(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-25
(45)【発行日】2022-04-04
(54)【発明の名称】光学装置および照明装置
(51)【国際特許分類】
F21V 13/04 20060101AFI20220328BHJP
F21V 7/09 20060101ALI20220328BHJP
F21V 5/04 20060101ALI20220328BHJP
F21V 5/00 20180101ALI20220328BHJP
F21S 2/00 20160101ALI20220328BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20220328BHJP
【FI】
F21V13/04 500
F21V7/09 500
F21V5/04 650
F21V5/00 320
F21S2/00 340
F21S2/00 350
F21Y115:10
(21)【出願番号】P 2019238924
(22)【出願日】2019-12-27
【審査請求日】2021-04-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(74)【代理人】
【識別番号】100168332
【氏名又は名称】小崎 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100172188
【氏名又は名称】内田 敬人
(72)【発明者】
【氏名】板花 博之
(72)【発明者】
【氏名】有賀 貴紀
(72)【発明者】
【氏名】北原 和
【審査官】田中 友章
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-074278(JP,A)
【文献】特開2014-127459(JP,A)
【文献】登録実用新案第3173449(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2015/0276179(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21V 13/04
F21V 7/09
F21V 5/04
F21V 5/00
F21S 2/00
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の軸に沿って入射される、前記第1の軸に平行な光軸を備えた配光特性の第1の光を前記第1の軸の周りの円弧状の第1の範囲に反射するように配置された第1の反射面を有する透光性部材と、
前記第1の軸で交差し、前記第1の反射面を挟むように配置された第2の反射面および第3の反射面と、前記第2の反射面および前記第3の反射面に挟まれ、前記第1の光を前記第1の軸の周りの円弧状の第1の範囲に反射するように配置された第4の反射面と、を有するリフレクタと、
を有する光学装置。
【請求項2】
前記第2の反射面および前記第3の反射面の少なくとも一方の反射面は、前記第1の反射面と交差する、請求項1に記載の光学装置。
【請求項3】
前記第1の反射面は、前記第1の軸に沿った方向で分割された複数の反射面を含む、請求項1または2に記載の光学装置。
【請求項4】
前記透光性部材は、前記複数の反射面を内側に備え、内面が前記複数の反射面と、前記複数の反射面にそれぞれ対応する複数の透過面とを含む多段状で、前記第1の軸に垂直な断面が扇形である、請求項3に記載の光学装置。
【請求項5】
前記透光性部材は、前記複数の反射面に対応して設けられた複数の出射面を含む、請求項3または4に記載の光学装置。
【請求項6】
前記複数の出射面は、前記第1の軸に沿った方向の断面がそれぞれ湾曲している部分を含む、請求項5に記載の光学装置。
【請求項7】
前記複数の出射面は、前記第1の軸に垂直な断面に周期的な凹凸形状を含む、請求項5または6に記載の光学装置。
【請求項8】
前記透光性部材は、前記多段状の内面の最も入射側の最下段に、前記第1の光の一部を透過する面を含む、請求項
4に記載の光学装置。
【請求項9】
前記第1の反射面は、前記第4の反射面よりも入射側に配置される、請求項1~8のいずれか1項に記載の光学装置。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項に記載の光学装置と、
前記第1の光を出力する光源と、を有する照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学装置およびそれを用いた照明装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、線状の照射範囲を少数の光源モジュールによって形成することができる照明装置を提供することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
