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特許7045260稼働率解析システム、稼働率解析プログラム、及び、稼働率解析方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-23
(45)【発行日】2022-03-31
(54)【発明の名称】稼働率解析システム、稼働率解析プログラム、及び、稼働率解析方法
(51)【国際特許分類】
   G01M 15/02 20060101AFI20220324BHJP
   G01M 17/007 20060101ALI20220324BHJP
【FI】
G01M15/02
G01M17/007 Z
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018092765
(22)【出願日】2018-05-14
(65)【公開番号】P2019200051
(43)【公開日】2019-11-21
【審査請求日】2020-12-15
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000155023
【氏名又は名称】株式会社堀場製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100121441
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 竜平
(74)【代理人】
【識別番号】100154704
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 真大
(72)【発明者】
【氏名】駒田 峰之
(72)【発明者】
【氏名】小澤 亮二
【審査官】森口 正治
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-245967(JP,A)
【文献】特開2015-082179(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01M 15/00-17/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両又は車両の一部である供試体を試験する複数の試験設備と通信可能に接続され、前記複数の試験設備の稼働率を解析する稼働率解析システムであって、
前記複数の試験設備の動作情報を取得する動作情報取得部と、
前記複数の試験設備それぞれが稼働している否かを判断するための稼働判定条件に関するユーザ設定を受け付ける設定受付部と、
前記設定受付部が受け付けた稼働判定条件に基づいて、前記動作情報取得部が取得した動作情報から、前記複数の試験設備それぞれの稼働率、又は、前記複数の試験設備全体の稼働率を算出する稼働率算出部とを備え、
前記稼働率算出部は、前記複数の試験設備それぞれの稼働率、又は、前記複数の試験設備全体の稼働率を、前記試験設備の電力使用量の上限値又は下限値、前記供試体に含まれる回転体の回転数の上限値又は下限値、前記試験設備に含まれる回転体の回転速度の上限値又は下限値、又は試験名の登録の有無の何れかの組み合わせからなる同一の稼働判定条件を用いて算出する稼働率解析システム。
【請求項2】
前記稼働判定条件は、前記組み合わせのAND条件又はOR条件を設定可能に構成されている、請求項1記載の稼働率解析システム。
【請求項3】
前記稼働判定条件を入力するための入力画面を表示する画面表示部をさらに備え、
前記入力画面は、前記電力使用量、前記回転数、前記回転速度又は前記試験名の何れかを選択できる項目選択入力欄と、前記AND条件又は前記OR条件を選択できるAND/OR選択入力欄とを有する、請求項2記載の稼働率解析システム。
【請求項4】
前記稼働率算出部は、以下の(1)~(4)の少なくとも1つの稼働率を算出する、請求項1乃至3の何れか一項に記載の稼働率解析システム。
(1)稼働時間/営業時間×100(%)
(2)稼働時間/24時間×100(%)
(3)営業時間内の稼働時間/営業時間×100(%)
(4)営業時間外の稼働時間/営業時間外の時間×100(%)
【請求項5】
前記設定受付部は、カレンダーの日付毎に稼働予定か否かのユーザ設定を受け付けるものであり、
前記稼働率算出部は、前記設定受付部が受け付けた稼働予定日の稼働率を算出するものである、請求項1乃至4の何れか一項に記載の稼働率解析システム。
【請求項6】
車両又は車両の一部である供試体を試験する複数の試験設備と通信可能に接続され、前記複数の試験設備の稼働率を解析する稼働率解析プログラムであって、
前記複数の試験設備の動作情報を取得する動作情報取得部と、
