(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-25
(45)【発行日】2022-04-04
(54)【発明の名称】荷電粒子のビーム状態を調節するための方法及び装置
(51)【国際特許分類】
H01J 37/04 20060101AFI20220328BHJP
H01J 37/12 20060101ALI20220328BHJP
H01J 37/28 20060101ALI20220328BHJP
H01J 37/145 20060101ALI20220328BHJP
H01J 37/141 20060101ALI20220328BHJP
【FI】
H01J37/04 A
H01J37/12
H01J37/28 B
H01J37/145
H01J37/141 Z
(21)【出願番号】P 2020515079
(86)(22)【出願日】2018-09-25
(86)【国際出願番号】 EP2018075928
(87)【国際公開番号】W WO2019063530
(87)【国際公開日】2019-04-04
【審査請求日】2020-05-08
(32)【優先日】2017-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504151804
【氏名又は名称】エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】リウ,シュエドン
【審査官】中尾 太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開昭58-071545(JP,A)
【文献】特開昭61-021179(JP,A)
【文献】特開昭61-021182(JP,A)
【文献】特開平01-143217(JP,A)
【文献】特開2001-093455(JP,A)
【文献】特開2002-352759(JP,A)
【文献】特表2002-524827(JP,A)
【文献】特表2003-502823(JP,A)
【文献】特開2009-099540(JP,A)
【文献】特開2009-164109(JP,A)
【文献】特表2015-531984(JP,A)
【文献】特開2016-009684(JP,A)
【文献】米国特許第04514638(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0113494(US,A1)
【文献】欧州特許出願公開第01110233(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01J 37/04
H01J 37/12
H01J 37/28
H01J 37/145
H01J 37/141
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アパーチャの上に配置された1つ又は複数の第一多極レンズであって、前記アパーチャを通過する荷電粒子ビームのビーム電流を調節する1つ又は複数の第一多極レンズと、
前記アパーチャの下に配置された1つ又は複数の第二多極レンズであって、前記ビームのスポットサイズ及びスポット形状の少なくとも一方を調節する1つ又は複数の第二多極レンズと、
前記1つ若しくは複数の第一多極レンズ又は前記1つ若しくは複数の第二多極レンズの少なくとも一方によって生成される多極場の強さを制御するコントローラと
を含み、
前記コントローラは、
試料のイメージスキャン中に前記ビームが走査線をスキャンする際、第一ビーム電流が前記アパーチャを通過することを可能にするように前記1つ又は複数の第一多極レンズを動作させることと、
前記試料の前記イメージスキャン中に前記ビームが2つの走査線間をリトレースする際、第二ビーム電流が前記アパーチャを通過することを可能にするように前記1つ又は複数の第一多極レンズを動作させることであって、前記第二ビーム電流は、前記第一ビーム電流と異なる、動作させることと
をさらに行う、装置。
【請求項2】
アパーチャの上に配置された1つ又は複数の第一多極レンズであって、前記アパーチャを通過する荷電粒子ビームのビーム電流を調節する1つ又は複数の第一多極レンズと、
前記アパーチャの下に配置された1つ又は複数の第二多極レンズであって、前記ビームのスポットサイズ及びスポット形状の少なくとも一方を調節する1つ又は複数の第二多極レンズと、
前記1つ若しくは複数の第一多極レンズ又は前記1つ若しくは複数の第二多極レンズの少なくとも一方によって生成される多極場の強さを制御するコントローラと
を含み、
前記コントローラは、
試料のイメージスキャン中に前記ビームが走査線をスキャンする際、前記1つ又は複数の第一多極レンズのスイッチをオフにすることと、
前記試料の前記イメージスキャン中に前記ビームが2つの走査線間をリトレースする際、前記1つ又は複数の第一多極レンズのスイッチをオンにすることと
をさらに行う、装置。
【請求項3】
アパーチャの上に配置された1つ又は複数の第一多極レンズであって、前記アパーチャを通過する荷電粒子ビームのビーム電流を調節する1つ又は複数の第一多極レンズと、
前記アパーチャの下に配置された1つ又は複数の第二多極レンズであって、前記ビームのスポットサイズ及びスポット形状の少なくとも一方を調節する1つ又は複数の第二多極レンズと、
前記1つ若しくは複数の第一多極レンズ又は前記1つ若しくは複数の第二多極レンズの少なくとも一方によって生成される多極場の強さを制御するコントローラと
を含み、
前記コントローラは、
試料のイメージスキャン中に前記ビームが走査線をスキャンする際、前記試料上に第一ビームスポットを形成するように前記1つ又は複数の第二多極レンズを動作させることと、
前記試料の前記イメージスキャン中に前記ビームが2つの走査線間をリトレースする際、前記試料上に第二ビームスポットを形成するように前記1つ又は複数の第二多極レンズを動作させることであって、前記試料上の前記第一ビームスポット及び前記第二ビームスポットは、異なるサイズを有する、動作させることと
をさらに行う、装置。
【請求項4】
アパーチャの上に配置された1つ又は複数の第一多極レンズであって、前記アパーチャを通過する荷電粒子ビームのビーム電流を調節する1つ又は複数の第一多極レンズと、
前記アパーチャの下に配置された1つ又は複数の第二多極レンズであって、前記ビームのスポットサイズ及びスポット形状の少なくとも一方を調節する1つ又は複数の第二多極レンズと、
前記1つ若しくは複数の第一多極レンズ又は前記1つ若しくは複数の第二多極レンズの少なくとも一方によって生成される多極場の強さを制御するコントローラと
を含み、
前記コントローラは、
試料のイメージスキャン中に前記ビームが走査線をスキャンする際、前記1つ又は複数の第二多極レンズのスイッチをオフにすることと、
前記試料の前記イメージスキャン中に前記ビームが2つの走査線間をリトレースする際、前記1つ又は複数の第二多極レンズのスイッチをオンにすることと
をさらに行う、装置。
【請求項5】
前記1つ又は複数の第一多極レンズ及び前記1つ又は複数の第二多極レンズの少なくとも一方は、静電多極レンズであり、及び
前記コントローラは、百ボルトオーダーの電圧を前記静電多極レンズに印加することによってさらに前記静電多極レンズのスイッチをオンにする、請求項1~4のいずれかに記載の装置。
【請求項6】
前記1つ又は複数の第一多極レンズ及び前記1つ又は複数の第二多極レンズの少なくとも一方は、複数の電極によって形成される静電多極レンズである、請求項1~4のいずれかに記載の装置。
【請求項7】
前記1つ又は複数の第一多極レンズ及び前記1つ又は複数の第二多極レンズの少なくとも一方は、複数のソレノイドコイルによって形成される電磁多極レンズである、請求項1~4のいずれかに記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[001] 本出願は、2017年9月29日に出願された米国特許出願第62/566,149号の優先権を主張するものであり、その全体が参照により本明細書に援用される。
【0002】
[002] 本開示は、概して、荷電粒子を使用することによる製造基板の検査に関し、より詳細には、荷電粒子のビーム状態を調節するための方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0003】
