(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-17
(45)【発行日】2022-03-28
(54)【発明の名称】コネクタ、ハウジング、カバー体、及びコネクタ付ワイヤーハーネス
(51)【国際特許分類】
H01R 13/46 20060101AFI20220318BHJP
【FI】
H01R13/46 A
(21)【出願番号】P 2017182960
(22)【出願日】2017-09-22
【審査請求日】2020-04-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】391045897
【氏名又は名称】古河AS株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121603
【氏名又は名称】永田 元昭
(74)【代理人】
【識別番号】100141656
【氏名又は名称】大田 英司
(74)【代理人】
【識別番号】100182888
【氏名又は名称】西村 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100196357
【氏名又は名称】北村 吉章
(74)【代理人】
【識別番号】100067747
【氏名又は名称】永田 良昭
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 猛
(72)【発明者】
【氏名】奥野 正典
【審査官】藤島 孝太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-009875(JP,A)
【文献】米国特許第06139365(US,A)
【文献】特開2007-242251(JP,A)
【文献】特開2001-143812(JP,A)
【文献】実開昭61-100888(JP,U)
【文献】特開2003-173843(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/40-13/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被覆電線の先端に接続される接続端子を後方から挿着するハウジングと、該ハウジングの後方をカバーするカバー体とが前後方向に連結されたコネクタであって、
前記ハウジングにおける前記カバー体との連結部分に、フランジ部で構成された挿着部が備えられるとともに、
前記カバー体における前記ハウジングとの連結部分に、前記フランジ部が挿入される受け溝を形成する溝形成部で構成され、前記挿着部が前記前後方向に交差する挿脱方向に挿着される被挿着部が備えられ、
前記挿着部が前記被挿着部に挿着された挿着状態において、前記被挿着部からの前記挿着部の脱出方向に係止する係止部及び被係止部のうち一方が、前記ハウジングと前記カバー体の一方に備えられ、前記係止部及び前記被係止部のうち他方が、前記ハウジングと前記カバー体の他方に備えられ、
前記係止部と前記被係止部において互いに係止し合う係止箇所の少なくとも一方が、前記挿脱方向に垂直な面に対して前記前後方向に傾斜する傾斜面で構成され、
前記溝形成部は、前記フランジ部の厚みに対向する間隔を隔てて配置された一対の壁部で構成され、
前記壁部から前方に延びるとともに、前記ハウジングの底面に当接する当接部が備えられた
コネクタ。
【請求項2】
前記係止部は、前記フランジ部に備えられた係止爪で構成され、
前記被係止部は、前記溝形成部に備えられるとともに、前記前後方向に変形可能な変形被係止部で構成され、
該変形被係止部による前記前後方向の弾性係止力を、前記フランジ部の挿着方向に作用させる
請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
被覆電線の先端に接続される接続端子を後方から挿着するハウジングと、該ハウジングの後方をカバーするカバー体とが前後方向に連結されたコネクタであって、
前記ハウジングにおける前記カバー体との連結部分に、フランジ部で構成された挿着部が備えられるとともに、
前記カバー体における前記ハウジングとの連結部分に、前記フランジ部が挿入される受け溝を形成する溝形成部で構成され、前記挿着部が前記前後方向に交差する挿脱方向に挿着される被挿着部が備えられ、
前記挿着部が前記被挿着部に挿着された挿着状態において、前記被挿着部からの前記挿着部の脱出方向に係止する係止部及び被係止部のうち前記係止部が、前記ハウジングに備えられ、前記被係止部が、前記カバー体に備えられ、
前記係止部と前記被係止部において互いに係止し合う係止箇所の少なくとも一方が、前記挿脱方向に垂直な面に対して前記前後方向に傾斜する傾斜面で構成され、
前記係止部は、前記フランジ部に備えられた係止爪で構成され、
前記被係止部は、前記溝形成部に備えられるとともに、前記前後方向に変形可能な変形被係止部で構成され、
該変形被係止部による前記前後方向の弾性係止力を、前記フランジ部の挿着方向に作用させる
コネクタ。
【請求項4】
前記ハウジングは、
前記接続端子が挿着されるハウジング本体と、該ハウジング本体が後方から挿入されるハウジングケースとで構成され、
前記フランジ部及び前記係止爪が前記ハウジングケースに備えられた
請求項2又は請求項3に記載のコネクタ。
【請求項5】
前記カバー体に、
連結状態における前記ハウジングケースからの前記ハウジング本体の前記後方への抜出しを規制する規制凸部が備えられた
請求項4に記載のコネクタ。
【請求項6】
前記カバー体は、
前記前後方向に交差する挿脱方向から前記ハウジングを挟み込む一対構成の組合せカバー体で構成された
請求項1乃至5のうちいずれかに記載のコネクタ。
【請求項7】
請求項1乃至6のうちいずれかに記載のコネクタと、
前記接続端子が先端に接続された複数本の前記被覆電線とで構成された
コネクタ付ワイヤーハーネス。
【請求項8】
前記カバー体に、
前記接続端子が挿着されるととともに、前記ハウジングから後方に延びる前記被覆電線を束ねて固定する固定バンドを装着するバンド装着部が設けられた
請求項7に記載のコネクタ付ワイヤーハーネス。
【請求項9】
前後方向に連結されるカバー体によって後方がカバーされるとともに、被覆電線の先端に接続される接続端子が後方から挿着されるハウジングであって、
前記カバー体との連結部分に、前記カバー体に備えられた被挿着部と、前記前後方向に交差する挿脱方向に挿着される挿着部が備えられ、
前記挿着部が前記被挿着部に挿着された挿着状態において、前記被挿着部からの前記挿着部の脱出方向に係止する係止部及び被係止部のうち一方が備えられ、
前記係止部及び前記被係止部のうち一方において、前記カバー体に備えられた他方と係止
する係止箇
所が、前記挿脱方向に垂直な面に対して前記前後方向に傾斜する傾斜面で構成され、
前記挿着部が、フランジ部で構成され、
前記被挿着部が、前記フランジ部が挿入される受け溝を形成する溝形成部で構成され、
前記溝形成部は、前記フランジ部の厚みに対向する間隔を隔てて配置された一対の壁部で構成され、
底面が、前記壁部から前方に延びる当接
部に当接する
ハウジング。
【請求項10】
前後方向に連結されるカバー体によって後方がカバーされるとともに、被覆電線の先端に接続される接続端子が後方から挿着されるハウジングであって、
前記カバー体との連結部分に、前記カバー体に備えられた被挿着部と、前記前後方向に交差する挿脱方向に挿着される挿着部が備えられ、
前記挿着部が前記被挿着部に挿着された挿着状態において、前記被挿着部からの前記挿着部の脱出方向に係止する係止部及び被係止部のうち前記係止部が備えられ、
前記係止部において前記カバー体に備えられた前記被係止部
と係止
する係止箇
所が、前記挿脱方向に垂直な面に対して前記前後方向に傾斜する傾斜面で構成され、
前記挿着部が、フランジ部で構成され、
前記被挿着部が、前記フランジ部が挿入される受け溝を形成する溝形成部で構成され、
前記係止部は、前記フランジ部に備えられた係止爪で構成され、
前記被係止部は、前記溝形成部に備えられるとともに、前記前後方向に変形可能な変形被係止部で構成され、
前記フランジ部の挿着方向に、該変形被係止部による前記前後方向の弾性係止
が作用
する
ハウジング。
【請求項11】
被覆電線の先端に接続される接続端子を後方から挿着するハウジングに対して前後方向に連結され、前記ハウジングの後方をカバーするカバー体であって、
前記ハウジングとの連結部分に、前記ハウジングに備えられた挿着部と、前記前後方向に交差する挿脱方向に挿着される被挿着部が備えられ、
前記挿着部が前記被挿着部に挿着された挿着状態において、前記被挿着部からの前記挿着部の脱出方向に係止する係止部及び被係止部のうち一方が備えられ、
前記係止部及び前記被係止部のうち一方において、前記ハウジングに備えられた他方と係止
する係止箇
