IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 小林製薬株式会社の特許一覧

特許7046480液体塗布部材、及びこれを備えた液体塗布具
<>
  • 特許-液体塗布部材、及びこれを備えた液体塗布具 図1
  • 特許-液体塗布部材、及びこれを備えた液体塗布具 図2
  • 特許-液体塗布部材、及びこれを備えた液体塗布具 図3
  • 特許-液体塗布部材、及びこれを備えた液体塗布具 図4
  • 特許-液体塗布部材、及びこれを備えた液体塗布具 図5
  • 特許-液体塗布部材、及びこれを備えた液体塗布具 図6
  • 特許-液体塗布部材、及びこれを備えた液体塗布具 図7
  • 特許-液体塗布部材、及びこれを備えた液体塗布具 図8
  • 特許-液体塗布部材、及びこれを備えた液体塗布具 図9
  • 特許-液体塗布部材、及びこれを備えた液体塗布具 図10
  • 特許-液体塗布部材、及びこれを備えた液体塗布具 図11
  • 特許-液体塗布部材、及びこれを備えた液体塗布具 図12
  • 特許-液体塗布部材、及びこれを備えた液体塗布具 図13
  • 特許-液体塗布部材、及びこれを備えた液体塗布具 図14
  • 特許-液体塗布部材、及びこれを備えた液体塗布具 図15
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-25
(45)【発行日】2022-04-04
(54)【発明の名称】液体塗布部材、及びこれを備えた液体塗布具
(51)【国際特許分類】
   A61M 35/00 20060101AFI20220328BHJP
   A45D 34/04 20060101ALI20220328BHJP
   A46B 9/02 20060101ALI20220328BHJP
【FI】
A61M35/00 Z
A45D34/04 515Z
A46B9/02
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2016183527
(22)【出願日】2016-09-20
(65)【公開番号】P2018046951
(43)【公開日】2018-03-29
【審査請求日】2019-08-06
【審判番号】
【審判請求日】2021-06-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000186588
【氏名又は名称】小林製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124039
【弁理士】
【氏名又は名称】立花 顕治
(72)【発明者】
【氏名】嶋内 直哉
【合議体】
【審判長】佐々木 一浩
【審判官】平瀬 知明
【審判官】津田 真吾
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-196371(JP,A)
【文献】特開平11-290130(JP,A)
【文献】特開平 9-327328(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 35/00
A45D 34/04
A46B 1/00
A46B 9/02
B05C 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1端部及び第2端部を有する軸部と、
前記軸部の第1端部側に取り付けられた刷毛部と、
を備え、
前記刷毛部は、前記軸部の軸方向を向く取付面と、当該取付面に取り付けられ、前記軸方向に延びる複数の毛と、を有しており、
前記取付面は、第1方向と、当該第1方向と直交する第2方向によって規定される面によって構成され、
前記複数の毛は、前記第1方向に並ぶように配置されるとともに、
少なくとも一組の前記第1方向に隣接する前記毛は、付け根が、前記第2方向にずれるように、配置され、毛先が、前記第2方向において略同じ位置に配置され、
前記複数の毛は、前記第2方向に延びる側面視三角形状の板状に形成され、
液体が収容される容器に前記刷毛部を挿入することによって、前記刷毛部に前記液体を付着させて使用するように構成される、液体塗布部材。
【請求項2】
開口を有し、前記液体が収容される前記容器と、
前記開口を着脱自在に閉じるキャップと、
前記キャップに前記軸部の第2端部が取付けられ、当該キャップが前記開口に取付けら
れたとき、前記容器の内部空間へ延びる、請求項1に記載の液体塗布部材と、
を備えている、液体塗布具。
【請求項3】
