(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-14
(45)【発行日】2022-03-23
(54)【発明の名称】管理装置、伝送システム、会議管理方法、プログラム
(51)【国際特許分類】
H04M 3/56 20060101AFI20220315BHJP
H04N 7/15 20060101ALI20220315BHJP
【FI】
H04M3/56 Z
H04N7/15 120
(21)【出願番号】P 2018118088
(22)【出願日】2018-06-21
【審査請求日】2021-02-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】日野原 寛
(72)【発明者】
【氏名】城 英樹
(72)【発明者】
【氏名】小河 亮
(72)【発明者】
【氏名】堀内 岳志
【審査官】永田 義仁
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0156570(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0048684(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0366280(US,A1)
【文献】国際公開第2003/075550(WO,A1)
【文献】特開2000-023133(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L12/00-12/22
12/50-12/66
45/00-49/9057
H04M3/00
3/16-3/20
3/38-3/58
7/00-7/16
11/00-11/10
H04N7/10
7/14-7/173
7/20-7/56
21/00-21/858
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
会議を識別する識別子と会議に参加するための招待コードとを含む参加要求を処理し、複数の伝送端末間で会議を開催する管理装置であって、
前記参加要求に含まれる前記識別子で前記会議を特定する特定手段と、
前記参加要求に含まれる前記招待コードに基づき、前記会議に参加している伝送端末の数を管理する管理手段と、
前記管理手段で管理されている
前記伝送端末の数が、前記招待コードを同時に利用できる同時利用可能数よりも小さい場合、前記会議への参加を許可する確認手段と、
を有する管理装置。
【請求項2】
前記確認手段は、前記招待コードに対応付けて前記招待コードを同時に利用できる同時利用可能数が登録された招待コード管理情報記憶部を参照し、
前記管理手段で管理されている前記伝送端末の数が、前記同時利用可能数よりも小さい場合、前記会議への参加を許可することを特徴とする請求項1に記載の管理装置。
【請求項3】
前記招待コード管理情報記憶部には前記招待コードと前記識別子が対応付けて登録されており、
前記確認手段は、前記参加要求に含まれる前記招待コードに対応付けられている前記識別子を前記招待コード管理情報記憶部から取得し、
取得した前記識別子が会議参加要求に含まれる前記識別子と同じ場合、前記会議への参加を許可するか否かを判断することを特徴とする請求項2に記載の管理装置。
【請求項4】
前記招待コード管理情報記憶部には、同じ前記識別子に異なる前記招待コードが対応付けられており、各招待コードに対応付けられた前記同時利用可能数は1であることを特徴とする請求項3に記載の管理装置。
【請求項5】
前記招待コード管理情報記憶部には、1つの招待コードに1より大きい前記同時利用可能数が登録されていることを特徴とする請求項3に記載の管理装置。
【請求項6】
会議を識別する識別子と会議に参加するための招待コードとを含む参加要求を処理し、複数の伝送端末間で会議を開催する管理装置と、前記管理装置に前記参加要求を送信する伝送端末と、を有する伝送システムであって、
前記伝送端末は、
前記参加要求を前記管理装置に送信する操作を受け付ける操作受付手段と、
前記参加要求を前記管理装置に送信する送信手段と、を有し、
前記管理装置は、
前記参加要求に含まれる前記識別子で前記会議を特定する特定手段と、
前記参加要求に含まれる前記招待コードに基づき、前記会議に参加している伝送端末の数を管理する管理手段と、
前記管理手段で管理されている
前記伝送端末の数が、前記招待コードを同時に利用できる同時利用可能数よりも小さい場合、前記会議への参加を許可する確認手段と、
を有する伝送システム。
【請求項7】
会議を識別する識別子と会議に参加するための招待コードとを含む参加要求を処理し、複数の伝送端末間で会議を開催する管理装置が行う会議管理方法であって、
特定手段が、前記参加要求に含まれる前記識別子で前記会議を特定するステップと、
管理手段が、前記参加要求に含まれる前記招待コードに基づき、前記会議に参加している伝送端末の数を管理するステップと、
確認手段が、前記管理手段で管理されている
前記伝送端末の数が、前記招待コードを同時に利用できる同時利用可能数よりも小さい場合、前記会議への参加を許可するステップと、
を有する会議管理方法。
【請求項8】
会議を識別する識別子と会議に参加するための招待コードとを含む参加要求を処理し、複数の伝送端末間で会議を開催する管理装置を、
前記参加要求に含まれる前記識別子で前記会議を特定する特定手段と、
前記参加要求に含まれる前記招待コードに基づき、前記会議に参加している伝送端末の数を管理する管理手段と、
前記管理手段で管理されている前記伝送端末の数が、前記招待コードを同時に利用できる同時利用可能数よりも小さい場合、前記会議への参加を許可する確認手段、
として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管理装置、伝送システム、会議管理方法、及び、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
遠隔地にある端末装置が画像と音声を相互に伝送して、画像を表示装置に表示し音声をスピーカから出力することで、遠隔地の参加者が会議などの遠隔コミュニケーションを可能とする伝送システムが知られている。
【0003】
このような伝送システムには、予め登録されている相手とのみ通信を可能とするものもあるし、事前の登録をしなくても一時的にゲストが遠隔コミュニケーションに参加することが可能なものもある。後者の例として、会議の管理者などが仮想会議室を作成し、その遠隔コミュニケーションのURLなどを知っている利用者であれば参加することを可能にする接続方法がある。
【0004】
しかし、遠隔コミュニケーションのURLなどを知っている利用者であれば誰でも参加できてしまうとセキュリティが低下するため、簡単な認証が行われる場合がある。例えば、ゲストが何らの認証情報(例えば招待コードと会議識別子)を入力することで管理システムなどがゲストを認証する方法が知られている。
【0005】
ところで、参加者が遠隔コミュニケーションの途中で退室する場合があるが、再入室する際には認証を省略する技術が考案されている(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1には、会議室から予期せずに退室した際に、再入室できるよう不正退室の記録を残しておき、その記録にもとづいて再入室を認可する会議システムが開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の伝送システムでは、遠隔コミュニケーションに参加するゲストを制限しにくいためセキュリティが低下するおそれがあるという問題がある。すなわち、ゲストが認証情報を入力して入室する方法では、その認証情報が使い回されてしまう場合が生じうる。認証情報が使い回されてしまうと、意図しない参加者が遠隔コミュニケーションに参加してしまうという状況が生じうる。なお、使い回すとは、会議が異なっても同じ認証情報で参加者が会議に入室できることをいう。
