IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ADEKAの特許一覧

<>
  • 特許-黒色感光性樹脂組成物 図1
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-15
(45)【発行日】2022-03-24
(54)【発明の名称】黒色感光性樹脂組成物
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/031 20060101AFI20220316BHJP
   G03F 7/004 20060101ALI20220316BHJP
   G03F 7/027 20060101ALI20220316BHJP
   G03F 7/075 20060101ALI20220316BHJP
   G02B 5/20 20060101ALI20220316BHJP
   G02F 1/1335 20060101ALI20220316BHJP
【FI】
G03F7/031
G03F7/004 505
G03F7/027 515
G03F7/004 501
G03F7/075 501
G03F7/027 502
G02B5/20 101
G02F1/1335 500
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018509005
(86)(22)【出願日】2017-03-16
(86)【国際出願番号】 JP2017010575
(87)【国際公開番号】W WO2017169819
(87)【国際公開日】2017-10-05
【審査請求日】2019-12-18
(31)【優先権主張番号】P 2016066888
(32)【優先日】2016-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000387
【氏名又は名称】株式会社ADEKA
(74)【代理人】
【識別番号】110002170
【氏名又は名称】特許業務法人翔和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松平 桂典
(72)【発明者】
【氏名】三原 大樹
(72)【発明者】
【氏名】六谷 翔
(72)【発明者】
【氏名】篠塚 豊史
【審査官】高橋 純平
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2012/147626(WO,A1)
【文献】特開2015-200774(JP,A)
【文献】特開2012-093395(JP,A)
【文献】特開2015-099313(JP,A)
【文献】特開2013-114249(JP,A)
【文献】特開2015-041104(JP,A)
【文献】特開2016-021012(JP,A)
【文献】特開2013-190459(JP,A)
【文献】特開2010-243518(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/004-7/18
G02B 5/20
G02F 1/1335
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(A-1)成分を1~99質量部、下記(A-2)成分を1~99質量部(但し(A-1)成分と(A-2)成分の合計は100質量部)含有する光重合開始剤組成物(A)、アルカリ現像性カルド樹脂(B)、黒色顔料(C)及び溶剤(D)を含有する黒色感光性樹脂組成物。
(A-1)成分:ニトロカルバゾール骨格を有することを特徴とする下記一般式(1)で表されるオキシムエステル化合物の一種以上を含有する光重合開始剤。
【化1】
一般式(1)中、R1、炭素原子数6~30のアリール基を表し、アリール基の水素原子は、更にOR21、COR21、SR21、NR2223、-NCOR22-OCOR23、CN、ハロゲン原子、-CR21=CR2223又は-CO-CR21=CR2223で置換されている場合があり、R21、R22及びR23は、それぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1~20のアルキル基、炭素原子数6~30のアリール基、炭素原子数7~30のアラルキル基又は炭素原子数2~20の複素環基を表し、
2は、炭素原子数1~20のアルキル基、炭素原子数1~20のアルコキシ基、炭素原子数6~30のアリール基、炭素原子数6~30のアリールオキシ基、炭素原子数7~30のアラルキル基、炭素原子数2~20の複素環基又はCNを表し、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基及びアラルキル基の水素原子は、更にハロゲン原子で置換されている場合があり、
3は、炭素原子数1~20のアルキル基、炭素原子数6~30のアリール基又は炭素原子数7~30のアラルキル基を表し、
上記R1、R2、R3、R21、R22及びR23で表される置換基のアルキレン部分は、不飽和結合、エーテル結合、チオエーテル結合、エステル結合、チオエステル結合、アミド結合又はウレタン結合により1~5回中断されている場合があり、上記置換基のアルキル部分は分岐側鎖がある場合があり、環状アルキルである場合があり、上記置換基のアルキル末端は不飽和結合である場合があり、R3は、隣接するベンゼン環と一緒になって環を形成している場合があり、
4及びR5は、それぞれ独立に、炭素原子数1~20のアルキル基、炭素原子数1~20のアルコキシ基、炭素原子数6~30のアリール基、炭素原子数6~30のアリールオキシ基、炭素原子数7~30のアラルキル基、CN又はハロゲン原子を表し、a及びbは、それぞれ独立に、0~3である。
(A-2)成分:ケトオキシムエステル構造を有することを特徴とする下記一般式(2)で表されるケトオキシムエステル化合物の一種以上を含有する光重合開始剤。
【化2】
一般式(2)中、X1は、硫黄原子、酸素原子、NR30、CO又は直接結合を表し、R30は、水素原子、炭素原子数1~20のアルキル基、炭素原子数6~30のアリール基又は炭素原子数7~30のアラルキル基を表し、
6は、炭素原子数1~20のアルキル基、炭素原子数1~20のアルコキシ基、炭素原子数6~30のアリール基、炭素原子数6~30のアリールオキシ基、炭素原子数7~30のアラルキル基、炭素原子数2~20の複素環基又はCNを表し、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アラルキル基及び複素環基の水素原子は、更にOR31、COR31、SR31、NR3233、-NCOR32-OCOR33、CN、ハロゲン原子、-CR31=CR3233又は-CO-CR31=CR3233で置換されている場合があり、R31、R32及びR33は、それぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1~20のアルキル基、炭素原子数6~30のアリール基、炭素原子数7~30のアラルキル基又は炭素原子数2~20の複素環基を表し、
7は、炭素原子数1~20のアルキル基、炭素原子数1~20のアルコキシ基、炭素原子数6~30のアリール基、炭素原子数6~30のアリールオキシ基、炭素原子数7~30のアラルキル基、炭素原子数2~20の複素環基又はCNを表し、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基及びアラルキル基の水素原子は、更にハロゲン原子で置換されている場合があり、
上記R6、R7、R30、R31、R32及びR33で表される置換基のアルキレン部分は、不飽和結合、エーテル結合、チオエーテル結合、エステル結合、チオエステル結合、アミド結合又はウレタン結合により1~5回中断されている場合があり、上記置換基のアルキル部分は分岐側鎖がある場合があり、環状アルキルである場合があり、上記置換基のアルキル末端は不飽和結合である場合があり、
9及びR10は、それぞれ独立に、炭素原子数1~20のアルキル基、炭素原子数1~20のアルコキシ基、炭素原子数6~30のアリール基、炭素原子数6~30のアリールオキシ基、炭素原子数7~30のアラルキル基、CN又はハロゲン原子を表し、また、R9とR10は一緒になって環を形成している場合があり、R9及びR10で表される置換基のアルキレン部分は、不飽和結合、エーテル結合、チオエーテル結合、エステル結合、チオエステル結合、アミド結合又はウレタン結合により1~5回中断されている場合があり、置換基のアルキル部分は分岐側鎖がある場合があり、環状アルキルである場合があり、置換基のアルキル末端は不飽和結合である場合がある。t及びuは、それぞれ独立に、0~4である。
8は、水素原子、ベンゾイル基、OH、COOH又は下記一般式(3)で表される基を表し、
【化3】
一般式(3)中、Z1は、結合手であって、-O-、-S-、-OCO-又は-COO-を表し、(R11v-Z2-部分は、v個のR11で置換された炭素原子数1~20のアルキル基、炭素原子数6~30のアリール基又は炭素原子数7~30のアリールアルキル基を表し、Z2で表される基のアルキレン部分は、-O-、-S-、-COO-又は-OCO-により1~5回中断されている場合があり、Z2で表される基のアルキレン部分は、分岐側鎖がある場合があり、シクロアルキレンである場合があり、R11はOH又はCOOHを表し、vは1~3の整数を表す。
【請求項2】
更にエチレン性不飽和化合物(但し、アルカリ現像性カルド樹脂(B)を除く)(E)を含有する請求項1記載の黒色感光性樹脂組成物。
【請求項3】
更にシランカップリング剤(F)を含有する請求項1又は2記載の黒色感光性樹脂組成物。
【請求項4】
請求項1~3のいずれかに記載の黒色感光性樹脂組成物を用いて形成したブラックマトリックス。
【請求項5】
請求項4に記載のブラックマトリックスを具備するカラーフィルタ。
【請求項6】
請求項5に記載のカラーフィルタを用いて形成された液晶表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、黒色感光性樹脂組成物に関し、特にカラーフィルタのブラックマトリックスの形成に有用な黒色感光性樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
カラーフィルタは、近年様々な分野に応用が進んでいる液晶表示装置のカラー化に必要不可欠な部品である。このカラーフィルタは、ガラス等の透明基板上に例えば赤色、緑色、青色等の着色画素を設けたものである。各着色画素の間には、コントラストを向上させるため、また、液晶表示装置において対向基板上に設けられるTFT素子の光による誤動作を防ぐために遮光部として、ブラックマトリックスが設けられるのが一般的である。
【0003】
着色画素及びブラックマトリックスを形成する方法としては、印刷法、電着法及びインクジェット法等様々な手法が考案されているが、品質面で優れたフォトリソグラフィ法が幅広く用いられている。一般に、フォトリソグラフィ法によるカラーフィルタの作製は、以下のような手順で行う。基板に黒色感光性樹脂組成物を塗布し、所定のパターンを有するマスクを介して露光、現像処理を施すことにより、ブラックマトリックスを形成する。露光方式としては、基板とフォトマスクの間隔(露光ギャップ)をμmオーダーに保持して露光光を照射する近接露光(プロキシミティ露光)方式が一般的である。続いて、例えば赤色の顔料を分散した感光性樹脂組成物を塗布し、表示領域内のブラックマトリックス開口部に対応したフォトマスクを介して露光、現像処理を施すことにより、赤色画素を形成する。同様の操作を緑色、青色の顔料を分散した感光性樹脂組成物を用いて行うことにより、赤色、緑色、青色の着色画素を有するカラーフィルタを製造することができる。
【0004】
近年、携帯電話端末等のモバイル機器に用いられる液晶表示装置は、表示内容の高度化に伴い高精細化が強く求められるようになってきている。液晶表示装置の高精細化にはTFT素子とカラーフィルタ双方の高精細化が必要である。
【0005】
高精細化のためにカラーフィルタの画素サイズを細かくすると、透過率が低下し液晶表示装置の輝度が低下してしまう。高精細と高透過率を両立するためには、カラーフィルタのブラックマトリックスを細線化することが必須となる。
【0006】
特に、モバイル機器向け等のカラーフィルタのブラックマトリックスの線幅は細線化が求められている。
【0007】
ブラックマトリックスを細線化するためには、露光量を低く抑え、現像時間を長くする必要がある。しかしながら、露光量を低く抑えた場合、黒色感光性樹脂組成物の硬化が不十分であることから、露光部の現像耐性が不足し、基板内での線幅バラつきが大きくなり、パターン欠損が発生しやすくなる。また、現像時間を長くした場合もパターン形状不良或いはパターン欠損が発生しやすくなる。
