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特許7040047画像読取装置、画像読取方法及び画像形成装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-14
(45)【発行日】2022-03-23
(54)【発明の名称】画像読取装置、画像読取方法及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/04 20060101AFI20220315BHJP
   H04N 1/407 20060101ALI20220315BHJP
【FI】
H04N1/04 105
H04N1/407
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2018010853
(22)【出願日】2018-01-25
(65)【公開番号】P2019129457
(43)【公開日】2019-08-01
【審査請求日】2020-10-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】中田 祐貴
(72)【発明者】
【氏名】中澤 政元
(72)【発明者】
【氏名】橋本 英樹
(72)【発明者】
【氏名】二角 大祐
(72)【発明者】
【氏名】池本 龍馬
【審査官】橋爪 正樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-237945(JP,A)
【文献】特開2004-265301(JP,A)
【文献】特開昭50-062337(JP,A)
【文献】特開2007-135025(JP,A)
【文献】特開昭63-078666(JP,A)
【文献】特開2011-139264(JP,A)
【文献】特開2000-165627(JP,A)
【文献】特開2005-086756(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/04- 1/207
H04N 1/40- 1/409
G06T 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
読み取り位置の画像の読み取りを行う読み取り部と、
前記読み取り部で読み取られた画像全体を均一な濃度に補正する画像補正データを取得するための濃度基準部材が設けられた移動部材と、
前記濃度基準部材の読み取り制御を実行する際に、光源を点灯制御すると共に、前記移動部材の移動制御及び前記読み取り部の読み取り制御の両方の制御を、前記移動制御及び前記読み取り制御の間に他の処理を実行不可な間隔で連続的に実行制御する制御部と
を有し、
前記制御部は、
前記濃度基準部材の読み取り制御を実行する前に、前記読み取り部の読み取り位置に前記濃度基準部材の読み取り開始位置を移動して停止するように前記移動部材を移動制御し、
前記画像補正データの取得時以外は、前記濃度基準部材を、前記読み取り部の読み取り位置から離れた、搬送原稿に触れない位置まで退避するように前記移動部材を移動制御する、
画像読取装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記読み取り部の読み取り位置に前記濃度基準部材の読み取り開始位置を移動するように前記移動部材を移動制御している間に、前記光源を消灯した状態で前記読み取り部を読み取り制御して、前記読み取り部の各画素の出力レベルを均一化するための黒補正データを取得すること
を特徴とする請求項に記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記読み取り部の読み取り位置に前記濃度基準部材の読み取り開始位置を移動するように前記移動部材を移動制御している間に、所定のタイミングで前記光源を点灯制御して光量が安定化するまでの間、前記画像補正データの取得を待機状態とする、光源の出力安定待ち制御を行うこと
を特徴とする請求項1または請求項に記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記移動部材には、前記濃度基準部材と共に、複数の背景部材が所定の間隔で設けられており、
前記制御部は、前記画像補正データの取得時における前記移動部材の移動制御に連続して、前記各背景部材のうち所定の背景部材を、前記読み取り部の読み取り位置まで移動させる移動制御を行うこと
を特徴とする請求項1から請求項のうち、いずれか一項に記載の画像読取装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記各背景部材のうち所定の背景部材を、前記読み取り部の読み取り位置まで移動させる移動制御を行う際に、前記所定の背景部材が最短の移動距離で前記読み取り部の読み取り位置まで移動するように前記移動部材を移動制御すること
を特徴とする請求項に記載の画像読取装置。
【請求項6】
前記制御部は、
前記所定の背景部材を前記読み取り部の読み取り位置まで移動させるまでに要する時間が所定時間以上であった場合に、前記画像補正データを取得して、古い画像補正データを新たに取得した画像補正データに更新すること
を特徴とする請求項又は請求項に記載の画像読取装置。
【請求項7】
前記読み取り部、前記移動部材及、前記制御部は、当該画像読取装置が設けられる機器内に設けられること
を特徴とする請求項1から請求項のうち、いずれか一項に記載の画像読取装置。
【請求項8】
読み取り部で読み取られた画像全体を均一な輝度に補正する画像補正データを取得するための、移動部材に設けられた濃度基準部材の読み取り制御を実行する際に、制御部が光源を点灯制御すると共に、
前記制御部が、前記移動部材の移動制御及び前記読み取り部の読み取り制御の両方の制御を、前記移動制御及び前記読み取り制御の間に他の処理を実行不可な間隔で連続的に実行制御し、
前記制御部が、前記濃度基準部材の読み取り制御を実行する前に、前記読み取り部の読み取り位置に前記濃度基準部材の読み取り開始位置を移動して停止するように前記移動部材を移動制御し、
前記制御部が、前記画像補正データの取得時以外は、前記濃度基準部材を、前記読み取り部の読み取り位置から離れた、搬送原稿に触れない位置まで退避するように前記移動部材を移動制御する、
画像読取方法。
【請求項9】
請求項1から請求項のうち、いずれか一項に記載の画像読取装置を備えたこと
を特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読取装置、画像読取方法及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コピー機又はスキャナ装置等の画像形成装置において、読取りデバイス(イメージセンサ)の各画素の感度ムラ又は照明系の光量ムラ等により、例えば取得した画像の周辺部が中心部に比べて暗い等の輝度ムラ(光量ムラ)が発生するおそれがある。このため、画像形成装置では、基準とする白基準部材を読み取ることで得られた白補正データに基づいて、取得された画像全体を均一な輝度(明るさ)となるように補正するシェーディング補正処理が行われる。
【0003】
このようなシェーディング補正処理において、白基準部材にゴミ又は汚れが付着していると、補正精度の低下の原因となり好ましいことではない。このため、読取りデバイスに対向している白基準部材を移動させながら白補正データを取得し、移動により取得した各領域の白画像データの統計量で適正化した白補正データを用いてシェーディング補正処理を行う技術が知られている。
【0004】
また、特許文献1(特開2004-194077号公報)の画像記録読み取り装置として、物理的にゴミの混入を防ぐために、通常読み取り時には、白基準部材を用紙の搬送路から退避させ、白補正データの取得時に、読取りデバイス対向位置まで白基準部材を移動させて白補正データを取得する技術が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に開示されている画像読み取り装置も含め、白基準部材の従来の読み取り制御技術は、例えばスキャナ装置等のように「ホストデバイスが1つのスレーブデバイスを制御する小規模な印刷システム」に設けられることを前提としている。このため、大型印刷機等のように「ホストデバイスで複数のスレーブデバイスを制御する大規模な印刷システム」においては、白補正データ生成用の基準データを取得する白基準部材の領域と実際に基準データを取得する領域との間にズレを生ずることがある。