[003] 1ナノメートル未満に至るまでの分解が可能な走査電子顕微鏡(SEM)又は透過電子顕微鏡(TEM)などの荷電粒子(例えば、電子)ビーム顕微鏡は、サブミクロン~数ナノメートルに至るまでのフィーチャサイズを有するICコンポーネントを検査するための実用的ツールとして役立つ。SEMを使用して、単一の一次電子ビームの電子又は複数の一次電子ビームの電子は、検査中のウェーハの所定のスキャン位置に焦点を合わされ得る。一次電子は、ウェーハと相互作用し、且つ後方散乱される場合があるか、又はウェーハに二次電子を放出させる場合があり、二次電子は、1つ又は複数の検出器によって収集され得、且つウェーハの像を構築するために使用され得る。後方散乱電子及び二次電子を含む電子ビームの強度は、ウェーハの内部構造及び/又は外部構造の特性に基づいて異なる場合があり、従ってウェーハが欠陥を有するか否かを示す。
【0004】
[004] 多くの適用例において、電圧コントラストによって欠陥を検査するために、ウェーハのエリアが一次電子を用いて検査される前に、事前帯電と呼ばれるプロセスにおいて荷電粒子がそのエリア上に付与され、この事前帯電は、2つの目的(第一に、デフォーカス及び像のディストーションを生じさせるウェーハ表面上の帯電を減少させること、並びに第二に、検査中に欠陥フィーチャ及び周囲の非欠陥フィーチャが異なって挙動するようにウェーハ上のフィーチャに適切な電圧を印加すること)を果たす。現在、事前帯電は、2つの技術、フラッディング及びプリスキャンによって実現することができる。
【0005】
[005] フラッディング技術では、一次電子源とは別の電子源であるフラッディングガンを使用して、ウェーハ上の事前に規定された表面エリアを帯電させるために、フラッディングガンの下でウェーハを移動させながら、比較的大量の電子を提供する。プリスキャン後、ウェーハは、元の位置に戻され、次いで、1つ又は複数の一次電子ビームは、スキャンされたエリアのイメージングを行うため、事前帯電エリアの一部をスキャンするために付与される。一般的には、フラッディングに必要とされる時間は、数分程度であり、事前帯電とイメージングとの切替えに必要とされる時間は、数秒程度である。明らかに、フラッディング技術は、時間がかかり、システムのスループットを低下させる。
【0006】
[006] プリスキャン技術では、1つ又は複数の一次ビームが事前帯電及びイメージングの両方に使用される。具体的には、イメージングスキャンに先立って最初に1つ又は複数の一次ビームを使用して、ウェーハを正又は負に事前帯電させるために、イメージングされるべきウェーハのエリアをプリスキャンする。フラッディング技術と比較して、プリスキャン技術は、プリスキャンとイメージングとの切替え時間が比較的短い。また、プリスキャン技術における事前帯電エリアは、1つのみの電子源が使用されるため、正確に制御することができる。
【0007】
[007] プリスキャン技術が事前帯電に使用される場合、通常、表面帯電の状態を平衡化するため及び/又は低リーク率を有する欠陥に関して電圧コントラストを形成するために、一次電子の小さいビーム電流で十分である。しかしながら、銅相互接続における薄いボイドなどの高リーク率を有する一部の電気的欠陥は、検出されるには、帯電を構築するために大量の電子を必要とする。従って、適量の事前帯電を達成するために、プリスキャン中、一次電子のより高いビーム電流を印加することが必要である。
【発明の概要】
【0008】
[008] 本開示の実施形態は、荷電粒子のビーム状態を変更するための方法及び装置に関する。幾つかの実施形態では、装置が提供される。装置は、アパーチャの上に配置された1つ又は複数の第一多極レンズであって、アパーチャを通過する荷電粒子ビームのビーム電流を調節するように構成される1つ又は複数の第一多極レンズを含む。装置は、アパーチャの下に配置された1つ又は複数の第二多極レンズであって、ビームのスポットサイズ及びスポット形状の少なくとも一方を調節するように構成される1つ又は複数の第二多極レンズも含む。
【0009】
[009] 幾つかの実施形態では、装置が提供される。装置は、アパーチャの上に配置された1つ又は複数の第一非回転軸対称レンズであって、アパーチャを通過する荷電粒子ビームのビーム電流を調節するように構成される1つ又は複数の第一非回転軸対称レンズを含む。装置は、アパーチャの下に配置された1つ又は複数の第二非回転軸対称レンズであって、ビームのスポットサイズ又はスポット形状の少なくとも一方を調節するように構成される1つ又は複数の第二非回転軸対称レンズも含む。
【0010】
[010] 幾つかの実施形態では、方法が提供される。方法は、アパーチャの上に配置された1つ又は複数の第一多極レンズにより、アパーチャを通過する荷電粒子ビームのビーム電流を調節することを含む。方法は、アパーチャの下に配置された1つ又は複数の第二多極レンズにより、ビームのスポットサイズ又はスポット形状の少なくとも一方を調節することも含む。
【0011】
[011] 幾つかの実施形態では、非一時的コンピュータ可読媒体が提供される。非一時的コンピュータ可読媒体は、1つ又は複数のプロセッサによって実行されると、アパーチャを通過する荷電粒子ビームのビーム電流を調節するために、アパーチャの上に配置された1つ又は複数の第一多極レンズを制御することと、ビームのスポットサイズ又はスポット形状の少なくとも一方を調節するために、アパーチャの下に配置された1つ又は複数の第二多極レンズを制御することとを含む方法をプロセッサに行わせる命令を保存する。
【0012】
[012] 開示される実施形態の追加の目的及び利点は、一部には以下の説明に記載され、且つ一部にはその説明から明らかとなるか又は実施形態の実施により学ばれ得る。開示される実施形態の目的及び利点は、特許請求の範囲に記載される要素及び組み合わせによって実現及び達成することができる。
【0013】
[013] 上記の概要及び以下の詳細な説明の両方は、例示的及び説明的なものに過ぎず、特許請求される開示の実施形態を限定するものではないことが理解されるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】[014]本開示の実施形態に一致する例示的電子ビーム検査(EBI)システムを示す概略図である。
【
図2】[015]本開示の実施形態に一致する、
図1の例示的EBIシステムの一部となり得る例示的電子ビーム(eビーム)ツールを示す概略図である。
【
図3A】[016]本開示の実施形態に一致する、
図2の例示的eビームツールにおいて使用される四極レンズを示す概略図である。
【
図3B】[017]本開示の実施形態に一致する、
図2の例示的eビームツールにおいて使用される四極レンズを示す概略図である。
【
図4】[018]本開示の実施形態に一致する、
図2の例示的eビームツールに含まれる多極レンズによって調節されるeビームを示す概略図である。
【
図5】[019]本開示の実施形態に一致する、
図2の例示的eビームツールに含まれるコントローラのブロック図である。
【
図6】[020]本開示の実施形態に一致する、プリスキャン及びイメージスキャン間のeビーム状態を制御する方法のフローチャートである。
【
図7】[021]本開示の実施形態に一致する、試料表面上のeビームスキャンパターンの単純化した図表現である。
【
図8】[022]本開示の実施形態に一致する、イメージスキャン中にeビーム状態を制御する方法のフローチャートである。
【
図9】[023]本開示の実施形態に一致する、
図8の方法における多極レンズのスイッチのオン及びオフの時間系列を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[024] ここで、例示的実施形態に詳細に言及し、それらの例が添付の図面に示される。以下の記載は、異なる図面における同じ番号が別段の説明のない限り同一又は類似の要素を表す添付の図面を参照する。以下の例示的実施形態の説明に記載される実装形態は、本発明と一致する全ての実装形態を表すわけではない。代わりに、それらは、添付の特許請求の範囲に記載される本発明に関係する態様と一致する装置及び方法の例に過ぎない。
