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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-22
(45)【発行日】2022-03-30
(54)【発明の名称】管路開閉部材及び液体を吐出する装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/175 20060101AFI20220323BHJP
【FI】
B41J2/175 501
B41J2/175 503
B41J2/175 111
B41J2/175 121
B41J2/175 141
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018030010
(22)【出願日】2018-02-22
(65)【公開番号】P2019142160
(43)【公開日】2019-08-29
【審査請求日】2020-10-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100127111
【弁理士】
【氏名又は名称】工藤 修一
(72)【発明者】
【氏名】一ノ渡 潤
(72)【発明者】
【氏名】野田 浩司
(72)【発明者】
【氏名】長塚 裕樹
【審査官】亀田 宏之
(56)【参考文献】
【文献】特開昭56-082322(JP,A)
【文献】特開平06-328700(JP,A)
【文献】特開平11-254701(JP,A)
【文献】特開2003-090446(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
変形可能な管路部材に対し、前記管路部材に形成される流路を閉じる方向へ力を加える第1部材と、
前記管路部材に対して前記流路を開く方向へ力を加える第2部材と、を備え
前記管路部材に対して前記第2部材から加わる力は、前記管路部材に対する前記第1部材から加わる力と異なる方向から加えられ、
前記第1部材と前記第2部材は互いに連動して回動可能であり、
前記第1部材は、前記第1部材が前記流路を閉じる閉位置にあるとき前記管路部材を押圧し、前記閉位置から前記流路を開く開位置へと回動するに従い前記流路に対する押圧を解除し、
前記第2部材は、前記管路部材が前記第1部材に押圧されて変形して延びる方向に間隔を置いて配置され、前記延びた管路部材に対して前記延びる方向から当接可能な当接面を有し、
前記第2部材は、前記第1部材が前記閉位置にあるときには、前記管路部材に対して前記流路を開く方向へ加える力が作用せず、前記第1部材が前記閉位置から前記開位置へ向かって回動するのに伴い、前記管路部材に対して前記流路を開く方向へ力を加えることを特徴とする管路開閉部材。
【請求項2】
前記当接面は、前記第1部材が前記閉位置から前記開位置に向かって回動するのに伴い、前記管路部材に対して前記流路を開く方向への力が大きくなるようにそれぞれ形成されていることを特徴とする請求項1記載の管路開閉部材。
【請求項3】
変形可能な管路部材に対し、前記管路部材に形成される流路を閉じる方向へ力を加える第1部材と、
前記管路部材に対して前記流路を開く方向へ力を加える第2部材と、を備え、
前記第1部材と前記第2部材とは、前記管路部材に対して交差する方向に延びる共通の軸で互いに一体回動可能に支持されていて、
前記第1部材は、前記軸の回転中心から前記管路部材に当接する面までの距離が前記回転中心から変形前の前記管路部材の外周面までの距離よりも長く形成されていて、前記流路を閉じる閉位置を占めたときに前記管路部材を押圧し、
前記第2部材は、前記回転中心からその先端までの距離が前記回転中心から変形前の前記管路部材の外周面までの距離よりも長く形成されていて、前記交差する方向において互いに対向する当接面を有し、前記当接面の間には空間部が形成されていて、前記空間部の幅は、前記第1部材によって変形された前記管路部材の幅よりも狭く形成されていることを特徴とする管路開閉部材。
【請求項4】
ノズルを有し、前記ノズルから液体を吐出する液体吐出ヘッドと、
液体を収容したメインタンクと、
前記メインタンクから前記液体吐出ヘッドに前記液体を供給し、前記管路部材で構成された液体供給経路と、
前記液体供給経路を前記管路部材で開閉する開閉弁を有し、
前記開閉弁が、請求項1乃至3の何れか1項に記載の管路開閉部材で構成された液体を吐出する装置。
【請求項5】
ノズルを有し、前記ノズルから液体を吐出する液体吐出ヘッドと、
液体を収容したメインタンクと、
前記メインタンクから液体供給経路を介して前記液体を貯留し、前記液体吐出ヘッドに前記液体を供給するサブタンクと、を備え、
前記サブタンクは、前記管路部材で構成されていて、前記サブタンク内の空気を前記サブタンク外へ案内する排気流路と、
前記排気流路を前記管路部材で開閉する開閉弁を有し、
前記開閉弁が、請求項1乃至3の何れか1項に記載の管路開閉部材で構成された液体を吐出する装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管路開閉部材及び液体を吐出する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
取り回しのし易さなどから、流体を搬送する部材として弾性を有し変形可能なチューブなどの管路を用いることがある。この管路を開閉する場合、管路を閉じる方向に押圧部材などによって力を加えて潰して閉状態とし、開く場合には、押圧部材による力を解除し、管路の弾性による復元力で開状態とするものが多い(例えば特許文献1)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来構成では、変形可能な流路を閉じる場合、閉方向への力が管路に作用するが、管路を開く場合、開方向への力がないため、管路の復元が不十分な場合、開閉不良の要因に成り兼ねない。