前記複数の試験設備それぞれが稼働している否かを判断するための稼働判定条件に関するユーザ設定を受け付ける設定受付部と、
前記設定受付部が受け付けた稼働判定条件に基づいて、前記動作情報取得部が取得した動作情報から、前記複数の試験設備それぞれの稼働率、又は、前記複数の試験設備全体の稼働率を算出する稼働率算出部と、としての機能をコンピュータに備えさせ、
前記稼働率算出部は、前記複数の試験設備それぞれの稼働率、又は、前記複数の試験設備全体の稼働率を、前記試験設備の電力使用量の上限値又は下限値、前記供試体に含まれる回転体の回転数の上限値又は下限値、前記試験設備に含まれる回転体の回転速度の上限値又は下限値、又は試験名の登録の有無の何れかの組み合わせからなる同一の稼働判定条件を用いて算出することを特徴とする稼働率解析プログラム。
【請求項7】
車両又は車両の一部である供試体を試験する複数の試験設備と通信可能に接続され、前記複数の試験設備の稼働率を解析する稼働率解析方法であって、
前記複数の試験設備の動作情報を取得し、
前記複数の試験設備それぞれが稼働している否かを判断するための稼働判定条件に基づいて、取得した動作情報から、前記複数の試験設備それぞれの稼働率、又は、前記複数の試験設備全体の稼働率を算出し、
前記複数の試験設備それぞれの稼働率、又は、前記複数の試験設備全体の稼働率は、前記試験設備の電力使用量の上限値又は下限値、前記供試体に含まれる回転体の回転数の上限値又は下限値、前記試験設備に含まれる回転体の回転速度の上限値又は下限値、又は試験名の登録の有無の何れかの組み合わせからなる同一の稼働判定条件を用いることで算出されることを特徴とする稼働率解析方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両又は車両の一部を試験するための試験設備の稼働率を解析する稼働率解析システム、稼働率解析プログラム、及び、稼働率解析方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車両又は車両の一部の試験を行う試験設備としては、特許文献1に示すように、自動車の排ガスを測定する自動車排ガス測定システムがある。
【0003】
この自動車排ガス測定システムは、シャシダイナモメータに搭載された自動車を所定の走行モードにしたがって走行させ、そのときに排出される排ガスを定容量サンプリング(CVS)装置によって採取し、この採取されたサンプルガスをガス測定装置に導入して排ガス中の各成分を測定するものである。また、この自動車排ガス測定システムは、上記の排ガス測定を自動的に実行させるためのスケジュール管理装置を有している。
【0004】
このような試験設備の稼働率に関しては、ユーザが手書きの紙を元に手計算を行っている。また、その算出方法は、時間や試験回数など様々でありユーザによって考え方が異なる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2002-71526号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年、車両又は車両の一部を試験する試験設備の稼働率をROI指標(投資資本効率)として、労務管理、拠点間の人員の配置、又は、試験設備の増設等の判断に用いることが行われている。
【0007】
例えば、1つの建屋に複数の試験設備が設けられており、そのような建屋が複数の拠点に存在する場合には、複数の建屋に設けられた複数の試験設備の稼働率を収集し、全体又は拠点毎の稼働率を計算する必要があり、手間及び時間がかかってしまう。
【0008】
また、試験設備の稼働を同一の条件で判断するためには、複数の試験設備、複数の建屋又は複数の拠点間で統一する必要がある。また、収集目的に応じて稼働判定条件を切り替えたいという要求もある。
【0009】
そこで本発明は、上述した課題を解決すべくなされたものであり、複数の試験設備の稼働率を一括して管理することをその主たる課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
すなわち本発明に係る稼働率解析システムは、車両又は車両の一部である供試体を試験する複数の試験設備と通信可能に接続され、前記複数の試験設備の稼働率を解析する稼働率解析システムであって、前記複数の試験設備の動作情報を取得する動作情報取得部と、前記複数の試験設備それぞれが稼働している否かを判断するための稼働判定条件に関するユーザ設定を受け付ける設定受付部と、前記設定受付部が受け付けた稼働判定条件に基づいて、前記動作情報取得部が取得した動作情報から、前記複数の試験設備それぞれの稼働率、又は、前記複数の試験設備全体の稼働率を算出する稼働率算出部とを備えることを特徴とする。