所が、前記挿脱方向に垂直な面に対して前記前後方向に傾斜する傾斜面で構成され、
前記挿着部が、フランジ部で構成され、
前記被挿着部が、前記フランジ部が挿入される受け溝を形成する溝形成部で構成され、
前記溝形成部は、前記フランジ部の厚みに対向する間隔を隔てて配置された一対の壁部で構成され、
前記壁部から前方に延びるとともに、前記ハウジングの底面に当接する当接部が備えられた
カバー体。
【請求項12】
被覆電線の先端に接続される接続端子を後方から挿着するハウジングに対して前後方向に連結され、前記ハウジングの後方をカバーするカバー体であって、
前記ハウジングとの連結部分に、前記ハウジングに備えられた挿着部と、前記前後方向に交差する挿脱方向に挿着される被挿着部が備えられ、
前記挿着部が前記被挿着部に挿着された挿着状態において、前記被挿着部からの前記挿着部の脱出方向に係止する係止部及び被係止部のうち前記被係止部が備えられ、
前記被係止部において前記ハウジングに備えられた前記係止部
と係止
する係止箇
所が、前記挿脱方向に垂直な面に対して前記前後方向に傾斜する傾斜面で構成され、
前記挿着部が、フランジ部で構成され、
前記被挿着部が、前記フランジ部が挿入される受け溝を形成する溝形成部で構成され、
前記係止部は、前記フランジ部に備えられた係止爪で構成され、
前記被係止部は、前記溝形成部に備えられるとともに、前記前後方向に変形可能な変形被係止部で構成され、
該変形被係止部による前記前後方向の弾性係止力を、前記フランジ部の挿着方向に作用させる
カバー体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、ワイヤーハーネスを電気的に接続するコネクタ、コネクタを構成するハウジング、カバー体、さらにはワイヤーハーネスの先端にコネクタが装着されたコネクタ付ワイヤーハーネスに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等に装備された電装品は、被覆電線を束ねたワイヤーハーネスを介して、別の電装品や電源装置と接続して、あるいはワイヤーハーネス同士を接続して電気回路を構成している。この際、ワイヤーハーネスと電装品や電源装置とは、それぞれに装着したコネクタ同士を雌雄嵌合することで接続されている。そして、コネクタのひとつとして、接続端子が挿着されたハウジングに対して後方をカバーするカバー体が備えられたコネクタが提案されている(特許文献1参照)。
【0003】
このようなカバー体が備えられたコネクタは、ハウジングとカバー体とを組み付けて構成しており、組み付けのためのクリアランスを設けている。そのため、例えば、組み付け状態において振動等の外力が付与されると、ハウジングとカバー体とに、ガタツキと呼ばれる相対移動が生じることがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、連結されたハウジングとカバー体との相対移動を抑制できるコネクタ、コネクタを構成するハウジング及びカバー体、並びにコネクタ付ワイヤーハーネスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、被覆電線の先端に接続される接続端子を後方から挿着するハウジングと、該ハウジングの後方をカバーするカバー体とが前後方向に連結されたコネクタであって、前記ハウジングにおける前記カバー体との連結部分に、フランジ部で構成された挿着部が備えられるとともに、前記カバー体における前記ハウジングとの連結部分に、前記フランジ部が挿入される受け溝を形成する溝形成部で構成され、前記挿着部が前記前後方向に交差する挿脱方向に挿着される被挿着部が備えられ、前記挿着部が前記被挿着部に挿着された挿着状態において、前記被挿着部からの前記挿着部の脱出方向に係止する係止部及び被係止部のうち一方が、前記ハウジングと前記カバー体の一方に備えられ、前記係止部及び前記被係止部のうち他方が、前記ハウジングと前記カバー体の他方に備えられ、前記係止部と前記被係止部において互いに係止し合う係止箇所の少なくとも一方が、前記挿脱方向に垂直な面に対して前記前後方向に傾斜する傾斜面で構成され、前記溝形成部は、前記フランジ部の厚みに対向する間隔を隔てて配置された一対の壁部で構成され、前記壁部から前方に延びるとともに、前記ハウジングの底面に当接する当接部が備えられたことを特徴とする。
【0007】
またこの発明は、前後方向に連結されるカバー体によって後方がカバーされるとともに、被覆電線の先端に接続される接続端子が後方から挿着されるハウジングであって、前記カバー体との連結部分に、前記カバー体に備えられた被挿着部と、前記前後方向に交差する挿脱方向に挿着される挿着部が備えられ、前記挿着部が前記被挿着部に挿着された挿着状態において、前記被挿着部からの前記挿着部の脱出方向に係止する係止部及び被係止部のうち一方が備えられ、前記係止部及び前記被係止部のうち一方において、前記カバー体に備えられた他方と係止する係止箇所が、前記挿脱方向に垂直な面に対して前記前後方向に傾斜する傾斜面で構成され、前記挿着部が、フランジ部で構成され、前記被挿着部が、前記フランジ部が挿入される受け溝を形成する溝形成部で構成され、前記溝形成部は、前記フランジ部の厚みに対向する間隔を隔てて配置された一対の壁部で構成され、底面が、前記壁部から前方に延びる当接部に当接することを特徴とする。
【0008】
またこの発明は、被覆電線の先端に接続される接続端子を後方から挿着するハウジングに対して前後方向に連結され、前記ハウジングの後方をカバーするカバー体であって、前記ハウジングとの連結部分に、前記ハウジングに備えられた挿着部と、前記前後方向に交差する挿脱方向に挿着される被挿着部が備えられ、前記挿着部が前記被挿着部に挿着された挿着状態において、前記被挿着部からの前記挿着部の脱出方向に係止する係止部及び被係止部のうち一方が備えられ、前記係止部及び前記被係止部のうち一方において、前記ハウジングに備えられた他方と係止する係止箇所が、前記挿脱方向に垂直な面に対して前記前後方向に傾斜する傾斜面で構成され、前記挿着部が、フランジ部で構成され、前記被挿着部が、前記フランジ部が挿入される受け溝を形成する溝形成部で構成され、前記溝形成部は、前記フランジ部の厚みに対向する間隔を隔てて配置された一対の壁部で構成され、前記壁部から前方に延びるとともに、前記ハウジングの底面に当接する当接部が備えられたことを特徴とする。
【0009】
上述の係止部及び被係止部は、前記係止部が前記ハウジングに備えられるとともに、前記被係止部が前記カバー体に備えられる場合、前記係止部が前記カバー体に備えられるとともに、前記被係止部が前記ハウジングに備えられる場合、あるいは前記係止部と前記被係止部が複数備えられ、前記係止部と前記被係止部のそれぞれが前記カバー体と前記ハウジングに備えられる場合などが含まれる。
【0010】
上述の前記挿脱方向に垂直な面に対して前記前後方向に傾斜する傾斜面は、例えば、挿脱方向が鉛直方向である場合における垂直な面、つまり水平面に対して前後方向に傾斜した面であり、前方に傾斜する面、後方に傾斜する面とすることができる。
【0011】
上記傾斜面は、前記係止箇所の全部が傾斜する傾斜面や前記係止箇所の一部が傾斜する傾斜面であってもよく、さらには、傾斜する平面や係止する側に突出する湾曲面であってもよい。
【0012】
この発明により、組み付け状態においてハウジングとカバー体との相対移動を抑制することができる。
詳述すると、被覆電線の先端に接続される接続端子を後方から挿着するハウジングと、該ハウジングの後方をカバーするカバー体とを、前記ハウジングと前記カバー体におけるそれぞれの連結部分の一方の挿着部を他方の被挿着部に挿着し、前後方向に連結したコネクタにおいて、前記被挿着部からの前記挿着部の脱出方向に係止する係止部及び被係止部において互いに係止し合う係止箇所の少なくとも一方が、前記挿脱方向に垂直な面に対して前記前後方向に傾斜する傾斜面で構成されているため、係止状態における前記被係止部と前記係止部とによる前記前後方向の係止力の一部を挿着方向に作用させたり、脱出方向や挿着方向の係止力の一部を前記前後方向に作用させたりできる。つまり、前記被係止部と前記係止部とによる係止力の一部の作用方向を変化させることができ、連結されたハウジングとカバー体との相対移動を抑制することができる。したがって、ハウジングとカバー体との相対移動によって生じるガタツキ音や微振動摩耗を防止することができる。
【0013】
上述の係止状態における係止力の一部を前記挿着方向に作用させるとは、被挿着部に挿着された挿着部をさらに押し込む方向に押し付ける力あるいは引っ張る力を作用させることをいい、また係止状態における係止力の一部を前記前後方向に作用させるとは、前方、つまり前記カバー体から前記ハウジングに向かう方向に押し付ける、または引っ張る力を作用させること、あるいは後方、つまり前記ハウジングから前記カバー体に向かう方向に押し付ける、または引っ張る力を作用させることをいう。
