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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-14
(45)【発行日】2022-03-23
(54)【発明の名称】液体を吐出する装置、印刷方法
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20220315BHJP
   B41J 3/407 20060101ALI20220315BHJP
   B41J 11/14 20060101ALI20220315BHJP
【FI】
B41J2/01 307
B41J2/01 401
B41J2/01 451
B41J3/407
B41J11/14
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2018024455
(22)【出願日】2018-02-14
(65)【公開番号】P2019136999
(43)【公開日】2019-08-22
【審査請求日】2020-10-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】大谷 正治
【審査官】大浜 登世子
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-268743(JP,A)
【文献】特開2009-279817(JP,A)
【文献】特開2002-096528(JP,A)
【文献】特開2004-216632(JP,A)
【文献】特開2007-216625(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01 - 2/215
B41J 3/407
B41J 29/38 -29/46
B41J 11/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体を搬送する搬送手段と、
前記搬送手段により搬送される前記記録媒体に対して液体を吐出して画像を形成する記録ヘッドと、
前記記録媒体と前記記録ヘッドとのギャップを調整するギャップ調整手段と、
前記ギャップ調整手段により前記ギャップが調整された場合、印刷制御を変更する印刷制御変更手段と、
情報を表示するための表示手段と、
前記表示手段に前記ギャップに関する情報を表示する表示制御手段と、
前記記録媒体と前記記録ヘッドの接触を検知する検知手段と、
ユーザの操作を受け付ける操作受付手段と、を有し、
前記ギャップ調整手段は前記操作受付手段が受け付けた前記ギャップの調整に関する操作に応じて前記ギャップを調整し、
前記印刷制御変更手段は、ユーザにより前記ギャップが調整された場合、印刷制御を変更し、
前記検知手段が前記記録媒体と前記記録ヘッドとの接触を検知しなくなったが、前記ギャップ調整手段が閾値以上の前記ギャップを検出した場合、
前記表示制御手段は、前記ギャップの調整を再度、行う必要がある旨を表示することを特徴とする液体を吐出する装置。
【請求項2】
前記印刷制御変更手段は、前記ギャップがより大きくなる方向に前記ギャップが調整された場合、前記記録ヘッドが形成する画像の品質の低下が抑制されるように前記印刷制御を変更することを特徴とする請求項1に記載の液体を吐出する装置。
【請求項3】
前記印刷制御変更手段は、前記印刷制御の変更として、前記記録ヘッドを主走査方向に移動するキャリッジの速度を遅くすることを特徴とする請求項1又は2に記載の液体を吐出する装置。
【請求項4】
前記印刷制御変更手段は、前記印刷制御の変更として、前記記録ヘッドが往復して画像を形成する双方向印刷から、前記記録ヘッドが往路又は復路のどちらかのみで画像を形成する片方向印刷に切り替えることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の液体を吐出する装置。
【請求項5】
前記印刷制御変更手段は、前記印刷制御の変更として、前記記録ヘッドが吐出する媒体の吐出位置を、前記記録ヘッドが移動する方向に対し手前に変更することを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の液体を吐出する装置。
【請求項6】
前記印刷制御変更手段は、前記媒体の吐出位置の変更量と前記ギャップが対応付けられた変更量情報から、
前記ギャップ調整手段により調整された前記ギャップに対応付けられた前記変更量を取得し、
前記印刷制御変更手段は、前記記録ヘッドが吐出する媒体の吐出位置を、前記記録ヘッドが移動する方向に対し前記変更量だけ手前に変更することを特徴とする請求項5に記載の液体を吐出する装置。
【請求項7】
前記表示制御手段は、前記検知手段が前記記録媒体と前記記録ヘッドとの接触を検知しなくなるまで、前記ギャップの調整を完了させる操作の案内を表示しないことを特徴とする請求項1に記載の液体を吐出する装置。
【請求項8】
記録媒体を搬送する搬送手段と、
前記搬送手段により搬送される前記記録媒体に対して液体を吐出して画像を形成する記録ヘッドと、を有する液体を吐出する装置の印刷方法であって、
ギャップ調整手段が、前記記録媒体と前記記録ヘッドとのギャップを調整するステップと、
印刷制御変更手段が、前記ギャップ調整手段により前記ギャップが調整された場合、印刷制御を変更するステップと、
情報を表示するための表示手段に、表示制御手段が前記ギャップに関する情報を表示するステップと、
検知手段が、前記記録媒体と前記記録ヘッドの接触を検知するステップと、
操作受付手段が、ユーザの操作を受け付けるステップと、を有し、
前記ギャップ調整手段は前記操作受付手段が受け付けた前記ギャップの調整に関する操作に応じて前記ギャップを調整し、
前記印刷制御変更手段は、ユーザにより前記ギャップが調整された場合、印刷制御を変更し、
前記検知手段が前記記録媒体と前記記録ヘッドとの接触を検知しなくなったが、前記ギャップ調整手段が閾値以上の前記ギャップを検出した場合、
前記表示制御手段、前記ギャップの調整を再度、行う必要がある旨を表示するステッ、を有することを特徴とする印刷方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体を吐出する装置、及び印刷方法に関する。
【背景技術】
【0002】
パーソナルコンピュータ(PC)上のイメージを簡単に印刷する液体吐出ユニットを備えた画像形成装置が知られている。近年ではTシャツなどの布に対応した画像形成装置も利用されるようになった。しかしながら、布は用紙よりも凹凸を生じやすく、画像形成装置が布を搬送して印字する際、布に記録ヘッドが衝突する現象が生じやすい。このため、布などの記録媒体と記録ヘッドが衝突しないように記録媒体の高さを検出し、自動的に記録ヘッドと記録媒体とのギャップを調整する手法が適用されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
特許文献1には、搬送される用紙の浮き上がりを検知する用紙浮きセンサを給紙トレイ付近と記録ヘッド付近に設け、各センサにおける用紙高さに応じて、記録ヘッドと用紙とが衝突する場合には急停止又は記録ヘッドの上昇を行い、記録ヘッドを上昇させた場合には印刷の中止又は画像品質が保証できない旨のスタンプを用紙に印刷する等の制御を行う画像形成装置が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示された画像形成装置では、記録ヘッドを上昇させた場合に画像を印刷することができないという問題がある。布などの記録媒体は凹凸があることが避けにくいと考えられるため、凸部分と記録ヘッドが衝突しないようにギャップを調整することで印刷が中止されると目的である印刷物が得られない。すなわち、記録ヘッドと記録媒体との衝突を避けるためにギャップを大きくした場合でもそのギャップで正常に印刷できることが好ましい。