【0011】
このような稼働率解析システムであれば、ユーザが設定した稼働判定条件に基づいて複数の試験設備の動作情報から、複数の試験設備それぞれの稼働率、又は、複数の試験設備全体の稼働率を算出するので、複数の試験設備の稼働率を手間や時間を低減しつつ一括して管理することができる。
【0012】
具体的には、前記稼働率算出部は、前記複数の試験設備それぞれの稼働率、又は、前記複数の試験設備全体の稼働率を同一の稼働判定条件を用いて算出することが望ましい。
【0013】
試験設備が稼働しているか否かは、単純には試験設備の電力使用量から判断できると考えられる。
ところが、ユーザによっては稼働の基準が異なるため、電力使用量のみでは不必要な時間を稼働時間として判断してしまう恐れがあったり、稼働時間を多く数える恐れがある。例えば、試験設備において試験前に行う暖機運転を稼働時間に含めない場合には、電力使用量のみで判断すると、実際の稼働時間よりも多い時間を稼働時間として累積してしまう。その結果、稼働の基準に合致した適切な稼働率を算出することが難しい。
そこで、前記稼働判定条件は、前記試験設備の電力使用量、前記試験設備に含まれる回転体の回転数、前記試験設備に含まれるモータの回転速度、又は試験名の何れかの組み合わせにより設定されることが望ましい。
この構成であれば、例えば電力使用量と試験名との組み合わせ等により、暖機運転を稼働時間に含めないようにできる。
【0014】
ユーザの目的に応じた稼働時間を計測できるようにするためには、前記稼働判定条件は、前記組み合わせのAND条件又はOR条件を設定可能に構成されていることが望ましい。
【0015】
稼働判定条件の設定又は変更を容易にしてユーザの使い勝手を向上するためには、前記稼働判定条件を入力するための入力画面を表示する画面表示部をさらに備え、前記入力画面は、前記電力使用量、前記回転数、前記回転速度又は前記試験名の何れかを選択できる項目選択入力欄と、前記AND条件又は前記OR条件を選択できるAND/OR選択入力欄とを有することが望ましい。
【0016】
ユーザに応じて稼働率の計算方法が異なる場合がある。例えば、労務管理的な観点からは営業時間内の稼働率又は営業時間外の稼働率を用いるユーザがいる。一方、純粋な試験設備の稼働率として24時間の稼働率を用いるユーザもいる。
このような種々の稼働率の計算方法に対応するためには、前記稼働率算出部は、以下の(1)~(4)の少なくとも1つの稼働率を算出することが望ましい。
(1)稼働時間/営業時間×100(%)
(2)稼働時間/24時間×100(%)
(3)営業時間内の稼働時間/営業時間×100(%)
(4)営業時間外の稼働時間/営業時間外の時間×100(%)
【0017】
カレンダーを用いた稼働率の管理を可能とし、ユーザの使い勝手を向上するためには、前記設定受付部は、カレンダーの日付毎に稼働予定か否かのユーザ設定を受け付けるものであり、前記稼働率算出部は、前記設定受付部が受け付けた稼働予定日の稼働率を算出するものであることが望ましい。
【0018】
また本発明は、車両又は車両の一部を試験する複数の試験設備と通信可能に接続され、前記複数の試験設備の稼働率を解析する稼働率解析プログラムであって、前記複数の試験設備の動作情報を取得する動作情報取得部と、前記複数の試験設備それぞれが稼働している否かを判断するための稼働判定条件に関するユーザ設定を受け付ける設定受付部と、前記設定受付部が受け付けた稼働判定条件に基づいて、前記動作情報取得部が取得した動作情報から、前記複数の試験設備それぞれの稼働率、又は、前記複数の試験設備全体の稼働率を算出する稼働率算出部と、としての機能をコンピュータに備えさせることを特徴とする。
【0019】
さらに本発明は、車両又は車両の一部を試験する複数の試験設備と通信可能に接続され、前記複数の試験設備の稼働率を解析する稼働率解析方法であって、前記複数の試験設備の動作情報を取得し、前記複数の試験設備それぞれが稼働している否かを判断するための稼働判定条件に基づいて、取得した動作情報から、前記複数の試験設備それぞれの稼働率、又は、前記複数の試験設備全体の稼働率を算出することを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
このように構成した本発明によれば、複数の試験設備の稼働率を一括して管理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本実施形態の稼働率解析システムの構成を示す模式図である。
図2】同実施形態の機能構成ブロック図である。
図3】同実施形態の稼働判定方法設定画面である。
図4】同実施形態のカレンダー設定画面である。
