(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-14
(45)【発行日】2022-03-23
(54)【発明の名称】ヘッド清掃装置、ヘッドメンテナンス装置、液体を吐出する装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/165 20060101AFI20220315BHJP
【FI】
B41J2/165 305
B41J2/165 307
B41J2/165 303
(21)【出願番号】P 2017180184
(22)【出願日】2017-09-20
【審査請求日】2020-07-07
(31)【優先権主張番号】P 2016219988
(32)【優先日】2016-11-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】230100631
【氏名又は名称】稲元 富保
(72)【発明者】
【氏名】浅野 幸博
【審査官】長田 守夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-286077(JP,A)
【文献】特開2013-199081(JP,A)
【文献】国際公開第2015/126355(WO,A1)
【文献】特開2016-124109(JP,A)
【文献】特開2009-132007(JP,A)
【文献】国際公開第2016/002896(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を吐出する液体吐出ヘッドのノズル面を払拭する第1払拭部材と、
前記ノズル面を払拭する第2払拭部材と、を備え、
前記第1払拭部材は、帯状の払拭部材であり、
前記第1払拭部材と前記第2払拭部材とは、一体で、前記ノズル面を払拭する払拭方向及び前記ノズル面に対して進退する方向に移動可能であり、
前記第2払拭部材は、前記ノズル面を払拭するときの払拭位置と、前記第1払拭部材で清浄化されるときの清浄化位置との間で
回転可能に配置され、
前記第2払拭部材は、前記第1払拭部材の送り方向において、前記第1払拭部材が前記ノズル面と接触する位置よりも上流側に配置されている
ことを特徴とするヘッド清掃装置。
【請求項2】
前記第2払拭部材は、前記第1払拭部材が前記ノズル面を払拭するときに前記ノズル面に接触
せず、かつ、前記第1払拭部材に接触しない退避位置に移動可能である
ことを特徴とする請求項1に記載のヘッド清掃装置。
【請求項3】
前記第2払拭部材は、ブレード部材である
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のヘッド清掃装置。
【請求項4】
前記清浄化位置は、
払拭方向において、前記第1払拭部材が前記ノズル面に接触する位置よりも上流側で、かつ、前記第2部材よりも下流側であって、前記第1払拭部材の送りを案内する案内ローラが配置されている位置であり、
前記第2払拭部材は、前記清浄化位置では前記第1払拭部材を介して前記案内ローラに対向する
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のヘッド清掃装置。
【請求項5】
前記案内ローラは、外形状が凹凸形状である
ことを特徴とする請求項4に記載のヘッド清掃装置。
【請求項6】
液体吐出ヘッドのメンテナンスを行うヘッドメンテナンス装置であって、
請求項1ないし
5のいずれかに記載のヘッド清掃装置を備えている
ことを特徴とするヘッドメンテナンス装置。
【請求項7】
液体を吐出する液体吐出ヘッドと、
請求項1ないし
5のいずれかに記載のヘッド清掃装置、又は請求項
6に記載のメンテナンス装置と、を備えている
ことを特徴とする液体を吐出する装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はヘッド清掃装置、ヘッドメンテナンス装置、液体を吐出する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液体を吐出する液体吐出ヘッドを使用する場合、ノズルの状態を維持回復するため、ノズル面をキャッピングするキャップ、ノズル面を払拭清掃するヘッド清掃装置などを含む維持回復機構(メンテナンス装置)を備える。
【0003】
従来、ノズル面を払拭するブレード部材を備える場合、ブレード部材に付着した廃液を、移動可能に配設されたウェブ状のワイパクリーナによって除去するものが知られている(特許文献1)。また、ノズル面を払拭する払拭部材としてウェブを使用するものが知られている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2010-253823号公報
【文献】特許第5467117号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、払拭部材でノズル面を払拭清掃するときには、できるだけ清浄な状態の払拭部材で、短時間で払拭することによって、メンテナンスに要する時間の短縮化を図ることができる。
【0006】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、簡単な構成で、払拭部材を清浄化でき、払拭時間の短縮化も図れるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明に係るヘッド清掃装置は、
