(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-14
(45)【発行日】2022-03-23
(54)【発明の名称】結像レンズおよびカメラおよび携帯情報端末装置
(51)【国際特許分類】
G02B 13/00 20060101AFI20220315BHJP
G02B 13/18 20060101ALN20220315BHJP
【FI】
G02B13/00
G02B13/18
(21)【出願番号】P 2017225118
(22)【出願日】2017-11-22
【審査請求日】2020-09-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100127111
【氏名又は名称】工藤 修一
(72)【発明者】
【氏名】大橋 和泰
【審査官】瀬戸 息吹
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-069369(JP,A)
【文献】特開2015-049453(JP,A)
【文献】特開2009-244430(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0352984(US,A1)
【文献】米国特許第08891182(US,B2)
【文献】米国特許出願公開第2009/0321618(US,A1)
【文献】特開2015-172655(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 9/00 - 17/08
G02B 21/02 - 21/04
G02B 25/00 - 25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体側から像側
に向かって順に、正の屈折力を有する前側レンズ群、開口絞り、正の屈折力を有する後側レンズ群、を配して構成される結像レンズであって、
前記前側レンズ群が3枚もしくは4枚のレンズで構成され、前記後側レンズ群が3枚もしくは4枚のレンズで構成され、
光軸方向に隣接して配置される2つのレンズの、物体側レンズの像側面と像側レンズの物体側面とにより挟まれる空気間隙として定義される空気レンズを、最も物体側のレンズと最も像側のレンズとの間に3つのみ有し、該3つの空気レンズのうち、最も物体側に位置する物体側空気レンズと、最も像側に位置する像側空気レンズとが共に両凸形状であり、中間に位置する中間空気レンズが両凹形状である結像レンズ。
【請求項2】
物体側から像側に向かって順に、正の屈折力を有する前側レンズ群、開口絞り、正の屈折力を有する後側レンズ群、を配して構成される結像レンズであって、
光軸方向に隣接して配置される2つのレンズの、物体側レンズの像側面と像側レンズの物体側面とにより挟まれる空気間隙として定義される空気レンズを、最も物体側のレンズと最も像側のレンズとの間に3つのみ有し、該3つの空気レンズのうち、最も物体側に位置する物体側空気レンズと、最も像側に位置する像側空気レンズとが共に両凸形状であり、中間に位置する中間空気レンズが両凹形状であって、
前記前側レンズ群の最も物体側のレンズは負の屈折力を有し、その焦点距離:f
1
、無限遠物体に合焦した状態における全系の焦点距離:fが、条件:
[9] -4.0 < f
1
/f < -2.2
を満足する結像レンズ。
【請求項3】
物体側から像側に向かって順に、正の屈折力を有する前側レンズ群、開口絞り、正の屈折力を有する後側レンズ群、を配して構成される結像レンズであって、
光軸方向に隣接して配置される2つのレンズの、物体側レンズの像側面と像側レンズの物体側面とにより挟まれる空気間隙として定義される空気レンズを、最も物体側のレンズと最も像側のレンズとの間に3つのみ有し、該3つの空気レンズのうち、最も物体側に位置する物体側空気レンズと、最も像側に位置する像側空気レンズとが共に両凸形状であり、中間に位置する中間空気レンズが両凹形状であって、
前記前側レンズ群は最も物体側に、像側に凹面を向けた負レンズと、その像側に隣接して物体側に凹面を向けた負レンズを有し、これら2枚の負レンズにより、前記両凸形状の物体側空気レンズが形成されている結像レンズ。
【請求項4】
物体側から像側に向かって順に、正の屈折力を有する前側レンズ群、開口絞り、正の屈折力を有する後側レンズ群、を配して構成される結像レンズであって、
光軸方向に隣接して配置される2つのレンズの、物体側レンズの像側面と像側レンズの物体側面とにより挟まれる空気間隙として定義される空気レンズを、最も物体側のレンズと最も像側のレンズとの間に3つのみ有し、該3つの空気レンズのうち、最も物体側に位置する物体側空気レンズと、最も像側に位置する像側空気レンズとが共に両凸形状であり、中間に位置する中間空気レンズが両凹形状であって、
前記後側レンズ群は最も像側に、物体側に凹面を向けたメニスカス形状の負レンズと、その物体側に隣接して像側に凹面を向けた負レンズを有し、これら2つのレンズにより、前記両凸形状の像側空気レンズが形成される結像レンズ。
【請求項5】
請求項1ないし4の何れか1項に記載の結像レンズであって、
前記物体側空気レンズが前記前側レンズ群に含まれ、前記像側空気レンズが前記後側レンズ群に含まれ、前記中間空気レンズは前記前側レンズ群と前記後側レンズ群との間隔部分として形成され、該中間空気レンズの内部に前記開口絞りが配置されている結像レンズ。
【請求項6】
請求項1または4または5の何れか1項に記載の結像レンズであって、
前記前側レンズ群における最も物体側のレンズが負の屈折力を有する結像レンズ。
【請求項7】
請求項1ないし6の何れか1項に記載の結像レンズであって、
前記前側レンズ群は最も物体側に、像側に凹面を向けた負レンズと、その像側に隣接して物体側に凹面を向けた負レンズを有し、これら2枚の負レンズにより、前記両凸形状の物体側空気レンズが形成され、
前記後側レンズ群は最も像側に、物体側に凹面を向けたメニスカス形状のレンズと、その物体側に隣接して像側に凹面を向けた負レンズを有し、これら2つのレンズにより、前記両凸形状の像側空気レンズが形成され、
前記物体側に凹面を向けたメニスカス形状のレンズは、単レンズもしくは物体側に凹面を向けたメニスカス形状の接合レンズであり、
前記前側レンズ群の最も物体側に配設された像側に凹面を向けた前記負レンズの焦点距離:f
FF
、前記後側レンズ群の最も像側に配設された物体側に凹面を向けた前記メニスカス形状のレンズの焦点距離:f
RR
が、条件:
[10] -0.4 < f
FF
/f
RR
< 0.6
を満足する結像レンズ。
【請求項8】
請求項1ないし7の何れか1項に記載の結像レンズであって、
前記物体側空気レンズの、物体側面の曲率半径:r
1
o、像側面の曲率半径:r
2
o、前記像側空気レンズの、物体側面の曲率半径:r
1
i、像側面の曲率半径:r
2
iが、条件:
[1] -0.6 < (r
1
o+r
2
o)/(r
1
o-r
2
o) < 0.2
[2] -0.6 < (r
1
i+r
2
i)/(r
1
i-r
2
i) < 0.2
を満足する結像レンズ。
【請求項9】
請求項1ないし8の何れか1項に記載の結像レンズであって、
前記中間空気レンズの、物体側面の曲率半径:r
1
m、像側面の曲率半径:r
2
mが、条件:
[3] 0.0 < (r
1
m+r
2
m)/(r
1
m-r
2
m) < 1.0
を満足する結像レンズ。
【請求項10】
請求項1ないし9の何れか1項に記載の結像レンズであって、
