(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-22
(45)【発行日】2022-03-30
(54)【発明の名称】パルス光ビームのスペクトル特性選択及びパルスタイミング制御
(51)【国際特許分類】
H01S 3/13 20060101AFI20220323BHJP
H01S 3/00 20060101ALI20220323BHJP
G03F 7/20 20060101ALI20220323BHJP
【FI】
H01S3/13
H01S3/00 A
G03F7/20 521
G03F7/20 502
(21)【出願番号】P 2020545695
(86)(22)【出願日】2019-03-01
(86)【国際出願番号】 US2019020415
(87)【国際公開番号】W WO2019190700
(87)【国際公開日】2019-10-03
【審査請求日】2020-10-29
(32)【優先日】2018-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-04-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513192029
【氏名又は名称】サイマー リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】オブライエン,ケビン,マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ダフィー,トーマス,パトリック
(72)【発明者】
【氏名】ソーンズ,ジョシュア,ジョン
【審査官】村井 友和
(56)【参考文献】
【文献】特表2005-501399(JP,A)
【文献】特開昭59-084487(JP,A)
【文献】特開2011-249832(JP,A)
【文献】特開平02-307285(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01S 3/00-3/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パルス繰り返し率で増幅光ビームのパルスのバーストを生成し、前記パルスをリソグラフィ露光装置に送出することと、
前記パルスバーストの生成中に、前記パルス繰り返し率と相関する周波数でスペクトル特性アジャスタを離散状態セット間で駆動することであって、各離散状態は前記増幅光ビームのスペクトル特性の予め設定された複数の離散値の中の前記スペクトル特性の離散値に対応し、前記バースト内のパルスが生成されるたびに、前記スペクトル特性アジャスタは前記離散状態のうち1つになり、前記増幅光ビームパルスはその離散状態に対応するスペクトル特性を有する、スペクトル特性アジャスタを駆動することと、
前記パルスバーストの生成と生成との間の、パルスが生成されていない時、前記リソグラフィ露光装置から受信される情報に関連したやり方で前記スペクトル特性アジャスタを駆動することと、
次のバースト内のパルスの生成時に、前記スペクトル特性アジャスタが前記増幅光ビームの前記スペクトル特性の離散値に対応する前記離散状態のうち1つであることを保証することと、
を含む方法。
【請求項2】
前記リソグラフィ露光装置から受信される情報に関連したやり方で前記スペクトル特性アジャスタを駆動することは、前記パルス繰り返し率と相関する周波数で前記スペクトル特性アジャスタを駆動することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記次のバースト内の前記パルスの生成時に前記スペクトル特性アジャスタが前記離散状態であることを保証することは、前記パルス繰り返し率におけるパルス間の時間間隔の整数倍となるようにバースト間時間間隔を調整することを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記次のバースト内の前記パルスの生成時に前記スペクトル特性アジャスタが前記離散状態であることを保証することは、
前記リソグラフィ露光装置から、前記次のバーストの生成を要求する時に関する指示を受信することと、
前記受信した指示が、前記次のバースト内の最初のパルスの生成の時点と前記スペクトル特性アジャスタが前記離散状態にある時点との間の時間のずれを示す場合、前記受信した指示に基づいて、前記スペクトル特性アジャスタの駆動に関連付けられた駆動信号の周波数及び位相のうち1つ以上を修正することと、
を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記リソグラフィ露光装置から受信される情報に関連したやり方で前記スペクトル特性アジャスタを駆動することは、1つ以上の固定パラメータに従って前記スペクトル特性アジャスタを駆動することと、前記次のパルスバーストを生成するための前記リソグラフィ露光装置からの要求を受信することと、を含み、
前記次のバースト内の前記パルスの生成時に前記スペクトル特性アジャスタが離散状態であることを保証することは、前記次のパルスバーストを生成するための前記リソグラフィ露光装置からの前記要求の受信に対して前記次のパルスバーストの生成をゼロよりも大きい時間期間だけ遅延させることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
リソグラフィ露光装置と通信し、前記リソグラフィ露光装置から情報を受信するように構成されたインタフェースと、
スペクトル特性アジャスタと、
前記インタフェース及び前記スペクトル特性アジャスタと通信している光学装置であって、
基板をパターニングするために前記リソグラフィ露光装置が使用する増幅光ビームのパルスのバーストをパルス繰り返し率で生成し、
前記パルスバーストの生成中に、前記パルス繰り返し率と相関する周波数で前記スペクトル特性アジャスタを離散状態セット間で駆動し、各離散状態は前記増幅光ビームのスペクトル特性の予め設定された複数の離散値の中の前記スペクトル特性の離散値に対応し、前記バースト内のパルスが生成されるたびに、前記スペクトル特性アジャスタは前記離散状態のうち1つになり、前記増幅光ビームパルスはその離散状態に対応するスペクトル特性を有し、
前記パルスバーストの生成と生成との間の、パルスが生成されていない時、前記インタフェースにおいて前記リソグラフィ露光装置から受信される情報に関連したやり方で前記スペクトル特性アジャスタを駆動し、
次のバースト内のパルスの生成時に、前記スペクトル特性アジャスタが前記増幅光ビームの前記スペクトル特性の離散値に対応する前記離散状態のうち1つであることを保証する、
ように構成された光学装置と、
を備える装置。
【請求項7】
前記増幅光ビームの前記スペクトル特性は前記増幅光ビームの波長である、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記光学装置は、前記インタフェース及
びドライブアクチュエータと通信している制御装置を含み、前記制御装置は、
前記リソグラフィ露光装置からの前記パルス繰り返し率を含む前記リソグラフィ露光装置からの要求に関する指示を前記インタフェースから受信し、
前記リソグラフィ露光装置から受信した情報に基づく駆動信号を前記ドライブアクチュエータに送信する、
ように構成されている、請求項6に記載の装置。
【請求項9】
前記スペクトル特性アジャスタは前駆光ビームと光学的に相互作用する光学デバイスを含み、前記光学デバイスの各離散状態は前記スペクトル特性アジャスタの離散状態に対応する、請求項6に記載の装置。
【請求項10】
前記光学装置は、
第1のパルス光ビームを発生するように構成された第1のガス放電段であって、第1のガス放電チャンバを含み、前記第1のガス放電チャンバは、エネルギ源を収容すると共に、第1の利得媒体を含むガス混合物を包含している、第1のガス放電段と、
前記第1のパルス光ビームを受け、前記第1のパルス光ビームを増幅することにより前記光学装置から前記増幅光ビームを生成するように構成された第2のガス放電段であって、第2のガス放電チャンバを含み、前記第2のガス放電チャンバは、エネルギ源を収容すると共に、第2の利得媒体を含むガス混合物を包含している、第2のガス放電段と、
を含む、請求項6に記載の装置。
【請求項11】
パルス繰り返し率で増幅光ビームのパルスのバーストを生成するよう光源に命令することと、
前記生成したパルスをリソグラフィ露光装置に送出することと、
前記パルスバーストの生成中に、前記パルス繰り返し率と相関する周波数でスペクトル特性アジャスタを離散状態セット間で駆動することであって、各離散状態は前記増幅光ビームのスペクトル特性の予め設定された複数の離散値の中の前記スペクトル特性の離散値に対応する、スペクトル特性アジャスタを駆動することと、
前記パルスバーストの生成と生成との間の、パルスが生成されていない時、パラメータセットによって規定される駆動信号に従って前記スペクトル特性アジャスタを駆動することと、
前記リソグラフィ露光装置に対する命令、前記スペクトル特性アジャスタに対する前記駆動信号、及び/又は前記光源に対する前記命令のうち1つ以上を調整することによって、次のバースト内のパルスの生成時に前記スペクトル特性アジャスタが前記増幅光ビームの前記スペクトル特性の離散値に対応する前記離散状態のうち1つであることを保証することと、
を含む方法。
【請求項12】
前記次のバースト内の前記パルスの生成時に前記スペクトル特性アジャスタが前記増幅光ビームの前記スペクトル特性の前記離散値に対応する前記離散状態のうち1つであることを保証することは、前記スペクトル特性アジャスタに対する前記駆動信号を調整することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記リソグラフィ露光装置から、前記次のバーストの生成を要求する時に関する指示を受信することを更に含み、
前記スペクトル特性アジャスタに対する前記駆動信号を調整することは、前記リソグラフィ露光装置からの前記受信した指示に基づいて、前記スペクトル特性アジャスタに送信される前記駆動信号の周波数及び位相のうち1つ以上を修正することを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記次のバースト内の前記パルスの生成時に前記スペクトル特性アジャスタが前記増幅光ビームの前記スペクトル特性の前記離散値に対応する前記離散状態のうち1つであることを保証することは、前記次のバースト内の前記パルスの生成時に前記スペクトル特性アジャスタが前記離散状態のうち1つであるように、前記次のパルスバーストを生成するための前記リソグラフィ露光装置からの要求の受信に対して前記次のパルスバーストの生成をゼロよりも大きい時間期間だけ遅延させることを含む、前記光源に対する前記命令を調整することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記パルス繰り返し率と相関する前記周波数で前記スペクトル特性アジャスタを前記離散状態セット間で駆動することは、
前記増幅光ビームの各パルスごとに前記増幅光ビームの波長が2つの別個の波長間で変化するように前記スペクトル特性アジャスタを駆動すること、又は
前記増幅光ビームの1つおきのパルスごとに前記増幅光ビームの前記波長が2つの別個の波長間で変化するように前記スペクトル特性アジャスタを駆動すること、
を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記次のバースト内の前記パルスの生成時に前記スペクトル特性アジャスタが前記離散状態のうち1つであることを保証することは、前記次のバースト内の最初のパルスの生成時に前記スペクトル特性アジャスタが前記離散状態のうち1つであることを保証することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
リソグラフィ露光装置と通信するように構成されたインタフェースと、
スペクトル特性アジャスタと、
光源と、
前記インタフェース、前記スペクトル特性アジャスタ、及び前記光源と通信している制御装置であって、
基板をパターニングするために前記リソグラフィ露光装置が使用する増幅光ビームのパルスのバーストをパルス繰り返し率で生成するよう前記光源に命令し、
前記パルスバースト中に、前記パルス繰り返し率と相関する周波数で前記スペクトル特性アジャスタを離散状態セット間で駆動し、各離散状態は前記増幅光ビームのスペクトル特性の予め設定された複数の離散値の中の前記スペクトル特性の離散値に対応し、
前記パルスバーストの生成と生成との間の、パルスが生成されていない時、パラメータセットによって規定される駆動信号に従って前記スペクトル特性アジャスタを駆動し、
前記リソグラフィ露光装置に対する命令、前記スペクトル特性アジャスタに対する前記駆動信号、及び/又は前記光源に対する前記命令のうち1つ以上を調整することによって、次のバースト内のパルスの生成時に前記スペクトル特性アジャスタが前記増幅光ビームの前記スペクトル特性の離散値に対応する前記離散状態のうち1つであることを保証する、
ように構成された制御装置と、
を備える装置。
【請求項18】
前記制御装置は、前記スペクトル特性アジャスタに対する前記駆動信号を調整することによって、前記次のバースト内の前記パルスの生成時に前記スペクトル特性アジャスタが前記増幅光ビームの前記スペクトル特性の前記離散値に対応する前記離散状態のうち1つであることを保証するように構成されている、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記スペクトル特性アジャスタは、前記光学装置と通信していると共に前記スペクトル特性アジャスタを前記離散状態セット間で駆動するように構成されたドライブアクチュエータを含む、請求項17に記載の装置。
【請求項20】
前記スペクトル特性アジャスタは前駆光ビームと光学的に相互作用する光学デバイスを含み、前記光学デバイスの各離散状態は前記スペクトル特性アジャスタの離散状態に対応する、請求項19に記載の装置。
【請求項21】
前記光学デバイスの離散状態は、前記光学デバイスが前記前駆光ビームと相互作用する離散位置である、請求項20に記載の装置。
【請求項22】
前記光学デバイスは、前記前駆光ビームが通過するプリズムを含む、請求項20に記載の装置。
【請求項23】
前記光源は、前記増幅光ビームを出力するように構成された少なくとも1つの増幅段を含む、請求項17に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
[0001] 本出願は、2018年3月30日に出願された「Spectral Feature Selection and Pulse Timing Control of a Pulsed Light Beam」と題するUS出願第62/650,896号、及び、2018年4月27日に出願された「Spectral Feature Selection and Pulse Timing Control of a Pulsed Light Beam」と題するUS出願第62/663,308号に対する優先権を主張する。これらの特許出願は双方とも援用により全体が本願に含まれる。
【0002】
[0002] 開示されている主題は、例えば、リソグラフィ露光装置に光を供給する光源から出力された光ビームの帯域幅又は波長のようなスペクトル特性(spectral feature)を制御することに関する。
【背景技術】
【0003】
[0003] 半導体リソグラフィ(又はフォトリソグラフィ)において、集積回路(IC)を製造するには、半導体(例えばシリコン)基板(ウェーハとも呼ばれる)に対して様々な物理的プロセス及び化学プロセスを実行する必要がある。リソグラフィ露光装置(スキャナとも呼ばれる)は、基板のターゲット領域に所望のパターンを適用する機械である。ウェーハは、スキャナの直交するXL方向及びYL方向によって規定された像面に沿って概ね延出するようにステージに固定されている。ウェーハは、紫外線範囲すなわち可視光とx線との間の波長を有する、従って約10ナノメートル(nm)~約400nmの波長を有する光ビームで照射される。このため、光ビームは、例えば約100nm~約400nmの波長を含む深紫外線(DUV)範囲内の波長、又は約10nm~約100nmの波長を含む極端紫外線(EUV)範囲内の波長を有し得る。これらの波長範囲は精密でなく、DUV又はEUVと見なされる光は重複することがある。
【0004】
[0004] 光ビームは、スキャナのZL方向と一致する軸方向に沿って進む。スキャナのZL方向は像面(XL-YL)に直交する。光ビームは、ビームデリバリユニットを通過し、レチクル(又はマスク)でフィルタリングされた後、調製済みのウェーハに投影される。ウェーハと光ビームとの相対位置を像面内で移動させ、ウェーハの各ターゲット領域でプロセスが繰り返される。このようにして、チップ設計はフォトレジストにパターニングされ、このフォトレジストにエッチング及び洗浄が行われ、次いでプロセスが繰り返される。
【0005】
[0005] 多くの科学的用途及び工業用途において、レーザ等の光源から出力された光ビームのスペクトル特性又は特徴(property)(例えば帯域幅又は波長)の正確な知識は重要である。例えば、光源の帯域幅の正確な知識を用いて、深紫外線(DUV)光リソグラフィにおける最小フィーチャサイズ又はクリティカルディメンション(CD)を制御することが可能となる。クリティカルディメンションは、半導体基板(ウェーハとも呼ばれる)に印刷されるフィーチャサイズであり、従ってCDは微細なサイズ制御を必要とする可能性がある。
【発明の概要】
【0006】
[0006] いくつかの全体的な態様において、方法は、パルス繰り返し率で増幅光ビームのパルスのバーストを生成することと、パルスをリソグラフィ露光装置に送出することと、を含む。方法は、パルスバーストの生成中に、パルス繰り返し率と相関する周波数でスペクトル特性アジャスタを離散状態セット間で駆動することを含む。各離散状態は、増幅光ビームのスペクトル特性の予め設定された複数の離散値の中のスペクトル特性の離散値に対応し、バースト内のパルスが生成されるたびに、スペクトル特性アジャスタは離散状態のうち1つになり、増幅光ビームパルスはその離散状態に対応するスペクトル特性を有する。方法は、パルスバーストの生成と生成との間の、パルスが生成されていないときに、リソグラフィ露光装置から受信される情報に関連したやり方でスペクトル特性アジャスタを駆動することを含む。更に、方法は、次のバースト内のパルスの生成時に、スペクトル特性アジャスタが増幅光ビームのスペクトル特性の離散値に対応する離散状態のうち1つであることを保証することを含む。
【0007】
