(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-18
(45)【発行日】2022-03-29
(54)【発明の名称】臨時固定用粘着シートおよびこれを用いた半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
C09J 7/38 20180101AFI20220322BHJP
C09J 133/14 20060101ALI20220322BHJP
C09J 11/06 20060101ALI20220322BHJP
C09J 5/00 20060101ALI20220322BHJP
H01L 21/304 20060101ALI20220322BHJP
H01L 21/301 20060101ALI20220322BHJP
【FI】
C09J7/38
C09J133/14
C09J11/06
C09J5/00
H01L21/304 622J
H01L21/78 M
(21)【出願番号】P 2020520826
(86)(22)【出願日】2019-03-28
(86)【国際出願番号】 KR2019003668
(87)【国際公開番号】W WO2019190242
(87)【国際公開日】2019-10-03
【審査請求日】2020-04-13
(31)【優先権主張番号】10-2018-0035996
(32)【優先日】2018-03-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2019-0034621
(32)【優先日】2019-03-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】セラ・キム
(72)【発明者】
【氏名】ジ・ホ・ハン
(72)【発明者】
【氏名】クワン・ジュ・イ
【審査官】高崎 久子
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-231159(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2013-0066273(KR,A)
【文献】特開2008-231268(JP,A)
【文献】特開2006-156754(JP,A)
【文献】特開2016-069474(JP,A)
【文献】大和真樹,"光重合開始剤の現状と課題",日本印刷学会誌,日本,2003年,第40巻、第3号,p.168-175(特に、p.172),DOI:https://doi.org/10.11413/nig1987.40.168
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J
B32B
H01L21/304;21/463
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス転移温度(Tg)が60℃以上の高分子基材フィルム;および
光反応性官能基を有するバインダー樹脂、300nm~420nmの波長で活性を有する光開始剤
、前記300nm~420nmの波長で活性を有する光開始剤とは別の化合物である三級アミン化合物
、および多官能性架橋剤を含む粘着層を少なくとも1つ含み、
前記バインダー樹脂は、ベンゾイルフェニル基を含む第1(メタ)アクリレート系繰り返し単位
と、ヒドロキシ基、カルボキシ基、および窒素含有官能基からなる群より選択された1種以上の官能基を含む第2(メタ)アクリレート系繰り返し単位を含み、前記バインダー樹脂の前記第2(メタ)アクリレート系繰り返し単位の20~95モル%は、光重合性(メタ)アクリレート系側鎖を含み、
前記光開始剤は、チオキサントン、2-クロロチオキサントン、2-メチルチオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4-ジクロロチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2,4-ジイソプロピルチオキサントン、ドデシルチオキサントン、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキシド、2-メチル-1[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノプロパン-1-オン、オキシ-フェニル-アセチックアシッド2-[2-オキソ-2-フェニル-アセトキシ-エトキシ]-エチルエステル、オキシ-フェニル-アセチックアシッド2-[2-ヒドロキシ-エトキシ]-エチルエステル、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-ブタン-1-オン、および2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-ホスフィンオキシドからなる群より選択された1種以上であり、
前記三級アミン化合物は、エチル-p-ジメチルアミノベンゾエート、メチル-p-ジメチルアミノベンゾエート、2-エチルヘキシル-p-ジメチルアミノベンゾエート、オクチル-p-ジメチルアミノベンゾエート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、およびN,N-ジヒドロキシエチル-p-トルイジンからなる群より選択された1種以上であり、
下記の一般式1で定義される、前記粘着層を熱処理して測定した初期粘着力(A1)に対する、前記熱処理された粘着層に光照射し測定した粘着力(A2)間の比率が50%以下である、臨時固定用粘着シート。
[一般式1]
R(%)=A2’*100/A1’
前記一般式1において、A1’は、180℃で2時間熱処理した後における前記粘着層の粘着力であり、
A2’は、前記熱処理された粘着層に200nm~500nm領域の複合波長の紫外線を100mJ/cm
2~1000mJ/cm
2の光量で照射した後に測定した粘着層の粘着力である。
【請求項2】
前記高分子基材フィルムは、300nm以上の波長の透過率が50%以上である、請求項1に記載の臨時固定用粘着シート。
【請求項3】
前記高分子基材フィルムは、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリフェニレンスルフィド、およびポリアミドからなる群より選択される1種以上の高分子化合物を含む、請求項1または2に記載の臨時固定用粘着シート。
