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  • 特許-ケーブル 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-14
(45)【発行日】2022-03-23
(54)【発明の名称】ケーブル
(51)【国際特許分類】
   H01B 7/04 20060101AFI20220315BHJP
   H01B 7/18 20060101ALI20220315BHJP
   H01B 7/00 20060101ALI20220315BHJP
【FI】
H01B7/04
H01B7/18 H
H01B7/00 310
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2018230772
(22)【出願日】2018-12-10
(65)【公開番号】P2020095790
(43)【公開日】2020-06-18
【審査請求日】2021-05-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000005083
【氏名又は名称】日立金属株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002583
【氏名又は名称】特許業務法人平田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】黄 得天
(72)【発明者】
【氏名】塚本 佳典
(72)【発明者】
【氏名】小林 正則
(72)【発明者】
【氏名】森山 真至
(72)【発明者】
【氏名】松岡 功
【審査官】北嶋 賢二
(56)【参考文献】
【文献】特開平5-298943(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01B 7/04
H01B 7/18
H01B 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーブル中心を中心軸として前記ケーブル中心の周囲に螺旋状に撚り合わされた複数の電線と、
前記複数の電線の周囲を一括して覆うように設けられたシースと、を備え、
前記複数の電線は、電源線と、信号線と、を含み、
前記電源線は、中心部に配置された介在の周囲に複数の絶縁電線が撚り合わされた集合体と、前記集合体の周囲に設けられた第1内部シースと、を有し、
前記信号線は、介在の周囲に複数の対撚線が撚り合わされた対撚線集合体と、前記対撚線集合体の周囲に設けられたシールド層と、前記シールド層の周囲に設けられた第2内部シースと、を有する、
ケーブル。
【請求項2】
前記信号線は、前記複数の対撚線の撚り方向と、前記対撚線集合体の撚り方向とが反対方向である、
請求項1に記載のケーブル。
【請求項3】
前記第1内部シースおよび前記第2内部シースは、ポリ塩化ビニル樹脂からなる、
請求項1または2に記載のケーブル。
【請求項4】
前記シースの厚さは、前記第1内部シースおよび前記第2内部シースのそれぞれの厚さより大きい、
請求項1乃至3の何れか1項に記載のケーブル。
【請求項5】
空気を通すための1本以上のエアチューブを有する、
請求項1乃至4の何れか1項に記載のケーブル。
【請求項6】
前記複数の絶縁電線は、撚線導体の周囲にフッ素樹脂からなる絶縁体が設けられている、
請求項1乃至5の何れか1項に記載のケーブル。
【請求項7】
前記複数の対撚線は、撚線導体の周囲にフッ素樹脂からなる絶縁体が設けられている絶縁電線を対撚りして構成される、
請求項1乃至6の何れか1項に記載のケーブル。
【請求項8】
前記シースは、ウレタン樹脂からなる内層シースと、前記内層シースの外周に設けられ、前記内層シースを保護する外層シースと、を有する、
請求項1乃至7の何れか1項に記載のケーブル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケーブルに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、工場等で用いられる産業用ロボットとして、水平方向にアームが動作するスカラロボット(水平多関節ロボット)が広く用いられてきている。スカラロボットでは、アームの先端部から基端部にわたって、可動部越しにアーチ状に屈曲した状態でケーブルが設けられることが多い。
【0003】
