(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-22
(45)【発行日】2022-03-30
(54)【発明の名称】ネットワーク制御システム
(51)【国際特許分類】
H04L 41/04 20220101AFI20220323BHJP
【FI】
H04L41/04
(21)【出願番号】P 2018040969
(22)【出願日】2018-03-07
【審査請求日】2020-12-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100110607
【氏名又は名称】間山 進也
(72)【発明者】
【氏名】川島 慶弘
【審査官】宮島 郁美
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-061754(JP,A)
【文献】特表2013-526797(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0056968(US,A1)
【文献】特開2005-051473(JP,A)
【文献】特開2007-221565(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2017-0105946(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 41/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワーク制御手段が第1の規格の第1の通信経路を介して外部
機器と接続され、情報処理手段が前記第1の規格の第2の通信経路を介して前記ネットワーク制御手段に接続されてなるネットワーク制御システムであって、
前記第1の通信経路と前記第2の通信経路とは互いに異なるネットワークにあり、
前記ネットワーク制御手段は、
予め登録された送信元からパケットを受信した場合に、該パケットを前記第2の通信経路を介して前記情報処理手段に転送し、
前記情報処理手段は、
前記ネットワーク制御手段から転送されたパケットが予め登録された特定パケットであった場合に、前記第1の通信経路および前記第2の通信経路とは異なる第3の通信経路を介して、該特定パケットの指示内容を該ネットワーク制御手段に通知し、
前記ネットワーク制御手段は、
通知された前記指示内容を含む特殊パケットを生成し、生成した特殊パケットを前記第1の通信経路を介して前記外部機器に送信する、
ネットワーク制御システム。
【請求項2】
前記ネットワーク制御手段は、
前記外部機器から前記特殊パケットに対する応答パケットを受信した場合に、該応答パケットを前記第2の通信経路を介して前記情報処理手段に転送し、
前記情報処理手段は、
前記ネットワーク制御手段から転送された前記応答パケットの内容を記憶手段に保存する、
請求項1に記載のネットワーク制御システム。
【請求項3】
前記第3の通信経路は、
電気信号のHigh/Lowを出力する制御線である、請求項1または2に記載のネットワーク制御システム。
【請求項4】
前記第3の通信経路は、
汎用シリアル通信規格の通信経路である、請求項1または2に記載のネットワーク制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワーク制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
オフィスや工場などでは、セキュリティレベルが異なる複数のネットワークを運用する場合、セキュリティの観点から、各ドメインを完全に分離する運用を行うことが多い。一方で、ネットワークに接続された機器の情報収集や電源管理を一元的に行いたいという要請がある。
【0003】
特許文献1は、ネットワークに接続された機器の電源制御や状態監視をネットワークを介して遠隔で行う技術を開示する。
【0004】
しかしながら、特許文献1の技術は、対象となる機器が管理装置と同一のドメインに属していることを前提としており、管理装置とは別のドメインに属する機器を遠隔制御することができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、複数の異なるドメインに属する機器の一元管理を可能にするネットワーク制御システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、複数の異なるドメインに属する機器の一元管理を可能にするネットワーク制御システムにつき鋭意検討した結果、以下の構成に想到し、本発明に至ったのである。
【0007】
