(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-14
(45)【発行日】2022-03-23
(54)【発明の名称】液体吐出ヘッド、液体吐出ユニット、液体を吐出する装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/14 20060101AFI20220315BHJP
B41J 2/18 20060101ALI20220315BHJP
【FI】
B41J2/14 605
B41J2/14 607
B41J2/14 603
B41J2/18
(21)【出願番号】P 2017054835
(22)【出願日】2017-03-21
【審査請求日】2020-01-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】230100631
【氏名又は名称】稲元 富保
(72)【発明者】
【氏名】岩田 純一
(72)【発明者】
【氏名】吉田 崇裕
(72)【発明者】
【氏名】▲おとめ▼ 幸雄
(72)【発明者】
【氏名】村上 友章
【審査官】中村 博之
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-166260(JP,A)
【文献】特開2008-254196(JP,A)
【文献】特開平11-129501(JP,A)
【文献】特開2004-174950(JP,A)
【文献】米国特許第05748214(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0072692(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2011-0047129(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を吐出するノズルと、
前記ノズルに連通する個別液室と、
前記個別液室に連通して前記液体を供給する供給流路と、
前記個別液室に連通して前記液体を排出する排出流路と、を備え、
前記供給流路の流体抵抗Rinと前記排出流路の流体抵抗Routとが、Rin>Rout、の関係にあり、
抵抗比Rout/Rinは、0.5~1.0の範囲内である
ことを特徴とする液体吐出ヘッド。
【請求項2】
前記供給流路には供給側流体抵抗部を含み、
前記排出流路には排出側流体抵抗部を含む
ことを特徴とする請求項1に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項3】
前記供給流路に通じる供給側共通液室と、
前記排出流路が通じる排出側共通液室と、を備え、
前記供給側共通液室に前記液体を供給する供給口から前記ノズルまでの流路の流体抵抗Rin2と、前記排出側流体抵抗部の入口から前記排出側共通液室を経て外部に前記液体を排出する排出口までの流路の流体抵抗Rout2とが、Rin2>Rout2、の関係にある
ことを特徴とする請求項2に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項4】
前記供給側流体抵抗部の流体抵抗Rin1と前記排出側流体抵抗部の流体抵抗Rout1と前記ノズルの流体抵抗Rpが、Rin>Rout>Rp、の関係にある
ことを特徴とする請求項2又は3に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項5】
液体を吐出するノズルと、
前記ノズルに連通する個別液室と、
前記個別液室に連通して前記液体を供給する供給流路と、
前記個別液室に連通して前記液体を排出する排出流路と、
前記供給流路に通じる供給側共通液室と、
前記排出流路が通じる排出側共通液室と、を備え、
前記供給側共通液室に前記液体を供給する供給口から前記ノズルまでの供給側の流路の流体抵抗Rin1と、前記排出流路の入口から前記排出側共通液室を経て外部に前記液体を排出する排出口までの流路の流体抵抗Rout1とが、Rin1>Rout1、の関係にあり、
前記供給流路の流体抵抗Rinと前記排出流路の流体抵抗Routとが、Rin>Rout、の関係にあり、
抵抗比Rout/Rinは、0.5~1.0の範囲内である
ことを特徴とする液体吐出ヘッド。
【請求項6】
前記排出流路の入口が対向する壁面が曲面形状である
ことを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の液体吐出ヘッド。
【請求項7】
前記個別液室と前記ノズルを連通するノズル連通路を有し、
前記排出流路は前記ノズル連通路を介して前記個別液室に連通し、
前記壁面が前記ノズル連通路の壁面である
ことを特徴とする請求項6に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項8】
前記供給流路に通じる供給側共通液室と、
前記排出流路が通じる排出側共通液室と、を備え、
前記供給側共通液室及び前記排出側共通液室は、ノズル配列方向と直交する方向において、ノズルに対して同じ側に配置され、
前記供給流路及び前記排出流路はノズル配列方向に延びており、
前記排出流路の入口に対向する前記個別液室側の壁面が曲面形状である
ことを特徴とする請求項1に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項9】
前記供給流路に通じる供給側共通液室と、
前記排出流路が通じる排出側共通液室と、を備え、
前記供給側共通液室及び前記排出側共通液室は、ノズル配列方向と直交する方向において、ノズルに対して同じ側に配置され、
前記供給流路及び前記排出流路は、ノズル配列方向に延びており、
前記供給流路又は前記排出流路の前記個別液室に連通する側は、平面視において、ノズル配列方向に対して屈曲している
ことを特徴とする請求項1に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項10】
前記供給流路に通じる供給側共通液室と、
前記排出流路が通じる排出側共通液室と、を備え、
前記供給側共通液室及び前記排出側共通液室は、ノズル配列方向と直交する方向において、ノズルに対して同じ側に配置され、
前記排出流路の入口に対向する前記
個別液室側の面は、平面視において、円弧状であり、
前記ノズルの投影位置が円弧の中心よりも前記排出流路側にある
ことを特徴とする請求項1に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項11】
前記個別液室と前記ノズルを連通するノズル連通路を有し、
前記排出流路は前記ノズル連通路を介して前記個別液室に連通し、
前記個別液室の前記ノズル連通路側端部が下流側の前記ノズル連通路に向かって傾斜する形状であり、前記ノズル連通路の前記排出流路の入口に対向する壁面を下流側に向かって傾斜する形状である
ことを特徴とする請求項1に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項12】
液体を吐出するノズルと、
前記ノズルに連通する個別液室と、
前記個別液室に連通して前記液体を供給する供給流路と、
