(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-14
(45)【発行日】2022-03-23
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
H01L 25/18 20060101AFI20220315BHJP
H01L 25/04 20140101ALI20220315BHJP
G01R 19/00 20060101ALI20220315BHJP
H01L 25/00 20060101ALI20220315BHJP
【FI】
H01L25/04 Z
G01R19/00 B
H01L25/00 B
(21)【出願番号】P 2017234402
(22)【出願日】2017-12-06
【審査請求日】2020-10-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000191238
【氏名又は名称】日清紡マイクロデバイス株式会社
(72)【発明者】
【氏名】大橋 悠也
(72)【発明者】
【氏名】山下 順
(72)【発明者】
【氏名】吉羽 聖
(72)【発明者】
【氏名】藤井 芳雄
(72)【発明者】
【氏名】白倉 康平
【審査官】井上 和俊
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-136608(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0211200(US,A1)
【文献】特開2012-244176(JP,A)
【文献】特開2013-197517(JP,A)
【文献】特開平10-321791(JP,A)
【文献】特開2012-095427(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 25/18
G01R 19/00
H01L 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力する電圧を減圧する機能を有する第1のチップと、該第1のチップの出力信号を信号処理する機能を有する第2のチップが、ダイパッド上に搭載され、各チップ電極間および各チップ電極と外部引出用のリード端子とがワイヤ接続され、封止樹脂により封止されている半導体装置において、
前記リード端子は、前記ダイパッドを挟んで対向して配置された複数のリード端子からなる第1のリード列と第2のリード列を構成していることと、
前記第1のリード列のリード端子は、少なくとも第1のリード端子と第2のリード端子と第3のリード端子とを備えていることと、
前記ダイパッド上に、前記第1のチップと前記第2のチップとを一組とする少なくとも第1の組と第2の組からなる複数のチップが搭載されていることと、
前記第1のリード端子と前記第2のリード端子は、前記第1の組の第1のチップ上に形成されたチップ電極の中の一部のチップ電極に接続し、該第1の組の第1のチップの別のチップ電極は、前記第1の組の第2のチップ上に形成されたチップ電極の中の一部のチップ電極あるいは前記第2のリード列のリード端子に接続し、前記第1の組の第2のチップの別のチップ電極は前記第2のリード列のリード端子に接続していることと、
前記第2のリード端子と前記第3のリード端子は、前記第2の組の第1のチップ上に形成されたチップ電極の中の一部のチップ電極に接続し、該第2の組の第1のチップの別のチップ電極は、前記第2の組の第2のチップ上に形成されたチップ電極の中の一部のチップ電極あるいは前記第2のリード列のリード端子に接続し、前記第2の組の第2のチップの別のチップ電極は前記第2のリード列のリード端子に接続していることと、
前記第1のリード端子と前記第2のリード端子間、および前記第3のリード端子と前記第2のリード端子間に、それぞれ前記第2のリード列の各リード端子に印加される電圧より高い電圧が印加可能となるように、該第1のリード列のリード端子間の寸法が前記第2のリード列のリード端子間の寸法より広く設定されていることと、
少なくとも前記第1のリード列のリード端子間に前記封止樹脂が充填されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
入力する電圧を減圧する機能を有する第1のチップと、該第1のチップの出力信号を信号処理する機能を有する第2のチップが、ダイパッド上に搭載され、各チップ電極間および各チップ電極と外部引出用のリード端子とがワイヤ接続され、封止樹脂により封止されている半導体装置において、
前記リード端子は、前記ダイパッドを挟んで対向して配置された複数のリード端子からなる第1のリード列と第2のリード列を構成していることと、
前記第1のリード列のリード端子は、少なくとも第1のリード端子と第2のリード端子と第3のリード端子とを備えていることと、
前記第1のチップは抵抗素子を主な構成要素としていることと、
前記第2のチップはオペアンプを主な構成要素としていることと、
前記ダイパッド上に、前記第1のチップと前記第2のチップとを一組とする少なくとも第1の組と第2の組からなる複数のチップが搭載されていることと、
前記第1のリード端子と前記第2のリード端子は、方形の前記第1の組の第1のチップ上に形成された抵抗チップ電極であって該第1の組の第1のチップの前記第1のリード列側の一辺側に配置されている2つの抵抗チップ電極にそれぞれ接続し、該抵抗チップ電極より前記一辺側と対向する別の一辺側に配置されている別の抵抗チップ電極は、方形の前記第1の組の第2のチップ上に形成された前記第1の組の第1のチップ側の一辺側に配置されているオペアンプチップ電極あるいは前記第2のリード列のリード端子に接続し、別の前記オペアンプチップ電極は、前記第2のリード列のリード端子に接続していることと、
前記第2のリード端子と前記第3のリード端子は、方形の前記第2の組の第1のチップ上に形成された抵抗チップ電極であって該第2の組の第1のチップの前記第1のリード列側の一辺側に配置されている2つの抵抗チップ電極にそれぞれ接続し、該抵抗チップ電極より前記一辺側と対向する別の一辺側に配置されている別の抵抗チップ電極は、方形の前記第2の組の第2のチップ上に形成された前記第2の組の第1のチップ側の一辺側に配置されているオペアンプチップ電極あるいは前記第2のリード列のリード端子に接続し、別の前記オペアンプチップ電極は、前記第2のリード列のリード端子に接続していることと、
前記第1のリード端子と前記第2のリード端子間、および前記第3のリード端子と前記第2のリード端子間に、それぞれのリード端子間に印加される電圧を前記第1のチップに形成された抵抗素子により分圧し、前記第2のチップに形成された前記オペアンプの反転入力端子あるいは非反転入力端子のいずれかに出力し、前記第2のチップで信号処理した出力信号を前記第2のリード列のリード端子から出力することと、
前記第1のリード端子と前記第2のリード端子間、および前記第3のリード端子と前記第2のリード端子間に、それぞれ前記第2のリード列の各リード端子に印加される電圧より高い電圧が印加可能となるように、該第1のリード列のリード端子間の寸法が前記第2のリード列のリード端子間の寸法より広く設定されていることと、
少なくとも前記第1のリード列のリード端子間に前記封止樹脂が充填されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項3】
入力する電圧を減圧する機能を有する第1のチップと、該第1のチップの出力信号を信号処理する機能を有する第2のチップが、ダイパッド上に搭載され、各チップ電極間および各チップ電極と外部引出用のリード端子とがワイヤ接続され、封止樹脂により封止されている半導体装置において、
前記リード端子は、前記ダイパッドを挟んで対向して配置された複数のリード端子からなる第1のリード列と第2のリード列を構成していることと、
前記第1のリード列のリード端子は、少なくとも第1のリード端子と第2のリード端子と第3のリード端子とを備えていることと、
前記第1のチップは抵抗素子を主な構成要素とし、該抵抗素子は、第1の分圧抵抗列と、第2の分圧抵抗列と、帰還抵抗とを含んでいることと、
