップS608)。これにより、IF判別部302は、ネットワークインタフェース100Cが通信経路制御装置100と接続されていることを特定する(ステップS609)。
【0047】
そして、IF判別部302は、応答パケットを保持部301へ送信する(ステップS610)。保持部301は、応答パケットを受信すると、当該応答パケットに含まれている機器情報(Aレコード、PTRレコード、SRVレコード、TXTレコード)を保持する(ステップS611~S614)。
【0048】
(通信経路制御装置100による機器情報更新時処理の手順)
図7は、本発明の第1実施形態に係る通信経路制御装置100による機器情報更新時処理の手順を示すシーケンス図である。ここでは、画像形成装置11において機器情報が更新された際に、更新後の機器情報をクライアント端末12,13の各々に広告(経路広告。アドタイズ)する例を説明する。
【0049】
まず、画像形成装置11が、機器情報を含むパケット(以下、「機器情報パケット」と示す)をネットワーク10Cに対してブロードキャスト送信すると(ステップS701)、通信経路制御装置100のネットワークインタフェース100Cにより、この機器情報パケットが受信される。ネットワークインタフェース100Cは、機器情報パケットを受信したことを、IF判別部302へ通知する(ステップS702)。
【0050】
これに応じて、IF判別部302は、設定記憶部300に記憶されているIF設定情報(項目「ブロードキャスト/マルチキャストの取扱」)を参照する(ステップS703)。これにより、IF判別部302は、画像形成装置11からブロードキャスト送信された機器情報パケットを、「ネットワーク10Aへフラッディングする」および「通信経路制御装置100で受信する」と特定する(ステップS704)。
【0051】
IF判別部302は、「ネットワーク10Aへフラッディングする」と特定したことに対応して、ネットワーク10Aへのフラッディングを行うために、ブリッジ接続部303に対し、機器情報パケットの転送依頼を行う(ステップS705)。これに応じて、ブリッジ接続部303は、ネットワーク10Aに対応するネットワークインタフェース100Aに対し、機器情報パケットを転送する(ステップS706)。これに応じて、ネットワークインタフェース100Aは、ネットワーク10Aに対し、機器情報パケットをブロードキャスト送信する(ステップS707)。これにより、ネットワーク10Aに接続されているクライアント端末12に機器情報パケットが到達することとなる。
【0052】
次に、IF判別部302は、「通信経路制御装置100で受信する」と特定したことに対応して、機器情報パケットを保持部301へ送信する(ステップS711)。保持部301は、応答パケットを受信すると、当該応答パケットに含まれている機器情報(Aレコード、SRVレコード)を用いて、当該保持部301が保持する機器情報(Aレコード、SRVレコード)を更新する(ステップS712~S713)。そして、保持部301は、機器情報(Aレコード、SRVレコード)が変更されたことを、代理応答部304へ通知する(ステップS714)。
【0053】
代理応答部304は、機器情報パケットのネットワーク10Bへの送信を、IF判別部302へ依頼する(ステップS715)。IF判別部302は、機器情報パケットの送信依頼を受け取ると、設定記憶部300に記憶されているIF設定情報を参照する(ステップS716)。これにより、IF判別部302は、ネットワーク10Bが接続されているネットワークインタフェースが、「ネットワークインタフェース100B」であることを特定する(ステップS717)。
【0054】
そして、IF判別部302は、特定されたネットワークインタフェース100Bに対し、機器情報パケットを転送する(ステップS718)。これに応じて、ネットワークインタフェース100Bは、ネットワーク10Bに対し、機器情報パケットをブロードキャスト送信する(ステップS719)。これにより、ネットワーク10Bに接続されているクライアント端末13に機器情報パケットが到達することとなる。
【0055】
(通信経路制御装置100による機器情報更新時処理の手順)
図8は、本発明の第1実施形態に係る通信経路制御装置100による機器検索応答処理の手順を示すシーケンス図である。ここでは、クライアント端末12から機器検索パケットがブロードキャスト送信された場合と、クライアント端末13から機器検索パケットがブロードキャスト送信された場合との各々において、通信経路制御装置100が行う処理について説明する。
