IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アプライド マテリアルズ インコーポレイテッドの特許一覧

特許7043539断続的な空気-水暴露による自己組織化単分子膜のブロッキングの改良
<>
  • 特許-断続的な空気-水暴露による自己組織化単分子膜のブロッキングの改良 図1
  • 特許-断続的な空気-水暴露による自己組織化単分子膜のブロッキングの改良 図2A
  • 特許-断続的な空気-水暴露による自己組織化単分子膜のブロッキングの改良 図2B
  • 特許-断続的な空気-水暴露による自己組織化単分子膜のブロッキングの改良 図2C
  • 特許-断続的な空気-水暴露による自己組織化単分子膜のブロッキングの改良 図2D
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-18
(45)【発行日】2022-03-29
(54)【発明の名称】断続的な空気-水暴露による自己組織化単分子膜のブロッキングの改良
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/02 20060101AFI20220322BHJP
   H01L 21/31 20060101ALI20220322BHJP
   H01L 21/314 20060101ALI20220322BHJP
   C23C 16/04 20060101ALI20220322BHJP
【FI】
H01L21/02 Z
H01L21/31 B
H01L21/31 C
H01L21/314
C23C16/04
【請求項の数】 24
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020072029
(22)【出願日】2020-04-14
(62)【分割の表示】P 2018546484の分割
【原出願日】2017-02-28
(65)【公開番号】P2020145436
(43)【公開日】2020-09-10
【審査請求日】2020-05-11
(31)【優先権主張番号】62/303,069
(32)【優先日】2016-03-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】コーフマン-オズボーン, トービン
(72)【発明者】
【氏名】ウォン, キース タットスン
【審査官】堀江 義隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-154315(JP,A)
【文献】特開2008-177283(JP,A)
【文献】特表2007-505220(JP,A)
【文献】特表2010-533966(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/02
H01L 21/31
H01L 21/314
C23C 16/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を処理する方法であって、
第1の時間期間の間、露出した第1の材料および露出した第2の材料を含む基板を、自己組織化単分子膜(SAM)分子と、前記露出した第1の材料の表面および/または前記SAM分子の一部をヒドロキシル化する、ヒドロキシル部分前駆体から形成されたヒドロキシル部分に同時に曝すことを行い、前記露出した第1の材料上にはSAMを堆積させ前記露出した第2の材料上にはSAMを堆積させない選択的堆積を達成することと、
第2の時間期間の間、前記基板を、前記SAM分と前記ヒドロキシル部分に前記同時に曝すことを繰り返し、前記露出した第1の材料上にはSAMを堆積させ前記露出した第2の材料上にはSAMを堆積させない選択的堆積を達成することと、
前記基板を、前記SAM分子と前記ヒドロキシル部分とに前記同時に曝すことを繰り返した後、前記露出した第2の材料上に第3の材料を堆積させ前記SAM上には第3の材料を堆積させない選択的堆を行うことと、
前記第3の材料を堆積させた後、前記露出した第1の材料から前記SAMを除去することと
を含み、
前記ヒドロキシル部分前駆体が、気体状の前駆体である、方法。
【請求項2】
前記ヒドロキシル部分前駆体が、周囲空気、水蒸気、過酸化水素蒸気、および有機アルコール蒸気からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ヒドロキシル部分前駆体が、水気および周囲空気からなる群から選択される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記ヒドロキシル部分前駆体が、水蒸気である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ヒドロキシル部分前駆体が、周囲空気である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記SAM分子が、カルボン酸材料、ホスホン酸材料、チオール材料、シリルアミン材料、クロロシラン材料、オキシシラン材料、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記ホスホン酸材料が、メチルホスホン酸、エチルホスホン酸、プロピルホスホン酸、ブチルホスホン酸、ペンチルホスホン酸、ヘキシルホスホン酸、ヘプチルホスホン酸、オクチルホスホン酸、ノニルホスホン酸、デシルホスホン酸、ウンデシルホスホン酸、ドデシルホスホン酸、トリデシルホスホン酸、テトラデシルホスホン酸、ペンタデシルホスホン酸、ヘキサデシルホスホン酸、ヘプタデシルホスホン酸、オクタデシルホスホン酸、ノナデシルホスホン酸、