前記第2のチップはオペアンプを主な構成要素としていることと、
前記ダイパッド上に、前記第1のチップと前記第2のチップとを一組とする少なくとも第1の組と第2の組からなる複数のチップが搭載されていることと、
前記第1のリード端子と前記第2のリード端子は、方形の前記第1の組の第1のチップ上に形成された抵抗チップ電極であって該第1の組の第1のチップの前記第1のリード列側の一辺側に配置されている2つの抵抗チップ電極の一方の抵抗チップ電極に印加される電圧を分圧するための第1の組の第1の分圧抵抗列と、前記2つの抵抗チップ電極の別の抵抗チップ電極に印加される電圧を分圧するための第1の組の第2の分圧抵抗列にそれぞれ接続し、該抵抗チップ電極より前記一辺側と対向する別の一辺側に配置されている別の抵抗チップ電極のうち、前記第1の組の第1の分圧抵抗列の第1の分圧電圧を出力する第1の組の第1の直列接続点となる抵抗チップ電極と、前記第1の組の第2の分圧抵抗列の第2の分圧電圧を出力する第1の組の第2の直列接続点となる抵抗チップ電極とを、方形の前記第1の組の第2のチップ上に形成された前記第1の組の第1のチップ側の一辺側に配置されているオペアンプチップ電極のうち、前記オペアンプの反転入力端子あるいは非反転入力端子のいずれかとなるオペアンプチップ電極にそれぞれ接続し、前記第1の組の第2のチップ上に形成された前記第1の組の第1のチップ側の一辺側に配置されているオペアンプチップ電極のうち、前記オペアンプの出力端子となるオペアンプチップ電極と前記反転入力端子となるオペアンプチップ電極との間に前記帰還抵抗を接続し、別の前記オペアンプチップ電極は、前記第2のリード列のリード端子に接続し、前記第1のリード端子と前記第2のリード端子に印加される電圧を前記第1の組の第1の分圧抵抗列あるいは前記第1の組の第2の分圧抵抗列により分圧し、前記第1の組の第2のチップに形成された前記オペアンプの反転入力端子あるいは非反転入力端子のいずれかに出力し、前記第1の組の第2のチップで信号処理した出力信号を前記第2のリード列のリード端子から出力することと、
前記第2のリード端子と前記第3のリード端子は、方形の前記第2の組の第1のチップ上に形成された抵抗チップ電極であって該第2の組の第1のチップの前記第1のリード列側の一辺側に配置されている2つの抵抗チップ電極の一方の抵抗チップ電極に印加される電圧を分圧するための第2の組の第1の分圧抵抗列と、前記2つの抵抗チップ電極の別の抵抗チップ電極に印加される電圧を分圧するための第2の組の第2の分圧抵抗列にそれぞれ接続し、該抵抗チップ電極より前記一辺側と対向する別の一辺側に配置されている別の抵抗チップ電極のうち、前記第2の組の第1の分圧抵抗列の第1の分圧電圧を出力する第2の組の第1の直列接続点となる抵抗チップ電極と、前記第2の組の第2の分圧抵抗列の第2の分圧電圧を出力する第2の組の第2の直列接続点となる抵抗チップ電極とを、方形の前記第2の組の第2のチップ上に形成された前記第2の組の第1のチップ側の一辺側に配置されているオペアンプチップ電極のうち、前記オペアンプの反転入力端子あるいは非反転入力端子のいずれかとなるオペアンプチップ電極にそれぞれ接続し、前記第
2の組の第2のチップ上に形成された前記第2の組の第1のチップ側の一辺側に配置されているオペアンプチップ電極のうち、前記オペアンプの出力端子となるオペアンプチップ電極と前記反転入力端子となるオペアンプチップ電極との間に前記帰還抵抗を接続し、別の前記オペアンプチップ電極は、前記第2のリード列のリード端子に接続し、前記第2のリード端子と前記第3のリード端子に印加される電圧を前記第2の組の第1の分圧抵抗列あるいは前記第2の組の第2の分圧抵抗列により分圧し、前記第2の組の第2のチップに形成された前記オペアンプの反転入力端子あるいは非反転入力端子のいずれかに出力し、前記第2の組の第2のチップで信号処理した出力信号を前記第2のリード列のリード端子から出力することと、
前記第1のリード端子と前記第2のリード端子間、および前記第3のリード端子と前記第2のリード端子間に、それぞれのリード端子間に印加される電圧を前記第1のチップに形成された抵抗素子により分圧し、前記第2のチップに形成された前記オペアンプの反転入力端子あるいは非反転入力端子のいずれかに出力し、前記第2のチップで信号処理した出力信号を前記第2のリード列のリード端子から出力することと、
前記第1のリード端子と前記第2のリード端子間、および前記第3のリード端子と前記第2のリード端子間に、それぞれ前記第2のリード列の各リード端子に印加される電圧より高い電圧が印加可能となるように、該第1のリード列のリード端子間の寸法が前記第2のリード列のリード端子間の寸法より広く設定されていることと、
少なくとも前記第1のリード列のリード端子間に前記封止樹脂が充填されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項4】
請求項1記載の半導体装置において、
前記第1の組の第1のチップ上あるいは前記第2の組の第1のチップ上の前記第2のリード列側の表面に、補助配線が配置されていることと、
前記第1の組の第2のチップ上あるいは前記第2の組の第2のチップ上に形成された前記別のチップ電極と前記第2のリード列のリード端子は、それぞれの組の前記補助
配線を経由して接続していることを特徴とする半導体装置。
【請求項5】
請求項2または3いずれか記載の半導体装置において、
前記第1の組の第1のチップ上あるいは前記第2の組の第1のチップ上の前記第2のリード列側の表面に、補助配線が配置されていることと、
前記別のオペアンプチップ電極と前記第2リード列のリード端子は、それぞれの組の前記補助配線を経由して接続していることを特徴とする半導体装置。
【請求項6】
請求項1記載の半導体装置において、
前記第2のリード列のいずれかのリード端子と前記第1の組あるいは第2の組の第1のチップ上に形成されたチップ電極、あるいは前記第2リード列のいずれかのリード端子と前記第1の組あるいは第2の組の前記第2のチップ上に形成されたチップ電極は、前記ダイパッド上に搭載された中継チップを経由して接続していることを特徴とする半導体装置。
【請求項7】
請求項2または3いずれか記載の半導体装置において、
前記第2のリード列のいずれかのリード端子と前記第1の組あるいは第2の組の第1のチップ上に形成された抵抗チップ電極、あるいは前記第2リード列のいずれかのリード端子と前記第1の組あるいは第2の組の前記第2のチップ上に形成されたオペアンプチップ電極は、前記ダイパッド上に搭載された中継チップを経由して接続していることを特徴とする半導体装置。
【請求項8】
請求項1乃至3いずれか記載の半導体装置において、前記第2のリード列に前記ダイパッドの吊りリードが配置されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項9】
請求項1乃至3いずれか記載の半導体装置において、前記ダイパッドの裏面側は、前記封止樹脂により樹脂封止されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項10】
請求項
2または3いずれか記載の半導体装置において、前記第2のリード列のいずれかのリード端子は、前記ダイパッド上に搭載されたESD保護素子を備えた中継チップを経由して前記チップ電極、前記抵抗チップ電極あるいは前記オペアンプチップ電極と接続していることを特徴とする半導体装置。
【請求項11】
請求項1乃至3いずれか記載の半導体装置において、前記第1の組あるいは第2の組の第1のチップと、該第1のチップに入力する電圧より低い電位に接続する前記ダイパッドあるいは第2のリード列のリード端子との間に平板状の誘電体部材を配置して、前記第1の組あるいは第2の組の第1のチップの容量と前記誘電体部材の容量とを直列に接続することを特徴とする半導体装置。
【請求項12】
請求項1乃至3いずれか記載の半導体装置において、前記第1の組あるいは第2の組の第2のチップ上に形成されたチップ電極あるいはオペアンプチップ電極の一部が接続する前記第2のリード列のリード端子を前記入力する電圧より低い電位に接続し、前記ダイパッド上に