【0006】
すなわち、ホストデバイスが制御するスレーブデバイスが増加すると、ホストデバイスに割り当てられる処理の増加から、ホストデバイスにおける割り込み処理の優先度管理が複雑化し、白補正データの取得処理に遅延が生ずる。これにより、本来、白補正データ生成用の基準データを取得すべき白基準部材の領域とは異なる領域から基準データが取得される。そして、異なる領域から取得された基準データに基づいて生成された白補正データでシェーディング補正処理を行うと、不正確なシェーディング補正処理が行われるおそれがある。
【0007】
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、シェーディング補正処理の精度向上を可能とした画像読取装置、画像読取方法及び画像形成装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、読み取り位置の画像の読み取りを行う読み取り部と、読み取り部で読み取られた画像全体を均一な濃度に補正する画像補正データを取得するための濃度基準部材が設けられた移動部材と、濃度基準部材の読み取り制御を実行する際に、光源を点灯制御すると共に、移動部材の移動制御及び読み取り部の読み取り制御の両方の制御を、移動制御及び読み取り制御の間に他の処理を実行不可な間隔で連続的に実行制御する制御部とを有し、制御部は、濃度基準部材の読み取り制御を実行する前に、読み取り部の読み取り位置に濃度基準部材の読み取り開始位置を移動して停止するように移動部材を移動制御し、画像補正データの取得時以外は、濃度基準部材を、読み取り部の読み取り位置から離れた、搬送原稿に触れない位置まで退避するように移動部材を移動制御する
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、シェーディング補正処理の精度を向上させることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、第1の実施の形態の画像形成装置の断面図である。
図2図2は、第1の実施の形態の画像形成装置において、回転部材に設けられた白基準部材の移動制御を説明するための図である。
図3図3は、小規模な印刷システムのブロック図である。
図4図4は、大規模な印刷システムのブロック図である。
図5図5は、小規模な印刷システムの各部の信号又はパルス等のタイミングを示すタイミングチャートである。
図6図6は、小規模な印刷システムにおける白基準部材の読み取り動作を説明するための図である。
図7図7は、小規模な印刷システムにおける白基準部材の読み取り動作を説明するための他の図である。
図8図8は、割り込み処理の優先度を説明するための図である。
図9図9は、所定の処理の実行中に、高優先度の割り込み処理が発生することで、所定の処理が一時的に保留される様子を示す図である。
図10図10は、大規模な印刷システムの各部の信号又はパルス等のタイミングを示すタイミングチャートである。
図11図11は、白基準部材の読み取り処理中に、高優先度の割り込み処理が発生することで、白基準部材の読み取り処理を一時的に保留されたために、白基準部材の読み取り処理の再開時に、白基準部材の読み取り位置に、保留時間分のズレが生じた不都合を説明するための図である。
図12図12は、白基準部材の読み取り処理中に、高優先度の割り込み処理が発生することで、白基準部材の読み取り処理を一時的に保留されたために、白基準部材の読み取り処理の再開時に、白基準部材の読み取り位置に、保留時間分のズレが生じた不都合を説明するための他の図である。
図13図13は、第1の実施の形態の画像形成装置において、白基準部材の読み取り処理中に、高優先度の割り込み処理が発生することで、白基準部材の読み取り処理を一時的に保留した後、白基準部材の読み取り処理の再開時に、白基準部材の移動制御と読み取りデバイスの読み取り制御を同時に実行制御する動作を説明するための図である。
図14図14は、第2の実施の形態の画像形成装置において、黒補正データの取得タイミングを説明するためのタイミングチャートである。
図15図15は、点灯直後に明るさが不安定となる期間を説明するための光源の出力特性図である。
図16図16は、第3の実施の形態の画像形成装置において、光源の明るさが安定するまでに待機する出力安定待ち時間の取得タイミングを説明するためのタイミングチャートである。
図17図17は、第4の実施の形態の画像形成装置において、転写紙の搬送時に、ゴミ等が付着しない位置に白基準部材を退避させている状態を示す模式図である。
図18図18は、第5の実施の形態の画像形成装置において、回転部材に白基準部材と共に設けられる複数の背景部材を示す図である。
図19図19は、第5の実施の形態の画像形成装置における、各背景部材の移動制御を説明するための図である。
図20図20は、第6の実施の形態の画像形成装置において、各背景部材を最短の移動距離で移動させる制御を説明するための図である。
図21図21は、第7の実施の形態の画像形成装置において、平板状の移動部材に設けられている白基準部材及び各背景部材を示す図である。
図22図22は、第8の実施の形態の画像形成装置における、シェーディング補正用の白補正データの取得時の一連の動作を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、一例として、画像読取装置、画像読取方法及び画像形成装置を適用した画像形成装置の説明をする。
【0012】
[第1の実施の形態]
(画像形成装置の全体構成)
図1は、第1の実施の形態となる画像形成装置の全体的な断面図である。この図1に示すように第1の実施の形態の画像形成装置は、スキャナ装置1(画像読取装置の一例)、自動原稿送り装置(ADF)2、給紙部3及び本体4を有している。
【0013】
本体4には、タンデム方式の作像部5、給紙部3から搬送路7を介して作像部5に記録紙を供給するレジストローラ8、光書き込み装置9、定着/搬送部10、及び、両面トレイ11が設けられている。作像部5には、イエロー、マゼンタ、シアン、キープレート(YMCK)の4色に対応して4本の感光体ドラム12が並設されている。各感光体ドラム12の回りは、帯電器、現像器6、転写器、クリーナ、及び除電器を含む作像要素が配置されている。また、転写器と感光体ドラム12との間には両者のニップに挟持された状態で駆動ローラと従動ローラとの間に張架された中間転写ベルト13が設けられている。
【0014】
このように構成されたタンデム方式の画像形成装置では、YMCKの色毎に、各色に対応する感光体ドラム12に光書き込みを行い、現像器6で各色のトナー毎に現像し、中間転写ベルト13上に例えばY,M,C,Kの順で1次転写する。そして、1次転写により4色の画像が重畳されたフルカラーの画像を記録紙に2次転写した後、定着させて排紙する。
【0015】
ここで、第1の実施の形態となる画像形成装置は、定着/搬送部10の下流に、転写紙の状態検出を行うための読み取りデバイス14(読み取り部の一例)、及び、読み取りデバイス14の対向位置で転写紙の搬送方向(又は逆搬送方向)に回転する回転部材15を有している。回転部材15は移動部材の一例である。回転部材15上には、シェーディング補正用の白補正データを取得するための白基準部材16が設けられている。なお、白基準部材16は、濃度基準部材の一例である。この実施の形態では、白色の基準部材が設けられていることとして説明をするが、他の色の基準部材でもよい。また、白補正データは、画像補正データの一例である。
【0016】
なお、読み取りデバイス14と回転部材15と白基準部材16の配置は、用紙搬送経路のどこに配置しても良い(読み取りデバイス14~白基準部材16の配置位置は自由である)。