図5】同実施形態の稼働率解析画面である。
図6】同実施形態の稼働率詳細画面である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に本発明に係る稼働率解析システムの一実施形態について図面を参照して説明する。
【0023】
本実施形態に係る稼働率解析システム100は、例えば同一事業者が有する複数の試験設備200の稼働率を一括して管理するものである。なお、複数の試験設備200は、1つの建屋Aに設置されたものであっても良いし、複数の建屋Aに各試験設備200が分散して設置されたものであっても良い。図1では複数の建屋Aに試験設備200が分散して設置された例を示している。また、複数の建屋Aは、同一の敷地内に無くても良い。
【0024】
各試験設備200は、車両又は車両の一部を試験するための試験機器200aと、当該試験機器200aを管理する管理装置200bとを備えている。ここで、試験機器200aとしては、例えば、シャシダイナモメータ、エンジンダイナモメータ、駆動系試験設備、排ガス分析装置、定容量サンプリング(CVS)装置、自動運転ロボット、電力計等を挙げることができる。管理装置200bは、CPU、内部メモリ、入出力インターフェース、キーボードやマウス等の入力機器、ディスプレイやプリンタ等の出力機器、インターネットNTを介して稼働率解析システム100と通信可能な通信機器等を有する専用又は汎用のコンピュータである。
【0025】
具体的に稼働率解析システム100は、図2に示すように、複数の試験設備200の管理装置200bと通信可能に接続されたコンピュータにより構成されている。なお、このコンピュータは、CPU、内部メモリ、入出力インターフェース、キーボードやマウス等の入力機器、ディスプレイやプリンタ等の出力機器、インターネットNTを介して管理装置200bと通信可能な通信機器等を有する専用又は汎用のものである。
【0026】
そして、稼働率解析システム100は、内部メモリに格納された稼働率解析プログラム100に基づいてCPU及び周辺機器が協働することによって、動作情報取得部2、設定受付部3、稼働率算出部4、画面表示部5等としての機能を発揮する。
【0027】
以下に各部2~5について説明する。
【0028】
動作情報取得部2は、複数の試験設備200の動作情報を取得するものである。なお、動作情報を示す各種データは、各試験設備200の管理装置200bにより送信される。
【0029】
ここで、動作情報を示す各種データには、試験設備200の電力使用量データ、供試体に含まれる回転体(例えばモータやエンジンなど)の回転数データ(又は回転速度データ)、試験設備200に含まれる回転体(例えばシャシダイナモメータの回転ローラ、フライホイールなど)の回転速度データ(又は回転数データ)、試験名データなどがある。
【0030】
なお、電力使用量データは、試験設備200全体の電力使用量(消費電力)であっても良いし、試験設備200を構成する各試験設備200a又は特定の試験設備200aの電力使用量(消費電力)であっても良い。この電力使用量データは、試験設備200aの所要箇所に設けられた電力計の電力データから求められたデータ、又は、試験設備200aの所要箇所に設けられた電流計の電流データ及び電圧計の電圧データから求められたデータである。回転数データは、試験設備における回転体の回転数を検出する回転数センサにより得られたデータである。回転速度データは、試験設備における回転体の回転数を検出する回転速度センサにより得られたデータであり、前記回転数センサにより得られたデータから算出したデータであっても良い。試験名データは、ユーザが管理装置200bに入力したスケジュールデータの一部であり、当該試験が実施される日時データと紐付けられている。
【0031】
設定受付部3は、複数の試験設備200それぞれが稼働しているか否かを判断するための稼働判定条件に関するユーザ設定を受け付けるものである。この稼働判定条件は、図3に示す入力画面W1を用いて設定される。なお、入力画面W1の詳細は後述するが、この入力画面W1により、ユーザは複数の試験設備200の稼働判定条件を一括して設定することができる。ここで、稼働判定条件の設定は、例えば、試験室単位(図3における「Cell1」、「Cell2」、「Cell3」)で一括して設定することもできるし、全ての試験室(図3における「共通」)で一括して設定することもできる。その他、これに限られず、予め設定された複数の試験設備200において一括して設定することができる。
【0032】
