(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-28
(45)【発行日】2022-04-05
(54)【発明の名称】光コネクタプラグおよび光コネクタプラグ接続構造
(51)【国際特許分類】
G02B 6/38 20060101AFI20220329BHJP
G02B 6/02 20060101ALI20220329BHJP
G02B 6/024 20060101ALI20220329BHJP
【FI】
G02B6/38
G02B6/02 461
G02B6/024
(21)【出願番号】P 2019509668
(86)(22)【出願日】2018-03-22
(86)【国際出願番号】 JP2018011440
(87)【国際公開番号】W WO2018180898
(87)【国際公開日】2018-10-04
【審査請求日】2020-12-16
(31)【優先権主張番号】P 2017069962
(32)【優先日】2017-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成28年度 国立研究開発法人情報通信研究機構「高度通信・放送研究開発委託研究/空間多重フォトニックノード基盤技術の研究開発 空間多重光通信技術を適用したスケーラブルフォトニックノードの研究」、産業技術強化法第17条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】598163064
【氏名又は名称】学校法人千葉工業大学
(74)【代理人】
【識別番号】100096091
【氏名又は名称】井上 誠一
(72)【発明者】
【氏名】川崎 浩平
(72)【発明者】
【氏名】岩屋 光洋
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 恒聡
(72)【発明者】
【氏名】杉崎 隆一
(72)【発明者】
【氏名】長瀬 亮
【審査官】山本 貴一
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-506869(JP,A)
【文献】特開2015-172639(JP,A)
【文献】特開昭63-026606(JP,A)
【文献】特開平10-062652(JP,A)
【文献】米国特許第6085003(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ファイバが保持されるフェルールと、
前記フェルールの外周に配置されるフランジ部と、
前記フランジ部が収容されるプラグフレームと、
前記フェルールを前記光ファイバの軸方向であって前記プラグフレームから突出する方向に押圧する弾性部材と、
を有する光コネクタプラグと、
一対の前記光コネクタプラグが両側から挿入され、それぞれの前記光ファイバが光接続されるアダプタと、
を具備し、
前記光コネクタプラグは、前記フランジ部と前記プラグフレームとの間に形成された支持機構によって、前記光コネクタプラグの軸方向を中心軸とした前記プラグフレームに対する前記フェルールの回転が規制され、
それぞれの前記光コネクタプラグは、前記支持機構によって、前記軸方向に垂直な一方の方向に、前記プラグフレームに対して前記フェルールのスライド動作および傾き動作が可能であり、
前記軸方向および前記一方の方向に対して垂直な他方の方向に、前記プラグフレームに対して前記フェルールのスライド動作が規制されるとともに、傾き動作が可能であることを特徴とする光コネクタプラグ接続構造。
【請求項2】
前記アダプタの一端から挿入される第1の前記光コネクタプラグの前記一方の方向と、前記アダプタの他端から挿入される第2の前記光コネクタプラグの前記他方の方向が同一方向であり、第1の前記光コネクタプラグの前記他方の方向と、第2の前記光コネクタプラグの前記一方の方向が同一方向であることを特徴とする請求項1記載の光コネクタプラグ接続構造。
【請求項3】
前記支持機構は、前記プラグフレームの対向するそれぞれの内面に、前記一方の方向に対して所定の範囲に設けられた先細り形状の突起であり、
前記突起の先端が前記フランジ部の外面と接触することで、前記軸方向を中心軸とした前記プラグフレームに対する前記フェルールの回転が規制され、
前記一方の方向には、前記フェルールが、前記突起の形成方向に沿ってスライド動作および傾き動作が可能であり、
前記他方の方向には、前記フェルールが、前記突起の先端を起点に傾き動作が可能であることを特徴とする請求項1記載の光コネクタプラグ接続構造。
【請求項4】
前記支持機構は、前記フランジ部の対向するそれぞれの外面に、前記一方の方向に対して所定の範囲に設けられた先細り形状の突起であり、
前記突起の先端が前記プラグフレームの内面と接触することで、前記軸方向を中心軸とした前記プラグフレームに対する前記フェルールの回転が規制され、
前記一方の方向には、前記フェルールが、前記突起の形成方向に沿ってスライド動作および傾き動作が可能であり、
前記他方の方向には、前記フェルールが、前記突起の先端を起点に傾き動作が可能であることを特徴とする請求項1記載の光コネクタプラグ接続構造。
【請求項5】
前記突起は、前記一方の方向に対して所定の長さに直線状に設けられることを特徴とする請求項3記載の光コネクタプラグ接続構造。
【請求項6】
複数の前記突起が、前記一方の方向に対して所定の範囲に同一直線上に設けられることを特徴とする請求項3記載の光コネクタプラグ接続構造。
【請求項7】
前記支持機構は、前記プラグフレームまたは前記フランジ部に設けられ、前記一方の方向に向けて設けられた凹部と、前記凹部に配置された棒状部材を具備し、
一対の前記棒状部材によって、前記フランジ部が挟まれ、
前記棒状部材が前記プラグフレームの内面および前記フランジ部と接触することで、前記軸方向を中心軸とした前記プラグフレームに対する前記フェルールの回転が規制され、
前記一方の方向には、前記フェルールが、前記棒状部材に沿ってスライド動作および傾き動作が可能であり、
前記他方の方向には、前記フェルールが、前記棒状部材の接触部を起点に傾き動作が可能であることを特徴とする請求項1記載の光コネクタプラグ接続構造。
【請求項8】
前記支持機構は、前記プラグフレームまたは前記フランジ部に設けられ、前記軸方向に向けて設けられた溝と、前記溝に嵌るように形成された突起とを具備し、