すなわち、本発明によれば、ネットワーク制御手段と情報処理手段とが第1の規格の第1の通信経路を介して接続されてなるネットワーク制御システムであって、前記ネットワーク制御手段は、前記第1の規格の他の通信経路を介して外部機器に接続され、予め登録された送信元からパケットを受信した場合に、該パケットを前記第1の通信経路を介して前記情報処理手段に転送し、前記情報処理手段は、前記ネットワーク制御手段から転送されたパケットが予め登録された特殊パケットであった場合に、該特殊パケットの指示内容を前記第1の通信経路とは異なる第2の通信経路を介して該ネットワーク制御手段に通知し、前記ネットワーク制御手段は、通知された前記指示内容を含む特殊パケットを生成し、生成した特殊パケットを前記他の通信経路を介して前記外部機器に送信する、ネットワーク制御システムが提供される。
【発明の効果】
【0008】
上述したように、本発明によれば、複数の異なるドメインに属する機器の一元管理を可能にするネットワーク制御システムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1の実施形態のネットワーク制御システム(MFP)を含むネットワークの構成を示す図。
【
図2】第1の実施形態のネットワーク制御システム(MFP)の内部構成を示す図。
【
図3】ネットワーク制御部が備える2つのテーブルを示す図。
【
図6】メイン制御部とネットワーク制御部を接続する制御線を示す図。
【
図7】第2の実施形態のネットワーク制御システムを含むネットワークの構成を示す図。
【
図8】第2の実施形態のネットワーク制御システムの内部構成を示す図。
【
図9】ネットワーク制御装置が備える3つのテーブルを示す図。
【
図11】情報処理装置とネットワーク制御装置を接続する制御線を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を、実施形態をもって説明するが、本発明は後述する実施形態に限定されるものではない。なお、以下に参照する各図においては、共通する要素について同じ符号を用い、適宜、その説明を省略するものとする。
【0011】
(第1実施形態)
図1は、本発明のネットワーク制御システムの第1の実施形態として参照されるMFP(Multi Function Printer)100を含むネットワーク1000の構成を示す。ネットワーク1000は、セキュリティレベルが異なる3系統のLAN(Local Area Network)からなる。
【0012】
LAN1~3は、セキュリティの観点から、Openlow技術を用いたSDNなどによって分離されており、LAN1には、管理用PC200と、PC1と、PC2と、プロジェクターと、レーザプリンタ(LP)が接続され、LAN2には、NASとサーバ2が接続され、LAN3には、PC3とサーバ1が接続されている。
【0013】
本実施形態のMFP100は、ネットワーク1000内の機器によって共用されるネットワーク対応の画像形成装置であり、メイン制御部10とネットワーク制御部30とを含んで構成されている。
【0014】
ネットワーク制御部30は、3系統のLAN1~3を介して外部機器(PC1、PC2、プロジェクター、LP、NAS、サーバ2、PC3、サーバ1)に接続されるとともに、LAN4を介してメイン制御部10のLANポートに接続されている。なお、LAN1~4は、同じ通信規格(TCP/IPプロトコル)の通信経路である。
【0015】
また、ネットワーク制御部30は、LAN1~3の各々から送信されるパケットのうち、特定のパケットのみをLAN4を介してメイン制御部10に転送する一方で、それ以外のパケットについては、セキュリティの観点から、これを遮断するように構成されている。ここで、LAN4を介してメイン制御部10に転送される特定のパケットとしては、PC1~3から送信される印刷要求パケットや管理用PC200から送信される電源制御用の特殊パケットを挙げることができる。
【0016】
続いて、
図2に基づいて本実施形態のMFP100の内部構成を説明する。
【0017】
図2に示すように、本実施形態のMFP100は、先に述べたメイン制御部10およびネットワーク制御部30に加えて、DC電源を各部に供給するとともに、電源のオンオフ制御を実施する電源制御部20と、原稿を光学走査して読取画像データを生成するスキャナ部22と、用紙に対して画像形成出力を実行するプロッタ部23と、ファクシミリの通信を行なうFAX部24と、各種の操作入力を受け付ける入力部25と、各種の操作・設定画面を表示する表示部26とを備える。
【0018】
メイン制御部10は、各部の制御を行う中央演算装置12と、MFP100の動作に必要なプログラムを格納する不揮発性メモリ13と、起動時に中央演算装置12が不揮発性メモリ13から読みだしたプログラムを展開する揮発性メモリ14と、LANの制御を行うLAN制御IC15と、電源のオン/オフ信号を電源制御部20に通知する電源制御IC16とを備える。
【0019】
なお、本実施形態では、メイン制御部10のLAN制御IC15と電源制御IC16に常時電源が供給されるようになっている。
【0020】
一方、ネットワーク制御部30は、メイン制御部40と、各種の入力を受け付ける入力部46と、各種の設定情報などを表示する表示部47と、DC電源を各部に供給するとともに、電源のオン/オフ制御を実施する電源制御部48とを備える。
