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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-15
(45)【発行日】2022-03-24
(54)【発明の名称】露光装置
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/20 20060101AFI20220316BHJP
   H01L 21/683 20060101ALI20220316BHJP
【FI】
G03F7/20 501
G03F7/20 521
H01L21/68 N
【請求項の数】 34
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019032352
(22)【出願日】2019-02-26
(62)【分割の表示】P 2018102751の分割
【原出願日】2018-02-01
(65)【公開番号】P2019105854
(43)【公開日】2019-06-27
【審査請求日】2021-01-19
(31)【優先権主張番号】17154551
(32)【優先日】2017-02-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】17169025
(32)【優先日】2017-05-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】17193990
(32)【優先日】2017-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】17201092
(32)【優先日】2017-11-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】504151804
【氏名又は名称】エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】金原 淳一
【審査官】田中 秀直
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-535615(JP,A)
【文献】特開2004-031921(JP,A)
【文献】特開平10-163099(JP,A)
【文献】特開2015-032800(JP,A)
【文献】特開2012-099850(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/20
H01L 21/683
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を保持するように構成された第1の基板ホルダと、
前記基板を保持するように構成された第2の基板ホルダと、
センサ及び/又は検出器を保持するように構成されたセンサホルダと、
パターニングデバイスにより放射ビームに付与されたパターンを、前記基板のターゲット部分へと投影するように構成された投影システムと、
前記基板の面内変形に関する情報及び/又は前記基板の高さプロファイルに関する情報を提供するように構成された測定デバイスと、
前記基板上の基板アライメントマークの位置に関する情報を提供するように構成された追加的な測定デバイスと、
を備える露光装置であって、
前記測定デバイスは、大量の測定に基づいて詳細なアライメント情報を提供するように構成され、
前記追加的な測定デバイスは、前記基板上の3個から16個の基板アライメントマークの測定に基づいて、粗いウェーハアライメント情報を提供するように構成され、
前記露光装置は、前記基板が前記第2の基板ホルダによって保持されているときに、前記第1の基板ホルダ上に第2の基板を保持するように構成され、
前記追加的な測定デバイスは、前記測定デバイスが前記第2の基板から前記詳細なアライメント情報を取得している間、前記第2の基板ホルダによって保持された前記基板から前記粗いウェーハアライメント情報を取得するように構成されており、
前記測定デバイスは、単数のアライメントセンサを備える第1のアライメントシステムを有しており、
前記第1のアライメントシステムによって測定される基板アライメントマークの数は、96個以上である、露光装置。
【請求項2】
前記第1の基板ホルダの下面に配置された第1のスケールを備える、及び/又は、
前記測定デバイスの下方に配置された第1のエンコーダヘッドを備える、請求項に記載の露光装置。
【請求項3】
前記第1のエンコーダヘッドは、前記第1のアライメントシステムの下方に配置され、静止支持体に保持されている、請求項に記載の露光装置。
【請求項4】
前記第1のエンコーダヘッドと、前記第1のエンコーダヘッドに対向する前記第1のスケールと、を有し、前記第1の基板ホルダの位置情報を表す第1の信号を提供するように構成される第1の位置測定システムを備える、請求項2又は3に記載の露光装置。
【請求項5】
前記第1の位置測定システムは、前記第1の基板ホルダが前記測定デバイス付近にあるときに、前記第1の基板ホルダの位置情報を表す第1の信号を提供するように構成される、請求項に記載の露光装置。
【請求項6】
前記第2の基板ホルダの下面に配置された第2のスケールを備える、及び/又は、
前記追加的な測定デバイスの下方に配置された第2のエンコーダヘッドを備える、請求項1からの何れか一項に記載の露光装置。
【請求項7】
前記第2の基板ホルダ及び/又は前記センサホルダが、前記追加的な測定デバイス及び/又は前記投影システム付近にあるときに、前記第2の基板ホルダ及び/又は前記センサホルダの位置情報を表す第2の信号を提供するように構成された第2の位置測定システムを備える、請求項に記載の露光装置。
【請求項8】
前記第2の位置測定システムは、前記第2のエンコーダヘッドと、前記第2の基板ホルダの表面に配置された前記第2のスケールと、を有し、
前記第2のエンコーダヘッドは、前記第2の基板ホルダが前記投影システム付近にあるときに前記第2のスケールに対向するように配置される、請求項に記載の露光装置。
【請求項9】
前記第2の位置測定システムは、前記センサホルダの表面に配置された第3のスケールをさらに有し、
前記第2のエンコーダヘッドは、前記センサホルダが前記投影システム付近にあるときに前記第3のスケールに対向するように配置される、請求項7又は8に記載の露光装置。
【請求項10】
前記測定デバイスによって提供される前記基板の高さプロファイルに関する情報は、前記基板の平坦さに関する情報である、請求項1からの何れか一項に記載の露光装置。
【請求項11】
前記測定デバイスによって提供される前記基板の平坦さに関する情報は、前記第1の基板ホルダに保持された前記基板の平坦さに関する情報である、請求項10に記載の露光装置。
【請求項12】
前記追加的な測定デバイスは、第2のアライメントシステムを備える、請求項1から11の何れか一項に記載の露光装置。
【請求項13】
前記第2のアライメントシステムは、複数のアライメントセンサを有する、請求項12に記載の露光装置。
【請求項14】
前記第2のアライメントシステムによって測定される基板アライメントマークの数は、3個から16個である、請求項12又は13に記載の露光装置。
【請求項15】
前記粗いウェーハアライメント情報は、前記基板の形状、前記基板の位置、及び/又は、前記基板の面内変形に関する情報である、請求項1から14の何れか一項に記載の露光装置。
【請求項16】
前記センサホルダは、波面収差測定デバイス、照度モニタ、照度むらセンサ、及び/又は、均一性センサを保持する、請求項1から15の何れか一項に記載の露光装置。
【請求項17】
前記基板を前記第1の基板ホルダから前記第2の基板ホルダへと運ぶように構成される移動デバイスを備える、請求項1から16の何れか一項に記載の露光装置。
【請求項18】
前記第2の基板ホルダ及び前記センサホルダは、前記基板の露光前及び/又は露光後に、一体となって動くように構成されている、請求項1から17の何れか一項に記載の露光装置。
【請求項19】
前記測定デバイスは、前記第2の基板ホルダによって保持された前記基板の露光中に、前記第2の基板の基板アライメントマークの位置を測定するように構成されている、請求項1から18の何れか一項に記載の露光装置。
【請求項20】
前記第2の基板ホルダ及び前記センサホルダは、前記測定デバイスが前記第2の基板の基板アライメントマークの位置を測定し続けている間、一体となって動くように構成されている、請求項1から19の何れか一項に記載の露光装置。
【請求項21】
前記センサホルダによって保持された前記センサ及び/又は検出器は、前記測定デバイスが前記第2の基板の基板アライメントマークの位置を測定している間、
前記放射ビームの特性を測定すること、
前記投影システムの特性を測定すること、及び/又は、
前記投影システムによって投影された前記パターンの空間像を測定すること、
を行うように構成されている、請求項1から20の何れか一項に記載の露光装置。
【請求項22】
空間像を測定するように構成された空間像測定デバイスを備え、
前記第2の基板ホルダは、マーカを有し、
前記空間像測定デバイスは、前記第2の基板ホルダ上の前記マーカと、前記センサホルダ上の前記検出器と、を有する、請求項1から21の何れか一項に記載の露光装置。
【請求項23】
前記マーカは、少なくとも一つの基準プレートを備える、請求項22に記載の露光装置。
【請求項24】
前記検出器は、前記第2の基板ホルダ及び前記センサホルダが一体となっているときに前記空間像を測定する、請求項22又は23に記載の露光装置。
【請求項25】
前記空間像の光学特性を制御すること、及び/又は、前記投影システムの光学特性を制御すること、を行うように構成された制御ユニットを備える、請求項22から24の何れか一項に記載の露光装置。
【請求項26】
前記制御ユニットは、詳細なアライメント情報に基づいて詳細な歪みマップを生成すること、粗いウェーハアライメント情報に基づいて粗い歪みマップを生成すること、及び/又は、前記詳細な歪みマップと前記粗い歪みマップとを組み合わせることにより統合歪みマップを生成すること、を行うように構成される、請求項25に記載の露光装置。
【請求項27】
前記投影システムは、鏡筒と、光学要素と、前記光学要素を保持するように構成されたレンズホルダと、を有し、
前記制御ユニットは、前記詳細な歪みマップ及び/又は前記統合歪みマップに基づき、前記第2の基板ホルダの位置、前記空間像の前記光学特性、前記投影システムの前記光学特性、及び/又は、前記鏡筒に対する前記光学要素の位置及び/又は向きを制御することにより、フィールド間オーバーレイエラー及び/又はフィールド内オーバーレイエラーを補償する、請求項26に記載の露光装置。
【請求項28】
前記詳細な歪みマップは、線形成分及び/又は高次成分を有する、請求項26又は27に記載の露光装置。
【請求項29】
前記制御ユニットによって制御される前記空間像の光学特性、及び/又は、前記投影システムの光学特性は、倍率X、倍率Y、歪曲収差、コマ収差、像面湾曲、球面収差、及び/又は、非点収差を含む、請求項25から28の何れか一項に記載の露光装置。
【請求項30】
前記投影システムは、変形可能ミラーを有する、請求項1から29の何れか一項に記載の露光装置。
【請求項31】
前記放射ビームは、193nmの波長、又は、193nm付近の波長を有する紫外線放射である、請求項1から30の何れか一項に記載の露光装置。
【請求項32】
前記投影システムと、前記第2の基板ホルダ、前記基板及び前記センサホルダの少なくとも一つと、の間に画定される空間に、液浸液を供給して閉じ込めるように構成された液体ハンドリングシステムを備える、請求項1から31の何れか一項に記載の露光装置。
【請求項33】
前記液体ハンドリングシステムは、前記空間から前記液浸液を回収するように構成された回収ポートを有する、請求項32に記載の露光装置。
【請求項34】
前記回収ポートには、多孔性部材が配置されている、請求項33に記載の露光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[001] 本発明は露光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
[002] リソグラフィ装置は、所望のパターンを基板に、通常は基板のターゲット部分に
適用する機械である。リソグラフィ装置は、例えば、集積回路(IC)の製造に使用可能
である。このような場合、代替的にマスク又はレチクルとも呼ばれるパターニングデバイ
スを使用して、ICの個々の層上に形成すべき回路パターンを生成することができる。こ
のパターンを、基板(例えばシリコンウェーハ)上のターゲット部分(例えば1つ又は幾
つかのダイの一部を含む)に転写することができる。パターンの転写は通常、基板に設け
た放射感応性材料(レジスト)の層への結像により行われる。一般的に、1枚の基板は、
順次パターンが付与される隣接したターゲット部分のネットワークを含んでいる。従来の
リソグラフィ装置は、パターン全体をターゲット部分に1回で露光することによって各タ
ーゲット部分が照射される、いわゆるステッパと、基板を所与の方向(「スキャン」方向
)と平行あるいは逆平行に同期的にスキャンしながら、パターンを所与の方向(「スキャ
ン」方向)に放射ビームでスキャンすることにより、各ターゲット部分が照射される、い
わゆるスキャナとを含む。放射ビームを照射することによって基板上に所望のパターンを
適用するリソグラフィ装置は、露光装置とも呼ばれる。露光装置は、ステッパ又はスキャ
ナであってもよい。露光装置は、パターンを基板上にインプリントすることによって、パ
ターニングデバイスから基板にパターンを転写することも可能である。パターンを基板上
にインプリントすることによって基板に所望のパターンを適用するリソグラフィ装置を、
インプリントタイプのリソグラフィ装置と称することができる。基板のターゲット部分に
パターン全体を1回でインプリントするインプリントタイプのリソグラフィ装置を、イン
プリントタイプのステッパと称してもよい。
【0003】
[003] IC1個当たりの生産コストを削減する傾向がある。IC1個当たりの生産コス
トを削減するため、既知のリソグラフィ装置は、露光プロセスすなわち基板上のパターン
の露光を、できる限り高速にかつできる限り多回数実行するように設計されている。露光
プロセスをできる限り多回数とするため、米国特許第5,677,758号に記載されて
いるように、リソグラフィ装置は複数の基板ステージを有することがある。1つの基板ス
テージ上で基板を露光している間に、第2の基板ステージ上に第2の基板をロードし、ア
ンロードし、又は位置合わせする。前者の基板の(全ターゲット部分の)露光終了後、こ
の基板ステージを投影システム外へ移動させると共に、他方の基板ステージを投影システ
ムの下に移動させる。この間、リソグラフィ装置は露光プロセスを実行していない(つま
り、露光プロセスを中断する)中断期間があるが、これは短時間である。
【発明の概要】
【0004】
[004] 露光プロセスが中断されるのは短時間であるものの、更にIC1個当たりの生産
コストを削減するように(IC生成の為に)基板を露光することが要望されている。一般
に、スループット及び/又は稼働時間が改善された場合、リソグラフィ装置の総生産性は
向上される。ICの製造では、基板に転写されるパターンの良好な結像品質が要求される
ことが多い。基板の測定精度が向上すると、結像品質が高くなる。しかしながら、基板の
測定精度の向上が測定時間を延長することによって達成される場合、この測定時間の延長
は総生産性を低下させる。換言すると、既知のリソグラフィ装置において、総生産性と結
像品質との間にはトレードオフが存在し得る。
【0005】
[005] そのようなトレードオフは、例えばPCT出願公報WO2007/097466
A1号に記載された露光装置によって行われるウェーハアライメント動作の間に認識(観
測)される。このPCT公報に記載されている露光装置は、単数のウェーハステージと、
第1の方向に沿って(例えばx軸又はステップ方向に沿って)直線上に並んだ5個のアラ
イメントセンサを備える単数のウェーハアライメントシステムと、を備えている。このP
CT公報に記載されているようにウェーハアライメント動作が実行される場合、第1の方
向に垂直な方向である第2の方向のみに沿って(例えばy軸又はスキャン方向に沿って)
ウェーハステージを移動させながら、単数の(マルチセンサ)ウェーハアライメントシス
テムによって16個のアライメントマークを測定できる。しかしながら、この構成におい
てウェーハアライメント動作が異なる方法で実行される場合、例えば以下のケースでは、
より長い測定時間が必要となり得る。すなわち、(1)結像品質の向上を可能とするため
、基板上のより多くのアライメントマークを測定する必要がある場合、及び/又は(2)
測定対象の基板上のアライメントマークの少なくとも1つ(例えば16個のアライメント
マークのうち1つ)が、5個のアライメントセンサのうち何れの検出エリアにも入らない
ために(すなわち、検出エリアの外に位置しているために)、ウェーハステージを第2の
方向に沿ってだけでなく第1の方向にも沿って(すなわち、y軸に沿ってだけでなくx軸
にも沿って)移動させる必要がある場合、である。
【0006】
[006] 一般に、単数のウェーハステージを備える露光装置では、ウェーハアライメント