前記個別液室に連通して前記液体を排出する排出流路と、を備え、
前記供給流路の流体抵抗Rinと前記排出流路の流体抵抗Routとが、Rin>Rout、の関係にあり、
前記供給流路に通じる供給側共通液室と、
前記排出流路が通じる排出側共通液室と、を備え、
前記供給側共通液室及び前記排出側共通液室は、ノズル配列方向と直交する方向において、ノズルに対して同じ側に配置され、
前記供給流路及び前記排出流路はノズル配列方向に延びており、
前記排出流路の入口に対向する前記個別液室側の壁面が曲面形状である
ことを特徴とする液体吐出ヘッド。
【請求項13】
液体を吐出するノズルと、
前記ノズルに連通する個別液室と、
前記個別液室に連通して前記液体を供給する供給流路と、
前記個別液室に連通して前記液体を排出する排出流路と、を備え、
前記供給流路の流体抵抗Rinと前記排出流路の流体抵抗Routとが、Rin>Rout、の関係にあり、
前記供給流路に通じる供給側共通液室と、
前記排出流路が通じる排出側共通液室と、を備え、
前記供給側共通液室及び前記排出側共通液室は、ノズル配列方向と直交する方向において、ノズルに対して同じ側に配置され、
前記供給流路及び前記排出流路は、ノズル配列方向に延びており、
前記供給流路又は前記排出流路の前記個別液室に連通する側は、平面視において、ノズル配列方向に対して屈曲している
ことを特徴とする液体吐出ヘッド。
【請求項14】
液体を吐出するノズルと、
前記ノズルに連通する個別液室と、
前記個別液室に連通して前記液体を供給する供給流路と、
前記個別液室に連通して前記液体を排出する排出流路と、を備え、
前記供給流路の流体抵抗Rinと前記排出流路の流体抵抗Routとが、Rin>Rout、の関係にあり、
前記供給流路に通じる供給側共通液室と、
前記排出流路が通じる排出側共通液室と、を備え、
前記供給側共通液室及び前記排出側共通液室は、ノズル配列方向と直交する方向において、ノズルに対して同じ側に配置され、
前記排出流路に対向する前記
個別液室側の面は、平面視において、円弧状であり、
前記ノズルの投影位置が円弧の中心よりも前記排出流路側にある
ことを特徴とする液体吐出ヘッド。
【請求項15】
液体を吐出するノズルと、
前記ノズルに連通する個別液室と、
前記個別液室に連通して前記液体を供給する供給流路と、
前記個別液室に連通して前記液体を排出する排出流路と、を備え、
前記供給流路の流体抵抗Rinと前記排出流路の流体抵抗Routとが、Rin>Rout、の関係にあり、
前記個別液室と前記ノズルを連通するノズル連通路を有し、
前記排出流路は前記ノズル連通路を介して前記個別液室に連通し、
前記個別液室の前記ノズル連通路側端部が下流側の前記ノズル連通路に向かって傾斜する形状であり、前記ノズル連通路の前記排出流路の入口に対向する壁面を下流側に向かって傾斜する形状である
ことを特徴とする液体吐出ヘッド。
【請求項16】
請求項1ないし15のいずれかに記載の液体吐出ヘッドを含むことを特徴とする液体吐出ユニット。
【請求項17】
前記液体吐出ヘッドに供給する液体を貯留するヘッドタンク、前記液体吐出ヘッドを搭載するキャリッジ、前記液体吐出ヘッドに液体を供給する供給機構、前記液体吐出ヘッドの維持回復を行う維持回復機構、前記液体吐出ヘッドを主走査方向に移動させる主走査移動機構の少なくともいずれか一つと前記液体吐出ヘッドとを一体化した
ことを特徴とする請求項16に記載の液体吐出ユニット。
【請求項18】
請求項1ないし15のいずれかに記載の液体吐出ヘッド、又は、請求項16若しくは17に記載の液体吐出ユニットを備えていることを特徴とする液体を吐出する装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液体吐出ヘッド、液体吐出ユニット、液体を吐出する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液体を吐出する液体吐出ヘッドとして、個別液室に供給された液体の内の吐出されなかった液体を排出流路から排出側共通液室に戻し、液体を循環させることで、個別液室内に混入した気泡の排出性の向上及び液体の特性変化の抑制を図る循環型ヘッドが知られている。
【0003】
従来、第1のマニホールドと第2のマニホールドとの間で圧力発生室を介してインクを循環させ、ノズル開口が形成するノズル列の外側で、該ノズル列の一端側と他端側との二箇所で第1および第2のマニホールドをそれぞれ接続している第1および第2のバイパス流路を有し、しかも第1および第2のバイパス流路の流路抵抗Rと、第1および第2のマニホールドを接続する各圧力発生室を含む流路部分の流路抵抗rとの関係がR<r/N(ただし、Nは全ノズル開口の数)となるように構成したヘッドが知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
循環型ヘッドにおいては、供給側に正圧を与え、排出側に負圧を与えることでヘッド内流路を含む循環経路を介して液体を循環させる。そのため、大きな負圧を与えることで液体が溶媒の蒸発等により変質するおそれがある場合には循環を行うことができなくなるという課題がある。
【0006】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、負圧による液体の変質を抑えつつ循環を行うことができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明の請求項1に係る液体吐出ヘッドは、
液体を吐出するノズルと、
前記ノズルに連通する個別液室と、
前記個別液室に連通して前記液体を供給する供給流路と、
前記個別液室に連通して前記液体を排出する排出流路と、を備え、
前記供給流路の流体抵抗Rinと前記排出流路の流体抵抗Routとが、Rin>Rout、の関係にあり、
抵抗比Rout/Rinは、0.5~1.0の範囲内である
構成とした。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、負圧による液体の変質を抑えつつ循環を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る液体吐出ヘッドの外観斜視説明図である。
【
図2】同ヘッドのノズル配列方向と直交する方向の断面説明図である。
【
図3】個別液室循環型ヘッドの電気的等価回路の説明図である。
【
図4】供給側流体抵抗Rinを固定し、排出側流体抵抗Routを変化させる方法Aによる場合に供給側下限圧力Vinm、排出側下限圧力Voutmの説明図である。
【
図5】合計抵抗Rを固定して抵抗比を変化させる方法Bによる場合の供給側下限圧力Vinm、排出側下限圧力Voutmの説明図である。
【
図7】方法Aによる場合の抵抗比0.1~1.2のときの必要圧力差、逆流量(下限流量)、合計抵抗Rの説明図である。
【
図8】方法Bによる場合の抵抗比0.1~1.2のときの必要圧力差、逆流量(下限流量)、合計抵抗Rの説明図である。
【
図9】方法Bで抵抗比Rout/Rinが1.9~0.1のときと、方法AでRout/Rin=1.9~1で供給側流体抵抗Rinを下げ、Rout/Rin=1~0.1で排出側流体抵抗Routを下げる場合の必要圧力差、逆流量(下限流量)、合計抵抗Rの説明図である。