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記チオール材料が、メタンチオール、エタンチオール、プロパンチオール、ブタンチオール、ペンタンチオール、ヘキサンチオール、ヘプタンチオール、オクタンチオール、ノナンチオール、デカンチオール、ウンデカンチオール、ドデカンチオール、トリデカンチオール、テトラデカンチオール、ペンタデカンチオール、ヘキサデカンチオール、ヘプタデカンチオール、オクタデカンチオール、ノナデカンチオール、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記シリルアミン材料が、トリス(ジメチルアミノ)メチルシラン、トリス(ジメチルアミノ)エチルシラン、トリス(ジメチルアミノ)プロピルシラン、トリス(ジメチルアミノ)ブチルシラン、トリス(ジメチルアミノ)ペンチルシラン、トリス(ジメチルアミノ)ヘキシルシラン、トリス(ジメチルアミノ)ヘプチルシラン、トリス(ジメチルアミノ)オクチルシラン、トリス(ジメチルアミノ)ノニルシラン、トリス(ジメチルアミノ)デシルシラン、トリス(ジメチルアミノ)ウンデシルシラン、トリス(ジメチルアミノ)ドデシルシラン、トリス(ジメチルアミノ)トリデシルシラン、トリス(ジメチルアミノ)テトラデシルシラン、トリス(ジメチルアミノ)ペンタデシルシラン、トリス(ジメチルアミノ)ヘキサデシルシラン、トリス(ジメチルアミノ)ヘプタデシルシラン、トリス(ジメチルアミノ)オクタデシルシラン、トリス(ジメチルアミノ)ノナデシルシラン、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記クロロシラン材料が、メチルトリクロロシラン、エチルトリクロロシラン、プロピルトリクロロシラン、ブチルトリクロロシラン、ペンチルトリクロロシラン、ヘキシルトリクロロシラン、ヘプチルトリクロロシラン、オクチルトリクロロシラン、ノニルトリクロロシラン、デシルトリクロロシラン、ウンデシルトリクロロシラン、ドデシルトリクロロシラン、トリデシルトリクロロシラン、テトラデシルトリクロロシラン、ペンタデシルトリクロロシラン、ヘキサデシルトリクロロシラン、ヘプタデシルトリクロロシラン、オクタデシルトリクロロシラン、ノナデシルトリクロロシラン、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項6に記載の方法。
【請求項11】
前記オキシシラン材料が、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、ペンチルトリメトキシシラン、ペンチルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、ヘプチルトリメトキシシラン、ヘプチルトリエトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、ノニルトリメトキシシラン、ノニルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、ウンデシルトリメトキシシラン、ウンデシルトリエトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、ドデシルトリエトキシシラン、トリデシルトリメトキシシラン、トリデシルトリエトキシシラン、テトラデシルトリメトキシシラン、テトラデシルトリエトキシシラン、ペンタデシルトリメトキシシラン、ペンタデシルトリエトキシシラン、ヘキサデシルトリメトキシシラン、ヘキサデシルトリエトキシシラン、ヘプタデシルトリメトキシシラン、ヘプタデシルトリエトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリエトキシシラン、ノナデシルトリメトキシシラン、ノナデシルトリエトキシシラン、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項6に記載の方法。
【請求項12】
前記露出した第2の材料上に前記第3の材料を選択的に堆積させるために用いられるプロセスが、化学気相堆積プロセス、物理的気相堆積プロセス、エピタキシャル成長プロセス、原子層堆積プロセス、または電気メッキプロセスのうちの1つである、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記第1の材料から前記SAMを前記除去することが、ウェットエッチングプロセス、ドライエッチングプロセス、またはアニールプロセスのうちの1つにより行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記第1の材料から前記SAMを前記除去することがアニールプロセスにより行われ、前記アニールプロセスが、300℃超の温度で行われる、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