動作に要する(露光前の)時間は純粋なオーバーヘッド時間であり、露光装置のスループ
ット性能を直接低下させる。2つのウェーハステージ及び単数のウェーハアライメントシ
ステムを備える露光装置においても、ウェーハアライメント動作に要する時間が露光に要
する時間よりも長い場合、スループット性能は低下する。一般に、露光装置の総生産性は
、ある特定の稼働時間性能に対するスループット性能に比例する。従って、単数のウェー
ハステージ及び単数のウェーハアライメントシステムを備える露光装置では、総生産性と
結像品質との間にトレードオフが認められる。また、2つのウェーハステージ及び単数の
ウェーハアライメントシステムを備える露光装置では、ある特定の高い結像品質要求を満
たすために、基板上のより多くのアライメントマークを測定する必要がある場合、総生産
性と結像品質との間にトレードオフが存在し得る。
【0007】
[007] 従って、例えば、総生産性を低下させることなく結像品質の向上を達成できるリ
ソグラフィ装置を提供することが望ましい。換言すると、例えば、総生産性の向上を達成
しながら、同時に、ICの製造に必要な結像品質を充足できるリソグラフィ装置を提供す
ることが望ましい。
【0008】
[008] これに加えて又はこの代わりに、例えば、所望の又は利用可能な基板サイズは製
造されるICのタイプに応じて異なる可能性があるので、異なる基板サイズに柔軟かつ効
率的に対応できるリソグラフィ装置を提供することが望ましい。これに加えて又はこの代
わりに、例えば、所望の又は利用可能な基板のタイプは製造されるICのタイプに応じて
異なる可能性があるので、異なる材料から作製される異なるタイプの基板に柔軟かつ効率
的に対応できるリソグラフィ装置を提供することが望ましい。
【0009】
[009] これに加えて又はこの代わりに、例えば、より低費用(すなわち、より低い製品
価格)でありながら、ある特定タイプのICの製造において必要な総生産性及び結像品質
を同時に充足できるリソグラフィ装置を提供することが望ましい。換言すると、露光装置
の総生産性と露光装置の製品価格との間にはトレードオフが存在し得る。従って、例えば
、所有コスト(CoO:Cost of Ownership)を改善しながら、ある特
定タイプのICの製造に必要な総生産性及び結像品質を同時に充足できるリソグラフィ装
置を提供することが望ましい。所有コスト(CoO)に対するリソグラフィ装置の寄与分
は、例えば、ProC. of SPIE Vol. 5751、pp.964-975
(2005)、又はProc. of SPIE Vol. 7271 72710Y(
2009)に記載されているように推定できる。これらの文献は、異なる結像品質要求(
例えば、それぞれ90nmノードや22nmノード)に対する所有コスト(CoO)計算
の例として認識されてもよい。
【0010】
[010] これに加えて又はこの代わりに、実際、ICの製造には通常、多数の露光装置及
び幾つかの他のタイプの装置が必要である。従って、多数の露光装置の総所有コスト(T
CO:Total Cost of Ownership)及び/又はICの製造に必要
な全てのタイプの装置及びプロセスの総所有コスト(TCO)を改善することが望ましい
【0011】
[011] 換言すると、露光装置の総生産性、結像品質、及び(例えば設置面積、製品価格
、所有コスト(CoO)、及び/又は総所有コスト(TCO)の観点から認識され得る)
経済性の間にはトリレンマが存在し得る。この文脈において、上述の様々なトレードオフ
の他に、露光装置の総生産性と設置面積(及び/又は製品価格)との間にもトレードオフ
が存在し得る。例えば、PCT出願公報WO2007/055237A1号に記載されて
いる露光装置は、2つの照明システム、2つのマスクステージ、2つの投影システム、及
び2つの基板ステージを備えている。このような露光装置の製品価格及び設置面積は、単
数の照明システム、単数のマスクステージ、単数の投影システム、及び単数の基板ステー
ジを備えた従来の露光装置2台分と同様である。更に、光学コンポーネント(照明システ
ム及び投影システム等)の数が2倍であるので、結像品質を低下させ得るこれらの光学コ
ンポーネントの様々な問題も倍増する。換言すると、従来の露光装置を複数台連結したも
のと同等又は同様の、そのような露光装置においても、総生産性と結像品質との間のトレ
ードオフが認められる。従って、そのような露光装置は経済的でなく、露光装置の総生産
性、結像品質、及び経済性のトリレンマに対する解決策とはならない。
【0012】
[012] 本発明の一態様によれば、基板ホルダと、センサホルダと、移動器と、を備える
露光装置が提供される。基板ホルダは基板を保持するためのものである。センサホルダは
センサを保持するためのものである。移動器は基板ホルダを移動させるためのものである
。移動器は、第1の状態においてセンサホルダと結合してセンサホルダを移動させるよう
に構成されている。移動器は、第2の状態においてセンサホルダから分離して、センサホ
ルダを移動させることなく移動するように構成されている。
【0013】
[013] 本発明の別の態様によれば、基板を保持するための基板ホルダと、センサを保持
するためのセンサホルダと、基板ホルダを移動させるために構成された移動器と、基板上
に放射ビームを与えるように構成された投影システムと、を備える露光装置が提供される
。露光中、センサホルダが移動器から分離されている場合、投影システムは放射ビームを
基板に与える。センサが投影システム又は放射ビームの特性を測定する場合、移動器はセ
ンサホルダと結合する。
【0014】
[014] 本発明の別の態様によれば、第1の基板を保持するための第1の基板ホルダと、
第2の基板を保持するための第2の基板ホルダと、第1の基板を露光ビームで露光するた
めの投影システムと、第2の基板の測定情報を与えるように構成された測定デバイスと、
第1の基板の測定情報を与えるように構成された追加的な測定デバイスと、を備える露光
装置が提供される。追加的な測定デバイスは、測定デバイスよりも投影システムに近い。
【0015】
[015] 本発明の別の態様によれば、基板を保持するように構成された第1の基板ホルダ
と、基板を保持するように構成された第2の基板ホルダと、センサを保持するように構成
されたセンサホルダと、基板を露光ビームで露光するように構成された投影システムと、
基板の測定情報を与えるように構成された測定デバイスと、基板の追加的な測定情報を与
えるように構成された追加的な測定デバイスと、を備える露光装置が提供される。センサ
は、露光ビーム及び/又は投影システムの特性を測定するように構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0016】
[0016] 対応する参照符号が対応する部分を示す添付の概略図を参照しながら以下に本発
明の実施形態について説明するが、これは単に例示としてのものに過ぎない。
【0017】
図1】本発明に従った一実施形態を示す。
図2】本発明に従った別の実施形態を上面図で示す。
図3】本発明に従った別の実施形態を側面図で示す。
図4】本発明に従った露光装置を第1の状態で示す。
図5】本発明に従った露光装置を第2の状態で示す。
図6】本発明に従った露光装置を第3の状態で示す。
図7】本発明に従った更に別の実施形態を示す。
図8】本発明に従った別の実施形態を示す。
図9】本発明に従った更に別の実施形態を側面図で示す。
図10A図9の実施形態を動作させる方法を上面図で示す。
図10B図9の実施形態を動作させる方法を上面図で示す。
図10C図9の実施形態を動作させる方法を上面図で示す。
図10D図9の実施形態を動作させる方法を上面図で示す。
図10E図9の実施形態を動作させる方法を上面図で示す。
図10F図9の実施形態を動作させる方法を上面図で示す。
図10G図9の実施形態を動作させる方法を上面図で示す。
図10H図9の実施形態を動作させる方法を上面図で示す。
図10I図9の実施形態を動作させる方法を上面図で示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[017] 図1は、本発明の一実施形態によるリソグラフィ装置を概略的に示す。リソグラ
フィ装置は、照明システムIL、支持構造MT、基板テーブルWT及び投影システムPS
を備える。照明システムILは、放射ビームBを調整するように構成される。支持構造M
Tは、パターニングデバイスMAを支持するように構成され、特定のパラメータに従って
パターニングデバイスMAを正確に位置決めするように構成された第1の位置決めデバイ
スPMに接続される。基板テーブルWTは、基板W、例えばレジストコートウェーハを保
持するように構成され、所定のパラメータに従って基板Wを正確に位置決めするように構
成された第2のポジショナPWに接続される。投影システムPSは、パターニングデバイ
スMAによって放射ビームBに与えられたパターンを、基板Wのターゲット部分C(例え
ば、1つ以上のダイを含む)に投影するように構成される。
【0019】
[018] 照明システムILは、放射を誘導し、整形し、又は制御するための、屈折型、反
射型、磁気型、電磁型、静電型、又はその他のタイプの光学コンポーネント、あるいはそ
れらの任意の組み合わせなどの様々なタイプの光学コンポーネントを含むことができる。
【0020】
[019] イルミネータILは放射源SOから放射ビームBを受ける。放射源SOとリソグ
ラフィ装置とは、例えば放射源SOがエキシマレーザである場合に、別々の構成要素であ
ってもよい。このような場合、放射源SOはリソグラフィ装置の一部を形成すると見なさ
れず、放射ビームBは、例えば適切な誘導ミラー及び/又はビームエクスパンダなどを備
えるビームデリバリシステムBDの助けにより、放射源SOからイルミネータILへと渡
される。他の事例では、例えば放射源SOが水銀ランプの場合は、放射源SOがリソグラ
フィ装置の一体部分であってもよい。放射源SO及びイルミネータILは、必要に応じて
ビームデリバリシステムBDとともに放射システムと呼ぶことができる。
【0021】
[020] 照明システムILは、放射ビームの角度強度分布を調整するように設定されたア
ジャスタADを備えていてもよい。通常、照明システムILの瞳面における強度分布の外
側及び/又は内側半径範囲(一般にそれぞれ、σ-outer及びσ-innerと呼ば
れる)を調節することができる。また、照明システムILは、インテグレータIN及びコ
ンデンサCOなどの他の種々のコンポーネントを備えていてもよい。照明システムILを
用いて放射ビームBを調節し、その断面にわたって所望の均一性と強度分布とが得られる
ようにしてもよい。
【0022】
[021] 本明細書において使用する「放射ビーム」という用語は、紫外線(UV)放射(
例えば365nm、355nm、248nm、193nm、157nm、もしくは126
nmの波長又はこれら付近の波長を有する)、及び極端紫外線(EUV)放射(例えば5
~20nmの範囲内の波長を有する、又は13.5nmもしくは6.7nmの波長もしく
はこれら付近の波長を有する)を含む、あらゆるタイプの電磁放射を包含すると共に、イ
オンビーム又は電子ビーム等の粒子ビームも包含する。放射ビームは、例えば水銀ランプ
によって与えられるスペクトル線、すなわちg線(436nm又はこの付近の波長を有す
る)、及び/又はh線(405nm又はこの付近の波長を有する)等、可視光を含み得る
。可視光は、単数のLED(発光ダイオード)、又は複数のLEDの組み合わせによって
与えられ得る。単数のLED又は複数のLEDの組み合わせは、UV放射、可視光、及び
/又は赤外線放射を与えることができる。
【0023】
[022] 支持構造MTは、パターニングデバイスMAを支持、すなわちその重量を支えて
いる。支持構造MTは、パターニングデバイスMAの方向、リソグラフィ装置の設計等の
条件、例えばパターニングデバイスMAが真空環境で保持されているか否かに応じた方法
で、パターニングデバイスMAを保持する。支持構造MTは、パターニングデバイスMA
を保持するために、機械的、真空、静電気等のクランプ技術を使用することができる。支
持構造MTは、例えばフレーム又はテーブルでよく、必要に応じて固定式又は可動式でよ
い。支持構造MTは、パターニングデバイスMAが例えば投影システムPSなどに対して
確実に所望の位置にくるようにできる。更に、支持構造MTは、パターニングデバイスM
Aを能動的に曲げることを可能にするパターニングデバイスホルダ、機構及び/又はステ
ージ本体を備えることができる。パターニングデバイスMAを能動的に曲げることによっ
て、パターニングデバイスMAの曲率を制御することができる。そのような支持構造MT
は、米国特許出願公報US2013/0250271A1号及びUS2016/0011
525A1号に開示されている。これらは引用により本願にも含まれるものとする。
【0024】
[023] 本明細書において使用する「パターニングデバイス」という用語は、基板Wのタ
ーゲット部分Cにパターンを生成するように、放射ビームの断面にパターンを付与するた
めに使用し得る任意のデバイスを指すものとして広義に解釈されるべきである。ここで、
放射ビームBに付与されるパターンは、例えばパターンが位相シフトフィーチャ又はいわ
ゆるアシストフィーチャを含む場合、基板Wのターゲット部分Cにおける所望のパターン
に正確には対応しないことがある点に留意されたい。一般的に、放射ビームBに付与され
るパターンは、集積回路などのターゲット部分Cに生成されるデバイスの特定の機能層に
相当する。
【0025】
[024] パターニングデバイスMAは、透過性又は反射性であってもよい。パターニング
デバイスの例には、マスク、プログラマブルミラーアレイ、及びプログラマブルLCDパ
ネルが含まれる。パターニングデバイスMAは、マスク又はレチクルと呼ぶことができる
。空間像(すなわち、基板W上に投影されたパターンの空間像)の光学特性は、透過マス
ク、透過レチクル、又は反射マスクを能動的に曲げることによって制御することができる
。パターニングデバイスの例には、マスク、プログラマブルミラーアレイ、及びプログラ
マブルLCDパネルがある。マスクはリソグラフィにおいて周知のものであり、これには
、バイナリマスク、レベンソン型(alternating)位相シフトマスク、ハーフ
トーン型(attenuated)位相シフトマスクのようなマスクタイプ、更には様々
なハイブリッドマスクタイプも含まれる。プログラマブルミラーアレイの一例として、小
型ミラーのマトリクス配列を使用し、ミラーは各々、入射する放射ビームを異なる方向に
反射するよう個々に傾斜することができる。傾斜したミラーは、ミラーマトリクスによっ
て反射する放射ビームにパターンを与える。
【0026】
[025] 本明細書において使用する「投影システム」という用語は、例えば使用する露光
放射、又は液浸液の使用や真空の使用などの他の要因に合わせて適宜、例えば屈折光学シ
ステム、反射光学システム、反射屈折光学システム、磁気光学システム、電磁気光学シス
テム及び静電気光学システム、又はその任意の組み合わせを含む任意のタイプの投影シス
テムを網羅するものとして広義に解釈されるべきである。
【0027】
[026] 本明細書で示すように、リソグラフィ装置は透過タイプである(例えば透過マス
クを使用する)。あるいは、リソグラフィ装置は反射タイプでもよい(例えば上記で言及
したようなタイプのプログラマブルミラーアレイを使用する、又は反射マスクを使用する
)。
【0028】
[027] リソグラフィ装置は、2つ(デュアルステージ)又はそれ以上の基板テーブル(
及び/又は2つ以上のマスクテーブル)を有するタイプでよい。このような「マルチステ
ージ」機械においては、追加のテーブルを並行して使用するか、1つ以上の他のテーブル
を露光に使用している間に1つ以上のテーブルで予備工程を実行することができる。基板
Wを保持する代わりに、少なくとも1つのセンサを保持するように追加のテーブルを配置
してもよい。少なくとも1つのセンサは、投影システムPSの特性を測定するセンサ、又
は露光放射の特性を測定するセンサ、センサに対するパターニングデバイスMA上のマー
カの位置を検出するセンサ、又は他のタイプのセンサであってもよい。追加のテーブルは
、例えば投影システムPSの一部又はリソグラフィ装置の他の部分を洗浄するための洗浄
デバイスを含むことができる。
【0029】
[028] リソグラフィ装置は、投影システムPSと基板Wとの間の空間を充填するように
、基板Wの少なくとも一部が相対的に高い屈折率を有する液体、例えば水によって覆える
タイプでもよい。リソグラフィ装置内の他の空間、例えばパターニングデバイスMAと投
影システムPSとの間に液浸液を印加することもできる。液浸技術は、投影システムの開
口数を増やすための分野では周知である。本明細書で使用する「液浸」という用語は、基
板などの構造を液体に沈めなければならないという意味ではなく、露光中に投影システム
PSと基板Wとの間に液体が存在するというほどの意味である。
【0030】
[029] 放射ビームBは、支持構造MT上に保持されたパターニングデバイスMAに入射
し、パターニングデバイスMAによってパターン形成される。支持構造MTを横断した放
射ビームBは、投影システムPSを通過し、投影システムPSは、ビームを基板Wのター
ゲット部分C上に合焦させる。基板Wを露光するため用いられる放射ビームBを、露光ビ