[0007] 実施は、以下の特徴(feature)のうち1つ以上を含み得る。例えば、パルス繰り返し率と相関する周波数でスペクトル特性アジャスタを駆動することによって、リソグラフィ露光装置から受信される情報に関連したやり方でスペクトル特性アジャスタを駆動することができる。方法は、パルス繰り返し率におけるパルス間の時間間隔の整数倍となるようにバースト間時間間隔を調整することによって、次のバースト内のパルスの生成時にスペクトル特性アジャスタが離散状態であることを保証できる。バースト間時間間隔は、バースト内の最後のパルスと次のバースト内の最初のパルスとの間の時間間隔とすることができる。
【0008】
[0008] 方法は、次のバースト内のパルスの生成時にスペクトル特性アジャスタが離散状態であることを保証するため、リソグラフィ露光装置から、次のバーストの生成を要求する時に関する指示を受信し、受信した指示が、次のバースト内の最初のパルスの生成の時点とスペクトル特性アジャスタが離散状態にある時点との間の時間のずれを示す場合、受信した指示に基づいて、スペクトル特性アジャスタの駆動に関連付けられた1つ以上のパラメータを修正することができる。スペクトル特性アジャスタに関連付けられた駆動信号の周波数及び位相のうち1つ以上を修正することによって、スペクトル特性アジャスタの駆動に関連付けられた1つ以上のパラメータを修正できる。また、方法は、スペクトル特性アジャスタが駆動される周波数がずれのために修正された場合、次のバーストの開始時に、スペクトル特性アジャスタが駆動される周波数をパルス繰り返し率と相関するように変更することを更に含み得る。
【0009】
[0009] 増幅光ビームのスペクトル特性は増幅光ビームの波長とすることができる。増幅光ビームのパルスの波長は深紫外線範囲内とすることができる。増幅光ビームの各パルスごとに増幅光ビームの波長が2つの別個の波長間で変化するようにスペクトル特性アジャスタを駆動することによって、パルス繰り返し率と相関する周波数でスペクトル特性アジャスタを離散状態セット間で駆動できる。
【0010】
[0010] 増幅光ビームの1つおきのパルスごとに増幅光ビームの波長が2つの別個の波長間で変化するようにスペクトル特性アジャスタを駆動することによって、パルス繰り返し率と相関する周波数でスペクトル特性アジャスタを離散状態セット間で駆動できる。
【0011】
[0011] 正弦波駆動信号に従ってスペクトル特性アジャスタを駆動することによって、スペクトル特性アジャスタを離散状態セット間で駆動できる。
【0012】
[0012] 前駆光ビーム(pre-cursor light beam)と相互作用する光学系を離散位置間で移動させることによって、スペクトル特性アジャスタを駆動できる。光学系の各離散位置は離散状態に対応し、増幅光ビームは前駆光ビームから生成される。前駆光ビームが通過するプリズムを回転させることによって、光ビームと相互作用する光学系を移動させることができる。
【0013】
[0013] スペクトル特性アジャスタが駆動される周波数はパルス繰り返し率の2分の1とすることができる。スペクトル特性アジャスタが駆動される周波数はパルス繰り返し率の4分の1とすることができる。
【0014】
[0014] 方法は、次のバースト内の最初のパルスの生成時にスペクトル特性アジャスタが離散状態のうち1つであることを保証することによって、次のバースト内のパルスの生成時にスペクトル特性アジャスタが離散状態のうち1つであることを保証できる。
【0015】
[0015] 1つ以上の固定パラメータに従ってスペクトル特性アジャスタを駆動し、次のパルスバーストを生成するためのリソグラフィ露光装置からの要求を受信することによって、リソグラフィ露光装置から受信される情報に関連したやり方でスペクトル特性アジャスタを駆動することができる。方法は、次のパルスバーストを生成するためのリソグラフィ露光装置からの要求の受信に対して次のパルスバーストの生成をゼロよりも大きい時間期間だけ遅延させることによって、次のバースト内のパルスの生成時にスペクトル特性アジャスタが離散状態であることを保証できる。次のパルスバースト内のパルスの生成時にスペクトル特性アジャスタを増幅光ビームのスペクトル特性の離散値に対応する離散状態のうち1つに駆動できるまで次のパルスバーストを遅延させることによって、次のパルスバーストの生成をその時間期間だけ遅延させることができる。
【0016】
[0016] パルスバーストの生成と生成との間のパルスバーストが生成されていないときにスペクトル特性アジャスタが駆動されるやり方に関連するリソグラフィ露光装置からの情報は、バーストが終了する前に受信することができる。パルスバーストの生成と生成との間のパルスバーストが生成されていないときにスペクトル特性アジャスタが駆動されるやり方に関連するリソグラフィ露光装置からの情報は、パルスバーストの生成と生成との間に受信することができる。
【0017】
[0017] 方法は、リソグラフィ露光装置に信号を送信することによって、次のバースト内のパルスの生成時にスペクトル特性アジャスタが離散状態のうち1つであることを保証できる。信号は、パルスバーストの生成と生成との間のパルスが生成されていないときにどのようにスペクトル特性アジャスタが駆動されるかに関する情報を含む。
【0018】
[0018] 他の全体的な態様において、装置は、リソグラフィ露光装置と通信し、リソグラフィ露光装置から情報を受信するように構成されたインタフェースと、スペクトル特性アジャスタと、インタフェース及びスペクトル特性アジャスタと通信している光学装置と、を含む。光学装置は、基板をパターニングするためにリソグラフィ露光装置が使用する増幅光ビームのパルスのバーストをパルス繰り返し率で生成し、パルスバーストの生成中に、パルス繰り返し率と相関する周波数でスペクトル特性アジャスタを離散状態セット間で駆動し、各離散状態は増幅光ビームのスペクトル特性の予め設定された複数の離散値の中のスペクトル特性の離散値に対応し、バースト内のパルスが生成されるたびに、スペクトル特性アジャスタは離散状態のうち1つになり、増幅光ビームパルスはその離散状態に対応するスペクトル特性を有し、パルスバーストの生成と生成との間の、パルスが生成されていない時に、インタフェースにおいてリソグラフィ露光装置から受信される情報に関連したやり方でスペクトル特性アジャスタを駆動し、次のバースト内のパルスの生成時に、スペクトル特性アジャスタが増幅光ビームのスペクトル特性の離散値に対応する離散状態のうち1つであることを保証する、ように構成されている。
【0019】
[0019] 実施は、以下の特徴のうち1つ以上を含み得る。例えば、増幅光ビームのスペクトル特性は増幅光ビームの波長とすることができる。
【0020】
[0020] スペクトル特性アジャスタは、光学装置と通信していると共にスペクトル特性アジャスタを離散状態セット間で駆動するように構成されたドライブアクチュエータを含むことができる。光学装置は、インタフェース及びドライブアクチュエータと通信している制御装置を含むことができる。制御装置は、リソグラフィ露光装置からのパルス繰り返し率を含むリソグラフィ露光装置からの要求に関する指示をインタフェースから受信し、リソグラフィ露光装置から受信した情報に基づく駆動信号をドライブアクチュエータに送信するように構成できる。ドライブアクチュエータに送信される駆動信号は正弦波駆動信号とすることができる。
【0021】
[0021] スペクトル特性アジャスタは前駆光ビームと光学的に相互作用する光学デバイスを含み、光学デバイスの各離散状態はスペクトル特性アジャスタの離散状態に対応することができる。光学デバイスの離散状態は、光学デバイスが前駆光ビームと相互作用する離散位置とすることができる。光学デバイスは、前駆光ビームが通過するプリズムを含むことができる。光学デバイスはドライブアクチュエータに物理的に結合することができる。
【0022】
[0022] 光学装置は、第1のパルス光ビームを発生するように構成された第1のガス放電段と、第1のパルス光ビームを受け、第1のパルス光ビームを増幅することにより光学装置から増幅光ビームを生成するように構成された第2のガス放電段と、を含むことができる。
【0023】
[0023] 第1のガス放電段は第1のガス放電チャンバを含み、第1のガス放電チャンバは、エネルギ源を収容すると共に、第1の利得媒体を含むガス混合物を包含することができる。第2のガス放電段は第2のガス放電チャンバを含み、第2のガス放電チャンバは、エネルギ源を収容すると共に、第2の利得媒体を含むガス混合物を包含することができる。
【0024】
[0024] 光学装置は、パルス繰り返し率と相関する周波数でスペクトル特性アジャスタを駆動することによって、インタフェースでリソグラフィ露光装置から受信される情報に関連したやり方でスペクトル特性アジャスタを駆動するように構成できる。光学装置は、パルス繰り返し率におけるパルス間の時間間隔の整数倍となるようにバースト間時間間隔を調整することによって、次のバースト内のパルスの生成時にスペクトル特性アジャスタが離散状態であることを保証するように構成できる。バースト間時間間隔は、最後のパルスと次のバースト内のパルスとの間の時間間隔である。
【0025】
[0025] 光学装置は、インタフェースから、リソグラフィ露光装置が次のバーストの生成を要求する時に関する指示を受信し、受信した指示が、次のバースト内のパルスの生成とスペクトル特性アジャスタが離散状態にある時点との間の時間のずれを示す場合、受信した指示に基づいて、スペクトル特性アジャスタに送信される駆動信号に関連付けられた1つ以上のパラメータを修正することによって、次のバースト内のパルスの生成時にスペクトル特性アジャスタが離散状態であることを保証するように構成できる。修正される1つ以上のパラメータは、スペクトル特性アジャスタのドライブアクチュエータに供給される駆動信号の周波数及び/又は位相のうち1つ以上を含むことができる。周波数がずれのために修正された場合、光学装置は、次のバーストの開始時に、駆動信号の周波数をパルス繰り返し率と相関するように変更するよう構成できる。
【0026】
[0026] 光学装置は、1つ以上の固定パラメータに従ってスペクトル特性アジャスタを駆動し、次のパルスバーストを生成するためのリソグラフィ露光装置からの要求を受信することによって、インタフェースでリソグラフィ露光装置から受信される情報に関連したやり方でスペクトル特性アジャスタを駆動するように構成できる。光学装置は、次のパルスバーストを生成するためのリソグラフィ露光装置からインタフェースで受信される要求の受信に対して次のパルスバーストの生成をゼロよりも大きい時間期間だけ遅延させることによって、次のバースト内のパルスの生成時にスペクトル特性アジャスタが離散状態であることを保証するように構成できる。
【0027】
[0027] 光学装置は、次のパルスバースト内のパルスの生成時にスペクトル特性アジャスタを増幅光ビームのスペクトル特性の離散値に対応する離散状態のうち1つに駆動することができるまで次のパルスバーストを遅延させることによって、次のパルスバーストの生成を遅延させるように構成できる。
【0028】
[0028] 光学装置は、増幅光ビームを出力するように構成された少なくとも1つの増幅段を有する光源を含むことができる。スペクトル特性アジャスタはスペクトル特性選択装置の一部とすることができ、スペクトル特性選択装置は光源から前駆光ビームを受ける。スペクトル特性選択装置は、前駆光ビームと相互作用するように配置された分散光学素子と、分散光学素子と光源との間の前駆光ビームの経路に配置された複数のプリズムと、を含む。スペクトル特性アジャスタは複数のプリズムのうちのプリズムの1つとすることができ、スペクトル特性アジャスタの離散状態セットは、前駆光ビームがプリズムと相互作用するプリズムの離散位置セットである。プリズムは、プリズム軸を中心として離散角度セットに回転させることによって離散位置セット間で駆動することができる。
【0029】
[0029] いくつかの全体的な態様において、方法は、パルス繰り返し率で増幅光ビームのパルスのバーストを生成するよう光源に命令することと、生成したパルスをリソグラフィ露光装置に送出することと、を含む。方法は、パルスバーストの生成中に、パルス繰り返し率と相関する周波数でスペクトル特性アジャスタを離散状態セット間で駆動することを含み、各離散状態は増幅光ビームのスペクトル特性の予め設定された複数の離散値の中のスペクトル特性の離散値に対応する。方法は、パルスバーストの生成と生成との間の、パルスが生成されていない時に、パラメータセットによって規定される駆動信号に従ってスペクトル特性アジャスタを駆動することを含む。また、方法は、リソグラフィ露光装置に対する命令、スペクトル特性アジャスタに対する駆動信号、及び/又は光源に対する命令のうち1つ以上を調整することによって、次のバースト内のパルスの生成時にスペクトル特性アジャスタが増幅光ビームのスペクトル特性の離散値に対応する離散状態のうち1つであることを保証することを含む。
【0030】
[0030] 実施は、以下の特徴のうち1つ以上を含み得る。例えば、スペクトル特性アジャスタに対する駆動信号を調整することによって、次のバースト内のパルスの生成時にスペクトル特性アジャスタが増幅光ビームのスペクトル特性の離散値に対応する離散状態のうち1つであることを保証できる。方法は、リソグラフィ露光装置から、次のバーストの生成を要求する時に関する指示を受信することができる。リソグラフィ露光装置からの受信した指示に基づいて、スペクトル特性アジャスタに送信される駆動信号のパラメータのうち1つ以上を修正することによって、スペクトル特性アジャスタに対する駆動信号を調整できる。スペクトル特性アジャスタに送信される駆動信号の周波数及び位相のうち1つ以上を修正することによって、スペクトル特性アジャスタに送信される駆動信号の1つ以上のパラメータを修正できる。次のバースト内のパルスの生成時にスペクトル特性アジャスタが離散状態のうち1つであるように1つ以上のパラメータの修正を可能とするため、次のパルスバーストを生成するためのリソグラフィ露光装置から受信される要求は、リソグラフィ露光装置から受信される指示から充分な時間だけ遅延させることができる。遅延は約25~35ミリ秒(ms)とすることができる。
【0031】
[0031] 方法は、光源に対する命令を調整することによって、次のバースト内のパルスの生成時にスペクトル特性アジャスタが増幅光ビームのスペクトル特性の離散値に対応する離散状態のうち1つであることを保証できる。次のバースト内のパルスの生成時にスペクトル特性アジャスタが離散状態のうち1つであるように、次のパルスバーストを生成するためのリソグラフィ露光装置からの要求の受信に対して次のパルスバーストの生成をゼロよりも大きい時間期間だけ遅延させることによって、光源に対する命令を調整できる。次のパルスバースト内のパルスの生成時にスペクトル特性アジャスタを増幅光ビームのスペクトル特性の離散値に対応する離散状態のうち1つに駆動することができるまで次のパルスバーストを遅延させることによって、次のパルスバーストの生成を遅延させることができる。方法は、光源に対する命令を調整しながら、パラメータセットで規定される駆動信号に従ってスペクトル特性アジャスタを駆動し続けることを含む。
【0032】
[0032] 方法は、リソグラフィ露光装置に対する命令を調整することによって、次のバースト内のパルスの生成時にスペクトル特性アジャスタが増幅光ビームのスペクトル特性の離散値に対応する離散状態のうち1つであることを保証できる。パルスバーストの生成と生成との間のパルスが生成されていない時にどのようにスペクトル特性アジャスタが駆動されるかに関する情報を含む信号を、リソグラフィ露光装置に送信することによって、リソグラフィ露光装置に対する命令を調整できる。方法は、リソグラフィ露光装置から次のバーストを生成するためのトリガ要求を受信することを含むことができる。トリガ要求は、リソグラフィ露光装置に対する調整された命令に基づき、次のパルスバースト内のパルスが生成される時が、スペクトル特性アジャスタが離散状態のうち1つに達する瞬間(moment)と同期されることを保証する。トリガ要求は、光源に対する命令内の電気パルスを遅延させるように調整できる。
【0033】
[0033] 増幅光ビームのスペクトル特性は増幅光ビームの波長とすることができる。
【0034】
[0034] バースト内のパルスが生成されるたびに、スペクトル特性アジャスタは離散状態のうち1つになり、増幅光ビームパルスはその離散状態に対応するスペクトル特性を有することができる。
【0035】
[0035] 増幅光ビームの各パルスごとに増幅光ビームの波長が2つの別個の波長間で変化するようにスペクトル特性アジャスタを駆動することによって、パルス繰り返し率と相関する周波数でスペクトル特性アジャスタを離散状態セット間で駆動できる。増幅光ビームの1つおきのパルスごとに増幅光ビームの波長が2つの別個の波長間で変化するようにスペクトル特性アジャスタを駆動することによって、パルス繰り返し率と相関する周波数でスペクトル特性アジャスタを離散状態セット間で駆動できる。
【0036】
[0036] 正弦波駆動信号に従ってスペクトル特性アジャスタを駆動することによって、離散状態セット間でスペクトル特性アジャスタを駆動できる。
【0037】
[0037] 前駆光ビームと相互作用する光学系を離散位置間で移動させることによって、スペクトル特性アジャスタを駆動できる。光学系の各離散位置は離散状態に対応し、増幅光ビームは前駆光ビームから生成される。
【0038】
[0038] 方法は、次のバースト内の最初のパルスの生成時にスペクトル特性アジャスタが離散状態のうち1つであることを保証することによって、次のバースト内のパルスの生成時にスペクトル特性アジャスタが離散状態のうち1つであることを保証できる。
【0039】
[0039] 他の全体的な態様において、装置は、リソグラフィ露光装置と通信するように構成されたインタフェースと、スペクトル特性アジャスタと、光源と、インタフェース、スペクトル特性アジャスタ、及び光源と通信している制御装置と、を含む。制御装置は、基板をパターニングするためにリソグラフィ露光装置が使用する増幅光ビームのパルスのバーストをパルス繰り返し率で生成するよう光源に命令し、パルスバースト中に、パルス繰り返し率と相関する周波数でスペクトル特性アジャスタを離散状態セット間で駆動し、各離散状態は増幅光ビームのスペクトル特性の予め設定された複数の離散値の中のスペクトル特性の離散値に対応し、パルスバーストの生成と生成との間の、パルスが生成されていない時に、パラメータセットによって規定される駆動信号に従ってスペクトル特性アジャスタを駆動し、リソグラフィ露光装置に対する命令、スペクトル特性アジャスタに対する駆動信号、及び/又は光源に対する命令のうち1つ以上を調整することによって、次のバースト内のパルスの生成時にスペクトル特性アジャスタが増幅光ビームのスペクトル特性の離散値に対応する離散状態のうち1つであることを保証する、ように構成されている。
【0040】