基板をSAM分子およびヒドロキシル部分に同時に曝す前に、酸化物と汚染物質との一方または両方を前記基板から除去するために、前記基板を前洗浄することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記前洗浄することが、ドライ化学洗浄プロセスおよびウェット化学洗浄プロセスの一方または両方である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記基板をSAM分子に曝すことが、SAM分子を含む溶液中に前記基板を浸すこと、SAM分子を含む溶液を前記基板上にスピンコーティングすること、または気体SAM分子の気相堆積により行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記基板をSAM分子に前記曝すことが気相堆積プロセスであり、SAM分子が、25℃から300℃の温度で気化される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記気相堆積プロセス中における前記基板の温度が、50℃から200℃である、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記気相堆積プロセス中における処理環境が、5トルから600トルの圧力に維持される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記第1の時間期間の間、前記基板を前記SAM分子と前記ヒドロキシル部分とに前記同時に曝すことが、処理環境下で行われ、
前記基板を前記SAM分子と前記ヒドロキシル部分とに前記同時に曝すことを繰り返す前に、前記処理環境が排気される、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
前記基板を前記SAM分子と前記ヒドロキシル部分とに前記同時に曝すことを繰り返すことが、5~50回行われる、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記第1の時間期間が前記第2の時間期間よりも長い、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記第3の材料を堆積させた後、前記露出した第1の材料から前記SAMを前記除去することが、前記SAMをすべて除去することを含む、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本明細書に記載されている実施形態は、一般に、自己組織化単分子膜を用いて選択的領域堆積を達成する半導体デバイスの製造プロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]サブハーフミクロンおよびより小さなフィーチャを高信頼度で製造することは、半導体デバイスの次世代の超大規模集積(VLSI)および超々大規模集積(ULSI)のための重要な技術課題の1つである。しかしながら、回路技術の限界が押し進められるにつれて、VLSIおよびULSI技術の縮小する寸法は、処理能力に対するさらなる要求を課している。
【0003】
[0003]次世代デバイスの回路密度が増加するにつれて、ビア、トレンチ、コンタクト、ゲート構造および他のフィーチャなどの相互接続部、ならびにそれらの間の誘電体材料の幅は、45nmおよび32nmおよびそれ以下の寸法に減少する。次世代デバイスおよび構造の製造を可能にするために、半導体チップ内のフィーチャの3次元(3D)積層が、しばしば利用される。特に、半導体チップに3次元(3D)構造を形成するために、フィン電界効果トランジスタ(FinFET)が、しばしば利用される。従来の2次元ではなく3次元でトランジスタを配置することにより、集積回路(IC)内に互いに非常に近接して多数のトランジスタを配置することができる。回路密度および積層が増加するにつれて、以前に堆積された材料上にその後の材料を選択的に堆積させることができることが、ますます望まれるようになる。
【0004】
[0004]自己組織化単分子膜(SAM)をマスク材料として利用して、その後の材料堆積の選択性を改善することができる。SAMは、一般に表面の化学的性質に依存し、様々な材料上に選択的に形成され得る。しかしながら、SAMは、その後の材料層の堆積を効果的に防止できないピンホールまたはボイドを、堆積層内に示すことがある。SAMの別の欠点は、堆積時間が非常に長く、半導体製造プロセスにおいて経済的に実現可能でないことである。
【0005】
[0005]したがって、SAM形成のための改善された方法の必要性が存在する。
【発明の概要】
【0006】
[0006]一実施形態において、基板を処理する方法が提供される。この方法は、露出した第1の材料および露出した第2の材料を含む基板を自己組織化単分子膜(SAM)分子に曝して、第1の材料上にSAMの選択的堆積を達成することを含む。基板がヒドロキシル部分に曝され、基板をSAM分子に曝すことと、基板をヒドロキシル部分に曝すことが、それぞれ約1:1~約100:1の時間比で繰り返され得る。繰り返しを実行した後、基板はSAM分子に曝され、第3の材料が、露出した第2の材料上に選択的に堆積され、SAMが第1の材料から除去され得る。
【0007】
[0007]別の実施形態において、基板を処理する方法が提供される。この方法は、露出した第1の材料および露出した第2の材料を含む基板を自己組織化単分子膜(SAM)分子に曝して、第1の処理チャンバ内で第1の材料上にSAMの選択的堆積を達成することを含む。基板は、第2の処理チャンバに移送されて、第2の処理チャンバ内で水蒸気から形成されたヒドロキシル部分に曝され得る。第1の処理チャンバ内でSAM分子に基板を曝すことと、第2の処理チャンバ内でヒドロキシル部分に基板を曝すことが、それぞれ約1:1~約100:1の時間比で繰り返され得る。繰り返しを実行した後、基板は、第1の処理チャンバ内でSAM分子に曝され、第3の材料が、露出した第2の材料上に選択的に堆積され、SAMが第1の材料から除去され得る。
【0008】
[0008]さらに別の実施形態において、基板を処理する方法が提供される。この方法は、露出した第1の材料および露出した第2の材料を含む基板を自己組織化単分子膜(SAM)分子に曝して、処理チャンバ内で第1の材料上にSAMの選択的堆積を達成することを含む。基板は、周囲空気環境に移送され、周囲空気環境で周囲空気から形成されたヒドロキシル部分に曝され得る。処理チャンバ内でSAM分子に基板を曝すことと、周囲空気環境内でヒドロキシル部分に基板を曝すことが、それぞれ約1:1~約100:1の時間比で繰り返され得る。繰り返しを実行した後、基板は、処理チャンバ内でSAM分子に曝され、第3の材料が、露出した第2の材料上に選択的に堆積され、SAMが第1の材料から除去され得る。