【0007】
この対策として認証情報を使い捨てにした場合(例えば、有効期限を設けたり、利用回数に制限をもうけたりする等)、通信の不慮の切断に対し再入室が困難になり、認証情報の再発行が必要になってしまう。また、定例で何度も開催される同じ会議の場合、認証情報も同じにして入室の煩わしさを低減したいが、この場合も会議のたびに認証情報を再発行しなければならない。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑み、会議への参加が容易でも、セキュリティの低下が抑制された管理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題に鑑み、本発明は、会議を識別する識別子と会議に参加するための招待コードとを含む参加要求を処理し、複数の伝送端末間で会議を開催する管理装置であって、前記参加要求に含まれる前記識別子で前記会議を特定する特定手段と、前記参加要求に含まれる前記招待コードに基づき、前記会議に参加している伝送端末の数を管理する管理手段と、前記管理手段で管理されている前記伝送端末の数が、前記招待コードを同時に利用できる同時利用可能数よりも小さい場合、前記会議への参加を許可する確認手段と、を有する。
【発明の効果】
【0010】
会議への参加が容易でも、セキュリティの低下が抑制された管理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】参加者が仮想的な会議室に参加する際の認証を説明する図の一例である。
【
図2】本実施形態に係る伝送システムの概略図である。
【
図3】伝送システムにおける画像データ、音声データ、及び各種管理情報の送受信の状態を示した概念図である。
【
図4】本実施形態に係る端末のハードウェア構成図の一例である。
【
図5】本実施形態に係る管理システム、中継装置、又はプログラム提供システムのハードウェア構成図の一例である。
【
図6】本実施形態に係る伝送システムを構成する各端末、装置及びシステムの機能ブロック図の一例である。
【
図7】中継装置管理テーブルを示す概念図の一例である。
【
図8】端末認証管理テーブルを示す概念図の一例である。
【
図9】端末管理テーブルを示す概念図の一例である。
【
図10】宛先リスト管理テーブルを示す概念図の一例である。
【
図11】会議管理テーブルを示す概念図の一例である。
【
図12】招待コード管理テーブルを示す概念図の一例である。
【
図13】会議参加者管理テーブルを示す概念図の一例である。
【
図14】端末が会議の登録と会議を開始するまでの処理を示すシーケンス図の一例である。
【
図15】すでに会議が開催されている状態で端末が会議に参加する際のシーケンス図の一例である。
【
図16】会議識別子と招待コードの確認手順を説明するフローチャート図の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための形態の一例として、管理システム50と管理システム50が行う会議管理方法について図面を参照しながら説明する。
【0013】
<伝送システムの動作の概略>
図1を用いて、本実施形態の伝送システム1における参加者の認証方法を説明する。
図1は、参加者が仮想的な会議室に入室する際の認証を説明する図の一例である。参加者には予め認証情報として招待コードと会議識別子が配布されている。配布された招待コードは招待コード管理DB5007(Data Base)で管理されており、招待コードと同時利用可能数が対応付けて登録されている。同時利用可能数は、同じ招待コードを同時に利用できる(会議室に参加できる)参加者の人数である。
(1)参加者Aは招待コード(aiueo)で入室済みである。
(2)このため、管理システム50は会議参加者管理DB5005に参加者Aと招待コードを登録する。
(3)参加予定者Cが会議識別子で会議を指定し、更に招待コード(aiueo)で入室を試みる。
(4)管理システム50は招待コード管理DB5007を参照し招待コードの同時利用可能数を取得する。次に、会議参加者管理DB5005を招待コードで検索して、現在、同じ招待コードを利用している参加者の数(以下、利用者数という)を検出する。
(5)そして、利用者数が同時利用可能数より少ない場合にだけ、参加予定者Cの会議への参加を許可する。例えば、
図1の例では、同時利用可能数と利用者数が同じなので、管理システム50は同時利用可能数に達していると判断し、参加予定者Cの入室を拒否する。
【0014】
従って、本実施形態の伝送システム1によれば、同時利用可能数により招待コードを同時に利用できる参加者を制限できるため、招待コードが使い回されても、意図しない参加者が参加することを抑制できる。同じ招待コードが異なる会議で別のゲストに付与されても(使い回されても)、会議に参加できるゲストは同時利用可能数により制限される。例えば、同時利用可能数が1の場合、以前に招待コードを使用して別の会議に参加した者がいても、正当な出席者が出席している限りこの者の出席を排除できる。また、通信の不慮の切断に対し参加者は使い回している招待コードで再入室できるため、招待コードの再発行が必要ない。また、定例で何度も開催される同じ会議の場合、招待コードが同じなので入室の煩わしさを低減できる。
【0015】
<用語について>
参加予定者とは会議に参加する予定の者をいい、参加者とは会議に参加している者をいうが、本実施形態では両者を厳密には区別しない。
【0016】
端末10を識別する識別情報として、本実施形態では通信IDという用語を使用するが、端末を識別するという意味で端末IDと称してもよいし、使用するユーザを識別するという意味でユーザIDと称してもよいし、参加者を識別するという意味で参加者IDと称してもよい。なお、ユーザIDとして電子メールアドレスが用いられてよい。
【0017】
仮想的な会議室とは、施設内の会議室ではなくネットワーク上で会議が行われることを意味する。本実施形態では「仮想的な」を省略する場合がある。
【0018】
招待コードとは会議に参加する資格がある者が持つ1つ以上の文字(数字、アルファベットを含む)、又は、これらの組み合わせである。会議に参加するための認証情報と称してもよい。会議識別子は会議を特定又は識別する識別情報であるが、会議識別子を認証情報と捉えることもできる。
【0019】
<実施形態の全体構成>
図2は、本発明の本実施形態に係る伝送システム1の概略図である。
図3は、伝送システム1における画像データ、音声データ、及び各種管理情報の送受信の状態を示した概念図である。
【0020】
また、伝送システム1には、管理システム50を介して一方の伝送端末から他方の伝送端末に一方向でコンテンツデータを伝送するデータ提供システムや、管理システム50を介して複数の伝送端末間で情報や感情等を相互に伝達するコミュニケーションシステムが含まれる。このコミュニケーションシステムは、コミュニケーション管理システム(「管理システム」に相当)を介して複数のコミュニケーション端末(「伝送端末」に相当)間で情報や感情等を相互に伝達するためのシステムであり、テレビ(又はビデオ)会議システムやテレビ電話システム等が例として挙げられる。
【0021】
本実施形態では、コミュニケーションシステムの一例としてのテレビ会議システム、コミュニケーション管理システムの一例としてのテレビ会議管理システム、及びコミュニケーション端末の一例としてのテレビ会議端末を想定した上で、伝送システム1、管理システム50、及び伝送端末について説明する。すなわち、本発明の伝送端末及び管理システム50は、テレビ会議システムに適用されるだけでなく、コミュニケーションシステム、又は伝送システム1にも適用される。以下では、テレビ会議を単に「会議」という場合がある。また、管理システム50は「管理装置」のようにシステムとしても装置としても把握できる。