[0040] 実施は、以下の特徴のうち1つ以上を含み得る。例えば、制御装置は、スペクトル特性アジャスタに対する駆動信号を調整することによって、次のバースト内のパルスの生成時にスペクトル特性アジャスタが増幅光ビームのスペクトル特性の離散値に対応する離散状態のうち1つであることを保証するように構成できる。制御装置は、リソグラフィ露光装置から、インタフェースを経由して、次のバーストの生成を要求する時に関する指示を受信するように構成できる。制御装置は、リソグラフィ露光装置からの受信した指示に基づいて、スペクトル特性アジャスタに送信される駆動信号のパラメータのうち1つ以上を修正することにより、スペクトル特性アジャスタに対する駆動信号を調整できる。制御装置は、スペクトル特性アジャスタに送信される駆動信号の周波数及び位相のうち1つ以上を修正することによって、スペクトル特性アジャスタに送信される駆動信号の1つ以上のパラメータを修正するように構成できる。
【0041】
[0041] 制御装置は、光源に対する命令を調整することによって、次のバースト内のパルスの生成時にスペクトル特性アジャスタが増幅光ビームのスペクトル特性の離散値に対応する離散状態のうち1つであることを保証するように構成できる。制御装置は、次のバースト内のパルスの生成時にスペクトル特性アジャスタが離散状態のうち1つであるように、次のパルスバーストを生成するためのリソグラフィ露光装置からの要求の受信に対して次のパルスバーストの生成をゼロよりも大きい時間期間だけ遅延させることによって、光源に対する命令を調整できる。制御装置は、次のパルスバースト内のパルスの生成時にスペクトル特性アジャスタを増幅光ビームのスペクトル特性の離散値に対応する離散状態のうち1つに駆動することができるまで次のパルスバーストを遅延させることによって、次のパルスバーストの生成をその時間期間だけ遅延させることができる。制御装置は、パラメータセットによって規定される駆動信号に従ってスペクトル特性アジャスタを駆動し続けることができる。
【0042】
[0042] 制御装置は、リソグラフィ露光装置に対する命令を調整することによって、次のバースト内のパルスの生成時にスペクトル特性アジャスタが増幅光ビームのスペクトル特性の離散値に対応する離散状態のうち1つであることを保証するように構成できる。制御装置は、パルスバーストの生成と生成との間のパルスが生成されていない時にどのようにスペクトル特性アジャスタが駆動されるかに関する情報を含む信号を、リソグラフィ露光装置に送信することによって、リソグラフィ露光装置に対する命令を調整できる。制御装置は、リソグラフィ露光装置から次のバーストを生成するためのトリガ要求を受信するように構成することができ、トリガ要求は、リソグラフィ露光装置に対する調整された命令に基づき、次のパルスバースト内のパルスが生成される時が、スペクトル特性アジャスタが離散状態のうち1つに達する瞬間と同期されることを保証する。
【0043】
[0043] 増幅光ビームのパルスのスペクトル特性は増幅光ビームの波長とすることができる。
【0044】
[0044] スペクトル特性アジャスタは、制御装置と通信していると共にスペクトル特性アジャスタを離散状態セット間で駆動するように構成されたドライブアクチュエータを含むことができる。スペクトル特性アジャスタは前駆光ビームと光学的に相互作用する光学デバイスを含み、光学デバイスの各離散状態はスペクトル特性アジャスタの離散状態に対応することができる。光学デバイスの離散状態は、光学デバイスが前駆光ビームと相互作用する離散位置とすることができる。光学デバイスは、前駆光ビームが通過するプリズムを含むことができる。
【0045】
[0045] 光学デバイスはドライブアクチュエータに物理的に結合することができる。
【0046】
[0046] 光源は、第1のパルス光ビームを発生するように構成された第1のガス放電段と、第1のパルス光ビームを受け、第1のパルス光ビームを増幅することにより光学装置から増幅光ビームを生成するように構成された第2のガス放電段と、を含むことができる。
【0047】
[0047] 光源は、増幅光ビームを出力するように構成された少なくとも1つの増幅段を含むことができる。
【0048】
[0048] スペクトル特性アジャスタはスペクトル特性選択装置の一部とすることができ、スペクトル特性選択装置は光源から前駆光ビームを受ける。スペクトル特性選択装置は、前駆光ビームと相互作用するように配置された分散光学素子と、分散光学素子と光源との間の前駆光ビームの経路に配置された複数のプリズムと、を含むことができる。スペクトル特性アジャスタは複数のプリズムのうちのプリズムの1つとすることができ、スペクトル特性アジャスタの離散状態セットは、前駆光ビームがプリズムと相互作用するプリズムの離散位置セットである。プリズムは、プリズム軸を中心として離散角度セットに回転させることによって離散位置セット間で駆動することができる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【
図1】[0049] 増幅光ビームパルスをリソグラフィ露光装置に供給するための光学装置と、増幅光ビームのスペクトル特性を調整するスペクトル特性アジャスタと、を含む装置のブロック図である。
【
図2A】[0050] 増幅光ビーム2つのパルスバースト及び1つのバースト間ギャップにおける
図1の光学装置及びスペクトル特性アジャスタの動作を示すタイミング図である。
【
図2B】[0051]
図2Aのタイミング図の拡大図である。
【
図3】[0052] 増幅光ビームの光学スペクトルのグラフである。
【
図4】[0053]
図1のリソグラフィ露光装置の実施のブロック図である。
【
図5】[0054]
図1の装置の実施のブロック図である。
【
図6A】[0055] 少なくとも1つの光学デバイスを含むスペクトル特性アジャスタの実施の概略図である。
【
図6B】[0056]
図6Aのプリズムのうち1つの動作の実施を示す概略図である。
【
図7A】[0057] 増幅光ビームの第1のスペクトル特性に対応する第1の状態又は位置にある
図6Aのプリズムを示す概略図である。
【
図7B】[0058] 増幅光ビームの第2のスペクトル特性に対応する第2の状態又は位置にある
図7Aのプリズムを示す概略図である。
【
図8】[0059]
図1の光学装置の光源の実施のブロック図である。
【
図9】[0060] パルスバーストの生成中に動作している
図1の装置の実施のタイミング図であり、タイミング図の検討に関連付けて装置のブロック図が示されている。
【
図10】[0061] パルスバーストの生成と生成との間に動作している
図1の装置の実施のタイミング図であり、タイミング図の検討に関連付けて装置のブロック図が示されている。
【
図11】[0062] パルスバーストの生成と生成との間にスペクトル特性アジャスタがパルス繰り返し率と相関した周波数で駆動されるように動作している
図1の装置の実施のタイミング図、及び、タイミング図に関連する装置の対応するブロック図である。
【
図12】[0063] バースト間時間間隔に続く次のパルスバースト内のパルスとスペクトル特性アジャスタが離散状態のうち1つに達する瞬間との間の時間のずれを取り除くように動作している
図1の装置の実施のタイミング図、及び、タイミング図に関連する装置の対応するブロック図である。
【
図13】[0064] バースト間時間間隔に続く次のパルスバースト内のパルスとスペクトル特性アジャスタが離散状態のうち1つに達する瞬間との間の時間のずれを取り除くように動作している
図1の装置の実施のタイミング図、及び、タイミング図に関連する装置の対応するブロック図である。
【
図14】[0065] バースト間時間間隔に続く次のパルスバースト内のパルスとスペクトル特性アジャスタが離散状態のうち1つに達する瞬間との間の時間のずれを取り除くように動作している
図1の装置の実施のタイミング図、及び、タイミング図に関連する装置の対応するブロック図である。
【
図15】[0066] バースト間時間間隔に続く次のパルスバースト内のパルスとスペクトル特性アジャスタが離散状態のうち1つに達する瞬間との間の時間のずれを取り除くように動作している
図1の装置の実施のタイミング図、及び、タイミング図に関連する装置の対応するブロック図である。
【
図16】[0067] スペクトル特性アジャスタに提供される正弦波駆動信号の周波数がパルス繰り返し率の4分の1であるように動作している
図1の装置の実施のタイミング図である。
【
図17A】[0068] 装置がスペクトル特性アジャスタに提供することができる駆動信号の他の実施のグラフである。
【
図17B】[0068] 装置がスペクトル特性アジャスタに提供することができる駆動信号の他の実施のグラフである。
【
図17C】[0068] 装置がスペクトル特性アジャスタに提供することができる駆動信号の他の実施のグラフである。
【
図17D】[0068] 装置がスペクトル特性アジャスタに提供することができる駆動信号の他の実施のグラフである。
【
図18】[0069] リソグラフィ露光装置に送出され、バースト間ギャップの後に生成される各パルスが、所望の離散スペクトル特性セットの中の所望のスペクトル特性(波長)を有することを保証するための、
図1の装置によって実行される手順である。
【
図19A】[0070] 6つのパルスバーストにわたる装置の動作モードのシミュレーションを示すグラフであり、装置からのパルスの生成はスペクトル特性アジャスタの波形に重畳されている。
【
図19B】[0070] 6つのパルスバーストにわたる装置の動作モードのシミュレーションを示すグラフであり、装置からのパルスの生成はスペクトル特性アジャスタの波形に重畳されている。
【
図19C】[0070] 6つのパルスバーストにわたる装置の動作モードのシミュレーションを示すグラフであり、装置からのパルスの生成はスペクトル特性アジャスタの波形に重畳されている。
【
図19D】[0070] 6つのパルスバーストにわたる装置の動作モードのシミュレーションを示すグラフであり、装置からのパルスの生成はスペクトル特性アジャスタの波形に重畳されている。
【
図20A】[0071]
図19Aのグラフの2番目のパルスバーストの拡大図である。
【
図20B】[0071]
図19Bのグラフの2番目のパルスバーストの拡大図である。
【
図20C】[0071]
図19Cのグラフの2番目のパルスバーストの拡大図である。
【
図20D】[0071]
図19Dのグラフの2番目のパルスバーストの拡大図である。
【
図21】[0072] リソグラフィ露光装置に送出され、バースト間ギャップの後に生成される各パルスが、所望の離散スペクトル特性セットの中の所望のスペクトル特性(波長)を有することを保証するための、
図1の装置によって実行される手順である。
【発明を実施するための形態】
【0050】
[0073]
図1を参照すると、装置100は、増幅光ビーム110のパルスが生成されないバースト間ギャップ125の後にパルスバースト120のパルス115が生成される時にスペクトル特性アジャスタ105が確実に離散状態であるよう設計されている。スペクトル特性アジャスタ105は、増幅光ビーム110の少なくとも1つのスペクトル特性(波長又は帯域幅等)を調整するデバイス又は装置である。スペクトル特性アジャスタ105は、増幅光ビーム110の1つ以上のスペクトル特性を制御又は調整するように構成された任意のデバイスとすればよい。スペクトル特性アジャスタ105の離散状態は、増幅光ビーム110のスペクトル特性の離散値に対応する。増幅光ビーム110は光学装置130によって生成され、リソグラフィ露光装置135に供給され、リソグラフィ露光装置135は基板140をパターニングするために増幅光ビーム110を使用する。スペクトル特性の離散値は、リソグラフィ露光装置135から要求されるスペクトル特性の離散値セットのうち1つである。スペクトル特性アジャスタ105の狭い範囲の離散状態が、増幅光ビーム110のスペクトル特性の特定の値に対応するか又は特定の値を生成し得る。このため、「スペクトル特性アジャスタの離散状態」という言葉は、増幅光ビーム110のスペクトル特性の特定の所望の値に対応するスペクトル特性アジャスタ105の狭い範囲の離散状態を含む。
【0051】
[0074] リソグラフィ露光装置135は、基板140上で所望のパターニング又はリソグラフィの結果を得るように、増幅光ビーム110の1つ以上のスペクトル特性の値についての要件を設定する。リソグラフィ露光装置135は、基板140のパターニングに応じて、増幅光ビーム110の特定のスペクトル特性又は特定のスペクトル特性セットを必要とする。
【0052】
[0075] 一例において、リソグラフィ露光装置135は、増幅光ビーム110の各パルスが基板140のパターニングに使用される場合に複数の離散スペクトル特性から選択されたスペクトル特性を有することを必要とする。増幅光ビーム110の波長は、パルスごとに、離散的な異なる値のセットの中で変化することが望ましい場合がある。これは、連続する隣接パルスの各々で波長が変化することを意味し得る。あるいは、波長は、1つおきのパルスで変化する(従って波長は、連続する2つのパルスではある離散値を維持し、連続する2つのパルスでは別の離散値を維持する等である)。
【0053】
[0076] 波長の変化は、例えばリソグラフィ露光装置135の観点から有益な結果を生じ得る。具体的に述べると、増幅光ビーム110がリソグラフィ露光装置135を横断する際の色収差によって、増幅光ビーム110の波長と、(基板140の像面XL-YLに直交する軸方向に沿った)基板140における増幅光ビーム110のパルスの焦点面の位置との間に、相関性が発生し得る。また、増幅光ビーム110が基板140と相互作用するか又は基板140に入射する時の増幅光ビーム110の焦点面を変化させることが望ましい場合がある。従って、増幅光ビーム110の波長を変化させることにより、増幅光ビーム110の焦点面を調整できる。この例において、リソグラフィ露光装置135は、基板140のそのようなパターニングに必要なやり方で波長を調整するよう光学装置130に命令する。
【0054】
[0077] 更に、基板140にパターニングされるマイクロ電子フィーチャのサイズは増幅光ビーム110の波長に依存し、短い波長では最小フィーチャサイズ又はクリティカルディメンションが小さくなる。増幅光ビーム110の波長が248nm又は193nmである場合、マイクロ電子フィーチャの最小サイズは例えば50nm以下になり得る。多くの場合、基板140にパターニングするフィーチャは小型化することが望ましいので、増幅光ビーム110のパルスの波長は深紫外線(DUV)範囲内の波長を中心とし、例えば約10ナノメートル(nm)~約400nmの波長を含み得る。増幅光ビーム110の波長は、増幅光ビーム110を生成する光学装置130内の利得媒体の組成(makeup)によって決定される。これについては以下で検討する。
【0055】
[0078] 装置100は、リソグラフィ露光装置135と光学装置130との間の通信チャネル(有線又は無線とすることができる)131を可能とするインタフェース145を含む。例えば、リソグラフィ露光装置135からインタフェース145を介して光学装置130に情報が伝達される。光学装置130がリソグラフィ露光装置135から受信する情報は、増幅光ビーム110の1つ以上の特徴を変更するためのリソグラフィ露光装置135から光学装置130に対する要求を含み得る。インタフェース145は更に、光学装置130からリソグラフィ露光装置135に情報を提供することも可能である。また、光学装置130は、増幅光ビーム110を生成する光源150と、インタフェース145、光源150、及びスペクトル特性アジャスタ105と通信する制御装置180と、を含む。光学装置130は、
図1に示されていない他のコンポーネントも含み得る。
【0056】
[0079] 装置100の動作を可視化するため、
図2Aのタイミング
図200の一例を、
図2Bに示されている
図200の拡大
図2Bと共に参照する。タイミング
図200は、増幅光ビーム110のパルス115の2つのバースト120と1つのバースト間ギャップ125のみを示している。この例では、リソグラフィ露光装置135はインタフェース145にトリガ信号206を送信し、このトリガ信号206は光学装置130に伝達され、これに応答して光学装置130はスペクトル特性アジャスタ105に駆動信号217を送信する。スペクトル特性アジャスタ105の実際の状態(駆動信号217に基づいて変化する)は、波形218によって表される。スペクトル特性アジャスタ105は、
図200の0に等しい時点での静止状態(rest state)から、
図200のt(ss)に等しい時点での定常状態に駆動される。
【0057】
[0080] この例において、タイミング
図200の領域Aは、時点0で開始しバースト間ギャップ125(図示せず)の後に発生する第1のバースト120Aに相当し、次いで領域Bでバースト間ギャップ125Bが発生し、次いでタイミング
図200の領域Cで第2のバースト120Cが発生する。
図2A及び
図2Bの例は基本的な原理を示すことを意図した概略図であり、一定の縮尺通りでない可能性がある。例えば、
図2A及び
図2Bにおいて各バースト120は12のパルス115を含む。しかしながら、パルス115のバースト120は数十から数百又は数千までの任意の数のパルスを含むことができ、また、バースト間ギャップ125Bはタイミング
図200で表されるよりも長く又は短くすることができる。タイミング
図200は、単に基本的な原理を示すための一例として提供されている。
【0058】
[0081] トリガ信号206は、電気パルス207の列の形態とすることができ、隣接するパルス207はある時間間隔だけ離間されている(いくつかの時間フレームでは一定間隔とすることができる)。トリガ信号206の列の各電気パルス207は、リソグラフィ露光装置135に提供される増幅光ビーム110のパルス115を生成するよう光学装置130に命令する。タイミング
図200は、トリガ信号206と、増幅光ビーム110のパルス115の列211と、光学装置130がスペクトル特性アジャスタ105に提供する駆動信号217と、スペクトル特性アジャスタ105の実際の状態の波形218と、の関係の一例を示す。制御装置180は、インタフェース145と通信し、更に、スペクトル特性アジャスタ105に関連付けられたドライブアクチュエータ(
図5に示されているドライブアクチュエータ570等)と通信している。制御装置180は、インタフェース145から、リソグラフィ露光装置135からの要求に関する指示を受信するように構成されている。このような要求はパルス繰り返し率に関する情報を含む。ドライブアクチュエータ570に送信される駆動信号217は、リソグラフィ露光装置135から受信したこの情報に基づいている。
【0059】