本発明は、変形可能な管路の確実な開閉を可能とする新たな構成を提供することを、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するため、本発明に係る管路開閉部材は、変形可能な管路に対して管路を閉じる方向へ力を加える第1部材と、管路に対して管路を開く方向へ力を加える第2部材を備え、前記管路部材に対して前記第2部材から加わる力は、前記管路部材に対する前記第1部材から加わる力と異なる方向から加えられ、前記第1部材と前記第2部材は互いに連動して回動可能であり、前記第1部材は、前記第1部材が前記流路を閉じる閉位置にあるとき前記管路部材を押圧し、前記閉位置から前記流路を開く開位置へと回動するに従い前記流路に対する押圧を解除し、前記第2部材は、前記管路部材が前記第1部材に押圧されて変形して延びる方向に間隔を置いて配置され、前記延びた管路部材に対して前記延びる方向から当接可能な当接面を有し、前記第2部材は、前記第1部材が前記閉位置にあるときには、前記管路部材に対して前記流路を開く方向へ加える力が作用せず、前記第1部材が前記閉位置から前記開位置へ向かって回動するのに伴い、前記管路部材に対して前記流路を開く方向へ力を加えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、変形可能な管路に対して閉じる方向と開く方向へ第1部材と第2部材によって力が加えられるので、弾性を有する流路の確実な開閉を行える。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】本発明に係る流体を吐出する装置の一形態である画像形成装置を示す概略図。
図2図1の画像形成装置を主走査方向から見たときの構成図。
図3】本発明に係る管路開閉部材が適用されたインク供給系の一構成を示す図。
図4】インク供給の制御系の一構成を示すブロック図。
図5】容器であるサブタンク4内のインクの充填状態を示す図であり、(a)は、半分程度溜まった状態を示し、(b)は満タン状態を示す。
図6】インクの初期充填動作制御の一形態を示すフローチャート。
図7】サブタンクからの空気抜き動作制御の一形態を示すフローチャート。
図8】本発明の第1、第2実施形態に係る管路開閉部材の概略構成を示す斜視図。
図9】管路開閉部材の構成と動作を示す図であり、(a)は流路の閉じ状態を示し、(b)は流路の開状態時と矯正状態を示す図。
図10】従来の管路開閉部材の構成と動作を示す図であり、(a)は流路の閉じ状態を示し、(b)は流路の開状態時と矯正状態を示す図。
図11】第1、第2実施形態に係る管路開閉部材の第1部材と第2部材の位置と流路の開閉状態を説明する図。
図12】第3実施形態に係る管路開閉部材の第1部材と第2部材の位置と流路の開閉状態を説明する図。
図13】管路開閉部材の別な形態の概略構成を示す斜視図。
図14】本発明に係る管路開閉部材が適用されたインク供給系の別な構成を示す図。
図15】流体を吐出する装置の一形態である画像形成装置の別な形態を示す概略図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明に係る実施形態について図面を用いて説明する。実施形態において、同一の機能や構成を有するものには同一の符号を付し、重複説明は適宜省略する。図面は一部構成の理解を助けるために、部分的に省略又は模式的に示す場合もある。
図1図2を参照して、本発明の実施対象となる液体を吐出する装置の一例である画像形成装置の全体とその要部の構成と動作を説明する。図中矢印で示した上下方向Zに直交する、これも図中矢印で示した前後方向Xにおいて、図1における装置本体1の左側が前面1F(正面)側であり、右側が後(奥)側である。上下方向Z及び前後方向Xに直交するとともに図2の紙面を貫通する方向が主走査方向Yであり、シート幅方向(用紙幅方向)に相当する。
画像形成装置は、画像形成部3を備えている。画像形成部3は、インクジェット記録方式で画像形成を行う構成である。図2に示すように、画像形成部3は、シリアル型インクジェット記録部である。
画像形成装置は、装置本体1の内部にスプール軸受台101aを上下に備える。スプール軸受台101aは、長尺の記録材である用紙を巻き回した複数のシートロール紙4a、4bからなる被記録媒体としての用紙10をそれぞれ繰り出し可能に支持するシートロール支持部としての機能・構成を有している。なお、図示の例ではシートロールは2巻を上下方向Zに装着できるようになっているが、本発明では1巻のみ、あるいは3巻以上等であっても差し支えない。
【0008】
画像形成部3に対応して装置本体1の内部には、主走査方向Yに延びるガイドロッド18及びガイドレール19が側板に掛け渡してある。これらガイドロッド18及びガイドレール19にはキャリッジ20が主走査方向Yに摺動可能に保持されている。キャリッジ20には、ブラック(K)、イエロ(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の各色の液体であるインク滴を吐出する複数のヘッドを備えた液体吐出ヘッドであるヘッド部202が搭載されている。ヘッド部202には、各ヘッドに液体であるインク29(図3産参照)を供給するサブタンク4(ヘッドタンクと称することもある)を一体的に備え、液体吐出ユニット201を構成している。すなわち、液体吐出ユニット201のヘッド部202は、イエロ(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の各色の液体を吐出する。また、ヘッド部202は、複数のノズルからなるノズル列を主走査方向と直交する副走査方向に配置し、吐出方向を下方に向けて装着されている。
キャリッジ20を主走査方向Yに移動走査する主走査移動機構は、主走査方向Yの一方側(図1において左斜め上方)に配置された駆動源である駆動モータ21と、この駆動モータ21の出力軸に連結して駆動モータ21によって回転駆動される駆動プーリ23Aと、主走査方向Yの他方側(図1において右斜め下方)に配置した従動プーリ23Bと、駆動プーリ22Aと従動プーリ23Bとの間に巻き掛けベルト部材24とを備えている。従動プーリ23Bは、周知のテンションスプリングによって外方、すなわち駆動プーリ22Aから離れる方向にテンションが掛けられている。ベルト部材24は、キャリッジ20の背面側に設けられたベルト固定部にその一部分が固定保持され、それによってキャリッジ20を主走査方向Yに牽引するようになっている。