液体を吐出する液体吐出ヘッドのノズル面を払拭する第1払拭部材と、
前記ノズル面を払拭する第2払拭部材と、を備え、
前記第1払拭部材は、帯状の払拭部材であり、
前記第1払拭部材と前記第2払拭部材とは、一体で、前記ノズル面を払拭する払拭方向及び前記ノズル面に対して進退する方向に移動可能であり、
前記第2払拭部材は、前記ノズル面を払拭するときの払拭位置と、前記第1払拭部材で清浄化されるときの清浄化位置との間で回転可能に配置され、
前記第2払拭部材は、前記第1払拭部材の送り方向において、前記第1払拭部材が前記ノズル面と接触する位置よりも上流側に配置されている
構成とした。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、簡単な構成で、払拭部材を清浄化でき、払拭時間の短縮化も図れるようにできる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の第1実施形態に係るヘッド清掃装置の側面説明図である。
【
図3】同実施形態の払拭動作の説明に供する払拭開始位置での側面説明図である。
【
図6】同実施形態におけるワイパの清浄化動作の説明に供する清浄化位置での側面説明図である。
【
図8】同実施形態における払拭動作及び清浄化動作の流れの説明に供するフロー図である。
【
図9】本発明の第2実施形態に係るヘッド清掃装置における払拭動作の説明に供する側面説明図である。
【
図10】本発明の第3実施形態に係るヘッド清掃装置における第2払拭部材の清浄化を行う部分の説明に供する説明図である。
【
図11】本発明の第4実施形態に係るヘッド清掃装置における第2払拭部材の清浄化を行う部分の説明に供する説明図である。
【
図12】本発明の第5実施形態に係るヘッド清掃装置における第2払拭部材の清浄化を行う部分の説明に供する説明図である。
【
図13】本発明の第6実施形態に係るヘッド清掃装置の説明に供する側面説明図である。
【
図14】同じく作用説明に供する側面説明図である。
【
図15】本発明の第7実施形態に係るヘッド清掃装置における第2払拭部材の清浄化を行う部分の説明に供する説明図である。
【
図16】本発明の第8実施形態に係るヘッド清掃装置の説明に供する側面説明図である。
【
図18】本発明の第9実施形態に係るヘッド清掃装置の側面説明図である。
【
図19】本発明に係るメンテナンス装置を含む本発明に係る液体を吐出する装置の概要の正面説明図である。
【
図20】同装置のキャリッジにおけるヘッド配置の一例の説明に供する平面説明図である。
【
図21】本発明に係る液体を吐出する装置の制御部の一例を示すブロック説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して説明する。本発明の第1実施形態に係るヘッド清掃装置について
図1及び
図2を参照して説明する。
図1は同ヘッド清掃装置の側面説明図、
図2は同ヘッド清掃装置の平面説明図である。
【0011】
このヘッド清掃装置は、液体吐出ヘッド(以下、単に「ヘッド」ともいう。)20のノズル面20aを払拭して清掃する払拭機構であり、ノズル面20aを払拭する第1払拭部材である帯状の払拭部材としてのウェブ2と、第2払拭部材である弾性体からなるブレード状のワイパ14を備えている。これらのウェブ2及びワイパ14は、
図2に示す側板18,19間に保持されている。
【0012】
ウェブ2としては、吸収性を有し、少なくとも使用する液体に対して耐液性を有するとともに、毛羽立ちや発塵を生じないシート状の材料からなることが好ましく、例えば、不織布、布、フィルム、紙などが挙げられる。
【0013】
ウェブ2は、繰り出しロール3から繰り出され、搬送ローラ4、5を経て、巻取りロール6に巻き取られる。搬送ローラ4、5は側板18、19に回転可能に保持されている。ここでは、繰り出しロール3を払拭方向の上流側に、巻取りロール6を払拭方向の下流側に配置し、ウェブ2は払拭方向に沿う方向に巻き取る、つまりウェブ2の送り方向を払拭方向とする構成としている。なお、「払拭方向」は、ヘッド清掃装置がノズル面20aに対して相対的に移動する方向である。
【0014】
2つの搬送ローラ4、5の間には、ウェブ2をノズル面20aに押し付ける押圧部材11が配置されている。押圧部材11は、ノズル面20aのウェブ2を接触させるときには、スプリング12によって所定の押し付け力でウェブ2をノズル面20aに押し付ける。
【0015】
ここで、スプリング12による押し付け力を変化させる構成を備えることができる。そして、払拭間隔(前回からの経過時間)に応じて、例えば、経過時間が長くなるほど押し付け力を強くする制御を行うようにすることができる。
【0016】
また、異なる素材のウェブを交換して使用するような場合、ウェブの素材の張力に応じた押し付け力に関する情報を記憶しておき、ウェブの素材(種類)を検出して、当該ウェブの素材の張力に応じた押し付け力を与える制御を行うようにすることができる。
【0017】
巻取りロール6の軸6aには、駆動モータ8の駆動力がギヤ列からなる伝達機構7を介して伝達される。
【0018】