[0082] この例で示されている駆動信号217は、三角形、連続的、かつ周期的な形態を有する。しかしながら、駆動信号217は三角形の形態に限定されない。例えば、後で詳しく検討するように、正弦波駆動信号又は方形波駆動信号のような他の形状も可能である。駆動信号217は、スペクトル特性アジャスタ105が様々な瞬間に複数のターゲット離散状態のうち1つ(例えば第1の状態218a及び第2の状態218b)になるように、スペクトル特性アジャスタ105を様々な位置又は状態に連続的に駆動又は修正する任意の信号形状である。
図2Aには2つのみのターゲット離散状態218a及び218bが示されているが、3つ以上のターゲット又は所望の離散状態が存在し得る。例えば、中間状態(例えば状態218aと218bとの間の状態)をターゲット又は所望の状態とすることができる。
【0060】
[0083] これは
図2A及び
図2Bに示されていないが、例えば定常状態中に適切に動作している場合、かつ、信号(例えばパルス列211、駆動信号217、及び波形218)が適切に位置合わせされている場合、複数の中の各ターゲット離散状態218a及び218bは、増幅光ビーム110のスペクトル特性の離散ターゲット値に対応する。また、駆動信号217は、ターゲット離散状態218aと218bとの間の波形218の全ての状態に沿ってスペクトル特性アジャスタ105を駆動する。従って、スペクトル特性アジャスタ105が中間状態である時(例えば領域Aの瞬間218c)にパルス115が生成された場合、このパルス115のスペクトル特性は、リソグラフィ露光装置135のターゲット又は所望のスペクトル特性のいずれか1つではない。これについては以下で領域Cを参照して更に詳しく検討する。
【0061】
[0084] スペクトル特性アジャスタ105の実際の状態は波形218で表されている。スペクトル特性アジャスタ105の状態はスペクトル特性アジャスタ105の位置とすることができる。更に、スペクトル特性アジャスタ105の各位置はスペクトル特性の特定の値に対応するので、パルス115の生成時の波形218の値は、パルス115の実際のスペクトル特性を示す。
【0062】
[0085] スペクトル特性アジャスタ105が第1の状態218aであるのと同時に生成される増幅光ビーム110のパルス115は、第1のターゲットスペクトル特性(例えば第1の波長)を有する。スペクトル特性アジャスタ105が第2の状態218bであるのと同時に生成される増幅光ビーム110のパルス115は、第2のターゲットスペクトル特性(例えば第2の波長)を有する。第1及び第2のスペクトル特性は、リソグラフィ露光装置135によって使用されるターゲット又は所望のスペクトル特性である。リソグラフィ露光装置135は、スペクトル特性アジャスタ105が、各パルス115の生成時に増幅光ビーム110のスペクトル特性の離散ターゲット値に対応する離散状態のうちの1つ(218a又は218b)であることを要求する。
【0063】
[0086] 領域Aで示されるように、バースト120Aの開始時、光学装置130で(インタフェース145を介して)第1のトリガパルス207_1Aが受信される。しかしながら、光学装置130は、時間遅延t1(第1のトリガパルス207_1Aに対して測定される)の後に増幅光ビーム110の第1のパルス115_1Aを生成する。光学装置130は第1のトリガパルス207_1Aに反応するため多少の時間量を必要とするので、この時間遅延t1は光学装置130の設計に固有のものである。例えば光学装置130は、第1のトリガパルス207_1Aを処理し(受信及び解析し)、次いで第1のパルス115_1Aを生成するための信号を光源150に与える。第1のトリガパルス207_1Aの受信から増幅光ビーム110の第1のパルス115_1Aの生成までに要する時間が、この時間遅延t1に相当する。更に、この時間遅延t1はこのバースト120Aのパルス115の列211内の各パルス115に伝えられる。つまり、列211内の各パルス115は、そのパルスを生成するよう光学装置130に命令する電気トリガパルス207に対して遅延している。また、一般に、この時間遅延t1は列211内の各パルス115において同一である。その理由は、電気トリガパルス207の受信の瞬間から対応するパルス115の生成までに要する時間は通常は変化しないからである。
【0064】
[0087] 領域A(並びに領域B及び領域C)において、増幅光ビーム110のパルス繰り返し率Rpは一定である。増幅光ビーム110のパルス繰り返し率Rpは、光学装置130によって増幅光ビーム110のパルス115が生成される速度である。増幅光ビーム110のパルス繰り返し率Rpは1/τであり、τは、隣接するパルス115の生成間の時間である。更に、隣接するパルス115の生成間のこの時間τは、隣接する電気トリガパルス207の生成間の時間でもある。いくつかの実施では、パルス繰り返し率Rpはキロヘルツ(kHz)のオーダーであり、例えば6kHzであり、この例では隣接するパルス115の生成間の時間τは167マイクロ秒(μ秒)である。増幅光ビーム110のパルス繰り返し率Rpはリソグラフィ露光装置135によって設定される。従って、パルス繰り返し率Rpは、リソグラフィ露光装置135からインタフェース145に伝達される情報の一部である。多くの場合、リソグラフィ露光装置135は、増幅光ビーム110のパルス115の特定のバースト120において繰り返し率Rpが一定である(又は特定の範囲内である)ことを要求する。
【0065】
[0088] 更に、各パルス115の長さ(
図2A及び
図2Bには示されていない)は、隣接するパルス間の時間τよりもはるかに短い。パルス115の長さは、パルス115の強度が最小強度を超えている時間長とすることができる。いくつかの実施では、パルス115の長さは、時間τよりも少なくとも1ケタ小さい。例えば、パルス115の長さは数十又は数百(例えば100)ナノ秒(ns)のオーダーとすることができ、隣接するパルス115間の時間τは約167μsとすることができる。
【0066】
[0089]
図2A及び
図2Bには示されていないが、代替的に、リソグラフィ露光装置135は、光学装置130が増幅光ビーム110のパルス繰り返し率Rpを変更するよう要求することも可能である。このような変更は、バースト120が生成される時間外(すなわち、この時間よりも前)に光学装置130に伝達すればよい。あるいは、このような変更は、トリガ信号206の電気トリガパルス207が受信される速度の変化によって伝達してもよい。いくつかの実施において、リソグラフィ露光装置135は、光学装置130がスペクトル特性アジャスタ105を調製するのを支援する1つの手法として、次のバーストの開始前に、目的とする繰り返し率、ターゲット繰り返し率、又は計画された繰り返し率を通信する。この通信だけでは繰り返し率の変化は生じないが、実際の変化はトリガ信号206の変化によって伝達される。パルス繰り返し率Rpの変更は、隣接するトリガパルス206間の時間の変化としてタイミング
図200に現れる。これは、隣接するパルス115の生成間の時間τを変化させる。
【0067】
[0090] 駆動信号217は、駆動信号217の形状を決定するパラメータセットによって規定された形態又は形状を有する。1つのパラメータは、周波数ω、すなわち単位時間当たりの駆動信号217のサイクル発生数である。周波数ωは、1サイクルの完了に要する時間κ(例えば、値217aから値217bに移り、再び217aに戻るために要する時間(1サイクル)に反比例する。駆動信号217の別のパラメータは、特定の時点における形態の位置に対応する位相である。いくつかの実施では、各パルスの生成を、スペクトル特性アジャスタ105が離散状態218a又は218bのうち1つであることと確実に一致させるため、駆動信号217の周波数ωは増幅光ビーム110のパルス繰り返し率Rpの整数倍に等しいか又は整数倍である。例えばパルス繰り返し率Rpが6000Hzである場合、周波数ωは6000Hz又は12,000Hzとすればよい。他の実施では、駆動信号217の周波数ωは増幅光ビーム110のパルス繰り返し率Rpの分数(例えば2分の1又は4分の1)である。例えばパルス繰り返し率Rpが6000Hzである場合、周波数ωは3000Hz又は1500Hzとすればよい。
【0068】
[0091] スペクトル特性アジャスタ105の波形218は駆動信号217によって決定される。このため、時点0における駆動信号217の開始によってスペクトル特性アジャスタ105の動作が開始する。この例では、タイミング
図200の領域Aにおいて、スペクトル特性アジャスタ105は時点0で静止状態から駆動される。すなわち、時点0よりも前は、装置100はパルス115が生成されていない状態であり得る。例えば、
図200の時点0よりも前は、装置100はパルスが生成されないバースト間ギャップ125で動作している可能性がある。パルス生成の観点から、バースト間ギャップ125ではパルス115を生成する必要がないので、バースト間ギャップ125中にスペクトル特性アジャスタ105を駆動し続ける必要はない。従って、タイミング
図200のこの特定の例では、時点0よりも前では駆動信号217が停止され(halt)、このため時点0よりも前ではスペクトル特性アジャスタ105は実質的に停止される。例えば、時点0(タイミング
図200の開始)よりも前、及びバースト間ギャップ125中は、増幅光ビーム(増幅光ビーム110を形成する)と相互作用するスペクトル特性アジャスタ105内の光学要素の回転又は並進は停止される。この状況において、スペクトル特性アジャスタ105に送信される駆動信号217は、時点0で(一度トリガ信号206の第1のパルス207を受信したら)再開される。バースト120Aにおける駆動信号217の再開により、スペクトル特性アジャスタ105は再び駆動される。例えば駆動信号217は、スペクトル特性アジャスタ105内の光学要素の回転又は並進を開始させる。しかしながら、タイミング
図200から明らかであるように、時点0における停止からのこの再開はいくつかの問題を引き起こし、そのため、パルス115のタイミングとスペクトル特性アジャスタ105が2つの状態218a及び218bのうち1つである瞬間との間のずれを招く恐れがある。
【0069】
[0092] 第1に、スペクトル特性アジャスタ105は動的位置過渡現象(positional transient)を生じる物理的な装置であり、このような再開に対する位相応答、すなわち停止又は静止状態から時点t(ss)の定常状態へ遷移するのに要する時間は、これらの過渡現象に対する応答の関数である。過渡現象は、システムにおける電圧又は負荷の急激な変化に起因して、システムに(具体的にはスペクトル特性アジャスタ105の動作に)発生する一時的な振動又は変化である(例えば、リンギング、早すぎる方向反転、高周波数周期)。その理由は、スペクトル特性アジャスタ105が動的システムの一部であり、位相応答が駆動周波数の関数であるコンポーネント(例えば
図5に示されるドライブアクチュエータ570及びアナログ回路)を含むことである。具体的に述べると、スペクトル特性アジャスタ105に生じる位置過渡現象は、スペクトル特性アジャスタ105が駆動される正確なタイミングを複雑に変調させるか又はこれに影響を及ぼす。これらの過渡現象は、波形218の形状が規則的でなく、更に、状態218a及び218bと各パルス115の生成が正しく位置合わせされていないことに明白に示されている。スペクトル特性アジャスタ105は、その入力信号(駆動信号217)に対して即時応答を行わない。波形218の形状から明らかであるように、スペクトル特性アジャスタ105は、時点t(ss)付近で定常状態動作に落ち着く前のかなり長い間、遷移状態又は中間状態で駆動される。
【0070】
[0093] 更に、スペクトル特性アジャスタ105が定常状態動作に入る時点t(ss)が発生するのは、現在のバースト120A内又は次のバースト間ギャップ125B内である場合もそうでない場合もある。スペクトル特性アジャスタ105の定常状態動作が開始する瞬間は、特定のバースト120A内のパルス数及びバースト間ギャップ125Bの時間量によって決定される。スペクトル特性アジャスタ105は、定常状態動作に入る前にいくつかのバーストサイクルを必要とする可能性もある。
【0071】
[0094] 第2に、光学装置130は、いつリソグラフィ露光装置135がパルス115の別のバースト120を要求するかを知らない。従って、いつスペクトル特性アジャスタ105が定常状態動作に達するか予測することは不可能であり、このため、いつスペクトル特性アジャスタ105が2つの状態218a又は218bのうち1つになるか予測することも不可能である。
【0072】
[0095] バースト120Aの終了時(タイミング
図200の領域Aの終了時)に、リソグラフィ露光装置135はトリガ信号206の生成を停止し、これは増幅光ビーム110のパルス115の列211を中止させる。タイミング
図200の領域Bに対応し、概略的にバースト間ギャップ125Bに対応するパルスが生成されない時間中、リソグラフィ露光装置135は通常、基板140の直接パターニング以外の他のアクションを実行する。例えば、リソグラフィ露光装置135はこの時間を用いて、基板140の異なるエリアをパターニングするための新しい位置に基板140を移動させることができる。これについては以下で更に詳しく検討する。
【0073】
[0096] 一度リソグラフィ露光装置135が基板140のパターニングを再開する準備ができたら、例えば、一度リソグラフィ露光装置135が他のアクションの全てを完了したら、リソグラフィ露光装置135は別のトリガパルス207_1Cをインタフェース145に送信し、これによって、増幅光ビーム110のパルス115の次のバースト120Cを生成することを光学装置130に要求する。領域Aの最後のトリガパルス207_12Aと領域Cの最初のトリガパルス206_1Cとの間の時間が、トリガバースト間時間間隔TLである。光学装置130は、いつリソグラフィ露光装置135がパターニング再開の準備ができてパルス115の次のバースト120Cを要求するか予測することができない。従って、光学装置130はトリガバースト間時間間隔TLを事前に知らない。
【0074】
[0097] トリガバースト間時間間隔TLの間に、バースト120Aの最後のパルス115_12Aが生成され、次いで、バースト120Aの最後のパルス115_12Aとバースト120Cの最初のパルス115_1Cとの間のバースト間時間間隔Tが発生する。パルス生成のバースト間時間間隔Tは、トリガバースト間時間間隔TLから時間t1だけシフトしている。また、バースト間時間間隔Tはトリガバースト間時間間隔TLに等しい。
【0075】
[0098] 上記で検討したように、バースト間時間間隔Tの間のパルス生成の観点から、この時にパルス115は生成されていないのでバースト間時間間隔Tの間にスペクトル特性アジャスタ105を駆動し続ける必要はない。しかしながら、上記で検討したように、スペクトル特性アジャスタ105は静止状態から定常状態(例えば時点t(ss))へ移行するのに著しい時間量を必要とし、この中間状態の間スペクトル特性アジャスタ105は規則的な形状でなく、いつスペクトル特性アジャスタ105が離散状態218a又は218bうち1つになるか予測することは容易でない。
【0076】
[0099] これらの問題に対処する第1のステップは、バースト間時間間隔Tの間、すなわちパルス115のバースト120Aの生成とパルス115のバースト120Cの生成との間に、駆動信号217によってスペクトル特性アジャスタ105を駆動し続けることである。言い換えると、バースト間時間間隔Tの間に駆動信号217の中止を行わない。従って、スペクトル特性アジャスタ105は静止状態に入らず、静止状態から動作の定常状態へ遷移する必要がないので、
図2Aに示されるような、(例えば時点0とt(ss)との間の)中間状態が回避される。
【0077】
[0100] スペクトル特性アジャスタ105は、バースト間時間間隔Tの間、光学装置130がリソグラフィ露光装置135から受信した情報に関連するやり方で駆動される。リソグラフィ露光装置135から受信されるこのような情報は、パルス115のバースト120Aの終了よりも前に受信できる。あるいは、リソグラフィ露光装置135から受信される情報は、バースト間時間間隔Tの間に受信できる。
【0078】
[0101] しかしながら、スペクトル特性アジャスタ105が他の変更なしでバースト間時間間隔Tの間に駆動され続ける場合であっても、いつリソグラフィ露光装置135がパルス115の次のバースト120Cを要求するか予測することは依然として不可能である。パルスの次のバースト120Cの最初のパルス115_1Cは、トリガバースト間時間間隔TLの後の第1のトリガパルス207_1Cに対して時間t1だけ遅延する。このような時間t1は一般に既知である。しかしながら、第1のパルス115_1Cの生成とスペクトル特性アジャスタ105が第1の状態218aになる瞬間との間にはタイミングずれerr_κが存在する。
【0079】
[0102] 装置100は、バースト120Cのパルス115_iC(第1の又は最初のパルス115_1Cである場合もそうでない場合もある)の生成時にスペクトル特性アジャスタ105が確実に状態218a又は218bのうち1つになるよう設計及び動作される。装置100の構造及び動作の全体的な説明を行ってから、パルスが生成されないバースト間ギャップ125の後に増幅光ビーム110のパルスのバースト120のパルス115の生成時にスペクトル特性アジャスタ105が離散状態218a又は218bとなるよう保証することに関連した装置100の設計及び動作について検討する。
【0080】
[0103]
図3を参照すると、増幅光ビーム110のスペクトル特性は、増幅光ビーム110の光学スペクトル300の任意の態様又は表現である。光学スペクトル300を放出スペクトルと呼ぶことができる。光学スペクトル300は、光エネルギ、スペクトル強度、又はパワーが、様々な波長においてどのように分散しているかに関する情報を含む。増幅光ビーム110の光学スペクトル300は、スペクトル強度301(必ずしも絶対的な目盛りを持たない)が、波長(又は波長に反比例する光周波数)302の関数としてプロットされている図又はグラフの形態で示されている。
【0081】
[0104] スペクトル特性の一例は、光学スペクトル300の幅303の測度である帯域幅である。この幅はレーザ光の波長又は周波数で与えることができる。光学スペクトル300の詳細に関連する適切な数学的構成(すなわちメトリック(metric))を用いて、増幅光ビーム110の帯域幅を特徴付ける値を推定することができる。例えば、光学スペクトル300の最大ピーク強度のある割合(X)における光学スペクトルの全幅(FWXMと呼ばれる)を用いて、増幅光ビーム110の帯域幅を特徴付けることができる。別の例として、積分スペクトル強度のある割合(Y)を含む光学スペクトル300の幅(EYと呼ばれる)を用いて、増幅光ビーム110の帯域幅を特徴付けることができる。
【0082】
[0105] スペクトル特性の別の例は波長であり、これは、特定の(例えば最大の)スペクトル強度における光学スペクトル300の波長値304とすることができる。