【
図10】本発明の第2実施形態に係る液体吐出ヘッドのノズル配列方向と直交する方向の断面説明図である。
【
図11】本発明の第3実施形態に係る液体吐出ヘッドのノズル配列方向と直交する方向の断面説明図である。
【
図12】非吐出時及び吐出時の計算モデルの説明に供する説明図である。
【
図13】本発明の第4実施形態に係る液体吐出ヘッドのノズル配列方向と直交する方向の断面説明図である。
【
図14】本発明の第5実施形態に係る液体吐出ヘッドのノズル配列方向と直交する方向の断面説明図である。
【
図15】同じく排出流路を形成する板状部材の平面説明図である。
【
図16】同じくノズル連通路を形成する板状部材の平面説明図である。
【
図17】本発明の第6実施形態に係る液体吐出ヘッドにおけるノズル連通路を形成する板状部材の平面説明図である。
【
図18】本発明の第7実施形態に係る液体吐出ヘッドにおけるノズル連通路を形成する板状部材の平面説明図である。
【
図19】本発明の第8実施形態に係る液体吐出ヘッドにおける供給流路(又は排出流路)を形成する板状部材の平面説明図である。
【
図20】同じくノズル連通路を形成する板状部材の平面説明図である。
【
図21】本発明の第9実施形態に係る液体吐出ヘッドにおける排出流路を形成する板状部材の平面説明図である。
【
図22】同ヘッドのノズル配列方向と直交する方向に沿う要部断面説明図である。
【
図23】比較例のノズル配列方向と直交する方向に沿う要部断面説明図である。
【
図24】本発明の第10実施形態に係る液体吐出ヘッドのノズル配列方向と直交する方向に沿う要部断面説明図である。
【
図25】本発明に係る液体を吐出する装置の一例の要部平面説明図である。
【
図27】本発明に係る液体吐出ユニットの他の例の要部平面説明図である。
【
図28】本発明に係る液体吐出ユニットの更に他の例の正面説明図である。
【
図29】本発明に係る液体を吐出する装置の他の例の概略説明図である。
【
図30】同装置のヘッドユニットの平面説明図である。
【
図31】同装置における液体循環システムの一例の説明に供するブロック説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。本発明の第1実施形態に係る液体吐出ヘッドについて
図1及び
図2を参照して説明する。
図1は同液体吐出ヘッドの外観斜視説明図、
図2は同ヘッドのノズル配列方向と直交する方向の断面説明図である。
【0011】
この液体吐出ヘッドは、ノズル板1と、流路板2と、壁面部材としての振動板部材3とを積層接合している。そして、振動板部材3の振動領域(振動板)30を変位させる圧電アクチュエータ11と、ヘッドのフレーム部材を兼ねている共通液室部材20と、カバー29を備えている。
【0012】
ノズル板1は、液体を吐出する複数のノズル4を有している。
【0013】
流路板2は、ノズル4にノズル連通路5を介して通じる個別液室6、個別液室6に連通する供給側流体抵抗部7、各供給側流体抵抗部7に通じる供給側導入部8を形成している。ここでは、流路板2は、板状部材2A~2Eを積層して構成している。供給側流体抵抗部7及び供給側導入部8で供給流路を構成している。
【0014】
振動板部材3は、流路板2の個別液室6の壁面を形成する変形可能な振動領域30を有する。ここでは、振動板部材3は2層構造(限定されない)とし、流路板2側から薄肉部を形成する第1層と、厚肉部を形成する第2層で形成され、第1層で個別液室6に対応する部分に変形可能な振動領域30を形成している。
【0015】
そして、振動板部材3の個別液室6とは反対側に、振動板部材3の振動領域30を変形させる駆動手段(アクチュエータ手段、圧力発生手段)としての電気機械変換素子を含む圧電アクチュエータ11を配置している。
【0016】
この圧電アクチュエータ11は、例えば、ベース部材13に接合した圧電部材に対してハーフカットダイシングによって溝加工して形成した所要数の柱状の圧電素子12を所定の間隔で有している。圧電素子12は振動板部材3の振動領域(振動板)30に接合している。また、圧電素子12にはフレキシブル配線部材15が接続されている。
【0017】
共通液室部材20は、供給側共通液室10と排出側共通液室50を形成する。供給側共通液室10は、外部から液体を供給する供給口である供給ポート41に通じ、排出側共通液室50は、外部に液体を排出する排出口である排出ポート42に通じている(
図1)。
【0018】
供給側共通液室10は、フィルタ部材9を介して供給側導入部8に通じている。フィルタ部材9は、振動板部材3の第1層にて形成している。
【0019】
また、流路板2は、各個別液室6にノズル連通路5を介して連通する排出側流体抵抗部57と、排出側個別流路56と、排出側導出部58を形成している。
【0020】
排出側導出部58はフィルタ部材59を介して排出側共通液室50に通じている。フィルタ部材59は、振動板部材3の第1層にて形成している。
【0021】
なお、本実施形態では、フィルタ部材9、供給側導入部8及び供給側流体抵抗部7で供給流路を構成し、排出側流体抵抗部57、排出側個別流路56、排出側導出部58及びフィルタ部材59で排出流路を構成している。
【0022】
このように構成した液体吐出ヘッドにおいては、例えば圧電素子12に与える電圧を基準電位(中間電位)から下げることによって圧電素子12が収縮し、振動板部材3の振動領域30が引かれて個別液室6の容積が膨張することで、個別液室6内に液体が流入する。
【0023】
その後、圧電素子12に印加する電圧を上げて圧電素子12を積層方向に伸長させ、振動板部材3の振動領域30をノズル4に向かう方向に変形させて個別液室6の容積を収縮させることにより、個別液室6内の液体が加圧され、ノズル4から液体が吐出される。
【0024】
また、ノズル4から吐出されない液体はノズル4を通過して排出側流体抵抗部57、排出側個別流路56、排出側導出部58及びフィルタ部材59を経て排出側共通液室50に排出される。そして、排出側共通液室50から外部の循環経路を通じて供給側共通液室10に再度供給される。また、液体吐出を行っていないときも、供給側共通液室10から排出側共通液室50に流れ、更に外部の循環経路を通じて供給側共通液室10に再度供給される。
【0025】
なお、ヘッドの駆動方法については上記の例(引き-押し打ち)に限るものではなく、駆動波形の与えた方によって引き打ちや押し打ちなどを行なうこともできる。
【0026】
次に、個別液室循環型ヘッドにおける等価回路について
図3を参照して説明する。
図3は供給口(供給ポート)から排出口(排出ポート)までの等価回路である。
【0027】
ヘッドの供給側共通液室10に正の圧力を与え、排出側共通液室50に負の圧力を与えると、供給側共通液室10から供給側導入部8、供給側流体抵抗部7、個別液室6、ノズル連通路5、ノズル4、排出側流体抵抗部57、排出側個別流路56、排出側導出部58を介して排出側共通液室50に向かう液体の流れが生じ、外部の循環経路を経て供給側共通液室10に再度供給される。
【0028】
ここで、
図6にも示すように、