【0005】
本発明は上記課題に鑑み、記録ヘッドと記録媒体とのギャップが調整された場合でも画像を印刷することができる液体を吐出する装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、記録媒体を搬送する搬送手段と、前記搬送手段により搬送される前記記録媒体に対して液体を吐出して画像を形成する記録ヘッドと、前記記録媒体と前記記録ヘッドとのギャップを調整するギャップ調整手段と、前記ギャップ調整手段により前記ギャップが調整された場合、印刷制御を変更する印刷制御変更手段と、情報を表示するための表示手段と、前記表示手段に前記ギャップに関する情報を表示する表示制御手段と、前記記録媒体と前記記録ヘッドの接触を検知する検知手段と、ユーザの操作を受け付ける操作受付手段と、を有し、前記ギャップ調整手段は前記操作受付手段が受け付けた前記ギャップの調整に関する操作に応じて前記ギャップを調整し、前記印刷制御変更手段は、ユーザにより前記ギャップが調整された場合、印刷制御を変更し、前記検知手段が前記記録媒体と前記記録ヘッドとの接触を検知しなくなったが、前記ギャップ調整手段が閾値以上の前記ギャップを検出した場合、前記表示制御手段は、前記ギャップの調整を再度、行う必要がある旨を表示することを特徴とする液体を吐出する装置を提供する。
【発明の効果】
【0007】
記録ヘッドと記録媒体とのギャップが調整された場合でも画像を印刷することができる液体を吐出する装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】記録媒体の高さの検出について説明する図の一例である。
図2】副走査方向に垂直な方向から見た画像形成装置の概略の構成図である(側面図)。
図3】画像形成装置の側面図の一例である。
図4】ユーザによるギャップ調整を説明する図の一例である。
図5】画像形成装置の構成図の一例である。
図6】画像形成装置の操作パネルの一例を示す図である。
図7】画像形成装置の制御部の概略構成について説明する図の一例である。
図8】画像形成装置の主に制御部の機能をブロック状に示す機能ブロック図の一例である。
図9】電源ON時の画像形成装置の一例の動作を示す図である。
図10】印刷開始の操作をユーザが行った場合の画像形成装置の一例の動作を示す図である。
図11】接触することが検知されなかった場合に実行される画像形成装置の一例の動作を示す図である。
図12】ユーザによるギャップ調整を説明する図の一例である。
図13】記録ヘッドと記録媒体間のギャップ差によるミスト発生量の相違を模式的に示す図の一例である。
図14】ユーザによるギャップ調整で得られたギャップに基づくキャリッジ速度の変更手順を示すフローチャート図の一例である。
図15】双方向印刷である場合に記録ヘッドと記録媒体のギャップの変化によるインクの着弾位置のずれを説明する図の一例である。
図16】ユーザによるギャップ調整で得られたギャップに基づく印刷方式の変更手順を示すフローチャート図の一例である。
図17】インクの吐出位置の変更によるインクの着弾位置のずれを抑制する方法を説明する図の一例である。
図18】ユーザによるギャップ調整で得られたギャップに基づくインクの吐出位置の変更手順を示すフローチャート図の一例である。
図19】記録媒体の全面の接触検知時に接触することが検知された際に操作パネルに表示される画面の一例を示す図である。
図20】調整量が十分である場合の画面例を示す図である。
図21】調整量が大きすぎる場合の画面例を示す図である。
図22】ユーザによるギャップ調整時に表示制御部が接触の検知結果とギャップに応じて画面を遷移させる手順を示すフローチャート図の一例である。
図23】画像形成装置の主に制御部の機能をブロック状に示す機能ブロック図の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための一形態として、画像形成装置と画像形成装置が行う印刷方法について説明する。
【実施例1】
【0010】
<画像形成装置の動作の概略>
本実施形態の画像形成装置は、記録ヘッドと記録媒体のギャップ調整後、記録媒体全体の高さ検知を行い、一部でも記録媒体の高さが記録ヘッドと衝突する可能性がある高さである場合、更にユーザ自身に適切なギャップ調整を行わせる。ユーザによるギャップ調整の結果、ギャップが大きくなってしまった場合には、印刷品質を確保するために印刷制御を変更する。
【0011】
図1は、記録媒体108の高さの検出について説明する図の一例である。図1は主走査方向に垂直な方向から見た画像形成装置20の概略の構成図である(正面図)。主走査方向に平行にLED21と受光素子22が同じ高さに配置されている。布又は用紙などの記録媒体108はプラテン23と共に搬送されるが、このプラテン23が上下に移動することができるため、記録媒体108の高さを調整することができる。記録媒体108に凹凸があり、LED21が照射する光を受光素子22が受光できなくなると、プラテン23が下方に移動してキャリッジ100(後述するように記録ヘッドが搭載されている)と記録媒体108とのギャップを調整できる。
【0012】
図2は副走査方向に垂直な方向から見た画像形成装置20の概略の構成図である(側面図)。図2では、副走査方向の上流側の記録媒体108が下流側よりも高くなっており、副走査方向の記録媒体108の位置によって記録媒体とキャリッジ100との距離(ギャップ)が異なっている。図2(a)ではLED21と受光素子22が記録媒体108の高さを検出した位置が記録媒体108の凸部に近い。したがって、記録媒体108の凸部でギャップ調整が行われた場合、キャリッジ100(記録ヘッド)と記録媒体108とが衝突しない。
【0013】
これに対し、図2(b)ではLED21と受光素子22が記録媒体108の高さを検出した位置が記録媒体108の凹部に近い。また、記録媒体108の凸部の高さはキャリッジ100(記録ヘッド)と衝突する高さである。したがって、記録媒体108の凹部でギャップ調整が行われた場合、キャリッジ100(記録ヘッド)と記録媒体108が衝突する可能性が残る。
【0014】
そこで、図3に示すように、画像形成装置20が記録媒体108のある位置でギャップ゜調整を行うと、プラテン23を下流側に動かし、記録媒体108がキャリッジ100(記録ヘッド)に衝突するかどうかの接触検知を記録媒体108の全面で行う。
【0015】
図3は画像形成装置20の側面図を示す。図3(a)に対し図3(b)のプラテン23は下流側に移動しているが、移動により、記録媒体108がLED21の光を遮断する(キャリッジ100(記録ヘッド)に衝突する。)記録媒体108の凸部があることが検知される。このように、記録媒体108を副走査方向に移動することで、印刷を開始する前に、記録媒体108とキャリッジ100(記録ヘッド)が衝突するかどうか判定できる。
【0016】
なお、プラテン23の移動は、接触検知動作として単独で行ってもよいし、又は、印刷開始位置への移動時など他の動作に連動して行ってもよい。記録媒体108とキャリッジ100(記録ヘッド)が接触すると判定された場合、画像形成装置20は残りの接触検知動作と以降の印刷動作を中止する。
