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特許7042832組成物、膜、レンズ、固体撮像素子、化合物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-17
(45)【発行日】2022-03-28
(54)【発明の名称】組成物、膜、レンズ、固体撮像素子、化合物
(51)【国際特許分類】
   C08F 20/34 20060101AFI20220318BHJP
   C08G 59/26 20060101ALI20220318BHJP
   C07D 251/70 20060101ALI20220318BHJP
   G02B 1/04 20060101ALI20220318BHJP
【FI】
C08F20/34
C08G59/26
C07D251/70 F CSP
G02B1/04
【請求項の数】 22
(21)【出願番号】P 2019543503
(86)(22)【出願日】2018-08-28
(86)【国際出願番号】 JP2018031658
(87)【国際公開番号】W WO2019058888
(87)【国際公開日】2019-03-28
【審査請求日】2020-03-04
(31)【優先権主張番号】P 2017181419
(32)【優先日】2017-09-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100152984
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 秀明
(74)【代理人】
【識別番号】100148080
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 史生
(72)【発明者】
【氏名】金子 祐士
(72)【発明者】
【氏名】田口 貴規
(72)【発明者】
【氏名】瀧下 大貴
【審査官】尾立 信広
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-301901(JP,A)
【文献】特開2008-019255(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 1/00-101/14
C08K 3/00-13/08
C08F 6/00-246/00
C08G 59/00-59/72
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I)で表される化合物、及び、溶剤を含む、組成物。
(A-C-)-Q-(-D-B) (I)
一般式(I)中、
lは、1~の整数を表す。
mは、1~の整数を表す。
ただし、lとmとの合計は2~5である。
Aは、それぞれ独立に、架橋性基を有さない置換基を有するアリール基又は架橋性基を有さない置換基を有していてもよいヘテロ環基を表す。前記アリール基が有する前記架橋性基を有さない置換基は、アリール基、シアノ基、アリールチオ基、ハロゲン原子、ヘテロ環基又はこれらを組み合わせた基である。
Bは、それぞれ独立に、架橋性基を有する置換基を有する、アリール基又はヘテロ環基を表し、Bで表されるアリール基及びヘテロ環基は、架橋性基を有さない置換基を有していてもよい。ただし、mの値が1である場合は、前記架橋性基を有する置換基の数が2以上であるか、及び、前記架橋性基を有する置換基が複数個の架橋性基を有しているかの一方以上の条件を満たす。前記Bで表されるアリール基及びヘテロ環基が有する前記架橋性基は、エチレン性不飽和結合を有する基又はエポキシ基である。
C及びDは、それぞれ独立に、単結合、-NH-、-NR-、-O-、又は、-S-を表し、C及びDのうち少なくとも1個は-NH-を表す。Rは、置換基を有していてもよい、アルキル基又はアリール基を表す。
Qは、置換基を有していてもよい、トリアジン環基、ピリジン環基又はピリミジン環基を表す。
【請求項2】
C及びDが、-NH-を表す、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
少なくとも1個のAが、前記架橋性基を有さない置換基を有するアリール基、又は、アリール基、シアノ基、アリールチオ基、ハロゲン原子、ヘテロ環基、ニトロ基、アルコキシ基、及び、これらを組み合わせた基からなる群から選択される1個以上の置換基を有する、ヘテロ環基を表す、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
Aで表される前記架橋性基を有さない置換基を有していてもよいヘテロ環基が、架橋性基を有さない置換基を有し、
前記架橋性基を有さない置換基が、アリール基、シアノ基、アリールチオ基、ハロゲン原子、ヘテロ環基又はこれらを組み合わせた基である、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項5】
少なくとも1個のAが、ビフェニル基、及び、シアノフェニル基からなる群から選択される1個以上の置換基を有する、アリール基又はヘテロ環基を表す、請求項1~4のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
Aで表されるアリール基が、ベンゼン環基、ナフタレン環基、又は、アントラセン環基であり、
Aで表されるヘテロ環基が、チオフェン環基、チアゾール環基、又は、ベンゾチアゾール環基である、請求項1~5のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
少なくとも1個のAが、Cとの結合位置に対してパラ位に架橋性基を有さない置換基を有する、ベンゼン環基を表す、請求項1~6のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項8】
前記架橋性基のうち少なくとも1個が、エチレン性不飽和結合を有する基又はエポキシ基である、請求項1~7のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項9】
前記架橋性基のうち少なくとも1個が、アクリロイル基、メタクリロイル基、マレイミド基、又は、エポキシ基である、請求項1~8のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項10】
前記架橋性基のうち少なくとも1個が、アクリロイル基である、請求項1~9のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項11】
Qが、トリアジン環基を表す、請求項1~10のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項12】
少なくとも1個のAが、分子量が65~500である基を表す、請求項1~11のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項13】
少なくとも1個のBが、分子量が75~650である基を表す、請求項1~12のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項14】
前記化合物の分子量が300~2000である、請求項1~13のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項15】
前記化合物の波長589nmにおける屈折率が1.70以上である、請求項1~14のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項16】
請求項1~15のいずれか1項に記載の組成物を用いて形成される、膜。
【請求項17】
請求項16に記載の膜からなる、レンズ。
【請求項18】
請求項16に記載の膜、又は、請求項17に記載のレンズを備える、固体撮像素子。
【請求項19】
一般式(II)で表される化合物。
【化1】
一般式(II)中、
v及びwは、それぞれ独立に、1~5の整数を表す。
x及びyは、それぞれ独立に、0~4の整数を表す。
ただし、vとxとの合計は1~5であり、wとyとの合計は1~5である。
は、架橋性基を有さない置換基を有するアリール基又は架橋性基を有さない置換基を有していてもよいヘテロ環基を表す。前記アリール基が有する前記架橋性基を有さない置換基は、アリール基、シアノ基、アリールチオ基、ハロゲン原子、ヘテロ環基又はこれらを組み合わせた基である。
は、単結合、-NH-、-NR-、-O-、又は、-S-を表す。Rは、置換基を有していてもよい、アルキル基又はアリール基を表す。
及びRは、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、又は、置換基を有していてもよいアリール基を表す。
ただし、Cが-NH-以外を表す場合、R及びRの少なくとも一方は水素原子を表す。
及びPは、それぞれ独立に、架橋性基を有する置換基を表す。前記P及び前記Pで表される置換基が有する前記架橋性基は、エチレン性不飽和結合を有する基又はエポキシ基である。
及びQは、それぞれ独立に、架橋性基を有さない置換基を表す。前記Q及び前記Qで表される前記架橋性基を有さない置換基は、アリール基、シアノ基、アリールチオ基、ハロゲン原子、ヘテロ環基又はこれらを組み合わせた基である。
【請求項20】
で表される前記架橋性基を有さない置換基を有していてもよいヘテロ環基が、架橋性基を有さない置換基を有し、
前記架橋性基を有さない置換基が、アリール基、シアノ基、アリールチオ基、ハロゲン原子、ヘテロ環基又はこれらを組み合わせた基である、請求項19に記載の化合物。
【請求項21】
一般式(III)で表される化合物。
【化2】
一般式(III)中、
vは、1~5の整数を表す。
xは、0~4の整数を表す。
ただし、vとxとの合計は1~5である。
及びAは、それぞれ独立に、架橋性基を有さない置換基を有するアリール基又は架橋性基を有さない置換基を有していてもよいヘテロ環基を表す。前記アリール基が有する前記架橋性基を有さない置換基は、アリール基、シアノ基、アリールチオ基、ハロゲン原子、ヘテロ環基又はこれらを組み合わせた基である。
及びCは、それぞれ独立に、単結合、-NH-、-NR-、-O-、又は、-S-を表す。Rは、置換基を有していてもよい、アルキル基又はアリール基を表す。
は、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、又は、置換基を有していてもよいアリール基を表す。
ただし、C及びCがいずれも-NH-以外を表す場合、Rは水素原子を表す。
は、架橋性基を有する置換基を表す。ただし、vの値が1である場合は、前記架橋性基を有する置換基の数が2以上であるか、及び、前記架橋性基を有する置換基が複数個の架橋性基を有しているかの一方以上の条件を満たす。前記Pで表される置換基が有する前記架橋性基は、エチレン性不飽和結合を有する基又はエポキシ基である。
は、架橋性基を有さない置換基を表す。前記Qで表される前記架橋性基を有さない置換基は、アリール基、シアノ基、アリールチオ基、ハロゲン原子、ヘテロ環基又はこれらを組み合わせた基である。
【請求項22】
及びAで表される前記架橋性基を有さない置換基を有していてもよいヘテロ環基が、架橋性基を有さない置換基を有し、
前記架橋性基を有さない置換基が、アリール基、シアノ基、アリールチオ基、ハロゲン原子、ヘテロ環基又はこれらを組み合わせた基である、請求項21に記載の化合物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組成物、膜、レンズ、固体撮像素子、及び、化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
光学材料に使用可能な化合物が広く検討されている。
例えば、特許文献1では耐熱性材料及び電子材料として使用可能な原料として、下記一般式で表される化合物が開示されている。
【0003】
【化1】
【0004】
また、特許文献2では電荷輸送材料の機能膜の作製に有用な新規な重合性化合物として、下記一般式で表される化合物が開示されている。
【0005】
【化2】
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開平04-330066号公報
【文献】特開2009-221124号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
近年、光学機器(固体撮像素子、表示装置等)の高機能化又は小型化等の要求に伴い、高い屈折率を有する膜を形成できる組成物が求められている。また、製造プロセス上、組成物を用いて塗布膜を形成してから、露光等の次の処理までの期間(例えば72時間)が空いた場合であっても、安定した性能の膜を得られる必要がある。
【0008】
本発明者らが、特許文献1に記載の化合物について検討したところ、この化合物を含む組成物を用いて形成された膜の屈折率は求められる基準に達していなかった。
また、本発明者らが、特許文献2に記載の化合物について検討したところ、この化合物を含む組成物を用いて形成された塗布膜の表面には微細な凹凸等(以下、「欠陥」ともいう)が生じやすいことが分かった。また、塗布膜の形成をしてから、塗布膜に露光等の処理をするまでの期間が長い場合、このような欠陥は更に増えやすくなることが分かった。このような欠陥があると、膜の性能低下につながることが懸念される。
以下、塗布膜に欠陥が生じにくい性質を「欠陥抑制性」ともいう。
【0009】
そこで、本発明は、欠陥抑制性に優れる塗布膜を形成でき、かつ、屈折率に優れる膜を形成できる組成物を提供することを課題とする。
また、本発明は、上記組成物を用いて得られる膜、上記膜を含むレンズ、上記膜又は上記レンズを含む固体撮像素子、及び、上記組成物に含まれる化合物を提供することも課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、上記課題について鋭意検討した結果、所定の構造の化合物を含む組成物が、所望の性能を有することを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明者らは、以下の構成により上記課題が解決できることを見出した。
【0011】
〔1〕 後述する一般式(I)で表される化合物、及び、溶剤を含む、組成物。
〔2〕 後述する一般式(I)中、C及びDが、-NH-を表す、〔1〕に記載の組成物。
〔3〕 後述する一般式(I)中、少なくとも1個のAが、アリール基、シアノ基、アリールチオ基、ハロゲン原子、ヘテロ環基、ニトロ基、アルコキシ基、及び、これらを組み合わせた基からなる群から選択される1個以上の置換基を有する、アリール基又はヘテロ環基を表す、〔1〕又は〔2〕に記載の組成物。
〔4〕 後述する一般式(I)中、少なくとも1個のAが、ビフェニル基、及び、シアノフェニル基からなる群から選択される1個以上の置換基を有する、アリール基又はヘテロ環基を表す、〔1〕~〔3〕のいずれかに記載の組成物。
〔5〕 後述する一般式(I)中、Aで表されるアリール基が、ベンゼン環基、ナフタレン環基、又は、アントラセン環基であり、
後述する一般式(I)中、Aで表されるヘテロ環基が、チオフェン環基、チアゾール環基、又は、ベンゾチアゾール環基である、〔1〕~〔4〕のいずれかに記載の組成物。
〔6〕 後述する一般式(I)中、少なくとも1個のAが、Cとの結合位置に対してパラ位に架橋性基を有さない置換基を有する、ベンゼン環基を表す、〔1〕~〔5〕のいずれかに記載の組成物。
〔7〕 上記架橋性基のうち少なくとも1個が、エチレン性不飽和結合を有する基又はエポキシ基である、〔1〕~〔6〕のいずれかに記載の組成物。
〔8〕 上記架橋性基のうち少なくとも1個が、アクリロイル基、メタクリロイル基、マレイミド基、又は、エポキシ基である、〔1〕~〔7〕のいずれかに記載の組成物。
〔9〕 上記架橋性基のうち少なくとも1個が、アクリロイル基である、〔1〕~〔8〕のいずれかに記載の組成物。
〔10〕 後述する一般式(I)中、Qが、トリアジン環基を表す、〔1〕~〔9〕のいずれかに記載の組成物。
〔11〕 後述する一般式(I)中、少なくとも1個のAが、分子量が65~500である基を表す、〔1〕~〔10〕のいずれかに記載の組成物。
〔12〕 後述する一般式(I)中、少なくとも1個のBが、分子量が75~650である基を表す、〔1〕~〔11〕のいずれかに記載の組成物。
〔13〕 上記化合物の分子量が300~2000である、〔1〕~〔12〕のいずれかに記載の組成物。
〔14〕 上記化合物の波長589nmにおける屈折率が1.70以上である、〔1〕~〔13〕のいずれかに記載の組成物。
〔15〕 〔1〕~〔14〕のいずれかに記載の組成物を用いて形成される、膜。
〔16〕 〔15〕に記載の膜からなる、レンズ。
〔17〕 〔15〕に記載の膜、又は、〔16〕に記載のレンズを備える、固体撮像素子。
〔18〕 後述する一般式(II)で表される化合物。