LEDから発せられる光は基本的に光軸上の光度が最も高い配光パターンであるランバーシアン配光となっている。したがって、長い線状の照射範囲を、少数の、あるいは集中した照明装置により照明しようとすると、多数のLEDを集中配置し、多数の光軸の角度を変えて照明対象のラインに沿って分散させたり、ラインに対して斜めに交差するようにセットされた光軸に対してラインの端側を照明する光とラインの中央側を照明する光とに異なる複雑な処理をしたりして配光分布を制御する必要がある。このため、ランバーシアン配光をライン状あるいは方形状の配光に変換できる光学装置が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の実施形態に係る光学装置は、第1の軸に沿って入射される、前記第1の軸に平行な光軸を備えた配光特性の第1の光を前記第1の軸の周りの円弧状の第1の範囲に反射するように配置された第1の反射面を有する透光性部材と、前記第1の軸で交差し、前記第1の反射面を挟むように配置された第2の反射面および第3の反射面と、前記第2の反射面および前記第3の反射面に挟まれ、前記第1の光を前記第1の軸の周りの円弧状の第1の範囲に反射するように配置された第4の反射面と、を有するリフレクタと、を有する。
【0006】
本開示の実施形態に係る照明装置は、本開示の実施形態に係る光学装置と、前記第1の光を出力する光源と、を有する。
【発明の効果】
【0007】
本開示の実施形態の光学装置及び照明装置は、ランバーシアン配光の光を、光度分布がより均等に近いライン状または方形状の配光に変換して出射することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】
図2(a)は照明装置を前方(照射方向)から示す図であり、
図2(b)は照明装置をZ軸方向から示す図である。
【
図5】透光性部材及びリフレクタにより入射光が反射される様子を模式的に示す図である。
【
図6】照明する領域と透光性部材との関係を示す一例であり、
図6(a)は平面図、
図6(b)は透光性部材の断面を示す図である。
【
図7】照明する領域と透光性部材との関係を示す異なる例であり、
図7(a)は平面図、
図7(b)および
図7(c)は透光性部材の断面を示す図である。
【
図8】照明する領域と透光性部材との関係を示す異なる例であり、
図8(a)は狭配光の光学素子、
図8(b)は広配光の光学素子、
図8(c)は円形の照明領域に適した光学素子の例を示す図である。
【
図9】照明する領域と透光性部材との関係を示す異なる例であり、
図9(a)はコの字形の領域の照明に適した光学素子、
図9(b)はV字形の領域の照明に適した透光性部材、
図9(c)はL字形の領域の照明に適した透光性部材の断面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施形態に係る光学装置及び照明装置について図面を参照しながら説明する。ただし、以下に示す形態は、本実施形態の技術思想を具現化するための光学装置及び照明装置を例示するものであって、以下に限定するものではない。また、実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、特定的な記載がない限り、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。なお、各図面が示す部材の大きさ、位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。また、以下の説明において、同一の名称、符号については同一もしくは同質の部材を示しており詳細説明を適宜省略する。
【0010】
図1に、本実施形態に係る照明装置の一例を示している。この照明装置1は、例えば卓上などの方形状またはライン状の領域2を照明するように制御された光3を前方19に投影または投射することができる。照明装置1は、透光性部材11とリフレクタ20を含む光学装置10と、透光性部材11の一方の端面から光を入射するLED6とを含む。照明装置1は、LED6を駆動するドライバー回路を有していてもよい。
【0011】
図2に示すように、透光性部材11は、中心軸となる第1の軸(Z軸)12の周りに、Z軸12と直交する平面(X-Y平面)で見た平面視の形状が角度θ(中心角θ、開き角θ)で広がった略扇形で、透光性の部材、例えば、アクリル樹脂あるいはガラスなどから形成されている。透光性部材11は、全体がZ軸12に沿って延びた柱状で、Z軸12の側(内側)は、Z軸12の一方の端(底面側、Z軸マイナス方向)が開口13となった空洞14となり、反対側の投射側(前方、外側)19の面(出射面)15は略円弧状となっている。
【0012】
光学装置10は、透光性部材11を挟むように配置された第2の反射面22および第3の反射面23を有するリフレクタ20を含む。第2の反射面22および第3の反射面23は、Z軸12で交差し、透光性部材11を挟み込むように配置された反射面である。リフレクタ20は、さらに、第2の反射面22及び第3の反射面23に挟まれ、第1の光7を第1の軸12の周りの円弧状の第1の範囲に反射するように配置された第4の反射面24を有する。
【0013】
