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特許7046455仕切りを備えた浅形容器に収容した冷凍食品の製造方法
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  • 特許-仕切りを備えた浅形容器に収容した冷凍食品の製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-25
(45)【発行日】2022-04-04
(54)【発明の名称】仕切りを備えた浅形容器に収容した冷凍食品の製造方法
(51)【国際特許分類】
   A23L 3/36 20060101AFI20220328BHJP
   A23L 3/365 20060101ALI20220328BHJP
【FI】
A23L3/36 A
A23L3/365 A
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2019017531
(22)【出願日】2019-02-02
(65)【公開番号】P2020124135
(43)【公開日】2020-08-20
【審査請求日】2021-04-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000231637
【氏名又は名称】株式会社ニップン
(74)【代理人】
【識別番号】100130661
【弁理士】
【氏名又は名称】田所 義嗣
(72)【発明者】
【氏名】村上 夏陽
【審査官】戸来 幸男
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-235163(JP,A)
【文献】特開2000-270822(JP,A)
【文献】新メニューを含めた全26品!2018年秋冬家庭用冷凍食品新発売,NIPPN ニュースリリース No.28,2018年07月30日,retrieved on 2022.03.11, retrieved from the internet,https://www.nippn.co.jp/news/detail/__icsFiles/afieldfile/2018/07/30/no28_2018ssfrozon.pdf
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 3/36-3/365
FSTA/CAplus/AGRICOLA/BIOSIS/
MEDLINE/EMBASE(STN)
Google
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
仕切りを備えた浅形容器に主食と副食を収容し、仕切り側面から30mmの範囲で、主食の一部を下側と上側から覆うように、主食に使用するソースの80質量%以上で主食を被覆することを特徴とする冷凍食品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、仕切りを備えた浅形容器に収容した冷凍食品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
冷凍された食品を解凍するため電子レンジが広く使われているが、食品によっては、電子レンジで加熱解凍すると食感が硬くなり食感が損なわれる場合がある。
加熱解凍時に食感が硬くなるのを防ぐために、食品に添加物を配合したり含浸したり、食品の収容状態や収容する容器の形状を工夫すること等が試みられている。
例えば、冷凍カレーソースと冷凍米飯を層状に形成してなる容器入り層状カレーが知られている(例えば特許文献1参照)。
また、小麦粉焼成品の表面に、該小麦粉焼成品の重量に対して水を5~50重量%添加含浸せしめた後、冷凍することを特徴とする冷凍小麦粉焼成品の製造法が知られている(例えば特許文献2参照)。
また、小麦粉100重量部に対し、糖類4~120重量部およびグルコノデルタラクトン又はグルコン酸0.1~25重量部を含有する冷凍用ケーキが知られている(例えば特許文献3参照)。
また、デュラム小麦セモリナ50~70重量%および他の穀類粉砕物50~30重量%からなる穀類粉砕物と、レシチンおよびモノグリセリド系乳化剤から選ばれる少なくとも1種の乳化剤とからなる原料を使用す
ることを特徴とする、冷凍パンケーキ類の製造法が知られている(例えば特許文献4参照)。