【0022】
まず、
図2に示されている伝送システム1は、複数の伝送端末(10aa,10ab,…)、各伝送端末(10aa,10ab,…)用のディスプレイ(120aa,120ab,…)、複数の中継装置(30a,30b,30c,30d)、管理システム50、プログラム提供システム90、及びメンテナンスシステム100によって構築されている。
【0023】
複数の端末10は、コンテンツデータの一例としての画像データ及び音声データの送受信による伝送を行う。
【0024】
なお、以下では、「伝送端末」を単に「端末」として表す。また、複数の端末(10aa,10ab,…)のうち任意の端末は、「端末10」と表され、複数のディスプレイ(120aa,120ab,…)のうち任意のディスプレイは「ディスプレイ120」と表され、複数の中継装置(30a,30b,30c,30d)のうち任意の中継装置は「中継装置30」と表されている。更に、会議の開始を要求する要求元としての端末は「要求元端末」と表され、要求先である宛先(中継先)としての端末は「宛先端末」と表されている。
【0025】
また、
図3に示されているように、伝送システム1において、要求元端末と宛先端末との間では、管理システム50を介して、各種の管理情報を送受信するための管理情報用セッションseiが確立される。また、要求元端末と宛先端末との間では、中継装置30を介して、高解像度の画像データ、中解像度の画像データ、低解像度の画像データ、及び音声データの4つの各データを送受信するための4つのセッションが確立される。ここでは、これら4つのセッションをまとめて、画像・音声データ用セッションsedとして示している。
【0026】
図2に示されている中継装置30は、複数の端末10の間で、コンテンツデータの中継を行う。管理システム50は、端末10からのログイン認証、端末10の通話状況の管理、宛先リストの管理等、及び中継装置30の通信状況等を一元的に管理する。なお、画像データの画像は、動画であっても静止画であってもよく、動画と静止画の両方であってもよい。
【0027】
複数のルータ(70a,70b,70c,70d,70ab,70cd)は、画像データ及び音声データの最適な経路の選択を行う。なお、以下では、ルータ(70a,70b,70c,70d,70ab,70cd)のうち任意のルータは「ルータ70」と表されている。
【0028】
プログラム提供システム90は、後述のHD(Hard Disk)204を備えており、端末10に各種機能を実現させる(又は、端末10を各種手段として機能させる)ための端末用プログラムが記憶され、端末10に端末用プログラムを送信することができる。中継装置30、及び管理システム50についても同様である。
【0029】
メンテナンスシステム100は、端末10、中継装置30、管理システム50、及びプログラム提供システム90のうちの少なくとも1つの維持、管理、又は保守を行うためのコンピュータである。
【0030】
端末(10aa,10ab,10ac,・・・)、中継装置30a、及びルータ70aは、LAN2aによって通信可能に接続されている。端末(10ba,10bb,10bc,・・・)、中継装置30b、及びルータ70bは、LAN2bによって通信可能に接続されている。また、LAN2a及びLAN2bは、ルータ70abが含まれた専用線2abによって通信可能に接続されており、所定の地域A内で構築されている。例えば、地域Aは日本であり、LAN2aは東京の事業所内で構築されており、LAN2bは大阪の事業所内で構築されている。
【0031】
一方、端末(10ca,10cb,10cc,・・・)、中継装置30c、及びルータ70cは、LAN2cによって通信可能に接続されている。端末10d(a,10db,10dc,・・・)、中継装置30d、及びルータ70dは、LAN2dによって通信可能に接続されている。また、LAN2c及びLAN2dは、ルータ70cdが含まれた専用線2cdによって通信可能に接続されており、所定の地域B内で構築されている。例えば、地域Bはアメリカ合衆国であり、LAN2cはニューヨークの事業所内で構築されており、LAN2dはワシントンD.C.の事業所内で構築されている。地域A及び地域Bは、それぞれルータ(70ab,70cd)からインターネット2iを介して通信可能に接続されている。
【0032】
また、管理システム50、及びプログラム提供システム90は、インターネット2iを介して、端末10、及び中継装置30と通信可能に接続されている。管理システム50、及びプログラム提供システム90は、地域A又は地域Bに設置されていてもよいし、これら以外の地域に設置されていてもよい。
【0033】
なお、本実施形態では、LAN2a、LAN2b、専用線2ab、インターネット2i、専用線2cd、LAN2c、及びLAN2dによって、本実施形態の通信ネットワーク2が構築されている。この通信ネットワーク2には、有線だけでなく、WiFi(Wireless Fidelity)や、Bluetooth(登録商標)等の無線による通信が行われる箇所があってもよい。
【0034】
また、
図2において、各端末10、各中継装置30、管理システム50、各ルータ70、及びプログラム提供システム90の下に示されている4組の数字は、一般的なIPv4におけるIPアドレスを簡易的に示している。例えば、端末10aaのIPアドレスは「1.2.1.3」である。また、IPv4ではなく、IPv6を用いてもよいが、説明を簡略化するため、IPv4を用いて説明する。
【0035】
なお、各端末10は、複数の事業所間での通話や、同じ事業所内の異なる部屋間での通話だけでなく、同じ部屋内での通話や、屋外と屋内又は屋外と屋外での通話で使われてもよい。各端末10が屋外で使われる場合には、携帯電話通信網等の無線による通信が行われる。
【0036】
また、各端末10は、伝送システム1に専用の情報処理装置である必要はなく、伝送システム1のアプリケーションソフトやブラウザソフトを実行することで専用の情報処理装置と同等の機能を実現する汎用的な情報処理装置でもよい。汎用的な情報処理装置としては、スマートフォン、タブレット端末、PC(Personal Computer)、PDA(Personal Digital Assistant)などがある。ただし、アプリケーションソフト等を実行可能な情報処理装置であればよい。
【0037】
<ハードウェア構成例>
<<端末のハードウェア構成例>>
図4は、本発明の本実施形態に係る端末10のハードウェア構成図である。
図4に示されているように、本実施形態の端末10は、端末10全体の動作を制御するCPU(Central Processing Unit)101、IPL(Initial Program Loader)等のCPU101の駆動に用いられるプログラムを記憶したROM(Read Only Memory)102、CPU101のワークエリアとして使用されるRAM(Random Access Memory)103、端末用プログラム、画像データ、及び音声データ等の各種データを記憶するフラッシュメモリ104を有する。また、端末10は、CPU101の制御に従ってフラッシュメモリ104に対する各種データの読み出し又は書き込みを制御するSSD(Solid State Drive)105、フラッシュメモリ等の記録メディア106に対するデータの読み出し又は書き込み(記憶)を制御するメディアドライブ107、端末10の宛先を選択する場合などに操作される操作ボタン108、端末10の電源のON/OFFを切り換えるための電源スイッチ109、通信ネットワーク2を利用してデータ伝送をするためのネットワークI/F(Interface)111を備えている。