【0016】
[025] 本出願は、荷電粒子のビーム状態を調節するための装置及び方法を開示する。開示される装置及び方法は、集積回路(IC)の製造プロセスにおいてなど、多くの技術で使用することができる。本開示では、ビーム状態は、荷電粒子ビームのビーム電流、スポットサイズ及びスポット形状の1つ又は複数を指す。荷電粒子は、電子、陽子、荷電分子、正又は負イオンなどの正荷電又は負荷電粒子を指す。単なる例示目的で、以下の記載は、荷電粒子が電子であると仮定する。しかし、本開示の原理及び実施形態は、他のタイプの荷電粒子にも等しく適用することができる。
【0017】
[026] 本明細書では、特に別段の記載がなければ、「又は」という用語は、実行不可能な場合を除き、全ての可能な組み合わせを包含する。例えば、データベースがA又はBを含み得ると記載される場合、特に別段の記載がなければ又は実行不可能でなければ、データベースは、A若しくはB又はA及びBを含み得る。第2の例として、データベースがA、B又はCを含み得ると記載される場合、特に別段の記載がなければ又は実行不可能でなければ、データベースは、A、若しくはB、若しくはC、又はA及びB、又はA及びC、又はB及びC、又はA、及びB、及びCを含み得る。
【0018】
[027]
図1は、本開示の実施形態に一致する例示的電子ビーム検査(EBI)システム100を示す概略図である。
図1に示すように、EBIシステム100は、主チャンバ101、ロード/ロックチャンバ102、電子ビーム(eビーム)ツール104及び機器フロントエンドモジュール(EFEM)106を含む。eビームツール104は、主チャンバ101内に位置する。
【0019】
[028] EFEM106は、第一ローディングポート106a及び第二ローディングポート106bを含む。EFEM106は、追加の1つ又は複数のローディングポートを含み得る。第一ローディングポート106a及び第二ローディングポート106bは、検査すべきウェーハ(例えば、半導体ウェーハ又は他の1つ若しくは複数の材料で作られたウェーハ)又はサンプルを収容するウェーハ前面開口統一ポッド(FOUP)を受け入れることができる(以下では、ウェーハ及びサンプルは、まとめて「ウェーハ」と呼ぶ)。EFEM106における1つ又は複数のロボットアーム(不図示)は、ウェーハをロード/ロックチャンバ102に運ぶことができる。
【0020】
[029] ロード/ロックチャンバ102は、大気圧より低い第一圧力に達するようにロード/ロックチャンバ102内の気体分子を除去するロード/ロック真空ポンプシステム(不図示)に接続される。第一圧力に達した後、1つ又は複数のロボットアーム(不図示)は、ウェーハをロード/ロックチャンバ102から主チャンバ101に運ぶことができる。主チャンバ101は、第一圧力より低い第二圧力に達するように主チャンバ101内の気体分子を除去する主チャンバ真空ポンプシステム(不図示)に接続される。第二圧力に達した後、ウェーハは、eビームツール104による検査を受ける。
【0021】
[030]
図2は、開示した実施形態と一致する例示的eビームツール104を示す概略図である。
図2に示すように、電子ビームツール104は、電動ステージ200と、検査すべきウェーハ203を保持するための、電動ステージ200によって支持されるウェーハホルダ202とを含む。電子ビームツール104は、複合対物レンズ204、電子検出器206(これは、電子センサ面206a及び206bを含む)、対物アパーチャ208、コンデンサレンズ210、ビーム制限アパーチャ212、ガンアパーチャ214、アノード216及びカソード218をさらに含み、これらの1つ又は複数は、eビームツール104の光軸270とアライメントされ得る。
【0022】
[031] 幾つかの実施形態において、複合対物レンズ204は、ポールピース204a、制御電極204b、偏向器204c又は偏向器204cのセット及び励磁コイル204dを含む改良スイング対物遅延液浸レンズ(SORIL)を含み得る。電子ビームツール104は、追加的に、ウェーハ上の材料を特徴付けるためにエネルギー分散X線スペクトロメータ(EDS)検出器(不図示)を含み得る。
【0023】
[032] アノード216とカソード218との間に電圧を印加することにより、一次電子ビーム220がカソード218から放出される。一次電子ビーム220は、共にコンデンサレンズ210(これは、ビーム制限アパーチャ212の下に存在する)に入る電子ビームの電流を決定することができるガンアパーチャ214及びビーム制限アパーチャ212を通過する。コンデンサレンズ210は、複合対物レンズ204に入る前に電子ビームの電流を設定するために、ビームが対物アパーチャ208に入る前に一次電子ビーム220の焦点を合わせる。
【0024】
[033] 複合対物レンズ204は、検査のために、一次電子ビーム220の焦点をウェーハ203上に合わせることができ、且つウェーハ203の表面上にプローブスポット222を形成することができる。1つ又は複数の偏向器204cは、ウェーハ203上でプローブスポット222をスキャンするために一次電子ビーム220を偏向させる。例えば、スキャンプロセスにおいて、1つ又は複数の偏向器204cは、一次電子ビーム220を異なる時点でウェーハ203の上面の異なる位置上に順次偏向させて、ウェーハ203の異なる部分の像の再構築のためのデータを提供するように制御され得る。また、偏向器204cは、異なる時点において、特定の位置にあるウェーハ203の異なる面上に一次電子ビーム220を偏向させて、その位置におけるウェーハ構造の立体像の再構築のためのデータを提供するようにも制御され得る。さらに、幾つかの実施形態において、アノード216及びカソード218は、複数の一次電子ビーム220を生成するように構成することができ、電子ビームツール104は、複数の一次電子ビーム220をウェーハ203の異なる部分/面に同時に投影させる複数の偏向器204cを含み得る。
【0025】
[034] 電流が励磁コイル204d上に印加されると、軸対称(すなわち光軸270に対して対称)磁場がウェーハ表面エリアに生成される。一次電子ビーム220によってスキャンされるウェーハ203の一部は、磁場に浸漬させることができる。異なる電圧がウェーハ203、磁気対物レンズ204a及び制御電極204bに印加されることにより、ウェーハ表面付近で軸対称遅延電場が生じる。電場は、一次電子ビーム220がウェーハ203に衝突する前に、ウェーハの表面付近で、衝突する一次電子ビーム220のエネルギーを減少させる。ポールピース204aから電気的に絶縁された制御電極204bは、ウェーハのマイクロアーク放電を防止するため及びウェーハ表面での適切なビームフォーカスを確実にするため、軸対称磁場と共にウェーハ上の軸対称電場を制御する。
【0026】
[035] 一次電子ビーム220を受け取ると、二次電子ビーム230がウェーハ203の一部から放出され得る。二次電子ビーム230は、電子検出器206のセンサ面206a及び206bによって受け取ることができる。電子検出器206は、二次電子ビーム230の強度を表す信号(例えば、電圧、電流など)を生成し、且つその信号を処理システム(
図2では不図示)に提供することができる。二次電子ビーム230の強度は、ウェーハ203の外部構造及び/又は内部構造に応じて異なり得る。また、上述の通り、一次電子ビーム220がウェーハ203の上面の異なる位置及び/又は特定の位置におけるウェーハ203の異なる面上に投影されることにより、異なる強度の二次電子ビーム230を生成することができる。従って、二次電子ビーム230の強度をウェーハ203の位置にマッピングすることにより、処理システムは、ウェーハ203の内部構造及び/又は外部構造を反映する像を再構築することができる。
【0027】
[036] 上記の通り、ウェーハ203の事前帯電を行うためにプリスキャン技術が使用される場合、プリスキャン及びイメージスキャン間で一次電子のビーム電流を頻繁に調節する(例えば、高リーク率を有する電気的欠陥を事前帯電させるために一次電子のビーム電流を増大させる)ことが必要とされ得る。これは、コンデンサレンズ210の強さを調節することによって実現され得る。具体的には、