〔19〕 後述する一般式(III)で表される化合物。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、欠陥抑制性に優れる塗布膜を形成でき、かつ、屈折率に優れる膜を形成できる組成物を提供できる。
また、本発明によれば、上記組成物を用いて得られる膜、上記膜を含むレンズ、上記膜又は上記レンズを含む固体撮像素子、及び、上記組成物に含まれる化合物を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明について詳細に説明する。
本明細書において「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
本明細書中における「活性光線」又は「放射線」とは、例えば、水銀灯の輝線スペクトル、エキシマレーザーに代表される遠紫外線、極紫外線(EUV光)、X線、及び、電子線等を意味する。また本明細書において「光」とは、活性光線又は放射線を意味する。本明細書中における「露光」とは、特に断らない限り、水銀灯、エキシマレーザーに代表される遠紫外線、X線、及び、EUV光等による露光のみならず、電子線及びイオンビーム等の粒子線による描画も露光に含める。
本明細書において、「(メタ)アクリレート」は、アクリレート及びメタアクリレートを表し、「(メタ)アクリル」はアクリル及びメタアクリルを表し、「(メタ)アクリロイル」は、アクリロイル及びメタクリロイルを表す。
本明細書において「工程」との語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の作用が達成されれば、本用語に含まれる。
本明細書において、重量平均分子量及び数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定でのポリスチレン換算値として定義される。本明細書において、重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、例えば、測定装置としてHLC-8220(東ソー株式会社製)を用い、カラムとしてTSKgel Super AWM―H(東ソー株式会社製、6.0mmID(内径)×15.0cm)を用い、溶離液として10mmol/L リチウムブロミドNMP(N-メチルピロリジノン)溶液を用いて求められる。
本明細書において、全固形分とは、組成物の全体から溶剤を除いた成分の合計質量をいう。
【0014】
本明細書における基(原子団)の表記において、置換及び無置換を記していない表記は、置換基を有さない基と共に置換基を有する基をも包含する。例えば、「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含する。置換基としては、例えば、下記置換基Tが挙げられる。
【0015】
(置換基T)
置換基Tとしては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及び、ヨウ素原子等のハロゲン原子;メトキシ基、エトキシ基及びtert-ブトキシ基等のアルコキシ基;フェノキシ基、及び、p-トリルオキシ基等のアリールオキシ基;メトキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、及び、フェノキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基;アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、及び、ベンゾイルオキシ基等のアシルオキシ基;アセチル基、ベンゾイル基、イソブチリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、及び、メトキサリル基等のアシル基;メチルスルファニル基、及び、tert-ブチルスルファニル基等のアルキルスルファニル基;フェニルスルファニル基、及び、p-トリルスルファニル基等のアリールスルファニル基;アルキル基;シクロアルキル基;アリール基;ヘテロアリール基;水酸基;カルボキシ基;ホルミル基;スルホ基;シアノ基;アルキルアミノカルボニル基;アリールアミノカルボニル基;スルホンアミド基;シリル基;ニトロ基;アミノ基;モノアルキルアミノ基;ジアルキルアミノ基;アリールアミノ基;チオール基;並びに、これらの組み合わせが挙げられる。
【0016】
〔組成物〕
本発明の組成物は、後述する一般式(I)で表される化合物(以下「特定化合物」ともいう)、及び、溶剤を含む組成物である。
【0017】
本発明の組成物の特徴点としては、上述のとおり、特定化合物を含む点が挙げられる。
特定化合物は、架橋性基を有さない基(一般式(I)中、Aで表される基)と架橋性基を有する基(一般式(I)中、Bで表される基)との両方を有している。更に、特定化合物は中心環(一般式(I)中、Qで表される基)と、上記架橋性基を有さない基及び上記架橋性基を有する基との間の連結基として、少なくとも1個の-NH-を有している。
このような構造の特定化合物を用いることで本発明の課題を解決できる理由は必ずしも明らかではないが、本発明者らは以下のように考えている。
特定化合物は、架橋性基を有さない基と架橋性基を有する基との両方を有しているため、化合物全体として対称性が低い構造となっており、結晶化が進行しにくい。そのため、塗布膜における欠陥の発生を抑制できると考えられている。
また、特定化合物の中心環と、架橋性基を有さない基及び/又は架橋性基を有する基との間の連結基として存在する-NH-が、組成物を用いて形成される膜の屈折率の向上に寄与していると考えられている。
【0018】
また、このような本発明の組成物から形成される膜は、膜面に荒れ及び亀裂が生じにくく、表面外観に優れる利点もある。
更に、本発明の組成物を用いることでフォトリソグラフィ性に優れた塗布膜を得られる。本発明の組成物を用いて形成される塗布膜は現像性に優れ、かつ、良好な形状を有するパターンを形成できる。
【0019】
[特定化合物(一般式(I)で表される化合物)]
特定化合物は、一般式(I)で表される化合物である。
(A-C-)-Q-(-D-B) (I)
【0020】
一般式(I)中、lは、1~10の整数を表す。
lは、1~8が好ましく、1~4がより好ましく、1~2が更に好ましい。
lが2以上である場合、複数存在するAは同一でも異なっていてもよく、複数存在するCは同一でも異なっていてもよく、複数存在する(-C-A)は同一でも異なっていてもよい。
【0021】
一般式(I)中、mは、1~10の整数を表す。
mは、1~8が好ましく、1~4がより好ましく、1~2が更に好ましい。
mが2以上である場合、複数存在するBは同一でも異なっていてもよく、複数存在するDは同一でも異なっていてもよく、複数存在する(-D-B)は同一でも異なっていてもよい。
【0022】
lとmとの合計(l+m)は、2~16が好ましく、2~6がより好ましく、3~4が更に好ましい。
【0023】
<Aの構造>
一般式(I)中、Aは、それぞれ独立に、架橋性基を有さない置換基を有していてもよい、アリール基又はヘテロ環基を表す。つまり、Aは、架橋性基を有さない置換基を有していてもよいアリール基、又は、架橋性基を有さない置換基を有していてもよいヘテロ環基を表す。
架橋性基の定義は、後段で詳述する。
【0024】
上記アリール基としては、ベンゼン環基、ナフタレン環基、及び、アントラセン環基等の炭素数6~14のアリール基が好ましく、炭素数6~10のアリール基がより好ましく、ベンゼン環基が更に好ましい。
【0025】
上記ヘテロ環基は、芳香族性を有していても有していなくてもよく、単環でも多環でもよい。
ヘテロ環基の員環数は、3~24が好ましく、4~15がより好ましく、5~10が更に好ましい。
ヘテロ環基が有するヘテロ原子の数は、1~10が好ましく、1~6がより好ましく、1~4が更に好ましい。
ヘテロ環基のヘテロ原子の例としては、窒素原子、硫黄原子、酸素原子、セレン原子、テルル原子、リン原子、ケイ素原子、及び、ホウ素原子が挙げられる。中でも、窒素原子、硫黄原子、又は、酸素原子が好ましい。
ヘテロ環基の例としては、チオフェン環基、チアゾール環基、ベンゾチアゾール環基、カルバゾール環基、インドール環基、ピロール環基、フラン環基、セレノフェン環基、テルロフェン環基、イミダゾール環基、ピラゾール環基、オキサゾール環基、イソオキサゾール環基、イソチアゾール環基、ピリジン環基、ピリドン-2-オン環基、ピリミジン環基、ピリダジン環基、ピラジン環基、トリアジン環基、セレノピラン環基、及び、テルロピラン環基等の芳香族へテロ環基;ピロリジン環基、シロール環基、パーヒドロシロール環基、ピペリジン環基、ピベラジン環基、及び、モルホリン環基が挙げられる。
中でも、チオフェン環基、チアゾール環基、及び、ベンゾチアゾール環基が好ましい。
【0026】
Aとしては、架橋性基を有さない置換基を有していてもよい、ベンゼン環基、チオフェン環基、ナフタレン環基、アントラセン環基、チアゾール環基、又は、ベンゾチアゾール環基であるのが好ましい。つまり、Aで表されるアリール基は、ベンゼン環基、ナフタレン環基、又は、アントラセン環基であることが好ましく、Aで表されるヘテロ環基は、チオフェン環基、チアゾール環基、又は、ベンゾチアゾール環基であることが好ましい。
一般式(I)中、少なくとも1個のAがこれらの基のいずれかであるのが好ましく、全てのAがこれらの基のいずれかであるのがより好ましい。
【0027】
上記アリール基及び上記ヘテロ環基は、架橋性基を有さない置換基を有していても有していなくてもよい。膜の屈折率がより優れる点から、架橋性基を有さない置換基を有するのが好ましい。なお、上記アリール基及び上記ヘテロ環基は、架橋性基を有する置換基を有することはない。
上記アリール基及び上記ヘテロ環基が架橋性基を有さない置換基を有する場合、架橋性基を有さない置換基の数に特に制限はないが、それぞれ独立に、1~10が好ましく、1~2がより好ましく、1が更に好ましい。
Aがベンゼン環基である場合、ベンゼン環基は架橋性基を有さない置換基を有するのが好ましく、架橋性基を有さない置換基がCとの結合位置に対してパラ位に結合しているのがより好ましい。
【0028】
Aが有する置換基は、架橋性基を有さない限り特に制限はない。Aが有し得る架橋性基を有さない置換基を非架橋性基ともいう。非架橋性基は、組成物が含んでいてもよい重合開始剤または架橋剤に対して安定であることが求められる。重合開始剤または架橋剤との組み合わせによって非架橋性基として使用可能な基は異なるが、代表的には、膜の屈折率が優れる点から、アリール基、シアノ基、アリールチオ基(好ましくはフェニルチオ基)、ハロゲン原子、ヘテロ環基、ニトロ基、アルコキシ基、アルキル基(好ましくは炭素数1~3)、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アルキルチオ基、又は、これらを組み合わせた基が好ましく、アリール基、シアノ基、アリールチオ基、ハロゲン原子、ヘテロ環基、ニトロ基、アルコキシ基、又は、これらを組み合わせた基がより好ましく、ビフェニル基、及び、シアノフェニル基が更に好ましい。
【0029】
一般式(I)中、少なくとも1個のAが、これらの置換基のうち1個以上を有するのが好ましい。一般式(I)中、全てのAが、これらの置換基のうち1個以上を有するのも好ましい。Aがヘテロ環基の場合は、置換基を有さないのも好ましい。
【0030】
Aの分子量は、それぞれ独立に、65~500が好ましく、70~400がより好ましく、75~300が更に好ましい。
【0031】
Aで表される基としては、例えば、以下で表される基が挙げられる。
【0032】
【化3】
【0033】
<Bの構造>
一般式(I)中、Bは、それぞれ独立に、架橋性基を有する置換基を有する、アリール基又はヘテロ環基を表す。つまり、Bは、架橋性基を有する置換基を有するアリール基又は架橋性基を有する置換基を有するヘテロ環基を表す。
なお、Bで表されるアリール基及びヘテロ環基は、架橋性基を有さない置換基を有していてもよい。
【0034】
上記アリール基及び上記ヘテロ環基の例としては、Aで表され得る基として説明したアリール基及びヘテロ環基が同様に挙げられ、好ましい範囲も同様に参照できる。
中でも、Bで表されるアリール基又はヘテロ環基としては、ベンゼン環基が好ましい。
【0035】
(架橋性基を有する置換基)
Bは、架橋性基を有する置換基を有する。より具体的には、B中のアリール基及びヘテロ環基は、架橋性基を有する置換基を有する。
本明細書において、架橋性基を有する置換基は、架橋性基を少なくとも一部に含んでいればよく、架橋性基そのものであってもよい。
Bが有する架橋性基を有する置換基の数に特に制限はなく、それぞれ独立に、1~4が好ましく、1~3がより好ましく、1~2が更に好ましい。
また、架橋性基を有する置換基1個が、複数個(例えば2~4個)の架橋性基を有していてもよい。
中でも、膜を高分子化して膜の強度を向上できる点から、mの値が1である場合は、架橋性基を有する置換基の数が2以上であるか、架橋性基を有する置換基が複数個の架橋性基を有しているかの一方以上の条件を満たすのが好ましい。言い換えると、特定化合物は、1分子中に2個以上の架橋性基を有するのが好ましい。
【0036】
架橋性基は、ラジカル、酸、又は、熱等により架橋反応を生ずる基が好ましい。また、本発明の組成物が架橋剤を更に含む場合、その架橋剤と反応可能な基を架橋性基として用いるのが好ましい。
組成物が含んでいてもよい重合開始剤または架橋剤との組み合わせによって、架橋性基として使用可能な基は異なるが、代表的な例としては、エチレン性不飽和結合を有する基、エポキシ基、オキセタニル基(好ましくは3-エチルオキセタニル基)、イソシアネート基、メチロール基、アルコキシシリル基、水酸基、アミノ基、及び、カルボキシ基が挙げられる。
エチレン性不飽和結合を有する基の例としては、アクリロイル基、メタクリロイル基、ハロアリル基、ハロアクリロイル基、ヒドロキシメチルアリル基、ヒドロキシメチルアクリロイル基、マレイミド基、アリル基、メタリル基、及び、ビニル基が挙げられる。
架橋性基としては、エチレン性不飽和結合を有する基又はエポキシ基が好ましく、アクリロイル基、メタクリロイル基、マレイミド基、又は、エポキシ基がより好ましく、アクリロイル基が更に好ましい。架橋性基が複数存在する場合、それぞれ同一でも異なっていてもよいが、架橋性基のうち少なくとも1個は、エチレン性不飽和結合を有する基又はエポキシ基(より好ましくは(メタ)アクリロイル基、マレイミド基、又は、エポキシ基、更に好ましくはアクリロイル基)であるのが好ましく、架橋性基の全てが、それぞれ独立に、エチレン性不飽和結合を有する基又はエポキシ基(より好ましくはアクリロイル基、メタクリロイル基、マレイミド基、又は、エポキシ基、更に好ましくはアクリロイル基)であるのがより好ましい。
また、得られる膜の表面外観が優れる点からは、アクリロイル基またはメタクリロイル基が好ましい。
【0037】
架橋性基を有する置換基において、架橋性基が存在する位置は特に制限されないが、置換基中の末端に存在するのが好ましい。
架橋性基を有する置換基としては、例えば、架橋性基自体、又は、架橋性基と連結基とを組み合わせた基が挙げられる。連結基としては、2価の連結基、3価以上の連結基、又は、これらを組み合わせた基が挙げられる。
【0038】
2価の連結基としては、例えば、エーテル基(-O-)、カルボニル基(-CO-)、エステル基(-COO-)、チオエーテル基(-S-)、-SO-、-NR-(Rは、水素原子又はアルキル基を表す。)、2価の炭化水素基(アルキレン基、アリーレン基等)、及び、これらを組み合わせた基が挙げられる。
【0039】
3価以上の連結基としては以下に示す基が好ましい。
【0040】
【化4】
【0041】
上記においてRxは水素原子、水酸基、又は、Aが有し得る非架橋性基の例として挙げた基を表す。*は結合位置を表す。
【0042】
3価以上の連結基としては、他にも、シクロアルカン、芳香族炭化水素(ベンゼン、ナフタレン、アントラセン等)、及び、ヘテロ環(例えばAがヘテロ環基として使用し得るヘテロ環)から、3個以上の水素原子を除いた基が挙げられる。
【0043】
・一般式(P)
架橋性基を有する置換基は、以下の一般式(P)で表される基であるのが好ましい。
-L(-E)n1 (P)
【0044】
一般式(P)中、
n1は、1~6の整数を表し、1~2が好ましい。
Eは、それぞれ独立に、架橋性基を表す。架橋性基として好ましい範囲は上述の通りである。
Lは、単結合又は(n1+1)価の連結基を表す。
(n1+1)価の連結基としては、エーテル基、カルボニル基、エステル基、イミノ基(-NH-)、架橋性基を有さない置換基を有していてもよいアルキレン基、架橋性基を有さない置換基を有していてもよいアリーレン基等の2価の連結基、以下に示す3価の連結基、又は、これらを組み合わせた基が好ましい。
【0045】
【化5】
【0046】
上記アルキレン基は直鎖状でも分岐鎖状でもよく、環構造を有していてもよい。炭素数は1~4が好ましく、置換基を有する場合、置換基は水酸基が好ましい。