供給側共通液室10に与える液体の供給側圧力:Vin[Pa]、
排出側共通液室50に与える液体の排出側圧力:Vout[Pa]、
供給側流路の流体抵抗(供給側流体抵抗):Rin[Pa・sec/m
3]、
排出側流路の流体抵抗(排出側流体抵抗):Rout[Pa・sec/m
3]、
とするとき、
循環する液体流量(循環流量)Q[m
3/sec]、ノズル4のメニスカス圧力Vm[Pa]は、次の(1)式で求められる。
【0029】
なお、ここで「供給側流路」とは、供給側共通液室10と個別液室6との間でノズルに対応して個別に形成された流路を指し、供給側導入部8の一部(個別形成された部分)、供給側流体抵抗部7が該当する。また、「排出側流路」とは、ノズル4と排出側共通液室50の間でノズルに対応して個別に形成された流路を指し、排出側流体抵抗部57、排出側個別流路56、排出側導出部58の一部(個別形成された部分)が該当する。
【0030】
【0031】
【0032】
つまり、供給側圧力Vinと供給側流体抵抗Rinに依存する供給側圧力損失、排出側圧力Voutと排出側流体抵抗Routに依存する循環側圧力損失によって決定される。
【0033】
そこで、供給側流体抵抗Rinに対して循環側流体抵抗Routを低くすることで、供給側圧力損失より排出側圧力損失が小さくなり、メニスカスに伝わる排出側圧力Voutの損失が小さくなる。
【0034】
循環流量は供給側圧力Vinと排出側圧力Voutの圧力差で決定されるため、排出側圧力Voutの絶対値を小さくした分、供給側圧力Vinを大きくすることで、循環流量を一定の保ったまま印加する排出側圧力Voutの絶対値を小さくすることができる。このため、排出側圧力Voutの絶対値の下限を下げる(負圧を小さくする)ことができる。
【0035】
また、ヘッド全体の流路抵抗の大きさは(Rin+Rout)が支配的な影響を持つため、排出側流体抵抗Routを下げることで、ヘッド全体の流路抵抗が下がることになる。
【0036】
同じ流量を流す場合、液体粘度が高いほど圧力損失(流体抵抗)は大きくなり、大きい差圧が必要になる。そのため、同じ粘度の液体で比較したときにヘッド全体の流体抵抗(圧力損失)が低い方が差圧に余裕が生まれ、その分液体の粘度を高くしたときの圧力損失の増加を許容できる。
【0037】
個別液室循環型ヘッドでは、吐出時の流量変化量は吐出量をQn、供給側抵抗と排出側抵抗の比をRk:Rhとしたとき、供給側の流量変化量ΔQin、排出側の流量変化量ΔQoutは、次の式で表される。
【0038】
【0039】
【0040】
このとき、ヘッドの液体循環流量Qは、吐出時の排出側の流量変化量ΔQnより大きいことが好ましい。また、吐出時の逆流(排出側流体抵抗部57側からノズル4側への液体の流れ)を防止するために最低限必要な流量(下限循環流量)Qlowは、Qlow=ΔQoutで示される。
【0041】
この下限循環流量Qlowと(1)式によって導かれる圧力差が下限圧力差Plowとなり、下限圧力差Plowと(2)式によって導かれる供給側圧力Vin及び排出側圧力Voutがそれぞれ供給側下限圧力Vinm、排出側下限圧力Voutmとなる。
【0042】
(4)式より、供給側抵抗Rkに対して排出側抵抗Rhが小さい程、下限循環流量Qlowが大きくなるが、(1)式より、流体抵抗が小さい程下限圧力差Plowは小さくなる。
【0043】
排出側流体抵抗Routを小さくしたときは、排出側の流量変化量ΔQoutの増加と排出側流体抵抗Routの減少が打ち消しあい、(1)式より導かれる下限圧力差Plowは一定のまま、(2)式より導かれる排出側下限圧力Voutmが減少することになる。
【0044】
排出側下限圧力Voutmが減少することで、排出側に与える負圧を小さくすることができるので、負圧によって変質を生じる液体であっても、負圧による液体の変質を抑えつつ循環を行うことができる。
【0045】
次に、本実施形態における供給側流体抵抗Rinと排出側流体抵抗Routについて説明する。
【0046】
ここでは、Rout/Rin=0.8、の抵抗比になるように供給側流体抵抗Rinと排出側流体抵抗Routを設定している。
【0047】
ここで、メニスカス圧力Vmは0~-300mmAqの範囲内とし、目標メニスカス圧力Vm=-50mmAqとする。逆流量(下限循環流量)Qlow=13.89mL/min、液体粘度6cPのとき、ヘッド全体の流体抵抗が6.63E+10であるとして、下限圧力差は15.35kPa、排出側下限圧力Voutmは-7.3kPa、供給側下限圧力Vinmは8.0kPaである。
【0048】
一方、Rout/Rin=1.0、の抵抗比になるように設定した場合(比較例)には、逆流量(下限循環流量)Qlow=12.5mL/min、液体粘度6cPのとき、ヘッド全体の流体抵抗が7.37E+10であるとして、下限圧力差は15.35kPa、排出側下限圧力Voutmは-8.16kPa、供給側下限圧力Vinmは7.18kPaである。
【0049】
これらの結果を表1に示している。
【0050】
【0051】
次に、排出側流体抵抗Routを供給側流体抵抗Rinより小さくすることによる効果及び流体抵抗比率(Rout/Rin)の好ましい範囲について説明する。
【0052】
前述したように、循環時の循環流量Qは、前述したように次の(1)式で定まる。また、流路の流体抵抗が決まっているとき、逆流を防ぐために最低限流さなければならない下限流量は、吐出量Qnのときの吐出時の流量変化量ΔQoutとして前述した(4)式で表される。
【0053】
これらの(1)式と(4)式によって必要な圧力差が求められ、具体的な供給側圧力Vin、排出側圧力Voutの値は、前述したが、ノズルのメニスカス圧力Vmを求める次の(2)式で導かれる。
【0054】
【0055】
つまり、供給側圧力Vin、排出側圧力Voutの値は、供給側流体抵抗Rinと排出側流体抵抗Routの比(抵抗比Rout/Rin)で決定される。
【0056】
ここで、流体抵抗比Rout/Rinを変化させる方法としては、次の方法A、方法Bがある。
方法A:供給側流体抵抗Rin及び排出側流体抵抗Routのいずれか一方を固定して抵抗比を変える方法と、
方法B:合計抵抗R=Rin+Rout、を固定したまま、抵抗比を変える方法と、がある。
【0057】
この場合、方法Aで、供給側流体抵抗Rin及び排出側流体抵抗Routのいずれか一方を減らす方が、合計抵抗が減るため、圧力差を減少させる効果は大きくなる。
【0058】
ここで、目標メニスカス圧力Vm=-50mmAq、実験値として吐出量Qnを25mL/minとし、抵抗比Rin:Rout=1:1(Rout/Rin=1.0)のときの抵抗をRin=Rout=3.7E+10とする。
【0059】
そして、抵抗比Rout/Rinを、0.1~1.2までパラメータを振ったときの供給側圧力Vin、排出側圧力Voutを、(1)式、(4)、(2)式から算出した。
【0060】
方法Aで、供給側流体抵抗Rinを固定し、排出側流体抵抗Routを変化させたときの供給側下限圧力Vinm、排出側下限圧力Voutmを
図4に示している。また、方法Bによる場合の供給側下限圧力Vinm、排出側下限圧力Voutmを
図5に示している。これらの