前記前側レンズ群の焦点距離:f
F
、前記後側レンズ群の焦点距離:f
R
が、条件:
[4] 0.8 < f
F
/f
R
< 3.0
を満足する結像レンズ。
【請求項11】
請求項1ないし10の何れか1項に記載の結像レンズであって、
最大像高:Y’、無限遠物体に合焦した状態における全系の焦点距離:f、前記最大像高に達する主光線の像面への入射角:θP
max
が、条件:
[5] 0.7 < Y’/f < 0.95
[6] 0.6 < tan (θP
max
) < 0.95
を満足する結像レンズ。
【請求項12】
請求項1ないし11の何れか1項に記載の結像レンズであって、
無限遠物体に合焦した状態における最も物体側の面から像面までの距離:L、無限遠物体に合焦した状態における全系の焦点距離:fが、条件:
[7] 1.3 < L/f < 1.9
を満足する結像レンズ。
【請求項13】
請求項1ないし12の何れか1項に記載の結像レンズであって、
最も物体側の面から最も像側の面までの距離:D
T
、無限遠物体に合焦した状態における全系の焦点距離:fが、条件:
[8] 0.6 < D
T
/f < 1.1
を満足する結像レンズ。
【請求項14】
請求項1ないし13の何れか1項に記載の結像レンズを撮影用光学系として有するカメラ。
【請求項15】
請求項1ないし13の何れか1項に記載の結像レンズを、カメラ機能部の撮影用光学系として有する携帯情報端末装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、結像レンズおよびカメラおよび携帯情報端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
結像レンズによる撮影画像を撮像素子上に結像させて撮影を行うデジタルカメラが広く普及している。
デジタルカメラの1つのジャンルとして、単焦点レンズを搭載した高画質のコンパクトカメラに対する要望が強い。
結像レンズは、従来から種々のタイプのものが知られ、広画角を実現し易いタイプとして「レトロフォーカスタイプ」が広く知られているが、レトロフォーカス以外のタイプとして特許文献1~11等に開示されたものが知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この発明は、レトロフォーカス以外のタイプの新規な結像レンズの実現を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この発明の結像レンズは、物体側から像側に向かって順に、正の屈折力を有する前側レンズ群、開口絞り、正の屈折力を有する後側レンズ群、を配して構成される結像レンズであって、前記前側レンズ群が3枚もしくは4枚のレンズで構成され、前記後側レンズ群が3枚もしくは4枚のレンズで構成され、光軸方向に隣接して配置される2つのレンズの、物体側レンズの像側面と像側レンズの物体側面とにより挟まれる空気間隙として定義される空気レンズを、最も物体側のレンズと最も像側のレンズとの間に3つのみ有し、該3つの空気レンズのうち、最も物体側に位置する物体側空気レンズと、最も像側に位置する像側空気レンズとが共に両凸形状であり、中間に位置する中間空気レンズが両凹形状である。
【発明の効果】
【0005】
この発明によれば、レトロフォーカス以外のタイプの新規な結像レンズを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】実施例1の結像レンズの構成を示す断面図である。
【
図2】実施例2の結像レンズの構成を示す断面図である。
【
図3】実施例3の結像レンズの構成を示す断面図である。
【
図4】実施例4の結像レンズの構成を示す断面図である。
【
図5】実施例5の結像レンズの構成を示す断面図である。
【
図6】実施例6の結像レンズの構成を示す断面図である。
【
図7】実施例7の結像レンズの構成を示す断面図である。
【
図8】実施例8の結像レンズの構成を示す断面図である。
【
図10】実施例2の結像レンズの収差曲線図である。
【
図11】実施例3の結像レンズの収差曲線図である。
【
図12】実施例4の結像レンズの収差曲線図である。
【
図13】実施例5の結像レンズの収差曲線図である。
【
図14】実施例6の結像レンズの収差曲線図である。
【
図15】実施例7の結像レンズの収差曲線図である。
【
図16】実施例8の結像レンズの収差曲線図である。
【
図17】携帯情報端末装置の実施の1形態を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
この発明の結像レンズは、上記の如く、物体側から像側向かって順に、前側レンズ群、開口絞り、後側レンズ群を配してなる2レンズ群構成である。
前側レンズ群、後側レンズ群ともに「正の屈折力」を有する。
結像レンズは、最も物体側のレンズと最も像側のレンズ、即ち、前側レンズ群の最も物体側のレンズと、像側レンズ群の最も像側のレンズとの間に空気レンズを3つ有する。
空気レンズは、周知の如く「光軸方向に隣接して配置される2つのレンズの、物体側レンズの像側面と像側レンズの物体側面とにより挟まれる空気間隙」として定義される。
従って、空気レンズを形成する2つのレンズのうち「物体側のレンズの像側面」が該空気レンズの物体側面であり、空気レンズを形成する2つのレンズのうち像側のレンズの物体側面が該空気レンズの像側面である。
【0008】
この発明の結像レンズが有する空気レンズは「3つのみ」である。即ち、最も物体側のレンズと最も像側のレンズとの間に形成される空気間隙は3か所のみである。
3つの空気レンズを物体側から像側に向かって順次、「物体側空気レンズ」、「中間空気レンズ」、「像側空気レンズ」と称する。
「物体側空気レンズ」は最も物体側に形成される空気レンズであり、「像側空気レンズ」は最も像側に形成される空気レンズであるが、これらは共に「両凸形状」であり「負の屈折力」有する。
「中間空気レンズ」は、物体側空気レンズと像側空気レンズとに挟まれるように形成される空気レンズであって「両凹形状」であり「正の屈折力」を有する。
【0009】
このような構成を有するこの発明の結像レンズは、以下に示すように、半画角が35~43度程度と広角で、Fナンバが2.8~3.2程度と大口径でありながら、レンズ全長・レンズ総厚・レンズ径の全てにおいて小型で、各種収差を十分に低減して2400万画素以上の撮像素子に対応した解像力を実現することが可能である。
この発明の結像レンズは、開口絞りの物体側に配置された前側レンズ群、開口絞りの像側に配置された後側レンズ群ともに「正の屈折力」を有しており、所謂レトロフォーカス型とは異なる構成であるが、物体側から像側に至る光学系における屈折力の配分が物体側から像側へ向けて「負・正・負」となる構成をとることにより、コマ収差や歪曲収差、倍率色収差の補正を容易にしている。
このような屈折力の配分では「レンズ系の中間に正の屈折力,その両側に負の屈折力を配置した、絞りに対して略対称型の屈折力配置」が好ましく、このような屈折力配置を容易に実現する構成として「物体側空気レンズが前側レンズ群に含まれ、像側空気レンズが後側レンズ群に含まれ、中間空気レンズは、前側レンズ群と後側レンズ群との間隔部分として形成され、開口絞りが中間空気レンズの内部に配置されている構成」が好ましい。
このような構成で、結像レンズの両端で「空気レンズによる負の屈折力」をバランスさせつつ、中間の中間空気レンズによる正の屈折力も絞り前後でバランスさせることにより、略対称型の屈折力配置がより確実なものとなり、コマ収差や歪曲収差、倍率色収差を「より良好に補正」することが容易になる。