【0017】
そして、記録媒体108とキャリッジ100(記録ヘッド)が衝突すると判定された場合、ユーザがパネル操作などにより更に手動でギャップ調整を行う。ユーザによるギャップ調整の後、画像形成装置20は印刷制御の変更を行う。
【0018】
図4は、ユーザによるギャップ調整を説明する図の一例である。図4(a)はユーザによるギャップ調整前の画像形成装置20の側面図を示し、図4(b)(c)はユーザによるギャップ調整後の画像形成装置20の側面図を示す。図4(b)では記録媒体108とキャリッジ100(記録ヘッド)とのギャップが小さいが、図4(c)では記録媒体108とキャリッジ100(記録ヘッド)とのギャップが大きい。
【0019】
図4(c)のようにギャップが大きくなりすぎると、記録媒体108へのインクの着弾位置がずれてしまい画質が低下する。そこで、ユーザによるギャップ調整値Y(キャリッジと記録媒体の距離。接触が検知された高さからのプラテン下降量)が、予め定めた閾値Ytを超えた場合は、画像形成装置20は、例えば以下のように印刷制御を変更する。
・印刷方式を双方向印刷→片方向印刷へ変更する。
・印刷位置調整値を補正する。(ギャップが大きくなるほど印刷位置をキャリッジ100の移動方向と逆方向にずらす)
また、ギャップが大きくなりすぎると、インク吐出によるミストが発生し、記録媒体108にミスト汚れが発生する。そこで、例えば以下のように印刷制御を変更する。
・通常のキャリッジ速度vよりも遅いキャリッジ速度v'に変更する。
<用語について>
また、本願の用語における、画像形成、記録、印字、印写、印刷、造形等はいずれも同
義語とする。
【0020】
また、本願のギャップとは距離、又は間隔など長さを表す値をいう。
【0021】
また、本願の印刷制御は画質に影響する制御であればよい。上記のように、一実施例として、キャリッジ速度の変更、双方向印刷から片方向印刷への変更、及び、印刷位置の変更を説明する。
【0022】
また、液体を吐出する装置については後述される。本実施形態では画像形成装置という用語で説明される。
【0023】
<構成例>
図5は、本実施形態の画像形成装置20の構成図の一例である。図5は画像形成装置20の上面図である。画像形成装置20は、板金と一体となったスライドレール104でキャリッジ100を摺動可能に保持し、駆動プーリー106と従動プーリー107の間にかけ渡したタイミングベルト102をキャリッジ100と連結させている。主走査モータ105によって、駆動プーリー106と従動プーリー107が回転するとタイミングベルト102が回転することでキャリッジ100が主走査方向に移動する。
【0024】
このキャリッジ100には、例えばイエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の各色のインク滴を吐出する4個の記録ヘッド118が搭載されている。記録ヘッド118は複数のインク吐出口(ノズル)が形成されたノズル面を、記録媒体108に対向する側に向けている。ノズル面は主走査方向と直行する方向(副走査方向)にノズルが配列した1つ以上のノズル列を有する。
【0025】
なお、図5では独立した記録ヘッド118を例示しているが、各色の液体を吐出する複数のノズル列を有する1又は複数の記録ヘッド118を用いる構成とすることもできる。また、色の数及び配列順序は、これに限るものではない。
【0026】
記録ヘッド118の液体吐出方式(又は液滴吐出方式)としては、圧電素子などの圧電アクチュエータ、発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いて液体の膜沸騰による相変化を利用するサーマルアクチュエータ、温度変化による金属相変化を用いる形状記憶合金アクチュエータ、静電力を用いる静電アクチュエータなどで、液体を吐出するための圧力を発生する圧力発生法方式などを使用できる。
【0027】
また、キャリッジ100には、スリットが形成されたエンコーダスケール103が主走査方向に沿って貫通しており、キャリッジ100はエンコーダスケール103のスリットを検出するエンコーダセンサ117を有する。これらによって、キャリッジ100の主走査方向位置を検知するためのリニアエンコーダが形成されている。
【0028】
一方、画像形成装置20は、記録媒体108を搬送するために、記録媒体108(本実施形態ではプラテン23)を静電吸着又は負圧吸着して記録ヘッド118に対向するように搬送するための搬送手段として搬送ベルト101を備えている。この搬送ベルト101は、副走査モータ111によって搬送ローラ109を回転駆動することで副走査方向に回転移動する。回転移動させるため、副走査モータ111に連結された搬送駆動プーリー112と搬送ローラ109に連結された搬送ローラプーリ113の間にはタイミングベルト114がかけ渡されている。
【0029】
搬送ローラ109の回転軸にはスリットが形成されたエンコーダホイール115が接続されており、エンコーダホイール115のスリットを検出するエンコーダセンサ116により、搬送ベルト101の副走査方向位置を検知するためのホイールエンコーダが形成されている。
【0030】
この搬送ベルト101は無端状ベルトトであり、搬送ローラ109とテンションローラ110の間に掛け渡されて、ベルト搬送方向(副走査方向)に周回する。周回の際、帯電ローラによって帯電(電荷付与)される。
【0031】
搬送ベルト101としては、1層構造のベルトでもよいし、複層(2層以上の)構造のベルトでもよい。1層構造の搬送ベルト101の場合には、記録媒体108や帯電ローラに接触するので、層全体が絶縁材料で形成される。また、複層構造の搬送ベルト101の場合には、記録媒体108や帯電ローラに接触する側は絶縁層で形成され、記録媒体108や帯電ローラに接触しない側は導電層で形成されることが好ましい。
【0032】
図6は、画像形成装置20の操作パネル50の一例を示す図である。画像形成装置20の操作パネル50は、自機の状態やエラーメッセージが表示するディスプレイ1、インクの色とその残量を示すインクカラー2、画像形成装置20に関する設定をユーザが行うためのメニューキー3、画像形成装置20と通信するPC等のオンライン/オフライン状態の切り替えを行うオンラインキー4、プラテン23の取り出しやヘッドクリーニング操作に用いる強制排紙/全色クリーニングキー5、印刷中又は受信中のデータを取り消すためのジョブリセットキー6、エラー発生時に点灯するアラームランプ7、ディスプレイ1の画面のスクロールやプラテン23の昇降操作を受け付ける上下キー8、設定や設定値の確定や階層移動に用いるOKキー9、設定を有効にせずに上位階層に戻る際やメニューから通常の表示に戻る際に使用される戻るキー10、画像形成装置20の電源オフ/オンを受け付ける電源キー11、及び、PCからのデータ受信を知らせるデータインランプ12を備える。
【0033】
なお、画像形成装置20はプラテン23の昇降操作を受け付ける上下キー8を有すればよく、図6の操作パネル50は一例である。
【0034】
図7は、画像形成装置20の制御部30の概略構成について説明する図の一例である。制御部30は情報処理装置の機能を有している。制御部30は、画像形成装置20の全体を制御するCPU32と、CPU32が実行するプログラム及びその他の固定データを格納するROM33と、画像データ等を一時格納するRAM34と、画像形成装置20の電源が遮断されている間もデータを保持するための書き換え可能なNVRAM35(不揮発性メモリ)と、画像データに対する各種信号処理及び並び替え等を行う画像処理やその他装置全体を制御するための入出力信号を処理するASIC36とを備えている。