一対の前記突起が、互いに対向する部位に形成された前記溝にそれぞれ嵌まることで、前記軸方向を中心軸とした前記プラグフレームに対する前記フェルールの回転が規制され、
前記一方の方向には、前記フェルールが、前記突起の先端と前記溝の底面との隙間によってスライド動作および傾き動作が可能であり、
前記他方の方向には、前記フェルールが、前記突起を起点に傾き動作が可能であることを特徴とする請求項1記載の光コネクタプラグ接続構造。
【請求項9】
前記突起は、円柱形状であることを特徴とする請求項8記載の光コネクタプラグ接続構造。
【請求項10】
前記支持機構は、前記プラグフレームまたは前記フランジ部に設けられ、前記軸方向に向けて設けられた溝と、前記溝に嵌るように形成され、前記溝の内側面に面接触する略矩形の突起とを具備し、
一対の前記突起が、互いに対向する部位に形成された前記溝にそれぞれ嵌まることで、前記軸方向を中心軸とした前記プラグフレームに対する前記フェルールの回転が規制され、
前記一方の方向には、前記フェルールが、前記突起の先端と前記溝の底面との隙間によってスライド動作および傾き動作が可能であり、
前記他方の方向には、前記突起の弾性変形によって、前記フェルールが、前記突起を起点に傾き動作が可能であることを特徴とする請求項1記載の光コネクタプラグ接続構造。
【請求項11】
前記支持機構は、前記プラグフレームまたは前記フランジ部に設けられ、前記軸方向に向けて設けられた溝と、前記溝に嵌るように形成され、前記溝に対向して形成された突起とを具備し、
一対の前記突起が、互いに対向する部位に形成された前記溝にそれぞれ嵌まることで、前記軸方向を中心軸とした前記プラグフレームに対する前記フェルールの回転が規制され、
前記一方の方向には、前記フェルールが、前記突起の先端と前記溝の底面との隙間によってスライド動作および傾き動作が可能であり、
前記他方の方向には、前記溝と前記突起との間に形成された所定幅のクリアランスにより、前記フェルールが、前記突起を起点に傾き動作が可能であることを特徴とする請求項1記載の光コネクタプラグ接続構造。
【請求項12】
前記支持機構は、前記軸方向を中心軸とした前記プラグフレームに対する前記フェルールの回転を、1度以下に規制可能であることを特徴とする請求項1記載の光コネクタプラグ接続構造。
【請求項13】
前記光ファイバは、マルチコアファイバであることを特徴とする請求項1記載の光コネクタプラグ接続構造。
【請求項14】
前記光ファイバは、偏波保持ファイバであることを特徴とする請求項1記載の光コネクタプラグ接続構造。
【請求項15】
光ファイバが保持されるフェルールと、
前記フェルールの径方向に突出するフランジ部と、
前記フランジ部が収容されるプラグフレームと、
前記フェルールを前記プラグフレームから突出させる方向に押圧する弾性部材と、
を具備し、
前記フランジ部と前記プラグフレームとの間に形成された支持機構によって、前記フェルールの軸方向を中心軸とした前記プラグフレームに対する前記フェルールの回転が規制され、
前記支持機構によって、前記軸方向に垂直な一方の方向に、前記フェルールは前記プラグフレームに対してスライド動作および傾き動作が可能であり、
前記軸方向および前記一方の方向に対して垂直な他方の方向に、前記プラグフレームに対して前記フェルールのスライド動作が規制されるとともに、傾き動作が可能であることを特徴とする光コネクタプラグ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、長手方向を軸とする回転方向に対して方向性を有する光ファイバの接続において、回転抑制機能とフローティング機構を兼ね備える光コネクタプラグおよび光コネクタプラグ接続構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、複数のコアを有するマルチコアファイバ用コネクタには、高精度な回転抑制機能が必要である。既存の回転防止コネクタとしては、偏波保持ファイバ用のコネクタがあるが、回転の自由度が2~3度程度あり、マルチコアファイバの調心に必要な回転抑制機構としては不十分であった。
【0003】
これに対し、コネクタフランジ部をバネ機構で把持する事によって回転に対する反力をもたせ、回転ずれを防止する機構のコネクタも開発されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
通常、コネクタ等に対して外力が付与された際に、光ファイバの光軸ずれなどを抑制するためには、コネクタ内部において、嵌合ずれなどを吸収するための可動構造(フローティング機構)が必要である。しかし、特許文献1の方法では、十分なバネの強度とフローティング機構を両立する事は難しく、また、バネとしてプラスチック部材を用いる場合、クリープ現象により、長期にわたってバネ力を維持する事は難しい。
【0006】
これを解決するために、コネクタフランジ部分にオルダムカップリング機構を用いたマルチコアファイバ用コネクタも開発されているが、高精度な部品加工が必要であり、特にコスト面での問題があった。
【0007】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、簡易な方法で回転抑制機能とフローティング機能とを両立することが可能な光コネクタプラグおよび光コネクタプラグ接続構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前述した目的を達成するため、第1の発明は、光ファイバが保持されるフェルールと、前記フェルールの外周に配置されるフランジ部と、前記フランジ部が収容されるプラグフレームと、前記フェルールを前記光ファイバの軸方向であって前記プラグフレームから突出する方向に押圧する弾性部材と、を有する光コネクタプラグと、一対の前記光コネクタプラグが両側から挿入され、それぞれの前記光ファイバが光接続されるアダプタと、を具備し、前記光コネクタプラグは、前記フランジ部と前記プラグフレームとの間に形成された支持機構によって、前記光コネクタプラグの軸方向を中心軸とした前記プラグフレームに対する前記フェルールの回転が規制され、それぞれの前記光コネクタプラグは、前記支持機構によって、前記軸方向に垂直な一方の方向に、前記プラグフレームに対して前記フェルールのスライド動作が可能であり、前記軸方向および前記一方の方向に対して垂直な他方の方向に、前記プラグフレームに対して前記フェルールのスライド動作が規制されるとともに、傾き動作が可能であることを特徴とする光コネクタプラグ接続構造である。