【0014】
また、前記挿着部が、前記ハウジングに備えられたフランジ部で構成され、前記被挿着部が、前記カバー体に備えられ、前記フランジ部が挿着される受け溝を形成する溝形成部で構成されている
【0015】
これにより、前記溝形成部で形成した前記受け溝にフランジ部を挿着することで、カバー体とハウジングとを連結することができる。詳しくは、カバー体に設けた前記受け溝に対して、ハウジングに備えたフランジ部を、前記連結方向に交差する方向に挿着することで、ハウジングとカバー体とを連結方向に連結することができる。
【0016】
また、前記受け溝からの前記フランジ部の脱出方向に係止する係止部及び被係止部において互いに係止し合う係止箇所の少なくとも一方が、前記挿脱方向に垂直な面に対して前記前後方向に傾斜する傾斜面で構成されているため、係止状態における前記被係止部と前記係止部とによる前記前後方向の係止力の一部を挿着方向に作用させて、前記フランジ部を前記受け溝の底部側に押し付けたり、脱出方向や挿着方向の係止力の一部を前記前後方向に作用させて、前記フランジ部を、前記受け溝を形成する前記溝形成部に押し付けたりして、連結されたハウジングとカバー体との相対移動を抑制することができる。
【0017】
さらにまた、前記溝形成部は、前記フランジ部の厚みに対向する間隔を隔てて配置された一対の壁部で構成され、前記壁部から前方に延びるとともに、前記ハウジングの底面に当接する当接部が備えられている。
【0018】
これにより、連結されたハウジングとカバー体との相対移動をより抑制することができる。詳述すると、前記溝形成部は、前記フランジ部の厚みに対向する間隔を隔てて配置された一対の壁部で構成され、前記壁部から前方に延びるとともに、前記ハウジングの底面に当接する当接部が備えられているため、組み付け状態において、係止状態における前記被係止部と前記係止部とによる前記前後方向の係止力の一部を挿着方向に作用させて、前記フランジ部を前記受け溝の底部側に押し付けたり、脱出方向や挿着方向の係止力の一部を前記前後方向に作用させて、前記フランジ部を、前記受け溝を形成する前記壁部に押し付けたりするとともに、前記壁部から前記前方に延びる前記当接部と前記ハウジング底面とが当接するため、連結されたハウジングとカバー体との相対移動をより抑制することができる。
【0019】
またこの発明の態様として、前記係止部は、前記フランジ部に備えられた係止爪で構成され、前記被係止部は、前記溝形成部に備えられるとともに、前記前後方向に変形可能な変形被係止部で構成され、該変形被係止部による前記前後方向の弾性係止力を、前記フランジ部の挿着方向に作用させてもよい。
【0020】
この発明により、連結されたハウジングとカバー体との相対移動をさらに抑制することができる。
詳述すると、前記フランジ部が前記受け溝に挿着された挿着状態において、前記フランジ部に設けられた係止爪と、前記受け溝を形成する前記溝形成部に設けられた前記変形被係止部とが係合するため、前記フランジ部が前記受け溝に挿着された挿着状態を確実に係止して、ハウジングとカバー体との相対移動をさらに抑制することができる。
【0021】
また、前記フランジ部が前記受け溝に挿着された挿着状態において、前記変形被係止部による前記前後方向の弾性係止力の一部を挿着方向に作用させることができるため、前記受け溝の底部側に前記フランジ部をより押し付けて、連結されたハウジングとカバー体との相対移動をさらに抑制することができる。
【0022】
この発明は、被覆電線の先端に接続される接続端子を後方から挿着するハウジングと、該ハウジングの後方をカバーするカバー体とが前後方向に連結されたコネクタであって、前記ハウジングにおける前記カバー体との連結部分に、フランジ部で構成された挿着部が備えられるとともに、前記カバー体における前記ハウジングとの連結部分に、前記フランジ部が挿入される受け溝を形成する溝形成部で構成され、前記挿着部が前記前後方向に交差する挿脱方向に挿着される被挿着部が備えられ、前記挿着部が前記被挿着部に挿着された挿着状態において、前記被挿着部からの前記挿着部の脱出方向に係止する係止部及び被係止部のうち前記係止部が、前記ハウジングに備えられ、前記被係止部が、前記カバー体に備えられ、前記係止部と前記被係止部において互いに係止し合う係止箇所の少なくとも一方が、前記挿脱方向に垂直な面に対して前記前後方向に傾斜する傾斜面で構成され、前記係止部は、前記フランジ部に備えられた係止爪で構成され、前記被係止部は、前記溝形成部に備えられるとともに、前記前後方向に変形可能な変形被係止部で構成され、該変形被係止部による前記前後方向の弾性係止力を、前記フランジ部の挿着方向に作用させることを特徴とする。
【0023】
またこの発明は、前後方向に連結されるカバー体によって後方がカバーされるとともに、被覆電線の先端に接続される接続端子が後方から挿着されるハウジングであって、前記カバー体との連結部分に、前記カバー体に備えられた被挿着部と、前記前後方向に交差する挿脱方向に挿着される挿着部が備えられ、前記挿着部が前記被挿着部に挿着された挿着状態において、前記被挿着部からの前記挿着部の脱出方向に係止する係止部及び被係止部のうち前記係止部が備えられ、前記係止部において前記カバー体に備えられた前記被係止部と係止する係止箇所が、前記挿脱方向に垂直な面に対して前記前後方向に傾斜する傾斜面で構成され、前記挿着部が、フランジ部で構成され、前記被挿着部が、前記フランジ部が挿入される受け溝を形成する溝形成部で構成され、前記係止部は、前記フランジ部に備えられた係止爪で構成され、前記被係止部は、前記溝形成部に備えられるとともに、前記前後方向に変形可能な変形被係止部で構成され、前記フランジ部の挿着方向に、該変形被係止部による前記前後方向の弾性係止が作用することを特徴とする。
【0024】
またこの発明は、被覆電線の先端に接続される接続端子を後方から挿着するハウジングに対して前後方向に連結され、前記ハウジングの後方をカバーするカバー体であって、前記ハウジングとの連結部分に、前記ハウジングに備えられた挿着部と、前記前後方向に交差する挿脱方向に挿着される被挿着部が備えられ、前記挿着部が前記被挿着部に挿着された挿着状態において、前記被挿着部からの前記挿着部の脱出方向に係止する係止部及び被係止部のうち前記被係止部が備えられ、前記被係止部において前記ハウジングに備えられた前記係止部と係止する係止箇所が、前記挿脱方向に垂直な面に対して前記前後方向に傾斜する傾斜面で構成され、前記挿着部が、フランジ部で構成され、前記被挿着部が、前記フランジ部が挿入される受け溝を形成する溝形成部で構成され、前記係止部は、前記フランジ部に備えられた係止爪で構成され、前記被係止部は、前記溝形成部に備えられるとともに、前記前後方向に変形可能な変形被係止部で構成され、該変形被係止部による前記前後方向の弾性係止力を、前記フランジ部の挿着方向に作用させることを特徴とする。
【0025】
この発明により、組み付け状態においてハウジングとカバー体との相対移動を抑制することができる。
詳述すると、被覆電線の先端に接続される接続端子を後方から挿着するハウジングと、該ハウジングの後方をカバーするカバー体とを、前記ハウジングと前記カバー体におけるそれぞれの連結部分の一方の挿着部を他方の被挿着部に挿着し、前後方向に連結したコネクタにおいて、前記被挿着部からの前記挿着部の脱出方向に係止する係止部及び被係止部において互いに係止し合う係止箇所の少なくとも一方が、前記挿脱方向に垂直な面に対して前記前後方向に傾斜する傾斜面で構成されているため、係止状態における前記被係止部と前記係止部とによる前記前後方向の係止力の一部を挿着方向に作用させたり、脱出方向や挿着方向の係止力の一部を前記前後方向に作用させたりできる。つまり、前記被係止部と前記係止部とによる係止力の一部の作用方向を変化させることができ、連結されたハウジングとカバー体との相対移動を抑制することができる。したがって、ハウジングとカバー体との相対移動によって生じるガタツキ音や微振動摩耗を防止することができる。
【0026】
また、前記挿着部が、前記ハウジングに備えられたフランジ部で構成され、前記被挿着部が、前記カバー体に備えられ、前記フランジ部が挿着される受け溝を形成する溝形成部で構成されている。
【0027】
これにより、前記溝形成部で形成した前記受け溝にフランジ部を挿着することで、カバー体とハウジングとを連結することができる。詳しくは、カバー体に設けた前記受け溝に対して、ハウジングに備えたフランジ部を、前記連結方向に交差する方向に挿着することで、ハウジングとカバー体とを連結方向に連結することができる。
【0028】