【0009】
[0009]本開示の上記の特徴が詳細に理解できるように、実施形態を参照することにより、上記で簡潔に要約された本開示のより詳細な説明を得ることができ、実施形態のいくつかが、添付の図面に示される。しかしながら、添付の図面は、例示的な実施形態のみを示しており、したがって、その範囲を限定するものと見なすべきではなく、他の同様に有効な実施形態を認めることができることに、留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本明細書に記載の実施形態による、SAM材料を用いた選択的堆積の方法を示すフロー図を示す。
図2A】本明細書に記載された実施形態に従って処理されたワークピースの概略的な断面図を示す。
図2B】本明細書に記載された実施形態に従って処理されたワークピースの概略的な断面図を示す。
図2C】本明細書に記載された実施形態に従って処理されたワークピースの概略的な断面図を示す。
図2D】本明細書に記載された実施形態に従って処理されたワークピースの概略的な断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[0012]理解を容易にするため、図面に共通の同一の要素を示すのに、可能な限り、同一の参照番号を使用している。一つの実施形態の要素および特徴は、さらなる説明なしに他の実施形態に有益に組み込むことができることが、予期されている。
【0012】
[0013]以下の開示は、選択的堆積を達成するために自己組織化単分子膜が使用される半導体デバイスの製造プロセスを記載する。特定の細部が、本開示の様々な実施形態の完全な理解を提供するために、以下の説明ならびに図1および図2A図2Bに示されている。様々な実施形態の説明を不必要に不明瞭にすることを避けるために、半導体デバイスおよび自己組織化単分子膜にしばしば関連する構造およびシステムを説明する他の細部は、以下の開示に記載されていない。
【0013】
[0014]図面に示されている細部、寸法、角度および他の特徴の多くは、単に特定の実施形態を説明しているにすぎない。したがって、他の実施形態は、本開示の精神または範囲から逸脱することなく、他の細部、構成要素および特徴を有することができる。さらに、本開示のさらなる実施形態は、以下に記載されるいくつかの細部なしで実施され得る。
【0014】
[0015]本明細書で使用される場合、「自己組織化単分子膜」(「SAM」)は、一般に、表面に付着(例えば、化学結合によって)され、その表面に対して、さらには互いに対しても好ましい配向をとった分子の層を指す。SAMは、両親媒性分子の組織化された層を、典型的には含み、分子の一端で「頭部基」が、基板に対して特異的で可逆的な親和性を示す。頭部基の選択は、SAMの用途に依存し、SAM化合物の種類は、利用される基板に基づく。一般に、頭部基は、例えば濡れ性および界面特性を変えるように尾部または「末端」が官能基化され得るアルキル鎖またはフッ素化アルキル鎖に、接続されている。SAMを形成する分子は、別の材料よりもある材料に選択的に付着し(例えば、金属対誘電体)、十分な密度であれば、後続の堆積を上手く操作して、SAMでコーティングされていない材料上への選択的堆積を可能にすることができる。
【0015】
[0016]既存の技術は、一般に、金属堆積を操作するのに十分な高密度のSAM膜を形成するために、SAM堆積に少なくとも6時間を使用する。既存の技術は、一般に、金属酸化物を操作するために、SAM膜堆積に少なくとも48時間を使用する。現在の気相堆積システムは、加熱されたSAM分子溶液の蒸気圧のみを用いて非常に低い圧力(例えば、2ミリトル)でSAM分子を供給し、化学物質を基板に曝す。この低い蒸気圧により、気相中の濃度が低くなり、高密度の形成のために48時間を要する。従って、ピンホールのない高密度の高品質なSAM膜を形成するには、かなりの時間を要する。SAMの形成時間が短すぎると、SAMは、多数のピンホールを含み、そこを通って堆積が起こり得る。
【0016】
[0017]本明細書に記載されたいくつかの実施形態では、ピンホール形成が低減された高密度SAM膜の形成速度を増加させる方法が、提供される。本明細書に記載されたいくつかの実施形態では、形成されたピンホールを操作するために、形成されたSAM膜を処理する方法も、提供される。両方とも、ピンホールが減少したSAM膜の形成を可能にする。
【0017】
[0018]図1は、本明細書に記載の実施形態による、SAM膜を用いた選択的堆積の方法100を示すフローチャートである。方法100は、製造プロセス中にワークピースに対して実行される。方法100は、後でより詳細に説明する図2A図2Dに示される一連の製造段階に示されるような構造を形成するために使用されてもよい。図2A図2Dは、基板上に形成されたデバイス構造の製造ステップの断面概略図を示す。図1は、特定の構造を参照して記載されているが、特定の構造の参照は単なる例示であり、図1に記載されたプロセスは、ピンホール形成を減少させて、複数の材料を含む基板上に膜を選択的に堆積させることが望ましい任意のプロセスに適用可能である、ということを理解されたい。
【0018】