【0038】
また、端末10は、CPU101の制御に従って被写体を撮像して画像データを得る内蔵型のカメラ112、このカメラ112の駆動を制御する撮像素子I/F113、音声を入力する内蔵型のマイク114、音声を出力する内蔵型のスピーカ115、CPU101の制御に従ってマイク114及びスピーカ115との間で音声信号の入出力を処理する音声入出力I/F116を有する。また、端末10は、CPU101の制御に従って外付けのディスプレイ120に画像データを伝送するディスプレイI/F117、各種の外部機器を接続するための外部機器接続I/F118、及び上記各構成要素を
図4に示されているように電気的に接続するためのアドレスバスやデータバス等のバスライン110を備えている。
【0039】
ディスプレイ120は、被写体の画像や操作用アイコン等を表示する液晶や有機ELによって構成された表示装置である。また、ディスプレイ120は、ケーブル120cによってディスプレイI/F117に接続される。このケーブル120cは、アナログRGB(VGA)信号用のケーブルであってもよいし、コンポーネントビデオ用のケーブルであってもよいし、HDMI(登録商標)(High-Definition Multimedia Interface)やDVI(Digital Video Interactive)信号用のケーブルであってもよい。
【0040】
カメラ112は、レンズや、光を電荷に変換して被写体の画像(映像)を電子化する固体撮像素子を含み、固体撮像素子として、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)や、CCD(Charge Coupled Device)等が用いられる。
【0041】
外部機器接続I/F118には、USB(Universal Serial Bus)ケーブル等によって、外付けカメラ、外付けマイク、及び外付けスピーカ等の外部機器がそれぞれ接続可能である。外付けカメラが接続された場合には、CPU101の制御に従って、内蔵型のカメラ112に優先して、外付けカメラが駆動する。同じく、外付けマイクが接続された場合や、外付けスピーカが接続された場合には、CPU101の制御に従って、それぞれが内蔵型のマイク114や内蔵型のスピーカ115に優先して、外付けマイクや外付けスピーカが駆動する。
【0042】
なお、記録メディア106は、端末10に対して着脱自在な構成となっている。また、CPU101の制御に従ってデータの読み出し又は書き込みを行う不揮発性メモリであれば、フラッシュメモリ104に限らず、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable ROM)等を用いてもよい。
【0043】
更に、上記端末用プログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルで、上記記録メディア106等の、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して流通させるようにしてもよい。また、上記端末用プログラムは、フラッシュメモリ104ではなくROM102に記憶させるようにしてもよい。
【0044】
<<管理システムのハードウェア構成例>>
図5は、本発明の本実施形態に係る管理システム50のハードウェア構成図である。管理システム50は、管理システム50全体の動作を制御するCPU201、IPL等のCPU201の駆動に用いられるプログラムを記憶したROM202、CPU201のワークエリアとして使用されるRAM203、伝送管理用プログラム等の各種データを記憶するHD204を有する。また、管理システム50は、CPU201の制御に従ってHD204に対する各種データの読み出し又は書き込みを制御するHDD(Hard Disk Drive)205、フラッシュメモリ等の記録メディア206に対するデータの読み出し又は書き込み(記憶)を制御するメディアドライブ207を有する。また、管理システム50は、カーソル、メニュー、ウィンドウ、文字、又は画像などの各種情報を表示するディスプレイ208、通信ネットワーク2を利用してデータ伝送をするためのネットワークI/F209、文字、数値、各種指示などの入力のための複数のキーを備えたキーボード211、各種指示の選択や実行、処理対象の選択、カーソルの移動などを行うマウス212を有する。また、管理システム50は、着脱可能な記録媒体の一例としてのCD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)213に対する各種データの読み出し又は書き込みを制御するCD-ROMドライブ214、及び、上記各構成要素を
図5に示されているように電気的に接続するためのアドレスバスやデータバス等のバスライン210を備えている。
【0045】
なお、上記伝送管理用プログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルで、上記記録メディア206やCD-ROM213等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して流通させるようにしてもよい。また、上記伝送管理用プログラムは、HD204ではなくROM202に記憶されるようにしてもよい。
【0046】
また、中継装置30は、上記管理システム50と同様のハードウェア構成を有しているため、その説明を省略する。但し、HD204には、中継装置30を制御するための中継装置用プログラムが記録されている。この場合も、中継装置用プログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルで、上記記録メディア206やCD-ROM213等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して流通させるようにしてもよい。また、上記中継装置用プログラムは、HD204ではなくROM202に記憶されるようにしてもよい。
【0047】
また、プログラム提供システム90及びメンテナンスシステム100は、上記管理システム50と同様のハードウェア構成を有しているため、その説明を省略する。但し、HD204には、プログラム提供システム90を制御するためのプログラム提供用プログラムが記録されている。この場合も、プログラム提供用プログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルで、上記記録メディア206やCD-ROM213等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して流通させるようにしてもよい。また、上記プログラム提供システム用プログラムは、HD204ではなくROM202に記憶されるようにしてもよい。
【0048】
なお、上記着脱可能な記録媒体の他の例として、CD-R(Compact Disc Recordable)、DVD(Digital Versatile Disk)、ブルーレイディスク等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
【0049】
<実施形態の機能構成>
次に、本実施形態の機能構成について説明する。
図6は、本実施形態の伝送システム1を構成する各端末、装置及びシステムの機能ブロック図である。
図6では、端末10、中継装置30、及び管理システム50が、通信ネットワーク2を介してデータ通信することができるように接続されている。また、