上記アリーレン基は、ベンゼン環基、ナフタレン環基、及び、アントラセン環基等の炭素数6~14のアリーレン基が好ましく、炭素数6~10のアリーレン基がより好ましく、ベンゼン環基が更に好ましい。置換基を有する場合、置換基はアルキル基(好ましくは炭素数1~3)が好ましい。
【0047】
・一般式(P´)
架橋性基を有する置換基は、以下の一般式(P´)で表される基であるのがより好ましい。
-L-L-(-L-E)n2 (P´)
【0048】
一般式(P´)中、
Eは、それぞれ独立に、架橋性基を表す。架橋性基として好ましい範囲は上述の通りである。
は、単結合又は2価の連結基を表す。
は、単結合又は3価の連結基を表す。
は、それぞれ独立に、単結合又は2価の連結基を表す。ただし、Lが単結合である場合、Lも単結合を表す。
が単結合である場合、n2は1を表し、Lが3価の連結基である場合、n2は2を表す。
【0049】
の3価の連結基としては、一般式(P)中のLの説明において示した3価の連結基のうちのいずれか1個が挙げられる。
【0050】
及びLの二価の連結基は、それぞれ独立に、エーテル基、カルボニル基、エステル基、イミノ基、架橋性基を有さない置換基を有していてもよいアルキレン基、架橋性基を有さない置換基を有していてもよいアリーレン基、又は、これらを組み合わせた基を表す。
上記アルキレン基は直鎖状でも分岐鎖状でもよく、環構造を有していてもよい。炭素数は1~4が好ましく、置換基を有する場合は水酸基が好ましい。
上記アリーレン基は、ベンゼン環基、ナフタレン環基、及び、アントラセン環基等の炭素数6~14のアリーレン基が好ましく、炭素数6~10のアリーレン基がより好ましく、ベンゼン環基が更に好ましい。置換基を有する場合、置換基はアルキル基(好ましくは炭素数1~3)が好ましい。
【0051】
中でも、L及びLが表し得る2価の連結基の具体例としては、それぞれ独立に、以下に示す基が好ましい。なお、以下においてALは、架橋性基を有さない置換基を有していてもよいアルキレン基を表し、ARは、架橋性基を有さない置換基を有していてもよいアリーレン基を表す。
なお下記において、左端の結合手がQ側に向いた結合手であり、右端の結合手がE側に向いた結合手である。
【0052】
-エーテル基-
-エーテル基-AL-
-エステル基-
-エステル基-AL-
-エステル基-AL-エーテル基-
-エステル基-AL-エーテル基-AL-エーテル基
-イミノ基-
-イミノ基-カルボニル基-イミノ基-AL-エーテル基-
-カルボニル基-イミノ基-
-AL-エーテル基-
-AL-エステル基-イミノ基-
-AL-エステル基-イミノ基-AL-エーテル基-
-AR-イミノ基-
【0053】
(架橋性基を有さない置換基)
Bは、更に、架橋性基を有さない置換基を有していてもよい。より具体的には、B中のアリール基及びヘテロ環基は、架橋性基を有さない置換基を有していてもよい。
Bが有する架橋性基を有さない置換基の数に特に制限はなく、それぞれ独立に、0~3が好ましく、0~2がより好ましく、0~1が更に好ましい。
架橋性基を有さない置換基の例としては、Aが有し得る非架橋性基の例が同様に挙げられる。中でもBが有し得る架橋性基を有さない置換基としては、メチル基が好ましい。
【0054】
Bの分子量は、それぞれ独立に、75~650が好ましく、80~500がより好ましく、85~400がさらに好ましく、90~300が特に好ましい。
【0055】
Bで表される基としては、例えば、以下で表される基が挙げられる。
【0056】
【化6】
【0057】
【化7】
【0058】
<C及びDの構造>
一般式(I)中、C及びDは、それぞれ独立に、単結合、-NH-、-NR-、-O-、又は、-S-を表す。Rは、置換基を有していてもよい、アルキル基又はアリール基を表す。
上記アルキル基は、直鎖状でも分岐鎖状でもよく、環状構造を有していてもよい。炭素数は1~4が好ましく、1~2がより好ましく、1が更に好ましい。上記アリール基は、ベンゼン環基、ナフタレン環基、及び、アントラセン環基等の炭素数6~14のアリール基が好ましく、炭素数6~10のアリール基がより好ましく、ベンゼン環基が更に好ましい。上記アルキル基及び上記アリール基が有し得る置換基に特に制限はなく、例えば、Aが有し得る置換基が挙げられる。
中でも、Rは、メチル基が好ましく、無置換のメチル基がより好ましい。
【0059】
C及びDは、塗布膜の欠陥抑制性と膜の屈折率とがより優れる点から、それぞれ独立に、-NH-又は-NR-であるのが好ましく、-NH-又は-N(CH)-であるのがより好ましく、-NH-であるのが更に好ましい。
なお、C及びDのうち、少なくとも1個は、-NH-を表す。なかでも、少なくとも1個のDが-NH-であるのが好ましく、全てのDが-NH-であるのがより好ましく、全てのC及びDが-NH-であるのが更に好ましい。
【0060】
<Qの構造>
一般式(I)中、Qは、置換基を有していてもよいヘテロ環基を表す。
Qで表されるヘテロ環基は、芳香族性を有していても有していなくてもよく、芳香族性を有するのが好ましい。
Qのヘテロ環基は、単環でも多環でもよく、単環であるのが好ましい。
Qのヘテロ環基の員環数は、3~10が好ましく、5~8がより好ましく、6が更に好ましい。
Qのヘテロ環基が有するへテロ原子の数は、1~5が好ましく、1~4がより好ましく、3が更に好ましい。
Qのヘテロ原子の具体例としては、窒素原子、硫黄原子、酸素原子、セレン原子、テルル原子、リン原子、ケイ素原子、及び、ホウ素原子が挙げられる。中でも、窒素原子、硫黄原子、又は、酸素原子が好ましく、窒素原子がより好ましい。
Qで表されるヘテロ環基の例としては、Aで表されるへテロ環基の例として挙げたヘテロ環基が同様に挙げられる。
中でも、塗布膜の欠陥抑制性と膜の屈折率とがより優れる点から、Qで表されるヘテロ環基はトリアジン環基、ピリジン環基、又は、ピリミジン環基が好ましく、トリアジン環基がより好ましい。
ヘテロ環基が有し得る置換基に特に制限はなく、例えば、Aが有し得る置換基が挙げられ、シアノ基が好ましい。
【0061】
特定化合物の分子量は、300~2000が好ましく、400~1500がより好ましく、500~1000が更に好ましい。
【0062】
特定化合物の波長589nmにおける屈折率は、1.65以上が好ましく、1.70以上がより好ましく、1.75以上が更に好ましく、1.80以上が特に好ましい。屈折率の上限については特に制限されないが、2.50以下が一般的である。
【0063】
特定化合物の屈折率の測定方法は、例えば、シリコンウエハ上に測定対象となる特定化合物のみからなる膜を厚さ300nmで製膜した後、得られた膜の波長589nmにおける屈折率をエリプソメトリー(ラムダエースRE-3300(商品名)、大日本スクリーン製造株式会社製)を用いて測定する。
【0064】
<一般式(I´)>
特定化合物は、一般式(I´)で表される化合物であるのが好ましい。
【0065】
【化8】
【0066】
一般式(I´)中、l´は1~2の整数を表す。
l´が2である場合、複数存在するAは同一でも異なっていてもよく、複数存在するCは同一でも異なっていてもよく、複数存在する(-C-A)は同一でも異なっていてもよい。
【0067】
一般式(I´)中、m´は1~2の整数を表す。
m´が2である場合、複数存在するvは同一でも異なっていてもよく、複数存在するxは同一でも異なっていてもよく、複数存在するRは同一でも異なっていてもよく、複数存在するPは同一でも異なっていてもよく、複数存在し得るQは同一でも異なっていてもよく、複数存在する(-NR-Ph(-P(-Q)で表される基は同一でも異なっていてもよい。
なお、上記Phは、ベンゼン環基を意味する。
【0068】
また、l´とm´との合計(l´+m´)は、3である。
【0069】
一般式(I´)中、vは、それぞれ独立に、1~5の整数を表す。
vは、1~4が好ましく、1~3がより好ましく、1~2が更に好ましい。
【0070】
一般式(I´)中、xは、それぞれ独立に、0~4の整数を表す。
xは、0~3が好ましく、0~2
がより好ましく、0~1が更に好ましい。
【0071】
一般式(I´)中、(-NR-Ph(-P(-Q)で表される各基中における、vとxとの合計(v+x)は、それぞれ独立に、1~5である。
【0072】
一般式(I´)中、Zは、それぞれ独立に、-N=、-CH=、又は、-C(CN)=を表す。ただし、複数存在するXのうち少なくとも1個は-N=である。中でも、全てのXが-N=であるのが好ましい。
【0073】
一般式(I´)中、Aは、一般式(I)におけるAと同義であり、好ましい範囲も同様である。
【0074】
一般式(I´)中、Cは、一般式(I)におけるCと同義であり、好ましい範囲も同様である。
【0075】
一般式(I´)中、Rは、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、又は、置換基を有していてもよいアリール基を表す。
上記アルキル基は、直鎖状でも分岐鎖状でもよく、環状構造を有していてもよい。炭素数は1~4が好ましく、1~2がより好ましく、1が更に好ましい。上記アリール基は、ベンゼン環基、ナフタレン環基、及び、アントラセン環基等の炭素数6~14のアリール基が好ましく、炭素数6~10のアリール基がより好ましく、炭素数6のベンゼン環基が更に好ましい。上記アルキル基及び上記アリール基が有し得る置換基に特に制限はなく、例えば、Aが有し得る置換基が挙げられる。
中でもRは、水素原子又はメチル基が好ましく、水素原子又は無置換のメチル基がより好ましく、水素原子が更に好ましい。
【0076】
一般式(I´)中には、少なくとも1個の、-NH-であるC又は水素原子であるRが存在する。中でも、複数存在し得るCの全てが-NH-であり、かつ、複数存在し得るRの全てが水素原子であるのが好ましい。
【0077】
一般式(I´)中、Pは、架橋性基を有する置換基を表し、一般式(I)におけるBが有する、架橋性基を有する置換基と同義であり、好ましい範囲も同様である。
なお、m´が1である場合、vが2以上であるか、Pが2個以上の架橋性基を有しているかの一方以上の条件を満たすのが好ましい。
【0078】
一般式(I´)中、Qは、架橋性基を有さない置換基を表し、一般式(I)におけるBが有し得る、架橋性基を有さない置換基と同義であり、好ましい範囲も同様である。
【0079】
<一般式(II)及び一般式(III)>
特定化合物は、一般式(II)又は一般式(III)で表される化合物であるのがより好ましい。
【0080】
【化9】
【0081】
一般式(II)中、v及びwは、それぞれ独立に、1~5の整数を表し、1~4が好ましく、1~3がより好ましく、1~2が更に好ましい。
vが2以上である場合、複数存在するPは同一でも異なっていてもよく、wが2以上である場合、複数存在するPは同一でも異なっていてもよい。
【0082】
一般式(II)中、x及びyは、それぞれ独立に、0~4の整数を表し、0~3が好ましく、0~2がより好ましく、0~1が更に好ましい。
xが2以上である場合、複数存在するQは同一でも異なっていてもよく、yが2以上である場合、複数存在するQは同一でも異なっていてもよい。
【0083】
ただし、vとxとの合計(v+x)は1~5であり、wとyとの合計(w+y)は1~5である。
【0084】
一般式(II)中、Aは、架橋性基を有さない置換基を有していてもよい、アリール基又はヘテロ環基を表す。Aは、一般式(I´)のAと同義であり、好ましい範囲も同様である。
【0085】
一般式(II)中、Cは、単結合、-NH-、-NR-、-O-、又は、-S-を表す。Rは、置換基を有していてもよい、アルキル基又はアリール基を表す。Cは、一般式(I´)のCと同義であり、好ましい範囲も同様である。
【0086】
一般式(II)中、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、又は、置換基を有していてもよいアリール基を表す。R及びRは、一般式(I´)のRと同義であり、好ましい範囲も同様である。
【0087】
ただし、Cが-NH-以外を表す場合、R及びRの少なくとも一方は水素原子を表す。中でも、Cが-NH-であり、かつ、R及びRのいずれも水素原子であるのが好ましい。
【0088】
一般式(II)中、P及びPは、それぞれ独立に、架橋性基を有する置換基を表す。P及びPは、一般式(I´)のPと同義であり、好ましい範囲も同様である。
【0089】
一般式(II)中、Q及びQは、それぞれ独立に、架橋性基を有さない置換基を表す。Q及びQは、一般式(I´)のQと同義であり、好ましい範囲も同様である。
【0090】
一般式(III)中、vは、1~5の整数を表し、1~4が好ましく、1~3がより好ましく、1~2が更に好ましい。
vが2以上である場合、複数存在するPは同一でも異なっていてもよい。
【0091】
一般式(III)中、xは、それぞれ独立に、0~4の整数を表し、0~3が好ましく、0~2がより好ましく、0~1が更に好ましい。
xが2以上である場合、複数存在するQは同一でも異なっていてもよい。
【0092】
ただし、vとxとの合計(v+x)は1~5である。
【0093】
一般式(III)中、A及びAは、それぞれ独立に、架橋性基を有さない置換基を有していてもよい、アリール基又はヘテロ環基を表す。A及びAは、一般式(I´)のAと同義であり、好ましい範囲も同様である。
【0094】
一般式(III)中、C及びCは、それぞれ独立に、単結合、-NH-、-NR-、-O-、又は、-S-を表す。Rは、置換基を有していてもよい、アルキル基又はアリール基を表す。C及びCは、一般式(I´)のCと同義であり、好ましい範囲も同様である。
【0095】
一般式(III)中、Rは、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、又は、置換基を有していてもよいアリール基を表す。Rは、一般式(I´)のRと同義であり、好ましい範囲も同様である。
【0096】
ただし、C及びCがいずれも-NH-以外を表す場合、Rは水素原子を表す。中でも、C及びCがいずれも-NH-であり、かつ、Rが水素原子であるのが好ましい。
【0097】
一般式(III)中、Pは、架橋性基を有する置換基を表す。P及びPは、一般式(I´)のPと同義であり、好ましい範囲も同様である。
は、vが1である場合、2個以上の架橋性基を有しているのが好ましい。
【0098】
一般式(III)中、Qは、架橋性基を有さない置換基を表す。Q及びQは、一般式(I´)のQと同義であり、好ましい範囲も同様である。
【0099】
<酸基>
また、上述した特定化合物の要件に反しない限りにおいて、特定化合物が酸基を有するのも、組成物の現像性が優れる点から好ましい。
酸基の具体例としては、上述のカルボキシ基の他、チオール基、スルホン酸基、モノ硫酸エステル基、リン酸基、モノリン酸エステル基、ホスホン酸基、ホスフィン酸基、フェノール性水酸基、及び、ホウ酸基が挙げられる。中でも、カルボキシ基、チオール基、スルホン酸基、モノ硫酸エステル基、リン酸基、モノリン酸エステル基、ホスホン酸基、又は、ホスフィン酸基が好ましく、カルボキシ基、チオール基、スルホン酸基、リン酸基、ホスホン酸基、又は、ホスフィン酸基がより好ましく、カルボキシ基が更に好ましい。
【0100】
以下に、特定化合物の好ましい例を示す。
【0101】
【化10】

【0102】
【化11】
【0103】
【化12】
【0104】
【化13】
【0105】
【化14】
【0106】
【化15】
【0107】
【化16】

【0108】
特定化合物は、公知の方法を用いて合成できる。
特定化合物は1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
本発明の組成物において、特定化合物の含有量は、組成物中の全固形分に対して、40~95質量%が好ましく、50~90質量%がより好ましく、60~90質量%が更に好ましい。
なお、固形分とは、後述する膜を形成する成分を意図し、溶剤は含まれない。
【0109】
[重合開始剤]
本発明の組成物は、更に重合開始剤を含むのが好ましい。
重合開始剤としては、光及び熱のいずれか、又は、その双方により特定化合物が有する架橋性基による架橋反応を開始する能力を有する限り、特に制限はないが、光重合開始剤であるのが好ましい。光で重合を開始させる場合、紫外線から可視光線に対して感光性を有する光重合開始剤が好ましい。
【0110】
<光重合開始剤>
本発明の組成物は、光重合開始剤を含むことが好ましい。光重合開始剤としては、特に制限はなく、公知の光重合開始剤の中から適宜選択できる。例えば、光重合開始剤は、紫外線領域から可視光線領域の光線に対して感光性を有する化合物が好ましい。
光重合開始剤は、光ラジカル重合開始剤又は光カチオン重合開始剤が好ましい。
中でも、特定化合物が有する架橋性基がエチレン性不飽和結合を有する基の場合、光ラジカル重合開始剤が好ましく、特定化合物が有する架橋性基がエポキシ基の場合、光カチオン重合開始剤が好ましい。
【0111】