図4及び
図5の結果をグラフ化して
図6に示している。
【0061】
図6においては、
図4(方法A)の結果を「VinmRin変化」「VoutmRin変化」、
図5(方法B)の結果を「VinmRin固定」「VoutmRin固定」として表す。ここで、供給側下限圧力Vinm、排出側下限圧力Voutmの絶対値の値が循環を可能とする最低圧力となるため、供給側下限圧力Vinm、排出側下限圧力Voutmの絶対値は小さな値の方が好ましい。
【0062】
前述のとおり、圧力差を減少させる効果の大きな方法Aを用いる場合、
図6より、方法Aによる場合の排出側下限圧力Voutmは、抵抗比>1のときに、方法Bによる場合の排出側下限圧力Voutmを下回る(絶対値が大きくなる)ので、抵抗比≦1、とすることがこのましい。
【0063】
一方、方法Aで排出側流体抵抗Routを固定する場合は、供給側流体抵抗Rinを変化させる必要があるが、供給側流体抵抗Rinは吐出特性に大きな影響を及ぼすため調整余地は少ない。ここで、
図6によれば、方法Aによる場合の供給側下限圧力Vinmは抵抗比0.5を下回ったところで、制御が比較的容易な10kPaを超えてしまう。
【0064】
したがって、抵抗比Rout/Rinは、0.5~1の範囲内とすることが好ましい。
【0065】
また、(1)式及び(4)式により、流路抵抗が小さい程下限圧力差Plowは小さくなり、供給側流体抵抗Rinに対して排出側流体抵抗Routが小さい程下限流量ΔQoutは大きくなる、という関係が成り立つ。
【0066】
方法Aでは、流路抵抗の減少と下限流量の増加が打ち消しあい、(1)式より導かれる下限圧力差は一定のまま、(2)式より導かれる排出側下限圧力Voutmの減少効果が大きくなる。
【0067】
ここで、方法Aによる場合の抵抗比0.1~1.2のときの必要圧力差、逆流量(下限流量)、合計抵抗Rを
図7に示している。
【0068】
方法Bでは、流路抵抗が変わらず下限流量が増加するため、(1)式より導かれる下限圧力差は増加し、(2)式より導かれる排出側下限圧力Voutmの減少効果が小さい。
【0069】
ここで、方法Bによる場合の抵抗比0.1~1.2のときの必要圧力差、逆流量(下限流量)、合計抵抗Rを
図8に示している。
【0070】
なお、参考として、方法Bで抵抗比Rout/Rinが1.9~0.1のときと、方法A、即ちRout/Rin=1.9~1で供給側流体抵抗Rinを下げ、Rout/Rin=1~0.1で排出側流体抵抗Routを下げて算出した必要圧力差、逆流量(下限流量)、合計抵抗Rを
図9に示している。
【0071】
次に、本発明の第2実施形態に係る液体吐出ヘッドについて
図10を参照して説明する。
図10は同液体吐出ヘッドのノズル配列方向と直交する方向の断面説明図である。
【0072】
本実施形態では、流路板2は板状部材2A~2Dを積層して構成している。そして、板状部材2Dに供給側流体抵抗部7を形成している。
【0073】
ここで、供給側共通液室10に外部から液体を供給する供給ポート41から、供給側共通液室10、フィルタ部材9、供給側導入部8、供給側流体抵抗部7、個別液室6、ノズル連通路5を経て、ノズル4に至る前までの流路の合計流体抵抗をRin2とする。
【0074】
また、排出側流体抵抗部57の入口から、排出側流体抵抗部57、排出側個別流路56、排出側導出部58、フィルタ部材59、排出側共通液室50を経て、排出側共通液室50から外部に液体を排出する排出ポート42までの流路の合計流体抵抗をRout2とする。
【0075】
そして、流体抵抗Rin2と流体抵抗Rout2の関係を、Rin2>Rout2、としている。つまり、抵抗比Rout2/Rin2<1とし、ここでは、抵抗比Rout2/Rin2=0.8になるようにしている。
【0076】
このように供給側の流路全体の流体抵抗よりも排出側の流路全体の流体抵抗を小さくすることによっても、負圧によって変質を生じる液体であっても、負圧による液体の変質を抑えつつ循環を行うことができる。
【0077】
次に、本発明の第3実施形態について
図11を参照して説明する。
図11は同液体吐出ヘッドのノズル配列方向と直交する方向の断面説明図である。
【0078】
本実施形態では、ノズル4の流体抵抗をRpとし、Rin>Rout>Rp、の関係にしている。ここでは、ノズル4の流体抵抗Rpは、供給側流体抵抗Rin、排出側流体抵抗Routの1/10程度としている。また、抵抗比Rout/Rinは、0.5<Rout/Rin<1としている。
【0079】
このヘッドにおける最大吐出量で吐出したときの実測結果は、表2のとおりであった。表2は、流体抵抗比Rout/Rinが「0.86」のとき(流体抵抗逆比Rin/Routが「1.16」のとき)の値である。
【0080】
【0081】
最大吐出量でもメニスカスが維持され、供給側流量変化量と排出側流量変化量は抵抗比の範囲内であるためには、ノズル4の流体抵抗Rpは、供給側流体抵抗Rin及び排出側流体抵抗Routに比較して1/10程度が適している。
【0082】
ここで、非循環時の液体の流量i0、メニスカス圧力Vmとし、ノズル4からの吐出に起因する負圧Vpが個別液室6に与えられると考えると、
図12(a)に示す非吐出時及び
図12(b)に示す吐出時の計算モデルが成り立つ。
【0083】
ノズル4からの吐出量ipを一定と考えると、負圧Vpが印加されたとき、メニスカス圧力Vmaには負圧Vpに加えて圧力損失ip×Rpの分大きく負圧が加わることになる。メニスカス圧力Vmaに負圧が加わることで、吐出時、供給側の流量i1が増加し、排出側の流量i2が減少する。また、供給側流体抵抗Rin及び排出側流体抵抗Routによる圧力損失を受け、圧力変動Vina、Voutaとして圧力に現れる。
【0084】
このとき、ノズル4の流体抵抗Rpが低くすることで、メニスカス圧力Vmaに加わる負圧が制限される。そのため、供給側の流量i1の増加量と、排出側の流量i2の減少量が制限される効果がある。
【0085】
次に、本発明の第4実施形態に係る液体吐出ヘッドについて
図13を参照して説明する。
図13は同液体吐出ヘッドのノズル配列方向と直交する方向の断面説明図である。
【0086】
本実施形態では、流路板2は板状部材2A~2Cを積層して構成している。そして、排出側流体抵抗部を持たないで、排出側個別流路56をそのままノズル連通路5を介して個別液室6に連通させている。
【0087】
ここで、供給側共通液室10に外部から液体を供給する供給ポート41から、供給側共通液室10、フィルタ部材9、供給側導入部8、供給側流体抵抗部7、個別液室6、ノズル連通路5を経て、ノズル4に至る前までの流路の合計流体抵抗をRin1とする。
【0088】
また、排出側流体抵抗部57の入口から、排出側個別流路56、排出側導出部58、フィルタ部材59、排出側共通液室50を経て、排出側共通液室50から外部に液体を排出する排出ポート42までの流路の合計流体抵抗をRout1とする。
【0089】
そして、流体抵抗Rin1と流体抵抗Rout1の関係を、Rin1>Rout1、としている。つまり、抵抗比Rout1/Rin1<1とし、ここでは、抵抗比Rout1/Rin1=0.8になるようにしている。
【0090】