【0083】
[0106]
図4を参照すると、増幅光ビーム110のパルス115のバースト120は、リソグラフィ露光装置135でパターニングされている基板140上の露光フィールド400に対応し得る。露光フィールド400は露光ウィンドウ405の1回のスキャンで露光される基板140のエリアであり、露光ウィンドウ405は1つの照射ドーズで露光される基板140の照明エリアである。リソグラフィの間、増幅光ビーム110の複数のパルス115が基板140の同一エリアを照明して照明ドーズを形成する。露光ウィンドウ405を照明する増幅光ビーム110のパルス115の数N、及び露光ウィンドウ405のサイズは、リソグラフィ露光装置135内でマスク415の前に配置された露光スリット410によって制御できる。いくつかの実施において、Nの値は十台であり、例えば10~100のパルスである。他の実施において、Nの値は100を超えるパルスであり、例えば100~1000のパルスである。バースト120内のパルス数は、照明ドーズを形成するパルス115の数Nに等しくすることができる。
【0084】
[0107] リソグラフィ露光装置135は、他の特徴部の中でもとりわけ、1つ以上のコンデンサレンズ及び対物構成430を含む。マスク415は1つ以上の方向に沿って可動であり、例えば、ZL方向(概ね光ビーム110の軸方向に対応する)に沿って又はZL方向に垂直なXL-YL面内で可動である。対物構成430は投影レンズを含み、マスク415から基板140上のフォトレジストへの像転写を可能とする。また、リソグラフィ露光装置135は、マスク415における光ビーム110の強度分布を均一化する(均一にする)ように構成されたビームホモジナイザ(図示せず)も含み得る。リソグラフィ露光装置135は、リソグラフィコントローラ、空調デバイス、及び様々な電気コンポーネントのための電力供給を含み得る。リソグラフィコントローラは、どのように基板140上に層を印刷するかを制御し、インタフェース145と通信を行う。
【0085】
[0108] いくつかの実施では、液浸媒体を供給して基板140を覆うことができる。液浸媒体は液浸リソグラフィのための液体(水等)とすればよい。リソグラフィが乾式システムである他の実施では、液浸媒体を、乾燥窒素、乾燥空気、又はきれいな空気等のガスとすればよい。他の実施では、圧力が制御された環境(例えば真空又は部分真空)内で基板140を露光することができる。
【0086】
[0109]
図5も参照すると、光学装置130の実施が示されている。この実施において、スペクトル特性アジャスタ105は、光源150からの前駆光ビーム595と光学的に相互作用する少なくとも1つの光学デバイス551を含む。前駆光ビーム595は、最終的に増幅光ビーム110を形成する光ビームとすることができる。例えば前駆光ビーム595は、まだ増幅されていない光ビームとすればよい。
【0087】
[0110] スペクトル特性アジャスタ105は、光学デバイス551に物理的に結合された機械的又は電磁的特徴部を有するドライブアクチュエータ570を含む。ドライブアクチュエータ570は、有線又は無線とすることができる通信チャネル571を経由して制御装置180と通信している。例えば、光学装置130から(制御装置180を介して)通信チャネル571を経由してドライブアクチュエータ570に駆動信号が提供される。ドライブアクチュエータ570によって光学デバイス551が駆動される、すなわち、光学デバイス551は離散状態セット間で変化するように修正、移動、又は変更される。例えば光学デバイス551は、経路に沿って連続的に移動するよう駆動することができ、経路に沿った移動中、光学デバイス551は離散位置又は離散ロケーションのセット内で静止するか又は通過することができる。各離散位置はスペクトル特性アジャスタ105の離散状態に対応する。各離散位置において、光学デバイス551は、前駆光ビーム595の特定の予め設定されたスペクトル特性、ターゲットのスペクトル特性、又は所望のスペクトル特性を選択するように、前駆光ビーム595と相互作用する。
【0088】
[0111] 制御装置180は、有線又は無線とすることができる通信チャネル582を経由して光源150と通信している。制御装置180から通信チャネル582に沿って光源150に制御信号を提供して、光源150が生成する増幅光ビーム110のパルスの生成を制御することができる。
【0089】
[0112]
図6Aを参照すると、少なくとも1つの光学デバイスを含むスペクトル特性アジャスタ605の実施が示されている。この実施において、スペクトル特性アジャスタ605は、屈折光学要素又はプリズム650、651、652、653のセットと、回折光学要素又は格子655と、を含む。プリズム及び格子のうち1つ以上を用いて前駆光ビーム595の波長を調整することができ、プリズム及び格子のうち1つ以上を用いて前駆光ビーム595の帯域幅を調整することができる。プリズム及び格子は、1つ以上のスペクトル特性の粗い制御を行うように構成できる。粗い制御とは、スペクトル特性の変化が比較的大きい変化量で、比較的低速の時間フレームで発生することを意味する。プリズム及び格子は、1つ以上のスペクトル特性の細かい制御を行うように構成できる。細かい制御とは、スペクトル特性の変化が比較的小さい変化量で、比較的高速の時間フレームで発生することを意味する。
【0090】
[0113] 各プリズムは、前駆光ビーム595がプリズム本体を通過する際にこれを分散及び方向転換させるように作用する透過型プリズムである。各プリズムは、前駆光ビーム595の波長を有する光を透過できる材料(例えばフッ化カルシウム)で作製することができる。また、4つのプリズムが図示されているが、スペクトル特性アジャスタ605において4つよりも少ないか又は4つよりも多いプリズムを使用することも可能である。
【0091】
[0114] 格子655は、前駆光ビーム595を分散及び反射させるように設計された反射型格子とすることができる。従って格子655は、DUV範囲内の波長を有する前駆光ビーム595と相互作用するのに適した材料で作製されている。格子655は高ブレーズ角エシェル格子とすることができ、格子方程式を満たす入射角で格子655に入射する前駆光ビーム595は反射(回折)される。格子方程式は、格子655のスペクトル次数と、回折された光ビームの波長と、格子655での前駆光ビーム595の入射角と、格子655で回折された前駆光ビーム595の出射角と、格子655に入射する前駆光ビーム595の垂直発散度と、格子655の回折面の溝間隔と、の関係を示す。更に、格子655での前駆光ビーム595の入射角が格子655からの前駆光ビーム595の出射角と等しくなるように格子655が使用される場合、格子655及びプリズム650、651、652、653のセットはリトロー配置(Littrow configuration)に構成され、格子655からの前駆光ビーム595の波長はリトロー波長である。
【0092】
[0115] 前駆光ビーム595が格子655の回折面656に当たる入射角を変更することによって、前駆光ビーム595の波長を調整できる。前駆光ビーム595の光学倍率(optical magnification)を変更することによって、前駆光ビーム595の帯域幅を調整できる。プリズム650、651、652、653のいずれか1つが回転すると、この入射角及び光学倍率のうち1つ以上が影響を受ける。具体的には、
図6Bを参照すると、特定のプリズムP(650、651、652、653のうち任意の1つとすることができる)が回転すると、前駆光ビーム595がこの回転したプリズムPの入射面H(P)に当たる入射角が変化する。更に、この回転したプリズムPにローカルな2つの光学品質(optical quality)は、前駆光ビーム595がこの回転したプリズムPの入射面に当たる入射角の関数である。これら2つのローカルな光学品質は、局所光学倍率OM(P)及び局所ビーム屈折角δ(P)である。プリズムPを通る前駆光ビーム595の光学倍率OM(P)は、そのプリズムPから出射する前駆光ビーム595の横断方向の幅Wo(P)と、そのプリズムPに入射する前駆光ビーム595の横断方向の幅Wi(P)との比である。プリズム650、651、652、653の1つ以上で前駆光ビーム595のローカル光学倍率OM(P)が変化すると、前駆光ビーム595の光学倍率が全体的に変化し、これは前駆光ビーム595の帯域幅の変化を引き起こす。また、プリズム650、651、652、653の1つ以上を通る局所ビーム屈折角δ(P)が変化すると、格子655の表面656での前駆光ビーム595の入射角が全体的に変化する。
【0093】
[0116] 特定のプリズムPが回転すると、そのプリズムPの局所ビーム屈折角δ(P)及び局所光学倍率OM(P)の双方が変化するので、この設計では波長の制御と帯域幅の制御は連動している。しかしながら、ある特定のプリズムの回転は、別のプリズムの回転よりも、ある特定のスペクトル特性の制御に大きい影響を与え得る。
【0094】
[0117] 例えば1つの実施では、プリズム651をそのプリズム軸(Z軸と平行である)を中心として回転させて、前駆光ビーム595の波長を変化させる。この実施において、プリズム651は、前駆光ビーム595と相互作用する光学デバイス551と見なすことができる。ドライブアクチュエータ670はプリズム651に物理的に結合され、光学装置130内の制御装置180と通信している。
【0095】
[0118] ドライブアクチュエータ670は、プリズム651の位置及び/又は向きを移動(例えば並進又は回転)させると共に制御するための機械的デバイスである。ドライブアクチュエータ670は制御装置180からエネルギを受け取り、このエネルギをプリズム651に与えられる何らかの種類の動きに変換する。例えば、ドライブアクチュエータ670は力デバイス(force device)又は回転ステージとすることができる。ドライブアクチュエータ670は、例えばステッパモータ等のモータ、バルブ、圧力制御デバイス、圧電デバイス、リニアモータ、油圧アクチュエータ、又はボイスコイルを含み得る。
【0096】
[0119]
図7A及び
図7Bの例を参照すると、プリズム651は、ドライブアクチュエータ670によって、そのプリズム軸PA(
図6A、
図6B、
図7A、及び
図7BではZ方向に沿っている)を中心として離散角度セットに回転させることにより、離散位置セットに駆動される。この具体例において、
図7Aでは、プリズム651は第1の局所ビーム屈折角δ(1)に位置決めされている。第1の局所ビーム屈折角δ(1)において、前駆光ビーム595は第1の入射角θ(1)で格子655の表面656に当たる。
図7Aでは、明確さのために前駆光ビーム595の中心線のみが図示されている。この第1の入射角θ(1)において、格子655は前駆光ビーム595の第1の波長を回折及び反射する。
図7Bでは、プリズム651はプリズム軸PAを中心として第2の局所ビーム屈折角δ(2)に回転した後である。第2の局所ビーム屈折角δ(2)において、前駆光ビーム595は第2の入射角θ(2)で格子655の表面656に当たる。
図7Bでは、明確さのために前駆光ビーム595の中心線のみが図示されている。この第2の入射角θ(2)において、格子655は前駆光ビーム595の第2の波長を回折及び反射する。上記のように、プリズム651の回転は前駆光ビーム595の帯域にも影響を及ぼし得る。これが生じた場合、帯域幅が影響される量はわずかであるか、又は別のプリズム(例えばプリズム650、652、653)を回転させて帯域幅の変化を相殺することがある。
【0097】
[0120]
図8を参照すると、いくつかの実施において、光源150は、増幅光ビーム110としてパルスレーザビームを生成するパルスレーザ光源850である。光源850は、第1のガス放電段及び第2のガス放電段を含む2段システムである。第1の放電段は第1のガス放電チャンバを含み、これは、エネルギ源を収容すると共に、第1の利得媒体を含むガス混合物を包含している。第2の放電段は第2のガス放電チャンバを含み、これは、エネルギ源を収容すると共に、第2の利得媒体を含むガス混合物を包含している。
【0098】
[0121] 第1のガス放電段は主発振器(MO)800を含み、第2のガス放電段はパワー増幅器(PA)810を含む。MO800はPA810にシード光ビーム895を提供する。主発振器800は典型的に、増幅が発生する利得媒体と、光学共振器等の光学フィードバック機構と、を含む。パワー増幅器810は典型的に、主発振器800からのシードレーザビームが与えられると増幅が発生する利得媒体を含む。パワー増幅器810が再生リング共振器として設計されている場合、これはパワーリング増幅器(PRA:power ring amplifier)として記述され、この場合はリング設計から充分な光学フィードバックを与えることができる。スペクトル特性アジャスタ105は、主発振器800から前駆光ビーム595を受け取って、比較的低い出力パルスエネルギの光ビーム895の中心波長及び帯域幅のようなスペクトルパラメータの微調整を可能とする。パワー増幅器810は、主発振器800から光ビーム895を受け取り、この出力を増幅して、リソグラフィ露光装置135によるフォトリソグラフィで使用される出力に必要なパワーを達成する。
【0099】
[0122] 主発振器800は放電チャンバを含み、これは、2つの細長い電極と、利得媒体として機能するレーザガスと、電極間でガスを循環させるファンと、を有する。放電チャンバの一方側のスペクトル特性アジャスタ105と、シード光ビーム895をパワー増幅器810に出力する放電チャンバの第2の側の出力カプラ815との間に、レーザ共振器が形成されている。
【0100】
[0123] また、光源850は、出力カプラ815からの出力を受け取るライン中心解析モジュール(LAM:line center analysis module)820と、必要に応じてビームのサイズ及び/又は形状を修正する1つ以上のビーム修正光学システム825と、を含み得る。ライン中心解析モジュール820は、シード光ビーム895の波長(例えば中心波長)を測定するために使用可能なあるタイプの測定システムの一例である。光源850に含めることができる別の測定システムは、増幅光ビーム110の帯域幅を測定又は推定するように構成された帯域幅解析モジュール(
図8には示されていない)である。
【0101】
[0124] パワー増幅器810はパワー増幅器放電チャンバを含む。パワー増幅器は、再生リング共振器である場合、光ビームを反射して放電チャンバに戻して循環経路を形成するビームリフレクタ又はビーム反転デバイス830も含む。パワー増幅器放電チャンバは、1対の細長い電極と、利得媒体として機能するレーザガスと、電極間でガスを循環させるファンと、を含む。シード光ビーム895は、パワー増幅器810を繰り返し通過することによって増幅される。ビーム修正光学システム825は、シード光ビーム895を内部へ結合する(in-couple)と共にパワー増幅器からの増幅放射の一部を外部へ結合して(out-couple)増幅光ビーム110を形成するための手法(例えば部分反射ミラー)を提供する。
【0102】
[0125] 主発振器800及びパワー増幅器810の放電チャンバ内で使用されるレーザガスは、必要な波長及び帯域幅付近のレーザビームを生成するのに適した任意のガスとすればよい。例えばレーザガスは、約193nmの波長の光を放出するフッ化アルゴン(ArF)、又は約248nmの波長の光を放出するフッ化クリプトン(KrF)とすることができる。
【0103】
[0126] ライン中心解析モジュール820は、主発振器800の出力(シード光ビーム895)の波長を監視する。ライン中心解析モジュール820は、光源850内の他の位置に配置すること、又は光源850の出力に配置することも可能である。
【0104】
[0127] 一般に、制御装置180は、デジタル電子回路、コンピュータハードウェア、ファームウェア、及びソフトウェアのうち1つ以上を含む。制御装置180は、読み出し専用メモリ及び/又はランダムアクセスメモリとすることができるメモリを含む。コンピュータプログラム命令及びデータを有形に(tangibly)具現化するのに適したストレージデバイスには、あらゆる形態の不揮発性メモリが含まれるが、一例として、EPROM、EEPROM、及びフラッシュメモリデバイス等の半導体メモリデバイス、内部ハードディスク及び着脱可能ディスク等の磁気ディスク、光磁気ディスク、並びにCD-ROMディスクがある。また、制御装置180は、1つ以上の入力デバイス(キーボード、タッチスクリーン、マイクロフォン、マウス、ハンドヘルド入力デバイス等)及び1つ以上の出力デバイス710(スピーカ又はモニタ等)も含むことができる。
【0105】
[0128] 制御装置180は、1つ以上のプログラマブルプロセッサと、プログラマブルプロセッサによって実行するため機械可読ストレージデバイスにおいて有形に具現化された1つ以上のコンピュータプログラム製品と、を含む。1つ以上のプログラマブルプロセッサの各々は、入力データに作用すると共に適切な出力を発生させることにより、命令のプログラムを実行して所望の機能を達成できる。一般に、プロセッサはメモリから命令及びデータを受信する。前述のもののいずれも、特別に設計されたASIC(特定用途向け集積回路)によって補足するか又はそれに組み込むことができる。
【0106】
[0129] また、制御装置180はモジュールのセットを含み、各モジュールは、複数のプロセッサのような1つ以上のプロセッサにより実行されるコンピュータプログラム製品のセットを含む。更に、これらのモジュールのいずれも、メモリ内に記憶されたデータにアクセスすることができる。各モジュールは、装置100の他の専用コンポーネント(例えば光源150、インタフェース145、スペクトル特性アジャスタ105、又はリソグラフィ露光装置135)と通信することができる。各モジュールは、他のコンポーネントからデータを受信し、次いで必要に応じてそのようなデータを解析することができる。各モジュールは、1つ以上の他のモジュールと通信することができる。
【0107】
[0130] 制御装置180は、ボックス(この中にコンポーネントの全てを同一場所に配置することができる)として表されているが、物理的に遠隔にあるコンポーネントで制御装置180を構成することも可能である。例えば、特定のモジュールを光源150と物理的に同一場所に配置するか、又は特定のモジュールをスペクトル特性アジャスタ105と物理的に同一場所に配置することができる。
【0108】
[0131] 一般に、制御装置180は、本明細書で検討されていない機能を実行することができる。例えば制御装置180は、光学装置130内の測定システム(図示せず)から増幅光ビーム110に関する少なくとも何らかの情報を受信することができ、内部のスペクトル特性解析モジュールは、この情報の解析を実行して、リソグラフィ露光装置135に供給される増幅光ビーム110の1つ以上のスペクトル特性(例えば帯域幅)をどのように調整するかを決定する。この決定に基づき、制御装置180は、スペクトル特性アジャスタ105及び/又は光源150に信号を送信して光源150の動作を制御する。