【0056】
まず、クライアント端末12が、ネットワーク10Aに対して、機器検索パケット(AレコードおよびSRVレコードの問い合わせを含む)をブロードキャスト送信すると(ステップS801)、通信経路制御装置100のネットワークインタフェース100Aが、この機器検索パケットを受信する。そして、ネットワークインタフェース100Aは、機器検索パケットを受信したことを、IF判別部302へ通知する(ステップS802)。
【0057】
これに応じて、IF判別部302は、設定記憶部300に記憶されているIF設定情報(項目「ブロードキャスト/マルチキャストの取扱」)を参照する(ステップS803)。これにより、IF判別部302は、クライアント端末12からブロードキャスト送信された機器検索パケットを、「ネットワーク10Cへフラッディングする」と特定する(ステップS804)。
【0058】
IF判別部302は、ネットワーク10Cへのフラッディングを行うために、ブリッジ接続部303に対し、機器検索パケットの転送依頼を行う(ステップS805)。これに応じて、ブリッジ接続部303は、ネットワーク10Cに対応するネットワークインタフェース100Cに対し、機器検索パケットを転送する(ステップS806)。
【0059】
これに応じて、ネットワークインタフェース100Cは、ネットワーク10Cに対し、機器検索パケットをブロードキャスト送信する(ステップS807)。これにより、画像形成装置11に機器検索パケットが到達することとなる。
【0060】
画像形成装置11は、機器検索パケットを受信すると、当該機器検索パケットに対する応答パケット(AレコードおよびSRVレコードを含む)を、通信経路制御装置100へ送信する(ステップS808)。
【0061】
ネットワークインタフェース100Cは、画像形成装置11から送信された応答パケットを受信すると、当該応答パケットを受信したことを、IF判別部302へ通知する(ステップS809)。これに応じて、IF判別部302は、設定記憶部300に記憶されているIF設定情報(項目「転送方式」)を参照する(ステップS810)。これにより、IF判別部302は、ネットワーク10Aとブリッジ接続することを特定する(ステップS811)。
【0062】
IF判別部302は、ブリッジ接続部303に対し、応答パケットの転送依頼を行う(ステップS812)。これに応じて、ブリッジ接続部303は、ネットワーク10Aに対応するネットワークインタフェース100Aに対し、ブリッジ接続処理による応答パケットの転送を行う(ステップS813)。ネットワークインタフェース100Aは、応答パケットを受信すると、当該応答パケットを、ネットワーク10Aを介して、クライアント端末12へ送信する(ステップS814)。これにより、クライアント端末12に応答パケットが到達することとなる。
【0063】
一方、クライアント端末13が、ネットワーク10Bに対して、機器検索パケット(AレコードおよびSRVレコードの問い合わせを含む)をブロードキャスト送信すると(ステップS821)、通信経路制御装置100のネットワークインタフェース100Bが、この機器検索パケットを受信する。そして、ネットワークインタフェース100Bは、機器検索パケットを受信したことを、IF判別部302へ通知する(ステップS822)。
【0064】
これに応じて、IF判別部302は、設定記憶部300に記憶されているIF設定情報(項目「ブロードキャスト/マルチキャストの取扱」)を参照する(ステップS823)。これにより、IF判別部302は、クライアント端末13からブロードキャスト送信された機器検索パケットを、「通信経路制御装置100で受信する」と特定する(ステップS824)。これに応じて、IF判別部302は、機器検索パケットを、代理応答部304へ転送する(ステップS825)。
【0065】