このように、排出側流体抵抗部を持たない場合であっても、供給側の流路全体の流体抵抗よりも排出側の流路全体の流体抵抗を小さくすることによっても、負圧によって変質を生じる液体であっても、負圧による液体の変質を抑えつつ循環を行うことができる。
【0091】
次に、本発明の第5実施形態に係る液体吐出ヘッドについて
図14ないし
図16を参照して説明する。
図14は同液体吐出ヘッドのノズル配列方向と直交する方向の断面説明図、
図15は排出流路を形成する板状部材の平面説明図、
図16はノズル連通路を形成する板状部材の平面説明図である。
【0092】
本実施形態のヘッド構成は、前記第4実施形態と同様としているが、第1ないし第3実施形態のヘッド構成とすることもできる。
【0093】
そして、流路板2を構成するノズル板1側の板状部材2Aは、
図15に示すように、ノズル連通路5の一部となる貫通穴部5a、排出流路を構成する排出側個別流路56となる貫通穴部56a及び排出側導出部58の一部となる貫通穴部58aが連続して形成されている。
【0094】
ここで、排出流路の入口となる排出側個別流路56の入口が対向するノズル連通路5の壁面50aは、平面形状で曲面形状、ここでは円弧状に形成している。
【0095】
また、流路板2を構成する板状部材2Bには、
図16に示すように、ノズル連通路5の残部を形成する円形状の貫通穴5bが形成されている。また、板状部材2Bには、排出側導出部58の一部を形成する長穴形状の貫通穴58bが形成されている。
【0096】
これにより、個別液室6からノズル連通路5からノズル4に至る流路の壁面が曲面形状になって乱流が低減し、ノズル連通路5に臨む排出側個別流路56に液体が流れるときの液体の流れの乱れが抑制され、吐出安定性を向上できる。
【0097】
次に、本発明の第6実施形態に係る液体吐出ヘッドについて
図17を参照して説明する。
図17は同ヘッドにおけるノズル連通路を形成する板状部材の平面説明図である。
【0098】
本実施形態では、流路板2を構成する板状部材2Bには、ノズル連通路5を形成する平面で楕円形状の貫通穴5cが形成されている。また、板状部材2Bには、排出側導出部58の一部を形成する長穴形状の貫通穴58bが形成されている。
【0099】
これにより、前記第5実施形態と同じ開口断面積を確保しつつ、ノズル連通路5を個別液室6の長手方向端部に配置することができて、ヘッドの長手方向の長さを短くすることができる。
【0100】
次に、本発明の第7実施形態に係る液体吐出ヘッドについて
図18を参照して説明する。
図18は同ヘッドにおけるノズル連通路を形成する板状部材の平面説明図である。
【0101】
本実施形態では、流路板2を構成する板状部材2Bには、ノズル連通路5を形成する平面で長穴で長手方向端部が円弧形状の貫通穴5dが形成されている。また、板状部材2Bには、排出側導出部58の一部を形成する長穴形状の貫通穴58bが形成されている。
【0102】
これにより、前記第5実施形態と同じ開口断面積を確保しつつ、ノズル連通路5を個別液室6の長手方向端部に配置することができて、ヘッドの長手方向の長さを短くすることができる。
【0103】
次に、本発明の第8実施形態に係る液体吐出ヘッドについて
図19及び
図20を参照して説明する。
図19は同ヘッドにおける供給流路(又は排出流路)を形成する板状部材の平面説明図、
図20はノズル連通路を形成する板状部材の平面説明図である。
【0104】
流路板2を構成する板状部材2Cには、供給側導入部8、流体抵抗部7、個別液室6を含む供給側流路を形成する連続した貫通穴部81が形成されている。ここで、ノズル連通路5に対応する部分81aは、個別液室6より上流側の部分81bに対して屈曲させている。
【0105】
そして、板状部材2Bには、ノズル連通路5を形成する貫通穴部5eを貫通穴部82の屈曲する部分81aに対応して形成している。
【0106】
なお、板状部材2Cに代えて、あるいは板状部材2Aとともに、貫通穴部81でノズル連通路5の一部、排出側個別流路56、排出側導出部58の一部を形成する。
【0107】
このように、供給側流路(又は排出側流路)を屈曲させることで、ヘッドの更なる小型化を図ることができる。また、ノズルと圧電アクチュエータのピッチがズレているときにも簡単に対応することができる。
【0108】
次に、本発明の第9実施形態に係る液体吐出ヘッドについて
図21及び
図22を参照して説明する。
図21は同ヘッドにおける排出流路を形成する板状部材の平面説明図、
図22は同ヘッドのノズル配列方向と直交する方向に沿う要部断面説明図である。
【0109】
本実施形態では、前記第5実施形態と同様に、排出流路の入口となる排出側個別流路56の入口が対向するノズル連通路5の壁面50aは平面形状で円弧状に形成している。そして、ノズル配列方向と直交する方向(長手方向)において、ノズル4は壁面50aの円弧中心Oよりも壁面50aと反対側に配置している。
【0110】
これにより、
図22に示すように、個別液室6からノズル連通路5に矢印で示すように液体が流れるとき、液体は壁面50aによって流れの方向が曲げられた後にノズル4側に回り込むように流れる。このため、吐出安定性を確保しつつ、ノズルのリフレッシュ性を得ることができる。
【0111】
これに対し、
図23に示す比較例ように、ノズル配列方向と直交する方向(長手方向)において、ノズル4は壁面50aの円弧中心Oよりも壁面50a側に配置されていると、液体は壁面50aによって流れの方向が曲げられる前にノズル4の排出側個別流路56に流れ込み、流れが安定せずに吐出に影響を与える。
【0112】
次に、本発明の第10実施形態に係る液体吐出ヘッドについて
図24を参照して説明する。
図24は同ヘッドのノズル配列方向と直交する方向に沿う要部断面説明図である。
【0113】
本実施形態では、個別液室6のノズル連通路側端部6aを下流側のノズル連通路5に向かって傾斜する湾曲形状とし、ノズル連通路5の排出側個別流路56が対向する壁面50aを下流側に向かって傾斜する湾曲形状としている。
【0114】
これにより、液体の流れが一層安定して、吐出特性が安定する。
【0115】
次に、本発明に係る液体を吐出する装置の一例について
図25及び
図26を参照して説明する。
図25は同装置の要部平面説明図、
図26は同装置の要部側面説明図である。
【0116】
この装置は、シリアル型装置であり、主走査移動機構493によって、キャリッジ403は主走査方向に往復移動する。主走査移動機構493は、ガイド部材401、主走査モータ405、タイミングベルト408等を含む。ガイド部材401は、左右の側板491A、491Bに架け渡されてキャリッジ403を移動可能に保持している。そして、主走査モータ405によって、駆動プーリ406と従動プーリ407間に架け渡したタイミングベルト408を介して、キャリッジ403は主走査方向に往復移動される。
【0117】
このキャリッジ403には、本発明に係る液体吐出ヘッド404及びヘッドタンク441を一体にした液体吐出ユニット440を搭載している。液体吐出ユニット440の液体吐出ヘッド404は、例えば、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の各色の液体を吐出する。また、液体吐出ヘッド404は、複数のノズルからなるノズル列を主走査方向と直交する副走査方向に配置し、吐出方向を下方に向けて装着している。