【0009】
前記アダプタの一端から挿入される第1の前記光コネクタプラグの前記一方の方向と、前記アダプタの他端から挿入される第2の前記光コネクタプラグの前記他方の方向が同一方向であり、第1の前記光コネクタプラグの前記他方の方向と、第2の前記光コネクタプラグの前記一方の方向が同一方向であってもよい。
【0010】
前記支持機構は、前記プラグフレームの対向するそれぞれの内面に、前記一方の方向に対して所定の範囲に設けられた先細り形状の突起であり、前記突起の先端が前記フランジ部の外面と接触することで、前記軸方向を中心軸とした前記プラグフレームに対する前記フェルールの回転が規制され、前記一方の方向には、前記フェルールが、前記突起の形成方向に沿ってスライド動作および傾き動作が可能であり、前記他方の方向には、前記フェルールが、前記突起の先端を起点に傾き動作が可能であってもよい。
【0011】
前記支持機構は、前記フランジ部の対向するそれぞれの外面に、前記一方の方向に対して所定の範囲に設けられた先細り形状の突起であり、前記突起の先端が前記プラグフレームの内面と接触することで、前記軸方向を中心軸とした前記プラグフレームに対する前記フェルールの回転が規制され、前記一方の方向には、前記フェルールが、前記突起の形成方向に沿ってスライド動作および傾き動作が可能であり、前記他方の方向には、前記フェルールが、前記突起の先端を起点に傾き動作が可能であってもよい。
【0012】
前記突起は、前記一方の方向に対して所定の長さに直線状に設けられてもよい。
【0013】
複数の前記突起が、前記一方の方向に対して所定の範囲に同一直線上に設けられてもよい。
【0014】
前記支持機構は、前記プラグフレームまたは前記フランジ部に設けられ、前記一方の方向に向けて設けられた凹部と、前記凹部に配置された棒状部材を具備し、一対の前記棒状部材によって、前記フランジ部が挟まれ、前記棒状部材が前記プラグフレームの内面および前記フランジ部と接触することで、前記軸方向を中心軸とした前記プラグフレームに対する前記フェルールの回転が規制され、前記一方の方向には、前記フェルールが、前記棒状部材に沿ってスライド動作および傾き動作が可能であり、前記他方の方向には、前記フェルールが、前記棒状部材の接触部を起点に傾き動作が可能であってもよい。
【0015】
前記支持機構は、前記プラグフレームまたは前記フランジ部に設けられ、前記軸方向に向けて設けられた溝と、前記溝に嵌るように形成された突起とを具備し、一対の前記突起が、互いに対向する部位に形成された前記溝にそれぞれ嵌まることで、前記軸方向を中心軸とした前記プラグフレームに対する前記フェルールの回転が規制され、前記一方の方向には、前記フェルールが、前記突起の先端と前記溝の底面との隙間によってスライド動作および傾き動作が可能であり、前記他方の方向には、前記フェルールが、前記突起を起点に傾き動作が可能であってもよい。
【0016】
この場合、前記突起は、円柱形状であってもよい。
【0017】
前記支持機構は、前記プラグフレームまたは前記フランジ部に設けられ、前記軸方向に向けて設けられた溝と、前記溝に嵌るように形成され、前記溝の内側面に面接触する略矩形の突起とを具備し、一対の前記突起が、互いに対向する部位に形成された前記溝にそれぞれ嵌まることで、前記軸方向を中心軸とした前記プラグフレームに対する前記フェルールの回転が規制され、前記一方の方向には、前記フェルールが、前記突起の先端と前記溝の底面との隙間によってスライド動作および傾き動作が可能であり、前記他方の方向には、前記突起の弾性変形によって、前記フェルールが、前記突起を起点に傾き動作が可能であってもよい。
【0018】
前記支持機構は、前記プラグフレームまたは前記フランジ部に設けられ、前記軸方向に向けて設けられた溝と、前記溝に嵌るように形成され、前記溝に対向して形成された突起とを具備し、一対の前記突起が、互いに対向する部位に形成された前記溝にそれぞれ嵌まることで、前記軸方向を中心軸とした前記プラグフレームに対する前記フェルールの回転が規制され、前記一方の方向には、前記フェルールが、前記突起の先端と前記溝の底面との隙間によってスライド動作および傾き動作が可能であり、前記他方の方向には、前記溝と前記突起との間に形成された所定幅のクリアランスにより、前記フェルールが、前記突起を起点に傾き動作が可能であってもよい。
【0019】
前記支持機構は、前記軸方向を中心軸とした前記プラグフレームに対する前記フェルールの回転を、1度以下に規制可能であることが望ましい。
【0020】
前記光ファイバは、マルチコアファイバであってもよい。
【0021】
前記光ファイバは、偏波保持ファイバであってもよい。
【0022】
第2の発明は、光ファイバが保持されるフェルールと、前記フェルールの径方向に突出するフランジ部と、前記フランジ部が収容されるプラグフレームと、前記フェルールを前記プラグフレームから突出させる方向に押圧する弾性部材と、を具備し、前記フランジ部と前記プラグフレームとの間に形成された支持機構によって、前記フェルールの軸方向を中心軸とした前記プラグフレームに対する前記フェルールの回転が規制され、前記支持機構によって、前記軸方向に垂直な一方の方向に、前記フェルールは前記プラグフレームに対してスライド動作および傾き動作が可能であり、前記軸方向および前記一方の方向に対して垂直な他方の方向に、前記プラグフレームに対して前記フェルールのスライド動作が規制されるとともに、傾き動作が可能であることを特徴とする光コネクタプラグである。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、簡易な方法で回転抑制機能とフローティング機能とを両立することが可能な光コネクタプラグおよび光コネクタプラグ接続構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1a】光コネクタプラグ1を示す概略側方断面図。
【
図3a】光コネクタプラグ接続構造10を示す概略図で、光コネクタプラグ1をアダプタに挿入した状態を示す図。
【
図3b】光コネクタプラグ接続構造10を示す概略図で、フェルール3同士を接触させた状態を示す図。
【
図5】光コネクタプラグ接続構造10におけるフローティング機構を示す概略図。
【
図8】光コネクタプラグ1dの他の実施形態を示す概略図。
【
図10a】光コネクタプラグ1fを示す正面断面拡大図。
【