リフレクタ20は、ステンレススチール、アルミニウムなどの金属素材、または、表面に反射膜が生成された樹脂等の有機素材またはセラミック等の無機素材であってもよい。反射膜は金属あるいはそれ自体が反射特性を有する素材を蒸着などにより成膜したものであってもよく、所定の反射特性が得られるように設計された複数の屈折率の異なる薄膜を積層したものであってもよく、その他の所定の反射特性が得られる構造の薄膜であってもよい。第2の反射面22、第3の反射面23、第4の反射面24の反射率は照明装置1の用途などに応じて選択可能であり、鏡面反射面であってもよく拡散反射面であってもよい。
【0014】
図4に断面で示すように、透光性部材11は、全体が内部にZ軸12に沿って形成された空洞14を含むレンズであって、空洞14の開口13の側から、Z軸12に沿って透過面32a~32cと反射面31a~31cとが交互に配置された多段の内面(透過・反射面)16を含む。
【0015】
透光性部材11の内面は、開口13から開口13と逆側に向かって、すなわち、Z軸12のマイナス側からプラス側に向かって、段階的に配置された同心円弧状の扇形の複数の透過面32(32a~32c)と、これらの透過面32(32a~32c)により複数に分割された円弧状の反射面であって、Z軸12に沿って、X-Y平面に対して鋭角に傾くように広がった第1の反射面31(31a~31c)を含む。透光性部材11の内面は、開口13から開口13の逆側に向かって、すなわち、Z軸12のマイナス側からプラス側に向かって、段階的にX-Y平面の厚みが拡大するように順番に配置された同心円弧状の扇形の複数の透過面32a~32cを含む。なお、同心円弧状に同一または実質的に同一形状の扇形の複数の透過面を含んでもよい。
【0016】
図3は光学装置10の展開図である。
図3に示すように、リフレクタ20の第4の反射面24は、第2の反射面22と第3の反射面23との交差部分の上方に配置される。第4の反射面24は、透光性部材11の第1の反射面31と同様に、略扇形で逆円錐台を形成するように、X-Y平面に対して鋭角に傾くように広がった円弧状の反射面である。第4の反射面24は、第1の反射面31よりもLED6から遠い側に配置されている。つまり、第1の反射面31は、第4の反射面24よりも入射側に配置されている。第2の反射面22、第3の反射面23および第4の反射面24は一体化される必要はないが、一体化されていると部品点数が少なくなるため好ましい。
【0017】
図2に、光学装置10を示す。
図2(a)は、光学装置10を投射側(前方)19から見た斜視図であり、
図2(b)は光学装置10を投射側19と反対側から見た斜視図である。
【0018】
具体的には、本例の透光性部材11においては、第1の反射面31は、開口13側(下側、Z軸マイナス方向)から開口13と逆側に向かって、すなわち、Z軸12のマイナス側からプラス側に向かって、Z軸12に垂直で、X-Y平面に平行な3つの透過面32a~32cにより分割された3つの反射面(第1の反射面)31a~31cを含む。すなわち、透光性部材11は、Z軸12のマイナス側からプラス側に向かって交互に配置された、3つの透過面32a~32cと、3つの反射面(第1の反射面)31a~31cを含む。透光性部材11は、さらに、多段状の内面の最も入射側の最下段、言い換えると最も開口13の側に、Z軸12の周りに形成された円弧状の透過面33を含む。透過面33は、第1の光の一部を透過する。
【0019】
このため、透光性部材11は、第1の軸(Z軸)12に沿って断続的に配置され、開口13側から、開口13と逆側に向かって段階的に透光性部材11のX-Y平面における厚みが厚くなるように順番に配置された同心円弧状の扇形の透過面32a、32bおよび32cと、透過面32a、32bおよび32cの開口13と逆側に鋭角に傾くようにそれぞれ配置された円弧状の第1の反射面31a、31b、31cとを含む。
【0020】
さらに具体的には、透過面32のうち、開口13から最も遠い透過面32cは、Z軸12を中心とした扇状の透過面である。第1の反射面31のうち、開口13から最も遠い第1の反射面31cは、透過面32cを透過した光をZ軸12の周り18の円弧状の角度θの範囲(第1の範囲)に反射するように配置された面である。第1の反射面31cは、透過面32cの開口13と反対側に、Z軸12を中心として、略扇形で逆円錐台を形成するようにX-Y面に対して傾いた反射面であり、Z軸12と平行な光軸7aの光7をZ軸12に直交する方向19へ反射する。第1の反射面31bは、透過面32bを透過した光7を反射するように、透過面32bの内辺32b1と透過面32cの外辺32c2との間に配置された円弧状の反射面である。第1の反射面31aは、透過面32aを透過した光7を反射するように、透過面32aの内辺32a1と透過面32bの外辺32b2との間に配置された円弧状の反射面である。
【0021】
透光性部材11の外面15はシリンドリカル面であってもよいし、第1の反射面31a~31c及び第4の反射面24により反射された光および透過面33を透過した光をより均等に出力するようにトーリック面状の自由曲面として最適化されていてもよい。
【0022】
光学装置10は、透光性部材11の側面17aおよび17bに、リフレクタ20の第2の反射面22および第3の反射面23が密着し、第1の反射面31cの上側(Z軸プラス方向)に第4の反射面24が位置するように取り付けられている。