また、前記受け溝からの前記フランジ部の脱出方向に係止する係止部及び被係止部において互いに係止し合う係止箇所の少なくとも一方が、前記挿脱方向に垂直な面に対して前記前後方向に傾斜する傾斜面で構成されているため、係止状態における前記被係止部と前記係止部とによる前記前後方向の係止力の一部を挿着方向に作用させて、前記フランジ部を前記受け溝の底部側に押し付けたり、脱出方向や挿着方向の係止力の一部を前記前後方向に作用させて、前記フランジ部を、前記受け溝を形成する前記溝形成部に押し付けたりして、連結されたハウジングとカバー体との相対移動を抑制することができる。
【0029】
さらにまた、前記係止部は、前記フランジ部に備えられた係止爪で構成され、前記被係止部は、前記溝形成部に備えられるとともに、前記前後方向に変形可能な変形被係止部で構成され、該変形被係止部による前記前後方向の弾性係止力を、前記フランジ部の挿着方向に作用させている。
【0030】
これにより、連結されたハウジングとカバー体との相対移動をさらに抑制することができる。
詳述すると、前記フランジ部が前記受け溝に挿着された挿着状態において、前記フランジ部に設けられた係止爪と、前記受け溝を形成する前記溝形成部に設けられた前記変形被係止部とが係合するため、前記フランジ部が前記受け溝に挿着された挿着状態を確実に係止して、ハウジングとカバー体との相対移動をさらに抑制することができる。
【0031】
また、前記フランジ部が前記受け溝に挿着された挿着状態において、前記変形被係止部による前記前後方向の弾性係止力の一部を挿着方向に作用させることができるため、前記受け溝の底部側に前記フランジ部をより押し付けて、連結されたハウジングとカバー体との相対移動をさらに抑制することができる。
【0032】
またこの発明の態様として、前記ハウジングは、前記接続端子が挿着されるハウジング本体と、該ハウジング本体が後方から挿入されるハウジングケースとで構成され、前記フランジ部及び前記係止爪が前記ハウジングケースに備えられてもよい。
【0033】
この発明により、接続端子が挿着されたハウジング本体をハウジングケースの後方から組み付けるとともに、ハウジングケースに設けた前記フランジ部及び前記係止爪をカバー体と連結して固定するため、取り扱い性を向上することができる。
【0034】
またこの発明の態様として、前記カバー体に、連結状態における前記ハウジングケースからの前記ハウジング本体の前記後方への抜出しを規制する規制凸部が備えられてもよい。
【0035】
規制凸部は、抜け出そうとする前記ハウジング本体の後端に当接するように配置された凸部、前記ハウジングケースに挿入された前記ハウジング本体に嵌合させて後方への移動を規制する凸部などであってもよい。
この発明により、前記ハウジングケースから前記ハウジング本体が不用意に抜け出ることを防止することができる。
【0036】
またこの発明の態様として、前記カバー体は、前記前後方向に交差する挿脱方向から前記ハウジングを挟み込む一対構成の組合せカバー体で構成されてもよい。
この発明により、ハウジングの後方の周囲を組合せカバー体で容易に囲繞することができる。
【0037】
またこの発明は、上記コネクタと、前記接続端子が先端に接続された複数本の前記被覆電線とで構成されたコネクタ付ワイヤーハーネスであることを特徴とする。
この発明により、耐久性の高いコネクタ付ワイヤーハーネスを構成することができる。詳述すると、上記コネクタと、前記接続端子が先端に接続された接続端子が後方から挿着されたハウジングの後方をカバー体でカバーしているため、耐久性の高いコネクタ付ワイヤーハーネスを構成することができる。
【0038】
この発明の態様として、前記カバー体に、前記接続端子が挿着されるととともに、前記ハウジングから後方に延びる前記被覆電線を束ねて固定する固定バンドを装着するバンド装着部が設けられてもよい。
【0039】
この発明により、耐久性を向上できるコネクタ付ワイヤーハーネスを構成することができる。詳述すると、ワイヤーハーネスを束ねてカバー体に固定できるため、ワイヤーハーネスに外力が作用した場合であっても、バンドが装着されたバンド装着部を介して外力はカバー体に作用するため、ハウジングに収容した接続端子に外力が作用することがなく、耐久性を向上できるコネクタ付ワイヤーハーネスを構成することができる。
【0040】
また、先端に接続された接続端子が前記ハウジングに挿着された被覆電線で構成するワイヤーハーネスが束ねてカバー体に固定されているものの、上述したように、連結されたハウジングとカバー体との相対移動を抑制できるため、振動が作用した場合であってもワイヤーハーネスとカバー体とは同位相の振動モードで振動し、ワイヤーハーネスとカバー体とが相対移動することを抑制できる。
【0041】
特に、ワイヤーハーネスを構成する被覆電線が、細径化された被覆電線である場合、上述したように、ワイヤーハーネスとカバー体とが相対移動すると、細径化された被覆電線が損傷するおそれがあるが、上述したように、ワイヤーハーネスとカバー体とが相対移動することを抑制できるため、細径化された被覆電線で構成するワイヤーハーネスであっても損傷することを防止できる。
【発明の効果】
【0042】
本発明により、連結されたハウジングとカバー体との相対移動を抑制できるコネクタ、コネクタを構成するハウジング及びカバー体、並びにコネクタ付ワイヤーハーネスを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【
図2】雌雄嵌合するコネクタの内部構成を示す概略斜視図。
【
図3】雌型コネクタの後方上面側からの分解斜視図。
【
図4】雌型コネクタの前方底面側からの分解斜視図。
【
図6】ベースカバー体の前方上面側からの断面斜視図。
【
図7】ベースカバー体とハウジングの組み付けについての説明図。
【
図8】ベースカバー体とハウジングの組み付けについての説明図。
【
図9】アッパーカバー体の組み付けについての後方上面側からの斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0044】
この発明の一実施形態を以下図面と共に説明する。
なお、
図1は雌雄嵌合するコネクタ1,100の概略斜視図を示し、
図2は雌雄嵌合するコネクタ1,100の内部構成を示す概略斜視図を示し、
図3は雌型コネクタ1の後方上面側からの分解斜視図を示し、
図4は雌型コネクタ1の前方底面側からの分解斜視図を示し、
図5は雌型コネクタ1の説明図を示し、
図6はベースカバー体60の前方上面側からの断面斜視図を示し、
図7、8はベースカバー体60とハウジング10の組み付けについての説明図を示し、
図9はアッパーカバー体50の組み付けについての後方上面側からの斜視図を示している。
【0045】
より詳しくは、
図5(a)は雌型コネクタ1の底面図を示し、
図5(b)は
図5(a)におけるA-A断面図を示し、
図5(c)は
図5(a)におけるB-B断面図を示している。また、
図6は
図3に示すC-C断面におけるベースカバー体60の前方上面側からの断面斜視図を示している。
【0046】
さらに、
図7(a)はベースカバー体60へハウジング10を挿着する前の状態の後方上面側からの斜視図を示し、
図7(b)はベースカバー体60にハウジング10を挿着した状態の後方上面側からの斜視図を示している、
図8(a)は
図5(a)のB-B断面位置におけるベースカバー体60へハウジング10を挿着する前の状態の断面図を示し、
図8(b)は同断面位置におけるベースカバー体60へハウジング10を挿着中の断面図を示し、
図8(c)は同断面位置におけるベースカバー体60へハウジング10を挿着完了した状態の断面図を示している。
なお、
図3、5、7、8では、ワイヤーハーネス70の図示を省略し、
図4では、ハウジング本体20及びワイヤーハーネス70の図示を省略している。
【0047】
例えば、自動車等に装備された電装品を別の電装品や電源装置と接続して電気回路を構成するためなどに用いられるワイヤーハーネス70は、それぞれに装着したコネクタ1,100を雌雄嵌合させて、ワイヤーハーネス70同士や、電装品や電源装置と接続する。
【0048】
詳述すると、
図1,2に示すように、被覆電線70aを束ねて構成したワイヤーハーネス70の先端に雌型コネクタ1を装着し、図示省略する接続相手側の電装品やワイヤーハーネスに装着された雄型コネクタ100と雌雄嵌合することで電気的に接続することができる。
【0049】
なお、
図1、2において、雌型コネクタ1と雄型コネクタ100とが嵌合する方向を嵌合方向Chとし、雌型コネクタ1から雄型コネクタ100に向かう方向を第1嵌合方向Ch1、雄型コネクタ100が雌型コネクタ1に向かう方向を第2嵌合方向Ch2としている。また、嵌合方向Chは、後述するハウジング10とカバー体40とを連結する連結方向Coと一致している。
【0050】
雄型コネクタ100は、正面側(
図1において手前側,第2嵌合方向Ch2)が開放された横長矩形状の雄型ハウジング110と、整列配置された複数本の雄型接続端子111(