【0109】
[0132]
図9を参照すると、タイミング
図900Aは、パルス115のバースト120の生成中にどのように装置100が動作するかの1つの実施を示し、タイミング
図900Aの検討に関連付けて装置100のブロック図が示されている。タイミング
図900Aは、増幅光ビーム110の16のパルス915のみを示す。しかしながら、バースト120は16よりも少ないか又は多いパルスを含むことができ、
図9に示されている信号は、
図9に示されている時間期間を超えて更に延出し得る。この実施において、リソグラフィ露光装置135からインタフェース145に提供される(更に制御装置180に伝達される)情報Hは、トリガ信号906を含む。トリガ信号906は電気パルス907の列の形態であり、隣接する電気パルス907は、増幅光ビーム110の所望のパルス繰り返し率Rpに反比例する概ね一定の時間間隔tpだけ分離している。各電気パルス907は、増幅光ビーム110の1つのパルス915を生成するように(制御装置180を介して)光学装置130に命令する。パルス列911内の隣接するパルス915間の時間的分離はτである(分離時間tpと相関しているか又はこれに等しい)。このように、増幅光ビーム110は、1/τによって規定されるパルス繰り返しRpで生成される。
【0110】
[0133]
図9の実施において、光学装置130から(制御装置180を介して)通信チャネル971を経由してスペクトル特性アジャスタ105に駆動信号917が提供される。スペクトル特性アジャスタ105の実際の状態(駆動信号917に基づいて変化する)は、波形918によって表される。駆動信号917の形状はパラメータセットによって規定される。この実施において、駆動信号917は連続的な正弦波(従って周期的)形状を有し、リソグラフィ露光装置135のターゲット又は所望の2つの離散状態918a及び918bの間でスペクトル特性アジャスタ105を駆動する。更に、この実施では、バースト内のパルス915が生成されるたびにスペクトル特性アジャスタ105は離散状態918a又は918bのうち1つになる。
図9では、スペクトル特性アジャスタ105がすでに定常状態に達しており、スペクトル特性アジャスタ105とパルス915の生成との間のタイミングが同期していると仮定されている。従って、離散状態918aでは、スペクトル特性アジャスタ105は、この時に生成されるパルス915のスペクトル特性の離散値(例えば波長λa)を選択する。また、離散状態918bでは、スペクトル特性アジャスタ105は、この時に生成されるパルス915のスペクトル特性の離散値(例えば波長λb)を選択する。例えば、スペクトル特性アジャスタ105が
図6Aから
図7Bに示されているように設計されている場合、スペクトル特性アジャスタ605はプリズム651を含み、これは、プリズム軸PAを中心として2つの別個の、この例では極端な状態間で回転することができる。また、(
図7Aに示されるような)第1の状態では、プリズム651は第1の局所ビーム屈折角δ(1)に位置決めされ、(
図7Bに示されるような)第2の状態では、プリズム651は第2の局所ビーム屈折角δ(2)に位置決めされる。
【0111】
[0134]
図10を参照すると、タイミング
図900Bは、パルス115のバースト120の生成と生成との間にどのように装置100が動作するかの1つの実施を示す。更に、タイミング
図900Bの検討に関連付けて装置100のブロック図が示されている。タイミング
図900Bは、領域B(バースト間間隔)の両側に増幅光ビーム110の2つのパルス915のみを示している。バースト間間隔は
図10に示されているよりも長く又は短く継続する可能性があり、図示されている信号は
図10に示されている時間期間を超えて更に延出し得る。この実施では、バースト間間隔の間、光学装置130からのパルス115の生成を停止するように、リソグラフィ露光装置135がインタフェース145に提供するトリガ信号906の電気パルス907は停止(又は中止)される。
【0112】
[0135] しかしながら、電気パルス907がインタフェース145に提供されていない場合であっても、光学装置130は、パラメータセットにより規定された駆動信号917に従ってスペクトル特性アジャスタ105の駆動を(制御装置180を介して)継続する。バースト間時間間隔中にスペクトル特性アジャスタ105を駆動することによって、スペクトル特性アジャスタ105は定常状態モードで駆動され続ける。スペクトル特性アジャスタ105が、静止モード(
図2Aの時点0のようにスペクトル特性アジャスタ105が静止しているか又は不動である)から定常状態モード(
図2Aの時点t(ss)等)に遷移しなければならない時間は存在しない。
図2Aに関して上記で検討したように、静止モードから定常状態モードに遷移する結果として、スペクトル特性アジャスタ105及び制御装置180を含むシステム全体に対する電圧又は負荷の急激な変化が生じ、これは望ましくない遷移現象を発生させる。
【0113】
[0136] バースト間時間間隔中にスペクトル特性アジャスタ105を駆動することによって、スペクトル特性アジャスタ105が、静止モード(スペクトル特性アジャスタ105が静止しているか又は不動である)から定常状態モードに遷移しなければならない時間は存在せず、従って、これらの望ましくない遷移現象は回避される。事実上、スペクトル特性アジャスタ105は常に定常状態で制御又は動作される。
【0114】
[0137] 本明細書では詳しく検討しないが、遷移現象は、リソグラフィ露光装置135がパルス繰り返し率Rpの変更を要求するたびに発生する可能性がある。その理由は、この状況ではスペクトル特性アジャスタ105に対する駆動信号917の周波数を変更する必要があり得るからである。
【0115】
[0138] いくつかの実施では、バースト間時間間隔中に光学装置130は、リソグラフィ露光装置135から受信した情報Hに関連するやり方で、(制御装置180を介して)スペクトル特性アジャスタ105を駆動し続ける。
【0116】
[0139] 更に、
図2Aに示されているものとは異なり、
図10の実施では、次のバースト内のパルス915の生成時に、スペクトル特性アジャスタ105が、増幅光ビーム110のスペクトル特性の離散値に対応する離散状態918a又は918bのうち1つであることが保証される。言い換えると、装置100は、バースト間時間間隔の後に発射されるパルス915が、リソグラフィ露光装置135の所望のスペクトル特性(例えば波長)を有することを保証する。バースト間時間間隔の後に発射されるパルス915がリソグラフィ露光装置135の所望のスペクトル特性(例えば波長)を有することを装置100によって保証するには、様々なやり方がある。これらの様々なやり方について次に検討する。バースト間時間間隔の後に発射されるパルス915がリソグラフィ露光装置135の所望のスペクトル特性(例えば波長)を有することを保証するため、装置100は、任意の瞬間に又はバースト間時間間隔中に、これらのやり方のうち1つ以上を実施できる。従って、以下で検討されるやり方のうち1つではこの条件の発生を保証するには充分でないが、それらのやり方のうち2つを組み合わせると充分である可能性がある。
【0117】
[0140]
図11を参照すると、1つの実施においてスペクトル特性アジャスタ105は、バースト間時間間隔中(パルス915のバーストの生成と生成との間)に、リソグラフィ露光装置135によって設定される所望のパルス繰り返し率Rpと相関した周波数ωで駆動される。
図11は、パルス115のバースト120の生成と生成との間にどのように装置100が動作するかの実施を表すタイミング
図1100Bを示し、更に、タイミング
図1100Bに関連する装置100の対応するブロック図も示している。パルス繰り返し率Rpは、インタフェース145に提供される情報Hの一部であり、1/τ(τはパルス915間の時間である)に等しい。従って、正弦波駆動信号1117の周波数ωは、周波数ωとパルス繰り返し率Rpとの間に相関性corr(ω,Rp)が存在するようになっている。例えば
図11に示されているように、正弦波駆動信号1117の周波数ωはパルス繰り返し率Rpの2分の1である。周波数ωは1/κであり、ここでκは正弦波駆動信号1117の周期である。この例では、正弦波駆動信号1117の周期κはパルス915間の時間τの2倍である。
【0118】
[0141] スペクトル特性アジャスタ105がパルス繰り返し率Rpに相関する周波数ωで駆動される場合であっても、バースト間時間間隔Tに続く次のパルスバースト内のパルス915の生成と、スペクトル特性アジャスタ105が離散状態918a又は918bのうち1つに達する瞬間との間には、時間のずれが存在する可能性がある。
図11にこのずれが示されている。このずれが依然として存在し得る理由は、光学装置130が、いつリソグラフィ露光装置135がトリガ信号906内の別の電気パルス907をインタフェース145に送信するかを予測できないか又は知らないからである。言い換えると、光学装置130はトリガバースト間時間間隔T
Lの長さを知らない。このため光学装置130は、スペクトル特性アジャスタ105が離散状態918a又は918bのうち1つに達する瞬間と次のバースト内のパルス915が生成される瞬間を適切に同期させることができない。
【0119】
[0142]
図12を参照すると、タイミング
図1200Bの実施が、タイミング
図1200Bに対応する装置100のブロック図と共に示されている。この実施では、バースト間時間間隔Tに続く次のパルスバースト内のパルス915とスペクトル特性アジャスタ105が離散状態918a又は918bのうち1つに達する瞬間との間の時間のずれは取り除かれている。この実施において、トリガバースト間時間間隔T
L、従ってバースト間時間間隔Tは、バースト間時間間隔Tが現在のパルス繰り返し率Rpにおけるパルス915間の時間間隔τの整数倍であるように調整されている。すなわち、T=τ×iであり、ここでiは整数である。
【0120】
[0143]
図11の実施では、バースト間時間間隔中にどのようにスペクトル特性アジャスタ105が駆動されるかを変更するために、制御装置180の動作を変更する必要がある。これに対して
図12の実施では、トリガバースト間時間間隔T
Lを変更するために、リソグラフィ露光装置135の動作を変更する必要がある。
【0121】
[0144]
図12は、最後のバースト内の最後のパルスの生成と次のバースト内の最初のパルスとの間の時間間隔に対応するバースト間時間間隔Tを示すが、バースト間時間間隔は、最後のバースト及び次のバースト内の他のパルスに基づく時間間隔に対応することも可能である。例えばバースト間時間間隔Tは、レーザパルス(例えば
図2Aのバースト120Aのパルス115_12A)の生成と次のバーストの最初のパルスに続くパルス(例えば
図2Aのバースト120Cのパルス115_1Cに続くパルス)との間の時間間隔に対応してもよい。
【0122】
[0145]
図13を参照すると、タイミング
図1300Bの実施が、タイミング
図1300Bに対応する装置100のブロック図と共に示されている。バースト間時間間隔Tに続く次のパルスバースト内のパルス915とスペクトル特性アジャスタ105が離散状態918a又は918bのうち1つに達する瞬間との間の時間のずれは取り除かれている。
【0123】
[0146] この実施では、リソグラフィ露光装置135からの情報Hは、リソグラフィ露光装置135が次のパルスバーストの最初の電気トリガパルス907_1Cをインタフェース145に送信する時に関する指示1309を含む。指示1309は、最初の電気パルス907_1Cの前に制御装置180によって受信される。この追加情報(指示1309)を用いて、また、指示1309と最初の電気トリガパルス907_1Cとの間に充分な時間があると仮定することで、制御装置180は、スペクトル特性アジャスタ105に提供される駆動信号1317が修正されない場合、次のパルスバースト内のパルス915_1Cの生成とスペクトル特性アジャスタ105が離散状態918a又は918bのうち1つに達する時点との間に時間のずれが存在するか否かを決定できる。制御装置1800が、次のパルスバースト内のパルス915_1Cの生成とスペクトル特性アジャスタ105が離散状態918a又は918bのうち1つに達する時点との間に時間のずれが存在すると(指示1309の受信に基づいて)決定した場合、制御装置180は、スペクトル特性アジャスタ105に対する駆動信号1317を調整することができる。例えば制御装置180は、駆動信号1317に関連付けられたパラメータPの1つ以上を修正することによって駆動信号1317を調整することができ、このような修正は、リソグラフィ露光装置135により提供された情報を考慮に入れることができる。例えば駆動信号1317が正弦波形Dである場合、これは概して、駆動信号1317の位相(φ)及び周波数ω等のパラメータセットによってD=Asin(2πωt+φ)のように規定され、ここでtは時間である。
駆動信号1317の位相φは初期位相であり、上記の方程式ではラジアンで与えられ、最初の時点での波形Dの位置に対応する。これは、位相オフセット、位相シフト、又は位相ファクタと呼ぶことができる。波形Dの瞬時位相はωt+φで与えられる。
【0124】
[0147] 従って制御装置180は、駆動信号1317の周波数ω、駆動信号1317の位相φ、又は駆動信号1317の周波数ω及び位相φの双方を修正することができる。
図13に示されている実施では、駆動信号1317のパラメータ(例えば周波数ω等)は領域dRにおいて修正される。更に、領域dRで周波数ωが修正された場合、駆動信号1317がパルス915の生成と同期された状態を維持できるように、次のバーストの開始時に周波数ωを変更してパルス繰り返し率Rpと再び相関させる必要がある。駆動信号1317の修正は、波形918の周波数及び/又は位相の変化で示されるように、スペクトル特性アジャスタ105がどのように駆動されるかを変更する。
【0125】
[0148] 指示1309の受信と電気トリガパルス907_1Cの受信との間の時間遅延1329を充分に大きくすることで、バースト内のパルス915の生成時にスペクトル特性アジャスタ105が離散状態のうち1つになるように制御装置180が駆動信号1317の1つ以上のパラメータを修正する充分な時間を持てるようにする。例えば、時間遅延1329は約25~35ミリ秒(ms)とすればよい。
【0126】
[0149]
図14を参照すると、タイミング
図1400Bの別の実施が、タイミング
図1400Bに対応する装置100のブロック図と共に示されている。バースト間時間間隔Tに続く次のパルスバースト内のパルス1415とスペクトル特性アジャスタ105が離散状態918a又は918bのうち1つに達する瞬間との間の時間のずれは、パルス列1411内のパルス1415の生成を制御するため光源150に提供される制御信号1481の態様を調整することによって取り除かれている。この実施では、制御装置180は1つ以上の固定パラメータPに従ってスペクトル特性アジャスタ105を駆動し、これらの固定パラメータPを修正する必要はない。
【0127】
[0150] 制御装置180は、リソグラフィ露光装置135から(情報Hを受信するインタフェース145を介して)、次のパルスバースト1415を生成するための要求を受信する。この要求は、トリガバースト間時間間隔TLに続く最初のトリガパルス1407_1の形態である。上記で検討したように、正常動作において光学装置130は、トリガパルス1407_1の受信に続く時間遅延t1の後にパルス1415_1を生成する。光学装置130はトリガパルス1407_1に反応するため多少の時間量を必要とするので、この時間遅延t1は光学装置130の設計に固有のものである。例えば制御装置180は、トリガパルス1407_1を処理し(受信及び解析し)、次いでパルス1415_1を生成するための信号を光源150に与える。トリガパルス1407_1の受信から増幅光ビーム110のパルス1415_1の生成までに要する時間が、この時間遅延t1に相当する。
【0128】
[0151] しかしながら、この実施では、制御装置180がトリガパルス1407_1を受信するとすぐに次のパルスバースト内のパルス1415_1を生成するための制御信号1481内の命令を光源150に与える(通常実行される)のではなく、制御装置180は、リソグラフィ露光装置135からの要求(トリガパルス1407_1)の受信に対して、次のパルスバースト1415内のパルス1415_1の生成を、ゼロよりも大きい時間期間δτだけ遅延させる制御信号1481内の命令を与える。制御装置180は、次のパルスバースト内のパルス1415の生成時に確実にスペクトル特性アジャスタ105を離散状態918a又は918bのうち1つに駆動することができる遅延δτの値を決定する。従って、トリガパルス1407_1の受信からパルス1415_1の生成までの合計時間はt1+δτである。
【0129】
[0152]
図15を参照すると、タイミング
図1500Bの実施が、タイミング
図1500Bに対応する装置100のブロック図と共に示されている。バースト間時間間隔Tに続く次のパルスバースト内のパルス915とスペクトル特性アジャスタ105が離散状態918a又は918bのうち1つに達する瞬間との間の時間のずれは取り除かれている。この実施において、光学装置130は、制御装置180及びインタフェース145を介してリソグラフィ露光装置135に信号1508を送信する。リソグラフィ露光装置135に送信される信号1508は、バースト間時間間隔中どのようにスペクトル特性アジャスタ105が駆動されるかに関する情報を含む。これにより、リソグラフィ露光装置135は、バースト間時間間隔に続く次のパルスバースト内のパルス915が生成される時点が、スペクトル特性アジャスタ105が離散状態918a又は918bのうち1つに達する瞬間と同期されることを保証するように、トリガ信号1506を調整することができる。例えば図示のように、トリガ信号1506は、トリガバースト間時間間隔T
Lの後の次のバースト内の最初の電気パルスを量dtだけ遅延させるように調整される。この遅延dtは、次のパルスバースト内の最初のパルスが生成される時点に伝搬する。従って、バースト間時間間隔Tはdtだけ増大する。
【0130】
[0153]
図9を参照して上記で検討したように、正弦波駆動信号917の周波数ωは、タイミング
図900Aで示される通り、パルス繰り返し率Rpの2分の1である。
図16を参照すると、他の実施において、正弦波駆動信号1617の周波数ωは、タイミング