代理応答部304は、機器検索パケットを受信すると、保持部301が保持する機器情報を参照し(ステップS826)、当該機器情報からAレコードを取得する(ステップS827)。ここで、Aレコードには、ネットワーク10Aに依存する情報が含まれている。このため、代理応答部304は、ネットワーク10Aに依存する情報を、ネットワーク10Bに依存する情報へ変換する(ステップS828)。例えば、Aレコードが「printer.local IN A 165.96.10.11」である場合、「165.96.10.11」の部分を、ネットワークインタフェース100BのIPアドレスである「192.168.5.100」に変更する(ステップS828)。この場合、変更後のAレコードは、「printer.local IN A 192.168.5.100」となる。
【0066】
さらに、代理応答部304は、保持部301が保持する機器情報を参照し(ステップS829)、当該機器情報からSRVレコードを取得する(ステップS830)。SRVレコードには、ネットワーク10Aに依存する情報が含まれていないため、代理応答部304は、SRVレコードの変更を行わない。
【0067】
代理応答部304は、AレコードおよびSRVレコードを含んだ応答パケットのネットワーク10Bへの送信を、IF判別部302へ依頼する(ステップS831)。IF判別部302は、応答情報パケットの送信依頼を受け取ると、設定記憶部300に記憶されているIF設定情報を参照する(ステップS832)。これにより、IF判別部302は、ネットワーク10Bが接続されているネットワークインタフェースが、「ネットワークインタフェース100B」であることを特定する(ステップS833)。
【0068】
そして、IF判別部302は、特定されたネットワークインタフェース100Bに対し、応答パケットを送信する(ステップS834)。ネットワークインタフェース100Bは、応答パケットを受信すると、当該応答パケットを、ネットワーク10Bを介して、クライアント端末13へ送信する(ステップS835)。これにより、クライアント端末13に応答パケットが到達することとなる。
【0069】
以上説明したように、本発明の第1実施形態に係る通信システム10では、通信経路制御装置100において、機器検索コマンドを受信したネットワークインタフェースと画像形成装置11との間の接続方式(ブリッジ接続またはNAPT接続)に応じて、機器検索コマンドに対する代理応答が必要か否かを判別し、代理応答が必要と判断された場合、画像形成装置11の機器情報を用いて、画像形成装置11の代わりに機器検索コマンドに対する代理応答を行うようにしている。このため、通信システム10によれば、受信した機器検索コマンドが複数のネットワークセグメントをまたぐことができないものであっても、当該機器検索コマンドの送信元のクライアント端末に対し、画像形成装置11の機器情報を供給することができる。したがって、通信システム10によれば、ネットワークからブロードキャスト又はマルチキャスト送信された機器検索コマンドに正しく応答することができる。
【0070】
また、通信システム10では、代理応答が必要ないと判断された場合、機器検索コマンドを画像形成装置11へ転送するようにしている。このため、通信システム10によれば、通信経路制御装置100が不必要な代理応答を行わないようにすることができる。
【0071】
また、通信システム10では、一のネットワーク(例えば、ネットワーク10B)に対して機器情報を用いて代理応答を行う際、当該機器情報に他のネットワーク(例えば、ネットワーク10A)に依存する情報が含まれている場合、当該他のネットワークに依存する情報を、一のネットワークに依存する情報に変換するようにしている。このため、通信システム10では、応答先のネットワークに応じた適切な機器情報を用いて代理応答を行うことができる。
【0072】
また、通信システム10では、複数のネットワークインタフェースの各々について、代理応答が必要か否かを判別可能な情報が設定されているネットワークインタフェース設定情報を記憶するようにしている。このため、通信システム10によれば、複数のネットワークの各々からの機器検索コマンドに正しく応答することができる。また、複数のネットワークインタフェースに関する情報を一元管理することができる。
【0073】
また、通信システム10では、通信経路制御装置100の電源起動時に、画像形成装置11から機器情報を取得し、取得された機器情報を保持部301が保持するようにしている。このため、通信システム10によれば、ユーザに手作業で機器情報を入力される必要がないため、適切な機器情報を容易に取得することができる。
【0074】