前記液体の粘度は、20℃において、500~500000mPa・sである、請求項2に記載の液体塗布具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体塗布部材、及びこれを備えた液体塗布具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、薬液など液体を塗布するために、刷毛などの液体塗布部材を備えた液体塗布具が使用されている(特許文献1)。この液体塗布具を用いて液体の塗布を行うには、まず、刷毛を液体に浸し、刷毛に液体を保持した後、この刷毛を塗布対象物に押し付け、液体を塗布する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2001-204543号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記のように液体塗布具を用いて薬液などを塗布する場合には、塗布面積を限定する必要があることから、毛量を少なくした液体塗布部材が使用されることが多かった。このような液体塗布部材では、刷毛に保持される液体の量を増やすことができず、一度に多くの液体を塗布対象に塗布することができなかった。
【0005】
本発明は、この問題を解決するためになされたものであり、より多くの液体を保持し、塗布対象に塗布することができる、液体塗布部材、及びこれを備えた液体塗布具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る液体塗布部材は、第1端部及び第2端部を有する軸部と、前記軸部の第1端部側に取り付けられた刷毛部と、を備え、前記刷毛部は、前記軸部の軸方向を向く取付面と、当該取付面に取り付けられ、前記軸方向に延びる複数の毛と、を有しており、前記取付面は、第1方向と、当該第1方向と直交する第2方向によって規定される面によって構成され、前記複数の毛は、前記第1方向に並ぶように配置されるとともに、少なくとも一組の前記第1方向に隣接する前記毛の付け根が、前記第2方向にずれるように、配置されている。
【0007】
この構成によれば、刷毛部を構成する複数の毛において、隣接する毛の付け根が第2方向にずれるように配置されているため、これによって生じる段差に液体を保持することができる。したがって、より多くの液体を液体保持部に保持することができ、これらを塗布対象に塗布することができる。
【0008】
上記液体塗布部材において、前記複数の毛は、前記第2方向に延びる板状に形成することができる。
【0009】
この構成によれば、まず、隣接する毛が第2方向にずれて配置されているため、液体を塗布対象に塗布するとき、第2方向において、塗布対象とは反対側にずれている毛(以下、第1毛という)は、塗布対象側にずれている毛(以下、第2毛という)に比べ、塗布対象との接触が小さくなる。そのため、液体を塗布するとき、第1毛の動きは、第2毛に比べて小さくなる。これにより、第2毛が第1方向に動いても、この動きは、第1毛によって規制される。その結果、複数の毛が第1方向に広がりにくくすることができる。特に、第1毛及び第2毛は、とも板状に形成されているため、第1毛による第2毛の規制効果は大きい。したがって、複数の毛が広がらず、まとまった状態で液体を塗布するため、毛から液体が離れやすくなる。その結果、効率的に液体を塗布することができる。
【0010】
上記各液体塗布部材においては、前記複数の毛の毛先を、前記第2方向において略同じ位置に配置することができる。
【0011】
この構成によれば、複数の毛の毛先が第2方向において略同じ位置に配置されているため、複数の毛は、毛先が揃った状態で第1方向に並んでいる。そのため、毛に保持された液体が、毛を塗布対象に押し付けたときに、毛から離れやすくなる。したがって、塗布対象により多くの液体を確実に塗布することができる。なお、「略同じ位置」とは完全に同じ位置だけではなく、上記効果を得ることができる程度に、完全に同じ位置から若干ずれていてもよいことを意味する。
【0012】
本発明に係る液体塗布具は、開口を有し、液体が収容される容器と、前記開口を着脱自在に閉じるキャップと、前記キャップに前記軸部の第2端部が取付けられ、当該キャップが前記開口に取付けられたとき、前記容器の内部空間へ延びる、上述したいずれかの液体塗布部材と、を備えている。
【0013】
上記液体塗布具において、前記液体の粘度は、20℃において、500~500000mPa・sとすることができる。
【0014】
このように、液体が粘性を有することで、液保持部、塗布部等において液体を保持しやすくなり、塗布量を増大することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、より多くの液体を保持し、塗布対象に塗布することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態に係る液体塗布具の正面図である。
図2図1の断面図である。
図3】中栓の正面図(a)、断面図(b)、及び平面図(c)である。
図4図2のA-A線断面図である。
図5図2のB-B線断面図である。
図6】液体塗布部材の一部側面図である。
図7図6のC-C線断面図である。
図8図6の液体塗布部材を先端側から見た図である。
図9図1の液体塗布具の使用方法を示す断面図である。
図10】液体を保持した状態の図6のC-C線断面図である。