【0017】
(回転部材の構成)
図2は、読み取りデバイス14の対向位置に設けられた回転部材15について説明するための図である。図2(a)及び図2(b)に示すように、回転部材15には、外周部の一部に白基準部材16が設けられている。回転部材15は、中心Oを回転軸として副走査方向に回転可能となっており、通常は、図2(a)に示すように白基準部材16を転写紙の搬送路から退避させ、後述するシェーディング補正時に、図2(b)に示すように読み取りデバイス14に対して対向する位置に移動させて白補正データを取得する。
【0018】
なお、読み取りデバイス14の各画素が並列に設けられている方向が「主走査方向(画素の配列方向)」であり、この主走査方向に二次元的に直交する方向が「副走査方向」である。
【0019】
また、以下、白基準部材16が回転部材15上に設けられていることとして説明を進めるが、この他、例えば読み取りデバイス14に対向する板状部材上に白基準部材16を設けてもよい。この場合、通常は、読み取りデバイス14に対向しない位置に白基準部材16を退避させるように板状部材を移動制御し、シェーディング補正時に、読み取りデバイス14に対して対向する位置に、白基準部材16を移動させるように板状部材を移動制御して白補正データを取得する。
【0020】
(小規模な印刷システムと大規模な印刷システム)
図3は、例えばスキャナ装置1等の小規模な印刷システムの概略的なブロック図、図4は、例えば大型印刷機等の大規模な印刷システムの概略的なブロック図である。小規模な印刷システム及び大規模な印刷システムは、いずれもホストデバイス(制御部)21が、画像取り込み部22及びスレーブデバイス(モータ制御部)24の制御を行う。ただ、図4に示す大規模な印刷システムは、図3に示す小規模な印刷システムと比較して、転写紙の搬送路が長く、搬送路が長いことに比例してスレーブデバイス(モータ制御部)24の数が多くなる。
【0021】
画像取込み部22は、読み取りデバイス14と接続されており、ホストデバイス21からの撮像命令を受信して、画像データの取得開始制御及び取得停止制御を行う。スレーブデバイス(モータ制御部)24は、上述の白基準部材16を移動させるモータ23と接続されており、ホストデバイス21からの白基準部材16の移動命令に基づいてモータ23にモータパルスを供給する。また、スレーブデバイス(モータ制御部)24は、出力したモータパルスのパルス数をカウントするカウント回路を有しており、モータパルスのカウント値を所定のタイミングでホストデバイス21にフィードバックする。ホストデバイス21は、フィードバックされたモータパルスのカウント値に基づいて白基準部材16の移動位置を認識し、白基準部材16を所定の位置に移動制御する。
【0022】
(小規模な印刷システムにおける、白基準部材の読み取り時の動作)
図5は、小規模な印刷システムにおける、白基準部材16の読み取り時の各部の信号又はパルスを示すタイミングチャートである。このうち、図5(a)は、白基準部材16を移動させるための駆動命令信号、図5(b)は、画像取り込み部22に対する撮像命令信号である。これら駆動命令信号及び撮像命令信号は、共にホストデバイス21から出力される。
【0023】
また、図5(c)は、スレーブデバイス24から白基準部材16を移動させるモータ23に供給されるモータパルスであり、図5(d)は、スレーブデバイス24からホストデバイス21によりフィードバックされるモータパルスのカウント値である。これらモータパルス及びモータパルスのカウント値は、共にスレーブデバイス(モータ制御部)24から出力される。また、図5(e)は、画像取込み部22において、取込み区間(tgate)に読み取りデバイス14から取り込まれる撮像信号を示している。
【0024】
シェーディング補正処理を行うための白補正データの取得時となると、ホストデバイス21は、白基準部材16の読み取り指示である、図5(a)にハイレベルのパルスで示す白基準部材16のモータ駆動命令をスレーブデバイス(モータ制御部)24に供給する。スレーブデバイス(モータ制御部)24は、モータ駆動命令を受信すると、モータ23に対して、図5(c)に示すモータパルスの供給を開始する。これにより、回転部材15が回転駆動され、回転部材15上の白基準部材16が、初期位置から読み取り開始位置まで移動する。
【0025】
スレーブデバイス(モータ制御部)24は、モータ23に対してモータパルスの供給を開始すると、図5(d)に示すように出力したモータパルスのパルス数のカウントを開始する。そして、スレーブデバイス(モータ制御部)24は、白基準部材16が初期位置から、図6(a)に示す読み取り開始位置まで移動する量に等価となるパルス数をカウントしたタイミングで、図5(d)に示すようにカウント完了通知をホストデバイスにフィードバックする。
【0026】
次に、ホストデバイス21は、白基準部材16が読み取り開始位置まで移動したことを示すカウント完了通知を受信すると、図5(b)に示すように撮像命令を画像取込み部22に供給する。撮像命令を受信した画像取込み部22は、図5(e)に示すように画像の取り込みを開始する(tgate)。画像の取り込み時においても、スレーブデバイス(モータ制御部)24からモータ23に対しては、図5(c)に示すようにモータパルスが継続して供給される。このため、回転部材15は継続して回転動作し、図6(b)に示すように読み取りデバイス14の前を通過するように白基準部材16が移動する。
【0027】
図5(e)の画像の取込み区間(tgate)は、読み取りデバイス14の前を白基準部材16が通過する区間を示している。この取込み区間(tgate)に、読み取りデバイス14で撮像された画像を取り込むことにより、白基準部材16の撮像データである白補正データを取得することができる。
【0028】
ここで、図6(a)、図6(b)及び図7に示すように、白基準部材16の有効領域を「L」、回転部材15の半径を「r」、回転部材15の角速度平均を「ω」とし、白基準部材16の左端を「a点」、右端を「b点」とする。また、白基準部材16の撮像時の読み取り値を200[digit]とし、白基準部材16以外の領域の撮像時の読み取り値を20[digit]とする。
【0029】
この場合において、白基準部材16の読み取り開始時(t=t0)には、白基準部材16のa点が、図6(a)に示すように読み取りデバイス14に対向する位置となる。また、白基準部材16の読み取り完了時(t=t1)には、白基準部材のb点が、読み取りデバイス14に対向する位置となる。つまり、図7に示すように、「t=t0」→「t=t1」における白基準部材16の読み取り長は、白基準部材16の有効領域の「L」と等価であることがわかる。
【0030】
ホストデバイス21は、白基準部材16の左端である「a点」が読み取りデバイス14に対向する位置に移動したタイミングで撮像命令を瞬時に生成する必要がある。このため、白基準部材16の左端である「a点」が読み取りデバイス14に対向する位置に移動したタイミングで生成されるカウント完了通知は、割り込みイベントとして管理される。
【0031】
つまり、ホストデバイス21には、カウント完了通知に割り当てられた「モータクロック-カウント完了割り込み要求」が発生している。図8(a)は、高優先度の割り込み処理の処理タイミング、図8(b)は、低優先度の割り込み処理の処理タイミング、図8(c)は、通常処理の処理タイミングをそれぞれ示している。割り込み処理中に高優先度の割り込み要求が発生した場合、ホストデバイス21は、図8(a)に示すように、現在の割り込み処理を中断して高優先度の割り込み処理を行う(多重割り込み処理を行う)。
【0032】
図9(a)は、高優先度の割り込み処理の処理タイミング、図9(b)は、低優先度の割り込み処理の処理タイミング、図9(c)は、通常処理の処理タイミングをそれぞれ示している。図9(b)に示すように、高優先度の割り込み処理の処理中に低優先度の割り込み要求が発生した場合、ホストデバイス21は、低優先度の割り込み処理は保留し、高優先度の割り込み処理を継続して実行する。そして、ホストデバイス21は、高優先度の割り込み処理が完了した際に、保留していた低優先度の割り込み処理を開始する。