ームと呼ぶこともある。第2のポジショナPW及び位置センサIF(例えば、干渉計デバ
イス、リニアエンコーダ又は容量センサ)の助けにより、基板テーブルWTを、例えば様
々なターゲット部分Cを放射ビームBの経路に位置決めするように正確に移動できる。同
様に、第1のポジショナPMと別の位置センサ(図1には明示されていない)を用いて、
マスクライブラリからの機械的な取り出し後又はスキャン中などに放射ビームBの経路に
対してパターニングデバイスMAを正確に位置決めできる。一般に、支持構造MTの移動
は、第1のポジショナPMの一部を形成するロングストロークモジュール及びショートス
トロークモジュールを用いて実現することができる。ロングストロークモジュールは、限
られた精度(粗動位置決め)で広い範囲にわたって支持構造MTを移動させ、一方で、シ
ョートストロークモジュールは、ロングストロークモジュールに対して小さな範囲にわた
って高精度(微動位置決め)で支持構造MTを移動させる。同様に、基板テーブルWTの
移動も、第2のポジショナPWの一部を形成するロングストロークモジュールとショート
ストロークモジュールとを使って実現することができる。ステッパの場合(スキャナとは
対照的に)、支持構造MTは、ショートストロークアクチュエータのみに結合されていて
もよく、又は固定されていてもよい。
【0031】
[030] パターニングデバイスMA及び基板Wは、マスクアライメントマークM1、M2
と、基板アライメントマークP1、P2と、を用いて位置合わせすることができる。図示
の基板アライメントマークP1、P2は専用のターゲット部分を占めるが、ターゲット部
分Cの間の空間に配置してもよい。基板アライメントマークP1、P2は、それらがター
ゲット部分Cの間の空間に配置される時、スクライブラインアライメントマークとして知
られている。同様に、複数のダイがパターニングデバイスMA上に提供されている場合、
マスクアライメントマークは、ダイとダイの間に置かれてもよい。
【0032】
[031] 図示の装置は、以下のモードのうち少なくとも1つにて使用可能である。
【0033】
[032] 第1のモード、ステップモードでは、支持構造MT及び基板テーブルWTは、基
本的に静止状態に維持される一方、放射ビームBに与えたパターン全体が1回でターゲッ
ト部分Cに投影される(すなわち単一静的露光)。次に、別のターゲット部分Cを露光で
きるように、基板テーブルWTがX方向及び/又はY方向に移動される。ステップモード
では、露光フィールドの最大サイズによって、単一静的露光で像が形成されるターゲット
部分Cのサイズが制限される。
【0034】
[033] 第2のモード、スキャンモードでは、支持構造MT及び基板テーブルWTは同期
的にスキャンされる一方、放射ビームBに与えられるパターンがターゲット部分Cに投影
される(すなわち単一動的露光)。支持構造MTに対する基板テーブルWTの速度及び方
向は、投影システムPSの倍率(拡大率・縮小率)及び像反転特性によって求めることが
できる。スキャンモードでは、露光フィールドの最大サイズによって、単一動的露光にお
けるターゲット部分の(非スキャン方向における)幅が制限され、スキャン動作の長さに
よってターゲット部分の(スキャン方向における)高さが決まる。
【0035】
[034] 第3のモードでは、支持構造MTはプログラマブル・パターニング・デバイスM
Aを保持して基本的に静止状態に維持され、基板テーブルWTを移動又はスキャンさせな
がら、放射ビームBに与えられたパターンをターゲット部分Cに投影する。このモードで
は、一般にパルス状放射源を使用して、基板テーブルWTを移動させるごとに、又はスキ
ャン中に連続する放射パルスの間で、プログラマブル・パターニング・デバイスを必要に
応じて更新する。この動作モードは、以上で言及したようなタイプのプログラマブルミラ
ーアレイなどのプログラマブル・パターニング・デバイスを使用するマスクレス・リソグ
ラフィに容易に利用できる。この動作モードは、eビーム(電子ビーム)リソグラフィに
も容易に適用することができる。
【0036】
[035] リソグラフィ装置は更に、記載されるアクチュエータ及びセンサを制御する制御
ユニットを含む。制御ユニットは、リソグラフィ装置の動作に関連した所望の計算を実施
するための信号処理及びデータ処理の能力も含む。実際には、制御ユニットは多くのサブ
ユニットから成るシステムとして実現される。各サブユニットは、リソグラフィ装置内の
コンポーネントのリアルタイムのデータ取得、処理、及び制御を扱うことができる。例え
ば、或るサブユニットを第2のポジショナPWのサーボ制御に専用とすることができる。
別のサブユニットが、ショートストロークモジュール及びロングストロークモジュール、
又は異なる軸を扱ってもよい。別のサブユニットを位置センサIFの読み出しに専用とす
ることも可能である。リソグラフィ装置の全体的な制御は、中央処理ユニットによって制
御することができる。中央処理ユニットは、これらのサブユニットと、更にはリソグラフ
ィ製造プロセスに関与するオペレータ及び他の装置と、通信を行うことができる。
【0037】
[036] 上述した使用モードの組み合わせ及び/又は変形、又は全く異なる使用モードも
利用できる。
【0038】
[037] 基板Wは、シリコン(Si)ウェーハ、炭化ケイ素(SiC)ウェーハ、サファ
イアウェーハ、窒化ガリウム(GaN)ウェーハ、GaN層を有するシリコンウェーハで
あるGaN-on-Siウェーハ、ガリウムリン(GaP)ウェーハ、アンチモン化ガリ
ウム(GaSb)ウェーハ、ゲルマニウム(GE)ウェーハ、タンタル酸リチウム(Li
Ta)ウェーハ、ニオブ酸リチウム(LiN)ウェーハ、ヒ化インジウム(InAs)ウ
ェーハ、リン化インジウム(LiP)ウェーハ、又はガラス基板のいずれか1つとすれば
よい。基板Wは、酸化ガリウムやガリウムヒ素のような他の任意の材料で作製してもよい
。或る特定タイプのICを生成するためには、或る特定種類の材料が他の材料よりも基板
材料として適切であり得る。基板Wの大きさは、例えば直径が12.5mm、又は50m
m、又は100mm、又は150mm、又は200mm、又は300mm、又は450m
mなど、ICの生成に適した任意の大きさでよい。基板Wは任意の適切な形状を有し得る
。例えば基板Wは、円形、方形、又は矩形とすればよい。基板Wは、例えば6平方インチ
(6インチ×6インチ)のマスク、テンプレート、レチクル、テストレチクル、又はダミ
ーレチクルの生成に適した任意のサイズを有することができる。基板Wは、例えばG4、
G6(例えば約1.5m×1.8mのサイズ)、G8(例えば約2.2m×2.5mのサ
イズ)、又はG10等のフラットパネルディスプレイ(FPD)の生成に適した任意のサ
イズを有し得る。複数の基板をFOUP(Front Opening Unified
Pod)に収容することができる。例えば、25枚のシリコンウェーハをFOUPに収
容できる。これらのウェーハをウェーハのロットと呼ぶことがある。第1のFOUPに含
まれる基板を第1のロット内の基板と呼ぶことができる。
【0039】
[038] 図1のリソグラフィ装置は露光装置の一例である。露光装置は、露光ビーム(す
なわち放射ビームB)で基板Wを露光するための露光デバイスを提供する装置である。基
板Wを露光することによって、基板Wにパターンが生成される。露光装置が光学リソグラ
フィ装置である場合、通常、露光デバイスは投影システムPSと呼ばれる。一実施形態に
おいて、投影システムPSは、鏡筒及び複数の光学要素(レンズ、プリズム、及び/又は
ミラー等)を備えている。一実施形態において、投影システムPSは更に、各光学要素を
保持するためのレンズホルダと、位置(例えば垂直方向のすなわちz軸に沿った位置)及
び向き(例えばRx方向及びRy方向の傾き)を制御するためのアクチュエータ(圧電要
素等)を備えている。本発明の文脈で使用できる投影システムPSの例は、PCT出願公
報(国際公開公報)WO2005/001543A1号、WO2005/064382A
1号、及びWO2007/091463A1号に開示されている。これらは引用により本
願にも含まれるものとする。
【0040】
[039] 露光装置の別の例は、eビーム装置である。光学リソグラフィ装置とは異なり、
eビーム装置は、基板Wにeビーム(電子ビーム)を与えて基板W上にパターンを生成す
る露光デバイスを有する。そのような露光デバイスを変調装置と称することができる。単
数のeビームは複数の電子を含み得る。eビーム装置が複数の露光デバイスを有すること
によって、又は、複数のeビームを同時に与えるように配置された単数の露光デバイスを
有することによって、eビーム装置は、同時に複数のeビームを与えるように構成するこ
とができる。この実施形態の文脈で使用できる変調装置の一例が、日本特許出願公報JP
2011-258842A号に開示されている。これは引用により本願にも含まれるもの
とする。
【0041】
[040] 図2は、本発明の第1の実施形態を第1のビュー(例えば、上面図)で示す。図
3は、本発明の第1の実施形態を第2のビュー(例えば、側面図)で示す。図2及び図3
は、基板ホルダ202、センサホルダ206、及び移動器204を備えた露光装置200
の一部を示す。基板ホルダ202は基板Wを保持するように構成されている。センサホル
ダ206はセンサを保持するように構成されている。移動器204は基板ホルダ202を
移動させるように構成されている。基板ホルダ202は、代替的に「基板チャック」又は
「ウェーハチャック」とも称することができる。
【0042】
[041] 移動器204は、投影システムPSに対して基板ホルダ202を移動させるよう
に構成されているので、投影システムPSから投影された露光ビームは全てのターゲット
部分Cを露光することができる。移動器204は、x方向、y方向、及びz方向に移動で
きる。移動器204及び/又は基板ホルダ202には、移動器204が基板ホルダ202
を支持している間に移動器204に対して基板ホルダ202を移動させるためのアクチュ
エータシステムが設けられている。移動器204は、大きい範囲にわたる不正確な移動用
のロングストロークモジュールと見なすことができる。基板ホルダ202は、小さい範囲
にわたる正確な移動用のショートストロークモジュールと見なすことができる。基板ホル
ダ202は、基板テーブルWTを支持するか、又は基板テーブルWTと一体化することが
できる。移動器204には、例えば投影システムPSのような露光デバイスに対して移動
するため平面モータを設けることができる。移動器204は、例えば図2に示すy方向の
ようなスキャン方向で投影システムPSに対して移動するように構成され得る。移動器2
04は、例えば図2に示すx方向のようなスキャン方向に対して垂直な方向で投影システ
ムPSに対して移動するように構成され得る。スキャン方向に垂直な方向をステップ方向
と呼ぶことができる。移動器204は、基板Wが投影システムPSによって露光されてい
る間にスキャン方向に移動できる。移動器204は、基板Wが投影システムPSによって
露光されていない時にステップ方向に移動できる。移動器204は、スキャン方向及びス
テップ方向のうち一方において、他方よりも速い加速度及び/又は速度で移動するように
構成できる。平面モータは、移動器204上の磁石と、移動器204を支持しているベー
ス上のコイルと、を有することができる。そのような平面モータを「移動磁石型平面モー
タ」と称することができる。あるいは平面モータは、移動器204のコイルと、移動器2
04を支持しているベース上の磁石と、を有する。そのような平面モータを「移動コイル
型平面モータ」と称することができる。あるいは移動器204は、1つのリニアモータ又
は複数のリニアモータを備え得る。これに加えて又はこの代わりに、移動器204は、H
ドライブ機構に構成することも可能である。換言すると、移動器204は、少なくとも1
つのXリニアモータ(すなわち、主にx方向に移動するよう構成されたリニアモータ)と
、少なくとも1つのYリニアモータ(すなわち、主にy方向に移動するよう構成されたリ
ニアモータ)と、を備え得る。例えば、Hドライブ機構に構成された移動器204は、1
対のYリニアモータと、固定子が1対のYリニアモータの移動部分に取り付けられた1つ
のXリニアモータと、を備えることができる。
【0043】
[042] センサホルダ206は、少なくとも1つのセンサを保持する。例えばセンサホル
ダ206は1つのセンサを有する。若しくは、センサホルダ206は複数のセンサを有す
る。センサは、ドーズ量、収差、均一性などの露光ビームの特性を測定するためのセンサ
であり得る。センサホルダ206は、センサを保持するための追加テーブルを備えるか、
又は、この追加テーブルと一体化することも可能である。センサホルダ206は、例えば
投影システムPSの一部又はリソグラフィ装置の他の任意の部分を洗浄するための洗浄デ
バイスを備え得る。センサは、投影システムPSによって投影されたパターンの空間像を
測定するように構成された空間像測定デバイスを備え得る。
【0044】
[043] 一実施形態では、センサホルダ206に、センサ及び洗浄デバイスのうち少なく
とも一方が設けられている。センサを測定部材と呼んでもよい。一実施形態では、センサ
ホルダ206に、照度むらセンサが設けられている。照度むらセンサは、この照度むらセ
ンサのピンホール状受光部で受光された放射ビームBの照度のむらを検出するように構成
されている。一実施形態では、センサホルダ206に、空間像測定デバイス等のセンサが
設けられている。空間像測定デバイスは、投影システムPSによって投影されたパターン
の空間像を測定するように構成されている。一実施形態では、センサホルダ206に、波
面収差測定デバイス等のセンサが設けられている。波面収差測定デバイスは、引用により
本願に含まれる日本特許出願公報JP2003-100613A1号に記載されている。
波面収差測定デバイスは、例えばシャックハルトマン法を用いて波面の収差を測定するよ
うに構成されている。そのような波面収差測定デバイスは収差センサとも称することがで
きる。一実施形態では、センサホルダ206に、照度モニタ等のセンサが設けられている
。照度モニタは、投影システムPSの像面上の放射ビームBを受光し、投影システムPS
により与えられた放射ビームBの少なくとも1つの特性を測定するように構成されている
。一実施形態では、波面収差測定デバイス及び/又は照度モニタはセンサホルダ206の
上面に配置されている。
【0045】
[044] 一実施形態では、センサホルダ206によって保持されているセンサのうち1つ
は、投影システムPSの収差、投影システムPSの瞳、及び/又は照明システムILの極
性を測定するように構成されている。センサホルダ206によって保持されているセンサ
のうち1つが取得した測定データは、露光装置の結像品質を向上させるため、投影システ
ムPS、パターニングデバイスMA、照明システムIL、及び/又は放射源SOの特性の
調節又は制御に使用することができる。センサが投影システムPSの収差を測定するよう
に構成されている場合、シミュレーションモデルを用いて、基板W上の像(すなわち、基
板Wに投影されたパターンの空間像)の歪み(ゆがみ、すなわちディストーション)を予
測することができる。これに加えて又はこの代わりに、シミュレーションモデルを用いて
、投影システムPSの収差の変化を予測することができる、及び/又は照明システムIL
の照明瞳の分布を予測することができる。これに加えて又はこの代わりに、シミュレーシ
ョンモデルを用いて、基板W上に生成されるパターンを予測することができる。これに加
えて又はこの代わりに、波面収差測定デバイス及び/又は空間像測定デバイスを用いて、
シミュレーションモデルの較正、更新、及び/又は改善を行うことも可能である。シミュ
レーションモデルの使用は、センサが投影システムPSの収差を測定するよう構成されて
いる場合に限定されない。代替的な実施形態では、(収差センサでなく)均一性センサを
用いて、シミュレーションモデルの較正、更新、及び改善を行う。均一性センサは、セン
サホルダ206によって支持することができる。本発明の文脈で使用できるシミュレーシ
ョンモデル(又はシミュレーションモデルで用いられるアルゴリズム)の例は、日本特許
出願公報JP2013-165134A号、及びJP2014-165291A号、及び
PCT出願公報WO2011/102109A1号、WO2014/042044A1号
、及びWO2015/182788A1号に開示されている。これらは引用により本願に
も含まれるものとする。上述のセンサの例は、センサホルダ206上の方形、円形、及び
三角形として概略的に図示されている。一実施形態では、センサの形状は図示するものと
異なる場合がある。
【0046】
[045] 一実施形態では、投影システムPSによって投影されたパターンの空間像を測定
するように構成された空間像測定デバイスは、検出器、基準プレート、及び/又は光学要
素を備えている。基準プレートは、1つの基準マーク及び/又は1対の空間像測定スリッ
トパターンを備えている。空間像測定デバイスは複数の基準プレートを含み得る。一実施
形態では、空間像測定デバイスの全ての部分がセンサホルダ206上に設けられている。
あるいは、空間像測定デバイスの一部のみ、例えば検出器のみをセンサホルダ206上に