【請求項4】
前記光開始剤と前記三級アミン化合物は、1:1~20の重量比で混合される、請求項1~
3のいずれか一項に記載の臨時固定用粘着シート。
【請求項5】
半導体工程の保護フィルムまたはキャリアフィルムに使用される、請求項1~
4のいずれか一項に記載の臨時固定用粘着シート。
【請求項6】
前記基材フィルムが形成されていない粘着層の一面に離型フィルムをさらに含む、請求項1~
5のいずれか一項に記載の臨時固定用粘着シート。
【請求項7】
前記粘着層は、2つの層から形成され、
前記基材フィルムの両面に粘着層がそれぞれ形成され、
前記粘着層の基材フィルムが形成されていない面に離型フィルムをそれぞれさらに含む、請求項1~
5のいずれか一項に記載の臨時固定用粘着シート。
【請求項8】
請求項1~
5のいずれか一項に記載の臨時固定用粘着シートの粘着層を半導体装置の所定部分に貼り付ける段階;
前記粘着シートが貼り付けられた半導体装置に対して、所定の工程を経る段階;
前記所定の工程を経た後、前記臨時固定用粘着シートの基材フィルムに対して紫外線を照射する段階;および
前記臨時固定用粘着シートを半導体装置から脱着する段階;を含む、半導体装置の製造方法。
【請求項9】
前記半導体装置に対する所定の工程は、60℃~300℃の温度条件下で行われる、請求項
8に記載の半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願との相互参照
本出願は、2018年3月28日付の韓国特許出願第10-2018-0035996号および2019年3月26日付の韓国特許出願第10-2019-0034621号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示されたすべての内容は本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明は、臨時固定用粘着シートおよびこれを用いた半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
最近、電子機器の小型化、薄型化、大容量化の傾向が拡大し、これに伴う半導体パッケージの高密度化、高集積化に対する必要性が急激に高まっている。これを反映して、半導体チップの大きさがますます大きくなり、同時にチップの厚さは薄くなっている。
【0004】
薄型の半導体チップは、製造工程中のハンドリングが難しい問題があり、よって、粘着シートなどを用いて臨時的に薄型の半導体チップを固定し、臨時固定された状態でこれを加工、処理および移送する工程を進行させる方法が適用されている。
【0005】
しかし、半導体の製造工程中、複数の工程が高温の条件下で行われるため、工程中に粘着力低下の問題が発生しないように粘着シートの高い耐熱性が要求されている。また、一連の工程が完了した後、固定された薄型の半導体チップを分離する工程において、半導体チップに損傷を与えず、表面に残渣物などが残らないように十分な剥離性も要求されている。
【0006】
最近、臨時粘着素材として、紫外線照射によって粘着力が低下する紫外線硬化型粘着剤が使用されている。しかし、従来の粘着剤の場合、粘着剤内の光開始剤などの添加剤が高温の工程で熱分解したり、添加剤の移動現象により、剥離段階での粘着力の低下が不十分である問題があった。
【0007】
そこで、臨時固定用に使用されるために、粘着力、耐熱性および剥離性をすべて優れた水準に満足させるための粘着シートの開発が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、耐熱性に優れ、半導体の製造工程中、高温の工程を経ても十分な粘着力を実現し、剥離段階で光硬化による十分な粘着力の低下を示すことができる臨時固定用粘着シートを提供する。
【0009】
また、本発明は、前記臨時固定用粘着シートを用いた半導体の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、ガラス転移温度(Tg)60℃以上の高分子基材フィルム;および光反応性官能基を有するバインダー樹脂、300nm以上の波長で活性を有する光開始剤、および三級アミン化合物を含む粘着層を少なくとも1つ含み、
【0011】
前記粘着層を150℃~200℃の温度で熱処理して測定した初期粘着力(A1)に対する、前記熱処理された粘着層に光照射し測定した粘着力(A2)間の比率が50%以下である、臨時固定用粘着シートが提供される。
【0012】
また、本発明によれば、前記臨時固定用粘着シートの粘着層を半導体装置の所定部分に貼り付ける段階;前記粘着シートが貼り付けられた半導体装置に対して、所定の工程を経る段階;前記所定の工程を経た後、前記臨時固定用粘着シートの基材フィルムに対して紫外線を照射する段階;および前記臨時固定用粘着シートを半導体装置から脱着する段階;を含む、半導体装置の製造方法が提供される。
【0013】
以下、発明の実施形態による臨時固定用粘着シートおよびこれを用いた半導体装置の製造方法について詳しく説明する。
【0014】
本明細書において、明示的な言及がない限り、専門用語は単に特定の実施例を言及するためのものであり、本発明を限定することを意図しない。
【0015】
本明細書で使用される単数形態は、文章がこれと明確に反対の意味を示さない限り、複数形態も含む。
【0016】
本明細書で使用される「含む」の意味は、特定の特性、領域、整数、段階、動作、要素および/または成分を具体化し、他の特定の特性、領域、整数、段階、動作、要素、成分および/または群の存在や付加を除外させるものではない。
【0017】
そして、本明細書において、「第1」および「第2」のような序数を含む用語は、1つの構成要素を他の構成要素から区別する目的で使用され、前記序数によって限定されない。例えば、本発明の権利範囲内における第1構成要素は第2構成要素とも名付けられ、同様に、第2構成要素は第1構成要素と名付けられてもよい。
【0018】
本発明者らの継続した研究の結果、半導体の製造工程に用いられる臨時固定用粘着シートにおいて、紫外線透過性のある耐熱性高分子で基材フィルムを形成し、前記基材フィルムの透過波長領域での光重合が開始可能な特定成分で粘着層を形成することによって、半導体の製造工程中に優れた粘着力を実現し、高温の工程を経ても剥離段階で光硬化による十分な粘着力低下の効果を示すことを確認した。これにより、半導体の製造工程効率が向上し、製造された半導体の品質が非常に優れていることを確認した。