また、通信システム10では、画像形成装置11において機器情報が変更された場合、画像形成装置11から取得した変更後の機器情報により、保持部301が保持する機器情報を更新し、ネットワークインタフェース100A,100Bの各々から、更新後の機器情報をブロードキャスト又はマルチキャスト送信するようにしている。このため、通信システム10によれば、常に最新の画像形成装置11の機器情報を用いて、代理応答を行うことができる。また、画像形成装置11の機器情報の変更を、直ちに、クライアント端末12,13が既に取得済みの画像形成装置11の機器情報に反映することができる。
【0075】
なお、上記第1実施形態において、特許請求の範囲に記載の「要求コマンド」の一例として機器検索コマンドを用いているが、これに限らず、画像形成装置11に代理して応答できる性質のものであれば、それ以外のコマンドを用いてもよい。
【0076】
また、上記第1実施形態において、本発明の「通信システム」の機能を、物理的に1台の装置(通信経路制御装置100)によって実現するようにしているが、これに限らない。すなわち、本発明の「通信システム」の機能を、物理的に複数台の装置によって実現するようにしてもよい。
【0077】
また、通信経路制御装置100は、専用の装置によって実現されるものに限らない。例えば、通信経路制御装置100は、複数のネットワーク(ネットワーク10A~10C)に接続可能なそれ以外の装置(例えば、パーソナルコンピュータ等)に導入されたソフトウェアによって、実現されるものであってもよい。
【0078】
また、上記第1実施形態において、本発明の「電子機器」の一例として、画像形成装置11を用いているが、これに限らない。すなわち、本発明の「電子機器」は、少なくとも通信機能を備えたものであれば、如何なる装置であってもよい。
【0079】
また、上記第1実施形態において、通信経路制御装置100は、2つのネットワーク10A,10Bからの機器検索パケットの応答を制御しているが、3つ以上のネットワークからの機器検索パケットの応答を制御するようにしてもよい。
【0080】
また、上記第1実施形態において、通信経路制御装置100には、1台の画像形成装置11が接続されているが、複数台の電子機器が接続されていてもよい。この場合、通信経路制御装置100は、画像形成装置11に対する応答処理と同様の処理を、複数台の電子機器に対して行うようにしてもよい。
【0081】
また、上記第1実施形態において、保持部301に保持されている機器情報を管理者が任意に(例えば、表示部206に表示された管理画面に対し、入力部205による操作入力を行うことにより)無効化できるようにしてもよい。そして、保持部301に保持されている機器情報が無効化されている場合、代理応答部304は、機器検索コマンドに対する代理応答を行わないようにしてもよい。
【0082】
また、上記第1実施形態において、機器情報取得部302aは、通信経路制御装置100の電源起動時に、画像形成装置11の機器情報を取得するようにしているが、これに限らない。すなわち、機器情報取得部302aは、通信経路制御装置100の電源起動時以外のタイミング(例えば、ユーザが指定したタイミング等)で、画像形成装置11の機器情報を取得するようにしてもよい。
【0083】
〔第2実施形態〕
以下、
図9を参照して、本発明の第2実施形態について説明する。この第2実施形態では、本発明を産業機械管理システムに適用する例を説明する。
図9は、本発明の第2実施形態に係る産業機械管理システム20の全体構成を示す図である。この産業機械管理システム20は、特許請求の範囲に記載の「通信システム」の他の一例である。
【0084】
図9に示すように、第2の実施形態の産業機械管理システム20は、部門システム60a、部門システム60b、部門システム60c、および管理システム70を備えて構成されている。部門システム60a,60b,60cおよび管理システム70は、いずれも、インターネット15に接続されている。特に、部門システム60a,60b,60cは、いずれも、当該システム内に設けられたファイアウォール16を介して、インターネット15に接続されている。
【0085】
部門システム60aは、例えば、企業や工場等の一の部門に設置されているシステムである。部門システム60aは、管理仲介装置14、管理対象システム30、およびファイアウォール16を備えて構成されている。管理対象システム30は、管理システム70による遠隔管理の対象のシステムである。