図2を参照すると、コンデンサレンズ210を使用して、対物アパーチャ208を通過する一次電子の量を変更するために一次電子ビーム220の外形を変更することができる。
【0028】
[037] 開示した実施形態に一致して、コンデンサレンズ210は、磁気又は静電であり得る。一方では、コンデンサレンズ210が磁気レンズである場合、コンデンサレンズ210の強さは、コンデンサレンズ210の励磁電流を変更することによって調節することができる。しかし、電圧と比較して、励磁電流は、変化が遅く、且つ磁気レンズの本体及びコイルからの大きいインダクタンスにより不安定である。また、磁気レンズは、ヒステリシス問題を有し、これは、同じ励磁電流が印加された状態で磁場を異ならせる。これは、ウェーハをスキャンする際、一次ビームデフォーカスを生じさせる。他方では、コンデンサレンズ210が静電円形レンズである場合、それは、一次電子の大部分を対物アパーチャ208に通過させるために大きい電圧(例えば、数千ボルト)を必要とし得る。かかる大きい電圧とゼロ電圧との切替えは、時間がかかる。従って、コンデンサレンズ210は、磁気レンズであるか又は静電レンズであるかに関わらず、eビームツール104の高スループットが望まれる場合、事前帯電の制御に適さない場合がある。
【0029】
[038] コンデンサレンズ210に関連した上記の制約を回避するために、本構造は、多極レンズを使用して一次電子のビーム状態を制御するための様々な構造及び方法を提供する。
図2に示すように、eビームツール104は、一次電子源(すなわちカソード218)と対物アパーチャ208との間に1つ又は複数の多極レンズ(例えば、多極レンズ240及び/又は多極レンズ242)を含み得る。また、eビームツール104は、対物アパーチャ208とウェーハ203との間に1つ又は複数の多極レンズ(例えば、多極レンズ250及び/又は多極レンズ252)を含み得る。多極レンズは、光軸270とアライメントされる。
【0030】
[039] 本開示で使用される多極レンズは、光軸270に沿って高次高調波電場又は磁場を生成することができるどのようなタイプのレンズでもあり得る。例えば、開示する多極レンズは、四極レンズ、八極レンズなどの1つ又は複数を含み得る。また、多極レンズは、複数の電極によって形成された少なくとも1つの静電レンズ、複数のソレノイドコイル又は電磁石によって形成された少なくとも1つの電磁多極レンズを含み得る。
【0031】
[040]
図3Aは、本開示の例示的実施形態によるeビームツール104において使用される四極レンズ310の上面図を示す概略図である。
図3Aを参照すると、四極レンズ310は、4つのセグメント312a~312dを含む。例えば、四極レンズ310は、eビームツール104(
図2)において多極レンズ240、242、250及び252の1つとして使用され得る。セグメント312a~312dは、光軸270を中心として対称的に配置され得る。四極レンズ310が四極静電レンズである場合、セグメント312a~312dは、電極である。例えば、正電圧「+V」が電極312a及び312cに印加され、負電圧「-V」が電極312b及び312dに印加され得る。このように、セグメント312a~312dは、光軸270を中心として対称的に分布した四極電場を生成し得る。四極レンズ310が四極磁気レンズである場合、セグメント312a~312dは、ソレノイドコイル又は電磁石である。ソレノイドコイルにおける電流方向の制御により、セグメント312a~312dは、光軸270を中心として対称的に分布した四極磁場を生成し得る。
【0032】
[041] 本開示で使用される多極レンズは、任意の適宜の形状を有し得る。
図3Bは、本開示の例示的実施形態によるeビームツール104において使用される四極レンズ320の上面図を示す概略図である。
図3Bを参照すると、四極レンズ320は、4つのセグメント322a~322dを含む。例えば、四極レンズ320は、eビームツール104(
図2)において多極レンズ240、242、250及び252の1つとして使用され得る。セグメント312a~312dは、光軸270を中心として対称的に配置され得る。
図3A及び3Bに示すように、四極レンズ310は、四極凹レンズとして構成され、四極レンズ320は、四極凸レンズとして構成される。
【0033】
[042]
図4は、本開示の実施形態に一致するeビームツール104に含まれる多極レンズによって調節されるeビームを示す概略図である。
図4を参照すると、多極レンズ240、242が対物アパーチャ208の上に配置され、従って本開示ではプリアパーチャ多極レンズとも呼ばれる。幾つかの実施形態では、多極レンズ240、242は、コンデンサレンズ210の下に配置され得、コンデンサレンズ210は、ビームが多極レンズ240、242に入る前に一次電子ビーム220を収束させる。
図4は、一次電子ビーム220の外形を示す。外形によって示されるように、多極レンズ240、242のスイッチがオンにされると、コンデンサレンズ210の設定を変更することなく、より多くの一次電子が対物アパーチャ208を通過することを可能にするため、一次電子ビーム220の焦点をさらに合わせるために1つ又は複数の多極場を生成することができる。また、アパーチャ208を通過する一次電子の量を変更するために1つ又は複数の多極場の強さを調節することができる。このように、多極レンズ240、242は、コンデンサレンズ210の設定を変更することなく、ウェーハ203上に投影されることが可能な一次電子ビーム220のビーム電流を調節することができる。
【0034】
[043]
図4をさらに参照すると、多極レンズ250、252は、対物アパーチャ208の下に配置され、従って本開示ではポストアパーチャ多極レンズとも呼ばれる。幾つかの実施形態では、多極レンズ250、252は、複合対物レンズ204の上に配置され得る。多極レンズ250、252のスイッチがオンにされると、ビームが複合対物レンズ204に入る前に、一次電子ビーム220の焦点を合わせるために1つ又は複数の多極場を生成することができる。そのため、一次電子ビーム220の直径、従ってプローブスポット222のサイズは、対物レンズ204の設定を変更することなく、ウェーハ表面で変更することができる。
【0035】
[044] また、多極レンズ250、252の多極場は、光軸270を中心とした回転対称ではない。具体的には、多極場(例えば、四極場)は、ビームの別の横方向に一次電子ビーム220をデフォーカスさせながら、ビームのある横方向に一次電子ビーム220の焦点を合わせることができる。従って、一次電子ビーム220の断面の形状、従ってプローブスポット222のスポット形状は、多極レンズ250、252によって生成される1つ又は複数の多極場によって変更することができる。
【0036】
[045]
図2及び
図4は、2つのプリアパーチャ多極レンズ240、242及び2つのポストアパーチャ多極レンズ250、252を示すが、本開示は、eビームツールにおいて使用されるプリアパーチャ多極レンズの数及びポストアパーチャ多極レンズの数を限定しない。例えば、幾つかの実施形態では、eビームツール104は、プリアパーチャ多極レンズを1つのみ含み得、幾つかの他の実施形態では、eビームツール104は、3つ以上のプリアパーチャ多極レンズを含み得る。
【0037】
[046] また、
図2及び
図4は、eビームツール104が単一の一次電子ビームを使用することを示すが、eビームツール104は、複数の一次電子ビームを使用するマルチビーム検査ツールであり得ることが企図される。本出願は、eビームツール104で使用される一次電子ビームの数を限定しない。
【0038】
[047] また、本開示に記載される原理及び実施形態は、eビームツールの光軸を中心として非回転軸対称場を生成することが可能であるどのようなレンズにも適用され得る。上記の多極磁場/電場は、非回転軸対称場の一例である。本開示では、非回転軸対称レンズは、軸を中心として非回転軸対称場を生成することが可能なレンズを指す。
【0039】