図10b】光コネクタプラグ1fを示す断面拡大図。
【
図11】光コネクタプラグ接続構造10aを示す概略図。
【
図12】光コネクタプラグ接続構造10aにおけるフローティング機構を示す概略図。
【
図14】光コネクタプラグ接続構造10bを示す概略図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
(光コネクタプラグ1)
以下、本発明の実施の形態にかかる光コネクタプラグ1について説明する。
図1aは、光コネクタプラグ1の構造を側方から見た断面概略図であり、
図1bは、
図1aのA-A線断面図である。
【0026】
光コネクタプラグ1は、主に、フェルール3、フランジ部5、プラグフレーム7、弾性部材9、光ファイバ11等から構成される。なお、ここでいう光コネクタプラグ1は、例えばJIS C 5973にて定められているF04形光ファイバコネクタ(SCコネクタ)のようなものであり、以下の図において、プラグフレーム7は弾性部材9を予圧した状態で保持するためのストップリング機構を含むものとし、ラッチ機構やつまみなどの図示は省略する。また、以下の図は概略図であり、光コネクタプラグ1の各部の形状、大きさ、配置などは、図示した例には限られない。
【0027】
光ファイバ11は、フェルール3に保持される。フェルール3の外周には、一体または別体でフランジ部5が設けられる。なお、フランジ部5がフェルール3と同一部材により一体に設けられる場合には、フランジ部5は、フェルール3の一部が削られた平面部でも良い。フランジ部5は、フェルール3よりも径が大きい。すなわち、フランジ部5は、フェルール3の径方向に突出する。
【0028】
フェルール3には孔が設けられ、内部には光ファイバ11が挿入されて固定される。光ファイバ11は、例えば、
図2aに示すように、複数のコア17がクラッド19で覆われたマルチコアファイバである。
図2aに示す例では、全部で7つのコア17を有し、光ファイバ11の中心と、その周囲に正六角形の各頂点位置にコア17が配置される。すなわち、中心のコア17と周囲の6つのコア17とは全て一定の間隔となる。また、周囲の6つのコアにおいて、隣り合う互いのコア同士の間隔も同一となる。
【0029】
また、マルチコアファイバとしては、
図2aに示す例には限られず、例えば、
図2bに示すように、4つのコア17が略正方形の角部に対応する位置に配置されてもよい。すなわち、マルチコアファイバとしては、コア17の数や配置は特に限定されない。
【0030】
また、
図2cに示すように、光ファイバ11としては、中心のコア17の両側部に応力付与部21が設けられた偏波保持ファイバであってもよい。すなわち、本実施形態において、光ファイバ11は、長手方向に垂直な断面において、長手方向を軸とする回転方向に対して方向性を有するものである。
【0031】
フランジ部5は、プラグフレーム7の内部に収容される。また、プラグフレーム7には、フェルール3が貫通可能であり、フランジ部5よりもサイズの小さな孔が設けられ、フェルール3の先端部は、プラグフレーム7の孔から前方に突出する。また、フランジ部5の後方には、弾性部材9が設けられる。弾性部材9は、フェルール3がプラグフレーム7の孔から前方に突出する方向に、フランジ部5を押圧する。なお、フェルール3(フランジ部5)は、プラグフレーム7に対して、光コネクタプラグ1の軸方向(プラグフレーム7に対するフェルール3の突出方向)に摺動可能である。
【0032】
ここで、以下の説明において、光コネクタプラグ1の軸方向をZ方向とし、これと垂直な方向において、一方の方向をX方向とし、X方向に垂直な他方の方向をY方向とする。
図1aにおいては、左右方向がZ方向であり、上下方向がY方向であり、紙面に垂直な方向がX方向である。同様に、
図1bにおいては、左右方向がX方向であり、上下方向がY方向であり、紙面に垂直な方向がZ方向である。
【0033】
光コネクタプラグ1の軸方向に垂直な断面において、フランジ部5の外形およびプラグフレーム7の内部空間の形状は略矩形である。すなわち、フランジ部5の外面の各辺と、これと対向するプラグフレーム7の内面の各辺とは、互いに略平行となる。
【0034】
プラグフレーム7の対向する一対の内面には、それぞれ突起13が設けられる。突起13は、断面が略三角形状の先細り形状であり、一方の方向(X方向)に所定の範囲で直線状に設けられる。突起13の先端は、フランジ部5の対向するそれぞれの外面と略線接触する。なお、突起13の先端とフランジ部5との間には、光ファイバ各コアの調心に影響する、軸回りに必要な回転規制(
図1bのC方向)に対して影響が生じない範囲で、わずかに隙間が生じていてもよい。
【0035】
突起13は、プラグフレーム7に対する、フランジ部5の支持機構として機能する。すなわち、フランジ部5とプラグフレーム7との間に形成された突起13(支持機構)によって、フェルール3の軸方向(Z方向)を中心軸としたプラグフレーム7に対するフェルール3の回転(
図1bのC方向)が規制される。
【0036】
一方、
図1bに示すように、フランジ部5のZ方向に垂直な一方の方向(X方向)には、プラグフレーム7とフランジ部5の間にクリアランス15が設けられる。したがって、フェルール3は、プラグフレーム7に対して、突起13(支持機構)の形成方向に沿って、クリアランス15に相当する分だけ、Z方向に垂直な一方の方向(X方向)にスライド動作および傾き動作が可能である。
【0037】
また、Z方向およびX方向に対して垂直な他方の方向(Y方向)に対しては、フェルール3は、プラグフレーム7に対するスライド動作が規制されるが、突起13の先端を起点として傾き動作(
図1aのB方向)が可能である。なお、突起13を起点としたY方向への傾き動作としては、例えば、0.5~2度程度の角度で傾きが許容されればよく、さらに望ましくは、1~2度程度の傾きが許容されればよい。傾き角度が小さいと、後述する十分なフローティング機能を発揮することができず、また、フローティング機構としては、1~2度程度の傾きで対応可能であるためである。
【0038】
なお、突起13(支持機構)は、完全に剛体ではなく、多少の弾性変形が可能である。また、前述したように、突起13とフランジ部5との間には、わずかに隙間が形成される場合がある。この場合には、フェルール3の軸方向(Z方向)を中心軸としたプラグフレーム7に対するフェルール3の回転がわずかに許容されるおそれがある。しかし、この場合でも、フェルール3の軸方向を中心軸としたプラグフレーム7に対するフェルール3の回転は、1度以下に規制可能であることが望ましい。