【0021】
メイン制御部40は、各部の制御を行う中央演算装置42と、ネットワーク動作に必要なプログラムや後述するテーブルを格納する不揮発性メモリ43と、起動時に中央演算装置42が不揮発性メモリ13から読みだしたプログラムを展開する揮発性メモリ44と、LANの制御を行うLAN制御IC45とを備える。
【0022】
なお、本実施形態では、電源制御部48とメイン制御部40のLAN制御IC45に常時電源が供給されるようになっている。
【0023】
図3(a)および(b)は、ネットワーク制御部30の不揮発性メモリ43に格納される2つのテーブルを示す。ここで、テーブル1は、ネットワーク制御部30がLAN4を介してメイン制御部10に転送すべき特殊パケットの送信元である管理用PC200を登録するテーブルであり、管理用PC200の属性情報として、所属するドメイン名、機器名、MACアドレスおよびIPアドレスを格納する。一方、テーブル2は、管理用PC200が所属するドメインとは異なるドメインに所属する機器を登録するテーブルであり、各機器の属性情報として、所属するドメイン名、機器名、MACアドレスおよびIPアドレスを格納する。
【0024】
以上、本実施形態のMFP100の内部構成について説明したが、続いて、管理用PC200から電源オフを指示する特殊パケット(以下、電源オフパケットという)を受信したときにMFP100が実行する電源オフ処理の内容を
図4に示すフローチャートに基づいて説明する。なお、以下の説明においては、適宜、
図1および
図2を参照するものとする。
【0025】
まず、ステップ101で、ネットワーク制御部30が管理用PC200から電源オフパケットを受信する。
【0026】
続くステップ102では、ネットワーク制御部30が、不揮発性メモリ43に格納されたテーブル1(
図3(a))を参照し、パケットの送信元がテーブル1に登録されているか否かを判断する。具体的には、受信したパケットのヘッダ情報に含まれるMACアドレスがテーブル1に格納された管理用PC200のMACアドレスと一致するか否かに基づいて登録の有無を判断する。
【0027】
その結果、パケットの送信元がテーブル1に登録されていない場合は(ステップ102、No)、続くステップ109で、受信したパケットを破棄して、処理を終了する。一方、パケットの送信元がテーブル1に登録されている場合は(ステップ102、Yes)、処理はステップ103に進む。
【0028】
続くステップ103では、ネットワーク制御部30が、管理用PC200から受信した電源オフパケットをLAN4を介してメイン制御部10のみに転送する(すなわち、LAN4以外のドメインには転送しない)。
【0029】
続くステップ104では、電源オフパケットを受信したメイン制御部10が、不揮発性メモリ13に格納されたプログラムに基づいてシャットダウンのシーケンスを実行する。なお、このとき、メイン制御部10のLAN制御IC15および電源制御IC16ならびに電源制御部20への電源供給は維持される。
【0030】
シャットダウンシーケンスが完了すると、続くステップ105で、メイン制御部10が電源制御部20に対して電源オフを指示し、続くステップ106で、電源制御部20がMFP100の電源をオフする。
【0031】
続くステップ107では、メイン制御部10が、電源オフの指示を、LAN4ではなく、LAN4の通信規格(TCP/IPプロトコル)とは異なる規格の通信経路を介してネットワーク制御部30に通知する。ここで、本実施形態では、
図6に示すように、メイン制御部10とネットワーク制御部30の間が電気信号のHigh/Lowを出力する2本の制御線A、Bで接続されており、メイン制御部10は、制御線AをHighレベルとし、制御線BをLowレベルとすることで、電源オフの指示を示す制御信号Aをネットワーク制御部30に送信する。
【0032】
続くステップ108では、ネットワーク制御部30が、メイン制御部10から通知された電源オフの指示を含む電源オフパケットを生成し、生成した電源オフパケットをテーブル2(
図3(b))に登録された各機器に送信する。具体的には、LAN2に接続された機器(NAS、サーバ2)およびLAN3に接続された機器(サーバ1、PC3)に宛てて電源オフパケットを送信し、処理を終了する。
【0033】
以上、MFP100が実行する電源オフ処理について説明したが、続いて、管理用PC200から電源オンを指示する特殊パケット(以下、電源オンパケットという)を受信したときにMFP100が実行する電源オン処理の内容を
図5に示すフローチャートに基づいて説明する。
【0034】
まず、ステップ201で、ネットワーク制御部30が管理用PC200から電源オンパケットを受信する。
【0035】
続くステップ202では、ネットワーク制御部30が、不揮発性メモリ43に格納されたテーブル1(
図3(a))を参照し、パケットの送信元がテーブル1に登録されているか否かを上述した手順で判断する。