光重合開始剤としては、例えば、ハロゲン化炭化水素誘導体(例えば、トリアジン骨格を有する化合物、及び、オキサジアゾール骨格を有する化合物等)、アシルホスフィンオキサイド等のアシルホスフィン化合物、ヘキサアリールビイミダゾール、オキシム誘導体等のオキシム化合物、有機過酸化物、チオ化合物、ケトン化合物、芳香族オニウム塩、ケトオキシムエーテル、アミノアセトフェノン化合物、ヒドロキシアセトフェノン、ヨードニウム塩、及び、スルホニウム塩等が挙げられる。光重合開始剤は、露光感度の観点から、トリハロメチルトリアジン化合物、ベンジルジメチルケタール化合物、α-ヒドロキシケトン化合物、α-アミノケトン化合物、アシルホスフィン化合物、ホスフィンオキサイド化合物、メタロセン化合物、オキシム化合物(オキシムスルホネート化合物等の光カチオン重合開始剤も含む)、トリアリールイミダゾールダイマー、オニウム化合物、ベンゾチアゾール化合物、ベンゾフェノン化合物、アセトフェノン化合物、シクロペンタジエン-ベンゼン-鉄錯体、ハロメチルオキサジアゾール化合物、3-アリール置換クマリン化合物、及び、トリアリールスルホニウム塩からなる群より選択される化合物が好ましい。光重合開始剤としては、特開2014-130173号公報の段落番号0065~0111の記載を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。
【0112】
光重合開始剤としては、α-ヒドロキシケトン化合物、α-アミノケトン化合物、及び、アシルホスフィン化合物も好適に用いられる。例えば、特開平10-291969号公報に記載のα-アミノケトン化合物、特許第4225898号公報に記載のアシルホスフィン化合物、及び、WO2016/017537号パンフレットの段落番号0011~0033に記載のα-アミノアルキルフェノン化合物も用いられる。α-ヒドロキシケトン化合物の市販品としては、IRGACURE-184、DAROCUR-1173、IRGACURE-500、IRGACURE-2959、及び、IRGACURE-127(以上、BASF社製)が挙げられる。α-アミノケトン化合物の市販品としては、IRGACURE-907、IRGACURE-369、IRGACURE-379、及び、IRGACURE-379EG(以上、BASF社製)が挙げられる。アシルホスフィン化合物の市販品としては、市販品であるIRGACURE-819、及び、DAROCUR-TPO(以上、BASF社製)が挙げられる。オキシム化合物の市販品としては、IRGACURE-OXE01、IRGACURE-OXE02、IRGACURE-OXE03、及び、IRGACURE-OXE04(以上、BASF社製)、TR-PBG-304(常州強力電子新材料有限公司製)、アデカアークルズNCI-831(株式会社ADEKA製)、アデカアークルズNCI-930(株式会社ADEKA製)、並びに、アデカオプトマーN-1919(株式会社ADEKA製、特開2012-14052号公報に記載の光重合開始剤2)等が挙げられる。
【0113】
光重合開始剤としてフルオレン環を有するオキシム化合物も使用できる。フルオレン環を有するオキシム化合物の具体例としては、特開2014-137466号公報に記載の化合物が挙げられる。この内容は本明細書に組み込まれる。
【0114】
光重合開始剤としてフッ素原子を有するオキシム化合物も使用できる。フッ素原子を有するオキシム化合物の具体例としては、特開2010-262028号公報に記載の化合物、特表2014-500852号公報に記載の化合物24、36~40、及び、特開2013-164471号公報に記載の化合物(C-3)等が挙げられる。これらの内容は本明細書に組み込まれる。
【0115】
光重合開始剤としてニトロ基を有するオキシム化合物を用いられる。ニトロ基を有するオキシム化合物は、二量体とするのも好ましい。ニトロ基を有するオキシム化合物の具体例としては、特開2013-114249号公報の段落番号0031~0047、特開2014-137466号公報の段落番号0008~0012及び0070~0079に記載されている化合物、特許4223071号公報の段落番号0007~0025に記載されている化合物、並びに、アデカアークルズNCI-831(株式会社ADEKA製)が挙げられる。
【0116】
本発明の組成物において好ましく使用されるオキシム化合物の具体例を以下に示す。
【0117】
オキシム化合物は、350~500nmの波長領域に吸収極大を有する化合物が好ましく、360~480nmの波長領域に吸収極大を有する化合物がより好ましい。また、オキシム化合物は、365nm及び405nmの吸光度が高い化合物が好ましい。
オキシム化合物の365nm又は405nmにおけるモル吸光係数は、感度の観点から、1,000~300,000であるのが好ましく、2,000~300,000であるのがより好ましく、5,000~200,000であるのが更に好ましい。
化合物のモル吸光係数は、公知の方法を用いて測定できる。例えば、紫外可視分光光度計(Varian社製Cary-5 spectrophotometer)にて、酢酸エチル溶媒を用い、0.01g/Lの濃度で測定するのが好ましい。
【0118】
光重合開始剤は、オキシム化合物とα-アミノケトン化合物とを含むことも好ましい。両者を併用する場合、現像性が向上し、矩形性に優れたパターンを形成しやすい。オキシム化合物とα-アミノケトン化合物とを併用する場合、オキシム化合物100質量部に対して、α-アミノケトン化合物を50~600質量部含むことが好ましく、150~400質量部がより好ましい。
【0119】
以下に、光重合開始剤の好ましい例を示す。
【0120】
【化17】
【0121】
【化18】
【0122】
【化19】
【0123】
光重合開始剤は1種単独で用いても、2種以上併用してもよい。
光重合開始剤の含有量は、組成物中の全固形分に対して、0.1~50質量%が好ましく、0.5~30質量%がより好ましく、1~20質量%が更に好ましく、1~10質量%が特に好ましい。
光重合開始剤の含有量が上記範囲の場合、感度により優れ、かつ、矩形性に優れたパターンを形成しやすい。
【0124】
<熱重合開始剤>
熱で重合を開始させる場合には、150~250℃で分解する熱重合開始剤が好ましい。
熱重合開始剤としては、公知の熱重合開始剤を使用できる。
熱重合開始剤は、熱のエネルギーによってラジカルを発生し、ラジカル重合性化合物の重合反応を開始又は促進させる化合物が好ましい。
熱重合開始剤としては、芳香族ケトン類、オニウム塩化合物、有機過酸化物、チオ化合物、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、ケトオキシムエステル化合物、ボレート化合物、アジニウム化合物、メタロセン化合物、活性エステル化合物、炭素ハロゲン結合を有する化合物、アゾ系化合物等が挙げられる。中でも、有機過酸化物又はアゾ系化合物がより好ましく、過酸化物が特に好ましい。
具体的には、特開2008-63554号公報の段落番号0074~0118に記載されている化合物が挙げられる。
中でも、熱重合開始剤としては、ドデカンペルオキシ酸tert-ブチルが好ましい。
市販品では、日油株式会社製のパークミルD、パークミルP、パーロイルIB、パークミルND、パーロイルNPP、パーロイルIP、パーロイルSBP、パーオクタND、パーロイルTCP,パーロイルOPP、パーヘキシルND、パーブチルND、パーブチルNHP,パーヘキシルPV、パーブチルD、パーブチルPV、パーブチルP、パーブチルZ、パーロイル355、パーロイルL、パーオクタO、パーロイルSA、パーヘキサ25O、パーヘキシルO、ナイパーPMB、パーブチルO、ナイパーBMT、ナイパーBW、パーヘキサMC、パーヘキサTMH、パーヘキサV、パーヘキサ25B、及び、パーヘキシン25B等が挙げられる。
【0125】
熱重合開始剤は1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
本発明の組成物が熱重合開始剤を含む場合、熱重合開始剤の含有量は、組成物中の全固形分に対して、0.1~50質量%が好ましく、0.1~30質量%がより好ましく、0.1~20質量%が更に好ましい。
【0126】
[架橋剤]
本発明の組成物は、架橋剤を含んでいてもよい。
本発明の組成物は、上述した重合開始剤及び架橋剤の少なくとも一方を含むのが好ましく、重合開始剤を含むのがより好ましい。
上述した特定化合物が有するBで表される基における、架橋性基の種類に応じて、架橋性基と反応可能な官能基を有する架橋剤を選択するのが好ましい。また、Aで表される基における、非架橋性基の種類に応じて、非架橋性基と反応しない官能基を有する架橋剤を選択するのが好ましい。
架橋剤は、上記架橋性基と反応する官能基を2個以上有する化合物であるのが好ましい。
架橋剤が有する官能基としては、例えば、水酸基、ハロゲン化ベンジル基、無水カルボン酸基、シアネートエステル基、イソシアネート基、アミノ基、アルデヒド基、アジリジン基、および、アルコキシシリル基が挙げられる。
本発明の組成物が架橋剤を含む場合、架橋剤の含有量は、組成物中に存在する架橋性基の数に応じて適宜定められるのが好ましい。
【0127】
[溶剤]
本発明の組成物は、溶剤を含む。
溶剤の種類は特に制限されず、水及び有機溶媒が挙げられる。有機溶剤としては、エステル類、エーテル類、ケトン類、芳香族炭化水素類、及び、アミド類等が挙げられる。具体例としては、3-エトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、エチルセロソルブアセテート、乳酸エチル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、酢酸ブチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、2-ヘプタノン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、1-メトキシ-2-プロパノール、エチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、N-エチル-2-ピロリドン、N,N-ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、3-メトキシ-N,N-ジメチルプロパンアミド、及び、3-ブトキシ-N,N-ジメチルプロパンアミド等が挙げられる。有機溶剤の詳細は、WO2015/166779号パンフレットの段落番号0223の記載を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。ただし、溶剤としての芳香族炭化水素類(ベンゼン、トルエン、キシレン、及び、エチルベンゼン等)は、環境面等の理由により低減したほうがよい場合がある(例えば、有機溶剤全量に対して、50質量ppm(parts per million)以下にもでき、10質量ppm以下にもでき、1質量ppm以下にもできる)。
【0128】
有機溶剤は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。有機溶剤を2種以上組み合わせて用いる場合、3-エトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、エチルセロソルブアセテート、乳酸エチル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、酢酸ブチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、2-ヘプタノン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、1-メトキシ-2-プロパノール、エチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、N,N-ジメチルアセトアミド、及び、N-エチル-2-ピロリドンから選択される2種以上で構成される混合溶液が好ましい。
【0129】
金属含有量の少ない溶剤を使用するのが好ましく、溶剤の金属含有量は、例えば10質量ppb(parts per billion)以下であるのが好ましい。必要に応じて質量ppt(parts per trillion)レベルの溶剤を用いてもよく、そのような高純度溶剤は例えば東洋合成社が提供している(化学工業日報、2015年11月13日)。
【0130】
溶剤から金属等の不純物を除去する方法としては、例えば、蒸留(分子蒸留又は薄膜蒸留等)又はフィルタを用いたろ過が挙げられる。ろ過に用いるフィルタのフィルタ孔径としては、10nm以下が好ましく、5nm以下がより好ましく、3nm以下が更に好ましい。フィルタの材質は、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、又は、ナイロンが好ましい。
【0131】
溶剤には、異性体(同じ原子数で異なる構造の化合物)が含まれていてもよい。また、異性体は、1種のみが含まれていてもよいし、複数種含まれていてもよい。
【0132】
有機溶剤中の過酸化物の含有量は0.8mmol/L以下が好ましく、有機溶媒は過酸化物を実質的に含まないことがより好ましい。
【0133】
本発明の組成物における溶剤の含有量は特に制限されないが、組成物中の固形分含有量が、1~30質量%になる量が好ましく、3~25質量%になる量がより好ましく、5~20質量%になる量が更に好ましい。
【0134】
[その他の任意成分]
本発明の組成物は、特定化合物及び溶剤以外の任意成分を含んでいてもよい。例えば、任意成分としては、樹脂、硬化性化合物、酸化防止剤、シランカップリング剤、重合禁止剤、界面活性剤、紫外線吸収剤、充填剤、及び、硬化促進剤等が挙げられる。
以下、任意成分の代表例について説明する。
【0135】
<硬化性化合物>
本発明の組成物は、上述の特定化合物及び架橋剤とは異なる、硬化性化合物を更に含むことも好ましい。
硬化性化合物としては、例えば上述の架橋性基を有する化合物が挙げられる。硬化性化合物は、ラジカル重合性化合物であるのも好ましい。
【0136】
硬化性化合物は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
本発明の組成物が硬化性化合物を含む場合において、硬化性化合物の含有量は、組成物中の全固形分に対して、1~80質量%が好ましい。下限は、3質量%以上がより好ましく、5質量%以上が更に好ましい。上限は、70質量%以下がより好ましく、60質量%以下が更に好ましく、30質量%以下が特に好ましい。
【0137】
・エチレン性不飽和結合を有する基を有する化合物(重合性化合物1)
硬化性化合物として、エチレン性不飽和結合を有する基を有する化合物(以下、単に「重合性化合物1」ともいう)を用いられる。重合性化合物1の分子量は、100~3000が好ましい。上限は、2000以下がより好ましく、1500以下が更に好ましい。下限は、150以上がより好ましく、250以上が更に好ましい。重合性化合物1は、2~15官能の(メタ)アクリレート化合物であるのが好ましく、3~6官能の(メタ)アクリレート化合物であるのがより好ましい。
【0138】
重合性化合物1の例としては、特開2013-253224号公報の段落番号0033~0034の記載を参酌するでき、この内容は本明細書に組み込まれる。重合性化合物1としては、エチレンオキシ変性ペンタエリスリトールテトラアクリレート(市販品としては、NKエステルATM-35E;新中村化学工業株式会社製)、ジペンタエリスリトールトリアクリレート(市販品としては、KAYARAD D-330;日本化薬株式会社製)、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート(市販品としては、KAYARAD D-320;日本化薬株式会社製)、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート(市販品としては KAYARAD D-310;日本化薬株式会社製)、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート(市販品としては、KAYARAD DPHA;日本化薬株式会社製、A-DPH-12E;新中村化学工業株式会社製)、及び、これらの(メタ)アクリロイル基が、エチレングリコール残基及び/又はプロピレングリコール残基を介して結合している構造が好ましい。またこれらのオリゴマータイプも使用できる。また、特開2013-253224号公報の段落番号0034~0038の記載を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。また、特開2012-208494号公報の段落番号0477(対応する米国特許出願公開第2012/0235099号明細書の段落番号0585)に記載の重合性モノマー等が挙げられ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。また、ジグリセリンEO(エチレンオキシド)変性(メタ)アクリレート(市販品としてはM-460;東亞合成株式会社製)、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(新中村化学工業株式会社製、A-TMMT)、又は、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート(日本化薬株式会社製、KAYARAD HDDA)も好ましい。これらのオリゴマータイプも使用できる。例えば、RP-1040(日本化薬株式会社製)等が挙げられる。