【0009】
キャリッジ20には、キャリッジ20の主走査位置を検知するための周知のエンコーダシートが主走査方向Yに沿って配置されている。本実施形態では、エンコーダセンサによって、エンコーダシートを読み取ることで、このキャリッジ20における主走査領域のうち、記録領域では上段のシートロール紙4aまたは下段ロール紙4bから繰り出されて搬送されてきた用紙10が、搬送手段により記録領域へ搬送され、キャリッジ20の移動方向である主走査方向Yと直交する副走査方向(図1の前後方向Xのうちの前方向Xaである)に間欠的に搬送される。搬送手段とは、例えばローラ対9a、9b、丸棒状の軸状部材であるレジストローラ34、及びレジストローラ34の軸線方向で複数に分割した形態で配置してあるレジスト加圧ローラ35などである。
用紙10は、図2に示すように、キャリッジ20と対向するプラテン36により案内される。プラテン36の下方には吸引ファン37が設けてあり、プラテン36に形成した吸引孔により用紙10が吸着される。
【0010】
主走査領域のうちの一方の端部側領域(図1において右斜め下方側)には、キャリッジ20内の各ヘッドの維持回復を行う維持回復機構25が配置されるとともに、各ヘッドのサブタンク4に供給する各色の液体であるインクを収容したメインタンク(インクカートリッジ)26が装着されている。メインタンク26は、装置本体1に対して着脱自在なものでも固定式のものであってもよい。メインタンク26には、容器としての廃液タンク28が配管やホースなどによって接続されていて、メインタンク26で余ったインキが回収可能に構成されている。
つまり、キャリッジ20は、印字ヘッドを実装し、印字や必要な場合を除いて、ホームポジションで待機している。図1では、装置本体1内右側の破線で示した箱形状をしたヘッドメンテユニット上部が、ホームポジションである。
ヘッドメンテナンスユニットである維持回復機構25によるメンテナンスにて発生した廃液は、廃液タンク28にて回収される。廃液タンク28は、その内部に回収した廃液が許容量になると、交換や廃液を捨てる必要があることから、装置本体1に対して着脱可能に装着されている。
【0011】
画像形成装置は、図2に示すように、画像形成部3で画像が記録された用紙10を所定の長さに切断するシート切断手段としてのカッタ27を備えている。カッタ27は、複数のプーリ(そのうちの1つのプーリはカッタ駆動モータに連結されている)間に掛け渡されたワイヤやタイミングベルトに固定され、カッタ駆動モータによりプーリを介してワイヤやタイミングベルトが主走査方向Yに移動することで用紙10を所定の長さに切断するように構成されている。
【0012】
次に、図3を用いて、実施形態における画像形成装置のインク供給系の概略構成について説明する。液体吐出ユニット201が備える液滴を吐出するヘッド部202は、液滴を吐出する複数のノズル11と、各ノズル11が連通する液室12と、各液室12にインク29を供給する共通液室13と、共通液室13にインク29を供給される供給口部(インク供給ポート)14と、共通液室13からインク29を排出する排出口部(インク排出ポート)15などを備えている。この排出口部15には、インク供給経路の空気を、ヘッド部202を介して排出するための空気抜きチューブ208と空気抜きポートに設けられた開閉弁209が接続されている。
【0013】
サブタンク4は、タンクケース21内にヘッド部202に供給するインク29を収容するインク収容部22と、インク収容部22からインク29をヘッド部202の供給口部(インク供給ポート)14に供給するインク供給経路204と、供給ポート24とが設けられている。インク収容部22には、メインタンク26の交換時や、長期放置によってメインタンク26とサブタンク4を接続する弾性を有する液体供給経路としてのチューブ50やインク供給経路の部品から進入した空気が蓄積されることがある。この空気を排出するために、インク収容部22の天面あるいは、インク供給経路204よりも高い部位のいずれかには排気流路となる空気抜き経路205が設けられていて、この空気抜き経路205とインク供給経路204とを排気経路206で連通している。また、空気抜き経路205の流体抵抗は、インク供給経路204の流体抵抗よりも小さく形成されている。インク供給経路204と排気経路206とはタンクケース21内に、同ケースと一体成型されて構成されている。空気抜き経路205は、サブタンク4の外方に位置している。
なお、サブタンク4のタンクケース21は一方が開口した部材であり、開口部には弾性変形可能な部材としてのフィルム部材が溶着または接着にて貼り付けられて圧力変動を吸収する構成となっている。また、インク収容部22の内部には、ヘッド部202に対する負圧を形成するためのばね25が設けられている。
【0014】
装置本体1側には、サブタンク4にインク29を補充供給する交換可能なメインタンク(インクカートリッジ)26が配置されている。そして、メインタンク26内のインク29は、メインタンク26からのインク供給経路であり、チューブ50を通じてインク供給用ポンプ52によりサブタンク4に9送液(搬送)される。また、メインタンク26とインク供給用ポンプ52の間に位置するインク経路には電気制御式の開閉弁となるバルブ54が、インク供給用ポンプ52とサブタンク4との間のインク経路にはフィルタ55がそれぞれ介装されている。
【0015】
図4は、インク供給系の動作を制御する制御系の構成を説明するブロック図である。
画像形成装置は制御部200を備えている。制御部200はCPU、ROM、RAM、タイマ等を備えたコンピュータで構成されている。制御部200の入力側には、各種情報の信号が入力される。制御部200の出力側には、インク供給用ポンプ52、バルブ54、開閉弁209が信号線を介して接続されている。