【0019】
I.臨時固定用粘着シート
本発明の一実施形態によれば、基材フィルムと、粘着層とを含み、前記粘着層を150℃~200℃の温度で熱処理して測定した初期粘着力(A1)に対する、前記熱処理された粘着層に光照射し測定した粘着力(A2)間の比率が50%以下である、臨時固定用粘着シートが提供される。
【0020】
好ましくは、前記粘着層を150℃~200℃の温度で熱処理して測定した初期粘着力(A1)に対する、前記熱処理された粘着層に光照射し測定した粘着力(A2)間の比率(R)は、下記の一般式1で定義される:
[一般式1]
R(%)=A2’*100/A1’
前記一般式1において、A1’は、180℃で2時間熱処理した後における前記粘着層の粘着力であり、
A2’は、前記熱処理された粘着層に200nm~500nm領域の複合波長の紫外線を100mJ/cm2~1000mJ/cm2の光量で照射した後に測定した粘着層の粘着力である。
【0021】
前記粘着層の粘着力比率(R)は、半導体の製造工程中、高温の条件を経ても優れた粘着力を実現し、光硬化による剥離段階で十分な粘着力低下の効果を示す指標であり、本願発明による臨時固定用粘着シートは、前記粘着力比率(R)が50%以下を満足することによって、半導体の製造工程に適用され、工程効率を顕著に向上させ、高品質の半導体を製造できるようにする。前記粘着力比率(R)は、粘着層の素材や粘着層の工程条件などを調節して導出することができる。
【0022】
本発明において、前記粘着力比率(R)が50%を超える場合、光硬化による十分な剥離力効果を実現することができず、この場合、対象半導体の表面に粘着残留物が存在したり、半導体の損傷を誘発するなどの問題が発生しうる。好ましくは、前記変化率は40%以下、さらに好ましくは、30%以下、20%以下、または10%以下であってもよい。
【0023】
基材フィルム
本発明の実施形態による基材フィルムは、ガラス転移温度が60℃以上の高分子基材フィルムである。前記ガラス転移温度が60℃以上を満足することによって、十分な耐熱性を示し、これにより、高温工程中にシワおよび変形などの問題が発生せず、半導体工程が容易に行われるようにする。
【0024】
本発明において、前記基材フィルムのガラス転移温度が60℃未満の場合、半導体の製造工程中に発生する高温の条件下で劣化および変形などの問題によって工程に影響を及ぼすことがある。これにより、半導体工程上の不良が発生しうる。前記基材フィルムのガラス転移温度は、好ましくは70℃以上または90℃以上であってもよい。この場合、前述した効果をさらに向上させることができる。
【0025】
本発明において、前記高分子基材フィルムとしては、例えば、ポリイミド(polyimide)、ポリアミドイミド(polyamideimide)、ポリエーテルエーテルケトン(polyetheretherketone)、ポリエチレンテレフタレート(polyethyleneterephthalate)、およびポリエチレンナフタレート(polyethylenenaphthalate)、ポリフェニレンスルフィド(Polyphenylene sulfide)、ポリアミド(Polyamide)からなる群より選択される1種以上の高分子化合物を含むことができる。好ましくは、ポリエチレンテレフタレート(polyethyleneterephthalate)、ポリエチレンナフタレート(polyethylenenaphthalate)、およびポリアミドイミド(polyamideimide)を含むことができる。
【0026】
本発明において、基材フィルムが2種以上の高分子の混合物を含む場合、前述した高分子をそれぞれ含むフィルムが2層以上積層された構造のフィルム、または単一層のフィルムが前述した2以上の高分子をすべて含むものである。
【0027】
また、前記基材フィルムは、前述した耐熱性高分子成分を含み、同時に300nm以上の波長で透過率が50%以上を満足することによって、後述する粘着層内の光開始剤が容易に光重合反応を開始できるようにする。
【0028】
前記基材フィルムが、300nm以上の波長で透過率が50%未満の場合、粘着層の光開始剤の光吸収が十分でなくて、粘着シートを分離する段階で粘着力の低下が十分でないことがある。
【0029】
前記基材フィルムの厚さは特に限定されず、通常、5~500μmの厚さに形成され、好ましくは、10~300μmの厚さまたは150~100μmの厚さに形成される。この場合、半導体の高温工程で支持可能であり、粘着シートの剥離段階で損傷なく剥離可能である。
【0030】
前記基材フィルムは、本発明が目的の効果に影響を及ぼさない範囲内で性能を向上させるためのさらなる処理を経たものであってもよい。例えば、基材フィルムの表面にマット処理、コロナ放電処理、プライマー処理、または架橋処理などの慣用的な物理的または化学的処理を加えることができる。
【0031】
粘着層
本発明の一実施形態による粘着層は、前記基材フィルムの一面に形成され、前述した粘着力比率(R)を満足する特定素材で形成される。本発明において、前記粘着層は、熱によって優れた粘着力を実現し、紫外線照射によって優れた粘着力低下の効果を実現する素材で形成され、特に、光反応性官能基を有するバインダー樹脂と特定の光開始剤とアミン化合物とを組み合わせて用いることによって、基材フィルムから相対的に低い透過率で波長が透過しても、優れた光開始効率および高温工程後にも優れた粘着力低下の効果を実現できるようにする。
【0032】
本発明において、前記粘着層は、光反応性官能基を有するバインダー樹脂、300nm以上の波長で活性を有する光開始剤、および三級アミン化合物を含む粘着層を含むことによって、前記成分の組み合わせで高温の条件下でも半導体の製造工程中に十分な粘着力を実現し、剥離段階で光硬化による粘着力の低下が容易である。
【0033】
本発明において、前記粘着層は、前述した成分を含む粘着層形成用組成物を用いて形成される。
【0034】
本発明において、前記光反応性官能基を有するバインダー樹脂は、互いに異なる2種のアクリル系繰り返し単位を含み、これらの特定グラフト共重合構造により、高温の工程でも優れた粘着安定性を実現することができる。
【0035】
本発明において、前記第1(メタ)アクリレート繰り返し単位のベンゾイルフェニル基は、紫外線照射によってラジカルを発生させて硬化反応を開始し、高温工程後にも安定した粘着力低下の効果を実現できるようにする。前記ベンゾイルフェニル基は、下記の化学式1で表される官能基を意味することができる。