図2)とで構成されている。
【0051】
雄型接続端子111は、後述する雌型コネクタ1の雌型接続端子の端子接続部と接続される第2嵌合方向Ch2の接続タブ112と、図示省略する接続相手側の電装品やワイヤーハーネスと電気的に接続される電気接続部113とで構成されている。
なお、整列配置された雄型接続端子111は、後述する雌型コネクタ1における雌型接続端子(図示省略)の数と配置に対応している。
【0052】
雄型ハウジング110は、後述する雌型コネクタ1のハウジングケース30が挿入される開放空間Xを内部に有する有底角型筒状体であり、開放空間Xにおいて雄型接続端子111の接続タブ112が突出するように配置されている。また、雄型ハウジング110の上部の開放空間X側には、後述する雌型コネクタ1のハウジングケース30に備えた嵌合固定部31に対応する被嵌合固定部(図示省略)が備えられている。
【0053】
雌型コネクタ1は、
図1乃至
図3に示すように、ハウジング10と、カバー体40とで構成している。なお、雌型コネクタ1と、ワイヤーハーネス70とでコネクタ付ワイヤーハーネス2を構成している。
なお、
図3において矢印Coで図示するハウジング10とカバー体40とを連結する方向を連結方向とし、カバー体40に対するハウジング10の側を連結方向前方Co1、ハウジング10に対するカバー体40の側を連結方向後方Co2としている。
【0054】
また、
図3において矢印Wで図示する方向を幅方向としている。さらに、
図3において矢印ILで図示するハウジング10とベースカバー体60とが挿脱する方向を挿脱方向とし、ベースカバー体60に対してハウジング10を挿着する方向を挿着方向IL1(
図3において下向き)、ベースカバー体60からハウジング10が脱出する方向を脱出方向IL2(
図3において上向き)としている。なお、本明細書において、挿着方向IL1を下向きIL1、脱出方向IL2を上向きIL2ともいう。
【0055】
ワイヤーハーネス70は、細径化された被覆電線70aを複数本束ねて構成されており、各被覆電線70aの先端には、雄型コネクタ100の接続タブ112と電気的に接続される雌型接続端子(図示省略)が接続されている。なお、本実施形態においては、40本の被覆電線70aを束ねてワイヤーハーネス70を構成している。また、被覆電線70aは、導体の周囲を絶縁被覆で被覆した電線であるが、一般的な被覆電線に比べて細径化されているものの、通常の径の被覆電線であってもよい。
【0056】
ハウジング10は、複数のハウジング本体20と、ハウジング本体20を連結方向後方Co2から挿入可能に構成したハウジングケース30とで構成している。
ハウジング本体20は、上下方向ILより幅方向Wに長く、幅方向Wより連結方向Coに長い幅広直方体状であり、内部に連結方向Coに貫通するキャビティ21を複数設けるとともに、上面に位置規制凸部22を設けている。
【0057】
位置規制凸部22は、ハウジング本体20の上面の連結方向前方Co1において、幅方向Wに所定間隔を隔てて複数配置されている。また、ハウジング本体20の側面は、幅方向Wに複数配置した際に凹凸嵌合するように断面鉤状に形成されている。
【0058】
ハウジング本体20を連結方向Coに貫通するキャビティ21は、被覆電線70aの先端に接続される雌型接続端子を収容するとともに、連結方向Coの位置を固定可能に構成されており、連結方向前方Co1から雄型コネクタ100の接続タブ112が挿入可能に構成されている。
【0059】
キャビティ21は、ハウジング本体20において、幅方向Wに所定間隔を隔てて複数配置されているが、40本の被覆電線70aでワイヤーハーネス70を構成した本実施形態では、8個のキャビティ21が設けられている。
【0060】
このように構成されたハウジング本体20は、幅方向Wに並べるとともに上下方向ILに重ね合わせて用いることができるが、ハウジング本体20に8個のキャビティ21が設けられた本実施形態では、幅方向Wの中央において挿脱方向ILに1段、幅方向Wの両側において挿脱方向ILに2段重ねて、合計5つのハウジング本体20を用いている。
【0061】
上述のハウジング本体20を連結方向後方Co2から挿入可能なハウジングケース30は、上下方向ILより幅方向Wに長く、幅方向Wより連結方向Coが長い幅広直方体状であり、連結方向Coに貫通する収容空間Yを内部に有するとともに、ハウジングケース30の連結方向後方Co2の端部には挿脱方向IL及び幅方向Wに広がるフランジ部33が設けられている。
【0062】
収容空間Yは、上述した配置の5つのハウジング本体20が収容可能な、連結方向Coから視て幅方向Wに広い凹型の空間であり、収容空間Yに対面するハウジングケース30の内面には、位置規制凸部22がスライド可能な連結方向Coに長いガイド凹凸部が備えられている。
【0063】
ハウジング本体20の上面には、雄型ハウジング110に備えた被嵌合固定部と嵌合固定する嵌合固定部31が備えられている。嵌合固定部31は、連結方向Coから視て幅方向Wに広い凹型の空間である収容空間Yの中央に対応する位置に設けられており、連結方向前方Co1の端部を支点とした片持ち状の弾性片で構成されている。そして、嵌合固定部31の上面には係止爪311が設けられ、嵌合固定部31の連結方向後方Co2の端部には、下向きIL1に向かって押し込み可能な押し込み部312が設けられている。また、押し込み部312の上方には、後述するフランジ部33からつながる平面視コ字状のガイド32が設けられ、ガイド32によって、押し込み部312の不用意な押し込みを防止している。
【0064】
フランジ部33は、上述したように、ハウジングケース30の連結方向後方Co2の端部から挿脱方向IL及び幅方向Wに広がる所定の厚みt1で構成された板状である。フランジ部33のうち上側部分は、ガイド32の幅方向Wの両側に設けられており、ガイド32に対応する箇所は設けられていない。また、挿脱方向IL及び幅方向Wに広がるフランジ部33のうち下側には、連結方向後方Co2に突出する係止爪34が設けられている。
【0065】
連結方向後方Co2に突出する係止爪34は、
図8に示すように、傾斜上面341と案内傾斜面342とを有し、横向きの台形状に形成されている。
案内傾斜面342は、挿脱方向ILに垂直な面、つまり連結方向Coと幅方向Wとで構成される仮想の水平面に対して先端側が上方に向かう前上がりの傾斜面で構成している。本実施形態においては、仮想の水平面に対して45度で傾斜している。
【0066】
傾斜上面341は、仮想の水平面に対して先端側が下向きIL1に向かう前下がりの傾斜面で構成している。本実施形態においては、仮想の水平面に対して45度以下のおよそ15度で傾斜している。また、傾斜上面341の基端は、
図8(a)に示すように、ハウジングケース30の底面30aより所定間隔H1分だけ低い位置に配置されている。
【0067】
このように構成された係止爪34は幅方向Wに所定間隔を隔てて複数設けられている。詳しくは、幅方向Wに所定間隔を隔てて配置される係止爪34は、幅方向Wに3つ並べて収容空間Yに挿入する各ハウジング本体20の中央位置付近に配置されている。
また、幅方向Wに所定間隔を隔てて配置される係止爪34同士の間におけるフランジ部33の下端には、上向きIL2に延びるスリット35が設けられている。
【0068】
このように構成されたハウジングケース30の連結方向後方Co2からハウジング本体20を収容空間Yに挿入してハウジング10を構成することができる。このハウジング10では、収容空間Yに挿入されたハウジング本体20の連結方向後方Co2の端面は、ハウジングケース30の連結方向後方Co2の端部に形成されたフランジ部33の連結方向後方Co2の端面と面一、あるいは、わずかに連結方向後方Co2に突出するような態様で固定される。
【0069】
ハウジング10と連結され、ハウジング10の連結方向後方Co2をカバーするカバー体40は、ハウジング10の連結方向後方Co2を上方からカバーするアッパーカバー体50と、ハウジング10の連結方向後方Co2を下方からカバーするベースカバー体60とで構成され、アッパーカバー体50とベースカバー体60とで、ハウジングケース30のフランジ部33を上下方向から挟み込んで連結している。
【0070】
アッパーカバー体50は、連結方向後方Co2から連結方向前方Co1に向かって、ワイヤーハーネス70をカバーする平面視四角形状の後方カバー部51、幅方向長さがハウジングケース30と同程度にまで拡幅された拡幅部52、及びハウジングケース30のフランジ部33を挿着する上部受け溝部53がこの順で配置されて構成されている。このように、後方カバー部51、拡幅部52、及び上部受け溝部53が一体構成されたアッパーカバー体50は、適宜の弾性変形可能な樹脂製である。
【0071】