搬送ローラ5にはコードホイール9を取り付け、このコードホイール9に形成したパターンを検出する透過型フォトセンサからなるエンコーダセンサ10を設けている。これらのコードホイール9とエンコーダセンサ10によってウェブ2の移動距離(送り量)を検出するエンコーダを構成している。
【0019】
また、ウェブ2に対して払拭方向上流側にワイパ14が配置されている。ワイパ14は、ワイパホルダ13に保持されている。ワイパホルダ13の軸15の端部は側板18、19に回転可能に保持されている。
【0020】
ワイパ14は、ウェブ2がノズル面20aに接触する位置(押圧部材11の位置)よりもウェブ2の移動方向で上流側に配置されている。つまり、ワイパ14をウェブ2で清浄化する清浄化位置は、ウェブ2の送り方向において、ウェブ2がノズル面20aと接触する位置よりもウェブ2の送り方向上流側である。
【0021】
これにより、ワイパ14の清浄化位置には常にウェブ2の未使用領域が来るので、ワイパ14を清浄化するときには無駄な時間をかけることなく清浄化を行うことができる。また、ウェブ2がノズル面20aと接触する位置と清浄化位置との間のウェブ2の未使用領域も払拭に使用することができ、ウェブ2の無駄な消費がなくなる。
【0022】
なお、ワイパ14は、搬送ローラ4側に配置されていてもよい。すなわち、ワイパ14はウェブ2に対して払拭方向下流側に配置することもできる。このとき、この場合、ノズル面20aの払拭順序は、ワイパ14、ウェブ2の順となるため、ウェブ2の移動方向(送り方向)が逆になるように繰り出しロール3と巻取りロール6の位置を入れ替えることもできる。
【0023】
つまり、ワイパ14をウェブ2に対して払拭方向下流側に配置し、ウェブ2の送り方向が払拭方向と同じであるときには、ウェブ2のノズル面20aと接触して汚れた部分がワイパ14を清浄化する清浄化位置に移動することになる。したがって、ワイパ14を清浄化するためには、ウェブ2がノズル面20aに接触する前の汚れていない部分がワイパ14を清浄化する清浄化位置になるまでウェブ2を送る必要が生じ、ウェブ2の未使用領域が無駄になる。
【0024】
そこで、ワイパ14(第2払拭部材)はウェブ2(第1払拭部材)に対してウェブ2の送り方向上流側になるように配置することで、ウェブ2の無駄な消費を低減することができる。
【0025】
そして、ステッピングモータなどの駆動モータ17の回転を、ギヤ列で構成した伝達機構16を介してワイパホルダ13の軸15に伝達し、駆動モータ17によってワイパホルダ13を回転可能としている。
【0026】
これにより、ワイパ14は、少なくとも、ノズル面20aに接触可能な高さの実線図示の位置(払拭位置)と、ウェブ2に接触する破線図示の位置(清浄化位置)との間で変位可能としている。これにより、ウェブ2の送り方向は、払拭方向の上流側から下流側に向かう方向であり、清浄化位置は、ウェブ2のノズル面20aとの接触する位置よりも上流側となる。
【0027】
この場合、ワイパ14がウェブ2に接触する清浄化位置は、ウェブ2を案内する搬送ローラ5に対向する位置としている。これにより、ワイパ14にウェブ2を確実に接触させることができる。
【0028】
上述したウェブ2、繰り出しロール3、巻取りロール6、搬送ローラ4、5、伝達機構7、駆動モータ8、ワイパホルダ13、伝達機構16、駆動モータ17などは、ヘッド20に対して相対的に移動する移動部材30に搭載されている。
【0029】
移動部材30は、ヘッド20のノズル配列方向である矢印Y方向(払拭方向)に往復移動可能に配置されている。この移動部材30の払拭方向への移動は、ラック31及びピニオン32と、ピニオン32を回転させる移動部材移動モータ33を含む移動機構よって行われる。
【0030】
また、移動部材30は、ウェブ2及びワイパ14がノズル面20aに対して進退する方向、ここでは上下方向に移動可能(昇降可能)に配置されている。移動部材30の昇降は、例えばカム35と、カム35を回転させる移動部材昇降モータ36を含む昇降機構によって行われる。
【0031】
次に、本実施形態の払拭動作について
図3ないし
図5を参照して説明する。
図3は払拭開始位置での側面説明図、
図4は払拭動作中の側面説明図、
図5は払拭終了位置での側面説明図である。
【0032】
まず、ヘッド20のノズル面20aの払拭清掃を行うときには、
図3に示すように、移動部材30が上昇して、ヘッド20のノズル面20aの払拭開始となる一端部に、ウェブ2が所定の押圧力で押付けられる。このとき、ワイパ14はノズル面20aには接触していない。
【0033】
そして、
図4に示すように、移動部材30が払拭方向(Y1方向)に移動されることで、ウェブ2によってノズル面20aに残留している液体(廃液という)300が払拭ないし吸収されて除去される。
【0034】
次いで、ウェブ2が所定位置まで移動したときに、ワイパ14がノズル面20aに一端部側から接触し、ワイパ14は移動部材30の移動に伴ってウェブ2で拭き残した廃液300を払拭しながら払拭方向に移動する。
【0035】
そして、
図5に示すように、ワイパ14がノズル面20aの他端部に到達した位置で、移動部材30の払拭方向への移動を停止させ、その後に、移動部材30を下降させて、ワイパ14をノズル面20aから離間させる。
【0036】