【0036】
【0037】
前記ベンゾイルフェニル基は、第1(メタ)アクリルアクリレート系繰り返し単位に1以上置換されていてもよい。
【0038】
前記第1(メタ)アクリレート系繰り返し単位は、前記ベンゾイルフェニル基を有する化合物と(メタ)アクリレート系化合物との付加反応で得られた単量体に由来してもよい。具体的には、ベンゾイルフェニルメチル(メタ)アクリレート、ベンゾイルフェニルエチル(メタ)アクリレート、ベンゾイルフェニルn-プロピル(メタ)アクリレート、ベンゾイルフェニルイソプロピル(メタ)アクリレート、ベンゾイルフェニルn-ブチル(メタ)アクリレート、ベンゾイルフェニルt-ブチル(メタ)アクリレート、ベンゾイルフェニルsec-ブチル(メタ)アクリレート、ベンゾイルフェニルペンチル(メタ)アクリレート、ベンゾイルフェニル2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ベンゾイルフェニル2-エチルブチル(メタ)アクリレート、ベンゾイルフェニルn-オクチル(メタ)アクリレート、ベンゾイルフェニルイソオクチル(メタ)アクリレート、ベンゾイルフェニルイソノニル(メタ)アクリレートなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらは、単独でまたは2種以上混合されて使用できる。
【0039】
本発明において、前記第2(メタ)アクリレート繰り返し単位は、ヒドロキシ基、カルボキシ基、および窒素含有官能基などの構造によって架橋構造を実現することができ、これにより、3次元架橋構造により粘着剤の凝集力を向上させて、半導体工程中に十分な粘着力を示すことができる。
【0040】
前記ヒドロキシ基、カルボキシ基、および窒素含有官能基は、第2(メタ)アクリルアクリレート系繰り返し単位に1以上置換されていてもよい。
【0041】
前記第2(メタ)アクリレート系繰り返し単位は、ヒドロキシ基を含む(メタ)アクリレート系単量体に由来してもよいし、このような単量体としては、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6-ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8-ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピレングリコール(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらは、単独でまたは2種以上混合されて使用できる。
【0042】
前記第2(メタ)アクリレート系繰り返し単位は、カルボキシ基を含む(メタ)アクリレート系単量体に由来してもよいし、このような単量体としては、(メタ)アクリル酸(acrylic acid)、クロトン酸(crotonic acid)、マレイン酸(maleic acid)、フマル酸(fumaric acid)などが挙げられる。これらは、単独でまたは2種以上混合されて使用できる。
【0043】
前記第2(メタ)アクリレート系繰り返し単位は、窒素含有官能基を含む(メタ)アクリレート系単量体に由来してもよいし、このような単量体としては、(メタ)アクリロニトリル、N-ビニルピロリドン、またはN-ビニルカプロラクタムなどが挙げられる。これらは、単独でまたは2種以上混合されて使用できる。
【0044】
本発明による、第2(メタ)アクリレート系繰り返し単位の20~95モル%は、光重合性(メタ)アクリレート系側鎖を含むことができる。前記光重合性(メタ)アクリレート系側鎖は、第2(メタ)アクリレート系繰り返し単位のヒドロキシ基、カルボキシ基、および窒素含有官能基と結合可能な光重合性化合物に由来してもよいし、具体的には、前記第2(メタ)アクリレート系繰り返し単位のヒドロキシ基、カルボキシ基、および窒素含有官能基とイソシアネート基またはエポキシ基を有する化合物との反応に由来してもよい。
【0045】
前記光重合性化合物の具体例としては、ヒドロキシ基と反応できる化合物で、(メタ)アクリロイルオキシイソシアネート、(メタ)アクリロイルオキシメチルイソシアネート、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、3-(メタ)アクリロイルオキシプロピルイソシアネート、4-(メタ)アクリロイルオキシブチルイソシアネート、m-プロペニル-α,α-ジメチルベンジルイソシアネート、メタクリロイルイソシアネート、またはアリルイソシアネート;ジイソシアネート化合物またはポリイソシアネート化合物を(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチルと反応させて得られるアクリロイルモノイソシアネート化合物;ジイソシアネート化合物またはポリイソシアネート化合物、ポリオール化合物、および(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチルを反応させて得られるアクリロイルモノイソシアネート化合物;などが挙げられる。また、カルボキシル基と反応できる化合物としては、グリシジル(メタ)アクリレートまたはアリルグリシジルエーテルなどの1種または2種以上が挙げられるが、これに制限されるわけではない。
【0046】
前記光重合性(メタ)アクリレート系側鎖が前記第2(メタ)アクリレート繰り返し単位の20モル%未満で置換される場合、紫外線照射による剥離力の低下が十分でない恐れがあり、95モル%超過で置換される場合、紫外線照射前の粘着剤の凝集力が低下する恐れがある。
【0047】
本発明において、前記光反応性官能基を有するバインダー樹脂は、前述した第1(メタ)アクリレート系繰り返し単位および第2(メタ)アクリレート系繰り返し単位のほか、追加の(メタ)アクリレート系繰り返し単位をさらに含んでもよい。
【0048】
例えば、前述した特定の官能基を含まない繰り返し単位として、脂肪族(メタ)アクリレートに、脂環族(メタ)アクリレートに、芳香族(メタ)アクリレートなどに由来する繰り返し単位であってもよい。
【0049】