ここで、稼働判定条件は、図3に示すように、(a)試験設備200(又はユーザが設定/変更可能な所定の機器200a)の電力使用量の上限値又は下限値の設定、(b)供試体に含まれる回転体(例えばモータ、エンジンなど)の回転数の上限値又は下限値の設定、(c)試験設備200に含まれる回転体(例えばシャシダイナモメータの回転ローラ、フライホイール、動力計など)の回転速度の上限値又は下限値の設定、(d)試験名の有無、(e)ユーザが任意に設定できる任意条件、の何れかの組み合わせにより設定される。
【0033】
また、稼働判定条件は、上記(a)~(e)の中から選択された項目の組み合わせのAND条件又はOR条件を設定可能である。AND条件の場合には、上記(a)~(e)の中から選択された項目の組み合わせの全てを満たす場合に、試験設備200が稼働していると判断される。OR条件の場合には、上記(a)~(e)の中から選択された項目の組み合わせの何れか1つを満たす場合に、試験設備200が稼働していると判断される。
【0034】
また、設定受付部3は、カレンダーの日付毎に稼働予定か否かのユーザ設定を受け付ける。具体的には、設定受付部3は、日付毎に営業日か否か、祝日か否か、営業日における営業開始時間及び営業終了時間、イベント(空調メンテナンス、全社会合、定期メンテナンス、故障、台風など)の有無、イベントの開始時間及び終了時間、又は、利用不可か否か等を受け付ける。
【0035】
稼働率算出部4は、設定受付部3が受け付けた稼働判定条件に基づいて、動作情報取得部2が取得した動作情報から、複数の試験設備200それぞれの稼働率、及び、複数の試験設備200全体の稼働率を算出するものである。ここで稼働率算出部4は、以下の(1)~(4)の稼働率を算出する。
【0036】
(1)稼働時間(h)/営業時間(h)×100(%)
この稼働率は、営業時間を基準(分母)とした、一日(24時間)の稼働時間(分子)の比率である。この稼働率では、休業日に稼働したり、残業も含めて稼働した場合には、100%以上の稼働率となり、営業時間の想定計画に対しての稼働率を把握することが可能となる。
【0037】
(2)稼働時間(h)/24時間×100(%)
この稼働率は、一日(24時間)を基準(分母)とした、一日(24時間)の稼働時間(分子)の比率である。
【0038】
(3)営業時間内の稼働時間/営業時間×100(%)
この稼働率は、営業時間を基準(分母)とした、営業時間内の稼働時間(分子)の比率である。この稼働率では、営業時間内でどれだけ稼働したかを把握し、営業時間内でどれくらい空きがあったかを把握することができる。
【0039】
(4)営業時間外の稼働時間/営業時間外の時間×100(%)
この稼働率は、営業時間外を基準(分母)とした、営業時間外の稼働時間(分子)の比率である。なお、営業時間が8時間の場合には、営業時間外の時間は16時間となる。この稼働率では、営業時間外にどれだけ稼働したかを把握し、営業時間外でどれだけ車両試験をカバーしたかを把握することができる。
【0040】
上記の計算式は、1日単位の稼働率を求めるものであるが、その他、指定した期間(例えば一週間)単位で稼働率を求めることもできる。
【0041】
画面表示部5は、ユーザが同一の稼働判定条件を入力するための入力画面W1を表示するものである。この入力画面W1は、図3に示すように、(a)電力使用量、(b)供試体に含まれる回転体の回転数、(c)試験設備に含まれる回転体の回転速度、(d)試験名、(e)任意条件の何れかを選択できる項目選択入力欄(チェックボックス)C1~C5と、それらの組み合わせのAND条件又はOR条件を選択できるAND/OR選択入力欄(チェックボックス)C6、C7とを有する。また、本実施形態の入力画面W1は、電力使用量の上限値及び下限値をユーザが入力する使用量入力欄(テキスト入力欄)T1、T2と、回転数の下限値をユーザが入力する回転数入力欄(テキスト入力欄)T3と、回転速度の下限値をユーザが入力する回転速度入力欄(テキスト入力欄)T4と、任意条件をユーザが入力する任意条件入力欄(テキスト入力欄)T5とを有する。なお、AND/OR選択入力欄(チェックボックス)C6、C7は、項目選択入力欄毎に設けられており、個々にAND条件又はOR条件を選択できる。
【0042】
また入力画面W1には、稼働率計算方法の初期値を選択するための稼働率選択欄S1が設けられている。ここで、初期値として選択される稼働率には、上述した(1)稼働時間(h)/営業時間(h)×100(%)(「営業時間基準の稼働率」)、(2)稼働時間(h)/24時間×100(%)(「全日の稼働率」)、(3)営業時間内の稼働時間/営業時間×100(%)(「営業時間内の稼働率」)、(4)営業時間外の稼働時間/営業時間外の時間×100(%)(「営業時間外の稼働率」)がある。
【0043】