また、その周縁部に角部が設けられ、かつマイクロ波透過性の素材から形成された容器にα化済み冷凍麺が充填されてなる電子レンジ調理用容器入り冷凍麺であって、前記α化済み冷凍麺が、少なくとも前記容器の底面をほぼ覆うように前記容器に充填されており、前記容器の角部付近にある前記α化済み冷凍麺の麺線に、過加熱防止液が添加されており、および前記過加熱防止液が、(a) 麺用のスープ、麺用のソース、またはこれらの希釈液、および(b)塩、醤油、ソース、味噌の少なくとも1つ以上を含む調味溶液からなるグループから選択される、ことを特徴とする電子レンジ調理用容器入り冷凍麺が知られている(例えば特許文献5参照)。
また、クリーム、砂糖、卵黄を乾燥重量でそれぞれ18~38重量%、38~58重量%、14~34重量%含有する混合物を62~98℃にて加熱混合した乳化物Aを乾燥重量で1.7~20重量%配合して焼成する、水分が20~60重量%である穀粉焼成物の製造法が知られている(例えば特許文献6参照)。
また、固形食品を冷凍固化してなる冷凍固形食品部と、流動性食品を冷凍固化してなる冷凍流動性食品部と、具材を冷凍固化してなる冷凍具材とを有し、該冷凍固形食品部の上に該冷凍流動性食品部が重ねて配され、該冷凍流動性食品部の表面において該冷凍具材が露出している調理済み冷凍食品であって、 前記冷凍具材は、最大差し渡し長さ10~600mm且つ最小差し渡し長さ2~400mmの大型冷凍具材を含み、前記冷凍固形食品部100質量部に対して、前記冷凍流動性食品部を70~170質量部有し、前記冷凍流動性食品部100質量部に対して、前記大型冷凍具材を10~100質量部有する調理済み冷凍食品が知られている((例えば特許文献7参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開昭62-138153号公報
【文献】特開平4-237453号公報
【文献】特開平6-62723号公報
【文献】特開平9-149756号公報
【文献】特開2000-71号公報
【文献】特開2012-170329号公報
【文献】特開2018-121586号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記のとおり、食品によっては電子レンジで加熱解凍したときに食感が硬くなり食感が損なわれてしまうことが起きている。
単品を電子レンジで加熱解凍した場合は、最適な加熱時間で加熱解凍することが出来るので食感劣化の程度を低く抑えることができるが、複数の惣菜が含まれる冷凍弁当等では、それぞれの品毎に最適な加熱時間が異なり、また、加熱に要する時間も長くなるので、食感劣化の程度を低く抑えることが難しかった。
また、簡便性のため、冷凍弁当等では、主食と副食を同じ容器に収容して冷凍し、電子レンジで加熱解凍するが、主食と副食がまじり合わないように仕切りを設けた容器を使用した場合、仕切りの周囲では加熱の程度が高くなり、食品によっては部分的に食感が硬くなる加熱ムラを生じていた。
従って、本発明の目的は、仕切りを備えた浅形容器に主食と副食を収容した冷凍食品を電子レンジで加熱解凍した場合に食感が硬くなる加熱ムラが生じ難い冷凍食品の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は前記の目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、仕切りを備えた浅形容器に主食と副食を収容し、仕切り側面から30mmの範囲で、主食の一部を下側と上側から覆うように、主食に使用するソースの80質量%以上で被覆することにより主食の電子レンジによる加熱解凍ムラを防ぐことが出来ることを見出し、本発明を完成するに至った。
従って、本発明は、仕切りを備えた浅形容器に主食と副食を収容し、仕切り側面から30mmの範囲で、主食の一部を下側と上側から覆うように、主食に使用するソースの80質量%以上で主食を被覆することを特徴とする冷凍食品の製造方法である。
【発明の効果】
【0006】
浅形容器に収容した主食の電子レンジによる加熱解凍時の加熱ムラを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】浅形容器に収容した冷凍食品を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の主食とは、穀粉や澱粉を主原料とする食品であって、電子レンジで加熱解凍した場合に食感が硬くなる食品をいう。
例えば、パンケーキ、ホットケーキなどを挙げることができる。
【0009】
本発明のソースとは、味付けのために主食に使用するペースト状の調味料をいう。
ソースの種類は、冷凍するまで被覆状態を維持できる粘度であれば特に限定はなく、好みにより主食に使用するソースは異なるが、例えば、パンケーキでは、スクランブルエッグソースや、イチゴジャム、カスタードクリーム等を挙げることができる。