脂肪族(メタ)アクリレートとしては、炭素数1~20のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートが挙げられ、具体的には、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、sec-ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルブチル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0050】
脂環族(メタ)アクリレートとしては、炭素数3~30のシクロアルキル基を有するシクロアルキル(メタ)アクリレートなどが挙げられ、具体的には、イソボルニルアクリレート(IBOA)、トリメチルシクロヘキシルアクリレート、シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルメタクリレート、ジシクロペンテニルオキシメタクリレートなどが挙げられる。
【0051】
芳香族(メタ)アクリレートとしては、炭素数6~30の芳香族基を有するアルキル(メタ)アクリレートなどが挙げられ、具体的には、フェニルヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、o-フェニルフェノールEO(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェニルフェノキシプロピル(メタ)アクリレート、フェノールEO(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0052】
本発明において、前記光反応性官能基を有するバインダー樹脂は、重量平均分子量が100,000g/mol~3,000,000g/molであってもよく、好ましくは400,000g/mol~2,000,000g/molであってもよい。前記範囲の重量平均分子量を有する場合、適正コーティング性と凝集力を示して、剥離段階で被着剤に残留物が残るなどの問題が発生せず好ましい。
【0053】
本発明において、光開始剤は、300nm以上の波長で活性を有する成分で、前述した基材フィルムから透過した波長で光重合を開始して粘着層の粘着力を容易に低下させる成分であり、後述するアミン化合物との組み合わせで使用されることによって、光硬化による粘着力低下の効果を顕著に向上させることができる。前記光開始剤は、好ましくは、300nm~420nm以上の波長で活性を有する成分であってもよい。
【0054】
前記光開始剤は、例えば、チオキサントン、2-クロロチオキサントン、2-メチルチオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4-ジクロロチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2,4-ジイソプロピルチオキサントン、ドデシルチオキサントン、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキシド、2-メチル-1[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノプロパン-1-オン、オキシ-フェニル-アセチックアシッド2-[2-オキソ-2-フェニル-アセトキシ-エトキシ]-エチルエステル、およびオキシ-フェニル-アセチックアシッド2-[2-ヒドロキシ-エトキシ]-エチルエステルの混合物、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-ブタン-1-オン、および2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-ホスフィンオキシドなどが挙げられる。好ましくは、イソプロピルチオキサントン、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキシドを使用することができる。これらは、単独でまたは2種以上が混合されて使用できる。前記成分で形成される場合、基材フィルムを通して透過する紫外線による活性に優れ、後述する三級アミン化合物とのシナジー効果により光硬化段階で十分な粘着力の低下を実現することができる。
【0055】
本発明において、前記光開始剤は、前記光反応性官能基を有するバインダー樹脂100重量部を基準として、0.1~40重量部、好ましくは1~20重量部で含まれ、前記含有量範囲で含まれる場合、効果的な硬化反応を誘導し、硬化後の残存成分による物性の低下などを防止することができる。
【0056】
本発明において、三級アミン化合物は、前述した光開始剤と組み合わせて使用されることによって、シナジー効果により高温工程後にも硬化反応の上昇を実現する。具体的には、前記三級アミン化合物の場合、水素供与剤の役割を果たして、ラジカルの生成による光開始剤とのシナジー効果を実現することができる。
【0057】
前記アミン化合物は、例えば、エチル-p-ジメチルアミノベンゾエート、メチル-p-ジメチルアミノベンゾエート、2-エチルヘキシル-p-ジメチルアミノベンゾエート、オクチル-p-ジメチルアミノベンゾエート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、N,N-ジヒドロキシエチル-p-トルイジンなどが挙げられ、好ましくは、エチル-p-ジメチルアミノベンゾエート、2-エチルヘキシル-p-ジメチルアミノベンゾエートを使用することができる。これらは、単独でまたは2種以上が混合されて使用できる。
【0058】
本発明において、前記アミン化合物は、前記光反応性官能基を有するバインダー樹脂100重量部を基準として、0.5~40重量部、好ましくは1~20重量部で含まれ、前記含有量範囲で含まれる場合、光開始剤との組み合わせによるシナジー効果を実現するのに適合する。前記アミン化合物が0.5重量部未満の場合、光開始剤の十分な反応性を与えるのに不十分であり、40重量部を超える場合、紫外線硬化反応後に残存していて粘着物性に影響を与えることがある。
【0059】
本発明において、前記光開始剤と前記アミン化合物は、1:1~20の重量比で混合され、好ましくは1:2~15の重量比で混合される。前記範囲で混合される場合、組み合わせによるシナジー効果を極大化することができる。
【0060】
本発明において、前記粘着層は、多官能性架橋剤をさらに含んでもよい。
【0061】
本発明において、多官能性単量体は、粘着層に凝集力を付与する成分であって、例えば、イソシアネート系化合物、アジリジン系化合物、エポキシ系化合物、および金属キレート系化合物からなる群より選択された1種以上の化合物を含むことができる。前記イソシアネート系化合物、アジリジン系化合物、エポキシ系化合物、および金属キレート系化合物など当分野で通常使用される化合物であれば、特別な制限なく使用可能である。