【0086】
図9の例では、管理対象システム30は、産業機械31aおよびセンサ31bを備えている。産業機械31aおよびセンサ31bは、管理システム70による遠隔管理の対象の機器である。産業機械31aは、例えば、加工機、搬送機、検査機等である。センサ31bは、例えば、撮像装置、集音装置等である。
【0087】
管理仲介装置14は、管理システム70からファイアウォール16内の管理対象システム30を遠隔管理することができるように、管理システム70と管理対象システム30との間を仲介する装置である。管理仲介装置14は、LAN(local area network)により、管理対象システム30と、ファイアウォール16とに接続されている。管理仲介装置14は、例えば、産業機械31aおよびセンサ31bに設けられているファームウェアを、インターネット接続を利用して更新するファームウェア更新機能を備えている。
【0088】
部門システム60bは、他の部門に設置されているシステムである。部門システム60bは、管理仲介機能付機器33およびファイアウォール16を備えて構成されている。管理仲介機能付機器33は、管理システム70による遠隔管理の対象の機器である。管理仲介機能付機器33は、管理仲介装置14と同様の機能を有する。これにより、管理システム70からファイアウォール16内の当該管理仲介機能付機器33を遠隔管理することができるようになっている。
【0089】
管理仲介機能付機器33は、例えば、産業機械(例えば、加工機、搬送機、検査機等)、センサ(例えば、撮像装置、集音装置等)等である。管理仲介機能付機器33は、LANにより、ファイアウォール16と接続されている。管理仲介機能付機器33は、例えば、当該管理仲介機能付機器33に設けられているファームウェアを、インターネット接続を利用して更新するファームウェア更新機能を備えている。
【0090】
部門システム60cは、さらなる他の部門に設置されているシステムである。部門システム60cは、管理仲介装置14、複数の管理対象システム30、およびファイアウォール16を備えて構成されている。各管理対象システム30は、管理システム70による管理対象のシステムである。
【0091】
図9の例では、一つの管理対象システム30は、産業機械31a、センサ31b、および管理仲介装置32を備えている。産業機械31aおよびセンサ31bは、管理システム70による遠隔管理の対象の機器である。産業機械31aは、例えば、加工機、搬送機、検査機等である。センサ31bは、例えば、撮像装置、集音装置等である。
【0092】
管理仲介装置14,32は、管理システム70からファイアウォール16内の管理対象システム30を遠隔管理することができるように、管理システム70と管理対象システム30との間を仲介する装置である。管理仲介装置14,32は、LANにより、複数の管理対象システム30と、ファイアウォール16とに接続されている。管理仲介装置14,32は、産業機械31aおよびセンサ31bに設けられているファームウェアを、インターネット接続を利用して更新するファームウェア更新機能を備えている。
【0093】
この部門システム60cでは、管理仲介装置14だけでは負荷が大きくなるため、管理仲介装置32をさらに設けている。そして、この管理仲介装置32により、管理対象システム30内の産業機械31aおよびセンサ31bのファームウェアを更新するようにしている。一方、管理システム70とのインターネット接続を利用した、複数の管理対象システム30の遠隔管理を集中的に行う機能については、管理仲介装置14にて行うようにしている。
【0094】
管理システム70は、インターネット15を介して、各部門システム60a,60b,60cの各管理対象機器(産業機械31a、センサ31b、管理仲介機能付機器33)を遠隔管理するためのシステムである。
【0095】
例えば、管理システム70は、各部門システム60a,60b,60cの各管理対象機器に対して、各種操作指示(例えば、設定値変更、ファーム更新、電源ON、電源OFF等)を行ったり、各部門システム60a,60b,60cの各管理対象機器から各種情報(状態情報、設定値情報、ログ情報等)を取得したりする。
【0096】
なお、上記産業機械管理システム20において、管理システム70、管理仲介装置14、管理仲介装置32、および管理仲介機能付機器33は、一般的なコンピュータ要素を含んで構成されている。すなわち、これらの装置は、