【0010】
本発明の副食とは、主食に対して、おかずとなる食品をいう。
例えば、生の肉や野菜、加熱した肉や野菜、漬物等を挙げることができる。
本発明では、主食と副食を仕切りを設けた1つの浅形容器に収容しているが、主食を単独で電子レンジで加熱解凍する場合より、長い加熱時間が必要となり、さらに加熱ムラが生じやすい加熱解凍条件となっているにも関わらず加熱ムラが生じ難い。
【0011】
本発明の仕切りを備えた浅形容器とは、容器の深さが20mm~50mm程度で仕切りを備えた容器をいい、コンビニエンスストア等で販売されている弁当の容器等で広く使用されている。
仕切りは、1つの場合や、複数の場合がある。
仕切りを備えた浅形容器では、仕切り周囲の品温が上がりやすいため、食品によっては食感が硬くなる加熱ムラを生じやすい。
本発明では、仕切りを備えた浅形容器の仕切り側面から30mmの範囲で、主食の一部を下側と上側から覆うように、主食に使用するソースの80質量%以上で主食を被覆することで、主食の加熱ムラを防いでいる。
ソースを主食の上側からだけで被覆した場合は、主食の下側が硬くなるので好ましくない。
また、ソースを主食の下側からだけで被覆した場合は、主食の上側が硬くなるので好ましくない。
ソースは、主食の下側の量を1質量部とした場合、上側は、硬くなりやすい仕切り付近を覆う必要があるので1質量部以上6質量部以下の比率になるように覆うことが好ましい。
ソースの量は、6質量部を超えるとパンケーキの食感が損なわれるので、好ましくない。
主食と副食は、仕切りにより形成された収容部にそれぞれ収容するが、主食に味が移らないような副食で加熱ムラを防ぐのを阻害しない場合は、副食を主食と同じ収容部に収容することもできる。
【0012】
ソースを主食の上側と下側から主食をはさむように被覆する方法は、まずソースを仕切りに沿って載置し、主食をその上から主食の一部がソースにより被覆されるように載置し、さらにソースを主食の上に仕切りに沿って載置することで容易に実施できる。
【0013】
本発明の冷凍食品は、通常の冷凍食品と同様に密封し冷凍保存し電子レンジで加熱解凍して食すことができる。
【実施例
【0014】
以下本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
図1は、本発明の主食と副食を収容した冷凍食品の平面図である。
仕切りを備えた浅形容器1の深さは、30mm、縦は205mm、横は155mmである。
図1に示すように仕切り2に沿って、スクランブルエッグソース11、12をパンケーキ10の上下にパンケーキの一部を被覆するように載置した。
パンケーキ10は仕切り2と外周部3により形成された収容部4に収容されている。
【0015】
スクランブルエッグソース11は、パンケーキに使用するソースの20質量%であり仕切り2に沿って載置され、その上にパンケーキ10が載置され、その上に残りのスクランブルエッグソース12が仕切り2に沿って載置されている。
スクランブルエッグソース11とスクランブルエッグソース12は、合計が仕切りから30mmの範囲にパンケーキに使用するソースの80質量%以上があるように収容部4に収容されている。
その後、副食13として、茹でたとうもろこし、茹でたスナップえんどう、茹でたピーマン、茹でたかぼちゃを仕切り2と外周部3により形成された収容部5に収容した。
その後、浅形容器1を密封して-35℃で冷凍し冷凍食品を得た。
この冷凍食品を-25℃で10日間、保存した。
保存後、500Wの電子レンジで4分間、加熱解凍し、10名のパネラーでパンケーキの食感を評価した。
比較のため、スクランブルエッグソースをパンケーキ上面の、ほぼ全体を覆うように載置した以外は、前記冷凍食品と同様にして得た冷凍食品の評価を同様に行った。
また、スクランブルエッグソース全量を、仕切りにそって上側に載置した以外は、前記冷凍食品と同様にして得た冷凍食品の評価を同様に行った。
また、スクランブルエッグソース全量を、仕切りにそって下側に載置した以外は、前記冷凍食品と同様にして得た冷凍食品の評価を同様に行った。
10名のパネラー全員が、本発明のパンケーキは、ソースでほぼ上面全体を覆ったパンケーキやソースを仕切りに沿って上側のみに載置したパンケーキやソースを仕切りに沿って下側のみに載置したパンケーキに比較して、加熱ムラにより食感が硬くなることが抑えられていると評価した。
【符号の説明】
【0016】
1 仕切りを備えた浅形容器
2 仕切り
3 外周部
4、5 収容部
10 パンケーキ
11、12 ソース
13 副食
図1