後方カバー部51は、上面と側面511とで構成され、連結方向後方Co2の後方側面511aには、ワイヤーハーネス70が挿通する切り欠き512が設けられている。幅方向Wの両側の側面511のうち
図3,4における手前側の第1側面511bには、後述するベースカバー体60の後方カバー部61の側面611bに設けた係止爪613に係合する側面視凹状の固定ラッチ513が下方に向かって突出する態様で設けられている。
【0072】
幅方向Wの両側の側面511のうち
図3,4における奥側の第2側面511cは、後方側面511aや第1側面511bより長く、下方に向かって突出している。また、第2側面511cは、連結方向前方Co1及び連結方向後方Co2に褄壁514を有し、底面側から見て幅方向Wの内向きの凹状に形成している。また、褄壁514には、連結方向Coの外側に突出する上下方向のガイド凸部515が設けられている。なお、第2側面511cは、アッパーカバー体50とベースカバー体60とを組み付けて構成するカバー体40の高さと同程度の長さで形成されている。
【0073】
後方カバー部51からハウジングケース30と同程度の幅方向長さに拡幅する拡幅部52は、上面522と側面521とで構成され、幅方向Wの両側面521には、後述するベースカバー体60の拡幅部62の側面621に設けた係止爪623に係合する側面視凹状の固定ラッチ523が下方に向かって突出する態様で設けられている。
【0074】
上面522の連結方向前方Co1の幅方向Wの中央には、ハウジングケース30のガイド32に対応する深さに向かって段々状に深くなり、幅方向長さに向かって段々状に拡幅される操作凹部524が形成されている。
【0075】
拡幅部52の連結方向前方Co1の端部に設けられた上部受け溝部53は、ガイド32の幅方向Wの両側に設けられたフランジ部33のうち上側に対応し、操作凹部524の幅方向Wの両外側に設けられ、フランジ部33に対応する幅方向長さで形成されている。
【0076】
上部受け溝部53は、拡幅部52の連結方向前方Co1の端部に設けられた内側褄面531と、連結方向Coに所定間隔を隔てて配置された外側褄面532と、幅方向側面533とで構成されている。そして、内側褄面531、外側褄面532及び幅方向側面533で囲われた上部受け溝54を形成している。
【0077】
上部受け溝54は、内側褄面531と外側褄面532との連結方向Coの間隔に対応する溝幅と、外側褄面532の高さに対応する溝深さを有する溝形状である。詳しくは、上部受け溝54はフランジ部33の厚みt1に対応する溝幅t2(
図8(a)参照)であり、つまり、内側褄面531と外側褄面532とは、連結方向Coにおいて溝幅t2に対応する間隔で隔てて配置されている。なお、溝幅t2は、厚みt1のフランジ部33が上部受け溝54に挿着できる間隔であり、厚みt1と同程度、あるいはわずかに広く形成している。
【0078】
このように構成されたアッパーカバー体50と組み合わせてカバー体40を構成するベースカバー体60は、連結方向後方Co2から連結方向前方Co1に向かって、ワイヤーハーネス70をカバーする平面視四角形状の後方カバー部61、幅方向長さがハウジングケース30と同程度にまで拡幅された拡幅部62、ハウジングケース30のフランジ部33を挿着する下部受け溝部63及び下部受け溝部63から連結方向前方Co1に延びる受け皿部65がこの順で配置されて構成されている。このように、後方カバー部61、拡幅部62、下部受け溝部63及び受け皿部65が一体構成されたベースカバー体60は、アッパーカバー体50と同様に、適宜の弾性変形可能な樹脂製である。
【0079】
後方カバー部61は、底面617と側面611とで構成され、連結方向後方Co2の後方側面611aには、ワイヤーハーネス70が挿通する切り欠き612が設けられている。幅方向Wの両側の側面611のうち
図3,4における手前側の第1側面611bには、上述の後方カバー部51に設けた固定ラッチ513と係合する幅方向Wの外側に突出する直角三角形断面の係止爪613が設けられている。
【0080】
係止爪613は、挿脱方向ILに垂直な面、つまり連結方向Coと幅方向Wとで構成される仮想の水平面に対して先端側が下向きIL1に向かう前下がりの上方傾斜面613aと、仮想の水平面に沿う水平底面613bとで連結方向Coから視て直角三角形状に形成されている。
【0081】
また、手前側の第1側面611bに対して幅方向Wに対向する部分は、底面617にかけて切欠かれており、その切り欠き部分の連結方向前方Co1には、ガイド凸部515がスライド嵌合するスライド溝614が設けられている。
また、底面617には、上記切り欠き部分からさらに手前側に向かって凹状に切りかかれた凹部615と、凹部615より手前側に凹状の貫通孔616が設けられている。
【0082】
後方カバー部61からハウジングケース30と同程度の幅方向長さに拡幅する拡幅部62は、底面622と側面621とで構成され、幅方向Wの両側面621には、上述の側面521に設けた固定ラッチ523と係合する幅方向Wの外側に突出する直角三角形断面の係止爪623が設けられている。
【0083】
係止爪623は、係止爪613と同様に、上述の仮想の水平面に対して先端側が下向きIL1に向かう前下がりの上方傾斜面623aと、仮想の水平面に沿う水平底面623bとで連結方向Coから視て直角三角形状に形成されている。
底面622の連結方向前方Co1の端部では、後述する下部受け溝部63に設けられた挿着ラッチ66に対応する箇所を挿脱方向ILに貫通させて貫通孔624を形成している。
【0084】
拡幅部62の連結方向前方Co1の端部に設けられた下部受け溝部63は、フランジ部33に対応する幅方向長さで形成されている。
下部受け溝部63は、拡幅部62の連結方向前方Co1の端部に設けられた内側褄面631と、連結方向Coに所定間隔を隔てて配置された外側褄面632と、幅方向側面633とで構成されている。そして、内側褄面631、外側褄面632及び幅方向側面633で囲われた下部受け溝64を形成している。
【0085】
下部受け溝64は、内側褄面631と外側褄面632との連結方向Coの間隔に対応する溝幅で形成され、挿脱方向ILに貫通する溝形状である。詳しくは、下部受け溝64は、上部受け溝54と同様にフランジ部33の厚みt1に対応する溝幅t2(
図8(a)参照)であり、つまり、内側褄面631と外側褄面632とは、連結方向Coにおいて溝幅t2に対応する間隔で隔てて配置されている。なお、溝幅t2は、厚みt1のフランジ部33を下部受け溝64に挿着できる間隔であり、厚みt1と同程度、あるいはわずかに広く形成している。
【0086】
また、下部受け溝64を構成する内側褄面631における貫通孔624に対応する部分には、フランジ部33に設けた係止爪34と係合する挿着ラッチ66が幅方向Wに所定間隔を隔てて構成している。
【0087】
挿着ラッチ66は、連結方向Coから視て係止バー661を上部に備えた逆凹状である。上部の係止バー661の底面661aは、
図8(b)(c)の拡大図に図示するように、挿脱方向ILに垂直な面、つまり連結方向Coと幅方向Wとで構成される仮想の水平面に対して先端側(連結方向前方Co1)が上向きIL2に向かって徐々に上がる湾曲面で構成している。
【0088】
また、本実施形態においては、底面661aは、
図8(a)に示すように、後述する受け皿部65の底面部651の上面651aより所定間隔H2分だけ低い位置に配置されている。なお、受け皿部65の底面部651の上面651aから底面661aまでの挿脱方向ILの所定間隔H2は、ハウジングケース30の底面30aから傾斜上面341の基端までの挿脱方向ILの所定間隔H1と比べて同程度もしくはわずかに短く設定している。
【0089】
このように挿着ラッチ66が設けられた内側褄面631における拡幅部62に対応する部分のうち挿着ラッチ66が設けられた範囲以外の部分には、底面622より上向きIL2に突出する突出壁67が設けられている。
【0090】
また、下部受け溝64を構成する内側褄面631と外側褄面632の下部には、内側褄面631と外側褄面632とを連結方向Coに跨るリブ部68が設けられている。なお、リブ部68はフランジ部33に設けられたスリット35に対応する位置で、スリット35に嵌合可能な大きさで形成している。
【0091】
内側褄面631及び幅方向側面633とで下部受け溝64を構成する外側褄面632には、連結方向前方Co1に向かって伸びる受け皿部65が設けられている。受け皿部65は、底面部651と、底面部651の幅方向Wの両側で上向きIL2に延びる側面部652とで、ハウジングケース30の幅方向長さに対応する幅の連結方向Coから視た凹状に形成している。なお、受け皿部65の底面部651の上面651aは、ハウジング10との組み付け状態において、ハウジングケース30の底面30aと当接することとなる。
このように構成されたアッパーカバー体50とベースカバー体60とを、挿脱方向ILから組み付けることでカバー体40を構成することができる。