【0139】
重合性化合物1は、カルボキシ基、スルホ基、及び、リン酸基等の酸基を有していてもよい。酸基を有する重合性化合物1としては、脂肪族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステル等が挙げられる。脂肪族ポリヒドロキシ化合物の未反応のヒドロキシル基に、非芳香族カルボン酸無水物を反応させて酸基をもたせた重合性化合物1が好ましく、このエステルにおいて、脂肪族ポリヒドロキシ化合物がペンタエリスリトール及び/又はジペンタエリスリトールである重合性化合物1がより好ましい。市販品としては、例えば、東亞合成株式会社製の多塩基酸変性アクリルオリゴマーとして、アロニックスシリーズのM-305、M-510、及び、M-520等が挙げられる。酸基を有する重合性化合物1の酸価は、0.1~40mgKOH/gが好ましい。下限は5mgKOH/g以上がより好ましい。上限は、30mgKOH/g以下がより好ましい。
【0140】
重合性化合物1は、カプロラクトン構造を有する化合物であるのも好ましい態様である。カプロラクトン構造を有する重合性化合物1としては、分子内にカプロラクトン構造を有する限り特に限定されないが、例えば、トリメチロールエタン、ジトリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、グリセリン、ジグリセロール、及び、トリメチロールメラミン等の多価アルコールと、(メタ)アクリル酸及びε-カプロラクトンをエステル化して得られる、ε-カプロラクトン変性多官能(メタ)アクリレートを挙げられる。カプロラクトン構造を有する重合性化合物1としては、特開2013-253224号公報の段落番号0042~0045の記載を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。カプロラクトン構造を有する化合物は、例えば、日本化薬株式会社からKAYARAD DPCAシリーズとして市販されている、DPCA-20、DPCA-30、DPCA-60、及び、DPCA-120等、並びに、サートマー社製から市販されているエチレンオキシ鎖を4個有する4官能アクリレートであるSR-494、及び、イソブチレンオキシ鎖を3個有する3官能アクリレートであるTPA-330等が挙げられる。
【0141】
重合性化合物1としては、特公昭48-41708号公報、特開昭51-37193号公報、特公平2-32293号公報、及び、特公平2-16765号公報に記載されているウレタンアクリレート類、並びに、特公昭58-49860号公報、特公昭56-17654号公報、特公昭62-39417号公報、及び、特公昭62-39418号公報に記載されているエチレンオキサイド系骨格を有するウレタン化合物類も好適である。また、特開昭63-277653号公報、特開昭63-260909号公報、及び、特開平1-105238号公報に記載されている、分子内にアミノ構造及び/又はスルフィド構造を有する付加重合性化合物類を用いられる。市販品としては、ウレタンオリゴマーUAS-10及びUAB-140(山陽国策パルプ社製)、UA-7200(新中村化学工業株式会社製)、DPHA-40H(日本化薬株式会社製)、並びに、UA-306H、UA-306T、UA-306I、AH-600、T-600、AI-600、及び、ライトアクリレートPOB-A(共栄社化学株式会社製)等が挙げられる。
【0142】
重合性化合物1の好適態様の一つとしては、重合性基を2個以上有し、かつ、フルオレン骨格を有する重合性化合物1が挙げられる。なお、フルオレン骨格とは、フルオレン構造を少なくとも含む骨格であり、フルオレン構造中の芳香環基は、いわゆる単環構造(ベンゼン環)でも、多環構造(多環芳香族環構造)でもよい。
【0143】
重合性化合物1は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0144】
・エポキシ基を有する化合物(重合性化合物2)
硬化性化合物として、エポキシ基を有する化合物(以下、単に「重合性化合物2」ともいう)を用いるのも好ましい。重合性化合物2は、1分子内にエポキシ基を1個以上有する化合物が挙げられ、1分子内にエポキシ基を2個以上有する化合物が好ましい。エポキシ基は1分子内に1~100個有するのが好ましい。上限は、例えば、10個以下にもでき、5個以下にもできる。下限は、2個以上が好ましい。
【0145】
重合性化合物2は、エポキシ当量(=エポキシ基を有する化合物(重合性化合物2)の分子量/エポキシ基の数)が500g/当量以下であるのが好ましく、100~400g/当量であるのがより好ましく、100~300g/当量であるのが更に好ましい。
【0146】
重合性化合物2は、低分子化合物(例えば、分子量1000未満)でもよいし、高分子化合物(macromolecule)(例えば、分子量1000以上、ポリマーの場合は、重量平均分子量が1000以上)のいずれでもよい。重合性化合物2の重量平均分子量は、200~100000が好ましく、500~50000がより好ましい。重量平均分子量の上限は、10000以下がより好ましく、5000以下が更に好ましく、3000以下が特に好ましい。
【0147】
重合性化合物2の好適態様の一つとしては、エポキシ基を2個以上有し、かつ、フルオレン骨格を有する化合物が挙げられる。具体例としては、9,9-ビス(4-グリシジルオキシフェニル)フルオレンが挙げられる。
また、エポキシ基を2個以上有し、かつ、ナフタレン骨格を有する化合物も好ましい。
重合性化合物2は、市販品も使用できる。例えば、EHPE3150(株式会社ダイセル製)並びに、EPICLON N-695、及び、EPICLON HP-4700(DIC株式会社製)等が挙げられる。また、重合性化合物2は、特開2013-011869号公報の段落番号0034~0036に記載の化合物、特開2014-043556号公報の段落番号0147~0156に記載の化合物、特開2014-089408号公報の段落番号0085~0092に記載の化合物、及び、特開2017-036379号公報の段落番号0020~0090に記載の化合物(カルボキシ基含有エポキシ化合物等)、等も使用できる。これらの内容は、本明細書に組み込まれる。
【0148】
重合性化合物2は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0149】
<樹脂>
本発明の組成物は、上述した特定化合物とも硬化性化合物とも異なる、樹脂を含んでいてもよい。
【0150】
樹脂は、例えば、バインダーの用途で配合される。
樹脂の重量平均分子量(Mw)は、2,000~2,000,000が好ましい。上限は、1,000,000以下が好ましく、500,000以下がより好ましい。下限は、3,000以上が好ましく、5,000以上がより好ましい。
【0151】
樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、アクリルアミド樹脂、メタクリルアミド樹脂、エポキシ樹脂、エン・チオール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリフェニレン樹脂、ポリアリーレンエーテルホスフィンオキシド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、環状オレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、スチレン樹脂、及び、シロキサン樹脂等が挙げられる。
【0152】
本発明の組成物において、樹脂として、近赤外線に対する屈折率が1.70以上である樹脂(以下、高屈折率樹脂ともいう)を用いてもよい。樹脂の近赤外線に対する屈折率は、1.70~4.00であるのが好ましい。下限は、1.75以上が好ましく、1.80以上がより好ましく、1.85以上が更に好ましい。上限は、3.90以下が好ましく、3.50以下がより好ましく、3.00以下が更に好ましい。上記の屈折率は、810nm、850nm、及び、940nmのいずれかの波長の光に対する値であるのが好ましい。また、本発明の組成物から形成される膜を赤外線センサに用いる場合においては、上記の屈折率の値は、同赤外線センサでの検出に用いられる波長の近赤外線に対する値であるのも好ましい。高屈折率樹脂は、バインダー又は分散剤として用いられる。
【0153】
樹脂の屈折率は、以下の方法で未硬化の状態で測定できる。具体的な測定方法は、シリコンウエハ上に測定対象となる樹脂のみからなる膜を厚さ300nmで製膜した後、得られた膜の屈折率をエリプソメトリー(ラムダエースRE-3300(商品名)、大日本スクリーン製造株式会社製)を用いて測定する。
【0154】
現像性が優れる観点から、上記樹脂は、カルボキシ基、スルホ基、及び、リン酸基等の酸基を有していてもよい。これら酸基は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。酸基を有する樹脂はアルカリ可溶性樹脂としても使用できる。
【0155】
酸基を有する樹脂の酸価は、30~500mgKOH/gが好ましい。下限は、50mgKOH/g以上がより好ましく、70mgKOH/g以上が更に好ましい。上限は、400mgKOH/g以下がより好ましく、200mgKOH/g以下が更に好ましく、
150mgKOH/g以下が特に好ましく、120mgKOH/g以下が最も好ましい。
【0156】
酸基を有する樹脂としては、側鎖にカルボキシ基を有するポリマーが好ましい。具体例としては、メタクリル酸共重合体、アクリル酸共重合体、イタコン酸共重合体、クロトン酸共重合体、マレイン酸共重合体、部分エステル化マレイン酸共重合体、及び、ノボラック樹脂等のアルカリ可溶性フェノール樹脂、側鎖にカルボキシ基を有する酸性セルロース誘導体、並びに、水酸基を有するポリマーに酸無水物を付加させた樹脂が挙げられる。特に、(メタ)アクリル酸と、これと共重合可能な他のモノマーとの共重合体がアルカリ可溶性樹脂として好適である。
(メタ)アクリル酸と共重合可能な他のモノマーとしては、アルキル(メタ)アクリレート、アリール(メタ)アクリレート、及び、ビニル化合物等が挙げられる。
アルキル(メタ)アクリレート及びアリール(メタ)アクリレートとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、トリル(メタ)アクリレート、ナフチル(メタ)アクリレート、及び、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
また、ビニル化合物としては、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、グリシジルメタクリレート、アクリロニトリル、ビニルアセテート、N-ビニルピロリドン、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、ポリスチレンマクロモノマー、及び、ポリメチルメタクリレートマクロモノマー等が挙げられる。
また、他のモノマーとしては、特開平10-300922号公報に記載のN位置換マレイミドモノマー(例えば、N-フェニルマレイミド、及び、N-シクロヘキシルマレイミド等)も挙げられる。
なお、これらの(メタ)アクリル酸と共重合可能な他のモノマーは1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【0157】
酸基を有する樹脂としては、ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体、ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸/2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート共重合体、又は、ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸/他のモノマーからなる多元共重合体が好ましい。また、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートを共重合した共重合体、又は、特開平7-140654号公報に記載の、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート/ポリスチレンマクロモノマー/ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルアクリレート/ポリメチルメタクリレートマクロモノマー/ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体、2-ヒドロキシエチルメタクリレート/ポリスチレンマクロモノマー/メチルメタクリレート/メタクリル酸共重合体、若しくは、2-ヒドロキシエチルメタクリレート/ポリスチレンマクロモノマー/ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体等も好ましい。
【0158】
酸基を有する樹脂は、下記一般式(ED1)で示される化合物及び/又は下記一般式(ED2)で表される化合物(以下、これらの化合物を「エーテルダイマー」ともいう)を含むモノマー成分を重合してなるポリマーを含むことも好ましい。
【0159】
【化20】
【0160】
一般式(ED1)中、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1~25の炭化水素基を表す。
【0161】
【化21】
【0162】
一般式(ED2)中、Rは、水素原子又は炭素数1~30の有機基を表す。一般式(ED2)の具体例としては、特開2010-168539号公報の記載を参酌できる。
【0163】
エーテルダイマーの具体例としては、例えば、特開2013-29760号公報の段落番号0317を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。エーテルダイマーは、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【0164】
酸基を有する樹脂は、下記一般式(X)で示される化合物に由来する繰り返し単位を含んでいてもよい。
【0165】
【化22】
【0166】
一般式(X)において、Rは、水素原子又はメチル基を表し、Rは炭素数2~10のアルキレン基を表し、Rは、水素原子又はベンゼン環を含んでもよい炭素数1~20のアルキル基を表す。nは1~15の整数を表す。
【0167】
酸基を有する樹脂としては、特開2012-208494号公報の段落番号0558~0571(対応する米国特許出願公開第2012/0235099号明細書の段落番号0685~0700)の記載、及び、特開2012-198408号公報の段落番号0076~0099の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
【0168】
樹脂は、上述したような架橋性基を有していてもよい。
【0169】
架橋性基を有する樹脂としては、ダイヤナールNRシリーズ(三菱レイヨン株式会社製)、Photomer6173(COOH含有 polyurethane acrylic oligomer、Diamond Shamrock Co.,Ltd.製)、ビスコートR-264及びKSレジスト106(いずれも大阪有機化学工業株式会社製)、サイクロマーPシリーズ(例えば、ACA230AA)、プラクセル CF200シリーズ(いずれも株式会社ダイセル製)、Ebecryl3800(ダイセルユーシービー株式会社製)、並びに、アクリキュアRD-F8(日本触媒株式会社製)等が挙げられる。
【0170】
また、樹脂としてはフルオレン構造を有する樹脂を使用してもよい。このような樹脂としては、例えば、特開2015-069164号公報の段落番号0013~0075の記載、及び、特開2013-221980号公報の段落番号0031~0088の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
【0171】
樹脂としては、マープルーフG-0150M、G-0105SA、G-0130SP、G-0250SP、G-1005S、G-1005SA、G-1010S、G-2050M、G-01100、及び、G-01758(日油株式会社製、エポキシ基含有ポリマー)、並びに、ARTON F4520(JSR株式会社製)等も挙げられる。