【0033】
ここで、「モータクロック-カウント完了割り込み要求」の優先度を考える。ホストデバイス21は、上述のようにスレーブデバイス(モータ制御部)24からフィードバックされたカウント値に基づいて、カウント完了通知の割り込みイベントを発生させると、瞬時に撮像命令(図5(b)参照)を発行する必要がある。このため、「モータクロック-カウント完了割り込み要求」を高優先度の割り込み処理として設定する必要がある。
【0034】
(大規模な印刷システムの問題点)
しかし、例えば大型印刷機等の大規模な印刷システムでは、ホストデバイス21は、大量に搬送される転写紙の搬送制御を行う必要がある。この状態で、ホストデバイス21に高優先度の割り込み処理を設定すると、転写紙のジャム等の動作不良を引き起こす要因となる。このため、「モータクロック-カウント完了割り込み要求」を最優先度の割り込み処理として設定することは困難となり、結果、処理待ち時間が発生していた。なお、この処理待ち時間は、一定時間ではなく、その時々の状態に依存した時間となるため、オフセットとして処理することは困難である。
【0035】
換言すると、スレーブデバイス(モータ制御部)24からフィードバックされるモータパルスのカウント値に基づいて、ホストデバイス21が撮像命令の出力タイミングを検知しても、実際に撮像命令が発行されるタイミングが遅延する。そして、このような遅延が発生すると、白基準部材16の有効領域を読み取って白補正データを取得することが困難となる。
【0036】
(大規模な印刷システムにおける、白基準部材の読み取り時の動作)
図10は、大規模な印刷システムにおける、白基準部材16の読み取り時の各部の信号又はパルスを示すタイミングチャートである。このうち、図10(a)は、白基準部材16を移動させるための駆動命令信号、図10(b)は、画像取り込み部22に対する撮像命令信号である。これら駆動命令信号及び撮像命令信号は、共にホストデバイス21から出力される。
【0037】
また、図10(c)は、スレーブデバイス24から白基準部材16を移動させるモータ23に供給されるモータパルスであり、図10(d)は、スレーブデバイス24からホストデバイス21にフィードバックされるモータパルスのカウント値を示している。これらモータパルス及びモータパルスのカウント値は、共にスレーブデバイス(モータ制御部)24から出力される。また、図10(e)は、画像取込み部22において、取込み区間(tgate)に読み取りデバイス14から取り込まれる撮像信号を示している。
【0038】
この図10(a)~図10(e)は、スレーブデバイス(モータ制御部)24からのカウント値に基づいてカウント完了通知の割り込みイベントを発生させた際に、高優先度の処理が実行中の状態を示している。大規模な印刷システムであっても、シェーディング補正処理を行うための白補正データの取得時における処理の流れは、小規模な印刷システムと同様であるが、高優先度の処理が実行中に発生したカウント完了通知の割り込みイベントの処理は、図10(b)に示すように、一旦、保留となる。
【0039】
これにより、図10(b)に示すように、カウント完了通知となるカウント値がスレーブデバイス(モータ制御部)24からホストデバイス21にフィードバックされるタイミングと、ホストデバイス21により、図10(b)に示すカウント完了通知となるカウント値をトリガとして生成される撮像命令の生成タイミングとの間に、高優先度の処理が完了するまでの時間分(上述の保留の時間分)のズレが発生する。このため、白基準部材16の有効領域の撮像画像の取得が困難となる。
【0040】
また、大規模な印刷システムの場合、図4に示したようにホストデバイス21で複数のスレーブデバイス(モータ制御部)24を制御する必要がある。このため、複数の高優先度の割り込み処理を並列的に処理(多重割り込み処理)している状況もあり、この場合、保留時間が長時間化し、上述のタイミングのズレは大きくなる。
【0041】
図11(a)、図11(b)及び図12に示すように、白基準部材16の有効領域を「L」、回転部材15の半径を「r」、回転部材15の角速度平均を「ω」とし、白基準部材16の左端を「a点」、右端を「b点」とする。また、白基準部材16の撮像時の読み取り値を200[digit]とし、白基準部材16以外の領域の撮像時の読み取り値を20[digit]とする。
【0042】
上述の保留により、ホストデバイス21で生成される撮像命令に「tdelay」の時間分の遅延が生じた場合、t=t0の読み取りを開始時には、図11(a)に示すように白基準部材16のa点が、反時計回り方向に「ΔL(=rωtdelay)」だけ進んだ位置から、読み取りデバイス14による白基準部材16の読み取りが開示される。また、図11(b)に示すように白基準部材16のb点が、読み取りデバイス14の正面位置から反時計回り方向に「ΔL(=rωtdelay)」だけ進んだ際に、白基準部材16の読み取りが完了(t=t1)となる。
【0043】
撮像命令の遅延有無に関わらず、図10(e)に示す撮像時間(tgate)は一定であるため、白基準部材16の読み取り開始時刻から読み取り完了まで(t=t0→t=t1)の白基準部材16の読み取り時間は、図12に示すように白基準部材16の有効領域分の読み取り時間よりもΔLだけ短くなる。そして、このΔLの時間分、白基準部材16の有効領域以外の不定領域が読み取られる不都合を生じ、シェーディング補正精度が低下する。
【0044】
なお、保留による上述の不都合を回避するために、例えば白基準部材16の有効領域よりも、読み取り領域を狭めることが考えられるが、この場合、白基準部材16に付着するゴミ又は汚れの影響を強く受ける。また、白基準部材16の有効領域を大きくすることが考えられるが、この場合、画像形成装置が大型化し、また、製造コストが高くなる。
【0045】
(第1の実施の形態の動作)
次に、第1の実施の形態の画像形成装置の動作を説明する。図13は、大規模な印刷システムにおける、白基準部材16の読み取り時の各部の信号又はパルスを示すタイミングチャートである。このうち、図13(a)は、白基準部材16を移動させるための駆動命令信号、図13(b)は、画像取り込み部22に対する撮像命令信号である。これら駆動命令信号及び撮像命令信号は、共にホストデバイス21から出力される。
【0046】
なお、ホストデバイス21は、制御部の一例である。また、制御部の一例であるホストデバイス21、読み取り部の一例である読み取りデバイス14及び移動部材の一例である回転部材15は、いわゆるインラインセンサとして、画像形成装置内に設けられている。一例ではあるが、インラインセンサは、搬送紙の排紙部の近傍に設けられており、搬送中の搬送紙の画像を読み込み、画像のRGB値、画像濃度、線画の位置等を検出し、画像形成装置本体の調整機能にフィードバックする。これにより、画像の階調補正、画像のムラ補正及び表裏レジストレーション調整等を可能とし、安定した品質の印刷物を提供可能とすることができる。
【0047】
なお、この例では、ホストデバイス21、読み取りデバイス14及び移動部材は、一例としてインラインセンサとして画像形成装置内に設けられていることとしたが、ホストデバイス21、読み取りデバイス14及び回転部材15のうち、一部又は全部を例えば画像形成装置外に設けてもよい。
【0048】
また、図13(c)は、スレーブデバイス24から白基準部材16を移動させるモータ23に供給されるモータパルスであり、図13(d)は、スレーブデバイス24からホストデバイス21にフィードバックされるモータパルスのカウント値を示している。これらモータパルス及びモータパルスのカウント値は、共にスレーブデバイス(モータ制御部)24から出力される。また、図13(e)は、画像取込み部22において、
シェーディング補正処理で用いる白補正データの取得区間(tgate)に、読み取りデバイス14で取り込まれる撮像信号(白補正データ)を示している。
【0049】