【0008】
これらを解決するために、充分な遮光性を有しながら、高解像度かつ高感度であり、高精細な細線のブラックマトリックスが形成できる黒色感光性樹脂組成物が求められている。
【0009】
一方、感光性樹脂組成物に使用される光重合開始剤として、オキシムエステル化合物を用いることが提案されている(特許文献1~5)。
【0010】
しかしながら、これら従来の光重合開始剤のそれぞれを単独で用いた黒色感光性樹脂組成物は、遮光性、感度、解像度が充分ではなく、高精細なブラックマトリックスを得るには充分満足できるものではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】特開2013-114249号公報
【文献】特開2010―15025号公報
【文献】米国特許出願公開第2011/0129778号明細書
【文献】米国特許出願公開第2009/0292039号明細書
【文献】米国特許出願公開第2016/0332960号明細書
【発明の概要】
【0012】
従って、本発明の目的は、充分な遮光性を有し、高感度かつ高解像度であり、ブラックマトリクスの形成において有用な黒色感光性樹脂組成物を提供することにある。
【0013】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、アルカリ現像性カルド樹脂に、ニトロカルバゾール骨格を有するオキシムエステル化合物と、ケトオキシムエステル化合物とを併用した黒色感光性樹脂組成物が、充分な遮光性を有し、高感度であり、高精細なブラックマトリックスを得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0014】
すなわち、本発明は、下記(A-1)成分を1~99質量部、下記(A-2)成分を1~99質量部(但し(A-1)成分と(A-2)成分の合計は100質量部)含有する光重合開始剤組成物(A)、アルカリ現像性カルド樹脂(B)、黒色顔料(C)及び溶剤(D)を含有する黒色感光性樹脂組成物を提供することにある。
【0015】
(A-1)成分:ニトロカルバゾール骨格を有することを特徴とする下記一般式(1)で表されるオキシムエステル化合物の一種以上を含有する光重合開始剤。
【0016】
【化1】
一般式(1)中、R1は、炭素原子数1~20のアルキル基、炭素原子数1~20のアルコキシ基、炭素原子数6~30のアリール基、炭素原子数6~30のアリールオキシ基、炭素原子数7~30のアラルキル基、炭素原子数2~20の複素環基又はCNを表し、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アラルキル基及び複素環基の水素原子は、更にOR21、COR21、SR21、NR2223、-NCOR22-OCOR23、CN、ハロゲン原子、-CR21=CR2223又は-CO-CR21=CR2223で置換されている場合があり、R21、R22及びR23は、それぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1~20のアルキル基、炭素原子数6~30のアリール基、炭素原子数7~30のアラルキル基又は炭素原子数2~20の複素環基を表し、
2は、炭素原子数1~20のアルキル基、炭素原子数1~20のアルコキシ基、炭素原子数6~30のアリール基、炭素原子数6~30のアリールオキシ基、炭素原子数7~30のアラルキル基、炭素原子数2~20の複素環基又はCNを表し、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基及びアラルキル基の水素原子は、更にハロゲン原子で置換されている場合があり、
3は、炭素原子数1~20のアルキル基、炭素原子数6~30のアリール基又は炭素原子数7~30のアラルキル基を表し、
上記R1、R2、R3、R21、R22及びR23で表される置換基のアルキレン部分は、不飽和結合、エーテル結合、チオエーテル結合、エステル結合、チオエステル結合、アミド結合又はウレタン結合により1~5回中断されている場合があり、上記置換基のアルキル部分は分岐側鎖がある場合があり、環状アルキルである場合があり、上記置換基のアルキル末端は不飽和結合である場合があり、R3は、隣接するベンゼン環と一緒になって環を形成している場合があり、
4及びR5は、それぞれ独立に、炭素原子数1~20のアルキル基、炭素原子数1~20のアルコキシ基、炭素原子数6~30のアリール基、炭素原子数6~30のアリールオキシ基、炭素原子数7~30のアラルキル基、CN又はハロゲン原子を表し、a及びbは、それぞれ独立に、0~3である。
【0017】
(A-2)成分:ケトオキシムエステル構造を有することを特徴とする下記一般式(2)で表されるケトオキシムエステル化合物の一種以上を含有する光重合開始剤。
【化2】
一般式(2)中、X1は、硫黄原子、酸素原子、NR30、CO又は直接結合を表し、R30は、水素原子、炭素原子数1~20のアルキル基、炭素原子数6~30のアリール基又は炭素原子数7~30のアラルキル基を表し、
6は、炭素原子数1~20のアルキル基、炭素原子数1~20のアルコキシ基、炭素原子数6~30のアリール基、炭素原子数6~30のアリールオキシ基、炭素原子数7~30のアラルキル基、炭素原子数2~20の複素環基又はCNを表し、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アラルキル基及び複素環基の水素原子は、更にOR31、COR31、SR31、NR3233、-NCOR32-OCOR33、CN、ハロゲン原子、-CR31=CR3233又は-CO-CR31=CR3233で置換されている場合があり、R31、R32及びR33は、それぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1~20のアルキル基、炭素原子数6~30のアリール基、炭素原子数7~30のアラルキル基又は炭素原子数2~20の複素環基を表し、
7は、炭素原子数1~20のアルキル基、炭素原子数1~20のアルコキシ基、炭素原子数6~30のアリール基、炭素原子数6~30のアリールオキシ基、炭素原子数7~30のアラルキル基、炭素原子数2~20の複素環基又はCNを表し、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基及びアラルキル基の水素原子は、更にハロゲン原子で置換されている場合があり、
上記R6、R7、R30、R31、R32及びR33で表される置換基のアルキレン部分は、不飽和結合、エーテル結合、チオエーテル結合、エステル結合、チオエステル結合、アミド結合又はウレタン結合により1~5回中断されている場合があり、上記置換基のアルキル部分は分岐側鎖がある場合があり、環状アルキルである場合があり、上記置換基のアルキル末端は不飽和結合である場合があり、
9及びR10は、それぞれ独立に、炭素原子数1~20のアルキル基、炭素原子数1~20のアルコキシ基、炭素原子数6~30のアリール基、炭素原子数6~30のアリールオキシ基、炭素原子数7~30のアラルキル基、CN又はハロゲン原子を表し、また、R9とR10は一緒になって環を形成している場合があり、R9及びR10で表される置換基のアルキレン部分は、不飽和結合、エーテル結合、チオエーテル結合、エステル結合、チオエステル結合、アミド結合又はウレタン結合により1~5回中断されている場合があり、置換基のアルキル部分は分岐側鎖がある場合があり、環状アルキルである場合があり、置換基のアルキル末端は不飽和結合である場合がある。t及びuは、それぞれ独立に、0~4である。
8は水素原子、ベンゾイル基、OH、COOH又は下記一般式(3)で表される基を表し、
【化3】
一般式(3)中、Z1は、結合手であって、-O-、-S-、-OCO-又は-COO-を表し、(R11v-Z2-部分は、v個のR11で置換された炭素原子数1~20のアルキル基、炭素原子数6~30のアリール基又は炭素原子数7~30のアリールアルキル基を表し、Z2で表される基のアルキレン部分は、-O-、-S-、-COO-又は-OCO-により1~5回中断されている場合があり、Z2で表される基のアルキレン部分は、分岐側鎖がある場合があり、シクロアルキレンである場合があり、R11はOH又はCOOHを表し、vは1~3の整数を表す。
【0018】
また、本発明は、更にエチレン性不飽和化合物(但し、アルカリ現像性カルド樹脂(B)を除く)(E)を含有する上記黒色感光性樹脂組成物を提供するものである。
また、本発明は、更にシランカップリング剤(F)を含有する上記黒色感光性樹脂組成物を提供するものである。
【0019】
また、本発明は、上記黒色感光性樹脂組成物を用いて形成したブラックマトリックスを提供するものである。
また、本発明は、上記ブラックマトリックスを具備するカラーフィルタを提供するものである。
また、本発明は、上記カラーフィルタを用いて形成された液晶表示装置を提供するものである。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1(a)及び(b)は、パターンと基板との間の接合角度を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
まず、本発明における(A)成分である光重合開始剤組成物について説明する。
【0022】
光重合開始剤組成物(A)で用いられる(A-1)成分のオキシムエステル化合物は、上記一般式(1)で表され、ニトロカルバゾール骨格を有することを特徴とする。
【0023】
(A-1)成分として用いられるオキシムエステル化合物は、オキシムの二重結合による幾何異性体が存在するが、これらを区別するものではなく、上記一般式(1)及び後述の例示化合物は、両方の混合物又はどちらか一方を表すものであり、異性体を示した構造に限定するものではない。
【0024】
また、本発明の(A-1)成分は、上記一般式(1)で表されるオキシムエステル化合物の一種以上を含有するものであり、該オキシムエステル化合物の一種以上のみからなることが好ましい。
【0025】
上記一般式(1)中のR1、R2、R3、R4、R5、R21、R22及びR23で表される炭素原子数1~20のアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s-ブチル、t-ブチル、アミル、イソアミル、t-アミル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、イソオクチル、2-エチルヘキシル、t-オクチル、ノニル、イソノニル、デシル、イソデシル、ウンデシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、イコシル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘキシルメチル等が挙げられる。
【0026】
上記一般式(1)中のR1、R2、R3、R4及びR5で表される炭素原子数1~20のアルコキシ基としては、上記アルキル基に対応したものが挙げられる。
【0027】
上記一般式(1)中のR1、R2、R3、R4、R5、R21、R22及びR23で表される炭素原子数6~30のアリール基としては、フェニル、トリル、キシリル、エチルフェニル、クロロフェニル、ビフェニリル、ナフチル、アンスリル、フェナンスレニル、並びに上記アルキル基で1つ以上置換されたフェニル、ビフェニリル、ナフチル及びアンスリル等が挙げられる。
【0028】
上記一般式(1)中のR1、R2、R3、R4及びR5で表される炭素原子数6~30のアリールオキシ基としては、上記アリール基に対応したものが挙げられる。
【0029】
上記一般式(1)中のR1、R2、R3、R4、R5、R21、R22及びR23で表される炭素原子数7~30のアラルキル基としては、例えば、ベンジル、クロロベンジル、α-メチルベンジル、α、α-ジメチルベンジル、フェニルエチル等が挙げられる。
【0030】
上記一般式(1)中のR1、R2、R3、R4、R5、R21、R22及びR23で表される炭素原子数2~20の複素環基としては、例えば、ピリジル、ピリミジル、フリル、チエニル、テトラヒドロフリル、ジオキソラニル、ベンゾオキサゾール-2-イル、テトラヒドロピラニル、ピロリジル、イミダゾリジル、ピラゾリジル、チアゾリジル、イソチアゾリジル、オキサゾリジル、イソオキサゾリジル、ピペリジル、ピペラジル、モルホリニル等の5~7員複素環等が挙げられる。
【0031】
(A-1)成分のオキシムエステル化合物の中で、上記一般式(1)において、感度と解像度の点から、R1が炭素原子数1~20のアルキル基であるもの又は炭素原子数6~30のアリール基であるものが好ましく、炭素原子数6~30のアリール基であるものがより好ましい。