[0019]工程110において、少なくとも露出した第1の材料および露出した第2の材料を有する基板が、SAM堆積のために準備される。基板は、図2A図2Dに示す基板210と同様であってもよい。一実施形態では、基板210は、結晶シリコン(例えば、Si<100>またはSi<111>)、酸化ケイ素、歪みシリコン、シリコンゲルマニウム、ドープされたまたはドープされていないポリシリコン、ドープされたまたはドープされていないシリコンウェハ、パターニングされたまたはパターニングされていないウェハ、シリコンオンインシュレータ(SOI)、炭素がドープされた酸化ケイ素、窒化ケイ素、ドープされたシリコン、ゲルマニウム、ヒ化ガリウム、ガラス、サファイア、およびこれらの組み合わせなどの材料を含んでよい。基板210は、円形基板の場合、200mm、300mm、450mmまたは他の直径などの様々な寸法を有することができる。基板210はまた、フラットパネルディスプレイの製造に使用される多角形ガラス基板などの、任意の多角形の、正方形の、長方形の、曲線状のまたは他の非円形のワークピースであってもよい。特に明記しない限り、本明細書に記載されている実施形態および実施例は、直径200mm、直径300mm、または直径450mmの基板上で実施される。
【0019】
[0020]基板210は、第1の材料216(例えば、誘電体材料)から形成されたフィーチャ212を含むことができる。フィーチャ212は、例えば、トレンチ、ビア、ホール、開口部、ラインなど、およびそれらの組み合わせを含むことができる。フィーチャ212は、図2Aに示すように、基板210上に配置された第2の材料218(例えば、導電性材料)で充填された開口部214を有する。第1の材料216および第2の材料218が両方とも誘電体材料であってもよいことを理解されたい。例えば、第1の材料216が、酸化ケイ素層であってもよく、第2の材料218が、窒化ケイ素層であってもよい。
【0020】
[0021]SAM膜の堆積の準備において、基板210は、その後の工程のSAM膜形成プロセスに先立って、任意選択の前洗浄プロセスに曝されてもよい。前洗浄プロセスは、露出した表面から自然酸化物、汚染物質、またはその両方を除去することができる任意の前洗浄プロセスであってよい。前洗浄プロセスは、ドライ化学洗浄プロセス、ウェット化学洗浄プロセス、またはその両方であってもよい。前洗浄プロセスは、ドライエッチングプロセスを実行するように適合された遠隔プラズマ洗浄またはインシトゥプラズマ洗浄であってもよい。1つの例示的なドライ洗浄プロセスは、カリフォルニア州サンタクララのアプライドマテリアルズ社(Applied Materials,Inc.,Santa Clara,CA)から入手可能なSICONI(商標)Pre-cleanプロセスであり、NFおよびNHを使用する低温2要素ドライ化学洗浄プロセスによって自然酸化物を除去する。他の製造業者からの他の適切に構成された洗浄プロセスもまた、本明細書に記載された実施形態に従って有利に実施され得ることが企図される。
【0021】
[0022]工程120において、基板210は、図2Bに示すように、第2の材料218の表面224上の吸着が最小限または全くない状態で、第1の材料216の表面222上へのSAM前駆体の選択的吸着を達成するために、SAM前駆体に曝される。使用される材料および使用されるSAM前駆体に依存して、SAM前駆体は、溶液ベースの前駆体または気体前駆体であってもよい。SAM前駆体は、1種以上のSAM分子230、SAM分子230を形成する前駆体、またはその両方を含むことができる。吸着されたSAM分子230は、SAM240を形成する。
【0022】
[0023]SAM240は、両親媒性であり得るSAM分子230の組織化された層を含み、分子の一端で頭部基232が、フィーチャ212の第1の材料216に対して特異的で可逆的な親和性を示す。典型的には、頭部基232は、末端「R」234が官能基化され得るアルキル鎖に接続されている。SAM240は、フィーチャ212の第1の材料216上への頭部基232の化学吸着と、続いて疎水性の尾部基の2次元の組織化とによって、形成される。
【0023】
[0024]本明細書に記載された実施形態に従って利用され得る適切なSAM分子230の例には、以下に記載される材料(それらの組み合わせ、混合物およびグラフトを含む)、ならびに半導体製造プロセスにおいて次に堆積される材料の堆積をブロックするのに適した特徴を有する他のSAM分子が含まれる。一実施形態では、SAM分子230は、メチルカルボン酸、エチルカルボン酸、プロピルカルボン酸、ブチルカルボン酸、ペンチルカルボン酸、ヘキシルカルボン酸、ヘプチルカルボン酸、オクチルカルボン酸、ノニルカルボン酸、デシルカルボン酸、ウンデシルカルボン酸、ドデシルカルボン酸、トリデシルカルボン酸、テトラデシルカルボン酸、ペンタデシルカルボン酸、ヘキサデシルカルボン酸、ヘプタデシルカルボン酸、オクタデシルカルボン酸、およびノナデシルカルボン酸などのカルボン酸材料であってもよい。
【0024】
[0025]一実施形態では、SAM分子230は、メチルホスホン酸、エチルホスホン酸、プロピルホスホン酸、ブチルホスホン酸、ペンチルホスホン酸、ヘキシルホスホン酸、ヘプチルホスホン酸、オクチルホスホン酸、ノニルホスホン酸、デシルホスホン酸、ウンデシルホスホン酸、ドデシルホスホン酸、トリデシルホスホン酸、テトラデシルホスホン酸、ペンタデシルホスホン酸、ヘキサデシルホスホン酸、ヘプタデシルホスホン酸、オクタデシルホスホン酸、およびノナデシルホスホン酸などのホスホン酸材料であってもよい。
【0025】
[0026]別の実施形態では、SAM分子230は、メタンチオール、エタンチオール、プロパンチオール、ブタンチオール、ペンタンチオール、ヘキサンチオール、ヘプタンチオール、オクタンチオール、ノナンチオール、デカンチオール、ウンデカンチオール、ドデカンチオール、トリデカンチオール、テトラデカンチオール、ペンタデカンチオール、ヘキサデカンチオール、ヘプタデカンチオール、オクタデカンチオール、およびノナデカンチオールなどのチオール材料であってもよい。