図11】液体塗布部材の使用方法を示す側面図である。
図12】液体塗布部材の使用方法を示す側面図である。
図13】液体を塗布するときの図6の液体塗布部材を先端側から見た図である。
図14】液体塗布部材の正面図である。
図15】刷毛部の他の例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る液体塗布具の一実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、以下では、説明の便宜のため、図2内の部材の向きを基準に説明を行う。但し、これらの方向は、本発明を限定するものではない。
【0018】
<1.液体塗布具の概要>
図1は液体塗布具の正面図、図2図1の断面図である。図1及び図2に示すように、本実施形態に係る液体塗布具は、薬液が収容され、上部に開口11を有する容器1と、この容器1の上部開口11を塞ぐキャップ2と、を備えている。また、容器1の上部開口11には、筒状の中栓3が取付けられている。一方、キャップ2には、下方に延びる液体塗布部材4が取り付けられている。そして、図2に示すように、液体塗布部材4は、容器1の開口11にキャップ2が取付けられたときに、容器1の内部空間に収容されるようになっている。以下、各部材について説明する。
【0019】
<2.容器及び中栓>
まず、容器及び中栓について、図3も参照しつつ説明する。図3は中栓の正面図(a)、断面図(b)、及び平面図(c)である。図1図3に示すように、容器1は、円筒状に形成されており、開口11の周囲の上端部は、それよりも下方に比べ外径が小さく形成されている。そして、この上端部の外周面には、キャップ2を取付けるための雄ネジ12が形成されている。
【0020】
図3に示すように、中栓3は、筒状に形成された本体部31と、この本体部31の下端部に形成され、本体部31よりも小径でリング状の小径部32と、を備えている。本体部31は、その下端部において外径が小さくなるように形成されており、この下端部が小径部32に連結されている。また、小径部32の内径は、本体部31の内径よりも小さくなっており、本体部31の内壁面が下端部において曲線状に湾曲し、小径部32に連結されている。
【0021】
また、本体部31の上端縁には、フランジ部33が形成されており、このフランジ部33が、容器1の開口11の周縁に係合することで、中栓3が容器1に固定されるようになっている。
【0022】
容器1を構成する材料は特には限定されないが、例えば、金属、プラスチックなど、種々の材料で形成することができる。また、中栓3も金属、プラスチックなどで形成することができるが、容器1の開口11に嵌め込んで取付けるため、弾性変形可能なプラスチックで形成することが好ましい。
【0023】
また、容器1に収容される薬液は、特には限定されないが、後述する液保持部42、刷毛部43等における薬液の保持量を多くするため、粘性を有することが好ましい。例えば、20℃での粘度は、500~500000mPa・sであることが好ましく、500~100000mPa・sであることがさらに好ましく、500~20000mPa・sであることが特に好ましく、500~10000mPa・sであることがより好ましい。なお、粘度は、次のとおり測定することができる。まず、バイアル瓶(NEGスクリューバイアルSV-50A、株式会社三商)に薬液を52g取り、密栓して20℃の水浴に30分間浸す。その後、B型粘度計TVB-10形粘度計(BL型、東機産業株式会社)及びロータNo.3を用いて12rpmの回転数で運転し、10分後の値を読み取る。
【0024】
<3.キャップ及び液体塗布部材>
次に、キャップ2及び液体塗布部材4について、図4も参照しつつ説明する。図4図2のA-A線断面図、図5図2のB-B線断面図、図6は液体塗布部材の一部側面図である。図2に示すように、キャップ2は、上端が塞がれ、下端が開口する円筒状に形成された本体部21と、この本体部21の内部において、上端の内壁面から下方に延びる円筒状の支持部22と、を備えている。また、本体部21の上端の内壁面には、支持部22を囲む環状の突出部23が形成されており、この突出部23は、中栓3の上端の内縁に嵌まるようになっている。本体部21の側面の内壁面には、雌ネジが形成されており、この雌ネジが容器1の雄ネジ12に螺合する。また、本体部21の外径は、容器1の上端部よりも下方の外径とほぼ同じであり、図1に示すように、キャップ2を容器1に取付けたときには、全体の外径がほぼ同じになるように形成されている。
【0025】
キャップ2の支持部22の下端には、開口221が形成されており、この開口221に上述した液体塗布部材4が取り付けられる。そして、液体塗布部材4は、軸部41と、この軸部41の下端部に設けられた液保持部42と、この液保持部42の下端部から下方に延びる刷毛部43と、を備え、これらが一体的に形成されている。以下、液体塗布部材4について詳細に説明する。
【0026】