【0032】
また、(A-1)成分のオキシムエステル化合物の中で、上記一般式(1)において、感度と解像度の点から、R2が炭素原子数1~20のアルキル基であるものが好ましく、炭素原子数1~4のアルキル基であるものがより好ましく、メチル基がより一層好ましい。
【0033】
また、(A-1)成分のオキシムエステル化合物の中で、上記一般式(1)において、感度と解像度の点から、R3が炭素原子数1~20のアルキル基であるものが好ましく、炭素原子数1~8のアルキル基であるものがより好ましく、エチル基がより一層好ましい。
【0034】
また、(A-1)成分のオキシムエステル化合物の中で、上記一般式(1)の(R4)aにおいて、感度と解像度の点から、aは0又は1が好ましく、0がより好ましい。aが1~3の場合、R4は、炭素原子数1~20のアルキル基が好ましく、炭素原子数1~4のアルキル基がより好ましい。
【0035】
また、(A-1)成分のオキシムエステル化合物の中で、上記一般式(1)の(R5)bにおいて、感度と解像度の点から、bは0又は1が好ましく、0がより好ましい。bが1~3の場合、R5は、炭素原子数1~20のアルキル基が好ましく、炭素原子数1~4のアルキル基がより好ましい。
【0036】
(A-1)成分の上記一般式(1)で表されるオキシムエステル化合物の好ましい具体例としては、以下の化合物No.1~No.9が挙げられる。
【0037】
【化4】
【0038】
次に(A-2)成分について説明する。光重合開始剤組成物(A)で(A-2)成分として用いられるケトオキシムエステル化合物は、上記一般式(2)で表され、ケトオキシムエステル構造を有することを特徴とする。
【0039】
一般式(2)において、ケトオキシムエステル構造は、下記一般式(4)で表される部分をいう。
【化5】
【0040】
(A-2)成分として用いられるケトオキシムエステル化合物は、オキシムの二重結合による幾何異性体が存在するが、これらを区別するものではなく、上記一般式(2)及び後述の例示化合物は、両方の混合物又はどちらか一方を表すものであり、異性体を示した構造に限定するものではない。
【0041】
また、本発明の(A-2)成分は、上記一般式(2)で表されるケトオキシムエステル化合物の一種以上を含有するものであり、該オキシムエステル化合物の一種以上のみからなることが好ましい。
【0042】
上記一般式(2)中のR6、R7、R9、R10、R30、R31、R32及びR33で表される炭素原子数1~20のアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s-ブチル、t-ブチル、アミル、イソアミル、t-アミル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、イソオクチル、2-エチルヘキシル、t-オクチル、ノニル、イソノニル、デシル、イソデシル、ウンデシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、イコシル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘキシルメチル等が挙げられる。
【0043】
上記一般式(2)中のR6、R7、R9及びR10で表される炭素原子数1~20のアルコキシ基としては、上記アルキル基に対応したものが挙げられる。
【0044】
上記一般式(2)中のR6、R7、R9、R10、R30、R31、R32及びR33で表される炭素原子数6~30のアリール基としては、フェニル、トリル、キシリル、エチルフェニル、クロロフェニル、ビフェニリル、ナフチル、アンスリル、フェナンスレニル、並びに上記アルキル基で1つ以上置換されたフェニル、ビフェニリル、ナフチル及びアンスリル等が挙げられる。
【0045】
上記一般式(2)中のR6、R7、R9及びR10で表される炭素原子数6~30のアリールオキシ基としては、上記アリール基に対応したものが挙げられる。
【0046】
上記一般式(2)中のR6、R7、R9、R10、R30、R31、R32及びR33で表される炭素原子数7~30のアラルキル基としては、例えば、ベンジル、クロロベンジル、α-メチルベンジル、α、α-ジメチルベンジル、フェニルエチル等が挙げられる。
【0047】
上記一般式(2)中のR6、R7、R31、R32及びR33で表される炭素原子数2~20の複素環基としては、例えば、ピリジル、ピリミジル、フリル、チエニル、テトラヒドロフリル、ジオキソラニル、ベンゾオキサゾール-2-イル、テトラヒドロピラニル、ピロリジル、イミダゾリジル、ピラゾリジル、チアゾリジル、イソチアゾリジル、オキサゾリジル、イソオキサゾリジル、ピペリジル、ピペラジル、モルホリニル等の5~7員複素環等が挙げられる。
【0048】
上記一般式(2)中のR9とR10が一緒になって形成しうる環の例としては、フルオレン、9,9-ジメチルフルオレン、9,9-ジエチルフルオレン、9,9-ジプロピルフルオレン、9,9-ジブチルフルオレン等が挙げられる。
【0049】
(A-2)成分のケトオキシムエステル化合物の中で、上記一般式(2)において、感度と解像度の点から、R6が炭素原子数1~20のアルキル基であるものが好ましく、炭素原子数1~8のアルキル基であるものがより好ましい。
【0050】
また、(A-2)成分のケトオキシムエステル化合物の中で、上記一般式(2)において、感度と解像度の点から、R7が炭素原子数1~20のアルキル基又は炭素原子数6~30のアリール基であるものが好ましく、炭素原子数1~8のアルキル基又は炭素原子数6~12のアリール基がより好ましい。
【0051】
また、(A-2)成分のケトオキシムエステル化合物の中で、上記一般式(2)の(R9tにおいて、感度と解像度の点から、tは0又は1が好ましい。tが1~3の場合、R9は、炭素原子数1~20のアルキル基が好ましく、炭素原子数1~6のアルキル基がより好ましい。
【0052】
また、(A-2)成分のケトオキシムエステル化合物の中で、上記一般式(2)の(R10uにおいて、感度と解像度の点から、uは0又は1が好ましい。uが1~3の場合、R10は、炭素原子数1~20のアルキル基が好ましく、炭素原子数1~4のアルキル基がより好ましい。
【0053】
また、(A-2)成分のケトオキシムエステル化合物の中で、上記一般式(2)において、感度と解像度の点から、X1は硫黄原子が好ましく、また、X1が直接結合であり、さらにR9とR10が一緒になって、フルオレン環を形成したものも好ましい。
【0054】
また、(A-2)成分のケトオキシムエステル化合物の中で、上記一般式(2)において、感度と解像度の点から、R8が水素原子又は一般式(3)で表される基が好ましく、一般式(3)で表される基がより好ましい。
【0055】
また、一般式(3)において、感度と解像度の点から、Z1は-O-が好ましく、Z2は1個の水酸基で置換された炭素原子数1~20、特に炭素原子数1~10のアルキル基が好ましい。
【0056】
(A-2)成分の上記、一般式(2)で表されるオキシムエステル化合物の好ましい具体例としては、以下の化合物No.10~No.25が挙げられる。
【0057】
【化6】
【0058】
【化7】
【0059】
本発明において、(A)成分の光重合開始剤組成物は、(A-1)成分と(A-2)成分の合計の含有量を100質量部として、(A-1)成分の含有量が1質量部~99質量部であり、(A-2)成分の含有量が1~99質量部である。感度と解像度の点から、(A-1)成分の含有量は20~80質量部が好ましく、40~60質量部がより好ましく、(A-2)成分の含有量は20~80質量部が好ましく、40~60質量部がより好ましい。
【0060】
本発明の黒色感光性樹脂組成物において、(A)成分の光重合開始剤組成物は、黒色感光性樹脂組成物の固形分を100質量部とした場合、0.1~30質量部が好ましく、0.5~10質量部がより好ましい。0.1質量部より小さいと、露光による硬化が不十分になる場合があり、30質量部より大きいと、黒色感光性樹脂組成物中に光重合開始剤が析出する場合がある。本発明の黒色感光性樹脂組成物の固形分とは溶剤以外の成分のことをいう。
【0061】
本発明の黒色感光性樹脂組成物を調製する際、(A-1)成分と(A-2)成分は、予め両者を混合して光重合開始剤組成物(A)としておいたものを配合することができるが、調製時に、それぞれ個別に樹脂組成物に配合することもできる。また、予め光重合開始剤組成物(A)としておく場合には、必要に応じて、後述する本発明の黒色感光性樹脂組成物の任意成分、例えば他の光重合開始剤等も、(A-1)成分及び(A-2)成分と一緒に光重合開始剤組成物(A)に含有させておくことができる。
【0062】
次に、本発明の黒色感光性樹脂組成物の(B)成分について説明する。本発明の(B)成分のアルカリ現像性カルド樹脂(B)としては、ビスフェノール化合物をジグリシジル化したもの、前記ビスフェノール化合物をジグリシジル化したものを不飽和一塩基酸と反応させたもの、ビスフェノール化合物をアルキレンオキシド変性した後に不飽和一塩基酸と反応させたもの等が挙げられる。
【0063】
中でも、下記一般式(5)で表されるエポキシ化合物に、不飽和一塩基酸を付加させた構造を有するエポキシ付加化合物と、多塩基酸無水物とのエステル化反応により得られる反応生成物であるエチレン性不飽和化合物が、分散性の点から好ましい。
【0064】
【化8】
【0065】
一般式(5)中、Mは、直接結合、メチレン基、炭素原子数1~4のアルキリデン基、脂環式炭化水素基、O、S、SO2、SS、SO、CO、OCO、又は下記式(イ)、(ロ)若しくは(ハ)で表される群から選ばれる置換基を表し、R41、R42、R43、R44、R45、R46、R47及びR48はそれぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1~20のアルキル基、炭素原子数1~10のアルコキシ基、又はハロゲン原子を表し、mは0~10の数である。
【0066】
【化9】
【0067】
式(イ)、(ロ)、(ハ)中、R49、R50、R51、R52、R53、R54、R55、R56、R57、R58、R59、R60、R61、R62、R63、R64、R65、R66、R67、R68、R69、R70、R71及びR72は、それぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1~20のアルキル基、炭素原子数1~10のアルコキシ基、炭素原子数6~20のアリール基、炭素原子数7~20のアリールアルキル基、炭素原子数2~20の複素環基、又はハロゲン原子を表し、上記アルキル基及びアリールアルキル基中のアルキレン部分は、不飽和結合、-O-又は-S-で中断されている場合があり、R49、R50、R51、R52、R57、R58、R59、R60、R65、R66、R67、R68、R69、R70、R71及びR72は、隣接するR49、R50、R51、R52、R57、R58、R59、R60、R65、R66、R67、R68、R69、R70、R71及びR72同士で環を形成している場合がある。
【0068】
上記一般式(5)中、R41~R48で表される炭素原子数1~20のアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、iso-プロピル、ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、iso-ブチル、アミル、iso-アミル、tert-アミル、ヘキシル、ヘプチル、イソヘプチル、t-ヘプチル、n-オクチル、イソオクチル、t-オクチル、2-エチルヘキシル、n-ノニル、n-デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、イソトリデシル、ミリスチル、パルミチル、ステアリル、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、モノフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、テトラフルオロエチル、トリフルオロエチル、ジフルオロエチル、ヘプタフルオロプロピル、ヘキサフルオロプロピル、ペンタフルオロプロピル、テトラフルオロプロピル、トリフルオロプロピル、パーフルオロブチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル等が挙げられ、
41~R48で表される炭素原子数1~10のアルコキシ基としては、メチルオキシ、エチルオキシ、iso-プロピルオキシ、プロピルオキシ、ブチルオキシ、ペンチルオキシ、iso-ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、オクチルオキシ、2-エチルヘキシルオキシ等が挙げられ、