【0039】
なお、プラグフレーム7の材質は特定されないが、例えば樹脂製であり、30%ガラスフィラー入りのPBTなどが適用可能である。また、フランジ部5の材質は特定されないが、例えば金属製である。なお、前述の様に、フランジ部はフェルールと同材料にて一体形成されてもよい。
【0040】
(光コネクタプラグ接続構造10)
次に、光コネクタプラグ1同士の接続構造について説明する。
図3a、
図3bは、光コネクタプラグ接続構造10を示す概略図で、
図3aは光コネクタプラグ1をアダプタ23に挿入した状態を示す図、
図3bはフェルール3同士を接触させた状態を示す図である。一対の光コネクタプラグ1は、アダプタ23の両側から挿入されて接続される。
【0041】
アダプタ23の内部には、スリーブ25が配置される。それぞれの光コネクタプラグ1のフェルール3の先端は、スリーブ25に挿入される。
図3bに示すように、光コネクタプラグ1をアダプタ23に押し込むと、スリーブ25の内部においてフェルール3の先端同士が接触する。この際、フェルール3同士は、プラグフレーム7に対してそれぞれ軸方向(Z方向)に移動して、互いの弾性部材9によって押圧されて接触状態が維持される。すなわち、それぞれの光コネクタプラグ1の光ファイバ11同士が光接続される。
【0042】
なお、アダプタ23の内部形状は、光コネクタプラグ1の外部形状に対応する。このため、アダプタ23の内部において、光コネクタプラグ1の軸方向(Z方向)を回転軸とする光コネクタプラグ1の回転は規制される。
【0043】
図4aは、
図3bのE-E線断面図、
図4bは、
図3bのF-F線断面図である。すなわち、
図4aは、アダプタ23の一端から挿入される光コネクタプラグ1(
図3bの左側の光コネクタプラグ1を第1の光コネクタプラグ1とする)の断面図であり、
図4bは、アダプタ23の他端から挿入される光コネクタプラグ1(
図3bの右側の光コネクタプラグ1を第2の光コネクタプラグ1とする)の断面図である。
【0044】
第1の光コネクタプラグ1は、X方向に対向するプラグフレーム7の内面に突起13(図示せず)が形成される。すなわち、第1の光コネクタプラグ1においては、プラグフレーム7のX方向に対して、突起13によってフランジ部5が支持される。したがって、第1の光コネクタプラグ1は、X方向に対しては、スライド動作が規制されて傾き動作が可能であり、Y方向に対してはスライド動作および傾き動作が可能である。
【0045】
一方、第2の光コネクタプラグ1は、Y方向に対向するプラグフレーム7の内面に突起13が形成される。すなわち、第2の光コネクタプラグ1においては、プラグフレーム7のY方向に対して、突起13によってフランジ部5が支持される。したがって、第2の光コネクタプラグ1は、Y方向に対しては、スライド動作が規制されて傾き動作が可能であり、X方向に対してはスライド動作および傾き動作が可能である。
【0046】
このように、光コネクタプラグ接続構造10は、第1の光コネクタプラグ1におけるスライド動作規制方向(一方の方向)と、第2の光コネクタプラグ1のスライド動作許容方向(他方の方向)が同一方向であり、第1の光コネクタプラグのスライド動作許容方向(他方の方向)と、第2の光コネクタプラグ1のスライド動作規制方向(一方の方向)が同一方向である。
【0047】
なお、光ファイバ11は、長手方向に垂直な断面において、長手方向を軸とする回転方向に対して方向性を有するものであり、第1の光コネクタプラグ1におけるフランジ部5の支持方向に対する光ファイバ11の周方向の向きと、第2の光コネクタプラグ1におけるフランジ部5の支持方向に対する光ファイバ11の周方向の向きは、互いに90度ずれている。このため、
図3bに示すように、第1の光コネクタプラグ1と第2の光コネクタプラグ1とを90度ずらして互いに対向させて、それぞれの光ファイバ11同士を接続した際に、それぞれの光ファイバ11のコア位置は互いに一致する。
なお、アダプタ23は、第1の光コネクタプラグ1または第2の光コネクタプラグ1のいずれか一方と一体としてもよい。
【0048】
図5は、光コネクタプラグ接続構造10において、例えば第2の光コネクタプラグ1の光ファイバ11に外力(図中矢印G方向)が加わった状態を示す概念図である。この状態は光コネクタプラグに外力が加わってプラグフレームが変形した状態と等価である。前述したように、第2の光コネクタプラグ1において、図中のY方向に対しては、プラグフレーム7に対するフェルール3の傾き動作(図中上下方向であって矢印B方向)が許容される。図示した例では、第2の光コネクタプラグ1において、フェルール3がプラグフレーム7に対して上方に傾いた状態となる。
【0049】
一方、第1の光コネクタプラグ1は、図中のY方向に対しては、プラグフレーム7に対するフェルール3のスライド動作および傾き動作が許容される。このため、第2の光コネクタプラグ1におけるフェルール3の傾き動作に応じて、第1の光コネクタプラグ1のフェルール3の先端部の位置及び傾きが追従し、フェルール3同士の光接続が維持される。なお、第1の光コネクタプラグ1にY方向の外力が加わる場合にも、同様に、それぞれの光コネクタプラグ1におけるフェルール3の傾き等によって、フェルール3同士の光接続が維持される。
【0050】
これに対し、図中X方向に外力が加わった場合には、第1の光コネクタプラグにおいて、プラグフレーム7に対するフェルール3の傾き動作が許容され、第2の光コネクタプラグ1においては、プラグフレーム7に対するフェルール3のスライド動作および傾き動作が許容される。したがって、この場合にも、それぞれの光コネクタプラグ1におけるフェルール3の傾き等によって、フェルール3同士の光接続が維持される。
【0051】
このように、光コネクタプラグ接続構造10は、X方向およびY方向のいずれの外力に対しても、いずれか一方の光コネクタプラグ1における、プラグフレーム7に対するフェルール3の傾き動作によって、フェルール3の先端同士の接触を維持することができる。また、この際、いずれの光コネクタプラグ1においても、光コネクタプラグ1の軸方向を回転軸とするフェルール3の回転が規制されるため、確実に光接続を維持することができる。
【0052】