図5(a)、図5(b)はインク初期充填中のサブタンク4内のインク29の充填状態を示した模式図である。図5(a)は、インク29がサブタンク4内に半分程度溜まった状態を示し、図5(b)はサブタンク4内がインク29でいっぱいになった満タン状態を示す。
【0016】
このようなインク供給系において、ヘッド部202へインク29を充填する動作について図6に示すフローチャートを参照して説明する。この動作は、制御部200によって制御されて実行される。
ステップST1では、全ての(各色の)サブタンク4の開閉弁207をそれぞれ開く。開閉弁207を開く動作は、開閉弁207が手動式であれば作業者が行い、開閉弁207が駆動源を備えている場合には制御部200によって作動する。制御部200は、ステップST2において、図1に示した維持回復機構25でヘッド部202のノズル11からインクを吸引し、サブタンク4やヘッド部202に予め入れられている保存液(ない場合は空気)をノズル11から排出する。制御部200は、この動作をステップST3において所定時間経過するまで実行し、所定時間経過するとステップST4に進んでノズル吸引を停止する。
制御部200は、ステップST5においてバルブ54を開き、ステップST6においてインク供給用ポンプ52を作動して、チューブ50を通じてメインタンク26からサブタンク4へインク29を送液する。このインク29は、サブタンク4のインク収容部22へ流れ込み、インク供給経路204を通じヘッド部202へ送液される。制御部20は所定時間経過するまでインク送液を実行し(ステップST7)し、所定時間経過すると、インク供給用ポンプ52を停止し(ステップST8)し、バルブ54を閉じる(ステップST9)。
制御部200は、インク供給回数が所定回数に達するまではインク充填を行い(ステップST10)、所定回数に達すると、ステップST11において、維持回復機構25でヘッド面へのワイピングを実行し、ステップST12において空気抜き動作を実行する。
【0017】
サブタンク4の開閉弁207を開かない場合、図5(a)に示すように、インク収容部22のインク液面がインク供給経路204と同じ高さになるまで充填されると、その後、インク収容部22に充填されるインク29はインク供給経路204から排出されるためインク収容部22の上部に溜まった空気22aを排出することができない。しかし、ステップST12においてサブタンク4の開閉弁207を開くことで、図5(b)のようにサブタンク4内のインク収容部22内の空気22aは、空気抜き経路205を通して、ヘッド部202へ送られるので、排気経路206からはインク29と空気22aが同時にヘッド部202へ排出されることになる。
また、ヘッド部202へ送液されたインク29と空気22aは、供給口部(インク供給ポート)14を通じて共通液室13へ送液される。共通液室13へ流れ込んだ空気22aの一部は、各ノズル11から排出されるが、空気22aは比重が軽いため基本的には共通液室13の上部に残り、インク29が優先的にノズル11から排出されることになる。つまり、サブタンク4は、管路部材で構成されていて、サブタンク4内の空気22aをサブタンク外へ案内する排気流路となる空気抜き経路205を備えている。なお、空気抜き経路205(排気流路)は、空気22a(気泡)をサブタンク4から直接外部へ案内していて排出するようにした構成であってもよい。
【0018】
次に、共通液室13の上部に残った空気22aを排出するための空気排出動作について図7に示すフローチャートを参照して説明する。この動作は、制御部200によって制御されて実行される。この空気排出動作はインク初期充填の他にも、印刷などにより使用されたインク29を補給するために行うメインタンク(インクカートリッジ)26の交換時やノズル11等から、何らかの原因で各インク流路及びインク収容部22に気泡が混入し、ノズル11からの滴吐出に支障が生じた場合、これを解消するために行うものである。
制御部200は、ステップST21において、空気を抜く対象となるサブタンク4の開閉弁207が開いているか否かを判定する。開閉弁207が駆動源を持っているタイプの場合、その駆動信号の有無で判定し、開閉弁207が手動式の場合には、開閉弁207の開状態をセンサ等で検知し、その検知信号の有無で判定すればよい。
【0019】
開閉弁207が開いている(開状態)の場合には、ステップST23に進み、開いていない場合にはステップST22において、空気を抜く対象となるサブタンク4の開閉弁207を開く。例えば初期充填時は全てのサブタンク4の開閉弁207を開き、初期充填以外の場合は吐出不良が発生し空気抜きが必要なヘッドに対応したサブタンク4の開閉弁207を開ければよい。
制御部200は、ステップST23において、対象サブタンク4に対応したバルブ54を開き、ステップST24においてインク供給用ポンプ52を作動してサブタンク4へノズル11からインク29が溢れ出ない範囲でインク29を送ることによってヘッド部202の負圧を解消した状態にする。
【0020】
制御部200は、ステップST25において所定時間経過すると、ステップST26に進み、空気抜きが必要なヘッド部202に対応した空気抜きポートの開閉弁209を開いた状態で、再度、バルブ54を開いてインク供給用ポンプ52を作動する(ステップST27,28)。これら一連の動作によってサブタンク4の空気やヘッド部202の共通液室13の上部に溜まった空気22aがインク29と共に、排出口部(インク排出ポート)15、空気抜きチューブ208を経て開閉弁209からヘッド部202の外部へと排出される。
制御部200は、ステップST29において所定時間経過したら、ステップST30において開閉弁209を閉じ、ステップST31においてインク供給用ポンプ52を停止し、ステップST32においてバルブ54を閉じる。その後ステップST33において開閉弁207を閉じる。この場合も、開閉弁207か駆動源を備えている場合には制御部200によって駆動源を閉方向に作動し、手動の場合には、作業者が操作して閉じればよい。