【0010】
即ち、この構成では、開口絞りを挟んだ前後のレンズ群と、レンズ系内の空気レンズとの配置関係を最適化することができ、歪曲収差・コマ収差・倍率色収差の良好な補正が容易であり、画像処理に頼らなくても歪みが目立たず、周辺まで高い解像力を有し、色ずれや色滲みの殆どない高画質の像を結像できる。
【0011】
前側レンズ群に含まれる物体側空気レンズ、後側レンズ群に含まれる像側空気レンズを共に両凸形状として「負の屈折力」を持たせることにより、上記屈折力配分を実現できる。
さらに、これら物体側空気レンズ、像側空気レンズを両凸形状とすることにより、各種収差をより高いレベルで補正することが可能である。
物体側空気レンズの物体側面を凸面とすることにより「球面収差の適切なコントロールと共に、主として非点収差の補正」が容易となり、像側空気レンズの像側面を凸面とすることにより「射出瞳距離のコントロールと、周辺像高における主光線の像面への入射角を適切な状態に設定」することが可能となり、主としてコマ収差・歪曲収差の補正が容易になる。
さらに、物体側空気レンズの像側面を凸面とすることにより「前側レンズ群の最も物体側のレンズの小径化」が可能となり「下光線のコマ収差補正」が容易になる。像側空気レンズの物体側面を凸面とすることにより「後側レンズ群の最も像側のレンズの小径化」が可能となり「上光線のコマ収差補正」が容易になる。
即ち、物体側空気レンズおよび像側空気レンズを両凸形状とすることは「小型化と高性能化の両立」の実現に有利である。
【0012】
正の屈折力を持つ中間空気レンズの形状を両凹形状とすることにより、各種収差をより高いレベルで補正することが可能である。
即ち、中間空気レンズについても「略対称型の屈折力配置」とすることにより、コマ収差を非常に高いレベルで補正することが容易となっている。
また、この発明の結像レンズでは、空気レンズが物体側空気レンズ、中間空気レンズ、像側空気レンズの3枚のみであり、レンズ系内に形成される空気レンズの数を抑制することにより「レンズ構成の複雑化を防止」し、小型化や、組み立て工数の低減、管理項目の低減が可能であり、結果的に品質向上へと繋げることができる。また「空気接触面が減少することでレンズ面による不要な反射光が抑制」されゴースト・フレアを有効に低減できる。
【0013】
前側レンズ群、後側レンズ群を構成するレンズ枚数は「前側レンズ群が3枚もしくは4枚のレンズ」で構成され、「後側レンズ群が3枚もしくは4枚のレンズ」で構成されることが好ましい。
物体側空気レンズと像側空気レンズは共に両凸形状であるので、比較的強い負の屈折力を有する。このため「結像レンズが系全体として正の焦点距離」を有するためには開口絞りの前後に強い正の屈折力を配置する必要がある。このような屈折力配置を無理なく成立させ、色収差や高次収差を含む良好な収差補正を実現するためには、前側レンズ群・後側レンズ群にそれぞれ3枚以上のレンズが必要である。
一方、前側レンズ群・後側レンズ群を構成するレンズ枚数が5枚以上になると、結像レンズの小型化が阻害され易い。
【0014】
前側レンズ群の最も物体側のレンズは負の屈折力を有することが好ましい。このように最も物体側のレンズを負レンズとすることにより、上述した「略対称型の屈折力配置」に「若干レトロフォーカス的な傾向」を付与でき、射出瞳距離を適切にコントロールしながら十分な広角化の達成が容易になる。
像側レンズ群の最も像側のレンズは、必ずしも負の屈折力を有する必要はないが上述の「略対称型の屈折力配置」を実現する上で比較的弱い屈折力とするのが良い。
【0015】
この発明の結像レンズは、以下に挙げる条件[1]~[8]の任意の1以上を満足することが好ましい。
[1] -0.6 < (r1o+r2o)/(r1o-r2o) < 0.2
[2] -0.6 < (r1i+r2i)/(r1i-r2i) < 0.2
[3] 0.0 < (r1m+r2m)/(r1m-r2m) < 1.0
[4] 0.8 < fF/fR < 3.0
[5] 0.7 < Y’/f < 0.95
[6] 0.6 < tan (θPmax ) < 0.95
[7] 1.3 < L/f < 1.9
[8] 0.6 < DT/f < 1.1 。
【0016】
条件[1]~[8]のパラメータに含まれる各記号の意味は、以下の通りである。
条件[1]における「r1o」及び「r2o」はそれぞれ、物体側空気レンズの物体側面及び像側面の曲率半径であり、条件[2]における「r1i」及び「r2i」はそれぞれ、像側空気レンズの物体側面及び像側面の曲率半径である。
条件[3]における「r1m」及び「r2m」はそれぞれ、中間空気レンズの物体側面及び像側面の曲率半径である。
条件[4]における「fF」は前側レンズ群の焦点距離F、「fR」は後側レンズ群の焦点距離である。
条件[5]における「Y’」は最大像高、条件[5]、[7]、[8]における「f」は、無限遠物体に合焦した状態における全系の焦点距離であり、条件[6]における「θPmax」は、最大像高:Y’に達する主光線の像面への入射角である。
【0017】
条件[7]における「L」は、無限遠物体に合焦した状態における最も物体側の面から像面までの距離であり、条件[8]における「DT」は、最も物体側の面から最も像側の面までの距離である。
【0018】
条件[1]は、物体側空気レンズの「物体側面と像側面の屈折力のバランス」を規定するものである。
物体側空気レンズは「両凸形状」であるから「r1o>0、r2o<0」である。
従って、パラメータ:(r1o+r2o)/(r1o-r2o)の分母は正であり、該パラメータが大きく(小さく)なることは、物体側の面の曲率が、像側の面の曲率に対して相対的に小さく(大きく)なることを意味する。
条件[1]のパラメータが下限の-0.6以下になると、物体側空気レンズの物体側面の負の屈折力が相対的に強くなり、球面収差がアンダー方向に大きく発生し易く、像面湾曲が中間像高でマイナス側に大きく変位し易い。
条件[1]のパラメータが下限の0.2以上になると、物体側空気レンズの像側面の負の屈折力が相対的に強くなり、球面収差がオーバー方向に大きく発生し易く、また、像面湾曲が周辺部でプラス側に大きく倒れ易く、コマ収差が残存し易い。
条件[2]は、像側空気レンズの「物体側面と像側面の屈折力のバランス」を規定するものである。
像側空気レンズは「両凸形状」であるから「r1i>0、r2i<0」である。
従って、パラメータ:(r1i+r2i)/(r1i-r2i)の分母は正であり、該パラメータが大きく(小さく)なることは、物体側の面の曲率が、像側の面の曲率に対して相対的に小さく(大きく)なることを意味する。
条件[2]のパラメータが下限の-0.6以下になると、像側空気レンズの物体側面の負の屈折力が相対的に強くなり、球面収差がオーバー方向に大きく発生し易く、内向性のコマ収差が残存し易くなる。
条件[2]のパラメータが上限の0.2以上になると、像側空気レンズの像側面の負の屈折力が相対的に強くなり、非点収差が発生し易く、瞳周辺部のコマ収差が乱れ易くなる。
【0019】
条件[2]が満足される範囲では、射出瞳位置の適正化が容易で、「周辺像高における主光線の像面への入射角」を適切なものとすることが容易である。
【0020】
条件[1]と条件[2]は、単独で満足されるようにしてもよいが、これらの条件は同時に満足されることが好ましい。
【0021】