【0036】
その結果、パケットの送信元がテーブル1に登録されていない場合は(ステップ202、No)、続くステップ208で、受信したパケットを破棄して、処理を終了する。一方、パケットの送信元がテーブル1に登録されている場合は(ステップ202、Yes)、処理はステップ203に進む。
【0037】
続くステップ203では、ネットワーク制御部30が、管理用PC200から受信した電源オンパケットをLAN4を介してメイン制御部10のみに転送する(すなわち、LAN4以外のドメインには転送しない)。
【0038】
続くステップ204では、メイン制御部10が電源制御部20に対して電源オンを指示する。これを受けて、続くステップ205で、電源制御部20がMFP100の電源をオンし、中央演算装置12が不揮発性メモリ13に格納された起動プログラムを呼び出して、MFP100が起動する。
【0039】
続くステップ206では、メイン制御部10が、電源オンの指示を、LAN4ではなく、LAN4の通信規格(TCP/IPプロトコル)とは異なる規格の通信経路を介してネットワーク制御部30に通知する。具体的には、制御線AをLowレベルとし、制御線BをHighレベルとすることで、電源オンの指示を示す制御信号Bをネットワーク制御部30に送信する。
【0040】
続くステップ207では、ネットワーク制御部30が、メイン制御部10から通知された電源オンの指示を含む電源オンパケットを新たに生成し、生成した電源オンパケットをテーブル2(
図3(b))に登録された各機器(NAS、サーバ2、サーバ1、PC3)に宛てて送信して、処理を終了する。
【0041】
以上、説明したように、本実施形態によれば、管理用PC200は、別のドメインに所属する機器の電源制御を遠隔で行うことが可能になる。
【0042】
なお、上述した実施形態では、ネットワーク制御部30がMFP100の内部に搭載される態様を例示的に示したが、ネットワーク制御部30は、別モジュールとしてMFP100の外部に設置される形でもよい。
【0043】
また、上述した実施形態では、管理用PC200(特殊パケットの送信元)をMACアドレスに基づいて識別する態様を例示的に示したが、管理用PC200を特定しうるその他の属性に基づいて識別するようにしてもよい。
【0044】
また、上述した実施形態では、メイン制御部10がソフト制御によってネットワーク制御部30に電源オフの指示を通知する態様を示したが、ネットワーク制御部30がMFP100の電源断を自律的に検知し、これに応答して電源オフパケットを生成するようにしてもよい。
【0045】
以上、本発明の第1実施形態を説明してきたが、続いて、本発明の第2実施形態を説明する。
【0046】
(第2実施形態)
図7は、本発明の第2の実施形態であるネットワーク制御システム500を工場に適用した場合のネットワーク2000の構成を示す。ネットワーク2000は、3系統のLAN(Local Area Network)からなる。
【0047】
LAN1~3は、不正操作や事故を防止する目的で、Openlow技術を用いたSDNなどによって分離されており、LAN1には管理用PC200が接続され、LAN2には、ラインAに属する各機器(PC1、PC2、ロボット1、ロボット2、工作機1、工作機2)が接続され、LAN3にはラインBに属する各機器(PC3、PC4、ロボット3、ロボット4、工作機3、工作機4)が接続され、LAN4には情報処理装置400が接続されている。
【0048】
本実施形態のネットワーク制御システム500は、ネットワーク制御装置300と情報処理装置400とを含んで構成されており、両者はLAN4を介して通信可能に接続されている。
【0049】
ネットワーク制御装置300は、3系統のLAN1~3を介して外部機器(PC1~4、ロボット1~4、工作機1~4)に接続されるとともに、LAN4を介してメイン制御部10のLANポートに接続されている。なお、LAN1~4は、同じ通信規格(TCP/IPプロトコル)の通信経路である。
【0050】
また、ネットワーク制御装置300は、LAN1~3の各々から送信されるパケットのうち、特定のパケットのみをLAN4を介して情報処理装置400に転送する一方で、それ以外のパケットについては、セキュリティの観点から、これを遮断するように構成されている。ここで、LAN4を介して情報処理装置400に転送される特定のパケットとしては、管理用PCから送信される特殊パケットやラインA、Bの各機器から送信される特殊パケットに対する応答パケットを挙げることができる。
【0051】
続いて、
図8に基づいて情報処理装置400とネットワーク制御装置300の内部構成を説明する。
【0052】
図8に示すように、情報処理装置400は、メイン制御部50と、DC電源を各部に供給するとともに、電源のオンオフ制御を実施する電源制御部59と、各種の操作入力を受け付ける入力部57と、各種の操作・設定画面を表示する表示部58とを備え、これに加えて、不揮発性の記憶手段60を備える。なお、記憶手段60は、2台以上のHDDで構成してもよく、その場合、データ保護のためにRAIDを活用してもよい。