平板状の誘電体部材を配置し、該誘電体部材上に前記第2のチップを配置して、前記第1の組あるいは第2の組の第1のチップの容量と前記誘電体部材の容量と前記第1の組あるいは第2の組の第2のチップの容量とを、それぞれの組で直列に接続することを特徴とする半導体装置。
【請求項13】
請求項11
記載の半導体装置において、前記第1の組あるいは第2の組の第2のチップ上に形成されたチップ電極あるいはオペアンプチップ電極の一部が接続する前記第2のリード列のリード端子を前記入力する電圧より低い電位に接続し、前記ダイパッド上に
平板状の誘電体部材を配置し、該誘電体部材上に前記第1の組あるいは第2の組の第2のチップを配置して、前記第1の組あるいは第2の組の第1のチップの容量と
前記第1の組あるいは第2の組の第2のチップの容量と
の間に前記第1のチップの下に配置された前記誘電体部材の容量と前記第2のチップの下に配置された前記誘電体部材の容量とを、それぞれの組で直列に接続することを特徴とする半導体装置。
【請求項14】
請求項11乃至13いずれか記載の半導体装置において、
前記ダイパッド上に配置される前記平板状の誘電体部材の代わりに、前記第1の組あるいは第2の組の前記第1のチップあるいは前記第2のチップの裏面に一体形成された絶縁性樹脂層
を前記平板状の誘電体部材とすることを特徴とする半導体装置。
【請求項15】
請求項1乃至14いずれか記載の半導体装置において、前記第1の組の第1のチップと前記第2の組の第1のチップは、一体のチップで形成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項16】
請求項1乃至15いずれか記載の半導体装置において、前記第2のリード端子が、前記第1の組の第1のチップのチップ電極に接続するリード端子と前記第2の組の第1のチップのチップ電極に接続するリード端子とに分離していることを特徴とする半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マルチチップ型の半導体装置に関し、特にリード端子に高電圧が印加される半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ハイブリット車や電気自動車では、車両駆動用のバッテリが所定の駆動電圧を出力するように構成されており、バッテリの出力電圧を常に監視する必要がある。例えばハイブリット車の車両駆動用バッテリは出力電圧が200V程度で、さらにこれを昇圧して500V付近で使用される。そのため、異常電圧を監視するため電圧監視回路が必要となる。また近年では、1000Vを越える異常電圧を監視する高電圧監視回路が求められている。
【0003】
図10は、モータ駆動装置の一例を示す。モータ駆動装置100は、車体から絶縁された高電圧のバッテリBから出力される直流高電圧(例えば200V)を昇圧コンバータ101により昇圧(例えば600Vに昇圧)し、その昇圧電圧を平滑コンデンサ102を介してインバータ回路103によりモータ駆動用の3相交流電圧に変換して車両駆動用のモータMに供給する構成となっている。この種のモータ駆動回路は、例えば特許文献1に記載されている。
【0004】
このようなモータ駆動装置では、昇圧電圧を監視するため、電圧検出回路200を備え、バッテリBの正側に接続するノードb1とバッテリBの負側に接続するノードb2の電圧を検出し、その検出結果に基づき図示しない制御回路から昇圧コンバータ101やインバータ回路103へ制御信号を出力し、モータ駆動を制御している。ここで電圧検出回路200は、オペアンプと抵抗とで構成することができる。
【0005】
図11に、一般的な電圧検出回路を示す。直列に接続された抵抗202a、抵抗202bは、バッテリBの正側の高電圧を分圧するための素子で、
図10に示すバッテリBの正極側に接続するノードb1に端子B1を接続し、他端は車体に接地される。抵抗202aと抵抗202bの直列接続点は、オペアンプ201の非反転入力端子に接続されている。一方、直列に接続された抵抗202c、抵抗202dは、バッテリBの負側の高電圧を分圧するための素子で、
図10に示すバッテリBの負極側に接続するノードb2に端子B2を接続し、他端は車体に接地される。抵抗202cと抵抗202dの直列接続点は、オペアンプ201の反転入力端子に接続されている。
【0006】
抵抗202eは、オペアンプ201の増幅ゲインを決定するための素子(帰還抵抗)で、抵抗202eの一端はオペアンプ201の反転入力端子に接続し、他端はオペアンプ201の出力端子OUTに接続している。電圧検出回路200から出力される検出信号は図示しない制御回路に入力し、その制御回路から昇圧コンバータ101やインバータ回路103の動作を制御する制御信号が出力され、モータMの駆動を制御することになる。
【0007】
ところで、ハイブリット車や電気自動車のモータ駆動装置に用いられるような高電圧を検出する電圧検出回路を、通常の半導体装置の製造工程に従いオペアンプと抵抗素子からなる集積回路チップで形成し、リードフレームに実装し、樹脂封止して形成しようとすると、高電圧が印加されるリード間や、近傍に配置している他のリードとの間で放電が発生し、使用することができないという問題があった。
【0008】
このような問題を解消するため本願出願人は、独自の構造の半導体装置を提案した(特許文献1)。本願出願人が先に提案した半導体装置は、
図12に示すように抵抗素子を主な構成要素とする第1のチップC1とオペアンプを主な構成要素とする第2のチップC2とを備え、高電圧が印加される2本のリード端子L1、L2を樹脂封止された半導体装置の一辺側にそれぞれ間隔を開けて配置し、対向する反対側に高電圧が印加されない残りのリード端子を配置する構成としている。またリード端子間には、封止樹脂Rを埋め込み、放電を防止する構造としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで一般的なハイブリット車や電気自動車では、バッテリ電圧(例えば200V)と、車両制御のために昇圧した高電圧(例えば1400V程度)を監視しなければならない。そのため、
図12に示す半導体装置を2個実装する必要があり、実装基板の面積が大きくなるという問題があった。
【0011】
本発明は、半導体装置の実装個数が増えた場合でも、実装基板の面積の増加を抑えることができる実装構造の半導体装置を提供することを可能とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するため本願請求項1に係る発明は、入力する電圧を減圧する機能を有する第1のチップと、該第1のチップの出力信号を信号処理する機能を有する第2のチップが、ダイパッド上に搭載され、各チップ電極間および各チップ電極と外部引出用のリード端子とがワイヤ接続され、封止樹脂により封止されている半導体装置において、前記リード端子は、前記ダイパッドを挟んで対向して配置された複数のリード端子からなる第1のリード列と第2のリード列を構成していることと、前記第1のリード列のリード端子は、少なくとも第1のリード端子と第2のリード端子と第3のリード端子とを備えていることと、前記ダイパッド上に、前記第1のチップと前記第2のチップとを一組とする少なくとも第1の組と第2の組からなる複数のチップが搭載されていることと、前記第1のリード端子と前記第2のリード端子は、前記第1の組の第1のチップ上に形成されたチップ電極の中の一部のチップ電極に接続し、該第1の組の第1のチップの別のチップ電極は、前記第1の組の第2のチップ上に形成されたチップ電極の中の一部のチップ電極あるいは前記第2のリード列のリード端子に接続し、前記第1の組の第2のチップの別のチップ電極は前記第2のリード列のリード端子に接続していることと、前記第2のリード端子と前記第3のリード端子は、前記第2の組の第1のチップ上に形成されたチップ電極の中の一部のチップ電極に接続し、該第2の組の第1のチップの別のチップ電極は、前記第2の組の第2のチップ上に形成されたチップ電極の中の一部のチップ電極あるいは前記第2のリード列のリード端子に接続し、前記第2の組の第2のチップの別のチップ電極は前記第2のリード列のリード端子に接続していることと、前記第1のリード端子と前記第2のリード端子間、および前記第3のリード端子と前記第2のリード端子間に、それぞれ前記第2のリード列の各リード端子に印加される電圧より高い電圧が印加可能となるように、該第1のリード列のリード端子間の寸法が前記第2のリード列のリード端子間の寸法より広く設定されていることと、少なくとも前記第1のリード列のリード端子間に前記封止樹脂が充填されていることを特徴とする。