設けてもよい。この代わりに又はこれに加えて、空間像測定デバイスの一部、例えば基準
プレートを基板ホルダ202上に設けてもよい。あるいは、空間像測定デバイスは、引用
により本願に含まれる日本特許出願公報JP2007-189180A号に開示されてい
るようなダミーウェーハ上に設けてもよい。このようなダミーウェーハは、基板Wの代わ
りに基板ホルダ202上にロードすることができる。
【0047】
[046] 露光装置200は、センサホルダ206を移動器204に提供するため、センサ
ホルダ206を移動器204から取り外すため、センサホルダ206を支持するため、及
び/又はセンサホルダ206を移動するため、の交換機構208を備えることができる。
【0048】
[047] 図4は第1の状態の露光装置200を示す。移動器204は、第1の状態におい
てセンサホルダ206と結合してセンサホルダ206を移動させるように構成されている
。移動器204及びセンサホルダ206が相互に結合している場合、移動器204の移動
によってセンサホルダ206を移動させることができる。移動器204は、センサホルダ
206を投影システムPSに対して移動させるので、センサホルダ206の様々な部分が
投影システムPSの下にあり得る。例えば移動器204は、センサホルダ206を投影シ
ステムPSに対して移動させて、センサホルダ206上の複数のセンサを投影システムP
Sからの露光ビームで露光すること(換言すると、露光ビームの特性をセンサホルダ20
6上の各センサを使って測定すること)を可能とする。
【0049】
[048] 図4に示すように、基板ホルダ202及びセンサホルダ206は双方とも移動器
204によって支持されている。第1の状態では、基板ホルダ202及びセンサホルダ2
06は、一体となって移動器204に対して移動するように構成することができる。露光
装置200に液浸技術が適用される場合、基板ホルダ202とセンサホルダ206が一体
となって移動する際に、液浸液を、基板ホルダ202及びセンサホルダ206の一方から
他方へと移動させることができる。そのような移動中、基板ホルダ202及びセンサホル
ダ206は、相互に接触しているか、又はギャップによって相互に分離している場合があ
る。このギャップは充分に小さいので、基板ホルダ202及びセンサホルダ206が一体
となって移動する間、これらの間での液浸液の漏れを制限又は防止することができる。液
浸技術を実施する場合、リソグラフィ装置は、投影システムPSと、基板ホルダ202、
基板W、及びセンサホルダ206のうち少なくとも1つとの間に画定される空間に、液浸
液を供給して閉じ込めるように構成された液体ハンドリングシステムを備えていてもよい
【0050】
[049] 図5は第2の状態の露光装置200を示す。移動器204は、第2の状態におい
てセンサホルダ206から分離し、センサホルダ206なしで移動するように構成されて
いる。第2の状態では、移動器204はセンサホルダ206なしで移動できる。第2の状
態では、移動器204は基板ホルダ202を支持し、センサホルダ206を支持しない。
センサホルダ206は、交換機構208によって支持及び/又は移動される。センサホル
ダ206が交換機構208によって投影システムPSの付近に又は投影システムPSに位
置付けられている場合、センサホルダ206上のセンサは測定を実行できる。交換機構2
08は、センサホルダ206を投影システムPSに対して移動させることができるので、
センサホルダ206の様々な部分を投影システムPSの下に位置付けることができる。移
動器204が第2の状態で移動する場合、移動器204はセンサホルダ206の質量を移
動させない。第2の状態では、移動器204は、ターゲット部分Cを露光するように、投
影システムPSに対して基板ホルダ202を移動させることができる。第2の状態は露光
中であり得る。移動器204は、第2の状態ではセンサホルダ206の質量を移動させる
必要がないので、より高速で移動できる。あるいは移動器204は、より小型のアクチュ
エータを利用して所望の加速度を達成できる。移動器204がより高速で移動する場合、
単位時間当たりに露光できるターゲット部分Cの数が増えるので、1個のターゲット部分
C当たりのコストを削減できる。移動器204がより小型のアクチュエータを利用する場
合、アクチュエータ、冷却システム、増幅器等にかかる費用を抑えられる為、リソグラフ
ィ装置の価格(つまり、露光装置の製品価格)を抑えることができる。
【0051】
[050] 図6は第3の状態の露光装置200を示す。移動器204はセンサホルダ206
を支持している。交換機構208は基板ホルダ202を支持している。交換機構208は
、基板ホルダ202を基板アンロード位置へ移動させることができる。基板ホルダ202
が基板アンロード位置にある場合、基板ハンドラが基板ホルダ202から基板Wを取り外
すことができる。更に、基板アンロード位置で基板ホルダ202上に新しい基板Wを配置
する(もしくはロードする)ことができる。新しい基板Wは、別の場所、例えば基板ロー
ド位置で基板ホルダ202上にロードされてもよい。第3の状態では、センサホルダ20
6は、例えば投影システムPSのような露光デバイスの付近に又は露光デバイスに位置付
けられ得る。センサホルダ206が露光デバイスの付近に又は露光デバイスに位置付けら
れている場合、センサホルダ206上のセンサは測定を実行できる。移動器204は、セ
ンサホルダ206を投影システムPSに対して移動させることができるので、センサホル
ダ206の様々な部分を投影システムPSの下に位置付けることができる。
【0052】
[051] 移動器204に対して移動するためのアクチュエータを、センサホルダ206に
設けることができる。例えばアクチュエータは、移動器204に対してセンサホルダ20
6をx方向又はy方向に移動させるように構成できる。アクチュエータシステムは、コイ
ルのアレイ及び磁石のアレイを備え得る。コイルのアレイ及び磁石のアレイのうち一方を
センサホルダ206上に設けることができる。コイルのアレイ及び磁石のアレイの他方を
移動器204上に設けることができる。コイルのアレイ及び磁石のアレイは相互に作用し
て、移動器204に対してセンサホルダ206を移動させるための駆動力を与え得る。あ
るいは、アクチュエータには単数の磁石又は単数のコイルが設けられていてもよい。これ
に加えて、移動器204に対するセンサホルダ206の位置を決定するため、センサシス
テムを設けることができる。センサシステムからの信号に基づいてアクチュエータシステ
ムを制御するコントローラを設けることができる。
【0053】
[052] 図7は本発明の別の実施形態を示す。図7の左部分は、基板ホルダ202を支持
している移動器204の側面を示す。基板ホルダ202は、ある特定の直径の基板Wを支
持している。この直径は、例えば、12.5mm、又は50mm、又は100mm、又は
150mm、又は200mm、又は300mm、又は450mmであり得る。図7の右部
分に示すように、露光装置200は、基板Wとは異なる直径を有する追加的な基板W2を
保持するように構成されていると有益であり得る。図7の右部分は、追加的な基板ホルダ
702を支持している移動器204を示す。追加的な基板ホルダ702は、追加的な基板
W2を保持するように構成されている。追加的な基板W2の直径は基板Wの直径よりも大
きい。追加的な基板W2の直径は、例えば、12.5mm、又は50mm、又は100m
m、又は150mm、又は200mm、又は300mm、又は450mmであり得る。追
加的な基板ホルダ702は基板ホルダ202よりも大きい。あるいは、追加的な基板ホル
ダ702は基板ホルダ202よりも小さくてもよい。追加的な基板ホルダ702に対応す
るため、移動器204は2つの部分、すなわち左部分706及び右部分704を有するこ
とができる。左部分706及び右部分704は、基板ホルダ202及び追加的な基板ホル
ダ702を共に支持するように構成されている。基板ホルダ202を支持している場合、
左部分706及び右部分704は相互に距離710だけ離れている。追加的な基板ホルダ
702を支持している場合、左部分706及び右部分704は相互に距離720だけ離れ
ている。追加的な基板ホルダ702が基板ホルダ202よりも大きい場合、距離720は
距離710よりも大きいので、追加的な基板ホルダ702を支持するため左部分706と
右部分704との間にはより大きい空間がある(つまり、この場合、左部分706と右部
分704が、より離れている)。距離710及び720を設定(もしくは調整)する際に
は、左部分706及び右部分704を手動で調整してもよい。又は、距離710及び72
0を設定(調整)するためのアクチュエータを移動器204に設けてもよい。アクチュエ
ータは、左部分706及び右部分704を相互に対して移動させるための親ねじ又は圧電
アクチュエータ又は他の任意の適切なアクチュエータを含み得る。移動器204は、距離
710及び720を表す信号を与えるためのセンサを含み得る。この信号は、距離710
及び720を設定(もしくは調整)するためのアクチュエータ用の制御信号として使用で
きる。
【0054】
[053] 図7の実施形態は、単一のリソグラフィ装置が異なるサイズの基板を処理できる
という利点を提供することができる。IC製造業者は、基板のサイズごとに専用のリソグ
ラフィ装置を購入する必要がなくなり、その代わりに、単一のリソグラフィ装置が異なる
サイズの基板を処理するので、リソグラフィ装置が効率的に使用される。リソグラフィ装
置に基板ホルダハンドラを設けることができる。リソグラフィ装置に複数の基板ホルダハ
ンドラを設けることも可能である。基板ホルダハンドラは、基板ホルダ202と結合する
と共に、基板ホルダ202をリソグラフィ装置から取り外すように構成されている。基板
ホルダハンドラは、例えば基板ホルダ202を移動器204上に置くことによって、リソ
グラフィ装置に基板ホルダ202を加えるよう構成されている。同様に、基板ホルダハン
ドラは、リソグラフィ装置に別の基板ホルダ212及び/又は追加的な基板ホルダ702
を加えるように、及びリソグラフィ装置からこれらを取り外すように構成できる。例えば
、交換機構208が基板ホルダハンドラを形成することができる。交換機構208が複数
の基板ホルダハンドラを備え、これらの基板ホルダハンドラの各々が独立して制御される
ことも可能である。IC製造業者が異なるサイズ又はタイプの基板Wを露光したい場合、
基板ホルダハンドラは、リソグラフィ装置から使用していた基板ホルダを取り外し、異な
るサイズ又はタイプの基板Wに適した別のタイプの基板ホルダに交換することができる。
この実施形態では、別の基板ホルダ212は基板ホルダ202と同じサイズを有し得るが
、追加的な基板ホルダ702は基板ホルダ202とは異なるサイズを有し得る。この実施
形態では、追加的な基板ホルダ702と同じサイズである、もう1つの基板ホルダが存在
し得る。この実施形態では、IC製造業者が異なるサイズの基板Wを露光したい場合、基
板ホルダ202及び別の基板ホルダ212を、追加的な基板ホルダ702、及び、この(
追加的な基板ホルダ702と同じサイズの)もう1つの基板ホルダに交換することができ
る。基板ホルダハンドラは、ウェーハハンドラに極めて類似し、例えば基板ホルダと係合
するためのロボットアーム及び/又はグリッパを含み得る。
【0055】
[054] 左部分706及び右部分704の各々に、コイルアレイ740を設けることがで
きる。コイルアレイ740はy方向に延出し得る。基板ホルダ202及び追加的な基板ホ
ルダ702に、磁石アレイ730を配置することができる。磁石アレイ730はy方向に
延出し得る。あるいは、左部分706及び右部分704の各々に磁石アレイ730が設け
られ、基板ホルダ202及び追加的な基板ホルダ702にコイルアレイ740が設けられ
る。磁石アレイ730及びコイルアレイ740は共に、基板ホルダ202及び追加的な基
板ホルダ702を移動器204に対してy方向に移動させるためのアクチュエータシステ
ムを形成する。アクチュエータシステムは、基板ホルダ202及び追加的な基板ホルダ7
02を移動器204に対して、1つ又はいくつかのターゲット部分Cの距離にわたって移
動させるように構成できる。この距離は、100mm未満、又は50mm未満、又は20
mm未満、又は10mm未満、又は5mm未満、又は2mm未満であり得る。この代わり
に又はこれに加えて、アクチュエータシステムは、移動器204に対して基板ホルダ20
2をx方向に移動させるように構成できる。x方向の移動範囲は、y方向の移動範囲より
も著しく小さい可能性がある。例えばアクチュエータシステムは、移動器204に対して
基板ホルダ202をx方向に5mm未満の範囲にわたって、例えば2mm未満、例えば1
未満の範囲で、移動させることができる。左部分706及び右部分704の各々はU字形
を形成し得る。U字形は、位置測定システムが延出できる空間を形成し得る。例えば、エ
ンコーダシステムがU字形の内部に延出する。移動器204は、基板ホルダ202が磁石
アレイ730の方向に沿って、すなわち図7のy方向に移動することによって、移動器2
04に対して結合及び分離できるように構成することができる。磁石アレイ730及びコ
イルアレイ740の一方は、移動器204に対してセンサホルダ206を移動させるため
のアクチュエータの一部を形成し得る。
【0056】
[055] 移動器204はガイドシステムを支持することができる。ガイドシステムは、左
部分706及び右部分704の相対的なx方向の移動を誘導するように構成できる。例え
ばガイドシステムは、右部分704に対する左部分706のx方向の移動を可能とするガ
イドレールを備えている。
【0057】
[056] 左部分706を誘導するガイドレールに、2つの端部止め具を設けることができ
る。一方の端部止め具はガイドレールの一方側に配置できる。左部分706が一方の端部
止め具に位置付けられている場合、左部分706は基板ホルダ202を支持するよう設定
(調整)できる。他方の端部止め具はガイドレールの他方の側に配置できる。左部分70
6が他方の端部止め具に位置付けられている場合、左部分706は追加的な基板ホルダ7
02を支持するよう設定できる。同様に、右部分704を誘導するガイドレールに、2つ
の端部止め具を設けることも可能である。右部分704が一方の端部止め具に位置付けら
れている場合、右部分704は基板ホルダ202を支持するよう設定できる。他方の端部
止め具はガイドレールの他方の側に配置することができる。右部分704が他方の端部止
め具に位置付けられている場合、右部分704は追加的な基板ホルダ702を支持するよ
う設定できる。
【0058】
[057] 一実施形態では、基板ホルダ202は、基板W及び追加的な基板W2を支持する
ように構成されている。例えば基板ホルダ202に、基板W及び追加的な基板W2を固定
するクランプデバイスを設けることができる。クランプデバイスは、基板Wを固定してい
る場合、第1のエリア上に、例えば真空力又は静電力のようなクランプ力を与えることが
できる。クランプデバイスは、追加的な基板W2を固定している場合、第2のエリア上に
クランプ力を与えることができる。第2のエリアは第1のエリアよりも大きくすることが
できる。第2のエリアは第1のエリアよりも直径を大きくすることができる。
【0059】
[058] 図8は、本発明に従った一実施形態を示す。図8の左部分において、移動器20
4は基板ホルダ202及びセンサホルダ206を支持している。センサホルダ206は、
幅800、及び、長さ802を有する。長さ802は、基板ホルダ202のサイズと実質
的に等しい。例えば、基板ホルダ202のサイズは、ほぼ基板Wの直径である。長さ80
2は、ほぼ基板Wの直径である。長さ802は、基板ホルダ202のサイズと実質的に等
しく、マーカアレイ810を収容するのに十分な長さである。マーカアレイ810は、基
板Wの直径とほぼ等しい距離に沿って複数のアライメントマーカを有する(つまり、複数
のアライメントマーカがマーカアレイ810に配置されている)。更に、センサホルダ2
06は、センサ850、852、及び854を保持している。センサ850、852、及
び854のうち少なくとも1つは、上述した照度むらセンサ、波面収差測定デバイス、又
は均一性センサを含み得る。例えば、センサ850は照度むらセンサを含み、センサ85
2は波面収差測定デバイスを含み、センサ854は均一性センサを含み得る。センサ85
0、852、及び854の少なくとも1つは、センサでなく洗浄デバイスであってもよい
。センサ850、852、及び854の少なくとも1つは、別のタイプのセンサであって
もよい。
【0060】
[059] 図8の右部分に示すように、移動器204は、追加的な基板W2を支持するため
基板ホルダ202よりも大きい追加的な基板ホルダ702を支持している。追加的な基板
W2は基板Wよりも大きいので、マーカアレイ810は、充分な数のアライメントマーカ
を適切に配置するのに十分な大きさではない可能性がある。この問題を解決するため、セ
ンサホルダ206に追加的なマーカアレイ820が設けられている。追加的なマーカアレ
イ820はマーカアレイ810よりも大きい(長い)。追加的なマーカアレイ820を支
持するため、幅800は、追加的な基板ホルダ702のサイズと実質的に等しい。つまり
、追加的な基板ホルダ702が基板ホルダ202よりも大きい場合、幅800は長さ80
2よりも長い。
【0061】