【0026】
[0027]別の実施形態では、SAM分子230は、トリス(ジメチルアミノ)メチルシラン、トリス(ジメチルアミノ)エチルシラン、トリス(ジメチルアミノ)プロピルシラン、トリス(ジメチルアミノ)ブチルシラン、トリス(ジメチルアミノ)ペンチルシラン、トリス(ジメチルアミノ)ヘキシルシラン、トリス(ジメチルアミノ)ヘプチルシラン、トリス(ジメチルアミノ)オクチルシラン、トリス(ジメチルアミノ)ノニルシラン、トリス(ジメチルアミノ)デシルシラン、トリス(ジメチルアミノ)ウンデシルシラン、トリス(ジメチルアミノ)ドデシルシラン、トリス(ジメチルアミノ)トリデシルシラン、トリス(ジメチルアミノ)テトラデシルシラン、トリス(ジメチルアミノ)ペンタデシルシラン、トリス(ジメチルアミノ)ヘキサデシルシラン、トリス(ジメチルアミノ)ヘプタデシルシラン、トリス(ジメチルアミノ)オクタデシルシラン、およびトリス(ジメチルアミノ)ノナデシルシランなどのシリルアミン材料であってもよい。
【0027】
[0028]別の実施形態では、SAM分子230は、メチルトリクロロシラン、エチルトリクロロシラン、プロピルトリクロロシラン、ブチルトリクロロシラン、ペンチルトリクロロシラン、ヘキシルトリクロロシラン、ヘプチルトリクロロシラン、オクチルトリクロロシラン、ノニルトリクロロシラン、デシルトリクロロシラン、ウンデシルトリクロロシラン、ドデシルトリクロロシラン、トリデシルトリクロロシラン、テトラデシルトリクロロシラン、ペンタデシルトリクロロシラン、ヘキサデシルトリクロロシラン、ヘプタデシルトリクロロシラン、オクタデシルトリクロロシラン、およびノナデシルトリクロロシランなどのクロロシラン材料であってもよい。
【0028】
[0029]別の実施形態では、SAM分子230は、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、ペンチルトリメトキシシラン、ペンチルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、ヘプチルトリメトキシシラン、ヘプチルトリエトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、ノニルトリメトキシシラン、ノニルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、ウンデシルトリメトキシシラン、ウンデシルトリエトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、ドデシルトリエトキシシラン、トリデシルトリメトキシシラン、トリデシルトリエトキシシラン、テトラデシルトリメトキシシラン、テトラデシルトリエトキシシラン、ペンタデシルトリメトキシシラン、ペンタデシルトリエトキシシラン、ヘキサデシルトリメトキシシラン、ヘキサデシルトリエトキシシラン、ヘプタデシルトリメトキシシラン、ヘプタデシルトリエトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリエトキシシラン、ノナデシルトリメトキシシラン、およびノナデシルトリエトキシシランなどのオキシシラン材料であってもよい。
【0029】
[0030]別の実施形態では、SAM分子230は、(1,1,2,2-パーフルオロデシル)トリクロロシラン、トリクロロ(1,1,2,2-パーフルオロオクチル)シラン、(トリデカフルオロ-1,1,2,2-テトラヒドロオクチル)トリクロロシラン、(トリデカフルオロ-1,1,2,2-テトラヒドロオクチル)トリエトキシシラン、(トリデカフルオロ-1,1,2,2-テトラヒドロオクチル)メチルジクロロシラン、(トリデカフルオロ-1,1,2,2-テトラヒドロオクチル)ジメチルクロロシラン、および(ヘプタデカフルオロ-1,1,2,2-テトラヒドロデシル)トリクロロシランなどのフッ素化されたR基を有してもよい。
【0030】
[0031]SAM吸着は、SAM分子230を含む希薄溶液中に基板210を浸すことによって、溶液から生じることができる。一実施形態では、SAM240は、スピンコーティングによって溶液から堆積される。SAM吸着は、基板210を気体前駆体に曝すことによって、気相堆積からも生じることができる。吸着された分子は、最初に、無秩序な分子の集まりを形成し、次いで、フィーチャ212の第1の材料216上に結晶または半結晶構造を形成し始める。SAM240の厚さは、SAM分子230のアルキル鎖の炭素鎖長を調節することによって調整することができる。一般に、SAM240は、SAM分子230との化学反応能力を有する表面上に形成されてもよい。
【0031】
[0032]一実施形態では、SAM吸着は、気相堆積プロセスであってもよい。この実施形態において、SAM分子は、約25℃~約300℃、例えば約125℃~約200℃の温度に維持されたアンプル中で気化させることができる。基板210は、約25℃~約400℃、例えば約50℃~約200℃、例えば約100℃~約175℃の温度に維持することができる。処理チャンバの処理容積部などの基板処理環境の圧力は、約1ミリトル~約1520トル、例えば約5トル~約600トルの圧力に維持することができる。キャリアガスが、気相SAM分子の送達を容易にするために利用されてもよく、キャリアガスは、処理チャンバの容積に応じて、約25sccm~約3000sccm、例えば約50sccm~約1000sccmの流量で供給されてもよい。適切なキャリアガスは、基板表面へのSAM分子の送達を容易にするSAM吸着条件下で一般に不活性である希ガスなどのガスを含む。工程130において、約1秒~約48時間、例えば、約1分~約120分の時間、SAM分子が基板210に曝されてもよい。