【0013】
本願請求項2に係る発明は、入力する電圧を減圧する機能を有する第1のチップと、該第1のチップの出力信号を信号処理する機能を有する第2のチップが、ダイパッド上に搭載され、各チップ電極間および各チップ電極と外部引出用のリード端子とがワイヤ接続され、封止樹脂により封止されている半導体装置において、前記リード端子は、前記ダイパッドを挟んで対向して配置された複数のリード端子からなる第1のリード列と第2のリード列を構成していることと、前記第1のリード列のリード端子は、少なくとも第1のリード端子と第2のリード端子と第3のリード端子とを備えていることと、前記第1のチップは抵抗素子を主な構成要素としていることと、前記第2のチップはオペアンプを主な構成要素としていることと、前記ダイパッド上に、前記第1のチップと前記第2のチップとを一組とする少なくとも第1の組と第2の組からなる複数のチップが搭載されていることと、前記第1のリード端子と前記第2のリード端子は、方形の前記第1の組の第1のチップ上に形成された抵抗チップ電極であって該第1の組の第1のチップの前記第1のリード列側の一辺側に配置されている2つの抵抗チップ電極にそれぞれ接続し、該抵抗チップ電極より前記一辺側と対向する別の一辺側に配置されている別の抵抗チップ電極は、方形の前記第1の組の第2のチップ上に形成された前記第1の組の第1のチップ側の一辺側に配置されているオペアンプチップ電極あるいは前記第2のリード列のリード端子に接続し、別の前記オペアンプチップ電極は、前記第2のリード列のリード端子に接続していることと、前記第2のリード端子と前記第3のリード端子は、方形の前記第2の組の第1のチップ上に形成された抵抗チップ電極であって該第2の組の第1のチップの前記第1のリード列側の一辺側に配置されている2つの抵抗チップ電極にそれぞれ接続し、該抵抗チップ電極より前記一辺側と対向する別の一辺側に配置されている別の抵抗チップ電極は、方形の前記第2の組の第2のチップ上に形成された前記第2の組の第1のチップ側の一辺側に配置されているオペアンプチップ電極あるいは前記第2のリード列のリード端子に接続し、別の前記オペアンプチップ電極は、前記第2のリード列のリード端子に接続していることと、前記第1のリード端子と前記第2のリード端子間、および前記第3のリード端子と前記第2のリード端子間に、それぞれのリード端子間に印加される電圧を前記第1のチップに形成された抵抗素子により分圧し、前記第2のチップに形成された前記オペアンプの反転入力端子あるいは非反転入力端子のいずれかに出力し、前記第2のチップで信号処理した出力信号を前記第2のリード列のリード端子から出力することと、前記第1のリード端子と前記第2のリード端子間、および前記第3のリード端子と前記第2のリード端子間に、それぞれ前記第2のリード列の各リード端子に印加される電圧より高い電圧が印加可能となるように、該第1のリード列のリード端子間の寸法が前記第2のリード列のリード端子間の寸法より広く設定されていることと、少なくとも前記第1のリード列のリード端子間に前記封止樹脂が充填されていることを特徴とする。
【0014】
本願請求項3に係る発明は、入力する電圧を減圧する機能を有する第1のチップと、該第1のチップの出力信号を信号処理する機能を有する第2のチップが、ダイパッド上に搭載され、各チップ電極間および各チップ電極と外部引出用のリード端子とがワイヤ接続され、封止樹脂により封止されている半導体装置において、前記リード端子は、前記ダイパッドを挟んで対向して配置された複数のリード端子からなる第1のリード列と第2のリード列を構成していることと、前記第1のリード列のリード端子は、少なくとも第1のリード端子と第2のリード端子と第3のリード端子とを備えていることと、前記第1のチップは抵抗素子を主な構成要素とし、該抵抗素子は、第1の分圧抵抗列と、第2の分圧抵抗列と、帰還抵抗とを含んでいることと、前記第2のチップはオペアンプを主な構成要素としていることと、前記ダイパッド上に、前記第1のチップと前記第2のチップとを一組とする少なくとも第1の組と第2の組からなる複数のチップが搭載されていることと、前記第1のリード端子と前記第2のリード端子は、方形の前記第1の組の第1のチップ上に形成された抵抗チップ電極であって該第1の組の第1のチップの前記第1のリード列側の一辺側に配置されている2つの抵抗チップ電極の一方の抵抗チップ電極に印加される電圧を分圧するための第1の組の第1の分圧抵抗列と、前記2つの抵抗チップ電極の別の抵抗チップ電極に印加される電圧を分圧するための第1の組の第2の分圧抵抗列にそれぞれ接続し、該抵抗チップ電極より前記一辺側と対向する別の一辺側に配置されている別の抵抗チップ電極のうち、前記第1の組の第1の分圧抵抗列の第1の分圧電圧を出力する第1の組の第1の直列接続点となる抵抗チップ電極と、前記第1の組の第2の分圧抵抗列の第2の分圧電圧を出力する第1の組の第2の直列接続点となる抵抗チップ電極とを、方形の前記第1の組の第2のチップ上に形成された前記第1の組の第1のチップ側の一辺側に配置されているオペアンプチップ電極のうち、前記オペアンプの反転入力端子あるいは非反転入力端子のいずれかとなるオペアンプチップ電極にそれぞれ接続し、前記第1の組の第2のチップ上に形成された前記第1の組の第1のチップ側の一辺側に配置されているオペアンプチップ電極のうち、前記オペアンプの出力端子となるオペアンプチップ電極と前記反転入力端子となるオペアンプチップ電極との間に前記帰還抵抗を接続し、別の前記オペアンプチップ電極は、前記第2のリード列のリード端子に接続し、前記第1のリード端子と前記第2のリード端子に印加される電圧を前記第1の組の第1の分圧抵抗列あるいは前記第1の組の第2の分圧抵抗列により分圧し、前記第1の組の第2のチップに形成された前記オペアンプの反転入力端子あるいは非反転入力端子のいずれかに出力し、前記第1の組の第2のチップで信号処理した出力信号を前記第2のリード列のリード端子から出力することと、前記第2のリード端子と前記第3のリード端子は、方形の前記第2の組の第1のチップ上に形成された抵抗チップ電極であって該第2の組の第1のチップの前記第1のリード列側の一辺側に配置されている2つの抵抗チップ電極の一方の抵抗チップ電極に印加される電圧を分圧するための第2の組の第1の分圧抵抗列と、前記2つの抵抗チップ電極の別の抵抗チップ電極に印加される電圧を分圧するための第2の組の第2の分圧抵抗列にそれぞれ接続し、該抵抗チップ電極より前記一辺側と対向する別の一辺側に配置されている別の抵抗チップ電極のうち、前記第2の組の第1の分圧抵抗列の第1の分圧電圧を出力する第2の組の第1の直列接続点となる抵抗チップ電極と、前記第2の組の第2の分圧抵抗列の第2の分圧電圧を出力する第2の組の第2の直列接続点となる抵抗チップ電極とを、方形の前記第2の組の第2のチップ上に形成された前記第2の組の第1のチップ側の一辺側に配置されているオペアンプチップ電極のうち、前記オペアンプの反転入力端子あるいは非反転入力端子のいずれかとなるオペアンプチップ電極にそれぞれ接続し、前記第2の組の第2のチップ上に形成された前記第2の組の第1のチップ側の一辺側に配置されているオペアンプチップ電極のうち、前記オペアンプの出力端子となるオペアンプチップ電極と前記反転入力端子となるオペアンプチップ電極との間に前記帰還抵抗を接続し、別の前記オペアンプチップ電極は、前記第2のリード列のリード端子に接続し、前記第2のリード端子と前記第3のリード端子に印加される電圧を前記第2の組の第1の分圧抵抗列あるいは前記第2の組の第2の分圧抵抗列により分圧し、前記第2の組の第2のチップに形成された前記オペアンプの反転入力端子あるいは非反転入力端子のいずれかに出力し、前記第2の組の第2のチップで信号処理した出力信号を前記第2のリード列のリード端子から出力することと、前記第1のリード端子と前記第2のリード端子間、および前記第3のリード端子と前記第2のリード端子間に、それぞれのリード端子間に印加される電圧を前記第1のチップに形成された抵抗素子により分圧し、前記第2のチップに形成された前記オペアンプの反転入力端子あるいは非反転入力端子のいずれかに出力し、前記第2のチップで信号処理した出力信号を前記第2のリード列のリード端子から出力することと、前記第1のリード端子と前記第2のリード端子間、および前記第3のリード端子と前記第2のリード端子間に、それぞれ前記第2のリード列の各リード端子に印加される電圧より高い電圧が印加可能となるように、該第1のリード列のリード端子間の寸法が前記第2のリード列のリード端子間の寸法より広く設定されていることと、少なくとも前記第1のリード列のリード端子間に前記封止樹脂が充填されていることを特徴とする。