このように、突起13によって、フェルール3は、プラグフレーム7に対する回転動作は規制されるとともに、軸方向(Z方向)に垂直な方向(X方向またはY方向)に対しては傾き動作が可能である。すなわち、接続されるそれぞれの光コネクタプラグ1における突起13を、光コネクタプラグ1の回転抑制機構とフローティング機構として機能させることができる。このため、光接続された状態において、光ファイバ11に外力が付与された場合でも、フェルール3同士の接続部に隙間や軸ずれが生じることを抑制することができる。
【0053】
以上、本実施形態によれば、プラグフレーム7の内面に、長手方向に所定の長さで直線上に突起13を設け、フランジ部5を、対向する2本の突起13によって支持することにより、プラグフレーム7に対するフェルール3の回転を規制することができる。
【0054】
このように、突起13を支持機構とすることで、複雑な機構や加工などが不要であり、簡易な構造で光接続される光ファイバ11の高精度な(例えば1度以下の)回転抑制機構を実現することができる。このため、光ファイバ11が、例えばマルチコアファイバや偏波保持ファイバのように、光ファイバ11の長手方向に垂直な断面において、長手方向を軸とする回転方向に対して方向性を有する場合においても、光軸ずれを抑制することができる。
【0055】
また、突起13によって支持される方向には、フェルール3はプラグフレーム7に対して傾き動作が可能であるため、突起13を起点として、フェルール3の先端の位置及び向きを変えることが可能である。また、突起13によって支持される方向と垂直な方向には、フェルール3はプラグフレーム7に対してスライド動作および傾き動作が可能であるため、前述と同様に、フェルール3の先端の位置及び向きを変えることが可能である。
【0056】
特に、一対の光コネクタプラグ1を、互いに90度異なる向きで対向させて接続することで、両方の光コネクタプラグ1の共働作用によって、X方向およびY方向への傾き動作を許容するフローティング機能を発揮させることができる。また、いずれの方向に対しても、一方の傾き動作と他方のスライド動作および傾き動作によって、フェルール3同士の接触を維持することができる。すなわち、光コネクタプラグ接続構造10によれば、高精度な回転抑制機能とフローティング機構とを両立させることができる。
【0057】
また、突起13が先細り形状の突起であるため、プラグフレーム7とフランジ部5とを略線接触させることができる。このため、プラグフレーム7に対してフェルール3の傾き動作が容易である。
【0058】
なお、上述した例では、突起13は所定の長さで直線状に形成される例を示したが、それぞれの形成面において、長手方向に一体の一本の突起13でなくてもよい。すなわち、プラグフレーム7の内面またはフランジ部5の外面が略同一直線上の複数箇所で接触が可能であれば、突起13が複数に分割され、所定の範囲の同一の直線上に、複数の突起が設けられていてもよい。突起13を長手方向に複数に分割しても、略同一直線上に複数の突起13を配置することで、同様の効果を得ることができる。
【0059】
また、互いに対向する位置に配置される一対の突起13は、光コネクタプラグ1の軸方向に対して、位置が多少ずれていてもよい。例えば、一対の突起13の先端は、光コネクタプラグ1の軸方向(
図3aのZ方向)に垂直な同一の直線上(Y方向直線上)に配置されていることが望ましいが、突起13の先端のZ方向の位置が、異なっていてもよい。
【0060】
(光コネクタプラグ1a)
次に、光コネクタプラグの他の実施形態について説明する。
図6aは、光コネクタプラグ1aを示す断面概略図である。なお、以下の説明において、
図1a~
図5と同一の機能を奏する構成については、
図1a~
図5と同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0061】
光コネクタプラグ1aは、光コネクタプラグ1とほぼ同様の構造であるが、プラグフレーム7とフランジ部5との支持機構が異なる。光コネクタプラグ1aでは、プラグフレーム7の内面に突起が設けられるのではなく、フランジ部5の外面に突起13aが設けられる。すなわち、突起13aは、互いに対向するフランジ部5の外面にそれぞれ外方に向けて形成される。
【0062】
突起13aは、断面が略三角形状の先細り形状であり、一方の方向(X方向)に、所定の範囲で直線状に設けられる。突起13aの先端は、プラグフレーム7の対向するそれぞれの内面と略線接触する。
【0063】
このように、プラグフレーム7とフランジ部5との支持機構である突起は、プラグフレーム7の内面側に設けてもよく、または、これと対向するフランジ部5の外面側のいずれに設けてもよい。
【0064】
(光コネクタプラグ1b)
図6bは、さらに他の実施形態である光コネクタプラグ1bを示す断面概略図である。光コネクタプラグ1bは、光コネクタプラグ1aとほぼ同様の構造であるが、突起形状が異なる。突起13bは、断面が略半円形状の先細り形状であり、互いに対向するフランジ部5の外面にそれぞれ同一の方向(X方向)に、所定の範囲で直線状に設けられる。突起13bの先端は、プラグフレーム7の対向するそれぞれの内面と略線接触する。
【0065】
このように、プラグフレーム7とフランジ部5との支持機構である突起の形状は、突起先端がプラグフレーム7の内面またはフランジ部5の外面に対して略線接触する形状であれば、その形状は問わない。例えば、光コネクタプラグ1の突起13を半円状としてもよい。
【0066】
(光コネクタプラグ1c)
図6cは、さらに他の実施形態である光コネクタプラグ1cを示す断面概略図である。光コネクタプラグ1cは、光コネクタプラグ1等とほぼ同様の構造であるが、支持機構が異なる。光コネクタプラグ1cにおける支持機構は、プラグフレーム7の内面またはフランジ部5の外面に設けられる突起ではなく、プラグフレーム7とフランジ部5との間に棒状部材13cを備える。棒状部材13cは、例えば、所定長さの略円柱状のニードルベアリングである。
【0067】
図示した例では、フランジ部5の対向するそれぞれの外面に、所定の方向(X方向)に対して直線状に凹部14が設けられ、それぞれの凹部14に棒状部材13cが配置される。なお、凹部14は、プラグフレーム7に形成されていてもよい、プラグフレーム7とフランジ部5の両者に設けられてもよい。
【0068】
フランジ部5の上下に棒状部材13cを配置した際の寸法は、棒状部材13cと接触するプラグフレーム7の内部空間の高さ(Y軸方向の幅)と略一致する。このため、棒状部材13cがプラグフレーム7の内面およびフランジ部5と略線接触する。