【0035】
また、この制御部30は、PCなどのホスト側との印刷データ及び信号の送受を行うためのホストI/F31と、記録ヘッド118を駆動するための駆動波形を生成すると共に、記録ヘッド118の圧力発生手段を選択駆動させる画像データ及びそれに伴う各種データをヘッドドライバ52に出力する印刷制御部38と、主走査モータを駆動するための主走査モータ駆動部39と、副走査モータを駆動するための副走査モータ駆動部41と、リニアエンコーダ53とホイールエンコーダ54からの検出パルス、LEDセンサ56からの検出信号、及び、その他の各種センサらの検知信号を入力するためのI/O37などを備えている。また、この制御部30には、この装置に必要な情報の入力及び表示を行うための操作パネル50が接続されている。
【0036】
制御部30は、PC等の情報処理装置、イメージスキャナなどの画像読み取り装置、又は、デジタルカメラなどの撮像装置、などのホストのプリンタドライバ51が生成した印刷データ等をケーブル又はネットワークを介して上記ホストI/F31で受信する。
【0037】
そして、制御部30のCPU32は、ホストI/F31に含まれる受信バッファ内の印刷データを読み出して解析し、ASIC36にて必要な画像処理やデータの並び替え処理等を行って印刷制御部38に転送し、印刷制御部38から所要のタイミングでヘッドドライバ52に画像データや駆動波形を出力する。なお、画像出力するためのドットパターンデータの生成は、例えばROMにフォントデータを格納して行ってもよいし、ホスト側のプリンタドライバ51で画像データをビットマップデータに展開してこの画像形成装置20に転送しても良い。本実施形態では、プリンタドライバ51が行うものとする。
【0038】
印刷制御部38は、ROM33に格納されてCPU32で読み出される駆動パルスのパターンデータをD/A変換するD/A変換器及び増幅器等を有し、1つの駆動パルス又は複数の駆動パルスで構成される駆動波形をヘッドドライバ52に対して出力する。ヘッドドライバ52は、シリアルに入力される記録ヘッド118の1行分に相当する画像データ(ドットパターンデータ)に基づいて印刷制御部38から与えられる駆動波形を構成する駆動パルスを選択的に記録ヘッド118の圧力発生手段に対して印加することで記録ヘッド118を駆動する。なお、このヘッドドライバ52は、例えば、クロック信号及び画像データであるシリアルデータを入力するシフトレジスタと、シフトレジスタのレジスト値をラッチ信号でラッチするラッチ回路と、ラッチ回路の出力値をレベル変化するレベル変換回路(レベルシフタ)と、このレベルシフタでオン/オフが制御される。ヘッドドライバ52はアナログスイッチアレイ(スイッチ手段)等を含み、アナログスイッチアレイのオン/オフを制御することで駆動波形に含まれる所要の駆動パルスを選択的に記録ヘッド118の圧力発生手段に印加する。
【0039】
ギャップ調整部40はプラテン昇降モータ55を制御する。プラテン23の高さを検出するためのLED21と受光素子22はプラテン23と水平であり、記録ヘッド118と同じ高さに配置されている。プラテン昇降モータ55はプラテン23を上下に駆動し、LED21と受光素子22でプラテン23(記録媒体108がプラテン23に載っている場合は記録媒体108)を検出して高さ調整をおこなう。説明の便宜上、LED21と受光素子22をLEDセンサ56という。操作パネル50の入力により、プラテン昇降モータ55による上下移動のステップ量(移動パルス数)を制御部30がモータの回転方向・駆動周波数をもとに決定する。
【0040】
<機能について>
図8は、画像形成装置20の主に制御部30の機能をブロック状に示す機能ブロック図の一例である。制御部30は、表示制御部61、接触検知部62、プラテン移動部63、操作受付部64、プラテン高さ調整部65、及び、印刷制御変更部66を有する。制御部30が有するこれらの機能は、図7に示した制御部30が有するCPU32がROM33等に記憶されたプログラムを実行して制御部30が有するハードウェア要素と協働することで実現される機能又は手段である。
【0041】
表示制御部61は操作パネル50のディスプレイ1に、各種の情報を表示する。後述するように、プラテン23の昇降量、ギャップ値、及び、各種のメッセージ等を表示する。
【0042】
接触検知部62は、LED21が照射する光を受光素子22が受光できなくなることを受光素子22の検知信号により検知して、記録ヘッド118と記録媒体108(又はプラテン)が接触するおそれがあることを検知する。
【0043】
操作受付部64は操作パネルに対するユーザの操作を受け付ける。プラテン高さ調整部65は、決まった手順で自動的にプラテン昇降モータ55を回転駆動し、プラテン23を上下に移動させる。また、プラテン高さ調整部65は、操作受付部64が受け付けた操作パネル50の上下キー8の操作信号に応じてプラテン昇降モータ55を回転駆動し、プラテン23を上下に移動させる。これにより、ユーザが自ら記録ヘッド118と記録媒体108が衝突しないギャップに調整できる。
【0044】
印刷制御変更部66は、プラテン23と記録ヘッド118のギャップに基づいて印刷制御を変更する。詳細は後述される。
【0045】
<高さ調整から印刷までの手順>
図9図11は、画像形成装置20が高さ調整を行い印刷するまでの手順を説明する図の一例である。図9図11は主要部の側面図を示し、左側が上流側、右側が下流側である。図9は電源ON時の動作を示す。まず、電源OFFの時、プラテン23は下流側に移動した状態である。なお図9のキャリッジ100はキャリッジ100の走査範囲を示す。
【0046】
図9(a)に示すように、ユーザが画像形成装置20の電源をONすると、プラテン高さ調整部65はプラテン23がLEDセンサ56で検知されるまでプラテン23を上昇させる。次に、図9(b)に示すように、プラテン高さ調整部65はプラテン23がLEDセンサ56で検知された高さから所定量、プラテン23を下降させる。次に、図9(c)に示すように、プラテン移動部63は副走査モータ111を制御して搬送ベルト101を移動させて記録媒体セット位置へプラテン23を移動させる。ユーザはこの状態で記録媒体108をセットする。
【0047】
図10は印刷開始の操作をユーザが行った場合の動作を示す。図10(a)に示すように、ユーザがプラテン23上に記録媒体108をセットし、印刷開始を行う。図10(b)に示すように、プラテン移動部63は副走査モータ111を制御してプラテン23をLEDセンサ56の真下に移動させる。次に、図10(c)に示すように、プラテン高さ調整部65は記録媒体108がLEDセンサ56で検知されるまでプラテン23を上昇させる。次に、図10(d)に示すように、プラテン高さ調整部65は記録媒体108がLEDセンサ56で検知された高さから一定距離、プラテン23を下降させる。次に、図10(e)に示すように、プラテン移動部63は副走査モータ111を制御してプラテン23を下流側に移動させる。次に、図10(f)に示すように、プラテン移動部63は副走査モータを制御してプラテン23を印刷待機位置まで移動させながら、接触検知部62が副走査方向の全面でLEDセンサ56による接触検知を行う。
【0048】