[048] 上記の通り、多極レンズ240、242は、一次電子ビーム220のビーム電流を変更するためにスイッチをオンにすることができ、多極レンズ250、252は、プローブスポット222のスポットサイズ又はスポット形状の少なくとも一方を変更するためにスイッチをオンにすることができる。また、多極レンズ240、242、250、252によって生成される多極場の強さは、ビーム電流、スポットサイズ及び/又はスポット形状を正確に制御するために、これらの多極レンズの入力電圧又は電流を変更することによって調節することができる。
図2を参照すると、開示した実施形態では、eビームツール104は、多極レンズ240、242、250、252の入力電圧又は電流を制御するように構成されたコントローラ260をさらに含み得る。
【0040】
[049] コントローラ260は、例えば、コンピュータベースシステム、マイクロプロセッサベースシステム、マイクロコントローラ、埋込システム(例えば、ファームウェア)又は他の適宜の制御回路若しくはシステムを含む多くの形態を取り得る。幾つかの実施形態では、コントローラ260は、設定時間に多極レンズ240、242、250、252のスイッチをオン/オフにし、且つ多極レンズ240、242、250、252の入力電圧/電流を正確に制御又は調節するためのハードウェア及び/又はソフトウェアモジュールを用いて特別に構成される。
図5は、開示した実施形態に一致するコントローラ260のブロック図である。
図5を参照すると、コントローラ260は、メモリ510、プロセッサ520及び入力/出力(I/O)インタフェース530を含み得る。
【0041】
[050] プロセッサ520は、コントローラ260が、開示した実施形態に従って機能することを可能にするように構成された特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)及び論理回路の1つ又は複数を含み得る。プロセッサ520は、eビームツール104において多極レンズの1つ又は複数の入力電圧/電流のスイッチをオン/オフにするか又は調節するために、例えばI/Oインタフェース530を介して制御信号の生成及び送信を行うように構成され得る。
【0042】
[051] 動作中、プロセッサ520は、メモリ510に保存されたコンピュータ命令/論理を実行することができる。メモリ510は、任意の適切なタイプのストレージ媒体を含み得る。メモリ510は、プロセッサ520によって実行可能なアプリケーション又は方法のための命令を含む非一時的コンピュータ可読ストレージ媒体を含み得る。例えば、非一時コンピュータ可読ストレージ媒体は、読出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、フラッシュメモリ、メモリチップ(又は集積回路)などであり得る。
【0043】
[052] I/Oインタフェース530は、コントローラ260が他のシステム及びデバイスと通信することを可能にする1つ又は複数のデジタル及び/又はアナログ通信デバイスを含み得る。例えば、I/Oインタフェース530は、多極レンズ240、242、250、252のスイッチをオン/オフにするためにプロセッサ520から1つ又は複数の制御信号を受信し、且つ制御信号をリレーに送信し得る。
【0044】
[053] 上記の通り、ウェーハ203を事前帯電させるためにプリスキャン技術が使用される場合、一次電子ビームを使用して、ウェーハのプリスキャン及びイメージングの両方が行われる。
図6は、本開示の実施形態に一致する、試料のプリスキャン及びイメージスキャン間のeビーム状態を制御する方法600のフローチャートである。例えば、方法600は、eビームツール(例えば、
図2に示すeビーム104)における一次電子ビームのビーム状態を制御するために使用することができる。eビームツールによって検査される試料は、半導体ウェーハ(例えば、ウェーハ203)であり得る。eビームツールは、アパーチャ(例えば、eビームツール104における対物アパーチャ208)の上流又は上に位置する1つ又は複数のプリアパーチャ多極レンズ(例えば、eビームツール104におけるアパーチャ240、242)及びアパーチャの下流又は下に位置する1つ又は複数のポストアパーチャレンズ(例えば、eビームツール104におけるアパーチャ250、252)を含む。プリアパーチャ及びポストアパーチャ多極レンズは、eビームツールの光軸(例えば、eビームツールの光軸270)を中心として配置される。スイッチがオンにされると、プリアパーチャ及びポストアパーチャ多極レンズは、1つ又は複数の多極場を生成し得る。プリアパーチャ及びポストアパーチャ多極レンズは、コントローラ(例えば、eビームツール104におけるコントローラ260)によってスイッチがオン/オフにされ得る。また、コントローラは、プリアパーチャ及びポストアパーチャ多極レンズの入力電圧及び/又は入力電流を調節することにより、多極場の強さを制御するように構成され得る。
図6を参照すると、方法600は、以下のステップを含む。
【0045】
[054] ステップ610では、試料の事前帯電中、eビームツールは、アパーチャ208を通過する一次電子ビームのビーム電流を調節するためにプリアパーチャ多極レンズのスイッチをオンにする。上記の通り、プリスキャン及びイメージスキャンは、異なるビーム電流を必要とし得る。例えば、高リーク率を有する欠陥を事前帯電させるために一次電子ビームのより高いビーム電流が必要とされ得る。そのため、試料上に投影される一次電子ビームのビーム電流を増大させるためにプリアパーチャ多極レンズのスイッチがオンにされ得る。
【0046】
[055] ステップ620では、一次電子ビームのスポットサイズ及び/又はスポット形状、すなわち試料表面上に一次電子ビームによって形成されるプローブスポットのサイズ及び/又は形状を調節するために、eビームツールは、ポストアパーチャ多極レンズのスイッチをオンにする。例えば、高リーク率を有する欠陥の事前帯電の必要性を満たすためにプローブスポットにおける電荷密度を増加させることができるように、一次電子ビームのスポットサイズが縮小され得る。別の例として、試料が高リーク率を有する欠陥がない場合でも、一次電子ビームが試料のより大きいエリアをカバーし、且つ事前帯電の時間を短くすることができるように、プリアパーチャ多極レンズ及びポストアパーチャ多極レンズを組み合わせて、ビーム電流及びスポットサイズを同時に増大させることができる。このように、eビームツールのスループットを向上させることができる。さらに別の例として、一次電子ビームのスポット形状は、プリスキャンエリアにおける特定のタイプのフィーチャ又は欠陥に応じて調節され得る。
【0047】
[056] 上記の通り、プリアパーチャ及びポストアパーチャ多極レンズの強さは、正確に制御することができる。そのため、開示した実施形態と一致して、eビームツールは、コンデンサレンズ又は対物レンズの設定を変更することなく、異なるタイプの試料及び/又は試料上の異なるタイプの欠陥の特定のプリスキャンの必要性に応じて、ビーム電流、スポットサイズ及び/又はスポット形状を変更するためにプリアパーチャ及びポストアパーチャ多極レンズの強さを調節することができる。
【0048】
[057] ステップ630では、eビームツールは、試料をプリスキャンする。幾つかの実施形態では、電動ステージ(例えば、eビーム104におけるステージ200)は、一次電子ビームが試料の事前に規定されたエリアのプリスキャンを行うことを可能にするために一次電子ビーム下で試料を移動させることができる。代替的に又は同時に、事前に規定された表面エリアのプリスキャンを行うために、一次電子ビームは、偏向器又は偏向器のセット(例えば、偏向器204c)によって偏向され得る。このステップでは、一次ビーム電流及びプローブスポットは、コンデンサレンズ210、複合対物レンズ204、プリアパーチャ多極レンズ及びポストアパーチャ多極レンズによって制御される。
【0049】
[058] ステップ640では、試料の事前に規定されたエリアのプリスキャンが行われた後、eビームツールは、一次電子ビームのビーム電流、スポットサイズ及び/又はスポットサイズをイメージスキャンに適したものに戻すように変更するためにプリアパーチャ多極レンズ及び/又はポストアパーチャ多極レンズのスイッチをオフにする。幾つかの実施形態では、多極レンズのスイッチを完全にオフにする代わりに、eビームツールは、ビーム状態がイメージスキャンの要件を満たすようにするためにプリアパーチャ及びポストアパーチャ多極レンズの1つ又は複数の強さを低下又は増大させ得る。