【0069】
このように、棒状部材13cがプラグフレーム7の内面およびフランジ部5と略線接触することで、光コネクタプラグ1cの軸方向を中心軸としたプラグフレーム7に対するフェルール3の回転が規制される。また、一方の方向(X方向)には、フェルール3が、棒状部材13cに沿ってスライド動作および傾き動作が可能である。また、他方の方向(Y方向)には、フェルール3のスライド動作は規制されるが、棒状部材13cの接触部を起点にフェルール3の傾き動作が可能である。
【0070】
このように、支持機構としては、プラグフレーム7の内面またはフランジ部5の外面に設けられる突起ではなく、プラグフレーム7とフランジ部5の間に棒状部材13cを配置してもよい。棒状部材13cを用いることで、プラグフレーム7に対する、光コネクタプラグ1cの軸方向へのフランジ部5の移動がよりスムーズになる。なお、棒状部材13cの断面形状は円形には限られない。
【0071】
(光コネクタプラグ1d)
図7aは、さらに他の実施形態である光コネクタプラグ1dを示す断面概略図であり、
図7bは、
図7aのH-H線断面図である。光コネクタプラグ1dは、光コネクタプラグ1等とほぼ同様の構造であるが、支持機構が異なる。光コネクタプラグ1dにおける支持機構では、プラグフレーム7の内面に形成される突起13dが、フランジ部5に設けられた溝16に嵌り込む。
【0072】
フランジ部5の対向する部位(図中Y方向に対向する部位)のそれぞれにおいて、溝16が、光コネクタプラグ1dの軸方向(Z方向)に直線状に形成される。なお、本実施形態では、フランジ部5は、矩形ではなく円形であるが、フランジ部5の形状は特に限定されない。
【0073】
突起13dは、プラグフレーム7の溝16に対向するそれぞれの内面に形成される。なお、突起13dは、先細り形状ではなく、基部から先端まで略一定の形状(サイズ)で形成される。図示した例では、突起13dは、略円柱形状であり、基部から先端までの外径は略一定である。
【0074】
溝16の幅と、突起13dの外径は略一致する。したがって、上下の溝16にそれぞれ突起13dがそれぞれ嵌まることで、光コネクタプラグ1dの軸方向(Z方向)を中心軸としたプラグフレーム7に対するフェルール3の回転が規制される。
【0075】
一方、突起13dの溝16に対する挿入代は、溝16の深さよりも短い。したがって、溝16の底面と突起13dの先端との間にはクリアランス15が形成される。したがって、光コネクタプラグ1dの軸方向に垂直な一方の方向(Y方向)には、突起13dの先端と溝16の底面とのクリアランス15の分だけ、フェルール3は、プラグフレーム7に対してスライド動作および傾き動作が可能である。
【0076】
また、溝16の幅と、突起13dの外径(X方向の幅)は略一致するため、一方の方向(Y方向)に対して垂直な他方の方向(X方向)には、フェルール3は、プラグフレーム7に対してスライド動作は規制される。一方、突起13dの外側面と溝16の内側面とは、略線接触となるため、突起13dと溝16の内側面との接触部を起点に、フェルール3は、プラグフレーム7に対してX方向に傾き動作(図中矢印B)が可能である。
【0077】
なお、溝16は、プラグフレーム7またはフランジ部5のいずれかに形成されればよく、溝16と対向するプラグフレーム7またはフランジ部5に突起13dを設ければよい。例えば、フランジ部5の外面に互いに逆方向に突出する突起13dを形成し、プラグフレーム7の突起13dとの対向面に溝16を形成してもよい。すなわち、光コネクタプラグ1dの軸方向に向けて、プラグフレーム7またはフランジ部5のいずれかに一対の溝16を設け、溝16に嵌るように対向するプラグフレーム7またはフランジ部5のいずれかに突起13dを形成し、突起13dをそれぞれ溝16に嵌めることで、回転抑制機能とフローティング機能とを確保することができる。
【0078】
突起の断面形状は円形には限られない。例えば、
図8に示すように、略矩形の突起13eとし、溝16の幅方向(X方向)が突起13eの対角線方向となるように突起13eを配置してもよい。
【0079】
また、
図9に示すように、断面形状が略矩形の突起13fとしてもよい。この場合、突起13fの側面と溝16の内側面が面接触するようにしてもよい。この場合、突起13fの断面形状を、その高さ方向で変化させる等して弾性変形しやすくしておくことで、突起13fの弾性変形により、フェルール3はプラグフレーム7に対してX方向に傾き動作が可能となる。
【0080】
また、
図10aに示すように、突起13fと溝16との間に所定幅のクリアランス15aを設けるようにしてもよい。この場合、プラグフレーム7に対するフェルール3は、クリアランス15aの大きさ分だけ回転可能である(図中C)。この場合には、突起13fの幅(図中N)、溝16の幅(図中M)、フランジ部5の半径Rを適切に設定することで、プラグフレーム7に対するフェルール3の回転が1°以下となるようにすることができる。
【0081】
なお、この場合でも、
図10bに示すように、X方向の傾き(図中B)が0.5°以上2°以下となるように設定される。この場合には、突起13fの幅(図中N)、溝16の幅(図中M)、突起13fの長さ(図中L)を適切に設定することで、X方向の傾き(図中B)が0.5°以上2°以下となるように設定することができる。
【0082】
以上のように、フランジ部5とプラグフレーム7との間に支持機構を形成することで、フェルール3の軸方向を中心軸としたプラグフレーム7に対するフェルール3の回転を規制する回転抑制機構として機能させることができる。また、支持機構によって、フェルール3の軸方向に垂直な一方の方向には、フェルール3のプラグフレーム7に対するスライド動作および傾き動作を可能とし、これと垂直な他方の方向には、プラグフレーム7に対するフェルール3のスライド動作を規制するとともに、傾き動作を可能とすることで、支持機構をフローティング機構として機能させることができる。
【0083】
(光コネクタプラグ接続構造10a)
次に、光コネクタプラグ接続構造について、他の実施形態を説明する。
図11は、光コネクタプラグ接続構造10aを示す図である。なお、以下の説明において、一対の光コネクタプラグ1を接続する例を示すが、前述した他の光コネクタプラグ1a~1dを適用することもできる。
【0084】