その後、制御部200は、フローチャートの記載からは省略したが、ヘッド部202への負圧形成のための適切な動作を実行し、さらにステップST34においてノズル表面をワイピングし、ノズル面に垂れたインク29をかき取り、ステップST35でヘッド空吐出を実行し、ステップST36においてノズル11のメニスカスを形成させてキャッピングし、初期充填および空気抜きを完了させる。
【0021】
なお、開閉弁209とインク供給用ポンプ52を停止する順番は逆でも構わない。さらに、本説明では空気排出時に消費してしまうインク排出量は、インク供給用ポンプ52の稼動時間に応じて決まる。このため、空気抜きチューブ208の経路内に、例えば電極ピンなどの気液検知手段を設けて空気22aが完全に排出されたことを検知するようにし、この検知結果に応じてインク供給用ポンプ52を停止することで、無駄なインク消費を防ぐことができる。
また、空気排出動作を色の薄いものから濃いインクに対応したサブタンクの順番に実施することで、混色が発生するリスクを最小限にすることができる。例えば、イエロ(Y)のように色の薄いインクが先にノズル13から溢れ出て、次にブラック(B)のような色の濃いインクの空気抜きを実施するときに、ノズル面に付着したイエロ(Y)のインクがブラック(B)のノズルに入ったとしても混色が目立ちにくく、空気抜き終了後の空吐出だけで混色が発生してもその被害を最小限にとどめることができるので好ましい。
【0022】
次に空気抜き経路205を開閉する管路開閉部材としての開閉弁207の構成について説明する。
図8はサブタンク4の開閉弁207を設置したチューブバルブ部の斜視説明図である。図9は本発明に係る開閉弁207の構成を示し、図10は従来構成を示す。図8において空気抜き経路205の一部は、サブタンク4の外側に這い回されていて、弾性変形可能な管路としてのチューブ300で形成されている。開閉弁207はこのチューブ300の部分に配置されている。チューブ300内は流路300aとして機能する。
図9図10において、(a)は、チューブ300(開閉弁207)の閉状態を示し、(b)はチューブ300(開閉弁207)の開状態を示す。各図において、Aは、サブタンク4を横(A方向)から見たとき図、Bは、上(B方向)から見たときの図、Cは、チューブ300の断面(C方向)から見た図である。
インク供給系における空気排出を実施するためのサブタンク4用の管路開閉部材は、空気抜きチューブ208に設けられる開閉弁209などとは異なり、インク流路の途中の経路(チューブ300)を外部から加圧したり脱圧することでチューブ300内の流路300aを開閉するため、一般的には高機能な部品を数多く用いることで形成されるため、高コストになってしまう。この管路開閉部材を低コストに実現する方法の一つとして図8に示すようなチューブバルブ方式が挙げられる。
従来構成の管路開閉部材となる開閉弁2070は、図10に示すように、押圧部材となる押圧コロ2071が揺動可能に設けられていて、サブタンク4の外側において、押圧コロ2071を図10(b)に示す開状態の位置から図10に(a)で示す閉状態の位置へと揺動させ、チューブ300を押圧して図10(a)の(C1)に示すように潰すことでチューブ300の流路300a(空気抜き経路205)を閉状態としている。しかし、このような構成の場合、放置期間中、常にチューブ300を押し潰しているため、長期間放置されると、チューブ同士の貼付が生じ、図10(b)に示すように押圧コロ2071を開位置に戻しても、図10(b)の(C2)に示すように元の断面積となるまで変形が復元せず、図10(b)の(C3)に示すように、潰された状態が継続したまま流路300aが開放されない、もしくはチューブ300の素材自身の復元力で流路300aが開放されるまでに時間を要してしまうという課題が懸念される。
【0023】
そこで、本実施形態に係る管路開閉部材としての開閉弁207は、図9に示すように、弾性を有する経路となるチューブ300に対して流路300aを矢印Dで示す閉じる方向(以下「閉じる方向D」と記す)へ力を加える第1部材としての押圧コロ2071と、チューブ300に対して流路300aを矢印E1、E2で示す開く方向(以下「開く方向E1、E2」と記す)へ力を加える第2部材として矯正コロ2072を備える構成とした。
このため、弾性を有する経路であるチューブ300に対して閉じる方向Dと開く方向E1、E2へ押圧コロ2071と矯正コロ2072によって力が加えられるので、チューブ同士の貼付が生じたり、復元力が低下した場合でも、チューブ300を開く方向E1、E2(復元方向)へのアシスト力(矯正力/戻し方向への力)が矯正コロ2072によってチューブ300に与えられるため、チューブ300(流路300a/空気抜き経路205)の確実な開閉を行える。
【0024】
以下、開閉弁207の構成について詳細に説明する。
図9に示すように、押圧コロ2071と矯正コロ2072は一体化されてチューブ300を押圧可能な位置に設けられている。押圧コロ2071と矯正コロ2072とは、空気抜き経路205に対して交差する方向(チューブ伸び方向W)に延びる共通の軸2073で互いに一体回動可能に支持されている。押圧コロ2071と矯正コロ2072とは回動方向において90度、位相が異なるように設けられている。開閉弁207は、図9(a)に示すように押圧コロ2071でチューブ300を押圧しているときには、矯正コロ2072はチューブ300を押圧しない位置を占め、図9(b)に示すように矯正コロ2072でチューブ300を押圧コロ2071と異なる方向から押圧しているときには、押圧コロ2071はチューブ300を押圧しない位置を占めるように構成されている。押圧コロ2071は、図9(a)に示す閉位置を占めたときに、チューブ300を完全につぶして内部の流路300aが閉塞する長さに設定されている。
すなわち、押圧コロ2071は、押圧コロ2071が流路300aを閉じる閉位置にあるときチューブ300を押圧し、閉位置から流路300aを開く開位置へと回動するに従い流路300aに対する押圧を解除するように構成されている。