【0032】
[0033]図2Bに示された実施形態において、SAM240を形成するために利用されるSAM前駆体は、第2の材料218(例えば、導電性材料)の表面224ではなく、フィーチャ212(例えば、酸化ケイ素材料)の表面222と化学的に反応するように選択される。このようにすることによって、SAM240は、基板210上のフィーチャ212上に主に形成され、第2の材料218の表面224を、SAM240がないままにしておくことができる。
【0033】
[0034]工程130において、基板210は、ヒドロキシル部分に曝されてもよい。ヒドロキシル部分は、-OH官能基を有するかまたは表面222もしくはSAM分子230上での-OH官能基の形成を促進する材料であってもよい。理論に縛られることを意図するものではないが、表面222および/またはSAM分子230の反応部位のヒドロキシル化は、ピンホールが減少または除去された密集したSAM240の形成を促進し得ると考えられる。ヒドロキシル化は、立体障害を引き起こす反応部位ブロッキングリガンドの分布を減少させる可能性があると考えられている。その結果、SAM分子230は、密集した配向で表面222上により容易に吸着することができる。例えば、ヒドロキシル化は、表面222上にすでに存在するSAMリガンドの重合に選択的に表面222上へのSAM分子の吸着を促進すると考えられる。
【0034】
[0035]代替的な実施形態では、基板210は、工程120でヒドロキシル部分に曝され、次に工程130でSAM前駆体に曝されてもよい。別の同様の実施形態では、基板210は、工程120においてヒドロキシル部分に曝されるのと同時に、工程130においてSAM前駆体に曝されてもよい。
【0035】
[0036]他の実施形態では、SAM前駆体およびヒドロキシル部分は、交互にパルス状にされる。さらに、SAM前駆体およびヒドロキシル部分は、パルス状または連続的に一緒に流されてもよい。一実施形態では、SAM前駆体およびヒドロキシル部分は、交互の蒸気暴露工程で基板210をソークする。例えば、SAM前駆体が、チャンバに供給され、チャンバが、ある時間の間加圧され、その後、SAM前駆体が、チャンバから排気される。続いて、ヒドロキシル部分が、チャンバに供給され、チャンバが、ある時間の間加圧され、その後、ヒドロキシル部分が、チャンバから排気される。これらの実施形態では、基板210は、SAM/ヒドロキシルに交互にソークされる。別の実施形態では、SAM前駆体とヒドロキシル部分とが、同時にチャンバに供給され、チャンバが加圧されて、ある時間の間、基板210をSAM/ヒドロキシル環境にソークさせ、その後、チャンバからSAM/ヒドロキシルを排気する。さらに別の実施形態では、基板210は、SAM前駆体に曝され、続いて周囲空気に曝される。
【0036】
[0037]上述のパルスおよびソークの実施形態は、所望の実施形態に応じて、様々な持続時間で実行することができる。パルスおよび/またはソークの持続時間は、方法の進行に応じて変化し得ることが予期されている。例えば、方法100の開始時のパルス/ソーク持続時間は、方法100の終了付近のパルス/ソーク持続時間と比べて長くてもよい。SAM前駆体/ヒドロキシル部分の暴露持続時間の任意の組合せと任意のソーク/パルス持続時間とを一緒に利用して、ピンホールが減少または除去されたSAM堆積を得ることができると考えられる。
【0037】
[0038]適切なヒドロキシル部分前駆体の例には、周囲空気、水溶液または水蒸気、過酸化水素溶液または蒸気、有機アルコール溶液または蒸気、例えばメタノール、イソプロパノール、エタノールおよびジオール等が含まれる。水素ガスおよび酸素ガスを組み合わせて使用して、ヒドロキシル部分を形成することもできる。他の非ヒドロキシル部分前駆体もまた、本明細書に記載された実施形態に従って利用され得ることが企図される。非ヒドロキシル部分前駆体は、窒素ガス、(ジ)イソシアネート、硫化水素、およびアンモニア等を含むことができる。
【0038】
[0039]工程130における、ヒドロキシル部分への基板210の暴露は、工程120における、SAM分子への基板210の暴露の後に、引き続いて行うことができる。あるいは、工程130における、ヒドロキシル部分への基板210の暴露は、工程120における、SAM分子への基板210の暴露と同時に、行われてもよい。
【0039】
[0040]一実施形態では、工程120において基板210をSAM分子に曝した後、工程130において、基板210が、周囲空気に曝されてもよい。この実施形態では、工程130中、約1ミリトル~約1520トルの圧力を有する処理環境において、基板210の温度を、約25℃~約400℃の温度に維持することができる。基板210は、約30秒~約600秒の間、周囲空気に曝されてもよい。この実施形態では、周囲空気暴露は、大気圧までポンプで空気を入れた真空チャンバ内で実行されてもよいし、または基板210が、真空処理チャンバ環境から取り出されて、ほぼ大気圧の周囲空気中に維持されてもよい。
【0040】
[0041]他の実施形態では、工程120において基板210をSAM分子に曝した後、工程130において、基板210が、液体水または水蒸気に曝されてもよい。この実施形態では、基板210は、約1秒~約600秒の間、液体水または水蒸気に曝されてもよい。液体水暴露の実施形態では、約25ml~約50ml(300mm基板の場合)などの適切な量の水が、促進すべき処理環境に供給されてもよい。水は、ヒドロキシル化が起こるのに十分な時間が経過した後、処理環境から除去されてもよい。
【0041】
[0042]水蒸気の実施形態では、基板210の温度が、約20℃~約400℃に維持され、処理環境の圧力が、約2トル~約1520トルに維持されてもよい。