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、特許文献1がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第4979075号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のスカラロボット等では、アームが高速動作すると、当該動作によってアーチ状に配策されたケーブルが揺動する。アームの高速動作が繰り返し行われることに伴い、ケーブルが高速度で繰り返し揺動することになる。揺動するケーブルには、当該ケーブルの揺動する方向に対して応力が加わるが、ケーブルが当該応力に耐えられなくなって大きく振られてしまい、ケーブルがアームの高速動作に追従して揺動しなくなるという課題や、応力が集中するケーブルの端末部分にてケーブルの断線が発生しやすいという課題がある。
【0006】
ケーブルの端末部分の断線を抑制するために、端末部分のケーブルの周囲を被覆するブッシュを大きくすることも考えられるが、この場合、ブッシュを配置するスペースを確保する必要があり設計上の制約事項が生じてしまうことや、アームの高速動作に対してケーブルが追従するときのしなやかなケーブルの動きが低下するおそれがある。
【0007】
そこで、本発明は、可動部越しにアーチ状に配線された場合であっても、可動部の高速動作で生じる揺動によって振られにくく断線が発生しにくいケーブルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記課題を解決することを目的として、ケーブル中心を中心軸として前記ケーブル中心の周囲に螺旋状に撚り合わされた複数の電線と、前記複数の電線の周囲を一括して覆うように設けられたシースと、を備え、前記複数の電線は、電源線と、信号線と、を含み、前記電源線は、中心部に配置された介在の周囲に複数の絶縁電線が撚り合わされた集合体と、前記集合体の周囲に設けられた第1内部シースと、を有し、前記信号線は、介在の周囲に複数の対撚線が撚り合わされた対撚線集合体と、前記対撚線集合体の周囲に設けられたシールド層と、前記シールド層の周囲に設けられた第2内部シースと、を有する、ケーブルを提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、可動部越しにアーチ状に配線された場合であっても、可動部の高速動作で生じる揺動によって振られにくく断線が発生しにくいケーブルを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施の形態に係るケーブルの長手方向に垂直な断面を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[実施の形態]
以下、本発明の実施の形態を添付図面にしたがって説明する。
【0012】
図1は、本実施の形態に係るケーブルの長手方向に垂直な断面を示す断面図である。ケーブル1は、例えば、スカラロボット等の産業用ロボットにおいて、アームの関節等の可動部越しにアーチ状に屈曲した状態で配置されるものである。
【0013】
図1に示すように、ケーブル1は、ケーブル中心を中心軸として前記ケーブル中心の周囲に螺旋状に撚り合わされた複数の電線3と、複数の電線3の周囲を一括して覆うように設けられたシース4と、を備えている。
【0014】
複数の電線3は、電源供給用の電源線5と、信号伝送用の信号線6と、を含んでいる。ここでは、複数の電線3として、2本の電源線5と1本の信号線6とを有する場合について説明するが、電源線5や信号線6の本数はこれに限定されず、電源線5や信号線6以外の電線3を含んでもよい。
【0015】
電源線5は、銅等の電気良導体からなる素線(例えば、0.12mm以下の外径を有する素線)を撚り合わせた撚線導体51aの外周にETFE(テトラフルオロエチレン-エチレン共重合体)、FEP(テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体)、PFA(テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)等のフッ素樹脂からなる絶縁体51bを被覆した複数の絶縁電線51と、これら複数の絶縁電線51を撚り合わせた集合体52の外周に螺旋状に巻き回された押さえ巻きテープ53と、押さえ巻きテープ53の外周に設けられ、集合体52を一括して被覆する第1内部シース54と、を有している。押さえ巻きテープ53としては、紙テープや不織布からなるテープ等を用いることができる。第1内部シース54としては、例えば、ポリ塩化ビニル(PVC)樹脂からなるもの等を用いることができる。