【0053】
メイン制御部50は、各部の制御を行う中央演算装置52と、情報処理装置400の動作に必要なプログラムを格納する不揮発性メモリ53と、起動時に中央演算装置52が不揮発性メモリ53から読みだしたプログラムを展開する揮発性メモリ54と、LANの制御を行うLAN制御IC55と、電源のオン/オフ信号を電源制御部59に通知する電源制御IC56とを備える。
【0054】
一方、ネットワーク制御装置300は、メイン制御部70と、各種の入力を受け付ける入力部76と、各種の設定情報などを表示する表示部77と、DC電源を各部に供給するとともに、電源のオン/オフ制御を実施する電源制御部78とを備える。
【0055】
そして、メイン制御部70は、各部の制御を行う中央演算装置72と、ネットワーク動作に必要なプログラムや後述するテーブルを格納する不揮発性メモリ73と、起動時に中央演算装置72が不揮発性メモリ53から読みだしたプログラムを展開する揮発性メモリ74と、LANの制御を行うLAN制御IC75とを備える。
【0056】
図9(a)~(c)は、不揮発性メモリ73に格納される3つのテーブルを示す。ここで、テーブル3は、ネットワーク制御装置300がLAN4を介してメイン制御部10に転送すべき特殊パケットの送信元である管理用PC200を登録するテーブルであり、管理用PC200の属性情報として、所属するドメイン名、機器名、MACアドレスおよびIPアドレスを格納する。テーブル4は、特殊パケットを登録するテーブルであり、パケットが指示する処理内容、パケットの内容および2本の制御線A、B(後述する)の論理を格納する。テーブル5は、特殊パケットの送信先の機器を登録するテーブルであり、ラインAおよびラインBに属する各機器の属性情報として、所属するドメイン名、機器名、MACアドレス、IPアドレスおよび対応可能な特殊パケットのパターン番号を格納する。
【0057】
以上、本実施形態の情報処理装置400とネットワーク制御装置300の内部構成について説明したが、続いて、管理用PC200が機器情報の取得に係る各種の特殊パケットを送付したときに、情報処理装置400とネットワーク制御装置300が協働して実行する機器情報取得処理の内容を
図10に示すフローチャートに基づいて説明する。なお、以下の説明においては、適宜、
図7および
図8を参照するものとする。
【0058】
まず、ステップ301で、ネットワーク制御装置300が管理用PC200から特殊パケットを受信する。
【0059】
続くステップ302では、ネットワーク制御装置300が、不揮発性メモリ73に格納されたテーブル3(
図9(a))を参照し、パケットの送信元がテーブル3に登録されているか否かを第1実施形態で述べたのと同様の手順で判断する。
【0060】
その結果、パケットの送信元がテーブル3に登録されていない場合は(ステップ302、No)、続くステップ314で、受信したパケットを破棄して、処理を終了する。一方、パケットの送信元がテーブル3に登録されている場合は(ステップ302、Yes)、処理はステップ303に進む。
【0061】
続くステップ303では、ネットワーク制御装置300が、管理用PC200から受信した特殊パケットをLAN4を介して情報処理装置400のみに転送する(すなわち、LAN4以外のドメインには転送しない)。
【0062】
続くステップ304では、情報処理装置400のメイン制御部50が、受信した特殊パケットが不揮発性メモリ73に格納されたテーブル4(
図9(b))に登録されているか否かを判断する。
【0063】
その結果、受信した特殊パケットがログの取得を指示するパケット(0x10101010)として登録されていた場合には(ステップ305、Yes)、続くステップ306で、情報処理装置400のメイン制御部50が、ログ取得の指示を、LAN4ではなく、LAN4の通信規格(TCP/IPプロトコル)とは異なる規格の通信経路を介してネットワーク制御装置300に通知する。ここで、本実施形態では、
図11に示すように、情報処理装置400とネットワーク制御装置300の間が電気信号のHigh/Lowを出力する2本の制御線A、Bで接続されており、情報処理装置400は、テーブル4(
図9(b))の値に基づいて、制御線AをHighレベルとし、制御線BをLowレベルとすることで、ログ取得の指示を示す制御信号Aをネットワーク制御装置300に送信する。
【0064】
一方、受信した特殊パケットが機器の動作状況の取得を指示するパケット(0x55555555)として登録されていた場合には(ステップ305、No→ステップ307、Yes)、続くステップ308で、情報処理装置400のメイン制御部50が、機器動作状況の取得の指示を、LAN4ではなく、LAN4の通信規格(TCP/IPプロトコル)とは異なる規格の通信経路を介してネットワーク制御装置300に通知する。具体的には、テーブル4(