【0062】
本発明において、前記架橋剤は、前記光反応性官能基を有するバインダー樹脂100重量部対比0.1~40重量部で含まれ、好ましくは1~10重量部で含まれる。前記架橋剤が0.1重量部未満の場合、粘着層の凝集力が不十分であり、前記架橋剤が40重量部超過の場合、粘着層が光硬化前に粘着力が十分に確保できず剥離現象などが発生しうる。
【0063】
前記のような成分を含む粘着層を基材フィルム上に形成する方法は特に限定されず、例えば、基材フィルム上に直接本発明の粘着層形成用組成物を塗布して粘着層を形成する方法、または剥離性基材上にまず粘着層形成用組成物を塗布して粘着層を製造し、前記剥離性基材を用いて粘着層を基材フィルム上に転写する方法などを使用することができる。
【0064】
この時、粘着層形成用組成物を塗布および乾燥する方法は特に限定されず、例えば、前記それぞれの成分を含む組成物をそのまま、または適当な有機溶剤に希釈して、コンマコーター、グラビアコーター、ダイコーター、またはリバースコーターなどの公知の手段で塗布した後、60℃~200℃の温度で10秒~30分間溶剤を乾燥させる方法を使用することができる。また、前記過程では、粘着剤の十分な架橋反応を進行させるためのエージング(aging)工程を追加的に行ってもよい。
【0065】
前記粘着層の厚さは特に限定されず、通常、5~100μmの厚さに形成され、前記厚さ範囲に形成される場合、半導体の高温工程で支持可能であり、粘着シートの剥離段階で損傷なく剥離可能である。
【0066】
本発明において、前記粘着層上に形成された離型フィルムを追加的に含んでもよい。使用可能な離型フィルムの例としては、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリテトラフルオロエチレンフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリブテンフィルム、ポリブタジエンフィルム、塩化ビニル共重合体フィルム、またはポリイミドフィルムなどの1種または2種以上のプラスチックフィルムが挙げられる。
【0067】
前記のような離型フィルムの表面は、アルキド系、シリコーン系、フッ素系、不飽和エステル系、ポリオレフィン系、またはワックス系などの1種または2種以上で離型処理されていてもよいし、このうち、特に耐熱性を有するアルキド系、シリコーン系、またはフッ素系などの離型剤が好ましい。
【0068】
前記離型フィルムは、通常、10μm~500μm、好ましくは20μm~200μm程度の厚さに形成されるが、これに制限されるわけではない。
【0069】
本発明による、臨時固定用粘着シートは、半導体工程の保護およびキャリアフィルムに使用できる。
【0070】
また、本発明による臨時固定用粘着シートは、粘着層を1つ以上含むことができ、これにより、基材フィルムに対して一面または両面に形成される。
【0071】
さらに、前記臨時固定用粘着シートを製造する方法は特に限定されず、例えば、基材フィルム上に粘着層および離型フィルム(必要に応じて)を順次に形成する方法、または基材フィルムに粘着層が形成された離型フィルムを別途に製造した後、これをラミネーションさせる方法などが使用できる。
【0072】
前記ラミネーション方法は特に限定されず、ホットロールラミネートまたは積層プレス法を使用することができ、このうち、連続工程の可能性および効率性の側面からホットロールラミネート法が好ましい。ホットロールラミネート法は、10℃~100℃の温度で0.1Kgf/cm2~10Kgf/cm2の圧力で行われるが、これに制限されるわけではない。
【0073】
図1および
図2は、本発明の一実施形態による臨時固定用粘着シート10の断面図を示すものである。
【0074】
図1(a)を参照すれば、本発明の一実施形態による臨時固定用粘着シート10は、基材フィルム100と、粘着層200とが積層された構造であってもよい。
【0075】
前記粘着シート10が半導体の製造工程に適用される場合、前記粘着層200の基材フィルム100が形成されていない面200(a)が半導体装置の所定部分に貼り付けられる。
【0076】
図1(b)を参照すれば、本発明の一実施形態による臨時固定用粘着シート10は、基材フィルム100、粘着層200、および離型フィルム300が順次に積層された構造であってもよい。
【0077】
前記粘着シート10が半導体の製造工程に適用される場合、前記粘着層200から離型フィルム300を剥離した後、離型フィルム300が剥離された粘着層200の一面が半導体装置の所定部分に貼り付けられる。
【0078】
図2(a)を参照すれば、本発明の一実施形態による臨時固定用粘着シート10は、基材フィルム100の両面に2つの粘着層210、220がそれぞれ形成された構造であってもよい。
【0079】
この場合、第1粘着層210、基材フィルム100、第2粘着層220が順次に積層された構造であってもよい。
【0080】
前記粘着シート10が半導体の製造工程に適用される場合、粘着層のいずれか1つの基材フィルム100が形成されていない面が半導体装置の所定部分に貼り付けられる。例えば、前記第2粘着層220の基材フィルム100が形成されていない面220(a)が半導体装置の所定部分に貼り付けられる。
【0081】
図2(b)を参照すれば、本発明の一実施形態による臨時固定用粘着シート10は、第1離型フィルム310、第1粘着層210、基材フィルム100、第2粘着層220、および第2離型フィルム320が順次に積層された構造であってもよい。
【0082】
前記粘着剤シート10が半導体の製造工程に適用される場合、前記第2粘着層210、220から離型フィルム310、320を剥離した後、離型フィルム310、320が剥離された粘着層210、220の一面が半導体装置の所定部分に貼り付けられる。
【0083】
この後、前記粘着シート10の剥離段階において、第1粘着層210側に紫外線を照射して下部の基材フィルム100を通過して、第2粘着層220を光硬化させることができる。これにより、粘着層200の粘着力が低下して、半導体装置から臨時固定用粘着シート10が容易に剥離できる。
【0084】
II.半導体装置の製造方法
本発明の他の実施形態によれば、上述した臨時固定用粘着シートを用いた半導体装置の製造方法が提供される。