【0016】
本実施の形態では、電源線5の中心部に介在55を設け、その介在55の周囲に5本の絶縁電線51を螺旋状に巻き付け、さらにその外周に10本の絶縁電線51を螺旋状に巻き付けることで、合計15本の絶縁電線51を用いて集合体52を構成した。なお、集合体52を構成する絶縁電線51の数はこれに限定されない。介在55としては、例えば、紐や紙、不織布等からなる糸状体や帯状体を用いることもできる。ここでは、介在55としてスフ糸を用いた。介在55は、電源線5の径方向内側に設けられた5本の絶縁電線51の間に存在する隙間を充満するように設けられている。
【0017】
信号線6は、例えばエア注入器の制御など、種々の機器の制御に用いられる制御信号を伝送するものである。信号線6は、信号伝送用の複数の対撚線61を撚り合わせた対撚線集合体62と、対撚線集合体62の周囲に螺旋状に巻き回された押さえ巻きテープ63と、押さえ巻きテープ53の周囲を覆うように設けられたシールド層64と、シールド層64の外周に設けられ、対撚線集合体62を一括して被覆する第2内部シース65と、を有する。
【0018】
対撚線61は、銅等の電気導体からなる素線(例えば、0.12mm以下の外径を有する素線)を撚り合わせた撚線導体611aの周囲にETFE(テトラフルオロエチレン-エチレン共重合体)、FEP(テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体)、PFA(テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)等のフッ素樹脂からなる絶縁体611bを有する絶縁電線611を対撚りして構成されている。ここでは、5本の対撚線61と介在66とを撚り合わせて対撚線集合体62を構成した。なお、対撚線集合体62を構成する対撚線61の本数はこれに限定されない。介在66としては、紐や紙、不織布等からなる糸状体や帯状体を用いることもできる。ここでは、介在66としてスフ糸を用いた。介在66は、5本の対撚線61及びこれらの周囲を覆う押さえ巻きテープ63の間に存在する隙間を充満するように設けられている。
【0019】
対撚線集合体62を構成する複数の対撚線61のそれぞれは、互いに撚りピッチが異なるように構成されている。これは、対撚線61間のクロストーク(ノイズ)を抑制するためである。なお、対撚線61の撚りピッチとは、対撚線61の周方向において絶縁電線611が同じ位置となる地点の、対撚線61の長手方向に沿った間隔である。
【0020】
本実施の形態では、各絶縁電線611における撚線導体611aの撚り方向と、対撚線61の撚り方向とが反対方向とされ、かつ、対撚線61の撚り方向と、対撚線集合体62の撚り方向とが反対方向とされている。撚線導体611aの撚り方向と、対撚線集合体62の撚り方向とは同じ方向となる。これは、対撚線61の撚り方向を、撚線導体611aや対撚線集合体62の撚り方向と同じ方向とした場合、撚線導体611aを構成する素線に繰り返し同方向の撚りが加わることとなり、屈曲時等に素線が絞り切れてしまうおそれがあるためである。対撚線61の撚り方向を、撚線導体611aや対撚線集合体62の撚り方向と反対方向とすることで、素線の断線を抑制し、屈曲に対する耐性を向上することが可能になる。
【0021】
なお、撚線導体611aの撚り方向とは、絶縁電線611の一端側から見たときに、他端側から一端側にかけて素線が回転している方向である。対撚線61の撚り方向とは、対撚線61の一端側から見たときに、他端側から一端側にかけて絶縁電線611が回転している方向である。また、対撚線集合体62の撚り方向とは、対撚線集合体62の一端側から見たときに、他端側から一端側にかけて対撚線61が回転している方向である。
【0022】
押さえ巻きテープ63としては、紙テープや不織布からなるテープ等を用いることができる。シールド層64は、金属素線を編み込んだ編組シールドからなる。シールド層64と押さえ巻きテープ63との間には、シールド層64を接地する際に用いるドレンワイヤ67が設けられている。第2内部シース65としては、例えば、ポリ塩化ビニル(PVC)樹脂からなるもの等を用いることができる。
【0023】
3本の電線3、すなわち2本の電源線5及び1本の信号線6は、外径が略同等(例えば、最も太い電線3の外径に対して80%以上の外径)となるように適宜調整される。なお、各電線3の外径は、第1内部シース54や第2内部シース65の厚さ等により調整することができる。
【0024】