41~R48で表されるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
【0069】
上記一般式(5)中のMで表される式(イ)、(ロ)及び(ハ)で表される群から選ばれる置換基において、R49~R72で表される炭素原子数1~20のアルキル基、炭素原子数1~10のアルコキシ基及びハロゲン原子としては、上記R41~R48で例示したものが挙げられ、
49~R72で表される炭素原子数6~20のアリール基としては、フェニル、ナフチル、アントラセン-1-イル、フェナントレン-1-イル、o-トリル、m-トリル、p-トリル、4-ビニルフェニル、3-イソプロピルフェニル、4-イソプロピルフェニル、4-ブチルフェニル、4-イソブチルフェニル、4-t-ブチルフェニル、4-ヘキシルフェニル、4-シクロヘキシルフェニル、4-オクチルフェニル、4-(2-エチルヘキシル)フェニル、2,3-ジメチルフェニル、2,4-ジメチルフェニル、2,5-ジメチルフェニル、2,6-ジメチルフェニル、3,4-ジメチルフェニル、3,5-ジメチルフェニル、2,4-ジ-t-ブチルフェニル、2,5-ジ-t-ブチルフェニル、2,6-ジ-t-ブチルフェニル、2,4-ジ-t-ペンチルフェニル、2,5-ジ-t-アミルフェニル、シクロヘキシルフェニル、ビフェニル、2,4,5-トリメチルフェニル、4-クロロフェニル、3,4-ジクロロフェニル、4-トリクロロフェニル、4-トリフルオロフェニル、パーフルオロフェニル等が挙げられ、
49~R72で表される炭素原子数7~20のアリールアルキル基としては、ベンジル、フェネチル、2-フェニルプロピル、ジフェニルメチル、トリフェニルメチル、スチリル、シンナミル、4-クロロフェニルメチル等が挙げられ、
49~R72で表される複素環基としては、ピロリル、ピリジル、ピリミジル、ピリダジル、ピペラジル、ピペリジル、ピラニル、ピラゾリル、トリアジル、ピロリジル、キノリル、イソキノリル、イミダゾリル、ベンゾイミダゾリル、トリアゾリル、フリル、フラニル、ベンゾフラニル、チエニル、チオフェニル、ベンゾチオフェニル、チアジアゾリル、チアゾリル、ベンゾチアゾリル、オキサゾリル、ベンゾオキサゾリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、インドリル、ユロリジル、モルフォリニル、チオモルフォリニル、2-ピロリジノン-1-イル、2-ピペリドン-1-イル、2,4-ジオキシイミダゾリジン-3-イル、2,4-ジオキシオキサゾリジン-3-イル等が挙げられ、
隣接するR49、R50、R51、R52、R57、R58、R59、R60、R65、R66、R67、R68、R69、R70、R71及びR72同士で形成している場合がある環としては、例えば、ピペリジン環、ピペラジン環、モルホリン環、ラクタム環、ピリジン環、ピリミジン環、キノリン環、イミダゾール環、オキサゾール環、イミダゾリジン環、ピラゾリジン環等の複素環、或いはシクロペンタン環、シクロヘキサン環等の環状アルカン、ベンゼン環、ナフタレン環、フェナントレン環等の芳香環等が挙げられ、これらの環は他の環と縮合されていたり、置換されていたりしている場合がある。
【0070】
上記不飽和一塩基酸とは、構造中に不飽和結合を有し、電離して水素イオンになることのできる水素原子を1分子あたり1個もつ酸を表す。
【0071】
上記不飽和一塩基酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、桂皮酸、ソルビン酸、ヒドロキシエチルメタクリレート・マレート等が挙げられる。ヒドロキシエチルアクリレート・マレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート・マレート、ヒドロキシプロピルアクリレート・マレート、ジシクロペンタジエン・マレート等が挙げられる。
【0072】
上記多塩基酸無水物とは、電離して水素イオンになることのできる水素原子を1分子あたり複数持つ多塩基酸の酸無水物を表す。
【0073】
上記多塩基酸無水物としては、例えば、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、テトラヒドロ無水フタル酸、無水コハク酸、無水マレイン酸、トリメリット酸無水物、ピロメリット酸無水物、2,2'-3,3'-ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、エチレングリコールビスアンヒドロトリメリテート、グリセロールトリスアンヒドロトリメリテート、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、ナジック酸無水物、メチルナジック酸無水物、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、5-(2,5-ジオキソテトラヒドロフリル)-3-メチル-3-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸無水物、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸-無水マレイン酸付加物、ドデセニル無水コハク酸、無水メチルハイミック酸等が挙げられる。
【0074】
上記エポキシ化合物、上記不飽和一塩基酸及び上記多塩基酸無水物の反応モル比は、以下の通りとすることが好ましい。
即ち、上記エポキシ化合物のエポキシ基1個に対し、上記不飽和一塩基酸のカルボキシル基が0.1~1.0個で付加させた構造を有するエポキシ付加物において、該エポキシ付加物の水酸基1個に対し、上記多塩基酸無水物の多塩基酸無水物構造が0.1~1.0個となる比率となるようにするのが好ましい。
【0075】
上記エポキシ化合物、上記不飽和一塩基酸及び上記多塩基酸無水物の反応例を下記に示すが、本発明は、下記反応例1に限定されるものではない。
【0076】
【化10】
【0077】
上記(B)成分のアルカリ現像性のカルド樹脂としては、上記一般式(5)で表されるエポキシ化合物において、R41~R48 が水素原子であるもの;Mが(イ)で表される基であり、R49~R56が水素原子であるもの;Mが(ロ)で表される基であり、R57~R64が水素原子であるものを用いることが、入手しやすさや本発明の効果をより一層高める観点から好ましい。
【0078】
また、上記不飽和塩基酸として炭素原子数5以下のものを用いるものが好ましく、アクリル酸、メタクリル酸等を用いるものがさらに好ましい。また、多塩基酸無水物として、ベンゼン環又は飽和脂肪環を有するものが好ましく、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ビフタル酸無水物等を用いたものがさらに好ましい。
【0079】
本発明の黒色感光性樹脂組成物において、(B)成分のアルカリ現像性カルド樹脂は、重合性化合物(G)として機能する。本発明の黒色感光性樹脂組成物には、重合性化合物(G)として、(B)成分のアルカリ現像性カルド樹脂の他、後述のエチレン性不飽和化合物(但し、(B)成分のアルカリ現像性カルド樹脂を除く)(E)を併用することができる。
【0080】
本発明の黒色感光性樹脂組成物において、重合性化合物(G)の含有量は、黒色感光性樹脂組成物の固形分を100質量部とした場合、5~70質量部が好ましく、20~60質量部がより好ましい。5質量部より小さいと、光硬化性が劣り、70質量部より大きいとアルカリ現像できない場合がある。重合性化合物(G)の含有量は、(E)成分を含有しない場合は(B)成分のみ、(E)成分を含有する場合は(B)成分と(E)の合計の固形分量である。
【0081】
本発明の黒色感光性樹脂組成物において、重合性化合物(G)として、(E)成分のエチレン性不飽和化合物(但し、(B)成分のアルカリ現像性カルド樹脂を除く)を含有する場合、(E)成分は、(B)成分のアルカリ現像性カルド樹脂100質量部に対して、3~40質量部であるのが好ましい。
【0082】
次に本発明の(C)成分である黒色顔料について説明する。
【0083】
黒色顔料(C)としては、例えば、ファーネス法、チャンネル法、サーマル法によって得られるカーボンブラック、或いはアセチレンブラック、ケッチェンブラック又はランプブラック等のカーボンブラック;上記カーボンブラックをエポキシ樹脂で調整、被覆したもの、上記カーボンブラックを予め溶媒中で樹脂で分散処理し、20~200mg/gの樹脂を吸着させたもの、上記カーボンブラックを酸性又はアルカリ性表面処理したもの、上記カーボンブラックを酸化処理したもの、平均粒径が8nm以上でDBP吸油量が90ml/100g以下のもの、950℃における揮発分中のCO、COから算出した全酸素量が、カーボンブラックの表面積100m当たり9mg以上であるもの;黒鉛、黒鉛化カーボンブラック、活性炭、炭素繊維、カーボンナノチューブ、カーボンマイクロコイル、カーボンナノホーン、カーボンエアロゲル、フラーレン、アニリンブラック、ペリレンブラック、ラクタムブラック、ピグメントブラック7;チタンブラック、例えば二酸化チタン又は水酸化チタンに、必要によりバナジウム化合物を付着させた後、アンモニアガス、アミンガス等の窒素含有還元剤の存在下で、電気炉法、熱プラズマ法等の気相反応法により高温焼成することにより得られるものや、チタンブラックとして市販されているもの等を用いることができ、これらは一種単独で用いることができ、二種以上を併用することもできる。これらの中でも、カーボンブラック又はチタンブラックが好ましい
【0084】
黒色顔料(C)の含有量としては、黒色感光性樹脂組成物の全固形分を100質量部とした場合、0.1~90質量部が好ましく、0.1~70質量部がより好ましい。90質量部を超えると凝集しやすくなり保存安定性が悪くなる。
【0085】
また、黒色顔料は、アルカリ現像性カルド樹脂(B)や溶剤(D)等の他の成分や、分散剤等と一緒に黒色顔料組成物として調製して使用することもできる。
【0086】
次に本発明の(D)成分である溶剤について説明する。
【0087】
溶剤(D)としては、上記の各成分及び後述する各成分(光重合開始剤組成物(A)、アルカリ現像性カルド樹脂(B)、黒色顔料(C)、エチレン性不飽和化合物(E)、シランカップリング剤(F)その他任意成分等)を溶解又は分散しえる溶剤であればよく、例えば、メチルエチルケトン、メチルアミルケトン、ジエチルケトン、アセトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、2-ヘプタノン等のケトン類;エチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、1,2-ジメトキシエタン、1,2-ジエトキシエタン、ジプロピレングリコールジメチルエーテル等のエーテル系溶媒;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸-n-プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n-ブチル、酢酸シクロヘキシル、乳酸エチル、コハク酸ジメチル、テキサノール等のエステル系溶媒;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル等のセロソルブ系溶媒;メタノール、エタノール、イソ-又はn-プロパノール、イソ-又はn-ブタノール、アミルアルコール等のアルコール系溶媒;エチレングリコールモノメチルアセテート、エチレングリコールモノエチルアセテート、プロピレングリコール-1-モノメチルエーテル-2-アセテート(PGMEA)、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3-メトキシブチルアセテート、3-エトキシプロピオン酸エチル(EEP)等のエーテルエステル系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン等のBTX系溶媒;ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶媒;テレピン油、D-リモネン、ピネン等のテルペン系炭化水素油;ミネラルスピリット、スワゾール#310(コスモ松山石油(株))、ソルベッソ#100(エクソン化学(株))等のパラフィン系溶媒;四塩化炭素、クロロホルム、トリクロロエチレン、塩化メチレン、1,2-ジクロロエタン等のハロゲン化脂肪族炭化水素系溶媒;クロロベンゼン等のハロゲン化芳香族炭化水素系溶媒;カルビトール系溶媒、アニリン、トリエチルアミン、ピリジン、酢酸、アセトニトリル、二硫化炭素、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、水等が挙げられ、これらの溶媒は1種又は2種以上の混合溶媒として使用することができる。これらの中でもケトン類、エーテルエステル系溶媒等、特にプロピレングリコール-1-モノメチルエーテル-2-アセテート(PGMEA)、3-エトキシプロピオン酸エチル(EEP)、シクロヘキサノン等が、レジストと光重合開始剤の相溶性がよいので好ましい。