軸部41は、支持部22の開口221に嵌め込まれる係合部(第2端部)411と、この係合部411の下端に設けられた蓋部材412と、この蓋部材412から下方に延びる板状の軸本体413と、を備えている。そして、係合部411は、支持部22の下端に回転可能に嵌め込まれており、これによって、液体塗布部材4は、キャップ2に対し、軸部41の軸周りに回転可能となっている。蓋部材412は、円板状に形成されており、上述した中栓3の小径部32に嵌め込まれる大きさになっている。具体的には、蓋部材412が中栓3の小径部32に嵌め込まれたとき、蓋部材412の外縁と、小径部32の内壁面との隙間が、0.1mm以上であることが好ましく、具体的には、0.1~1mm程度となることが好ましい。
【0027】
図4に示すように、軸本体413は、蓋部材412の直径とほぼ同じ幅を有する板状に形成され、下方に向かって延びている。ここでは、図4に示すように、軸本体413の左右の幅の広い一対の面を第1面4131及び第2面4132と称し、これら第1面4131及び第2面4132を連結する幅の狭い(厚みの小さい)一対の面を側面4133と称することとする。そして、この軸本体413の下端部(第1端部)には、正面視矩形状の液保持部42が連結されている。
【0028】
図5及び図6に示すように、液保持部42は、軸本体413の第1面4131及び第2面4132と連なる第1面421及び第2面422を有し、さらに軸本体413の側面4133と連なる一対の側面423を有している。液保持部42の第1面421及び第2面422は、軸本体413の第1面4131及び第2面4132とほぼ同じ幅を有し、液保持部42の側面423は、軸本体413の側面4133よりも小さい厚みを有している。したがって、軸本体413の第1面4131及び第2面4132と、液保持部42の第1面421及び第2面422との境界には段差45が形成されている。また、液保持部42には、第1面421及び第2面422を貫く正面視円形の貫通孔424が形成されている。
【0029】
次に、刷毛部43について、図6図8を参照しつつ説明する。図7図6のC-C線断面図、図8は刷毛を下側から見た図である。図6図8に示すように、刷毛部43は、液保持部42の下面を構成する取付面431と、この取付面431に取り付けられた複数の毛432とで構成されている。以下では、刷毛部43を説明するに当たって、液保持部42の第1面421及び第2面422に沿う方向を長手方向(第1方向)、液保持部42の側面423に沿う方向を短手方向(第2方向)と称することとする。
【0030】
刷毛部43を構成する毛432は、それぞれ、側面視三角形状の板状に形成されており、それぞれ、短手方向に延びるように配置されている。そして、複数の毛432は、取付面431に対し、長手方向に並ぶように取り付けられている。より詳細に説明すると、図7に示すように、複数の毛432は、短手方向に互い違いに配置されている。すなわち、隣接する一方の毛432の付け根は、液保持部42の第1面421側にずれるように配置され、他方の毛432の付け根は、液保持部42の第2面422側にずれるように配置されている。以下では、液保持部42の第1面421側にずれて配置されている毛を第1毛4321、第2面422側にずれて配置されている毛を第2毛4322と称することとする。
【0031】
このように複数の毛432が配置されることで、隣接する毛4321,4322の付け根の間には段差が形成され、この段差により、刷毛部43の長手方向に沿う両端縁には、それぞれ、所定間隔をおいて並ぶ窪み433が形成される。
【0032】
また、図8に示すように、複数の毛432は、付け根において、短手方向に互い違いに配置されているが、毛先4323は短手方向においてほぼ同じ位置に配置されている。したがって、複数の毛432の毛先4323は、短手方向においてほぼ同じ位置で、長手方向に揃うように配置されている。
【0033】
<4.液体塗布具の使用方法及び特徴>
次に、上記のように構成された液体塗布具の使用方法について、図9図14も参照しつつ説明する。但し、図11図14においては、説明の便宜のため、キャップ2を省略し、液体塗布部材4の一部のみ示している。図2に示すように、キャップ2が容器1に取付けられているとき、容器1には液体塗布部材4の軸部41の上端付近に達する量の、薬液が収容されている。このとき、蓋部材412が中栓3の小径部32の下端開口を塞ぐため、例えば、容器1が傾けられたとしても、薬液がキャップ2側に流れるのを防止することができる。但し、蓋部材412と中栓3の小径部32との間にはわずかな隙間が形成されているため、軸部41が引き出しにくくなるのを防止することができる。このような隙間が形成されていても、薬液が粘性を有することから、隙間から薬液が漏れるのを防止することができる。
【0034】