図1600Aで示される通り、パルス繰り返し率Rpの4分の1である。周波数ωは1/κであり、ここでκは正弦波駆動信号1617の周期であり、従って正弦波駆動信号1617の周期κはパルス915間の時間τの4倍である。スペクトル特性アジャスタ105は、2つの極端な状態間を進む際、2つの中間であるが別個かつ所望の状態1618a及び1618bを通過する。これらの中間状態1618a、1618bの各々は、別個の波長λa’及びλb’に対応する。この実施において、隣接する連続パルス915は波長λa’を有し、次の2つの隣接する連続パルス915は波長λb’を有する。このパターンは、次のバースト間時間間隔まで、又は制御装置180が駆動信号1617を変更するまで繰り返す。
【0131】
[0154] 上述のように、駆動信号217、917の波形は三角形又は正弦波の形状とは異なる場合があり、他の波形も可能である。駆動信号217、917の波形の形状は、スペクトル特性アジャスタ105の波形(218又は918等)の形状に影響を及ぼす。例えば、
図17A、
図17B,
図17C、及び
図17Dに、スペクトル特性アジャスタ105に供給される駆動信号の波形1717A、1717B、1717C、及び1717Dの他の可能な実施が示されている。
【0132】
[0155]
図18を参照すると、リソグラフィ露光装置135に送出され、バースト間ギャップ125の後に生成される各パルス115が、所望の離散スペクトル特性セットの中の所望のスペクトル特性(波長)を有することを保証するため、装置100によって手順1800が実行される。手順1800のステップを検討する際に
図1から
図16も参照する。
【0133】
[0156] 手順1800は、パルス繰り返し率Rpで増幅光ビームのパルスバーストを生成すること(1805)と、これらのパルスをリソグラフィ露光装置に送出すること(1810)と、を含む。例えば、
図1に示されるように、バースト120のパルス115が生成されてリソグラフィ露光装置135に送出される。
【0134】
[0157] パルスバースト120の生成中に、パルス繰り返し率Rpと相関する周波数でスペクトル特性アジャスタ105を離散状態セット間で駆動する(1815)。例えば制御装置180は、
図2A及び
図2Bに示されるように、離散状態218a及び218b間でスペクトル特性を駆動するための駆動信号217をスペクトル特性アジャスタ105に送信する。駆動信号217の周波数ωは、パルス列211のパルス繰り返し率Rpと相関している。各離散状態(離散状態218a及び218b等)は、増幅光ビーム110のスペクトル特性(例えば波長)の予め設定された複数の離散値の中のスペクトル特性の離散値に対応する。これにより、バースト120内のパルス115が生成されるたびにスペクトル特性アジャスタ105は離散状態のうち1つになり、増幅光ビームパルス115はその離散状態に対応するスペクトル特性を有する。例えば、
図9に示されているように、スペクトル特性アジャスタ105が状態918aである場合、パルス915の波長はλaであり、スペクトル特性アジャスタ105が状態918bである場合、パルス915の波長はλbである。
【0135】
[0158] パルスバーストの生成と生成との間の、パルスが生成されていない時、リソグラフィ露光装置から受信される情報に関連したやり方でスペクトル特性アジャスタ105を駆動する(1820)。例えば
図2A及び
図2Bに示されているように、制御装置180は、バースト間時間間隔Tの間も、すなわちバースト120Aの生成とバースト120Cの生成との間も、駆動信号217を用いてスペクトル特性アジャスタ105を駆動し続ける。駆動信号217は、リソグラフィ露光装置135から受信した情報Hに基づいて決定される特性を有する。
【0136】
[0159] 手順1800は、(このバースト間時間間隔Tに続く)次のバースト内のパルスの生成時に、スペクトル特性アジャスタ105が増幅光ビームのスペクトル特性の離散値に対応する離散状態のうち1つであることを保証する(1825)。例えば装置100は、次のバースト120C内のパルスの1つ115_iCの生成時にスペクトル特性アジャスタ105が状態218a又は218bのうち1つであることを保証する。上記で
図9から
図16を参照して検討したように、(このバースト間時間間隔Tに続く)次のバースト120内のパルス115の生成時にスペクトル特性アジャスタ105が増幅光ビーム110のスペクトル特性の離散値に対応する離散状態のうち1つであることを保証する(1825)ための様々な実施が存在する。これらの実施のうちいずれか1以上を利用することができる。
【0137】
[0160]
図19Aから
図19Dを参照すると、装置100の動作及び手順1800をシミュレーションするためのグラフのセットが示されている。
図19Aから
図19Dの各々は、スペクトル特性アジャスタ105の動作(任意の単位)対時間のグラフを、6つのパルスバースト(及び5つのバースト間ギャップ)にわたって示す。更に、これらのグラフは、スペクトル特性アジャスタ105が静止状態である時点から開始する。従って、スペクトル特性アジャスタ105は、遷移現象を生じる遷移又は中間動作で各シミュレーションを開始する。
【0138】
[0161] 各グラフの灰色の波形は、スペクトル特性アジャスタ105の実際の位置又は状態を表し、これは実際のスペクトル特性で表されている(各状態は、その状態にあるスペクトル特性アジャスタ105と相互作用する光ビームの特定のスペクトル特性に対応するので)。従って、灰色の波形は波形218又は918に対応する。スペクトル特性アジャスタ105の各ターゲット離散状態は、状態1918a及び1918bで表されている。各グラフ上の点は、パルス115が生成されてリソグラフィ露光装置135の方へ送出される時(instance)を示す。これらのシミュレーションは、
図9から
図12に記載された、正弦波駆動信号917の周波数ωがパルス繰り返し率Rpの2分の1である実施において実行される。これらのシミュレーションは、バースト間時間間隔Tの後のバースト開始時、及び手順1800の実行の開始時に実行される。
【0139】
[0162] 垂直軸(スペクトル特性軸)に沿った点の位置は、(水平軸又は時間軸に沿った)その時点のパルスがスペクトル特性をサンプリングする位置を示す。この位置は、リソグラフィ露光装置135に送信される生成されたパルスのスペクトル特性の値に対応する。
【0140】
[0163]
図19Aでは、手順1800のステップ1820及び1825を実行することなく、ステップ1805~1815のみを実行した後に、装置100の動作がシミュレーションされている。明らかなことであるが、パルス115が所望のスペクトル特性1918a及び1918bと一致することはほとんどないので、リソグラフィ露光装置135に送出されるパルス115は基板のパターニングに望ましいスペクトル特性を持たない。
【0141】
[0164]
図19Bでは、装置100が
図11に示されるように動作している時に装置100の動作がシミュレーションされている。この場合、スペクトル特性アジャスタ105に供給される駆動信号1117は、パルス繰り返し率Rpに相関する周波数ωを有する。この結果には多少の向上が生じるが、
図19Dほど良好でないことがわかる。
【0142】
[0165]
図19Cでは、装置100が
図12に示されるように動作しているが
図11に示されるように動作していない時に装置100の動作がシミュレーションされている。この場合、スペクトル特性アジャスタ105に供給される駆動信号1117は、パルス繰り返し率Rpに必ずしも相関しない周波数ωを有する。しかしながら、バースト間時間間隔Tは、パルス915間の時間間隔τの整数倍に設定されている。この結果には多少の向上が生じるが、
図19Dほど良好でないことがわかる。
【0143】
[0166]
図19Dでは、
図18のステップの全てを実行した後に装置100の動作がシミュレーションされている。この事例では、次のバースト内のパルスの生成時にスペクトル特性アジャスタ105が離散状態1918a又は1918bのうち1つであることが保証される。装置100は
図9及び
図10に示されるように動作し、また、
図11及び
図12に記載された技法の双方を用いて動作する。
【0144】
【0145】
[0168]
図21を参照すると、別の実施において、リソグラフィ露光装置135に送出され、バースト間ギャップ125の後に生成される各パルス115が、所望の離散スペクトル特性セット中の所望のスペクトル特性(波長)を有することを保証するため、装置100によって手順2100が実行される(例えば制御装置180の制御のもとで)。手順2100のステップを検討する際に
図1から
図16も参照する。
【0146】
[0169] 手順2100は、制御装置180が、パルス繰り返し率Rpで増幅光ビーム110のパルスバーストを生成するよう光源150に命令すること(2105)を含む。これらのパルスをリソグラフィ露光装置に送出する(2110)。例えば、
図1に示されるように、バースト120のパルス115が生成されてリソグラフィ露光装置135に送出される。
【0147】
[0170] パルスバースト120の生成中に、パルス繰り返し率Rpと相関する周波数でスペクトル特性アジャスタ105を離散状態セット間で駆動する(2115)。例えば制御装置180は、
図2A及び
図2Bに示されるように、離散状態218a及び218b間でスペクトル特性を駆動するための駆動信号217をスペクトル特性アジャスタ105に送信する。駆動信号217の周波数ωは、パルス列211のパルス繰り返し率Rpと相関している。各離散状態(離散状態218a及び218b等)は、増幅光ビーム110のスペクトル特性(例えば波長)の予め設定された複数の離散値の中のスペクトル特性の離散値に対応する。これにより、バースト120内のパルス115が生成されるたびにスペクトル特性アジャスタ105は離散状態のうち1つになり、増幅光ビームパルス115はその離散状態に対応するスペクトル特性を有する。例えば、
図9に示されているように、スペクトル特性アジャスタ105が状態918aである場合、パルス915の波長はλaであり、スペクトル特性アジャスタ105が状態918bである場合、パルス915の波長はλbである。
【0148】
[0171] パルスバーストの生成と生成との間の、パルスが生成されていない時、駆動信号のパラメータに従ってスペクトル特性アジャスタ105を駆動する(2120)。例えば
図2A及び
図2Bに示されているように、制御装置180は、バースト間時間間隔Tの間も、すなわちバースト120Aの生成とバースト120Cの生成との間も、駆動信号217を用いてスペクトル特性アジャスタ105を駆動し続ける。駆動信号217のパラメータは、リソグラフィ露光装置135から受信した情報Hに基づいて決定することができる。
【0149】
[0172] 手順2100は、(このバースト間時間間隔Tに続く)次のバースト内のパルスの生成時に、スペクトル特性アジャスタ105が増幅光ビームのスペクトル特性の離散値に対応する離散状態のうち1つであることを保証する(2125)。例えば装置100は、次のバースト120C内のパルスの1つ115_iCの生成時にスペクトル特性アジャスタ105が状態218a又は218bのうち1つであることを保証する。制御装置180は、(このバースト間時間間隔Tに続く)次のバースト内のパルスの生成時にスペクトル特性アジャスタ105が増幅光ビームのスペクトル特性の離散値に対応する離散状態のうち1つであることを保証する(2125)ため、リソグラフィ露光装置135に対する命令を調整できる(例えば
図15を参照して記載した)。制御装置180は、(このバースト間時間間隔Tに続く)次のバースト内のパルスの生成時にスペクトル特性アジャスタ105が増幅光ビームのスペクトル特性の離散値に対応する離散状態のうち1つであることを保証する(2125)ため、スペクトル特性アジャスタ105に対する駆動信号を調整できる(例えば
図13を参照して記載した)。制御装置180は、(このバースト間時間間隔Tに続く)次のバースト内のパルスの生成時にスペクトル特性アジャスタ105が増幅光ビームのスペクトル特性の離散値に対応する離散状態のうち1つであることを保証する(2125)ため、光源150に対する命令を調整できる(例えば
図14を参照して記載した)。
【0150】
[0173] 以下の条項を用いて更に実施形態を記載することができる。
A1.パルス繰り返し率で増幅光ビームのパルスのバーストを生成し、パルスをリソグラフィ露光装置に送出することと、
パルスバーストの生成中に、パルス繰り返し率と相関する周波数でスペクトル特性アジャスタを離散状態セット間で駆動することであって、各離散状態は増幅光ビームのスペクトル特性の予め設定された複数の離散値の中のスペクトル特性の離散値に対応し、バースト内のパルスが生成されるたびに、スペクトル特性アジャスタは離散状態のうち1つになり、増幅光ビームパルスはその離散状態に対応するスペクトル特性を有する、スペクトル特性アジャスタを駆動することと、
パルスバーストの生成と生成との間の、パルスが生成されていない時、リソグラフィ露光装置から受信される情報に関連したやり方でスペクトル特性アジャスタを駆動することと、
次のバースト内のパルスの生成時に、スペクトル特性アジャスタが増幅光ビームのスペクトル特性の離散値に対応する離散状態のうち1つであることを保証することと、
を含む方法。
A2.リソグラフィ露光装置から受信される情報に関連したやり方でスペクトル特性アジャスタを駆動することは、パルス繰り返し率と相関する周波数でスペクトル特性アジャスタを駆動することを含む、条項A1に記載の方法。
A3.次のバースト内のパルスの生成時にスペクトル特性アジャスタが離散状態であることを保証することは、パルス繰り返し率におけるパルス間の時間間隔の整数倍となるようにバースト間時間間隔を調整することを含む、条項A2に記載の方法。
A4.バースト間時間間隔は、バースト内の最後のパルスと次のバースト内の最初のパルスとの間の時間間隔である、条項A3に記載の方法。
A5.次のバースト内のパルスの生成時にスペクトル特性アジャスタが離散状態であることを保証することは、
リソグラフィ露光装置から、次のバーストの生成を要求する時に関する指示を受信することと、
受信した指示が、次のバースト内の最初のパルスの生成とスペクトル特性アジャスタが離散状態にある時点との間の時間のずれを示す場合、受信した指示に基づいて、スペクトル特性アジャスタの駆動に関連付けられた1つ以上のパラメータを修正することと、
を含む、条項A2に記載の方法。
A6.スペクトル特性アジャスタの駆動に関連付けられた1つ以上のパラメータを修正することは、スペクトル特性アジャスタに関連付けられた駆動信号の周波数及び位相のうち1つ以上を修正することを含む、条項A5に記載の方法。
A7.スペクトル特性アジャスタが駆動される周波数がずれのために修正された場合、次のバーストの開始時に、スペクトル特性アジャスタが駆動される周波数をパルス繰り返し率と相関するように変更することを更に含む、条項A6に記載の方法。
A8.増幅光ビームのパルスのスペクトル特性は増幅光ビームのパルスの波長である、条項A1に記載の方法。
A9.増幅光ビームのパルスの波長は深紫外線範囲内である、条項A8に記載の方法。
A10.パルス繰り返し率と相関する周波数でスペクトル特性アジャスタを離散状態セット間で駆動することは、増幅光ビームの各パルスごとに増幅光ビームの波長が2つの別個の波長間で変化するようにスペクトル特性アジャスタを駆動することを含む、条項A8に記載の方法。
A11.パルス繰り返し率と相関する周波数でスペクトル特性アジャスタを離散状態セット間で駆動することは、増幅光ビームの1つおきのパルスごとに増幅光ビームの波長が2つの別個の波長間で変化するようにスペクトル特性アジャスタを駆動することを含む、条項A8に記載の方法。
A12.離散状態セット間でスペクトル特性アジャスタを駆動することは、正弦波駆動信号に従ってスペクトル特性アジャスタを駆動することを含む、条項A1に記載の方法。
A13.スペクトル特性アジャスタを駆動することは、前駆光ビームと相互作用する光学系を離散位置間で移動させることを含み、光学系の各離散位置は離散状態に対応し、増幅光ビームは前駆光ビームから生成される、条項A1に記載の方法。
A14.光ビームと相互作用する光学系を移動させることは、前駆光ビームが通過するプリズムを回転させることを含む、条項A13に記載の方法。
A15.スペクトル特性アジャスタが駆動される周波数はパルス繰り返し率の2分の1である、条項A1に記載の方法。
A16.スペクトル特性アジャスタが駆動される周波数はパルス繰り返し率の4分の1である、条項A1に記載の方法。
A17.次のバースト内のパルスの生成時にスペクトル特性アジャスタが離散状態のうち1つであることを保証することは、次のバースト内の最初のパルスの生成時にスペクトル特性アジャスタが離散状態のうち1つであることを保証することを含む、条項A1に記載の方法。
A18.リソグラフィ露光装置から受信される情報に関連したやり方でスペクトル特性アジャスタを駆動することは、1つ以上の固定パラメータに従ってスペクトル特性アジャスタを駆動することと、次のパルスバーストを生成するためのリソグラフィ露光装置からの要求を受信することと、を含み、
次のバースト内のパルスの生成時にスペクトル特性アジャスタが離散状態であることを保証することは、次のパルスバーストを生成するためのリソグラフィ露光装置からの要求の受信に対して次のパルスバーストの生成をゼロよりも大きい時間期間だけ遅延させることを含む、条項A1に記載の方法。
A19.次のパルスバーストの生成を時間期間だけ遅延させることは、次のパルスバースト内のパルスの生成時にスペクトル特性アジャスタを増幅光ビームのスペクトル特性の離散値に対応する離散状態のうち1つに駆動することができるまで次のパルスバーストを遅延させることを含む、条項A18に記載の方法。
A20.パルスバーストの生成と生成との間のパルスバーストが生成されていない時にスペクトル特性アジャスタが駆動されるやり方に関連するリソグラフィ露光装置からの情報は、バーストが終了する前に受信される、条項A1に記載の方法。
A21.パルスバーストの生成と生成との間のパルスバーストが生成されていない時にスペクトル特性アジャスタが駆動されるやり方に関連するリソグラフィ露光装置からの情報は、パルスバーストの生成と生成との間に受信される、条項A1に記載の方法。
A22.次のバースト内のパルスの生成時にスペクトル特性アジャスタが離散状態のうち1つであることを保証することは、パルスバーストの生成と生成との間のパルスが生成されていない時にどのようにスペクトル特性アジャスタが駆動されるかに関する情報を含む信号を、リソグラフィ露光装置に送信することを含む、条項A1に記載の方法。
A23.リソグラフィ露光装置と通信し、リソグラフィ露光装置から情報を受信するように構成されたインタフェースと、
スペクトル特性アジャスタと、
インタフェース及びスペクトル特性アジャスタと通信している光学装置であって、
基板をパターニングするためにリソグラフィ露光装置が使用する増幅光ビームのパルスのバーストをパルス繰り返し率で生成し、