第1の実施の形態の画像形成装置は、シェーディング補正処理で用いる白補正データの取得時となると、ホストデバイス21が、図13(a)の最初のパルスに示すように、各スレーブデバイス(モータ制御部)24に対して、白基準部材16の駆動命令を供給する。各スレーブデバイス(モータ制御部)24は、駆動命令を受信すると、図13(c)に示す所定周波数のモータパルスをモータ23に供給する。これにより、図6(a)に示す回転部材15が、モータ23により例えば反時計回り方向に回転駆動され、白基準部材16が移動する。
【0050】
各スレーブデバイス(モータ制御部)24は、図13(d)に示すように、ホストデバイス21から供給されるモータパルスのパルス数をカウントしてホストデバイス21にフィードバックする。ホストデバイス21は、モータパルスのパルス数のカウント値が、図6(a)に示すように白基準部材16のa点(読み取り開始位置)が、読み取りデバイス14に正対する位置まで移動したタイミングに相当するカウント値となった際に、各モータ23に供給しているモータパルスを停止するように、各スレーブデバイス(モータ制御部)24を制御する。これにより、各モータ23の回転が停止し、白基準部材16のa点(読み取り開始位置)が、読み取りデバイス14に正対する位置まで移動した状態で停止する。
【0051】
ここで、シェーディング補正処理で用いる白補正データの取得中に、先に処理すべき優先度の処理のイベントが発生すると、ホストデバイス21は、白補正データの取得処理を一旦保留して、先に処理すべき優先度の処理を完了させる。先に処理すべき優先度の処理を完了させると、ホストデバイス21は、保留していた白補正データの取得処理を再開し、光源を点灯制御すると共に、図13(a)の2番目のパルスに示す白基準部材16の駆動命令、及び、図13(b)に示す撮像命令を「同時に実行」する。
【0052】
この「同時に実行」とは、「連続する処理と処理との間に、割り込み処理が介入できない間隔で連続的に命令を行うこと」を意味している。すなわち、「同時に実行」とは、ホストデバイス21が、回転部材15の回転制御及び読み取りデバイス14の読み取り制御の両方の制御を、回転部材15の回転制御及び読み取りデバイス14の読み取り制御の間に、他のイベント(処理)を実行不可な間隔で連続的(実質的に同時)に実行制御することを意味している。
【0053】
ホストデバイス21が、例えばマルチコアCPUの場合等、2つ以上の命令を同時に実行できる環境においては、ホストデバイス21は、ハードウェアの物理的な(電気的な)実行遅延の範囲内で各命令を同時に実行する。また、ホストデバイス21がシングルコアCPUである場合等、2つ以上の命令を同時に実行困難な環境においては、ホストデバイス21は、各命令間で割り込み処理が介入困難なスケジューリング等を実施することで、上述の各命令を「同時に実行」する。
【0054】
スレーブデバイス(モータ制御部)24は、上述のように白基準部材16の駆動命令を受信すると、モータ23に対してモータパルスを供給する。回転部材15は、モータ23により反時計回り方向に回転駆動される。これにより、図6(a)及び図6(b)に示すように、読み取りデバイス14の前面を、白基準部材16のa点(読み取り開始点)からb点(読み取り完了点)の間の有効領域が通過するように、白基準部材16が移動する。
【0055】
また、このような駆動命令と同時に形成された撮像命令は、画像読み取り部22に供給される。画像読み取り部22は、この撮像命令が供給されると、図13(e)に示すように、読み取りデバイス14の前面を白基準部材16の有効領域が通過する時間分(=tgate)、読み取りデバイス14で撮像された撮像画像の取り込みを行う。
【0056】
(第1の実施の形態の効果)
これにより、割り込み要因の優先度管理に基づく撮像命令及び白基準部材16の駆動命令のタイミングにズレを生ずる不都合を防止して、白基準部材16の有効領域を正確に読み取ることで生成した白補正データを得ることができる。そして、白基準部材16の有効領域を正確に読み取った白補正データに基づいてシェーディング補正処理を行うことができるため、シェーディング補正処理の精度を向上させることができる。
【0057】
[第2の実施の形態]
次に、第2の実施の形態の画像形成装置の説明をする。読み取りデバイス14として、例えばCCDイメージセンサ又はCMOSイメージセンサ等の半導体イメージセンサが設けられている場合、暗時における画素毎の出力がそれぞれ異なる。このような読み取りデバイス14の出力のばらつきを抑えるために、読み取った画像データに対してシェーディング補正処理が施される。シェーディング補正処理を行うためには、光源消灯時(暗時)における読み取りデバイス14の暗時出力を黒補正データとして検出して用いる。しかし、転写紙の読み取り時に黒補正データの検出を行うと、転写紙の読み取りが開始されるまでに時間を要し(読み取り開始が遅延し)、印刷物の生産性に悪影響を及ぼす。
【0058】
このため、第2の実施の形態の画像形成装置では、読み取りデバイス14に対して白基準部材16を移動させる際に(白基準部材16の移動制御に並行して)、黒補正データを取得する。なお、上述の第1の実施の形態と以下に説明する第2の実施の形態との差異は、白基準部材16の移動制御に並行して黒補正データを取得する点である。このため、以下、両者の差異の説明のみ行い、重複説明は省略する。
【0059】
図14は、第2の実施の形態の画像形成装置において、黒補正データの取得タイミングを説明するためのタイミングチャートである。このうち、図14(a)は、白基準部材16を移動させるための駆動命令信号、図14(b)は、画像取り込み部22に対する撮像命令信号である。これら駆動命令信号及び撮像命令信号は、共にホストデバイス21から出力される。
【0060】
また、図14(c)は、スレーブデバイス24から白基準部材16を移動させるモータ23に供給されるモータパルスであり、図14(d)は、スレーブデバイス24からホストデバイス21にフィードバックされるモータパルスのカウント値を示している。これらモータパルス及びモータパルスのカウント値は、共にスレーブデバイス(モータ制御部)24から出力される。また、また、図14(e)は、画像取込み部22において、シェーディング補正処理で用いる白補正データの取得区間(tgate)に、読み取りデバイス14で取り込まれる撮像信号(白補正データ)を示している。また、図14(e)は、画像取込み部22において、白基準部材16の移動制御と共に行われる黒補正データの取得区間を示している。
【0061】
第2の実施の形態においても、図14(a)~図14(e)に示すように、一旦保留していた白補正データの取得処理を再開する際に、白基準部材16の駆動命令と撮像命令を同時に行う。これにより、正確に読み取った白基準部材16の有効領域に基づいて白補正データを生成できることは、第1の実施の形態と同じである。
【0062】
第2の実施の形態の画像形成装置の場合、ホストデバイス21は、白補正データの取得処理を開始すると、上述のように読み取りデバイスの正面に白基準部材16を移動させる制御と並行して、図14(e)に示すように黒補正データの取得制御を行う。
【0063】
具体的には、ホストデバイス21は、白補正データの取得処理の開始時には、光源が消灯されているため、この光源の消灯状態を維持したまま、画像読み取り部22に対して黒画像データの取得命令を行う。画像読み取り部22は、取得命令を受信すると、消灯状態で読み取りデバイス14により撮像された所定時間分の撮像データを取得する。これにより、暗示における各画素の出力レベルを検出できる。一例ではあるが、ホストデバイス21は、各画素の出力を増幅するアンプの利得をそれぞれ調整することで、各画素の出力レベルを均一化して黒シェーディング補正を行う。
【0064】
(第2の実施の形態の効果)
このように白基準部材16の移動制御と並行して黒補正データの取得制御を行うことで、白基準部材16の移動完了後に黒補正データを生成する時間を省略でき、白補正データの取得完了までに要する時間を短縮化することができる他、上述の第1の実施の形態と同じ効果を得ることができる。
【0065】
なお、黒補正データを取得するタイミングは、上述のタイミング以外であっても、白補正データ取得前であれば任意のタイミングで行えばよい。