【0092】
続いて、各要素が上述のように構成された雌型コネクタ1の組み付けについて説明する。
まず、被覆電線70aの先端に接続された雌型接続端子(図示省略)をハウジング本体20のキャビティ21に連結方向後方Co2から挿入して、被覆電線70aをハウジング本体20に組み付ける。なお、あらかじめ雌型コネクタをキャビティ21に配置しておき、キャビティ21の連結方向後方Co2から被覆電線70aを挿入して、被覆電線70aと雌型接続端子とを接続してもよい。
【0093】
このようにして、被覆電線70aを組み付けたハウジング本体20を所定数準備し、これらのハウジング本体20を上述の配置で配置するとともに、ハウジングケース30の収容空間Yに対して、連結方向後方Co2から挿入してハウジング本体20とハウジングケース30とを組み付けてハウジング10を構成する。
【0094】
このとき、上述したように、ハウジング本体20の連結方向後方Co2の端面は、ハウジングケース30の連結方向後方Co2の端面、つまりフランジ部33の連結方向後方Co2の端面と面一あるいは連結方向後方Co2にわずかに突出することとなる。
【0095】
次に、ハウジング10をベースカバー体60に組み付けてハウジング10とベースカバー体60とを連結する。詳しくは、
図7(a),
図8(a)に図示するように、ベースカバー体60の下部受け溝64の上方にフランジ部33が位置するようにハウジング10を配置し、ハウジング10を挿着方向IL1に移動させて下部受け溝64にフランジ部33を挿着してハウジング10とベースカバー体60を連結する(
図7(b),
図8(c)参照)。
【0096】
より詳しくは、下部受け溝64に対して、上方に配置したフランジ部33を挿着方向IL1に移動させて挿入すると、
図8(b)に示すように、係止爪34の案内傾斜面342によって、挿着ラッチ66の係止バー661が連結方向後方Co2に押し戻される。さらに、挿着方向IL1へ係止爪34が移動し、係止バー661が案内傾斜面342を乗り越えて傾斜上面341に係ると、係止バー661は自身の弾性力Fによって、連結方向前方Co1に移動する。
【0097】
そして、ハウジングケース30の底面30aが受け皿部65の底面部651の上面651aに当接するまで挿着方向IL1に移動すると、係止バー661は連結方向前方Co1に移動して、係止爪34と挿着ラッチ66とが係合し、ハウジング10とベースカバー体60とを堅固に固定することができる。
【0098】
また、上述の係合状態において、受け皿部65の底面部651の上面651aから挿着ラッチ66の底面661aまでの挿脱方向ILの所定間隔H2を、ハウジングケース30の底面30aから傾斜上面341の基端までの挿脱方向ILの所定間隔H1と比べて同程度もしくはわずかに短く設定しているため、挿着ラッチ66による弾性力F(
図8(c)拡大図参照)が連結方向前方Co1に作用することなる。
【0099】
しかしながら、係止バー661の底面661aは、上述の仮想の水平面に対して先端側が下向きIL1に向かう前下がりの傾斜面で構成された傾斜上面341に当接しているため、弾性力Fの一部が挿着方向IL1に向かう挿着方向力F1として、係止爪34に作用することとなる。したがって、挿着方向力F1は、係止爪34を介して、上面651aに底面30aが当接したハウジングケース30を挿着方向IL1に付勢することとなり、ベースカバー体60とハウジング10とをより堅固に固定することができる。
【0100】
逆に、係止爪34が脱出方向IL2に移動して挿着ラッチ66に脱出方向力F3が作用したり、係止バー661の底面661aと係止爪34の傾斜上面341との高さ関係から、係止状態において係止バー661が係止爪34を挿着方向IL1に押し付ける挿着方向力F1が作用すると、傾斜面で構成された傾斜上面341と、係止バー661の底面661aとが当接しているため、挿脱方向力F1,F3の一部は、挿着ラッチ66によって、連結方向前方Co1の前方押し付け力F2として、係止爪34を介してフランジ部33を連結方向前方Co1に押し付けることとなり、ベースカバー体60とハウジング10とをより堅固に固定することができる。
【0101】
なお、このようにハウジング10とベースカバー体60とを組み付けた状態では、
図5(b)に示すように、ハウジング10のハウジング本体20の連結方向後方Co2の端面に対して、突出壁67の連結方向前方Co1の端面が当接することとなる。
【0102】
上述のようにベースカバー体60とハウジング10とを組み付けた状態で、ハウジング10の連結方向後方Co2から帯びるワイヤーハーネス70に対して、保護テープ72を介して固定バンド71を巻き付けるとともに、固定バンド71を凹部615及び貫通孔616をくぐらせて締め付ける。この固定バンド71の締め付けにより、ハウジング10が組み付けられたベースカバー体60に対して、ハウジング10に挿入されたハウジング本体20から連結方向後方Co2に延びるワイヤーハーネス70を固定することができる(
図9参照)。
【0103】
なお、ベースカバー体60の後方カバー部61において、手前側の第1側面611bに対して幅方向Wに対向する部分は、底面617にかけて切欠かれているため、固定バンド71の締め付け作業を容易に行うことができる。
【0104】
そのうえで、ベースカバー体60の上方からアッパーカバー体50を組み付ける。詳しくは、フランジ部33の上方部分を上部受け溝54に挿着するとともに、褄壁514に設けたガイド凸部515をスライド溝614にスライド嵌合させながら、アッパーカバー体50を挿着方向IL1に移動させる。そして、固定ラッチ513,523を係止爪613,623に係合させて、ベースカバー体60とアッパーカバー体50との組み付け状態を固定してカバー体40を構成し、ハウジング10とカバー体40との連結を完了する。
【0105】
このアッパーカバー体50とベースカバー体60との組み付け状態では、ワイヤーハーネス70の幅方向Wの外側を第2側面511cでカバーし、ワイヤーハーネス70の連結方向Coを褄壁514でカバーしているため、ワイヤーハーネス70が露出せず、つまり、ワイヤーハーネス70のバンドカット端面が露出しないため安全である。
【0106】
このように、被覆電線70aの先端に接続される雌型接続端子を連結方向後方Co2から挿着するハウジング10と、ハウジング10の連結方向後方Co2をカバーするカバー体40とが連結方向Coに連結された雌型コネクタ1として、ハウジング10にフランジ部33が備えられるとともに、フランジ部33が連結方向Coに交差する挿脱方向ILに挿着される受け溝54,64がカバー体40に備えられ、フランジ部33が受け溝54,64に挿着された挿着状態において、受け溝64からのフランジ部33の脱出方向IL2に係止する係止爪34がハウジング10に備えられ、挿着ラッチ66がカバー体40に備えられ、係止爪34と挿着ラッチ66において互いに係止し合う傾斜上面341及び係止バー661の底面661aが、挿脱方向ILに仮想の水平面に対して連結方向Coに傾斜するため、組み付け状態においてハウジング10とカバー体40との相対移動を抑制することができる。
【0107】
詳述すると、受け溝64からのフランジ部33の脱出方向IL2に係止する係止爪34及び挿着ラッチ66において互いに係止し合う係止箇所において、挿脱方向ILに仮想の水平面に対して連結方向Coに傾斜する傾斜上面341及び底面661aが形成されているため、係止状態における挿着ラッチ66と係止爪34とによる連結方向Coの弾性力Fの一部を挿着方向IL1に作用させたり、挿脱方向ILの挿脱方向力F1,F3の一部を連結方向Coに作用させたりできる。つまり、挿着ラッチ66と係止爪34とによる係止力の一部の作用方向を変化させることができ、連結されたハウジング10とカバー体40との相対移動を抑制することができる。したがって、ハウジング10とカバー体40との相対移動によって生じるガタツキ音や微振動摩耗を防止することができる。
【0108】
また、カバー体40に設けた受け溝54,64に対して、ハウジング10に備えたフランジ部33を、連結方向Coに交差する下向きIL1に挿着することで、ハウジング10とカバー体40とを連結方向に連結することができる。
【0109】
また、受け溝64からのフランジ部33の脱出方向IL2に係止する係止爪34及び挿着ラッチ66において互いに係止し合う係止箇所において、挿脱方向ILに仮想の水平面に対して連結方向Coに傾斜する傾斜上面341及び底面661aが形成されているため、係止状態における挿着ラッチ66と係止爪34とによる連結方向Coの弾性力Fの一部を挿着方向IL1に作用させて、フランジ部33を受け溝64に対して挿着方向IL1に押し付けることができる。また、挿脱方向ILの挿脱方向力F1,F3の一部を連結方向Coに作用させて、受け溝54,64を形成する受け溝部53,63にフランジ部33を押し付けたりして、連結されたハウジング10とカバー体40との相対移動を抑制することができる。