【0172】
本発明の組成物が樹脂を含む場合において、樹脂の含有量は、組成物中の全固形分に対して、0.1~99.9質量%であるのが好ましい。下限は、1質量%以上がより好ましく、2質量%以上が更に好ましい。上限は、50質量%以下がより好ましく、30質量%以下が更に好ましい。
樹脂として、上記高屈折率樹脂を用いる場合、樹脂として高屈折率樹脂のみを用いてもよく、高屈折率樹脂と近赤外線に対する屈折率が1.70未満の樹脂を併用してもよい。また、樹脂全量中における高屈折率樹脂の含有量は、1~100質量%であるのが好ましく、10~100質量%であるのがより好ましい。
樹脂は1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0173】
<界面活性剤>
本発明の組成物は、塗布性をより向上させる観点から、各種の界面活性剤を含んでもよい。
界面活性剤としては、フッ素系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、及び、シリコーン系界面活性剤等の各種界面活性剤を使用できる。界面活性剤は、WO2015/166779号パンフレットの段落番号0238~0245を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。
【0174】
本発明の組成物にフッ素系界面活性剤を含ませることで、塗布液として調製した場合の液特性(特に、流動性)がより向上し、塗布厚の均一性及び省液性をより改善できる。フッ素系界面活性剤を含む組成物を適用した塗布液を用いて膜形成する場合においては、被塗布面と塗布液との界面張力が低下して、被塗布面への濡れ性が改善され、被塗布面への塗布性が向上する。このため、厚みムラの小さい均一厚の膜形成をより好適に行うことができる。
【0175】
フッ素系界面活性剤中のフッ素含有量は、3~40質量%が好ましく、5~30質量%がより好ましく、7~25質量%が更に好ましい。フッ素含有量がこの範囲内であるフッ素系界面活性剤は、塗布膜の厚さの均一性及び省液性の点で効果的であり、組成物中における溶解性も良好である。
【0176】
フッ素系界面活性剤として具体的には、特開2014-41318号公報の段落番号0060~0064(対応する国際公開2014/17669号公報の段落番号0060~0064)等に記載の界面活性剤、及び、特開2011-132503号公報の段落番号0117~0132に記載の界面活性剤が挙げられ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。フッ素系界面活性剤の市販品としては、例えば、メガファックF171、同F172、同F173、同F176、同F177、同F141、同F142、同F143、同F144、同R30、同R40、同F437、同F475、同F479、同F482、同F554、及び、同F780(以上、DIC株式会社製)、フロラードFC430、同FC431、及び、同FC171(以上、住友スリーエム株式会社製)、サーフロンS-382、同SC-101、同SC-103、同SC-104、同SC-105、同SC1068、同SC-381、同SC-383、同S393、及び、同KH-40(以上、旭硝子株式会社製)、並びに、PolyFox PF636、PF656、PF6320、PF6520、及び、PF7002(以上、OMNOVA社製)等が挙げられる。
【0177】
また、フッ素系界面活性剤は、フッ素原子を有する官能基を持つ分子構造で、熱を加えるとフッ素原子を有する官能基の部分が切断されてフッ素原子が揮発するアクリル系化合物も好適に使用できる。このようなフッ素系界面活性剤としては、DIC株式会社製のメガファックDSシリーズ(化学工業日報、2016年2月22日)(日経産業新聞、2016年2月23日)、例えばメガファックDS-21が挙げられる。
【0178】
フッ素系界面活性剤は、ブロックポリマーも使用できる。例えば特開2011-89090号公報に記載された化合物が挙げられる。フッ素系界面活性剤は、フッ素原子を有する(メタ)アクリレート化合物に由来する繰り返し単位と、アルキレンオキシ基(好ましくはエチレンオキシ基又はプロピレンオキシ基)を2以上(好ましくは5以上)有する(メタ)アクリレート化合物に由来する繰り返し単位と、を含む含フッ素高分子化合物も好ましく用いられる。下記化合物も本発明の組成物で用いられるフッ素系界面活性剤として例示される。
【0179】
【化23】
【0180】
上記の化合物の重量平均分子量は、好ましくは3,000~50,000であり、例えば、14,000である。上記の化合物中、繰り返し単位の割合を示す%は質量%である。
【0181】
また、フッ素系界面活性剤は、エチレン性不飽和基を側鎖に有する含フッ素重合体も使用できる。具体例としては、特開2010-164965号公報の段落番号0050~0090及び段落番号0289~0295に記載された化合物、例えばDIC株式会社製のメガファックRS-101、RS-102、RS-718K、及び、RS-72-K等が挙げられる。フッ素系界面活性剤は、特開2015-117327号公報の段落番号0015~0158に記載の化合物も使用できる。
【0182】
ノニオン系界面活性剤としては、グリセロール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、並びに、それらのエトキシレート及びプロポキシレート(例えば、グリセロールプロポキシレート、及び、グリセロールエトキシレート等)等が挙げられる。また、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ソルビタン脂肪酸エステル、プルロニックL10、L31、L61、L62、10R5、17R2、及び、25R2(BASF社製)、テトロニック304、701、704、901、904、及び、150R1(BASF社製)、ソルスパース20000(日本ルーブリゾール株式会社製)、NCW-101、NCW-1001、及び、NCW-1002(和光純薬工業株式会社製)、パイオニンD-6112、D-6112-W、及び、D-6315(竹本油脂株式会社製)、並びに、オルフィンE1010、サーフィノール104、400、及び、440(日信化学工業株式会社製)等も挙げられる。
【0183】
また、フッ素系界面活性剤は、ビニルエーテル重合型フッ素系界面活性剤も使用できる。ビニルエーテル重合型フッ素系界面活性剤としては、例えば、特開2016-216602号公報の実施例欄に記載された界面活性剤(例えば、フッ素系界面活性剤(1))等が挙げられる。
【0184】
界面活性剤は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
本発明の組成物が界面活性剤を含む場合において、界面活性剤の含有量は、組成物中の全固形分に対して、0.001~5.0質量%が好ましく、0.005~3.0質量%がより好ましい。
【0185】
<酸化防止剤>
本発明の組成物は、酸化防止剤を含んでもよい。
酸化防止剤としては、フェノール化合物、亜リン酸エステル化合物、及び、チオエーテル化合物等が挙げられる。酸化防止剤としては、分子量500以上のフェノール化合物、分子量500以上の亜リン酸エステル化合物、又は、分子量500以上のチオエーテル化合物が好ましい。これらは1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。フェノール化合物としては、フェノール系酸化防止剤として知られる任意のフェノール化合物を使用でき、多置換フェノール系化合物が好ましい。多置換フェノール系化合物は、大きく分けてその置換位置及び構造の異なる3種類(ヒンダードタイプ、セミヒンダードタイプ、及び、レスヒンダードタイプ)がある。また、酸化防止剤としては、同一分子内にフェノール基と亜リン酸エステル基を有する化合物が好ましく用いられる。また、酸化防止剤としては、リン系酸化防止剤も好ましく用いられる。酸化防止剤は市販品も使用できる。酸化防止剤の市販品としては、例えば、アデカスタブ AO-20、アデカスタブ AO-30、アデカスタブ AO-40、アデカスタブ AO-50、アデカスタブ AO-50F、アデカスタブ AO-60、アデカスタブ AO-60G、アデカスタブ AO-80、及び、アデカスタブ AO-330(株式会社ADEKA製)等が挙げられる。また、酸化防止剤としては、特開2014-032380号公報の段落番号0033~0043の記載を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。
【0186】
酸化防止剤は1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
本発明の組成物が酸化防止剤を含む場合において、酸化防止剤の含有量は、組成物中の全固形分に対して、0.01~20質量%が好ましく、0.3~15質量%がより好ましい。
【0187】
<シランカップリング剤>
本発明の組成物は、シランカップリング剤を含んでもよい。
本明細書において、シランカップリング剤は、加水分解性基とそれ以外の官能基とを有するシラン化合物を意味する。また、加水分解性基とは、ケイ素原子に直結し、加水分解反応及び縮合反応の少なくともいずれかによってシロキサン結合を生じ得る置換基をいう。加水分解性基としては、例えば、ハロゲン原子、アルコキシ基、及び、アシルオキシ基等が挙げられ、アルコキシ基が好ましい。すなわち、シランカップリング剤は、アルコキシシリル基を有する化合物が好ましい。また、加水分解性基以外の官能基は、樹脂との間で相互作用若しくは結合を形成して親和性を示す基が好ましい。例えば、ビニル基、スチリル基、(メタ)アクリロイル基、メルカプト基、エポキシ基、オキセタニル基、アミノ基、ウレイド基、スルフィド基、イソシアネート基、及び、フェニル基等が挙げられ、(メタ)アクリロイル基、又は、エポキシ基が好ましい。
【0188】
シランカップリング剤の具体例としては、例えば、3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン等が挙げられる。また、シランカップリング剤としては、特開2009-288703号公報の段落番号0018~0036に記載の化合物、及び、特開2009-242604号公報の段落番号0056~0066に記載の化合物が挙げられ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。シランカップリング剤は市販品も使用できる。シランカップリング剤の市販品としては、信越シリコーン株式会社製のKBM-13、KBM-22、KBM-103、KBE-13、KBE-22、KBE-103、KBM-3033、KBE-3033、KBM-3063、KBM-3066、KBM-3086、KBE-3063、KBE-3083、KBM-3103、KBM-3066、KBM-7103、SZ-31、KPN-3504、KBM-1003、KBE-1003、KBM-303、KBM-402、KBM-403、KBE-402、KBE-403、KBM-1403、KBM-502、KBM-503、KBE-502、KBE-503、KBM-5103、KBM-602、KBM-603、KBM-903、KBE-903、KBE-9103、KBM-573、KBM-575、KBM-9659、KBE-585、KBM-802、KBM-803、KBE-846、KBE-9007、X-40-1053、X-41-1059A、X-41-1056、X-41-1805、X-41-1818、X-41-1810、X-40-2651、X-40-2655A、KR-513、KC-89S、KR-500、KR-516、KR-517、X-40-9296、X-40-9225、X-40-9246、X-40-9250、KR-401N、X-40-9227、X-40-9247、KR-510、KR-9218、KR-213、X-40-2308、及び、X-40-9238等が挙げられる。
【0189】
シランカップリング剤は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
本発明の組成物がシランカップリング剤を含む場合において、シランカップリング剤の含有量は、組成物中の全固形分に対して、0.01~15.0質量%が好ましく、0.05~10.0質量%がより好ましい。
【0190】
<重合禁止剤>
本発明の組成物は、重合禁止剤を含んでもよい。
重合禁止剤は、ハイドロキノン、p-メトキシフェノール、ジ-tert-ブチル-p-クレゾール、ピロガロール、tert-ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4’-チオビス(3-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、並びに、N-ニトロソフェニルヒドロキシアミン塩(アンモニウム塩、及び、第一セリウム塩等)が挙げられる。中でも、p-メトキシフェノールが好ましい。なお、重合禁止剤は、酸化防止剤として機能し得る。
【0191】
重合禁止剤は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
本発明の組成物が重合禁止剤を含む場合において、重合禁止剤の含有量は、重合開始剤100質量部に対して、0.01~10質量部が好ましく、0.01~8質量部がより好ましく、0.01~5質量部が更に好ましい。
【0192】
<紫外線吸収剤>
本発明の組成物は、紫外線吸収剤を含んでもよい。
紫外線吸収剤としては、共役ジエン化合物、アミノジエン化合物、サリシレート化合物、ベンゾフェノン化合物、ベンゾトリアゾール化合物、アクリロニトリル化合物、及び、ヒドロキシフェニルトリアジン化合物等が挙げられる。これらの詳細については、特開2012-208374号公報の段落番号0052~0072、及び、特開2013-68814号公報の段落番号0317~0334の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。共役ジエン化合物の市販品としては、例えば、UV-503(大東化学株式会社製)等が挙げられる。また、ベンゾトリアゾール化合物としてはミヨシ油脂製のMYUAシリーズ(化学工業日報、2016年2月1日)を用いてもよい。
紫外線吸収剤は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
本発明の組成物が紫外線吸収剤を含む場合において、紫外線吸収剤の含有量は、組成物中の全固形分に対して、0.1~10質量%が好ましく、0.1~5質量%がより好ましく、0.1~3質量%が更に好ましい。
【0193】
<充填材>
充填材としては、例えば無機粒子が挙げられる。無機粒子としては、屈折率が高く、無色、白色、又は、透明な無機粒子が好ましく、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、アルミニウム(Al)、ケイ素(Si)、亜鉛(Zn)、又は、マグネシウム(Mg)等の酸化物粒子が好ましく、二酸化チタン(TiO)粒子、酸化ジルコニウム(ZrO)粒子、又は、二酸化珪素(SiO)粒子がより好ましい。
無機粒子の一次粒子径は特に制限されず、1~100nmが好ましく、1~80nmがより好ましく、1~50nmが更に好ましい。無機粒子の一次粒子径が上記範囲内であれば、分散性がより優れると共に、屈折率及び透過率がより向上する。
無機粒子の屈折率は特に制限はないが、高屈折率を得る観点から、1.75~2.70が好ましく、1.90~2.70がより好ましい。
無機粒子の比表面積は特に制限はないが、10~400m/gが好ましく、20~200m/gがより好ましく、30~150m/gが更に好ましい。
また、無機粒子の形状には特に制限はなく、例えば、米粒状、球形状、立方体状、紡錘形状、及び、不定形状等が挙げられる。
無機粒子は、有機化合物により表面処理された無機粒子であってもよい。表面処理に用いる有機化合物としては、例えば、ポリオール、アルカノールアミン、ステアリン酸、シランカップリング剤、及び、チタネートカップリング剤が挙げられる。中でも、ステアリン酸又はシランカップリング剤が好ましい。
また、無機粒子の表面は、耐候性がより向上する点で、アルミニウム、ケイ素、及び、ジルコニア等の酸化物により覆われているのも好ましい。
無機粒子としては、市販されている無機粒子を好ましく用いられる。
無機粒子は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0194】
<硬化促進剤>
本発明の組成物が、特定化合物及び硬化性化合物等が、カチオン重合性基(例えば、エポキシ基を有する化合物(重合性化合物2))を有する場合、組成物は、硬化促進剤を含むことも好ましい。
硬化速度を向上させる硬化促進剤としては、酸無水物、塩基(脂肪族アミン、芳香族アミン、変性アミン等)、酸(スルホン酸、リン酸、カルボン酸等)、及び、ポリメルカプタン等が挙げられる。中でも、酸無水物が好ましく、脂肪族酸無水物がより好ましい。