【0066】
[第3の実施の形態]
次に、第3の実施の形態の画像形成装置の説明をする。図15に示すように、画像形成装置の光源駆動回路から光源に対して電源の供給を開始した直後は、例えば駆動電流、素子温度又は素子自体の発光特性等の複数の要因により、光源の明るさが不安定となる時間が存在する。この場合、光源の明るさが安定する一定時間(tstable)を経過したタイミングで、読み取りデバイス14による撮像を開始することが考えられる。しかし、光源の明るさが安定する一定時間の経過を待って(出力安定待ち)、転写紙の読み取りを開始すると、読み取り開始が遅れてしまい、印刷物の生産性に悪影響を及ぼす。
【0067】
このため、第3の実施の形態の画像形成装置では、読み取りデバイス14に対して白基準部材16を移動させる際に(白基準部材16の移動制御に並行して)、光源の点灯制御及び明るさの安定待ちを行う。なお、上述の各実施の形態と以下に説明する第3の実施の形態との差異は、この点のみが異なる。このため、以下、両者の差異の説明のみ行い、重複説明は省略する。
【0068】
図16は、第3の実施の形態の画像形成装置において、光源の出力安定待ちのタイミングを説明するためのタイミングチャートである。このうち、図16(a)は、白基準部材16を移動させるための駆動命令信号、図16(b)は、画像取り込み部22に対する撮像命令信号である。これら駆動命令信号及び撮像命令信号は、共にホストデバイス21から出力される。
【0069】
また、図16(c)は、スレーブデバイス24から白基準部材16を移動させるモータ23に供給されるモータパルスであり、図16(d)は、スレーブデバイス24からホストデバイス21にフィードバックされるモータパルスのカウント値を示している。これらモータパルス及びモータパルスのカウント値は、共にスレーブデバイス(モータ制御部)24から出力される。
【0070】
また、図16(e)は、画像取込み部22において、シェーディング補正処理で用いる白補正データの取得区間(tgate)に、読み取りデバイス14で取り込まれる撮像信号(白補正データ)を示している。また、図16(e)は、画像取込み部22において、白基準部材16の移動制御と共に行われる黒補正データの取得区間を示している。また、図16(f)は、光源の点灯制御のタイミング及び光源の出力安定待ちの区間を示している。
【0071】
第3の実施の形態においても、図16(a)~図16(e)に示すように、一旦保留していた白補正データの取得処理を再開する際に、白基準部材16の駆動命令と撮像命令を同時に行う。これにより、正確に読み取った白基準部材16の有効領域に基づいて白補正データを生成できることは、第1の実施の形態と同じである。
【0072】
また、第3の実施の形態においても、図16(e)に示すように、白基準部材16の移動制御に並行して、シェーディング補正用の黒補正データの取得制御を行う。
【0073】
第3の実施の形態の画像形成装置の場合、ホストデバイス21は、図16(f)に示すように、白基準部材16の移動制御と並行して行う黒補正データの取得が完了したタイミングで光源を点灯制御し、所定時間の光源の出力安定待ち制御を行う。
【0074】
(第3の実施の形態の効果)
このように白基準部材16の移動制御と並行して、光源の出力安定待ち制御を行うことで、白基準部材16の移動完了後に、光源の出力安定待ち制御を行う必要が無く、白補正データ取得までの時間を短縮化することができる他、上述の各実施の形態と同じ効果を得ることができる。
【0075】
なお、第3の実施の形態においては、黒補正データの取得制御を省略してもよい。また、光源の点灯及び光源の出力安定待ちのタイミングは、白補正データの取得前であれば任意のタイミングで実行可能である。
【0076】
[第4の実施の形態]
次に、第4の実施の形態の画像形成装置の説明をする。一般に、読み取りデバイス14の周辺に発生するゴミ及び汚れの主な原因は、転写紙のトナー及び紙粉であることが知られている。このため、第4の実施の形態の画像形成装置は、転写紙の搬送時等の白補正データの取得時以外の時に、転写紙の搬送路から離れた位置に白基準部材16を退避させることで、白基準部材16にゴミ及び汚れが付着する不都合を防止した。なお、上述の各実施の形態と以下に説明する第4の実施の形態との差異は、この点のみが異なる。このため、以下、両者の差異の説明のみ行い、重複説明は省略する。
【0077】
図17は、第4の実施の形態の画像形成装置において、転写紙の搬送時に、白基準部材16を退避させている状態を示す模式図である。この図17に示すように、ホストデバイス21は、転写紙の搬送時等の白補正データの取得時以外の時に、読み取りデバイス14から離れた位置に白基準部材16を退避させるように、回転部材15を回転制御する。
【0078】
(第4の実施の形態の効果)
これにより、図17に示すように、汚れ等が付着し易い位置である読み取りデバイス14に近い位置から、汚れ等が付着し難い位置である読み取りデバイス14から遠い位置へ、白基準部材16を移動制御できる。このため、白基準部材16に汚れ等が付着する不都合を防止できる他、上述の各実施の形態と同じ効果を得ることができる。
【0079】
なお、上述の第4の実施の形態の説明では、回転部材15を回線制御することで、白基準部材16を読み取りデバイス14から遠い位置に退避させることとした。しかし、回転部材15自体を退避させる移動機構を設け、この移動機構により、回転部材15自体を読み取りデバイス14から離れた位置に退避させてもよい。この場合、ゴミ及び汚れの付着範囲が広範囲に渡る場合でも、読み取り特性に影響の無い範囲で回転部材15自体を退避させて汚れ等の付着を防止できる。
【0080】
[第5の実施の形態]
次に、第5の実施の形態の画像形成装置の説明をする。この第5の実施の形態の画像形成装置は、白補正データの取得後、続く転写紙の読み取り動作に備え、例えば背景部材A等の所定の背景部材を読み取りデバイス14の正面の位置に配置する例である。なお、上述の各実施の形態と以下に説明する第5の実施の形態との差異は、この点のみが異なる。このため、以下、両者の差異の説明のみ行い、重複説明は省略する。
【0081】
背景部材とは、所定の濃度(反射率)を有する部材であり、例えば転写紙読取り時に読取りデバイス14に対向して設けられる。この第5の実施の形態の場合、読み取り対象に応じて複数の背景部材のうち1つが選択される。なお、背景部材として、所定の濃度(反射率)以外の他の特徴を有する部材を設けてもよい。
【0082】
図18は、第5の実施の形態の画像形成装置に設けられている回転部材15を径方向に沿って切断した状態の断面図である。この図18からわかるように、第5の実施の形態の画像形成装置は、回転部材15の外周面の一部に白基準部材16が設けられている。また、回転部材15の外周面には、背景部材51~背景部材54(=背景部材A~背景部材D)が所定の間隔で設けられている。すなわち、回転部材の外周面には時計回り方向に沿って、白基準部材16、背景部材51、背景部材52、背景部材53及び背景部材54が、それぞれ順に設けられている。これにより、転写紙に応じて適切な背景を提供可能となっている。
【0083】
このような第5の実施の形態の画像形成装置において、ホストデバイス21は、図19(a)及び図19(b)に示すように、読み取りデバイス14の前面に移動させた白基準部材16を、反時計回り方向に移動するように回転部材15を回転制御することで白補正データを取得する(図13(e)の(tgate)参照)。この後、ホストデバイス21は、引き続き行われる転写紙の読み取り動作に備えて、例えば図19(c)に示すように読み取りデバイス14の前面に背景部材51(背景部材A)を移動させるように回転部材15を回転制御する。
【0084】
すなわち、ホストデバイス21は、図19(a)に示すように時刻t=t0で白基準部材16の読み取りを開始し、図19(b)に示すように時刻t=t1で白基準部材16の読み取りを完了し、白補正データを取得する。ホストデバイス21は、この白補正データの取得から連続して反時計回り方向に回転部材15を回転制御して、例えば背景部材51を読み取りデバイス14の前面に移動させる。