[060] 図8に示すように、センサホルダ206は、図8の左部分では第1の向きを有し
図8の右部分では第2の向きを有する。第1の向きでは、センサホルダ206は、水平
面に垂直な軸に沿って第1の角度を有する。第1の向きでは、幅800はy軸に沿うよう
に位置合わせされ、長さ802はx軸に沿うように位置合わせされている。第1の向きは
、z軸に沿って0度の角度として定義できる。第2の向きでは、センサホルダ206は、
水平面に垂直な軸に沿って第2の角度を有し、第1の角度は第2の角度とは異なる。第2
の向きでは、長さ802はy軸に沿うように位置合わせされ、幅800はx軸に沿うよう
に位置合わせされている。第2の向きは、z軸に沿って90度の角度として定義できる。
一実施形態では、第1の向きでの角度と第2の向きでの角度との差は、90度以外の値、
例えば30度、又は45度、又は120度、又は180度としてもよい。センサホルダ2
06の形状は、例えば三角形又はT字形のように、矩形とは異なってもよい。
【0062】
[061] 一実施形態では、センサホルダ206は、長さ802及び幅800を有し、第1
の向きでのみ基板ホルダ202及び追加的な基板ホルダ702の双方にとって適切な大き
さである。あるいは、2つのセンサホルダ206が設けられ、一方のセンサホルダは他方
のセンサホルダよりも大きい。
【0063】
[062] 一実施形態において、センサホルダ206は、基板ホルダ202から放射ビーム
(露光ビーム)を受光するように構成されている。例えば、投影システムPSは露光ビー
ムを基板ホルダ202に伝搬させる。基板ホルダ202を介して、露光ビームの少なくと
も一部はセンサホルダ206に誘導される。一実施形態では、基板ホルダ202はマーカ
830を備えている。投影システムPSは、マーカ830を露光ビームで露光して、マー
カ830上に像を投影する。露光ビームは、マーカ830に投影された像に関する情報を
含む。露光ビームがマーカ830を介してセンサホルダ206に伝搬すると、像に関する
情報がセンサホルダ206に伝搬する。センサホルダ206には、露光ビームを受光する
と共にマーカ830に投影された像に関する情報を表す信号を与える(生成する)検出器
840を設けることができる。例えばこの情報は、マーカ830上の像の位置、像とマー
カ830との干渉パターン、マーカ830上に投影された像の歪み、又は露光ビームの強
度であり得る。検出器840に加えて、センサホルダ206に少なくとも1つの追加の検
出器を設けることも可能である。少なくとも1つの追加の検出器の1つは、検出器840
が配置されているセンサホルダ206の側とは異なるセンサホルダ206の側に配置する
ことができる。例えば、検出器840を長さ802の側に配置し、追加の検出器を幅80
0の側に配置する。センサホルダ206が第2の向きである場合、追加の検出器は、基板
ホルダ202又は追加的な基板ホルダ702に対向し得る。
【0064】
[063] 一実施形態において、マーカ830及び検出器840は、(投影システムPSに
よって投影されたパターンの空間像を測定するように構成された)空間像測定デバイスの
構成部材であり得る。この文脈において、マーカ830は単数もしくは複数の基準プレー
トを備える。検出器840が空間像に関する情報を表す信号を生成する(つまり、空間像
測定デバイスが空間像を測定する)のは、基板ホルダ202及びセンサホルダ206が双
方とも移動器204によって支持されている時であり得る。検出器840が空間像に関す
る情報を表す信号を生成するのは、基板ホルダ202及びセンサホルダ206が一体とな
って移動する時でもよい。
【0065】
[064] 一実施形態では、検出器はセンサホルダ206上に配置されず、どこか他の場所
に配置されて、検出器に対してセンサホルダ206が移動できるようになっている。例え
ば、検出器840を移動器204上に配置するか、又は検出器840を静止フレーム上に
配置することができる。この実施形態では、露光ビームを検出器840に誘導するための
光学コンポーネントをセンサホルダ206に設けることができる。
【0066】
[065] 図2及び図9に更に示す通り、露光装置200は、例えば投影システムPSであ
る露光デバイス、及び測定デバイス220を備えることができる。露光デバイスは、基板
Wを露光ビームで露光するように構成されている。測定デバイス220は、基板Wの測定
情報を与えるように(すなわち、基板Wを測定するように)構成されている。露光デバイ
ス及び測定デバイス220は相互に離れている。移動器204は、露光デバイス付近にあ
る時に基板ホルダ202を支持するよう構成されている。
【0067】
[066] 測定デバイス220は、基板Wの測定情報を与えるように(すなわち、基板Wを
測定するように)構成された任意の適切なデバイスとすればよい。例えば、測定デバイス
220は、基板Wの平坦さのような基板Wの高さプロファイルに関する情報を与え得る。
高さプロファイルに関する情報を用いて、特定のターゲット部分Cの露光中に基板Wを特
定のz位置に位置決めして、ターゲット部分Cの焦点像を生成することができる。これに
加えて又はこの代わりに、測定デバイス220は、基板Wの面内変形に関する情報を与え
るように構成できる。例えば、測定デバイス220は、基板W上の基板アライメントマー
クP1、P2の位置に関する情報を与え得る。基板アライメントマークP1、P2の位置
に関する情報を用いて、基板アライメントマークP1、P2の相対的な位置を決定するか
、又はこの情報を基準情報と比較することができる。面内変形に関する情報を用いて、特
定のターゲット部分Cの露光中に基板Wを特定のx位置及びy位置に位置決めして、基板
Wの正しいx位置及びy位置に像を生成する(すなわち、結像する)ことができる。
【0068】
[067] 測定デバイス220は、引用により本願にも含まれるものとする米国特許出願U
S2009-0233234A1号に開示されているような複数のアライメントセンサを
備え得る。換言すると、測定デバイス220は、そのような複数のアライメントセンサを
有するアライメントシステムを備え得る。あるいは、測定デバイス220が有するアライ
メントシステムは、単数のアライメントセンサを備えていてもよい。アライメント動作中
に単数のアライメントセンサに対して基板Wを移動させて、単数のアライメントセンサに
基板アライメントマーカP1、P2を順次対向させることができる。アライメント動作中
、アライメントセンサは、基板アライメントマーカP1、P2の位置に基づいて、測定情
報の一種である位置情報を生成できる。換言すると、アライメントセンサは、基板アライ
メントマークP1、P2の位置を測定することができる。これに加えて又はこの代わりに
、アライメント動作中、アライメントセンサは、ターゲット部分Cに配置されていること
があるオーバーレイマークの位置に基づく位置情報を生成してもよい。これに加えて又は
この代わりに、アライメント動作中、アライメントセンサは、基板アライメントマークP
1、P2及びオーバーレイマークの双方の位置に基づく位置情報を生成してもよい。換言
すると、アライメントセンサは、基板アライメントマークP1、P2とオーバーレイマー
クの双方の位置を測定してもよい。
【0069】
[068] 露光デバイス及び測定デバイス220は相互に離れているので、基板Wが露光デ
バイスにある場合には基板Wは測定デバイス220に存在せず、その逆もまた同様である
。測定デバイス220が測定を実行して測定情報を与える位置から、露光デバイスが基板
Wを露光する別の位置まで、基板Wを移動させることができる。一実施形態では、露光デ
バイス及び測定デバイス220を相互に隣接させることも可能である。例えば、基板Wの
1つのエッジが測定デバイス220にある場合、基板Wの別のエッジは露光デバイスにあ
る。
【0070】
[069] 一実施形態では、図2に見られるように、移動器204は、基板ホルダ202が
露光デバイスの付近にある時に基板ホルダ202を支持するように構成されている。静止
支持体210は、別の基板ホルダ212が測定デバイス220の付近にある時に、別の基
板ホルダ212を支持するために設けられている。別の基板ホルダ212は、基板ホルダ
202若しくは追加的な基板ホルダ702と、同一又は同様であり得る。静止支持体21
0に対して別の基板ホルダ212を移動させるためのアクチュエータシステムを静止支持
体210に設けることができる。アクチュエータシステムは、静止支持体210によって
支持されている時に別の基板ホルダ212を移動させるように構成された移動デバイス2
30の一部とすることができる。例えば移動デバイス230は、別の基板ホルダ212を
x方向及びy方向に移動させるように構成されたロボットアームを含む。移動デバイス2
30は複数のロボットアームを含み得る。ロボットアームは、別の基板ホルダ212をz
軸に沿って回転させるように構成できる。換言すると、測定デバイス220の動作中に(
例えば、アライメント動作中に)、移動デバイス230が別の基板ホルダ212を静止支
持体210に対して水平方向に移動させることができる。一実施形態では、別の基板ホル
ダ212に、磁石アレイ730及びコイルアレイ740の一方が設けられている。この磁
石アレイ730及びコイルアレイ740の一方によって、アクチュエータシステムの一部
を形成できる。アクチュエータシステムの別の部分は、静止支持体210の上面に配置す
ることができる。例えば、この上面に、磁石のアレイ又はコイルのアレイが設けられてい
る。磁石のアレイ又はコイルのアレイは、x方向及びy方向の双方に延出する2Dアレイ
に配列することができる。つまり、測定デバイス220の動作中に、別の基板ホルダ21
2自体に備えられているアクチュエータシステム(若しくはアクチュエータシステムの一
部)を用いて、別の基板ホルダ212を静止支持体210に対して(例えば、水平方向に
)移動させてもよい。
【0071】
[070] 一実施形態では、交換機構208は、別の基板ホルダ212を静止支持体210
から移動器204に移すように構成されてもよい。これに加えて又はこの代わりに、交換
機構208は、基板ホルダ202を移動器204から静止支持体210に移すように構成
されてもよい。交換機構208は、測定デバイス220の動作中、別の基板ホルダ212
が静止支持体210によって支持されている時に、別の基板ホルダ212を移動させても
よい。移動デバイス230と交換機構208は、同様に構成され同様に動作してもよい。
移動デバイス230と交換機構208は、露光装置200内の別々の場所において、同時
に動作してもよい。例えば、図2及び図3に見られるように、移動デバイス230が別の
基板ホルダ212を保持(及び/又は、移動)し、交換機構208がセンサホルダ206
を保持(及び/又は、移動)してもよい。
【0072】
[071] 静止支持体210の上面に、この上面と別の基板ホルダ212との間にガス膜を
与えるガス出口を設けることができる。ガス膜は、ガスベアリングとして機能して、別の
基板ホルダ212と上面との物理的接触なしに別の基板ホルダ212を支持できる。ガス
出口の各々に弁を設けることができる。弁は、別の基板ホルダ212がガス出口の付近又
は上方にある場合に開放し、別の基板ホルダ212がガス出口から離れている場合に閉鎖
するよう構成することができる。ガス出口によって与えられるガスは、空気、窒素、又は
他の任意の適切なガスを含み得る。
【0073】
[072] 一実施形態では、図9に示すように、露光装置200に第1のエンコーダヘッド
910及び第1のスケール915を設けることができる。静止支持体210は、第1のエ
ンコーダヘッド910を保持するためのくぼみを備えている。第1のスケール915は、
別の基板ホルダ212の下面に配置されている。第1のエンコーダヘッド910は、別の
基板ホルダ212が測定デバイス220の付近に又は測定デバイス220にある時に第1
のスケール915に対向し、別の基板ホルダ212の位置情報を表す第1の信号を与える
(生成する)ように構成されている。例えば第1のエンコーダヘッド910は、別の基板
ホルダ212の、x軸に沿った位置、及び/又はy軸に沿った位置、及び/又はz軸に沿
った位置、及び/又はx軸を中心とする回転、及び/又はy軸を中心とする回転、及び/
又はz軸を中心とする回転を表す信号を与え(生成し)得る。第1のエンコーダヘッド9
10は、複数のエンコーダヘッドを含む、及び/又は、例えば容量センサもしくは干渉計
センサのようなエンコーダヘッド以外の位置センサを含むエンコーダヘッドシステムとす
ることができる。そのようなエンコーダヘッドシステムを位置測定装置や位置測定システ
ムと呼ぶこともある。
【0074】
[073] 第1のエンコーダヘッド910は、動的アイソレータを介して静止支持体210
に結合することができる。動的アイソレータは、機械ばね又はダンパを含み得る。機械ば
ねは、らせんばね又は板ばねとすることができる。ダンパは、粘性ダンパ又は粘弾性ダン
パを含み得る。動的アイソレータは、アクチュエータ、センサ、及びコントローラを含み
得る。センサは、静止支持体210の振動を検出するように構成できる。センサからの入
力に基づいて、コントローラは、第1のエンコーダヘッド910を振動させる静止支持体
210の振動を防止するようにアクチュエータを制御して作動させることができる。例え
ばアクチュエータは、圧電アクチュエータ、又はリラクタンスアクチュエータ、又はロー
レンツアクチュエータである。あるいは、センサ、コントローラ、及びアクチュエータは
、静止支持体210の振動とは無関係に、第1のエンコーダヘッド910が基準に対して
所望の位置を維持するよう構成することができる。この基準は、測定デバイス220又は
露光デバイスであり得る。
【0075】
[074] 図9に示すように、例えば投影システムPSである露光デバイスは、フレーム9
40によって支持されている。一実施形態では、露光デバイスはフレーム940に対して
移動できる。露光デバイスがフレーム940に対して移動できる場合、露光デバイスは露
光ビームの経路を変更することができる。例えば、露光デバイスがx方向に移動できる場
合、露光デバイスは露光ビームの経路をx方向にシフトすることができる。露光ビームの
経路をシフトすることによって、基板ホルダ202を移動させることなく、基板Wのより
大きな部分を露光ビームで露光できる。この代わりに又はこれに加えて、露光ビームの経
路を基板ホルダ202の移動方向にシフトさせることによって、基板Wの特定の部分をよ
り長い時間期間にわたって露光することができる。露光デバイスは、x軸、y軸、又はこ
れら双方に沿って、フレーム940に対して移動可能であり得る。露光デバイスは、圧電
アクチュエータ又はローレンツアクチュエータ等のアクチュエータによって移動できる。
露光デバイスは、ガイドデバイスによって誘導することができる。ガイドデバイスは、板
ばね等の可撓性要素を含み得る。ガイドデバイスは、ガスベアリングを含み得る。この代
わりに又はこれに加えて、投影システムPSは、能動的振動分離システム(AVIS:A
ctive Vibration Isolation System)を介してフレー
ム940によって支持することができる。このようなAVISは、ダンパ、ばね、位置セ
ンサ、及び/又はアクチュエータ(ボイスコイルモータ等)を含み得る。一実施形態にお
いて、露光デバイスは、垂直方向に(すなわちz方向に)沿って、フレーム940に対し
て移動できる。AVISによって、フレーム940と投影システムPSとの間に伝搬し得
る振動を減衰させることができる。本発明の文脈で使用できるAVISの一例は、引用に
より本願にも含まれるものとする日本特許出願公報JP2016-194599A号に開
示されている。振動は、リソグラフィ装置の結像品質を低下させる、典型的な望ましくな
い外乱の1つであるので、AVISによって、総生産性を低下させることなくリソグラフ
ィ装置の結像品質を改善することができる。
【0076】
[075] 一実施形態では、露光装置200に、基板Wの追加的な測定情報を与えるように
(すなわち、基板Wの追加的な測定を実行するように)構成された追加的な測定デバイス
950が設けられている。追加的な測定デバイス950は、測定デバイス220よりも露
光デバイス(例えば投影システムPS)に近い。測定デバイス220は、追加的な測定デ
バイス950よりも露光デバイス(例えば投影システムPS)から遠い。追加的な測定デ
バイス950は、測定デバイス220と同様のものであり、基板Wに関する同様の情報を
与えることができる。例えば、追加的な測定デバイス950は測定デバイス220と同じ
タイプのセンサシステムであるが、測定デバイス220は、より長い測定時間をかけるこ
とによって、追加的な測定デバイス950よりも高い精度で基板Wに関する情報を与える
ことができる。換言すると、追加的な測定デバイス950は、より短い測定時間で基板W
の測定を完了する。追加的な測定デバイス950は、基板ホルダ202が移動器204に
よって支持されている間に基板Wの測定を実行してもよい。
【0077】
[076] 追加的な測定デバイス950によって与えられた情報を用いて、露光デバイスの
像面に対する基板Wの表面のz位置を決定できる。追加的な測定デバイス950は、例え
ば基板Wの平坦さのような基板Wの高さプロファイルに関する情報を提供するレベリング
センサシステムを含み得る。レベリングセンサシステムは、自動合焦システムとも称する