図2に示されているプログラム提供システム90とメンテナンスシステム100は、会議の通信において直接関係ないため、
図6では省略されている。
【0050】
<<端末の機能構成>>
端末10は、送受信部11、操作入力受付部12、ログイン要求部13、撮像部14、音声入力部15a、音声出力部15b、表示制御部17、及び記憶・読出処理部19を有している。これら各部は、
図4に示されている各構成要素のいずれかが、フラッシュメモリ104からRAM103上に展開された端末用プログラムに従ったCPU101からの命令によって動作することで実現される機能、又は機能する手段である。また、端末10は、
図4に示されているRAM103、及び
図4に示されているフラッシュメモリ104によって構築される記憶部1000を有している。
【0051】
(端末の各機能構成)
次に、端末10の各機能構成について詳細に説明する。
図6に示されている端末10の送受信部11は、通信ネットワーク2を介して他の端末、装置又はシステムと各種データ(又は情報)の送受信を行う。この送受信部11は、所望の宛先端末と通話を開始する前から、管理システム50より、宛先候補としての各端末の状態を示す各状態情報の受信を開始する。なお、この状態情報は、各端末10の稼動状態(オンラインかオフラインかの状態)だけでなく、オンラインであっても更に通話可能であるか、通話中であるか、離籍中であるか等の詳細な状態を示す。また、この状態情報は、各端末10の稼動状態だけでなく、端末10でケーブル120cが端末10から外れていたり、音声を出力するが画像は出力させなかったり、音声を出力さないようにする(MUTE)等、様々な状態を示す。以下では、一例として、状態情報が稼動状態を示す場合について説明する。
【0052】
操作入力受付部12は、利用者による各種入力を受け付ける。例えば、利用者が、
図4に示されている電源スイッチ109をONにすると、操作入力受付部12が電源ONを受け付けて、電源をONにする。
【0053】
ログイン要求部13は、上記電源ONの受け付けを契機として、送受信部11から通信ネットワーク2を介して管理システム50に、ログインを要求する旨を示すログイン要求情報、及び要求元端末の現時点のIPアドレスを自動的に送信する。また、利用者が電源スイッチ109をONの状態からOFFにすると、送受信部11が管理システム50へ電源をOFFする旨の状態情報を送信した後に、操作入力受付部12が電源を完全にOFFにする。これにより、管理システム50側では、端末10が電源ONから電源OFFになったことを把握することができる。
【0054】
撮像部14は、被写体を撮像して、この撮像して得た画像データを出力する。音声入力部15aは、マイク114によって利用者の音声が音声信号に変換された後、この音声信号に係る音声データを入力する。音声出力部15bは、音声データに係る音声信号をスピーカに出力し、スピーカ115から音声を出力させる。
【0055】
表示制御部17は、後述のように、受信された解像度の異なる画像データを組み合わせ、この組み合わされた画像データをディスプレイ120に送信するための制御を行う。また、表示制御部17は、管理システム50から受信した宛先リストの情報をディスプレイ120に送信して、ディスプレイ120に宛先リストを表示させることができる。
【0056】
記憶・読出処理部19は、記憶部1000に各種データを記憶したり、記憶部1000に記憶された各種データを読み出したりする処理を行う。この記憶部1000には、端末10を識別するための通信ID(Identification)、及びパスワード等が記憶される。更に、記憶部1000には、宛先端末との通話を行う際に受信される画像データ及び音声データが、受信される度に上書き記憶される。このうち、上書きされる前の画像データによってディスプレイ120に画像が表示され、上書きされる前の音声データによってスピーカ115から音声が出力される。
【0057】
なお、本実施形態の通信ID及び後述の中継装置IDは、それぞれ端末10及び中継装置30を一意に識別するために使われる言語、文字、記号、又は各種のしるし等の識別情報を示す。また、通信ID及び中継装置IDは、上記言語、文字、記号、及び各種のしるしのうち、少なくとも2つが組み合わされた識別情報であってもよい。
【0058】
<<中継装置の機能構成>>
中継装置30は、送受信部31、状態検知部32、及び記憶・読出処理部39を有している。これら各部は、
図5に示されている各構成要素のいずれかが、HD204からRAM203上に展開された中継装置用プログラムに従ったCPU201からの命令によって動作することで実現される機能又は機能する手段である。また、中継装置30は、
図5に示されているRAM203、及び/又は
図5に示されているHD204によって構築される記憶部3000を有している。
【0059】
(中継装置の各機能構成)
次に、中継装置30の各機能構成について詳細に説明する。
図6に示されている中継装置30の送受信部31は、通信ネットワーク2を介して他の端末、装置、又はシステムと各種データ(又は情報)の送受信を行う。
【0060】
状態検知部32は、この状態検知部32を有する中継装置30の稼動状態を検知する。稼動状態としては、「オンライン」、「オフライン」、「通話中」又は「一時中断」の状態がある。
【0061】
記憶・読出処理部39は、記憶部3000に各種データを記憶したり、記憶部3000に記憶された各種データを読み出したりする処理を行う。
【0062】
<<管理システムの機能構成>>
管理システム50は、送受信部51、端末認証部52、状態管理部53、端末抽出部54、端末状態取得部55、招待コード確認部56、会議管理部58、特定部60、招待コード管理部61、及び、記憶・読出処理部59を有している。これら各部は、
図5に示されている各構成要素のいずれかが、HD204からRAM203上に展開された管理システム50用プログラムに従ったCPU201からの命令によって動作することで実現される機能又は機能する手段である。また、管理システム50は、
図5に示されているHD204により構築される以下のデータベースが構築された記憶部5000を有している。
【0063】
(中継装置管理テーブル)
記憶部5000には、
図7に示されているような中継装置管理テーブルによって構成されている中継装置管理DB5001が構築されている。この中継装置管理テーブルでは、各中継装置30の中継装置ID毎に、各中継装置30の稼動状態、稼動状態が示される状態情報が管理システム50で受信された受信日時、中継装置30のIPアドレス、及び中継装置30における最大データ伝送速度(Mbps)が関連付けられて管理される。例えば、
図7に示されている中継装置管理テーブルにおいて、中継装置IDが「111a」の中継装置30aは、稼動状態が「オンライン」で、管理システム50で状態情報が受信された日時が「2009年11月10日の13時00分」で、この中継装置30aのIPアドレスが「1.2.1.2」で、この中継装置30aにおける最大データ伝送速度が100Mbpsであることが示されている。
【0064】
(端末認証管理テーブル)
更に、記憶部5000には、
図8に示されているような端末認証管理テーブルによって構成されている端末認証管理DB5002が構築されている。この端末認証管理テーブルでは、管理システム50によって管理される全ての端末10の各通信IDに対して、各パスワードが関連付けられて管理される。例えば、
図8に示されている端末認証管理テーブルにおいて、端末10aaの通信IDは「01aa」で、パスワードは「aaaa」であることが示されている。
【0065】
(端末管理テーブル)
また、記憶部5000には、