【0085】
(第5の実施の形態の効果)
これにより、白補正データの取得から回転部材15の回転制御を停止することなく、連続動作により、例えば背景部材51等の所望の背景部材を読み取りデバイス14の前面に移動させて、転写紙の読み取り動作に備えることができる。これにより、白補正データの取得から転写紙の読み取り動作に備えるまでの一連の動作時間を短縮化できる他、上述の各実施の形態と同じ効果を得ることができる。
【0086】
[第6の実施の形態]
次に、第6の実施の形態の画像形成装置の説明をする。この第6の実施の形態の画像形成装置は、第5の実施の形態で説明した背景部材51~背景部材54を読み取りデバイス14の前面に移動させる際に、各背景部材が最短時間(最短の移動距離)で読み取りデバイス14の前面に移動するように回転部材15を回転制御することで、各背景部材の51~背景部材54の移動時間を短縮化した例である。なお、上述の第5実施の形態と以下に説明する第6の実施の形態との差異は、この点のみが異なる。このため、以下、両者の差異の説明のみ行い、重複説明は省略する。
【0087】
この第6の実施の形態の画像形成装置の場合、ホストデバイス21は、図20(a)に示すように、時刻t=t0で白基準部材16の読み取りを開始し、図20(b)に示すように時刻t=t1で白基準部材16を読み取り、白補正データを取得すると、読み取りデバイス14の前面に移動させる背景部材を検出する。
【0088】
例えば、読み取りデバイス14の前面に移動させる背景部材として、背景部材51を検出したとする。背景部材51は、白基準部材16の時計回り方向に隣接する背景部材である。画像形成装置のRAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)等の記憶部には、回転部材15の外周面における白基準部材16の位置を示す位置情報、及び、白基準部材16の位置を基準とした各背景部材51~54の位置を示す位置情報がそれぞれ記憶されている。
【0089】
ホストデバイス21は、読み取りデバイス14の前面に移動させる背景部材として、背景部材51を検出した場合、記憶部から背景部材51の位置情報を読み出し、回転部材15を回転制御する方向を判別する。この例の場合、現在、回転部材15は反時計回り方向(CW方向)に回転制御されており、背景部材51は、白基準部材16に対して時計回り方向側に隣接している。
【0090】
このため、現在、回転部材15を回転制御している反時計回り方向(CW方向)に、回転部材15を回転制御すれば、最短の移動距離で、背景部材51を読み取りデバイス14の前面に移動させることができる。ホストデバイス21は、検出した背景部材の位置情報に基づいて、このような演算を行うと、白補正データの取得時における回転部材15の回転制御に連続して、図20(c)に示すように反時計回り方向(CW方向)に回転部材15を回転制御し、背景部材51を読み取りデバイス14の前面に移動させる。これにより、最短の移動距離(最短時間)で、背景部材51を読み取りデバイス14の前面に移動させることができる。
【0091】
次に、読み取りデバイス14の前面に移動させる背景部材として、背景部材54を検出した場合、ホストデバイス21は、記憶部から背景部材54の位置情報を読み出し、回転部材15を回転制御する方向を判別する。この例の場合、現在、回転部材15は反時計回り方向(CW方向)に回転制御されており、背景部材54は、白基準部材16に対して反時計回り方向側に隣接している。このため、回転部材15を時計回り方向(CCW方向)に回転制御すれば、最短の移動距離で、背景部材54を読み取りデバイス14の前面に移動させることができる。
【0092】
ホストデバイス21は、検出した背景部材の位置情報に基づいて、このような演算を行うと、白補正データの取得時における回転部材15の回転制御に連続して、図20(d)に示すように時計回り方向(CCW方向)に回転部材15を回転制御し、背景部材54を読み取りデバイス14の前面に移動させる。これにより、最短の移動距離で、背景部材54を読み取りデバイス14の前面に移動させることができる。
【0093】
(第6の実施の形態の効果)
このように第6の実施の形態の画像形成装置は、回転部材15の外周面上における各背景部材51~54の位置情報に基づいて、最短の移動距離で読み取りデバイス14の前面に移動するように、回転部材15の回転方向及び回動距離を制御する。これにより、白補正データの取得に続けて、最短の移動距離で所望の背景部材を読み取りデバイス14の前面に移動させることができる他、上述の第5の実施の形態と同じ効果を得ることができる。
【0094】
[第7の実施の形態]
次に、第7の実施の形態の画像形成装置の説明をする。上述の第5及び第6の実施の形態では、回転部材15の外周上に白基準部材16及び各背景部材51~54が設けられている例であった。これに対して、第7の実施の形態は、平板上に白基準部材16及び複数の背景部材が設けられている例である。なお、上述の第5及び第6の実施の形態と以下に説明する第7の実施の形態との差異は、この点のみが異なる。このため、以下、両者の差異の説明のみ行い、重複説明は省略する。
【0095】
この第7の実施の形態の画像形成装置の場合、図21(a)に示すように、読み取りデバイス14の前面に位置する平板60上に白基準部材16を設けると共に、この白基準部材16の左右にそれぞれ隣接するように背景部材E及び背景部材Fを設ける。なお、平板60は、移動部材の一例である。
【0096】
この場合、ホストデバイス21は、白補正データの取得時となると、図21(b)に示すように時刻t=t0で白基準部材16の読み取りを開始し、図21(c)に示すように平板60を例えば右から左に移動制御する。そして、時刻t=t1で白基準部材16の読み取りを完了し、白補正データを取得する。
【0097】
ここで、ホストデバイス21は、白補正データを取得すると、読み取りデバイス14の前面に移動させる背景部材を検出する。例えば、読み取りデバイス14の前面に移動させる背景部材として、背景部材Fを検出したとする。背景部材Fは、平板60上において、白基準部材16の右側に隣接する背景部材である。画像形成装置のRAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)等の記憶部には、平板60上における白基準部材16の位置を示す位置情報、及び、白基準部材16の位置を基準とした各背景部材E,Fの位置を示す位置情報がそれぞれ記憶されている。
【0098】
ホストデバイス21は、読み取りデバイス14の前面に移動させる背景部材として、背景部材Fを検出した場合、記憶部から背景部材Fの位置情報を読み出し、平板60の移動させる方向を判別する。この例の場合、現在、回転部材15は左方向に移動制御されており、背景部材Fは、白基準部材16の右側に隣接している。
【0099】
このため、現在、平板60を移動制御している左方向に、継続して平板60を移動制御すれば、最短の移動距離で、背景部材Fを読み取りデバイス14の前面に移動させることができる。ホストデバイス21は、検出した背景部材Fの位置情報に基づいて、このような演算を行うと、白補正データの取得時における平板60の移動制御に連続して、図21(d)に示すように左方向に平板60を移動制御し、背景部材Fを読み取りデバイス14の前面に移動させる。これにより、最短の移動距離で、背景部材Fを読み取りデバイス14の前面に移動させることができる。
【0100】
次に、読み取りデバイス14の前面に移動させる背景部材として、背景部材Eを検出した場合、ホストデバイス21は、記憶部から背景部材Eの位置情報を読み出し、平板60を移動制御する方向を判別する。この例の場合、現在、平板60は左方向に移動制御されており、背景部材Eは、白基準部材16に対して左側に隣接している。このため、平板60を右方向に移動制御すれば、最短の移動距離で、背景部材Eを読み取りデバイス14の前面に移動させることができる。
【0101】