その他、画面表示部5は、図4に示すように、ユーザがカレンダーの日付毎に稼働予定か否か等を入力するためのカレンダー設定画面W2を表示する。ユーザは、このカレンダー設定画面W2を用いて、日付毎に営業日か否か、祝日か否か、営業日における営業開始時間及び営業終了時間、イベント(空調メンテナンス、全社会合、定期メンテナンス、故障、台風など)の有無、イベントの開始時間及び終了時間、又は、利用不可か否かを入力する。
【0044】
また、画面表示部5は、図5に示すように、稼働率算出部4により算出された稼働率を一覧表示する稼働率解析画面W3を表示する。具体的に画面表示部5は、複数の試験設備(Cell1~Cell3)全体の稼働率を日付毎に表示するとともに、各試験設備200の稼働率を日付毎に表示する。また、設定された期間内(図5では12月4日~12月10日の1週間)を通しての稼働率も表示する。なお、図5において、「共通」がCell1~Cell3全体の稼働率等を示すものであり、「Cell1」等が当該試験設備の稼働率等を示すものである。
【0045】
この稼働率解析画面W3には、試験設備毎に日付毎の稼働率、稼働時間、休業日理由、利用不可理由、スイッチ時間が表示されている。図5では、画面横方向に試験設備毎の情報が表示され、画面縦方向(スクロール方向)に稼働率、稼働時間、休業日理由、利用不可理由、スイッチ時間が表示される。
【0046】
稼働率は、日付毎に棒グラフで表示されている。日付毎で稼働率を表示させ、日単位での負荷状況や空き状況を確認し、その内容に従って、より無理なく効率的な利用計画を検討することができる。
【0047】
稼働時間は、「稼働(基準)(稼働時間のうち、営業時間内の時間)」、「稼働(残業)(稼働時間のうち、営業時間を超過した時間)」、「停止(余剰)(停止時間のうち、営業時間に対して、稼働時間を消化したときの残時間)」、「停止(基準)(停止時間から非定常停止を引いた時間)」等に分類されて円グラフで割合が表示されている。期間内での稼働と停止の割合と、そのうちの超過(残業)と余剰が分かることにより、利用計画を検討する時、超過に対する負荷軽減の対策を行うべきか、余剰に対する稼働率アップの対策を取るか優先順位を含めて検討することができる。
【0048】
休業日理由は、例えば、「祝日」、「空調メンテナンス」、「定期メンテナンス」、「不定期メンテナンス」等に分類されて円グラフで割合が表示されている。なお、凡例に関しては、稼動日カレンダー入力で登録するイベント名称(理由)になるので、ユーザが任意に入力できる内容になる。期間内での休業日の理由の割合が分かることで、その休業日の対策の優先度を把握することができる。
【0049】
利用不可理由は、例えば、「故障」、「台風」、「見学」等に分類されて円グラフで割合が表示されている。なお、凡例に関しては、稼動日カレンダー入力で登録するイベント名称(理由)になるので、ユーザが任意に入力できる内容になる。期間内での利用不可日の理由の割合が分かることで、その利用不可の対策の優先度を把握することができる。
【0050】
スイッチ時間は、期間内全体でのスイッチSW1~SW8のオン状態の時間を棒グラフで表示する。スイッチSW1~SW8の名称については、管理装置200bから取得してその文字列を表示することとする。
【0051】
その他、稼働率解析画面W3には、表示する期間を変更するための変更ボタンB1、稼働率の計算方法を変更する変更ボタンB2等が表示されており、ユーザはこれらのボタンを操作することによって、表示内容を変更することができる。また、この稼働率解析画面W3には、全室概要(各試験設備の動作状況)を表示する画面に切り替える切替ボタンB3、各試験設備における各機器の電力使用量(又は、それらの経時変化)を表示する画面に切り替えるための切替ボタンB4、稼働日カレンダー(営業日カレンダー)を表示する画面に切り替えるための切替ボタンB5が表示されている。
【0052】
<稼働率解析詳細ダイアログ>
さらに画面表示部は、上記の稼働率解析画面W3に加えて、図6に示す稼働率解析詳細画面W4を表示する。この稼働率解析詳細画面W4は、「共通」、「Cell1」、「Cell2」、「Cell3」それぞれの解析情報を一覧表示する画面である。なお、図6は「共通」の詳細画面である。この画面に表示される情報は、基本的には、上記の稼働率解析画面W3と同様であるが、各グラフの下等の周辺に具体的な集計値が表示される。
【0053】
稼働率表示領域では、棒グラフの下に期間内全体の稼働率が表示されるとともに、右側に日付毎の稼働率が例えば表形式で表示される。稼働時間表示領域では、円グラフの下に期間内全体の稼働時間及び停止時間が表示されるとともに、右側に稼働状態毎の時間及び割合が例えば表形式で表示される。休業日理由表示領域では、円グラフの下に期間内全体の営業日及び休日の日数が表示されるとともに、右側に休業日理由毎の日数及び割合が例えば表形式で表示される。また、利用不可理由表示領域では、円グラフの下に期間内全体の利用不可日の日数が表示されるとともに、右側に利用不可理由毎の日数及び割合が例えば表形式で表示される。