光コネクタプラグ接続構造10aは、光コネクタプラグ接続構造10と略同様の構成であるが、接続される光コネクタプラグ1の向きが異なる。光コネクタプラグ接続構造10aは、互いに対向する一対の光コネクタプラグ1同士が、それぞれの支持機構が同一方向に向くように接続される。例えば、図示した例では、それぞれの光コネクタプラグ1の突起13による支持方向(突起13の対向方向)は、同じY方向となる。
【0085】
すなわち、光コネクタプラグ接続構造10aは、一対のそれぞれの光コネクタプラグ1のスライド動作規制方向が同一方向であり、一対のそれぞれの光コネクタプラグのスライド動作許容方向が同一方向である。
【0086】
本実施形態においても、アダプタ23の内部形状は、光コネクタプラグ1の外部形状に対応する。このため、アダプタ23の内部において、光コネクタプラグ1の軸方向(Z方向)を回転軸とする光コネクタプラグ1の回転は規制される。
【0087】
図12は、この状態から、一方の光コネクタプラグ1の光ファイバ11に外力が加わり(図中矢印D方向)、アダプタ23に変形が生じた状態を示す概念図である。なお、
図12は、Y方向に対して外力が付与された状態を示す図である。この場合、外力によって、アダプタ23には、わずかな変形が生じる。
【0088】
前述したように、それぞれの光コネクタプラグ1において、図中のY方向に対しては、プラグフレーム7に対するフェルール3の傾き動作(図中の上下方向であって矢印B方向)が許容される。図示した例では、それぞれの光コネクタプラグ1において、フェルール3がプラグフレーム7に対して下方に傾いた状態となる。このように、Y方向への外力に対しては、それぞれの光コネクタプラグ1において、プラグフレーム7に対するフェルール3の傾き動作によって、フェルール3の先端における光接続を維持することができる。
【0089】
一方、これと垂直なX方向への外力の場合には、それぞれの光コネクタプラグ1において、フェルール3はそれぞれのプラグフレーム7に対して、スライド動作および傾き動作が可能である。このため、
図12の場合と同様に、プラグフレーム7に対してそれぞれのフェルール3の傾きおよびスライド動作によって、フェルール3同士の接触状態を維持することができる。
【0090】
このように、光コネクタプラグ接続構造10aは、X方向およびY方向のいずれの外力に対しても、いずれか一方の光コネクタプラグ1における、プラグフレーム7に対するフェルール3の傾き動作によって、フェルール3の先端同士の接触を維持することができる。また、この際、いずれの光コネクタプラグ1においても、光コネクタプラグ1の軸方向を回転軸とするフェルール3の回転が規制されるため、確実に光接続を維持することができる。
【0091】
以上のように、本実施形態によれば、前述した光コネクタプラグ接続構造10と同様の効果を得ることができる。すなわち、光コネクタプラグ接続構造10と同様に、Z方向を回転軸とするフェルール3の回転動作を規制することができる。
【0092】
(光コネクタプラグ接続構造10a)
次に、光コネクタプラグ接続構造について、他の実施形態を説明する。
図13は、アダプタ23aを示す斜視図である。アダプタ23aは、アダプタ23とほぼ同様の筒状の部材であるが、端部に切欠き27a、27bが設けられる点で異なる。
【0093】
アダプタ23aは、例えば略矩形の筒形状である。アダプタ23aの一方の端部における一辺の略中央に、切欠き27aが設けられる。また、アダプタ23aの他方の端部において、切欠き27aが形成される辺と90度異なる他の一辺の略中央に、切欠き27bが設けられる。切欠き27a、27bは、アダプタ23aの長手方向に対して、それぞれの端部から所定の長さに略同幅で形成される。
【0094】
図14は、光コネクタプラグ接続構造10bを示す図である。また、
図15aは、
図14のI-I線断面図、
図15bは、
図14のJ-J線断面図である。すなわち、
図15aは、接続対象の第1の光コネクタプラグ1(
図14の左側の光コネクタプラグ1)の断面図であり、
図15bは、接続対象の第2の光コネクタプラグ1(
図14の右側の光コネクタプラグ1)の断面図である。なお、以下の図は、アダプタ23aの透視図とする。
【0095】
光コネクタプラグ1eは、プラグフレーム7の外周面に、凸部29が設けられる。凸部29は、略矩形のプラグフレーム7の一辺の後端部近傍に設けられる。光コネクタプラグ1eをアダプタ23aに挿入する際には、凸部29が切欠き27a、27bに嵌るように挿入される。
【0096】
前述した様に、アダプタ23aの切欠き27a、27bは、互いに90度異なる方向に設けられるため、対向する光コネクタプラグ1eも、互いに90度異なる向きでアダプタ23aに挿入される。すなわち、前述した光コネクタプラグ接続構造10と同様に、第1の光コネクタプラグ1のスライド動作規制方向と、第2の光コネクタプラグ1のスライド動作規制方向とは、90度異なる方向となる。
【0097】
光コネクタプラグ接続構造10bによれば、光コネクタプラグ1eを、所望の向きで、アダプタ23aに挿入することができる。例えば、光コネクタプラグ1eに対して、一方側と他方側とで、それぞれ90度異なる向き(0度配置、90度配置)で光ファイバ11を保持しておくことで、一方側(0度配置)同士または他方(90度配置)側同士で光接続されることを防止することができる。
【0098】
また、アダプタ23aには、90度異なる方向で切欠き27a、27bが配置されるため、光コネクタプラグ1eおよびアダプタ23aが略正方形であれば、一方側も他方側も凸部29を備える同一の光コネクタプラグ1eを用いることができる。
【0099】
以上、添付図を参照しながら、本発明の実施の形態を説明したが、本発明の技術的範囲は、前述した実施の形態に左右されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0100】
1、1a、1b、1c、1d、1e………光コネクタプラグ
3………フェルール
5………フランジ部
7………プラグフレーム
9………弾性部材
10、10a、10b………光コネクタプラグ接続構造
11………光ファイバ
13、13a、13b、13d、13e、13f………突起
13c………棒状部材
14………凹部
15………クリアランス
16………溝
17………コア
19………クラッド
21………応力付与部
23、23a………アダプタ
25………スリーブ
27a、27b………切欠き
29………凸部