【0023】
図4および
図5に示すように、照明装置1は、光学装置10と、透光性部材11の開口13に取り付けられた基板6aとを含む。基板6aにはLED6が装着されており、LED6から、Z軸12に沿って、Z軸12と平行になるように、開口13から透光性部材11の空洞14に設けられた第1の反射面31に向かって照明用の光7が入射される。分断された反射面31a~31cにより構成される第1の反射面31は、Z軸12に平行な光軸7aを備えた配光特性の照明用の光(第1の光)7を、Z軸12の周り18の中心角θの第1の範囲に反射するように配置されている。光学装置10は、第1の反射面31と、Z軸12で交差し、第1の反射面31を挟むように配置された第2の反射面22および第3の反射面23とを有するリフレクタ20を備える。第2の反射面22は、Z軸12の周り18に、第1の光7を第1の反射面31の方向に反射し、第3の反射面23は、第2の反射面22とはZ軸12の周り18に逆方向にLED6からの光7を反射する。リフレクタ20の第4の反射面24は、第1の反射面31と同様に、Z軸12に平行な光軸7aを備えた配光特性の照明用の光(第1の光)7を、Z軸12の周り18の中心角θの第1の範囲に反射する。
【0024】
したがって、光学装置10は、光源であるLED6から、Z軸12に沿って出射された光7を、Z軸12において中心角θで交差する第2の反射面22および第3の反射面23で、角度θの範囲の第1の反射面31および第4の反射面24の方向に相互に反射する(折り畳む)。光学装置10は、さらに、第1の反射面31および第4の反射面24によりZ軸12と垂直な方向に、Z軸12の周りの角度θの範囲に反射して出力する。
【0025】
LED6から、より遠い位置で第1の光7を取り込むために、透光性部材11は、第1の軸(Z軸)12に沿って、開口13側から、開口13と逆側に向かって段階的に面積が大きくなるように順番に配置された透過面32a、32bおよび32cを有する。透過面の面積が大きいほど、透光性部材11のX―Y平面における厚みは大きくなるため、透光性部材11の最も上方に位置する透過面32cのある部分は、最も肉厚となる。
【0026】
本実施形態では、Z軸12と垂直な方向に光を反射する反射面として、透光性部材11の第1の反射面31とリフレクタ20の第4の反射面24の両方を用いる。具体的には、最も上方に位置する第1の反射面31cの上側に、リフレクタ20により形成される第4の反射面24が配置される。最も上側の反射面をリフレクタ20で形成することにより、透光性部材11のみで反射面を形成する場合に比べて、透光性部材のX-Y平面における肉厚部の厚みを薄くすることができる。肉厚部の厚みが薄くなることで、透光性部材11を成形する際の成形時間を短縮することができる。透光性部材11の体積を削減することもできる。
【0027】
第2の反射面22および第3の反射面23は、LED6からの光7を、角度θの範囲に畳み込めるように配置されていればよく、LED6の近傍に少なくとも配置されていればよい。これらの反射面22および23は、第1の反射面31および第4の反射面24と交差するように配置されていてもよく、LED6からの光7を効率よく、漏れが生じないように、第1の反射面31および第4の反射面24の方向に畳み込むことができる。
【0028】
図5に、光学装置10の透光性部材11により、Z軸12に沿って入射された光(入射光)7が、第1の反射面31および第4の反射面24により反射され、Z軸12と直交する方向19に出射される様子を模式的に示している。LED(光源)6から出力された光は、光軸7aを中心とするランバーシアン配光分布を備えている。この光の光軸7aの周りの成分は、第2の反射面22および第3の反射面23により中心角θの扇形の透光性部材11の方向に反射される。また、この光の光軸7aに対する配光角の成分は、
図5に示すように、透光性部材11の複数の透過面32a~32cと、複数に分割された第1の反射面31a~31c、第4の反射面24により複数のグループ(光束)に分けられて、それぞれの光束が光軸7aと直交する方向19に出力される。さらに、LED6から出力された光の配光角が大きい成分は、透光性部材11の開口13の近傍の透過面33を介して光軸7aと直交する方向19に出力される。
【0029】
したがって、この光学装置10は、第1の反射面31、第4の反射面24、第2の反射面22および第3の反射面23により、ランバーシアン配光を備えた光を、光軸7aに対して直交する方向19に円弧状に反射して、ライン状または方形状の領域を照明するのに適した配光を備えた照明光3に変換できる。さらに、第1の反射面31および第4の反射面24により、光軸7aと直交する方向19に反射して、光を光軸7aと直交する方向に変換することにより、光軸7aの周りに配光角によって光度が変化するランバーシアン配光の光度が共通する部分を、ライン状または方形状の配光の端から端まで引き延ばすことが可能である。例えば、光軸7a上の最も光度の高い光(光束)をライン状または方形状の配光の端から端まで引き延ばすことが可能である。また、このため、第1の反射面の曲率または傾きを制御し、ライン状または方形状の幅方向の光度を制御することにより、光度分布がより均等に近いライン状または方形状の配光を得ることができる。