条件[3]は、中間空気レンズの「物体側面と像側面の屈折力のバランス」を規定するものである。
中間空気レンズは「両凹形状」であって正の屈折力を有し、「r1m<0、r2m>0」であり条件[3]のパラメータ:(r1m+r2m)/(r1m-r2m)の分母は負である。
条件[3]のパラメータが上限の1.0以上になると、中間空気レンズの像側面の正の屈折力が相対的に過剰に弱くなり易く、下限の0以下になると物体側面の正の屈折力が過剰に弱くなり易い。
条件[3]が満足されるように、中間空気レンズの形状を調整することで「コマ収差のより良好な補正」が容易になる。
条件[3]は、単独で満足されるようにしてもよいが、条件[1]、条件[2]の一方もしくは双方と共に満足されることが好ましい。
【0022】
条件[4]は、開口絞りの前後の正の屈折力のバランスの良好な範囲を規定する条件である。
条件[4]のパラメータ:fF/fRが、下限の0.8以下になると、開口絞りよりも物体側の前側レンズ群の屈折力が、後側レンズ群の屈折力に対し相対的に強くなり、歪曲収差が周辺部でプラスに曲がり易く、内向性のコマ収差が発生し易く、短波長の倍率色収差が画面内側へ向かって発生し易くなる。
条件[4]のパラメータ:fF/fRが、上限の3.0以上になると、開口絞りよりも像側にある後側レンズ群の屈折力が相対的に強くなり、マイナスの歪曲収差が発生し易く、外向性のコマ収差が発生し易く、短波長の倍率色収差が画面外側へ向かって発生し易くなる。
【0023】
条件[5]は、結像レンズの正の屈折力と最大像高との好適な範囲を規定するものであり、条件[6]は、最大像高に達する主光線の像面への入射角:θPmaxの好適な範囲を規定するものである。
結像レンズを広角かつ小型、高性能に実現しようとする場合、条件[5]は、この目的に沿う効果を最もよく発揮できる画角を規制するものである。また、条件[6]は、この目的に沿う効果を最もよく発揮できる上記入射角を規定するものである。
これらの条件[5]、[6]も同時に満足されることが好ましい。
条件[5]、[6]を同時に満足させることにより、35度以上の半画角を有する広画角で、高性能且つ小型の結像レンズを実現できる。
【0024】
条件[7]は、広画角、小型、高性能といった効果が最も良く発揮されるレンズ全長(レンズ系の最も物体側の面から像面までの距離)を規定するものである。
条件[8]は、上記効果が最も良く発揮されるレンズ全厚(レンズ系の最も物体側の面から最も像側の面までの距離)を規定するものである。
上記の条件[6]について若干付言する。
前述した如く、広画角を実現し易いタイプとして「レトロフォーカスタイプ」が広く知られ、デジタルカメラ用の結像レンズとしても多用されている。デジタルカメラ用の結像レンズとしてレトロフォーカスタイプが用いられる理由の一つは、画素ごとに色フィルタやマイクロレンズを有する撮像素子(エリアセンサ)の特性に従い、射出瞳位置を像面から遠ざけ、周辺光束がエリアセンサの受光面に対し「垂直に近い角度で入射」させることが求められるためである。
【0025】
よく知られたように「レトロフォーカスタイプの結像レンズ」はバックフォーカスが長くなり易く、カメラや情報形態端末装置に使用する場合、これらの装置の小型化が難しい。
一方、近来、対角長が20~45mm程度の比較的大きな撮像素子では、オンチップマイクロレンズの改良や最適化、画像処理の進歩等により、周辺光束が受光面に対し「ある程度斜めに入射」しても大きな問題にならない状況が実現している。
具体的には、最大像高において主光線と光軸とのなす角が35~40度程度であっても十分に許容できるようなシステムを構築可能である。
条件[6]のパラメータ:tan(θPmax)に対する上限の0.70は37度、下限の0.50は27度に相当するが、このような「大きい入射角」でも上記の如き撮像素子を用いて十分な撮像性能を実現できる。また、サイズの大きい撮像素子を用いることにより、大きな画像数の撮像が可能である。
前述したように、前側レンズ群の最も物体側のレンズは「負の屈折力」を有することが好ましい。前側レンズ群の最も物体側のレンズを負レンズとすることにより、上述した「略対称型の屈折力配置」に「若干レトロフォーカス的な傾向」を付与でき、射出瞳距離を適切にコントロールしながら十分な広角化を達成することが容易になる。
【0026】
このように、前側レンズ群の最も物体側のレンズを負レンズとするとき、その焦点距離:f1は、以下の条件[9]を満足することが好ましい。
[9] -4.0 < f1/f < -2.2
条件[9]のパラメータ:f1/fが下限の-4.0以下となるレベルで、前側レンズ群の屈折力が弱いと、像面湾曲が補正不足となり易く、像面の平坦性維持が難しくなり易い。逆に上限の-2.2以上となるレベルで前側レンズ群の屈折力が強いと、非点収差・コマ収差が残存しやすくなり、周辺部まで高い結像性能を維持するのが難しくなり易い。
【0027】
なお、この場合の前側レンズ群の最も物体側の負レンズは「単レンズ」であっても「接合レンズ」であってもよい。
【0028】
前側レンズ群の最も物体側に負レンズ(単レンズでも接合レンズでもよい。)を配置する場合、この負レンズを「像側に凹面を向けた負レンズ」とし、その像側に隣接して「物体側に凹面を向けた負レンズ」を配し、これらの2レンズの間に「両凸形状の空気レンズ(物体側空気レンズ)」を形成するのが好ましい。
この場合、後側レンズ群には最も像側に「物体側に凹面を向けたメニスカス形状の単レンズもしくは物体側に凹面を向けた全体としてメニスカス形状の接合レンズ」を配し、その物体側に隣接して「像側に凹面を向けた負レンズ」を配置し、これら2つのレンズの間に「両凸形状の空気レンズ(像側空気レンズ)を形成するのが好ましい。
この構成の場合、上記最も物体側の「像側に凹面を向けた負レンズ」の焦点距離:fFF、最も像側の「物体側に凹面を向けたメニスカス形状の単レンズもしくは物体側に凹面を向けた全体としてメニスカス形状の接合レンズ」の焦点距離:fRRが、以下の条件:
[10] -0.4 < fFF/fRR < 0.6
を満足するようにするのがよい。
【0029】
条件[10]のパラメータが下限の-0.4以下になると、結像レンズの「レトロフォーカス的な傾向」が強まり、主点が像側へ移動してレンズ全長の短縮が難しくなり易い。 また、射出瞳が物体側へ移動して最も像側のレンズが大径化し易くなる。
逆に、条件[10]のパラメータが上限の0.65以上になると「テレフォト的な傾向」が強まり主点が物体側へ移動してレンズ全長が短くなり、各種収差補正の自由度を制限したり、製造誤差感度が高まったりし易い。また、射出瞳が像側へ移動して周辺像高における主光線の像面への入射角(上記の「θPmax」)が大きくなりがちになる。
【0030】
条件[10]のパラメータ:fFF/fRRは、より好ましくは、条件[10]よりも若干狭い以下の条件:
[10A] -0.2 < fFF/fRR < 0.5
を満足するのがよい。
より良好な収差補正のためには、最も物体側に配置されるレンズと最も像側に配置されるレンズの双方に「非球面」を設けることが好ましい。非点収差やコマ収差、歪曲収差の補正に大きな効果がある。
なお、この発明の結像レンズは「単焦点レンズ」として構成されることが望ましい。この場合、フォーカシングは結像レンズ全体を移動させて行うことができる。
この発明の結像レンズは、カメラ、特にデジタルカメラの撮影用レンズとして用いることができ、また携帯情報端末装置のカメラ機能部の撮影用レンズとして用いることができる。