【0050】
[059] ステップ650では、eビームは、試料の事前に規定されたエリアのイメージスキャンを行う。事前に規定されたエリアのイメージングが行われた後、方法600は、試料の次の事前に規定されたエリアのプリスキャン及びイメージスキャンを行うためにステップ610に戻る。方法600の複数の反復により、試料全体の事前帯電及びイメージングが行われ得る。
【0051】
[060] 開示した実施形態に一致して、プリアパーチャ及びポストアパーチャ多極レンズによって生成される多極場は、迅速に変更することができる。例えば、上記の通り、静電円形レンズは、プリスキャンのためのビーム電流を増大させるために数千ボルトを必要とし得る。一方、同じビーム電流を得るために、電気多極レンズは、百ボルトオーダーの電圧のみを必要とし得る。そのため、多極場は、数マイクロ秒でスイッチのオン/オフ又は増大/縮小が迅速に行われ得る。それに応じて、プリスキャンとイメージスキャンとの切替えに必要な時間が縮小され、且つeビームツールのスループットが増加する。
【0052】
[061] 事前帯電とイメージスキャンとのビーム状態の迅速な切替えを提供することに加えて、プリアパーチャ及びポストアパーチャ多極レンズは、他の使用例においてビーム状態を変更するためにも使用され得る。
図7は、本開示の実施形態に一致する、試料表面上のeビームスキャンパターンの単純化した図表現である。
図7は、試料表面700上の複数の走査線710及び複数の帰線720を示す。走査線710及び帰線720は、試料表面上で一次電子ビームによって形成されるプローブスポットの移動経路を示す。試料のイメージング中、各スキャン動作(走査線710によって示される)後、即時のビームリトレース動作(帰線720によって示される)が続く。ビームリトレース期間は、2つの走査線710間の時間間隔であると規定される。ビームリトレース期間中、プローブスポットは、以前に形成されたイメージング走査線710の終点から、形成すべき次のイメージング走査線の始点に誘導される。ビームリトレース期間中、イメージスキャン動作は行われない。
【0053】
[062]
図8は、本開示の実施形態に一致する、荷電粒子を用いた試料のイメージング中にeビーム状態を制御する方法800のフローチャートである。例えば、方法800は、1つ若しくは複数のプリアパーチャ多極レンズ及び/又は1つ若しくは複数のポストアパーチャ多極レンズで構成されるeビームツール(例えば、
図2に示すeビーム104)において、一次電子ビームのビーム状態を制御するために使用することができる。
図8を参照すると、方法800は、以下のステップを含む。
【0054】
[063] ステップ810では、eビームツールは、試料表面上の走査線をスキャンする。スキャン動作は、試料表面上で一次電子ビームを偏向させること、一次電子ビーム下で試料を移動させること又はそれらの組み合わせによって行われ得る。各走査線のスキャン中、一次ビーム電流及びウェーハ表面のプローブスポットは、コンデンサレンズ(例えば、eビームツール104におけるコンデンサレンズ210)及び対物複合レンズ(例えば、eビームツール104における対物複合レンズ204)によって制御される。
【0055】
[064] ステップ820では、走査線動作が行われた後、eビームツールは、試料表面上に投影される一次電子ビームのビーム電流を調節するために1つ又は複数のプリアパーチャ多極レンズのスイッチをオンにする。ステップ820は、ステップ610に類似する。例えば、プリアパーチャ多極レンズによって生成される多極場は、ビーム電流を増大させ得る。
【0056】
[065] ステップ830では、eビームツールは、試料表面上に一次電子ビームによって形成されるプローブスポットのスポットサイズ及び/又はスポット形状を調節するために1つ又は複数のポストアパーチャ多極レンズのスイッチをオンにする。ステップ830は、ステップ620に類似する。例えば、ポストアパーチャ多極レンズによって生成される多極場は、一次電子ビームのデフォーカス、すなわち試料表面上でプローブスポットを拡大することを行い得る。
【0057】
[066] ステップ840では、eビームツールは、一次電子ビームのリトレースを行う。プリスキャン(ステップ630)に類似して、調節されたビーム状態を有する一次電子ビームを使用して、試料の電圧コントラストを高めるために試料表面上の帯電レベルを維持又は増加させることができる。
【0058】
[067] ステップ850では、リトレース期間の終わりに、eビームツールは、ビーム状態をスキャン動作に使用される状態に戻すためにプリアパーチャ及び/又はポストアパーチャ多極レンズのスイッチをオフにする。次いで、方法800は、次の走査線をスキャンするためにステップ810に戻ることができる。方法800の複数の反復により、試料全体のイメージングが行われ得る。
【0059】
[068] 上記の通り、プリアパーチャ及びポストアパーチャ多極レンズの多極場のスイッチのオン/オフ又は調節を迅速に行うことができるため、スキャン動作とリトレース動作とのビーム状態の切替えを行う時間を最小限にすることができる。
【0060】
[069]
図9は、開示した実施形態に一致する、方法800の実行中の多極レンズのスイッチのオン及びオフの時間系列を示す概略図である。図示した例では、多極レンズは、電気多極レンズである。
図9を参照すると、「T
1」は、ビームスキャン期間を指し、「T
2」は、ビームリトレース期間を指す。各ビームスキャン期間T
1中、電気多極レンズは、スイッチがオフにされる。各ビームリトレース期間T
2中、電気多極レンズは、スイッチがオンにされる(すなわち電気多極レンズの各電極に正電圧+V及び負電圧-Vを印加する)。
図9に示すように、電気多極レンズは、イメージスキャンとビームリトレースとの間で若干の遅延を有してスイッチがオン/オフにされ得る。
【0061】
[070] 実施形態は、以下の条項を用いてさらに説明することができる。
1.アパーチャの上に配置された1つ又は複数の第一多極レンズであって、アパーチャを通過する荷電粒子ビームのビーム電流を調節するように構成される1つ又は複数の第一多極レンズと、
アパーチャの下に配置された1つ又は複数の第二多極レンズであって、ビームのスポットサイズ及びスポット形状の少なくとも一方を調節するように構成される1つ又は複数の第二多極レンズと
を含む装置。
2.1つ若しくは複数の第一多極レンズ又は1つ若しくは複数の第二多極レンズの少なくとも一方によって生成される多極場の強さを制御するように構成されたコントローラをさらに含む、条項1に記載の装置。
3.コントローラは、
試料のプリスキャン中、第一ビーム電流がアパーチャを通過することを可能にするように1つ又は複数の第一多極レンズを動作させることと、
試料のイメージスキャン中にビームが走査線をスキャンする際、第二ビーム電流がアパーチャを通過することを可能にするように1つ又は複数の第一多極レンズを動作させることであって、第一ビーム電流は、第二ビーム電流と異なる、動作させることと
を行うようにさらに構成される、条項2に記載の装置。
4.コントローラは、
試料のイメージスキャン中にビームが走査線をスキャンする際、第一ビーム電流がアパーチャを通過することを可能にするように1つ又は複数の第一多極レンズを動作させることと、
試料のイメージスキャン中にビームが2つの走査線間をリトレースする際、第二ビーム電流がアパーチャを通過することを可能にするように1つ又は複数の第一多極レンズを動作させることであって、第二ビーム電流は、第一ビーム電流と異なる、動作させることと
を行うようにさらに構成される、条項2に記載の装置。
5.コントローラは、
試料のプリスキャン中、1つ又は複数の第一多極レンズのスイッチをオンにすることと、
試料のイメージスキャン中にビームが走査線をスキャンする際、1つ又は複数の第一多極レンズのスイッチをオフにすることと
を行うようにさらに構成される、条項2~4の何れか一項に記載の装置。
6.コントローラは、
試料のイメージスキャン中にビームが走査線をスキャンする際、1つ又は複数の第一多極レンズのスイッチをオフにすることと、