【0088】
本発明の黒色感光性樹脂組成物において、溶剤(D)の使用量としては、固形分(溶剤以外の成分)の濃度が5~30質量%になる量が好ましく、固形分濃度が5質量%より小さい場合、膜厚を厚くすることが困難であり所望の波長光を十分に吸収できないため好ましくなく、30質量%を超える場合、組成物の析出によって組成物の保存性が低下したり、粘度が向上してハンドリングが低下したりするため好ましくない。
【0089】
次に本発明の(E)成分であるエチレン性不飽和化合物(但し、アルカリ現像性カルド樹脂(B)を除く)について説明する。エチレン性不飽和化合物(E)は、アルカリ現像性カルド樹脂(B)とともに重合性化合物(G)として使用できる。
【0090】
エチレン性不飽和化合物(但し、アルカリ現像性カルド樹脂(B)を除く)(E)としては、化合物中に炭素―炭素二重結合を有するものであれば特に限定されず、従来、黒色感光性樹脂組成物に用いられているものを用いることができるが、例えば、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン等の不飽和脂肪族炭化水素;(メタ)アクリル酸、α―クロルアクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、コハク酸、シトラコン酸、フマル酸、ハイミック酸、クロトン酸、イソクロトン酸、ビニル酢酸、アリル酢酸、桂皮酸、ソルビン酸、メサコン酸、コハク酸モノ[2-(メタ)アクリロイロキシエチル]、フタル酸モノ[2-(メタ)アクリロイロキシエチル]、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート・マレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート・マレート、ジシクロペンタジエン・マレート或いは1個のカルボキシル基と2個以上の(メタ)アクリロイル基とを有する多官能(メタ)アクリレート等の不飽和塩基酸;ω-カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート等の両末端にカルボキシ基と水酸基とを有するポリマーのモノ(メタ)アクリレート; (メタ)アクリル酸-2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸-2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸グリシジル、下記化合物No.A1~No.A4、(メタ)アクリル酸メチル、 (メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸-t-ブチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸n-オクチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノメチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸アミノプロピル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノプロピル、(メタ)アクリル酸エトキシエチル、(メタ)アクリル酸ポリ(エトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸ブトキシエトキシエチル、(メタ)アクリル酸エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸フェノキシエチル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフリル、(メタ)アクリル酸ビニル、(メタ)アクリル酸アリル、(メタ)アクリル酸ベンジル、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメチロールジ(メタ)アクリレート、トリ[(メタ)アクリロイルエチル]イソシアヌレート、ポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマー等の不飽和一塩基酸及び多価アルコール又は多価フェノールのエステル;(メタ)アクリル酸亜鉛、(メタ)アクリル酸マグネシウム等の不飽和多塩基酸の金属塩;マレイン酸無水物、イタコン酸無水物、シトラコン酸無水物、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸、5-(2,5-ジオキソテトラヒドロフリル)-3-メチル-3-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸無水物、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸-無水マレイン酸付加物、ドデセニル無水コハク酸、無水メチルハイミック酸等の不飽和多塩基酸の酸無水物;(メタ)アクリルアミド、メチレンビス-(メタ)アクリルアミド、ジエチレントリアミントリス(メタ)アクリルアミド、キシリレンビス(メタ)アクリルアミド、α-クロロアクリルアミド、N-2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド等の不飽和一塩基酸及び多価アミンのアミド;アクロレイン等の不飽和アルデヒド;(メタ)アクリロニトリル、α-クロロアクリロニトリル、シアン化ビニリデン、シアン化アリル等の不飽和ニトリル;スチレン、4-メチルスチレン、4-エチルスチレン、4-メトキシスチレン、4-ヒドロキシスチレン、4-クロロスチレン、ジビニルベンゼン、ビニルトルエン、ビニル安息香酸、ビニルフェノール、ビニルスルホン酸、4-ビニルベンゼンスルホン酸、ビニルベンジルメチルエーテル、ビニルベンジルグリシジルエーテル等の不飽和芳香族化合物;メチルビニルケトン等の不飽和ケトン;ビニルアミン、アリルアミン、N-ビニルピロリドン、ビニルピペリジン等の不飽和アミン化合物;アリルアルコール、クロチルアルコール等のビニルアルコール;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、n-ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、アリルグリシジルエーテル等のビニルエーテル;マレイミド、N-フェニルマレイミド、N-シクロヘキシルマレイミド等の不飽和イミド類;インデン、1-メチルインデン等のインデン類;1,3-ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等の脂肪族共役ジエン類;ポリスチレン、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリ-n-ブチル(メタ)アクリレート、ポリシロキサン等の重合体分子鎖の末端にモノ(メタ)アクリロイル基を有するマクロモノマー類;ビニルクロリド、ビニリデンクロリド、ジビニルスクシナート、ジアリルフタラート、トリアリルホスファート、トリアリルイソシアヌラート、ビニルチオエーテル、ビニルイミダゾール、ビニルオキサゾリン、ビニルカルバゾール、ビニルピロリドン、ビニルピリジン、水酸基含有ビニルモノマー及びポリイソシアネート化合物を反応させて得られるビニルウレタン化合物;水酸基含有ビニルモノマー及びポリエポキシ化合物を反応させて得られるビニルエポキシ化合物等が挙げられる。
【0091】
【化11】
【0092】
また、上記エチレン性不飽和化合物(E)としては、アクリル酸エステルの共重合体や、フェノール及び/又はクレゾールノボラックエポキシ樹脂と不飽和一塩基酸を反応させたもの、多官能エポキシ基を有するポリフェニルメタン型エポキシ樹脂と不飽和一塩基酸を反応させたものを用いることもできる。
【0093】
上記エチレン性不飽和化合物(E)の中でも、酸価を有する化合物を用いた場合、アルカリ現像性を付与することができる点から好ましい。上記酸価を有する化合物を用いる場合、その使用量は上記エチレン性不飽和化合物全体の50~99質量%となるようにすることが好ましい。
【0094】
また、上記酸価を有する化合物は、更に単官能又は多官能エポキシ化合物を反応させることにより酸価調整してから用いることもできる。上記酸価を有する化合物の酸価を調整することにより、アルカリ現像性を改良することができる。上記酸価を有する化合物(即ちアルカリ現像性を付与するエチレン性不飽和化合物)は、固形分の酸価が5~120mgKOH/gの範囲であることが好ましく、単官能又は多官能エポキシ化合物の使用量は、上記酸価を満たすように選択するのが好ましい。
【0095】
上記単官能エポキシ化合物としては、グリシジルメタクリレート、メチルグリシジルエーテル、エチルグリシジルエーテル、プロピルグリシジルエーテル、イソプロピルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、イソブチルグリシジルエーテル、t-ブチルグリシジルエーテル、ペンチルグリシジルエーテル、ヘキシルグリシジルエーテル、ヘプチルグリシジルエーテル、オクチルグリシジルエーテル、ノニルグリシジルエーテル、デシルグリシジルエーテル、ウンデシルグリシジルエーテル、ドデシルグリシジルエーテル、トリデシルグリシジルエーテル、テトラデシルグリシジルエーテル、ペンタデシルグリシジルエーテル、ヘキサデシルグリシジルエーテル、2-エチルヘキシルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、プロパルギルグリシジルエーテル、p-メトキシエチルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、p-メトキシグリシジルエーテル、p-ブチルフェノールグリシジルエーテル、クレジルグリシジルエーテル、2-メチルクレジルグリシジルエーテル、4-ノニルフェニルグリシジルエーテル、ベンジルグリシジルエーテル、p-クミルフェニルグリシジルエーテル、トリチルグリシジルエーテル、2,3-エポキシプロピルメタクリレート、エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油、グリシジルブチレート、ビニルシクロヘキサンモノオキシド、1,2-エポキシ-4-ビニルシクロヘキサン、スチレンオキシド、ピネンオキシド、メチルスチレンオキシド、シクロヘキセンオキシド、プロピレンオキシド、上記化合物No.A2、No.A3等が挙げられる。
【0096】
上記多官能エポキシ化合物としては、ビスフェノール型エポキシ化合物及びグリシジルエーテル類からなる群から選択される一種以上の化合物を用いると、特性の一層良好な黒色感光性樹脂組成物を得ることができるので好ましい。
【0097】
上記ビスフェノール型エポキシ化合物としては、上記一般式(5)で表されるエポキシ化合物を用いることができる他、例えば、水添ビスフェノール型エポキシ化合物等のビスフェノール型エポキシ化合物も用いることができる。
【0098】
また上記グリシジルエーテル類としては、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、1,8-オクタンジオールジグリシジルエーテル、1,10-デカンジオールジグリシジルエーテル、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、トリエチレングリコールジグリシジルエーテル、テトラエチレングリコールジグリシジルエーテル、ヘキサエチレングリコールジグリシジルエーテル、1,4-シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル、1,1,1-トリ(グリシジルオキシメチル)プロパン、1,1,1-トリ(グリシジルオキシメチル)エタン、1,1,1-トリ(グリシジルオキシメチル)メタン、1,1,1,1-テトラ(グリシジルオキシメチル)メタン等を用いることができる。
【0099】