図9に示されているような端末管理テーブルによって構成されている端末管理DB5003が構築されている。この端末管理テーブルでは、各端末10の通信ID毎に、各端末10を宛先とした場合の宛先名(名称、部署名、氏名など)、各端末10の稼動状態、後述のログイン要求情報が管理システム50で受信された受信日時、及び端末10のIPアドレスが関連付けられて管理される。例えば、
図9に示されている端末管理テーブルにおいて、通信IDが「01aa」の端末10aaは、宛先名が「日本 東京事業所 AA端末」で、稼動状態が「オンライン(通話可能)」で、管理システム50でログイン要求情報が受信された日時が「2009年11月10日の13時40分」で、この端末10aaのIPアドレスが「1.2.1.3」であることが示されている。
【0066】
(宛先リスト管理テーブル)
更に、記憶部5000には、
図10に示されているような宛先リスト管理テーブルによって構成されている宛先リスト管理DB5004が構築されている。この宛先リスト管理テーブルでは、会議における通話の開始を要求する要求元端末の通信IDに対して、宛先端末の候補として登録されている宛先端末の通信IDが全て関連付けられて管理される。例えば、
図10に示されている宛先リスト管理テーブルにおいて、通信IDが「01aa」である要求元端末(端末10aa)から会議における通話の開始を要求することができる宛先端末(端末10db)の候補は、通信IDが「01ab」の端末10ab、通信IDが「01ba」の端末10ba、及び通信IDが「01bb」の端末10bb等であることが示されている。この宛先端末の候補は、任意の要求元端末から管理システム50に対する追加又は削除の要請により、追加又は削除されることで更新される。
【0067】
(会議管理テーブル)
また、この記憶部5000には、
図11に示されているような会議管理テーブルによって構成されている会議管理DB5006が構築されている。この会議管理テーブルでは、管理システム50が会議を識別するために使用する会議室ID毎に、参加予定者等が会議を特定するための会議識別子、この会議で画像データ、音声データ及び資料データの中継に使用される中継装置30の中継装置ID、及び、中継装置30が複数の会議で使用された場合に会議を識別する中継装置内の会議室IDが関連付けられて管理される。
【0068】
図11の例では、abcdefg という会議識別子を持つ会議が現在開催中で、中継装置管理DB5001に登録されている111a という中継装置IDを持つ中継装置30が、111a-abcdefg という中継装置内の会議室IDで会議を識別し、画像データ、音声データ及び資料データを中継していることを示している。
【0069】
会議管理DB5006は会議の主催者(参加予定者でもある)からのリクエストによって任意のタイミングに作成される。その会議への初めての参加要求があった時点で、管理システム50が会議に中継装置30を割り当てる。また、最後の参加者が退室した時点で中継装置30の割り当てが解除される。
【0070】
(招待コード管理テーブル)
また、この記憶部5000には、
図12に示されているような招待コード管理テーブルによって構成されている招待コード管理DB5007が構築されている。この招待コード管理テーブルでは、招待コードを識別する招待コードID毎に、招待コード、招待コードで参加できる会議室ID、及び、同時利用可能数が関連付けられて管理される。会議の主催者は会議ごとに、招待コードと同時利用可能数を登録する。従って、招待コードは会議に固有となるが、本実施形態では仮に招待コードが使い回されても、招待コードを過去に使用した者や盗聴した第三者が会議に参加することを排除しやすい。
【0071】
図12の例では、C001 という会議室IDを持つ会議に参加するための招待コード(I001~I003)が3つ発行されている。この3つの招待コードの同時利用可能数はそれぞれ「1」なので、それぞれの招待コードは同時には一人の利用者しか使えないことが示されている。招待コードが1つしかないため、招待コードを配布した者は次述する会議参加者管理DB5005から招待コードを取得すれば、会議に参加している個人の特定が可能になる(例えば、主催者が招待コードと配布先の参加予定者を対応付けて保持しておく)。
【0072】
また、招待コード(I004)の同時利用可能数は100なので、最大で100人が招待コード(I004)を使い回せることが示されている。このように、利用者が同じ招待コードを大勢に配布して、最大人数のみを制限する(個人の特定は不要な場合)ことも可能である。100人の参加者の招待コードが同じでよいので、招待コードの配布が容易になる。
【0073】
(会議参加者管理テーブル)
また、この記憶部5000には、
図13に示されているような会議参加者管理テーブルによって構成されている会議参加者管理DB5005が構築されている。この会議参加者管理テーブルでは、参加者の名称(
図9の宛先名)、会議室ID、及び、参加者が参加時に使用した招待コードが関連付けられて管理される。従って、通信IDにより参加者を特定することができる。
【0074】
図13の例では、C001の会議室IDを持つ会議に、I002の招待コードを使って参加者Aが参加していることが示されている。また、I003の招待コードを使って参加者Bが会議に参加していることが示されている。
【0075】
(管理システムの各機能構成)
次に、管理システム50の各機能構成について詳細に説明する。送受信部51は、通信ネットワーク2を介して他の端末、装置又はシステムと各種データ(又は情報)の送受信を行う。
【0076】
端末認証部52は、送受信部51を介して受信されたログイン要求情報に含まれている通信ID及びパスワードを検索キーとして、記憶部5000の端末認証管理DB5002を検索し、端末認証管理DB5002に同一の通信ID及びパスワードが管理されているかを判断することによって端末認証を行う。
【0077】
状態管理部53は、ログイン要求してきた要求元端末の稼動状態を管理すべく、端末管理DB5003に、この要求元端末の通信ID、要求元端末の稼動状態、管理システム50でログイン要求情報が受信された受信日時、及び要求元端末のIPアドレスを関連付けて記憶して管理する。また、状態管理部53は、利用者が端末10の電源スイッチ109の状態をONからOFFにすることで、端末10から送られてきた、電源をOFFする旨の状態情報に基づいて、端末管理DB5003のオンラインを示す稼動状態をオフラインに変更する。
【0078】
端末抽出部54は、ログイン要求した要求元端末の通信IDをキーとして、宛先リスト管理DB5004を検索し、要求元端末と通話することができる宛先端末の候補の通信IDを読み出すことで、通信IDを抽出する。また、端末抽出部54は、ログイン要求してきた要求元端末の通信IDをキーとして、宛先リスト管理DB5004を検索し、上記要求元端末の通信IDを宛先端末の候補として登録している他の要求元端末の通信IDも抽出する。
【0079】
端末状態取得部55は、端末抽出部54によって抽出された宛先端末の候補の通信IDを検索キーとして、端末管理DB5003を検索し、端末抽出部54によって抽出された通信ID毎に稼動状態を読み出す。これにより、端末状態取得部55は、ログイン要求してきた要求元端末と通話することができる宛先端末の候補の稼動状態を取得することができる。また、端末状態取得部55は、端末抽出部54によって抽出された通信IDを検索キーとして、端末管理DB5003を検索し、ログイン要求してきた要求元端末の稼動状態も取得する。
【0080】
特定部60は、参加予定者が使用する端末10から送信された会議識別子で会議管理DB5006を検索して会議を特定する。
【0081】
招待コード確認部56は、参加予定者が使用する端末10から送信された招待コードで招待コード管理DB5007を検索して同時利用可能数を取得する。また、招待コードで会議参加者管理DB5005を検索し、現在、同じ招待コードで会議に参加している参加者の数(利用者数)を検出する。そして、利用者数が同時利用可能数より小さい場合、参加者の参加を許可する。