試料のイメージスキャン中にビームが2つの走査線間をリトレースする際、1つ又は複数の第一多極レンズのスイッチをオンにすることと
を行うようにさらに構成される、条項2~5の何れか一項に記載の装置。
7.コントローラは、
試料のプリスキャン中、試料上に第一ビームスポットを形成するように1つ又は複数の第二多極レンズを動作させることと、
試料のイメージスキャン中にビームが走査線をスキャンする際、試料上に第二ビームスポットを形成するように1つ又は複数の第二多極レンズを動作させることであって、試料上の第一ビームスポット及び第二ビームスポットは、異なるサイズを有する、動作させることと
を行うようにさらに構成される、条項2~6の何れか一項に記載の装置。
8.コントローラは、
試料のイメージスキャン中にビームが走査線をスキャンする際、試料上に第一ビームスポットを形成するように1つ又は複数の第二多極レンズを動作させることと、
試料のイメージスキャン中にビームが2つの走査線間をリトレースする際、試料上に第二ビームスポットを形成するように1つ又は複数の第二多極レンズを動作させることであって、試料上の第一ビームスポット及び第二ビームスポットは、異なるサイズを有する、動作させることと
を行うようにさらに構成される、条項2~6の何れか一項に記載の装置。
9.コントローラは、
試料のプリスキャン中、1つ又は複数の第二多極レンズのスイッチをオンにすることと、
ビームが試料をスキャンする際、1つ又は複数の第二多極レンズのスイッチをオフにすることと
を行うようにさらに構成される、条項2~8の何れか一項に記載の装置。
10.コントローラは、
試料のイメージスキャン中にビームが走査線をスキャンする際、1つ又は複数の第二多極レンズのスイッチをオフにすることと、
試料のイメージスキャン中にビームが2つの走査線間をリトレースする際、1つ又は複数の第二多極レンズのスイッチをオンにすることと
を行うようにさらに構成される、条項2~9の何れか一項に記載の装置。
11.1つ又は複数の第一多極レンズ及び1つ又は複数の第二多極レンズの少なくとも一方は、静電多極レンズであり、及び
コントローラは、百ボルトオーダーの電圧を静電多極レンズに印加することによって静電多極レンズのスイッチをオンにするようにさらに構成される、条項2~10の何れか一項に記載の装置。
12.1つ又は複数の第一多極レンズ及び1つ又は複数の第二多極レンズの少なくとも一方は、複数の電極によって形成される静電多極レンズである、条項1~10の何れか一項に記載の装置。
13.1つ又は複数の第一多極レンズ及び1つ又は複数の第二多極レンズの少なくとも一方は、複数のソレノイドコイルによって形成される電磁多極レンズである、条項1~10の何れか一項に記載の装置。
14.荷電粒子ビームを生成するように構成された粒子源をさらに含む、条項1~13の何れか一項に記載の装置。
15.1つ又は複数の第一多極レンズの上に配置されたコンデンサレンズであって、ビームを収束させるように構成されるコンデンサレンズをさらに含む、条項1~14の何れか一項に記載の装置。
16.1つ又は複数の第二多極レンズの下に配置される偏向器又は偏向器のセットであって、試料の表面上でビームを偏向させるように構成される偏向器又は偏向器のセットをさらに含む、条項1~15の何れか一項に記載の装置。
17.偏向器は、所定のパターンに従って試料の表面上でビームを偏向させるようにさらに構成される、条項16に記載の装置。
18.1つ又は複数の第二多極レンズの下に配置された複合対物レンズであって、軸対称磁場及び軸対称静電場を生成するように構成され、軸対称磁場及び軸対称静電場は、ビームの焦点を合わせる、対物複合レンズをさらに含む、条項1~17の何れか一項に記載の装置。
19.試料を支持し、且つ移動させるように構成された可動ステージをさらに含む、条項1~18の何れか一項に記載の装置。
20.1つ又は複数の第一多極レンズ及び1つ又は複数の第二多極レンズは、少なくとも1つの四極レンズ又は八極レンズを含む、条項1~19の何れか一項に記載の装置。
21.アパーチャの上に配置された1つ又は複数の第一非回転軸対称レンズであって、アパーチャを通過する荷電粒子ビームのビーム電流を調節するように構成される1つ又は複数の第一非回転軸対称レンズと、
アパーチャの下に配置された1つ又は複数の第二非回転軸対称レンズであって、ビームのスポットサイズ又はスポット形状の少なくとも一方を調節するように構成される1つ又は複数の第二非回転軸対称レンズと
を含む装置。
22.1つ又は複数の第一非回転軸対称レンズ及び1つ又は複数の第二非回転軸対称レンズの少なくとも一方は、荷電粒子ビームの経路を中心として対称的に分布した複数の電極によって形成された静電レンズである、条項21に記載の装置。
23.百ボルトオーダーの電圧を静電レンズに印加することによって静電レンズのスイッチをオンにするように構成されたコントローラをさらに含む、条項22に記載の装置。
24.1つ又は複数の第一非回転軸対称レンズ及び1つ又は複数の第二非回転軸対称レンズの少なくとも一方は、荷電粒子ビームの経路を中心として対称的に分布した複数のソレノイドコイルによって形成された電磁レンズである、条項21に記載の装置。
25.アパーチャの上に配置された1つ又は複数の第一多極レンズにより、アパーチャを通過する荷電粒子ビームのビーム電流を調節することと、
アパーチャの下に配置された1つ又は複数の第二多極レンズにより、ビームのスポットサイズ又はスポット形状の少なくとも一方を調節することと
を含む方法。
26.アパーチャを通過するビーム電流を調節することは、1つ又は複数の第一多極レンズの少なくとも1つによって生成される多極場の強さを調節することを含む、条項25に記載の方法。
27.アパーチャを通過するビーム電流を調節することは、
試料のプリスキャン中、1つ又は複数の第一多極レンズにより、第一ビーム電流がアパーチャを通過することを可能にすることと、
試料のイメージスキャン中にビームが走査線をスキャンする際、1つ又は複数の第一多極レンズにより、第二ビーム電流がアパーチャを通過することを可能にすることであって、第一ビーム電流は、第二ビーム電流と異なる、可能にすることと
を含む、条項25及び26の何れか一項に記載の方法。
28.アパーチャを通過するビーム電流を調節することは、
試料のイメージスキャン中にビームが走査線をスキャンする際、1つ又は複数の第一多極レンズにより、第一ビーム電流がアパーチャを通過することを可能にすることと、
試料のイメージスキャン中にビームが2つの走査線間をリトレースする際、1つ又は複数の第一多極レンズにより、第二ビーム電流がアパーチャを通過することを可能にすることであって、第二ビーム電流は、第一ビーム電流と異なる、可能にすることと
を含む、条項25及び26の何れか一項に記載の方法。
29.アパーチャを通過するビーム電流を調節することは、
試料のプリスキャン中、1つ又は複数の第一多極レンズのスイッチをオンにすることと、
ビームが試料をスキャンする際、1つ又は複数の第一多極レンズのスイッチをオフにすることと
を含む、条項25~28の何れか一項に記載の方法。
30.アパーチャを通過するビーム電流を調節することは、
試料のイメージスキャン中にビームが走査線をスキャンする際、1つ又は複数の第一多極レンズのスイッチをオフにすることと、
試料のイメージスキャン中にビームが2つの走査線間をリトレースする際、1つ又は複数の第一多極レンズのスイッチをオンにすることと
を含む、条項25~29の何れか一項に記載の方法。
31.ビームのスポットサイズ又はスポット形状の少なくとも一方を調節することは、1つ又は複数の第二多極レンズの少なくとも1つによって生成される多極場の強さを調節することを含む、条項25~30の何れか一項に記載の方法。
32.ビームのスポットサイズ又はスポット形状の少なくとも一方を調節することは、
試料のプリスキャン中、1つ又は複数の第二多極レンズにより、試料上に第一ビームスポットを形成することと、
試料のイメージスキャン中にビームが走査線をスキャンする際、1つ又は複数の第二多極レンズにより、試料上に第二ビームスポットを形成することであって、試料上の第一ビームスポット及び第二ビームスポットは、異なるサイズを有する、形成することと
を含む、条項25~31の何れか一項に記載の方法。