【0085】
通常、半導体装置の製造中には高温の条件下で行われる工程が含まれ、この場合、基材フィルムや粘着層が熱分解したり、粘着層内に含まれる添加剤などが脱離する問題があった。この場合、半導体の製造工程中に十分な粘着力を実現できなかったり、粘着シートの光硬化による剥離段階で十分な粘着力の低下を実現できなかった。
【0086】
本発明による臨時固定用粘着シートは、紫外線透過性のある耐熱性高分子で基材フィルムを形成し、前記基材フィルムの透過波長領域での光重合が開始および反応性を向上させる特定成分で粘着層を形成することによって、前述した問題点をすべて改善した。これにより、半導体の製造工程効率が向上し、製造された半導体の品質が非常に優れていることを確認した。
【0087】
本発明の一実施形態による半導体装置の製造方法は、前述した臨時固定用粘着シートの粘着層を半導体装置の所定部分に貼り付ける段階;前記粘着シートが貼り付けられた半導体装置に対して、所定の工程を経る段階;前記所定の工程を経た後、前記臨時固定用粘着シートの基材フィルムに対して紫外線を照射する段階;および前記臨時固定用粘着シートを半導体装置から脱着する段階;を含む。
【0088】
本発明において、前記臨時固定用粘着シートに関する内容は、上述した内容をすべて含み、前記半導体装置の製造方法は、後述する細部の工程条件を除き、通常知られた製造方法などが格別の制限なく適用可能である。
【0089】
本発明の一実施形態による半導体装置の製造方法において、前記半導体装置に対する所定の工程は、60~300℃の温度条件下で行われ、このような高温の工程を経ても、半導体の製造工程中に十分な粘着力を実現し、粘着シートの光硬化による剥離段階で十分な粘着力の低下を実現することができる。
【0090】
本発明の一実施形態による半導体装置の製造方法において、前記紫外線照射段階は、粘着層の光硬化を開始する段階であり、これにより、粘着層の粘着力の低下で半導体装置から粘着シートを容易に剥離できるようにする。
【0091】
本発明の一実施形態による半導体装置の製造方法において、前記臨時固定用粘着シートが離型フィルムをさらに含む場合、前記粘着シートの粘着層を半導体装置の所定部分に貼り付ける前、粘着層から離型フィルムを剥離する段階をさらに含んでもよい。
【0092】
前述した方法により半導体装置の製造工程効率が向上し、製造された半導体の品質が非常に優れていることを確認した。
【発明の効果】
【0093】
本発明による臨時固定用粘着シートは、半導体の製造工程中に適正な粘着力を有し、光硬化によって容易に粘着力が低下して工程が完了した後の剥離が容易である。
【0094】
また、本発明による臨時固定用粘着シートは、耐熱性に優れ、半導体の製造工程に適用され、高温の工程を経ても、粘着シートの剥離段階で光硬化による十分な粘着力の低下を示すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【
図1】本発明の一実施形態による、臨時固定用粘着シート10の断面構造を概略的に示すものである。
【
図2】本発明の一実施形態による、臨時固定用粘着シート10の断面構造を概略的に示すものである。
【発明を実施するための形態】
【0096】
以下、発明の理解のために好ましい実施例を提示する。しかし、下記の実施例は発明を例示するためのものに過ぎず、発明をこれらに限定するものではない。
【実施例】
【0097】
製造例:粘着層形成用組成物の製造
製造例1
窒素ガスが還流し温度調節が容易となるように冷却装置を設けた反応器に、2-エチルヘキシルアクリレート(2-EHA)75g、4-ベンゾイルフェニルメタクリレート5gとヒドロキシエチルアクリレート(HEA)20gから構成される単量体の混合物を投入した。次に、前記単量体混合物100gを基準として、鎖移動剤(CTA:chain transfer agent)のn-DDM400pmと溶剤としてエチルアセテート(EAc)100gを投入し、前記反応器内に酸素を除去するために窒素を注入しながら、30℃で30分以上十分に混合した。この後、温度は62℃に上昇維持し、反応開始剤のV-60(アゾビスイソブチロニトリル、Azobisisobutylonitrile)300ppmの濃度を投入し、反応を開始させた後、6時間重合して、1次反応物を製造した。
【0098】
前記1次反応物に、2-メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(MOI)24g(1次反応物中のHEAに対して90モル%)および触媒(DBTDL:ジブチル錫ジラウレート、dibutyl tin dilaurate)を0.24g配合し、40℃で24時間反応させて、1次反応物中の重合体側鎖に紫外線硬化基を導入して、(メタ)アクリレート系バインダー樹脂(a-1)を製造した。
【0099】
前記(メタ)アクリレート系バインダー樹脂(a-1)100gに、TDI系イソシアネート硬化剤4g、光開始剤としてイソプロピルチオキサントン3g、アミン系化合物としてエチル-p-ジメチルアミノベンゾエート7gを混合して、粘着層形成用組成物(A-1)を製造した。
【0100】
製造例2
窒素ガスが還流し温度調節が容易となるように冷却装置を設けた反応器に、エチルアクリレート20g、2-エチルヘキシルアクリレート(2-EHA)63g、4-ベンゾイルフェニルアクリレート2gとヒドロキシエチルアクリレート(HEA)15gから構成される単量体の混合物を投入した。次に、前記単量体混合物100gを基準として、鎖移動剤(CTA:chain transfer agent)のn-DDM(n-ドデシルメルカプタン、n-dodecyl mercaptan)400pmと溶剤としてエチルアセテート(EAc)100gを投入し、前記反応器内に酸素を除去するために窒素を注入しながら、30℃で30分以上十分に混合した。この後、温度は62℃に上昇維持し、反応開始剤のV-60(アゾビスイソブチロニトリル、Azobisisobutylonitrile)300ppmの濃度を投入し、反応を開始させた後、6時間重合して、1次反応物を製造した。
【0101】
前記1次反応物に、2-メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(MOI)15g(1次反応物中のHEAに対して76モル%)および触媒(DBTDL:ジブチル錫ジラウレート、dibutyl tin dilaurate)0.15gを配合し、40℃で24時間反応させて、1次反応物中の重合体側鎖に紫外線硬化基を導入して、(メタ)アクリレート系バインダー樹脂(a-2)を製造した。