【0031】
結像レンズの具体的な実施例を挙げる前に、
図17、
図18を参照して携帯情報端末装置の実施の1形態を説明する。
図17は携帯情報端末装置の外観を説明する図であり、
図18はシステム図である。
携帯情報端末装置30は、
図18に示すように、結像レンズ31と撮像素子である受光素子45とを有し、結像レンズ31により受光素子45の受光面に結像される撮影対象物の像を受光素子45により読み取るように構成されている。結像レンズ31としては請求項1~12の何れかに記載のもの、好適には後述の実施例1~8の何れかを用いることができる。
受光素子45の出力は中央演算装置40の制御を受ける信号処理装置42によって処理されてデジタル情報(画像情報)に変換される。信号処理装置42によってデジタル化された画像情報は、中央演算装置40の制御を受ける画像処理装置41で所定の画像処理を受けた後、半導体メモリ44に記憶される。
液晶モニタ38には撮影中の画像を表示することも、半導体メモリ44に記憶されている画像を表示することもできる。半導体メモリ44に記録した画像データは通信カード等を使用して外部へ送信することも可能である。
【0032】
図17(a)に示すように、結像レンズ31は、カメラの携帯時には「沈胴状態」にあり、ユーザが電源スイッチ35を操作して電源を入れると、
図17(b)に示すように鏡胴が繰り出される。電源スイッチ35は「シャッタボタン」を兼ねており、以下、シャッタボタン35ともいう。
図示を省略されているズームレバーを操作することにより、画像の切り出し範囲を変えて擬似的に変倍する所謂「デジタルズーム」の操作を行うこともできる。このとき、ファインダ33も画角変化に連動して変倍する。
シャッタボタン35の半押しによりフォーカシングがなされる(前述の如く、結像レンズ全体を一体として光軸方向へ移動させて行う。)。このようにする代わりに、受光素子45の移動によっても行うことができる。シャッタボタン35をさらに押し込むと撮影がなされ、その後は上述の処理がなされる。
【0033】
半導体メモリ44に記憶した画像を液晶モニタ38に表示したり、通信カード等を使用して外部へ送信したりするときは、操作ボタン37の操作により行う。半導体メモリ44および通信カード等は、それぞれ専用または汎用のスロット39A、39Bに挿入して使用される。
なお、結像レンズ31が沈胴状態にあるとき、結像レンズの各レンズ群は必ずしも光軸上に並んでいなくても良い。例えば、前側レンズ群が光軸上から退避して、後側レンズ群と並列に収納されるような機構とすれば装置のさらなる薄型化を実現できる。
このような携帯情報端末装置に、実施例1~8の何れかの結像レンズを撮影用光学系よして使用することにより、2400万画素以上の受光素子(撮像素子)を使用した高画質で小型の携帯情報端末装置を実現できる。
【0034】
「実施例」
以下に本発明の結像レンズの具体的な実施例を8例挙げる。全ての実施例において最大像高(Y’)は14.2mmである。
図1~
図8に順次、実施例1~8の結像レンズの構成を断面図として示す。
図1~8において図の左方が物体側、右方が像側である。以下の説明の繁雑を避けるべく、これら
図1~8において符号を共通化する。
【0035】
各実施例は結像レンズによる撮影対象物の像を撮像素子(エリアセンサ、上記の受光素子45)により読み取る場合を想定しており、各図における符号Fは、撮像素子の光学ローパスフィルタ・赤外カットフィルタ等の各種フィルタや、撮像素子(CCDエリアセンサ、CMOSセンサ等)のカバーガラス(シールガラス)を、これらに光学的に等価で透明な「平行平板」として示したものであり、符号Imは撮像素子の受光面を示す。
読み取られるべき画像は、結像レンズにより受光面Imに結像される。
以下の全実施例において平行平板Fは、その像側面が受光面Imから物体側に約0.7mm離れた位置となるよう配設してあるが、勿論これに限られるものではなく、複数枚に分割されていてもよい。
【0036】
各図において、符号LOにより前側レンズ群、符号LIにより後側レンズ群を示し、符号Sにより開口絞りを示す。また、符号LAOにより物体側空気レンズ、符号LAIにより像側空気レンズ、符号LAMにより中間空気レンズを示す。
レンズ群を構成する各レンズについては以下の規則により符号を付する。
前側レンズ群LOを構成するレンズにおいて、物体側から数えてi番目のレンズを符号L1iで示し、後側レンズ群LIを構成するレンズにおいて、物体側(開口絞りS側)から数えてj番目のレンズを符号L2jで示す。
【0037】
各実施例における記号の意味は以下の通りである。
f:全系の焦点距離
F:Fナンバ
ω:半画角(度)
R:曲率半径
D:面間隔
Nd:屈折率
νd:アッベ数
Pg,F:部分分散比[Pg,F =(ng-nF)/(nF - nC)]
K:非球面の円錐定数
A4:4次の非球面係数
A6:6次の非球面係数
A8:8次の非球面係数
A10:10次の非球面係数
A12:12次の非球面係数
A14:14次の非球面係数 。
【0038】
なお、非球面は、近軸曲率半径の逆数(近軸曲率):C、光軸からの高さ:Hとするとき、これらと上記円錐定数および非球面係数を用いて周知の次式で表される。
X={CH2/1+√(1-(1+K)C2H2)}+A4・H4+A6・H6+A8・H8+A10・H10+A12・H12+A14・H14
また、長さの次元を持つ量の単位は特に断らない限り「mm」である。
「面番号」は物体側から数えた面(レンズ面及び開口絞り(以下において単に「絞りと表示する。」の面)の番号である。
【0039】
「実施例1」
実施例1は、
図1に断面図を示す結像レンズである。実施例1の結像レンズのデータを以下に示す。
f = 17.10,F = 2.85,ω = 40.1
面番号 R D N
d ν
d P
g,F 硝種名
01 17.382 0.70 1.55332 71.68 0.5402 HOYA M-FCD500
02* 10.950 2.46
03 -20.448 0.60 1.63980 34.47 0.5922 OHARA S-TIM27
04 7.591 2.64 1.88300 40.76 0.5667 OHARA S-LAH58
05 -28.420 0.90
06 絞り 1.11
07 12.886 2.65 1.88300 40.76 0.5667 OHARA S-LAH58
08 -8.328 0.50 1.68893 31.07 0.6004 OHARA S-TIM28
09 13.306 1.53
10 -15.194 0.50 1.74950 35.28 0.5869 OHARA S-LAM7
11 -185.357 1.00 1.85400 40.38 0.5688 OHARA L-LAH85V
12* -19.099 11.457
13 ∞ 1.40 1.51633 64.14 各種フィルタ
14 ∞ 。
【0040】
「非球面のデータ」
非球面には上のデータにおける面番号に「*」印を付している。以下の実施例2~8においても同様である。
非球面のデータを以下に挙げる。
第2面
K = 0.0,A4 = 2.33316×10-4,A6 = 1.10838×10-5,A8 = -6.37281×10-7,
A10 = 4.94580×10-8 ,A12 = -1.63466×10-9,A14 = 2.59857×10-11
第12面
K = 8.55425,A4 = 4.627224×10-4,A6 = 8.45387×10-6,A8 = 1.31568×10-8,