【0015】
本願請求項4に係る発明は、請求項1記載の半導体装置において、前記第1の組の第1のチップ上あるいは前記第2の組の第1のチップ上の前記第2のリード列側の表面に、補助配線が配置されていることと、前記第1の組の第2のチップ上あるいは前記第2の組の第2のチップ上に形成された前記別のチップ電極と前記第2のリード列のリード端子は、それぞれの組の前記補助配線を経由して接続していることを特徴とする。
【0016】
本願請求項5に係る発明は、請求項2または3いずれか記載の半導体装置において、前記第1の組の第1のチップ上あるいは前記第2の組の第1のチップ上の前記第2のリード列側の表面に、補助配線が配置されていることと、前記別のオペアンプチップ電極と前記第2リード列のリード端子は、それぞれの組の前記補助配線を経由して接続していることを特徴とする。
【0017】
本願請求項6に係る発明は、請求項1記載の半導体装置において、前記第2のリード列のいずれかのリード端子と前記第1の組あるいは第2の組の第1のチップ上に形成されたチップ電極、あるいは前記第2リード列のいずれかのリード端子と前記第1の組あるいは第2の組の前記第2のチップ上に形成されたチップ電極は、前記ダイパッド上に搭載された中継チップを経由して接続していることを特徴とする。
【0018】
本願請求項7に係る発明は、請求項2または3いずれか記載の半導体装置において、前記第2のリード列のいずれかのリード端子と前記第1の組あるいは第2の組の第1のチップ上に形成された抵抗チップ電極、あるいは前記第2リード列のいずれかのリード端子と前記第1の組あるいは第2の組の前記第2のチップ上に形成されたオペアンプチップ電極は、前記ダイパッド上に搭載された中継チップを経由して接続していることを特徴とする。
【0019】
本願請求項8に係る発明は、請求項1乃至3いずれか記載の半導体装置において、前記第2のリード列に前記ダイパッドの吊りリードが配置されていることを特徴とする。
【0020】
本願請求項9に係る発明は、請求項1乃至3いずれか記載の半導体装置において、前記ダイパッドの裏面側は、前記封止樹脂により樹脂封止されていることを特徴とする。
【0021】
本願請求項10に係る発明は、請求項2または3いずれか記載の半導体装置において、前記第2のリード列のいずれかのリード端子は、前記ダイパッド上に搭載されたESD保護素子を備えた中継チップを経由して前記チップ電極、前記抵抗チップ電極あるいは前記オペアンプチップ電極と接続していることを特徴とする。
【0022】
本願請求項11に係る発明は、請求項1乃至3いずれか記載の半導体装置において、前記第1の組あるいは第2の組の第1のチップと、該第1のチップに入力する電圧より低い電位に接続する前記ダイパッドあるいは第2のリード列のリード端子との間に平板状の誘電体部材を配置して、前記第1の組あるいは第2の組の第1のチップの容量と前記誘電体部材の容量とを直列に接続することを特徴とする。
【0023】
本願請求項12に係る発明は、請求項1乃至3いずれか記載の半導体装置において、前記第1の組あるいは第2の組の第2のチップ上に形成されたチップ電極あるいはオペアンプチップ電極の一部が接続する前記第2のリード列のリード端子を前記入力する電圧より低い電位に接続し、前記ダイパッド上に平板状の誘電体部材を配置し、該誘電体部材上に前記第2のチップを配置して、前記第1の組あるいは第2の組の第1のチップの容量と前記誘電体部材の容量と前記第1の組あるいは第2の組の第2のチップの容量とを、それぞれの組で直列に接続することを特徴とする。
【0024】
本願請求項13に係る発明は、請求項11記載の半導体装置において、前記第1の組あるいは第2の組の第2のチップ上に形成されたチップ電極あるいはオペアンプチップ電極の一部が接続する前記第2のリード列のリード端子を前記入力する電圧より低い電位に接続し、前記ダイパッド上に平板状の誘電体部材を配置し、該誘電体部材上に前記第1の組あるいは第2の組の第2のチップを配置して、前記第1の組あるいは第2の組の第1のチップの容量との間に前記第1のチップの下に配置された前記誘電体部材の容量と前記第2のチップの下に配置された前記誘電体部材の容量とを、それぞれの組で直列に接続することを特徴とする。
【0025】
本願請求項14に係る発明は、請求項11乃至13いずれかの半導体装置において、前記ダイパッド上に配置される前記平板状の誘電体部材の代わりに、前記第1の組あるいは第2の組の前記第1のチップあるいは前記第2のチップの裏面に一体形成された絶縁性樹脂層を前記平板状の誘電体部材とすることを特徴とする。
【0026】
本願請求項15に係る発明は、請求項1乃至14いずれか記載の半導体装置において、前記第1の組の第1のチップと前記第2の組の第1のチップは、一体のチップで形成されていることを特徴とする。
【0027】
本願請求項16に係る発明は、請求項1乃至15いずれか記載の半導体装置において、前記第2のリード端子が、前記第1の組の第1のチップのチップ電極に接続するリード端子と前記第2の組の第1のチップのチップ電極に接続するリード端子とに分離していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0028】
本願発明の半導体装置は、第2のリード端子を共通に使用し、第1のリード端子あるいは第3のリード端子と、それぞれ十分に離れた位置に配置することができ、2組の入力端子対を有する構造とすることで、2入力の電圧検出回路を実装面積の小さい半導体装置で構成することが可能となる。
【0029】
また本発明の半導体装置は、第1のリード端子と第2のリード端子間に高電圧が印加された場合には、第1の組の第1のチップの減圧機能により減圧された信号を第1の組の第2のチップで処理し、第3のリード端子と第2のリード端子間に高電圧が印加された場合には、第2の組の第1のチップの減圧機能により減圧された信号を第2の組の第2のチップで処理するように構成しているため、2組の電圧検出回路が同時に動作可能で、従来の電圧検出回路を2個備えた場合と同様に信号処理が可能となる。本発明の半導体装置を車両駆動用バッテリの電圧検出回路として使用でき、車両搭載用部品の小型化の効果が大きい。
【0030】
さらにダイパッドの裏面側が封止樹脂により樹脂封止されていることでリード端子とダイパッド間の放電を抑制できる。補助配線を経由してチップ電極とリード端子をワイヤ接続することができ、ダイパッド上に実装されるチップの数が増えた構成としても、ワイヤ間の寸法を確保することができるようになり、ワイヤボンディング時にワイヤボンディング用治具が接触してワイヤが変形したり、樹脂封止時に注入される封止樹脂の圧力でワイヤ間に接触が発生するなどの不具合も防止することができる。中継チップを経由してチップ電極とリード端子をワイヤ接続しても、ワイヤ間の寸法を確保することができるようになり、ワイヤボンディング時にワイヤボンディング用治具が接触してワイヤが変形したり、樹脂封止時に注入される封止樹脂の圧力でワイヤ間に接触が発生するなどの不具合も防止することができる。中継チップにESD保護素子を追加する構成とすることで、中継チップに接続される電極を静電破壊から効果的に保護できる。これらは、先に本願出願が開示した効果同様に得られる効果である。
【0031】
また本発明の半導体装置は、高い電圧が入力する第1のチップの容量に、直列に平板上の誘電体部材の容量を接続する構造とすることで、第1のチップに加わる電圧が分圧により低減され、より高耐圧化を図ることが可能となる。