【0025】
矯正コロ2072は、押圧コロ2071によって押し潰されて閉じる方向(押圧方向)Dと交差するチューブ伸び方向Wに延びたチューブ300を、チューブ伸び方向Wから挟み込んでつぶれたチューブ300の断面を開く方向E1、E2(復元する方向)に押圧して矯正するものである。
矯正コロ2072は、チューブ伸び方向Wに間隔W1をあけて配置された当接面2072a、2072bを備えている。当接面2072a、2072bは、押圧コロ2071が閉位置(図9(a))を占めている場合には互いの間隔W1が最大値W1Aであり、押圧コロ2071が開位置(図9(b))を占めている場合には互いの間隔W1が最小値W1Bとなるように連続した傾斜面として形成されている。
最大値W1Aは、図9(c4)に示すようにチューブ300がチューブ伸び方向Wにのびた最大値と同一か幾分大きな寸法に設定することで、押圧コロ2071によるチューブ300の変形が阻害されることを防止できるので好ましい。最小値W1Bは、押圧コロ2071が開位置を占めたときに、図9(c5)に示すように、チューブ300のチューブ伸び方向Wの変形が少なく、チューブ内の流路300aが解放可能な大きさである。
【0026】
すなわち、矯正コロ2072は、押圧コロ2071が閉位置にあるときには、チューブ300に対して流路300aを開く方向E1、E2へ加える力が作用せず、押圧コロ2071が閉位置から開位置へ向かって回動するのに伴い、チューブ300に対して流路300aを開く方向E1、E2へ力を加えるように構成されている。
また、当接面2072a、2072bは、押圧コロ2071が閉位置から開位置に向かって回動するのに伴い、チャーブ300に対して流路300aを開く方向E1、E2への力が大きくなるようにそれぞれ形成されている。
つまり、押圧コロ2071は、軸2073の回転中心Оから空気抜き経路205に当接する面2071aまでの距離Lが回転中心Оから変形前の空気抜き経路205の外周面300bまでの距離L1よりも長く形成されていて、流路300aを閉じる閉位置を占めたときに空気抜き経路205押圧するように形成されている。
また、矯正コロ2072は、回転中心Оからその先端2072cまでの距離L2が回転中心Оから変形前の空気抜き経路205の外周面300bまでの距離よりも長く形成されていて、交差する方向において互いに対向する当接面2072a、2072bを有している。そして当接面2072a、2072bの間には空間部2074が形成されていて、空間部2074の幅(間隔W1B)は、押圧コロ2071によって変形された空気抜き経路205の幅(W1A)よりも狭く形成されている。
【0027】
このように矯正コロ2072は、押圧コロ2071が閉状態から開状態へと移動されるに従い、その間隔W1が狭くなるように形成された当接面2072a、2072bを備えているので、押圧コロ2071の開位置への回動にともない、その間隔W1が徐々に狭められる。このため、チューブ300自身の復元に追従するようにチューブ300に対してアシスト力を付与することができるので、無理なくチューブ300を流路300aが解放される方向(開き方向E1、E2)に矯正することができるため、チューブ300(流路300a/空気抜き経路205)の確実な開閉を行える。
【0028】
図11図12は、図9のチューブ300(流路300a)が閉じている状態を0°、チューブ300(流路300a)が開らいている状態を90°としたときの押圧コロ2071と矯正コロ2072との位置関係を示すものである。同図において実線は、押圧コロ2071の位相とチューブ300の変形(流路300aの開閉状態)を示し、一転鎖線は、矯正コロ2072の位相とチューブ300の変形(流路300aの開閉状態)をそれぞれ示す。
流路300a(空気抜き経路205)を開けるために、押圧コロ2071を閉位置から90°回転すると、矯正コロ2072も連動して移動して貼付が発生したチューブ300を強制的に矯正することができる。図9の一点鎖線は、第1実施形態による矯正コロ2072によるチューブ300の矯正を示す。第1実施形態では、押圧コロ2071が完全に開放される回転角度15°からチューブ300の矯正を開始し、回転角度45°以降は常にチューブ300を矯正している構成である。
【0029】
なお、第1実施形態においては、押圧コロ2071の回動を規制するストッパ部材303で回転角度90°以上回転しない構造になっている。また、チューブ300はその材質により内部の流路300aを開閉する閾値が異なるが、押圧コロ2071で潰す位置はこの閾値よりもチューブ300を押し潰す方向に設定され、確実に流路300aを閉じる構造となっている。
一方、矯正コロ2072で矯正する位置は、流路300aを開閉する閾値よりもチューブ300を押し潰さない方向に設定され、チューブ300の貼り付きが矯正される位置では流路300aが必ず開放される構造となっている。
【0030】
図11に示す点線は、本発明の第2実施形態による開閉の特性を示すものである。第2実施形態は、矯正コロ2072の当接面2072a、2072bの形状(傾斜角度)を第1実施形態と異なるように形成したものである。第2実施形態では、回転角度90°(開状態)において押圧コロ2071、矯正コロ2072のどちらもチューブ300に触れていない構造となっている。矯正コロ2072で矯正した状態において、流路300aは開放されているが、チューブ300が完全に開放された状態に比べると、矯正コロ2072によって流路断面が狭くなっているため、より確実に空気を排出する経路を確保する目的で回転角度75°から矯正をしない形状としている。
【0031】