接触することが検知されなければその後、画像形成装置20は印刷を行うが、接触することが検知された場合は印刷を中止する。
【0049】
図11は接触することが検知されなかった場合に実行される動作を示す。接触することが検知された場合、又は、印刷のキャンセルが行われた場合は図11の処理は実行されない。
【0050】
図11(a)に示すように、画像形成装置20は上流側の印刷待機位置から印刷を開始する。図11(b)に示すように、画像形成装置20はプラテン23を下流側に移動させながら記録ヘッド118を駆動して印刷する。所定量移動させると印刷完了である。次に、図11(c)に示すように、プラテン高さ調整部65は記録媒体セット位置の高さまでプラテン23を下降させる。次に、図11(d)に示すように、プラテン移動部63は副走査モータを制御してプラテン23を記録媒体セット位置まで移動させる。
【0051】
本実施形態では、図10(b)の「LEDセンサ56の直下に移動する」際のプラテン23の前後位置は固定の位置である。この固定の位置に移動した後、図10(c)~図10(f)で基準とするプラテン23の高さを決定する。したがって、記録媒体108の設置状況を変化させない限り、何回、自動のギャップ調整が行われても接触すると検知される。以下では、図10(f)の全面の接触検知動作にて接触することが検知された場合、接触を回避するための調整方法に関して説明する。
【0052】
<ユーザによるギャップ調整>
図10(f)の全面の接触検知動作にて接触することが検知された場合、ユーザが目視してギャップ調整を行う。
【0053】
図12はユーザによるギャップ調整を説明する図の一例である。図12は、画像形成装置20の主要部の側面図を示す。左側が上流側、右側が下流側である。LEDセンサ56に対しプラテン23が真下に相当する基準点P1(図12ではプラテンが副走査方向に移動している)では、記録媒体108が記録ヘッド118よりも低い。しかし、記録媒体108のより上流側で記録媒体108が高くなっているため、全面の接触検知動作が行われると接触地点P2で接触することが検知される。
【0054】
すなわち、図12の接触地点P2で接触が検知される。ここで、接触地点P2で更にプラテン23の高さ調整を自動で行ったとしても、記録媒体108の正確な高さは不明であるため、自動調整後の全面の接触検知動作で別の位置(より上流側)で再度、接触すると検知される可能性がある。
【0055】
そこで、本実施形態では、接触すると検知された地点でユーザが記録媒体108と記録ヘッド118のギャップを目視で確認し、必要に応じてプラテン23の高さ調整を行う。これにより、全面の接触検知動作を再度、行わなくても、別の位置(より上流側)で接触することを抑制できる。
【0056】
ユーザは記録媒体108と記録ヘッド118の位置(ギャップ)を確認しながら、操作パネル50の上下キー8でプラテン23を昇降させる。本実施形態ではプラテン昇降モータ55による上下移動を規定範囲のステップ量で調整するものとして説明する。
【0057】
<印刷制御の変更1>
本実施形態の画像形成装置20は、ユーザによる記録ヘッド118と記録媒体108とのギャップに応じて印刷制御を変更する。以下では、印刷制御変更部66がキャリッジ速度を変更する印刷制御の変更について説明する。
【0058】
図13は、記録ヘッド118と記録媒体108間のギャップ差によるミスト発生量の相違を模式的に示す図の一例である。図13(a)はギャップが小さい場合のミスト発生量を示し、図13(b)はギャップが大きい場合のミスト発生量を示す。通常、記録ヘッド118のインク吐出位置から記録媒体108までのギャップが大きくなるほど、インク吐出時のミスト発生量が増加する傾向にある。ミスト発生量が増加すれば、記録媒体108へのミスト汚れが増大して顕著になるおそれがある。
【0059】
そこで、記録ヘッド118と記録媒体108間のギャップに応じて、印刷制御変更部66が印刷時のキャリッジ速度を低下させることでミスト発生量を減少させる。具体的には、全幅の接触検知完了後に、最終的なユーザによるギャップ調整(手動)により生じた記録ヘッドと記録媒体108のギャップを算出する。まず、図10(d)で調整された記録媒体108と記録ヘッド118とのギャップが算出されている。この状態でユーザがプラテン23を昇降させる。したがって、図10(d)のギャップを基準として下方向への昇降量を加えた値が最終的なギャップである。印刷制御変更部66はこの最終的なギャップが予め定めた閾値Y´を超えた場合、キャリッジ速度を変更する。
【0060】
図14は、ユーザによるギャップ調整で得られたギャップに基づくキャリッジ速度の変更手順を示すフローチャート図の一例である。図14の手順は画像形成装置20が印刷指示を受け付けることでスタートする(S1)。
【0061】
次に、プラテン高さ調整部65は基準点における記録ヘッド118と記録媒体108のギャップ調整を行う(S2)。具体的な動作は図10(c)(d)に示した。
【0062】
次に、記録媒体108の全面の接触検知を行うためプラテン移動部63がプラテン23を副走査方向に全体的に移動させる(S3)。具体的な動作は図10(e)(f)に示した。
【0063】
全面の接触検知を行っている間(S4のNo)、接触検知部62が記録媒体108と記録ヘッド118との接触を検知する(S5)。接触が検知された場合(S6のYes),プラテン高さ調整部65は操作パネル50に、ギャップ調整を行う旨を表示する(S7)。これによりユーザが手動でギャップ調整を行う。
【0064】
全面の接触検知が完了した場合(S4のYes)、印刷制御変更部66は最終的なギャップが閾値Y´以上であるか否かを判断する(S8)。
【0065】
ステップS8の判断がYesの場合、印刷制御変更部66はキャリッジ速度を変更する(S9)。例えば、キャリッジ速度がvだったものをv´(<v)に変更する。具体的には主走査モータ105の速度が遅くなるようにPWM、モータ電流などを変更する。
【0066】
キャリッジ速度を変更すると、画像形成装置20は印刷を開始する(S10)。印刷を終了すると図14の処理は終了する(S11)。
【0067】
このように、ギャップが大きくなった場合はキャリッジ速度を小さくすることでミストの発生を低減でき、画質の低下を抑制できる。
【0068】
なお、図14の処理では、変更後のキャリッジ速度が1つしかないが、ギャップに応じたキャリッジ速度に変更してもよい。この場合、印刷制御変更部66は、ギャップにキャリッジ速度が対応付けられたキャリッジ速度テーブルを参照して、ギャップに応じたキャリッジ速度に変更する。
【0069】
【表1】
表1はギャップにキャリッジ速度が対応付けられたキャリッジ速度テーブルの一例を示す。V1>V2>V3>V4>V5である。これにより、ミストの発生を抑制しながら印刷物のアウトプットの低下を抑制できる。
【0070】
なお、図14の処理では、ユーザによるギャップ調整後にキャリッジ速度が判断されているが、自動的にギャップが調整される度にキャリッジ速度を変更してもよい。
【0071】
<印刷制御の変更2>
本実施形態の画像形成装置20は、ユーザによる記録ヘッド118と記録媒体108とのギャップに応じて印刷制御を変更する。以下では、印刷制御変更部66が双方向印刷を片方向印刷に切り替える印刷制御の変更について説明する。双方向印刷は記録ヘッドが往復して画像を形成する(往路と復路のどちらてもインクを吐出する)印刷方式であり、片方向印刷は記録ヘッドが往路又は復路のどちらかのみで画像を形成する(インクを吐出する)印刷方式である。