A10 = 2.78765×10-9 。
【0041】
「条件式におけるパラメータの値」
各条件式におけるパラメータの値を以下に挙げる。
[1] ( r1o + r2o ) / ( r1o - r2o ) = -0.303
[2] ( r1i + r2i ) / ( r1i - r2i ) = -0.066
[3] ( r1m + r2m ) / ( r1m - r2m ) = 0.376
[4] fF / fR = 2.388
[5] Y’ / f = 0.830
[6] tan (θPmax ) = 0.841
[7] L / f = 1.646
[8] DT / f = 0.853
[9] f1 / f = -3.254
[10] fFF / fRR = 0.211 。
【0042】
「実施例2」
実施例2は、
図2に断面図を示す結像レンズである。実施例2の結像レンズのデータを以下に示す。
f = 18.49,F = 2.86,ω = 37.9
面番号 R D N
d ν
d P
g,F 硝種名
01 21.912 0.80 1.58313 59.46 0.5404 HOYA M-BACD12
02* 13.136 2.36
03 -21.409 0.60 1.63980 34.47 0.5922 OHARA S-TIM27
04 8.362 2.87 1.88300 40.76 0.5667 OHARA S-LAH58
05 -24.803 1.10
06 絞り 1.20
07 13.834 2.69 1.88300 40.76 0.5667 OHARA S-LAH58
08 -8.699 0.50 1.68893 31.07 0.6004 OHARA S-TIM28
09 11.805 1.46
10* -19.158 1.00 1.85135 40.10 0.5694 HOYA M-TAFD305
11* -19.589 12.755
12 ∞ 1.40 1.51633 64.14 各種フィルタ
13 ∞ 。
【0043】
「非球面のデータ」
非球面のデータを以下に挙げる。
第2面
K = 0.0,A4 = 2.68967×10-4,A6 = -4.58263×10-7,A8 = 4.00133×10-7,
A10 = -1.35475×10-8,A12 = 3.17395×10-10,A14 = -1.36710×10-12
非球面;第10面
K = 0.0,A4 = 8.14051×10-5,A6 = -5.35844×10-6
第11面
K = 8.84476,A4 = 4.57704×10-4,A6 = 2.52368×10-6,A8 = 6.66033×10-9,
A10 = 3.97299×10-9 。
【0044】
「条件式におけるパラメータの値」
各条件式におけるパラメータの値を以下に挙げる。
[1] ( r1o + r2o ) / ( r1o - r2o ) = -0.239
[2] ( r1i + r2i ) / ( r1i - r2i ) = -0.237
[3] ( r1m + r2m ) / ( r1m - r2m ) = 0.284
[4] fF / fR = 1.541
[5] Y’ / f = 0.768
[6] tan (θPmax ) = 0.773
[7] L / f = 1.592
[8] DT / f = 0.789
[9] f1 / f = -3.148
[10] fFF / fRR = -0.004 。
【0045】
「実施例3」
実施例3は、
図3に断面図を示す結像レンズである。実施例3の結像レンズのデータを以下に示す。
f = 17.84,F = 2.87,ω = 38.8
面番号 R D N
d ν
d P
g,F 硝種名
01 24.961 0.80 1.51633 64.06 0.5333 OHARA L-BSL7
02* 13.937 1.92
03 -25.434 0.60 1.64769 33.79 0.5938 OHARA S-TIM22
04 7.318 2.79 1.88300 40.76 0.5667 OHARA S-LAH58
05 -27.723 0.90
06 絞り 1.10
07 15.266 2.62 1.88300 40.76 0.5667 OHARA S-LAH58
08 -7.705 0.60 1.67270 32.10 0.5988 OHARA S-TIM25
09 11.738 1.47
10* -24.824 1.10 1.85400 40.38 0.5688 OHARA L-LAH85V
11* -26.317 11.597
12 ∞ 1.40 1.51633 64.14 各種フィルタ
13 ∞ 。
【0046】
「非球面のデータ」
非球面のデータを以下に挙げる。
第2面
K = 0.0,A4 = 3.72951×10-4,A6 = 3.24602×10-6,A8 = 5.33404×10-8,
A10 = 2.01818×10-8,A12 = -9.51799×10-10,A14 = 1.91260×10-11
第10面
K = 0.0,A4 = -3.28215×10-4,A6 = -1.83240×10-5
第11面
K = 19.98002,A4 = 9.73270×10-5,A6 = -3.03423×10-6,A8 = -1.89893×10-7,
A10 = 1.32511×10-8 。
【0047】
「条件式におけるパラメータの値」
各条件式におけるパラメータの値を以下に挙げる。
[1] ( r1o + r2o ) / ( r1o - r2o ) = -0.292
[2] ( r1i + r2i ) / ( r1i - r2i ) = -0.358
[3] ( r1m + r2m ) / ( r1m - r2m ) = 0.290
[4] fF / fR = 1.223
[5] Y’ / f = 0.796
[6] tan (θPmax ) = 0.828
[7] L / f = 1.547
[8] DT / f = 0.779
[9] f1 / f = -3.512
[10] fFF / fRR = 0.081 。
【0048】
「実施例4」
実施例4は、
図4に断面図を示す結像レンズである。実施例4の結像レンズのデータを以下に示す。
f = 18.29,F = 2.87,ω = 38.2
面番号 R D N
d ν
d P
g,F 硝種名
01 28.932 0.80 1.51633 64.06 0.5333 OHARA L-BSL7
02* 14.947 1.79
03 -20.736 0.60 1.63980 34.47 0.5922 OHARA S-TIM27
04 7.987 2.82 1.88300 40.76 0.5667 OHARA S-LAH58
05 -24.675 0.90
06 絞り 1.10
07 14.854 2.72 1.88300 40.76 0.5667 OHARA S-LAH58
08 -8.223 0.60 1.68893 31.07 0.6004 OHARA S-TIM28
09 12.851 1.55
10 -13.712 1.10 1.88202 37.22 0.5769 HOYA M-TAFD307
11* -14.380 12.452
12 ∞ 1.40 1.51633 64.14 各種フィルタ
13 ∞ 。
【0049】
「非球面のデータ」
非球面のデータを以下に挙げる。
第2面