ケーブル1では、空気を通すための1本以上のエアチューブ7を有している。エアチューブ7は、例えば、エア注入器へのエア供給に用いられるものであり、ウレタン樹脂等からなる。エアチューブ7は、その長手方向に沿う中空部71を有する中空円筒状に形成されており、電線3(電源線5及び信号線6)よりも外径が小さい。ここでは、電線3と同数の3本のエアチューブ7を用いる場合を説明するが、使用するエアチューブ7の本数はこれに限定されない。
【0025】
3本の電線3と3本のエアチューブ7とは、ケーブル周方向に交互に配置されており、これら3本の電線3と3本のエアチューブ7とが、螺旋状に撚り合されている。撚り合わせの際の偏り等の不具合を抑制するために、電線3とエアチューブ7とは、ケーブル周方向になるべく均等に(等間隔に)配置されていることが望ましい。
【0026】
撚り合せた3本の電線3と3本のエアチューブ7の周囲には、押さえ巻きテープ8が螺旋状に巻き回されている。押さえ巻きテープ8としては、紙テープや不織布からなるテープ等を用いることができる。押さえ巻きテープ8の外周には、シース4が設けられている。シース4の厚さは、各電線3の第1内部シース54及び第2内部シース65の厚さよりも厚いことが好ましく、例えば、1.4mm~1.8mm程度とすることができる。
【0027】
ケーブル1では、全ての電線3が、押さえ巻きテープ8の内周面に接触している。また、周方向に隣り合う電線3及びエアチューブ7は、互いに接触している。
【0028】
また、本実施の形態では、ケーブル中心に糸状または帯状の介在9を配置し、ケーブル中心に配置した介在9の周囲に、電線3とエアチューブ7と介在9を螺旋状に撚り合わせるようにしている。ケーブル中心には、屈曲による応力が集中しやすいため、ケーブル中心に電線3やエアチューブ7を配置しない構成とすることで、電線3やエアチューブ7の屈曲によるダメージを抑制できると共に、電線3の伝送特性の劣化を抑制できる。
【0029】
介在9としては、紐や紙、不織布等からなる糸状体や帯状体を用いることもできる。ここでは、介在9としてスフ糸を用いた。介在9は、電線3、エアチューブ7、及びこれらの周囲を覆う押さえ巻きテープ8の間に存在する隙間を充満するように設けられている。
【0030】
(シース4の説明)
本実施の形態に係るケーブル1では、シース4は、ウレタン樹脂からなる内層シース41と、内層シース41の外周に設けられ、内層シース41を保護する外層シース42と、を有している。ウレタン樹脂からなる内層シース41は、ケーブル1に弾性を付与し、ケーブル1を屈曲した際にケーブル1が直線状に戻ろうとする復元力を付与する役割を果たす。また、ウレタン樹脂からなる内層シース41は耐水性や耐油性が十分でないために、外層シース42は、この内層シース41を覆って耐水性や耐油性を付与する役割を果たす。
【0031】
また、外層シース42は、内層シース41の持つ復元力を維持させながら(内層シース41の持つ復元力を低下させずに)シース4の復元力をさらに向上させるためのものである。ケーブル1に十分な弾性(直線状に戻ろうとする復元力)を付与し、かつケーブル1の大径化を抑制するために、内層シース41の厚さは、外層シース42の厚さ以上であるとよい。より好ましくは、内層シース41の厚さは、外層シース42の厚さより大きいとよく、さらに好ましくは、外層シース42の厚さの1.2倍以上であるとよい。
【0032】
外層シース42は、内層シース41の外周に樹脂をチューブ押出にて被覆することにより、内層シース41の外周に設けられる。なお、可動部の高速動作に追従してケーブル1が動く際、内層シース41と外層シース42とが一体になって動くようにするために、外層シース42は、内層シース41の表面と接する部分において、内層シース41と密着していることが好ましい。特に、外層シース42は、内層シース41の表面と接する部分において、内層シース41と一体となるように密着していることが好ましい。これにより、繰り返し屈曲を受けた際に内層シース41から外層シース42がはく離してしまうことが抑制される。本実施の形態では、外層シース42として、内層シース41に用いるウレタン樹脂と比較的融点が近く、被覆時に内層シース41と溶け合って密着可能なポリ塩化ビニル樹脂からなるものを用いた。
【0033】