【0118】
液体吐出ヘッド404の外部に貯留されている液体を液体吐出ヘッド404に供給するための供給機構494により、ヘッドタンク441には、液体カートリッジ450に貯留されている液体が供給される。
【0119】
供給機構494は、液体カートリッジ450を装着する充填部であるカートリッジホルダ451、チューブ456、送液ポンプを含む送液ユニット452等で構成される。液体カートリッジ450はカートリッジホルダ451に着脱可能に装着される。ヘッドタンク441には、チューブ456を介して送液ユニット452によって、液体カートリッジ450から液体が送液される。
【0120】
この装置は、用紙410を搬送するための搬送機構495を備えている。搬送機構495は、搬送手段である搬送ベルト412、搬送ベルト412を駆動するための副走査モータ416を含む。
【0121】
搬送ベルト412は用紙410を吸着して液体吐出ヘッド404に対向する位置で搬送する。この搬送ベルト412は、無端状ベルトであり、搬送ローラ413と、テンションローラ414との間に掛け渡されている。吸着は静電吸着、あるいは、エアー吸引などで行うことができる。
【0122】
そして、搬送ベルト412は、副走査モータ416によってタイミングベルト417及びタイミングプーリ418を介して搬送ローラ413が回転駆動されることによって、副走査方向に周回移動する。
【0123】
さらに、キャリッジ403の主走査方向の一方側には搬送ベルト412の側方に液体吐出ヘッド404の維持回復を行う維持回復機構420が配置されている。
【0124】
維持回復機構420は、例えば液体吐出ヘッド404のノズル面(ノズルが形成された面)をキャッピングするキャップ部材421、ノズル面を払拭するワイパ部材422などで構成されている。
【0125】
主走査移動機構493、供給機構494、維持回復機構420、搬送機構495は、側板491A,491B、背板491Cを含む筐体に取り付けられている。
【0126】
このように構成したこの装置においては、用紙410が搬送ベルト412上に給紙されて吸着され、搬送ベルト412の周回移動によって用紙410が副走査方向に搬送される。
【0127】
そこで、キャリッジ403を主走査方向に移動させながら画像信号に応じて液体吐出ヘッド404を駆動することにより、停止している用紙410に液体を吐出して画像を形成
する。
【0128】
このように、この装置では、本発明に係る液体吐出ヘッドを備えているので、高画質画像を安定して形成することができる。
【0129】
次に、本発明に係る液体吐出ユニットの他の例について
図27を参照して説明する。
図7は同ユニットの要部平面説明図である。
【0130】
この液体吐出ユニットは、前記液体を吐出する装置を構成している部材のうち、側板491A、491B及び背板491Cで構成される筐体部分と、主走査移動機構493と、キャリッジ403と、液体吐出ヘッド404で構成されている。
【0131】
なお、この液体吐出ユニットの例えば側板491Bに、前述した維持回復機構420、及び供給機構494の少なくともいずれかを更に取り付けた液体吐出ユニットを構成することもできる。
【0132】
次に、本発明に係る液体吐出ユニットの更に他の例について
図28を参照して説明する。
図28は同ユニットの正面説明図である。
【0133】
この液体吐出ユニットは、流路部品444が取付けられた液体吐出ヘッド404と、流路部品444に接続されたチューブ456で構成されている。
【0134】
なお、流路部品444はカバー442の内部に配置されている。流路部品444に代えてヘッドタンク441を含むこともできる。また、流路部品444の上部には液体吐出ヘッド404と電気的接続を行うコネクタ443が設けられている。
【0135】
次に、本発明に係る液体を吐出する装置の他の例について
図29及び
図30を参照して説明する。
図29は同装置の概略説明図、
図30は同装置のヘッドユニットの平面説明図である。
【0136】
この装置は、連続媒体510を搬入する搬入手段501と、搬入手段501から搬入された連続媒体510を印刷手段505に案内搬送する案内搬送手段503と、連続媒体510に対して液体を吐出して画像を形成する印刷を行う印刷手段505と、連続媒体510を乾燥する乾燥手段507と、連続媒体510を排出する排出手段509などを備えている。
【0137】
連続媒体510は搬入手段501の元巻きローラ511から送り出され、搬入手段501、案内搬送手段503、乾燥手段507、排出手段509の各ローラによって案内、搬送されて、排出手段509の巻取りローラ591にて巻き取られる。
【0138】
この連続媒体510は、印刷手段505において、搬送ガイド部材559上をヘッドユニット550及びヘッドユニット555に対向して搬送され、ヘッドユニット550から吐出される液体によって画像が形成され、ヘッドユニット55から吐出される処理液で後処理が行われる。
【0139】
ここで、ヘッドユニット550には、例えば、媒体搬送方向上流側から、4色分のフルライン型ヘッドアレイ551K、551C、551M、551Y(以下、色の区別しないときは「ヘッドアレイ551」という。)が配置されている。
【0140】
各ヘッドアレイ551は、液体吐出手段であり、それぞれ、搬送される連続媒体510に対してブラックK,シアンC、マゼンタM、イエローYの液体を吐出する。なお、色の種類及び数はこれに限るものではない。
【0141】
ヘッドアレイ551は、本発明に係る複数の液体吐出ヘッド(これを、単に「ヘッド」ともいう。)1000をベース部材552上に千鳥状に並べて配置したものであるが、これに限らない。
【0142】
次に、この装置における液体循環システムの一例について
図31を参照して説明する。
図31は同システムの説明に供するブロック説明図である。
【0143】
液体循環システム630は、メインタンク602、ヘッド1000、供給タンク631、循環タンク632、コンプレッサ633、真空ポンプ634、第1送液ポンプ635、第2送液ポンプ636、供給側圧力センサ637、循環側圧力センサ638、レギュレータ(R)639a,639bなどで構成されている。
【0144】
供給側圧力センサ637は、供給タンク631とヘッド1000との間であって、ヘッド1000の供給ポート41に繋がった供給流路側に接続されている。循環側圧力センサ638は、ヘッド1000と循環タンク632との間であって、ヘッド1000の排出ポート42に繋がった排出流路側に接続されている。
【0145】
循環タンク632の一方は、第1送液ポンプ635を介して供給タンク631と接続されており、循環タンク632の他方は第2送液ポンプ636を介してメインタンク602と接続されている。
【0146】
これにより、供給タンク631から供給ポート41を通ってヘッド1000内に液体が流入し、排出ポート42から排出されて循環タンク632へ排出される。そして、さらに第1送液ポンプ635によって循環タンク632から供給タンク631へ液体が送られることによって液体が循環する。