K = 0.0,A4 = 2.67419×10-4,A6 = 1.46337×10-5,A8 = -1.15262×10-6,
A10 = 8.30471×10-8,A12 = -2.70440×10-9,A14 = 3.79775×10-11
第11面
K = 1.42113,A4 = 2.87593×10-4,A6 = 4.81917×10-6,A8 = 4.83416×10-8,
A10 = 6.12592×10-10 。
【0050】
「条件式におけるパラメータの値」
各条件式におけるパラメータの値を以下に挙げる。
[1] ( r1o + r2o ) / ( r1o - r2o ) = -0.162
[2] ( r1i + r2i ) / ( r1i - r2i ) = -0.032
[3] ( r1m + r2m ) / ( r1m - r2m ) = 0.248
[4] fF / fR = 1.462
[5] Y’ / f = 0.776
[6] tan (θPmax ) = 0.777
[7] L / f = 1.560
[8] DT / f = 0.764
[9] f1 / f = -3.339
[10] fFF / fRR = 0.042 。
【0051】
「実施例5」
実施例5は、
図5に断面図を示す結像レンズである。実施例5の結像レンズのデータを以下に示す。
f = 18.28,F = 2.87,ω = 38.2
面番号 R D N
d ν
d P
g,F 硝種名
01 17.034 0.70 1.51633 64.06 0.5333 OHARA L-BSL7
02* 10.894 2.46
03 -18.486 0.60 1.63980 34.47 0.5922 OHARA S-TIM27
04 8.332 2.75 1.88100 40.14 0.5701 HOYA TAFD33
05 -25.206 1.10
06 絞り 1.20
07 13.099 2.76 1.88100 40.14 0.5701 HOYA TAFD33
08 -8.666 0.50 1.69895 30.13 0.6030 OHARA S-TIM35
09 12.744 1.52
10* -16.835 1.00 1.88202 37.22 0.5769 HOYA M-TAFD307
11* -17.510 12.807
12 ∞ 1.40 1.51633 64.14 各種フィルタ
13 ∞ 。
【0052】
「非球面のデータ」
非球面のデータを以下に挙げる。
第2面
K = 0.0,A4 = 2.49546×10-4,A6 = 5.30767×10-6,A8 = -1.77772×10-7,
A10 = 2.52567×10-8,A12 = -9.46560×10-10,A14 = 1.70552×10-11
第10面
K = 0.0,A4 = 2.21965×10-4,A6 = -7.84181×10-7
第11面
K = 7.28422,A4 = 6.02712×10-4,A6 = 8.85505×10-6,A8 = -5.39399×10-8,
A10 = 4.60086×10-9 。
【0053】
「条件式におけるパラメータの値」
各条件式におけるパラメータの値を以下に挙げる。
[1] ( r1o + r2o ) / ( r1o - r2o ) = -0.258
[2] ( r1i + r2i ) / ( r1i - r2i ) = -0.138
[3] ( r1m + r2m ) / ( r1m - r2m ) = 0.316
[4] fF / fR = 2.294
[5] Y’ / f = 0.777
[6] tan (θPmax ) = 0.769
[7] L / f = 1.613
[8] DT / f = 0.798
[9] f1 / f = -3.331
[10] fFF / fRR = 0.038 。
【0054】
「実施例6」
実施例6は、
図6に断面図を示す結像レンズである。実施例6の結像レンズのデータを以下に示す。
f = 18.45,F = 2.87,ω = 38.0
面番号 R D N
d ν
d P
g,F 硝種名
01 20.798 0.70 1.58313 59.38 0.5423 OHARA L-BAL42
02* 12.110 2.46
03 -16.845 0.60 1.61293 37.00 0.5862 OHARA S-TIM3
04 8.688 2.98 1.83481 42.72 0.5648 OHARA S-LAH55V
05 -20.339 1.10
06 絞り 1.21
07 11.799 2.94 1.83481 42.72 0.5648 OHARA S-LAH55V
08 -8.814 0.50 1.67270 32.10 0.5988 OHARA S-TIM25
09 11.699 1.60
10* -17.164 1.00 1.90270 31.00 0.5943 OJHARA L-LAH86
11* -18.040 13.039
12 ∞ 1.40 1.51633 64.14 各種フィルタ
13 ∞ 。
【0055】
「非球面のデータ」
非球面のデータを以下に挙げる。
第2面
K = 0.0,A4 = 2.25513×10-4,A6 = 5.62684×10-6,A8 = -3.11498×10-7,
A10 = 2.96319×10-8,A12 = -9.92939×10-10,A14 = 1.49463×10-11
第10面
K = 0.0,A4 = 2.67595×10-4,A6 = -7.23834×10-8
第11面
K = 8.02127,A4 = 6.35106×10-4,A6 = 1.02195×10-5,A8 = -9.60305×10-8,
A10 = 6.19345×10-9 。
【0056】
「条件式におけるパラメータの値」
各条件式におけるパラメータの値を以下に挙げる。
[1] ( r1o + r2o ) / ( r1o - r2o ) = -0.164
[2] ( r1i + r2i ) / ( r1i - r2i ) = -0.189
[3] ( r1m + r2m ) / ( r1m - r2m ) = 0.266
[4] fF / fR = 2.348
[5] Y’ / f = 0.770
[6] tan (θPmax ) = 0.755
[7] L / f = 1.638
[8] DT / f = 0.818
[9] f1 / f = -2.777
[10] fFF / fRR = 0.060 。
【0057】
「実施例7」
実施例7は、
図7に断面図を示す結像レンズである。実施例7の結像レンズのデータを以下に示す。
f = 15.70,F = 3.27,ω = 42.3
面番号 R D N
d ν
d P
g,F 硝種名
01 19.742 0.70 1.58313 59.38 0.5423 OHARA L-BAL42
02* 11.850 2.46
03 -12.492 0.60 1.59270 35.31 0.5933 OHARA S-FTM16
04 9.512 2.46 1.83481 42.72 0.5648 OHARA S-LAH55V
05 -16.061 1.10
06 絞り 1.20
07 10.604 2.97 1.83481 42.72 0.5648 OHARA S-LAH55V
08 -7.496 0.50 1.67270 32.10 0.5988 OHARA S-TIM25
09 12.030 1.43