このような構造のシース4を用いることにより、ケーブル1を屈曲してアーチ状に配置した際に、内層シース41が直線状に戻ろうとする復元力をシース4の復元力のベースとし、外層シース42が内層シース41の復元力を補うように作用するため、ケーブル1の配線形状が保たれるような復元力をシース4に付与させることができる。その結果、ケーブル1をアーム等の可動部越しにアーチ状に配置した場合であっても、可動部の高速動作に追従して揺動するケーブル1の配線形状の変化が抑制され、ケーブル1の揺動する方向に対して加わる応力に耐えることができるため、可動部が高速動作してもケーブル1が振られにくくなる。その結果、ケーブル1が可動部の高速動作に追従して繰り返し揺動することができると共に、ケーブル1の端末部分にかかる応力が抑制され、断線が発生しにくくなる。なお、ケーブル1の振れをより抑制するために、ケーブル1の端末部分において、シース4の端部がスカラロボット等の装置にしっかりと固定されることが望ましい。また、このような構造のシース4を用いることにより、アームの高速動作に対してケーブルが追従するときに、ケーブルのしなやかな動きを実現することができる。
【0034】
(実施の形態の作用及び効果)
以上説明したように、本実施の形態に係るケーブル1では、ケーブル中心を中心軸として前記ケーブル中心の周囲に螺旋状に撚り合わされた複数の電線3と、複数の電線3の周囲を一括して覆うように設けられたシース4と、を備え、シース4は、ウレタン樹脂からなる内層シース41と、内層シース41の外周に設けられ、内層シース41を保護する外層シース42と、を有している。
【0035】
このようなシース4を有することで、ケーブル1に弾性(直線状に戻ろうとする復元力)を付与することができ、ケーブル1を屈曲してアーチ状に配置した際に、ケーブル1が直線状に戻ろうとする力によってケーブル1の形状を維持することが可能になる。その結果、スカラロボット等においてアーム等の可動部越しにアーチ状に配線された場合に、可動部を高速動作させた場合であっても、それによって生じる揺動に対して振られにくく断線が発生しにくいケーブル1を実現できる。
【0036】
なお、例えば、ケーブル外径を大きくして端末部分の断線を抑制することも考えられるが、この場合、ケーブルの質量が大きくなり、アーム等の高速動作に追従しにくくなる。本実施の形態によれば、外径や質量を大きくすることなく、断線しにくいケーブル1を実現可能であり、高速動作への追従性が高い。
(実施の形態のまとめ)
次に、以上説明した実施の形態から把握される技術思想について、実施の形態における符号等を援用して記載する。ただし、以下の記載における各符号等は、特許請求の範囲における構成要素を実施の形態に具体的に示した部材等に限定するものではない。
【0037】
[1]ケーブル中心を中心軸として前記ケーブル中心の周囲に螺旋状に撚り合わされた複数の電線(3)と、前記複数の電線(3)の周囲を一括して覆うように設けられたシース(4)と、を備え、前記シース(4)は、ウレタン樹脂からなる内層シース(41)と、前記内層シース(41)の外周に設けられ、前記内層シース(41)を保護する外層シース(52)と、を有する、ケーブル(1)。
【0038】
[2]前記内層シース(41)と前記外層シース(42)とが密着している、[1]に記載のケーブル(1)。
【0039】
[3]前記外層シース(52)が、ポリ塩化ビニル樹脂からなる、[1]または[2]に記載のケーブル(1)。
【0040】
[4]前記内層シース(41)の厚さが、前記外層シース(42)の厚さ以上である、[1]乃至[3]の何れか1項に記載のケーブル(1)。
【0041】
[5]空気を通すための1本以上のエアチューブ(7)を有し、前記複数の電線(3)と前記エアチューブ(7)とが撚り合されている、[1]乃至[4]の何れか1項に記載のケーブル(1)。
【0042】
[6]前記電線(3)は、糸状または帯状の介在(9)の周囲に螺旋状に撚り合わされている、[1]乃至[5]の何れか1項に記載のケーブル(1)。
【0043】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上記に記載した実施の形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施の形態の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。また、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変形して実施することが可能である。
【符号の説明】
【0044】
1…ケーブル
3…電線
4…シース
41…内層シース
42…外層シース
5…電源線
51…絶縁電線
52…集合体
54…第1内部シース
6…信号線
61…対撚線
62…対撚線集合体
65…第2内部シース
7…エアチューブ
71…中空部
図1