【0195】
<組成物の調製方法>
本発明の組成物は、前述の成分を混合して調製できる。組成物の調製に際しては、各成分を一括配合してもよいし、各成分を溶剤に溶解又は分散した後に逐次配合してもよい。例えば、全成分を同時に溶剤に溶解又は分散して組成物を調製してもよい。
【0196】
本発明の組成物が粒子を含む場合、組成物の調製方法において、粒子を分散させるプロセスを含むことが好ましい。粒子を分散させるプロセスにおいて、粒子の分散に用いる機械力としては、圧縮、圧搾、衝撃、剪断、及び、キャビテーション等が挙げられる。これらプロセスの具体例としては、ビーズミル、サンドミル、ロールミル、ボールミル、ペイントシェーカー、マイクロフルイダイザー、高速インペラー、サンドグラインダー、フロージェットミキサー、高圧湿式微粒化、及び、超音波分散等が挙げられる。またサンドミル(ビーズミル)における粒子の粉砕においては、径の小さいビーズを使用する、ビーズの充填率を大きくする等により粉砕効率を高めた条件で処理するのが好ましい。また、粉砕処理後にろ過又は遠心分離等で粗粒子を除去するのが好ましい。また、粒子を分散させるプロセス及び分散機としては、「分散技術大全、株式会社情報機構発行、2005年7月15日」及び「サスペンション(固/液分散系)を中心とした分散技術と工業的応用の実際 総合資料集、経営開発センター出版部発行、1978年10月10日」、特開2015-157893号公報の段落番号0022に記載のプロセス及び分散機を好適に使用できる。また粒子を分散させるプロセスにおいては、ソルトミリング工程にて粒子の微細化処理を行ってもよい。ソルトミリング工程に用いられる素材、機器、及び、処理条件等は、例えば特開2015-194521号公報、及び、特開2012-046629号公報の記載を参酌できる。
【0197】
本発明の組成物の調製にあたり、異物の除去及び欠陥の低減等の目的で、組成物をフィルタでろ過するのが好ましい。フィルタとしては、従来からろ過用途等に用いられているフィルタであれば特に限定されず用いられる。例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素樹脂、ナイロン(例えばナイロン-6及びナイロン-6,6)等のポリアミド系樹脂、並びに、ポリエチレン、及び、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン樹脂(高密度及び/又は超高分子量のポリオレフィン樹脂を含む)等の素材を用いたフィルタが挙げられる。これら素材の中でもポリプロピレン(高密度ポリプロピレンを含む)及びナイロンが好ましい。
フィルタの孔径は、0.01~7.0μm程度が好ましく、0.01~3.0μm程度がより好ましく、0.05~0.5μm程度が更に好ましい。フィルタの孔径が上記範囲であれば、微細な異物を確実に除去できる。ファイバ状のろ材を用いるのも好ましい。ファイバ状のろ材としては、例えば、ポリプロピレンファイバ、ナイロンファイバ、及び、グラスファイバ等が挙げられる。具体的には、ロキテクノ社製のSBPタイプシリーズ(SBP008等)、TPRタイプシリーズ(TPR002及びTPR005等)、及び、SHPXタイプシリーズ(SHPX003等)等のフィルタカートリッジが挙げられる。
【0198】
フィルタを使用する際、異なるフィルタ(例えば、第1のフィルタと第2のフィルタ等)を組み合わせてもよい。その際、各フィルタでのろ過は、1回のみでもよいし、2回以上行ってもよい。また、上述した範囲内で異なる孔径のフィルタを組み合わせてもよい。ここでの孔径は、フィルタメーカーの公称値を参照できる。市販のフィルタとしては、例えば、日本ポール株式会社(DFA4201NXEY等)、アドバンテック東洋株式会社、日本インテグリス株式会社(旧日本マイクロリス株式会社)、及び、株式会社キッツマイクロフィルタ等が提供する各種フィルタの中から選択できる。第2のフィルタは、第1のフィルタと同様の素材等で形成されたフィルタを使用できる。また、第1のフィルタでのろ過は、分散液のみに対して行い、他の成分を混合した後で、第2のフィルタでろ過を行ってもよい。
【0199】
〔用途〕
本発明の組成物の用途は特に制限されないが、例えば、固体撮像素子の高屈折部材(マイクロレンズ、カラーフィルタの下地層、及び、隣接層等の透明膜、並びに、カラーフィルタのホワイトピクセル等)、レンズ(眼鏡レンズ、デジタルカメラ用レンズ、フレネルレンズ、及び、プリズムレンズ等)、光学用オーバーコート剤、ハードコート剤、反射防止膜、光ファイバー、光導波路、LED(Light Emitting Diode)用封止材料、LED用平坦化材料、及び、太陽光電池用コーティング材として有用である。
【0200】
[膜]
本発明の膜は、本発明の組成物から得られる膜である。組成物に硬化処理を施すことにより、硬化膜を得られる。
上記膜の屈折率は特に制限されないが、波長589nmにおいて、1.65以上が好ましく、1.70以上がより好ましく、1.75以上が更に好ましく、1.80以上が特に好ましい。屈折率の上限については特に制限されないが、2.50以下が一般的である。
【0201】
膜の屈折率の測定方法は、例えば、エポキシ樹脂層を形成したガラス基板上に、膜厚が1μmの膜を形成した後、得られた膜をJ.A.Woollam社製VASEを用いて測定する。
【0202】
上記膜の光透過率は特に制限されないが、400~700nmの波長領域全域に渡って90%以上であるのが好ましく、95%以上であるのがより好ましく、100%であるのが更に好ましい。
上記膜の厚みは特に制限されないが、0.1~20μmであるのが好ましく、0.1~10μmであるのがより好ましく、0.5~4μmであるのが更に好ましい。
【0203】
本発明の組成物を硬化させる方法は特に制限されず、加熱及び露光等が挙げられる。加熱に使用する装置は特に制限されず、送風乾燥機、オーブン、赤外線乾燥機、及び、加熱ドラム等を用いられる。露光に使用する装置は特に制限されず、水銀灯、メタルハライドランプ、キセノン(Xe)ランプ、ケミカルランプ、及び、カーボンアーク灯等を用いられる。
【0204】
<パターン状の硬化膜の製造方法>
以下、硬化膜の製造方法の一例として、パターン状の硬化膜を製造する方法について詳述する。
【0205】
パターン状の硬化膜の製造方法は、基板上に、本発明の組成物を塗布して組成物層(塗布膜)を形成する工程(以下、「組成物層形成工程」ともいう)と、本発明の組成物層を、マスクを介して露光する工程(以下、「露光工程」ともいう)と、露光後の組成物層を現像してパターン状の硬化膜を形成する工程(以下、「現像工程」ともいう)と、を含む。
なお、上記で使用される組成物には、通常、光重合開始剤が含まれる。
【0206】
具体的には、本発明の組成物を、直接又は他の層を介して基板上に塗布して、組成物層を形成し(組成物層形成工程)、所定のマスクパターンを介して露光し、光照射された組成物層部分だけを硬化させ(露光工程)、現像液で現像して(現像工程)、パターン状の硬化膜を形成できる。
以下、各工程について説明する。
【0207】
(組成物層形成工程)
組成物層形成工程では、基板上に、本発明の組成物を塗布して組成物層(塗布膜)を形成する。
【0208】
基板としては特に限定されず、例えば、液晶表示装置等に用いられる無アルカリガラス、ソーダガラス、パイレックス(登録商標)ガラス、石英ガラス、及び、これらに透明導電膜を付着させたガラス、固体撮像素子等に用いられる光電変換素子基板(例えば、シリコン基板等)、CCD(Charge Coupled Device)基板、並びに、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)基板等が挙げられる。
【0209】
基板上への本発明の組成物の塗布方法としては、スリット塗布、インクジェット法、回転塗布、流延塗布、ロール塗布、又は、スクリーン印刷法等の各種の塗布方法を適用できる。
【0210】
組成物の塗布膜厚としては、用途により適宜選択され得るが、例えば、0.1~20μmであり、0.1~10μmがより好ましく、0.5~4μmが更に好ましい。
【0211】
基板上に塗布された組成物は、通常、70~110℃で2~4分程度の条件下で乾燥する。これにより、組成物層を形成できる。
【0212】
(露光工程)
露光工程では、組成物層形成工程において形成された組成物層(塗布膜)を、マスクを介して露光し、光照射された塗布膜部分だけを硬化させる。
露光は、活性光線又は放射線の照射により行うことが好ましく、特に、g線、h線、又は、i線等の紫外線がより好ましい。照射強度は5~1500mJ/cmが好ましく、10~1000mJ/cmがより好ましい。
【0213】
(現像工程)
露光工程に次いで、アルカリ現像処理(現像工程)を行い、露光工程における光未照射部分をアルカリ水溶液に溶出させる。これにより、光硬化した部分(光照射された塗布膜部分)だけが残る。
現像液としては、下地の回路等にダメージを起さない、有機アルカリ現像液が望ましい。現像温度としては通常20~30℃であり、現像時間は20~90秒である。
【0214】
アルカリ性の水溶液としては、例えば、無機系現像液及び有機系現像液が挙げられる。無機系現像液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、硅酸ナトリウム、又は、メタ硅酸ナトリウムを、濃度が0.001~10質量%、好ましくは0.01~1質量%となるように溶解したアルカリ性水溶液が挙げられる。有機系現像液としては、アンモニア水、エチルアミン、ジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、コリン、ピロール、ピペリジン、又は、1,8-ジアザビシクロ-[5.4.0]-7-ウンデセン等のアルカリ性化合物を、濃度が0.001~10質量%、好ましくは0.01~1質量%となるように溶解したアルカリ性水溶液が挙げられる。アルカリ性水溶液には、例えばメタノール又はエタノール等の水溶性有機溶剤、及び/又は、界面活性剤等を適量添加してもよい。なお、このようなアルカリ性水溶液からなる現像液を使用した場合には、一般に現像後純水で洗浄(リンス)する。
【0215】
現像方法としては、例えば、パドル現像方法又はシャワー現像方法等を用いられる。
【0216】
[レンズ]
本発明の膜(好ましくは硬化膜)は、レンズとしても使用できる。レンズとしては、中でも、固体撮像素子のマイクロレンズに好適に用いられる。
【0217】
[固体撮像素子]
本発明の膜(好ましくは硬化膜)及び本発明のレンズは、固体撮像素子に好適に適用できる。
本発明の固体撮像素子の構成としては、例えば、基板上に、固体撮像素子(CCDイメージセンサ又はCMOSイメージセンサ等)の受光エリアを構成する複数のフォトダイオード及びポリシリコン等からなる受光素子を有すると共に、カラーフィルタの下に本発明の膜である下塗り膜を備えた構成等が挙げられる。
【実施例
【0218】
以下、実施例により、本発明について更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
【0219】
〔組成物〕
[組成物の成分]
以下に示す成分を使用して、実施例又は比較例で用いる組成物を調製した。
【0220】
<化合物>
以下に示す方法で、上記に例示した一般式(I)で表される化合物(特定化合物)のうちの化合物(A-1)、(A-2)、(A-4)、(A-5)、(A-7)、(A-11)、(A-12)、(A-14)、(A-18)、(A-20)、(A-22)、(A-24)、(A-26)、(A-27)、(A-29)、(A-31)、(A-36)、(A-39)、(A-41)、(A-42)、及び、(A-48)、並びに、比較用の化合物(H-1)及び(H-2)を合成し、組成物の調製に使用した。
【0221】
(合成例1:化合物(A-1))
以下に示すスキームに従って化合物(A-1)を合成した。
【0222】
【化24】
【0223】
化合物(a-1)(17.0g、64mmol)、p-アミノフェニルエタノール(31.5g、230mmol、化合物(a-1)に対して3.6モル当量)、及び、酢酸(140.4g)を混合して得られた混合液を、110℃で1時間撹拌して反応させた。この混合液を、3.5質量%塩酸(300mL)に添加し、固体を析出させた。析出した固体をろ取し、蒸留水で洗浄した。得られた固体を、メタノール(100mL)及び水酸化リチウム(無水)(3.1g)と混合して、更に7時間撹拌し、固体を析出させた。析出した固体をろ取し、メタノールで洗浄した。得られた固体を50℃で送風乾燥して、化合物(a-1a)(26.7g)を得た。
化合物(a-1a)(6.0g、13mmol)と、N,N-ジメチルアセトアミド(30.0g)とを混合し、得られた溶液を、氷浴で冷却した。この溶液に、アクリル酸クロリド(15.6g、172mmol)を内温5℃以下に保持しながら滴下した。この溶液を、濃塩酸(35質量%、12mL)と蒸留水(240mL)の混合液に添加し、固体を析出させた。析出した固体をろ取し、蒸留水で洗浄した。固体を送風乾燥して化合物(A-1)(4.1g)を得た。
【0224】
(合成例2:化合物(A-2))
化合物(a-1)とp-アミノフェニルエタノールとを、それぞれ、後段で示す化合物(a-2)とp-アミノベンジルアルコールに変更し、同じモル当量で反応させた以外は合成例1と同様の操作を実施し、化合物(A-2)を得た。
【0225】
(合成例3:化合物(A-4))
化合物(a-1)、p-アミノフェニルエタノール、及び、酢酸を、それぞれ、後段で示す化合物(a-4)、1,4-ジアミノベンゼン、及び、N-メチルピロリドンに変更し、1,4-ジアミノベンゼンを化合物(a-4)に対して20モル当量で反応させた以外は合成例1と同様の操作を実施し、化合物(A-4)を得た。
【0226】
(合成例4:化合物(A-5))
化合物(a-1)とp-アミノフェニルエタノールとを、それぞれ、後段で示す化合物(a-5)とm-アミノベンジルアルコールとに変更し、同じモル当量で反応させた以外は合成例1と同様の操作を実施し、化合物(A-5)を得た。
【0227】
(合成例5:化合物(A-7))
化合物(a-1)を、後段で示す化合物(a-7)に変更し、同じモル当量で反応させた以外は合成例1と同様の操作を実施し、化合物(A-7)を得た。
【0228】
(合成例6:化合物(A-11))
化合物(a-1)を、後段で示す化合物(a-11)に変更し、同じモル当量で反応させた以外は合成例1と同様の操作を実施し、化合物(A-11)を得た。
【0229】
(合成例7:化合物(A-12))
化合物(a-1)を、後段で示す化合物(a-12)に変更し、同じモル当量で反応させた以外は合成例1と同様の操作を実施し、化合物(A-12)を得た。
【0230】
(合成例8:化合物(A-18))
化合物(a-1)を、後段で示す化合物(a-18)に変更し、同じモル当量で反応させた以外は合成例1と同様の操作を実施し、化合物(A-18)を得た。
【0231】
(合成例9:化合物(A-20))
化合物(a-1)を、後段で示す化合物(a-20)に変更し、同じモル当量で反応させた以外は合成例1と同様の操作を実施し、化合物(A-20)を得た。
【0232】
(合成例10:化合物(A-22))
化合物(a-1)を、後段で示す化合物(a-22)に変更し、同じモル当量で反応させた以外は合成例1と同様の操作を実施し、化合物(A-22)を得た。
【0233】
(合成例11:化合物(A-24))
化合物(a-1)を、後段で示す化合物(a-24)に変更し、同じモル当量で反応させた以外は合成例1と同様の操作を実施し、化合物(A-24)を得た。
【0234】
(合成例12:化合物(A-26))
化合物(a-1)を、後段で示す化合物(a-26)に変更し、同じモル当量で反応させた以外は合成例1と同様の操作を実施し、化合物(A-26)を得た。
【0235】
(合成例13:化合物(A-27))
化合物(a-1)を、後段で示す化合物(a-27)に変更し、同じモル当量で反応させた以外は合成例1と同様の操作を実施し、化合物(A-27)を得た。
【0236】
(合成例14:化合物(A-29))
化合物(a-1)を、後段で示す化合物(a-29)に変更し、同じモル当量で反応させた以外は合成例1と同様の操作を実施し、化合物(A-29)を得た。
【0237】
以下に、合成例1~14で使用した化合物(a-1)、(a-2)、(a-4)、(a-5)、(a-7)、(a-11)、(a-12)、(a-18)、(a-20)、(a-22)、(a-24)、(a-26)、(a-27)、及び、(a-29)を示す。
【0238】
【化25】
【0239】
(合成例15:化合物(A-36))
以下に示すスキームに従って化合物(A-36)を合成した。
【0240】
【化26】
【0241】