33.ビームのスポットサイズ又はスポット形状の少なくとも一方を調節することは、
試料のイメージスキャン中にビームが走査線をスキャンする際、1つ又は複数の第二多極レンズにより、試料上に第一ビームスポットを形成することと、
試料のイメージスキャン中にビームが2つの走査線間をリトレースする際、1つ又は複数の第二多極レンズにより、試料上に第二ビームスポットを形成することであって、試料上の第一ビームスポット及び第二ビームスポットは、異なるサイズを有する、形成することと
を含む、条項25~31の何れか一項に記載の方法。
34.ビームのスポットサイズ又はスポット形状の少なくとも一方を調節することは、
試料のプリスキャン中、1つ又は複数の第二多極レンズのスイッチをオンにすることと、
ビームが試料をスキャンする際、1つ又は複数の第二多極レンズのスイッチをオフにすることと
を含む、条項25~33の何れか一項に記載の方法。
35.ビームのスポットサイズ又はスポット形状の少なくとも一方を調節することは、
試料のイメージスキャン中にビームが走査線をスキャンする際、1つ又は複数の第二多極レンズのスイッチをオフにすることと、
試料のイメージスキャン中にビームが2つの走査線間をリトレースする際、1つ又は複数の第二多極レンズのスイッチをオンにすることと
を含む、条項25~34の何れか一項に記載の方法。
36.1つ又は複数の第一多極レンズ及び1つ又は複数の第二多極レンズの少なくとも一方は、静電多極レンズであり、及び
方法は、百ボルトオーダーの電圧を静電多極レンズに印加することによって静電多極レンズのスイッチをオンにすることをさらに含む、条項25~35の何れか一項に記載の方法。
37.1つ又は複数の第一多極レンズ及び1つ又は複数の第二多極レンズは、少なくとも1つの四極レンズ又は八極レンズを含む、条項25~36の何れか一項に記載の方法。
38.1つ又は複数のプロセッサによって実行されると、
アパーチャを通過する荷電粒子ビームのビーム電流を調節するために、アパーチャの上に配置された1つ又は複数の第一多極レンズを制御することと、
ビームのスポットサイズ又はスポット形状の少なくとも一方を調節するために、アパーチャの下に配置された1つ又は複数の第二多極レンズを制御することと
を含む方法をプロセッサに行わせる命令を保存する非一時的コンピュータ可読媒体。
39.1つ又は複数の第一多極レンズを制御することは、1つ又は複数の第一多極レンズの少なくとも1つによって生成される多極場の強さを調節することを含む、条項38に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
40.1つ又は複数の第一多極レンズを制御することは、
試料のプリスキャン中、第一ビーム電流がアパーチャを通過することを可能にするように1つ又は複数の第一多極レンズを制御することと、
試料のイメージスキャン中にビームが走査線をスキャンする際、第二ビーム電流がアパーチャを通過することを可能にするように1つ又は複数の第一多極レンズを制御することであって、第一ビーム電流は、第二ビーム電流よりも高い、制御することと
を含む、条項38及び39の何れか一項に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
41.1つ又は複数の第一多極レンズを制御することは、
試料のイメージスキャン中にビームが走査線をスキャンする際、第一ビーム電流がアパーチャを通過することを可能にするように1つ又は複数の第一多極レンズを制御することと、
試料のイメージスキャン中にビームが2つの走査線間をリトレースする際、第二ビーム電流がアパーチャを通過することを可能にするように1つ又は複数の第一多極レンズを制御することであって、第二ビーム電流は、第一ビーム電流と異なる、制御することと
を含む、条項38及び39の何れか一項に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
42.1つ又は複数の第一多極レンズを制御することは、
試料のプリスキャン中、1つ又は複数の第一多極レンズのスイッチをオンにすることと、
ビームが試料をスキャンする際、1つ又は複数の第一多極レンズのスイッチをオフにすることと
を含む、条項38~41の何れか一項に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
43.1つ又は複数の第一多極レンズを制御することは、
試料のイメージスキャン中にビームが走査線をスキャンする際、1つ又は複数の第一多極レンズのスイッチをオフにすることと、
試料のイメージスキャン中にビームが2つの走査線間をリトレースする際、1つ又は複数の第一多極レンズのスイッチをオンにすることと
を含む、条項38~42の何れか一項に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
44.1つ又は複数の第二多極レンズを制御することは、1つ又は複数の第二多極レンズの少なくとも1つによって生成される多極場の強さを調節することを含む、条項38~43の何れか一項に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
45.1つ又は複数の第二多極レンズを制御することは、
試料のプリスキャン中、試料上に第一ビームスポットを形成するために1つ又は複数の第二多極レンズを制御することと、
試料のイメージスキャン中にビームが走査線をスキャンする際、試料上に第二ビームスポットを形成するために1つ又は複数の第二多極レンズを制御することであって、試料上の第一ビームスポット及び第二ビームスポットは、異なるサイズを有する、制御することと
を含む、条項38~44の何れか一項に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
46.1つ又は複数の第二多極レンズを制御することは、
試料のイメージスキャン中にビームが走査線をスキャンする際、試料上に第一ビームスポットを形成するために1つ又は複数の第二多極レンズを制御することと、
試料のイメージスキャン中にビームが2つの走査線間をリトレースする際、試料上に第二ビームスポットを形成するために1つ又は複数の第二多極レンズを制御することであって、試料上の第一ビームスポット及び第二ビームスポットは、異なるサイズを有する、制御することと
を含む、条項38~44の何れか一項に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
47.1つ又は複数の第二多極レンズを制御することは、
試料のプリスキャン中、1つ又は複数の第二多極レンズのスイッチをオンにすることと、
ビームが試料をスキャンする際、1つ又は複数の第二多極レンズのスイッチをオフにすることと
を含む、条項38~46の何れか一項に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
48.1つ又は複数の第二多極レンズを制御することは、
試料のイメージスキャン中にビームが走査線をスキャンする際、1つ又は複数の第二多極レンズのスイッチをオフにすることと、
試料のイメージスキャン中にビームが2つの走査線間をリトレースする際、1つ又は複数の第二多極レンズのスイッチをオンにすることと
を含む、条項38~47の何れか一項に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
49.1つ又は複数の第一多極レンズ及び1つ又は複数の第二多極レンズの少なくとも一方は、静電多極レンズであり、及び
方法は、百ボルトオーダーの電圧を静電多極レンズに印加することによって静電多極レンズのスイッチをオンにすることをさらに含む、条項38~48の何れか一項に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【0062】
[071] 本発明は、上記に記載され、且つ添付の図面に示された正確な構造に限定されず、様々な修正形態及び変更形態は、その範囲から逸脱することなくなされ得ることが理解されるであろう。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるものであることが意図される。