【0072】
図15は、双方向印刷である場合に記録ヘッド118と記録媒体108のギャップの変化によるインクの着弾位置のずれを説明する図の一例である。図15(a)(b)はギャップが狭い場合のインクの着弾位置を示し、図15(c)(d)はギャップが広い場合のインクの着弾位置を示す。
【0073】
主走査方向にキャリッジ100が移動しているため、記録ヘッド118がインクを吐出した主走査方向の位置よりもキャリッジ100の移動方向の前方にインクが着弾する。したがって、キャリッジ速度を一定とした場合、記録ヘッド118と記録媒体108とのギャップが大きくなるほど、記録媒体108へのインクの着弾位置はキャリッジ100の進行方向に向かってずれていく。
【0074】
図15(a)は往路のインクの着弾位置を示し、図15(b)は復路のインクの着弾位置を示す。図15(a)(b)ではギャップが狭いので、往路と復路でインクの着弾位置のずれが生じにくく、狙った位置にインクが着弾する。
【0075】
図15(c)は往路のインクの着弾位置を示し、図15(d)は復路のインクの着弾位置を示す。図15(c)(d)ではギャップが大きいので、キャリッジ100の移動方向の前方にインクが着弾する。つまり、図15(c)(d)ではインクの着弾位置が逆にずれる。このように、キャリッジ100が往路・復路の双方向でインクを吐出し画像を得る双方向印刷方式の場合、ギャップが大きくなってしまうと往路と復路で逆方向にインクの着弾位置がずれることで画像ずれ(画質の低下)が起きてしまう。
【0076】
そこで、記録ヘッド118と記録媒体108とのギャップに応じて、印刷制御変更部66が双方向印刷を片方向印刷に変更する。具体的には、全幅の接触検知完了後に、最終的なユーザによるギャップ調整(手動)により生じた記録ヘッドと記録媒体とのギャップを算出する。このギャップが予め定めた閾値Y´を超えた場合、現在設定されている印刷方式を判定し、双方向印刷の場合は片方向印刷に変更するようにする。
【0077】
図16は、ユーザによるギャップ調整で得られたギャップに基づく印刷方式の変更手順を示すフローチャート図の一例である。なお、図16の説明では主に図14との相違を説明する。ステップS1~S8は図14と同様でよい。
【0078】
ステップS21では、印刷制御変更部66が現在の印刷方式を判定する(S21)。すなわち、双方向印刷か片方向印刷かを判定する。この判定は例えば、印刷制御部38に設定された印刷方式を指定するレジスタの値などから判断される。
【0079】
双方向印刷の場合(S22のYes)、印刷制御変更部66は印刷方式を双方向印刷から片方向印刷に変更する(S23)。例えば、印刷制御部38に設定された印刷方式を指定するレジスタの値を変更する。
【0080】
双方向印刷でない場合(S22のNo)、すでに片方向印刷なので、印刷制御変更部66は印刷方式を切り替えない。
【0081】
記録ヘッド118と記録媒体108とのギャップの変化により画像が左右のどちらかに偏るがそれ自体はわずかであり、図16のような制御により、画像全体でみた時の画像ずれを発生させず、画質の低下を抑制できる。
【0082】
<印刷制御の変更3>
本実施形態の画像形成装置20は、ユーザによる記録ヘッド118と記録媒体108とのギャップに応じて印刷制御を変更する。以下では、印刷制御変更部66がインクの吐出位置を変更する印刷制御の変更を説明する。
【0083】
図15で説明したように、記録ヘッド118と記録媒体108とのギャップが大きくなるほど、記録媒体108へのインクの着弾位置はキャリッジ100の進行方向の前方にずれていく。そこで、予めインク吐出位置を変更することで、往路と復路でインクの着弾位置のずれを抑制する。
【0084】
図17は、インクの吐出位置の変更によるインクの着弾位置のずれを抑制する方法を説明する図の一例である。図17(a)は往路のインクの着弾位置を示し、図17(b)は復路のインクの着弾位置を示す。実線の矢印は変更前のインクの吐出位置を示し、点線の矢印は変更後のインクの吐出位置を示す。図17に示すように、変更後はインクの吐出位置をキャリッジ100の移動方向に対し手前側に変更することで、往路と復路でインクの着弾位置のずれが生じにくく、往路と復路で狙った位置にインクが着弾する。
【0085】
インクの吐出位置の変更量は記録ヘッド118と記録媒体108とのギャップにほぼ比例する。ギャップが大きいほどインクの吐出位置をキャリッジの進行方向の手前に変更するが、どの程度、変更するかは実験的に予め決定されている。印刷制御変更部66はインクの吐出位置の変更量と記録ヘッド118と記録媒体108とのギャップとを対応づけた印刷位置補正テーブルを参照してインクの吐出位置を変更する。
【0086】
【表2】
表2は印刷位置補正テーブルの一例を示す。印刷位置補正テーブルにはインクの吐出位置の変更量(変更量情報の一例)と記録ヘッド118と記録媒体108とのギャップとが対応づけられている。なお、変更量の単位のスリットはリニアエンコーダ53のスリットであり、主走査方向のNスリット分、インクの吐出位置を早めることを意味している。この他、時間又はクロック数などで変更量を指定してもよい。
【0087】
図18は、ユーザによるギャップ調整で得られたギャップに基づくインクの吐出位置の変更手順を示すフローチャート図の一例である。なお、図18の説明では主に図14との相違を説明する。ステップS1~S7は図14と同様でよい。
【0088】
ステップS31では、印刷制御変更部66が、ギャップが調整されたか否かを判定する(S31)。ギャップが調整されたか否かは、図10(d)で調整されたギャップに対し、ユーザが調整した後のギャップが変更されているか否かにより判断される。
【0089】
ステップS31の判断がYesの場合、印刷制御変更部66は現在のギャップに対応付けられているインク吐出位置の補正量を印刷位置補正テーブルから取得する(S32)。
【0090】
そして、インク吐出位置の補正量により補正された印刷位置を設定する(S33)。例えば、印刷制御変更部66は印刷制御部38のレジスタなどに変更後の印刷位置を示す値を設定する。
【0091】
これにより、記録ヘッド118と記録媒体108間のギャップが変化してもインクの着弾位置がギャップ変更前と同じ位置になるようにインク吐出位置を変更するので、得られる画像全体の位置に変化が生じないようにすることができる。
【0092】
<まとめ>
以上説明したように、本実施例の画像形成装置20は、記録ヘッド118と記録媒体108のギャップが調整された場合、
・通常のキャリッジ速度vよりも遅いキャリッジ速度v'に変更する
・印刷方式を双方向印刷→片方向印刷へ変更する。
・印刷位置調整値を補正する。(ギャップが大きくなるほど印刷位置をキャリッジ100の移動と逆方向にずらす)
等の印刷制御の変更を行うことで、印刷を中断することもなく、また、画質の低下を抑制して正常な印刷が可能になる。
【実施例2】
【0093】
ユーザが行うギャップ調整に関しては、画像形成装置20がディスプレイ1に作業内容や調整後のギャップを表示すれば、ユーザが作業をしやすくなる。
【0094】
そこで、本実施例では、ユーザがギャップ調整をする際のガイドをディスプレイ1に表示したり、メッセージ通知を行ったりする画像形成装置20について説明する。
【0095】