【0032】
特に平板状の誘電体部材として、第1のチップあるいは第2のチップの裏面に一体成型した絶縁性の樹脂層を採用することで、チップと分離された別部材となる誘電体部材を積層して組み立てる必要がなく、簡便に形成できる点で利点がある。
【0033】
第1の組と第2の組の第1のチップは、必ずしも分離した構成とする必要はなく、一体化したワンチップ構造とすると、ダイパッド上へ実装する工程が簡略化できるという利点がある。
【0034】
また第2のリード端子は、共通端子として使用するだけでなく、分離した構造とすることで、分離された2つの電極間に印加される電圧差にわずかに差がある場合にも使用することができ、適用範囲が広がる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】本発明の第1の実施例の電圧検出回路のブロック図である。
【
図2】本発明の第1の実施例の電圧検出回路をリードフレームに実装したときの接続状態の説明図である。
【
図3】本発明の第2の実施例の電圧検出回路をリードフレームに実装したときの接続状態の説明図である。
【
図4】本発明の第3の実施例の電圧検出回路をリードフレームに実装したときの接続状態の説明図である。
【
図5】本発明の第4の実施例の電圧検出回路をリードフレームに実装したときの接続状態の説明図である。
【
図6】本発明の第5の実施例の電圧検出回路をリードフレームに実装したときの接続状態の説明図である。
【
図7】本発明の第6の実施例の電圧検出回路をリードフレームに実装したときの接続状態の説明図である。
【
図8】本発明の第7の実施例の電圧検出回路をリードフレームに実装したときの接続状態の説明図である。
【
図9】本発明の第8の実施例の電圧検出回路をリードフレームに実装したときの接続状態の説明図である。
【
図12】本願出願人が先に提案した半導体装置の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本発明の半導体装置は、2000V程度の高電圧を印加することができる2組の入力端子を備えた半導体装置である。そのため本発明では直接印加される高電圧の信号を減圧(降圧)する第1のチップと、この第1のチップを経由して減圧(降圧)された信号を処理する第2のチップとを1組として、2組のチップを備えたマルチチップ構造としている。高電圧が直接印加する第1のリード列のリード端子は、相互に離間して配置している。特に本発明では、第1のリード列のリード端子について、両端のリード端子に高電圧が印加し、中央部分に配置したリード端子を低電圧が印加する構造とすることで、低電圧が印加するリード端子を共通端子として使用したり、分離する場合も近接して配置することを可能としている。以下、本発明の実施例について詳細に説明する。
【実施例1】
【0037】
本発明の第1の実施例について、2組の入力端子のうち一方の入力端子間に2400Vを超える高電圧を、他方の入力端子間に200Vの高電圧を検出する電圧検出回路を例にとり説明する。
図1は本発明の第1の実施例の電圧検出回路の説明図である。
図1に示すように本発明の電圧検出回路の回路構成自体は、
図11で説明した従来の電圧検出回路の回路構成と大きく異なるものではなく、直接印加される高電圧の信号を減圧(降圧)する第1のチップ10と、第1のチップ10を経由した減圧(降圧)電圧された信号を信号処理する第2のチップ20から構成される。本発明はこの電圧検出回路を2組備えている点で相違している。
【0038】
電圧検出回路は次のように構成される。直列に接続した抵抗2a、抵抗2bは、バッテリの正側の高電圧を分圧するための素子で、端子B1にバッテリの正側のノードを接続し、他端は車体に接地する。抵抗2aと抵抗2bの直列接続点は、オペアンプ1の非反転入力端子に接続する。
【0039】
一方、直列に接続した抵抗2c、抵抗2dは、バッテリの負側の高電圧を分圧するための素子で、端子B2にバッテリの負側のノードを接続し、他端は車体に接続する。抵抗2cと抵抗2dの直列接続点は、オペアンプ1の反転入力端子に接続する。
【0040】
抵抗2eは、オペアンプ1の増幅ゲインを決定するための素子(帰還抵抗)で、抵抗2eの一端がオペアンプ1の反転入力端子に接続し、他端がオペアンプ1の出力端子OUTに接続する。
【0041】
抵抗素子が形成されている第1のチップ10は、通常の半導体装置の製造方法で形成可能な半導体素子(例えば薄膜抵抗)で、例えばP型シリコン基板上に厚い絶縁膜(例えば、CVD法により形成した厚さ6~8μm程度の酸化膜)を形成し、この絶縁膜上に抵抗素子を形成する。一例として抵抗2aを12MΩ、抵抗2bを15kΩ、抵抗2cを12MΩ、抵抗2dを20kΩ、抵抗2eを60kΩとすると、2400V程度の高電圧を減圧(降圧)することが可能となる。
【0042】
同様に第2のチップ20は、例えばP型シリコン基板上に、通常の半導体装置の製造方法によりオペアンプを形成する。
【0043】
電圧検出回路を構成する抵抗素子の抵抗値等は、それそれの検出電圧に応じて設定すればよい。例えば、モータを駆動するために備えられたバッテリと、制御回路を駆動するために比較的低電圧のバッテリのそれぞれの電圧検出を行う場合は、それぞれに最適な回路設計を行えばよい。
【0044】
図2は、
図1で説明した電圧検出回路をリードフレームに実装した状態を模式的に示しており、抵抗素子からなる第1のチップ101とオペアンプからなる第2のチップ201で構成した第1の組の電圧検出回路と、抵抗素子からなる第2のチップ102とオペアンプからなる第2のチップ202で構成した第2の組の電圧検出回路とをリードフレームに実装した状態を示している。
【0045】
リードフレームは、図面左側に3本のリード端子L1~L3(第1のリード列に相当)備え、図面右側に17本のリード端子L4~L20(第2のリード列に相当)に相当する。なお、リードL1、L3、L4、L20は、半導体装置の四隅に配置されるリード端子となり、実装強度の向上のため、面積の大きいリード端子となっている。また、リード端子L2、L12は、半導体装置の中央に配置されるリード端子となり、樹脂封止された半導体装置の反りを防止するため、面積の大きいリート端子となっている。
【0046】
リード端子L1は、バッテリの正極側に接続する。抵抗21cと抵抗21dの直列接続は、一端をリード端子L1に、他端をリード端子L11から接地電位、具体的には車体に接続する。抵抗21cと抵抗21dの接続点は、第2のチップ201に形成されているオペアンプ11の反転入力端子にワイヤ3を用いて接続する。
【0047】
一方リード端子L2は、バッテリの負極側に接続する。抵抗21aと抵抗21bの直列接続は、一端をリード端子L2に接続し、他端はリード端子L11から接地電位、具体的には車体に接地する。抵抗2aと抵抗2bの直列接続点は、オペアンプ11の非反転入力端子と、ワイヤ3により接続されている。
【0048】
第2のチップ201に形成されたオペアンプ11の出力端子は、ワイヤ3により第1のチップ101に形成されている抵抗21eの一端に接続する。この抵抗21eの他端は、抵抗21cと抵抗21dの接続点に接続し、ワイヤ3を用いてオペアンプ11の反転入力端子に接続することで、抵抗21eはオペアンプ11の帰還抵抗となる。
【0049】
第2のチップ201には、オペアンプ11の電源端子が形成されており、電源V+はリード端子L6に、電源V-はリード端子L10にそれぞれ接続し、各リード端子から電源電圧が供給される。
【0050】
オペアンプ11の出力端子は、ワイヤ3により出力端子となるリード端子L5に直接接続することもできるが、オペアンプ11の電源V+とリード端子L6を接続するワイヤ3との接触を避けるため、第1のチップ101に別に形成した補助配線4を経由してワイヤ3によりリード端子L5に接続することもできる。
【0051】
高電圧が印加するリード端子L1、L2は、所定の沿面距離を確保するため、各リード端子に印加される電圧に応じて所定の寸法だけ離して配置している。本実施例では
図2に示すように、第1のリード列に印加される電圧が第2のリード列に印加される電圧より大きいため、第1のリード列のリード端子間の寸法が、第2のリード列のリード端子間の寸法より広くなっている。