これにより、ワイパ14が弾性により変形していた状態から直立状態に戻るときに、ワイパ14に付着した廃液を払拭方向前方に吹き飛ばして、廃液が飛散することによる汚れを防止することができる。
【0037】
次に、ワイパ14の清浄化動作について
図6及び
図7を参照して説明する。
図6は同清浄化動作の説明に供する清浄化位置での側面説明図、
図7は同じく清浄化終了後の側面説明図である。
【0038】
1又は2以上の払拭動作を行ったときには、払拭動作終了位置で、
図6に示すように、駆動モータ17を駆動制御して、ワイパ14を仮想線図示の位置(払拭位置)から矢印方向に回転させて、ウェブ2に接触する実線図示の清浄化位置にする。
【0039】
このとき、ワイパ14をウェブ2に所定時間接触させた状態を維持し、確実にウェブ2にワイパ14に付着している廃液を吸収させる。このワイパ14の回転量(ウェブ2への当接量)及び、接触時間は任意に設定することができる。
【0040】
さらに、ワイパ14の端部とウェブ2の位置は、ワイパ14の素材による硬度や経時変化などの使用状態に応じて、その接触角度を可変としてもよい。
【0041】
また、ワイパ14を搬送ローラ5付近のウェブ2に所定時間接触させた場合、未使用のウェブ2が巻き付けられている繰り出しロール3上に廃液が飛散してウェブ2の未使用部分を汚してしまう可能性がある。
【0042】
そこで、
図6に仮想線で示すように、繰り出しロール3とワイパホルダ13、ワイパ14等との間の空間に、飛散した廃液を受け止める板状の素材などの遮蔽部材40を配置することもできる。この遮蔽部材40は、ワイパホルダ13の軸15の回転に連動させてY方向等に出し入れされるように構成することもできる。
【0043】
そして、ワイパ14に付着した廃液のウェブ2への吸収除去が完了し、ワイパ14が清浄化したときには、
図7に示すように、ワイパ14を逆方向に回転させて、当初の払拭位置となる直立状態に復帰させる。
【0044】
次に、上述した払拭動作及び清浄化動作の流れについて
図8のフロー図を参照して簡単に説明する。
【0045】
ウェブ2が払拭方向における払拭開始位置になる位置に移動部材30を移動し、移動部材30を所定量上昇させて、ウェブ2をノズル面20aに所定の押し付け力で押し付ける。そして、移動部材30を払拭方向に移動させて、ウェブ2による払拭(ワイピング)及びワイパ14による(ワイピング)を行う。
【0046】
その後、ワイパ14がヘッド端部に到達したときに払拭を停止し、移動部材30を下降させて払拭機構(清掃装置)を下降させ、ワイパ14をノズル面20aから離間させる。
【0047】
そして、ワイパ14を回転させてウェブ2に当接させ、所定の停止時間の間、当接状態を維持して、ワイパ14を清浄化する。その後、ワイパ14を逆回転させて払拭位置に戻す。
【0048】
その後、ウェブ2を所定量巻取り、次の払拭動作に備える。
【0049】
このように、第1払拭部材による払拭と第2払拭部材による払拭動作を行うことができて、短時間で払拭を行うことができるとともに、第2払拭部材を第1払拭部材にて清浄化することができる。
【0050】
これにより、簡単な構成で、払拭部材を清浄化でき、払拭時間の短縮化も図ることができる。
【0051】
また、本実施形態においては、第1払拭部材の送り方向は、払拭方向の上流側から下流側に向かう方向であり、清浄化位置は、第1払拭部材のノズル面との接触する位置よりも上流側である構成としているので、第2払拭部材を常に正常な状態にある第1払拭部材で清浄化することができる。
【0052】
次に、本発明の第2実施形態について
図9も参照して説明する。
図9は同実施形態に係るヘッド清掃装置における払拭動作の説明に供する側面説明図である。
【0053】
本実施形態では、ワイパ14は、ノズル面20aに接触しない退避位置に移動可能としている。ワイパ14の退避位置への移動は駆動モータ17の回転量で制御することができる。
【0054】
なお、本実施形態では、ワイパ14がノズル面20aに接触する払拭位置及びウェブ2の接触する清浄化位置以外の位置を退避位置としているが、清浄化位置を退避位置とすることもできる。また、ウェブ2の昇降と、ワイパ13の昇降を別個の昇降機構で行う構成とすれば、ワイパ14の初期位置を退避位置とすることができる。
【0055】
これにより、ウェブ2のみで払拭動作を行うことができるようになる。
【0056】
例えば、ウェブ2のみでの払拭は、ヘッド温度が所定温度よりも低い場合に行う。ヘッド温度がある一定温度(所定温度)より低い場合、液体の粘度が高くなり、ノズル面に付着する液体の廃液を払拭しにくくなる。この場合、ウェブ2のみでノズル面を払拭し、その後にワイパ14で払拭することで、確実にきれいにノズル面を払拭することできる。
【0057】
また、ウェブ2による払拭動作を複数回行うことで、ウェブ2へ確実に廃液を吸収させることができる。
【0058】
また、前回の払拭完了時からある一定以上に時間が経過した場合においても、ウェブのみによる払拭工程とすることがある。待機時間が長くなることで、ノズル面の廃液の粘度が増加することから、所定の待機時間を経過した後の払拭動作では、ウェブのみによる払拭動作を実施して廃液を除去する。このとき、複数回のウェブのみによる払拭動作を行うこともできる。
【0059】