【0102】
前記(メタ)アクリレート系バインダー樹脂(a-2)100gに、TDI系イソシアネート硬化剤8g、光開始剤としてイソプロピルチオキサントン3g、アミン系化合物エチル-p-ジメチルアミノベンゾエート10gを混合して、粘着層形成用組成物(A-2)を製造した。
【0103】
製造例3
前記製造例1の(メタ)アクリレート系バインダー樹脂(a-1)100gに、TDI系イソシアネート硬化剤4g、光開始剤としてビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキシド3g、アミン系化合物としてエチル-p-ジメチルアミノベンゾエート7gを混合して、粘着層形成用組成物(A-3)を製造した。
【0104】
製造例4
前記製造例1の(メタ)アクリレート系バインダー樹脂(a-1)100gに、TDI系イソシアネート硬化剤2g、光開始剤としてイソプロピルチオキサントン2g、アミン系化合物として2-エチルヘキシル-p-ジメチルアミノベンゾエート5gを混合して、粘着層形成用組成物(A-4)を製造した。
【0105】
比較製造例1
窒素ガスが還流し温度調節が容易となるように冷却装置を設けた反応器に、2-エチルヘキシルアクリレート(2-EHA)80g、ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)20gから構成される単量体の混合物を投入した。次に、前記単量体混合物100gを基準として、鎖移動剤(CTA:chain transfer agent)のn-DDM400pmと溶剤としてエチルアセテート(EAc)100gを投入し、前記反応器内に酸素を除去するために窒素を注入しながら、30℃で30分以上十分に混合した。この後、温度は62℃に上昇維持し、反応開始剤のV-60(アゾビスイソブチロニトリル、Azobisisobutylonitrile)300ppmの濃度を投入し、反応を開始させた後、6時間重合して、1次反応物を製造した。
【0106】
前記1次反応物に、2-メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(MOI)24g(1次反応物中のHEAに対して90モル%)および触媒(DBTDL:ジブチル錫ジラウレート、dibutyl tin dilaurate)0.24gを配合し、40℃で24時間反応させて、1次反応物中の重合体側鎖に紫外線硬化基を導入して、(メタ)アクリレート系バインダー樹脂(b-1)を製造した。
【0107】
前記(メタ)アクリレート系バインダー樹脂(b-1)100gに、TDI系イソシアネート硬化剤4g、光開始剤としてイソプロピルチオキサントン3g、アミン系化合物としてエチル-p-ジメチルアミノベンゾエート7gを混合して、粘着層形成用組成物(B-1)を製造した。
【0108】
比較製造例2
前記製造例1の(メタ)アクリレート系バインダー樹脂(a-1)100gに、TDI系イソシアネート硬化剤4gを混合して、粘着層形成用組成物(B-2)を製造した。
【0109】
比較製造例3
前記製造例1の(メタ)アクリレート系バインダー樹脂(a-1)100gに、TDI系イソシアネート硬化剤2g、光開始剤としてイソプロピルチオキサントン2gを混合して、粘着層形成用組成物(B-3)を製造した。
【0110】
実施例および比較例
実施例1
前記製造例1の粘着層形成用組成物(A-1)を離型処理されたポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ38μm)上に塗布した後、110℃で3分間乾燥して、約30μmの厚さの粘着層を形成した。形成された粘着剤層を100μmの厚さの基材フィルムポリエチレンナフタレートに貼り合わせた後、エージングを経て臨時固定用粘着シートを得た。
【0111】
実施例2~4および比較例1~4
下記表1の成分および使用量を適用した点を除き、実施例1と同様の方法で臨時固定用粘着シートを製造した。
【0112】
【0113】
実験例:粘着力および剥離力評価
実施例および比較例により製造された臨時固定用粘着シートに対して、下記の方法で粘着力および光硬化による剥離力を評価し、その結果を表2に記載した。
【0114】
実施例および比較例で製造された臨時固定用粘着シートを幅25mmとなるようにカッティングした後、シリコンウエハーに2kgのローラを用いて貼り付けたサンプルA(熱処理前)を用意した。
【0115】
次に、シリコンウエハーに貼り付けられた臨時固定用粘着シートを180℃のオーブンで2時間放置した熱処理したサンプルB(熱処理後)を用意した。
【0116】
前記用意した熱処理していないサンプルAと熱処理を施したサンプルBに対して、それぞれ光量1000mJ/cm2の条件の紫外線(200nm~500nm領域の複合波長を有する水銀ランプを使用)を基材フィルム側から照射したサンプルと照射していないサンプルに対して粘着力評価実験を進行させた。
【0117】
粘着力はStable Micro Systems.社のTexture Analyzerを用いて、300mm/minの速度、180度の角度で粘着力(gf/25mm)を測定し、その結果を下記表2に記載した。
【0118】
また、前記測定した粘着力によって下記式により粘着力比率(R)を測定し、その結果を表2に共に記載した。
【0119】
[一般式1]
R(%)=A2’*100/A1’
前記一般式1において、A1’は、180℃で2時間熱処理した後に測定した粘着層の粘着力であり、A2’は、熱処理後、紫外線を照射した後に測定した粘着層の粘着力である。
【0120】
【0121】
前記表2の熱処理後のサンプルBに関するデータから確認できるように、本発明により製造された臨時工程用粘着シートは、高温の熱工程後にも粘着力変化率が50%未満と粘着力の低下が大きく、粘着剤残留物なしに除去可能であることが確認された。これと比較して、比較例1~比較例3は、熱工程後の粘着力変化率が50%以上と粘着力が高くて、粘着剤残留物が発生することを確認した。比較例4は、基材フィルムの耐熱性不足により、熱工程後にシワ、剥離などの外観が激しく変化して粘着力の測定が不可であることが確認された。
【符号の説明】
【0122】
10:臨時固定用粘着シート
100:基材フィルム
200:粘着層
300:離型フィルム