【0147】
また、供給タンク631にはコンプレッサ633がつなげられており、供給側圧力センサ637で所定の正圧が検知されるように制御される。一方、循環タンク632には真空ポンプ634がつなげられており、循環側圧力センサ638で所定の負圧が検知されるよう制御される。
【0148】
これにより、ヘッド1000内を通って液体を循環させつつ、メニスカスの負圧を一定に保つことができる。
【0149】
また、ヘッド1000のノズル4から液体を吐出すると、供給タンク631及び循環タンク632内の液体量が減少していく。そのため、適宜、第2送液ポンプ636を用いて、メインタンク602から循環タンク632に液体を補充する。メインタンク602から循環タンク632への液体補充のタイミングは、循環タンク632内の液体の液面高さが所定高さよりも下がったときに液体補充を行うなど、循環タンク632内に設けた液面センサなどの検知結果によって制御することができる。
【0150】
本願において、吐出される液体は、ヘッドから吐出可能な粘度や表面張力を有するものであればよく、特に限定されないが、常温、常圧下において、または加熱、冷却により粘度が30mPa・s以下となるものであることが好ましい。より具体的には、水や有機溶媒等の溶媒、染料や顔料等の着色剤、重合性化合物、樹脂、界面活性剤等の機能性付与材料、DNA、アミノ酸やたんぱく質、カルシウム等の生体適合材料、天然色素等の可食材料、などを含む溶液、懸濁液、エマルジョンなどであり、これらは例えば、インクジェット用インク、表面処理液、電子素子や発光素子の構成要素や電子回路レジストパターンの形成用液、3次元造形用材料液等の用途で用いることができる。
【0151】
液体を吐出するエネルギー発生源として、圧電アクチュエータ(積層型圧電素子及び薄膜型圧電素子)、発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いるサーマルアクチュエータ、振動板と対向電極からなる静電アクチュエータなどを使用するものが含まれる。
【0152】
「液体吐出ユニット」は、液体吐出ヘッドに機能部品、機構が一体化したものであり、液体の吐出に関連する部品の集合体が含まれる。例えば、「液体吐出ユニット」は、ヘッドタンク、キャリッジ、供給機構、維持回復機構、主走査移動機構の構成の少なくとも一つを液体吐出ヘッドと組み合わせたものなどが含まれる。
【0153】
ここで、一体化とは、例えば、液体吐出ヘッドと機能部品、機構が、締結、接着、係合などで互いに固定されているもの、一方が他方に対して移動可能に保持されているものを含む。また、液体吐出ヘッドと、機能部品、機構が互いに着脱可能に構成されていても良い。
【0154】
例えば、液体吐出ユニットとして、液体吐出ヘッドとヘッドタンクが一体化されているものがある。また、チューブなどで互いに接続されて、液体吐出ヘッドとヘッドタンクが一体化されているものがある。ここで、これらの液体吐出ユニットのヘッドタンクと液体吐出ヘッドとの間にフィルタを含むユニットを追加することもできる。
【0155】
また、液体吐出ユニットとして、液体吐出ヘッドとキャリッジが一体化されているものがある。
【0156】
また、液体吐出ユニットとして、液体吐出ヘッドを走査移動機構の一部を構成するガイド部材に移動可能に保持させて、液体吐出ヘッドと走査移動機構が一体化されているものがある。また、液体吐出ヘッドとキャリッジと主走査移動機構が一体化されているものがある。
【0157】
また、液体吐出ユニットとして、液体吐出ヘッドが取り付けられたキャリッジに、維持回復機構の一部であるキャップ部材を固定させて、液体吐出ヘッドとキャリッジと維持回復機構が一体化されているものがある。
【0158】
また、液体吐出ユニットとして、ヘッドタンク若しくは流路部品が取付けられた液体吐出ヘッドにチューブが接続されて、液体吐出ヘッドと供給機構が一体化されているものがある。このチューブを介して、液体貯留源の液体が液体吐出ヘッドに供給される。
【0159】
主走査移動機構は、ガイド部材単体も含むものとする。また、供給機構は、チューブ単体、装填部単体も含むものする。
【0160】
「液体を吐出する装置」には、液体吐出ヘッド又は液体吐出ユニットを備え、液体吐出ヘッドを駆動させて液体を吐出させる装置が含まれる。液体を吐出する装置には、液体が付着可能なものに対して液体を吐出することが可能な装置だけでなく、液体を 気中や液中に向けて吐出する装置も含まれる。
【0161】
この「液体を吐出する装置」は、液体が付着可能なものの給送、搬送、排紙に係わる手段、その他、前処理装置、後処理装置なども含むことができる。
【0162】
例えば、「液体を吐出する装置」として、インクを吐出させて用紙に画像を形成する装置である画像形成装置、立体造形物(三次元造形物)を造形するために、粉体を層状に形成した粉体層に造形液を吐出させる立体造形装置(三次元造形装置)がある。
【0163】
また、「液体を吐出する装置」は、吐出された液体によって文字、図形等の有意な画像が可視化されるものに限定されるものではない。例えば、それ自体意味を持たないパターン等を形成するもの、三次元像を造形するものも含まれる。
【0164】
上記「液体が付着可能なもの」とは、液体が少なくとも一時的に付着可能なものであって、付着して固着するもの、付着して浸透するものなどを意味する。具体例としては、用紙、記録紙、記録用紙、フィルム、布などの被記録媒体、電子基板、圧電素子などの電子部品、粉体層(粉末層)、臓器モデル、検査用セルなどの媒体であり、特に限定しない限り、液体が付着するすべてのものが含まれる。
【0165】
上記「液体が付着可能なもの」の材質は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックスなど液体が一時的でも付着可能であればよい。
【0166】
また、「液体を吐出する装置」は、液体吐出ヘッドと液体が付着可能なものとが相対的に移動する装置があるが、これに限定するものではない。具体例としては、液体吐出ヘッドを移動させるシリアル型装置、液体吐出ヘッドを移動させないライン型装置などが含まれる。
【0167】
また、「液体を吐出する装置」としては、他にも、用紙の表面を改質するなどの目的で用紙の表面に処理液を塗布するために処理液を用紙に吐出する処理液塗布装置、原材料を溶液中に分散した組成液を、ノズルを介して噴射させて原材料の微粒子を造粒する噴射造粒装置などがある。
【0168】
なお、本願の用語における、画像形成、記録、印字、印写、印刷、造形等はいずれも同義語とする。
【符号の説明】
【0169】
1 ノズル板
2 流路板
3 振動板
4 ノズル
5 ノズル連通路
6 個別液室
7 供給側流体抵抗部
8 供給側導入部
10 供給側共通液室
11 圧電アクチュエータ
20 共通液室部材(フレーム部材)
50 排出側共通液室
56 排出側個別流路
57 排出側流体抵抗部
58 排出側導出部
403 キャリッジ
404 液体吐出ヘッド
440 液体吐出ユニット
630 液体循環システム
1000 液体吐出ヘッド