このような場合でも、所定の待機時間のパラメータに加えて、ノズル面に付着する液体の廃液の量やウェブ2の素材等に応じてウェブ2による払拭動作を1回とするか、複数回行うかを選択可能な構成にすることもできる。
【0060】
また、ウェブとワイパによるノズル面の払拭の後、ワイパの清浄化をウェブによって行うという一連の動作に対して、ワイパ14をウェブ2に接触させる回数を選択可能な構成とすることもできる。
【0061】
これによって、ワイパの清浄化を常に実行しないで済むので、払拭時間のさらなる短縮化を図れる。
【0062】
ここで、払拭動作終了後のウェブの巻取り(
図8参照)について説明する。
【0063】
ウェブ2の巻取り量は所定量としている。ウェブ2の交換頻度を低くするためには巻取り量を少なくすることが好ましいで、本実施形態のように、ワイパ14による払拭を行わないときには、ワイパ14を使用するときよりも巻取り量を少なく設定する。これにより、ウェブ2の消費量を抑えることができる。
【0064】
次に、本発明の第3実施形態について
図10を参照して説明する。
図10は同実施形態に係るヘッド清掃装置における第2払拭部材の清浄化を行う部分の説明に供する説明図である。
【0065】
本実施形態では、ウェブ2を案内する搬送ローラ5は、外形状を凹凸形状と、凹部5aを設けている。凹部5aは搬送ローラ5の軸方向に延在している。
【0066】
これにより、
図10(a)に示すようにワイパ14の天面14a及び側面(払拭面)14bに付着した廃液300a、300bを確実に除去することができる。
【0067】
つまり、ワイパ14による払拭動作を行ったとき、ワイパ14には天面4a及び側面4bに廃液300a、300bが付着することになる。そこで、ワイパ14の2箇所の廃液を除去する必要がある。
【0068】
そこで、清浄化位置でワイパ14に対向する搬送ローラ5の外形状を外径に対して凹凸形状とすることで、
図10(b)に示すように、凹形状部にワイパ14が当接することにより、天面4a及び払拭面4bに付着した廃液300a、300aをより確実にウェブ2に吸収させることができる。
【0069】
次に、本発明の第4実施形態について
図11を参照して説明する。
図11は同実施形態に係るヘッド清掃装置における第2払拭部材の清浄化を行う部分の説明に供する説明図である。
【0070】
本実施形態では、ウェブ2を案内する搬送ローラ5は、外形状を凹凸形状と、凹部5a及び凹部5bを設けている。
【0071】
そして、凸部5aのウェブ2と接触する面の送り方向の幅W1とワイパ14の厚さW2とは、W1<W2、の関係が成り立つ構成としている。
【0072】
ここで、隣り合う凸部5a、5aの間隔(凹部5bのウェブ2の送り方向の幅)がワイパ14の厚さW2より狭いとき、すなわち、凸部5aの間隔が密のときには、ウェブ2と搬送ローラ5との密着性が高まり、ワイパ14の先端がしっかり払拭され、その清浄化効果が高まる。
【0073】
一方、隣り合う凸部5a、5aの間隔がワイパ14の厚さW2より広いときには、
図11に示すように、ワイパ14が搬送ローラ5の回転に伴いそれぞれの凸部5aの送り方向の一方の端部5cに当接する。これにより、ワイパ14に付着した廃液300aをより確実にウェブ2に吸収させることができ、ワイパ14の先端がしっかり払拭され、その清浄化効果が高まる。
【0074】
なお、この場合、搬送ローラ5の凸凹の数やその幅W1を、ワイパ4の厚さW2に対応させて変えるような構成となる。
【0075】
つまり、凸形状の間隔が密のときは、必ずしも端部5Cに当接しないが、その代わりウェブ2と搬送ローラ5との密着性が高まるので、ワイパ14の先端がしっかり払拭され、その清浄化効果が高まることが期待できると思います。
【0076】
次に、本発明の第5実施形態について
図12を参照して説明する。
図12は同実施形態に係るヘッド清掃装置における第2払拭部材の清浄化を行う部分の説明に供する説明図である。
【0077】
本実施形態では、前記第3実施形態において、ワイパ14を清浄化位置にするとき、ワイパ14を、搬送ローラ5のウェブ送り方向上流側、すなわち
図12のウェブ2が反時計回りに巻き取られるときの搬送ローラ5の回転軸よりも下方側の位置で対向させている。
【0078】
これにより、ワイパ14の天面14aから少しはみ出し払拭面の裏面14cに付着した廃液もワイパ14が逆回転して払拭位置に戻るときにウェブ2に吸収させることが可能になる。
【0079】
なお、前記第3実施と組合せて、ワイパ14を
図10(b)の位置で清浄化し、更にワイパ14を一旦
図12の位置まで回転させた後、逆回転して払拭位置に戻すようにすることもできる。
【0080】
また、この搬送ローラ5の凹凸形状は回転方向と直交した方向(軸方向)にスリット形状とすることで、ワイパ14に付着した廃液をウェブ2に吸収させたときに、この凹凸形状によって、ウェブ2の幅方向に均等に広がり、よりワイパ14の汚れを清浄化することができる。
【0081】
次に、本発明の第6実施形態について
図13及び
図14を参照して説明する。
図13は同実施形態に係るヘッド清掃装置の説明に供する側面説明図、
図14は同じく作用説明に供する側面説明図である。
【0082】