ことができる。制御ユニットは、基板Wの高さプロファイルに関する情報と空間像測定シ
ステムによって与えられた情報の双方を利用して、基板WとパターニングデバイスMAと
の位置関係を決定できる。制御ユニットは、レベリングセンサシステム及び空間像測定シ
ステムによって得られた複数の信号を処理して、基板WとパターニングデバイスMAとの
位置関係を決定できる。制御ユニットは、引用により本願にも含まれるものとするPCT
出願公報(国際公開公報)WO2005/096354A1号に開示されているように、
複数の信号の処理及び/又はアルゴリズムの実行を行うことができる。
【0078】
[077] レベリングセンサシステムは、放射ビームを与えるための光源を含み得る。放射
ビーム(例えば、光)は、基板Wの上面に向かって放射され、基板Wの上面によって反射
される。この反射光に基づいて、レベリングセンサシステムは、高さプロファイルを表す
信号を生成できる。放射ビームに用いられる光源は、複数の波長及び/又は連続スペクト
ルを持つ光であってもよい。放射ビームは、赤外光、可視光、及び/又はUV光を含み得
る。光源は、1つのLED(発光ダイオード)を含むか、又は複数のLEDを含み得る。
光源は、オレンジ、赤、緑、シアン、青、及び紫のような様々な色のLEDを有し得る(
例えば、630nm、605nm、560nm、505nm、470nm、又は405n
mのピーク波長又はこれら付近のピーク波長を有する)。レベリングセンサシステムは、
基板Wに傾斜角度で放射ビームを与えることができる。レベリングセンサシステムは、放
射ビームが、例えば基板Wを横切るラインに沿って基板Wの大部分に入射するように、放
射ビームを与えることができる。
【0079】
[078] 追加的な測定デバイス950の情報を用いて、例えばマスクアライメントマーク
M1、M2のようなパターニングデバイスMAの基準マークの像に対する基板Wのx位置
及びy位置を決定できる。これに加えて又はこの代わりに、追加的な測定デバイス950
は、基板W上の基板アライメントマークP1、P2の位置に関する情報を与えることがで
きる。換言すると、追加的な測定デバイス950は、基板W上の基板アライメントマーク
P1、P2の位置を測定できる。基板アライメントマークP1、P2の位置に関する情報
を用いて、基板アライメントマークP1、P2の相対的な位置を決定するか、又はこの情
報を基準情報と比較することができる。追加的な測定デバイス950は、基板Wの面内変
形に関する情報を与えるウェーハアライメントセンサシステムを含み得る。追加的な測定
デバイス950は、引用により本願にも含まれるものとする米国特許出願US2009-
0233234A1号に開示されているような複数のアライメントセンサを含み得る。換
言すると、ウェーハアライメントセンサシステムは、そのような複数のアライメントセン
サを備え得る。あるいは、ウェーハアライメントセンサシステムは単数のアライメントン
センサを備えていてもよい。面内変形に関する情報を用いて、特定のターゲット部分Cの
露光中に基板Wを特定のx位置及びy位置に位置決めして、基板Wの正しいx位置及びy
位置に像を生成できる(すなわち、結像できる)。制御ユニットは、基板Wの面内変形に
関する情報と空間像測定システムによって与えられた情報の双方を利用して、基板Wとパ
ターニングデバイスMAとの位置関係を決定できる。制御ユニットは、ウェーハアライメ
ントセンサシステム及び空間像測定システムによって得られた複数の信号を処理して、基
板WとパターニングデバイスMAとの位置関係を決定できる。制御ユニットは、引用によ
り本願にも含まれるものとするPCT出願公報WO2007/097379A1号に開示
されているように、複数の信号の処理及び/又はアルゴリズムの実行を行うことができる
【0080】
[079] 一実施形態において、露光装置200は、第2のエンコーダヘッド920及び第
2のスケール925を備えている。第2のスケール925は、基板ホルダ202の下面に
配置されている。第2のエンコーダヘッド920は、第2のスケール925に対向して、
基板ホルダ202の位置情報を表す第2の信号を与える(生成する)ように構成されてい
る。第2のエンコーダヘッド920は、基板ホルダ202が(例えば投影システムPSで
ある)露光デバイスの付近に、又は、露光デバイスにある時に、第2のスケール925に
対向し基板ホルダ202の位置情報を表す第2の信号を与える(生成する)ように構成さ
れている。例えば第2のエンコーダヘッド920は、基板ホルダ202の、x軸に沿った
位置、及び/又はy軸に沿った位置、及び/又はz軸に沿った位置、及び/又はx軸を中
心とする回転、及び/又はy軸を中心とする回転、及び/又はz軸を中心とする回転を表
す第2の信号を与え(生成し)得る。第2のエンコーダヘッド920は、複数のエンコー
ダヘッドを含む、及び/又は、例えば容量センサもしくは干渉計センサのようなエンコー
ダヘッド以外の位置センサを含むエンコーダヘッドシステムとすることができる。そのよ
うなエンコーダヘッドシステムを位置測定装置や位置測定システムと呼ぶこともある。第
2のエンコーダヘッド920は、測定アームに搭載することができる。測定アームは、フ
レーム940に取り付けられ、基板ホルダ202の下方に延出し得る。第2のエンコーダ
ヘッド920は、露光デバイスの光軸に沿って配置することができる。
【0081】
[080] 基板ホルダ202及び別の基板ホルダ702が位置を交換することにより、第1
のエンコーダヘッド910を第2のスケール925に対向させると共に第2のエンコーダ
ヘッド920を第1のスケール915に対向させることができる。この状態において、第
1のエンコーダヘッド910は、基板ホルダ202の位置情報を表す第1の信号を与え得
る(生成し得る)。この状態において、第2のエンコーダヘッド920は、別の基板ホル
ダ702の位置情報を表す第2の信号を与え得る(生成し得る)。
【0082】
[081] 一実施形態において、露光装置200は、第3のエンコーダヘッド930及び第
3のスケール935を備えている。第3のスケール935は、センサホルダ206の下面
に配置されている。第3のエンコーダヘッド930は、第3のスケール935に対向して
、センサホルダ206の位置情報を表す第3の信号を与える(生成する)ように構成され
ている。第3のエンコーダヘッド930は、センサホルダ206が交換機構208によっ
て支持されている時に第3のスケール935に対向し、センサホルダ206の位置情報を
表す第3の信号を与えるように構成されている。例えば第3のエンコーダヘッド930は
、センサホルダ206の、x軸に沿った位置、及び/又はy軸に沿った位置、及び/又は
z軸に沿った位置、及び/又はx軸を中心とする回転、及び/又はy軸を中心とする回転
、及び/又はz軸を中心とする回転を表す第3の信号を与え得る。第3のエンコーダヘッ
ド930は、複数のエンコーダヘッドを含む、及び/又は、例えば容量センサもしくは干
渉計センサのようなエンコーダヘッド以外の位置センサを含むエンコーダヘッドシステム
とすることができる。そのようなエンコーダヘッドシステムを位置測定装置や位置測定シ
ステムと呼ぶこともある。第3のエンコーダヘッド930は、追加的な測定アームに搭載
することができる。追加的な測定アームは、フレーム940に取り付けられ、センサホル
ダ206の下方に延出し得る。
【0083】
[082] 一実施形態において、追加的な基板ホルダ702は、基板ホルダ202と同じサ
イズを有するか、又は異なるサイズを有することができる。例えば図3及び図9の実施形
態において、単一サイズの基板にのみ対応できるリソグラフィ装置では、別の基板ホルダ
212及び/又は追加的な基板ホルダ702は基板ホルダ202と同一であり得る。この
代わりに又はこれに加えて、異なる材料で作製された単一サイズの基板にのみ対応できる
リソグラフィ装置では、追加的な基板ホルダ702は基板ホルダ202と同じサイズを有
し得るが、追加的な基板ホルダ702は基板ホルダ202とは異なる材料で作製され得る
。あるいは、図7及び図8の実施形態において、複数サイズの基板に対応できるリソグラ
フィ装置では、追加的な基板ホルダ702は基板ホルダ202とは異なるサイズを有する
ことができ、追加的な基板ホルダ702は、基板ホルダ202と同じサイズを有する別の
基板ホルダ212と交換可能である。これに加えて又はこの代わりに、追加的な基板ホル
ダ702は、基板ホルダ202上の基板とは異なるタイプの基板Wを保持することができ
る。例えば、リソグラフィ装置の動作中の特定の時点で追加的な基板ホルダ702に基板
Wがロードされた場合、基板ホルダ202上にはダミーウェーハがロードされ得る。一実
施形態において、露光装置200は、2つの基板ホルダ202及び2つの追加的な基板ホ
ルダ702を備えている。2つの基板ホルダ202は同じサイズを有し得る。2つの追加
的な基板ホルダ702は、2つの基板ホルダ202と同じサイズを有する場合と、2つの
基板ホルダ202よりも大きい場合がある。第1の動作モードでは、例えば露光装置20
0の格納位置に2つの追加的な基板ホルダ702が格納されている間に、露光装置は2つ
の基板ホルダ202を用いて基板Wを保持する。第1の動作モード中、2つの追加的な基
板ホルダ702はアイドル状態(すなわち、不使用状態)を維持し得る。第2の動作モー
ドでは、例えば露光装置200の格納位置に2つの基板ホルダ202が格納されている間
に、露光装置は2つの追加的な基板ホルダ702を用いて基板Wを保持する。第2の動作
モード中、2つの基板ホルダ202はアイドル状態(すなわち、不使用状態)を維持し得
る。
【0084】
[083] センサホルダ206が基板ホルダ202の位置をとって、第2のエンコーダヘッ
ド920を第3のスケール935に対向させることができる。この状態において、第2の
エンコーダヘッド920は、センサホルダ206の位置情報を表す第2の信号を与え得る
(生成し得る)。
【0085】
[084] 一実施形態では、基板ホルダ202、センサホルダ206、移動器204、及び
投影システムPSを備えた露光装置が提供される。基板ホルダ202は、基板Wを保持す
るためのものである。センサホルダ206は、センサを保持するためのものである。移動
器204は、基板ホルダ202を移動させるため構成されている。投影システムPSは、
放射ビームを基板Wに与えるように構成されている。露光中、センサホルダ206が移動
器204から分離されている場合、投影システムPSは基板Wに放射ビームを与える。セ
ンサが投影システムPS又は放射ビームの特性を測定する場合、移動器204はセンサホ
ルダ206と結合することができる。
【0086】
[085] 露光装置は、センサホルダ206を移動器204に提供するため、及びセンサホ
ルダ206を移動器204から取り外すための交換機構208を備えることができる。
【0087】
[086] 移動器204は、追加的な基板W2を保持するための追加的な基板ホルダ702
を移動させるように構成できる。追加的な基板W2のサイズは、基板Wのサイズとは異な
ることがある。露光装置をこのように構成することによって、露光装置は、異なるサイズ
の基板に柔軟かつ効率的に対応できる。異なるサイズの基板を露光することができる単一
の露光装置は、複数の露光装置の各々が特定サイズの基板の露光に専用される場合に比べ
、所有コスト(CoO)及び/又は総所有コスト(TCO)を改善することができる。
【0088】
[087] センサホルダ206は、長さ及び幅を有する。長さは、基板ホルダ202のサイ
ズと実質的に等しくすることができる。幅は、追加的な基板ホルダ702のサイズと実質
的に等しくすることができる。長さ及び幅は相互に異なる場合がある。
【0089】
[088] 移動器204は、センサホルダ206を第1の向き及び第2の向きで支持するよ
うに構成することができる。第1の向きでは、センサホルダ206は、水平面に垂直な軸
に沿って第1の角度を有する。第2の向きでは、センサホルダ206は、水平面に垂直な
軸に沿って第2の角度を有する。第1の角度は第2の角度とは異なる。
【0090】
[089] 移動器は、基板ホルダから分離して、基板ホルダを移動させることなく移動する
ように構成することができる。
【0091】
[090] センサホルダ206は、基板ホルダ202から放射ビームを受光するように構成
することができる。基板ホルダ202はマーカ(例えば、マーカ830)を備え得る。放
射ビームは、マーカに投影される像に関する情報を含むことができる。センサホルダ20
6は、放射ビームを検出器(例えば、検出器840)に伝搬させるように構成できる。セ
ンサホルダ206は検出器に対して移動可能とすることができる。
【0092】
[091] 露光装置は、露光デバイス及び測定デバイスを備え得る。露光デバイスは、基板
を露光ビームで露光するように構成されている。測定デバイスは、基板Wの測定情報を与
えるように構成されている。露光デバイス及び測定デバイスは相互に離れている。移動器
204は、露光デバイスの付近にある時に基板ホルダ202を支持するように構成されて
いる。
【0093】
[092] 露光装置は、測定デバイスの付近にある時に基板ホルダ202を支持するように
構成された静止支持体210を備え得る。
【0094】
[093] 露光装置は、第1のエンコーダヘッド910及び第1のスケール915を備え得
る。静止支持体210は、第1のエンコーダヘッド910を保持するためのくぼみを含む
ことができる。第1のスケールは、基板ホルダ202の下面に配置されている。第1のエ
ンコーダヘッド910は、基板ホルダ202が測定デバイス220の付近にある時に第1
のスケール915に対向し、基板ホルダ202の位置情報を表す信号を与えるように構成
されている。第1のエンコーダヘッド915は、動的アイソレータを介して静止支持体2
10に結合することができる。露光装置は、静止支持体によって支持されている間に基板
ホルダを移動させるように構成された移動デバイスを備え得る。露光装置は、露光デバイ
スを支持するためのフレーム940を備え得る。露光デバイスはフレームに対して移動可
能とすることができる。露光装置は、基板Wの追加的な測定情報を与えるように構成され
た追加的な測定デバイス950を備え得る。追加的な測定デバイス950は、測定デバイ
スよりも露光デバイスの近くにあり得る。
【0095】
[094] 露光装置は、第2のエンコーダヘッド920を含み得る。第2のエンコーダヘッ
ド920は、第1のスケール915に対向して、基板ホルダ202の位置情報を表す第2
の信号を与えるように構成されている。
【0096】
[095] 露光装置は、第3のエンコーダヘッド930及び第3のスケール935を備え得
る。第3のスケール935は、センサホルダ206の下面に配置されている。第3のエン
コーダヘッド930は、第3のスケール935に対向して、センサホルダ206の位置情
報を表す第3の信号を与えるように構成されている。
【0097】
[096] 図9のリソグラフィ装置の実施形態は、以下の方法で動作させることができる。
以下の方法は、図10A図10Iに概略的な上面図で示されている。
【0098】
[097] 図10Aに見られるように、追加的な基板ホルダ702上に、第1のロットの第
1の基板W1L1をロードする。第1のロットの第1の基板W1L1を、この実施形態で
は第1の基板W1L1とも称する。追加的な基板ホルダ702は、第1の基板W1L1を
測定デバイス220へ移動させる。測定デバイス220は第1の基板W1L1の測定情報
を与える。この測定情報は、第1の基板W1L1の形状及び位置に関する情報であるウェ
ーハアライメント情報である。測定デバイス220は、詳細なウェーハアライメント情報
を与える。この情報は大量の測定に基づき、例えば、多数の基板アライメントマークの相
対的な位置の測定、又はこの情報の基準情報との比較に基づく。この実施形態では、ウェ
ーハ上の全ての基板アライメントマーク、例えばウェーハ上の96個の基板アライメント
マークを、測定デバイス220によって測定できる。ウェーハ上の基板アライメントマー
クは、ウェーハアライメントマークとも称することがある。更に、測定デバイス220が
、第1の基板W1L1上のオーバーレイマークも測定してもよい。詳細なウェーハアライ
メント情報は、第1の基板W1L1の表面の大部分(若しくは全体)に関する正確な情報
を与える。この時点で、センサホルダ206は投影システムPSの下に位置付けることが
でき、センサホルダ206上のセンサは、投影システムPSの特性、空間像の特性、及び
/又は露光ビームの特性を測定できる。
【0099】
[098] 図10Bに示すように、測定デバイス220が測定情報を収集した後、移動デバ
イス230は、第1の基板W1L1を追加的な基板ホルダ702から基板ホルダ202へ
運ぶ。移動デバイス230は、第1の基板W1L1を追加的な基板ホルダ702から持ち
上げ、第1の基板W1L1を基板ホルダ202上に置くように構成されている。換言する
と、移動デバイス230は、第1の基板W1L1を追加的な基板ホルダ702からアンロ
ードし、次いで第1の基板W1L1を基板ホルダ202上にロードするように構成されて
いる。この時点で、移動デバイス230は、第1のロットの第2の基板W2L1を追加的
な基板ホルダ702上にロードすることができる。第1のロットの第2の基板W2L1を