その他、フェノールノボラック型エポキシ化合物、ビフェニルノボラック型エポキシ化合物、クレゾールノボラック型エポキシ化合物、ビスフェノールAノボラック型エポキシ化合物、ジシクロペンタジエンノボラック型エポキシ化合物等のノボラック型エポキシ化合物;3,4-エポキシ-6-メチルシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシ-6-メチルシクロヘキサンカルボキシレート、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、1-エポキシエチル-3,4-エポキシシクロヘキサン等の脂環式エポキシ化合物;フタル酸ジグリシジルエステル、テトラヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、ダイマー酸グリシジルエステル等のグリシジルエステル類;テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、トリグリシジルP-アミノフェノール、N,N-ジグリシジルアニリン等のグリシジルアミン類;1,3-ジグリシジル-5,5-ジメチルヒダントイン、トリグリシジルイソシアヌレート等の複素環式エポキシ化合物;ジシクロペンタジエンジオキシド等のジオキシド化合物;ナフタレン型エポキシ化合物;トリフェニルメタン型エポキシ化合物;ジシクロペンタジエン型エポキシ化合物等を用いることもできる。
【0100】
また、本発明の黒色感光性樹脂組成物は、エチレン性不飽和結合を有さず、アルカリ現像性を付与する化合物を含有することができ、そのような化合物としては、酸価を有することでアルカリ水溶液に可溶な化合物であれば特に限定されないが、代表的なものとしてアルカリ可溶性ノボラック樹脂(以下、単に「ノボラック樹脂」という)が挙げられる。ノボラック樹脂は、フェノール類とアルデヒド類とを酸触媒の存在下に重縮合して得られる。
【0101】
上記フェノール類としては、例えばフェノール、o-クレゾール、m-クレゾール、p-クレゾール、o-エチルフェノール、m-エチルフェノール、p-エチルフェノール、o-ブチルフェノール、m-ブチルフェノール、p-ブチルフェノール、2,3-キシレノール、2,4-キシレノール、2,5-キシレノール、3,4-キシレノール、3,5-キシレノール、2,3,5-トリメチルフェノール、p-フェニルフェノール、ヒドロキノン、カテコール、レゾルシノール、2-メチルレゾルシノール、ピロガロール、α-ナフトール、ビスフェノールA、ジヒドロキシ安息香酸エステル、没食子酸エステル等が用いられ、これらのフェノール類のうちフェノール、o-クレゾール、m-クレゾール、p-クレゾール、2,5-キシレノール、3,5-キシレノール、2,3,5-トリメチルフェノール、レゾルシノール、2-メチルレゾルシノール及びビスフェノールAが好ましい。これらのフェノール類は、単独で又は2種以上混合して用いられる。
【0102】
上記アルデヒド類としては、例えばホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピルアルデヒド、ベンズアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、α-フェニルプロピルアルデヒド、β-フェニルプロピルアルデヒド、o-ヒドロキシベンズアルデヒド、m-ヒドロキシベンズアルデヒド、p-ヒドロキシベンズアルデヒド、o-クロロベンズアルデヒド、m-クロロベンズアルデヒド、p-クロロベンズアルデヒド、o-ニトロベンズアルデヒド、m-ニトロベンズアルデヒド、p-ニトロベンズアルデヒド、o-メチルベンズアルデヒド、m-メチルベンズアルデヒド、p-メチルベンズアルデヒド、p-エチルベンズアルデヒド、p-n-ブチルベンズアルデヒド等が用いられ、これらの化合物のうちホルムアルデヒド、アセトアルデヒド及びベンズアルデヒドが好ましい。これらのアルデヒド類は、単独で又は2種以上混合して用いられる。アルデヒド類はフェノール類1モル当たり、好ましくは0.7~3モル、特に好ましくは0.7~2モルの割合で使用される。
【0103】
上記酸触媒としては、例えば塩酸、硝酸、硫酸等の無機酸、又は蟻酸、蓚酸、酢酸等の有機酸が用いられる。これらの酸触媒の使用量は、フェノール類1モル当たり、1×10-4~5×10-1モルが好ましい。縮合反応においては、通常、反応媒質として水が用いられるが、縮合反応に用いられるフェノール類がアルデヒド類の水溶液に溶解せず、反応初期から不均一系になる場合には、反応媒質として親水性溶媒を使用することもできる。これらの親水性溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類、又はテトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテル類が挙げられる。これらの反応媒質の使用量は、これらの反応媒質の使用量は、通常、反応原料100質量部当たり、20~1000質量部である。縮合反応の反応温度は、反応原料の反応性に応じて適宜調整することができるが、通常、10~200℃、好ましくは70~150℃である。縮合反応終了後、系内に存在する未反応原料、酸触媒及び反応媒質を除去するため、一般的には内温を130~230℃に上昇させ、減圧下に揮撥分を留去し、次いで熔融したノボラック樹脂をスチール製ベルト等の上に流涎して回収する。
【0104】
また、縮合反応終了後に、前記親水性溶媒に反応混合物を溶解し、水、n-ヘキサン、n-ヘプタン等の沈殿剤に添加することにより、ノボラック樹脂を析出させ、析出物を分離し、加熱乾燥することにより回収することもできる。
【0105】
上記ノボラック樹脂以外の例としては、ポリヒドロキシスチレン又はその誘導体、スチレン-無水マレイン酸共重合体、ポリビニルヒドロキシベンゾエート等が挙げられる。
【0106】
本発明の黒色感光性樹脂組成物は、更にシランカップリング剤(F)を用いることが好ましい。
【0107】
シランカップリング剤(F)としては、例えば、アルケニル基を有するシランカップリング剤として、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリス(2-メトキシエトキシ)シラン、ビニルメチルジメトキシシラン、オクテニルトリメトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、p-スチリルトリメトキシシラン等が挙げられ、アクリル基を有するシランカップリング剤として、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリエトキシシラン等が挙げられ、メタクリル基を有するシランカップリング剤として、3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、メタクリロキシオクチルトリメトキシシラン等が挙げられ、エポキシ基を有するシランカップリング剤として、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、グリシドキシオクチルトリメトキシシラン等が挙げられ、アミノ基を有するシランカップリング剤として、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-トリエトキシシリル-N-(1,3-ジメチル-ブチリデン)プロピルアミン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N,N’-ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミン、N-(ビニルベンジル)-2-アミノエチル-3-アミノプロピルトリメトキシシランの塩酸塩等が挙げられ、イソシアヌレート基を有するシランカップリング剤として、トリス-(トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレートが挙げられ、メルカプト基を有するシランカップリング剤として、3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリエトキシシラン等が挙げられ、ウレイド基を有するシランカップリング剤として、3-ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3-ウレイドプロピルトリエトキシシラン等が挙げられ、スルフィド基を有するシランカップリング剤として、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィドが挙げられ、チオエステル基を有するシランカップリング剤として、3-オクタノイルチオ-1-プロピルトリエトキシシランが挙げられ、イソシアネート基を有するシランカップリング剤として、3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、3-イソシアネートプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
【0108】
上記シランカップリング剤としては、市販品が使用でき、その例を挙げると、ビニルトリメトキシシランとしては、信越化学工業(株)製のKBM-1003、モンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製のA-171、東レ・ダウコーニング(株)製のZ-6300、旭化成ワッカーシリコーン(株)製のGENIOSIL XL10、日美商事株式会社製のサイラエースS210等が挙げられ、ビニルトリエトキシシランとしては、信越化学工業(株)製のKBE-1003、モンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製のA-151、東レ・ダウコーニング(株)製のZ-6519、旭化成ワッカーシリコーン(株)製のGENIOSIL GF56、日美商事株式会社製のサイラエースS220等が挙げられ、ビニルトリアセトキシシランとしては、旭化成ワッカーシリコーン(株)製のGENIOSIL GF62が挙げられ、ビニルトリス(2-メトキシエトキシ)シランとしては、モンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製のA-172が挙げられ、ビニルメチルジメトキシシランとしては、モンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製のA-2171、旭化成ワッカーシリコーン(株)製のGENIOSIL XL12等が挙げられ、オクテニルトリメトキシシランとしては、信越化学工業(株)製のKBM-1083が挙げられ、アリルトリメトキシシランとしては、東レ・ダウコーニング(株)製のZ-6825が挙げられ、p-スチリルトリメトキシシランとしては、信越化学工業(株)製のKBM-1403が挙げられ、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシランとしては、KBM-5103が挙げられ、3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシランとしては、信越化学工業(株)製のKBM-502、東レ・ダウコーニング(株)製のZ-6033等が挙げられ、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシランとしては、信越化学工業(株)製のKBM-503、モンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製のA-174、東レ・ダウコーニング(株)製のZ-6030、旭化成ワッカーシリコーン(株)製のGENIOSIL GF31、日美商事株式会社製のサイラエースS710等が挙げられ、3-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシランとしては、信越化学工業(株)製のKBE-502が挙げられ、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシランとしては、信越化学工業(株)製のKBE-503、モンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製のY-9936が挙げられ、メタクリロキシオクチルトリメトキシシランとしては、信越化学工業(株)製のKBM-5803が挙げられ、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランとしては、信越化学工業(株)製のKBM-303、モンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製のA-186、東レ・ダウコーニング(株)製のZ-6043、日美商事株式会社製のサイラエースS530等が挙げられ、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシランとしては、信越化学工業(株)製のKBM-402、東レ・ダウコーニング(株)製のZ-6044、日美商事株式会社製のサイラエースS520等が挙げられ、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシランとしては、信越化学工業(株)製のKBM-403、モンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製のA-187、東レ・ダウコーニング(株)製のZ-6040、旭化成ワッカーシリコーン(株)製のGENIOSIL