【0082】
会議管理部58は、会議の登録のリクエストに対し会議管理DB5006に会議室IDと会議識別子を登録し、会議が開催された際には中継装置30を決定して中継装置IDと中継装置内会議室IDを登録する。また、会議が開催されると、会議参加者管理DB5005に参加者の名称、会議室ID、及び、招待コードIDを登録する。
【0083】
招待コード管理部61は、会議の登録に引き続き、招待コードの作成要求を受け付けた場合に招待コードを生成し、招待コード管理DB5007に招待コードID、招待コード、会議室ID、及び、同時利用可能数を登録する。
【0084】
記憶・読出処理部59は、記憶部5000に各種データを記憶したり、記憶部5000に記憶された各種データを読み出したりする処理を行う。
【0085】
<会議開始までの流れ>
続いて、
図14を用いて会議の登録と会議を開始するまでの手順を説明する。
図14は、端末10が会議の登録と会議を開始するまでの処理を示すシーケンス図の一例である。
【0086】
S1,S2:まず、端末10Aと10Bが管理システム50にログインする。すなわち、参加予定者は端末10の電源スイッチをONにしてログインするための操作を行うと、操作入力受付部12がこれを受け付けてログイン要求部13が通信ネットワーク2を介して管理システム50にログイン要求を送信する。ログイン要求には、ログイン要求する端末10Aの通信ID及びパスワードが含まれている。ログイン要求が管理システム50に受信された際に、管理システム50が送信側である端末10のIPアドレスを把握することができる。
【0087】
管理システム50の端末認証部52はログイン要求に含まれている通信ID及びパスワードに基づいて端末10を認証する。認証方法は通信ID及びパスワードに基づくものに限らず、ICカードや生体認証情報を用いてもよい。ここでは認証が成立したものとする。認証が成立したので管理システム50の状態管理部53は、端末管理DB5003において、端末10A、10Bの通信IDに対応付けてステータス(オンライン)を更新する。
【0088】
S3:ログインが成功すると、参加予定者は会議を開催するために端末10Aを操作して、端末10Aに会議室作成要求を管理システム50に送信させる。
【0089】
S3-2:管理システム50の送受信部51は会議室作成要求を受信し、会議管理部58が会議室IDと会議識別子を採番し、会議管理DB5006に登録する(会議室を作成する)。
【0090】
S4:管理システム50の送受信部51は、参加予定者が会議識別子を把握できるように端末10Aに送信する。
【0091】
S5:次に、参加予定者は招待コードを取得するために端末10Aを操作して、端末10Aの送受信部11に招待コード作成要求を管理システム50に送信させる。参加予定者は招待する人数分の招待コードを作成する。招待コード作成要求には会議識別子が含まれる。
【0092】
S6~S10:管理システム50の送受信部51は招待コード作成要求を受信する。招待コード管理部61は招待コード作成要求を受信するたびに招待コードと招待コードIDを作成し、招待コード管理DB5007に登録する。また、会議識別子に対応付けられている会議室IDを会議管理DB5006から取得して招待コードIDと招待コードに対応づけて会議室IDを招待コード管理DB5007に登録する。同時利用可能数は、参加予定者が何も指定しない場合は「1」となる。参加予定者は任意の同時利用可能数を設定できる。なお、ステップS6~S10では招待コードが1つずつ生成されているが、参加予定者が招待コードの数を指定して一度に、複数の招待コードを作成してもよい。
【0093】
また、ここまでの処理は端末10Aから行っているが、会議管理用のWebアプリケーションにWebブラウザからアクセスして処理してもよい。
【0094】
S11:次に、参加予定者は生成した招待コードと会議識別子を電子メールなどで各参加予定者に通知する。このため、端末10Aの送受信部11は招待要求を管理システム50に送信する。招待要求には、招待される端末10Bの通信ID、会議識別子、及び、招待コードが含まれている。
【0095】
S12:管理システム50の送受信部51は招待要求を端末10Bに転送する。転送される招待要求には、端末10Aの通信ID、会議識別子、及び、招待コードが含まれている。
【0096】
なお、
図14では一例として、招待要求の中に招待コードも含んでいるが、この方法だと招待要求を盗聴された際に第三者が会議に参加できてしまうので好ましくない。招待コードと会議識別子は別々の手段(電子メールとファイル転送等)で参加予定者に送信することが望ましい。また、招待要求自体を、管理システム50を介さずに転送してもよい。この場合、口頭、紙、QRコード(登録商標)などにより招待要求自体を通知できる。
【0097】
S13:招待要求が届いた端末10Bに参加予定者が招待に応じる操作をすると、操作入力受付部12が操作を受け付け、送受信部11が招待応答を送信する。招待応答は、招待に応じる旨を通知する。
【0098】
S14:管理システム50の送受信部51は招待応答を端末10Aに送信する。
【0099】
次に、会議を開催する処理について説明する。
【0100】
S15:会議の参加予定者が操作する端末10Aが会議参加要求を行う。会議参加要求には会議識別子と招待コードが含まれる。
【0101】
S16:管理システム50の送受信部51は会議参加要求を受信し、特定部60が会議を特定し、招待コード確認部56が招待コードを検証する。検証の詳細は
図16にて説明する。
【0102】
S17:この時点では会議室に対応する中継装置30がまだ割り当てられていないので、会議管理部58が中継装置30の割り当てを行う。負荷が少ない中継装置30を割り当てる方法がある。会議管理部58は端末10Aから送信された会議識別子で会議管理DB5006を検索し、検索に適合した会議室IDと会議識別子に対応付けて中継装置IDと中継装置内の会議室IDを会議管理DB5006に登録する。
【0103】
S18:次に、会議管理部58は割り当てた中継装置30に対して会議室作成要求を送信する。会議室作成要求には、会議に参加する端末10Aの通信ID又はIPアドレスなどの端末10を識別する情報、及び、中継装置内の会議室IDが含まれている。これにより、同じ会議に属する端末10が中継装置内の会議室IDで対応付けられる。
【0104】
S19:会議管理部58は送受信部51を介して中継装置30に関する情報(中継装置ID、中継装置内の会議室ID、中継装置30のIPアドレス)を端末10Aに送信する。これらは中継装置管理DB5001又は会議管理DB5006に登録されている。
【0105】
また、会議管理部58は参加者の名称、会議室ID、及び、招待コードを会議参加者管理DB5005に登録する。参加者の名称は、通信IDに基づいて端末状態取得部55が端末管理DB5003から取得する。会議室IDは、会議識別子に基づいて会議管理部58が会議管理DB5006から取得する。招待コードは端末10から送信されている。
【0106】
S20:端末10Aの送受信部11は管理システム50から送信された中継装置30に関する情報に基づいて中継装置30と通信を開始する。これにより、会議が開始される。
【0107】
<参加時のシーケンス>
図15は、すでに会議が開催されている状態で端末10が会議に参加する際のシーケンス図の一例である。前提として参加予定者は招待コードと会議識別子を事前に受け取っている。例えば、事前に、招待コード付と会議室のURLが記述された電子メール、メモ書き、QRコード等を受け取っている。口頭で伝達されていてもよい。