本実施形態では、ワイパ14を上下方向に移動可能としたものである。ワイパ14を保持するワイパホルダ13の軸41を上下方向に案内するガイド溝42が例えば側板に設けられている。ワイパホルダ13は、例えばソレノイドなどの移動手段によって上下動される。
【0083】
このように構成したので、
図13に示すようにワイパ14が払拭位置にある状態から
図14に示すようにワイパ14を下降させることで、下降途中でウェブ2によって廃液を吸収して清浄化することができる。
【0084】
このように、ワイパ14の昇降を行うだけであるので、駆動機構(昇降機構)の構成が簡単になる。
【0085】
なお、ワイパ14をノズル面20aに接触しない位置まで下降させることで、前述したようにウェブ2のみでノズル面20aを払拭することができる。
【0086】
このとき、ワイパ14の下降方向と逆向きにウェブ2を移動させることで、ワイパ14とウェブ2との間に摩擦が生じ、さらに効率的にワイパ14に付着した廃液を吸収させることもできる。
【0087】
次に、本発明の第7実施形態について
図15を参照して説明する。
図15は同実施形態に係るヘッド清掃装置における第2払拭部材の清浄化を行う部分の説明に供する説明図である。
【0088】
本実施形態は、前記第6実施形態において、前記第3実施形態と同様に、ウェブ2を案内する搬送ローラ5として外形状が凹凸形状のものを使用している。
【0089】
この構成においては、主としてワイパ14が下降するときに払拭面(側面)14bに付着した廃液がウェブ2に吸収され、ワイパ14が上昇するときに凹部に入り込むことによって天面14aに付着した廃液が吸収される。
【0090】
次に、本発明の第8実施形態について
図16及び
図17を参照して説明する。
図16は同実施形態に係るヘッド清掃装置の説明に供する側面説明図、
図17は同ヘッド清掃装置の平面説明図である。
【0091】
本実施形態は、前記各実施形態(ここでは第1実施形態で図示している。)において、ウェブ2に洗浄液を付与する洗浄液付与手段80を備えている。
【0092】
洗浄液付与手段80は、洗浄液84を供給する供給ポンプ81と、洗浄液を供給する供給チューブ83を備え、這い回される供給チューブ83をスタンド部材82によって支えている。
【0093】
これにより、ノズル面20aを払拭する前に、ウェブ2に洗浄液84を付与(滴下)することで、ノズル面20に付着した廃液をより確実にウェブ2へ吸収させて除去することができる。
【0094】
なお、洗浄液84の供給量は、供給ポンプ81の駆動時間で制御している。洗浄液84の供給量を可変することもできる。
【0095】
次に、本発明の第9実施形態について
図18を参照して説明する。
図18は同実施形態に係るヘッド清掃装置の説明に供する側面説明図である。
【0096】
本実施形態では、払拭方向において、繰り出しロール3と巻取りロール6の位置関係を逆にし、ウェブ2の巻取り方向は払拭方向と反対方向としている。つまり、第1払拭部材(ウェブ2)の送り方向が払拭方向の下流側から上流側に向かう方向である構成としている。
【0097】
これにより、ウェブ2よりも払拭方向上流側に配置されるワイパ14から廃液が垂れ落ちても、ウェブ2の使用済みの領域に滴下されるように構成することができ、ウェブ2の払拭性能(清掃性能)が低下することを防止できる。
【0098】
ここでは、第2払拭部材であるワイパ14の下方に第1払拭部材であるウェブ2の巻取りロール6を配置している。
【0099】
これにより、ワイパ14に付着した廃液が下方に垂れ落ちても、使用済みとなったウェブ2で受けることができ、周囲への飛散を防止することができる。
【0100】
本実施形態においても、これまでの実施形態と同様にワイパ4と搬送ローラ5との接触方向(角度)や搬送ローラ5の外形形状(円弧または凸凹形状)など、ウェブ2の巻き取り回転方向が逆になった場合でもワイパ4に付着した廃液を除去可能な構成を維持できるものであれば、その態様に制限は設けない。
【0101】
次に、本発明に係るヘッドメンテナンス装置を含む液体を吐出する装置の概要について
図19及び
図20を参照して説明する。
図19は液体を吐出する装置の正面説明図、
図20は同装置のキャリッジにおけるヘッド配置の説明に供する平面説明図である。
【0102】
この液体を吐出する装置は、シリアル型装置であり、キャリッジ21に1又は複数の液体吐出ヘッド20(20A~20C)を搭載し、搬送手段22で媒体23を間欠的に搬送する。そして、キャリッジ21を矢印方向に移動させ、液体吐出ヘッド20から所要の液体を吐出して画像を形成する。
【0103】
また、キャリッジ21のホーム位置側には、液体吐出ヘッド20のノズル面20aをキャッピングするキャップ52と、前記第1ないし第9実施形態で説明したようなヘッド清掃装置51とを含みヘッド20のメンテナンス(ヘッドメンテナンス)を行うヘッドメンテナンス装置50を配置している。
【0104】
このように本発明に係るヘッド清掃装置を備えているので、液体吐出ヘッド20のメンテナンス時間を短縮することができるとともに、簡単な構成で払拭部材を清浄化して、清浄な払拭部材で払拭清掃することができる。
【0105】
次に、本発明に係るヘッドメンテナンス装置を含む液体を吐出する装置の制御部の一例について
図21のブロック説明図を参照して説明する。
【0106】