そして、図2の状態からキャップ2を回転して、容器1の上端部との螺合状態を解除した後、図9に示すように、キャップ2を引き上げると、キャップ2とともに、液体塗布部材4も引き上げられる。このとき、薬液は粘性があるため、刷毛部43における各毛432の外周面のみならず、液保持部42の貫通孔424、液保持部42と軸部41との段差部分45にも薬液が保持される。また、図10に示すように、隣接する毛4321、4322の付け根間の段差によって上述したような窪み433が形成されているため、これら窪み433にも薬液が保持される。したがって、刷毛部43に多量の薬液を付着させることができる。
【0035】
そして、図11に示すように、薬液を付着させた刷毛部43を塗布対象面に塗布するときには、段差45や貫通孔424に保持された薬液が、刷毛部43側に流れるため、刷毛部43に付着した薬液に加え、段差45や貫通孔424から流れてきた薬液も塗布対象面に塗布することができる。また、図8に示すように、毛先4323が揃っているため、薬液が刷毛部43から離れやすくなり、薬液を効果的に塗布対象面に塗布することができる。
【0036】
また、図12に示すように、液体塗布部材4を傾け、貫通孔424や段差45を塗布対象面に近接させると、これらに保持された薬液を塗布対象面に直接塗布することができる。
【0037】
さらに、次のような効果を得ることもできる。図13を参照しつつ説明する。図13は、刷毛部43の断面図であるが、主として第2毛4322の先端側が塗布対象面に接触している状態を示している。このとき、一部の第1毛4321の先端側も塗布対象面に接触しているものの、これらは液保持部42の第1面421側にずれて配置されているため、第1毛4321の付け根側では、第2毛4322よりも塗布対象面への接触が制限されている。そのため、薬液を塗布するとき、第1毛4321の動きは第2毛4322に比べて小さくなる。これにより、第2毛4322が長手方向に動いても、この動きは、第1毛4321によって規制される。特に、第1毛4321、第2毛4322は、ともに板状に形成されているため、第1毛4321による第2毛4322の規制効果は大きい。そのため、図14(b)のように刷毛部を構成する毛が長手方向に広がりにくく、図14(a)に示すように、複数の毛432がまとまった状態で塗布対象面に接触し、薬液を塗布することができる。したがって、薬液が刷毛部43から離れやすくなり、薬液を効果的に塗布対象面に塗布することができる。
【0038】
以上のように、本実施形態に係る液体塗布具によれば、刷毛部43により多くの薬液を付着させることができ、且つ、付着した薬液を塗布対象面に効率的に塗布することができる。したがって、塗布対象面に対し多くの薬液を塗布したり、あるいは面積の広い塗布対象面に薬液を塗布することができる。
【0039】
<5.変形例>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。なお、以下の変形例は、適宜組み合わせ可能である。
【0040】
<5-1>
上記実施形態では、液保持部42を設けているが、これは必須ではなく、例えば、軸部41に刷毛部43を直接連結することもできる。
【0041】
<5-2>
刷毛部43における毛の配置方法は特には限定されない。例えば、図15(a)に示すように、第1毛4321を第2面422側まで延ばし、第1毛4321と第2毛4322の第2面422側の端縁が揃うようにすることができる。あるいは、図15(b)に示すように、短手方向において、第1毛4321と第2毛4322との間に隙間を形成することもできる。いずれの場合も、第1毛4321と第2面422が、第1面側または第2面側で互い違いになるように配置されているため、両者の間の段差部分に薬液を保持することができる。
【0042】
また、上記実施形態では、各毛432を板状に形成しているが、各毛432の形状も特には限定されない。例えば、図15(c)に示すように、断面が円形状であってもよい。さらに、すべての毛432が互い違いになっていなくてもよく、一部のみ互い違いでもよい。また、上記実施形態では、各毛432の毛先は短手方向にほぼ同じ位置に揃うようにしているが、ずれていてもよい。
【0043】
<5-3>
上記実施形態では、液体塗布部材の軸部41、液保持部42、及び刷毛部43を一体的に形成しているが、別部材で構成することもできる。また、軸部41は上記実施形態のように板状に形成する以外に、棒状であってもよく、キャップ2に取り付けられるのであれば、係合部411の構成は特には限定されず、また蓋部材412も必須ではない。
【0044】
<5-4>
上記実施形態では、容器1に薬液を収容し、これを刷毛部43によって塗布する液体塗布具について説明したが、薬液のみならず、化粧品、接着剤など、種々の液体に対し、本発明を適用することができる。なお、このような液体は、上記のような粘性を有することが好ましいが、必ずしも粘性を有していなくてもよい。
【符号の説明】
【0045】
1 容器
2 キャップ
4 液体塗布部材
41 軸部材
43 刷毛部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15