化合物(a-36)(34.8g、100mmol)、p-アミノフェニルエタノール(27.4g、200mmol、化合物(a-36)に対して2.0モル当量)、及び、酢酸(180.4g)を混合して得られた混合液を、110℃で1時間撹拌して反応させた。この混合液を、3.5質量%塩酸(1000mL)に添加し、固体を析出させた。析出した固体をろ取し、蒸留水で洗浄した。得られた固体をメタノール(500mL)、水酸化リチウム(無水)(9.3g)と混合して、7時間撹拌し、固体を析出させた。析出した固体をろ取し、メタノールで洗浄した。得られた固体を50℃で送風乾燥して、化合物(a-36a)(42.1g)を得た。
化合物(a-36a)(4.5g)、カレンズBEI(2.4g、1,1-(ビスアクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート、昭和電工株式会社製)、N-メチルピロリドン(20g)、ネオスタンU-600(0.050g、ウレタン化反応触媒、日東化成株式会社製)、及び、2,6-ジtert-ブチル-p-クレゾール(0.050g)を混合して得られた溶液を、100℃で8時間加熱した。放冷後、この溶液を3.5質量%塩酸(100mL)に添加し、固体を析出させた。析出した固体をろ取し、蒸留水及びメタノールで洗浄した。固体を送風乾燥して化合物(A-36)(5.1g)を得た。
【0242】
(合成例16:化合物(A-39))
化合物(a-36)を、後段で示す化合物(a-39)に変更し、同じモル当量で反応させた以外は合成例15と同様の操作を実施し、化合物(A-39)を得た。
【0243】
(合成例17:化合物(A-41))
化合物(a-36)を、後段で示す化合物(a-41)に変更し、同じモル当量で反応させた以外は合成例15と同様の操作を実施し、化合物(A-41)を得た。
【0244】
以下に、合成例15~17で使用した化合物(a-36)、(a-39)、及び、(a-41)を示す。
【0245】
【化27】
【0246】
(合成例18:化合物(A-14))
以下に示すスキームに従って化合物(A-14)を合成した。
【0247】
【化28】
【0248】
化合物(a-1)(13.3g)、p-(アリルオキシ)アニリン(30.0g)、及び、酢酸(140.4g)を混合して得られた混合液を、110℃で1時間撹拌した。混合液を、3.5質量%塩酸(500mL)に添加し、固体を析出させた。析出した固体をろ取し、蒸留水及びメタノールで洗浄した。得られた固体を50℃で送風乾燥して、化合物(A-14)(24.0g)を得た。
【0249】
(合成例19:化合物(A-42))
以下に示すスキームに従って化合物(A-42)を合成した。
【0250】
【化29】
【0251】
化合物(A-14)(4.9g)、m-クロロ過安息香酸(含率70質量%(残りはm-クロロ安息香酸と水との混合物))(3.0g)、及び、N-メチルピロリドン(20.0g)の混合液を室温で24時間撹拌した。混合液を、3.5質量%塩酸(500mL)に添加し、固体を析出させた。析出した固体をろ取し、蒸留水及びメタノールで洗浄した。得られた固体を50℃で送風乾燥して、化合物(A-42)(4.2g)を得た。
【0252】
(合成例20:化合物(A-31))
以下に示すスキームに従って化合物(A-31)を合成した。
【0253】
【化30】
【0254】
化合物(a-1)(13.3g)、p-アミノ安息香酸(20.0g)、及び、酢酸(150.1)gを混合して得られた混合液を、110℃で1時間撹拌した。混合液を、3.5質量%塩酸(500mL)に添加し、固体を析出させた。析出した固体をろ取し、蒸留水及びメタノールで洗浄した。得られた固体を50℃で送風乾燥して、化合物(a-31a)(22.1g)を得た。
化合物(a-31a)(4.7g)、4-ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテル(6.0g)、テトラブチルアンモニウムブロミド(0.5g)、p-メトキフェノール(0.1g)、及び、N-メチルピロリドン(20.0g)を混合して得られた溶液を90℃で24時間加熱した。放冷後、溶液を3.5質量%塩酸(500mL)に添加し、固体を析出させた。析出した固体をろ取し、蒸留水及びメタノールで洗浄した。得られた固体を50℃で送風乾燥して、化合物(A-31)(7.1g)得た。
【0255】
(合成例21:化合物(A-48))
以下に示すスキームに従って化合物(A-48)を合成した。
【0256】
【化31】
【0257】
化合物(A-31)(4.3g)、無水こはく酸(1.5g)、N-メチルピロリドン(30g)、及び、2,6-ジtert-ブチル-4-メチルフェノール(0.1g)を混合して混合液を得た。この混合液に、4-N,N-ジメチルアミノピリジン(0.5g)及びトリエチルアミン(5.0)の混合溶液を滴下し、100℃で3時間加熱撹拌した。放冷後、混合液を3.5質量%塩酸(500mL)に添加し、固体を析出させた。析出した固体をろ取し、蒸留水及びメタノールで洗浄した。得られた固体を50℃で送風乾燥して、化合物(A-48)(4.2g)を得た。
【0258】
(比較合成例1:化合物(H-1))
以下に示すスキームに従って化合物(H-1)を合成した。
【0259】
【化32】
【0260】
塩化シアヌル(9.2g)、p-(アリルオキシ)アニリン(24.6g)、及び、酢酸(80g)を混合して得られた混合液を、110℃で1時間撹拌した。混合液を、3.5質量%塩酸(500mL)に添加し、固体を析出させた。析出した固体をろ取し、蒸留水及びメタノールで洗浄した。得られた固体を50℃で送風乾燥して、化合物(H-1)(24.0g)を得た。
【0261】
(比較合成例2:化合物(H-2))
以下に示すスキームに従って化合物(H-2)を合成した。
【0262】
【化33】
【0263】
塩化シアヌル(9.2g)、p-(アリルオキシ)フェノール(24.6g)、炭酸カリウム(41.4g)、及び、N-メチルピロリドン(150g)を混合して得られた混合液を、110℃で24時間撹拌した。混合液を、3.5質量%塩酸(1000mL)に添加し、固体を析出させた。析出した固体をろ取し、蒸留水及びメタノールで洗浄した。得られた固体を50℃で送風乾燥して、化合物(H-2)を21.2g得た。
【0264】
得られた各化合物を、MS(Mass Spectrum)測定により同定した。
具体的には、試料をジメチルスルホキシドに溶解(懸濁)し、CHCA(α-cyano-4-hydroxycinnamic acid)マトリックスを含むジメチルスルホキシド溶液と混合し、得られた混合物をMALDI(Matrix Assisted Laser Desorption/Ionization)プレートに塗布して測定した。測定はBryker社製autoflexにて行い、ポジモードで行った。結果を表1に示す。
【0265】
【表1】
【0266】
化合物(A-1)を、固形分が10質量%になるようにN-エチル-2-ピロリドン(NEP)に溶解させ、得られた溶解液をシリコンウエハ上にスピン塗布した。スピン塗布は、乾燥後にシリコンウエハ上に形成される化合物(A-1)のみからなる化合物膜の膜厚が300nmとなるように行った。
シリコンウエハを室温(23℃)で2時間乾燥させた後、シリコンウエハ上に形成された化合物(A-1)のみからなる化合物膜の波長589nmにおける屈折率をエリプソメトリー(ラムダエースRE-3300(商品名)、大日本スクリーン製造株式会社製)を用いて測定した。
その結果、化合物(A-1)の波長589nmにおける屈折率は1.79であることが確認された。
化合物(H-2)について同様の方法で屈折率を測定したところ、化合物(H-2)の波長589nmにおける屈折率は1.63であることが確認された。
【0267】
<硬化性化合物>
以下に示す硬化性化合物を使用した。
【0268】
【化34】
【0269】
<バインダー(樹脂)>
以下に示すバインダー(樹脂)を使用した。
構造式中「Me」はメチル基を示す。
【0270】
【化35】
【0271】
<光重合開始剤>
以下に示す光重合開始剤を使用した。
構造式中「Me」はメチル基を示し、「Ph」はフェニル基を示す。
【0272】
【化36】
【0273】
<溶剤>
以下に示す溶剤を使用した。
DMAc:N,N-ジメチルアセトアミド
NEP:N-エチル-2-ピロリドン
MFG:1-メトキシ-2-プロパノール
CPN:シクロペンタノン
【0274】
<界面活性剤>
以下に示す界面活性剤を使用した。
メガファックR-40(DIC株式会社製)
【0275】
[組成物の調製]
上述の各種成分を用いて、実施例用の組成物1~27、及び、比較例用の比較組成物1~2を調製した。
得られた各組成物の配合を下記表2に示す。
【0276】
〔評価〕
得られた組成物を用いて、塗布膜の欠陥の評価、膜の屈折率評価、膜の表面外観評価を行った。
【0277】
[塗布膜の欠陥の評価(欠陥抑制性)]
エポキシ樹脂(JER-827、ジャパンエポキシレジン社製)を用いてエポキシ樹脂層を形成したシリコンウエハ上に、表2に記載の組成物及び比較組成物をそれぞれスピン塗布し、更に100℃で3分間ベーク(加熱)し、膜厚1μmの塗布膜Aを形成した。形成してから10分以内に、この塗布膜Aについて、欠陥検査装置(アプライドマテリアルズ社製ComPlus)を用いて欠陥数(個/cm)測定を行った。
更に、塗布膜Aを室温(23℃)で72時間放置した塗布膜を塗布膜Bとして、この塗布膜Bについても同様に、欠陥数測定を行った。
欠陥数が少ないほど、塗布膜の欠陥抑制性が優れる。
【0278】
測定された欠陥数を以下の基準に区分し、塗布膜の欠陥抑制性を評価した。
A:欠陥数が0個/cm以上10個/cm未満
B:欠陥数が10個/cm以上20個/cm未満
C:欠陥数が20個/cm以上100個/cm未満
D:欠陥数が100個以上/cm
【0279】
[膜の屈折率の評価]
エポキシ樹脂(JER-827、ジャパンエポキシレジン社製)を用いてエポキシ樹脂層を形成した5cm×5cmのガラス基板上に、表2に記載の組成物及び比較組成物をそれぞれスピン塗布し、100℃で3分間ベーク(加熱)した。次に、得られた塗布膜に対して、高圧水銀灯を用いて、積算露光量が200mJ/cmとなるように露光を行った。その後、ガラス基板を、200℃で3分間ベークし、膜厚が1μmの膜(硬化膜)を得た。得られた膜をJ.A.Woollam社製VASEを用いて、波長300~1500nmの屈折率を測定し、波長589nmにおける屈折率の値を各膜の屈折率とした。
【0280】
測定された屈折率の値を以下の基準に照らして、膜の屈折率を評価した。
AA:屈折率が1.80以上
A:屈折率が1.75以上1.80未満
B:屈折率が1.70以上1.75未満
C:屈折率が1.65以上1.70未満
D:屈折率が1.65未満
【0281】
[膜の表面外観の評価]
上記屈折率の評価で得られた膜の外観を光学顕微鏡で観察した。
膜の表面外観の評価の基準は以下のとおりである。
A:膜面に荒れ及び亀裂がない
B:膜面の一部に凹凸が見られるが実用上問題ないレベルである
C:膜面に荒れ及び/又は亀裂が観測され、実用上問題となるレベルである
【0282】
下記表2に、評価の結果を示す。
表2中、「添加量」の欄に記載された数値は質量部を示す。
表2中、「Q(中心環)」の欄は、化合物を一般式(I)にてはめた場合における、Qで表される基の種類を意味する。なお、欄中の「トリアジン」はトリアジン環基を意味し、「ピリジン」環基を意味し、「ピリミジン」はピリミジン環基を意味する。
表2中、「A(架橋性基を有さない基)」の欄中の、「数」の欄は、化合物を一般式(I)にてはめた場合における、Aで表される基の数(lの値)を意味する。
表2中、「A(架橋性基を有さない基)」の欄中の、「置換基」の欄は、化合物を一般式(I)にてはめた場合における、Aで表される基が有する置換基の種類を意味する。なお、欄中の「Ph」はフェニル基又はフェニレン基を意味する。また、化合物(A-24)について「(チオフェン環)」と記載されているのは、Aで表される基は置換基を有しておらず、Aで表される基がチオフェン環基であることを意味する。
表2中、「A(架橋性基を有さない基)」の欄中の、「結合位置」の欄は、Aが置換基を有するベンゼン環基である場合における、置換基の結合位置を意味する。「p」はパラ位、「m」はメタ位、「o」はメタ位に置換基が結合していることを意味する。
表2中、「A(架橋性基を有さない基)」の欄中の、「C」の欄は、化合物を一般式(I)にてはめた場合における、Cで表される基の種類を意味する。
表2中、「B(架橋性基を有する基)」の欄中の、「数」の欄は、化合物を一般式(I)にてはめた場合における、Bで表される基の数(mの値)を意味する。
【0283】
【表2】
【0284】
表2に示す結果から、本発明の組成物は欠陥抑制性に優れる塗布膜を形成でき、かつ、屈折率に優れる膜を形成できることが確認された。また、本発明の組成物を用いて形成された膜は、表面外観にも優れることが確認された。
また、特定化合物の中心環がトリアジン環である場合、塗布膜の欠陥抑制性と膜の屈折率がより優れる傾向が確認された(実施例10と15との比較。実施例18と19との比較)。
特定化合物のAで表される基が特定の置換基(シアノ基、アリールチオ基、ハロゲン原子等)を有する場合、膜の屈折率がより優れる傾向が確認された(実施例2と4との比較。実施例1、3~9、11~12、16~17、及び、20~27の結果)。
中でも、置換基がビフェニル基又はシアノフェニル基を有する場合、膜の屈折率が更に優れる傾向が確認された(実施例1、9、及び、11の比較)。
Aで表される基が有する置換基が、Cとの結合位置に対してパラ位に結合する場合、膜の表面外観がより優れる傾向が確認された(実施例1、6、及び、7の比較)。
特定化合物のAで表される基がチオフェン環基等のヘテロ環基である場合も、塗布膜の欠陥抑制性と膜の屈折率とがより優れる傾向が確認された(実施例12の結果)。
特定化合物のBで表される基の架橋性基がアクリロイル基又はエポキシ基である場合、膜の表面外観がより優れる傾向が確認された(実施例1、8、及び、20の比較)。
【0285】
[熱硬化性組成物の評価(実施例28)]
組成物1の光重合開始剤(I-1)を、熱重合開始剤ドデカンペルオキシ酸tert-ブチル(発熱開始温度:129℃)に変更し、熱硬化性組成物である組成物28を調製して、上述の評価を行った。
「塗布膜の欠陥の評価」において、組成物28をスピン塗布した後、室温(23℃)で2時間溶剤を揮発させて、膜厚1μmの塗布膜Aを形成した点以外は、上述したのと同様にして、組成物28を用いて「塗布膜の欠陥の評価」を行った。
「膜の屈折率の評価」及び「膜の表面外観の評価」において、組成物28をスピン塗布した後、室温(23℃)で2時間溶剤を揮発させてから、ガラス基板を200℃で3分間加熱して膜厚1μmの硬化膜を得た点以外は、上述したのと同様にして、組成物28を用いて「膜の屈折率の評価」及び「膜の表面外観の評価」を行った。
その結果は、欠陥数(塗布膜A:A、塗布膜B:A)、屈折率:A、表面外観:Aであった。このことから、本発明の組成物は、熱重合開始剤を用いて場合でも、欠陥抑制性に優れる塗布膜を形成でき、かつ、屈折率に優れる膜を形成できることが確認された。更に、表面外観にも優れる膜を形成できることが確認された。
【0286】
[フォトリソグラフィを用いたパターン形成(実施例29)]
エポキシ樹脂(JER-827、ジャパンエポキシレジン社製)を用いてエポキシ樹脂層を形成したシリコンウエハ上に、組成物26をスピン塗布し、100℃で3分間ベーク(加熱)し、塗布膜を形成した。この塗布膜を室温で72時間放置した。
次いで、i線ステッパー露光装置(FPA-3000i5+、Canon株式会社製)を使用して365nmの波長で、パターンが10μm四方のアイランドパターンを有するマスクを通して50~1200mJ/cmの種々の露光量で、シリコンウエハ上の塗布膜を露光した。その後、このシリコンウエハをスピン・シャワー現像機(DW-30型、株式会社ケミトロニクス製)の水平回転テーブル上に載置し、現像液(CD-2000、富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ株式会社製)を用いて23℃で60秒間パドル現像を行い、パターンを形成した。
【0287】
上記パドル現像を経て、表面にパターンが形成されたシリコンウエハを、回転数50rpmで回転させつつ、その回転中心の上方から純水をシャワー状に供給してリンス処理を行い、その後、乾燥させた。
【0288】
乾燥したパターンについて、測長SEM(CD-SEM:Critical Dimension Scanning Electron Microscope)(S-9260A、日立ハイテクノロジーズ社製)を用いて、パターン形状を評価した。
その結果、得られたパターンの形状は良好であることが観察され、組成物26を用いて形成された塗布膜は現像性及び光硬化性が良好で、フォトリソグラフィ性にも優れていることが確認された。
このように、本発明の組成物を用いることで、良好な形状を有するパターンを形成可能であることが確認された。このような本発明の組成物は、レンズの製造にも好適に使用でき、製造されたレンズは固体撮像素子に使用することも好ましい。