制御部500は、装置全体の制御を司るCPU501と、CPU501が実行するプログラムを含む各種プログラムなどの固定データを格納するROM502と、画像データ等を一時格納するRAM503とを含む主制御部500Aを備えている。
【0107】
また、制御部500は、装置の電源が遮断されている間もデータを保持するための書き換え可能な不揮発性メモリ(NVRAM)504と、画像データに対する各種信号処理、並び替え等を行う画像処理やその他装置全体を制御するための入出力信号を処理するASIC505とを備えている。
【0108】
また、制御部500は、液体吐出ヘッド20を駆動制御するためのデータ転送手段、駆動信号発生手段を含む印刷制御部508と、キャリッジ3側に設けた液体吐出ヘッド20を駆動するためのヘッドドライバ(ドライバIC)509とを備えている。
【0109】
また、制御部500は、キャリッジ21を移動走査する主走査モータ551、搬送手段22を駆動する送りモータ552、ヘッドメンテナンス装置50のキャップ52の移動(昇降)、吸引手段の駆動などを行なう維持回復モータ553を駆動するためのモータ駆動部510を備えている。
【0110】
また、制御部500は、ヘッド清掃装置51を駆動する清掃装置駆動部515を備えている。
【0111】
また、制御部500は、I/O部513を備えている。I/O部513は、温度センサ、その他装置に装着されている各種のセンサ群570からの情報を取得し、装置の制御に必要な情報を抽出し、各種の制御に使用する。
【0112】
また、制御部500には、この装置に必要な情報の入力及び表示を行うための操作パネル514が接続されている。
【0113】
制御部500は、ホスト側とのデータ、信号の送受を行うためのI/F506を持っていて、パーソナルコンピュータ等の情報処理装置、画像読み取り装置、撮像装置などのホスト590のプリンタドライバ591側から、ケーブル或いはネットワークを介してI/F506で受信する。
【0114】
そして、制御部500のCPU501は、I/F506に含まれる受信バッファ内の印刷データを読み出して解析し、ASIC505にて必要な画像処理、データの並び替え処理等を行い、この画像データを印刷制御部508からヘッドドライバ509に転送する。
【0115】
印刷制御部508は、上述した画像データをシリアルデータで転送するとともに、この画像データの転送及び転送の確定などに必要な転送クロックやラッチ信号、制御信号などをヘッドドライバ509に出力する。
【0116】
この印刷制御部508は、ROM502に格納されている駆動パルスのパターンデータをD/A変換するD/A変換器及び電圧増幅器、電流増幅器等で構成される駆動信号生成部を含む。そして、1の駆動パルス或いは複数の駆動パルスで構成される駆動波形を生成してヘッドドライバ509に対して出力する。
【0117】
ヘッドドライバ509は、シリアルに入力されるヘッド4の1行分に相当する画像データに基づいて印刷制御部508から与えられる駆動波形を構成する駆動パルスを選択してヘッド4の圧力発生手段に対して与える。これにより、ヘッド4を駆動する。このとき、駆動波形を構成するパルスの一部又は全部或いはパルスを形成する波形用要素の全部又は一部を選択することによって、例えば、大滴、中滴、小滴など、大きさの異なるドットを打ち分けることができる。
【0118】
ここで、その装置において、ヘッド清掃装置51は、ウェブ2を含むウェブ機構部62と、ワイパ14を含むワイパ機構部64とで構成している。
【0119】
ワイパ機構部64は、前記第2実施形態で説明したように、ワイパ14の位置を第1位置と第2位置に移動可能としている。第1位置は、ウェブ2がノズル面に接触し、ワイパ14もノズル面に接触して、ウェブ2及びワイパ14による払拭が可能な位置である。第2位置は、ウェブ2がノズル面に接触し、ワイパ14がノズル面に接触しない位置である。
【0120】
これにより、この装置では、ウェブ2及びワイパ14を使用して払拭を行う第1モードと、ウェブ2のみを使用して払拭を行う第2モードとを備える。
【0121】
これらの払拭モードは、ユーザの印刷設定に対応させることができる。例えば、払拭動作を第2モードでおこなうか、第1モードで行うかについて、払拭動作前の印刷モードとの関連付けを行うようにすることができる。
【0122】
具体的には、大量印刷を行った後や、インクを多量に使用した印刷時の後にはウェブとワイパを併用する第1モードで払拭動作を行う。一方、印刷枚数が少ない場合や、一定の期間においてインクの使用量が少ない場合などは、ワイパを使用せずウェブのみの第2モードで払拭動作を行う。
【0123】
なお、これらのモード選択は、操作パネル514やホスト側から設定することができる。
【0124】
本願において、吐出される液体は、ヘッドから吐出可能な粘度や表面張力を有するものであればよく、特に限定されないが、常温、常圧下において、または加熱、冷却により粘度が30mPa・s以下となるものであることが好ましい。より具体的には、水や有機溶媒等の溶媒、染料や顔料等の着色剤、重合性化合物、樹脂、界面活性剤等の機能性付与材料、DNA、アミノ酸やたんぱく質、カルシウム等の生体適合材料、天然色素等の可食材料、などを含む溶液、懸濁液、エマルジョンなどであり、これらは例えば、インクジェット用インク、表面処理液、電子素子や発光素子の構成要素や電子回路レジストパターンの形成用液、3次元造形用材料液等の用途で用いることができる。