なお、本実施例において、図5~7に示したハードウェア構成図は本実施例においても相違がないか又は相違があるとしても本実施例の説明において支障がないものとする。また、図8の機能ブロック図についても本実施例においても相違がないか又は相違があるとしても本実施例の説明において支障がないものとする。
【0096】
図19は、記録媒体108の全面の接触検知時に接触することが検知された際に操作パネル50に表示される画面の一例を示す。上記のように、記録媒体108の全面の接触検知動作にて接触すると検知された場合、ユーザは例えば操作パネル50の上下キー8を押下することで、プラテン23の昇降動作を行い記録ヘッド118と記録媒体108間のギャップ調整を行う。
【0097】
画像形成装置20が有するLEDセンサ56は、ユーザによるプラテン23の昇降動作中にも接触が解消されるかどうかを逐次(リアルタイムに)検出可能である。そこで、最低限、接触の検知位置において接触が解消される高さまでユーザがスムーズに調整できるように、ユーザを支援する画面を画像形成装置20が表示する。
【0098】
図19は、調整量が不十分である場合の画面を示す。まず、図19(a)に示すように、全面の接触検知動作にて接触すると検知された場合、表示制御部61は調整を促すメッセージを含む調整要求画面601をディスプレイ1に表示する。また、ユーザが上下キー8を操作すると、図19(b)に示すように昇降量とギャップを含むギャップ画面602を表示する。なお、昇降量は、図10(d)の自動のギャップ調整により決定されたギャップからの移動量(高さの変化量)である。図19(b)のギャップは記録ヘッド118と記録媒体108の現在のギャップである。
【0099】
図19(b)のギャップ画面に続いて(例えば、ユーザが上下キー8の押下をやめると)、接触が検知されている場合は、表示制御部61は図19(c)に示すように、再度、調整を促す調整要求画面601を表示する。図19(a)→図19(b)→図19(c)の画面遷移は、ユーザが上下キー8を押下すること及びやめることで遷移する。一定時間の経過により自動的に遷移してもよい。ユーザは図19(a)(c)のように、ギャップの調整を促すメッセージを読み取って、上下キー8を押下が必要でぁるを判断し、適切なギャップまで調整できる。
【0100】
図20は、調整量が十分である場合の画面例を示す。まず、図19(a)と同様に、表示制御部61は調整を促すメッセージを含む調整要求画面601をディスプレイ1に表示する(図20(a))。また、ユーザが上下キー8を操作すると、図20(b)に示すように昇降量とギャップを含むギャップ画面602を表示する。調整量が十分になると、図20(c)に示すように、表示制御部61は調整が完了された旨のメッセージを含む調整完了画面603を表示する。ユーザは図20(c)のような、調整量が十分であるというメッセージを読み取って、上下キー8を押下する必要がなくなったことを判断できる。
【0101】
なお、接触が解消される位置までギャップ調整が行われるまでは表示制御部61は図20(c)の調整完了画面603を表示せず、更に、操作受付部64が調整完了を入力するためのOKキー9の押下を受け付けないことが好ましい。調整完了操作を実行できないとは、例えば、上下キー8以外の操作を受け付けなくすることをいう。接触が解消される位置までギャップ調整されると、表示制御部61が印刷開始などの操作を受け付ける図20(c)の調整完了画面603を表示する。
【0102】
また、図21にて説明するように、ユーザによるギャップ調整により著しい画像品質の低下が予測される場合にはその旨をユーザに通知することが好ましい。
【0103】
図21は、調整量が大きすぎる場合の画面例を示す。調整量は十分であるが、調整量(ギャップ)が極端に大きい値である場合が生じうる。このような過度にギャップが大きいと予測される場合は、表示制御部61は、再調整を促すメッセージを表示する。
【0104】
図21(a)は調整要求画面601を示し、図21(b)はギャップ画面602を示す。しかし、ギャップ画面602のギャップが過度に大きくなっている。表示制御部61はギャップの再調整を要求する旨のメッセージを含む再調整要求画面604をディスプレイ1に表示する。これにより、ユーザはギャップを大きくしすぎて画質が低下することを抑制できる。
【0105】
図22は、ユーザによるギャップ調整時に表示制御部61が接触の検知結果とギャップに応じて画面を遷移させる手順を示すフローチャート図の一例である。図22の処理は全面の接触検知により接触することが検知されるとスタートする。
【0106】
表示制御部61は、上下キー8が押下されているか否かを判定する(S201)。上下キー8が押下されていない場合(S201のNo)、処理はステップS207に進む。
【0107】
ステップS207では、表示制御部61がギャップを調整する必要がある旨を含む調整要求画面601をディスプレイ1に表示する(S207)。
【0108】
上下キー8が押下されている場合(S201のYes)、表示制御部61は昇降量とギャップを表示する(S202)。これにより、ユーザが上下キー8を押下している場合は昇降量とギャップをリアルタイムに表示できる。
【0109】
昇降量とギャップの表示と並行して、表示制御部61はギャップが十分か否かを判定する(S203)。この判定は、接触検知部62が少なくとも接触を検知していないことにより行えばよい。好ましくは、接触が検知されたギャップに対しマージンを加えた値を基準に±δの範囲にあるか否かを判断する。
【0110】
ステップS203の判定がYesの場合、表示制御部61はギャップ調整が十分である旨と、調整を完了する操作の案内を含む調整完了画面603を表示する(S205)。これにより、操作受付部64はOKボタンの押下の受け付けを開始する。
【0111】
ステップS203の判定がNoの場合、表示制御部61はギャップ量が過大か否かを判断する(S204)。過大かどうかはギャップが極端に大きい閾値以上か否かを判断すればよい。ステップS204の判断がNoの場合、処理はステップS201に戻る。
【0112】
ステップS204の判定がYesの場合、表示制御部61はギャップの再調整を行う旨を含む再調整要求画面604を表示する(S206)。
【0113】
このように、画像形成装置20はユーザがギャップを調整できるようにメッセージにより案内できる。また、ギャップ調整が不十分であるか又はギャップの再調整が必要な場合、調整完了画面603が表示されないのでユーザはギャップ調整以外の操作を行えず、ユーザにギャップ調整を継続させることができない。
【0114】
<まとめ>
以上説明したように、本実施例の画像形成装置20は、ユーザがギャップ調整をする際のガイドやメッセージをディスプレイ1に表示することで、ユーザによるギャップ調整を支援できる。
【実施例3】
【0115】
本実施例では、ユーザが調整した記録ヘッドと記録媒体108とのギャップを機器内部のメモリ等に記憶しておくことができる画像形成装置20について説明する。
【0116】
図23は、画像形成装置20の主に制御部30の機能をブロック状に示す機能ブロック図の一例である。なお、図23の説明では主に図8との相違を説明する。図23の画像形成装置はギャップ記憶部67を有している。ギャップ記憶部67は図7に示したROM33,RAM34、及びNVRAM35の少なくとも一部に実現される記憶手段であり、ユーザが調整したギャップを記憶する。なお、ギャップ記憶部67はネットワーク上に存在してもよい。
【0117】
プラテン高さ調整部65は、調整完了画面603の表示後にユーザがOKキー9を押下した時のギャップをギャップ記憶部67に記憶させる。