図12に示す一点鎖線と破線は、本発明の第3実施形態による管路開閉部材となる開閉弁207Aの開閉の特性を示すものである。第3実施形態にかかる開閉弁207Aは、図13に示すように、押圧コロ2071による開閉特性は第1実施形態と同様であるが、第2部材として2つの矯正コロ2072C、2072Dを備えている点で、第1、第2実施形態と異なっている。矯正コロ2072C、2072Dは、矯正コロ2072同様、互いに間隔をあけて形成した当接面2072a、2072bをそれぞれ備えている。第3実施形態にかかる開閉弁207Aは、図13に示すように、1つのサブタンク4(タンクケース21)の表裏に2つのインク収容部22、空気抜き経路205を有する構成に対応するもので、一つの押圧コロ2071で2本のチューブ300を押し潰し、2つの矯正コロ2072C、2072Dが異なる回転角度でそれぞれ1本のチューブ300を矯正するように構成されている。図12の一転鎖線は一方の矯正コロ2072C、破線は他方の矯正コロ2072Dによる特性をそれぞれ示す。
このように、流路300aを有するチューブ300を複数備えた構成の場合、少なくとも第2部材をチューブ300の数と同数となるように設けることで、各チューブ300に対して個別に矯正力(復元時のアシスト力)を与えることができ、チューブ300をそれぞれ個別に矯正して、複数のチューブ300(流路300a/空気抜き経路205)の確実な開閉を行える。
【0032】
各実施形態においては、画像形成装置として複数のメインタンク(インクカートリッジ)26を備えたものに、管路開閉部材となる開閉弁207、207Aを適用した例を説明したが、図14に示すように、1つの(一種類)のメインタンク(インクカートリッジ)26を備えた画像形成装置においても、チューブ300(空気抜き経路205)がある場合には、上記実施形態で説明した開閉弁207、207Aを適用することで、上述の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0033】
上記実施形態では、サブタンク4を備えた液体吐出ユニット201に対して流体(液体)であるインクを外部から供給する外部補給型のメインタンク(インクカートリッジ)26に対するインク供給系の空気抜き経路205(流路300a/チューブ300)の開閉に開閉弁207、207Aを用いたが、このような形態に限定するものでない。
例えば、図14に示すように、サブタンク4を備えずメインタンク(インクカートリッジ)26からインクを直接、液体吐出ヘッド(ヘッド部202)に供給する形態に適用してもよい。この場合、電気制御式のバルブ54に替えて開閉弁207、207Aを用いることができる。この場合、の開閉弁207、207Aは作業者などの手動操作によって回動させる形態でなく、モータなどの駆動源を用いて開閉弁207、207Aの第1部材と第2部材を回動動作するようにすればよい。
すなわち、本発明に係る管路開閉部材は、押圧されることで変形させた管路を復元させる際に、復元方向への力を管路部材に付与することで、管路部材の復元(開放)が可能なものに適宜適用可能である。
また、開閉弁207、207Aにおいて、第1部材と第2部材は一体形成したものを例示したが、第1部材の回動動作に連動して第2部材も別な位相で回動動作できれば良い。このため、第1部材と第2部材は一体成型されたものではなく、個別に形成したものを一体化したものであってもよい。
【0034】
本願の用語における、画像形成、記録、印字、印写、印刷、造形等はいずれも同義語とする。また、「液体吐出ヘッド」とは、液体吐出ヘッドに他の機能部品、機構が一体化したものであり、液体を吐出する機能に関連する部品の集合体である。例えば、「液体吐出ユニット」は、ヘッドタンク、キャリッジ20、供給機構、維持回復機構25、主走査移動機構の構成の少なくとも一つを液体吐出ヘッド(ヘッド部202)と組み合わせたものなどが含まれる。
発明の実施の形態においては、ヘッド部202とヘッドタンクとなるサブタンクとを一体化して構成されたものを例示したが、ヘッド部202とキャリッジ20、ヘッド部202と主走査移動機構、ヘッド部202とキャリッジ20と主走査移動機構、ヘッド部202とキャリッジ20と維持回復機構25、ヘッド部202と供給機構を組み合わせたものであってもよい。
「液体吐出ヘッド」は、使用する圧力発生手段が限定されるものではない。例えば、圧電アクチュエータ(積層型圧電素子を使用するものでもよい。)以外にも、発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いるサーマルアクチュエータ、振動板と対向電極からなる静電アクチュエータなどを使用するものでもよい。
【0035】
ヘッド部202として説明した「液体吐出ヘッド」とは、ノズルから液体を吐出・噴射する機能部品である。吐出される液体は、ヘッドから吐出可能な粘度や表面張力を有するものであればよく、特に限定されないが、常温、常圧下において、または加熱、冷却により粘度が30mPa・s以下となるものであることが好ましい。より具体的には、水や有機溶媒等の溶媒、染料や顔料等の着色剤、重合性化合物、樹脂、界面活性剤等の機能性付与材料、DNA、アミノ酸やたんぱく質、カルシウム等の生体適合材料、天然色素等の可食材料、などを含む溶液、懸濁液、エマルジョンなどであり、これらは例えば、インクジェット用インク、表面処理液、電子素子や発光素子の構成要素や電子回路レジストパターンの形成用液、3次元造形用材料液等の用途で用いることができる。
液体を吐出するエネルギー発生源として、圧電アクチュエータ(積層型圧電素子及び薄膜型圧電素子)、発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いるサーマルアクチュエータ、振動板と対向電極からなる静電アクチュエータなどを使用するものが含まれる。
【0036】
「液体吐出ユニット」とは、液体吐出ヘッドに機能部品、機構が一体化したものであり、液体の吐出に関連する部品の集合体である。例えば、「液体吐出ユニット」は、ヘッドタンク、キャリッジ、供給機構、維持回復機構、主走査移動機構の構成の少なくとも一つを液体吐出ヘッドと組み合わせたものなどが含まれる。
【0037】