【0125】
液体を吐出するエネルギー発生源として、圧電アクチュエータ(積層型圧電素子及び薄膜型圧電素子)、発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いるサーマルアクチュエータ、振動板と対向電極からなる静電アクチュエータなどを使用するものが含まれる。
【0126】
「液体吐出ユニット」は、液体吐出ヘッドに機能部品、機構が一体化したものであり、液体の吐出に関連する部品の集合体が含まれる。例えば、「液体吐出ユニット」は、ヘッドタンク、キャリッジ、供給機構、維持回復機構、主走査移動機構の構成の少なくとも一つを液体吐出ヘッドと組み合わせたものなどが含まれる。
【0127】
ここで、一体化とは、例えば、液体吐出ヘッドと機能部品、機構が、締結、接着、係合などで互いに固定されているもの、一方が他方に対して移動可能に保持されているものを含む。また、液体吐出ヘッドと、機能部品、機構が互いに着脱可能に構成されていても良い。
【0128】
例えば、液体吐出ユニットとして、液体吐出ヘッドとヘッドタンクが一体化されているものがある。また、チューブなどで互いに接続されて、液体吐出ヘッドとヘッドタンクが一体化されているものがある。ここで、これらの液体吐出ユニットのヘッドタンクと液体吐出ヘッドとの間にフィルタを含むユニットを追加することもできる。
【0129】
また、液体吐出ユニットとして、液体吐出ヘッドとキャリッジが一体化されているものがある。
【0130】
また、液体吐出ユニットとして、液体吐出ヘッドを走査移動機構の一部を構成するガイド部材に移動可能に保持させて、液体吐出ヘッドと走査移動機構が一体化されているものがある。また、液体吐出ヘッドとキャリッジと主走査移動機構が一体化されているものがある。
【0131】
また、液体吐出ユニットとして、液体吐出ヘッドが取り付けられたキャリッジに、維持回復機構の一部であるキャップ部材を固定させて、液体吐出ヘッドとキャリッジと維持回復機構が一体化されているものがある。
【0132】
また、液体吐出ユニットとして、ヘッドタンク若しくは流路部品が取付けられた液体吐出ヘッドにチューブが接続されて、液体吐出ヘッドと供給機構が一体化されているものがある。このチューブを介して、液体貯留源の液体が液体吐出ヘッドに供給される。
【0133】
主走査移動機構は、ガイド部材単体も含むものとする。また、供給機構は、チューブ単体、装填部単体も含むものする。
【0134】
「液体を吐出する装置」には、液体吐出ヘッド又は液体吐出ユニットを備え、液体吐出ヘッドを駆動させて液体を吐出させる装置が含まれる。液体を吐出する装置には、液体が付着可能なものに対して液体を吐出することが可能な装置だけでなく、液体を 気中や液中に向けて吐出する装置も含まれる。
【0135】
この「液体を吐出する装置」は、液体が付着可能なものの給送、搬送、排紙に係わる手段、その他、前処理装置、後処理装置なども含むことができる。
【0136】
例えば、「液体を吐出する装置」として、インクを吐出させて用紙に画像を形成する装置である画像形成装置、立体造形物(三次元造形物)を造形するために、粉体を層状に形成した粉体層に造形液を吐出させる立体造形装置(三次元造形装置)がある。
【0137】
また、「液体を吐出する装置」は、吐出された液体によって文字、図形等の有意な画像が可視化されるものに限定されるものではない。例えば、それ自体意味を持たないパターン等を形成するもの、三次元像を造形するものも含まれる。
【0138】
上記「液体が付着可能なもの」とは、液体が少なくとも一時的に付着可能なものであって、付着して固着するもの、付着して浸透するものなどを意味する。具体例としては、用紙、記録紙、記録用紙、フィルム、布などの被記録媒体、電子基板、圧電素子などの電子部品、粉体層(粉末層)、臓器モデル、検査用セルなどの媒体であり、特に限定しない限り、液体が付着するすべてのものが含まれる。
【0139】
上記「液体が付着可能なもの」の材質は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックスなど液体が一時的でも付着可能であればよい。
【0140】
また、「液体を吐出する装置」は、液体吐出ヘッドと液体が付着可能なものとが相対的に移動する装置があるが、これに限定するものではない。具体例としては、液体吐出ヘッドを移動させるシリアル型装置、液体吐出ヘッドを移動させないライン型装置などが含まれる。
【0141】
また、「液体を吐出する装置」としては、他にも、用紙の表面を改質するなどの目的で用紙の表面に処理液を塗布するために処理液を用紙に吐出する処理液塗布装置、原材料を溶液中に分散した組成液を、ノズルを介して噴射させて原材料の微粒子を造粒する噴射造粒装置などがある。
【0142】
なお、本願の用語における、画像形成、記録、印字、印写、印刷、造形等はいずれも同義語とする。
【符号の説明】
【0143】
2 ウェブ(第1払拭部材)
3 繰り出しロール
4、5 搬送ローラ
6 巻取りロール
13 ワイパホルダ
14 ワイパ(第2払拭部材)
20 液体吐出ヘッド
21 キャリッジ
50 メンテナンス装置
51 ヘッド清掃装置