【0108】
S30-1,S30-2:すでに端末10Aと10Bの会議が開催されている。
【0109】
S31:参加予定者は端末10Cの電源をONにする。端末10がPCなど場合は、アプリを起動する。
【0110】
S32:これにより、端末10Cは管理システム50にログインする。ログインの手順は
図14と同様でよい。
【0111】
S33:参加予定者は事前に取得しておいた会議識別子と招待コードを端末10Cに入力する。
【0112】
S34:端末10Cの操作入力受付部12は会議識別子と招待コードを受け付け、送受信部11が会議識別子と招待コードを含む会議参加要求を管理システム50に送信する。
【0113】
S35:管理システム50の送受信部51は会議参加要求を受信し、招待コード確認部56が会議識別子と招待コードを確認する。会議識別子と招待コードの詳細な確認手順については
図16で説明する。
【0114】
S36:管理システム50の会議管理部58は会議識別子に基づいて会議管理DB5006から中継装置IDと中継装置内の会議室IDを取得し、中継装置管理DB5001から中継装置のIPアドレスを取得する。
【0115】
会議識別子と招待コードが有効である場合、S37,S38が実行される。
【0116】
S37:管理システム50の送受信部51は中継装置30に関する情報(中継装置ID、中継装置内の会議室ID、中継装置30のIPアドレス、中継装置30の会議に参加するための認可情報)を端末10Cに送信する。なお、認可情報は何らかの決まった文字列などでよい。会議管理部58は端末10Cを識別する情報と中継装置内の会議室IDを中継装置30に送信し、会議に端末10Cを参加させる。
【0117】
S38:端末10Cの送受信部11は管理システム50から送信された中継装置30に関する情報に基づいて中継装置30と通信を開始する。これにより会議に参加できる。すなわち、画像データ、音声データ及び資料データの送受信が開始される。
【0118】
会議識別子と招待コードが無効である場合、S39,S40が実行される。
【0119】
S39:管理システム50の送受信部51は会議識別子と招待コードの少なくともどちらかが正しくないというエラーを端末10Cに送信する。
【0120】
S40:端末10Cの送受信部11はエラーを受信し、表示制御部17はエラーを表示する。これにより、参加予定者は会議識別子と招待コードを入力し直すなどの対応が可能になる。
【0121】
<<会議識別子と招待コードの確認>>
図16は、会議識別子と招待コードの確認手順を説明するフローチャート図の一例である。
【0122】
会議参加要求を受信した管理システム50の特定部60は、会議参加要求に含まれる会議識別子で、会議管理DB5006を検索して会議の存在を確認する(S10)。
【0123】
該当する会議が存在しない場合(S20の「存在しない」)、送受信部51が該当する会議が存在しない旨のエラーを端末10Cに送信する(S30)。
【0124】
該当する会議が存在する場合(S20の「存在する」)、招待コード確認部56は招待コードを検証する(S40)。まず、招待コード確認部56は会議参加要求に含まれる招待コードで招待コード管理DB5007を検索して招待コードの存在を確認する。存在する場合は、招待コードが対応付けられている会議室IDで会議管理DB5006を検索し、会議室IDに対応付けられている会議識別子が会議参加要求に含まれているものと同じかどうかを判断する。こうすることで、会議識別子と招待コードの組み合わせを検証できる。
【0125】
ステップS40で招待コードが無効であると判断された場合、招待コード確認部56は招待コードが無効である旨のエラーを端末10Cに送信する(S50)。
【0126】
ステップS40で招待コードが有効であると判断された場合、招待コード確認部56は会議参加者管理DB5005を参照し、その招待コードを使って会議をしている端末10(参加者の数)の利用者数を数える(S60)。
【0127】
利用者数が0だった場合(まだその招待コードを使っている端末がいなかった場合)、招待コード確認部56は招待コードが有効であると判断する(S70)。つまり、中継装置30に関する情報を端末10Cに送信して会議室への入室(会議への参加)を許可する。なお、ここでは、会議の参加予定者にそれぞれ別の招待コードが配布される場合(同時利用可能数が1の場合)が想定されている。
【0128】
利用者数が1以上だった場合(その招待コードを使っている端末がいる場合)、招待コード確認部56は招待コードが無効であると判断し、招待コードが無効である旨のエラーを端末10Cに送信する(S80)。このように、同時利用可能数により1つの招待コードで同時に会議に参加できる参加者を制限できるので、会議のセキュリティを維持できる。
【0129】
会議の参加予定者にそれぞれ別の招待コードを配布するのでなく、例えば先着100名が参加できる限定会議などが開催される場合、ステップS60において、「同時利用可能数が0だった場合」又は「1以上の場合」という判断ではなく、それぞれ「100以下の場合」又は「101以上の場合」という判断になる。
【0130】
<まとめ>
以上説明したように、本実施形態の伝送システム1によれば、同時利用可能数により招待コードを同時に利用できる参加者を制限できるため、仮に招待コードが使い回されていたとしても、意図しない参加者が参加することを抑制できる。また、通信の不慮の切断に対し参加者は使い回している招待コードで再入室できるため、招待コードの再発行が必要ない。また、定例で何度も開催される同じ会議の場合、招待コードが同じなので入室の煩わしさを低減できる。
【0131】
<その他の適用例>
以上、本発明を実施するための最良の形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。
【0132】
例えば、本実施形態では、テレビ会議端末(伝送端末)を用いた会議室への参加を例に説明したが、伝送端末の機能を有する各種の装置でも適用できる。例えば、伝送端末の機能を有している電子黒板にも好適に適用できる。
【0133】
また、管理システム50は同時利用可能数を会議への参加のたびに1ずつ減らしてもよい。こうすることで、ある招待コードで決まった回数だけ会議に参加すると、この招待コードは使用できなくなるため、一定の使い回しを認めながら、それ以上の使い回しを禁止できる。この場合、会議識別子に同時利用可能数を対応付けるのでなく、参加者に同時利用可能数を対応付けておけば、参加者は会議に関係なく同じ招待コードを使い回すことができる。
【0134】
また、
図6などの構成例は、管理システム50、端末10、及び中継装置30による処理の理解を容易にするために、主な機能に応じて分割したものである。処理単位の分割の仕方や名称によって本願発明が制限されることはない。管理システム50、端末10、及び中継装置30の処理は、処理内容に応じて更に多くの処理単位に分割することもできる。また、1つの処理単位が更に多くの処理を含むように分割することもできる。
【0135】
なお、特定部60は特定手段の一例であり、会議管理部58は管理手段の一例であり、招待コード確認部56は確認手段の一例であり、招待コード管理DB5007は招待コード管理情報記憶部の一例であり、操作入力受付部12は操作受付手段の一例であり、送受信部11は送信手段の一例である。
【符号の説明】
【0136】
1 伝送システム
10 端末
30 中継装置
50 管理システム
51 送受信部
52 端末認証部
53 状態管理部
54 端末抽出部
55 端末状態取得部
56 招待コード確認部
58 会議管理部
60 特定部
61 招待コード管理部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0137】