10* -14.261 1.00 1.90270 31.00 0.5943 OHARA L-LAH86
11* -17.022 10.301
12 ∞ 1.40 1.51633 64.14 各種フィルタ
13 ∞ 。
【0058】
「非球面のデータ」
非球面のデータを以下に挙げる。
第2面
K = 0.0,A4 = 2.71502×10-4,A6 = 9.04308×10-6,A8 = -6.14012×10-7,
A10 = 5.78048×10-8,A12 = -2.15199×10-9,A14 = 3.93607×10-11
第10面
K = 0.0,A4 = 5.77816×10-4,A6 = -3.98329×10-6
第11面
K = 5.29089,A4 = 1.01998×10-3,A6 = 1.03128×10-5,A8 = -3.03249×10-8,
A10 = 1.61176×10-9 。
【0059】
「条件式におけるパラメータの値」
各条件式におけるパラメータの値を以下に挙げる。
[1] ( r1o + r2o ) / ( r1o - r2o ) = -0.026
[2] ( r1i + r2i ) / ( r1i - r2i ) = -0.085
[3] ( r1m + r2m ) / ( r1m - r2m ) = 0.205
[4] fF / fR = 2.525
[5] Y’ / f = 0.905
[6] tan (θPmax ) = 0.925
[7] L / f = 1.709
[8] DT / f = 0.919
[9] f1 / f = -3.348
[10] fFF / fRR = 0.447 。
【0060】
「実施例8」
実施例8は、
図8に断面図を示す結像レンズである。実施例8の結像レンズのデータを以下に示す。
f = 18.22,F = 2.86,ω = 38.4
面番号 R D N
d ν
d P
g,F 硝種名
01 17.334 0.70 1.51633 64.06 0.5333 OHARA L-BSL7
02* 11.146 2.27
03 -24.237 0.50 1.61293 37.00 0.5862 OHARA S-TIM3
04 8.082 3.01 1.88300 40.76 0.5667 OHARA S-LAH58
05 -16.270 0.50 1.64769 33.79 0.5938 OHARA S-TIM22
06 -96.050 1.10
07 絞り 1.20
08 13.355 2.60 1.88300 40.76 0.5667 OHARA S-LAH58
09 -9.609 0.50 1.69895 30.13 0.6030 OHARA S-TIM35
10 13.696 1.50
11* -14.850 1.00 1.86100 37.10 0.5785 OHARA L-LAH94
12* -14.692 12.603
13 ∞ 1.40 1.51633 64.14 各種フィルタ
14 ∞ 。
【0061】
「非球面のデータ」
非球面のデータを以下に挙げる。
第2面
K = 0.0,A4 = 2.18458×10-4,A6 = 5.08624×10-6,A8 = -2.14277×10-7,
A10 = 2.25859×10-8,A12 = -7.62695×10-10,A14 = 1.19420×10-11
第11面
K = 0.0,A4 = 2.19633×10-4,A6 = 6.49562×10-6
第12面
K = 4.40626,A4 = 5.86981×10-4,A6 = 1.34609×10-5,A8 = 1.74349×10-8,
A10 = 1.99268×10-9 。
【0062】
「条件式におけるパラメータの値」
各条件式におけるパラメータの値を以下に挙げる。
条件式数値
[1] ( r1o + r2o ) / ( r1o - r2o ) = -0.370
[2] ( r1i + r2i ) / ( r1i - r2i ) = -0.040
[3] ( r1m + r2m ) / ( r1m - r2m ) = 0.756
[4] fF / fR = 2.611
[5] Y’ / f = 0.779
[6] tan (θPmax ) = 0.791
[7] L / f = 1.624
[8] DT / f = 0.817
[9] f1 / f = -3.452
[10] fFF / fRR = -0.154 。
【0063】
実施例1の結像レンズの収差曲線図を
図9に示す。
実施例2の結像レンズの収差曲線図を
図10に示す。
実施例3の結像レンズの収差曲線図を
図11に示す。
実施例4の結像レンズの収差曲線図を
図12に示す。
実施例5の結像レンズの収差曲線図を
図13に示す。
実施例6の結像レンズの収差曲線図を
図14に示す。
実施例7の結像レンズの収差曲線図を
図15に示す。
実施例8の結像レンズの収差曲線図を
図16に示す。
これら実施例1~8の収差曲線図において、球面収差の図中の破線は正弦条件を表し、 非点収差の図中の実線はサジタル、破線はメリディオナルを表す。
【0064】
収差曲線図に示すように、各実施例の収差は高いレベルで補正され、球面収差、軸上色収差は非常に小さい。非点収差、像面湾曲、倍率色収差も十分に小さく、コマ収差やその色差の乱れも最周辺部まで良く抑えられている。また、歪曲収差も絶対値で2.0%以下となっている。
即ち、この発明の結像レンズは、各実施例に示すように、半画角が35~43度程度と広角で、Fナンバが2.8~3.2程度と大口径でありながらレンズ全長・レンズ総厚・レンズ径の全てにおいて小型化が達成され、かつ、非常に良好な像性能を実現することができる。
小型・高性能に実現できる結像レンズを用いることにより、携帯性に優れた高性能のカメラや携帯情報端末装置を実現できる。
【0065】
以上、発明の好ましい実施の形態について説明したが、この発明は上述した特定の実施形態に限定されるものではなく、上述の説明で特に限定していない限り、特許請求の範囲に記載された発明の趣旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
例えば、この発明の結像レンズを用いるカメラとして、上にはデジタルカメラを説明したが、これに限らず銀塩カメラとして実施できることは言うまでもない。また、この発明の結像レンズは、ビデオカメラの撮影レンズとしても用い得ることは勿論である。
【0066】
この発明の実施の形態に記載された効果は、発明から生じる好適な効果を列挙したに過ぎず、発明による効果は「実施の形態に記載されたもの」に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0067】
LO 前側レンズ群
LI 光束レンズ群
S 開口絞り
LAO 物体側空気レンズ
LAI 像側空気レンズ
LZM 中間空気レンズ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0068】
【文献】特開平08-313802号公報
【文献】特開平08-313802号公報
【文献】特開平11-326756号公報
【文献】特開2005-352060号公報
【文献】特開2013-250534号公報
【文献】特開2014-059466号公報
【文献】特開昭59-061814号公報
【文献】特開昭62-138814号公報
【文献】特開2009-294528号公報
【文献】特開平10-048514号公報
【文献】米国特許公開公報2012/0194922