図2に示した通信経路制御装置100のハードウェア構成と同様に、少なくとも、各種プログラムを実行するCPUと、このCPUがプログラム処理に用いるROM、RAM、および記憶部と、モデムやネットワークインタフェース等の通信部とを備えて構成されている。
【0097】
また、
図9に示すように、産業機械管理システム20は、通信経路制御装置100'および画像形成装置11をさらに備えている。通信経路制御装置100'は、第1実施形態の通信経路制御装置100と同様の機能を有するものである。通信経路制御装置100'は、複数のネットワークインタフェースを備えている。これにより、通信経路制御装置100'は、部門システム60a,60b,60c(複数のネットワーク)の各々と接続されている。通信経路制御装置100'は、画像形成装置11と接続されている。
【0098】
このように構成された産業機械管理システム20では、第1実施形態の通信システム10と同様に、通信経路制御装置100'により、部門システム60a,60b,60cと、画像形成装置11との間の通信経路を制御できるように構成されている。すなわち、通信経路制御装置100'において、部門システム60a,60b,60cのいずれかからブロードキャスト又はマルチキャスト送信された機器検索コマンドを受信すると、当該機器検索パケットを受信したネットワークインタフェースと画像形成装置11と間の接続方式(ブリッジ接続またはNAPT接続)に応じて、機器検索コマンドに対する代理応答が必要か否かを判別し、代理応答が必要と判断された場合、画像形成装置11の機器情報を用いて、画像形成装置11の代わりに機器検索コマンドに対する代理応答を行うようにしている。
【0099】
このため、産業機械管理システム20によれば、部門システム60a,60b,60cのいずれかのクライアント端末から送信された機器検索コマンドが複数のネットワークセグメントをまたぐことができないものであっても、当該機器検索コマンドの送信元のクライアント端末に対し、画像形成装置11の機器情報を供給することができる。したがって、産業機械管理システム20によれば、ネットワークからブロードキャスト又はマルチキャスト送信された機器検索コマンドに正しく応答することができる。
【0100】
なお、産業機械管理システム20が遠隔管理の対象とする管理対象機器は、画像形成装置に限らず、ネットワーク家電、自動販売機、医療機器、産業機械、電源装置、空調システム、ガス・水道・電気等の計量システム等に通信機能を持たせた機器等であってもよい。また、管理対象機器は、上記したいずれかの機器の周辺に設置され、その機器の状態を検出するための各種検出装置(例えば、撮像装置、集音装置等)であってもよい。
【0101】
例えば、産業機械としては、加工装置、検査装置、搬送装置、ピッキング装置等が挙げられる。産業機械を管理対象機器とする場合、当該産業機械は、応答データとして、当該機器の識別情報、当該機器の稼働状況や異常動作の有無、消耗品の交換時期に関する情報、当該機器による検査結果等を、データ形式又は画像形式等の種々の情報伝達手段を用いて管理システム70に送信するようにしてもよい。
【0102】
また、例えば、医療機器としては、眼底検査装置、X線検査装置、血圧計、体脂肪計、視力計、ペースメーカ等が挙げられる。医療機器を管理対象機器とする場合、当該医療機器は、応答データとして、当該機器の識別情報、当該機器の稼働状況や異常動作の有無、当該機器による測定結果等を、データ形式又は画像形式等の種々の情報伝達手段を用いて管理システム70に送信するようにしてもよい。
【0103】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形又は変更が可能である。
【符号の説明】
【0104】
10 通信システム
10A,10B,10C ネットワーク
11 画像形成装置
12,13 クライアント端末
100 通信経路制御装置
100A,100B,100C ネットワークインタフェース
300 設定記憶部
301 保持部
302 IF判別部(ネットワークインタフェース判別部)
302a 機器情報取得部
303 ブリッジ接続部(転送部)
304 代理応答部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0105】