【0118】
次回、ユーザが印刷する際、ギャップ記憶部67に記憶されたギャップに調整する旨を操作パネル50から入力する。全面の接触検知で接触することが検知されると、プラテン高さ調整部はギャップ記憶部67に記憶されたギャップを読み出してプラテンの高さを調整する。あるいは、全面の接触検知の前にギャップ記憶部67に記憶されたギャップを読み出してプラテンの高さを調整してもよい。
【0119】
これにより、ユーザは同様のギャップ調整を再度行うことなく、次回の印刷からは、自動で行うことができる。
【0120】
また、表示制御部61は操作受付部64が受け付けたユーザの操作に応じて、ギャップ記憶部67に記憶されているギャップをディスプレイ1に表示するとなおよい。ユーザはギャップ記憶部67に記憶されているギャップを確認してから、ギャップ記憶部67に記憶されたギャップに調整する旨を操作パネル50から入力できる。
【0121】
更に、複数のギャップをユーザが記憶させておくことができれば好適である。調整完了画面603の表示後にユーザがOKキー9を押下した際、記録媒体の名称や識別情報をユーザが入力する。プラテン高さ調整部は記録媒体の名称や識別情報に対応付けてユーザが調整したギャップをギャップ記憶部67に記憶させる。
【0122】
この場合、ユーザがギャップ記憶部67に記憶されているギャップをディスプレイ1に表示させると、表示制御部61は記録媒体の名称や識別情報に対応付けてユーザが調整したギャップを選択可能に表示する。
【0123】
こうすることで、複数の種類の記憶媒体が存在しても、ユーザは記憶媒体を選択することで、画像形成装置20が自動でギャップを調整できる。
【0124】
<その他の適用例>
以上、本発明を実施するための最良の形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。
【0125】
例えば、印刷制御の変更1~3は独立に実行されてもよいし、2つ以上を組み合わせて実行されてもよい。
【0126】
また、画像形成装置が吐出する液体は、ヘッドから吐出可能な粘度や表面張力を有するものであればよく、特に限定されないが、常温、常圧下において、又は加熱、冷却により粘度が30mPa・s以下となるものであることが好ましい。より具体的には、水や有機溶媒等の溶媒、染料や顔料等の着色剤、重合性化合物、樹脂、界面活性剤等の機能性付与材料、DNA、アミノ酸やたんぱく質、カルシウム等の生体適合材料、天然色素等の可食材料、などを含む溶液、懸濁液、エマルジョンなどであり、これらは例えば、インクジェット用インク、表面処理液、電子素子や発光素子の構成要素や電子回路レジストパターンの形成用液、3次元造形用材料液等の用途で用いることができる。
【0127】
本願において、「液体を吐出する装置」は、液体吐出ヘッド又は液体吐出ユニットを備え、液体吐出ヘッドを駆動させて、液体を吐出させる装置である。液体を吐出する装置には、液体が付着可能なものに対して液体を吐出することが可能な装置だけでなく、液体を気中や液中に向けて吐出する装置も含まれる。また、液体を吐出する装置は、液滴を吐出する装置ともいう。
【0128】
この「液体を吐出する装置」は、液体が付着可能なものの給送、搬送、排紙に係わる手段、その他、前処理装置、後処理装置なども含むことができる。
【0129】
例えば、「液体を吐出する装置」として、インクを吐出させて用紙に画像を形成する装置である画像形成装置、立体造形物(三次元造形物)を造形するために、粉体を層状に形成した粉体層に造形液を吐出させる立体造形装置(三次元造形装置)がある。
【0130】
また、「液体を吐出する装置」は、吐出された液体によって文字、図形等の有意な画像が可視化されるものに限定されるものではない。例えば、それ自体意味を持たないパターン等を形成するもの、三次元像を造形するものも含まれる。
【0131】
上記「液体が付着可能なもの」の材質は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックスなど液体が一時的でも付着可能であればよい。
【0132】
また、画像形成装置は液体吐出ユニットと呼ばれていてもよい。「液体吐出ユニット」とは、液体吐出ヘッドに他の機能部品、機構が一体化したものであり、液体を吐出する機能に関連する部品の集合体である。例えば、「液体吐出ユニット」は、ヘッドタンク、キャリッジ、供給機構、維持回復機構、主走査移動機構の構成の少なくとも一つを液体吐出ヘッドと組み合わせたものなどが含まれる。
【0133】
ここで、一体化とは、例えば、液体吐出ヘッドと機能部品、機構が、締結、接着、係合などで互いに固定されているもの、一方が他方に対して移動可能に保持されているものを含む。また、液体吐出ヘッドと、機能部品、機構が互いに着脱可能に構成されていても良い。
【0134】
例えば、液体吐出ユニットとして、液体吐出ヘッドとヘッドタンクが一体化されているものがある。また、チューブなどで互いに接続されて、液体吐出ヘッドとヘッドタンクが一体化されているものがある。ここで、これらの液体吐出ユニットのヘッドタンクと液体吐出ヘッドとの間にフィルタを含むユニットを追加することもできる。
【0135】
また、液体吐出ユニットとして、液体吐出ヘッドとキャリッジが一体化されているものがある。
【0136】
また、液体吐出ユニットとして、液体吐出ヘッドを走査移動機構の一部を構成するガイド部材に移動可能に保持させて、液体吐出ヘッドと走査移動機構が一体化されているものがある。また、液体吐出ヘッドとキャリッジと主走査移動機構が一体化されているものがある。
【0137】
また、液体吐出ユニットとして、液体吐出ヘッドが取り付けられたキャリッジに、維持回復機構の一部であるキャップ部材を固定させて、液体吐出ヘッドとキャリッジと維持回復機構が一体化されているものがある。
【0138】
また、液体吐出ユニットとして、ヘッドタンク若しくは流路部品が取付けられた液体吐出ヘッドにチューブが接続されて、液体吐出ヘッドと供給機構が一体化されているものがある。このチューブを介して、液体貯留源の液体が液体吐出ヘッドに供給される。
【0139】
主走査移動機構は、ガイド部材単体も含むものとする。また、供給機構は、チューブ単体、装填部単体も含むものする。
【0140】
また、図8などの構成例は、画像形成装置による処理の理解を容易にするために、主な機能に応じて分割したものである。処理単位の分割の仕方や名称によって本願発明が制限されることはない。画像形成装置の処理は、処理内容に応じて更に多くの処理単位に分割することもできる。また、1つの処理単位が更に多くの処理を含むように分割することもできる。
【0141】
なお、副走査モータ111とプラテン移動部63は搬送手段の一例であり、プラテン高さ調整部はギャップ調整手段の一例であり、印刷制御変更部66は印刷制御変更手段の一例であり、接触検知部62は検知手段の一例であり、操作受付部64は操作受付手段の一例であり、ディスプレイ1は表示手段の一例であり、表示制御部61は表示制御手段の一例である。
【符号の説明】
【0142】
20 :画像形成装置
61 :表示制御部
62 :接触検知部
63 :プラテン移動部
100 :キャリッジ
105 :主走査モータ
108 :記録媒体
111 :副走査モータ
118 :記録ヘッド
【先行技術文献】
【特許文献】
【0143】
【文献】特開2011-126131号公報
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