GF80、日美商事株式会社製のサイラエースS510等が挙げられ、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシランとしては、信越化学工業(株)製のKBE-402が挙げられ、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシランとしては、信越化学工業(株)製のKBE-403、モンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製のA-1871、旭化成ワッカーシリコーン(株)製のGENIOSIL GF82等が挙げられ、グリシドキシオクチルトリメトキシシランとしては、信 越化学工業(株)製のKBM-4803が挙げられ、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシランとしては、信越化学工業(株)製のKBM-602、モンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製のA-2120、旭化成ワッカーシリコーン(株)製のGENIOSIL GF-95、日美商事株式会社製のサイラエースS310等が挙げられ、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシランとしては、信越化学工業(株)製のKBM-603、モンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製のA-1120、モンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製のA-1122、東レ・ダウコーニング(株)製のZ-6020、東レ・ダウコーニング(株)製のZ-6094、旭化成ワッカーシリコーン(株)製のGENIOSIL GF-91、日美商事株式会社製のサイラエースS320等が挙げられ、3-アミノプロピルトリメトキシシランとしては、信越化学工業(株)製のKBM-903、モンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製のA-1110、東レ・ダウコーニング(株)製のZ-6610、日美商事株式会社製のサイラエースS360等が挙げられ、3-アミノプロピルトリエトキシシランとしては、KBE-903、モンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製のA-1100、東レ・ダウコーニング(株)製のZ-6011、日美商事株式会社製のサイラエースS330等が挙げられ、3-トリエトキシシリル-N-(1,3-ジメチル-ブチリデン)プロピルアミンとしては、KBE-9103、日美商事株式会社製のサイラエースS340等が挙げられ、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシランとしては、信越化学工業(株)製のKBM-573、モンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製のY-9669、東レ・ダウコーニング(株)製のZ-6883等が挙げられ、N,N’-ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミンとしては、日美商事株式会社製のサイラエースXS1003が挙げられ、N-(ビニルベンジル)-2-アミノエチル-3-アミノプロピルトリメトキシシランの塩酸塩としては、信越化学工業(株)製のKBM-575、東レ・ダウコーニング(株)製のZ-6032、日美商事株式会社製のサイラエースS350等が挙げられ、トリス-(トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレートとしては、信越化学工業(株)製のKBM-9659が挙げられ、3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシランとしては、信越化学工業(株)製のKBM-802、東レ・ダウコーニング(株)製のZ-6852、3-メルカプトプロピルトリメトキシシランとしては、信越化学工業(株)製のKBM-803、モンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製のA-189、東レ・ダウコーニング(株)製のZ-6062、日美商事株式会社製のサイラエースS810等が挙げられ、3-メルカプトプロピルトリエトキシシランとしては、モンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製のA-1891、東レ・ダウコーニング(株)製のZ-6911が挙げられ、3-ウレイドプロピルトリエトキシシランとしては、モンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製のA-1160が挙げられ、3-ウレイドプロピルトリアルコキシシランとしては、信越化学工業(株)製のKBE-585が挙げられ、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィドとしては、信越化学工業(株)製のKBE-846が挙げられ、3-オクタノイルチオ-1-プロピルトリエトキシシランとしては、モンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製のA-LINK599が挙げられ、3-イソシアネートプロピルトリエトキシシランとしては、信越化学工業(株)製のKBE-9007、モンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製のA-1310等が挙げられ、3-イソシアネートプロピルトリメトキシシランとしては、モンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製のY-5187、旭化成ワッカーシリコーン(株)製のGENIOSIL GF40等が挙げられる。
【0109】
これらシランカップリング剤の中でも、メタクリロイル基、エポキシ基又はイソシアネート基を有するシランカップリング剤が、高温高湿下に暴露された後においても密着性が高いので好ましく用いられ、例えば、信越化学工業(株)製の、KBM-502、KBM-403、KBE-403、KBE-9007等が挙げられる。
【0110】
これらシランカップリング剤は一種単独で用いることができ、二種以上を併用することもできる。
【0111】
シランカップリング剤(F)の含有量としては、黒色感光性樹脂組成物の全固形分を100質量部とした場合、0.1~20質量部が好ましく、0.5~5質量部がより好ましい。0.1質量部より少ないと、耐湿熱試験後の密着性が劣る場合があり、20質量部を超えると、現像に耐えうる硬化物が得られない場合がある。
【0112】
本発明の黒色感光性樹脂組成物には、更に無機化合物を含有させることができる。該無機化合物としては、例えば、酸化ニッケル、酸化鉄、酸化イリジウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化カリウム、シリカ、アルミナ等の金属酸化物;層状粘土鉱物、ミロリブルー、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、コバルト系、マンガン系、ガラス粉末(特にガラスフリット)、マイカ、タルク、カオリン、フェロシアン化物、各種金属硫酸塩、硫化物、セレン化物、アルミニウムシリケート、カルシウムシリケート、水酸化アルミニウム、白金、金、銀、銅等が挙げられる。これらの無機化合物は1種又は2種以上を使用することができる。
【0113】
本発明の黒色感光性樹脂組成物には、黒色顔料及び/又は無機化合物を分散させる分散剤を加えることができる。該分散剤としては、黒色顔料又は無機化合物を分散、安定化できるものであれば制限されず、市販の分散剤、例えば、ビックケミー社製のBYKシリーズ等を用いることができる。特に、塩基性官能基を有するポリエステル、ポリエーテル又はポリウレタンからなる高分子分散剤、塩基性官能基として窒素原子を有し、窒素原子を有する官能基がアミン及び/又はその四級塩であり、アミン価が1~100mgKOH/gのものが好適に用いられる。
【0114】
本発明の黒色感光性組成物では、(A-1)成分のオキシムエステル化合物及び(A-2)成分のケトオキシムエステル化合物と共に他の光重合開始剤を併用することができる。併用できる他の光重合開始剤としては、従来既知の化合物を用いることが可能であり、例えば、ベンゾフェノン、フェニルビフェニルケトン、1-ヒドロキシ-1-ベンゾイルシクロヘキサン、ベンゾイン、ベンジルジメチルケタール、1-ベンジル-1-ジメチルアミノ-1-(4'-モルホリノベンゾイル)プロパン、2-モルホリル-2-(4'-メチルメルカプト)ベンゾイルプロパン、チオキサントン、1-クロル-4-プロポキシチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、エチルアントラキノン、4-ベンゾイル-4'-メチルジフェニルスルフィド、ベンゾインブチルエーテル、2-ヒドロキシ-2-ベンゾイルプロパン、2-ヒドロキシ-2-(4'-イソプロピル)ベンゾイルプロパン、4-ブチルベンゾイルトリクロロメタン、4-フェノキシベンゾイルジクロロメタン、ベンゾイル蟻酸メチル、1,7-ビス(9'-アクリジニル)ヘプタン、9-n-ブチル-3,6-ビス(2'-モルホリノイソブチロイル)カルバゾール、2-メチル-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-フェニル-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-ナフチル-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2,2-ビス(2-クロロフェニル)-4,5,4’,5’-テトラフェニル-1-2’-ビイミダゾール、4、4-アゾビスイソブチロニトリル、トリフェニルホスフィン、カンファーキノン、N-1414、N-1717((株)ADEKA製)、IRGACURE369、IRGACURE907、IRGACURE OXE 02、IRGACURE OXE 03(BASFジャパン(株)製)、過酸化ベンゾイル、下記一般式(6)で表される化合物等が挙げられ、これらの光重合開始剤は、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0115】
【化12】
【0116】
一般式(6)中、R1、R2及びR3は、上記一般式(1)と同じであり、R73はハロゲン原子又はアルキル基を表し、eは0~5の整数である。
【0117】
本発明の黒色感光性樹脂組成物には、更に、連鎖移動剤、増感剤、界面活性剤、メラミン化合物等を併用することができる。
【0118】