図9(b))の値に基づいて、制御線AをLowレベルとし、制御線BをHighレベルとすることで、機器動作状況の取得の指示を示す制御信号Bをネットワーク制御装置300に送信する。
【0065】
一方、受信した特殊パケットがテーブル4に登録されていない場合には(ステップ305、No→ステップ307、No)、続くステップ314で、受信したパケットを破棄して、処理を終了する。
【0066】
ステップ306またはステップ308に続くステップ309では、ネットワーク制御装置300が、情報処理装置400から通知された指示内容を含む特殊パケットを新たに生成する。具体的には、制御信号Aを受信した場合は、ログ取得を指示するパケット(以下、ログ取得パケットという)を生成し、制御信号Bを受信した場合は、機器動作状況の取得を指示するパケット(以下、機器動作状況取得パケットという)を生成する。その後、ネットワーク制御装置300は、生成した特殊パケットをテーブル5(
図9(c)参照)に登録された各機器(PC1~4、ロボット1~4、工作機1~4)に宛てて送信する。
【0067】
ネットワーク制御装置300から特殊パケットを受信したラインA、Bに属する各機器は、受信したパケットが指示する機器情報(ログファイルまたは動作状況ファイル)を含む応答パケットを生成して、ネットワーク制御装置300に送信する。
【0068】
これを受けて、ステップ310では、ネットワーク制御装置300が、ラインA、Bに属する各機器から応答パケットを受信し、続くステップ311で、受信した応答パケットをLAN4を介して情報処理装置400のみに転送する(すなわち、LAN4以外のドメインには転送しない)。
【0069】
続くステップ312では、情報処理装置400が、受信した応答パケットに含まれる機器情報を記憶手段60に保存する。
【0070】
これを受けて、続くステップ313では、管理用PC200がLAN1を介して情報処理装置400にアクセスして、記憶手段60に保存された機器情報を取得する。
【0071】
以上、説明したように、本実施形態によれば、管理用PC200は、別のドメインに所属するラインA、Bの各機器の機器情報を取得することができるようになり、セキュリティを担保しつつ、機器の管理工数を削減することが可能になる。
【0072】
以上、本発明について実施形態をもって説明してきたが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。
【0073】
例えば、上述した実施形態では、情報処理手段(メイン制御部10、情報処理装置400)が2本の制御線のHigh/Lowレベルで指示内容をネットワーク制御手段(ネットワーク制御部30、ネットワーク制御装置300)に通知する態様を示したが、別の実施形態では、一本の制御線上で異なるパルス信号を送信することより複数の指示内容を通知するようにしてもよいし、USBやUARTなどの汎用のシリアル通信規格を用いて通知するようにしてもよい。
【0074】
また、ネットワーク制御手段は、パターンマッチングを利用して特殊パケットを生成してもよいし、ソフトウェアでパケットを生成してもよいし、ASICなどのハード制御でパケットを生成してもよい。
【0075】
その他、当業者が推考しうる実施態様の範囲内において、本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
【0076】
なお、上述した実施形態の各機能は、C、C++、C#、Java(登録商標)などで記述されたプログラムにより実現でき、本実施形態のプログラムは、ハードディスク装置、CD-ROM、MO、DVD、フレキシブルディスク、EEPROM、EPROMなどの記録媒体に格納して頒布することができ、また他の装置が可能な形式でネットワークを介して伝送することができる。
【符号の説明】
【0077】
10…メイン制御部
12…中央演算装置
13…不揮発性メモリ
14…揮発性メモリ
15…LAN制御IC
16…電源制御IC
20…電源制御部
22…スキャナ部
23…プロッタ部
24…FAX部
25…入力部
26…表示部
30…ネットワーク制御部
40…メイン制御部
42…中央演算装置
43…不揮発性メモリ
44…揮発性メモリ
45…LAN制御IC
46…入力部
47…表示部
48…電源制御部
50…メイン制御部
52…中央演算装置
53…不揮発性メモリ
54…揮発性メモリ
55…LAN制御IC
56…電源制御IC
57…入力部
58…表示部
59…電源制御部
60…記憶手段
70…メイン制御部
72…中央演算装置
73…不揮発性メモリ
74…揮発性メモリ
75…LAN制御IC
76…入力部
77…表示部
78…電源制御部
100…ネットワーク制御システム(MFP)
200…管理用PC
300…ネットワーク制御装置
400…情報処理装置
500…ネットワーク制御システム
1000…ネットワーク
2000…ネットワーク
【先行技術文献】
【特許文献】
【0078】