【0110】
また、受け溝部63は、フランジ部33の厚みt1に対向する溝幅t2に対応する間隔を隔てて配置された一対の内側褄面631及び外側褄面632で構成され、側褄面632から連結方向前方Co1に延びるとともに、底面30aに当接する受け皿部65の底面部651が備えられているため、連結されたハウジング10とカバー体40との相対移動をより抑制することができる。
【0111】
詳述すると、受け溝部53,63は、フランジ部33の厚みt1に対向する間隔を隔てて配置された一対の内側褄面531,631及び外側褄面532,632で構成され、外側褄面632から前方に延びるとともに、底面30aに当接する受け皿部65の底面部651が備えられているため、係止状態における挿着ラッチ66と係止爪34とによる連結方向Coの弾性力Fの一部を挿着方向IL1に作用させて、フランジ部33を受け溝64に対して挿着方向IL1に押し付けることができる。また、挿脱方向ILの挿脱方向力F1,F3の一部を連結方向Coに作用させて、受け溝54,64を形成する内側褄面531,631及び外側褄面532,632にフランジ部33を押し付けたりするとともに、外側褄面632から前方に延びる受け皿部65の底面部651とハウジング10の底面30aとが当接するため、連結されたハウジング10とカバー体40との相対移動をより抑制することができる。
【0112】
また、係止爪34はフランジ部33に備えられるとともに、連結方向Coに変形可能な挿着ラッチ66が受け溝部63に備えられているため、挿着ラッチ66による連結方向Coの弾性力Fを、フランジ部33の挿着方向IL1に作用させることにより、連結されたハウジング10とカバー体40との相対移動をさらに抑制することができる。
【0113】
また、フランジ部33が受け溝54,64に挿着された挿着状態において、挿着ラッチ66による連結方向Coの弾性力Fを、フランジ部33に対して挿着方向IL1に作用させることができるため、受け溝64に対して挿着方向IL1にフランジ部33をより押し付けて、連結されたハウジング10とカバー体40との相対移動をさらに抑制することができる。
【0114】
また、ハウジング10は、雌型接続端子が挿着されるハウジング本体20と、ハウジング本体20が連結方向後方Co2から挿入されるハウジングケース30とで構成され、フランジ部33及び係止爪34がハウジングケース30に備えられているため、雌型接続端子が挿着されたハウジング本体20をハウジングケース30の連結方向後方Co2から組み付けるとともに、ハウジングケース30に設けたフランジ部33及び係止爪34をカバー体40と連結して固定するため、取り扱い性を向上することができる。
【0115】
また、カバー体40に、連結状態におけるハウジングケース30からのハウジング本体20の連結方向後方Co2への抜出しを規制する突出壁67が備えられているため、ハウジングケース30からハウジング本体20が不用意に抜け出すことを防止することができる。
【0116】
また、カバー体40は、連結方向Coに交差する挿脱方向ILからハウジング10を挟み込む一対構成のアッパーカバー体50及びベースカバー体60で構成されているため、ハウジング10の連結方向後方Co2の周囲を組合せカバー体40で容易に囲繞することができる。
【0117】
また、雌型コネクタ1と、雌型接続端子が先端に接続された複数本の被覆電線70aとで構成されたコネクタ付ワイヤーハーネス2は、複数本の被覆電線70aの先端に接続された雌型接続端子が連結方向後方Co2から挿着されたハウジング10の連結方向後方Co2をカバー体40でカバーしているため、耐久性の高いコネクタ付ワイヤーハーネスを構成することができる。
【0118】
また、カバー体40に、ハウジング10から連結方向後方Co2に延びる被覆電線70aを束ねて固定する固定バンド71を装着する凹部615、貫通孔616が設けられているため、耐久性を向上できるコネクタ付ワイヤーハーネス2を構成することができる。
【0119】
詳述すると、ワイヤーハーネス70をカバー体40に固定できるため、ワイヤーハーネス70に外力が作用した場合であっても、固定バンド71が装着された凹部615、貫通孔616を介して外力はカバー体40に作用するため、ハウジング10に収容した雌型接続端子に外力が作用することがなく、耐久性を向上できるコネクタ付ワイヤーハーネス2を構成することができる。
【0120】
また、先端に接続された雌型接続端子がハウジング10に挿着された被覆電線70aで構成するワイヤーハーネスをカバー体40に固定しているものの、上述したように、連結されたハウジング10とカバー体40との相対移動を抑制できるため、振動が作用した場合であってもワイヤーハーネス70とカバー体40とは同位相の振動モードで振動し、ワイヤーハーネス70とカバー体40とが相対移動することを抑制できる。
【0121】
特に、ワイヤーハーネス70を、細径化された被覆電線70aで構成しているため、上述したように、ワイヤーハーネス70とカバー体40とが相対移動すると、細径化された被覆電線70aが損傷するおそれがあるが、上述したように、ワイヤーハーネス70とカバー体40とが相対移動することを抑制できるため、細径化された被覆電線70aで構成するワイヤーハーネス70であっても損傷することを防止できる。
【0122】
この発明の構成と、上述の実施形態との対応において、
この発明の被覆電線は、被覆電線70aに対応し、
以下同様に、
接続端子は、雌型接続端子に対応し、
後方は、連結方向後方Co2に対応し、
ハウジングは、ハウジング10に対応し、
カバー体は、カバー体40に対応し、
前後方向は、連結方向Coに対応し、
コネクタは、雌型コネクタ1に対応し、
挿着部及びフランジ部は、フランジ部33に対応し、
挿脱方向は、挿脱方向ILに対応し、
被挿着部及び受け溝は、受け溝54,64に対応し、
係止部及び係止爪は、係止爪34に対応し、
被係止部及び変形被係止部は、挿着ラッチ66に対応し、
垂直な面は、仮想の水平面に対応し、
傾斜面は、傾斜上面341に対応し、
溝形成部は、受け溝部53,63に対応し、
フランジ部の厚みは、厚みt1に対応し、
フランジ部の厚みに対向する間隔は、溝幅t2に対応し、
壁部は、内側褄面531,631及び外側褄面532,632に対応し、
ハウジングの底面は、底面30aに対応し、
当接部は受け皿部65の底面部651に対応し、
弾性係止力は、弾性力Fに対応し、
ハウジング本体は、ハウジング本体20に対応し、
ハウジングケースは、ハウジングケース30に対応し、
規制凸部は、突出壁67に対応し、
一対構成の組合せカバー体は、カバー体40を構成するアッパーカバー体50及びベースカバー体60に対応し、
コネクタ付ワイヤーハーネスは、コネクタ付ワイヤーハーネス2に対応し、
固定バンドは、固定バンド71に対応し、
バンド装着部は、凹部615、貫通孔616に対応するが、
この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施の形態を得ることができる。
【0123】
例えば、上述の説明では、ハウジング本体20をハウジングケース30に挿入してハウジング10を構成したが、ハウジングケースとハウジング本体とが一体化されたハウジングであってもよい。
【0124】
また、上述の説明では、係止爪34がハウジング10に備えられるとともに、挿着ラッチ66がカバー体40に備えられたが、係止爪34がカバー体40に備えられるとともに、挿着ラッチ66がハウジング10に備えられてもよい。さらには、係止爪34と挿着ラッチ66との組が複数備えられ、係止爪34と挿着ラッチ66のそれぞれがカバー体40とハウジング10に備えられてもよい。
【0125】
突出壁67は、ハウジングケース30に挿入されたハウジング本体20に嵌合させて連結方向後方Co2への移動を規制する凸部などであってもよい。
また、傾斜面で構成された傾斜上面341と、湾曲面で形成された係止バー661の底面661aとのいずれか一方が上述の仮想の水平面に沿うフラットな面で構成されてもよい。
【符号の説明】
【0126】
1…雌型コネクタ
2…コネクタ付ワイヤーハーネス
10…ハウジング
20…ハウジング本体
30…ハウジングケース
30a…底面
33…フランジ部
34…係止爪
40…カバー体
50…アッパーカバー体
53,63…受け溝部
54,64…受け溝
60…ベースカバー体
65…受け皿部
66…ラッチ
67…突出壁
70…ワイヤーハーネス
70a…被覆電線
71…固定バンド
341…傾斜上面
531,631…内側褄面
532,632…外側褄面
615…凹部
616…貫通孔
651…底面部
Co…連結方向
Co2…連結方向後方
F…弾性力
IL…挿脱方向
t1…厚み
t2…溝幅