【0054】
<本実施形態の効果>
このように構成した本実施形態の稼働率解析システム100によれば、ユーザが設定した同一の稼働判定条件に基づいて複数の試験設備200の動作情報から、複数の試験設備200それぞれの稼働率、又は、複数の試験設備200全体の稼働率を算出するので、複数の試験設備200の稼働率を手間や時間を低減しつつ一括して管理することができる。
【0055】
ここで、ユーザは、複数の試験設備200に対する同一の稼働判定条件を、入力画面W1を用いて入力することができるので、複数の試験設備200の稼働判定における条件設定を簡単にすることができ、その入力の手間を低減することができる。
【0056】
また、本実施形態では、稼働判定条件が試験設備200の電力使用量、試験設備200に含まれる回転体の回転数、試験設備200に含まれる回転体の回転速度及び試験名の何れかの組み合わせにより設定されるので、ユーザの目的に応じた稼働時間を漏れなく計測できるようになり、ユーザの稼働基準に合致した適切な稼働率を算出することができる。ここで、稼働判定条件における組み合わせのAND条件又はOR条件を設定可能に構成されているので、ユーザの目的に応じた稼働時間をより一層正確に計測できる。
【0057】
さらに、本実施形態では、稼働率算出部4が4種類の稼働率を算出するので、労務管理的な観点からは営業時間内の稼働率又は営業時間外の稼働率を用いることができるし、純粋な試験設備の稼働率として24時間の稼働率を用いることができる。
【0058】
その上、本実施形態では、画面表示部5により、稼働判定条件を入力するための入力画面を表示して当該入力画面を介して稼働判定条件を入力できるように構成されているので、稼働判定条件の設定又は変更を容易にしてユーザの使い勝手を向上することができる。また、画面表示部5は、稼働予定などを入力するためのカレンダー設定画面を表示するので、カレンダーを用いた稼働率の管理を可能とし、ユーザの使い勝手を向上することができる。
【0059】
<その他の変形実施形態>
なお、本発明は前記実施形態に限られるものではない。
【0060】
前記実施形態では、(a)電力使用量、(b)供試体に含まれる回転体の回転数、(c)試験設備に含まれる回転体の回転速度、(d)試験名、(e)任意条件の5つの項目のAND/OR条件を設定できるように構成されているが、上記5つの項目とは別の項目(例えば所定スイッチのON/OFF)を選択可能としても良い。また、(e)任意条件の項目は無くても良い。
【0061】
前記実施形態では、稼働率解析システム100が各試験設備200の動作情報を取得して稼働率を計算しているが、その機能の一部を各試験設備200の管理装置200bに設けても良い。例えば、稼働率解析システム100で設定された営業時間の情報や稼働率判定条件の情報を管理装置200bに送信し、それら情報を受け取った管理装置200bが試験設備200の動作情報から稼働率を算出し、その算出した稼働率の情報を稼働率解析システム100に送信するように構成しても良い。
【0062】
また、画面表示部5は、解析画面W3において、試験設備の動作情報(例えば校正ガス等のガスボンベのボンベ圧、又は、その経時変化など)を表示するように構成しても良い。
【0063】
更に、前記実施形態では、5つの項目の組み合わせのAND/OR条件を選択することによって、例えば暖機運転を稼働に含めるか否かなどを設定するようにしているが、逆に暖機運転を稼働に含めるか否かを選択することによって、5つの項目の組み合わせのAND/OR条件を設定するようにしても良い。例えば、試験名が登録されていない場合であって、試験設備に含まれる回転体(例えばモータ)の回転速度が所定値以上である場合に、暖機運転と判断して、稼働に含めることができる。また、試験設備に含まれる回転体(例えばモータ)の回転速度が所定値以上である場合であって、供試体に含まれる回転体(例えばエンジン)が回転していない場合に、暖機運転と判断して、稼働に含めることができる。
【0064】
その他、本発明は前記実施形態に限られず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であるのは言うまでもない。
【符号の説明】
【0065】
100・・・稼働率解析システム
A ・・・建屋
200・・・試験設備
2 ・・・動作情報取得部
3 ・・・設定受付部
4 ・・・稼働率算出部
5 ・・・画面表示部

図1
図2
図3
図4
図5
図6