ここで、一体化とは、例えば、液体吐出ヘッドと機能部品、機構が、締結、接着、係合などで互いに固定されているもの、一方が他方に対して移動可能に保持されているものを含む。また、液体吐出ヘッドと、機能部品、機構が互いに着脱可能に構成されていても良い。
例えば、液体吐出ユニットとして、液体吐出ヘッドとヘッドタンクが一体化されているものがある。また、チューブなどで互いに接続されて、液体吐出ヘッドとヘッドタンクが一体化されているものがある。ここで、これらの液体吐出ユニットのヘッドタンクと液体吐出ヘッドとの間にフィルタを含むユニットを追加することもできる。
【0038】
液体吐出ユニットとして、液体吐出ヘッドを走査移動機構の一部を構成するガイド部材に移動可能に保持させて、液体吐出ヘッドと走査移動機構が一体化されているものがある。また、液体吐出ヘッドとキャリッジと主走査移動機構が一体化されているものがある。液体吐出ユニットとして、液体吐出ヘッドが取り付けられたキャリッジに、維持回復機構の一部であるキャップ部材を固定させて、液体吐出ヘッドとキャリッジと維持回復機構が一体化されているものがある。主走査移動機構は、ガイド部材単体も含むものとする。また、供給機構は、チューブ単体、装填部単体も含むものする。このような構成の液体吐出ユニットに本発明に係る回路開閉部材(開閉弁207,207A)を適用するものとできる。
【0039】
本願において、「液体を吐出する装置」は、液体吐出ヘッド又は液体吐出ユニットを備え、液体吐出ヘッドを駆動させて、液体を吐出させる装置である。液体を吐出する装置には、液体が付着可能なものに対して液体を吐出することが可能な装置だけでなく、液体を気中や液中に向けて吐出する装置も含まれる。
この「液体を吐出する装置」は、液体が付着可能なものの給送、搬送、排紙に係わる手段、その他、前処理装置、後処理装置なども含むことができる。
【0040】
上記実施形態において、液体を吐出する装置として電子写真方式の画像形成装置を例示したが、液体を吐出する装置としては、画像形成装置に限定されるものではない。例えば、「液体を吐出する装置」としては、立体造形物(三次元造形物)を造形するために、粉体を層状に形成した粉体層に造形液を吐出させる立体造形装置(三次元造形装置/3Dプリンタ)であってもよい。この場合、ヘッド部202に対して液状の樹脂材を供給する管路に、本発明に係る管路開閉部材(開閉弁207,207A)を設けて開閉可能とすればよい。
「液体を吐出する装置」は、吐出された液体によって文字、図形等の有意な画像が可視化されるものに限定されるものではない。例えば、それ自体意味を持たないパターン等を形成するもの、三次元像を造形するものも含まれる。
【0041】
上記「液体が付着可能なもの」とは、液体が少なくとも一時的に付着可能なものであって、付着して固着するもの、付着して浸透するものなどを意味する。具体例としては、用紙、記録紙、記録用紙、フィルム、布などの被記録媒体、電子基板、圧電素子などの電子部品、粉体層(粉末層)、臓器モデル、検査用セルなどの媒体であり、特に限定しない限り、液体が付着するすべてのものが含まれる。
上記「液体が付着可能なもの」の材質は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックスなど液体が一時的でも付着可能であればよい。
【0042】
「液体」は、ヘッドから吐出可能な粘度や表面張力を有するものであればよく、特に限定されないが、常温、常圧下において、または加熱、冷却により粘度が30mPa・s以下となるものであることが好ましい。より具体的には、水や有機溶媒等の溶媒、染料や顔料等の着色剤、重合性化合物、樹脂、界面活性剤等の機能性付与材料、DNA、アミノ酸やたんぱく質、カルシウム等の生体適合材料、天然色素等の可食材料、などを含む溶液、懸濁液、エマルジョンなどであり、これらは例えば、インクジェット用インク、表面処理液、電子素子や発光素子の構成要素や電子回路レジストパターンの形成用液、3次元造形用材料液等の用途で用いることができる。
【0043】
「液体を吐出する装置」は、液体吐出ヘッドと液体が付着可能なものとが相対的に移動する装置があるが、これに限定するものではない。具体例としては、液体吐出ヘッドを移動させるシリアル型装置、液体吐出ヘッドを移動させないライン型装置などが含まれる。
【0044】
「液体を吐出する装置」としては他にも、用紙の表面を改質するなどの目的で用紙の表面に処理液を塗布するために処理液を用紙に吐出する処理液塗布装置、原材料を溶液中に分散した組成液を、ノズルを介して噴射させて原材料の微粒子を造粒する噴射造粒装置などがある。
【0045】
すなわち、本実施形態に係る端子移動手段400を備えた情報読取装置300は、これら「液体を吐出する装置」、「液体吐出ユニット」、「液体吐出ヘッド」の少なくとも1つが、内容物に関する情報が記憶されたあるいは記憶可能な情報記憶部が装着された容器を備え、情報記憶部に記憶された情報を少なくとも端子を接触させて通信して読み書きするものに適用することができる。
【0046】
本発明の実施の形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施の形態に記載されたものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0047】
4 サブタンク
11 ノズル
26 メインタンク
29 液体(インク)
50 液体供給経路
202 液体吐出ヘッド
205 排気流路
207、207A 管路開閉部材、開閉弁
300 変形可能な管路部材
300a 流路
300b 外周面
2071 第1部材(押圧コロ)
2072、2072C、2072D 第2部材(矯正コロ)
2072a、2072b 当接面
2074 空間部
D 閉じる方向
E1、E2 開く方向、異なる方向
О 回転中心
L、L1、L2 距離
W 延びる方向
W1 延びる方向の間隔
W1A、W1B 間隔
【先行技術文献】
【特許文献】
【0048】
【文献】特許第4704134号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15