【0052】
同様に、リード端子L3は、別のバッテリの正極側に接続する。抵抗22aと抵抗22bの直列接続は、一端をリード端子L3に、他端をリード端子L19から接地電位、具体的には車体に接続する。抵抗22aと抵抗22bの接続点は、第2のチップ202に形成されているオペアンプ12の非反転入力端子と、ワイヤ3により接続されている。
【0053】
一方、リード端子L2は、別のバッテリの負極側に接続する。抵抗22cと抵抗22dの直列接続は、一端をリード端子L2に接続し、他端をリード端子19から接地電位、具体的には車体に接続する。抵抗22cと抵抗22dの直列接続点は、オペアンプ12の非判定入力端子と、ワイヤにより接続されている。
【0054】
第2のチップ202に形成されたオペアンプ12の出力端子は、ワイヤ3により第1のチップ102に形成されている抵抗22eの一端に接続する。この抵抗22eの他端は、抵抗22cと抵抗22dの接続点に接続し、ワイヤ3を用いてオペアンプ12の反転入力端子に接続することで、抵抗22eはオペアンプ12の帰還抵抗となる。
【0055】
第2のチップ202には、オペアンプ12の電源端子が形成されており、電源V+はリード端子L14に、電源V-はリード端子L18にそれぞれ接続し、各リード端子から電源電圧が供給される。
【0056】
オペアンプ12の出力端子は、ワイヤ3により出力端子となるリード端子L13に直接接続することもできるが、オペアンプ12の電源V+とリード端子L14を接続するワイヤ3との接触を避けるため、第1のチップ102に別に形成した補助配線4を経由してワイヤ3によりリード端子L13に接続することもできる。
【0057】
高電圧が印加するリード端子L3、L2は、所定の沿面距離を確保するため、各リード端子に印加される電圧に応じて所定の寸法だけ離して配置している。本実施例では
図2に示すように、第1のリード列に印加される電圧が第2のリード列に印加される電圧より大きいため、第1のリード列のリード端子間の寸法が、第2のリード列のリード端子間の寸法より広くなっている。
【0058】
このように本実施例によると、リード端子L2を共通端子として使用することで、2組の電圧検出回路を1つの半導体装置で構成することができる。このように構成した半導体装置は、本願出願人が先に提案した従来の半導体装置に比べて面積が大きくなるものの、従来の半導体装置を2個組み合わせて構成する場合と比較して、面積を小さくすることが可能となる。
【0059】
また本実施例の半導体装置においても、樹脂封止される半導体装置から外部に露出するリード端子間には、リード端子間の放電を防止するためリード端子の厚さに相当する樹脂層Rを形成している。より高電圧が印加される場合には、チップを搭載しているダイパッド5を半導体装置本体から露出しない構造とするのが好ましい。
【0060】
なお
図2では、リード端子L4、L7~L9、L12、L15~L17、L20が未接続となっているが、補助
配線4を用いない接続を実現するため等に使用しても良いし、これら未使用のリード端子の一部を予め形成しない構造としても問題ない。
【実施例2】
【0061】
次に第2の実施例について説明する。上述の第1の実施例では、第1のチップ101、102に形成されるチップ電極と第2のリード列のリード端子L5、L11、L13、L19を、それぞれ直接ワイヤ3で接続する構造とした例を説明したが、ワイヤ3の長さが長くなると、樹脂封止の際にワイヤ3に圧力が加わり、他のワイヤ3に接触する等の不具合が発生する場合がある。そこで本実施例では、
図3に示すように中継チップ300を経由して第1のチップ101、102上に形成されたチップ電極と第2のリード列のリード端子L5、L11、L13、L19とを接続している点が異なる。
【0062】
中継チップ300は、
図3に示すように第1のチップ101、102上に形成した補助配線4と同様の補助配線4を形成した構造とすることができる。具体的には、中継チップ300の表面に補助配線4とその両端に接続のためのチップ電極を形成した構造とすることができる。補助配線4を備えると、ワイヤ3の長さは短くなり、第1のチップ101、102と接続するワイヤの接続点や、リード端子L5、L11、L13、L19と接続するワイヤの接続点を自由に設計できるという利点がある。また中継チップ300の搭載位置も適宜選択することで、ワイヤボンディング時にワイヤボンディング用冶具が接触してワイヤが変形してしまったり、樹脂封止時に注入される封止樹脂の圧力でワイヤ間が接触するという不具合の発生を防止することができる。なお中継チップ300の形状は、
図3に記載するような形状に限定されるものではなく、ワイヤ3の中継のための電極のみを備える構造としても良い。また
図3に示すように複数の中継チップ300を用いる場合に、その形状をそれぞれ変えて形成することも可能である。さらにまた一部の接続は、第1のチップ101、102から第2のリード列のリード端子に直接ワイヤ接続する構造とすることも可能である。
【実施例3】
【0063】
次に第3の実施例について説明する。中継チップ300は、第1のチップ101、102と第2のリード列のリード端子との間の接続に使用する場合だけとは限らない。例えば
図4に示すように、上記第2の実施例同様、中継チップ300を経由して第1のチップ101、102と第2のリード列のリード端子L5、L11、L13、L19を接続するのに加え、第2のチップ201、202と第2のリード列のリード端子L10、L18との間を接続することも可能である。
図4では、上記第1、第2のの実施例で説明した例と第2のチップ201,202の電源V-の配置が異なる場合を示しており、第2のチップ201、201の電源(V-)とリード端子L10、L18とを、中継チップ300を経由して接続している。
【0064】
中継チップ300の形状は、種々変更可能であり、
図4に示すように1つの中継チップ300に複数の補助配線4を形成する代わりに別の中継チップ300を用いることも可能である。中継チップ300の搭載位置、中継チップ300を経由した接続と経由しない接続の混載等も適宜設定することができ、上記第2の実施例と同様の効果を得ることができる。
【実施例4】
【0065】
次に第4の実施例について説明する。本発明の半導体装置は、一般的な半導体装置同様、静電気等のサージ電圧が印加されると内部の回路が破壊されてしまう。そこで、ESD保護素子を備える構造とするのが好ましい。ところで、第2のチップ201、202にはオペアンプ回路の形成と同時にESD保護素子を第2のチップ201、202上に形成するのは容易である。しかし、第1のチップ101、102は、高電圧が印加するため、配線周辺の絶縁性を十分に保つ必要があり通常の半導体装置より厚い絶縁膜が形成されている。具体的には、一般的な半導体装置では表面に形成する酸化膜が0.7μm程度であるのに対し、1000Vを越える高電圧を印加するために本発明の半導体装置では、5μm以上の厚い酸化膜を形成する必要がある。そのため、酸化膜の下の半導体基板にESD保護素子を形成した場合には、ESD保護素子との接続は、厚い酸化膜を除去して形成する必要ある。
【0066】
そこで本実施例では、ESD保護素子6を中継チップ300上に形成している。中継チップ300は、一般的な半導体装置の製造工程により形成可能であるので、その表面に形成される酸化膜は厚くする必要はなく、ESD保護素子6を形成するのに好適である。
【0067】
図5に示す構造の電圧検出回路では、第2のリード列のリード端子L11、L19にサージ電圧が印加した場合、第1のチップ101、102の抵抗素子の破壊を招いてしまうが、
図5に示すようにESD保護素子6を備える構造とすることで、抵抗素子の破壊を防止することが可能となる。
【0068】
なおESD保護素子6は、上記第1および第2の実施例においても追加することが可能である。
【実施例5】
【0069】
次に第5の実施例について説明する。上述の第1乃至第4の実施例では、第1のチップ101、102、第2のチップ201、202は、それぞれダイパッド5上に直接接着するように配置している。本実施例では高耐圧化を図るため、第1のチップ101、102のいずれか一方あるいは両方の下に、平板状の誘電体部材7を積層していることを大きな特徴としている。この誘電体部材7は、例えば厚さ200μm程度のセラミックスからなる平板基板を用いることができる。