ホストデバイス21は、検出した背景部材Eの位置情報に基づいて、このような演算を行うと、白補正データの取得時における平板60の移動制御に連続して、白補正データの取得時の移動方向とは反対方向となる右方向に、平板60を移動制御して、背景部材Eを読み取りデバイス14の前面に移動させる。これにより、最短の移動距離で、背景部材Eを読み取りデバイス14の前面に移動させることができる。
【0102】
(第7の実施の形態の効果)
このように第7の実施の形態の画像形成装置は、平板60上の各背景部材E,Fの位置情報に基づいて、最短の移動距離で読み取りデバイス14の前面に移動するように、平板60の移動方向及び移動距離を制御する。これにより、白補正データの取得に続けて、最短の移動距離で所望の背景部材を読み取りデバイス14の前面に移動させることができる他、上述の第5又は第6の実施の形態と同じ効果を得ることができる。
【0103】
[第8の実施の形態]
次に、一連の動作となる上述の第1~第7の実施の形態の各動作を、第8の実施の形態の画像形成装置の動作として説明する。上述の第1~第7の実施の形態の各動作は、図22のフローチャートに示す流れとなる。この図22の動作を実現するためのシェーディング補正プログラムは、画像形成装置のROM,RAM又はHDD等の記憶部に記憶されている。ホストデバイス21は、記憶部から読み出したシェーディング補正プログラムを実行することで、図22のフローチャートに示す各処理を実行する。
【0104】
まず、図22のフローチャートのステップS1において、読み取りデバイス14に対する電源の供給(電源ON)を検出すると、ホストデバイス21は、ステップS2に処理を進め、ユーザが操作パネルを操作することで操作パネルから供給されるジョブ開始命令を受信するまで待機状態となる。ジョブ開始命令を受信すると、ホストデバイス21は、ステップS3に処理を進め、回転部材15の回転駆動を開始する。これにより、白基準部材16が、読み取りデバイス14の前面(対向位置)に移動するように回転部材15が回転制御される。
【0105】
白基準部材16の移動制御を開始すると、ホストデバイス21は、ステップS4において、図14(e)を用いて説明したように、暗示における黒補正データを取得するように画像取込み部22を制御する。
【0106】
次に、黒補正データを取得すると、ホストデバイス21は、ステップS5において、図16(f)を用いて説明したように光源を点灯制御し、ステップS6において、光源の出力が安定するまでの間、待機状態となる(出力安定待ち)。
【0107】
次に、ホストデバイス21は、ステップS7において、白基準部材16が読み取りデバイス14の前面に移動したか否か(回転部材15の駆動が完了したか否か)を判別する。そして、ホストデバイス21は、白基準部材16が読み取りデバイス14の前面に移動したことを検出した際に(ステップS7:Yes)、ステップS8に処理を進める。
【0108】
ステップS8では、ホストデバイス21が、図6(a)及び図6(b)に示したように、読み取りデバイス14の前面を白基準部材16が通過するように、回転部材15を回転制御して白補正データを取得する(図13(e)参照)。ホストデバイス21は、ステップS9において、白補正データの取得を完了すると、ステップS10に処理を進める。
【0109】
ステップS10では、ホストデバイス21が、白補正データの取得完了から連続して、図19を用いて説明したように背景部材51~54のうち、所定の背景部材を、読み取りデバイス14の前面に移動させるように回転部材15を回転制御する。ステップS10では、読み取りデバイス14の前面に所定の背景部材を移動させるまでに要する時間Δtを、スレーブデバイス(モータ制御部)24からフィードバックされるモータパルスのカウント値に基づいて計測する。
【0110】
なお、背景部材が設けられている回転部材15の回転制御は、第5及び第6の実施の形態で上述したとおりである。また、背景部材が設けられている平板60の移動制御は、第7の実施の形態で上述したとおりである。
【0111】
ホストデバイス21は、所定の背景部材を読み取りデバイス14の前面に移動させるまでに要する時間Δtを、フィードバックされるモータパルスのカウント値に基づいて計測すると(ステップS11:Yes)、ステップS12において、転写紙の読み取り制御を行う。これにより、白補正データの取得から回転部材15の回転制御を停止することなく、連続動作により、所望の背景部材を読み取りデバイス14の前面に移動させて、転写紙の読み取り動作を行うことができる。
【0112】
次に、ホストデバイス21は、ステップS13において、次ページの転写紙が存在するか否かを判定する。次の転写紙が存在しない場合、図22のフローチャートに示すシェーディング補正処理を終了する。
【0113】
一方、次の転写紙が存在する場合、ホストデバイス21は、次の転写紙に対応する背景部材51~54を、読み取りデバイス14の前面に移動させるように回転部材15を回転制御する。また、ホストデバイス21は、所定の背景部材が、読み取りデバイス14の前面に移動するまでに要する時間Δtを計測する。そして、ホストデバイス21は、計測している時間Δtが、予め定められた時間閾値Δt_th以上か否かを判別する。なお、この時間閾値Δt_thとしては、白補正データ又は暗時補正データを取得するための関連各部の経時変化(劣化)により、時間Δtが許容時間以上となる時間(許容できる時間と許容できなくなる時間との境目となる時間)が設定されている。
【0114】
背景部材を読み取りデバイス14の前面に移動させるまでに要する時間Δtが、時間閾値Δt_th以上の時間である場合(ステップS14:Yes、時間閾値Δt_th≦Δt)、ホストデバイス21は、ステップS15に処理を進める。ステップS15では、ホストデバイス21が、計測した時間Δtを初期値(Δt=0)にリセットして、ステップS16に処理を進める。ステップS16では、ホストデバイス21が、光源をオフ制御してステップS3に処理を戻す。これにより、上述の流れで、白補正データが再取得され、古い白補正データが新たな白補正データに更新される。
【0115】
このように、所定の時間毎にシェーディング補正用の白補正データを更新することで、印刷物の生産性を損なうことなく、良好な補正精度を維持可能とすることができる。
【0116】
これに対して、背景部材を読み取りデバイス14の前面に移動させるまでに要する時間Δtが、時間閾値Δt_th未満の時間である場合(ステップS14:No、時間閾値Δt_th<Δt)、現在、白基準部材16の読み取りタイミングでは無いため、ホストデバイス21は、ステップS12において、次ページの転写紙の読み取り制御を継続する。
【0117】
最後に、上述の各実施の形態は、一例として提示したものであり、本発明の範囲を限定することは意図していない。例えば、白補正データの取得及び黒補正データの取得は、図4に示す各スレーブデバイス(モータ制御部)24のうち、全てのスレーブデバイス(モータ制御部)24で行ってもよいし、一部(少なくとも一つ)のスレーブデバイス(モータ制御部)24で行ってもよい。
【0118】
上述の新規な各実施の形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことも可能である。また、各実施の形態及び各実施の形態の変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0119】
1 スキャナ装置
2 自動原稿送り装置(ADF)
3 給紙部
4 画像形成装置の本体
5 作像部
6 現像器
7 搬送路
8 レジストローラ
9 光書き込み装置
10 定着/搬送部
11 両面トレイ
12 感光体ドラム
13 中間転写ベルト
14 読み取りデバイス
15 回転部材
16 白基準部材
21 ホストデバイス
22 画像読み取り部
23 モータ
24 スレーブデバイス(モータ制御部)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0120】
【文献】特開2004-194077号公報
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