上記連鎖移動剤、増感剤としては、一般的に硫黄原子含有化合物が用いられる。例えばチオグリコール酸、チオリンゴ酸、チオサリチル酸、2-メルカプトプロピオン酸、3-メルカプトプロピオン酸、3-メルカプト酪酸、N-(2-メルカプトプロピオニル)グリシン、2-メルカプトニコチン酸、3-[N-(2-メルカプトエチル)カルバモイル]プロピオン酸、3-[N-(2-メルカプトエチル)アミノ]プロピオン酸、N-(3-メルカプトプロピオニル)アラニン、2-メルカプトエタンスルホン酸、3-メルカプトプロパンスルホン酸、4-メルカプトブタンスルホン酸、ドデシル(4-メチルチオ)フェニルエーテル、2-メルカプトエタノール、3-メルカプト-1,2-プロパンジオール、1-メルカプト-2-プロパノール、3-メルカプト-2-ブタノール、メルカプトフェノール、2-メルカプトエチルアミン、2-メルカプトイミダゾール、2-メルカプトベンゾイミダゾール、2-メルカプト-3-ピリジノール、2-メルカプトベンゾチアゾール、メルカプト酢酸、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)等のメルカプト化合物、該メルカプト化合物を酸化して得られるジスルフィド化合物、ヨード酢酸、ヨードプロピオン酸、2-ヨードエタノール、2-ヨードエタンスルホン酸、3-ヨードプロパンスルホン酸等のヨード化アルキル化合物、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトイソブチレート)、ブタンジオールビス(3-メルカプトイソブチレート)、ヘキサンジチオール、デカンジチオール、1,4-ジメチルメルカプトベンゼン、ブタンジオールビスチオプロピオネート、ブタンジオールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオグリコレート、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、ブタンジオールビスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート、トリスヒドロキシエチルトリスチオプロピオネート、下記化合物No.C1、昭和電工社製カレンズMT BD1、PE1、NR1等が挙げられる。
【0119】
【化13】
【0120】
上記界面活性剤としては、パーフルオロアルキルリン酸エステル、パーフルオロアルキルカルボン酸塩等のフッ素界面活性剤、高級脂肪酸アルカリ塩、アルキルスルホン酸塩、アルキル硫酸塩等のアニオン系界面活性剤、高級アミンハロゲン酸塩、第四級アンモニウム塩等のカチオン系界面活性剤、ポリエチレングリコールアルキルエーテル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸モノグリセリド等の非イオン界面活性剤、両性界面活性剤、シリコーン系界面活性剤等の界面活性剤を用いることができ、これらは組み合わせて用いることもできる。
【0121】
上記メラミン化合物としては、(ポリ)メチロールメラミン、(ポリ)メチロールグリコールウリル、(ポリ)メチロールベンゾグアナミン、(ポリ)メチロールウレア等の窒素化合物中の活性メチロール基(CH2OH基)の全部又は一部(少なくとも2つ)がアルキルエーテル化された化合物を挙げることができる。ここで、アルキルエーテルを構成するアルキル基としては、メチル基、エチル基又はブチル基が挙げられ、互いに同一である場合があり、異なる場合もある。また、アルキルエーテル化されていないメチロール基は、一分子内で自己縮合している場合があり、二分子間で縮合して、その結果オリゴマー成分が形成されている場合もある。具体的には、ヘキサメトキシメチルメラミン、ヘキサブトキシメチルメラミン、テトラメトキシメチルグリコールウリル、テトラブトキシメチルグリコールウリル等を用いることができる。これらのなかでも、ヘキサメトキシメチルメラミン、ヘキサブトキシメチルメラミン等のアルキルエーテル化されたメラミンが好ましい。
【0122】
また、本発明の黒色感光性樹脂組成物には、必要に応じて、p-アニソール、ハイドロキノン、ピロカテコール、t-ブチルカテコール、フェノチアジン等の熱重合抑制剤;可塑剤;接着促進剤;充填剤;消泡剤;レベリング剤;表面調整剤;酸化防止剤;紫外線吸収剤;分散助剤;凝集防止剤;触媒;効果促進剤;架橋剤;増粘剤等の慣用の添加物を加えることができる。
【0123】
本発明の黒色感光性樹脂組成物において、エチレン性不飽和化合物(但し、アルカリ現像性カルド樹脂(B)を除く)(E)、シランカップリング剤(F)以外の任意成分の含有量は、その使用目的に応じて適宜選択され特に制限されないが、好ましくは、黒色感光性樹脂組成物の固形分を100質量部とした場合、合計で20質量部以下とする。
【0124】
本発明の黒色感光性樹脂組成物及び硬化物は、硬化性塗料、ワニス、硬化性接着剤、プリント基板、ディスプレイ表示装置(カラーテレビ、PCモニタ、携帯情報端末及びデジタルカメラ等のカラー表示の液晶表示パネルにおけるカラーフィルタ、携帯情報端末及びデジタルカメラ等のカラー表示の液晶表示パネルにおけるブラックカラムスペーサー、種々の表示用途用のカラーフィルタ、種々の表示用途用のブラックカラムスペーサー、CCDイメージセンサのカラーフィルタ、タッチパネル、電気発光表示装置、プラズマ表示パネル、有機ELの黒色隔壁)、粉末コーティング、印刷インク、印刷版、接着剤、ゲルコート、電子工学用のフォトレジスト、電気メッキレジスト、エッチングレジスト、はんだレジスト、絶縁膜、ブラックマトリクス、及びLCDの製造工程において構造を形成するためのレジスト、電気及び電子部品を封入するための組成物、ソルダーレジスト、磁気記録材料、微小機械部品、導波路、光スイッチ、めっき用マスク、エッチングマスク、カラー試験系、ガラス繊維ケーブルコーティング、スクリーン印刷用ステンシル、ステレオリトグラフィによって三次元物体を製造するための材料、ホログラフィ記録用材料、画像記録材料、微細電子回路、脱色材料、画像記録材料のための脱色材料、マイクロカプセルを使用する画像記録材料用の脱色材料、印刷配線板用フォトレジスト材料、UV及び可視レーザー直接画像系用のフォトレジスト材料、プリント回路基板の逐次積層における誘電体層形成に使用するフォトレジスト材料及び保護膜等の各種の用途に使用することができ、その用途に特に制限はないが、上記用途の中でもディスプレイ表示装置には、特に好適に用いることができる。
【0125】
本発明の黒色感光性樹脂組成物は、スピンコーター、ロールコーター、バーコーター、ダイコーター、カーテンコーター、各種の印刷、浸漬等の公知の手段で、ソーダガラス、石英ガラス、半導体基板、金属、紙、プラスチック等の支持基体上に適用することができる。また、一旦フィルム等の支持基体上に施した後、他の支持基体上に転写することもでき、その適用方法に制限はない。
【0126】
また、本発明の黒色感光性樹脂組成物を硬化させる際に用いられる活性光の光源としては、波長300~450nmの光を発光するものを用いることができ、例えば、超高圧水銀、水銀蒸気アーク、カーボンアーク、キセノンアーク等を用いることができる。
【0127】
更に、露光光源にレーザー光を用いることにより、マスクを用いずに、コンピューター等のデジタル情報から直接画像を形成するレーザー直接描画法が、生産性のみならず、解像性や位置精度等の向上も図れることから有用であり、そのレーザー光としては、340~430nmの波長の光が好適に使用されるが、アルゴンイオンレーザー、ヘリウムネオンレーザー、YAGレーザー、及び半導体レーザー等の可視から赤外領域の光を発するものも用いられる。これらのレーザーを使用する場合には、可視から赤外の当該領域を吸収する増感色素が加えられる。
【0128】
本発明の黒色感光性樹脂組成物は、ブラックマトリックスを形成する目的で使用され、該ブラックマトリックスは、特に液晶表示パネル等の画像表示装置用の表示デバイス用カラーフィルタに有用である。
【0129】
上記ブラックマトリックスは、(1)本発明の黒色感光性樹脂組成物の塗膜を基板上に形成する工程、(2)該塗膜に所定のパターン形状を有するマスクを介して活性光を照射する工程、(3)硬化後の被膜を現像液(特にアルカリ現像液)にて現像する工程、(4)現像後の該被膜を加熱する工程により好ましく形成される。また、本発明の黒色感光性樹脂組成物は、現像工程のないインクジェット方式組成物としても有用である。
【0130】
液晶表示パネル等に用いるカラーフィルタは、本発明の黒色感光性樹脂組成物又はそれ以外の着色組成物を用いて、上記(1)~(4)の工程を繰り返し行い、2色以上のパターンを組み合わせて作成することができる。
【実施例
【0131】
以下、実施例等を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0132】
〔実施例1~5、比較例1~5〕
下記表1記載の配合(質量部)で、本発明の黒色感光性樹脂組成物を調製した。黒色顔料(C)については、黒色顔料組成物C-1として調製し使用した。すなわち、酸化処理したカーボンブラックMA-100(三菱化学社製)を20質量%、アルカリ現像性カルド樹脂WR-301(ADEKA社製)2質量%、分散剤BYK-164(ビックケミー社製)2.5質量%、溶剤プロピレングリコール-1-モノメチルエーテル-2-アセテート(PGMEA)75.5質量%の配合比で黒色顔料組成物C-1を調製して、以下実施例及び比較例で使用した。
【0133】
得られた黒色感光性樹脂組成物を用いて、下記評価方法で、OD値、パターン直線性、テーパー角度、最小密着線幅を評価した。結果を表1に示す。
【0134】
同様にして、表2記載の配合(質量部)で、比較例の黒色感光性樹脂組成物を調整し、OD値、パターン直線性、テーパー角度、最小密着線幅を評価した。結果を表2に示す。
【0135】
<OD値評価方法>
黒色感光性樹脂組成物をガラス基板(10cm×10cm)にスピンコーターを用いて塗布し、100℃にて100秒間加熱することにより、ガラス基板の表面に1.0μmの塗布膜を形成させた。その後、マイクロテック社製プロキシミティ露光機を使用し、露光量40mJ/cm2で露光後、230℃にて30分間焼成処理を行い、硬化膜を得た。得られた硬化膜のOD値をマクベス透過濃度計を用いて測定し、該OD値をポストベーク後の膜厚で割って、膜厚あたりのOD値(/μm)を算出した。一般的に、OD値が高いほど、遮光性に優れる。
【0136】
<パターン直線性評価方法>
黒色感光性樹脂組成物を、ガラス基板(10cm×10cm)上にスピンコーターを用いて塗布し、100℃で100秒間プリベークを行い、膜厚1.0μmの塗膜を形成した。次いで、マイクロテック社製プロキシミティ露光機を使用し、露光ギャップを100μmとして、1-20μmのラインパターンの形成されたネガマスクを介して、塗膜に紫外線を40mJ照射した。露光後の塗膜を、23℃の0.04質量%KOH水溶液で40秒間現像後、230℃にて30分間ポストベークを行うことにより、ラインパターンを形成した。6μmラインのパターンを光学顕微鏡により観察し、パターン直線性を評価した。パターン直線性は、ラインのエッジにがたつきがないものを「良好」、がたつきがあるものを「不良」として評価した。
【0137】
<テーパー角評価方法>
黒色感光性樹脂組成物をガラス基板(10cm×10cm)にスピンコーターを用いて塗布し、100℃にて100秒間加熱することにより、ガラス基板の表面に1.0μmの塗布膜を形成させた。その後、マイクロテック社製プロキシミティ露光機を使用し、6μmのパターンの形成されたネガ型マスクを介して、露光量40mJ/cm2(Gap100μm)で露光させた。露光後の膜を、23℃の0.04質量%KOH水溶液で40秒間現像後、230℃にて30分間焼成処理を行い、走査電子顕微鏡にてパターンと基板との間の接合角度(テーパー角)を測定した。このテーパー角は、図1(a)及び(b)における角θに対応する。測定されたテーパー角を表に示す。テーパー角が鋭角であれば、パターンにアンダーカットが存在しないことを意味し、テーパー角が鈍角であれば、パターンにアンダーカットが存在することを意味する。パターンにアンダーカットが存在するとコントラストが低下するため、不良となる。
【0138】
<最小密着線幅評価方法>
黒色感光性樹脂組成物をガラス基板(10cm×10cm)にスピンコーターを用いて塗布し、100℃にて100秒間加熱することにより、ガラス基板の表面に1.0μmの塗布膜を形成させた。その後、マイクロテック社製プロキシミティ露光機を使用し、1-20μmのパターンの形成されたネガ型マスクを介して、露光量40mJ/cm2(Gap100μm)で露光させた。露光後の膜を、23℃の0.04質量%KOH水溶液で40秒間現像後、230℃にて30分間焼成処理を行なった。光学顕微鏡を観察し、一番数字の小さいフォトマスクパターンを最小密着線幅とした。
【0139】
【表1】
【0140】
【化14】
【0141】
【表2】
【0142】
以上の結果より、本発明の黒色感光性樹脂組成物は、既存の黒色感光性樹脂組成物に比べて、パターン直線性、テーパー角、最小密着線幅において良好な結果を示している。また、OD値について同等の結果を示している。よって、本発明の黒色感光性樹脂組成物は、充分な遮光性を有し、高感度かつ高解像度であり、ブラックマトリクスの形成において有用であることが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0143】
本発明によれば、充分な遮光性を有し、高感度かつ高解像度であり、ブラックマトリクスの形成において有用な黒色感光性樹脂組成物を提供することができる。
図1