図6に、
図2に示す半導体装置のリード端子L1、L2のいずれかとリード端子L6、L10のいずれかとの間、あるいはリード端子L2、L3のいずれかとリード端子L14、L18のいずれかとの間を通る断面図を模式的に示す。ここでリード端子L1、L2、L3は高電圧が印加されるリード端子であり、リード端子L6、10、L14、L18はリード端子L1、L2、L3に入力する電圧より低い電位に接続しているリード端子に相当する。
【0070】
図6に示すように、リード端子L1等とリード端子L6等との間には、第1のチップ101等の容量Cc1、誘電体部材7の容量Cs、第2のチップ102等の容量Cc2が直列に接続される構成となっている。ここで第1のチップ101、102の容量とは、半導体基板上に絶縁膜(酸化膜等)を介して形成された抵抗素子の電極パッド、抵抗パターン等により形成される容量となる。第2のチップ201、202の容量も同様で、半導体基板上に形成されたオペアンプの電極パッド、不純物領域等により形成される容量となる。誘電体部材7の容量Csは、平板基板の厚さ、大きさ、素材特有の誘電率により決まる容量値となる。第1のチップ101、102の大きさが3.0mm×1.5mmの場合、平板状の誘電体部材7の大きさは3.7mm×2.0mm程度とする必要があり、誘電率9.8、厚さ200μmとすると、第1のチップ101等の容量値Cc1、第2のチップ201等の容量値Cc2に比べて、誘電体部材7の容量値Csが大きく、容量分圧効果が得られる程度の容量値に設定することができる。
【0071】
その結果、第1のチップ101、102に高電圧が印加された場合、第1のチップ101、102の容量に加わる電圧が分圧により低減され、半導体装置の高耐圧化を実現することが可能となる。
【0072】
なお本実施例の高耐圧化は、平板状の誘電体部材7を付加したことのみで高耐圧化を実現しているものではなく、本願出願人が提案した独自の実装構造との組み合わせにより実現している。
【実施例6】
【0073】
次に第6の実施例について説明する。
図7に、
図2に示す半導体装置のリード端子L1、L2のいずれかとリード端子L6、L10のいずれかとの間、あるいはリード端子L2、L3のいずれかとリード端子L14、L18のいずれかとの間を通る断面図を模式的に示す。上記第5の実施例と比較し、誘電体部材7の位置が相違している。
【0074】
図7に示すように、リード端子L1等とリード端子L6等との間には、第1のチップ101等の容量Cc1、誘電体部材7の容量Cs、第2のチップ201等の容量Cc2が直列に接続される構成となっている。この場合、第1のチップ101、102の厚さを400μmとし、第2のチップ201、202の厚さを200μmとしている。このように構成すると、第1のチップ101等の容量値Cc1、第2のチップ201等の容量値Cc2に比べて、誘電体部材7の容量値Csが大きく、容量分圧効果が得られる程度の容量値に設定することができる。
【0075】
その結果、第1のチップ101、102に高電圧が印加された場合、第1のチップ101、102の容量に加わる電圧が分圧により低減され、半導体装置の高耐圧化を実現することが可能となる。
【0076】
なお本実施例においても、平板状の誘電体部材7を付加したことのみで高耐圧化を実現しているものではなく、本願出願人が提案した独自の実装構造との組み合わせにより実現している。
【実施例7】
【0077】
次に第7の実施例について説明する。上記第5および第6の実施例では、ダイパッド5をフローティング状態とし、第2のチップ201、202を介して接地電位とした場合について説明した。しかし、第1および第2の実施例のリード端子の配列は、ダイパッド5の吊りリード端子L4、L12、L20が第2のリード列側に延出する構造となっており、このダイパッド5を接地電位に接続しても十分な沿面距離を保つことが可能となる。
【0078】
図8に、
図2に示す半導体装置のリード端子L1、L2のいずれかとリード端子L4、L12のいずれかとの間、あるいはリード端子L2、L3のいずれかとリード端子L12、L20のいずれかとの間を通る断面図を模式的に示す。
【0079】
図8に示すようにリード端子L1等とリード端子L4等との間には、第1のチップ101等の容量Cc1と誘電体部材7の容量Csが直列に接続する構成となる。このように構成することで、上記同様、第1のチップ101等に高電圧が印加された場合、第1のチップ101等の容量に加わる電圧が分圧により低減され、半導体装置の高耐圧化を実現することが可能となる。
【0080】
本実施例においても高耐圧化は、平板状の誘電体部材7を付加したことのみで実現しているものではなく、本願出願人が提案した独自の実装構造との組み合わせにより実現している。
【実施例8】
【0081】
次に第8の実施例について説明する。上記実施例の説明では第1のチップ101等あるいは第2のチップ201等の下に、セラミックスからなる平板状の誘電体部材7を配置する場合について説明した。誘電体部材7は、第1のチップ101等あるいは第2のチップ201等とは分離された部材であるため、本発明の半導体装置を形成する際には、ダイパッド5上に誘電体部材7を接着固定した後、第1のチップ101等あるいは第2のチップ201等を誘電体部材7上に接着固定する必要がある。
【0082】
そこで、セラミックスからなる誘電体部材の代わりに、第1のチップ101等あるいは第2のチップ201等の裏面に、絶縁性の樹脂層を一体形成しておき、この樹脂層を平板状の誘電体部材として使用することも可能である。
図9は、第8の実施例の半導体装置の断面図であり、上述の第5の実施例において、第1のチップ101、102に樹脂層8が一体成型している場合を示している。さらに上記第6又は第7の実施例において、第1のチップ101等あるいは第2のチップ201等に樹脂層8を一体成型しても問題ない。
【0083】
樹脂層が一体形成された半導体装置は、抵抗素子あるいはオペアンプを半導体基板上に形成した後、半導体基板の裏面側に(必要に応じて裏面を薄膜化した後)、均一な厚さに樹脂を塗布あるいは印刷し、半導体基板および樹脂層を切断して個片化することで形成可能である。
【0084】
ここで使用する樹脂層は、例えば一般的に半導体装置の封止樹脂として使用されているエポキシ系樹脂を使用することができる。樹脂を用いる場合、セラミックスの誘電率に比べて樹脂の誘電率は低く、薄く形成することができる。その結果、半導体装置の低背化が実現でき、効果が大きい。
【0085】
なお誘電体部材7や樹脂層8は、第1のチップ101等あるいは第2のチップ201等のいずれか一方にのみに積層形成する場合について説明したが、必要に応じ、第1のチップ101等および第2のチップ102等の両方、第1の組のみあるいは第2の組のみに積層形成する等、適宜変更しても何ら問題がない。
【0086】
誘電体部材7は、所望の誘電率を有する材料を適宜選択すればよい。具体的には、セラミックスの他、サファイア、紙、ポリイミド等適宜選択すればよい。
【0087】
一般的に、第1のチップ101等、第2のチップ201等、誘電体部材7あるいは樹脂層8をダイパッド5上に実装する際に使用する絶縁性の接着部材について説明を省略したが、接着部材により形成される容量の容量値も考慮に入れ、誘電体部材7等の容量値を設定することは言うまでもない。
【0088】
以上本発明の実施例について説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものでないことは言うまでもない。例えば、第1の組と第2の組の第1のチップを、ワンチップとして一体化したり、第2のリード端子を2つのリード端子に分離し、この分離されたリード端子間に大きな電位差が加わらない構成とすれば、上記実施例と同等の効果が得られる。
【符号の説明】
【0089】
1、11、12:オペアンプ、2、21、22:抵抗、3:ワイヤ、4:補助配線、5:ダイパッド、6:ESD保護素子、7:誘電体部材、8:樹脂層、100:モータ駆動装置、200:電圧検出回路、300:中継チップ