パルスバーストの生成中に、パルス繰り返し率と相関する周波数でスペクトル特性アジャスタを離散状態セット間で駆動し、各離散状態は増幅光ビームのスペクトル特性の予め設定された複数の離散値の中のスペクトル特性の離散値に対応し、バースト内のパルスが生成されるたびに、スペクトル特性アジャスタは離散状態のうち1つになり、増幅光ビームパルスはその離散状態に対応するスペクトル特性を有し、
パルスバーストの生成と生成との間の、パルスが生成されていない時、インタフェースにおいてリソグラフィ露光装置から受信される情報に関連したやり方でスペクトル特性アジャスタを駆動し、
次のバースト内のパルスの生成時に、スペクトル特性アジャスタが増幅光ビームのスペクトル特性の離散値に対応する離散状態のうち1つであることを保証する、
ように構成された光学装置と、
を備える装置。
A24.増幅光ビームのスペクトル特性は増幅光ビームの波長である、条項A23に記載の装置。
A25.スペクトル特性アジャスタは、光学装置と通信していると共にスペクトル特性アジャスタを離散状態セット間で駆動するように構成されたドライブアクチュエータを含む、条項A23に記載の装置。
A26.光学装置は、インタフェース及びドライブアクチュエータと通信している制御装置を含み、制御装置は、
リソグラフィ露光装置からのパルス繰り返し率を含むリソグラフィ露光装置からの要求に関する指示をインタフェースから受信し、
リソグラフィ露光装置から受信した情報に基づく駆動信号をドライブアクチュエータに送信する、
ように構成されている、条項A25に記載の装置。
A27.ドライブアクチュエータに送信される駆動信号は正弦波駆動信号である、条項A26に記載の装置。
A28.スペクトル特性アジャスタは前駆光ビームと光学的に相互作用する光学デバイスを含み、光学デバイスの各離散状態はスペクトル特性アジャスタの離散状態に対応する、条項A23に記載の装置。
A29.光学デバイスの離散状態は、光学デバイスが前駆光ビームと相互作用する離散位置である、条項A28に記載の装置。
A30.光学デバイスは、前駆光ビームが通過するプリズムを含む、条項A29に記載の装置。
A31.光学デバイスはドライブアクチュエータに物理的に結合されている、条項A28に記載の装置。
A32.光学装置は、
第1のパルス光ビームを発生するように構成された第1のガス放電段と、
第1のパルス光ビームを受け、第1のパルス光ビームを増幅することにより光学装置から増幅光ビームを生成するように構成された第2のガス放電段と、
を含む、条項A23に記載の装置。
A33.第1のガス放電段は第1のガス放電チャンバを含み、第1のガス放電チャンバは、エネルギ源を収容すると共に、第1の利得媒体を含むガス混合物を包含し、
第2のガス放電段は第2のガス放電チャンバを含み、第2のガス放電チャンバは、エネルギ源を収容すると共に、第2の利得媒体を含むガス混合物を包含する、条項A32に記載の装置。
A34.光学装置は、パルス繰り返し率と相関する周波数でスペクトル特性アジャスタを駆動することによって、インタフェースでリソグラフィ露光装置から受信される情報に関連したやり方でスペクトル特性アジャスタを駆動するように構成されている、条項A23に記載の装置。
A35.光学装置は、パルス繰り返し率におけるパルス間の時間間隔の整数倍となるようにバースト間時間間隔を調整することによって、次のバースト内のパルスの生成時にスペクトル特性アジャスタが離散状態であることを保証するように構成されており、バースト間時間間隔は最後のパルスと次のバースト内のパルスとの間の時間間隔である、条項A34に記載の装置。
A36.光学装置は、
インタフェースから、リソグラフィ露光装置が次のバーストの生成を要求する時に関する指示を受信し、
受信した指示が、次のバースト内のパルスの生成とスペクトル特性アジャスタが離散状態にある時点との間の時間のずれを示す場合、受信した指示に基づいて、スペクトル特性アジャスタに送信される駆動信号に関連付けられた1つ以上のパラメータを修正する、
ことによって、次のバースト内のパルスの生成時にスペクトル特性アジャスタが離散状態であることを保証するように構成されている、条項A34に記載の装置。
A37.修正される1つ以上のパラメータは、スペクトル特性アジャスタのドライブアクチュエータに供給される駆動信号の周波数及び/又は位相のうち1つ以上を含む、条項A36に記載の装置。
A38.光学装置は、周波数がずれのために修正された場合、次のバーストの開始時に、駆動信号の周波数をパルス繰り返し率と相関するように変更するよう構成されている、条項A37に記載の装置。
A39.光学装置は、1つ以上の固定パラメータに従ってスペクトル特性アジャスタを駆動し、次のパルスバーストを生成するためのリソグラフィ露光装置からの要求を受信することによって、インタフェースでリソグラフィ露光装置から受信される情報に関連したやり方でスペクトル特性アジャスタを駆動するように構成され、
光学装置は、次のパルスバーストを生成するためのリソグラフィ露光装置からインタフェースで受信される要求の受信に対して次のパルスバーストの生成をゼロよりも大きい時間期間だけ遅延させることによって、次のバースト内のパルスの生成時にスペクトル特性アジャスタが離散状態であることを保証するように構成されている、条項A23に記載の装置。
A40.光学装置は、次のパルスバースト内のパルスの生成時にスペクトル特性アジャスタを増幅光ビームのスペクトル特性の離散値に対応する離散状態のうち1つに駆動することができるまで次のパルスバーストを遅延させることによって、次のパルスバーストの生成を遅延させるように構成されている、条項A39に記載の装置。
A41.光学装置は、増幅光ビームを出力するように構成された少なくとも1つの増幅段を有する光源を含む、条項A23に記載の装置。
A42.スペクトル特性アジャスタはスペクトル特性選択装置の一部であり、スペクトル特性選択装置は、光源から前駆光ビームを受けると共に、
前駆光ビームと相互作用するように配置された分散光学素子と、
分散光学素子と光源との間の前駆光ビームの経路に配置された複数のプリズムと、
を含む、条項A41に記載の装置。
A43.スペクトル特性アジャスタは複数のプリズムのうちのプリズムの1つであり、スペクトル特性アジャスタの離散状態セットは、前駆光ビームがプリズムと相互作用するプリズムの離散位置セットである、条項A42に記載の装置。
A44.プリズムは、プリズム軸を中心として離散角度セットに回転させることによって離散位置セット間で駆動される、条項A43に記載の装置。
B1.パルス繰り返し率で増幅光ビームのパルスのバーストを生成するよう光源に命令することと、
生成したパルスをリソグラフィ露光装置に送出することと、
パルスバーストの生成中に、パルス繰り返し率と相関する周波数でスペクトル特性アジャスタを離散状態セット間で駆動することであって、各離散状態は増幅光ビームのスペクトル特性の予め設定された複数の離散値の中のスペクトル特性の離散値に対応する、スペクトル特性アジャスタを駆動することと、
パルスバーストの生成と生成との間の、パルスが生成されていない時、パラメータセットによって規定される駆動信号に従ってスペクトル特性アジャスタを駆動することと、
リソグラフィ露光装置に対する命令、スペクトル特性アジャスタに対する駆動信号、及び/又は光源に対する命令のうち1つ以上を調整することによって、次のバースト内のパルスの生成時にスペクトル特性アジャスタが増幅光ビームのスペクトル特性の離散値に対応する離散状態のうち1つであることを保証することと、
を含む方法。
B2.次のバースト内のパルスの生成時にスペクトル特性アジャスタが増幅光ビームのスペクトル特性の離散値に対応する離散状態のうち1つであることを保証することは、スペクトル特性アジャスタに対する駆動信号を調整することを含む、条項B1に記載の方法。
B3.リソグラフィ露光装置から、次のバーストの生成を要求する時に関する指示を受信することを更に含み、
スペクトル特性アジャスタに対する駆動信号を調整することは、リソグラフィ露光装置からの受信した指示に基づいて、スペクトル特性アジャスタに送信される駆動信号のパラメータのうち1つ以上を修正することを含む、条項B2に記載の方法。
B4.スペクトル特性アジャスタに送信される駆動信号の1つ以上のパラメータを修正することは、スペクトル特性アジャスタに送信される駆動信号の周波数及び位相のうち1つ以上を修正することを含む、条項B3に記載の方法。
B5.次のバースト内のパルスの生成時にスペクトル特性アジャスタが離散状態のうち1つであるように1つ以上のパラメータの修正を可能とするため、次のパルスバーストを生成するためのリソグラフィ露光装置から受信される要求は、リソグラフィ露光装置から受信される指示から充分な時間だけ遅延される、条項B3に記載の方法。
B6.遅延は約25から35ミリ秒(ms)である、条項B5に記載の方法。
B7.次のバースト内のパルスの生成時にスペクトル特性アジャスタが増幅光ビームのスペクトル特性の離散値に対応する離散状態のうち1つであることを保証することは、光源に対する命令を調整することを含む、条項B1に記載の方法。
B8.光源に対する命令を調整することは、次のバースト内のパルスの生成時にスペクトル特性アジャスタが離散状態のうち1つであるように、次のパルスバーストを生成するためのリソグラフィ露光装置からの要求の受信に対して次のパルスバーストの生成をゼロよりも大きい時間期間だけ遅延させることを含む、条項B7に記載の方法。
B9.次のパルスバーストの生成を時間期間だけ遅延させることは、次のパルスバースト内のパルスの生成時にスペクトル特性アジャスタを増幅光ビームのスペクトル特性の離散値に対応する離散状態のうち1つに駆動することができるまで次のパルスバーストを遅延させることを含む、条項B8に記載の方法。
B10.スペクトル特性アジャスタは、パラメータセットによって規定される駆動信号に従って駆動され続ける、条項B7に記載の方法。
B11.次のバースト内のパルスの生成時にスペクトル特性アジャスタが増幅光ビームのスペクトル特性の離散値に対応する離散状態のうち1つであることを保証することは、リソグラフィ露光装置に対する命令を調整することを含む、条項B1に記載の方法。
B12.リソグラフィ露光装置に対する命令を調整することは、パルスバーストの生成と生成との間のパルスが生成されていない時にどのようにスペクトル特性アジャスタが駆動されるかに関する情報を含む信号を、リソグラフィ露光装置に送信することを含む、条項B11に記載の方法。
B13.リソグラフィ露光装置から次のバーストを生成するためのトリガ要求を受信することを更に含み、トリガ要求は、リソグラフィ露光装置に対する調整された命令に基づき、次のパルスバースト内のパルスが生成される時が、スペクトル特性アジャスタが離散状態のうち1つに達する瞬間と同期されることを保証する、条項B11に記載の方法。
B14.トリガ要求は、光源に対する命令内の電気パルスを遅延させるように調整されている、条項B13に記載の方法。
B15.増幅光ビームのスペクトル特性は増幅光ビームの波長である、条項B1に記載の方法。
B16.バースト内のパルスが生成されるたびに、スペクトル特性アジャスタは離散状態のうち1つになり、増幅光ビームパルスはその離散状態に対応するスペクトル特性を有する、条項B1に記載の方法。
B17.パルス繰り返し率と相関する周波数でスペクトル特性アジャスタを離散状態セット間で駆動することは、増幅光ビームの各パルスごとに増幅光ビームの波長が2つの別個の波長間で変化するようにスペクトル特性アジャスタを駆動することを含む、条項B1に記載の方法。
B18.パルス繰り返し率と相関する周波数でスペクトル特性アジャスタを離散状態セット間で駆動することは、増幅光ビームの1つおきのパルスごとに増幅光ビームの波長が2つの別個の波長間で変化するようにスペクトル特性アジャスタを駆動することを含む、条項B1に記載の方法。
B19.離散状態セット間でスペクトル特性アジャスタを駆動することは、正弦波駆動信号に従ってスペクトル特性アジャスタを駆動することを含む、条項B1に記載の方法。
B20.スペクトル特性アジャスタを駆動することは、前駆光ビームと相互作用する光学系を離散位置間で移動させることを含み、光学系の各離散位置は離散状態に対応し、増幅光ビームは前駆光ビームから生成される、条項B1に記載の方法。
B21.次のバースト内のパルスの生成時にスペクトル特性アジャスタが離散状態のうち1つであることを保証することは、次のバースト内の最初のパルスの生成時にスペクトル特性アジャスタが離散状態のうち1つであることを保証することを含む、条項B1に記載の方法。
B22.リソグラフィ露光装置と通信するように構成されたインタフェースと、
スペクトル特性アジャスタと、
光源と、
インタフェース、スペクトル特性アジャスタ、及び光源と通信している制御装置であって、
基板をパターニングするためにリソグラフィ露光装置が使用する増幅光ビームのパルスのバーストをパルス繰り返し率で生成するよう光源に命令し、
パルスバースト中に、パルス繰り返し率と相関する周波数でスペクトル特性アジャスタを離散状態セット間で駆動し、各離散状態は増幅光ビームのスペクトル特性の予め設定された複数の離散値の中のスペクトル特性の離散値に対応し、
パルスバーストの生成と生成との間の、パルスが生成されていない時、パラメータセットによって規定される駆動信号に従ってスペクトル特性アジャスタを駆動し、
リソグラフィ露光装置に対する命令、スペクトル特性アジャスタに対する駆動信号、及び/又は光源に対する命令のうち1つ以上を調整することによって、次のバースト内のパルスの生成時にスペクトル特性アジャスタが増幅光ビームのスペクトル特性の離散値に対応する離散状態のうち1つであることを保証する、
ように構成された制御装置と、
を備える装置。
B23.制御装置は、スペクトル特性アジャスタに対する駆動信号を調整することによって、次のバースト内のパルスの生成時にスペクトル特性アジャスタが増幅光ビームのスペクトル特性の離散値に対応する離散状態のうち1つであることを保証するように構成されている、条項B22に記載の装置。
B24.制御装置は、リソグラフィ露光装置から、インタフェースを経由して、次のバーストの生成を要求する時に関する指示を受信するように構成され、
制御装置は、リソグラフィ露光装置からの受信した指示に基づいて、スペクトル特性アジャスタに送信される駆動信号のパラメータのうち1つ以上を修正することにより、スペクトル特性アジャスタに対する駆動信号を調整する、条項B23に記載の装置。
B25.制御装置は、スペクトル特性アジャスタに送信される駆動信号の周波数及び位相のうち1つ以上を修正することによって、スペクトル特性アジャスタに送信される駆動信号の1つ以上のパラメータを修正するように構成されている、条項B24に記載の方法。
B26.制御装置は、光源に対する命令を調整することによって、次のバースト内のパルスの生成時にスペクトル特性アジャスタが増幅光ビームのスペクトル特性の離散値に対応する離散状態のうち1つであることを保証するように構成されている、条項B22に記載の装置。
B27.制御装置は、次のバースト内のパルスの生成時にスペクトル特性アジャスタが離散状態のうち1つであるように、次のパルスバーストを生成するためのリソグラフィ露光装置からの要求の受信に対して次のパルスバーストの生成をゼロよりも大きい時間期間だけ遅延させることによって、光源に対する命令を調整する、条項B26に記載の装置。
B28.制御装置は、次のパルスバースト内のパルスの生成時にスペクトル特性アジャスタを増幅光ビームのスペクトル特性の離散値に対応する離散状態のうち1つに駆動することができるまで次のパルスバーストを遅延させることによって、次のパルスバーストの生成を時間期間だけ遅延させる、条項B27に記載の装置。
B29.制御装置は、パラメータセットによって規定される駆動信号に従ってスペクトル特性アジャスタを駆動し続ける、条項B27に記載の装置。
B30.制御装置は、リソグラフィ露光装置に対する命令を調整することによって、次のバースト内のパルスの生成時にスペクトル特性アジャスタが増幅光ビームのスペクトル特性の離散値に対応する離散状態のうち1つであることを保証するように構成されている、条項B22に記載の装置。
B31.制御装置は、パルスバーストの生成と生成との間のパルスが生成されていない時にどのようにスペクトル特性アジャスタが駆動されるかに関する情報を含む信号を、リソグラフィ露光装置に送信することによって、リソグラフィ露光装置に対する命令を調整する、条項B30に記載の装置。
B32.制御装置は、リソグラフィ露光装置から次のバーストを生成するためのトリガ要求を受信するように構成され、トリガ要求は、リソグラフィ露光装置に対する調整された命令に基づき、次のパルスバースト内のパルスが生成される時が、スペクトル特性アジャスタが離散状態のうち1つに達する瞬間と同期されることを保証する、条項B30に記載の装置。
B33.増幅光ビームのパルスのスペクトル特性は増幅光ビームの波長である、条項B22に記載の装置。
B34.スペクトル特性アジャスタは、制御装置と通信していると共にスペクトル特性アジャスタを離散状態セット間で駆動するように構成されたドライブアクチュエータを含む、条項B22に記載の装置。
B35.スペクトル特性アジャスタは前駆光ビームと光学的に相互作用する光学デバイスを含み、光学デバイスの各離散状態はスペクトル特性アジャスタの離散状態に対応する、条項B34に記載の装置。
B36.光学デバイスの離散状態は、光学デバイスが前駆光ビームと相互作用する離散位置である、条項B35に記載の装置。
B37.光学デバイスは、前駆光ビームが通過するプリズムを含む、条項B35に記載の装置。
B38.光学デバイスはドライブアクチュエータに物理的に結合されている、条項B35に記載の装置。
B39.光源は、
第1のパルス光ビームを発生するように構成された第1のガス放電段と、
第1のパルス光ビームを受け、第1のパルス光ビームを増幅することにより光学装置から増幅光ビームを生成するように構成された第2のガス放電段と、
を含む、条項B35に記載の装置。
B40.光源は、増幅光ビームを出力するように構成された少なくとも1つの増幅段を含む、条項B22に記載の装置。
B41.スペクトル特性アジャスタはスペクトル特性選択装置の一部であり、スペクトル特性選択装置は、光源から前駆光ビームを受けると共に、
前駆光ビームと相互作用するように配置された分散光学素子と、
分散光学素子と光源との間の前駆光ビームの経路に配置された複数のプリズムと、
を含む、条項B22に記載の装置。
B42.スペクトル特性アジャスタは複数のプリズムのうちのプリズムの1つであり、スペクトル特性アジャスタの離散状態セットは、前駆光ビームがプリズムと相互作用するプリズムの離散位置セットである、条項B41に記載の装置。
B43.プリズムは、プリズム軸を中心として離散角度セットに回転させることによって離散位置セット間で駆動される、条項B42に記載の装置。
【0151】
[0174] 他の実施は以下の特許請求の範囲内である。