【0042】
[0043]工程130のヒドロキシル部分への暴露は、工程120のSAM分子への基板210の暴露と同じ処理環境で行われてもよい。あるいは、ヒドロキシル部分への暴露は、基板210をSAM分子に曝すために利用される処理環境とは異なる処理環境で行われてもよい。例えば、クラスタツールを利用することができ、第1の処理チャンバで工程120を実行し、第2の処理チャンバで工程130を実行することができる。基板210は、ある実施形態では真空下で第1および第2の処理チャンバ間を移送されてもよいし、または所望の処理条件(すなわち水蒸気または周囲空気暴露)に依存して、ほぼ大気圧で第1および第2の処理チャンバ間を移送されてもよい。
【0043】
[0044]工程140において、任意選択で、工程120および工程130が、逐次的または同時に繰り返されてもよい。例えば、工程120および工程130が、約1回~約500回繰り返されてもよい。一実施形態では、工程120の1回目が実行され、工程130の1回目が実行され、工程120の2回目が実行されてもよい。この実施形態において、工程は、逐次的に実行されてもよい。他の実施形態において、工程120および工程130は、約5回~約50回繰り返されてもよい。この実施形態では、SAM分子230への基板210の暴露が、工程150の直前に行われるように、工程140の後に、追加の工程120が行われてもよい。
【0044】
[0045]工程120と工程130が逐次的に繰り返される特定の実施形態において、工程120と工程130の時間比は、工程120:工程130が約1:1と、工程120:工程130が約100:1との間、例えば工程120:工程130が約10:1であってもよい。この実施形態において、工程120が、約1分間~約10分間、実行され、工程130が、約1分間~約10分間、実行されてもよい。工程140の後に、追加の工程120が、工程140の周期的な暴露プロセスの各々の間に工程120が実行された時間に実質的に等しい時間の間実行されてもよいが、追加の工程120は、より長い時間またはより短い時間、有利に実行されてもよいことが、予期される。例えば、上述の実施形態において、追加の工程120は、約1分間~約10分間、例えば約5分間、実行されてもよい。
【0045】
[0046]周期的なSAM分子およびヒドロキシル部分への暴露は、改善された材料ブロッキング特性(すなわち、ピンホールの減少)を有するSAMを提供し得ると、考えられている。例えば、周期的なヒドロキシル部分暴露を利用して処理されたSAMは、周期的なヒドロキシル部分暴露を利用して処理されなかったSAM(約100°の水接触角)と比べて、水接触角の増加を示した(すなわち、110°)。これは、改良されたブロッキング性能を示す。
【0046】
[0047]工程150において、選択された前駆体を有する、表面条件に対して非常に敏感なプロセスである堆積プロセスが、実行されて、図2Cに示すように、第2の材料218の表面224上に選択的に構造260を形成する。構造280は、例えば、プラズマCVD(PE-CVD)、パルスCVD、減圧CVD(LPCVD)などの化学気相堆積(CVD)、エピタキシャル成長、スパッタリングまたは蒸発などの物理的気相堆積(PVD)、原子層堆積(ALD)、電気メッキ、他の技術、またはそれらの組み合わせを含む種々の技術によって形成することができる。堆積されるように選択された材料は、基板210の表面特性によって影響され得る。構造280の厚さは、材料および形成される特定のデバイスに依存して変化する。SAM240は、第1の材料216の表面222上への材料の堆積を防止する。このようにして、選択的堆積プロセスは、異なる材料を基板上の異なる位置に選択的に堆積させることができる。
【0047】
[0048]一実施形態では、堆積プロセスは、ALDプロセスである。ALDプロセスは、表面条件に敏感であるので、ALDは、基板の特定の領域上への材料の選択的堆積に適している。ALDプロセスは、自己停止/制御成長を伴うCVDプロセスである。ALDプロセスは、わずか数オングストロームまたは単層レベルの厚さをもたらす。ALDプロセスは、化学反応を、サイクルで繰り返される2つの別々の半反応に配分することによって制御される。ALDプロセスによって形成される材料の厚さは、反応サイクルの数に依存する。第1の反応により、分子層の第1の原子層が、基板上に吸収され、第2の反応により、分子層の第2の原子層が、第1の原子層上に吸収される。このように、材料の秩序付けられた構造が、材料層の成長のためのテンプレートとして働く。
【0048】
[0049]工程150の堆積プロセスに続いて、工程160において、SAM240は、第1の材料212の表面222から除去される。SAM240は、構造280にも第1の材料216の表面222にも悪影響を及ぼさない任意のプロセスによって除去することができる。SAM240を除去するプロセスは、SAM分子230の末端基および頭部基の選択の結果である。SAM240は、第1の材料216の表面222からSAMを離すための、ウェットエッチングプロセス、ドライエッチングプロセス、高温アニールプロセス(例えば、300℃超)によって除去することができる。工程160に続いて、半導体および他のデバイスのフィーチャを製造するために、追加の処理工程が、実行されてもよい。
【0049】
[0050]上記は、本開示の実施形態に向けられているが、本開示の基本的な範囲から逸脱することなく、本開示の他のさらなる実施形態を考え出すこともでき、本開示の範囲は、以下の特許請求の範囲によって決定される。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D