、第2の基板W2L1とも称する。一実施形態において、移動デバイス230は、第1の
基板W1L1及び第2の基板W2L1を同時に扱うことを可能とする複数のロボットアー
ム及び/又は複数のベルヌーイチャックを含み得る。換言すると、この実施形態では、移
動デバイス230は、基板を(追加的な基板ホルダ702からアンロードするだけでなく
)追加的な基板ホルダ702にロードするように構成されている。
【0100】
[099] 図10Cに示すように、基板ホルダ202は、第1の基板W1L1を追加的な測
定デバイス950の下に位置付ける。追加的な測定デバイス950は、第1の基板W1L
1の追加的な測定情報を与える。この追加的な測定情報は、第1の基板W1L1の形状及
び位置に関する情報である追加的なウェーハアライメント情報である。追加的な測定デバ
イス950は、粗いウェーハアライメント情報を与える。この情報は少量の測定に基づき
、例えば、少数の基板アライメントマークの相対的な位置の測定、又はこの情報と基準情
報との比較に基づく。この実施形態では、少数の基板アライメントマークは、例えば3個
から16個の基板アライメントマークであり得る。一般に、測定する基板アライメントマ
ークの数が少なくなると、必要な測定時間は短くなる。換言すると、測定デバイス220
によって詳細なウェーハアライメント情報を得るために必要な時間に比べて、粗いウェー
ハアライメント情報を得るために必要な、追加的な測定デバイス950の動作時間は短い
。測定デバイス950が追加的な測定情報を収集している時、センサホルダ206は投影
システムPSの下に位置している。この時、例えば、図5に示すように、交換機構208
が、センサホルダ206を支持及び/又は移動することができる。追加的な測定デバイス
950が追加的な測定情報を収集している時、センサホルダ206上のセンサは、投影シ
ステムPSの特性、空間像の特性、及び/又は露光ビームの特性を測定している。追加的
な測定デバイス950が追加的な測定情報を収集している時、測定デバイス220は、(
追加的な基板ホルダ702にロードされた後に)追加的な基板ホルダ702により保持さ
れている第2の基板W2L1から測定情報を収集している。
【0101】
[0100] 図10Dに見られるように、追加的な測定デバイス950が追加的な測定情報を
収集した後(すなわち、追加的な測定デバイス950によって粗いウェーハアライメント
情報が取得されたらすぐに)、移動器204は、第1の基板W1L1を保持している基板
ホルダ202を投影システムPSの下に移動させる。センサホルダ206を投影システム
PSの下から遠ざける。図9に示すように、センサホルダ206は、交換機構208によ
って支持及び/又は移動される。第1の基板W1L1が投影システムPSの下にきたら、
第1の基板W1L1を露光ビームで露光して、第1の基板W1L1にパターンを投影する
。測定デバイス220よりも投影システムの近くに位置している、追加的な測定デバイス
950の動作に必要な時間は比較的短いので、この構成は、リソグラフィ装置のスループ
ット性能の向上において有益である。もしも追加的な測定デバイス950が投影システム
PSから遠くに位置している場合、及び/又は別の物体が基板ホルダ202及びセンサホ
ルダ206の円滑な移動を妨げる場合には、リソグラフィ装置のスループット性能は低下
する。
【0102】
[0101] 図10E及び図9に示すように、基板ホルダ202上での第1の基板W1L1の
露光中(すなわち、投影システムPSの下での基板ホルダ202のステップ移動及び/又
はスキャン移動中)、測定デバイス220は、追加的な基板ホルダ702上の第2の基板
W2L1の測定(第2の基板W2L1からの測定情報の収集)を続けている。基板ホルダ
202上の第1の基板W1L1の露光中、センサホルダ206は、基板ホルダ202のス
テップ移動及び/又はスキャン移動も、追加的な基板ホルダ702上の第2の基板W2L
1の測定も妨げない(露光装置200内部の)場所で待機している。
【0103】
[0102] 第1の基板W1L1上の全てのターゲット部分Cが露光されたら、基板ホルダ2
02を移動器204から分離し、移動器204にセンサホルダ206を結合する。換言す
ると、図10F及び図4に示すように、基板ホルダ202及びセンサホルダ206は一体
となって移動器204に対して移動する。図10Gに見られるように、交換機構208は
、第1の基板W1L1を保持している基板ホルダ202を基板アンロード位置へ移動させ
る。図6に示すように、交換機構208が基板ホルダ202を投影システムPSの下から
遠ざけると、移動器204はセンサホルダ206を投影システムPSの下へ移動させる。
これによって、図10Hに示すように、センサホルダ206上のセンサは、投影システム
PSの特性又は露光ビームの特性の測定を開始することができる。この間、測定デバイス
220は、追加的な基板ホルダ702上の第2の基板W2L1からの測定情報の収集を続
けている。
【0104】
[0103] 図10Hにも示すような基板アンロード位置において、第1の基板W1L1は、
例えば移動デバイス230によって基板ホルダ202からアンロードされる。移動デバイ
ス230は、図10Bに示すように第1の基板W1L1を追加的な基板ホルダ702から
アンロードしたのと同様に動作することができる。第1の基板W1L1が基板ホルダ20
2からアンロードされた後、第1の基板W1L1はリソグラフィ装置外へ運ばれる(例え
ば、FOUPに収容される)。
【0105】
[0104] 図10Iに示すように、第1の基板W1L1が基板ホルダ202からアンロード
された後、基板ホルダ202を移動器204に結合する。換言すると、図4に示すように
、基板ホルダ202及びセンサホルダ206は一体となって移動器204に対して移動す
る。基板ホルダ202が移動器204に結合されている場合、図5に示すように、センサ
ホルダ206は、交換機構208によって支持及び/又は移動される。あるいは、図4
示すように、センサホルダ206は移動器204によって支持されたままであり得る。セ
ンサホルダ206が、例えば交換機構208、移動器204、及び/又はセンサホルダ2
06自体に備えられているアクチュエータによって、投影システムPSの下に位置付けら
れた場合、センサホルダ206上のセンサは、投影システムPSの特性、空間像の特性、
及び/又は露光ビームの特性を測定することができる。移動デバイス230は、第2の基
板W2L1を追加的な基板ホルダ702から基板ホルダ202へ運ぶ。これは、図10B
に示すように移動デバイス230が第1の基板W1L1を追加的な基板ホルダ702から
基板ホルダ202へ運んだのと同様である。次いで、第1の基板W1L1に関して上述し
たステップを第2の基板W2L1に対して繰り返す。第1のロット内の全ての基板につい
て上述のステップが完了したら、第2のロットの基板に対して同一又は同様の動作を繰り
返せばよい。
【0106】
[0105] 図10Aは、測定デバイス220が第1の基板W1L1から測定情報を取得して
いる間、露光装置は、追加的な基板ホルダ702上に第1の基板W1L1を保持するよう
に構成されていることを示す。この時点で、センサホルダ206は投影システムPSの下
に位置付けることができ、センサホルダ206上のセンサは測定を実行できる。図10C
は、追加的な測定デバイス950が第1の基板W1L1から追加的な測定情報を取得して
いる間、露光装置は、基板ホルダ202上に第1の基板W1L1を保持するように構成さ
れていることを示す。この時点で、測定デバイス220は、追加的な基板ホルダ702上
の第2の基板W2L1の測定(すなわち、第2の基板W2L1からの測定情報の取得)を
開始することができる。図9及び図10Eは、基板ホルダ202上の第1の基板W1L1
が露光されている間、測定デバイス220は追加的な基板ホルダ702上の第2の基板W
2L1の測定を継続していることを示す。図10Gは、基板ホルダ202が投影システム
PSから基板アンロード位置へ移動している間、測定デバイス220が追加的な基板ホル
ダ702上の第2の基板W2L1の測定を継続していることを示す。図10Hは、第1の
基板W1L1が基板ホルダ202からアンロードされる間、測定デバイス220は追加的
な基板ホルダ702上の第2の基板W2L1の測定を継続していることを示す。この時点
で、センサホルダ206を投影システムPSの下に位置付けることができ、センサホルダ
206上のセンサは測定を実行できる。
【0107】
[0106] リソグラフィ装置をこのように構成し動作させることにより、測定デバイス22
0は、リソグラフィ装置のスループット性能を制限することなく、測定情報を収集するた
めの最大時間量を有する。これは、測定デバイス220が必要とする測定時間によってス
ループット性能が制限されないからである。従って、総生産性を低下させることなく、よ
り高い結像品質を達成できる。換言すると、総生産性の向上を達成しながら、同時に充分
な結像品質を与えることができる。これに対して、もしも追加的な測定デバイス950が
より長い測定時間を要するならば(例えば、追加的な測定デバイス950によって詳細な
ウェーハアライメント情報が取得されるならば)、スループット性能と結像品質との間の
トレードオフが生じる。そのようなトレードオフは一般に、単数のウェーハステージ及び
単数のウェーハアライメントシステムを備えるリソグラフィ装置でも認識(観測)される
。更に、センサホルダ206上のセンサは、基板の露光を妨げることなく、投影システム
PSの特性、空間像の特性、及び/又は露光ビームの特性を測定することができる。従っ
て、スループット性能を低下させることなく、結像品質の向上(及び/又は、例えばセン
サホルダ206が洗浄デバイスを含む場合、稼働時間性能の向上)を達成できる。更に、
測定デバイス220及び追加的な測定デバイス950は、(露光装置とも呼ばれる)リソ
グラフィ装置の設置面積を大きくすることはない。その理由は、測定デバイス220及び
追加的な測定デバイス950が、基板ホルダ202、追加的な基板ホルダ702、又は基
板Wよりも(特に水平方向において、すなわちxy面上で)小さいからである。従って、
露光装置200の構成は、露光装置の総生産性、結像品質、及び経済性のトリレンマに対
する解決策の1つである。
【0108】
[0107] 制御ユニットは、測定情報及び/又は追加的な測定情報に基づいて基板ホルダ2
02を駆動する(又は基板ホルダ202の位置を制御する)ことができる。例えば測定情
報及び/又は追加的な測定情報に基づいて、制御ユニットは、ターゲット部分Cが基板W
上の名目上の位置(すなわち、基板Wが変形していない場合の位置)にないことを判定し
得る。これに加えて又はこの代わりに、測定情報及び/又は追加的な測定情報に基づいて
、制御ユニットは、パターンの空間像が投影されるべき、(変形した)基板W上の位置を
導き出し得る。制御ユニットは、露光中にターゲット部分Cが投影システムPSの下の正
しい位置にくるように、基板ホルダ202を駆動し、基板ホルダ202の位置を補正する
ことができる。本発明の文脈で使用できるそのような制御ユニットの一例は、引用により
本願にも含まれるものとする日本特許出願公報JP2002-353121A号に開示さ
れている。
【0109】
[0108] これに加えて又はこの代わりに、測定情報及び/又は追加的な測定情報に基づい
て、制御ユニットは、空間像の光学特性、投影システムPSの光学特性、又はこれら双方
を制御することができる。例えば制御ユニットは、基板W上に投影される像の歪み、投影
システムPSの収差、及び/又は基板Wの面内変形を、これらの光学特性の一方又は双方
を制御することによって補償できる。制御ユニットが制御するこれらの光学特性は、倍率
X(すなわちx軸に沿った又はステップ方向の倍率)、倍率Y(すなわちy軸に沿った又
はスキャン方向の倍率)、歪曲収差、コマ収差、像面湾曲、球面収差、及び/又は非点収
差であり得る。これらの光学特性のうち1つ又はいくつかを、露光中、スキャン中、及び
/又はステップ移動中に、(投影システムPSの)光学要素の位置及び/又は向きを作動
させることによって制御できる。本発明の文脈で使用できるそのような制御ユニットの一
例は、引用により本願にも含まれるものとする日本特許出願JP2007-012673
A号に開示されている。
【0110】
[0109] 制御ユニットは、測定デバイス220によって与えられた詳細なウェーハアライ
メント情報を用いて、正確なアライメント補正(又は、ゆがみマップ)を決定できる。正
確なアライメント補正(又は、ゆがみマップ)は、名目上の形状と比較した基板Wの実際
の形状を画定するための線形成分(又は低次成分)及び高次成分を有することができる。
ゆがみマップのこれらの成分は、多項式係数を用いて数学的に表すことができる。例えば
、詳細なウェーハアライメント情報は、各ターゲット部分Cにおける1個のアライメント
マークに基づくか、又は各ターゲット部分Cにおける複数のアライメントマークに基づく
(例えば基板アライメントマークP1、P2)。ターゲット部分C内(すなわち露光フィ
ールド内又はダイ内)の基板Wの変形又は歪みを、フィールド内歪みと称することができ
る。少なくとも部分的にフィールド内歪みにより誘発されるオーバーレイエラーを、フィ
ールド内オーバーレイエラーと称することができる。複数のダイ又は露光フィールド間の
基板Wの変形又は歪みを、フィールド間歪みと称することができる。少なくとも部分的に
フィールド間歪みにより誘発されるオーバーレイエラーを、フィールド間オーバーレイエ
ラーと称することができる。一実施形態では、これらのアライメントマークの数は、露光
フィールドの数(又はダイの数)よりも少ない。あるいは、これらのアライメントマーク
の数は、露光フィールドの数(又はダイの数)と等しい。曲げ、又は反り、又は伸びのよ
うな基板Wの変形によって、アライメントマークは相互に変位する。詳細なアライメント
情報に基づいて、制御ユニットは、基板Wの実際の形状を正確に決定することができる。
測定デバイス220は、ターゲット部分C内に位置し得るオーバーレイマークに基づいて
、及び/又は複数のターゲット部分Cの間に位置し得る基板アライメントマークP1、P
2に基づいて、詳細なウェーハアライメント情報を与え得る。一実施形態では、基板Wの
変形の情報を含む詳細なウェーハアライメント情報は、オーバーレイマーク及び基板アラ
イメントマークの双方の測定に基づいている。一実施形態では、測定デバイス220によ
って測定されたオーバーレイマーク及び/又は基板W上の基板アライメントマークの数の
和は、露光フィールドの数(又はダイの数)以上である。例えば、基板W上に96個の露
光フィールド(又はダイ)がある場合、測定デバイス220によって測定されたオーバー
レイマーク及び/又は基板W上の基板アライメントマークの数の和は、96個以上であり
得る。一般に、より多くのマーク(例えば基板W上の基板アライメントマーク及び/又は
オーバーレイマーク)の測定に基づくウェーハアライメント情報は、基板Wの実際の形状
をより正確に決定することを可能とする。従って、測定デバイス220が基板W上のより
多くのマークを測定する場合、リソグラフィ装置の結像品質は高くなり得る(又は改善さ
れ得る)。
【0111】
[0110] 移動デバイス230が第1の基板W1L1を追加的な基板ホルダ702から基板
ホルダ202へ運ぶと、基板Wの実際の形状は新たな実際の形状に変わり得る。しかしな
がら、実際の形状と新たな実際の形状との差は通常、低い空間周波数のみを含む。追加的
な測定デバイス950は、少数の基板アライメントマークの測定に基づいて粗いアライメ
ント情報を与えることができる。少数とは3個~20個の範囲内であり、例えば16個で
あり得る。制御ユニットは、粗いアライメント情報及び詳細なアライメント情報に基づい
て、基板Wの新たな形状を決定できる。制御ユニットはこのように基板Wの新たな形状を
決定できるので、リソグラフィ装置の結像品質を高める(又は改善する)ことができ、及
び/又は、総生産性の向上を達成しながら、同時にICの製造に必要な結像品質を充足で
きる。
【0112】
[0111] 測定デバイス220によって与えられる詳細なアライメント情報は、詳細な歪み
マップとして(すなわち、歪みの量を高度の詳細さで示す基板Wの表面のマップとして)
実施できる。追加的な測定デバイス950によって与えられる粗いアライメント情報は、
粗い歪みマップとして(すなわち、歪みの量を低度の詳細さで示す基板Wの表面のマップ
として)実施できる。制御ユニットは、詳細な歪みマップと粗い歪みマップを組み合わせ
て(合成して)、統合歪みマップを生成することができる。制御ユニットは、統合歪みマ
ップに基づいて、基板ホルダ202の位置を制御できる。これに加えて又はこの代わりに
、制御ユニットは、ロット内の各基板(又はロット内のいくつかの基板)のための統合歪
みマップを生成することができる。例えば制御ユニットは、第1の基板W1L1の表面の
マップである第1の詳細な歪みマップ及び第1の粗い歪みマップを組み合わせる(合成す
る)ことによって、第1の基板W1L1のための第1の統合歪みマップを生成し得る。同
様に、制御ユニットは、第2の基板W2L1の表面のマップである第2の詳細な歪みマッ
プ及び第2の粗い歪みマップを組み合わせる(合成する)ことによって、第2の基板W2
L1のための第2の統合歪みマップを生成し得る。あるいは、制御ユニットは、ロット内