【0030】
なお、上記においては、第1の反射面31を3分割して配置した透光性部材11を例に説明しているが、第1の反射面31は、2分割となるように配置してもよく、4分割以上となるように配置してもよい。扇形の透光性部材11は中心角(開き角)θが90度の例を示しているが、中心角θは90度以下であってもよく、90度以上であってもよい。また、光源として配置されるLED6の数は1つに限定されることはなく、光源として複数の多色のLEDを配置してもよい。
【0031】
図6から
図9に、異なる形状または構成の領域2に適した照明装置用の透光性部材11の幾つかの例を示している。
図6に示した透光性部材11は、水平方向の広がりが標準的な、いわゆる中配光の照明光3を出力する透光性部材11である。
図6(a)に示すように、透光性部材11の外面(出射面)15は、中心の第1の軸12の周りに広がった円弧状である。
図6(b)に断面で示すように、透光性部材11の出射面15には、照明光3の第1の軸12に沿った垂直方向の広がりを制御する、周期的な凹凸形状40を備えている。
【0032】
図7に示した透光性部材11は、水平方向の広がりは中配光であるが、第1の軸12に沿った垂直方向の広がりが大きな照明光3を出力する透光性部材11の一例である。
図7(a)に示すように、透光性部材11の外面(出射面)15は、中心の第1の軸12の周りに広がった円弧状である。
図7(b)に、断面で示すように、透光性部材11の出射面15に設けられた周期的な凹凸形状40の振幅は、
図7(b)に示した凹凸形状40の振幅より大きくてもよい。周期的な凹凸形状40は、
図7(b)に示すように、正弦波形状のように湾曲した面の集合であってもよく、
図7(c)に示すように、ジグザグ形状のような角度の異なる直線(斜面)の集合であってもよい。
【0033】
図8(a)に示した透光性部材11は、水平方向が狭い領域2を照明するのに適した例である。透光性部材11の出射面15は、狭配光の照明光3を出力するのに適した形状、例えば、曲率が大きな(曲率半径が小さな)面を備えている。
図8(b)に示した透光性部材11は、水平方向が広い(長い)領域2を照明するのに適した例である。配光角度を広げる一例は、周方向にも1または複数の凹凸の形状を配置することである。
図8(b)に示すように、第1の軸12に垂直な方向の断面(水平方向の断面、平面視)において、出射面15を、開き角が0度の位置で凹形状とし、両側で凸形状となるように設計することができる。水平方向の断面が双葉あるいは凸凹凸形状の出射面15を備えた透光性部材11は、水平方向に長い領域2を照明するための広配光の照明光3を出力するために適している。
図8(c)に示した透光性部材11は、円柱の内面に周方向に延びたライン状の領域2の照明に適した例である。
【0034】
図9(a)に示した透光性部材11は、複数のライン状の面がコ字形に組み合わされた立体的な面(領域)2の照明に適している例である。この透光性部材11の出射面15の第1の軸12に垂直な方向の断面は、コの字形の中央に向き合った、開き角が0度の位置では、直線状または曲率半径が大きい凸または凹に湾曲した部分15yであり、コの字形の垂直に折れ曲がった位置に対応する箇所では凸状15zであり、このような出射面15の形状を採用することにより、コの字形の内壁をライン状に均一に照明するのに適した透光性部材11を提供できる。
【0035】
図9(b)に示した透光性部材11は、複数のライン状の面がV字形に組み合わされた立体的な面(領域)2の照明に適している例である。この透光性部材11の出射面15の第1の軸12に垂直な方向の断面は、V字形に面が交差した位置に対応する箇所に向かって凸状15zであり、このような出射面15の形状を採用することにより、V字形の内壁をライン状に均一に照明するのに適した透光性部材11を提供できる。
【0036】
図9(c)に示した透光性部材11は、複数のライン状の面がL字形に非対称に組み合わされた立体的な面(領域)2の照明に適している例である。この透光性部材11の出射面15の第1の軸12に垂直な方向の断面は、L字形に面が交差した位置に対応する箇所に向かって凸状15zである、第1の軸12の周りに非対称な出射面15の形状を採用することにより、L字形の内壁をライン状に均一に照明するのに適した透光性部材11を提供できる。
【0037】
以上に述べたように、第1の軸12に沿った方向の断面における出射面(外面)15の形状および第1の軸12に垂直な方向の断面における出射面15の形状を制御することで、配光特性の異なる照明光3を出力できる。このため、この出射面15を備えた透光性部材11を含む照明装置1であれば、照射対象となる様々な構成のライン状の領域2をより均一に照明できる照明装置1を提供できる。
【符号の説明】
【0038】
1 照明装置
10 光学装置
11 透光性部材
20 リフレクタ
22 第2の反射面
23 第3の反射面
24 第4の反射面
31、31a~31c 第1の反射面
32、32a~32c、33 透過面