の他のいずれか1つの基板の詳細な歪みマップ及び粗い歪みマップに基づいて、この基板
のための第2の統合歪みマップを生成し得る。これに加えて又はこの代わりに、制御ユニ
ットは、第2のロット内の他の基板のうち1つの詳細な歪みマップ及び粗い歪みマップに
基づいて、この基板のための第3の統合歪みマップを生成し得る。
【0113】
[0112] これに加えて又はこの代わりに、制御ユニットは、詳細な歪みマップ及び/又は
統合歪みマップに基づいて、空間像の光学特性、投影システムPSの光学特性、又はこれ
ら双方を制御することができる。制御ユニットは、詳細な歪みマップに基づいて、及び/
又は統合歪みマップに基づいて、及び/又はセンサホルダ206が保持するセンサのうち
1つの測定データに基づいて、及び/又はシミュレーションモデルに基づいて、基板Wに
投影される像の歪み、投影システムPSの収差、及び/又は基板Wの面内変形を補償でき
る。センサホルダ206が保持するセンサのうち1つによって取得された測定データは、
投影システムPSの特性、空間像の特性、及び/又は露光ビームの特性を含み得る。制御
ユニットは、空間像及び/又は投影システムPSの光学特性、すなわち倍率X、倍率Y、
歪曲収差、コマ収差、像面湾曲、球面収差、非点収差、又は他のいずれかのタイプの収差
のうち1つ又はいくつかを制御することができる。
【0114】
[0113] 空間像及び/又は投影システムPSのこれらの光学特性の1つ又はいくつかは、
露光中、スキャン中、及び/又はステップ移動中に、光学要素の位置及び/又は向きを(
鏡筒に対して、放射ビームBの経路に対して、又は投影システムPSの光軸に対して)作
動させることによって制御できる。投影システムPS内のこれらの光学要素の1つ以上は
、レンズホルダによって支持することができ、及び/又は、露光中及び/又はスキャン中
に圧電アクチュエータによってアクティブに作動(又は制御)することができる。
【0115】
[0114] 空間像及び/又は投影システムPSのこれらの光学特性の1つ又はいくつかは、
投影システムPS内の変形可能ミラーによって能動的に制御され得る。本発明の文脈で使
用できるそのような変形可能ミラーの一例は、引用により本願に含まれる日本特許出願公
報JP2013-161992A号に開示されている。
【0116】
[0115] 空間像の光学特性の少なくとも1つは、パターニングデバイスMAを曲げること
によって、及び/又は、基板ホルダ202の位置を制御することによって制御され得る。
一実施形態では、パターニングデバイスMAを曲げることによって、像面湾曲が少なくと
も部分的に補償される。これに加えて又はこの代わりに、露光中に基板ホルダ202の位
置を制御することによって、フィールド間オーバーレイエラー及び/又はフィールド内オ
ーバーレイエラーの低次成分が少なくとも部分的に補償される。こういった補償により、
結像品質の向上が達成される。換言すると、総生産性の向上を達成しながら、同時にIC
の製造に必要な結像品質を充足できる。
【0117】
[0116] 一実施形態において、制御ユニットは、双方とも基板Wの面内変形に関する情報
を含む、詳細な歪みマップ及び粗い歪みマップを組み合わせる(合成する)ことによって
統合歪みマップを生成する。これに加えて又はこの代わりに、制御ユニットは、詳細な歪
みマップ及び/又は統合歪みマップに基づいて、基板ホルダ202の位置、空間像の光学
特性、及び/又は投影システムPSの光学特性を制御することにより、基板Wの面内変形
を補償する。このようにリソグラフィ装置を動作させることで、特定の(例えば、或るノ
ードに対する)結像品質要求(例えばオーバーレイ要求)を満たすことができる。これに
対して、粗い歪みマップのみに基づいて基板Wの面内変形を補償した場合、同じ特定の結
像品質要求を満たせないことがある。
【0118】
[0117] 一実施形態では、詳細な歪みマップ及び/又は統合歪みマップを用いて、空間像
及び/又は基板上に生成されるパターンを予測するシミュレーションモデルを較正、更新
、及び/又は改善することができる。これに加えて又はこの代わりに、複数の詳細な歪み
マップ及び/又は複数の統合歪みマップを用いて、シミュレーションモデルを較正、更新
、及び/又は改善することができる。例えば、第1の基板W1L1の面内変形に関する情
報を与える第1の詳細な歪みマップ(及び/又は第1の統合歪みマップ)と、第2の基板
W2L1の面内変形に関する情報を与える第2の詳細な歪みマップ(及び/又は第2の統
合歪みマップ)とを、ウェーハのロットを露光するための露光装置の動作中の異なる時点
で取得した測定データのセットとして用いることができる。この測定データセットを用い
て、時間の関数として空間像及び/又は基板上に生成されるパターンを予測するシミュレ
ーションモデルを較正、更新、及び/又は改善することができる。例えば、そのようなシ
ミュレーションモデルは、パターニングデバイスMA、投影システムPS内の光学要素、
及び/又は基板ホルダ202の(経時的な)温度変化によって、どのように空間像(及び
/又は基板上に生成されるパターン)が影響を受け得るかを予測できる。シミュレーショ
ンセットと、異なる時点で取得した測定データセットとを比較することで、シミュレーシ
ョンモデルの精度を高めることができる。こういった複数の詳細な歪みマップ(及び/又
は複数の統合歪みマップ)に加えて、他のタイプの測定データ(パージガス、パターニン
グデバイスMA、投影システムPS内の光学要素、及び/又は基板ホルダ202の温度等
)を用いて、シミュレーションモデルを較正、更新、及び/又は改善できる。ICの生成
中(すなわち露光装置の稼働時間中)に取得した測定データに基づいてシミュレーション
モデルを較正、更新、及び/又は改善できると、テストレチクルを用いたオフラインテス
ト露光に基づいて(すなわち露光装置の稼働停止時間中に)シミュレーションモデルを較
正、更新、及び/又は改善する方法に比べて、総生産性の向上を達成することができる。
【0119】
[0118] 収差は、ゼルニケ多項式を用いて記述できる。収差は、三角関数を用いて記述で
きる。収差のタイプは、例えばゼルニケ多項式及び/又は三角関数に基づいて、奇数次成
分と偶数次成分とに分類できる。例えば、正弦関数によって記述されるゼルニケ項を奇数
次成分と呼ぶことができる。余弦関数によって記述されるゼルニケ項を偶数次成分と呼ぶ
ことができる。投影システムPS内の光学要素の温度変化(例えば加熱又は冷却)によっ
て生じる収差を熱収差と呼ぶことができる。
【0120】
[0119] 一実施形態において、収差の偶数次成分の少なくとも1つは、投影システムPS
内の変形可能ミラーによって制御される。これに加えて又はこの代わりに、収差の奇数次
成分の少なくとも1つは、投影システムPS内の変形可能ミラーによって制御される。こ
れに加えて又はこの代わりに、熱収差は、投影システムPS内の変形可能ミラーによって
少なくとも部分的に補償される。これに加えて又はこの代わりに、収差の奇数次成分の少
なくとも1つは、露光中、スキャン中、及び/又はステップ移動中に、光学要素の位置及
び/又は向きを(鏡筒に対して、放射ビームBの経路に対して、又は投影システムPSの
光軸に対して)作動させることによって制御される。このようにリソグラフィ装置を動作
させることで、結像品質の向上を達成できる。
【0121】
[0120] 移動デバイス230は、基板Wを追加的な基板ホルダ702から基板ホルダ20
2へ運ぶように構成することができる。移動デバイス230は、ロボットアーム及び/又
はウェーハハンドラを含み得る。移動デバイス230は、基板Wの下側に接触するグリッ
パを含み得る。移動デバイス230は、基板Wの上面で基板Wを保持するベルヌーイチャ
ックを含み得る。基板Wの上面とベルヌーイチャックとの間のガス膜が、基板Wとベルヌ
ーイチャックとの物理的接触を防止する。ベルヌーイチャックは、引用により本願に含ま
れるPCT出願公報WO2013/100203A2号に記載されている。移動デバイス
230の一部は、基板Wを基板ホルダ202から持ち上げるためのリフトピンとして実施
され得る。リフトピンは、基板Wと基板ホルダ202との間に空間を与えるほど基板Wを
基板ホルダ202から充分に持ち上げて、移動デバイス230が基板Wの下にグリッパを
置いてリフトピンから基板Wを持ち上げられるようになっている。
【0122】
[0121] 一実施形態において、リソグラフィ装置は、投影システムPSと、基板ホルダ2
02、基板W、及びセンサホルダ206のうち少なくとも1つとの間に画定される空間に
、液浸液を供給して閉じ込めるように構成された液体ハンドリングシステムを備えること
ができる。液体ハンドリングシステムを備えるリソグラフィ装置を、液浸リソグラフィ装
置、液浸露光装置、又は液浸スキャナと称することができる。図10Cに示すように、投
影システムPSの下にセンサホルダ206が位置付けられている場合、液体ハンドリング
システムは、投影システムPSとセンサホルダ206との間に画定された空間に液浸液を
供給して閉じ込めることができる。液浸露光装置の動作中、例えば露光中の異なる時点で
図9及び図10Dに示すように投影システムPSの下に基板ホルダ202が位置付けら
れている場合、液体ハンドリングシステムは、投影システムPSと基板Wとの間に画定さ
れた空間に(及び/又は投影システムPSと基板ホルダ202との間に画定された空間に
)液浸液を供給して閉じ込めることができる。
【0123】
[0122] 一実施形態において、液体ハンドリングシステムは、投影システムPSと基板W
との間に画定された(及び/又は投影システムPSと基板ホルダ202との間に画定され
た、又は投影システムPSとセンサホルダ206との間に画定された)空間に液浸液を供
給することができる供給ポートを備えている。液体ハンドリングシステムは更に、この空
間から液体を回収することができる回収ポートを備えている。回収ポートには、複数の孔
(すなわち開口又は細孔)を有する多孔性部材を配置できる。多孔性部材は、例えば、多
数の小さい孔がメッシュに形成されたメッシュプレートでもよい。そのような液体ハンド
リングシステムの一例は、引用により本願に含まれるPCT出願公報(国際公開公報)W
O2010/018825A1号に開示されている。
【0124】
[0123] これに加えて又はこの代わりに、液体ハンドリングシステムは、投影システムP
Sに対して及び/又は基板ホルダ202に対して独立に位置制御されるように構成された
作動可能フロープレートを備えている。一般に、(基板ホルダ202のステップ移動及び
/又はスキャン移動の)速度/加速度の増大と、閉じ込められた液浸液のメニスカスの安
定性との間には、トレードオフが存在し得る。換言すると、基板ホルダ202のステップ
移動及び/又はスキャン移動の速度/加速度が増大すると、液浸露光装置のスループット
性能は向上するが、これは、液体ハンドリングシステムと基板W(及び/又は基板ホルダ
202)との間の相対速度/相対加速度が増大することを意味する。相対速度/相対加速
度が増大すると、メニスカスはいっそう不安定になり得る。更に、不安定なメニスカスに
よって、液浸液の漏れや、基板ホルダ202、基板W、及び/又はセンサホルダ206の
表面上での小滴の発生のような欠陥問題が生じ得る。これらの欠陥問題は、液浸露光装置
の稼働時間性能を低下させる恐れがある。これらの欠陥問題を、基板ホルダ202のステ
ップ移動及び/又はスキャン移動の速度/加速度を低下させることによって(すなわち、
より低いスキャン速度、スキャン加速度、及び/又はステップ加速度で基板Wを露光する
ことによって)防止する場合、液浸露光装置のスループット性能が低下する。従って、こ
のトレードオフは、スループット性能と稼働時間性能との間のトレードオフとしても認識
することができる。スループット性能と稼働時間性能との間のトレードオフは液浸露光装
置の総生産性を低下させる。これらの潜在的な欠陥問題を防止するため、制御ユニットは
、基板ホルダ202及び/又は作動可能フロープレートを駆動(又はそれらの位置を制御
)して、作動可能フロープレートと基板W(及び/又は基板ホルダ202)との間の相対
速度及び相対加速度を低下させることができる。このように基板ホルダ202及び/又は
作動可能フロープレートを制御することによって(すなわち、スキャン速度、スキャン加
速度、及び/又はステップ加速度を低下させることなく作動可能フロープレートと基板W
との相対速度/相対加速度を低下させることによって)、露光中(基板ホルダ202のス
テップ移動及び/又はスキャン移動中)の液浸液の漏れを防止でき、及び/又は、投影シ
ステムPSと基板Wとの間に画定された空間に(及び/又は投影システムPSと基板ホル
ダ202との間に画定された空間に)液浸液を閉じ込めたままの状態とすることを保証で
きる。従って、総生産性の向上を達成することができる。この実施形態の文脈で使用でき
る液体ハンドリングシステムの一例は、引用により本願に含まれる日本特許出願公報JP
2014-120693A号に開示されている。
【0125】
[0124] 一実施形態では、基板ホルダ202(及び/又は基板W)からセンサホルダ20
6に(及び、その逆方向に)液浸液を移すため、基板ホルダ202及びセンサホルダ20
6は一体となって移動するように構成され得る。一体となっての移動中、基板ホルダ20
2及びセンサホルダ206は、相互に接触しているか、又は、液浸液の漏れを防止するほ
ど充分に小さいギャップによって相互に分離している場合がある。
【0126】
[0125] 一実施形態において、基板ホルダ202及びセンサホルダ206の各々は、各自
の移動器204を有する。基板ホルダ202は、投影システムPSに対して基板ホルダ2
02を移動させるための移動器を有する。センサホルダ206は、投影システムPSに対
してセンサホルダ206を移動させるための追加的な移動器を有する。移動器及び/又は
追加的な移動器は、x方向及びy方向の双方に移動するための平面モータを含み得る。平
面モータは、磁石及び電気コイルを有する移動磁石型平面モータであり得る。磁石は基板
ホルダ202上に及び/又はセンサホルダ206上に配置でき、電気コイルは固定されて
いる。これに加えて又はこの代わりに、追加的な移動器は、2つの積層リニアモータを含
み、Hドライブ機構に構成することができる。一実施形態では、基板ホルダ202及び別
の基板ホルダ212の各々は平面モータによって移動され、センサホルダ206はHドラ
イブ機構に構成された2つの積層リニアモータによって移動されてもよい。一実施形態で
は、基板ホルダ202、別の基板ホルダ212及びセンサホルダ206の各々は、Hドラ
イブ機構に構成された複数のリニアモータによって移動されてもよい。
【0127】
[0126] 本文ではICの製造におけるリソグラフィ装置の使用に特に言及しているが、本
明細書で説明するリソグラフィ装置には他の用途もあることを理解されたい。例えば、こ
れは、集積光学システム、磁気ドメインメモリ用誘導及び検出パターン、フラットパネル
ディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッドなどの製造である。こうし
た代替的な用途に照らして、本明細書で「ウェーハ」又は「ダイ」という用語を使用して
いる場合、それぞれ、「基板」又は「ターゲット部分」という、より一般的な用語と同義
と見なしてよいことが、当業者には認識される。本明細書に述べている基板は、露光前又
は露光後に、例えばトラック(通常はレジストの層を基板に塗布し、露光したレジストを
現像するツール)、メトロロジーツール及び/又はインスペクションツールで処理するこ
とができる。適宜、本明細書の開示は、以上及びその他の基板処理ツールに適用すること
ができる。更に基板は、例えば多層ICを生成するために、複数回処理することができ、
したがって本明細書で使用する基板という用語は、既に複数の処理済み層を含む基板も指
すことができる。
【0128】
[0127] 光リソグラフィの分野での本発明の実施形態の使用に特に言及してきたが、本発
明は文脈によってはその他の分野、例えばインプリントリソグラフィ及びeビーム(電子
ビーム)リソグラフィでも使用することができ、光リソグラフィに限定されないことを理
解されたい。インプリントリソグラフィでは、パターニングデバイスMA内のトポグラフ
ィが基板上に作成されたパターンを画定する。パターニングデバイスのトポグラフィは基
板に供給されたレジスト層内に刻印され、電磁放射、熱、圧力又はそれらの組み合わせを
印加することでレジストは硬化する。パターニングデバイスMAはレジストから取り除か
れ、レジストが硬化すると、内部にパターンが残される。
【0129】
[0128] 以上、本発明の特定の実施形態を説明したが、説明とは異なる方法でも本発明を
実践できることが理解される。例えば、本発明は、上記で開示したような方法を述べる機
械読み取り式命令の1つ以上のシーケンスを含むコンピュータプログラム、又はこのよう
なコンピュータプログラムを内部に記憶したデータ記憶媒体(例えば半導体メモリ、磁気
又は光ディスク)の形態をとることができる。
【0130】
[0129] 上記の説明は例示的であり、限定的ではない。従って、請求の範囲から逸脱する
ことなく、記載されたような本発明を変更できることが当業者には明白である。
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